(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】マイクロバルブおよび多方向バルブ器具
(51)【国際特許分類】
F16K 7/16 20060101AFI20240806BHJP
【FI】
F16K7/16 D
F16K7/16 E
(21)【出願番号】P 2021544744
(86)(22)【出願日】2020-01-24
(86)【国際出願番号】 GB2020050172
(87)【国際公開番号】W WO2020157472
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2022-11-22
(32)【優先日】2019-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】521338514
【氏名又は名称】シーエヌ バイオ イノベーションズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ヒューズ,デイビッド ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】バーラミ,シア
【審査官】大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-140980(JP,A)
【文献】特開昭55-72961(JP,A)
【文献】実開昭52-123339(JP,U)
【文献】米国特許第5601115(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/308578(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 7/00-7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質ベース、取り付けプレート、入口ポート、出口ポート、膜、ボールベアリング、および駆動ヘッドを有するマイクロバルブであって、
前記硬質ベースは、凹部を有し、該凹部の上には、前記取り付けプレートにより前記膜が固定され、前記凹部は、略球形キャップ状の表面および周囲を有するカップを定め、
前記入口ポートおよび出口ポートの双方は、前記凹部にあり、少なくとも一方は、前記略球形キャップ状の表面にあり、
前記膜は、前記凹部を横断し前記周囲を超えて延在し、固定され、未固定の部分が前記凹部で曲げられるような可撓性を有し、
前記ボールベアリングは、前記凹部に対して前記膜の反対側の前記取り付けプレートにおいて、前記凹部に対向して配置され、
前記駆動ヘッドは、前記膜に対する前記ボールベアリングの選択的駆動のため、前記ボールベアリングの後方にあり、前記膜が前記ボールベアリングの一部の周囲で曲げられると、前記凹部の方に前記膜が曲がり、前記膜は、両方の部分が開放された状態から、ポート閉止状態に移動し、
前記ポート閉止状態は、前記膜が曲げられ、前記
入口ポートおよび前記
出口ポートの一方または両方にわたって延在し、前記ボールベアリングにより固定され、少なくともその一つのポートが閉止された状態であ
り、該閉止されたポートは、閉止ポートとなり、
前記駆動ヘッドは、回転式であり、溝を有する前方表面を有し、前記駆動ヘッドは、回転により前記ボールベアリングに、または前記ボールベアリングから前記溝を移動させるように構成され、その結果、前記ボールベアリングは、前記凹部から前記溝に選択的に落下しまたは後退することができ、これにより、前記閉止ポートが選択的に開にされる、マイクロバルブ。
【請求項2】
前記
略球形キャップ状の表面は、前記ボールベアリングの半径よりも大きな半径を有する、請求項1に記載のマイクロバルブ。
【請求項3】
前記ポートの一方は、前記カップの中心にある、請求項1または2に記載のマイクロバルブ。
【請求項4】
前記閉止ポートは、前記出口ポートである、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のマイクロバルブ。
【請求項5】
2または3以上の入力、および少なくとも一つの出力がある、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のマイクロバルブ。
【請求項6】
前記硬質ベースと前記取り付けプレートの間への前記膜の固定は、前記硬質ベースに対して、前記膜とともに、前記取り付けプレートをネジ留めまたはボルト留めすることにより行われる、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のマイクロバルブ。
【請求項7】
前記硬質ベースは、膜対面表面に陥没された少なくとも一つのチャネルを有し、
前記膜は、そのようなチャネルを横断して延在し、
前記取り付けプレートの膜の係合面は、前記チャネルの側面に対して前記膜に係合し、これにより、前記側面に沿った前記膜の圧縮の際に、1または2以上の流体チャネルが定められる、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のマイクロバルブ。
【請求項8】
前記溝は、前記前方表面の平坦表面にある、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のマイクロバルブ。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の複数のマイクロバルブを有する多方向バルブ器具であって、
各マイクロバルブにおいて、共通の駆動ヘッド、別個のボールベアリングおよびカップ、ならびに全てのマイクロバルブと接続された流体ラインを有し、
前記マイクロバルブは、前記駆動ヘッドの動きにより、連続的に作動するように配置され、前記マイクロバルブの1または2のボールベアリングが選択的に後退(retract)し、そのマイクロバルブのポートが選択的に開にされる、多方向バルブ器具。
【請求項10】
前記流体ラインは、メインチャネルからの分岐により、各マイクロバルブに別個に接続されるように形成される、請求項9に記載の多方向バルブ器具。
【請求項11】
前記メインチャネルは、全てのマイクロバルブにわたって延在する共通の膜により形成され、
前記膜は、共通の硬質ベース内の溝にわたってシールし、前記流体ラインを形成する、請求項10に記載の多方向バルブ器具。
【請求項12】
当該
多方向バルブ器具は、請求項8に記載の駆動ヘッドを有し、
前記溝は、一つのボールベアリングから別のボールベアリングに移動し、そのバルブを開にするように選択され、
前記平坦表面は、他のバルブの閉止を維持する、請求項9乃至11のいずれか一項に記載の多方向バルブ器具。
【請求項13】
前記駆動ヘッドは、2以上の溝を有し、
2以上のバルブが選択的に開にされる、請求項9乃至11のいずれか一項に記載の多方向バルブ器具。
【請求項14】
前記溝は、前記マイクロバルブの2以上を開にするように、十分に長くまたは広い、請求項12または13に記載の多方向バルブ器具。
【請求項15】
共通の硬質ベースに複数のカップを有する、請求項9乃至14のいずれか一項に記載の多方向バルブ器具。
【請求項16】
前記カップは、1または2以上のリングに全て配置される、請求項9乃至15のいずれか一項に記載の多方向バルブ器具。
【請求項17】
前記リングは、同心状である、請求項16に記載の多方向バルブ器具。
【請求項18】
各リングは、開放リングであり、従って、完全閉止形ではなく、略C形状を有する、請求項16または17に記載の多方向バルブ器具。
【請求項19】
当該
多方向バルブ器具に対する流入部は、前記少なくとも一つのCリングのギャップにあり、またはギャップに隣接する、請求項18に記載の多方向バルブ器具。
【請求項20】
複数の流出ポートが提供され、各カップに一つずつ提供される、請求項9乃至11のいずれか一項に記載の多方向バルブ器具。
【請求項21】
前記駆動ヘッドは、該駆動ヘッドの後方に配置されたバネにより、前進位置が維持され、前記ボールベアリングに力が印加される、請求項9乃至20のいずれか一項に記載の多方向バルブ器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロバルブ、およびそれとともに形成される多方向バルブ器具に関する。バルブは、おそらく、通常閉止バルブとしても知られており、通常、閉状態にデフォルトされている。また、器具は、マルチポート、マルチスロー、相互接続またはスイッチであり、1または複数の入力フィードが、1つまたは複数の出力フィードに選択的に接続される。入力と出力との間を接続するため、器具にはチャネルが提供される。
【背景技術】
【0002】
本発明は、好適なそれぞれのチャネルのロバストで繰り返し可能なシールを提供することを目的とし、例えば、駆動ヘッドの回転により、器具の繰り返しおよび連続的な動作が可能となり、複数のマイクロバルブの各々の動作の連続シーケンスがトリガされ、器具内に異なる接続のシーケンスが提供される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
駆動ヘッドの回転による連続的な作動のためリングに配置されたマイクロバルブ、すなわち、あるバルブから別のバルブにリリース機構を回転させ、複数のマイクロバルブの各々の動作シーケンスを介してトリガし、これにより異なる接続のシーケンスを提供するマイクロバルブが知られている。
図14および15に概略的に示されているこれらの従来技術のバルブでは、流体チャネル46のシールを可能にするため、エラストマーベース50が必要となる。それぞれのチャネル46のシールは、チャネル46のボールベアリング18が、流体チャネル46の近位壁52(すなわち、ボールベアリング18と接触している壁52)を変形させ、これにより、チャネル46の遠位壁50に接触、偏向させることにより生じ、従って、ピンチ56が形成され、シールが形成される。これは、通常閉位置であり、すなわち、ボールベアリングは、駆動ヘッド20により提供されるバイアス力により、この位置に配置される傾向がある。
図14参照。ボールベアリング18の下方の位置に回転された駆動ヘッド20の溝58内に、ボールベアリング18が落ち込んだ際、流体チャネルは、代わりに、閉塞されない(すなわち、ピンチ56またはシール、すなわち、チャネル46のバルブは、開である)。
図15参照。溝58は、器具の特定のバルブのバルブ開位置に回転する前の状態で、
図14にも示されている。
【0004】
この種のバルブの欠点は、近傍のチャネルに対してこれらを独立に動作させることが難しいことである。ベースの弾性により、ベース50を介した弾性力の伝達が可能となり、マイクロバルブ(図示されていない)の近傍において、バルブのシール特性が妨害されるためである。そのような弾性力は、チャネルのボールベアリングにより印加される力に対抗して(シール確保のため)変形すると、流体チャネルの近位壁の変形の際に自然に生じる。従って、通常、バルブをさらに離間させ、器具を大きくすることにより、または駆動ヘッドが取り付けられるカラーの位置調整を介して、各ボールベアリングに印加される力を注意深く較正することにより、この影響を緩和する対策を講じる必要がある。これは、駆動ヘッドの回転の際に、各マイクロバルブが効率的に開閉できる点で、一時的に効果がある。しかしながら、駆動ヘッドの回転の繰り返し、およびその結果としてのマイクロバルブの動作(例えば、駆動ヘッドの長時間にわたる、または単位時間あたりの高回転数)のため、依然として、シール特性のドリフトが観測され、その結果、名目上閉止されたはずの流体チャネルに流体の流出が生じる。これは、流体コンタミネーション、好ましくない流体の分布、および実験の失敗という問題につながり得る。
【0005】
また、ボールベアリングの真円度のため、チャネルの幅を横切る完全なピンチング効果を可能にする弾性材料からのベースまたはチャネルの構成は、チャネル内の流体に存在する可溶性ファクターは、エラストマーへの、またはからの吸着または吸収が生じ易く、流体の組成に未制御の変化、および/またはその後、チャネルを通る流体への吸着剤の浸出が生じる点で問題がある。また、本発明は、可撓性材料を使用する場合、この影響を完全に排除することは難しいことは認めつつも、この影響を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、硬質ベース、取り付けプレート、入口ポート、出口ポート、膜、ボールベアリング、および駆動ヘッドを有するマイクロバルブであって、
前記硬質ベースは、凹部を有し、該凹部の上には、前記取り付けプレートにより前記膜が固定され、前記凹部は、略球形キャップ状の表面および周囲を有するカップを定め、
前記入口ポートおよび出口ポートの双方は、前記凹部にあり、少なくとも一方は、前記略球形キャップ状の表面にあり、
前記膜は、前記凹部を横断し前記周囲を超えて延在し、固定され、未固定の部分が前記凹部で曲げられるような可撓性を有し、
前記ボールベアリングは、前記凹部に対して前記膜の反対側の前記取り付けプレートにおいて、前記凹部に対向して配置され、
前記駆動ヘッドは、前記膜に対する前記ボールベアリングの選択的駆動のため、前記ボールベアリングの後方にあり、前記膜が前記ボールベアリングの一部の周囲で曲げられると、前記凹部の方に前記膜が曲がり、前記膜は、両方の部分が開放された状態から、ポート閉止状態に移動し、
前記ポート閉止状態は、前記膜が曲げられ、前記入力ポートおよび前記出力ポートの一方または両方にわたって延在し、前記ボールベアリングにより固定された状態である、マイクロバルブが提供される。
【0007】
好ましくは、前記略球形のキャップ状表面は、前記ボールベアリングの半径よりも大きな半径を有し、ボールベアリングがカップのベースに膜を押し付けることが可能となる。
【0008】
好ましくは、カップのベースは、ポートの1つを有する。
【0009】
好ましくは、閉止ポートは出口ポートである。しかしながら、マイクロバルブを通って流れる流体を逆流させ、これを入力ポートにすることができる。このように、マイクロバルブは、双方向であってもよく、複数の選択可能なポートおよびカップの存在のため、多方向であることに加えて、通路およびポートを通るいずれの方向にも流れることができる。
【0010】
カップは、略球形の表面を有し、ボールベアリングの同様の球形表面は、閉止ポートにわたって、可撓性膜とともにリングシールを形成する。
【0011】
駆動ヘッドから圧力が解放されると、マイクロバルブが好適に配向されている場合のボールベアリングの重量、または流体の圧力のいずれかにより、ボールベアリングは、膜を押すことにより、ポートにおけるシールをリリースし、マイクロシールがポート開放状態に戻る。別の実施形態では、駆動ヘッドは、磁石を有し、ボールベアリングは、ポート開放状態に引き寄せられ、従って、バルブは、流体の圧力とは無関係に、任意の方向に作動することができる。
【0012】
好ましくは、駆動ヘッドにより、ボールベアリングが適切に後退され、膜は、凹部にわたって曲げられず平坦な状態になり、従って、2つのポート間の流体の無制限の流れが可能となる。
【0013】
カップに提供される2以上の入力または出力ポートも可能であるが、通常、1つの入力ポートおよび1つの出力ポートが存在する。
【0014】
ある例では、2または3以上の入力と、少なくとも1つの出力とが存在する。この配置では、バルブは、小体積の混合チャンバとして作動するように配置され、2または3以上の、または多数の入力流体に対して、開の場合、選択された出力で混合流体を供給する開バルブに、流体の混合物が提供される。これにより、効率的な混合およびスペースの節約が可能となり、バルブに対して連続的に混合を行うよりも迅速に、流体を添加および混合することができる。
【0015】
好ましくは、硬質ベースと取り付けプレートの間への膜の固定は、硬質ベースに対して、膜とともに、取り付けプレートをネジ留めまたはボルト留めすることにより行われ、取り付けプレートの膜係合面は、周囲を取り囲む。別の構成では、硬質ベースおよび取り付けベースのいずれかまたは両方(好ましくは取り付けベース、より好ましくは両方)に、膜を結合することができる。
【0016】
また好ましくは、硬質ベースは、その膜対面表面に陥没された少なくとも1つのチャネルを有し、膜は、そのようなチャネルを横断して延在し、取り付けプレートの膜係合面は、それらのチャネルの側面に対して膜と係合し、これらの側面に沿った膜の押しつけの際に、1または2以上の流体チャネルが定められる。好ましくは、これらのチャネルの少なくとも1つは、入口ポートまたは出口ポートの1つに誘導される。これは、ポートの1つの側面の一部を形成し得る。
【0017】
好ましくは、駆動ヘッドは、平坦表面に溝を有する前方表面を有し、駆動ヘッドの前方表面は、ボールベアリングに対して移動可能である。溝により、ボールベアリングは、後退することができ、従って、バルブのポート開状態が可能となり、平坦表面は、ポート閉止状態と係合する。
【0018】
本発明の別の態様では、前述の複数のマイクロバルブを有する多方向バルブ器具であって、
各マイクロバルブにおいて、共通の駆動ヘッド、別個のボールベアリングおよびカップ、ならびに全てのマイクロバルブと接続された流体ラインを有し、
前記マイクロバルブは、前記駆動ヘッドの動きにより、連続的に作動するように配置され、前記マイクロバルブの1または2のボールベアリングが選択的に後退し、そのマイクロバルブのポートが選択的に開にされる、多方向バルブ器具が提供される。
【0019】
好ましくは、流体ラインは、メインチャネルからの分岐により、各マイクロバルブに別個に接続されるように形成される。好適実施例では、分岐は、半径方向に延在するチャネルである。
【0020】
好ましくは、メインチャネルは、全てのバルブにわたって延在する共通の膜により形成され、
前記膜は、共通の硬質ベース内の溝にわたってシールし、前記流体ラインを形成する。代わりに、各マイクロバルブに個々の膜が存在してもよい。ただし、組立の簡単さのため、単一の共通膜が好ましい。
【0021】
当該バルブ器具は、溝を有する前駆駆動ヘッドを有し、
前記溝は、一つのボールベアリングから別のボールベアリングに移動し、バルブを開にするように選択され、
前記平坦表面は、他方のバルブの閉止を維持してもよい。
【0022】
前記駆動ヘッドは、2以上の溝を有し、2以上のバルブが開にされてもよい。
【0023】
溝は、2以上のバルブを開にできるようなものであってもよい。
【0024】
多方向バルブ器具は、共通の硬質ベース内にその複数のカップを有してもよい。
【0025】
好ましくは、カップの全てが、1または2以上のリングに配置される。これらのカップのリングは、駆動ヘッドの「前方」対向表面に対面し、この前方対向表面は、その端部に溝を有し、駆動ヘッドの回転の際に、各種ボールベアリングは、そのデフォルトのポート閉止状態から、そのポート開放状態に選択的に収縮され、それがそのポート閉止状態から、溝内に落下または収縮すると、そのボールベアリングに関連するカップ内のポートを開放することができる。次に、駆動ヘッドがさらに回転すると、ボールベアリングがそのポート閉止状態に押し戻されることにより、開放ポートが再び閉じられ、従って、ポートが閉じられ、代わりに溝は、次のボールベアリングに順次スイングされ、それぞれの関連するカップにおいてポートが開にされる。従って、マイクロバルブは、駆動ヘッド、さらには溝の回転により、その各種ポート(カップ内)を連続的に作動させるように配置される。
【0026】
代わりに、カップは、1または2以上のラインに配置されてもよい。ラインは、平行ラインであってもよい。代わりに、駆動ヘッドは、マイクロバルブを順次開閉するため、直線方向に移動する。
【0027】
好ましくは、カップは、1または2以上のリングに配置される。これらのリングは、同心であってもよい。これらのリングは、完全に閉じたリングではなく、C形状であってもよい。
【0028】
好ましくは、バルブ器具に対する流入部は、少なくとも一つのCリングのギャップにあり、またはギャップに隣接し、複数の流出ポートが提供され、各カップに一つずつ提供される。
【0029】
本発明では、流体の組成に対する未制御の変化、および/またはその後のチャネルを通過する流体への吸着/吸着剤の浸出により生じる、エラストマーへの吸着またはエラストマーからの吸着の効果は、バルブのエラストマー部材の量を膜のみに低減させることにより、抑制される。この膜は、バルブを通る流体経路の1つの表面のみを形成し、膜がチャネルの一部を形成する場合、その効果は、さらに増強される。
図14および
図15の従来技術において、ベースは、適切なシールを形成するため曲がる必要があり、チャネルは、膜およびエラストマーベースにより形成された管である。
【0030】
膜に対して吸着/吸収されにくいエラストマーまたはポリマー材料を選択することにより、この利点はさらに高められる。例えば、好ましい材料には、これに限られるものではないが、ポリウレタン(PU)、環状オレフィンコポリマ(COC)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、シリコーン、ジメチルポリシロキサンもしくはジメチコンとしても知られるポリジメチルシロキサン(PDMS)、またはFlexdym(RTM)が含まれる。
【0031】
特にマイクロバルブの継続使用後、または膜の過剰な圧縮による、硬質ベースに対する膜の不慮の固着の回避を助長するため、硬質ベースまたは膜は、PTFEのような、従来の非付着性または潤滑性コーティングで、コーティングされてもよい。これにより、マイクロバルブの寿命を延ばすことができる。
【0032】
また本発明では、複数の入力チャネルおよび出力チャネルのマルチポートマルチスロー相互接続のより好適な製造、組立およびセットアップができ、駆動ヘッドの反復回転、および結果としてのマイクロバルブの作動の際に、硬質ベースの硬度が従来技術に存在する変形に抵抗するため、
図14および15のようなベースの変形によるシール形成を意図したバルブと比較して、よりロバストで繰り返し可能なシールが提供される。これにより、顕著な変形を生じさせずに、膜に対して効果的なシールバックが得られる。その結果、ボールベアリングは、その反対側のポートにわたってシールを形成するため、膜を強く押し付ける必要がなくなる。またベースは、曲げられないので、時間経過とともに形状が変化し難くなる。本発明に記載のマイクロバルブは、マイクロバルブの技術分野の改良を表す。
【0033】
ジュロメーターゲージを用いて測定された硬質ベースの材料の好ましい硬度値は、少なくともショア硬度50D、より好ましくは少なくとも80D、または95A超である。最も好ましい硬度は、ショア硬度スケールで少なくとも70D、または100D超である。
【0034】
硬質ベースは、HDPE、PVC、ポリスルホン、COC、ポリカーボネート、ポリスチレン、またはABSのような、任意の硬質材料で形成されてもよい。
【0035】
あるいは、少なくとも亜鉛と同程度に硬い材料、すなわち、モース値が2.5以上の材料が挙げられる。通常、駆動ヘッドは、この硬度と同等である。
【0036】
本発明のバルブ器具では、傾斜した通常は閉じているマイクロバルブを介して互いに流体連通された、複数の流体チャネルのロバストで繰り返し可能なシールが可能となる。以下の例では、角度は、膜の面に対して90゜である。しかしながら、この角度は変化させてもよい。好ましくは、ボールベアリングがデフォルトの閉止位置にある場合、そのバルブのボールベアリングの半径方向中心に対して、45°と135°の間の角度、より好ましくは70°と110°の間の角度、または80°と100゜の間の角度で、中心化される。45~135°を超えることも可能であるが、膜の有限厚さが薄いため好ましくない。これは、通常、1mm~0.001mm(1000μm~1μm)、おそらく最大2mmの厚さ、より好ましくは0.05mm~0.1mm、または理想的には0.05~0.3mmであり、好適な膜の通常のストック厚さは、0.05mm、0.1mm、0.125mm、0.15mm、0.2mm、0.25mm、または0.3mmの厚さである。そのような角度では、その膜に対するボールベアリングの動きでのシールが難しいが、カップを深くすることでそれに対処し得る。しかしながら、好適実施形態では、ボールベアリングの直径は、カップの周囲の直径よりも大きい(カップの曲率半径は、この部分が球形の場合、球形ボールベアリングの半径よりも大きい)。このため、ボールベアリングは、カップに完全に挿入されず、カップの先頭部分のみが挿入される。
【0037】
通常、カップの深さ(バルブシートとしても知られる)は、ボールベアリングの半径の最大80%であるが、より好ましくは、ボールベアリングの半径の50%以下、より好ましくは35%以下である。ある実施形態において、深さは、ボールベアリングの半径の10~30%の間であり得る。
【0038】
半径方向に延びるチャネルは、メインチャネル46よりも浅くできる。好ましくは、メインチャネルは、カップと同じ深さ、またはカップの深さよりも浅い深さを有する。
【0039】
また、膜が周囲をまっすぐ横切る場合、すなわち、膜の平坦な下面を横切るときに、膜により定められる経路に対するポート位置を測定することが可能である。理論上、ポートは依然90°の角度であるが、実際には、中心から最大50°の角度が可能であり、より広い角度では、シールは困難である。これは、好ましくは70~110°である。
【0040】
通常、半径方向に延びる溝に対してカップの反対側にアングルアップすることにより、より低い位置でシールすることが容易となる。しかしながら、それをゼロにすると(すなわち、従来技術のようなバルブを横切る直線的な流体溝を提供すると)、本発明の設計で完全にシールすることが難しくなる。なぜなら、エラストマー膜は、カップの下部の周囲に開口またはギャップを残す傾向があるからである。
図6を参照。このギャップは、ボールベアリングの挿入の際に好ましく、従って、カップの球形キャップ部分は、好ましくは、ボールベアリングよりも大きな直径を有することが好ましい。これにより、器具の迅速な使用の間、バルブ開位置からカップへのボールベアリングの迅速な設置(すなわち、駆動ヘッドの迅速回転)が可能となり、カップの縁に対する膜のピンチカットが最小限に抑制される。この縁を丸くして、そのリスクをさらに抑制できる。
【0041】
エラストマー膜が有限の厚さおよび弾性を有する場合、膜により一部が形成される流体チャネルによって定められる(非シール)ポートに対してある角度で配置されるシールポートに対する要求により、そのシールポートにおいてロバストなシールを形成するという問題が解決される。これにより、ボールベアリングが、周囲でゼロギャップで、カップの形状と正確に一致する可能性が回避される。
【0042】
通常、ポートのサイズは、3mmから0.1mmの間である。通常、周直径は、5~0.1mm、好ましくは2.5mmである。通常、ボールベアリングは、7~0.2mmの直径を有する。
【0043】
取り付けプレート、硬質ベース、および駆動ヘッドは、全て射出成形できる。ただし、これらまたはこれらの一部は、機械加工またはスタンピングのような、他の方法で製造されてもよい。
【0044】
本発明は、マイクロ配合器における使用、または単一臓器チップおよび多臓器チップの灌流制御器における使用を含む、多くの可能な用途を有する。
【0045】
好ましくは、硬質ベースに対する取り付けプレートの固定は、リングまたはカップのラインの両側に配置されたボルトにより提供され、理想的には、カップの直径の0.4~20倍、またはボルトの直径の1~5倍の距離内に配置される。その結果、膜は、該膜の曲げの局在化が提供される方法で、取り付けプレートにより、硬質ベース、カップの周囲、およびチャネルにピン止めされる。膜は曲がる必要があるため、これは、エラストマー材料である。そのような局部的なクランピングを用いて、弾性力が局所化され、流体経路およびシールが正確に制御される。
【0046】
好ましくは、ボルトの位置は、略対称であり、プレートにバランスのとれた力が提供される。
【0047】
好ましくは、駆動ヘッドは、ボールベアリングに力を加える駆動ヘッドの後ろに配置されたばねにより、その前の位置に維持される。好ましくは、これは、駆動ヘッドのステムを取り囲み、このステムにより、アクチュエータは、駆動ヘッドを回転させることができる。リングバネを用いた場合、その前進位置(ポート閉止状態)において、各ボールベアリングに、実質的に均一な力が印加され、カラー/駆動ヘッドの位置調整の必要性が軽減される。これは、例えば、従来技術のように、シール特性を較正するために必要とされ得る。従来技術のマイクロバルブの流体溝の早期摩耗を防止するための、そのような較正には、従来技術の複数のバルブの各々に対して個別に行う必要があるため、極めて時間がかかる。
【0048】
本発明に記載のマイクロバルブは、米国特許第9,618,129号に記載されたバルブの改良を表す。これらは、複数の入力チャネルおよび出力チャネルのマルチポート、マルチスロー相互接続の、より便利な製造および組立を可能にし、駆動ヘッドの反復回転、および結果としてのマイクロバルブの作動の際に、ロバストで繰り返し可能なシールを提供するからである。
【0049】
以下、添付図面を参照して、単なる一例としての本発明の一実施形態について、より詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】本発明によるマイクロバルブの分解図である。
【
図3】
図2のメインバルブ素子の別の斜視分解図である。
【
図4】チャネルと、入力および出口ポートとを備えた硬質プレートの平面図である。
【
図5】組み立てられたバルブを通る断面であって、閉止状態のバルブを示した図である。
【
図8】器具の開バルブを通る、
図7に対する垂直断面を示した図である。
【
図9】2つの別個の動作可能に連結された方向性流体回路を有する、変形器具を示した図である。各々は、1つの入力ラインと、8つの出力ラインとを有する。
【
図10】本発明のバルブの代替構成を模式的に示した図である。
【
図11】取り付けプレート内の駆動ヘッドを示す器具の同様の実施形態を示した図である。
【
図12】
図11のボールベアリングおよび溝をより詳細に示した図である。
【
図13】は、開状態にある
図12のバルブを示した図である。ボールベアリングは、回転した溝に設置される。
【
図14】先行技術における閉状態のマイクロバルブを概略的に示した図である。
【
図15】開状態の
図14のマイクロバルブを概略的に示した図である。
【
図16】それぞれの側から1つずつ、カップ内に2つの入力を有する別の配置を示した図である。
【
図19】一連のそのようなマイクロバルブを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
まず、
図1を参照すると、本発明の第1の実施形態の分解斜視図が示されている。本実施形態は、25個のマイクロバルブを有する器具に関し、各マイクロバルブは、同様に、本発明の態様によるものである。
【0052】
器具は、フロースイッチを提供し、入力から複数の流出ポートを介して、連続的に流れる流量が制御される。そのような製品には、前臨床薬剤試験を含む多くの用途がある。
【0053】
図1に示すように、器具10は、メインマニホルド12を有する。メインマニホルド12は、略矩形の本体を有し、端部領域に丸いたコーナ部およびボルト孔64を有する。ボルト孔は、器具10を他の機器に取り付けるためのボルト36を受容できる。
【0054】
また、マニホルドは、その中心に、硬質ベース14用の取り付けプレート12の部分を形成する凹部領域を有する。硬質ベース14の取り付けプレートの残りは、凹部領域62を囲むマニホルド12の部分であり、硬質ベース14と対向する側にある。
図3から明らかなように、この取り付けプレートは、8つのボルト孔の内側リング66と、全てが凹部領域に配列されている、9つのボルト孔の別の中央リング80(画像の過密化を避けるため、全ては示されていない)と、マニホルドの本体を覆う8つのボルト孔の外側リング78とを有する。これらは、ボルトで固定された製品に好ましい数であるが、他の量も許容される。
【0055】
また、2つの整列ペグホール68があり、それぞれの整列ペグ22が収容される。
図1および
図3参照。
【0056】
これらの孔は全て、硬質ベースの対応する孔と整列される。ただし、内側リングおよび中央リングの孔は、ブラインド孔である。これらの開口は、マニホルド12と対面し、凹部領域を介して硬質ベースに挿入されるチャネルボルト72を受容する。
図7からわかるように、これらのチャネルボルト72は、取り付けプレート12の後部に埋め込まれ、器具が正確に組み立てられた際に、同一平面となる。
【0057】
ボルト孔の外側リングは、代わりに、硬質ベースに挿入されたボルトによりマニホルドに取り付けられ、マニホルドにねじ留めされる。配列ペグにより、各々が、より確実に正確に配列される。
【0058】
また、硬質ベース14とマニホルドまたは取り付けプレート12との間には、薄膜16が設けられ、この薄膜16は、チャネルボルトにより、硬質ベース14のチャンネル領域74に対してしっかりと保持され、閉止チャネルが定められる。これは、ボルト孔の内側、中央、外側のリング、ならびに配列ペグに対応する孔を有する。
【0059】
以下、チャネルについてさらに説明する。
【0060】
図3に示すように、ボルト孔の内側リング66、中央リング80、および外側78リングに加えて、取り付けプレート12には、貫通孔76の部分的な千鳥状のリングが設けられ、これも凹部領域62を覆う。これらは、ボールベアリング18を受容する。これらのボールベアリング18は、薄膜16ととともに、各種マイクロバルブの部材を形成する。これは、以降にさらに記載される。この理由のため、薄膜は、これらの貫通孔に対応する孔を有さない。
【0061】
図3には、取り付けプレートと薄膜との間にボールベアリング18が示されている。一方、
図1では、ボールベアリング18は、マニホルドの反対側にある。これは、貫通孔76により、組立の前に、ボールベアリング18の貫通が可能になるからである。
【0062】
組立の際、ボールベアリング18の各々は、駆動ヘッド20により、それぞれの貫通孔76に保持される。この目的のため、
図1に示すように、駆動ヘッド20は、凹部領域62に挿入されるように配置される。ボールベアリングに対向する駆動ヘッド20の面は、半径方向溝82を有し、これは、ボールベアリング18がそこに幾分落ちるように寸法決めされる。これは、傾斜側面84を有する。
図8参照。これにより、駆動ヘッド20を回転させ、ボールベアリング18を溝82から上昇させることができる。
【0063】
必要な場合、溝の領域には、駆動ヘッド20に磁石60が設けられる。例えば、
図7に示すように、駆動ヘッド20に設けられた平底孔86に、磁石を挿入し、接着することができる。あるいは、ねじ山のような、他の形態の取付具を使用することもできる。
【0064】
V字型の溝を設けてもよく、代わりに、丸底の溝を提供してもよい。
【0065】
この実施形態では、駆動ヘッドは円形であり、円筒状のステム88と、ボールベアリング18に最近接の端部の周囲に延びる円形のフランジ90と、を有し、ボールベアリング18と係合する表面が提供される。駆動ヘッド20の表面は、好ましくは、溝82を除き、略平坦であるが、2つ以上の溝が存在してもよい。特に、例えば
図9の実施形態のように、器具内に2つの流体回路が存在してもよい。
【0066】
円筒状ステムは、トルク係合部材を有する自由端を有し、
図2では、これは正方形端部である。あるいは、その代わりに、(または追加的に)他の配置が可能である。この端部は、器具を制御するモータによる係合用である。本発明の態様は、従来から知られており、従って、さらなる議論を必要としない。
【0067】
ボールベアリング18に対する駆動ヘッド20の力を維持するため、ステムは、リングスプリング24により取り囲まれる。これは、ベアリング30(好ましくは、ローラベアリング)を支持し、一方、ベアリング30は、ダイアル28を支持し、このダイアルは、中央に小さな直径の孔を形成することにより、ステムに固定され得る。従って、これは、ステム88の肩部92に取り付けられ、肩部は
図3に認められる。
【0068】
次に、カバー26により、肩部92を緩く取り囲む孔を設けることにより、アセンブリが完成する。この孔は、ダイアルの視認用に、肩部92の周囲にシースルーリング94を有する。従って、駆動ヘッド20の回転状態を視認できる。
【0069】
最後に、この場合、このカバーは、4個のボルト32により、マニホルドにボルト留めされる。再度、位置合わせのため、カバー26は配列ペグの孔を有し、これは、いったん器具が完全に一緒にボルト留めされると、アセンブリに残し、または除去することができる。
【0070】
次に
図4を参照すると、チャンネル領域74のさらなる詳細が記載される。図からわかるように、この実施形態では、チャンネル領域は、硬質ベース14のボールベアリング対向表面にリベートされたプレートである。これは、硬い作業表面を有するように形成され、長時間使用に供される。その表面には、蛇行チャネル46が提供され、チャネル化領域74の周囲に流体が分配される。この流体チャネル46は、チャネル46に沿った流体の入力用の入力端40を有し、これは、チャネル化領域の大部分の周囲で、ここでは、チャネル領域74の245度と280度の間で、実質的に正確なチャネルの長さにより、鋸歯またはジグザグ状の素子に接続される。ジグザグ部では、外向歯は、半径方向外方に延びるチャネル110と関連し、第1の組のバルブカップ38につながり、同様に、鋸歯の内向谷は、半径方向外方に延びるチャネル110と関連し、バルブカップ38の追加の組につながる。後者は、第1の組のバルブカップ38に対して、半径方向内側にねじられる。このバルブカップ38のふらつきの結果、チャネル化領域の大部分の周囲において、チャネル化領域74は、25個のバルブカップ38を有し、13個のカップの外側組と、12個のカップの内側組を有する。好ましい場合、代わりに、カップの直線状ストリングが可能であるが、カップは、メインチャネルから離す必要がある。このため、半径方向外方に延びるチャネル110が提供される。従って、先行するカップがブロックされている場合であっても、カップ38は全て、入口40と流体接続が可能であり、
このブロックに関し、これらのカップ38の各々は、本発明の一態様のバルブの一部である。各カップ38は、それぞれのボールベアリング18の一部を受容するようにサイズ化され、カップ38の内側の薄膜16の被覆部分が挟まれる。各カップの中心(またはベースもしくは底部)では、ただし多くの使用では、最上部の領域であるが、
図3に示すように、管96から出るように接続されたポート100がある。従って、ボールベアリングおよび薄膜をカップに押し込むことにより、そのポート100が閉じ、従って、カップ100、薄膜16、およびボールベアリング18は、バルブ(「マイクロバルブ」)として協働し、チャンネル領域74の周囲に延びる流体チャネル46から、ポートをシールする。また、他の箇所に記載されているように、ボールベアリングは、同様に非中央に配置されたポートを膜でシールすることもできる。この実施形態では、これは、カップの中央に配置される。
【0071】
図3には、別の入力管98も示されている。これは、チャネル46の入力端40に接続される。従って、硬質ベース14の外側から、供給管を入口管および出口管96、98に接続して、器具を制御し、入口管から流入した流体を出口管に排出できる。
【0072】
単一の溝82のみが存在し、薄膜16およびそのそれぞれのカップ38には、1つのボールベアリング18しか押し付けられない。従って、その出口管96を介して他の場所に供給するため、流体は、1つの非シールカップおよびポート100を通って流れる。
【0073】
図4にも示されているように、対応する内側、中央、および外側の孔102、104、106は、内側、中央、および外側のリング66、80、78に対応する。同様に、配列ペグ70の2つの孔108が認められ、これらは、カバー26、マニホルド12および薄膜16の対応するペグ孔と整列される。対応する内部孔102は、チャネル化領域74に対して半径方向に内側に配置される一方、9つの対応する中央孔104は、チャネル化領域74のほぼ全ての外部に配置される。しかしながら、これらのボルト孔の一つは、チャネル化領域74の2つの端部の間に配置される。ただし、他の部材との整合性のため、他の配置も可能である。
【0074】
さらに外側には、大きなボルトサイズを収容するより大きな対応する外側孔に加えて、長方形の硬質ベースの短い方の端部の近傍の中央に配置された、2つの配列ピン孔がある。
【0075】
カバー、マニホルド、薄膜、および硬質ベースの各々について、矩形以外の形状が可能である。
【0076】
チャネル化領域は、バックプレートに接合された別個の部材であってもよいが、この実施形態では、これは、その一体化部分として、硬質ベースの残りを満たす単なる領域である。当然のことながら、ベースの残りの部分を満たす必要はなく、膜および駆動ヘッドが、本願に記載の機能を達成するために必要なシールを形成するように好適に設置される限り、これは、平坦であっても、凹部化されてもよい。
【0077】
チャネル化領域74の外形は、略円形であるが、ほぼ周囲の大部分に等しく離間された、スクープ領域を有する不完全な円形であってもよい。スクープの位置は、中央ボルト孔リング80の孔に対応するいくつかの孔に対応する。スクープにより、孔の内側リングおよび中央リングの両方を、バルブのカップ38の近くに配置でき、従って、ボルトを締め付けた際に、マニホルド12の取り付けプレートと硬質ベースとの間で、薄膜16に対する強い締め付け力を提供できる。従って、薄膜16は、カップの周囲のリップに対して、および同様に、チャネル化領域のメインチャネル46と、メインチャネル46からカップまで延在する半径方向に延びるチャネル110との両方の上側端部に対して、しっかりと固定できる。このようにしっかり圧縮すると、薄膜は、チャネル化領域の周囲領域と同様に、これらの端部に対して保持され、従って、チャネル46、110およびカップ38の十分な範囲にわたって、タイトなシールが提供され、従って、これらのチャネルおよびカップから定められた流体溝が形成され、ポート100を閉止する、カップ38内の薄膜16の別の部材により形成された、カップのバルブが、駆動ヘッド20の溝82内に配置されたボールベアリング18により、リリースされた際に、入口ポート40からカップ38の各々に至る全ての道を通って、カップ38の一つのポート100を介して排出される。
【0078】
駆動ヘッド20は、1つの溝82、ここでは半径方向の溝、のみを有するが、前述のように、これは、傾斜した壁の凹部であってもよく、溝が動かされるまで、他のカップ38にある全ての他のポート100は、閉じたままであり、すなわち、各々は、個々に開にされ、その後、他方は閉にされる。この実施形態では、カップは、効果的に、2つの同心円状リングのカップを提供し、各々は、ある程度閉じたC形状(この実施例では、約275度)である。流入は、Cの「開いた部分」である。リングに対する他の角度も許容可能であり、これには、閉止(例えば、後述する
図9の実施例)、または
図9の実施例の半分に示すような180度、または他の角度が含まれる。
【0079】
また、円形も必須ではない。すなわち、カップには多くの異なる配置が可能であり、個々に開くような、または細長い溝を用いて、2以上が一度に開くような配置(および回転駆動ヘッド設計の半径方向に配列されたカップ)、または2以上の溝などである。後者は
図9に示されている。
【0080】
次に、
図5~
図8を参照すると、第1の実施形態のバルブの配置、および溝による動作のモードが、より詳細に示されている。
【0081】
図5に示すように、駆動ヘッド20は、ボールベアリング18を保持し、ボールベアリングは、硬質ベース14のチャネル化領域74のカップ38内に延在する状態で、取り付けプレート12のボールベアリング孔48内に配置される。この状態のバルブの閉状態では、チャネル46を通って流れる流体が半径方向に延在するチャネル110に入り、カップ38のポート100に到達することが妨げられ、これにより、出口管96を通って器具から排出することができなくなる。
【0082】
次に、
図6を参照すると、バルブのより接近図が提供される。図からわかるように、薄膜16は、チャネル化領域74と取り付けプレート12との間に固定され、従って、チャネル46のベースと半径方向に延びるチャネル110とを閉止する。しかしながら、ボールベアリング18がカップ38に挿入されるため、可撓性の薄膜16は、カップ内に延び、少なくともポート100の領域でカップ38に押しつけられ、従って、ポート100が閉止される。従って、半径方向に延びるチャネル110内の流体は、器具を出る出口管96へのアクセスを得るため、ポート100の上方のパイロット管112には到達できない。従って、バルブのこの閉止の結果、溝82ではなく、駆動ヘッド20の平坦部分に対してボールベアリング18の支持がなされる。
【0083】
次に
図7を参照すると、これは、バルブを通る断面であるが、今回の断面は、半径方向溝82を通り、溝82がボールベアリングと一致する。このボールベアリングは、依然、取り付けプレート12のボールベアリング孔48内に配置される。しかしながら、ボールベアリングは溝と整列され、これは、重力の影響下で溝に落ち、溝82の傾斜した側壁の一方または両方に停止される。本実施形態では、溝の形状のため、これは、溝82内に最後まで下降するわけではない。
【0084】
器具のこの配向(駆動ヘッドの上方およびカップの下方のボールベアリング)は、ボールベアリングが溝に落ちることを確実にするために最適である。しかしながら、器具が異なる配向であり、サイドまたは上下が反転した場合であっても、溝にボールベアリングを押し付けることにより(薄い膜に作用する圧力により)、および膜の弾性により、膜の弾性力およびチャネル内の流体圧は、いずれも、バルブを開にする力を提供することは明らかである。
【0085】
別の箇所で説明したように、本実施形態では、駆動ヘッドに磁石が提供され、ボールベアリングがカップから出ることが助長される。
【0086】
断面図の角度の変化により、ボルト66の内側リングのボルト72の1つ、およびボルト80の中央リングのボルト72の1つが視認できる。図に示すように、これらのボルト72は、カップに対していずれかの側にある。これにより、カップを横切る薄膜の固定が確実に行える。
【0087】
また、ボルトのヘッドは、取り付けプレート12の下側に対して平らになるように皿化され、駆動ヘッド20の回転の障害にならないようにされることが留意される。
【0088】
ボールベアリング18は、溝82に落ちるため、これは、カップ38から落下し、従って、薄膜16は、その平らな形状に曲げ戻され、ポート100が開にされる。ポート100が開くと、チャネル46、さらには半径方向に延びるチャネル110を通って流れる流体は、カップ38に入り、ポート100を通り、出口管96を通って上方に出ることができる。溝82を有さない他のポートは、
図5および
図6の状態に留まる(または戻る)。
【0089】
次に、
図8を参照すると、
図7の配置が、そこからの垂直な断面から示されており、
図7に見られるように、磁石60は、そのエッジに向かう代わりに、この図において駆動ヘッド20の実質的に中心に配置される。同様に、溝82のVが認められ、従って、2つの傾斜側面84が留意される。傾斜側面を提供することにより、駆動ヘッド20の回転の際、ボールベアリング18は、溝から持ち上げられるようになる。この上昇の際、カップ38のポート100に対して薄膜を湾曲させることにより、再度、カップ38のバルブが閉じられ、従って、半径方向に延びるチャネル110のポート100に対するアクセスが遮断される。
【0090】
カップ内のポート100は、硬質ベースの平坦表面に対して90度の中心にあることが示されている。すなわち、
図5~
図8の方向で与えられる最上部位置では、ポートは、最上部位置から離れて配置される。好ましくは、ボールベアリングが、45°と135°との間のそのデフォルトの閉止位置にあるとき、ボールベアリングの半径方向中心に対してある角度で中心化され、より好ましくは70°と110°との間の角度、または80°と100との間の角度である。45~135°を超えることも可能であるが、薄膜の有限厚さにより、そのような角度では、ボールベアリングのその膜に対する動きをシールすることが難しくなるため、好ましくない。ただし、カップを深くすることは、それに対処できる。
【0091】
本実施形態では、半径方向に延びる流体チャネルは、ボールベアリングの同じ中心から測定した場合、30゜から50゜の間でカップに入る。ただし、膜の厚さおよび半径方向に延びるチャネルの深さに依存して、それよりも大きくすることも、小さくすることも可能である。
【0092】
この実施形態では、半径方向に延びるチャネルは、メインチャネル46よりも浅い。ただし、これは必須ではない。同様に、半径方向に延びるチャネル以外の他のチャネルも適用可能である。
【0093】
また、チャネル46、110の下側壁により定められた経路に対して、すなわち、薄膜の平坦な底面に対して測定することも可能である。理想的には、ポートは、依然90°に傾斜されるが、その中心から最大50°までの傾斜も可能である。ただし、より広い角度では、シールが難しくなる。通常、半径方向に延びるチャネル110に対してカップの反対側に傾斜を付けることは、低い位置でのシールには容易であるが、それをゼロにする(すなわち、従来技術のように、バルブを横切る直線流体チャネルを提供する)と、本発明の設計では、完全にシールされなくなる。なぜなら、
図6に示すように、弾性膜は、カップの下部の周囲に、開口または間隙114を残すためである。この場合、器具の高速使用(すなわち、駆動ヘッドの急速な回転)中に、バルブの開位置からカップへのボールベアリングのより良い設置が可能となり、カップの端部に対する薄膜のピンチ切断が最小限に抑制される。
【0094】
次に
図9を参照すると、カップ38の代替配置が示されている。この実施形態では、簡略化のため、これは概略的に示されており、チャネル46およびカップ38の灰色のスポットのライン、ならびに入口管および出口管のさらなるラインしか視認されない。本実施形態では、16個のカップのみが存在する。さらに、前述の実施形態では、1つだけではなく、2つの別個のチャネルシステムが存在する。第1のチャネルシステムは、第1のインフィード40により供給され、第2のチャネルシステムは、第2のインフィード44により供給される。次に、別個のチャネルおよびカップは、器具の対向する半分を収容する。この配置では、2つの溝82を有する共通の駆動ヘッド20を用いることにより、2つのチャネルシステムの各入力に対して1つずつ、2つの出力ラインの選択が可能となる。従って、各チャネルシステムは、2つの円弧内に8個のカップを有し、カップの各々は、他のチャネルシステムの直径方向に対向するカップとともに、長期間選択することができる(駆動ヘッド20の中心にわたって、溝82が整列されるため)。
【0095】
第1の実施形態の25個と比較して、合計でわずか16個しかカップが存在しないため、理論上、この第2の器具の駆動ヘッドのサイズは、前の実施形態のサイズよりも小さくできる(この例では、小さな直径)。しかしながら、駆動ヘッド20の実際の寸法は、カップ同士の間の間隔、およびカップのサイズに依存する。
【0096】
前の実施形態と同様、チャネル46は、リングの間で交互になっているカップの周りに、ジグザグパターンで延在し、これにより、前述のように、カップの内側リングおよび外側リングが依然存在する。しかしながら、この第2の実施形態では、ジグザグのピークおよび谷がカップに近接しているため、半径方向に配置されたチャネルは、十分に短く、または実質的に存在しない。
【0097】
この実施形態では、各別々のチャネルの2つのジグザグ分布チャネルは、相互に近似的に鏡像となる。
【0098】
当然のことながら、他の配置も可能である。
【0099】
次に
図10を参照すると、別のバルブ配置が示されている。バルブにおける薄膜の取り付けは、わずかに異なる。この実施形態では、マニホルドと硬質ベース14との間に、別個の取り付けプレート122が提供される。従って、ネジまたはボルト124は、各カップ38により直接的に結合され得る。本実施形態では、ねじ124は、別個の取り付けプレートを介して、ベース14のチャネル領域に薄膜16を取り付け、固定する。
【0100】
この設計では、ポート100は、カップの上部にある(図示された実施形態では、ボールベアリングは、膜の下にある)が、前述のように、カップの周囲の他の場所に配置することも可能である。また、半径方向に配置されたチャネル110は、入力40およびメインチャネル46からカップ38に流体を供給するように提供される。
【0101】
この例示の実施形態では、ボールベアリングは、駆動ヘッド20により、そのバルブの閉止状態に押し付けられる。しかしながら、駆動ヘッドの回転により、この場合、V溝の代わりに、丸い溝182を、ボールベアリング18の下側の位置に配置させ、これまでと同様、バルブを開いてもよい。
【0102】
また、通常、回転を維持する機能のため、駆動ヘッド20の回転は、一連のバルブにおけるバルブの間を切り替える好適モードであるが、カップをリニアで配置し、駆動ヘッドのスライド配置を提供することも可能であることが留意される。前述の実施形態によれば、駆動ヘッドの直線移動には、カップが略直線移動の方向に沿って延在している限り、ジグザグカップ、または複数ラインのカップを使用できる。
【0103】
前の実施形態と同様、薄膜がポート100に対して上向きに押され、これが閉じるように、スプリング24により、駆動ヘッド20を付勢して、ボールベアリング18と係合させる。
【0104】
ボールベアリングとカップとの間に薄膜が存在するため、一般に、カップの半径は、ボールベアリングの半径よりも薄膜の厚さが少なくとも大きくなるような半径を有する。典型的には、これは、前述のように、ギャップ114を提供するため、ボールベアリングの半径よりも薄膜の厚さは、少なくとも1.1倍大きい。その結果、前述の実施形態のように、カップの端部で膜を裂傷させずに、ベアリングは、薄膜をポートに対して押し付けることができる。
【0105】
次に、
図11~
図13を参照すると、
図1の実施形態とほぼ同様の別の実施形態が示されている。本実施形態では、第1の実施形態と同様、駆動ヘッド20は、リングバネ24により、薄膜に向かって駆動され、マニホルド12の取り付けプレート部分に対してこれを押し付ける。
図13に見られるように、バルブ閉止位置からバルブを開くため、ボールベアリング18は、硬質ベース14の溝82に落下できる。
図13では、落下したボールベアリングの右側に、第2のボールベアリング(その底部のみ)が認められる。そのベースから、これは、バルブ閉止位置から落下していないことが確認できる(その底部は、溝82ではなく、駆動ヘッドの平坦部分にあるため)。
図12には、バルブのその閉止位置が示されている。
【0106】
図13において、半径方向に延びる溝110は、バルブが開の際に視認される。そのような流体は、バルブを介して、パイロット管112を通過することができる。
【0107】
図12において、可視シールバルブのいずれかの側の、2つの他のバルブの半径方向の延伸溝110は、断面のラインにより視認できる。左側の一方は、
図13の開バルブであり、その下に溝82が存在することにより、定めることができる。右側のホバーも閉バルブである。
【0108】
これらの閉じたバルブにおいて、膜16は、ボールベアリング18の頂部の周囲で曲がり、ポート100に押し付けられ、カップ38のポート100がシールされる。
【0109】
この実施形態は、マニホルド12の凹部領域62に挿入された駆動ヘッド20を例示するために提供され、リングスプリング24は、その後ろでステム88を取り囲む。さらに、そのリングワッシャ24の後方には、ワッシャ30があり、該ワッシャ30の凹部には、ダイアル28が挿入され、カバー26は、一緒にそれを押すことができる。
図11を参照。
図1のように、視認されないが、ステムは、例えば、スピンドルを有するモータのインターフェースを介して、駆動手段とインターフェースすることができる。
【0110】
次に
図16~18を参照すると、追加の任意の機能を達成するため、カップへの流入の別の構成が提供される。この実施形態では、1カップ当たり2つの入力および1つの出力が存在する。前述のように、出力は、カップ18の中心であるが、これは必ずしも必要ではなく、側面に2つのポンプ入力A、Bがある。ただし、これも必須ではない。その結果、この実施形態におけるチャネルは、カップの周囲を循環する代わりに、各それぞれのカップに局所的に設けられ、従って、各カップは、これらの3つのラインイン/アウトを有する。従って、駆動ヘッドは、依然ボールベアリングの下にあり、ボールベアリングとカップとの間に膜を有する。
【0111】
駆動ヘッドの回転溝が、出力により提供されるポートの開放を開始すると、2つのポンプ入力からの流体は、カップの容積を満たし、従って、出力ラインを介して排出される前に、カップ内で混合される。従って、この実施形態では、それぞれの出力を介して供給される前に、各カップにおいて選択的混合が生じる。
【0112】
当然のことながら、駆動ヘッドを選択的に制御するカップは、1つだけでもよいが、より一般的には、カップは2つ以上あり、各々は、その入力ラインおよび出力ラインを有する。
【0113】
この配置では、3または4以上の入力を提供することにより、3以上の液体を混合することも可能であり、バルブを開いた際に、3つ全ての液体が混合される。
【0114】
最後に
図19を参照すると、駆動ヘッドの回転により制御するリングの周囲に別個の混合カップを提供する代わりに、直列で直線的な配置が示されている。ここでは、各カップに対して共通の入力および出力があり、3つのカップが示されているが、破線で示されているように、これはさらに継続されてもよい。また、各カップは、カップから異なるターゲット、ここではウェル、への供給用の出力を有する。リニア駆動ヘッドは、連続的に動き、カップを順番に作動させる。
【0115】
また、この図において、本配置は、円の周囲の配置を湾曲させることによっても作動し、従って、第1の実施形態と同様、円の配置に収容されることが予想される。配置の周囲には、2つのチャネルリングがあり、それぞれ、入力AおよびBに対応する。
【0116】
従って、上記の本発明のこれらおよび他の特徴は、単なる一例として記載されている。バルブおよび器具に対してなされる細部の変更、ならびに本発明の他の態様は、添付の特許請求の範囲に属する。