(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
F24C 15/16 20060101AFI20240806BHJP
F24C 7/04 20210101ALI20240806BHJP
【FI】
F24C15/16 G
F24C7/04 A
(21)【出願番号】P 2021024428
(22)【出願日】2021-02-18
【審査請求日】2023-11-20
(31)【優先権主張番号】P 2020030554
(32)【優先日】2020-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021017381
(32)【優先日】2021-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592044499
【氏名又は名称】株式会社千石
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】千石 唯司
(72)【発明者】
【氏名】千石 剛平
(72)【発明者】
【氏名】高見 博之
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第209377352(CN,U)
【文献】米国特許第02049237(US,A)
【文献】実開昭48-026071(JP,U)
【文献】特開2012-137232(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 15/16
F24C 7/04
A47J 36/00
A47J 37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前側に開口が形成された筐体と、
該筐体内に配置されたヒータと、
前記筐体内に配置され、前後に移動可能な網と、
前記開口の縁部回りに回転し、前記開口を開閉する扉と、
該扉の内面に取り付けられたフックと
を備え、
前記扉の閉位置から開位置への移動中に、前記フックは前記網に掛止し、前記扉が前記開位置に配された場合、前記フック及び網の掛止が解除されるように、前記フック及び網が配置されて
おり、
前記網の前端部に、前記フックが掛止する掛止孔が形成されており、
前記扉が前記開位置に配された場合、前記フックは、前記掛止孔の軸方向にて前記掛止孔から離れた位置に配され、
前記扉の閉位置から開位置への移動中に、前記フックは前記掛止孔に挿入されるか、又は前記軸方向にて前記掛止孔と同じ位置に配され、
前記フックは、第一辺部及び該第一辺部に直角な第二辺部を有するL形をなし、
前記扉が前記閉位置に配されている場合、
前記第一辺部は、前記掛止孔の前側にて前記掛止孔の軸方向に延び、
前記第二辺部は後方に延び、前記軸方向にて前記掛止孔の隣に配置され、
前記第二辺部の先端部に、前記掛止孔側に突出した突出部が形成され、
前記突出部の後部に、突出端に向かうに従って前後幅が短くなるように、傾斜面が形成されている
加熱調理器。
【請求項2】
前側に開口が形成された筐体と、
該筐体内に配置されたヒータと、
前記筐体内に配置され、前後に移動可能な網と、
前記開口の縁部回りに回転し、前記開口を開閉する扉と、
該扉の内面に取り付けられたフックと
を備え、
前記扉の閉位置から開位置への移動中に、前記フックは前記網に掛止し、前記扉が前記開位置に配された場合、前記フック及び網の掛止が解除されるように、前記フック及び網が配置されており、
前記網の前端部に、前記フックが掛止する掛止孔が形成されており、
前記扉が前記開位置に配された場合、前記フックは、前記掛止孔の軸方向にて前記掛止孔から離れた位置に配され、
前記扉の閉位置から開位置への移動中に、前記フックは前記掛止孔に挿入されるか、又は前記軸方向にて前記掛止孔と同じ位置に配され
、
前記フックは、前記扉から突出した第一部分と、該第一部分の突出端部から前記第一部分に交差する方向に突出した第二部分とを有し、
前記第二部分に、突出端に向かうに従って、前記扉に直交する方向の幅が短くなるように、傾斜面が形成されている
加熱調理器。
【請求項3】
前側に開口が形成された筐体と、
該筐体内に配置されたヒータと、
前記筐体内に配置され、前後に移動可能な網と、
前記開口の縁部回りに回転し、前記開口を開閉する扉と、
該扉の内面に取り付けられたフックと
を備え、
前記扉の閉位置から開位置への移動中に、前記フックは前記網に掛止し、前記扉が前記開位置に配された場合、前記フック及び網の掛止が解除されるように、前記フック及び網が配置されており、
前記筐体の内側面に、前記網が挿入される前後に延びた溝が形成され、
前記網に直角な方向にて、挿入された前記網と前記溝の側面との間に隙間が形成され
、
前記網は、
網部と、
該網部の一面の周縁部上に配置された枠部と、
前記網部の反対側にて前記枠部に重なり、前記溝に挿入されて前記網部を支持する支持部と
を有する
加熱調理器。
【請求項4】
前側に開口が形成された筐体と、
該筐体内に配置されたヒータと、
前記筐体内に配置され、前後に移動可能な網と、
前記開口の縁部回りに回転し、前記開口を開閉する扉と、
該扉の内面に取り付けられたフックと
を備え、
前記扉の閉位置から開位置への移動中に、前記フックは前記網に掛止し、前記扉が前記開位置に配された場合、前記フック及び網の掛止が解除されるように、前記フック及び網が配置されており、
前記網は、前記網に直角な方向に突出した突出部を備え、
前記筐体の内側面に形成され、前記網を案内する前後に延びた案内部と、
前記筐体の内側面にて、前記案内部の上側又は下側に形成され、前記網が前側に移動する場合に前記突出部が係止する係止部と
を備え
る加熱調理器。
【請求項5】
前記網は、前記網を所定姿勢で前記筐体に収納する場合に、前記案内部に当接して前記網の移動を規制する規制部を備える
請求項
4に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、筐体内に網及びヒータが設けられた加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筐体内側の上下にヒータが配置され、ヒータの間に網が配置された加熱調理器が提案されている。筐体の前面に開口が形成され、該開口には、左右方向を回転軸方向とした扉が設けられている。扉には、フックが取り付けられている。フックは網を下から上に貫通し、網に掛止されている。扉の開閉に応じて、フック及び網は進退する(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、網を掃除する場合、ユーザは網をフックから取り外さなければならない。
【0005】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、保守管理し易い加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る加熱調理器は、前側に開口が形成された筐体と、該筐体内に配置されたヒータと、前記筐体内に配置され、前後に移動可能な網と、前記開口の縁部回りに回転し、前記開口を開閉する扉と、該扉の内面に取り付けられたフックとを備え、前記扉の閉位置から開位置への移動中に、前記フックは前記網に掛止し、前記扉が前記開位置に配された場合、前記フック及び網の掛止が解除されるように、前記フック及び網が配置されている。
【0007】
本開示の一実施形態にあっては、扉が開位置及び閉位置の間に配されている場合、即ち、扉の開動作中にフックは網に掛止し、網は前方に移動する。扉が開位置に配された場合、フックの掛止は解除される。
【0008】
本開示の一実施形態に係る加熱調理器は、前記網の前端部に、前記フックが掛止する掛止孔が形成されており、前記扉が前記開位置に配された場合、前記フックは、前記掛止孔の軸方向にて前記掛止孔から離れた位置に配され、前記扉の閉位置から開位置への移動中に、前記フックは前記掛止孔に挿入されるか、又は前記軸方向にて前記掛止孔と同じ位置に配される。
【0009】
本開示の一実施形態においては、扉が開位置に配された場合、フックは掛止孔から離れた位置に配される。網から離れているので、ユーザのフックへの接触が抑制される。扉の開動作中に、フックは掛止孔に挿入されるか、掛止孔と同じ軸方向位置に配され、網は前方に移動する。
【0010】
本開示の一実施形態に係る加熱調理器は、前記フックは、第一辺部及び該第一辺部に直角な第二辺部を有するL形をなし、前記扉が前記閉位置に配されている場合、前記第一辺部は、前記掛止孔の前側にて前記掛止孔の軸方向に延び、前記第二辺部は後方に延び、前記軸方向にて前記掛止孔の隣に配置され、前記第二辺部の先端部に、前記掛止孔側に突出した突出部が形成され、前記突出部の後部に、突出端に向かうに従って前後幅が短くなるように、傾斜面が形成されている。
【0011】
本開示の一実施形態においては、扉を閉じる場合であって、突出部が掛止孔の縁部に接触したとき、前記縁部は、傾斜面に沿って突出部の突出端に向けて移動し易くなる。その結果、前記縁部は、突出端を超えてフックに掛止され易くなる。
【0012】
本開示の一実施形態に係る加熱調理器は、前記フックは、前記扉から突出した第一部分と、該第一部分の突出端部から前記第一部分に交差する方向に突出した第二部分とを有し、前記第二部分に、突出端に向かうに従って、扉に直交する方向の幅が短くなるように、傾斜面が形成されている。
【0013】
本開示の一実施形態においては、扉を閉じる場合であって、第二部分が掛止孔の縁部に接触したとき、前記縁部は、傾斜面に沿って第二部分の突出端に向けて移動し易くなる。その結果、前記縁部は、突出端を超えてフックに掛止され易くなる。
【0014】
本開示の一実施形態に係る加熱調理器は、前記筐体の内側面に、前記網が挿入される前後に延びた溝が形成され、前記網に直角な方向にて、挿入された前記網と前記溝の側面との間に隙間が形成される。
【0015】
本開示の一実施形態においては、網に直角な方向において、網は移動し易くなり、フックが網に当たった場合、網はフックの先端を超えて掛止され易くなる。
【0016】
本開示の一実施形態に係る加熱調理器は、前記網は、網部と、該網部の一面の周縁部上に配置された枠部と、前記網部の反対側にて前記枠部に重なり、前記溝に挿入されて前記網部を支持する支持部とを有する。
【0017】
本開示の一実施形態においては、網部の一面にて、枠部に支持部が重なっている。そのため、前記一面を所定のヒータに向けて網を配置させた場合における前記ヒータと前記一面との間の第一距離と、網部の他面を前記ヒータに向けて網を配置させた場合における前記ヒータと前記他面との間の第二距離とは異なる。一面又は他面のいずれを前記ヒータに向けるのかをユーザは選択し、被加熱物の焼き加減を調整することができる。
【0018】
本開示の一実施形態に係る加熱調理器は、前記網は、前記網に直角な方向に突出した突出部を備え、前記筐体の内側面に形成され、前記網を案内する前後に延びた案内部と、前記筐体の内側面にて、前記案内部の上側又は下側に形成され、前記網が前側に移動する場合に前記突出部が係止する係止部とを備える。
【0019】
本開示の一実施形態においては、案内部は網を前後に案内し、筐体への網の収納及び取り出しが行われる。網が前側に移動した場合、突出部が係止部に係止し、網が筐体の外に飛び出すことを防止することができる。
【0020】
本開示の一実施形態に係る加熱調理器は、前記網は、前記網を所定姿勢で前記筐体に収納する場合に、前記案内部に当接して前記網の移動を規制する規制部を備える。
【0021】
本開示の一実施形態においては、所定姿勢、例えば非正常な姿勢で網を筐体に収納する場合、規制部によって網の移動が規制される。そのため、加熱調理器の利用者は、網を非正常な向きで筐体に入れたことを認識できる。
【発明の効果】
【0022】
本開示の一実施形態に係る加熱調理器にあっては、扉が開位置及び閉位置の間に配されている場合、即ち、扉の開動作中にフックは網に掛止し、網は前方に移動する。扉が開位置に配された場合、フックの掛止は解除される。そのため、ユーザは、筐体から網を外に出すために、網からフックを取り外す必要がなくなり、保守管理が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施の形態1に係る扉を閉位置に配した加熱調理器の斜視図である。
【
図2】
図1のII-II線を切断線とし、扉を閉位置に配した加熱調理器の右側面断面図である。
【
図6】
図2にてVI線で囲った部分の略示部分右側面図である。
【
図7】閉位置から開位置に向けて扉を移動させている間に、扉がフックに掛止している状態を示す加熱調理器の右側面断面図である。
【
図8】開位置に扉を配した加熱調理器の右側面断面図である。
【
図9】扉を開位置に配した加熱調理器の斜視図である。
【
図10】第二突出部における先端部分の移動軌跡を説明する説明図である。
【
図11】開位置から閉位置に向けて扉を移動させている間に、フックが網に接触した状態を示す加熱調理器の右側面断面図である。
【
図12】筐体内に収納された網の前端部にフックが当接した状態を示す加熱調理器の右側面断面図である。
【
図13】掛止孔の前側に配置された第二突出部が掛止孔に挿入される過程を説明する説明図である。
【
図14】実施の形態2に係る扉を閉位置に配した加熱調理器の右側面断面図である。
【
図15】実施の形態3に係る網の正面断面図である。
【
図16】扉を閉位置に配した加熱調理器の平面断面図である。
【
図17】実施の形態4に係る扉を開いた加熱調理器を示す断面斜視図である。
【
図21】網を筐体に収納し、扉を閉じた加熱調理器の略示右側面断面図である。
【
図22】扉を開いた場合における加熱調理器の略示右側面断面図である。
【
図23】扉を閉じる場合における加熱調理器の略示部分拡大右側面図である。
【
図24】規制部を下に向けた状態で網を筐体に入れた場合における加熱調理器の略示右側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(実施の形態1)
以下本発明を実施の形態1に係る加熱調理器を示す図面に基づいて説明する。以下の説明では、図に示す上下前後左右を使用する。
図1は、扉7を閉位置に配した加熱調理器の斜視図である。
図1に示すように、加熱調理器は直方体形の筐体1を備える。該筐体1の一面に矩形の開口1a(
図2参照)が形成されている。該開口1aを前に向けて、筐体1は配置されている。開口1aは上下方向に延びる左右縁部と、左右方向に延びる上下縁部とを有する。
【0025】
開口1aを開閉する矩形の扉7が開口1aの前側に配置されており、扉7の下縁両端部が開口1aの下側に連結されている。扉7は、開口1aの下縁部回りに回転可能である。扉7が閉位置に配されている状態において、扉7の外面上側に取手4が設けられ、外面下側に、目標温度又は駆動時間などの情報を表示する表示部6と、目標温度又は駆動時間などを設定する為の操作部5とが設けられている。扉7の中央部には、矩形の透明な窓3が設けられている。なお、閉位置とは、筐体1の前面に対して略平行な姿勢で扉7が開口1aを覆う位置をいう。
【0026】
図2は、
図1のII-II線を切断線とし、扉7を閉位置に配した加熱調理器の右側面断面図である。
図2に示すように、筐体1内側において上面に上反射板11が設けられている。該上反射板11の前後方向中央部は、上側に向けて突出するように、曲がっている。上反射板11の前記中央部の下側に、左右方向に延びる上ヒータ10が配置されている。筐体1内側において下面に下反射板13が設けられている。該下反射板13の前後方向中央部は、下側に向けて突出するように、曲がっている。下反射板13の前記中央部の上側に、左右方向に延びる下ヒータ12が配置されている。
【0027】
図2に示すように、筐体1内側において、筐体1の左側面に直角な方向に突出した前後に延びる上凸部14が左側面に形成されている。上凸部14は側面視にて矩形帯状をなし、その下縁部に、下方に突出した突出部14aが形成されている。該突出部14aは、前記下縁部前端よりも若干後側の箇所と、前記下縁部の前後方向中央よりも若干後側の箇所との間に形成されている。
【0028】
該上凸部14の下側において、筐体1の左側面に直角な方向に突出した前後に延びる下凸部15が左側面に形成されている。下凸部15は側面視にて矩形帯状をなし、上凸部14から離れた位置に配されている。上凸部14及び下凸部15の前後寸法は略同じであり、両者の前端位置は対応し、後端位置も対応する。上下方向において、上凸部14及び下凸部15は上ヒータ10及び下ヒータ12の間に配置されている。
【0029】
上凸部14及び下凸部15の間に溝17が形成されている。前記突出部14aにおける溝17の上下幅は、他の部分における上下幅よりも短い。
【0030】
筐体1内側において、筐体1の右側面にも、左側面と同様に上凸部14、下凸部15及び溝17が形成されている(いずれも図示略)。右側面における上凸部14、下凸部15及び溝17それぞれの上下前後位置は、左側面おける上凸部14、下凸部15及び溝17それぞれと略同じである。右側面に形成された上凸部14、下凸部15及び溝17の構成は、左側面に形成された上凸部14、下凸部15及び溝17と同様なので、その詳細な記載は省略する。筐体1の内側において、筐体1の後面に前方に突出した規制部16が設けられている。上下方向において、規制部16は、上凸部14と下凸部15の間、即ち溝17と略同じ位置に配されている。左右の溝17には網2が挿入される。
【0031】
図3は、網2の斜視図、
図4は、網2の部分拡大斜視断面図、
図5は、第一支持部21の部分拡大左側面図である。網2は、平面視矩形をなす格子状の網部20を備える。網部20は左右方向に延びる。網部20の周縁部に矩形の枠部23が設けられている。枠部23は、円柱部材を矩形に折り曲げるようにして、構成されている。枠部23は網部20の一面上に配置され、前記一面に重なる。
【0032】
図3及び
図4に示すように、枠部23の左辺部分23bに矩形枠状の第一支持部21が設けられている。第一支持部21は、円柱部材を矩形に折り曲げるようにして、構成されている。第一支持部21は前後方向に延び、左右にそれぞれ配置された二つの長辺部と、前後にそれぞれ配置された二つの短辺部21cとを備える。右側の長辺部は、左辺部分23bの上側、即ち網2の内側に配置され、左側の長辺部は、左辺部分23bの左側、即ち網2の外側に配置されている。以下、網2の内側に配置された長辺部を内側長辺部21aと称し、以下、網2の外側に配置された長辺部を外側長辺部21bと称する。
【0033】
内側長辺部21aは、枠部23の左辺部分23bに、平行に取り付けられている。網部20に直角な方向において、左辺部分23bは網部20及び内側長辺部21aの間に挟まれている。換言すれば、網部20の一面(
図4においては上面)に、左辺部分23b(枠部23)と、内側長辺部21aとが順に重ねられている。
【0034】
図5に示すように、網部20に直角な方向において、外側長辺部21bは内側長辺部21aよりも網部20寄りに配置されている。換言すれば、網部20に直角な方向において、外側長辺部21bは内側長辺部21aに対して偏倚した位置に配されている。内側長辺部21aの前端部は、枠部23の前辺部分23aよりも前側に突出している。内側長辺部21aの前端は、外側長辺部21bの前端よりも前側に配されている。内側長辺部21a及び外側長辺部21bそれぞれの前端は、短辺部21c、第一連結部21d及び第二連結部21eによって、連結されている。
【0035】
短辺部21cは、内側長辺部21aの前端から左側に直角に突出する。短辺部21cの左端から後側に、第一連結部21dが内側長辺部21aに平行に突出する。第一連結部21dの後端と、外側長辺部21bの前端とは、第二連結部21eによって、連結されている。前述したように、外側長辺部21bは内側長辺部21aに対して偏倚した位置に配されているので、第二連結部21eは、第一連結部21d及び外側長辺部21bに対して傾斜する。前側短辺部21c及び前側第一連結部21dは前辺部分23aよりも前側に突出している。
【0036】
図3に示すように、前後方向において、内側長辺部21aの後端部は、枠部23の後辺部分と略同じ位置に配されている。
図5に示すように、内側長辺部21a及び外側長辺部21bそれぞれの後端は、短辺部21c、第一連結部21d及び第二連結部21eによって、連結されている。短辺部21cは、内側長辺部21aの後端から左側に直角に突出する。短辺部21cの左端から前側に、第一連結部21dが内側長辺部21aに平行に突出する。第一連結部21dの前端と、外側長辺部21bの後端とは、第二連結部21eによって、連結されている。第二連結部21eは、第一連結部21d及び外側長辺部21bに対して傾斜する。前後方向において、後側短辺部21cは枠部23の後辺部分と略同じ位置に配されている。
【0037】
外側長辺部21bにU形の第二支持部22が設けられている。第二支持部22は円柱部材を折り曲げるようにして、構成されており、長辺部と、二つの短辺部22bとを備える。二つの短辺部22bは、長辺部の両端からそれぞれ直角に突出している。第一支持部21において、外側長辺部21bと、二つの第二連結部21eとによって、窪み21fが形成されており、この窪み21fに、第二支持部22の長辺部が外側長辺部21bに平行に配置されている。網部20に直角な方向において、第二支持部22の長辺部は外側長辺部21bに隣接して並ぶ。第二支持部22の二つの短辺部22bはそれぞれ前後に配置されており、その先端を内側長辺部21aに向けている。第二支持部22の短辺部22b先端は内側長辺部21aに連なっている。網部20に直角な方向において、第二支持部22は内側長辺部21aよりも若干外側(
図4の上側)に突出している。窪み21fによって、窪み21fがない場合に比べて、第二支持部22の突出幅は抑制されている。
【0038】
図4に示すように、第一支持部21及び第二支持部22の前端部に、後述するフック8が掛止する掛止孔24が形成されている。より詳細には、内側長辺部21aの前端部と、第一支持部21の前側短辺部21c及び前側第一連結部21dと、第二支持部22の前側短辺部22bによって、矩形の掛止孔24が形成されている。掛止孔24は網部20よりも前側に配置されている。
【0039】
図3に示すように、枠部23の右辺部分23cにも第一支持部21、第二支持部22及び掛止孔24が設けられている。右辺部分23cに設けられた第一支持部21及び第二支持部22は、左右対称な構造であることを除けば、左辺部分23bに設けられた第一支持部21及び第二支持部22と同様な構成であるので、その詳細な説明を省略する。
【0040】
網2は、例えば、網部20の一面、即ち第一支持部21及び第二支持部22が設けられている面を上に向け、掛止孔24を前に配置させて、左右の溝17に第一支持部21及び第二支持部22を挿入し、筐体1内に配置される。第一支持部21は溝17の下側面(下凸部15)に支持される。
【0041】
ユーザは、必要に応じて、網部20の他面、即ち第一支持部21及び第二支持部22が設けられていない面を上に向けて、左右の溝17に第一支持部21及び第二支持部22を挿入し、網2を筐体1内に配置してもよい。網部20の他面を上に向けた場合、第二支持部22が溝17の下側(下凸部15)に支持されるので、網部20の一面を上に向けた場合に比べて、網部20と上ヒータ10との間の距離が短くなる。
【0042】
前記上凸部14の突出部14aと、下凸部15との間の上下寸法は、第一支持部21及び第二支持部22の上下寸法よりも大きい。そのため、第一支持部21及び第二支持部22と、溝17の上側面との間には隙間が形成される。即ち、網部20に直角な方向において、網2と溝17の側面との間に隙間が形成される。
【0043】
図6は、
図2にてVI線で囲った部分の略示部分右側面図である。扉7の内面にて、二つのフック8が窓3の左右縁の外側にそれぞれ設けられている(後述する
図9参照)。フック8は側面視L形をなし、第一辺部8aと、該第一辺部8aの一端部から直角に突出した第二辺部8bとを有する。第一辺部8aは、扉7の中央よりも若干開口1aの下縁部寄りに配置され、第二辺部8bは、第一辺部8aよりも前記下縁部に近い側、即ち、扉7の支点(開口1aの下縁部に連結された部分)に近い側に配置されている。第二辺部8bは扉7の内面に対して略直角に突出する。
図2及び
図6に示すように、扉7が閉位置に配されている状態において、第一辺部8aの他端部が上側を向き、第二辺部8bの突出端部が後側を向くように、第一辺部8aは扉7に固定されている。
【0044】
第一辺部8aの他端部には、扉7に直角な方向に突出した第一突出部8cが形成されている。第一突出部8cにおける第二辺部8bに近い部分の突出幅は、第二辺部8bに近づくに従って、漸次短くなる。第二辺部8bの突出端部には、扉7に平行な方向であって、第一突出部8c側に突出した第二突出部8dが形成されている。第二突出部8dにおける扉7の反対側部分に傾斜面8eが形成され、第二突出部8dにおける扉7側部分に第二傾斜面8fが形成されている。傾斜面8e及び第二傾斜面8fは、扉7に直角な方向における第二突出部8dの幅が、第二突出部8dの先端に向かうに従って、短くなるように、傾斜している。即ち、側面視において、傾斜面8e及び第二傾斜面8fの間の角度が鋭角になるように、傾斜面8e及び第二傾斜面8fは傾斜している。傾斜面8e及び第二傾斜面8fの連結部分、即ち第二突出部8dの先端部分には、曲面8gが形成されている。
【0045】
図2及び
図6に示すように、上下方向において、フック8における第一突出部8cと第二突出部8dとの間の部分は窪んでおり、扉7が閉位置に配されている場合、前記窪んだ部分は、溝17と略同じ位置に配される。掛止孔24を前側に配置させて、規制部16に当接するまで、左右の溝17に網2が挿入された場合、網2の前端部分(掛止孔24)は、フック8の窪んだ部分(第一突出部8cと第二突出部8dとの間の部分)に配置される。
【0046】
即ち、第一辺部8aは、掛止孔24の前側にて掛止孔24の軸方向(上下方向)に延び、第二辺部8bは後方に延び、前記軸方向にて掛止孔24の隣(下側)に配置される。第二突出部8dは掛止孔24側(上側)に突出する。
【0047】
図7は、閉位置から開位置に向けて扉7を移動させている間に、扉7がフック8に掛止している状態を示す加熱調理器の右側面断面図、
図8は、開位置に扉7を配した加熱調理器の右側面断面図、
図9は、扉7を開位置に配した加熱調理器の斜視図、
図10は、第二突出部8dにおける先端部分の移動軌跡Pを説明する説明図である。
図7~
図9において、網2には被加熱物50が載置されている。なお、開位置とは、筐体1の前面に対して略直角な姿勢で扉7が開口1aから離れ、開口1aが開放される位置をいう(
図8及び
図9参照)。
図10において、一点鎖線は、上下方向における掛止孔24の内側前縁部の位置を示し、閉位置におけるフック8は最も後側に記載され、開位置におけるフック8は最も前側に記載されている。
【0048】
扉7が閉位置から開位置に向けて、回転を開始した後、フック8の第二突出部8dは掛止孔24に挿入されるか、又は、掛止孔24の軸方向(上下方向)にて、掛止孔24と同じ位置に配される。第二突出部8dは掛止孔24の前縁部に掛止される。網2は、扉7の回転に従って、前方に移動する(
図7参照)。第二突出部8dの先端部分が、筐体1の前面から距離D(
図10参照)前方に離れた位置に到達した場合、フック8の掛止は解除される。開位置に到達した場合、扉7は静止する(
図8及び
図9参照)。網2は筐体1から距離D引き出され、フック8は網2から離れる。距離Dは、例えば、9~10cmである。フック8は網2よりも下側に配置され、網2よりも上側に突出しない。即ち、フック8は、掛止孔24の軸方向(上下方向)にて、掛止孔24から離れた位置に配される。
【0049】
図10に示すように、第二突出部8dの移動軌跡Pは上側に突出した円弧状をなす。そのため、筐体1の前面と、該前面から距離D離れた位置との間の範囲において、前記範囲の中央部における網2の前方への移動速度に比べて、前記範囲の前部における網2の前方への移動速度は小さくなる。即ち、網2の引き出し速度は徐々に減少し、網2が過剰に前方に飛び出すことを抑制することができる。
【0050】
フック8を小型に設計しても、フック8と、回転の為の扉7の支点(開口1aの下縁部に連結された部分)との間の距離を比較的長くすることができ、網2の引き出し距離Dを長くすることができる。そのため、網2の後側に配置された被加熱物50も容易に取り出すことができる。フック8は小型であり、且つ網2から離れているので、被加熱物50を取り出す際に、ユーザの手がフック8に当たることを防止することができる。また開位置において、フック8は網2の上側に突出しないので、大きな被加熱物50でも網2に載せやすい。
【0051】
ユーザは網2を溝17から抜き出し、筐体1の外へ容易に取り出すことができ、網2及び筐体1内の清掃を容易に行うことができる。また網2と共に、被加熱物50を筐体1の外へ取り出すことができるので、調理済み食材の配膳を効率的に行うことができる。
【0052】
図11は、開位置から閉位置に向けて扉7を移動させている間に、フック8が網2に接触した状態を示す加熱調理器の右側面断面図である。
図8及び
図9に示す開位置から閉位置に向けて扉7を移動させた場合、第二突出部8dは掛止孔24に挿入され、フック8の第一突出部8c及び第二突出部8dの間の窪んだ部分が、掛止孔24の前側外縁部に当接する。フック8は網2を後方に向けて押す。扉7は閉位置まで回転し、網2は規制部16に当接するまで後方に移動する。
【0053】
図12は、筐体1内に収納された網2の前端部にフック8が当接した状態を示す加熱調理器の右側面断面図である。例えば、扉7が開位置に配され、網2が溝17に挿入されて、網2の前端部が、筐体1の前面と、該前面から距離D離れた位置との間の範囲に配置された場合において、扉7を閉位置に向けて移動させたとき、第二突出部8dの後部が掛止孔24の前側外縁部に当接する。第二突出部8dは網2を後方に押す。
【0054】
図13は、掛止孔24の前側に配置された第二突出部8dが掛止孔24に挿入される過程を説明する説明図である。
図13の実線にて示すように、掛止孔24の前側外縁部に、第二突出部8dの傾斜面8eが当接する。
図13の一点鎖線にて示すように、扉7が回転し、第二突出部8dは下方に移動する。網2は第二突出部8dによって押される。上述したように、網2と溝17との間には隙間が設けられているので、押された網2は上側に移動することができる。そのため、掛止孔24の前縁部は傾斜面8eに接触しながら、上方に移動する。
【0055】
図13の二点鎖線にて示すように、更に扉7が回転し、掛止孔24の前縁部は第二突出部8dの先端部、即ち曲面8gを乗り越えて、第二傾斜面8fよりも前側に配置され、第二突出部8dは掛止孔24に挿入される。
【0056】
実施の形態1に係る加熱調理器にあっては、扉7が開位置及び閉位置の間に配されている場合、即ち、扉7の開動作中にフック8は網2に掛止し、網2は前方に移動する。扉7が開位置に配された場合、フック8の掛止は解除される。そのため、ユーザは、筐体1から網2を外に出すために、網2からフック8を取り外す必要がなくなり、保守管理が容易となる。
【0057】
扉7が開位置に配された場合、フック8は掛止孔24から離れた位置に配される。網2から離れているので、ユーザのフック8への接触が抑制される。扉7の開動作中に、フック8は掛止孔24に挿入されるか、掛止孔24と同じ軸方向位置に配され、網2は前方に移動する。
【0058】
また扉7を閉じる場合であって、第二突出部8dが掛止孔24の外縁部に接触したとき、前記外縁部は、傾斜面8eに沿って第二突出部8dの突出端に向けて移動し易くなる。その結果、掛止孔24の縁部は、前記突出端を超えてフック8に掛止され易くなる。また網2に直角な方向において、網2は移動し易くなり、フック8が網2に当たった場合、網2はフック8の先端を超えて掛止され易くなる。
【0059】
また網部20の一面にて、枠部23に第一支持部21及び第二支持部22が重なっている。そのため、前記一面を上ヒータ10に向けて網2を配置させた場合における上ヒータ10と前記一面との間の第一距離と、網部20の他面を上ヒータ10に向けて網2を配置させた場合における上ヒータ10と前記他面との間の第二距離とは異なる。一面又は他面のいずれを上ヒータ10に向けるのかをユーザは選択し、被加熱物50の焼き加減を調整することができる。
【0060】
(実施の形態2)
以下本発明を、実施の形態2に係る加熱調理器を示す図面に基づいて説明する。実施の形態2に係る構成の内、実施の形態1と同様な構成については、同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図14は、扉7を閉位置に配した加熱調理器の右側面断面図である。
【0061】
図14の矢印にて示すように、扉7は、開口1aの上縁部回りに回転可能である。扉7の外面下側に取手4が設けられている。フック8は逆L形を有する。フック8の構成は、実施の形態1のフック8と上下対称であることを除けば、実施の形態1と同様である。実施の形態2においても、実施の形態1と同様な作用効果を奏する。
【0062】
(実施の形態3)
以下本発明を、実施の形態3に係る加熱調理器を示す図面に基づいて説明する。実施の形態3に係る構成の内、実施の形態1又は2と同様な構成については、同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図15は、網2の正面断面図、
図16は、扉7を閉位置に配した加熱調理器の平面断面図である。
【0063】
図15に示すように、枠部23の右辺部分23cの前端部において、環状部材25が第一支持部21に設けられている。環状部材25は、左右方向を軸方向とした掛止孔24を有する。
図16の矢印にて示すように、扉7は開口1aの左縁部回りに回転可能である。扉7の正面右縁部に取手4が設けられている。フック8は扉7の後面右縁部に設けられており、第二突出部8dは左方に突出している。実施の形態3においても、実施の形態1又は2と同様な作用効果を奏する。なお、扉7は開口1aの右縁部回りに回転可能であってもよい。この場合、環状部材25は枠部23の左辺部分23bに設けられ、フック8は扉7の後面左縁部に設けられる。
【0064】
(実施の形態4)
以下本発明を実施の形態4に係る加熱調理器を示す図面に基づいて説明する。実施の形態4に係る構成の内、実施の形態1~3と同様な構成については、同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図17は、扉7を開いた加熱調理器を示す断面斜視図である。
図17において、網2の記載を省略している。
図17に示すように、実施の形態4においては、三つの下ヒータ12を備えている。なお下ヒータ12の数は限定されない。
【0065】
図17に示すように、筐体1の内側において、筐体1の左側面に、第一案内部18aと、第二案内部18bとが形成されている。第一案内部18aは、前記左側面から右側に突出し、前後に延びる。第二案内部18bは、第一案内部18aの後側に配置されており、第一案内部18aから離れている。第二案内部18bは、前記左側面から右側に突出し、前後に延びる。第二案内部18bの前後寸法は第一案内部18aよりも長い。
【0066】
筐体1の左側面に、係止部18cが形成されている。係止部18cは、前後方向における第一案内部18a及び第二案内部18bの間であって、第一案内部18a及び第二案内部18bよりも上側に配置されている。係止部18cは前記左側面から右側に突出し、前後に延びる。前記左側面には、凸部18dが形成されている。該凸部18dは、第二案内部18bの後側に配置されている。筐体1の右側面にも、同様に、第一案内部18a、第二案内部18b、係止部18c及び凸部18dが設けられている。筐体1の右側面における第一案内部18a、第二案内部18b、係止部18c及び凸部18dそれぞれの前後位置は、左側面における第一案内部18a、第二案内部18b、係止部18c及び凸部18dのそれぞれと略同じである。左右の凸部18dによって、網2は左右方向に位置決めされる。
【0067】
扉7の内面に二つのフック8が扉7の内面の左右縁部にそれぞれ設けられている。
図17においては、左側のフック8のみ示す。フック8は、扉7から略直角に突出した第一部分8mと、該第一部分8mの突出部分から取手4側(扉7を閉じた場合における上側)に突出した第二部分8hとを備える。第二部分8hの突出端部には、突出端(扉7を閉じた場合における上端)に向かうに従って、前記扉7に直交する方向(扉7を閉じた場合における前後方向)の幅が短くなるように、傾斜面8kが形成されている。傾斜面8kは、扉7に直交する方向において、第二部分8hの両側に形成されている。
【0068】
扉7の内面に二つの当接部9が、二つのフック8の上側にそれぞれ設けられている。当接部9は直角台形状をなし、当接部9の上底9aは下底9bよりも短い。扉7を閉じた場合、上底9a及び下底9bに直角な第一脚9cが上側に位置し、上底9a及び下底9bに対して傾斜した第二脚9dが下側に位置し、下底9bが前側に位置し、上底9aが後側に位置する。扉7を閉じた場合、第二脚9dは、扉7の内面に対し、後側に向かうに従って上昇するように傾斜する。
【0069】
図18は、網2の略示斜視図、
図19は、網2の略示平面図、
図20は、網2の略示拡大右側面図である。網2は、網部20、下枠231、上枠232を備える。網部20は平面視矩形状をなし、左右に延びる。下枠231は網部20の下面外周部に沿って設けられ、上枠232は網部20の上面外周部に沿って設けられている。
【0070】
下枠231及び上枠232の右部に、第一支持部210及び第二支持部220が設けられている。第一支持部210は平面視矩形状をなし、前後に延びる。第一支持部210は、前後に延びる第一長辺部211及び第二長辺部212を備える。第一長辺部211は第二長辺部212よりも左側に位置し、第一長辺部211及び第二長辺部212の前後寸法は略同じである。第一長辺部211及び第二長辺部212の前端部は短辺部213によって連結される。第一長辺部211及び第二長辺部212の後端部は短辺部214によって連結される。第一長辺部211及び第二長辺部212の前端部と短辺部213とは、網部20、下枠231及び上枠232の前縁部よりも前側に突出する。第一長辺部211及び第二長辺部212の後端部と、短辺部214とは、網部20、下枠231及び上枠232の後縁部よりも前側に位置する。
【0071】
第一長辺部211は、下枠231及び上枠232の右部に固定される。
図20に示すように、第一長辺部211の上下位置は、下枠231及び上枠232の位置の略中間である。第一長辺部211は下枠231及び上枠232に取り付けられている。第二長辺部212の前部に上側に突出した規制部212aが形成される。規制部212aは、上枠232よりも上側に突出する。第二長辺部212において、規制部212aの後側に、後側に向かうに従って下降傾斜する傾斜部212bが形成される。第二長辺部212の後端部に、後側に向かうに従って上昇傾斜する傾斜部212cが形成される。傾斜部212cの後端の上下位置は、第一長辺部211の上下位置と略同じである。
図20に示すように、第二長辺部212における傾斜部212bと傾斜部212cとの間の部分の上下位置は、下枠231の上下位置と略同じである。
【0072】
傾斜部212bと傾斜部212cとの間には窪みが形成される。傾斜部212bと傾斜部212cとの間の窪みに、第二支持部220が設けられている。第二支持部220は平面視L形をなし、短辺部221と、長辺部222とを備える。短辺部221は、傾斜部212bの左側において、第一長辺部211から右側に突出する。短辺部221の突出端は窪みの前端部に位置する。長辺部222は、短辺部221の突出端から傾斜部212c付近まで後側に延びる。
【0073】
長辺部222の後端部に、上側に突出した突出部222aが形成されている。即ち、突出部222aは網部20に直角な方向に突出する。突出部222aは、長辺部222の中途部から後側に向かうに従って上昇傾斜する。突出部222aの後端部は下降傾斜する。突出部222aにおいて、上昇傾斜部分と、下降傾斜部分との間は、略平坦である。
【0074】
短辺部221と、短辺部213と、第一長辺部211における二つの短辺部221、213の間に位置する部分と、第二長辺部212における二つの短辺部221、213の間に位置する部分とによって囲まれた部分は、掛止孔240を形成する。前述の規制部212aは掛止孔240の右縁部に位置する。
【0075】
下枠231及び上枠232の左部にも、右部と同様に、第一支持部210及び第二支持部220が設けられている。前記左部における第一支持部210及び第二支持部220の構成と、右部における第一支持部210及び第二支持部220の構成とは、左右対称な形状であることを除けば、同様であるので、前記左部における第一支持部210及び第二支持部220の構成については、その詳細な説明を省略する。
【0076】
図21は、網2を筐体1に収納し、扉7を閉じた加熱調理器の略示右側面断面図である。網2は、規制部212aを上に向けた状態で、係止部18cと、第一案内部18a及び第二案内部18bとの間に前側から挿入される。即ち、第二長辺部212と、長辺部222とが第一案内部18a及び第二案内部18bと、係止部18cとの間に挿入される。第一案内部18a及び第二案内部18bは、網2を前後方向に案内する。突出部222aが係止部18cの下側に挿入された場合、係止部18cから下向きの力が付与され、突出部222aは弾性変形する。突出部222aが変形した状態で、網2が更に後側に挿入され、突出部222aが係止部18cの後側に配置された場合、突出部222aは弾性復元力によって上側に移動し、元の形状に戻る。網2を筐体1に収納した場合、突出部222aは係止部18cよりも上側に位置する。網2を筐体1に収納した場合、規制部212aは、係止部18cの前側且つ第一案内部18aの上側に配置され、第一案内部18aに干渉しない。
【0077】
図21に示すように、扉7を閉じた場合、フック8の第一部分8mは後側に突出し、第二部分8hは上側に突出する。第二部分8hは掛止孔240の下側に配置される。
【0078】
図22は、扉7を開いた場合における加熱調理器の略示右側面断面図である。
図21に示す状態から扉7を開いた場合、フック8の第二部分8hは掛止孔240に挿入され、掛止孔240の前縁部に掛止され、前方に移動し、網2は前方に移動する。第二部分8hの先端部分が、筐体1の前面から距離D1前方に離れた位置に到達した場合、フック8の掛止は解除され、突出部222aは係止部18cの後端部に係止する。突出部222aが係止部18cに係止するので、網2の前方移動は停止され、距離D1を所定範囲に収めることができる。扉7を開いた場合、網2が勢いよく筐体1の外側に飛び出すことはない。
【0079】
図23は、扉7を閉じる場合における加熱調理器の略示部分拡大右側面図である。
図22に示す状態から扉7を閉じる場合、フック8の第二部分8hは掛止孔240に挿入され、掛止孔240の前縁部、即ち短辺部213が、当接部9の第二脚9d及び扉7の内面によって押され、網2は後方に移動する。距離D1は所定範囲に収められているので、網2は、フック8の掛止が解除された位置を保持することができる。そのため、扉7を閉じる場合、第二部分8hは掛止孔240に円滑に挿入される。また第二部分8hが短辺部213に接触したとき、短辺部213は、傾斜面8kに沿って第二部分8hの突出端に向けて移動し易くなる。その結果、短辺部213は、前記突出端を超えてフック8に掛止され易くなる。
【0080】
図24は、規制部212aを下に向けた状態で網2を筐体1に入れた場合における加熱調理器の略示右側面断面図である。網2は、係止部18cと、第一案内部18a及び第二案内部18bとの間に前側から挿入される。規制部212aは第一案内部18aの前部に接触する。規制部212aが第一案内部18aに干渉するので、網2の前端部は筐体1に収納されない。そのため、加熱調理器の利用者は、網2を非正常な向きで筐体1に入れたことを認識できる。
【0081】
なお係止部18cを第一案内部18a及び第二案内部18bの下側に設け、規制部212a及び突出部222aを下側に突出させてもよい。また第一案内部18a及び第二案内部18bを連続させてもよい。
【0082】
なお左側にのみフック8及び当接部9を設けてもよいし、右側にのみフック8及び当接部9を設けてもよい。左側又は右側の一方にのみ、フック8及び当接部9を設けた場合でも、フック8を網2に掛止させて、網2を前に引き出すことができ、当接部9及び扉7によって、網2を筐体1に収納させることができる。左側にのみフック8及び当接部9を設けた場合であって、右利きのユーザが扉7を開いて、筐体1の底部に対して、屑を受けるトレイ(図示略)を取り付けるか又は取り外したとき、ユーザの右腕の服の袖にフック8又は当接部9は引っ掛からない。右側にのみフック8及び当接部9を設けて、左利きのユーザが扉7を開く場合も同様である。
【0083】
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。各実施例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0084】
1 筐体
1a 開口
2 網
20 網部
21 第一支持部
22 第二支持部
23 枠部
24、240 掛止孔
212a 規制部
222a 突出部
7 扉
8 フック
8a 第一辺部
8b 第二辺部
8d 第二突出部(突出部)
10 上ヒータ
12 下ヒータ
17 溝
18a 第一案内部
18b 第二案内部
18c 係止部