(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】ケーブルカー用のドア制御機構
(51)【国際特許分類】
B61B 7/00 20060101AFI20240806BHJP
B61B 1/02 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
B61B7/00
B61B1/02
(21)【出願番号】P 2022579022
(86)(22)【出願日】2021-07-05
(86)【国際出願番号】 EP2021068434
(87)【国際公開番号】W WO2022008398
(87)【国際公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-03-20
(32)【優先日】2020-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】000228523
【氏名又は名称】日本ケーブル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】ゲルト・ドゥール
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-290687(JP,A)
【文献】特開平05-112241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 7/00
B61B 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのケーブルカー駅(1)と、少なくとも1つのケーブルカー車両(F)とを備えるケーブルカーであって、
前記ケーブルカー駅(1)には、前記ケーブルカー車両(F)を前記ケーブルカー駅内で移動可能とするガイドレールが設けられ、該ガイドレールに併設されるように1つのリンクガイドが設けられ、
前記ケーブルカー車両(F)に少なくとも
左右方向に開閉可能な一対の搭乗バリア(5)が設けられ、前記搭乗バリア(5)が、前記ケーブルカー車両(F)へのアクセスを可能にする開位置と、前記ケーブルカー車両(F)への前記アクセスが遮断される閉位置との間でシフト可能であり、
前記ケーブルカー車両(F)には、前
記搭乗バリア(5)に連結されたレバーと、該レバーに回転可能に連結され、前記リンクガイドに沿って転動するガイドローラとが設けられ、
該ガイドローラが、前記ケーブルカー駅(1)内に設けられた前記リンクガイドに沿って走行することで、前記ガイドローラに連結した前記レバーが回動されて前記搭乗バリアが開き、前記ガイドローラがさらに前記リンクガイドに沿って走行することで、前記レバーが逆方向に回動されて前記搭乗バリア(5)が閉じるように構成された
ことを特徴とするケーブルカー。
【請求項2】
前記ケーブルカー車両(F)には、前記リンクガイド外において、前記搭乗バリア(5)を作動させるための遠隔操作可能な作動機構(11)が設けられ、
該作動機構(11)は、前記搭乗バリア(5)に連結され、前記搭乗バリア(5)を開閉する前記レバーと接続され、前記作動機構(11)が作動することで前記ケーブルカー駅(1)内の前記
リングガイド外で前記搭乗バリア(5)を開
放、および、閉鎖するために前記作動機構(11)を遠隔操作ユニット(12)によって制御することができ、
前記ケーブルカーにおいて、前記前記ケーブルカー駅(1)内で
前記ガイドローラが転動ができない前記
リンクガイド外において、前記搭乗バリア(5)を開放、および、閉鎖するために、前記作動機構(11)を前記遠隔操作ユニット(12)によって制御
可能とした
ことを特徴とする請求項1に記載のケーブルカー。
【請求項3】
前記遠隔操作ユニット(12)が、前記ケーブルカー駅(1)の操作室に配置された固定遠隔操作ユニット(12a)として構成され、または、前記作動機構(11)が、ポータブル遠隔操作ユニット、携帯電話もしくはポータブルコンピュータを介して制御可能であり、前記遠隔操作ユニットから前記ケーブルカー車両(F)の前記作動機構(11)に無線および/または有線で制御信号を伝送可能であることを特徴とする請求項2に記載のケーブルカー(1)。
【請求項4】
前記作動機構(11)が、前記搭乗バリア(5)を駆動するための機械的、または、油圧式、または、空気圧式、または、電気機械的アクチュエータ(13)を有することを特徴とする請求項2または3に記載のケーブルカー(1)。
【請求項5】
前記作動機構(11)へのエネルギー供給のために、エネルギー貯蔵器(14)が前記ケーブルカー車両(F)に設けられる、または、エネルギー発生ユニット(15)が前記ケーブルカー車両(F)に設けられる、または、記作動機構(11)への前記エネルギー供給が前記ケーブルカー駅(1)内で有線、もしくは、無線で行われることを特徴とする請求項2に記載のケーブルカー(1)。
【請求項6】
前記エネルギー貯蔵器(14)が、機械的、もしくは、油圧式、もしくは、空圧式、もしくは、電気的エネルギー貯蔵器として構成される、または、有線エネルギー供給が摺動接点を介して行われる、または、無線エネルギー伝送が誘導により行われる、または、前記ケーブルカー車両(F)でのエネルギー発生ユニット(15)として、前記ケーブルカー駅(1)内で機械的に駆動される発電機、もしくは、ソーラーユニットが設けられることを特徴とする請求項5に記載のケーブルカー(1)。
【請求項7】
前記ケーブルカー車両(F)がキャビンを有し、前記搭乗バリア(5)がドアであり、または前記ケーブルカー車両(F)が椅子を有し、前記搭乗バリア(5)が安全バーもしくはフードであることを特徴とする請求項1に記載のケーブルカー(1)。
【請求項8】
ケーブルカー駅(1)内をガイドレールで移動可能に設けられ、少なくとも1つの搭乗バリア(5)を備えるケーブルカー用のケーブルカー車両(F)であって、
該ガイドレールに併設されるように1つのリンクガイドが設けられ、
左右方向に開閉可能な一対の前記搭乗バリア(5)が、前記ケーブルカー車両(F)へのアクセスを可能にする開位置と、前記ケーブルカー車両(F)への前記アクセスが遮断される閉位置との間でシフト可能である、
前記ケーブルカー車両(F)に
は、前記搭乗バリア(5)に連結されたレバーと、該レバーに回転可能に連結され、前記ガイドレールに併設されるように1つのリンクガイドに沿って転動するガイドローラとが設けられ、
該ガイドローラは、前記ケーブルカー駅(1)内に設けられたリングガイドに沿って走行することで、前記ガイドローラに連結した前記レバーが回動されて前記搭乗バリアが開き、前記ガイドローラがさらに前記リンクガイドに沿って走行することで、前記レバーが逆方向に回動されて前記搭乗バリア(5)が閉じるように構成された
ことを特徴とするケーブルカー車両(F)。
【請求項9】
少なくとも1つの
前記搭乗バリア(5)を備えるケーブルカー用の
前記ケーブルカー車両(F)であって、
前記ケーブルカー車両(F)には、前記リンクガイド外において、前記搭乗バリア(5)を作動させるための遠隔操作可能な作動機構(11)が設けられ、
該作動機構(11)は、前記搭乗バリア(5)に連結され、前記搭乗バリア(5)を開閉する前記レバーと接続され、前記作動機構(11)が作動することで前記ケーブルカー車両(F)において、前記搭乗バリア(5)を作動させるための遠隔操作可能な作動機構(11)が設けられ、前記ケーブルカー駅(1)内で、遠隔操作ユニット(12)によって前記搭乗バリア(5)を開放
、および、閉鎖する
ことを特徴とする
請求項8に記載のケーブルカー車両(F)。
【請求項10】
前記作動機構(11)が、前記搭乗バリア(5)を駆動するための機械的、または、油圧式、または、空気圧式、または、電気機械的アクチュエータ(13)を有することを特徴とする請求項9に記載のケーブルカー車両。
【請求項11】
前記作動機構(11)が、ポータブル遠隔操作ユニット、携帯電話もしくはポータブルコンピュータを介して、または、ケーブルカーのケーブルカー駅(1)に配置された固定遠隔操作ユニット(12a)によって制御可能であり、前記作動機構(11)が、前記遠隔操作ユニット(12)から無線、または、有線で制御信号を得るように構成されることを特徴とする請求項9または10に記載のケーブルカー車両。
【請求項12】
前記作動機構(11)へのエネルギー供給のために、前記ケーブルカー車両(F)にエネルギー貯蔵器(14)、もしくは、エネルギー発生ユニット(15)が設けられ、または、前記ケーブルカー駅(1)内での前記作動機構(11)への前記エネルギー供給を有線、もしくは、無線で行うことができることを特徴とする請求項9に記載のケーブルカー車両。
【請求項13】
前記エネルギー貯蔵器(14)が、機械的、もしくは、油圧式、もしくは、空圧式、もしくは、電気的エネルギー貯蔵器として構成される、または、有線エネルギー供給が摺動接点を介して行われる、または、無線エネルギー伝送が誘導により行われる、または、エネルギー発生ユニット(15)として、前記ケーブルカー駅(1)内で機械的に駆動可能な発電機、もしくは、ソーラーユニットが設けられることを特徴とする請求項12に記載のケーブルカー車両。
【請求項14】
前記ケーブルカー車両(F)がキャビンを有し、前記搭乗バリア(5)がドアであり、または前記ケーブルカー車両(F)が椅子を有し、前記搭乗バリアが安全バーもしくはフードであることを特徴とする請求項8に記載のケーブルカー車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのケーブルカー駅と、少なくとも1つのケーブルカー車両とを備えるケーブルカーであって、ケーブルカー車両に少なくとも1つの搭乗バリアが設けられ、搭乗バリアが、ケーブルカー車両へのアクセスを可能にする開位置と、ケーブルカー車両へのアクセスが遮断される閉位置との間でシフト可能であり、ケーブルカー車両に、搭乗バリアを作動させるための遠隔操作可能な作動機構が設けられ、ケーブルカー駅内で搭乗バリアを開放および/または閉鎖するために作動機構を遠隔操作ユニットによって制御することができる、ケーブルカーに関する。さらに、本発明は、少なくとも1つの搭乗バリアを備えるケーブルカー用のケーブルカー車両であって、搭乗バリアが、ケーブルカー駅内で、機械的な強制制御機構によって、ケーブルカー車両へのアクセスを可能にする開位置と、ケーブルカー車両へのアクセスが遮断される閉位置との間でシフト可能である、ケーブルカー車両に関する。さらに、本発明は、少なくとも1つのケーブルカー駅と、少なくとも1つのケーブルカー車両とを備えるケーブルカーを動作させる方法であって、ケーブルカー車両に少なくとも1つの搭乗バリアが設けられ、搭乗バリアが、ケーブルカー車両へのアクセスを可能にする開位置と、ケーブルカー車両へのアクセスが遮断される閉位置との間でシフト可能であり、搭乗バリアを作動させるためにケーブルカー駅に設けられた機械的な強制制御機構に依存せずに、ケーブルカー車両に設けられた遠隔操作可能な作動機構によって、ケーブルカー駅内で搭乗バリアが開放および/または閉鎖され、作動機構が遠隔操作ユニットによって制御される、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ケーブルカー設備は、2駅、さらには3駅以上のケーブルカー駅間で人や物を輸送するために使用される。このために、椅子やキャビンなど複数のケーブルカー車両がケーブルカー駅間を循環移動または往復移動される。ケーブルカー車両は、少なくとも1本の巻上げケーブルによってケーブルカー駅間を移動される。ケーブルカー車両は、少なくとも1本の支持ケーブルもしくは巻上げケーブルに懸架して(索道)、またはレールもしくは地面に可動配置して(交走式ケーブルカー)、少なくとも1本の巻上げケーブルで移動させることができる。しかし、ケーブルカー車両を、巻上げロープに取外し可能にまたは固定して締結して、巻上げロープと共に移動させることもできる。循環型ケーブルカーの場合、ケーブルカー車両は、ケーブルカー駅で、取外し可能なケーブルクランプなどによって巻上げケーブルから連結解除されることが多く、ケーブルカー駅を通って低速で移動されて、人の乗降または物の積み降ろしを容易にする。
【0003】
ケーブルカーにおいて、特定の機能、例えばケーブルクランプの開閉、椅子の安全バーまたは天候保護フードの開閉折畳み、ケーブルカー駅でのキャビンまたはゴンドラのドアの開閉を、機械的な強制制御機構、特にリンク制御機構によって作動させることが知られている。このために、リンクが駅に固定して配置され、通過時にケーブルカー車両にある接続要素によって接続される。接続要素は、回転可能に支持されたレバーに配置され、レバーは、接続時に旋回される。ここで、レバーに係合するボーデンケーブルまたは連動機構によって特定の機能が実行される。ドアの開閉機能に関する一例は米国特許第3,742,864(A)号で見られ、EP1671867B1には、安全バーの開閉折畳みに関する一例が示されている。
【0004】
しかし、リンク制御機構により、ドア制御の柔軟性が制限される。特に、ケーブルカー駅内でキャビンのドアが開閉される時点または位置は、ケーブルカー駅内のリンクガイドの具体的な設計に依存し、したがって固定して事前設定されている。ここで、開閉位置の変更は不可能であるか、またはケーブルカー駅での固定リンクガイドを変える必要があるため多大な労力をかけないと可能でない。しかし、特定の状況下では、ドアが開閉される位置または時点を変更可能であることが望ましいことがある。例えば、これは、ケーブルカー駅内での緊急時に、ケーブルカー車両が既にリンクガイドの外にある場合である。緊急時、従来はドアを手動で開く、特に押し開ける必要があったが、これには熟練性および強い腕力が必要である。しかし、例えばリンク制御機構の動作不良があり、それによりドアが望みどおりに開かない、または意図された位置で開かないこともあり得る。
【0005】
EP2708434A1には、ケーブルカーのいくつかの機能、例えばケーブルカー車両のドアの開放/閉鎖を制御ユニットによって制御することができるケーブルカー駅が開示されている。制御ユニットは、制御室の固定ユーザインターフェースを介して、または駅の所定の領域内での遠隔操作によってユーザが制御することができる。
【0006】
EP2067682A1には、ケーブルカー車両のドアのロック状態を遠隔監視する方法が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、従来技術を基に、本発明の課題は、ケーブルカー駅内でのケーブルカーの動作の信頼性を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、この課題は、ケーブルカー駅に、搭乗バリアを開放および/または閉鎖するための機械的な強制制御機構が設けられ、ケーブルカー駅内で、機械的な強制制御機構に依存せずに搭乗バリアを開放および/または閉鎖するために、作動機構を遠隔操作ユニットによって制御することができることによって解決される。これにより、必要に応じて強制制御機構に依存せずにドアを開放および/または閉鎖することができるので、ケーブルカー駅内のドア制御の柔軟性が向上される。
【0009】
好ましくは、遠隔操作ユニットは、好ましくはケーブルカー駅の操作室に配置された固定遠隔操作ユニットとして構成される。代替としてまたは追加として、作動機構は、好ましくは、ポータブル遠隔操作ユニット、好ましくは携帯電話またはポータブルコンピュータを介して制御可能である。ここで、遠隔操作ユニットからケーブルカー車両の作動機構に無線および/または有線で制御信号を伝送可能である。これにより、操作員による作動を操作室から、またはケーブルカー駅内の任意の位置から柔軟に行うことができる。
【0010】
作動機構は、好ましくは、搭乗バリアを駆動するための機械的および/または油圧式および/または空気圧式および/または電気機械的アクチュエータを有する。これにより、作動力を十分に生成する搭乗バリアの容易な駆動を実現することができる。
【0011】
作動機構へのエネルギー供給のために、有利には、エネルギー貯蔵器がケーブルカー車両に設けられる、ならびに/またはエネルギー発生ユニットがケーブルカー車両に設けられる、ならびに/または作動機構へのエネルギー供給がケーブルカー駅内で有線および/もしくは無線で行われる。ここで、エネルギー貯蔵器は、好ましくは、機械的および/または油圧式および/または空気圧式および/または電気的エネルギー貯蔵器として構成される。有線エネルギー供給は好ましくは摺動接点を介して行われ、および/または無線エネルギー伝送は好ましくは誘導により行われる。有利には、ケーブルカー車両でのエネルギー発生ユニットとして、ケーブルカー駅内で機械的に駆動される発電機および/またはソーラーユニットが設けられる。これにより、用途に応じて適切なエネルギー供給が企図され得る。
【0012】
ケーブルカー車両は、有利にはキャビンを有し、搭乗バリアがドアであり、またはケーブルカー車両が椅子を有し、搭乗バリアが安全バーもしくはフードである。これにより、本発明を様々な一般的なケーブルカーに適用することができる。
【0013】
本発明の課題はさらに、ケーブルカー車両に、搭乗バリアを作動させるための遠隔操作可能な作動機構が設けられ、ケーブルカー駅内で、機械的な強制制御機構に依存せずに遠隔操作ユニットによって搭乗バリアを開放および/または閉鎖する、ケーブルカー車両によって解決される。
【0014】
さらに、この課題は、ケーブルカー駅に、搭乗バリアを開放および/または閉鎖するための機械的な強制制御機構が設けられ、ケーブルカー駅内で、遠隔操作可能な作動機構によって、機械的な強制制御機構に依存せずに搭乗バリアが開放および/または閉鎖される、方法によって解決される。
【0015】
以下、
図1を参照して本発明をより詳細に説明する。
図1は、例として本発明の有利な形態を概略的に示し、限定はしない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】ケーブルカーのケーブルカー駅の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に、キャビン型ケーブルカーとして設計されたケーブルカーのケーブルカー駅1を示す。ケーブルカー駅1の基本的な構成および機能は知られているため、ここでは詳細な説明を省く。したがって、図は大幅に簡略化されており、本発明に不可欠な構成要素のみが示されている。ケーブルカーは、巻上げケーブル2を用いて移動される複数のケーブルカー車両Fを備える。図示される例では、ケーブルカーは循環型ケーブルカーとして設計されており、ケーブルカー車両Fは、巻上げケーブル2に固定してまたは取外し可能に連結されている。ここで、巻上げケーブルは、回転ディスク3の周りで180°偏向され、回転ディスク3によって駆動される。このために、ケーブルカー駆動装置(図示せず)、例えば電気駆動装置が設けられ、回転ディスク3を駆動する。当然これは一例に過ぎず、ケーブルカー内に複数のケーブルカー駅1、例えば2つの終点駅および1つまたは複数の中間駅を設けることもでき、各ケーブルカー駅にケーブルカー駆動装置を設けることができる。基本的に、180°未満の偏向も考えられる。通常、大抵は少なくとも2つのケーブルカー駅1が設けられ、それらの間をケーブルカー車両Fが行き来し、例えば人および/または物を輸送し、少なくとも1つのケーブルカー駅1にケーブルカー駆動装置が設けられる。
【0018】
当然、他のケーブルカー車両Fが設けられてもよく、例えばケーブルカーがチェアリフトとして設計されているときには椅子が設けられてもよい。また、ケーブルカーは、必ずしも循環型ケーブルカーとして設計する必要はなく、既知の往復型ケーブルカーとして設計することもできる。
【0019】
知られているように、循環型ケーブルカーのケーブルカー車両Fは、ケーブルカー駅1に入るときに巻上げケーブル2から連結解除させることができ、巻上げケーブル2の速度に依存せずに、大抵はより低い速度でケーブルカー駅1を通って移動させることができる。ケーブルカー駅1から出るとき、ケーブルカー車両Fは再び加速され、巻上げケーブル2に連結される。それにより、ケーブルカー駅1内でのケーブルカー車両Fへの快適な乗降を可能にすることができ、それでも、巻上げケーブル2の速度は高いままであるので高い搬送能力を達成することができる。連結解除された状態では、ケーブルカー車両Fは、例えばローラ(図示せず)によって、ケーブルカー駅1の上部領域に配置されたガイドレール4に沿って案内されることがある。ケーブルカー駅1内での移動中に巻上げケーブル2から連結解除されているケーブルカー車両Fの駆動は、例えば既知の摩擦駆動によって行うことができる。
【0020】
ケーブルカー車両Fにそれぞれ少なくとも1つの搭乗バリア5が設けられ、搭乗バリア5は、ケーブルカー車両Fへのアクセスが可能である開位置とケーブルカー車両Fへのアクセスが遮断される閉位置との間でシフト可能である。図示されるキャビン型ケーブルカーの場合、搭乗バリア5は、例えばキャビンのドアである。当然、ケーブルカーの設計に応じて、ケーブルカー車両Fに複数の搭乗バリア5またはドアを設けることもできる。例えば、往復型ケーブルカーのキャビンの場合、キャビンの両側に2つのドアが設けられていることが多い。例えばケーブルカーがチェアリフトとして構成されているとき、搭乗バリア5は、安全バーまたは天候からの保護用のフードでよい。
【0021】
知られているように、搭乗バリア5の作動は、ケーブルカー駅1に設けられた機械的な強制制御機構によって行われることが多い。搭乗バリア5は通常、ケーブルカー車両Fに配置された第1の作動部品と、ケーブルカー駅1に固定配置された第2の作動部品との協働によって、好ましくはケーブルカー駅1を通るケーブルカー車両Fの移動によって開放および/または閉鎖するように作動される。搭乗バリア5が非作動状態で閉位置に保たれることを保証するために、戻しばね(図示せず)またはロック装置を設けることもできる。それにより、例えばケーブルカー駅1の外でのケーブルカー車両Fの移動中には、キャビンのドアは閉じられたままである。
【0022】
搭乗バリア5は、既知のリンク制御機構として設計されることが多い。この場合、(第1の作動部品として)搭乗バリア5に適切に関節連結されたレバー6がケーブルカー車両Fに配置され、このレバーによって搭乗バリアを作動させて開閉することができる。レバー6を作動させるために、(第2の作動部品としての)リンク8と協働するガイドローラ7をレバーに配置することができる。
【0023】
リンク8は、例えばガイドレールの形で、搭乗バリア5の開放が行われるべきケーブルカー駅1の特定のセクションにわたって延び、例えば
図1に矢印で示されるプラットフォーム10の乗降領域9において延びることができる。リンク8の始点8aで、レバー6のガイドローラ7がリンク8に受け取られ、リンク8内で強制的に案内される。ここで、リンク8の進路に応じて、ガイドローラ7は、移動方向に対して横方向にシフトされ、それによりレバー6が作動されて搭乗バリア5が開かれる。乗降領域9の終わりで、ガイドローラ7は、リンク8の進路に従って逆方向にシフトされて戻され、それにより搭乗バリア5が閉じられる。当然、基本的な機能を説明するために、リンクガイドは非常に簡略化して示されている。リンクガイドは、例えばケーブルカー車両Fの移動方向に延びるガイドレールの形でのリンク8がケーブルカー駅1において、通過するケーブルカー車両Fの上方に配置されるように構成することもできる。この場合、ガイドレールは、垂直方向で変化する進路を有することもでき、したがってレバー6に配置されたガイドローラ7に垂直作動力が加えられる。ここで当然、搭乗バリア5の開放機構は、リンク8の進路に応じた垂直作動力によって搭乗バリア5を開閉することができるように設計される。
【0024】
具体的な構造形態は、ケーブルカーの種類、特にケーブルカー車両または搭乗バリア5の開放機構により異なる。機械的な強制制御機構またはリンクガイドの具体的な設計に応じて、ケーブルカー駅1内の搭乗バリアの開放時点または開放地点は固定して事前設定されており、変更が不可能であるか、または多大な労力をかけないと変更することができない。したがって、所定の位置以外での搭乗バリア5の開閉は可能でない。例えば、ケーブルカー車両Fが進行方向において既にリンクガイドの外にあるとき、搭乗バリア5は、
図1の左側に示されるように既に閉位置にある。この位置で例えば緊急事態が発生し、例えば搭乗バリア5の閉鎖時に物体が挟まったため、ケーブルカーが停止されることがあり得る。この場合、物体を取り除いてケーブルカーの動作を継続できるようにするために、搭乗バリア5を開くことが望ましいことがある。従来、これは手動でしか可能でなく、一方では所要の熟練性、他方では比較的強い腕力が求められていた。したがって、ケーブルカー駅1内の搭乗バリア5の開放時、従来の機械的な強制制御機構によってかなり制限が及ぼされることが明らかである。
【0025】
そこで、本発明によれば、ケーブルカー車両Fに、搭乗バリア5を作動させるための遠隔操作可能な作動機構11が設けられ、作動機構11は、遠隔操作ユニット12によって制御可能であり、機械的な強制制御機構に依存せずに、ケーブルカー駅1内の搭乗バリア5を遠隔から開放および/または閉鎖する。遠隔操作ユニット12は、例えば、好ましくはケーブルカー駅1の操作室(図示せず)に配置された固定遠隔操作ユニット12aとして構成することができる。それにより、例えば担当の操作員が操作室から搭乗バリア5を制御することができる。操作室からは、いずれにせよケーブルカーの制御が行われている。しかし当然、搭乗バリア5の作動をケーブルカー駅1の外部から行うこともできる。例えば、遠隔操作ユニット12を、別のケーブルカー駅1に、または中央制御センタに設けることもでき、中央制御センタは、複数のケーブルカーの制御および監視のために設けられている。
【0026】
ここで、この文脈における「遠隔操作」または「遠隔から」は、特に、ケーブルカー車両Fへのアクセスが可能である開位置からケーブルカー車両Fへのアクセスが遮断される閉位置に(またはその逆に)搭乗バリア5をシフト可能であるように、作動機構11によって搭乗バリア5に能動的に作用を及ぼすことができることを意味し、例えば、その作業のために操作員の1人が現場で搭乗バリア5のそばにいる必要はない。
【0027】
代替としてまたは追加として、作動機構11は、有利には、ポータブル遠隔操作ユニット7(
図1には図示せず)、好ましくは携帯電話またはポータブルコンピュータを介して制御可能であり得る。これにより、操作員が、ケーブルカー駅1の操作室とは別の場所で、例えばケーブルカー駅1の外部から、特に別のケーブルカー駅または制御センタから搭乗バリア5を開放および/または閉鎖することができるので、制御の柔軟性を高めることができる。使用される遠隔操作ユニット7が固定か可動かに関係なく、遠隔操作ユニット7からケーブルカー車両Fの作動機構11に制御信号を無線および/または有線で伝送することができる。無線制御としては、
図1に示されるように、例えば無線、Bluetooth、または近距離無線通信(NFC)を介して行うことができる。有線伝送は、例えば摺動接点または別の適切な伝送を介して行うことができる。
【0028】
作動機構11は、好ましくは、搭乗バリア5を駆動するための機械的および/または油圧式および/または空気圧式および/または電気機械的アクチュエータ13を有する。例えば、開放および/または閉鎖のために適切に搭乗バリア5と協働する、空気圧式もしくは油圧式シリンダ、機械的な連動機構もしくは歯車装置、または電気モータが考えられる。好ましくは、アクチュエータは、遠隔操作ユニット12によって容易に制御することができるように電気的に制御可能である。
【0029】
作動機構11、特にアクチュエータ13にエネルギーを供給するために、例えばケーブルカー車両Fにエネルギー貯蔵器14を設けることができる。ここで、エネルギー貯蔵器14のタイプは、アクチュエータ13の具体的な形態に応じて決まる。例えば、純粋に機械的なアクチュエータ13では、機械的なエネルギー貯蔵器、例えばばね式エネルギー貯蔵器を設けることができる。それにより、非常に単純な作動機構11を提供することができ、これは、例えば緊急時に搭乗バリア5を1回だけ開くために使用することができる。アクチュエータ13が空気圧式シリンダであるとき、空気圧式シリンダを1回または複数回作動させるために、エネルギー貯蔵器14として例えば蓄圧器を設けることができる。同様に、アクチュエータ13としての油圧式シリンダ用のエネルギー貯蔵器14として、油圧式蓄圧器を設けることができる。電気機械的アクチュエータ、例えば電気モータ、特にサーボモータまたはステッピングモータがアクチュエータ13として使用されるとき、エネルギー貯蔵器14としてバッテリまたはコンデンサを使用することができる。
【0030】
代替としてまたは追加として、エネルギー発生ユニット15をケーブルカー車両Fに設けることもでき、エネルギー発生ユニット15により、作動機構11、特にアクチュエータ13に作動エネルギーが供給される。エネルギー発生ユニット15として、例えば、ケーブルカー車両Fに配置された機械的に駆動される発電機を設けることができ、この発電機は、ケーブルカー駅1に対するケーブルカー車両Fの相対運動によって駆動される。例えば、発電機は、例えば上部ガイドレール4にある歯車または摩擦車を介して駆動されることが考えられる。代替としてまたは追加として、エネルギー発生ユニット15として、ソーラーユニットをケーブルカー車両Fに設けることもできる。それにより、電気エネルギー貯蔵器14は、例えばケーブルカー車両Fがケーブルカー駅1の外部の経路を移動している間に、および/またはケーブルカー駅1内の照明によって充電することもできる。代替としてまたは追加として、ケーブルカー駅内での作動機構11へのエネルギー供給は、有線および/または無線で行うこともできる。例えば、摺動接点を介する有線エネルギー供給および/または誘導による無線エネルギー伝送も考えられる。当然、前述の構成の任意の組合せも可能である。