(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】煙突
(51)【国際特許分類】
F23J 11/12 20060101AFI20240806BHJP
【FI】
F23J11/12
(21)【出願番号】P 2023093145
(22)【出願日】2023-06-06
【基礎とした実用新案登録】
【原出願日】2021-12-13
【審査請求日】2023-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】503304360
【氏名又は名称】コーキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082083
【氏名又は名称】玉田 修三
(72)【発明者】
【氏名】小林 文明
(72)【発明者】
【氏名】菅原 広史
(72)【発明者】
【氏名】板野 稔久
(72)【発明者】
【氏名】岩成 真一
(72)【発明者】
【氏名】小林 公武
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-214617(JP,A)
【文献】特開2014-177931(JP,A)
【文献】特開2002-266815(JP,A)
【文献】特開2002-005425(JP,A)
【文献】実開昭62-070235(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23J11/00-11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本管流路に排気源から伸びる横引き管流路が交差方向に接続されている煙突において、
横引き管流路から本管流路に至る排ガス曲がり流路を通過する排ガス流に生じる乱流の発生を抑制する乱流抑制手段を備えていると共に、
上記乱流抑制手段が、上記排ガス曲がり流路の内周側で横引き管流路壁面と本管流路壁面との間に亘る隅取り状に形成された壁面
と、上記排ガス曲がり流路を横切る形態で設けられたガイドベーンと、上記排ガス曲がり流路の手前箇所に設けられた突起でなる渦流生成部材と、を有し、
上記ガイドベーンは、上記排ガス曲がり流路にのみ設けられ、かつ、上記排ガス曲がり流路の内周側から外周側に向けて隙間を隔てた複数箇所に設けられていることを特徴とする煙突。
【請求項2】
隅取り状に形成された上記壁面が、本管流路壁面に連続して一体に形成されている請求項1に記載した煙突。
【請求項3】
隅取り状に形成された上記壁面が、横引き管流路と本管流路とを接続する継手管流路の壁面に形成されている請求項1に記載した煙突。
【請求項4】
上記渦流生成部材が、排ガス流の流れ方向に対して直交方向に間隔を隔てた複数箇所に設けられている
請求項1に記載した煙突。
【請求項5】
上記渦流生成部材が、側面視三角形状に形成されている
請求項4に記載した煙突。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、煙突、詳しくは、本管流路に排気源から伸びる横引き管流路が交差方向に接続されている煙突において、横引き管流路から本管流路に至る排ガス曲がり流路を通過する排ガス流に生じる乱流を制御する対策が講じられた煙突に関する。
【背景技術】
【0002】
発電機などの排気源から排出される高速高熱の排ガス流を導く煙突の横引き管流路が本管流路に交差方向に接続されている煙突では、煙道を形成している横引き管流路から同じく煙道を形成している本管流路に至る排ガス曲がり流路で排ガス流をスムーズに方向転換させて上昇させることが、排気ガス流に作用する抵抗を少なくして煙突による排気効率を向上させる上で望まれる。
【0003】
図8は、従来の煙突100の要部の説明図であり、同図には横引き管流路20から本管流路10に至る排ガス曲がり流路30での排ガス流の挙動を説明的に示してある。同図において、本管流路10と横引き管流路20とは交差方向に接続されていて、排ガス曲がり流路30では、横引き管流路20と本管流路10とが直角に屈曲していて、横引き管流路壁面21と本管流路壁面11とが直交している。このような従来の煙突100において、横引き管流路20を本管流路10に向かって矢印Fのように流れてきた排ガス流は、排ガス曲がり流路30の内周側と外周側とで異なった挙動を呈する。すなわち、横引き管流路20を矢印Fのように流れてきた排ガス流は、排ガス曲がり流路30の外周側では、矢印F2のようにそれほど大きな乱流域を生じることなく円弧状の曲がり流路を形成しつつ方向転換して、比較的スムーズに本管流路10を上昇する。これに対し、排ガス曲がり流路30の内周側では、矢印F1のように本管流路壁面11から剥離した排ガス流が渦流などを形成しながら比較的大きな乱流域Z2を生じるために排ガス流の方向転換がスムーズに行われなくなる。このように、排ガス流が大きな乱流域Z2を生じると、そのことが、本管流路10を上昇する排気ガス流に作用する抵抗となって煙突100による排気効率を低下させる原因になっているという状況がある。
【0004】
一方、先行例1(特許文献1)には、排気管に設けた偏流板の作用によって煙突の内部に旋回流を生じさせることが記載されている。また、他の先行例2(特許文献2)には、煙道との合流部を有する煙突において、合流部で発生する流体の乱れにより誘起される機中共鳴を抑制できるように、煙突煙道結合部の下部にガイドベーンを設けることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実公昭63-44667号公報
【文献】実開昭62-63540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記した状況に鑑みてなされたものであり、横引き管流路から本管流路に至る排ガス曲がり流路を通過する排ガス流に生じる乱流を制御する対策を講じることによって、排気効率の低下を抑制することのできる煙突を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る煙突は、本管流路に排気源から伸びる横引き管流路が交差方向に接続されている煙突において、横引き管流路から本管流路に至る排ガス曲がり流路を通過する排ガス流に生じる乱流の発生を抑制する乱流抑制手段を備えていることを基本としている。そして、この乱流抑制手段が、上記排ガス曲がり流路の内周側で横引き管流路壁面と本管流路壁面との間に亘る隅取り状に形成された壁面を有する、というものである。
【0008】
煙突がこのように構成されていると、隅取り状に形成された壁面の形成箇所で本管流路のスペースが拡がるために横引き管流路から本管流路に至る排ガス曲がり流路の内周側で排ガス流が流れやすくなるという作用や排ガス曲がり流路の内周側で排ガス流が隅取り状に形成された壁面から剥離しにくくなるという作用、さらには、隅取り状に形成された壁面に沿って流れてきた排ガス流が本管流路壁面から剥離しにくくなるという作用、などが発揮され、これらの作用が乱流の発生を抑制することに役立って排ガス流に大きな乱流域を生じることが抑制される(隅取り壁面による乱流抑制作用)。このため、排ガス流の方向転換がスムーズに行われやすくなり、本管流路を上昇する排気ガス流に作用する抵抗が小さくなって排気効率の低下が抑制される。
【0009】
本発明では、隅取り状に形成された上記壁面が、本管流路壁面に連続して一体に形成されていることが望ましい。これによれば、横引き管流路壁面に隅取り状に形成された壁面を設ける必要がなくなるという利点がある。その一方で、本発明では、隅取り状に形成された上記壁面が、横引き管流路と本管流路とを接続する継手管流路の壁面に形成されている、という構成を採用することも可能である。これによれば、隅取り状に形成された壁面を本管流路壁面に連続して一体に形成する必要がなくなる。
【0010】
本発明では、上記乱流抑制手段が、隅取り状に形成された上記壁面と、上記排ガス曲がり流路を横切る形態で設けられたガイドベーンと、を有する、という構成を採用することが可能である。これによれば、上記した「隅取り壁面による乱流抑制作用」が発揮されるだけでなく、排ガス曲がり流路を流れる排ガス流がガイドベーンによって整流される(ガイドベーンによる整流作用)。このため、排ガス曲がり流路での排ガス流の方向転換がスムーズに行われやすくなり、本管流路を上昇する排気ガス流に作用する抵抗が小さくなって排気効率の低下が抑制される。
【0011】
本発明では、上記乱流抑制手段が、隅取り状に形成された上記壁面と、上記排ガス曲がり流路の手前箇所に設けられた突起でなる渦流生成部材と、を有する、という構成を採用することが可能である。この発明において、「突起でなる渦流生成部材」は、一般的にはボルテックスジェネレーターと称されている。このボルテックスジェネレーターは、それ自体が流体抵抗の発生源になるものではあるけれども、その設置箇所の下流側では、流体が流路壁面から剥離することを抑制して抵抗を低減させる作用を発揮することが判っている。したがって、この発明においては、上記した「隅取り壁面による乱流抑制作用」が発揮されるだけでなく、横引き管流路を流れてきた排ガス流が、本管流路に流入するときに、突起でなる渦流生成部材の作用により小さい乱流域を生じさせる作用(渦流生成部材による小乱流域生成作用)とが相乗して、本管流路壁面からの排ガス流の剥離が効果的に抑制され、煙突による排気効率の低下が抑制される。
【0012】
本発明では、上記乱流抑制手段が、隅取り状に形成された上記壁面と、上記排ガス曲がり流路を横切る形態で設けられたガイドベーンと、上記排ガス曲がり流路の手前箇所に設けられた突起でなる渦流生成部材と、を有する、という構成を採用することができる。これによれば、上記した「隅取り壁面による乱流抑制作用」と「ガイドベーンによる整流作用」と「渦流生成部材による小乱流域生成作用」とが相乗して、本管流路壁面からの排ガス流の剥離が効果的に抑制され、煙突による排気効率の低下が抑制される。
【0013】
本発明では、上記渦流生成部材が、排ガス流の流れ方向に対して直交方向に間隔を隔てた複数箇所に設けられていることが望ましい。これによれば、曲がり流路を形成しつつ本管に流入する排ガス流の本管の管壁内面からの剥離が、排ガス流の曲がり流路の内周側の広い範囲で効果的に抑制されるようになる。
【0014】
本発明では、渦流生成部材が、側面視三角形状に形成されていることが望ましい。これによれば、渦流生成部材による小さい乱流域を生じさせる作用が効率よく発揮され、しかも、渦流生成部材によって生じる排ガス流に生じる抵抗を小さく抑えやすくなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る煙突によれば、乱流抑制手段としての隅取り状に形成された壁面やガイドベーン、渦流生成部材などの作用によって、横引き管流路から本管流路に至る排ガス曲がり流路を通過する排ガス流に生じる乱流の発生が抑制されために、本管に流入した排ガス流が本管の管壁内面から剥離して大きな乱流域を生じることなく本管の煙道を上昇するようになって、煙突による排気効率の低下が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る煙突の要部の説明図である。
【
図2】(A)は
図1の煙突の具体的構造を概略で示した縦断面図、(B)は同具体的構造の変形例を示した縦断面図である。
【
図3】他の実施形態に係る煙突の要部の説明図である。
【
図4】さらに他の実施形態に係る煙突の要部の説明図である。
【
図5】
図4のV-V矢視図に相当する説明図である。
【
図6】さらに他の実施形態に係る煙突の要部の説明図である。
【
図7】渦流生成部材の外観を例示した概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は本発明の実施形態に係る煙突100の要部の説明図、
図2(A)は
図1の煙突100の具体的構造を概略で示した縦断面図、同図(B)は同具体的構造の変形例を示した縦断面図である。
【0018】
図1のように、煙突100は、本管流路10に、排気源から排出される高速高熱の排ガス流を導く横引き管流路20が交差方向に接続されている。図例では本管流路10が垂直軸線を有し、横引き管流路20が水平軸線を有していることにより、本管流路10と横引き管流路20とが直角に接続されている。
【0019】
この煙突100には乱流抑制手段50が備わっている。「乱流抑制手段50」は、横引き管流路20から本管流路10に至る排ガス曲がり流路30を通過する排ガス流に生じる乱流の発生を抑制する作用を発揮する手段のことである。また、「横引き管流路20から本管流路10に至る排ガス曲がり流路30」とは、横引き管流路20の終部20a付近とその終部20aが連通している本管流路10の始部10a付近とを含む領域によって形成されるところの、排ガス流が曲がって流れる流路を指している。
【0020】
図1の事例では、乱流抑制手段50が、排ガス曲がり流路30の内周側で横引き管流路壁面21と本管流路壁面11との間に亘る隅取り状に形成された壁面51を有している。隅取り状に形成された壁面51は、
図8に示した横引き管流路壁面21と本管流路壁面11とによって形作られる直角出隅形状のコーナー部分を欠除することによって形成される壁面のことであり、具体的には、図示のような傾斜面によって形成されるほか、出隅状の湾曲面などによっても形成することができる。
【0021】
煙突100がこのように構成されていると、隅取り状に形成された壁面51の形成箇所で本管流路10のスペースが拡がるために横引き管流路20から本管流路10に至る排ガス曲がり流路30の内周側で排ガス流が流れやすくなるという作用や排ガス曲がり流路30の内周側で排ガス流が隅取り状に形成された壁面51から剥離しにくくなるという作用、さらには、隅取り状に形成された壁面51に沿って流れてきた排ガス流が本管流路壁面11から剥離しにくくなるという作用、などが発揮され、これらの作用が乱流の発生を抑制することに役立って排ガス流に大きな乱流域を生じることが抑制される。上記した「隅取り壁面による乱流抑制作用」である。このため、横引き管流路20を矢印Fのように流れてきた排ガス流が、横引き管流路20から本管流路10に至る排ガス曲がり流路30の内周側で矢印F1のように隅取り状に形成された壁面51にそって流れやすくなり、併せて、排ガス流が本管流路壁面11に沿って上昇しやすくなる。一方、横引き管流路20を矢印Fのように流れてきた排ガス流は、排ガス曲がり流路30の外周側では、矢印F2のようにそれほど大きな乱流域を生じることなく円弧状の曲がり流路を形成しつつ方向転換して比較的スムーズに本管流路10を上昇する。このため、排ガス流が渦流などを形成しながら大きな乱流域Z2(
図8参照)を生じることが抑制されて、排ガス曲がり流路30での排ガス流の方向転換がスムーズに行われやすくなり、本管流路10を上昇する排気ガス流に作用する抵抗が小さくなって排気効率の低下が抑制される。
【0022】
上記した乱流抑制手段50としての隅取り状に形成された壁面51は、具体的には
図2(A)又は同図(B)に示したように構成することが可能である。すなわち、同図(A)のように、本管流路壁面11に連続して一体に隅取り状に形成された壁面51を延設し、この壁面51に横引き管流路壁面21を接続しておくことが可能である。また、同図(B)のように、横引き管流路20と本管流路10とを、横引き管流路20の終部として機能する継手管流路40を介して接続するような構成を採用する場合においては、継手管流路40の壁面41の終端側に隅取り状に形成された壁面51を形成しておき、この壁面51を本管流路壁面11に接続し、かつ、継手管流路40の壁面41の始端に横引き管流路壁面21を接続しておくことも可能である。なお、
図2(A)では、本管流路10を形成している本管10A及び横引き管流路20を形成している横引き管20Aが、いずれも、内側の断熱材と外側の鋼板とによって形成されているものを例示し、同図(B)では、本管流路10を形成している本管10A、横引き管流路20を形成している横引き管20A、及び、継手管流路40を形成している継手管40Aが、いずれも、内側の断熱材と外側の鋼板とによって形成されているものを例示している。
【0023】
図3は他の実施形態に係る煙突100の要部の説明図である。この実施形態では、乱流抑制手段50が、
図1を参照して説明したものと同様の隅取り状に形成された壁面51と、排ガス曲がり流路30を横切る形態で設けられた3箇所のガイドベーン52,53,54とを有している。この煙突100によれば、上記したところと同様に、横引き管流路20を矢印Fのように流れてきた排ガス流が、上記した「隅取り壁面による乱流抑制作用」により、矢印F1のように排ガス曲がり流路30を経て隅取り状の壁面51に沿って流れやすくなる。また、排ガス流が、矢印F1,F2のように隅取り状に形成された壁面51と排ガス曲がり流路30の内周側のガイドベーン52との隙間やガイドベーン53,54同士の隙間を通過することによって整流される。上記した「ガイドベーンによる整流作用」である。このため、排ガス曲がり流路30での排ガス流の方向転換がスムーズに行われやすくなり、本管流路10を上昇する排気ガス流に作用する抵抗が小さくなって排気効率の低下が抑制される。
【0024】
図3の事例では、ガイドベーン52~54を排ガス曲がり流路30での排ガス流の流れ方向に沿うように湾曲させてあるけれども、これらのガイドベーン52~54を傾斜した平板によって形成することも可能である。また、3箇所のガイドベーン52~54のうちの任意の1箇所又は2箇所のガイドベーンを省略したり、3箇所より多い箇所にガイドベーンを設けることも可能である。
【0025】
図4はさらに他の実施形態に係る煙突100の要部の説明図、
図5は
図4のV-V矢視図に相当する説明図である。この実施形態では、乱流抑制手段50が、
図1を参照して説明したものと同様の隅取り状に形成された壁面51と、排ガス曲がり流路30の手前箇所で横引き管流路壁面21に設けられた突起でなる渦流生成部材55と、を有している。ここで、「突起でなる渦流生成部材」は、上述したボルテックスジェネレーターと称されているものに相当していて、その設置箇所の下流側では、流体が流路壁面から剥離することを抑制して抵抗を低減させる作用を発揮する。したがって、この煙突100では、隅取り状に形成された壁面51による上記した「隅取り壁面による乱流抑制作用」と、矢印Fのように横引き管流路20を流れてきた排ガス流が本管流路10に流入するときに、突起でなる渦流生成部材55の作用により図示したような小さい乱流域Z1を生じさせるという上記した「渦流生成部材による小乱流域生成作用」と、が相乗して、本管流路壁面11からの排ガス流の剥離が効果的に抑制される。したがって、排ガス曲がり流路30では、排ガスが矢印F1,F2のようにスムーズに方向転換して煙突100による排気効率の低下が抑制される。
【0026】
ここで、上記渦流生成部材55は、
図5に示したように、横引き管流路壁面21の上部に、排ガス流の流れ方向に対して直交方向に間隔を隔てた複数箇所に横並び状態で設けられている。このため、排ガス曲がり流路30の内周側の広い範囲で上記した「渦流生成部材による小乱流域生成作用」が発揮されて乱流の発生が効果的に抑制されるようになる。なお、
図4には複数箇所の渦流生成部材55…のうち、最上部1箇所の渦流生成部材55のみを示し、他の渦流生成部材55…については図示省略している。
【0027】
図6はさらに他の実施形態に係る煙突100の要部の説明図である。この実施形態では、乱流抑制手段50が、
図1を参照して説明したものと同様の隅取り状に形成された壁面51と、
図3を参照して説明したものと同様のガイドベーン52,53,54と、
図4を参照して説明したものと同様の突起でなる渦流生成部材55と、を有している。この煙突100によれば、矢印Fのように横引き管流路20を流れてきた排ガス流が本管流路10に流入するときに、隅取り状に形成された壁面51によって上記した「隅取り壁面による乱流抑制作用」が発揮され、ガイドベーン52~54によって上記した「ガイドベーンによる整流作用」が発揮され、さらに、渦流生成部材55が小さい乱流域Z1を生じさせて上記した「渦流生成部材による小乱流域生成作用」が発揮されるために、それらの作用が相乗し、排ガス曲がり流路30では、排ガスが矢印F1,F2のようにスムーズに方向転換して煙突100による排気効率の低下が抑制される。
【0028】
この実施形態においても、ガイドベーン52~54を排ガス曲がり流路30での排ガス流の流れ方向に沿うように湾曲させてあるけれども、これらのガイドベーン52~54を傾斜した平板によって形成することも可能である。また、3箇所のガイドベーン52~54のうちの任意の1箇所又は2箇所のガイドベーンを省略したり、3箇所より多い箇所にガイドベーンを設けることも可能である。また、渦流生成部材55が、横引き管流路壁面21の上部に、排ガス流の流れ方向に対して直交方向に間隔を隔てた複数箇所に横並び状態で設けられている点は、
図5を参照して説明したところと同様である。なお、
図6には複数箇所の渦流生成部材55…のうち、最上部1箇所の渦流生成部材55のみを示し、他の渦流生成部材55…については図示省略している。
【0029】
図7は渦流生成部材55の外観を例示した概略斜視図である。この渦流生成部材55は、耐熱耐火性を有するガラスや陶器などの素材で作られていて、側面視三角形状の小さい突起でなる。渦流生成部材55は、
図7に示した側面視三角形状のものに限定されることはなく、たとえば流線形の涙滴形状の突起であっても、単なる半球状の突起や板片状の突起であってもよい。
【0030】
図1~
図8においては、説明及び図面の理解を容易にすることを意図して同一又は相応する要素に同一符号を付している。
【符号の説明】
【0031】
10 本管流路
11 本管流路壁面
20 横引き管流路
21 横引き管流路壁面
30 排ガス曲がり流路
40 継手管流路
41 継手管流路の壁面
50 乱流抑制手段
51 隅取り状に形成された壁面
52~54 ガイドベーン
55 渦流生成部材
100 煙突