(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】免震装置
(51)【国際特許分類】
F16F 15/027 20060101AFI20240806BHJP
E04H 9/02 20060101ALI20240806BHJP
F16F 15/02 20060101ALI20240806BHJP
F16F 15/023 20060101ALI20240806BHJP
F16F 15/04 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
F16F15/027
E04H9/02 331Z
F16F15/02 A
F16F15/023 Z
F16F15/04 A
(21)【出願番号】P 2021005982
(22)【出願日】2021-01-18
【審査請求日】2023-12-04
(73)【特許権者】
【識別番号】391039494
【氏名又は名称】株式会社エーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100108497
【氏名又は名称】小塚 敏紀
(72)【発明者】
【氏名】早川 政光
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-067175(JP,A)
【文献】特開2020-085107(JP,A)
【文献】特開2011-069393(JP,A)
【文献】特開2008-157288(JP,A)
【文献】特開2009-168157(JP,A)
【文献】特開2017-187093(JP,A)
【文献】特表2012-503159(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/027
F16F 15/02
F16F 15/023
F16F 15/04
E04H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎に支持され対象物を支持する免震装置であって、
下から上方向に重なる複数の架台であって基礎に支持される下架台と対象物を支持する単数または多段に重なる複数の上架台と、
前記下架台と前記上架台とに回動可能に連結されるリンク機構を有し該リンク機構に前記下架台と前記上架台との上下方向の相対距離の変化に対応して水平方向に相対変位する水平可動部を形成される連結部材と、
前記上架台に前記相対距離の変化に対応して変化する上方向のばね力である上方向ばね力を作用させ直接にまたは前記連結部材を介して前記上方向ばね力により上架台に支持される対象物に上方向の第一支持力を作用させる上下方向ばね要素と、
前記水平可動部に前記水平可動部の水平方向の相対変位に対応して変化する水平方向のばね力である水平方向ばね力を作用させ前記連結部材を介して前記水平方向ばね力により上架台に支持される対象物に上方向の第二支持力を作用させる水平方向ばね要素と、
空気の圧縮力により前記上架台または前記連結部材に押し力を作用し直接にまたは前記連結部材を介して前記押し力により上架台に支持される対象物に上方向の第三支持力を作用させる空気ばねと、
前記空気ばねの内部の空気を出し入れできる空気ばね制御系と、
を備え、
第一支持力と第二支持力と第三支持力の合力が対象物を支え、
前記空気ばね制御系が前記空気ばねの空気を出し入れして前記相対距離を所定の距離である所定距離に維持しようとすることができる、
ことを特徴とする免震装置。
【請求項2】
前記空気ばねが前記上架台に上方向に作用する押し力を作用し直接にまたは前記連結部材を介して前記押し力により上架台に支持される対象物に上方向の前記第三支持力を作用させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の免震装置
【請求項3】
所定タイミングで前記空気ばね制御系が前記空気ばねへの空気の出し入れをして前記相対距離を所定の距離である所定距離に維持しようとする空気ばねレベル制御手順と前記空気ばね制御系が前記空気ばねへの空気の出し入れを停止して空気ばねの空気を閉じ込める空気ばねレベル制御停止手順とを繰り返す、
ことを特徴とする請求項2に記載の免震装置。
【請求項4】
所定タイミングで前記空気ばね制御系が前記空気ばねへの空気の出し入れをして前記相対距離を所定の距離である所定距離に維持しようとする空気ばねレベル制御手順と前記空気ばね制御系が前記空気ばねへの空気の出し入れを連続的に停止して空気ばねの空気を閉じ込める空気ばねレベル制御停止手順とを繰り返す、
ことを特徴とする請求項3に記載の免震装置。
【請求項5】
前記空気ばね制御系の制御時定数が免震したい揺れの上下方向の加速度の最大周期の3倍を越える値である、
ここで、前記空気ばね制御系の制御時定数は前記空気ばねが最も縮んで前記相対距離が最小である状態から空気ばねに空気を入れ始め
て(前記所定距離-最小相対距離)の63%に達するまでの時間であり、
最小相対距離は相対距離の最小値である、
ことを特徴とする請求項4に記載の免震装置
【請求項6】
地震が発生したとき前記空気ばね制御系が前記空気ばねの空気を出し入れして前記相対距離を所定の距離である所定距離に維持しようとし、
前記空気ばね制御系の制御時定数が3秒を超える値である、
ことを特徴とする請求項5に記載の免震装置。
【請求項7】
対象物を上架台に乗せて前記空気ばねの空気を開放した状態で上架台が下がり前記相対距離が最小になる、
ことを特徴とす
る請求項6に記載の免震装置。
【請求項8】
地震が発生したとき前記空気ばね制御系が前記空気ばねへの空気の出し入れを停止し空気ばねの空気を閉じ込める、
ことを特徴とする請求項2に記載の免震装置。
【請求項9】
所定のタイミングで前記空気ばね制御系が前記空気ばねへの空気の出し入れをして前記相対距離を所定の距離である所定距離に維持しようとする空気ばねレベル制御手順と前記空気ばね制御系が前記空気ばねへの空気の出し入れを停止して空気ばねの空気を閉じ込める空気ばねレベル制御停止手順とを繰り返す、
ことを特徴とする請求項1に記載の免震装置。
【請求項10】
所定のタイミングで前記空気ばね制御系が前記空気ばねへの空気の出し入れをして前記相対距離を所定の距離である所定距離に維持しようとする空気ばねレベル制御手順と前記空気ばね制御系が前記空気ばねへの空気の出し入れを連続的に停止して空気ばねの空気を閉じ込める空気ばねレベル制御停止手順とを繰り返す、
ことを特徴とする請求項1に記載の免震装置。
【請求項11】
前記空気ばね制御系の制御時定数が免震したい揺れの上下方向の加速度の最大周期の3倍を越える値であり、
ここで、前記空気ばね制御系の制御時定数は前記空気ばねが最も縮んで前記相対距離が最小である状態から空気ばねに空気を入れ始め
て(前記所定距離-最小相対距離)の63%に達するまでの時間であり、
前記最小相対距離は相対距離の最小値である、
ことを特徴とする請求項1に記載の免震装置
【請求項12】
地震が発生したとき前記空気ばね制御系が前記空気ばねの空気を出し入れして前記相対距離を所定の距離である所定距離に維持しようとし、
前記空気ばね制御系の制御時定数が3秒を超える値である、
ことを特徴とする請求項1に記載の免震装置。
【請求項13】
対象物を上架台に乗せて前記空気ばねの空気を開放した状態で上架台が下がり前記相対距離が最小になる、
ことを特徴とす
る請求項1に記載の免震装置。
【請求項14】
地震が発生したとき前記空気ばね制御系が前記空気ばねへの空気の出し入れを停止し空気ばねの空気を閉じ込める、
ことを特徴とする請求項1に記載の免震装置。
【請求項15】
基礎に支持され対象物を支持する免震装置の運用方法であって、
下から上方向に重なる複数の架台であって基礎に支持される下架台と対象物を支持する単数または多段に重なる複数の上架台と、
前記下架台と前記上架台とに回動可能に連結されるリンク機構を有し該リンク機構に前記下架台と前記上架台との上下方向の相対距離の変化に対応して水平方向に相対変位する水平可動部を形成される連結部材と、
前記上架台に前記相対距離の変化に対応して変化する上方向のばね力である上方向ばね力を作用させ直接にまたは前記連結部材を介して前記上方向ばね力により上架台に支持される対象物に上方向の第一支持力を作用させる上下方向ばね要素と、
前記水平可動部に前記水平可動部の水平方向の相対変位に対応して変化する水平方向のばね力である水平方向ばね力を作用させ前記連結部材を介して前記水平方向ばね力により上架台に支持される対象物に上方向の第二支持力を作用させる水平方向ばね要素と、
空気の圧縮力により前記上架台または前記連結部材に押し力を作用し直接にまたは前記連結部材を介して前記押し力により上架台に支持される対象物に上方向の第三支持力を作用させる空気ばねと、
前記空気ばねの内部の空気を出し入れできる空気ばね制御系と、を有する免震装置を準備する準備工程と、
前記空気ばね制御系が前記空気ばねの空気を出し入れして前記相対距離を所定の距離である所定距離に維持しようとする空気ばねレベル制御工程と、
を備える、
ことを特徴とする免震装置の運用方法。
【請求項16】
前記空気ばねが前記上架台に上方向に作用する押し力を作用し直接にまたは前記連結部材を介して前記押し力により上架台に支持される対象物に上方向の前記第三支持力を作用させる、
ことを特徴とする請求項15に記載の免震装置の運用方法。
【請求項17】
前記空気ばね制御系が前記空気ばねへの空気の出し入れを停止し空気ばねの空気を閉じ込める空気ばねレベル制御停止工程と、
を備え、
所定のタイミングで前記空気ばねレベル制御工程と前記空気ばねレベル制御停止工程とを順に繰り返し実行する、
ことを特徴とする請求項16に記載の免震装置の運用方法。
【請求項18】
前記空気ばね制御系が前記空気ばねへの空気の出し入れを連続的に停止し空気ばねの空気を閉じ込める空気ばねレベル制御停止工程と、
を備え、
所定のタイミングで前記空気ばねレベル制御工程と前記空気ばねレベル制御停止工程とを順に繰り返し実行する、
ことを特徴とする請求項17に記載の免震装置の運用方法。
【請求項19】
前記空気ばね制御系の制御時定数が免震したい揺れの上下方向の加速度の最大周期の3倍を越える値であり、
ここで、前記空気ばね制御系の制御時定数は前記空気ばねが最も縮んで前記相対距離が最小である状態から空気ばねに空気を入れ始め
て(前記所定距離-最小相対距離)の63%に達するまでの時間であり、
最小相対距離は相対距離の最小値である、
ことを特徴とする請求項18に記載の免震装置の運用方法
【請求項20】
地震が発生したとき前記空気ばねレベル制御工程を実行し、
前記空気ばね制御系の制御時定数が3秒を超える値である、
ことを特徴とする請求項19に記載の免震装置の運用方法。
【請求項21】
対象物を上架台に乗せて空気ばねの空気を開放した状態で上架台が下がり前記相対距離が最小になることを確認する免震装置据付工程と、
を備え、
前記免震装置据付け工程を実行した後で前記空気ばねレベル制御工程を実行する、
ことを特徴とする請求項20に記載の免震装置の運用方法。
【請求項22】
前記免震装置据付工程が、
対象物を上架台に乗せて空気ばねの空気を開放した状態で前記相対距離が可動範囲の最大であり上架台が下がらないことを確認する第一確認工程と、
対象物を上架台に乗せて空気ばねの空気を開放した状態で上架台にバランスウエイトを付加して上架台が下がり前記相対距離が最小になることを確認する第二確認工程と、を有し、
前記第一確認工程の後で前記第二確認工程を実行する、
ことを特徴とする請求項21に記載の免震装置の運用方法。
【請求項23】
前記空気ばね制御系が前記空気ばねへの空気の出し入れを停止し空気ばねの空気を閉じ込める空気ばねレベル制御停止工程と、
を備え、
地震が発生したとき前記空気ばねレベル制御停止工程を実行する、
ことを特徴とする請求項16に記載の免震装置の運用方法。
【請求項24】
前記空気ばね制御系が前記空気ばねへの空気の出し入れを停止し空気ばねの空気を閉じ込める空気ばねレベル制御停止工程と、
を備え、
所定のタイミングで前記空気ばねレベル制御工程と前記空気ばねレベル制御停止工程とを順に繰り返し実行する、
ことを特徴とする請求項15に記載の免震装置の運用方法。
【請求項25】
前記空気ばね制御系が前記空気ばねへの空気の出し入れを連続的に停止し空気ばねの空気を閉じ込める空気ばねレベル制御停止工程と、
を備え、
所定のタイミングで前記空気ばねレベル制御工程と前記空気ばねレベル制御停止工程とを順に繰り返し実行する、
ことを特徴とする請求項15に記載の免震装置の運用方法。
【請求項26】
前記空気ばね制御系の制御時定数が免震したい揺れの上下方向の加速度の最大周期の3倍を越える値である、
ここで、前記空気ばね制御系の制御時定数は前記空気ばねが最も縮んで前記相対距離が最小である状態から空気ばねに空気を入れ始め
て(前記所定距離-最小相対距離)の63%に達するまでの時間であり、
最小相対距離は相対距離の最小値である、
ことを特徴とする請求項15に記載の免震装置の運用方法
【請求項27】
地震が発生したとき前記空気ばねレベル制御工程を実行し、
前記空気ばね制御系の制御時定数が3秒を超える値である、
ことを特徴とする請求項15に記載の免震装置の運用方法。
【請求項28】
対象物を上架台に乗せて空気ばねの空気を開放した状態で上架台が下がり前記相対距離が最小になることを確認する免震装置据付工程と、
を備え、
前記免震装置据付け工程を実行した後で前記空気ばねレベル制御工程を実行する、
ことを特徴とする請求項15に記載の免震装置の運用方法。
【請求項29】
前記免震装置据付工程が、
対象物を上架台に乗せて空気ばねの空気を開放した状態で前記相対距離が可動範囲の最大であり上架台が下がらないことを確認する第一確認工程と、
対象物を上架台に乗せて空気ばねの空気を開放した状態で上架台にバランスウエイトを付加して上架台が下がり前記相対距離が最小になることを確認する第二確認工程と、を有し、
前記第一確認工程の後で前記第二確認工程を実行する、
ことを特徴とする請求項15に記載の免震装置の運用方法。
【請求項30】
前記空気ばね制御系が前記空気ばねへの空気の出し入れを停止し空気ばねの空気を閉じ込める空気ばねレベル制御停止工程と、
を備え、
地震が発生したとき前記空気ばねレベル制御停止工程を実行する、
ことを特徴とする請求項15に記載の免震装置の運用方法。
【請求項31】
基礎に支持され対象物を支持する免震装置の運用方法であって、
下から上方向に重なる複数の架台であって基礎に支持される下架台と対象物を支持する単数または多段に重なる複数の上架台と、
前記下架台と前記上架台とに回動可能に連結されるリンク機構を有し該リンク機構に前記下架台と前記上架台との上下方向の相対距離の変化に対応して水平方向に相対変位する水平可動部を形成される連結部材と、
前記上架台に前記相対距離の変化に対応して変化する上方向のばね力である上方向ばね力を作用させ直接にまたは前記連結部材を介して前記上方向ばね力により上架台に支持される対象物に上方向の第一支持力を作用させる上下方向ばね要素と、
前記水平可動部に前記水平可動部の水平方向の相対変位に対応して変化する水平方向のばね力である水平方向ばね力を作用させ前記連結部材を介して前記水平方向ばね力により上架台に支持される対象物に上方向の第二支持力を作用させる水平方向ばね要素と、
を有する免震装置を準備する準備工程と、
前記相対距離が所定の距離である所定距離に維持されることを確認する免震装置据え付工程と、
を備え、
前記免震装置据え付工程が、
対象物を上架台に乗せた状態で前記相対距離が可動範囲の最大であり上架台が下がらないことを確認する第一確認工程と、
対象物を上架台に乗せた状態で上架台にバランスウエイトを付加して上架台が下がり前記相対距離が前記所定距離になることを確認する第二確認工程と、を有し、
前記所定距離が前記相対距離の可動範囲の最大と最小の間の距離である、
ことを特徴とする免震装置の運用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基礎に支持され対象物を支持する免震装置に係る。特に、本発明は、上下方向ばね要素と水平方向ばね要素を組み合わせた構造に特徴のある免震装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地震が発生すると、家屋や構造物や自動販売機や家具や棚や製造設備が水平、垂直にゆすられる。
また、移動体の中に設けられた構造物や自動販売機や家具や棚や製造設備が、移動体の移動中に、水平、垂直にゆすられる。
また、日常の僅かな揺れを嫌う製造設備が、地盤から僅かな加速度でゆすられる。
これらの家屋や構造物や自動販売機や家具や棚や製造設備や美術品、その他を対象物と呼称する。
直下型地震等による垂直加速度が大きかったり、垂直にゆすられる時間が長かったり、許容する加速度が小さいとき、被支持体が損傷したり、対象物が支持するものが転倒したり、損傷したりする。また、製造設備が所要の性能を発揮できない。
【0003】
この様な免震装置を設計する際には、必要な免震特性を実現できる様に免震装置を構成する要素の諸元を選択する。
【0004】
免震したい揺れは、揺れの種類に応じて所定の周期成分をもつ。
一般的に、地震による加速度は0.1秒から1秒の最大周期成分をもつ。
0.1秒から1秒の最大周期成分をもつ加速度に対応するためには、免震装置は、それに対応できる周期成分をもつ必要がある。ばね定数は小さいと周期が大きくなり、ばね定数が大きくなると周期が小さくなる。
ばね定数が小さくする場合、対象物の質量が微小変化したときに、免震装置の対象物を支える高さが変化する。
また、免震装置に支持される対象物に上下方向の加速度が生じると、対象物の慣性力により免震装置の高さが変化する。
発明者は、これらの現象を考慮し、上下方向の安定性を強化した免震装置を提供しようとする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上に述べた問題点に鑑み案出されたもので、基礎に支持され対象物を支持する免震装置を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の実施形態に係る基礎に支持され対象物を支持する免震装置を、下から上方向に重なる複数の架台であって基礎に支持される下架台と対象物を支持する単数または多段に重なる複数の上架台と、前記下架台と前記上架台とに回動可能に連結されるリンク機構を有し該リンク機構に前記下架台と前記上架台との上下方向の相対距離の変化に対応して水平方向に相対変位する水平可動部を形成される連結部材と、
前記上架台に前記相対距離の変化に対応して変化する上方向のばね力である上方向ばね力を作用させ直接にまたは前記連結部材を介して前記上方向ばね力により上架台に支持される対象物に上方向の第一支持力を作用させる上下方向ばね要素と、前記水平可動部に前記水平可動部の水平方向の相対変位に対応して変化する水平方向のばね力である水平方向ばね力を作用させ前記連結部材を介して前記水平方向ばね力により上架台に支持される対象物に上方向の第二支持力を作用させる水平方向ばね要素と、空気の圧縮力により前記上架台または前記連結部材に押し力を作用し直接にまたは前記連結部材を介して前記押し力により上架台に支持される対象物に上方向の第三支持力を作用させる空気ばねと、前記空気ばねの内部の空気を出し入れできる空気ばね制御系と、を備え、第一支持力と第二支持力と第三支持力の合力が対象物を支え、前記空気ばね制御系が前記空気ばねの空気を出し入れして前記相対距離を所定の距離である所定距離に維持しようとすることができる、ものとした。
【0007】
上記本発明の構成により、基礎に支持される下架台と対象物を支持する単数または多段に重なる複数の上架台とが、下から上方向に重なる。連結部材が、前記下架台と前記上架台とに回動可能に連結されるリンク機構を有し該リンク機構に前記下架台と前記上架台との上下方向の相対距離の変化に対応して水平方向に相対変位する水平可動部を形成される。上下方向ばね要素が、前記上架台に前記相対距離の変化に対応して変化する上方向のばね力である上方向ばね力を作用させ直接にまたは前記連結部材を介して前記上方向ばね力により上架台に支持される対象物に上方向の第一支持力を作用させる。水平方向ばね要素が、前記水平可動部に前記水平可動部の水平方向の相対変位に対応して変化する水平方向のばね力である水平方向ばね力を作用させ前記連結部材を介して前記水平方向ばね力により上架台に支持される対象物に上方向の第二支持力を作用させる。空気ばねが、空気の圧縮力により前記上架台または前記連結部材に押し力を作用し直接にまたは前記連結部材を介して前記押し力により上架台に支持される対象物に上方向の第三支持力を作用させる。空気ばね制御系が、前記空気ばねの内部の空気を出し入れできる。第一支持力と第二支持力と第三支持力の合力が対象物を支える。前記空気ばね制御系が前記空気ばねの空気を出し入れして前記相対距離を所定の距離である所定距離に維持しようとすることができる。
その結果、垂直加速度を免震できる免震装置の安定性を維持できる。
【0008】
以下に、本発明の実施形態に係る免震装置を説明する。本発明は、以下に記載した実施形態のいずれか、またはそれらの中の二つ以上が組み合わされた態様を含む。
【0009】
本発明の実施形態に係る免震装置は、前記空気ばねが前記上架台に上方向に作用する押し力を作用し直接にまたは前記連結部材を介して前記押し力により上架台に支持される対象物に上方向の前記第三支持力を作用させる。
上記の実施形態の構成により、前記空気ばねが前記上架台に上方向に作用する押し力を作用し直接にまたは前記連結部材を介して前記押し力により上架台に支持される対象物に上方向の前記第三支持力を作用させる、
その結果、垂直加速度を免震できる免震装置の安定性を向上させることができる。
【0010】
本発明の実施形態に係る免震装置は、所定のタイミングで前記空気ばね制御系が前記空気ばねへの空気の出し入れをして前記相対距離を所定の距離である所定距離に維持しようとする空気ばねレベル制御手順と前記空気ばね制御系が前記空気ばねへの空気の出し入れを停止して空気ばねの空気を閉じ込める空気ばねレベル制御停止手順とを繰り返す。
上記の実施形態の構成により、所定のタイミングで前記空気ばね制御系が前記空気ばねへの空気の出し入れをして前記相対距離を所定の距離である所定距離に維持しようとする空気ばねレベル制御手順と前記空気ばね制御系が前記空気ばねへの空気の出し入れを停止して空気ばねの空気を閉じ込める空気ばねレベル制御停止手順とを繰り返す。
その結果、垂直加速度を免震できる免震装置の安定性を維持できる。
【0011】
本発明の実施形態に係る免震装置は、前記空気ばね制御系の制御時定数が免震したい揺れの上下方向の加速度による上架台の上下方向の動きを邪魔しない値である。
上記の実施形態の構成により、前記空気ばね制御系の制御時定数が免震したい揺れの上下方向の加速度による上架台の上下方向の動きを邪魔しない値である。
その結果、前記空気ばね制御系が空気ばねの空気を出し入れしても免震装置の応答性を確保できる。
【0012】
本発明の実施形態に係る免震装置は、前記空気ばね制御系の制御時定数が免震したい揺れの上下方向の加速度の最大周期の3倍を越える値であり、ここで、前記空気ばね制御系の制御時定数は前記空気ばねが最も縮んで前記相対距離が最小である状態から空気ばねに空気を入れ始めて前記離間距離が(前記所定距離-最小相対距離)の63%に達するまでの時間であり、ここで、最小相対距離は相対距離の最小値である。
上記の実施形態の構成により、前記空気ばね制御系の制御時定数が免震したい揺れの上下方向の加速度の最大周期の3倍を越える値である。ここで、前記空気ばね制御系の制御時定数は前記空気ばねが最も縮んで前記相対距離が最小である状態から空気ばねに空気を入れ始めて前記離間距離が(前記所定距離-最小相対距離)の63%に達するまでの時間である。ここで、最小相対距離は相対距離の最小値である。
その結果、地震が発生したときに前記空気ばね制御系が空気ばねの空気を出し入れしても免震装置の応答性を確保できる。
【0013】
本発明の実施形態に係る免震装置は、地震が発生したとき前記空気ばね制御系が前記空気ばねの空気を出し入れして前記相対距離を所定の距離である所定距離に維持しようとし前記空気ばね制御系の制御時定数が3秒を超える値である。
上記の実施形態の構成により、地震が発生したとき前記空気ばね制御系が前記空気ばねの空気を出し入れして前記相対距離を所定の距離である所定距離に維持しようする。前記空気ばね制御系の制御時定数が3秒を超える値である。
その結果、略3秒×1/3=1秒を超える周期の加速度を持つ地震が発生したときに前記空気ばね制御系が空気ばねの空気を出し入れしても免震装置の応答性を確保できる。
【0014】
本発明の実施形態に係る免震装置は、対象物を上架台に乗せて前記空気ばねの空気を開放した状態で上架台が下がり前記相対距離が最小になる。
上記の実施形態の構成により、対象物を上架台に乗せて前記空気ばねの空気を開放した状態で上架台が下がり前記相対距離が最小になる。
その結果、空気ばねに空気を入れると上架台が上がり前記相対距離を所定距離に維持できる。
【0015】
本発明の実施形態に係る免震装置は、地震が発生したとき前記空気ばね制御系が前記空気ばねへの空気の出し入れを停止し空気ばねの空気を閉じ込める。
上記の実施形態の構成により、地震が発生したとき前記空気ばね制御系が前記空気ばねへの空気の出し入れを停止し空気ばねの空気を閉じ込める。
その結果、空気ばねのばね特性を安定させ長周期の垂直加速度に対応できる免震装置の地震時の応答性を維持できる。
【0016】
本発明の実施形態に係る基礎に支持され対象物を支持する免震装置の運用方法は、下から上方向に重なる複数の架台であって基礎に支持される下架台と対象物を支持する単数または多段に重なる複数の上架台と、前記下架台と前記上架台とに回動可能に連結されるリンク機構を有し該リンク機構に前記下架台と前記上架台との上下方向の相対距離の変化に対応して水平方向に相対変位する水平可動部を形成される連結部材と、前記上架台に前記相対距離の変化に対応して変化する上方向のばね力である上方向ばね力を作用させ直接にまたは前記連結部材を介して前記上方向ばね力により上架台に支持される対象物に上方向の第一支持力を作用させる上下方向ばね要素と、前記水平可動部に前記水平可動部の水平方向の相対変位に対応して変化する水平方向のばね力である水平方向ばね力を作用させ前記連結部材を介して前記水平方向ばね力により上架台に支持される対象物に上方向の第二支持力を作用させる水平方向ばね要素と、空気の圧縮力により前記上架台または前記連結部材に押し力を作用し直接にまたは前記連結部材を介して前記押し力により上架台に支持される対象物に上方向の第三支持力を作用させる空気ばねと、前記空気ばねの内部の空気を出し入れできる空気ばね制御系と、を有する免震装置を準備する準備工程と、前記空気ばね制御系が前記空気ばねの空気を出し入れして前記相対距離を所定の距離である所定距離に維持しようとする空気ばねレベル制御工程と、を備える。
上記の実施形態の構成により、基礎に支持される下架台と対象物を支持する単数または多段に重なる複数の上架台とが、下から上方向に重なる。連結部材が、前記下架台と前記上架台とに回動可能に連結されるリンク機構を有し該リンク機構に前記下架台と前記上架台との上下方向の相対距離の変化に対応して水平方向に相対変位する水平可動部を形成される。上下方向ばね要素が、前記上架台に前記相対距離の変化に対応して変化する上方向のばね力である上方向ばね力を作用させ直接にまたは前記連結部材を介して前記上方向ばね力により上架台に支持される対象物に上方向の第一支持力を作用させる。水平方向ばね要素が、前記水平可動部に前記水平可動部の水平方向の相対変位に対応して変化する水平方向のばね力である水平方向ばね力を作用させ前記連結部材を介して前記水平方向ばね力により上架台に支持される対象物に上方向の第二支持力を作用させる。空気ばねが、空気の圧縮力により前記上架台または前記連結部材に押し力を作用し直接にまたは前記連結部材を介して前記押し力により上架台に支持される対象物に上方向の第三支持力を作用させる。空気ばね制御系が、前記空気ばねの内部の空気を出し入れできる。第一支持力と第二支持力と第三支持力の合力が対象物を支える。空気ばねレベル制御工程が、前記空気ばね制御系が前記空気ばねへの空気を出し入れして前記相対距離を所定の距離である所定距離に維持しようとする工程である。
その結果、垂直加速度を免震できる免震装置の安定性を維持できる。
【0017】
以下に、本発明の実施形態に係る免震装置の運用方法を説明する。本発明は、以下に記載した実施形態のいずれか、またはそれらの中の二つ以上が組み合わされた態様を含む。
【0018】
本発明の実施形態に係る免震装置の運用方法は、前記空気ばねが前記上架台に上方向に作用する押し力を作用し直接にまたは前記連結部材を介して前記押し力により上架台に上方向の前記第三支持力を作用させる、
上記の実施形態の構成により、前記空気ばねが前記上架台に上方向に作用する押し力を作用し直接にまたは前記連結部材を介して前記押し力により上架台に上方向の前記第三支持力を作用させる。
その結果、垂直加速度を免震できる免震装置の安定性を向上させることができる。
【0019】
本発明の実施形態に係る免震装置の運用方法は、所定の時間間隔で前記空気ばねレベル制御工程と前記空気ばねレベル制御停止工程とを順に繰り返し実行する。
上記の実施形態の構成により、所定の時間間隔で前記空気ばねレベル制御工程と前記空気ばねレベル制御停止工程とを順に繰り返し実行する。
その結果、垂直加速度を免震できる免震装置の安定性を維持できる。
【0020】
本発明の実施形態に係る免震装置の運用方法は、前記空気ばね制御系の制御時定数が免震したい揺れの上下方向の加速度による上架台の上下方向の動きを邪魔しない値である。
上記の実施形態の構成により、前記空気ばね制御系の制御時定数が免震したい揺れの上下方向の加速度による上架台の上下方向の動きを邪魔しない値である。
その結果、前記空気ばね制御系が空気ばねの空気を出し入れしても免震装置の応答性を確保できる。
【0021】
本発明の実施形態に係る免震装置の運用方法は、前記空気ばね制御系の制御時定数が免震したい揺れの上下方向の加速度の最大周期の3倍を越える値であり、ここで、前記空気ばね制御系の制御時定数は前記空気ばねが最も縮んで前記相対距離が最小である状態から空気ばねに空気を入れ始めて前記離間距離が(前記所定距離-最小相対距離)の63%に達するまでの時間であり、ここで、最小相対距離は相対距離の最小値である。
上記の実施形態の構成により、前記空気ばね制御系の制御時定数が免震したい揺れの上下方向の加速度の最大周期の3倍を越える値である。ここで、前記空気ばね制御系の制御時定数は前記空気ばねが最も縮んで前記相対距離が最小である状態から空気ばねに空気を入れ始めて前記離間距離が(前記所定距離-最小相対距離)の63%に達するまでの時間である。ここで、最小相対距離は相対距離の最小値である。
その結果、前記空気ばね制御系が空気ばねの空気を出し入れしても免震装置の応答性を確保できる。
【0022】
本発明の実施形態に係る免震装置の運用方法は、地震が発生したとき前記空気ばねレベル制御工程を実行し、前記空気ばね制御系の制御時定数が3秒を超える値である。
上記の実施形態の構成により、地震が発生したとき前記空気ばねレベル制御工程を実行する。前記空気ばね制御系の制御時定数が3秒を超える値である。
その結果、略3秒×1/3=1秒を超える周期の加速度を持つ地震発生したときに前記空気ばね制御系が空気ばねの空気を出し入れしても免震装置の応答性を確保できる。
【0023】
本発明の実施形態に係る免震装置の運用方法は対象物を上架台に乗せて空気ばねの空気を開放した状態で上架台が下がり前記相対距離が最小になることを確認する免震装置据付工程と、を備え、前記免震装置据付け工程を実行した後で前記空気ばねレベル制御工程を実行する。
上記の実施形態の構成により、免震装置据付工程が対象物を上架台に乗せて空気ばねの空気を開放した状態で上架台が下がり前記相対距離が最小になることを確認する工程である。前記免震装置据付け工程を実行した後で前記空気ばねレベル制御工程を実行する、
その結果、空気ばねに空気を入れることで上架台が上がり前記相対距離を所定距離に維持しようとする。
【0024】
本発明の実施形態に係る免震装置の運用方法は前記免震装置据付工程が、対象物を上架台に乗せて空気ばねの空気を開放した状態で前記相対距離が可動範囲の最大であり上架台が下がらないことを確認する第一確認工程と、象物を上架台に乗せて空気ばねの空気を開放した状態で上架台にバランスウエイトを付加して上架台が下がり前記相対距離が最小になることを確認する第二確認工程と、を有する。
上記の実施形態の構成により、前記免震装置据付工程が、第一確認工程と第二確認工程とを有する。第一確認工程が、対象物を上架台に乗せて空気ばねの空気を開放した状態で前記相対距離が可動範囲の最大であり上架台が下がらないことを確認する工程である。第二確認工程が、象物を上架台に乗せて空気ばねの空気を開放した状態で上架台にバランスウエイトを付加して上架台が下がり前記相対距離が最小になることを確認する工程である。前記第一確認工程の後で前記第二確認工程を実行する。
その結果、バランスウエイトと空気ばねとのバランスにより前記相対距離を所定距離に維持しようとする。
【0025】
本発明の実施形態に係る免震装置の運用方法は、前記空気ばね制御系が前記空気ばねへの空気の出し入れを停止し空気ばねの空気を閉じ込める空気ばねレベル制御停止工程と、
を備え、地震が発生したとき前記空気ばねレベル制御停止工程を実行する。
上記の実施形態の構成により、空気ばねレベル制御停止工程が、前記空気ばね制御系が前記空気ばねへの空気の出し入れを停止し空気ばねの空気を閉じ込める工程である。地震が発生したとき前記空気ばねレベル制御停止工程を実行する。
その結果、空気ばねのばね特性を保持し垂直加速度を免震できる免震装置の地震時の応答性を維持できる。
【0026】
本発明の実施形態に係る免震装置の運用方法は、下から上方向に重なる複数の架台であって基礎に支持される下架台と対象物を支持する単数または多段に重なる複数の上架台と、前記下架台と前記上架台とに回動可能に連結されるリンク機構を有し該リンク機構に前記下架台と前記上架台との上下方向の相対距離の変化に対応して水平方向に相対変位する水平可動部を形成される連結部材と、前記上架台に前記相対距離の変化に対応して変化する上方向のばね力である上方向ばね力を作用させ直接にまたは前記連結部材を介して前記上方向ばね力により上架台に支持される対象物に上方向の第一支持力を作用させる上下方向ばね要素と、前記水平可動部に前記水平可動部の水平方向の相対変位に対応して変化する水平方向のばね力である水平方向ばね力を作用させ前記連結部材を介して前記水平方向ばね力により上架台に支持される対象物に上方向の第二支持力を作用させる水平方向ばね要素と、を有する免震装置を準備する準備工程と、前記相対距離が所定の距離である所定距離に維持されることを確認する免震装置据え付工程と、を備え、前記免震装置据え付工程が、対象物を上架台に乗せた状態で前記相対距離が可動範囲の最大であり上架台が下がらないことを確認する第一確認工程と、対象物を上架台に乗せた状態で上架台にバランスウエイトを付加して上架台が下がり前記相対距離が前記所定距離になることを確認する第二確認工程と、を有し、前記所定距離が前記相対距離の可動範囲の最大と最小の間の距離である。
上記の実施形態の構成により、基礎に支持される下架台と対象物を支持する単数または多段に重なる複数の上架台とが、下から上方向に重なる複数の架台である。連結部材は、前記下架台と前記上架台とに回動可能に連結されるリンク機構を有し該リンク機構に前記下架台と前記上架台との上下方向の相対距離の変化に対応して水平方向に相対変位する水平可動部を形成される。上下方向ばね要素は、前記上架台に前記相対距離の変化に対応して変化する上方向のばね力である上方向ばね力を作用させ直接にまたは前記連結部材を介して前記上方向ばね力により上架台に支持される対象物に上方向の第一支持力を作用させる。水平方向ばね要素は、前記水平可動部に前記水平可動部の水平方向の相対変位に対応して変化する水平方向のばね力である水平方向ばね力を作用させ前記連結部材を介して前記水平方向ばね力により上架台に支持される対象物に上方向の第二支持力を作用させる。
免震装置据え付工程は、前記相対距離が所定の距離である所定距離に維持されることを確認する工程である。前記免震装置据え付工程が第一確認工程と、第二確認工程とを有する。第一確認工程は、対象物を上架台に乗せた状態で前記相対距離が可動範囲の最大であり上架台が下がらないことを確認する工程である。第二確認工程は、対象物を上架台に乗せた状態で上架台にバランスウエイトを付加して上架台が下がり前記相対距離が前記所定距離になることを確認する工程である。前記所定距離が前記相対距離の可動範囲の最大と最小の間の距離である。
その結果、上下方向ばね要素と水平方向ばね要素とバランスウエイトとのバランスにより、前記相対距離を所定距離に維持しようとする。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、本発明に係る免震装置は、その構成により、以下の効果を有する。
下架台と上架台とに回動可能に連結されるリンク機構に下架台と上架台の上下方向の相対距離の変化に対応して水平方向に相対変位する水平可動部を形成される連結部材と、上架台に相対距離に対応して変化する上方向ばね力を作用する上下方向ばね要素と水平可動部に相対変位に対応して変化する水平方向ばね力を作用させる水平方向ばね要素と上架台または連結部材に押し力を作用し上架台に支持される対象物に上方向の第二支持力を作用させる空気ばねとで構成される免震装置において、空気ばね制御系が前記空気ばねへの空気の出し入れをして前記相対距離を所定の距離である所定距離に維持しようとすることができる様にしたので、垂直加速度を免震できる免震装置の安定性を維持できる。
また、前記空気ばねが前記上架台に上方向に作用する押し力を作用し直接にまたは前記連結部材を介して前記押し力により上架台に上方向の第三支持力を作用させる様にしたので、垂直加速度を免震できる免震装置の安定性を向上させることができる。
また、所定のタイミングで前記空気ばね制御系が前記空気ばねへの空気の出し入れをして前記相対距離を所定の距離である所定距離に維持しようとする手順と前記空気ばね制御系が前記空気ばねへの空気の出し入れを停止して空気ばねの空気を閉じ込める手順とを繰り返す様にしたので、垂直加速度を免震できる免震装置の安定性を維持できる。
また、前記空気ばね制御系の制御時定数が免震したい揺れの上下方向の加速度による上架台の上下方向の動きを邪魔しない値である様にしたので、前記空気ばね制御系が空気ばねの空気を出し入れしても免震装置の応答性を確保できる。
また、前記空気ばね制御系の制御時定数が免震したい揺れの上下方向の加速度の最大周期の3倍を越える様にしたので、前記空気ばね制御系が空気ばねの空気を出し入れしても免震装置の応答性を確保できる。
また、前記空気ばね制御系の制御時定数が3秒を超える様にしたので、略3秒×1/3=1秒を超える周期の加速度を持つ地震発生したときに前記空気ばね制御系が空気ばねの空気を出し入れしても免震装置の応答性を確保できる。
また、対象物を上架台に乗せて前記空気ばねの空気を開放した状態で上架台が下がり前記相対距離が最小になる様にしたので、空気ばねに空気を入れることで上架台が上がり前記相対距離を所定距離に維持できる。
また、地震が発生したとき前記空気ばね制御系が前記空気ばねへの空気の出し入れを停止し空気ばねの空気を閉じ込める様にしたので、空気ばねのばね特性を安定させ垂直加速度を免震できる免震装置の地震時の応答性を維持できる。
【0028】
以上説明したように、本発明に係る免震装置の運用方法は、その構成により、以下の効果を有する。
下架台と上架台との回動可能に連結されるリンク機構に下架台と上架台の上下方向の相対距離の変化に対応して水平方向に相対変位する水平可動部を形成される連結部材と、上架台に相対距離に対応して変化する上方向ばね力を作用する上下方向ばね要素と水平可動部に相対変位に対応して変化する水平方向ばね力を作用させる水平方向ばね要素と上架台または連結部材に押し力を作用し上架台に支持される対象物に上方向の第三支持力を作用させる空気ばねとで構成される免震装置を準備し、空気ばね制御系が前記空気ばねへの空気の出し入れをして前記相対距離を所定の距離である所定距離に維持しようとする様にしたので、垂直加速度を免震できる免震装置の安定性を維持できる。
また、前記空気ばねが前記上架台に上方向に作用する押し力を作用し直接に前記押し力により上架台に上方向の第三支持力を作用させる様にしたので、垂直加速度を免震できる免震装置の安定性を向上させることができる。
また、所定のタイミングで前記空気ばね制御系が前記空気ばねへの空気の出し入れをして前記相対距離を所定の距離である所定距離に維持しようとする手順と前記空気ばね制御系が前記空気ばねへの空気の出し入れを停止して空気ばねの空気を閉じ込める手順とを繰り返す様にしたので、垂直加速度を免震できる免震装置の安定性を維持できる。
また、前記空気ばね制御系の制御時定数が免震したい揺れの上下方向の加速度による上架台の上下方向の動きを邪魔しない値である様にしたので、前記空気ばね制御系が空気ばねの空気を出し入れしても免震装置の応答性を確保できる。
また、前記空気ばね制御系の制御時定数が免震したい揺れの上下方向の加速度の最大周期の3倍を越える様にしたので、前記空気ばね制御系が空気ばねの空気を出し入れしても免震装置の応答性を確保できる。
また、前記空気ばね制御系の制御時定数が3秒を超える様にしたので、略3秒×1/3=1秒を超える周期の加速度を持つ地震発生したときに前記空気ばね制御系が空気ばねの空気を出し入れしても免震装置の応答性を確保できる。
また、対象物を上架台に乗せて前記空気ばねの空気を開放した状態で上架台が下がり前記相対距離が最小になる様にしたので、空気ばねに空気を入れることで上架台が上がり前記相対距離を所定距離に維持しようとする。
また、対象物を上架台に乗せて空気ばねの空気を開放した状態で上架台が下がらないことを確認した後で、対象物を上架台に乗せて空気ばねの空気を開放した状態で上架台にバランスウエイトを付加して上架台が下がり前記相対距離が最小になることを確認する様にしたので、バランスウエイトと空気ばねとのバランスにより前記相対距離を所定距離に維持しようとする。
また、地震が発生したとき前記空気ばね制御系が前記空気ばねへの空気の出し入れを停止し空気ばねの空気を閉じ込める様にしたので、空気ばねのばね特性を安定させ垂直加速度を免震できる免震装置の地震時の応答性を維持できる。
また、対象物を上架台に乗せた状態で上架台が下がらないことを確認した後で、上架台にバランスウエイトを付加して上架台が下がり前記相対距離が所定距離になることを確認する様にしたので、上下方向ばね要素と水平方向ばね要素とバランスウエイトとのバランスにより、前記相対距離を所定距離に維持しようとする。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の第一の実施形態に係る免震装置の概念図である。
【
図2】本発明の第二の実施形態に係る免震装置の構造図である。
【
図3】本発明の第三の実施形態に係る免震装置の構造図である。
【
図4】本発明の第一の実施形態に係る免震装置の運用方法の手順図である。
【
図5】本発明の第一の実施形態に係る免震装置の運用方法を作用説明図である。
【
図6】本発明の第二の実施形態に係る免震装置の運用方法の手順図である。
【
図7】本発明の第二の実施形態に係る免震装置の運用方法を作用説明図である。
【
図8】本発明の第三の実施形態に係る免震装置の運用方法の手順図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る免震装置の性能特性図である。
【
図10】本発明の第四の実施形態に係る免震装置の運用方法の手順図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を実施するための形態を、図を基に。説明する。
本発明の実施形態にかかる免震装置は、基礎に支持され対象物50を支持する装置である。
【0031】
本発明の実施形態にかかる免震装置は、下架台100と単数または多段に重なる上架台と連結部材200と上下方向ばね要素400と水平方向ばね要素500と空気ばね600と空気ばね制御系700とで構成される。
本発明の実施形態にかかる免震装置は、下架台100と単数の上架台と連結部材200と上下方向ばね要素400と水平方向ばね要素500と空気ばね600と空気ばね制御系700とで構成されてもよい。
本発明の実施形態にかかる免震装置は、下架台100と多段に重なる上架台と連結部材200と上下方向ばね要素400と水平方向ばね要素500と空気ばね600と空気ばね制御系700とで構成されてもよい。
例えば、本発明の実施形態にかかる免震装置は、下架台100と第一上架台101と連結部材200と上下方向ばね要素400と水平方向ばね要素500と空気ばね600と空気ばね制御系700とで構成される。
例えば、本発明の実施形態にかかる免震装置は、下架台100と第一上架台101と第二上架台102と連結部材200と上下方向ばね要素400と水平方向ばね要素500と空気ばね600と空気ばね制御系700とで構成される。
例えば、本発明の実施形態にかかる免震装置は、下架台100と第一上架台101と第二上架台102と第三上架台と連結部材200と上下方向ばね要素400と水平方向ばね要素500と空気ばね600と空気ばね制御系700とで構成される。
例えば、本発明の実施形態にかかる免震装置は、下架台100と第一上架台101と第二上架台102と第三上架台と・・・・第(N-1)上架台と第N上架台と連結部材200と上下方向ばね要素400と水平方向ばね要素500と空気ばね600と空気ばね制御系700とで構成される。
【0032】
本発明の実施形態にかかる免震装置は、下架台100と単数または多段に重なる上架台と連結部材200とバランスウエイト300と上下方向ばね要素400と水平方向ばね要素500と空気ばね600と空気ばね制御系700とで構成される。
本発明の実施形態にかかる免震装置は、下架台100と単数の上架台と連結部材200とバランスウエイト300と上下方向ばね要素400と水平方向ばね要素500と空気ばね600と空気ばね制御系700とで構成されてもよい。
本発明の実施形態にかかる免震装置は、下架台100と多段に重なる上架台と連結部材200とバランスウエイト300と上下方向ばね要素400と水平方向ばね要素500と空気ばね600と空気ばね制御系700とで構成されてもよい。
例えば、本発明の実施形態にかかる免震装置は、下架台100と第一上架台101と第二上架台102と連結部材200とバランスウエイト300と上下方向ばね要素400と水平方向ばね要素500と空気ばね600と空気ばね制御系700とで構成される。
例えば、本発明の実施形態にかかる免震装置は、下架台100と第一上架台101と第二上架台102と第三上架台と連結部材200とバランスウエイト300と上下方向ばね要素400と水平方向ばね要素500と空気ばね600と空気ばね制御系700とで構成される。
例えば、本発明の実施形態にかかる免震装置は、下架台100と第一上架台101と第二上架台102と第三上架台と・・・・第(N-1)上架台と第N上架台と連結部材200とバランスウエイト300と上下方向ばね要素400と水平方向ばね要素500と空気ばね600と空気ばね制御系700とで構成される。
【0033】
下架台100とN(N=1、・・・)個の上架台とが、下から上方向に順に重なる。
例えば、下架台100と第一上架台101とが、下から上方向に順に重なる。
例えば、下架台100と第一上架台101と第二上架台102とが、下から上方向に順に重なる。
例えば、下架台100と第一上架台101と第二上架台102と第三上架台とが、下から上方向に順に重なる。
例えば、下架台100と第一上架台101と第二上架台102と第三上架台と第四上架台とが、下から上方向に順に重なる。
例えば、下架台100と第一上架台101と第二上架台102と第三上架台と第四上架台と・・・・・第(N-1)上架台と第N上架台とが、下から上方向に順に重なる。
【0034】
連結部材200は、下架台100と単数または多段に重なる複数の上架台とに回動可能に連結されるリンク機構を有し、リンク機構に下架台100と上架台との上下方向の相対距離の変化に対応して水平方向に相対変位する水平可動部Pを形成される部材である。
連結部材200は、下架台100と単数の上架台とに回動可能に連結されるリンク機構を有し、リンク機構に下架台100と上架台との上下方向の相対距離の変化に対応して水平方向に相対変位する水平可動部Pを形成される部材であってもよい。
連結部材200は、下架台100と多段に重なる複数の上架台とに回動可能に連結されるリンク機構を有し、リンク機構に下架台100と上架台との上下方向の相対距離の変化に対応して水平方向に相対変位する水平可動部Pを形成される部材であってもよい。
【0035】
連結部材200は、N個の相対距離である第一相対距離の変化と・・・第N(N=2、・・・)相対距離の変化とを、1つの相対距離が大きくなるとき他の相対距離も大きくなり且つ1つの相対距離が小さくなるとき他の相対距離も小さくなる様に、連動させる。
例えば、連結部材200は、第一相対距離の変化と第二相対距離の変化とを、1つの相対距離が大きくなるとき他の相対距離も大きくなり且つ1つの相対距離が小さくなるとき他の相対距離も小さくなる様に、連動させる。
例えば、連結部材200は、第一相対距離の変化と第二相対距離の変化と第三相対距離の変化とを、1つの相対距離が大きくなるとき他の相対距離も大きくなり且つ1つの相対距離が小さくなるとき他の相対距離も小さくなる様に、連動させる。
例えば、連結部材200は、第一相対距離の変化と第二相対距離の変化と・・・・第N相対距離の変化とを、1つの相対距離が大きくなるとき他の相対距離も大きくなり且つ1つの相対距離が小さくなるとき他の相対距離も小さくなる様に、連動させる部材である。
ここで、第一相対距離は、下架台100と第一上架台101との上下方向の相対距離である。第二相対距離は、第一上架台101と第二上架台102との上下方向の相対距離である。第三相対距離は、第二上架台102と第三上架台との上下方向の相対距離である。・・・第N相対距離は、第(N-1)上架台と第N上架台との上下方向の相対距離である。
【0036】
連結部材200は、上架台に上部を回動可能に連結されるリンクに水平可動部Pを形成されてもよい。
連結部材200は、第一上架台101に上部を回動可能に連結されるリンクに水平可動部Pを形成され、第二上架台102に上部を回動可能に連結されるリンクに水平可動部Pを形成される・・・・、または第N上架台10Nに上部を回動可能に連結されるリンクに水平可動部Pを形成されてもよい。
連結部材200は、第一上架台101に上部を回動可能に連結されるリンクの下部に水平可動部Pを形成され、第二上架台102に上部を回動可能に連結されるリンクの下部に水平可動部Pを形成される・・・・、または第N上架台10Nに上部を回動可能に連結されるリンクの下部に水平可動部Pを形成されてもよい。
例えば、連結部材200は、第一上架台101に上部を回動可能に連結され下部に水平可動部Pを形成される下向リンクである第一下向主リンク201dと第二上架台102に上部を回動可能に連結され下部に水平可動部Pを形成される下向リンクである第二下向主リンク202dとで構成される。
例えば、連結部材200は、第一上架台101に上部を回動可能に連結され下部に水平可動部Pを形成される下向リンクである第一下向主リンク201dと第二上架台102に上部を回動可能に連結され下部に水平可動部Pを形成される下向リンクである第二下向主リンク202dと・・・第N上架台に上部を回動可能に連結され下部に水平可動部Pを形成される第N下向主リンクとで構成される。
【0037】
リンクは、回転軸を平行にして回動できる少なくとも2つの連結部をもつ部材である。
2つの連結部を繋ぐ仮想の線を仮想軸と呼称するときに、下向リンクは仮想軸を斜めに傾け、上部を架台に回動可能に連結されるリンクであり、上向リンクは仮想軸を斜めに傾け、下部を架台に回動可能に連結されるリンクである。
下向リンクは、上部を架台に回動可能に連結される。
上向リンクは、下部を架台に回動可能に連結される。
【0038】
連結部材200は、N(N=1、・・・)個の上向リンクとN(N=1、・・・・)個の下向リンクとで構成される。
N個の上向リンクは、上向主リンク200uと第一上向主リンク201uと・・・(N-1)個の上向主リンクとで構成される。
N個の下向リンクは、第一下向主リンク201dと第二下向主リンク202d・・と第N下向主リンクである。
例えば、連結部材200が上向主リンク200uと第一下向主リンク201dと第一上向主リンク201uと第二下向主リンク202dとで構成される。
例えば、連結部材200が上向主リンク200uと第一下向主リンク201dと第一上向主リンク201uと第二下向主リンク202dと第二上向主リンクと第三下向主リンクとで構成される。
例えば、連結部材200が上向主リンク200uと第一下向主リンク201dと第一上向主リンク201uと第二下向主リンク202dと第二上向主リンクと・・・第(N-1)下向主リンクと第(N-1)上向き主リンクと第N下向主リンクとで構成される。
【0039】
連結部材200は、免震装置が単数の上架台をもつとき、以下の構成をもつ。
上向主リンク200uが下部を下架台100に回動可能に連結され第一下向主リンク201dに回動可能に連結されるリンクであって、第一下向主リンク201dが上部を第一上架台101に回動可能に連結され上部より下方に位置する部位を上向主リンク200uに回動可能に連結され下部に水平可動部Pを形成されるリンクである。
【0040】
連結部材200は、免震装置が多段に重なる複数の上架台をもつとき以下の構成をもつ。
上向主リンク200uが、下部を下架台100に回動可能に連結され中間部を第一下向主リンク201dに回動可能に連結され上部を第二下向主リンク202dの下部に回動可能に連結されるリンクであってもよい。
第一下向主リンク201dが、上部を第一上架台101に回動可能に連結され上部より下方に位置する部位を上向主リンク200uの中間部に回動可能に連結されるリンクである。
第一上向主リンク201uが、下部を第一上架台101に回動可能に連結され下部より上方に位置する部位である中間部を第二下向主リンク202dの中間部に回動可能に連結される上部を直上に位置する下向リンクである第三下向主リンクの下部に回動可能に連結されるリンクである。
第二下向主リンク202dが、上部を第一上架台の直上の上架台である第二上架台102に回動可能に連結され中間部を第一上向主リンク201uに回動可能に連結され下部を上向主リンク200uの上部に回動可能に連結されるリンクである。
第(N-2)上向主リンクが、下部を第(N-1)上架台の直下の上架台である第(N-2)上架台に回動可能に連結され、中間部を第(N-1)下向主リンクの中間部に回動可能に連結され、上部を第N下向主リンクの下部に回動可能に連結されるリンクである。
第(N-1)下向主リンクが、上部を第(N-1)上架台に回動可能に連結され、中間部を第(N-2)上向主リンクの中間部に回動可能に連結され、下部を直下に位置する上向リンクである第(N-3)上向リンクの上部に回動可能に連結されるリンクである。
第(N-1)上向主リンクが、下部を第(N-1)上架台に回動可能に連結され下部より上方に位置する部位を第N下向主リンクの中間部に回動可能に連結されるリンクである。
第N下向主リンクが上部を第N上架台に回動可能に連結され中間部を第(N-1)上向主リンクに回動可能に連結され下部を第(N-2)上向主リンクの上部に回動可能に連結されるリンクである。
【0041】
上下方向ばね要素400は、上架台に相対距離の変化に対応して変化する上方向のばね力である上方向ばね力O1を作用させ、直接にまたは連結部材200を介して上方向ばね力により上架台に支持される対象物50に上方向の第一支持力F1を作用させる。
上下方向ばね要素400は、上架台に下架台100を支えとして相対距離の変化に対応して変化する上方向のばね力である上方向ばね力O1を作用させ、直接にまたは連結部材200を介して上方向ばね力O1により上架台に支持される対象物50に上方向の第一支持力F1を作用させてもよい。
【0042】
上下方向ばね要素400は、免震装置が単数の上架台をもつとき、以下の構成をもつ。
上下方向ばね要素400は、上架台に相対距離の変化に対応して変化する上方向のばね力である上方向ばね力O1を作用させ、直接に上方向ばね力O1により上架台に支持される対象物50に上方向の第一支持力F1を作用させる。
例えば、上下方向ばね要素400は、上架台に下架台100を支えとして相対距離の変化に対応して変化する上方向のばね力である上方向ばね力O1を作用させ、直接に上方向ばね力O1により上架台に支持される対象物50に上方向の第一支持力F1を作用させてもよい。
【0043】
上下方向ばね要素400は、免震装置が多段に重なる複数の上架台をもつとき、以下の構成をもつ。
上下方向ばね要素400は、第一上架台101、第二上架台102・・または第N上架台に、下方に位置する架台を支えとして、第一相対距離、第二相対距離・・または第N相対距離のうちの少なくとも一方の相対距離の変化に対応して変化する上方向ばね力O1を作用させ、直接または連結部材200を介して上方向ばね力により第N上架台に支持される対象物50に上方向の第一支持力F1を作用させる機械要素であってもよい。
例えば、上下方向ばね要素400は、第一上架台101または第二上架台102に、下方に位置する架台を支えとして、第一相対距離または第二相対距離のうちの少なくとも一方の相対距離の変化に対応して変化する上方向のばね力である上方向ばね力O1を作用させ、上方向ばね力により第二上架台に支持される対象物50に上方向の第一支持力F1を作用させる機械要素である。
例えば、上下方向ばね要素400は、第一上架台101に、下方に位置する架台を支えとして、第一相対距離の変化に対応して変化する上方向のばね力である上方向ばね力O1を作用させ、上方向ばね力により最上段の上架台に支持される対象物50に上方向の第一支持力F1を作用させる機械要素である。
例えば、上下方向ばね要素400は、第二上架台102に、下方に位置する架台を支えとして、第二相対距離の変化に対応して変化する上方向のばね力である上方向ばね力O1を作用させ、上方向ばね力により最上段の上架台に支持される対象物50に上方向の第一支持力F1を作用させる機械要素である。
例えば、上下方向ばね要素400は、第三上架台に、下方に位置する架台を支えとして、第三相対距離の変化に対応して変化する上方向のばね力である上方向ばね力O1を作用させ、上方向ばね力により最上段の上架台に支持される対象物50に上方向の第一支持力F1を作用させる機械要素である。
例えば、上下方向ばね要素400は、第N上架台に、下方に位置する架台を支えとして、第N相対距離の変化に対応して変化する上方向のばね力である上方向ばね力O1を作用させ、上方向ばね力により最上段の上架台に支持される対象物50に上方向の第一支持力F1を作用させる機械要素である。
【0044】
上下方向ばね要素400は、第一上架台101、第二上架台102・・または第N上架台に、直下に位置する架台を支えとして、第一相対距離、第二相対距離・・または第N相対距離のうちの少なくとも一方の相対距離の変化に対応して変化する上方向ばね力O1を作用させ、連結部材200を介して上方向ばね力O1により第N上架台に支持される対象物50に第一支持力を作用させる機械要素であってもよい。
例えば、上下方向ばね要素400は、第一上架台101または第二上架台102に、直下に位置する架台を支えとして、第一相対距離または第二相対距離のうちの少なくとも一方の相対距離の変化に対応して変化する上方向のばね力である上方向ばね力O1を作用させ、連結部材200を介して上方向ばね力O1により第二上架台に支持される対象物50に第一支持力F1を作用させる機械要素である。
例えば、上下方向ばね要素400は、第一上架台101に、直下に位置する架台である下架台100を支えとして、第一相対距離の変化に対応して変化する上方向のばね力である上方向ばね力O1を作用させ、連結部材200を介して上方向ばね力O1により最上段の上架台に支持される対象物50に第一支持力F1を作用させる機械要素である。
例えば、上下方向ばね要素400は、第二上架台102に、直下に位置する架台である第一上架台101を支えとして、第二相対距離の変化に対応して変化する上方向のばね力である上方向ばね力O1を作用させ、連結部材200を介して上方向ばね力O1により最上段の上架台に支持される対象物50に第一支持力F1を作用させる機械要素である。
例えば、上下方向ばね要素400は、第三上架台に、直下に位置する架台である第二上架台102を支えとして、第三相対距離の変化に対応して変化する上方向のばね力である上方向ばね力O1を作用させ、連結部材200を介して上方向ばね力O1により最上段の上架台に支持される対象物50に第一支持力F1を作用させる機械要素である。
例えば、上下方向ばね要素400は、第N上架台10Nに、直下に位置する架台である第(N-1)上架台を支えとして、第N相対距離の変化に対応して変化する上方向のばね力である上方向ばね力O1を作用させ、連結部材200を介して上方向ばね力O1により最上段の上架台に支持される対象物50に第一支持力F1を作用させる機械要素である。
【0045】
上下方向ばね要素400は、上下方向ばね要素が下架台100と第一上架台との間、第一上架台と第二上架台との間・・・または第(N-1)上架台と第N上架台との間に設けられてもよい。
例えば、上下方向ばね要素400が下架台100と第一上架台101との間に設けられる。上下方向ばね要素400が下架台100を支えとして第一上架台101に上方向ばね力O1を作用させる。
例えば、上下方向ばね要素400が第一上架台101と第二上架台102との間に設けられる。上下方向ばね要素400が第一上架台101を支えとして第二上架台102に上方向ばね力O1を作用させる。
例えば、上下方向ばね要素400が第二上架台102と第三上架台との間に設けられる。上下方向ばね要素400が第二上架台102を支えとして第三上架台に上方向ばね力O1を作用させる。
例えば、上下方向ばね要素400が第(N-1)上架台と第N上架台との間に設けられる。上下方向ばね要素400が第(N-1)上架台を支えとして第N上架台に上方向ばね力O1を作用させる。
【0046】
上下方向ばね要素400は、つる巻きばねであってもよい。
上下方向ばね要素400は、圧縮つる巻きばねであってもよい。
上下方向ばね要素400は、引っ張りつる巻きばねであってもよい。
上下方向ばね要素400は、空気ばねであってもよい。
【0047】
水平方向ばね要素500は、水平可動部Pに水平可動部Pの水平方向の相対変位に対応して変化する水平方向のばね力である水平方向ばね力O2を作用させて、連結部材200を介して最上段の上架台に支持する対象物50に上方向の第二支持力F2を作用させる機械要素であってもよい。
【0048】
空気ばね600は、空気の圧縮力により上架台または連結部材に押し力O3を作用し直接にまたは連結部材を介して押し力O3により上架台に支持される対象物50に上方向の第三支持力を作用させる機械要素であってもよい。
例えば、空気ばね600は、空気の圧縮力により上架台に押し力O3を作用し直接にまたは連結部材200を介して押し力O3により上架台に支持される対象物50に上方向の第三支持力F3を作用させる機械要素である。
例えば、空気ばね600は、空気の圧縮力により連結部材に押し力O3を作用し連結部材を介して押し力O3により上架台に支持される対象物50に上方向の第三支持力F3を作用させる機械要素である。
空気ばねは、しゃばら式空気ばねであってもよい。
空気ばねは、ピストン式空気ばねであってもよい。
【0049】
免震装置が単数の上架台をもつとき、空気ばね600は以下の構成をもつ。
空気ばね600は、空気の圧縮力により上架台に押し力O3を作用し直接に押し力O3により上架台に支持される対象物50に上方向の第三支持力F3を作用させる機械要素であってもよい。
空気ばね600は、空気の圧縮力により連結部材200に押し力O3を作用し連結部材200を介して押し力O3により上架台に支持される対象物50に上方向の第三支持力F3を作用させる機械要素であってもよい。
【0050】
免震装置が多段に重なる複数の上架台をもつとき、空気ばね600は以下の構成をもつ。
空気ばね600は、空気の圧縮力により複数の上架台のうちのいくつかの上架台に押し力O3を作用し直接または連結部材200を介して押し力O3により上架台に支持される対象物50に上方向の第三支持力F3を作用させる機械要素であってもよい。
空気ばね600は、空気の圧縮力により連結部材200に形成されるいくつかの水平可動部Pに押し力O3を作用し連結部材200を介して押し力O3により上架台に支持される対象物50に上方向の第三支持力F3を作用させる機械要素であってもよい。
【0051】
上下方向ばね要素400が上方向ばね力O1により最上段の上架台に支持される対象物50に上方向の第一支持力F1を作用させ、水平方向ばね要素500が連結部材を介して最上段の上架台に支持される対象物50に上方向の第二支持力F2を作用させ、空気ばね600が直接または連結部材200を介して最上段の上架台に支持される対象物50に第三支持力F3を作用させる結果、F1+F2+F3の合力が最上段の上架台に支持される対象物50に作用する。
例えば、免震装置が単数の上架台をもつとき、上下方向ばね要素400が上方向ばね力O1により上架台に支持される対象物50に上方向の第一支持力F1を作用させ、水平方向ばね要素500が連結部材200を介して上架台に支持される対象物50に上方向の第二支持力F2を作用させ、空気ばね600が直接または連結部材200を介して上架台に支持される対象物50に第三支持力F3を作用させる結果、F1+F2+F3の合力が上架台に支持される対象物50に作用する。
例えば、免震装置が多段に重なる複数の上架台をもつとき、上下方向ばね要素400が上方向ばね力O1により最上段の上架台である第N上架台に支持される対象物50に上方向の第一支持力F1を作用させ、水平方向ばね要素500が連結部材200を介して最上段の上架台である第N上架台に支持される対象物50に上方向の第二支持力F2を作用させ、空気ばね600が直接または連結部材200を介して最上段の上架台に支持される対象物に第三支持力F3を作用させる結果、F1+F2+F3の合力が第N上架台に支持される対象物50に作用する。
【0052】
空気ばね制御系700は、空気ばね600の内部の空気を出し入れできる装置である。
例えば、空気ばね制御系700は、空気源から空気を取り込む配管系720と配管系720から空気を供給される制御バルブ710と上架台の上下方向の位置に応じて制御バルブ710を作動させる制御バルブ駆動機構730とで構成される。
空気ばね制御系700は、空気ばね600の内部の空気を出し入れして、相対距離を所定距離に維持しようとすることができる。
空気ばね制御系700は、制御バルブ710を介して空気ばね600の内部の空気を出し入れできる。
制御バルブ駆動機構730が、上架台の上下方向の移動に応じて制御バルブ710を駆動する。
例えば、制御バルブ710はポートを切り替え可能なバルブであり、制御バルブ駆動機構730は制御バルブ710のポートを切り替える機構である。
上架台が上方に移動し相対距離が所定距離より大きくなると、空気ばね制御系700が空気ばね600の内部の空気を抜いて、上架台が下がり相対距離を小さくなる。
上架台が下方に移動し相対距離が所定距離より小さくなると、空気ばね制御系700が空気ばね600の内部の空気を入れて、上架台が上がり相対距離を大きくなる。
所定距離は、相対距離の可動範囲のなかの所定の距離である。
例えば、所定距離は相対距離の可動範囲の略中央値である。
【0053】
免震したい揺れがないとき、空気ばね制御系700が空気ばね600の空気を出し入れして相対距離を所定の距離である所定距離に維持しようとする。
例えば、地震が発生しないとき、空気ばね制御系700が空気ばね600の空気を出し入れして相対距離を所定の距離である所定距離に維持しようとする。
【0054】
免震したい揺れがあるとき、空気ばね制御系700が空気ばね600の空気を出し入れして相対距離を所定の距離である所定距離に維持しようとしてもよい。
その結果、免震したい揺れがあるとき、上架台が上下方向に移動し下架台100に入力する加速度を免震しつつ、空気ばね制御系700が空気ばね制御系の制御時定数に応じて相対距離を所定距離に近づけようとする。
例えば、地震が発生したとき、空気ばね制御系700が空気ばね600の空気を出し入れして相対距離を所定の距離である所定距離に維持しようとする。
その結果、地震が発生したとき、上架台が上下方向に移動し下架台100に入力する加速度を免震しつつ、空気ばね制御系700が空気ばね制御系の制御時定数に応じて相対距離を所定距離に近づけようとする。
【0055】
免震したい揺れがあるとき、空気ばね制御系700が空気ばね600への空気の出し入れを停止し空気ばねの空気を閉じ込めてもよい。
その結果、免震したい揺れがあるとき、上架台が上下方向に移動し下架台100に入力する加速度を免震する。
例えば、地震が発生したとき、空気ばね制御系700が空気ばね600への空気の出し入れを停止し空気ばねの空気を閉じ込めてもよい。
その結果、地震が発生したとき、上架台が上下方向に移動し下架台100に入力する加速度を免震する。
【0056】
所定のタイミングで空気ばね制御系700が空気ばねへの空気の出し入れをして相対距離を所定の距離である所定距離に維持しようとする空気ばねレベル制御手順と空気ばね制御系が空気ばねへの空気の出し入れを停止して空気ばねの空気を閉じ込める空気ばねレベル制御停止手順とを繰り返してもよい。
例えば、空気ばねレベル制御手順を一定時間実行したあと空気ばねレベル制御停止手順を一定時間実行する手順を繰り返す。
その結果、空気ばねレベル制御停止手順を実行しているとき対象物の重量が変化して相対距離が所定距離よりずれることがあるが、空気ばねレベル制御手順を実行すると相対距離が所定距離に復帰する。
【0057】
空気ばね制御系700の制御時定数が免震したい揺れによる上下方向の加速度による上架台の上下方向の動きを邪魔しない値である。
空気ばね制御系700の制御時定数が地震の上下方向の加速度による上架台の上下方向の動きを邪魔しない値であってもよい。
例えば、空気ばね制御系700の制御時定数が地震の上下方向の加速度による上架台の上下方向の動きの最大周期より大きい値である。
例えば、空気ばね制御系700の制御時定数が地震による上下方向の加速度による上架台の上下方向の動きの最大周期より十分に大きい値である。
例えば、空気ばね制御系700の制御時定数が地震による上下方向の加速度による上架台の上下方向の動きの最大周期の3倍より大きい値である。
【0058】
空気ばね制御系700の制御時定数が免震したい揺れの上下方向の加速度の最大周期の3倍を越える値であってもよい。
空気ばね制御系700の制御時定数が地震の上下方向の加速度の最大周期の3倍を越える値であってもよい。
ここで、空気ばね制御系700の制御時定数は空気ばねが最も縮んで相対距離が最小である状態から空気ばねに空気を入れ始めて離間距離が(所定距離-最小相対距離)の63%に達するまでの時間である。
ここで、最小相対距離は相対距離の最小値である。
例えば、地震による加速度の最大周期が1秒のとき、空気ばね制御系の制御時定数は3秒である。
【0059】
空気ばね制御系700の制御時定数が3秒を超える値であってもよい。
その結果、地震が発生して上架台が上下方向に移動して地震の加速度を免震されたとき、空気ばね制御系700が空気ばね600の空気を出し入れして相対距離を所定の距離である所定距離に維持しようとする際に、上架台が1秒の周期より小さな周期で上下移動するのをさまたげない。
地震が終了したとき、空気ばね制御系700が空気ばねの空気を出し入れして相対距離を所定の距離である所定距離になるように上架台の位置が変化し、相対距離が所定距離になった位置で上架台が上下移動を停止する。
【0060】
図9は、本発明の実施形態に係る免震装置の性能特性図である。
図9は、横軸に下架台100と最上段の上架台との間の相対距離の縮み量を表し、縦軸に上架台に上方向に作用する支持力を表す。
図9中、実線は上方向ばね要素400の上方向ばね力O1により直接または連結部材200を介して最上段の上架台に支持される対象物50に発生する上方向の第一支持力F1を示し、破線は水平方向ばね要素500の水平方向ばね力O2により連結部材200を介して最上段の上架台に支持される対象物50に発生する上方向の第二支持力F2を示し、2点破線は空気ばねの押し力O3による最上段の上架台に支持される対象物50に発生する上方向の第三支持力F3を示し、太線は、支持力の合成支持力F1+F2+F3を示す。
実線は、第一支持力F1が相対距離が縮むにつれて力が大きくなる様子を示す。このような関係を示すばねを「正ばね」と呼称する。
破線は、第二支持力F2が相対距離が縮むにつれて力が小さくなる様子を示す。このような関係を示すばねを「負ばね」と呼称する。
ここで、2点破線は、地震が発生しておらず相対距離が所定距離になったとき空気ばねの空気を閉じ込めた状態で、相対変位が変化したときの第三支持力F3である。
図9(A)は、空気ばね600が上架台に上方向の押し力を作用するときの免震装置の性能特性図を示す。
図9(B)は、空気ばね600が連結部材200に水平方向の押し力を作用するときの免震装置の性能特性図を示す。
空気ばね制御系700の制御時定数を地震による上下方向の加速度による上架台の上下方向の動きを邪魔しない値に設定すると、地震の加速度の周期の範囲では、地震が発生したとき空気ばね制御系700が空気ばねの空気を出し入れして相対距離を所定距離に維持しようとしても、空気ばね制御系700の制御が遅い。従って、第三支持力F3は2点破線に近似するカーブに沿って移動し、上架台が地震の加速度の周期に対応して上下方向の移動することを妨げない。
【0061】
以下に本発明の複数の実施形態に係る免震装置と免震装置の運用方法を、図を基に、各々に説明する。
以下では、免震したい揺れが地震による揺れであるとして、説明する。
【0062】
最初に、本発明の第一の実施形態に係る免震装置を、図を基に、説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態に係る免震装置の概念図である。
本発明の第一の実施形態に係る免震装置は、下架台100と上架台と連結部材200とバランスウエイト300と上下方向ばね要素400と水平方向ばね要素500と空気ばね600と空気ばね制御系700とで構成される。
【0063】
下架台100は基礎に支持される構造体である。
【0064】
上架台は、対象物50を支持する第一上架台101で構成される。
下架台100と第一上架台101は下から上方向に重なる。
【0065】
連結部材200は、下架台100と単数の上架台とに回動可能に連結されるリンク機構を有し、該リンク機構に下架台100と上架台との上下方向の相対距離の変化に対応して水平方向に相対変位する水平可動部Pを形成される部材である。
【0066】
連結部材200は、1個の上向リンクと1個の下向リンクとで構成される。
上向リンクは、左右1対の上向主リンク200uで構成される。
下向リンクは、左右1対の第一下向主リンク201dで構成される。
上向主リンク200uが、下部を下架台100に回動可能に連結され第一下向主リンク201dに回動可能に連結されるリンクである。
第一下向主リンク201dが、上部を第一上架台101に回動可能に連結され上部より下方に位置する部位を上向主リンク200uに回動可能に連結され下部に水平可動部Pを形成されるリンクである。
【0067】
バランスウエイト300は、第一上架台101に付加される部材である。
対象物50を第一上架台101に乗せてバランスウエイト300を第一上架台101に乗せて空気ばね制御系700が空気ばねの600の空気を開放した状態で第一上架台101が下がり相対距離が最小になる。
【0068】
上下方向ばね要素400は、第一上架台101に相対距離の変化に対応して変化する上方向のばね力である上方向ばね力O1を作用させ直接に上方向ばね力O1により第一上架台101に支持される対象物50に上方向の第一支持力F1を作用させる。
上方向ばね要素400は、左右1対の圧縮つる巻きばねで構成される。
【0069】
水平方向ばね要素500は、水平可動部Pに水平可動部Pの水平方向の相対変位に対応して変化する水平方向のばね力である水平方向ばね力O2を作用させて、連結部材200を介して最上段の上架台に支持する対象物50に上方向の第二支持力F2を作用させる機械要素である。
水平方向ばね要素500は、左右1対の引っ張りつる巻きばねで構成される。
【0070】
空気ばね600は、空気の圧縮力により第一上架台101に押し力O3を作用し直接に押し力O3により第一上架台101に支持される対象物50に上方向の第三支持力F3を作用させる機械要素である。
例えば、空気ばね600は、ジャバラ式空気ばねで構成される。
【0071】
上下方向ばね要素400が上方向ばね力O1により第一上架台101に支持される対象物50に上方向の第一支持力F1を作用させ、水平方向ばね要素500が水平可動部Pに作用する水平方向ばね力O2により連結部材200を介して第一上架台101に支持される対象物50に上方向の第二支持力F2を作用させ、空気ばね600が第一上架台101に作用する押し力O3により直接に第一上架台101に支持される対象物50に第三支持力F3を作用させる結果、F1+F2+F3の合力が上架台に支持される対象物50に作用する。
【0072】
空気ばね制御系700は、空気ばね600の内部の空気を出し入れできる装置である。
例えば、空気ばね制御系700は、空気源から空気を取り込む配管系720と配管系720から空気を供給される制御バルブ710と上架台の上下方向の位置に応じて制御バルブ710を作動させる制御バルブ駆動機構730とで構成される。
空気ばね制御系700は、空気ばねの内部の空気を出し入れして、相対距離を所定距離に維持しようとすることができる。
【0073】
次に、本発明の第二の実施形態に係る免震装置を、図を基に、説明する。
図2は、本発明の第二の実施形態に係る免震装置の概念図である。
本発明の第二の実施形態に係る免震装置は、下架台100と上架台と連結部材200とバランスウエイト300と上下方向ばね要素400と水平方向ばね要素500と空気ばね600と空気ばね制御系700とで構成される。
【0074】
下架台100は基礎に支持される構造体である。
【0075】
上架台は、第一上架台101と第二上架台102とで構成される。
第一上架台101と第二上架台102とは多段に重なる。
下架台100と上架台は下から上方向に重なる。
【0076】
連結部材200は、下架台100と複数の第一上架台101と第二上架台102に回動可能に連結されるリンク機構を有し該リンク機構に下架台100と第一上架台101と第二上架台102の上下方向の相対距離の変化に対応して水平方向に相対変位する水平可動部Pを形成される部材である。
【0077】
連結部材200は、2個の上向リンクと2個の下向リンクとで構成される。
上向リンクは、左右1対の上向主リンク200uと左右1対の第一上向主リンク201uとで構成される。
下向リンクは、左右1対の第一下向主リンク201dと左右1対の第二下向主リンク202dとで構成される。
上向主リンク200uが、下部を下架台100に回動可能に連結され第一下向主リンク201dに回動可能に連結され上部を第二下向主リンク202dの下部に回動可能に連結されるリンクである。
第一下向主リンク201dが、上部を第一上架台101に回動可能に連結され上部より下方に位置する部位を上向主リンク200uに回動可能に連結され下部に水平可動部Pを形成されるリンクである。
第一上向主リンク201uが、下部を第一上架台101に回動可能に連結され第二下向主リンク202dの中間部に回動可能に連結されるリンクである。
第二下向主リンク202dが、上部を第二上架台102に回動可能に連結され中間部を第一上向主リンク201uに回動可能に連結され下部を上向主リンク200uの上部に回動可能に連連結されるリンクである。
【0078】
バランスウエイト300は、第二上架台102に付加される部材である。
対象物50を第二上架台102に乗せてバランスウエイト300を第二上架台102に乗せて空気ばね制御系700が空気ばねの600の空気を開放した状態で第二上架台102が下がり相対距離が最小になる。
【0079】
上下方向ばね要素400は、第一上架台101に相対距離の変化に対応して変化する上方向のばね力である上方向ばね力O1を作用させ連結部材200を介して上方向ばね力O1により第二上架台102に支持される対象物50に上方向の第一支持力F1を作用させる。
上方向ばね要素400は、左右1対の圧縮つる巻きばねで構成される。
【0080】
水平方向ばね要素500は、水平可動部Pに水平可動部Pの水平方向の相対変位に対応して変化する水平方向のばね力である水平方向ばね力O2を作用させて、連結部材200を介して最上段の上架台に支持する対象物50に上方向の第二支持力F2を作用させる機械要素である。
水平方向ばね要素500は、左右1対の引っ張りつる巻きばねである。
【0081】
空気ばね600は、空気の圧縮力により上架台101に押し力O3を作用し連結部材200を介して押し力O3により第二上架台102に支持される対象物50に上方向の第三支持力F3を作用させる機械要素である。
空気ばねは、じゃばら式の空気ばねで構成される。
【0082】
上下方向ばね要素500が上架台に作用する上方向ばね力O1により連結部材200を介して第二上架台102に支持される対象物50に上方向の第一支持力F1を作用させ、水平方向ばね要素500が水平可動部Pに作用する水平方向ばね力O2により連結部材200を介して第二上架台102に支持される対象物50に上方向の第二支持力F2を作用させ、空気ばね600が上架台に作用する押し力O3により連結部材200を介して第二上架台102に支持される対象物50に第三支持力F3を作用させる結果、F1+F2+F3の合力が第二上架台102に支持される対象物50に作用する。
【0083】
空気ばね制御系700は、空気ばね600の内部の空気を出し入れできる装置である。
例えば、空気ばね制御系700は、空気源から空気を取り込む配管系720と配管系720から空気を供給される制御バルブ710と上架台の上下方向の位置に応じて制御バルブ710を作動させる制御バルブ駆動機構730とで構成される。
空気ばね制御系700は、空気ばねの内部の空気を出し入れして、相対距離を所定距離に維持しようとすることができる。
【0084】
次に、本発明の第三の実施形態にかかる免震装置を、図を基に、説明する。
図3は、本発明の第三の実施形態に係る免震装置の概念図である。
本発明の第三の実施形態に係る免震装置は、下架台100と第一上架台101と連結部材200とバランスウエイト300と上下方向ばね要素400と水平方向ばね要素500と空気ばね600と空気ばね制御系700とで構成される。
【0085】
下架台100と上架台と連結部材200とバランスウエイト300と上下方向ばね要素400と水平方向ばね要素500と空気ばね制御系700の構成は、第一の実施形態にかかる免震装置のものと同じなので、説明を省略する。
【0086】
空気ばね600は、空気の圧縮力により連結部材200に押し力O3を作用し連結部材200を介して押し力O3により上架台101に支持される対象物50に上方向の第三支持力F3を作用させる機械要素である。
【0087】
上下方向ばね要素400が上架台に作用する上方向ばね力O1により直接に第一上架台101に支持される対象物50に上方向の第一支持力F1を作用させ、水平方向ばね要素500が水平可動部Pに作用する水平方向ばね力O2により連結部材200を介して第一上架台101に支持される対象物50に上方向の第二支持力F2を作用させ、空気ばね600が水平可動部Pに作用する押し力O3により連結部材200を介して第一上架台101に支持される対象物50に第三支持力F3を作用させる結果、F1+F2+F3の合力が上架台に支持される対象物に作用する。
【0088】
以下に、本発明の複数の実施形態にかかる免震装置の運用方法を説明する。
【0089】
最初に、本発明の第一の実施形態にかかる免震装置の運用方法を、図を基に、説明する。
図4は、本発明の第一の実施形態にかかる免震装置の運用方法の手順図である。
図5は、本発明の第一の実施形態に係る免震装置の運用方法を作用説明図である。
【0090】
本発明の第一の実施形態にかかる免震装置の運用方法は、準備工程と免震装置据付工程S10と空気ばねレベル制御工程S20と空気ばねレベル制御停止工程S30とで構成される。
【0091】
準備工程は、免震装置を準備する工程である。
免震装置の構成は、前述したものとおなじなので、説明を省略する。
【0092】
免震装置据付工程S10は、免震装置を据付ける工程である。
免震装置据付工程S10は、対象物50を上架台に乗せて空気ばね600の空気を開放した状態で上架台が下がり相対距離が最小になることを確認する工程であってもよい。
図5(A)は、対象物50を上架台に乗せて空気ばね600の空気を開放した状態で上架台が下がり相対距離が最小になる様子を示す。
【0093】
空気ばねレベル制御工程S20は、空気ばね制御系700が空気ばねの空気を出し入れして相対距離を所定の距離である所定距離に維持しようとする工程である。
免震装置据付工程S10を実行した後で空気ばねレベル制御工程S20を実行すると、対象物50を乗せた上架台が持ち上がり、相対距離が所定距離になる。その後、相対距離が所定距離を維持する。
図5(B)は、対象物50を乗せた上架台が持ち上がり、相対距離が所定距離を維持する様子が示される。
地震が発生しないとき空気ばねレベル制御停止工程S30を実行する。
例えば、後述する空気ばねレベル制御停止工程S30を実行中に地震が発生すると、空気ばねレベル制御工程S20を実行する。
【0094】
空気ばねレベル制御停止工程S30は、空気ばね制御系700が空気ばね600への空気の出し入れを停止し空気ばね600の空気を閉じ込める工程である。
空気ばね600への空気の出し入れを停止し空気ばね600の空気を閉じ込めると、空気ばねは略一定のばね定数をもつばね要素として機能する。
空気ばねレベル制御停止工程S30を実行中に地震がなくなると空気ばねレベル制御工程S20を実行してもよい。
空気ばねレベル制御工程S20を実行中に地震が発生すると空気ばねレベル制御停止工程S30を実行してもよい。
【0095】
所定の時間間隔で空気ばねレベル制御工程S20と空気ばねレベル制御停止工程S30とを順に繰り返し実行してもよい。
空気ばねレベル制御停止工程S30を連続して実行中に対象物の重量が変動すると相対距離が変動し所定距離からずれる。
所定の時間間隔で空気ばねレベル制御工程S20と空気ばねレベル制御停止工程S30とを順に繰り返し実行すると、空気ばねレベル制御工程S20を実行することで、相対距離を所定距離に戻すことができる。
【0096】
空気ばねレベル制御工程S20を実行しているときに地震が発生すると空気ばねレベル制御停止工程S30を実行し、空気ばねレベル制御停止工程S30を実行しているときに地震が終了すると空気ばねレベル制御工程S20を実行してもよい。
この様にすると、地震が発生しないとき対象物の重量が変化しても相対距離を所定距離に維持でき、地震が発生すると空気ばねの空気を閉じ込めて空気ばねは略一定のばね定数をもつばね要素として機能する。
【0097】
次に、本発明の第二の実施形態にかかる免震装置の運用方法を、図を基に、説明する。
図6は、本発明の第二の実施形態にかかる免震装置の運用方法の手順図である。
図7は、本発明の第二の実施形態に係る免震装置の運用方法を作用説明図である。
【0098】
本発明の第二の実施形態にかかる免震装置の運用方法は、準備工程と免震装置据付工程S10と空気ばねレベル制御工程S20と空気ばねレベル制御停止工程S30とで構成される。
【0099】
準備工程は、免震装置を準備する工程である。
免震装置の構成は、前述したものとおなじなので、説明を省略する。
【0100】
免震装置据付工程S10は、対象物50を上架台に乗せて空気ばね600の空気を開放した状態で上架台が下がり相対距離が最小になることを確認する工程である。
免震装置据付工程S10は、第一確認工程S11と第二確認工程S11とで構成される。
第一確認工程S11は、対象物50を上架台に乗せて空気ばねの空気を開放した状態で相対距離が可動範囲の最大であり上架台が下がらないことを確認する工程である。
第一確認工程S11を実行中はバランスウエイト300を上架台に付加しない。
図7(A)は、対象物50を上架台に乗せて空気ばねの空気を開放した状態で上架台が下がらない様子を示す。
第二確認工程S12は、対象物を上架台に乗せて空気ばねの空気を開放した状態で上架台にバランスウエイト300を付加して上架台が下がり相対距離が最小になることを確認する工程である。
図7(B)は、対象物を上架台に乗せて空気ばねの空気を開放した状態で上架台にバランスウエイトを付加して上架台が下がり相対距離が最小になる様子を示す。
【0101】
空気ばねレベル制御工程S20と空気ばねレベル制御停止工程S30の構成は、第一の実施形態にかかる免震装置の運用方法と同じなので、説明を省略する。
【0102】
次に、本発明の第三の実施形態にかかる免震装置の運用方法を、図を基に、説明する。
図8は、本発明の第三の実施形態にかかる免震装置の運用方法の手順図である。
【0103】
本発明の第三の実施形態にかかる免震装置の運用方法は、準備工程と免震装置据付工程S10と空気ばねレベル制御工程S20とで構成される。
本発明の第三の実施形態にかかる免震装置の運用方法は、地震の発生の有無にかかわらず空気ばねレベル制御工程S20を実行する点で、前述したものと異なる。
【0104】
準備工程は、免震装置を準備する工程である。
免震装置の構成は、前述したものとおなじなので、説明を省略する。
【0105】
免震装置据付工程S10は、免震装置を据付ける工程である。
免震装置据付工程S10は、第一の実施形態にかかる免震装置の運用方法または第二の実施形態にかかる運用方法のものと同じなので、説明を省略する。
【0106】
空気ばねレベル制御工程S20は、空気ばね制御系700が空気ばねの空気を出し入れして相対距離を所定の距離である所定距離に維持しようとする工程である。
免震装置据付工程S10を実行した後で空気ばねレベル制御工程S20を実行すると、対象物50を乗せた上架台が持ち上がり、相対距離が所定距離になる。その後、相対距離が所定距離を維持使用とする。
【0107】
空気ばね制御系の制御時定数が地震による上下方向の加速度による上架台の上下方向の動きを邪魔しない値である。
【0108】
空気ばね制御系の制御時定数が地震による上下方向の加速度の最大周期の3倍を越える値である、
ここで、空気ばね制御系の制御時定数は空気ばねが最も縮んで相対距離が最小である状態から空気ばねに空気を入れ始めて離間距離が(所定距離-最小相対距離)の63%に達するまでの時間であり、
ここで、最小相対距離は相対距離の最小値である、
【0109】
空気ばね制御系の制御時定数が3秒を超える値である。
この様にすると、地震が発生しないとき対象物の重量が変化しても、相対距離を所定距離に維持でき、地震が発生すると対象物50を乗せた上架台が上下方向に移動して、地震の加速度を免震できる。
【0110】
次に、本発明の第四の実施形態にかかる免震装置の運用方法を、図を基に、説明する。
図10は、本発明の第四の実施形態に係る免震装置の運用方法の手順図である。
本発明の第四の実施形態にかかる免震装置の運用方法は、準備工程と免震装置据付工程S100とで構成される。
本発明の第四の実施形態にかかる免震装置の運用方法は、免震装置が空気ばねと空気ばね制御系の有無を問わない点で前述したものと異なる。
【0111】
準備工程は、免震装置を準備する工程である。
免震装置の構成は、空気ばねと空気ばね制御系の有無を問わない他は同じなので、説明を省略する。
例えば、免震装置は、下架台100と上架台と連結部材200とバランスウエイト300上下方向ばね要素400と水平方向ばね要素500とで構成される。
例えば、免震装置は、下架台100と上架台と連結部材200とバランスウエイト300上下方向ばね要素400と水平方向ばね要素500と空気ばね600と空気ばね制御系700とで構成される。
【0112】
免震装置据付工程S100は、相対距離が所定の距離である所定距離に維持されることを確認する工程である。
免震装置据付工程S100は、第一確認工程S110と第二確認工程S120とで構成される。
第一確認工程S110は、対象物50を上架台に乗せた状態で相対距離が可動範囲の最大であり上架台が下がらないことを確認する工程である。
第二確認工程S120は、対象物50を上架台に乗せた状態で上架台にバランスウエイト300を付加して上架台が下がり相対距離が所定距離になることを確認する工程である。
所定距離は、相対距離の可動範囲の最大と最小の間の距離である。
【0113】
免震装置が空気ばね600と空気ばね制御系700を備える場合、第二確認工程S120を実行中に空気ばねレベル制御工程を実行していてもよい。
第二確認工程S120を実行中に空気ばねレベル制御工程を実行すると、第二確認工程S120を実行しているときに空気ばね500の空気の圧力が変化する。
【0114】
以上説明したように、本発明の実施形態に係る免震装置は、その構成により、以下の効果を有する。
下架台100と上架台との回動可能に連結されるリンク機構に下架台100と上架台の上下方向の相対距離の変化に対応して水平方向に相対変位する水平可動部Pを形成される連結部材200と、上架台に相対距離に対応して変化する上方向ばね力O1を作用する上下方向ばね要素400と水平可動部Pに相対変位に対応して変化する水平方向ばね力O2を作用させる水平方向ばね要素500と上架台または連結部材200に押し力O3を作用し上架台に支持される対象物に上方向の第三支持力F3を作用させる空気ばね600とで構成される免震装置において、地震が発生しないとき空気ばね制御系700が空気ばね600への空気の出し入れをして相対距離を所定の距離である所定距離に維持しようとする様にしたので、長周期の垂直加速度に対応できる免震装置の安定性を維持できる。
また、空気ばね600が下架台100を支えとして上架台に上方向に作用する押し力O3を作用し直接に押し力O3により上架台に支持される対象物50に上方向の第三支持力F3を作用させる様にしたので、長周期の垂直加速度に対応できる免震装置の安定性を向上させることができる。
また、所定の時間間隔で空気ばね制御系700が空気ばね600への空気の出し入れをして相対距離を所定の距離である所定距離に維持しようとする手順と空気ばね制御系700が空気ばね600への空気の出し入れを停止して空気ばね600の空気を閉じ込める手順とを繰り返す様にしたので、長周期の垂直加速度に対応できる免震装置の安定性を維持できる。
また、空気ばね制御系700の制御時定数が地震による加速度を免震する上架台の上下方向の動きを邪魔しない値である様にしたので、地震が発生したときに空気ばね制御系700が空気ばね600の空気を出し入れしても免震装置の応答性を確保できる。
また、空気ばね制御系700の制御時定数が地震による加速度の最大周期の3倍を越える様にしたので、地震が発生したときに空気ばね制御系が空気ばねの空気を出し入れしても免震装置の応答性を確保できる。
また、空気ばね制御系700の制御時定数が3秒を超える様にしたので、略3秒×1/3=1秒を超える周期の加速度を持つ地震発生したときに空気ばね制御系700が空気ばね600の空気を出し入れしても免震装置の応答性を確保できる。
また、対象物50を上架台に乗せて空気ばね600の空気を開放した状態で上架台が下がり相対距離が最小になる様にしたので、空気ばね600に空気を入れると地震がないとき上架台が上がり相対距離を所定距離に維持できる。
また、地震が発生したとき空気ばね制御系700が空気ばね600への空気の出し入れを停止し空気ばね600の空気を閉じ込める様にしたので、空気ばね600のばね特性を安定させ長周期の垂直加速度に対応できる免震装置の地震時の応答性を維持できる。
【0115】
以上説明したように、本発明の実施形態に係る免震装置の運用方法は、その構成により、以下の効果を有する。
下架台100と上架台との回動可能に連結されるリンク機構に下架台100と上架台の上下方向の相対距離の変化に対応して水平方向に相対変位する水平可動部Pを形成される連結部材200と、上架台に相対距離に対応して変化する上方向ばね力O1を作用する上下方向ばね要素400と水平可動部Pに相対変位に対応して変化する水平方向ばね力O3を作用させる水平方向ばね要素500と上架台または連結部材に押し力O3を作用し上架台に支持される対象物50に上方向の第三支持力F3を作用させる空気ばね600とで構成される免震装置を準備し、地震が発生しないとき空気ばね制御系700が空気ばね600への空気の出し入れをして相対距離を所定の距離である所定距離に維持しようとする様にしたので、長周期の垂直加速度に対応できる免震装置の安定性を維持できる。
また、空気ばね600が下架台100を支えとして上架台に上方向に作用する押し力O3を作用し直接に押し力O3により上架台に支持される対象物50に上方向の第三支持力F3を作用させる様にしたので、長周期の垂直加速度に対応できる免震装置の安定性を向上させることができる。
また、所定の時間間隔で空気ばね制御系700が空気ばね600の空気を出し入れして相対距離を所定の距離である所定距離に維持しようとする手順と空気ばね制御系700が空気ばね600の空気の出し入れを停止して空気ばね600の空気を閉じ込める手順とを繰り返す様にしたので、長周期の垂直加速度に対応できる免震装置の安定性を維持できる。
また、空気ばね制御系700の制御時定数が地震による加速度を免震する上架台の上下方向の動きを邪魔しない値である様にしたので、地震が発生したときに空気ばね制御系700が空気ばね600の空気を出し入れしても免震装置の応答性を確保できる。
また、空気ばね制御系700の制御時定数が地震による加速度の最大周期の3倍を越える様にしたので、地震が発生したときに空気ばね制御系700が空気ばね600の空気を出し入れしても免震装置の応答性を確保できる。
また、空気ばね制御系700の制御時定数が3秒を超える様にしたので、略3秒×1/3=1秒を超える周期の加速度を持つ地震発生したときに空気ばね制御系700が空気ばね600の空気を出し入れしても免震装置の応答性を確保できる。
また、対象物50を上架台に乗せて空気ばね600の空気を開放した状態で上架台が下がり相対距離が最小になる様にしたので、空気ばね600に空気を入れると上架台が上がり相対距離を所定距離に維持しようとする。
また、対象物50を上架台に乗せて空気ばね600の空気を開放した状態で上架台が下がらないことを確認した後で、対象物50を上架台に乗せて空気ばね600の空気を開放した状態で上架台にバランスウエイト300を付加して上架台が下がり相対距離が最小になることを確認する様にしたので、バランスウエイト300と空気ばね600とのバランスにより地震がないとき相対距離を所定距離に維持しようとする。
また、地震が発生したとき空気ばね制御系700が空気ばね600への空気の出し入れを停止し空気ばね600の空気を閉じ込める様にしたので、空気ばね600のばね特性を安定させ長周期の垂直加速度に対応できる免震装置の地震時の応答性を維持できる。
また、対象物を上架台に乗せた状態で上架台が下がらないことを確認した後で、上架台にバランスウエイトを付加して上架台が下がり前記相対距離が所定距離になることを確認する様にしたので、上下方向ばね要素と水平方向ばね要素とバランスウエイトとのバランスにより、前記相対距離を所定距離に維持しようとする。
【0116】
本発明は以上に述べた実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。
【符号の説明】
【0117】
O1 上方向ばね力
O2 水平方向ばね力
O3 押し力
P 水平可動部
F1 第一支持力
F2 第二支持力
F3 第三支持力
50 対象物
100 下架台
101 第一上架台
102 第二上架台
・
・
200 連結部材
200u 上向主リンク
201d 第一下向主リンク
201u 第一上向主リンク
202d 第二下向主リンク
・
・
300 バランスウエイト
400 上下方向ばね要素
500 水平方向ばね要素
600 空気ばね
700 空気ばね制御系
710 制御バルブ
720 配管系
730 制御バルブ駆動機構
S10 免震装置据付工程
S11 第一確認工程
S12 第二確認工程
S20 空気ばねレベル制御工程
S30 空気ばねレベル制御停止工程
S100 免震装置据付工程
S110 第一確認工程
S120 第二確認工程
【先行技術文献】
【特許文献】
【0118】