(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】車両用警報装置
(51)【国際特許分類】
B60Q 5/00 20060101AFI20240806BHJP
G10K 9/122 20060101ALI20240806BHJP
H04R 1/02 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
B60Q5/00 680D
B60Q5/00 630J
B60Q5/00 670E
B60Q5/00 670B
B60Q5/00 610F
G10K9/122 150
H04R1/02 102B
(21)【出願番号】P 2022010332
(22)【出願日】2022-01-26
【審査請求日】2023-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】390003469
【氏名又は名称】山口電機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121496
【氏名又は名称】中島 重雄
(72)【発明者】
【氏名】高橋 克彦
(72)【発明者】
【氏名】米内山 大地
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-077298(JP,U)
【文献】実公昭50-044061(JP,Y1)
【文献】特開2010-011340(JP,A)
【文献】実開昭63-136490(JP,U)
【文献】実公昭43-018338(JP,Y1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0060439(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 5/00-7/02
G10K 9/122
H04R 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部が設けられると共に、通電によって音を出力する音声発生回路基板が搭載されるケースと、前記ケースの前記開口部を覆うように装着され、前記音声発生回路基板によって駆動された圧電振動板によって発生した音を外側へ出す放音孔が設けられたカバーとを備え、
前記ケースには、当該ケースの外側に向かって開口したケース外側開口孔と、当該ケースの内側に向かって開口したケース内側開口孔とを有し、前記ケース外側開口孔と前記ケース内側開口孔とによって前記ケース外側とケース内側とがトンネル状に連続するように前記ケース内側開口孔および前記ケース外側開口孔以外をトンネル形成壁体で囲んだトンネル状通気部が設けられ
、
前記ケースは、
欠円弧部と直線部とで平面視、欠円形状に形成された底板部と、
前記底板部の欠円弧部から所定高さ立ち上がる欠円環状側面部と、
前記底板部の直線部から前記欠円環状側面部と連続して前記欠円環状側面部と同じ高さまで立ち上がり、通電ケーブルが通るケーブル通し孔および前記ケース外側開口孔が設けられた孔設置側面部と、
前記孔設置側面部上端部であって前記孔設置側面部の庇となるように突出すると共に、
前記底板部と合わさって平面視、ほぼ円形になる弓形の庇形成面部と、
前記欠円環状側面部上端部および前記庇形成面部周縁から平面視、ほぼ円形に立ち上がり、前記カバーの下端部が嵌るカバー差し込み縁部と、
を有することを特徴とする車両用警報装置。
【請求項2】
請求項
1記載の車両用警報装置において、
さらに、当該車両用警報装置を車両に取り付けるための車両取付孔が設けられた装置取付金具を備え、
前記ケースの欠円環状側面部には、前記装置取付金具を固定する装置取付金具挿入固定部が設けられており、
前記装置取付金具挿入固定部には、前記装置取付金具の基端部を挿入して、前記車両取付孔が設けられた側面が前記ケースの孔設置側面部と直角を成すように前記装置取付金具を固定する装置取付金具挿入部が設けられていることを特徴とする車両用警報装置。
【請求項3】
請求項
2記載の車両用警報装置において、
前記装置取付金具挿入固定部は、前記ケースの欠円環状側面部および前記カバー差し込み縁部に連結して設けられていることを特徴とする車両用警報装置。
【請求項4】
開口部が設けられると共に、通電によって音を出力する音声発生回路基板が搭載されるケースと、前記ケースの前記開口部を覆うように装着され、前記音声発生回路基板によって駆動された圧電振動板によって発生した音を外側へ出す放音孔が設けられたカバーとを備え、
前記ケースは、前記音声発生回路基板に対向する底板部と、その底板部から前記カバーに向かって立ち上がり、ケースの外側に向かって開口したケース外側開口孔が設けられた孔設置側面部とを有し、
前記ケース外側開口孔と前記ケース内で前記ケース内に向かって開口したケース内側開口孔とを介して前記ケース外側とケース内側とがトンネル状に連続するように前記ケース内側開口孔および前記ケース外側開口孔以外を前記底板部と一体のトンネル形成壁体で囲むことにより前記底板部と一体で前記底板部に沿って延びるトンネル状通気部が設けられていることを特徴とする車両用警報装置。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか一の請求項に記載の車両用警報装置において、
前記圧電振動板は、前記カバーに設けられていることを特徴とする車両用警報装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラック等の車両の後方に装着され、後退時等に警告音や警告メッセージ等を発生する車両用警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来よりトラック等の車両の後方に装着され、後退時等に警告音や警告メッセージ等を発生する車両用警報装置として、防水性能を確保するため、密閉型の筐体内に圧電素子等を使用した音声発生回路基板等を設けている(例えば、特許文献1参照。)。この車両用警報装置では、内側の熱膨張あるいは収縮による影響により、内側電子部品への影響が出るおそれがあり、特に、圧電素子を使用したブザー製品の場合には、音圧や共鳴周波数が変化するため、電子部品等が内蔵されるケースに開口された通気口の外側に環状の突出部を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような車両用警報装置は、通気口の外側に設けた環状の突出部がケース表面から突出しているため、車両用警報装置の外形サイズが大きくなり、車両への取付け場所に制約を与えるおそれがある、という問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、外形サイズが大きくならず、車両への取付け場所に制約を与えるおそれが少ない車両用警報装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る車両用警報装置は、開口部が設けられると共に、通電によって音を出力する音声発生回路基板が搭載されるケースと、前記ケースの前記開口部を覆うように装着され、前記音声発生回路基板によって駆動された圧電振動板によって発生した音を外側へ出す放音孔が設けられたカバーとを備え、前記ケースには、当該ケースの外側に向かって開口したケース外側開口孔と、当該ケースの内側に向かって開口したケース内側開口孔とを有し、前記ケース外側開口孔と前記ケース内側開口孔とによって前記ケース外側とケース内側とがトンネル状に連続するように前記ケース内側開口孔および前記ケース外側開口孔以外をトンネル形成壁体で囲んだトンネル状通気部が設けられ、前記ケースは、欠円弧部と直線部とで平面視、欠円形状に形成された底板部と、前記底板部の欠円弧部から所定高さ立ち上がる欠円環状側面部と、前記底板部の直線部から前記欠円環状側面部と連続して前記欠円環状側面部と同じ高さまで立ち上がり、通電ケーブルが通るケーブル通し孔および前記ケース外側開口孔が設けられた孔設置側面部と、前記孔設置側面部上端部であって前記孔設置側面部の庇となるように突出すると共に、記底板部と合わさって平面視、ほぼ円形になる弓形の庇形成面部と、前記欠円環状側面部上端部および前記庇形成面部周縁から平面視、ほぼ円形に立ち上がり、前記カバーの下端部が嵌るカバー差し込み縁部と、を有することを特徴とする。
また、本発明に係る車両用警報装置では、さらに、当該車両用警報装置を車両に取り付けるための車両取付孔が設けられた装置取付金具を備え、前記ケースの欠円環状側面部には、前記装置取付金具を固定する装置取付金具挿入固定部が設けられており、前記装置取付金具挿入固定部には、前記装置取付金具の基端部を挿入して、前記車両取付孔が設けられた側面が前記ケースの孔設置側面部と直角を成すように前記装置取付金具を固定する装置取付金具挿入部が設けられていることも特徴とする。
また、本発明に係る車両用警報装置では、前記装置取付金具挿入固定部は、前記ケースの欠円環状側面部および前記カバー差し込み縁部に連結して設けられていることも特徴とする。
また、本発明に係る車両用警報装置では、前記圧電振動板は、前記カバーに設けられていることを特徴とする。
また、本発明に係る車両用警報装置は、開口部が設けられると共に、通電によって音を出力する音声発生回路基板が搭載されるケースと、前記ケースの前記開口部を覆うように装着され、前記音声発生回路基板によって駆動された圧電振動板によって発生した音を外側へ出す放音孔が設けられたカバーとを備え、前記ケースは、前記音声発生回路基板に対向する底板部と、その底板部から前記カバーに向かって立ち上がり、ケースの外側に向かって開口したケース外側開口孔が設けられた孔設置側面部とを有し、前記ケース外側開口孔と前記ケース内で前記ケース内に向かって開口したケース内側開口孔とを介して前記ケース外側とケース内側とがトンネル状に連続するように前記ケース内側開口孔および前記ケース外側開口孔以外を前記底板部と一体のトンネル形成壁体で囲むことにより前記底板部と一体で前記底板部に沿って延びるトンネル状通気部が設けられていることを特徴とする。
また、本発明に係る車両用警報装置では、前記圧電振動板は、前記カバーに設けられていることも特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る車両用警報装置では、ケースには、ケース外側に向かって開口したケース外側開口孔と、ケースの内側に向かって開口したケース内側開口孔とを有し、ケース内側開口孔とケース外側開口孔とでケース内側とケース外側とをトンネル状に連続させるようにケース内側開口孔およびケース外側開口孔以外をトンネル形成壁体で囲んだトンネル状通気部を設けている。
そのため、特許文献1に記載された従来技術とは異なりケースの外側に突出した突出部を設ける必要がなくなるので、車両用警報装置全体の外形サイズが大きくならず、車両への取付け場所に制約を与えるおそれが少ない車両用警報装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る実施形態1の車両用警報装置の斜視図である。
【
図2】本発明に係る実施形態1の車両用警報装置の分解斜視図である。
【
図3】本発明に係る実施形態1の車両用警報装置の分解斜視図であって、
図2とは反対方向から見た分解斜視図である。
【
図4】本発明に係る実施形態1の車両用警報装置の平面図であって車両に取り付けた状態を示す図である。
【
図5】本発明に係る実施形態1の車両用警報装置を構成するカバーの裏側を示す斜視図で斜視図である。
【
図6】本発明に係る実施形態1の車両用警報装置の正面図である。
【
図10】
図4におけるB-B線断面で切断したケースの斜視図である
【
図11】
図4におけるB-B線断面で切断したケースの斜視図であってケース内側開口孔の位置を変えた例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態の車両用警報装置1を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。尚、下記に説明する実施形態は、あくまで本発明の一例であり、本発明は下記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で適宜変更可能である。
【0010】
実施形態1
<実施形態1の車両用警報装置1の構成>
実施形態1の車両用警報装置1は、トラック等の車両の後方に取付けられる車両用警報装置1であって、
図1~
図10に示すように、ケース11と、カバー12と、音声発生回路基板13と、圧電振動板14と、装置取付金具15等を備えて構成されており、2本の通電ケーブル16,16によって音声発生回路基板13へ駆動電流を供給して音声発生回路基板13上の電子部品13a,13b等が動作して圧電振動板14を振動させて車両が後退時の警報音や警報メッセージを発生するように構成されている。
【0011】
(ケース11)
ケース11は、底板部11aと、欠円環状側面部11bと、孔設置側面部11cと、庇形成面部11dと、カバー差し込み縁部11e,11f等を備えて構成され、カバー12で蓋をする構造であるため上面(天井)を備えて無く、ケース上方開口部11gを設けている。
【0012】
底板部11aには、
図7等に示すように、音声発生回路基板13をネジ11a5(
図9参照。)で固定する1または複数(ここでは、例えば、2つとするが、3つ以上でも良い。)の基板固定部11a1,11a2と、基板支持部11a3と、トンネル状通気部11a4等を設けている。
【0013】
基板固定部11a1,11a2は、それぞれ、底板部11aから所定の高さだけ浮かして音声発生回路基板13をネジ11a5(
図9参照。)で固定する部分で、
図7等に示すように欠円環状側面部11bと連結して設けられると共に、基板固定部11a1,11a2の内、一方の基板固定部11a2がトンネル状通気部11a4と連結して一体で設けられている。
【0014】
基板支持部11a3は、
図8等に示すようにその2つの基板固定部11a1,11a2の間で、音声発生回路基板13を裏面に近接または当接して音声発生回路基板13を裏側から支持する部分で、一方の基板固定部11a2と同様にトンネル状通気部11a4と連結して一体で設けられ、他方の基板固定部11a1には直接連結していない。つまり、トンネル状通気部11a4は、一方の基板固定部11a2と基板支持部11a3との間に挟まれ、かつ、一方の基板固定部11a2と基板支持部11a3と連結して設けられていることになる。尚、基板支持部11a3は、音声発生回路基板13の裏面に当接せず近接している場合は、基板支持部11a3に接触していないため支持していることにはならないが、車両の走行時、特に後退時等に車両の振動によってこの用警報装置1も振動して音声発生回路基板13が振動した場合に音声発生回路基板13の裏面に当接して支持することができる。
【0015】
トンネル状通気部11a4は、
図7や
図8等に示すようにケース11の孔設置側面部11cに面一で外側に向かって開口したケース外側開口孔11c1と、ケース11内に向かって開口したケース内側開口孔11a41とを有し、ケース内側開口孔11a41とケース外側開口孔11c1とによってケース11の内側と外側とがトンネル状に連続するようにケース外側開口孔11c1およびケース内側開口孔11a41以外をトンネル形成壁体11a42で囲んで形成される。つまり、トンネル状通気部11a4は、ケース11の底板部11aとトンネル形成壁体11a42とで囲んで形成されると共に、その入口や出口となるケース外側開口孔11c1とケース内側開口孔11a41とは直線状に対向し、ケース外側開口孔11c1が孔設置側面部11cに面一で外側に向かって突出しないように構成している。
【0016】
欠円環状側面部11bは、底板部11aの欠円弧部11a6(
図3参照。)から所定高さ立ち上がった平面視、欠円弧形状の側面で、その外側には、
図4や
図7等に示すように装置取付金具15を固定する装置取付金具挿入固定部11b1が設けられている。
【0017】
装置取付金具挿入固定部11b1は、
図7等に示すように装置取付金具15の基部を挿入して固定する装置取付金具挿入部11b11が設けられている。
【0018】
孔設置側面部11cは、底板部11aの直線部11a7(
図3参照。)から欠円環状側面部11bの高さとほぼ同じ高さまで立ち上がり、通電ケーブル16,16が通るケーブル通し孔11c2,11c2およびケース外側開口孔11c1が設けられた平面状の側面である。
【0019】
庇形成面部11dは、
図8や
図9、
図10等に示すように孔設置側面部11c上端部から孔設置側面部11cの庇となるよう底板部11aと平行に突出すると共に、平面視、底板部11aと合わさってほぼ円形になる弓形の面である。
【0020】
カバー差し込み縁部11e,11fは、欠円環状側面部11b上端部および庇形成面部11d周縁から平面視、ほぼ円環形に立ち上がり、カバー12の下端部が嵌る部分で、カバー12の下端部が嵌合できるようにカバー12の下端部よりも径の小さい内側カバー差し込み縁部11eと、カバー12の下端部よりも径の大きい外側カバー差し込み縁部11fとが少なくともカバー12の下端部の厚さだけ離して構成されている。尚、カバー差し込み縁部11e,11fとカバー12の円環形嵌合12b1との嵌合は、周知の方法で、例えば、カバー12の円環形嵌合12b1をカバー差し込み縁部11e,11fに挿入した後、回転させて係合部(図示せず。)や嵌合部(図示せず。)等が嵌合するような構造でも良いし、単にカバー12の円環形嵌合12b1をカバー差し込み縁部11e,11fに挿入した際に嵌合する構造でも良いし、ネジ(図示せず。)等で固定する構造でも勿論良い。
【0021】
(カバー12)
カバー12は、ケース11のケース上方開口部11gを塞ぐ蓋であり、
図1~
図4等に示すように平面視、円形の上側面部12aと、上側面部12aの周縁から円筒状に垂れ下がる円環形側面部12bとで構成され、円環形側面部12bの下端部には、カバー差し込み縁部11e,11fに挿入して嵌合する円環形嵌合部12b1を設け、その円環形嵌合部12b1をカバー差し込み縁部11e,11fに挿入し嵌合することによりケース上方開口部11gを塞ぐように構成されている。
【0022】
上側面部12aには、
図1や
図3等に示すようにその中心に大きい円形の大円形凹部12a1が設けられていると共に、その大円形凹部12a1を中心として45度の角度毎に小さな円形の小円形凹部12a2が8か所設けられている。大円形凹部12a1の中心には、
図3等に示すように車両用警報装置1内側で発生した警報音や警報メロディを外側へ放出する大放音孔12a11が設けられている一方、8個の小円形凹部12a2の内、2箇所の小円形凹部12a2の中心には、それぞれ、車両用警報装置1内側で発生した警報音や警報メロディを外側へ放出する小放音孔12a21が設けられている。
【0023】
また、ケース12の内側には、
図8や
図9等に示すように上側面部12a裏面からケース11に向かって、つまり円環形側面部12bと対向し、かつ、円環形側面部12bの長さよりは短い所定長さだけ下方に延びてカバー12内において上側面部12aとの間に間隔を空けて圧電振動板14を支持する円環状の圧電振動板支持部12a3が設けられている。尚、圧電振動板14はケース12の円環形側面部12b内側面に接触する形状に形成されており、圧電振動板14は圧電振動板支持部12a3によって所定間隔を空けた状態で、圧電振動板14周縁がケース12の円環形側面部12b内側面に全周シール接着されて取付けられる。
【0024】
(音声発生回路基板13)
音声発生回路基板13は、車両からの2本の通電ケーブル16,16を介した通電によって音声発生回路基板13上の電子部品13a,13b等が制御して圧電振動板14を振動させ車両が後退時の警報音や警報メッセージを発生するもので、
図9等に示すようにケース11の底板部11aから延びるように設けられた基板固定部11a1,11a2にネジ11a5等で固定される。
【0025】
(圧電振動板14)
圧電振動板14は、音声発生回路基板13と信号線(図示せず。)等によって接続され、音声発生回路基板13からの信号によって振動して車両が後退時の警報音や警報メッセージを発生するもので、圧電振動板支持部12a3を介してケース12上側面部12aに対し所定間隔を空けた状態で圧電振動板14周縁がケース12の内側面に全周シール接着されて取付けられる。
【0026】
(装置取付金具15)
装置取付金具15は、この車両用警報装置1をボルト(図示せず。)およびナット(図示せず。)等により車両の後部に取り付けるための金具で、
図1や
図2等に示すように基端部が装置取付金具挿入固定部11b1の装置取付金具挿入部11b11に挿入されて固定される一方、後端部には車両後部に固定するボルト(図示せず。)を通すボルト孔15a1を有する車両接触面15aが設けられている。
【0027】
<実施形態1の車両用警報装置1の動作や機能等>
次に以上のように実施形態1の車両用警報装置1の動作や機能等について説明する。
【0028】
(車両への取付け)
実施形態1の車両用警報装置1では、ケース1の装置取付金具挿入固定部11b1に固定された装置取付金具15を用いて
図3に示す状態でトラック等の後部の荷台下にボルト(図示せず。)およびナット(図示せず。)で固定する。
【0029】
すると、
図3に示す車両への取付状態では、大放音孔12a11および小放音孔12a21,12a21が設けられたカバー12の上側面部12aは車両の後方を向く一方、ケース11の底板部11aは車両の前方を向き、ケース外側開口孔11c1およびケーブル通し孔11c2,11c2が設けられた孔設置側面部11cは、
図7に示すように下方すなわち地面の方を向くことになる。
【0030】
そのため、実施形態1の車両用警報装置1では、孔設置側面部11cに設けたケース外側開口孔11c1およびケーブル通し孔11c2,11c2は孔設置側面部11cに対し面一で突出せずに、従来技術とは異なりケース11の外側に突出部等も突出しないので、車両用警報装置1全体の外形サイズが大きくならず、車両への取付け場所に制約を与えるおそれが少ない車両用警報装置1を提供することができる。
【0031】
また、実施形態1の車両用警報装置1では、トンネル状通気部11a4の断面は、
図7や
図8に示すようにケース外側開口孔11c1からケース内側開口孔11a41から向かって漸次小さくなるように形成したため、車両の走行時に路面の雨水等が跳ね返ってケース外側開口孔11c1からケース11内側に浸入してもケース内側開口孔11a41に到達し難くなり、通気性を確保しつつも防水性も向上させることができる。
【0032】
そして、車両が後退(バック)する際に運転手が車両のミッション(図示せず。)を後退(バック)に入れると、通電ケーブル16,16を介して実施形態1の車両用警報装置1に駆動電流が送られる。
【0033】
すると、通電ケーブル16,16によって音声発生回路基板13へ駆動電流が供給されて音声発生回路基板13上の電子部品13a,13bが動作して圧電振動板14へ信号を送り、圧電振動板14を振動させて警報音や警報メロディを発生し、カバー12の上側面部12aに設けられた大放音孔12a11および小放音孔12a21,12a21からその警報音や警報メロディを車両用警報装置1外部へ出力して、車両の周辺にいる通行人等に当該車両が後退(バック)することを報知する。
【0034】
<本発明に係る実施形態の車両用警報装置1のまとめ>
以上説明したように本発明に係る実施形態の車両用警報装置1では、ケース11には、ケース11外側に向かって開口したケース外側開口孔11c1と、ケース11の内側に向かって開口したケース内側開口孔11a41とを有し、ケース外側開口孔11c1とケース内側開口孔11a41とでケース11外側とケース11内側とをトンネル状に連続させるようにケース外側開口孔11c1およびケース内側開口孔11a41以外をトンネル形成壁体11a42で囲んだトンネル状通気部11a4を設けている。そのため、特許文献1に記載された従来技術とは異なりケース11の外側に突出する環状の突出部を設ける必要がなくなる。
【0035】
そのため、本発明に係る実施形態の車両用警報装置1では、特許文献1に記載された従来技術とは異なりケース11の外側に突出する環状の突出部を設ける必要がなくなるので、車両用警報装置1全体の外形サイズが大きくならず、車両への取付け場所に制約を与えるおそれが少ない車両用警報装置1を提供することができる。
【0036】
また、本発明に係る実施形態の車両用警報装置1では、ケース11は、欠円弧部と直線部とで平面視、欠円形状に形成された底板部11aと、底板部11aの直線部11a7(
図3参照。)から所定高さ立ち上がり、通電ケーブル16が通るケーブル通し孔11c2,11c2およびケース外側開口孔11c1が設けられた孔設置側面部11cと、孔設置側面部11cと連結して底板部11aの欠円弧部11a6(
図3参照。)から孔設置側面部11cと同じ高さまで立ち上がる欠円環状側面部11bと、孔設置側面部11c上端部であって孔設置側面部11cの庇となるように突出すると共に、底板部11aと合わさって平面視、ほぼ円形になる弓形の庇形成面部11dと、欠円環状側面部11b上端部および庇形成面部11d周縁から平面視、ほぼ円形に立ち上がり、カバー12の下端部が嵌るカバー差し込み縁部11e,11fとを設けている。
【0037】
そのため、カバー差し込み縁部11e,11fによってケース11にカバー12を容易かつ確実に装着することができると共に、車両の背後から見た場合、ケーブル通し孔11c2,11c2およびケース外側開口孔11c1がケース11および庇形成面部11dによって隠れるので、車両後方から車両用警報装置1へ雨水等が吹き込んだ場合でも、ケーブル通し孔11c2,11c2およびケース外側開口孔11c1からケース11内部に雨水が浸水し難くすることができ、車両用警報装置1の防水性能を向上させることができる。
【0038】
また、本発明に係る実施形態の車両用警報装置1では、さらに、当該車両用警報装置を車両に取り付けるための車両取付孔が設けられた装置取付金具15を備え、ケース11の欠円環状側面部11bには、装置取付金具15を固定する装置取付金具挿入固定部11b1が設けられており、装置取付金具挿入固定部11b1には、装置取付金具15の基端部を挿入して、車両取付孔15a1が設けられた側面15aがケース11の孔設置側面部11cと直角を成すように装置取付金具15を固定する装置取付金具挿入部11b11を設けている。
【0039】
そのため、装置取付金具15における車両取付孔15a1が設けられた側面15aと、ケース11の孔設置側面部11cとが直角を成すので、ケーブル通し孔11c2,11c2およびケース外側開口孔11c1が設けられた孔設置側面部11cを確実に下方に向けて車両用警報装置1を車両に取付けることが容易となり、この点でも取付け場所に制約を与えるおそれが少ない車両用警報装置1を提供することができる。
【0040】
また、本発明に係る実施形態の車両用警報装置1では、装置取付金具挿入固定部11b1は、ケース11の欠円環状側面部11b1および外側のカバー差し込み縁部11fに結合して設けられている。
【0041】
そのため、外側のカバー差し込み縁部11fが欠円環状側面部11b1および装置取付金具挿入固定部11b1と一体になるため、カバー12が嵌合するカバー差し込み縁部11e,11fの強度を向上させることが可能となるので、車両走行時のカバー12の脱落をより防止できると共に、車両後退時におけるケース11やカバー12の振動を低減することができ、カバー12に設けられた圧電振動板14も車両の振動の影響が少なくなるので、車両後退時における警報音や警報メッセージの音色の変化もより低減させることができる。
【0042】
また、本発明に係る実施形態の車両用警報装置1では、圧電振動板14は、音声発生回路基板13が設けられたケース11ではなく、カバー12に設けている。
【0043】
そのため、ケース11からカバー12を取り外すと、ケース11側に設けられた声発生回路基板13と、カバー12側に設けられた圧電振動板14とが分離されるので、故障時のメンテナンス性等を向上させることができる。
【0044】
また、本発明に係る実施形態の車両用警報装置1では、ケース11には、さらに、音声発生回路基板13がネジで固定される2つの基板固定部11a1,11a2と、その2つの基板固定部11a1,11a2の間に設けられ、音声発生回路基板13を裏側から支持する基板支持部11a3とを備えており、トンネル状通気部11a4は、その2つの基板固定部11a1,11a2の内の少なくとも一の基板固定部11a2と基板支持部11a3と結合して設けている。
【0045】
そのため、トンネル状通気部11a4は基板固定部11a2と基板支持部11a3と一体になり、ケース11全体、特に、基板支持部11a3の強度を向上させることができると共に、基板支持部11a3は、装置取付金具15とは大きく離間してケース11において比較的に振動幅が大きくなり易い基板固定部11a1とは連結しないため、車両後退時に車両から音声発生回路基板13への振動の伝達を低減することができ、車両後退時における警報音や警報メッセージの音色の変化もより低減させることができると共に、声発生回路基板13の故障率を減少させることができ、音声発生回路基板13の信頼性を向上させることができる。
【0046】
尚、上記実施形態の説明では、トンネル状通気部11a4のケース内側開口孔11a41は、
図7や
図10等に示すようにケース外側開口孔11c1対向、つまりケース11の欠円環状側面部11bと対向するように設けて説明したが、本発明ではこれに限定されず、ケース11内に開口する場所であれば十分で、
図11に示すようにカバー12やカバー12に設ける圧電振動板14、さらにはケース11に設ける音声発生回路基板13等に対向するように設けても勿論良い。
【符号の説明】
【0047】
1 車両用警報装置
11 ケース
11a 底板部
11a1,11a2 基板固定部
11a3 基板支持部
11a4 トンネル状通気部
11a41 ケース内側開口孔
11a42 トンネル形成壁体
11a5 ネジ
11a6 欠円弧部
11a7 直線部
11b 欠円環状側面部
11b1 欠円環状側面部
11b11 装置取付金具挿入固定部
11c 孔設置側面部
11c1 ケース外側開口孔
11c2 ケーブル通し孔
11d 庇形成面部
11e,11f カバー差し込み縁部
11g ケース上方開口部
12 カバー
12a 上側面部
12a1 大円形凹部
12a11 大放音孔
12a2 小円形凹部
12a21 小放音孔
12a3 圧電振動板支持部
12b 円環形側面部
12b1 円環形側面部
13 音声発生回路基板
13a,13b 電子部品
14 圧電振動板
15 装置取付金具
15a 車両接触面
15a1 ボルト孔
16 通電ケーブル