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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】画像ソナー装置と方法並びにプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 15/89 20060101AFI20240806BHJP
【FI】
G01S15/89 B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022053486
(22)【出願日】2022-03-29
(65)【公開番号】P2023146347
(43)【公開日】2023-10-12
【審査請求日】2023-07-04
(73)【特許権者】
【識別番号】599161890
【氏名又は名称】NECネットワーク・センサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】小林 哲也
(72)【発明者】
【氏名】島津 定生
【審査官】梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-002436(JP,A)
【文献】特開2009-085915(JP,A)
【文献】特開2015-038489(JP,A)
【文献】特開平07-234271(JP,A)
【文献】特開昭49-031346(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0192672(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/52 - 7/64
G01S 15/00 - 15/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中航走体の前部に前記水中航走体の長手方向に直交する面に2次元配置される送受波アレイを備えた画像ソナー装置であって、
前記送受波アレイは、複数の送波器と複数の受波器とが中空円環状に配置された構成とされ、
前記複数の送波器と前記複数の受波器の各音響面はいずれも中空円環の開放端側に位置してなり、
さらに、
前記水中航走体の姿勢を検出する姿勢センサと、
前記姿勢センサの検出結果に基づき、前記送受波アレイの傾きによる指向性合成処理の補正計算を行う指向性合成手段を備えた、画像ソナー装置。
【請求項2】
前記送受波アレイは、同一円周上に、前記受波器を予め定められた個数毎に隣接配置し、
前記隣接配置された予め定められた個数の前記受波器群の間に、前記送波器を備えてなる、請求項1に記載の画像ソナー装置。
【請求項3】
前記送受波アレイの前記複数の送波器から送波する送信波形データを生成する送信波形データ出力手段を備え、
前記指向性合成手段は、前記送受波アレイの前記複数の受波器での受波信号の周波数成分毎のデータに対して、前記送信波形データ出力手段にて生成した送波ビームの周波数に相当するデータについて、
前記姿勢センサで検出された前記水中航走体のロール角、ピッチ角及びヨー角による前記送受波アレイの前記受波器の傾きの影響を補正し、画像ソナーの画素の方向の指向性を合成する処理を行い、画素毎のレベル値を算出する、請求項1又は2に記載の画像ソナー装置。
【請求項4】
前記送信波形データ出力手段は、前記送受波アレイの前記複数の送波器から、検出範囲をカバーする同一の送波音響信号を送波する、請求項3に記載の画像ソナー装置。
【請求項5】
前記指向性合成手段は、前記補正計算として、
前記中空円環状に配置された前記複数の受波器の各々に関して、
前記送受波アレイの前記受波器の中心と前記送受波アレイの中心の離隔距離と、
前記姿勢センサで検出されたロール角と、
に基づき、
前記受波器の3次元座標の位置の変位を算出し、
前記姿勢センサで検出された前記ピッチ角及び前記ヨー角についても、
前記受波器の3次元座標の位置の変位を算出する、請求項3に記載の画像ソナー装置。
【請求項6】
前記指向性合成手段は、前記水中航走体の進行方向に直交する平面に関する2次元指向性について、第1の軸方向を前記姿勢センサで検出された前記水中航走体の前記ヨー角、前記第1の軸方向に直交する第2の軸方向を前記姿勢センサで検出された前記水中航走体の前記ピッチ角とし、前記ヨー角及び前記ピッチ角を加算することにより、前記水中航走体の姿勢補正と同時に、画像ソナーの指向性合成処理を行う、請求項5に記載の画像ソナー装置。
【請求項7】
水中航走体の前部に前記水中航走体の長手方向に直交する面に2次元配置される送受波アレイを用いた画像ソナー方法であって、
前記送受波アレイを、複数の送波器と複数の受波器とを中空円環状に配置した構成とし、
前記複数の送波器と前記複数の受波器の各音響面はいずれも中空円環の開放端側に位置してなり、
前記水中航走体の姿勢の検出結果に基づき、前記送受波アレイの傾きによる指向性合成処理の補正計算を行う、画像ソナー方法。
【請求項8】
前記送受波アレイは、同一円周上に、前記受波器を予め定められた個数毎に隣接配置し、
前記隣接配置された予め定められた個数の前記受波器群の間に、前記送波器を配置してなる、請求項7に記載の画像ソナー方法。
【請求項9】
前記送受波アレイの前記複数の受波器での受波信号の周波数成分毎のデータに対して、前記複数の送波器から送波した送波ビームの周波数に相当するデータについて、
前記水中航走体のロール角、ピッチ角及びロール角による前記送受波アレイの前記受波器の傾きの影響を補正し、画像ソナーの画素の方向の指向性を合成する処理を行い、画素毎のレベル値を算出する、請求項7又は8に記載の画像ソナー方法。
【請求項10】
水中航走体の前部に前記水中航走体の長手方向に直交する面に2次元配置される送受波アレイを備え、
前記送受波アレイは、複数の送波器と複数の受波器とが中空円環状に配置された構成とされ、前記複数の送波器と前記複数の受波器の各音響面はいずれも中空円環の開放端側に位置してなる画像ソナー装置を構成するコンピュータに、
前記水中航走体の姿勢の検出結果に基づき、前記送受波アレイの傾きによる指向性合成処理の補正計算を行う処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像ソナー装置と方法並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像ソナーは、送波音を水中に発信する複数の送波器(音響素子)を直線状に配列したラインアレイ構成の送波アレイに対して、水中の目標から反射した反射音を受波する複数の受波器を直線状に配列したラインアレイ構成の受波アレイが、送波アレイと十字形となるように直交配置された構成とされる(例えば特許文献1、2等参照)。
【0003】
横広の扇を広げた音響ビーム(ファンビーム)を例えば上から下へ送出方向を変えながら音響信号を送波して、ターゲットからの反射音を、水平方向に角度をシフトした多数の縦広のファンビームで受波する。垂直方向は、例えば周波数の違いから分割し、水平方向は受波ビームの角度で分割することにより高精度の画像を取得可能としている。クロスファンビーム方式の画像ソナーについては特許文献1、2等が参照される。なお、クロスファンビーム方式により、2次元/3次元画像を生成するソナーをクロスファンビーム方式による画像ソナーという。
【0004】
水中航走体の前部にクロスファンビーム方式の画像ソナーを備えた関連技術について説明する。クロスファンビーム方式の画像ソナーでは、図1に模式的に例示したように、電気信号を音響信号に変換する複数の音響素子(送波器)を一列(縦方向:Y方向)に配列した送波アレイ3と、音響信号を電気信号に変換する複数の音響素子(受波器)を一列(横方向:X方向)に配列した受波アレイ4を備え、縦方向の送波ビーム指向性と横方向の受波ビーム指向性のクロスする画素の信号の指向性を得られる。このため、少ない演算量で画像ソナーの画素情報を得られるメリットがある。なお、図1は、Z軸方向からXY平面を見た模式的平面図であり、十字形状の送波アレイ3と受波アレイ4を囲繞する円は、水中航走体の長手方向(進行方向)に直交する断面(前部の断面)の円形の外縁又は外縁と同心円の内側領域を模式的に表しているとしてもよい。
【0005】
図2は、クロスファンビーム方式の送波ビームを示す。クロスファンビーム方式による画像ソナーは、図2に示すように、水中航走体1において、送波アレイ3(図1)から垂直方向(Y方向)に指向性がある送波ビーム5を、垂直方向のm画素分、複数送信する。送波アレイ3からのm本の送波ビーム5はそれぞれ方向θ1~θmに変移するように位相シフトされ、それぞれのビームで音波の周波数を変えて送信される(例えば方向θ1のビームは周波数F1、方向θmのビームは周波数Fmで送信)。
【0006】
図3は、クロスファンビーム方式の受波ビームを示す。水中航走体1において、送波アレイ3に直交して配設された受波アレイ4(図1)にて、送波アレイ3から送信された音波の反射音を受信し、水平方向(X方向)に指向性がある受波ビーム6を複数生成する。図3では、受波ビーム6は、水平方向(X方向)に角度φ1~φnのn本としている。
【0007】
図4は、クロスファンビーム方式により得られる2次元画像の例を示す。垂直方向(θ1~θm)のm本の送波ビーム5(図2)と、水平方向(φ1~φn)のn本の受波ビーム6(図3)のクロスした部分の反射波のみを捉えることができる。これにより、ソナーの高分解能化を実現し、水中物体の2次元の形状と寸法を検出することができる。
【0008】
さらに、受波ビームによる水平方向の指向性合成処理(受信信号に対して整相処理を行い指向性ビームを形成する)を短い周期で行うことにより、2次元画像データを、距離方向の画像データとして、3次元化することにより、水中物体の3次元の形状と寸法を検出することができる。
【0009】
しかし、クロスファンビーム方式の画像ソナーは、直線状のアレイを使用することから、水中航走体1の姿勢の影響を受けやすい。
【0010】
クロスファンビーム方式の画像ソナーを、姿勢が安定しない水中航走体1(船舶と比べて小型)に装備した場合、精度の高い画像を得ることが難しい。特に、水中航走体1が水中を高速で航走する際に生じる姿勢の変化の影響を受けやすい。水中航走体1は、一般的に前後方向に細長く、ほとんどの場合に断面は円形形状とされ、船の航行時の揺れ(ローリング)を抑えるフィンスタビライザーやビルジキールのような動揺抑制機構を持たない。このため、水中航走体1が高速で航走した場合に、特にロール角の姿勢を安定させることが難しい場合がある。
【0011】
さらに、水中航走体1の前部に、クロスファンビーム方式の画像ソナーとして、直交配置されたラインアレイ構成の送波アレイ3及び受波アレイ4を装備した場合、水中航走体1の前部に、他のソナー用のアレイを装備することは難しい。図1の例では、水中航走体1の前部にクロスファンビーム方式の画像ソナーの送波アレイ3及び受波アレイ4を装備した例を示しているが、送波アレイ3及び受波アレイ4が直線状であり、直交しているので、他のソナー用のアレイを装備する隙間が少なくなる傾向にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開2004-12237号公報
【文献】特開2006-64524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
以下では、水中航走体1が水中を高速で航走する際に生じる姿勢の変化の影響を受けやすく、水中物体の形状と寸法が不正確になる可能性があるという課題について説明する。
【0014】
図5(A)乃至(C)は、クロスファンビーム方式の画像ソナーがロール角+10[deg](度)の姿勢の場合に、送波ビーム5を送信した場合を説明する図である。図5(A)に示すように、送波アレイ3が時計周りにロール角+10[deg]傾いている。図5(B)は、水中航走体1のローリング時に送信される送波ビーム5と水中物体2の関係を説明する図である。図5(C)は、水中航走体1のローリング時に得られた画像(表示装置に表示された画像)を模式的に示している。本来水平である水中物体2が、図6に示すとおり、ロール角に相当する+10[deg]ほど傾いて検出されることが予想される。
【0015】
図7(A)乃至(C)は、クロスファンビーム方式の画像ソナーがロール角-10[deg]の姿勢の場合に、送波ビーム5を送信した場合を説明する図である。図7(A)に示すように、送波アレイ3が時計周りにロール角-10[deg]傾いている。図7(B)は、水中航走体1のローリング時に送信される受波ビーム6と水中物体2の関係を説明する図である。図7(C)は、水中航走体1のローリング時に得られた画像(表示装置に表示された画像)を模式的に示している。本来水平である水中物体2が、図8に示すとおり、ロール角に相当する-10[deg]ほど傾いて検出されることが予想される。
【0016】
図5及び図6に示すように、送波ビーム5がロール角+10[deg]傾いた場合、且つ、図7及び図8に示すように、受波ビーム6がロール角-10[deg]傾いた場合に検出される水中物体2の形状は、図9に示すようなものとなる。
【0017】
送波ビーム5及び受波ビーム6の傾きの結果、クロスファンビーム方式の画像ソナーにより得られる水中物体2の2次元の概略形状と概略寸法は、図10に示すようなものとなる。図10は、クロスファンビーム方式の画像ソナーにおいて、水中航走体のロール角が画像ソナーにより得られる2次元画像に影響を与えた結果の例を示す。本来、図3に示す水中物体2が、図10に示すとおり、不規則な形状(例えばサツマイモの形状)に見えてしまうことになる。
【0018】
クロスファンビーム方式の画像ソナーの用途の一例として、水中物体の形状及び寸法を検出して、水中物体が本物であるか偽物(デコイ:decoy)であるかを判別する類別用ソナーがあるが、図10に示したような画像から類比判別を正しく行うことは困難である。
【0019】
なお、クロスファンビーム方式の画像ソナーについて、水中航走体1のロール角が変化した場合について、図5乃至図10のようなシミュレーションを行ったが、実際の水中航走体1は、航走中に、ヨー角及びピッチ角が変化する場合もあり、図10の画像よりもさらに、検出される水中物体の形状と寸法が不正確になる可能性がある。
【0020】
上記の通り、水中航走体1が水中を高速で航走する際に生じる姿勢の変化の影響を受けやすく、水中物体の形状と寸法が不正確になる可能性がある。
【0021】
さらに、水中航走体1では、通常、クロスファンビーム方式の画像ソナー以外に、他の水中航走体を発見する捜索用ソナーも併用する。このため、水中航走体1の前部に捜索用ソナーのアレイを配置するスペースを確保する必要がある。
【0022】
しかし、水中航走体1の前部に、図1に示したようなクロスファンビーム方式ソナー用の送波アレイ3と受波アレイ4を装備した場合、捜索用ソナーのアレイを装備することが難しい。
【0023】
本発明は、上記課題に鑑みて創案されたものであって、水中航走体の姿勢の変化の影響を抑制可能とし、水中航走体の前部に捜索用ソナーのアレイを配置するスペースを確保可能とした画像ソナー装置、方法、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明によれば、水中航走体の前部に前記水中航走体の長手方向に直交する面に2次元配置される送受波アレイを備えた画像ソナー装置であって、前記送受波アレイは、複数の送波器と複数の受波器とが中空円環状に配置された構成とされ、前記複数の送波器と前記複数の受波器の各音響面はいずれも前記中空円環の一面側に位置している。さらに、ソナー装置は、前記水中航走体の姿勢を検出する姿勢センサと、前記姿勢センサの検出結果に基づき、前記送受波アレイの傾きによる指向性合成処理の補正計算を行う指向性合成手段を備えている。
【0025】
本発明によれば、水中航走体の前部に前記水中航走体の長手方向に直交する面に2次元配置される送受波アレイを用いた画像ソナー方法であって、前記送受波アレイを、複数の送波器と複数の受波器を中空円環状に配置して構成し、前記複数の送波器と前記複数の受波器の各音響面はいずれも前記中空円環の一面側に位置し、前記水中航走体の姿勢の検出結果に基づき、前記送受波アレイの傾きによる指向性合成処理の補正計算を行う。
【0026】
本発明によれば、水中航走体の前部に前記水中航走体の長手方向に直交する面に2次元配置される送受波アレイを備え、前記送受波アレイは、複数の送波器と複数の受波器とが中空円環状に配置された構成とされ、前記複数の送波器と前記複数の受波器の各音響面はいずれも前記中空円環の一面側に位置してなる画像ソナー装置を構成するコンピュータに、
前記水中航走体の姿勢の検出結果に基づき、前記送受波アレイの傾きによる指向性合成処理の補正計算を行う処理を実行させるプログラムが提供される。さらに、本発明によれば、上記プログラムを記憶したコンピュータ可読型記録媒体(例えばRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、又は、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)等の半導体ストレージ、HDD(Hard Disk Drive)、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc))が提供される。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、水中航走体の姿勢の変化の影響を抑制可能とし、水中航走体の前部に捜索用ソナーのアレイを配置するスペースを確保可能としている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】関連技術のクロスファンビーム方式の送受波アレイを模式的に説明する図である。
図2】関連技術の送波ビームを模式的に示す図である。
図3】関連技術の受波ビームを模式的に示す図である。
図4】関連技術のクロスファンビーム方式により得られる2次元画像の例を模式的に示す図である。
図5】(A)乃至(C)は、関連技術のクロスファンビーム方式の送波ビームが水中航走体のロール角の影響を受ける状態の例を説明する図である。
図6】関連技術のクロスファンビーム方式の送波ビームが水中航走体のロール角の影響を受け、送波ビームが回転した状態の例を模式的に示す図である。
図7】(A)乃至(C)は、関連技術のクロスファンビーム方式の受波ビームが水中航走体のロール角の影響を受ける状態の例を模式的に説明する図である。
図8】関連技術のクロスファンビーム方式の受波ビームが水中航走体のロール角の影響を受け、受波ビームが回転した状態の例を模式的に示す図である。
図9】関連技術のクロスファンビーム方式の送波ビーム及び受波ビームが水中航走体のロール角の影響を受け、送波ビーム及び受波ビームが回転した状態の例を模式的に示す図である。
図10】関連技術のクロスファンビーム方式の画像ソナーにおいて、水中航走体のロール角が画像ソナーにより得られる2次元画像に影響を与えた結果の例を模式的に示す図である。
図11】(A)は実施形態のリング状の送受波アレイ、(B)は水中航走体の姿勢に関するロール角、ピッチ角及びヨー角を模式的に示す図である。
図12】(A)、(B)は画像ソナー用のリング状の送受波アレイの振動子の配置例を示す図である。
図13】(A)は送受波アレイ、(B)は画像ソナー装置による送波ビームを模式的に示す図である。
図14】(A)は送受波アレイ、(B)は画像ソナー装置による受波ビームを模式的に示す図である。
図15】(A)、(B)は、送波振動子、(C)は画像ソナー装置の送波系を模式的に示す図である。
図16】(A)、(B)は、受波振動子、(C)は画像ソナー装置の受波系を模式的に示す図である。
図17】実施形態の画像ソナー装置におけるロール角の補正を説明する図である。
図18】実施形態の画像ソナー装置におけるピッチ角の補正を説明する図である。
図19】実施形態の画像ソナー装置におけるヨー角の補正を説明する図である。
図20】実施形態の画像ソナー装置における水中航走体の姿勢による受波ビームの指向性の補正を説明する図である。
図21】実施形態の画像ソナー装置における画像ソナーの受波指向性の補正を説明する図である。
図22】実施形態の画像ソナー装置を構成するコンピュータを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本実施形態について説明する。図11(A)は、本実施形態の送受波アレイの模式平面図である。画像ソナー用の送受波アレイ7は、水中航走体1の前部において、該水中航走体1の長手方向(Z軸方向)に直交する面(X-Y平面)に2次元配置される、画像ソナー用の送受波アレイ7は、複数の送波振動子(送波器)14と複数の受波振動子(受波器)15とが中空円環(ring)形状に配置されている。
【0030】
複数の送波振動子14と複数の受波振動子15の各音響面(音響振動子が音響信号を送信/受信する側の面)は、中空円環(ring)の円の一面側に向いて配置されている(該円環の面と同じ向き(平行))。すなわち、複数の送波振動子14と複数の受波振動子15は、2つの同心円によって囲まれた領域内において、同一円周上に配置され、該水中航走体1の前方に信号を送波し、前方からの信号を受波する。図11(B)は水中航走体の姿勢に関するロール角、ピッチ角及びヨー角を模式的に示す図である。図11(B)において、8、9、10、11、12、13は、水中航走体1のロール角、ロール軸、水中航走体1のピッチ角、ピッチ軸、ヨー角、ヨー軸をそれぞれ表している。なお、ロール軸、ピッチ軸、ヨー軸を図11(A)に対応させると、Z軸、X軸、Y軸となる。
【0031】
実施形態によれば、複数の送波振動子14と複数の受波振動子15を同一のリングに配設した構成とすることで、水中航走体1のロール角8が変化した場合の補正を容易にする。
【0032】
実施形態によれば、水中航走体1の前部に、中空円環構造の画像ソナー用の送受波アレイ7を装備することにより、中空円環構造の送受波アレイ7の中空部71に、例えば、捜索用ソナーのアレイを配置するスペースである捜索用アレイ装備可能エリアが確保される。
【0033】
図12(A)は、送受波アレイ7の構成の一例を示す模式平面図である。図12(A)に示すように、送受波アレイ7において、同一円周上に、60度間隔で第1乃至第6の送波振動子14-1~14-6が配設されている。さらに、相隣る2つの送波振動子14の間に5個の受波振動子15が隣接して配設されている。すなわち、第1の受波振動子15-1から第30の受波振動子15-30まで30個の受波振動子が5個毎隣接して配設されており、送波振動子14と受波振動子15が併せて36個、等間隔(10[deg])に配設されている。ただし、送波振動子14、受波振動子15の個数は、上記に制限されるものでないことは勿論である。
【0034】
図12(B)は、図12(A)の送受波アレイ7の筐体をX軸方向から見た側端面図である。送波振動子14、受波振動子15の音響面は円環構造の円の一面側(図の左側の開放端側)とされる。送波振動子14、受波振動子15の音響面と反対側の面で固定され、送波振動子14、受波振動子15の電源ラインや信号配線等が不図示の基板等に接続される構成としてもよい。
【0035】
図13(A)は、送受波アレイ7の送波振動子14の配置を示す図である。図13(B)は送波ビーム5を説明する図である。第1乃至第6の送波振動子14-1~14-6から、同時に音響信号を送波することで、図13(B)に模式的に示すような、送波ビーム5(円錐型(傘を広げた形状)のビーム)となる。
【0036】
送受波アレイ7からの送波ビーム5は、図13(B)に模式的に示すように、前方(Z軸方向)に、例えば45[deg]の1つの幅の広い指向性のビームとし、水中航走体1のロール角8の変化の影響を排除する。
【0037】
図14(A)は、送受波アレイ7の受波振動子15の配置を示す図である。図14(B)は受波振動子15で受信した信号から形成される受波ビーム6を説明する図である。
ターゲットである水中物体2からの反射音を、例えば水平方向及び垂直方向に角度をシフトした多数の幅の狭い指向性のビームで受波する。
【0038】
画像ソナーの受波ビームについて、画像ソナーの画素分の3次元指向性ビームを生成し、水中航走体1の姿勢であるロール角、ヨー角、ピッチ角の変化を補正する処理を行う。
【0039】
実施形態によれば、水中航走体の前部に装備される送受波アレイは、クロスファンビーム方式の課題である水中航走体の姿勢変化による影響について、その補正を容易化する構成のリング(円環)構造のアレイを採用し、水中航走体1の姿勢が変化した場合でも、前方に位置する水中物体の正確な寸法及び形状の探査を可能とする。
【0040】
次に画像ソナー装置の構成と動作について説明する。
【0041】
(送波ビーム水中音波を送波)
図15(C)は、画像ソナー装置の構成を模式的に示す図である。図15(A)、(B)は、送受波アレイ7における第1、第6の送波振動子(送波器)14-1、14-6を示す図である。図15において、第2乃至第5の送波振動子(送波器)14-2~14-5は図面作成の都合で不図示とされている。図15(C)において、第2乃至第5の送波振動子(送波器)14-2~14-5に対応する回路群は図面作成の都合で省略されている。
【0042】
送信波形データ出力部25は、送波する波形データ(デジタル波形データ)を生成し出力する。第1乃至第6の送波振動子14-1~14-6から送信される送波ビーム5は、画像ソナー装置の検出範囲をカバーする幅が広いビームである。送波信号として、例えば送信パルスのキャリア信号の周波数が一定であるパルス連続波(Pulsed Continuous Wave: PCW)による単一周波数送信が用いられる。第1乃至第6の送波振動子14-1~14-6からそれぞれ送波される音響信号波形は同一であり、送波振動子毎に変化はない。
【0043】
水中航走体1の姿勢が安定している状態で、送信波形データ出力部25は、送信波形データを、第1乃至第6の送波振動子14-1~14-6に対応する第1乃至第6のDA変換器(Digital to Analog Convertor: DAC)24-1~24-6へ出力する。
【0044】
第1乃至第6のDA変換器24-1~24-6は、入力した送信波形データを送波ビームのアナログ信号に変換し、第1乃至第6の帯域通過フィルタ(Band Pass Filter:
BPF)23-1~23-6へそれぞれ出力する。
【0045】
第1乃至第6の帯域通過フィルタ(BPF)23-1~23-6は、入力したアナログ信号から送波しない高周波成分及び低周波成分を除去し、第1乃至第6のパワーアンプ22-1~23-6へそれぞれ出力する。
【0046】
第1乃至第6のパワーアンプ(電力増幅器)22-1~22-6は、入力したアナログ信号を電力増幅し、第1乃至第6の送波振動子14-1~14-6へそれぞれ出力する。
【0047】
第1乃至第6の送波振動子14-1~14-6は、図13(B)に示すように、画像ソナー装置の検出範囲をカバーする単一の送波ビーム5の水中音波を、1回だけ送波する。
【0048】
(受波ビーム水中音波を受波)
図16(C)は、画像ソナー装置の受波系の構成を模式的に示す図である。図16(A)、(B)は、送受波アレイ7における第1、第30の受波振動子(受波器)15-1、15-30を示す図である。図16(A)、(B)において、第1乃至第6の送波振動子14-1~14-6は図面作成の都合で不図示とされる。図16(C)において、第2乃至第29の受波振動子(受波器)15-2~15-29と対応する回路群は図面作成の都合で省略されている。
【0049】
送波ビーム5の送波後、画像ソナー装置の受信系は受波処理を開始する。第1乃至第30の受波振動子15-1~15-30は、音響信号(音圧)を電気信号(電圧)に変換し、それぞれ第1乃至第30のプリアンプ(前置増幅器)26-1~26-30へ出力する。
【0050】
第1乃至第30のプリアンプ26-1~26-30は、入力した微弱な電気信号(電圧)を増幅し、第1乃至第30の帯域通過フィルタ(BPF)27-1~27-30へそれぞれ出力する。
【0051】
第1乃至第30の帯域通過フィルタ(BPF)27-1~27-30は、入力したアナログ信号から、受波信号として扱わない高周波成分及び低周波成分を除去し、第1乃至第30のAD変換器(Analog to Digital Convertor: ADC)28-1~28-30へ出力する。
【0052】
第1乃至第30のAD変換器28-1~28-30は、入力したアナログ信号をデジタル形式の波形データへ変換し、第1乃至第30のFFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)29-1~20-30へそれぞれ出力する。
【0053】
第1乃至第30のFFT29-1~20-30は、入力した波形データを周波数成分毎のレベルデータ(周波数成分の実部と虚部の2乗和の平方根:振幅スペクトルあるいは信号強度ともいう)に変換し、指向性合成処理部31へ出力する。
【0054】
姿勢センサ30は、例えばジャイロスコープからなり、水中航走体1の姿勢を検出し、検出した姿勢データとして、ロール角8、ピッチ角10及びヨー角12のデータを一定周期で指向性合成処理部31へ出力する。
【0055】
指向性合成処理部31は、第1乃至第30のFFT29-1~29-30から入力した各受波振動子毎の周波数成分毎のレベルデータについて、送信波形データ出力部25にて生成した送波ビームの周波数に相当するレベルデータに対し、姿勢センサ30から入力した水中航走体1のロール角、ピッチ角及びロール角による送受波アレイ7の傾きの影響を補正すると同時に、画像ソナーとして、例えば図21に示すような、画素の方向の指向性を合成する処理を行い、画素毎のレベルデータの値を算出する。
【0056】
(姿勢補正処理)
指向性合成処理部31では、水中航走体1の姿勢を示すロール角、ピッチ角及びヨー角のデータから、送受波アレイ7の傾きによる指向性合成処理の補正計算を行う。はじめに、ロール角による受波振動子15の変位を計算する。
【0057】
図17に示すように、送受波アレイ7の真上方向(Y軸)から角度A[deg]の位置に配置された受波振動子15-kの中心の3次元位置座標を(X0,Y0,Z0)とし、受波振動子15-kの中心と送受波アレイ7の中心(0,0,0)の離隔距離をR0、ロール角をaRとする。
【0058】
(X0,Y0,Z0)=(R0sin(aR), R0cos(aR), 0)
…(1)
【0059】
ロール角aRの傾きにより、受波振動子15-kの位置は(X0,Y0,Z0)から(X1,Y1,Z1)に変化する。すなわち、Z軸の周りに反時計方向に角度ψ回転させる回転行列RZ(ψ)は、次式(2)で与えられる。
【0060】

…(2)
【0061】
したがって、

…(3)
【0062】
X1=R0*{cos(aR)sin(A)+ sin(aR) cos(A)}=R0*sin(A+aR)
Y1=R0*{-sin(aR)sin(A)+ cos(aR) cos(A)}=R0*cos(A+aR)
Z1=0
…(4)
【0063】
次に、指向性合成処理部31は、図17の受波振動子15―kについてピッチ角による変位を計算する。図18に示す任意の受波振動子15-k(3次元位置座標:(X1,Y1,Z1))について、ピッチ角をaPとする。受波振動子15-kの位置(X1,Y1,Z1)は、以下に示すように、(X2,Y2,Z2)に変化する。
【0064】
X軸の周りに反時計方向に角度φ回転させる回転行列RX(φ)は、次式(5)で与えられる。
【0065】

…(5)
【0066】
したがって、
…(6)
【0067】
X2 = X1
Y2 = cos(aP)*Y1
Z2 = sin(aP)*Y1
…(7)
【0068】
指向性合成処理部31では、さらに、図18の受波振動子15-kについてヨー角による変位を計算する。図19に示す任意の受波振動子15-k(3次元位置座標:(X2,Y2,Z2))について、ヨー角をaYとすると、受波振動子15-kの位置は、以下に示すように、(X3,Y3,Z3)に変化する。
【0069】
すなわち、Y軸の周りに反時計方向に角度θ回転させる回転行列RY(θ)は次式(8)で与えられる。
【0070】

…(8)
【0071】
したがって、
…(9)
【0072】
X3=cos(aY)*X2
Y3=Y2
Z3=sin(aY)*X2
…(10)
【0073】
次に、指向性合成処理部31は、ロール角aR、ピッチ角aP及びヨー角aYにより変位した受波振動子15-Nの変位量Dを計算する。上記したように、受波振動子15-kは元の位置(X0,Y0,Z0)(図17)から(X3,Y3,Z3)に変位している。図20(A)に示すように、元の位置(X0,Y0,Z0)と変位後の位置(X3,Y3,Z3)をXY平面に射影した位置はそれぞれ(X0,Y0)、(X3,Y3)であり、変位の距離R3は次式(11)で与えられる。
【0074】
…(11)
【0075】
XY平面における元の位置の原点からの距離R0は次式(12)で与えられる。
…(12)
【0076】
変位後の位置と元の位置をZ軸へ射影した位置の差:Z3-Z0と、XY平面上での変位後の距離R3と元の位置の原点からの距離R0の差:R3-R0から、変位後の位置と元の位置の距離D(変位量)は次式(13)で与えられる。
【0077】
…(13)
【0078】
次に、指向性合成処理部31は、距離Dを水中音波が進む間に、水中音波の位相が変化する角度を計算する。水中音速は、秒速約1500[m/秒]、送波ビーム水中音波の周波数をC [Hz]とすると、送波ビーム水中音波の波長λは、
【0079】

…(14)
である。
【0080】
送波ビーム水中音波が水中物体2にて反響した受波ビーム水中音波の周波数は、水中物体2の移動によるドップラー効果があるものの、ほぼ同じ周波数と考えられる。
【0081】
受波振動子15-Nの変位量D[m]を進む間に受波ビームの水中音波は、次式(15)で与えられる角度E[deg]の位相が変化する。
【0082】

…(15)
【0083】
したがって、任意の受波振動子15-N(N=1~30)が水中航走体1のロール角、ピッチ角及びヨー角により姿勢が変化した現象を打ち消すためには、受波振動子15-Nの受波信号に対し、位相整相の係数として、距離Dを水中音波が進む間に音波の位相が変化する角度の三角関数(複素数で実数の場合はCOS、虚数の場合は-SIN)を乗算する。
【0084】
(画像ソナー指向性合成処理)
画像ソナー装置としては、例えば図21に示すように、左右及び上下の格子状の指向性を有する必要がある。画像ソナーの2次元の指向性について、左右方向(X軸)は水中航走体1にとってヨー角、上下方向は水中航走体1にとってピッチ角に相当する。よって、指向性合成処理部31は、前記した姿勢補正処理において、所望する画像ソナーの2次元の指向性のヨー角及びピッチ角を加算することにより、姿勢補正と、同時に画像ソナーの指向性合成処理を行うことができる。
【0085】
例えば、図21に示す画像ソナーの場合、iが-16~+16、jが-16~+16まで変化し、i及びjが角度の1[deg]単位であるケースでは、33=1089の受波ビームの指向性合成を行う必要がある。前述の(姿勢補正処理)の計算について、
ピッチ角を姿勢のピッチ角aP+j、
ヨー角を姿勢のヨー角aY+i
として、
画像ソナーの画素である(X(-i),Y(-j))~(X(+i),Y(+j))(i=-16~+16、j=-16~+16)の1089通りの受波ビームの指向性合成を計算することで、水中航走体1の姿勢の補正と同時に水中物体2の画像を得ることができる。
【0086】
なお、水中音波の位相の整相処理による指向性合成処理は、公知の手法が用いられることから、その説明は省略する。
【0087】
以上説明したように、本実施形態においては、以下に記載するような効果を奏する。
水中航走体1の前部に、送受波器をリング状に配設した画像ソナー用の送受波アレイ7を備えたことにより、水中航走体1の姿勢(ロール角、ピッチ角及びヨー角)が変化した場合の補正を容易にする。
【0088】
また、実施形態によれば、水中航走体1の前部に、リング状の画像ソナー用の送受波アレイ7を備えたことにより、図10に示すように、リング状の送受波アレイの内側に捜索用ソナーのアレイを配置するスペースを確保することができる。実施形態の送受波アレイは、水中航走体1の前面に装備され、水中物体の寸法及び形状を検出する画像ソナー装置に利用できる。なお、実施形態において、水中航走体1は無人水中航走体であってもよいし、有人水中航走体にも適用可能であることは勿論である。
【0089】
図22は、ソナー装置をコンピュータ装置100に実装した構成を説明する図である。図22を参照すると、コンピュータ装置100は、プロセッサ101と、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の半導体メモリ等(あるいは、HDD(Hard Disk Drive)等であってもよい)のメモリ102と、表示装置103と、図15のDA変換器24-1~24-6、図16のFFT29-1~29-30に接続するインタフェース104を備えている。メモリ102に格納されたプログラムを実行することで、プロセッサ101は、少なくとも図15の送信波形データ出力部25及び図16の指向性合成処理部31の処理を実行するようにしてもよい。表示装置103は、指向性合成処理部31の処理結果に基づき、水中物体2の画像を表示する。プロセッサ101はDSP(Digital Signal Processor)であってもよい。この場合、インタフェース104は、図16のAD変換器28-1~28-30に接続しプロセッサ101(DSP)はFFT29-1~29-30を実行してもよい。
【0090】
なお、上記の特許文献1、2の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施の形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ乃至選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0091】
1 水中航走体
2 水中物体
3 送波アレイ
4 受波アレイ
5 送波ビーム
6 受波ビーム
7 送受波アレイ
8 ロール角
9 ロール軸
10 ピッチ角
11 ピッチ軸
12 ヨー角
13 ヨー軸
14、14-1~14-6 送波振動子(送波器)
15、15-1~15-30 受波振動子(受波器)
22-1~22-6 パワーアンプ
23-1~23-6 帯域通過フィルタ(BPF)
24-1~24-6 DA変換器(DAC)
25 送信波形データ出力部
26-1~26-30 プリアンプ
27-1~27-30 帯域通過フィルタ(BPF)
28-1~28-30 AD変換器(ADC)
29-1~29-30 FFT
30 姿勢センサ
31 指向性合成処理部
71 中空部(捜索用ソナーアレイ装備エリア)
100 コンピュータ装置
101 プロセッサ
102 メモリ
103 表示装置
104 インタフェース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22