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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】ラチェット工具及びラチェットギア
(51)【国際特許分類】
   B25B 13/46 20060101AFI20240806BHJP
【FI】
B25B13/46 C
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020163004
(22)【出願日】2020-09-29
(65)【公開番号】P2022055532
(43)【公開日】2022-04-08
【審査請求日】2023-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000161909
【氏名又は名称】京都機械工具株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】大西 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】井上 正貴
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0296959(US,A1)
【文献】登録実用新案第3180925(JP,U)
【文献】米国特許第04986147(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 13/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラチェットギアの回転方向を爪部により一方向に規制した状態で締付対象を締め付けるためのラチェット工具であって、
前記ラチェットギアが、周方向に沿って間欠的に設けられた肉抜き部を有することを特徴とするラチェット工具。
【請求項2】
前記ラチェットギアが、外周面に設けられた歯面と、前記歯面を軸方向から挟み込むとともに前記締付対象側を向く第1平面及びその反対側を向く第2平面とを有するものであり、
前記肉抜き部が、前記第1平面又は前記第2平面の少なくとも一方に設けられた貫通孔又は凹みである、請求項1記載のラチェット工具。
【請求項3】
前記肉抜き部が、前記第1平面及び前記第2平面それぞれを軸方向に貫通させることなく凹ませた凹みである、請求項2記載のラチェット工具。
【請求項4】
前記肉抜き部が、前記第1平面及び前記第2平面それぞれに設けられており、
前記第1平面に設けられた前記肉抜き部と、前記第2平面に設けられた前記肉抜き部とが周方向にずれている、請求項3記載のラチェット工具。
【請求項5】
前記肉抜き部が、前記第1平面及び前記第2平面それぞれの対応する箇所を軸方向に貫通してなる貫通孔である、請求項2記載のラチェット工具。
【請求項6】
前記ラチェットギアが、前記第2平面から起立して、工具本体のヘッドに設けられた取付溝に取り付けられる取付凸部を有し、
前記肉抜き部が、前記第2平面に設けられるとともに、前記取付凸部の外周面に重なり合っている、請求項2乃至5のうち何れか一項に記載のラチェット工具。
【請求項7】
前記爪部が、前記ラチェットギアと対向する外周面の所定領域に歯面が形成されたものであり、
前記肉抜き部が、前記所定領域の周方向両端部それぞれと前記ラチェットギアの回転中心を結ぶ一対の仮想線の間に収まる大きさに構成されている、請求項1乃至6のうち何れか一項に記載のラチェット工具。
【請求項8】
ラチェットギアの回転方向を爪部により一方向に規制した状態で締付対象を締め付けるためのラチェット工具であって、
前記ラチェットギアが、外周面に設けられた歯面と、前記歯面を軸方向から挟み込むとともに前記締付対象側を向く第1平面及びその反対側を向く第2平面と、前記第1平面及び前記第2平面それぞれに設けられた肉抜き部とを有するものであり、
前記肉抜き部が、前記第1平面及び前記第2平面それぞれを軸方向に貫通させることなく凹ませた凹みであり、
前記第1平面及び前記第2平面それぞれの凹みが、周方向に沿って連続していることを特徴とするラチェット工具。
【請求項9】
ラチェット工具を構成するものであり、爪部により回転方向を一方向に規制されるラチェットギアであって、
周方向に沿って間欠的に設けられた肉抜き部を有することを特徴とするラチェットギア。
【請求項10】
ラチェット工具を構成するものであり、爪部により回転方向を一方向に規制されるラチェットギアであって、
その外周面に設けられた歯面と、前記歯面を軸方向から挟み込む第1平面及びその反対側を向く第2平面と、前記第1平面及び前記第2平面それぞれに設けられた肉抜き部とを有するものであり、
前記肉抜き部が、前記第1平面及び前記第2平面それぞれを軸方向に貫通させることなく凹ませた凹みであり、
前記第1平面及び前記第2平面それぞれの凹みが、周方向に沿って連続しているラチェットギア
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラチェット工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ボルトやナットなどを締め付ける締付工具として、特許文献1に示すラチェット工具がある。
【0003】
具体的にラチェット工具は、ラチェットギアと、ラチェットギアの回転方向を一方向に規制する爪部とを備え、締付方向とは逆回転させると空回りするように構成されている。かかる構成により、ボルトやナットなどを素早く締め付けることができる。
【0004】
しかしながら、ラチェット工具は、スパナやめがねレンチといった工具に比べ、ラチェットギアや爪部の分だけ重くなるので、例えば、作業者の手首に負担がかかったり、鉄塔の上の作業場などに楽に持ち運べなかったり、ヘッドが重くなってバランスがとり難くなったりする。軽量化を図る態様としては、例えばラチェットギアの厚みを薄くすることが考えられるが、この場合は、ラチェットギアの歯面も薄くなるので、機械強度を担保できない恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-89708号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、上記課題を解決するべくなされたものであり、機械強度を担保しつつ、軽量化を図れるラチェット工具を提供することをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明に係るラチェット工具は、ラチェットギアの回転方向を爪部により一方向に規制した状態で締付対象を締め付けるためのラチェット工具であって、前記ラチェットギアが、周方向に沿って間欠的又は連続的に設けられた肉抜き部を有することを特徴とするものである。
【0008】
このように構成されたラチェット工具によれば、肉抜き部がラチェットギアの周方向に沿って間欠的又は連続的に設けられているので、ラチェットギアの歯面を薄くすることなく、軽量化を図れる。これにより、ラチェットギアの機械強度を担保しつつ、ラチェット工具の軽量化が可能となる。さらに、肉抜き部にグリスが入って保持されることにより、耐摩耗性の向上をも図れる。
【0009】
前記ラチェットギアが、外周面に設けられた歯面と、前記歯面を軸方向から挟み込むとともに前記締付対象側を向く第1平面及びその反対側を向く第2平面とを有するものであり、前記肉抜き部が、前記第1平面又は前記第2平面の少なくとも一方に設けられた貫通孔又は凹みであることが好ましい。
このような構成であれば、ラチェットギアの外面全体のうち比較的占有面積が大きい第1平面や第2平面に貫通孔や凹みを設けているので、ラチェットギアをより軽量にすることができる。
【0010】
機械強度を担保するための具体的な態様としては、前記肉抜き部が、前記第1平面及び前記第2平面それぞれを軸方向に貫通させることなく凹ませた凹みである態様を挙げることができる。
これならば、第1平面に設けられた肉抜き部と第2平面に設けられた肉に基部との間に残存部が介在するので、この残存部により機械強度を担保することができる。
【0011】
機械強度をより確実に担保するためには、前記第1平面に設けられた前記肉抜き部と、前記第2平面に設けられた前記肉抜き部とが周方向にずれていることが好ましい。
【0012】
一方、製造工程を簡素化するための具体的な態様としては、前記肉抜き部が、前記第1平面及び前記第2平面それぞれの対応する箇所を軸方向に貫通してなる貫通孔である態様を挙げることができる。
【0013】
前記ラチェットギアが、前記第2平面から起立して、工具本体のヘッドに設けられた取付溝に取り付けられる取付凸部を有し、前記肉抜き部が、前記第2平面に設けられるとともに、前記取付凸部の外周面に重なり合っていることが好ましい。
このような構成であれば、肉抜き部が、第2平面のみならず取付凸部の外周面にも設けられているので、さらなる軽量化を図れる。
【0014】
前記爪部が、前記ラチェットギアと対向する外周面の所定領域に歯面が形成されたものであり、前記所定領域の周方向両端部それぞれと前記ラチェットギアの回転中心を結ぶ一対の仮想線の間に、前記肉抜き部が収まるように構成されていることが好ましい。
このような構成であれば、ラチェットギアの歯面における上述した一対の仮想線の間に爪部からの応力が作用するところ、一対の仮想線の間に肉抜き部が収まっているので、この肉抜き部の両側の肉抜きされていない箇所によって、爪部からの応力を受けることができ、機械強度を担保することができる。
【0015】
また、本発明に係るラチェットギアは、ラチェット工具を構成するものであり、爪部により回転方向を一方向に規制されるラチェットギアであって、周方向に沿って間欠的又は連続的に設けられた複数に肉抜き部を有することを特徴とするものである。
このように構成されたラチェットギアによれば、上述したラチェット工具と同様の作用効果を奏しえる。
【発明の効果】
【0016】
このように構成された本発明によれば、ラチェットギアの機械強度を担保しつつ、ラチェット工具の軽量化を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一実施形態に係るラチェット工具を模式的に示す平面図である。
図2】本実施形態のラチェットギアを模式的に示す斜視図である。
図3】本実施形態のラチェットギアを模式的に示す斜視図である。
図4】本実施形態のラチェットギアを模式的に示す断面図である。
図5】本実施形態のラチェットギアを模式的に示す平面図である。
図6】本実施形態のラチェットギアを模式的に示す平面図である。
図7】本実施形態のラチェットギアを模式的に示す平面図である。
図8】その他の実施形態のラチェットギアを模式的に示す斜視図である。
図9】その他の実施形態のラチェットギアを模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明に係る締付工具を図面に基づいて説明する。
【0019】
本発明に係るラチェット工具は、ボルトやナット等の締付対象を締め付けるものであり、具体的な実施態様としてはソケットと組み合わせて使用するラチェットハンドルやラチェットレンチなどを挙げることができる。
【0020】
具体的にこのラチェット工具100は、図1に示すように、少なくともラチェットギア10と、ラチェットギア10の回転方向を一方向に規制する爪部20とを備えており、逆回転させると空回りするように構成されている。なお、ここではラチェットギア10の回転方向を、正方向又は逆方向に切り替え可能としてあるが、必ずしもこれに限るものではない。
【0021】
そして、このラチェット工具100は、ラチェットギア10に特徴があるので、以下に詳述する。
【0022】
ラチェットギア10は、その外周面が歯面X1であり、爪部20の外周面に設けられた歯面X2と係合するものである。具体的には、爪部20においてラチェットギア10と対向する外周面の所定領域Z(例えばラチェットギア10の回転軸を中心に24度の範囲)に所定歯数(例えば7枚)が所定角度(例えば4度)で形成されており、これらの歯面X2にラチェットギア10の歯面X1が係合した状態においてラチェット機構としての機能が発揮される。
【0023】
このラチェットギア10は、図2及び図3に示すように、歯面X1を軸方向から挟み込むとともに、互いに反対側を向く第1平面11及び第2平面12を有している。
【0024】
第1平面11は、図2に示すように、締付対象側を向く円環状をなす平面であり、ラチェットギア10の径方向と平行な面である。ここでの第1平面11には、締結対象の種類や寸法に応じたソケットが取り付けられる差込角13が設けられている。この差込角13は、第1平面11に対して直交する向き、すなわち軸方向に突出する四角柱状のものである。ただし、ラチェットギア10としては、必ずしも差込角13を設けてある必要はなく、例えば第1平面11に締結対象と嵌合する嵌合溝を設けておいても良い。
【0025】
第2平面12は、図3に示すように、第1平面11とは反対側を向く円環状をなす平面であり、ラチェットギア10の径方向と平行な面である。ここでの第2平面12には、工具本体30のヘッド31に設けられた取付溝に取り付けられる取付凸部14が設けられている。この取付凸部14は、第2平面12の内縁部から軸方向に沿って起立する円筒状のものである。ただし、ラチェットギア10としては、必ずしも取付凸部14を設けてある必要はない。
【0026】
然して、本実施形態のラチェットギア10は、図2及び図3に示すように、周方向に沿って間欠的に設けられた複数の肉抜き部15を有する。
【0027】
より具体的に説明すると、肉抜き部15は、第1平面11又は前記第2平面12の少なくとも一方に設けられた凹みであり、ここでは第1平面11及び第2平面12それぞれの対応する箇所を、例えばエンドミルやドリルなどを用いた切削加工により、軸方向に貫通させることなく凹ませた凹みである。これらの肉抜き部15は、軸方向から視た開口面積が、底面の面積よりも大きくなるように形成されていても良い。なお、対応する箇所とは、周方向において同じ箇所であり、言い換えれば軸方向から視て互いに重なり合う箇所である。
【0028】
第1平面11には、平面視において互いに同じ形状をなす複数(ここでは18個)の肉抜き部15が、例えば周方向に沿って等間隔に設けられている。具体的な形状は、平面視において例えば円形状、楕円形状、四角形状、三角形状、多角形状など種々の形状を挙げることができるが、ここでは径方向内側から外側に向かって膨らむ涙形状である。なお、これら複数の肉抜き部15は、必ずしも等間隔に設けられている必要はなく、不均等間隔に設けられていても良いし、規則的に或いは不規則に設けられていても良い。さらに、これらの肉抜き部15は、必ずしも互いに同じ形状である必要はなく、一部或いは全部が異なる形状であっても良い。
【0029】
第2平面12には、平面視において互いに同じ形状をなす複数(ここでは18個)の肉抜き部15が、例えば周方向に沿って等間隔に設けられている。具体的な形状は、平面視において例えば円形状、楕円形状、四角形状、三角形状、多角形状など種々の形状を挙げることができるが、ここでは第1平面11に設けられた肉抜き部15と同じ形状にしてあり、径方向内側から外側に向かって膨らむ涙形状である。なお、第1平面11に設けられた肉抜き部15と、第2平面12に設けられた肉抜き部15とは、互いに異なる形状であっても構わない。なお、これら複数の肉抜き部15は、必ずしも等間隔に設けられている必要はなく、不均等間隔に設けられていても良いし、規則的に或いは不規則に設けられていても良い。さらに、これらの肉抜き部15は、必ずしも互いに同じ形状である必要はなく、一部或いは全部が異なる形状であっても良い。
【0030】
本実施形態では、図4に示すように、第1平面11に設けられた肉抜き部15は、第2平面12に設けられた肉抜き部15に比べて浅く形成されている。すなわち、第1平面11から当該第1平面11に設けられた肉抜き部15の底面までの深さ寸法は、第2平面12から当該第2平面12に設けられた肉抜き部15の底面までの深さ寸法よりも小さい。
【0031】
また、本実施形態では、第2平面12側の肉抜き部15が、図3及び図4に示すように、上述した取付凸部14の外周面141に重なり合うように設けられている。すなわち、これらの肉抜き部15は、第2平面12とともに、取付凸部14の外周部をも例えばエンドミルやドリル等により切削してなるものであり、第2平面12から取付凸部14の外周面141に亘って連続的に形成されている。
【0032】
ここで、本実施形態では、図5及び図6に示すように、上述したように複数の肉抜き部15を周方向に間欠的に設けているので、互いに隣り合う肉抜き部15の間には、肉抜きされずに残った箇所が残存部16として介在している。
【0033】
かかる構成において、各肉抜き部15は、図5に示すように、ラチェットギア10と爪部20とが係合している状態において、爪部20の歯面X2が設けられた所定領域Zの周方向両端部それぞれとラチェットギア10の回転中心を結ぶ一対の仮想線Lの間に収まる大きさに形成されている。
これにより、同図5の状態においては、一対の仮想線Lの間にある肉抜き部15の周方向一方側に位置する残存部16の少なくとも一部と、同肉抜き部15の周方向他方側に位置する残存部16の少なくとも一部とによって、爪部20からラチェットギア10に作用する応力を受けることができる。
また、図6の状態においては、互いに隣り合う肉抜き部15の間に介在する残存部16の全体が、一対の仮想線Lの間に収まっており、この残存部16の全体によって、爪部20からラチェットギア10に作用する応力を受けることができる。
【0034】
また、本実施形態の肉抜き部15は、上述したように径方向内側から外側に向かって膨らむ涙形状をなしている。これにより、肉抜き部15の内周面には、径方向外側から内側に向かって徐々に拡がる一対の拡開要素151が含まれている。
かかる構成において、一対の拡開要素151の一方は、図7に示すように、ラチェットギア10が回転する過程で、爪部20からラチェットギア10に作用する応力の作用方向Fに沿って延びる状態をとり、これにより、前記応力に対する耐久性を向上させる面として機能する。
【0035】
このように構成されたラチェット工具100によれば、複数の肉抜き部15がラチェットギア10の周方向に沿って間欠的に設けられているので、ラチェットギア10の歯面X1を薄くすることなく、軽量化を図れる。これにより、ラチェットギア10の機械強度を担保しつつ、ラチェット工具100を軽量化することが可能となる。さらに、肉抜き部15にグリスが入って保持されることにより、耐摩耗性の向上をも図れる。
【0036】
また、ラチェットギア10の外面全体のうち占有面積が比較的大きい第1平面11や第2平面12に肉抜き部15を設けているので、その他の面に肉抜き部15を設ける場合に比べて、肉抜き部15の数を多くしたりサイズを大きくしたりすることができ、ラチェットギア10をより軽量化することができる。
【0037】
さらに、肉抜き部15が、第1平面11及び第2平面12それぞれを軸方向に貫通させることなく凹ませた凹みであるので、第1平面11に設けられた肉抜き部15と第2平面12に設けられた肉抜き部15との間には、軸方向に沿った残存部が介在し、この残存部により機械強度を担保することができる。
【0038】
加えて、肉抜き部15が、第2平面12に設けられるとともに、取付凸部14の外周面141に重なり合うように設けてあるので、ラチェットギア10を可及的に軽量にすることができる。
【0039】
なお、本発明は、前記実施形態に限られるものではない。
【0040】
例えば、前記実施形態では、複数の肉抜き部15が周方向に沿って間欠的に設けられていたが、図8に示すように、肉抜き部15が周方向に沿って連続的に設けられていても良い。
【0041】
また、肉抜き部15の数は、前記実施形態の態様に限らず、1つ、2つ、或いはそれ以上の数の中から適宜変更して構わない。その一例として、図9には、15個の肉抜き部15を備えたラチェットギア10を示してある。
【0042】
さらに、前記実施形態の肉抜き部15は、第1平面11及び第2平面12それぞれの互いに対応する箇所に設けられていたが、第1平面11に設けられた肉抜き部15と、第2平面12に設けられた肉抜き部15とが周方向にずれていても良い。
【0043】
そのうえ、肉抜き部15は、第1平面11及び第2平面12それぞれの対応する箇所を軸方向に貫通してなる貫通孔であっても良い。この場合の貫通穴は、ラチェットギア10の軸方向に沿って設けられていることになる。ただし、軸方向に対して傾斜して延びる貫通穴を肉抜き部15としても良い。
【0044】
加えて、前記実施形態では、ラチェットハンドルやラチェットレンチなどのラチェット工具を例に取り上げたが、本発明にかかるラチェット工具は、トルクレンチ、ラチェットめがねレンチ、ラチェットドライバーなどであっても良い。
【0045】
その他、本発明は前記各実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0046】
100・・・ラチェット工具
10 ・・・ラチェットギア
X1 ・・・歯面
11 ・・・第1平面
12 ・・・第2平面
13 ・・・差込角
14 ・・・取付凸部
141・・・外周面
15 ・・・肉抜き部
151・・・拡開要素
16 ・・・残存部
20 ・・・爪部
X2 ・・・歯面
2Z ・・・所定領域
30 ・・・工具本体
31 ・・・ヘッド
L ・・・仮想線

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9