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  • 特許-局所冷却器及び局所冷却方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】局所冷却器及び局所冷却方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/20 20060101AFI20240806BHJP
【FI】
F24F1/0007 401C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021516002
(86)(22)【出願日】2020-04-13
(86)【国際出願番号】 JP2020016282
(87)【国際公開番号】W WO2020218059
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-07-07
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】P 2019084385
(32)【優先日】2019-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100181135
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 隆史
(72)【発明者】
【氏名】轟 孔一
(72)【発明者】
【氏名】吉川 実
(72)【発明者】
【氏名】石原 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】千葉 正樹
(72)【発明者】
【氏名】宮本 善則
(72)【発明者】
【氏名】棗田 貴文
(72)【発明者】
【氏名】ラジャプト ニルマル シング
【合議体】
【審判長】間中 耕治
【審判官】水野 治彦
【審判官】槙原 進
(56)【参考文献】
【文献】実開昭51-71060(JP,U)
【文献】特開2005-49090(JP,A)
【文献】特開平8-100933(JP,A)
【文献】実開昭59-129020(JP,U)
【文献】特開昭61-190222(JP,A)
【文献】実開昭58-160813(JP,U)
【文献】特開2014-119172(JP,A)
【文献】特開2013-145112(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F1/0014-13/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱型に形成された筐体と、
該筐体の正面側に位置する下部位置から後方部上方に延びる傾斜面に沿って設けられた熱交換器と、
前記筐体の正面に設けられた第1吸排気口と、
前記筐体の底面に設けられた第2吸排気口と、
前記筐体の側面、上面及び後面のいくつかに設けられた第3吸排気口と、
前記第1~第3吸排気口を選択的に遮蔽可能な塞ぎ板と、を具備し、
前記筐体は直方体形状に形成され、
前記筐体の側面に位置する前記第3吸排気口は、前記傾斜面に沿って設けられた前記熱交換器により三角形状に形成され、
前記筐体内の傾斜面に位置する熱交換器の真ん中より下側の位置には、前記第1~第3吸排気口のいずれかから吸い込んだ空気を送る軸流送風機が設けられていることを特徴とする局所冷却器。
【請求項2】
前記第2吸排気口及び前記熱交換器の下側に位置する第3吸排気口は吸気用の開口であり、
前記第1吸排気口及び前記熱交換器の上側に位置する第3吸排気口は排気用の開口であることを特徴とする請求項1に記載の局所冷却器。
【請求項3】
前記塞ぎ板は、全体の空気の流れを調整するために前記第1吸排気口及び第2吸排気口のいずれか一方側に設置されることを特徴とする請求項2に記載の局所冷却器。
【請求項4】
前記塞ぎ板は、さらに全体の空気の流れを調整するために前記第3吸排気口のいずれかにも設置されることを特徴とする請求項3に記載の局所冷却器。
【請求項5】
前記塞ぎ板として、気流を横断する方向に向く取付軸を中心に回動自在な羽体を有するルーバーが設置されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の局所冷却器。
【請求項6】
前記熱交換器の後端部は、前記筐体の上面から間隔を有するように前記筐体の後面に配置され、
前記熱交換器の後端部を挟んだ前記筐体の後面の上部位置及び下部位置に、前記第3吸排気口として2つの後部開口が形成されることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の局所冷却器。
【請求項7】
筐体の正面側に位置する下部位置から後方部上方に延びる傾斜面に沿うように熱交換器を配置した上で、
前記筐体の正面に第1吸排気口、前記筐体の底面に第2吸排気口をそれぞれ設けるとともに、前記筐体の側面、上面及び後面のいくつかに第3吸排気口を設け、
前記第1~第3吸排気口を塞ぎ板により選択的に遮蔽することを特徴とする局所冷却方法であって、
該局所冷却方法が実行される局所冷却器は、
箱形の筐体の正面側に位置する下部位置から後方部上方に延びる傾斜面に沿って設けられた熱交換器と、
前記筐体の正面に設けられた第1吸排気口と、
前記筐体の底面に設けられた第2吸排気口と、
前記筐体の側面、上面及び後面のいくつかに設けられた第3吸排気口と、
前記第1~第3吸排気口を選択的に遮蔽可能な塞ぎ板と、を具備し、
前記筐体は直方体形状に形成され、
前記筐体の側面に位置する前記第3吸排気口は、前記傾斜面に沿って設けられた前記熱交換器により三角形状に形成され、
前記筐体内の傾斜面に位置する熱交換器の真ん中より下側の位置には、前記第1~第3吸排気口のいずれかから吸い込んだ空気を送る軸流送風機が設けられていることを特徴とする局所冷却方法。
【請求項8】
前記第2吸排気口及び前記熱交換器の下側に位置する第3吸排気口は吸気用の開口であり、
前記第1吸排気口及び前記熱交換器の上側に位置する第3吸排気口は排気用の開口であることを特徴とする請求項7に記載の局所冷却方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバルーム内のホットスポットの出現を解消して効率の良い熱交換を可能とする局所冷却器及び局所冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
データセンタや通信局舎に設置されているサーバルームでは、収容されている各サーバの負荷にばらつきが生じることがある。このようなサーバルームにおいて、さらにサーバの各所から出される排熱が不均一である場合に、室内にホットスポットと呼ばれる局所的に空気温度の高い場所ができる。
このようなホットスポットに対応した技術として、例えば特許文献1が提案されている。
【0003】
特許文献1に示される冷却システム50は、図7に示されるようなサーバルームに設置される。このサーバルームには、各々4台のサーバラック51により構成される2列のサーバラック列52が設置される。各サーバラック51には複数のサーバが収納される。各サーバラック51の上部には、局所空調機53が4台ずつ向き合うように配置され、冷却システム50を構成する。
これら局所空調機53は、冷媒装置(図示略)から冷媒管54に供給された液冷媒と、後部に位置する空気吸込口55から取り込んだ空気a1(暖気)とで熱交換を行い、液冷媒によって冷却された空気a2(冷気)を前部に位置する空気吹出口56から送出する。
このような冷却システム50は、各局所空調機53の空気吹出口56から送出された空気a2(冷気)により、サーバラック列52の間の空間に低温空間Lを形成する。
空気a2(冷気)は、サーバラック51を通過することによりサーバラック51内の発熱源と熱交換され、空気a1(暖気)となる。この空気a1(暖気)は、サーバラック列52と壁等の遮蔽物との間で高温空間Hを形成する。高温空間Hにおける空気a1(暖気)は、局所空調機53の後部に位置する空気吸込口55から吸い込まれる。
【0004】
ところで、上記特許文献1に示される冷却システムにおいては、暖気と冷気との流れが限定されており、多くの場合は、空気温度が高い場所に合わせて局所空調機53の冷却温度を設定するため、運転のために余計な電力が必要となり、冷却電力が増大する傾向にある。
冷却電力を削減するひとつの方法として、局所冷却器を配置し、各々の場所に合わせた冷却を実施する試みが進められている。
【0005】
例えば、特許文献2に示される空気調和器は、吹出切替パネルを切り替えることにより正面吹出または両サイド吹出へと風向を変更することができる。したがって、この空気調和器は、風向きを変更することによって、部屋の温度分布を調整することが可能となる。
これにより、上述したサーバルームでは、時々刻々と変わる各々のサーバの負荷に伴い、ホットスポットの発生位置が変化することに対応して、局所冷却器を柔軟に配置することによってホットスポットの解消を図ることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-221634号公報
【文献】特開2005-69652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2は、吹出切替パネルを切り替えることにより、正面吹出または両サイド吹出へと風向を変更するという構成を開示するのみである。すなわち、特許文献2は、ホットスポットを解消するためにどのように風向きを変更するかについて具体的な構成を開示していない。
【0008】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、ホットスポットを解消するために、熱を含む空気(暖気)又は放熱後の空気(冷気)流路を具体的かつ自在に構築することができる局所冷却器及び局所冷却方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の第1態様による局所冷却器は、箱型に形成された筐体と、前記筐体の正面側に位置する下部位置から後方部上方に延びる斜面に沿って設けられた熱交換器と、前記筐体の正面に設けられた第1吸排気口と、前記筐体の底面に設けられた第2吸排気口と、前記筐体の側面、上面及び後面のうちの複数個所に設けられた第3吸排気口と、前記第1~第3吸排気口を選択的に遮蔽可能な塞ぎ板とを具備する。
【0010】
本発明の第2態様による局所冷却方法では、筐体の正面側に位置する下部位置から後方部上方に延びる斜面に沿うように熱交換器を配置した上で、前記筐体の正面に第1吸排気口を設け、前記筐体の底面に第2吸排気口を設けるとともに、前記筐体の側面、上面及び後面のうち複数個所に第3吸排気口を設け、前記第1~第3吸排気口を塞ぎ板により選択的に遮蔽する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、熱を含む空気(暖気)流路又は放熱後の空気(冷気)流路を自在に変更することができ、室内に局所的に空気温度の高いホットスポットが出現することを未然に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係る局所冷却器の構成を示す斜視図である。
図2】本発明の第2実施形態に係る局所冷却器の構成を示す斜視図である。
図3】第2実施形態における塞ぎ板の構成を示す側面図である。
図4A】第2実施形態に係る局所冷却器の空気流路を示す斜視図である。
図4B】第2実施形態に係る局所冷却器の空気流路を示す斜視図である。
図5】本発明の第3実施形態に係る局所冷却器の構成を示す斜視図である。
図6】本発明の第4実施形態に係る局所冷却器の構成を示す斜視図である。
図7】特許文献1に示される従来の冷却システムを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の第1実施形態に係る局所冷却器100について図1を参照して説明する。
この局所冷却器100は、箱型に形成された筐体1と、筐体1内の熱交換器2と、筐体1に形成された第1吸排気口3A、第2吸排気口3B及び第3吸排気口4~9と、これら吸排気口を選択的に遮蔽可能な塞ぎ板10とからなる。
【0014】
熱交換器2は、筐体1の正面側に位置する下部位置から後方部上方に延びる斜面に沿って設けられる。
第1吸排気口3Aは筐体1の正面に設けられる開口であって、主にこの開口を通じて冷気が排出される。
第2吸排気口3Bは筐体1の底面に設けられる開口であって、主にこの開口を通じて暖気が吸入される。
【0015】
第3吸排気口4~9は、筐体1の側面、上面及び後面に設けられる開口である。
なお、第1実施形態では、熱交換器2を挟んで筐体1の上部の3か所に第3吸排気口4~6、熱交換器2を挟んで筐体1の下部の3か所に第3吸排気口7~9が設けられており、これら第3吸排気口4~6を通じて主に冷気が排出され、第3吸排気口7~9を通じて主に暖気が吸入される。これら吸排気口4~9の位置及び数は自由に定めることができる。
【0016】
塞ぎ板10は、第1吸排気口3A、第2吸排気口3B及び第3吸排気口4~9を選択的に遮蔽可能に取り付けられるものであって、その取付により、暖気/冷気を最適な場所から取込み又は排出させることができる。
【0017】
以上説明した第1実施形態に係る局所冷却器100は、筐体1の底面に設けられた第2吸排気口3B及び/又は第3吸排気口7~9を通じて、熱を含む空気(暖気)を筐体1内に取り込むことができる。
その後、筐体1内に取り込まれた熱を含む空気(暖気)は、筐体1の正面側に位置する下部位置から後方部上方に延びる斜面に沿うように設置された熱交換器2により放熱及び冷却される。
さらに、本実施形態においては、筐体1の正面、側面及び上面のいくつかに設けられた複数の第1吸排気口3A及び/又は第3吸排気口4~6を通じて、放熱後の空気(冷気)を外部に排出することができる。
【0018】
このとき、本実施形態においては、第1吸排気口3A、第2吸排気口3B及び第3吸排気口4~9を塞ぎ板10により選択的に遮蔽することで、熱を含む空気(暖気)又は放熱後の空気(冷気)流路を自在に変更することができ、室内に局所的に空気温度の高いホットスポットが出現することを未然に防止できる。
【0019】
なお、本実施形態に係る局所冷却器100においては、主に、第2吸排気口3B及び/又は第3吸排気口7~9が空気(暖気)を吸入する吸気口に設定され、第1吸排気口3A及び/又は第3吸排気口4~6が放熱後の空気(冷気)を排出する排気口に設定されている。しかしながら、いずれを吸気口/排気口とするかは自由に設定できる。
【0020】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る局所冷却器101について図2図3図4Aおよび図4Bを参照して説明する。
この局所冷却器101は、直方型に形成された筐体11と、筐体11内の熱交換器12と、筐体11に形成された第1吸排気口13A、第2吸排気口13B及び第3吸排気口14~18と、これら吸排気口を選択的に遮蔽可能な塞ぎ板20とからなる。
【0021】
なお、図2において、矢印A1方向を正面側、矢印A2方向を後方側とし、矢印B1方向を上方側、矢印B2方向を下方側とする。
この局所冷却器101は、サーバルームなどのホットスポットが出現され易い空間にて使用可能である。
【0022】
熱交換器12は、筐体11の正面側に位置する前端部12Aから後端部12Bに延びる斜面に沿って四角形状に設けられ、その内部又は下部面に冷媒が流通する冷却管(図示略)が配置される。
熱交換器12においては、冷却管に沿って下部から上部に向けて冷媒が流通する。また、この熱交換器12では、斜面に対して冷却対象となる空気が交差及び貫通するとともに斜面に沿って当該空気が移動することで、冷媒との熱交換がなされる。
【0023】
第1吸排気口13Aは熱交換器12の上方でありかつ筐体11の正面に設けられる開口であって、本例ではこの開口を通じて冷気が排出される。
第2吸排気口13Bは熱交換器12の下方でありかつ筐体11の底面に設けられる開口であって、本実施形態ではこの開口を通じて暖気が吸入される。
【0024】
第3吸排気口14~16は、熱交換器12の上方でありかつ筐体11の両方の側面及び上面に設けられる開口であって、本実施形態ではこの開口を通じて熱交換器12で冷却された冷気が排出される。
第3吸排気口17,18は、熱交換器12の下方でありかつ筐体11の両方の側面に設けられる開口であって、本実施形態ではこの開口を通じて暖気が吸入される。
すなわち、本実施形態では、熱交換器12を挟んで筐体11の上部に3か所の吸排気口14~16、熱交換器12を挟んで筐体11の下部に2か所の吸排気口17,18がそれぞれ設けられる。一方で、筐体11の後面には開口部が形成されていない。
【0025】
塞ぎ板20は、第1吸排気口13A、第2吸排気口13B及び第3吸排気口14~18を選択的に遮蔽可能に取り付けられるものであって、その選択的な取付により、熱を含む空気(暖気)又は放熱後の空気(冷気)流路を自在に変更することができる。
なお、塞ぎ板20は、第1吸排気口13A、第2吸排気口13B及び第3吸排気口14~18の開口周縁部に形成された溝部に嵌め込み可能な板状体(図2参照)により構成しても良い。
また、この塞ぎ板20は、図3に示すような、開口周縁部又は開口を横断するように配置した軸体21を介して、複数の板状体22を回動自在に支持するルーバー23のように構成しても良い。
このとき、ルーバー23は、板状体22を個別に動作させても良いし、リンクを接続することで、複数の板状体22を開口単位で一括に開閉操作しても良い。
【0026】
以上説明した第2実施形態に係る局所冷却器101は、筐体11の底面に設けられた第2吸排気口13B及び/又は熱交換器12下方の第3吸排気口17,18を通じて、熱を含む空気(暖気)を筐体11内に取り込むことができる。
その後、筐体11内に取り込まれた熱を含む空気(暖気)は、筐体11の正面側に位置する下部位置から後方部上方に延びる斜面に沿うように設置された熱交換器12により放熱及び冷却される。
さらに、上記局所冷却器101は、筐体11の正面、側面、上面及び後面のいくつかに設けられた複数の第1吸排気口13A及び/又は第3吸排気口14~16を通じて、放熱後の空気(冷気)を外部に排出することができる。
【0027】
このとき、上記局所冷却器101は、第1吸排気口13A、第2吸排気口13B及び第3吸排気口14~18を塞ぎ板20により選択的に遮蔽することができる。したがって、局所冷却器101は、吸入する空気(暖気)又は放熱後の空気(冷気)流路を自在に変更可能であり、室内に局所的に空気温度の高いホットスポットが出現することを未然に防止できる。
一例として、上記局所冷却器101は、図4(A)に示されるように、熱交換器12の正面の第1吸排気口13Aを塞ぎ板20で閉鎖することで、熱交換器12の下方の第2吸排気口13Bを通じて空気(暖気)を筐体11内に取り込むことができる。その後、第2吸排気口13Bを通じて取り込まれた空気は暖気の上昇流により下部から上部に向けて移動する。その際、空気は、熱交換器12を通過することで冷却された後、吸排気口14~16から吐き出される(図4Aにおいては、吸排気口16から排出される空気流W1を示している)。
【0028】
さらに、上記局所冷却器101は、図4Bに示されるように、第1吸排気口13Aを閉鎖することに加えて、筐体11の上面に位置する吸排気口16を閉鎖する塞ぎ板20を追加的に設けることができる。この場合には、局所冷却器101は、筐体11内の熱交換器12を経て冷やされた空気(冷気)を、熱交換器12の上方でかつ筐体11の両側の吸排気口14,15から排出することができる(図4Bに空気流W2,W3として示す)。
なお、このときの空気流W2,W3は熱交換器12を通過後に90°カーブし、筐体11の両側の吸排気口14,15から排出される。
以上のような局所冷却器101においては、様々な空気流を後から決められるようにすることで、局所冷却器の設置自由度を上げ、様々な状況下でホットスポットの解消が可能となる。
【0029】
さらに、上記局所冷却器101は、図4A及び図4Bに示される塞ぎ板20の閉鎖パターンに限定されず、筐体11の上面に位置する吸排気口16のみを閉鎖した状態で、第1吸排気口13Aを通じて取り込んだ空気を、冷却後、第2吸排気口13Bから排出しても良い。
すなわち、上記局所冷却器101においては、筐体11の下面に位置する第2吸排気口13Bは、排気口として機能させるようにしても良く、状況に応じて様々な空気の流通経路を形成することが可能となる。
【0030】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について図5を参照して説明する。
第3実施形態に示される局所冷却器102が、第2実施形態に示される局所冷却器101と構成を異にする点は、熱交換器12’の設置位置である。
【0031】
第3実施形態に示される熱交換器12’においては、筐体11の正面側に位置する前端部12Aから後端部12Bに延びる斜面が形成されるとともに、該熱交換器12’の後端部12Bが、筐体11の上面から間隔を有するように筐体11の後面の中間位置に配置されている。
すなわち、第3実施形態に示される熱交換器12’は、第2実施形態に示される熱交換器12と比較して斜度が緩やかに設定されている。
【0032】
上記局所冷却器102においては、熱交換器12’の後端部12Bの上方でかつ筐体11の後面の上部位置に、後部排気口30が形成されている。
これにより、上記局所冷却器102は、筐体11の後面上部に設けられた後部排気口30を通じて、熱交換器12’の上面を滑るように上昇してきた空気を、符号W4で流路を横に変更することなくそのまま直進させることができる。
すなわち、上記局所冷却器102は、第1吸排気口13Aから吸入した空気に抵抗を加えることなく、そのまま前進させて筐体後面の後部排気口30から排出することができる。
【0033】
また、上記局所冷却器102は、第3吸排気口14~18を閉鎖した場合に、熱交換器12を通過後の空気を90°カーブさせることなく、後部排気口30から排出することもできる。
その結果、上記局所冷却器102は、空気流路の曲げ方向による冷却能力の低下を抑え、冷却能力を保ちつつ、空気の流れ方向を柔軟に決めることが可能となる。
【0034】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態について図6を参照して説明する。
第4実施形態に示される局所冷却器103が、第2及び第3実施形態に示される局所冷却器101,102と構成を異にする点は、熱交換器12の傾斜面に、第2吸排気口13Bから吸い込んだ空気を送る送風機40が設けられている点にある。
【0035】
この送風機40は、熱交換器12の上面側で、真ん中よりも下側(吸排気口13A側)に位置するものであって、空気の流れ方向が変わっても冷却性能を保つ役割がある。
具体的には、熱交換器12は、器内で相変化を起こす面積により冷却能力が決定されるが、冷却能力を高めるために、液冷媒が器内の冷却管流入後にけん熱で温められ相変化が起こる状態になるまでの時間を短くすることが重要となる。
このため、本実施形態では、冷媒の相変化を速やかに行わせるための送風機40を設置して、熱交換器12の冷却効率を高めるようにしている。
なお、上記送風機40は、遠心ファンを用いても良いし、軸流ファンでも良く、その形態は限定されない。
【0036】
また、上記第1~第4実施形態は互いに組み合わせても良く、ユーザーの使用形態に応じて適宜の組み合わせが可能である。
【0037】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0038】
本願は、2019年4月25日に、日本に出願された特願2019-084385号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、サーバルーム内のホットスポットの出現を解消して効率の良い熱交換が可能な局所冷却器及び局所冷却方法に適用できる。
【符号の説明】
【0040】
1 筐体
2 熱交換器
3A 第1吸排気口
3B 第2吸排気口
4 吸排気口
5 吸排気口
6 吸排気口
7 吸排気口
8 吸排気口
9 吸排気口
10 塞ぎ板
11 筐体
12 熱交換器
12’ 熱交換器
13A 第1吸排気口
13B 第2吸排気口
14 吸排気口
15 吸排気口
16 吸排気口
17 吸排気口
18 吸排気口
20 塞ぎ板
30 後部排気口
40 送風機
100 局所冷却器
101 局所冷却器
102 局所冷却器
103 局所冷却器
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7