(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】清掃管理システム、清掃管理サーバー及び清掃管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240806BHJP
A47K 17/00 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
G06Q50/10
A47K17/00
(21)【出願番号】P 2024015279
(22)【出願日】2024-02-02
【審査請求日】2024-02-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】710013941
【氏名又は名称】東洋電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100194478
【氏名又は名称】松本 文彦
(74)【代理人】
【識別番号】100198719
【氏名又は名称】泉 良裕
(72)【発明者】
【氏名】上土井 優武
【審査官】谷川 智秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-086736(JP,A)
【文献】特開2015-017363(JP,A)
【文献】特開2019-017445(JP,A)
【文献】特開2019-208707(JP,A)
【文献】特開2017-089206(JP,A)
【文献】特開平03-224921(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
A47K 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
清掃管理システムであって、
少なくとも1つの個室トイレを含むトイレ施設を清掃するタイミングを決定するための清掃管理サーバーと、
前記トイレ施設を清掃する清掃者によって使用される清掃者端末と、
前記トイレ施設内の各個室トイレの利用を検知し、前記各個室トイレが利用されたことを示す利用データを前記清掃管理サーバーに送信する検知部と、
前記各個室トイレの汚れ度合いを段階的に示す複数のレベルの中から一のレベルを選択させるように構成され、ユーザーによって前記一のレベルが選択されたことに応答して前記一のレベルを含む回答データを前記清掃管理サーバーに送信する情報入力部と、
を備え、
前記清掃管理サーバーは、
前記トイレ施設の所定時間あたりの利用状況値を前記利用データに基づいて定期的に更新し、
前記回答データに含まれる前記一のレベルに対応する回答積算値を更新し、
前記利用状況値が第一閾値を超え、かつ、前記複数のレベルのうち汚れ度合いが高いことを示す特定レベルの回答積算値が第二閾値を超えた場合には、前記トイレ施設の清掃依頼を前記清掃者端末に送信
し、
前記情報入力部は、前記特定レベルが前記ユーザーによって選択された場合には前記各個室トイレの汚れ箇所を示す複数の汚れ箇所の中から一の汚れ箇所を更に回答させるように構成され、前記ユーザーによって前記一の汚れ箇所が選択されたことに応答して前記特定レベルと前記一の汚れ箇所とを含む前記回答データを前記清掃管理サーバーに送信し、
前記清掃管理サーバーは、
前記回答データに含まれる前記一の汚れ箇所に基づいて前記トイレ施設の汚れ箇所情報を更新し、
前記トイレ施設の清掃依頼を前記清掃者端末に送信する際、前記汚れ箇所情報を併せて前記清掃者端末に送信することを特徴とする清掃管理システム。
【請求項2】
前記情報入力部は、前記トイレ施設の清掃が完了したことを示す清掃完了操作を入力させるように構成され、前記清掃者によって前記清掃完了操作が入力されたことに応答して清掃完了情報を前記
清掃管理サーバーに送信し、
前記
清掃管理サーバーは、
前記清掃完了情報を受信すると、前記利用状況値と各レベルの各回答積算値と前記汚れ箇所情報とをそれぞれ初期化し、
前記
トイレ施設の清掃依頼の解除を前記清掃者端末に送信することを特徴とする
請求項1に記載の清掃管理システム。
【請求項3】
少なくとも1つの個室トイレを含むトイレ施設の清掃を管理する清掃管理サーバーであって、
前記トイレ施設内の各個室トイレが利用されたことを示す利用データを受信し、
前記トイレ施設の所定時間あたりの利用状況値を前記利用データに基づいて定期的に更新し、
前記各個室トイレの汚れ度合いを段階的に示す複数のレベルの中から選択された一のレベルを含む回答データを受信すると、前記回答データに含まれる前記一のレベルに対応する回答積算値を更新し、
前記一のレベルが前記複数のレベルのうち汚れ度合いが高いことを示す特定レベルの場合には、前記回答データに含まれる一の汚れ箇所であって前記各個室トイレの汚れ箇所を示す複数の汚れ箇所の中から選択された一の汚れ箇所に基づいて、前記トイレ施設の汚れ箇所情報を更新し
前記利用状況値が第一閾値を超え、かつ、前記特定レベルの回答積算値が第二閾値を超えた場合には、前記トイレ施設の清掃依頼を送信する
と共に前記汚れ箇所情報を併せて送信することを特徴とする清掃管理サーバー。
【請求項4】
a)少なくとも1つの個室トイレが利用されたことを示す利用データを受信するステップと、
b)前記少なくとも1つの個室トイレを含むトイレ施設の所定時間あたりの利用状況値を前記利用データに基づいて定期的に更新するステップと、
c)
前記トイレ施設内の各個室トイレの汚れ度合いを段階的に示す複数のレベルの中から選択された一のレベルを含む回答データを受信すると、前記回答データに含まれる前記一のレベルに対応する回答積算値を更新するステップと、
d)前記一のレベルが前記複数のレベルのうち汚れ度合いが高いことを示す特定レベルの場合には、前記回答データに含まれる一の汚れ箇所であって前記各個室トイレの汚れ箇所を示す複数の汚れ箇所の中から選択された一の汚れ箇所に基づいて、前記トイレ施設の汚れ箇所情報を更新するステップと、
e)前記利用状況値が第一閾値を超え、かつ、前記特定レベルの回答積算値が第二閾値を超えた場合には、前記トイレ施設の清掃依頼を送信する
と共に前記汚れ箇所情報を併せて送信するステップと、
をコンピュータに実行させるための清掃管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの個室トイレを含むトイレ施設を清掃するタイミングを決定するための清掃管理システム及びこれに関連する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビル等の建物内に設けられたトイレ施設の状況を管理するための施設状況管理システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の施設状況管理システムでは、利用者に対しては、トイレ施設毎の利用状況及び作業状況を示す画面が提示される(特許文献1の
図6参照)。
【0004】
一方、作業者に対しては、トイレ施設毎の利用状況及び作業状況を示す画面と共に作用状況を施設毎に切り換えることが可能なユーザインタフェースが提供される(特許文献1の
図7参照)。これにより、作業者は、トイレ施設毎の利用状況を参照しながら、利用者への影響が少ないトイレ施設を清掃状態に切り換えて清掃を実施することが可能となる。
【0005】
また、施設の作業状況が清掃状態に切り換えられたことは、更新部によってデータベースに反映され、利用者に提示される。これにより、利用者は清掃が実施されていない通常状態のトイレ施設のうちから使用するトイレ施設を適切に選択することができる。
【0006】
上述した特許文献1によれば、利用者に対する影響の少ないトイレ施設(すなわち、利用されていないトイレ施設)が優先的に清掃される。同時に、現在清掃が実施されていないトイレ施設に利用者を誘導できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、トイレ施設を清掃するか否かは、当該トイレ施設に設置された各個室トイレの汚れ度合いによって決定されるのが好ましい。この点、特許文献1では、トイレ施設毎の利用状況を参照しながら、利用者への影響が少ないトイレ施設を清掃状態に切り換えて清掃を実施する。そのため、特許文献1では、利用頻度が高く、汚れ度合いが高いトイレ施設は清掃されにくく、逆に、利用頻度が低く、汚れ度合いが低いトイレ施設が清掃され易くなるという問題が生じる。
【0009】
そこで、本発明は、トイレ施設を清掃するか否かを当該トイレ施設に設置された各個室トイレの汚れ度合いに応じて決定することが可能な清掃管理システム及びこれに関連する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、清掃管理システムであって、少なくとも1つの個室トイレを含むトイレ施設を清掃するタイミングを決定するための清掃管理サーバーと、前記トイレ施設を清掃する清掃者によって使用される清掃者端末と、前記トイレ施設内の各個室トイレの利用を検知し、前記各個室トイレが利用されたことを示す利用データを前記清掃管理サーバーに送信する検知部と、前記各個室トイレの汚れ度合いを段階的に示す複数のレベルの中から一のレベルを選択させるように構成され、ユーザーによって前記一のレベルが選択されたことに応答して前記一のレベルを含む回答データを前記清掃管理サーバーに送信する情報入力部と、を備え、前記清掃管理サーバーは、前記トイレ施設の所定時間あたりの利用状況値を前記利用データに基づいて定期的に更新し、前記回答データに含まれる前記一のレベルに対応する回答積算値を更新し、前記利用状況値が第一閾値を超え、かつ、前記複数のレベルのうち汚れ度合いが高いことを示す特定レベルの回答積算値が第二閾値を超えた場合には、前記トイレ施設の清掃依頼を前記清掃者端末に送信することを特徴とする清掃管理システムを提供している。
【0011】
ここで、前記情報入力部は、前記特定レベルが前記ユーザーによって選択された場合には前記各個室トイレの汚れ箇所を示す複数の汚れ箇所の中から一の汚れ箇所を更に回答させるように構成され、前記ユーザーによって前記一の汚れ箇所が選択されたことに応答して前記特定レベルと前記一の汚れ箇所とを含む前記回答データを前記清掃管理サーバーに送信し、前記清掃管理サーバーは、前記回答データに含まれる前記一の汚れ箇所に基づいて前記トイレ施設の汚れ箇所情報を更新し、前記トイレ施設の清掃依頼を前記清掃者端末に送信する際、前記汚れ箇所情報を併せて前記清掃端末に送信するのが好ましい。
【0012】
また、前記情報入力部は、前記トイレ施設の清掃が完了したことを示す清掃完了操作を入力させるように構成され、前記清掃者によって前記清掃完了操作が入力されたことに応答して清掃完了情報を前記管理サーバーに送信し、前記管理サーバーは、前記清掃完了情報を受信すると、前記利用状況値と各レベルの各回答積算値と前記汚れ箇所情報とをそれぞれ初期化し、前記トイレの清掃依頼の解除を前記清掃者端末に送信するのが好ましい。
【0013】
また、本発明は、少なくとも1つの個室トイレを含むトイレ施設の清掃を管理する清掃管理サーバーであって、各個室トイレが利用されたことを示す利用データを受信し、前記トイレ施設の所定時間あたりの利用状況値を前記利用データに基づいて定期的に更新し、前記各個室トイレの汚れ度合いを段階的に示す複数のレベルの中から選択された一のレベルを含む回答データを受信すると、前記回答データに含まれる前記一のレベルに対応する回答積算値を更新し、前記利用状況値が第一閾値を超え、かつ、前記複数のレベルのうち汚れ度合いが高いことを示す特定レベルの回答積算値が第二閾値を超えた場合には、前記トイレ施設の清掃依頼を送信することを特徴とする清掃管理サーバーを提供している。
【0014】
更に、本発明は、a)少なくとも1つの個室トイレが利用されたことを示す利用データを受信するステップと、b)前記少なくとも1つの個室トイレを含むトイレ施設の所定時間あたりの利用状況値を前記利用データに基づいて定期的に更新するステップと、c)前記各個室トイレの汚れ度合いを段階的に示す複数のレベルの中から選択された一のレベルを含む回答データを受信すると、前記回答データに含まれる前記一のレベルに対応する回答積算値を更新するステップと、e)前記利用状況値が第一閾値を超え、かつ、前記複数のレベルのうち汚れ度合いが高いことを示す特定レベルの回答積算値が第二閾値を超えた場合には、前記トイレ施設の清掃依頼を送信するステップと、をコンピュータに実行させるための清掃管理プログラムを提供している。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、各個室トイレが利用されたことを示す利用データを受信し、各個室トイレを含むトイレ施設の所定時間あたりの利用状況値が利用データに基づいて定期的に更新される。各個室トイレの汚れ度合いを段階的に示す複数のレベルの中から一のレベルを含む回答データを受信すると、当該回答データに含まれる一のレベルに対応する回答積算値が更新される。そして、利用状況値が第一閾値を超え、かつ、複数のレベルのうち汚れ度合いが高いことを示す特定レベルの回答積算値が第二閾値を超えた場合には、トイレ施設の清掃依頼が送信される。そのため、トイレ施設の清掃可否を決定するにあたり、トイレ施設に設置された各個室トイレの客観的な使用状況を示す利用状況値と、トイレ施設に設置された各個室トイレの利用者による主観的な汚れ度合いを示す特定レベルの回答積算値との双方が考慮される。よって、トイレ施設を清掃するか否かを当該トイレ施設に設置された個室トイレの汚れ度合いに応じて決定することが可能である。
【0016】
なお、本発明に係る清掃管理システム、清掃管理サーバー及び清掃管理プログラムのように、トイレ施設を清掃するか否かを当該トイレ施設に設置された各個室トイレの汚れ度合いに応じて決定するための具体的構成は、上述した特許文献1には全く開示されていない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係る清掃管理システムの概略を示すシステム構成図。
【
図2】管理対象のトイレ施設に関する各種情報を記録するトイレ施設情報テーブルの一例を示す図。
【
図3】清掃依頼決定プロセスの流れを示すシーケンス図。
【
図4】個室トイレの汚れ度合いに関するアンケート回答画面の一例を示す図。
【
図5】個室トイレの汚れ箇所に関するアンケート回答画面の一例を示す図。
【
図6】アンケートが終了したことを示すアンケート終了画面の一例を示す図。
【
図7】清掃者が管理画面にログインするためのログイン画面の一例を示す図。
【
図8】ログイン後に表示される管理画面の一例を示す図。
【
図9】清掃完了操作を入力するための清掃完了操作入力画面の一例を示す図。
【
図10】変形例に係る清掃依頼決定プロセスを示すシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<1.実施形態>
本発明の実施形態による清掃管理システム、清掃管理サーバー及び清掃管理プログラムについて、
図1から
図9を参照しながら説明する。
【0019】
本実施形態による清掃管理システムは、トイレ施設を清掃する適切なタイミングを決定するためのシステムである。ここで、トイレ施設とは、1又は複数の個室トイレを含むトイレ施設をいう。例えば、建物の特定のフロアに男子トイレ及び女子トイレが設置されているような状況では、男子トイレ及び女子トイレをそれぞれ1つのトイレ施設と捉えることができる。また、本実施形態による清掃管理サーバーは、清掃管理システムの一部を構成するサーバーコンピュータであり、各種データに基づいてトイレ施設を清掃するか否かを決定するためのサーバーである。更に、本実施形態による清掃管理プログラムは、清掃管理サーバーにインストールされているソフトウェアプログラムである。
【0020】
以下では、本発明に係る清掃管理システムの一例として、
図1に示す清掃管理システム1を例示する。また、本発明に係る清掃管理サーバーの一例として、
図1に示す清掃管理サーバー4を例示する。更に、本発明に係る清掃管理プログラムの一例として、清掃管理サーバー4にインストールされている清掃管理プログラムPGを例示する。
【0021】
図1に示すように、清掃管理システム1は、トイレ施設の各個室トイレに設置された検知センサー2(2A,2B,…)と、トイレ施設の入り口に設置されたモニター3と、清掃管理サーバー4と、トイレ施設を清掃する清掃者によって使用される清掃者端末5とを備えて構成される。
【0022】
まず、本発明に係る「検知部」の一例である検知センサー2(2A,2B,…)について説明する。ここで、各検知センサー2A,2B,…は、同一の構成を備えている。そのため、以下の説明では、検知センサー2A,2B,…を検知センサー2と総称して説明する。
【0023】
検知センサー2は、個室トイレのドアの開閉を検知するマグネットセンサーによって構成されている。検知センサー2は、ドアが開閉される毎にドアが開閉されたことを示すトイレ利用データを清掃管理サーバー4に送信する。なお、検知センサー2は、LAN(Local Area Network)などのネットワークNWを介して清掃管理サーバー4と通信可能に構成されているものとする。
【0024】
次に、本発明に係る「情報入力部」の一例であるモニター3について説明する。上述したように、モニター3は、トイレ施設の入り口付近に設置される。つまり、1つのトイレ施設において1つのモニター3が設置されている。
【0025】
モニター3は、表示機能と操作入力機能とを含むタッチパネル式のディスプレイモニターで構成されている。モニター3は、個室トイレの利用者に対する後述のアンケート画面(
図4及び
図5参照)を表示すると共に、当該アンケート画面を介してアンケートに対する回答を入力可能に構成されている。モニター3は、アンケート画面を介して回答が入力されると、入力された回答に関する回答データを清掃管理サーバー4に送信する。なお、モニター3は、LANなどのネットワークNWを介して清掃管理サーバー4と通信可能に構成されているものとする。
【0026】
清掃管理サーバー4は、検知センサー2から受信するトイレ利用データやモニター3から受信する回答データに基づいて対象のトイレ施設を清掃するか否かを決定する。また、清掃管理サーバー4は、トイレ施設を清掃すると決定した場合、当該トイレ施設の清掃依頼を清掃者端末5に送信する。
【0027】
清掃者端末5は、一般的なノートパソコン(ラップトップ)やタブレット型デバイスなどによって構成される。清掃者端末5は、ディスプレイなどの表示機能と、キーボードやタッチパッドなどの操作入力機能とを備えている。また、清掃者端末5は、WiFiなどの無線回線を介してネットワークNWに接続する通信機能を備えている。これにより、清掃者端末5は、清掃管理サーバー4と通信可能に構成されているものとする。
【0028】
清掃者端末5は、ネットワークNWを介して清掃管理サーバー4からの清掃依頼を受信し、対象となるトイレ施設の清掃依頼を示す情報を画面に表示する。
【0029】
次に、
図2を参照しながら、トイレ施設情報テーブルTBについて説明する。トイレ施設情報テーブルTBは、清掃管理システム1において管理対象となる各トイレ施設に関する情報を記録するテーブルである。本実施形態において、トイレ施設情報テーブルTBは、清掃管理サーバー4の記憶部に記憶されているものとする。ただし、これに限定されず、トイレ施設情報テーブルTBは、清掃管理サーバー4からアクセス可能であれば、清掃管理サーバー4の外部(外部記憶装置やクラウドサーバーなど)に記憶されるようにしてもよい。
【0030】
図2に示すように、トイレ施設情報テーブルTBには、「Toilet ID」と「利用頻度」と「回答積算値」と「汚れ箇所」とが記録されている。
【0031】
「Toilet ID」には、清掃管理システム1における各トイレ施設を識別するための識別子(識別番号)が記録される。
【0032】
「利用頻度」には、各トイレ施設の所定時間(本実施形態では1時間)あたりの利用頻度が記録される。なお、所定時間あたりの利用頻度は、本発明に係る「所定時間あたりの利用状況値」の一例である。
【0033】
「利用頻度」は、所定時間内に各検知センサー2から受信する利用データに基づいて演算される。具体的には、検知センサー2から利用データが2回受信されたことを1回の個室トイレ利用としてカウントする。1回目の利用データが個室トイレ入室時のドア開閉を検知したものであり、2回目の利用データが個室トイレ退室時のドア開閉を検知したものであると推定できるからである。
【0034】
例えば、「Toilet ID」が「001」のレコード(1行目)では、「利用頻度」に「9」が入力されている。これは、前回の所定時間(1時間)にトイレ施設内に設置された個室トイレが9回ほど利用されたことを意味する。つまり、前回の所定時間(1時間)に利用データが18回ほど受信されたことがわかる。
【0035】
また、「Toilet ID」が「002」のレコード(2行目)では、「利用頻度」に「14」が入力されている。これは、前回の所定時間(1時間)にトイレ施設内に設置された個室トイレが14回ほど利用されたことを意味する。つまり、前回の所定時間(1時間)に利用データが28回ほど受信されたことがわかる。
【0036】
「回答積算値」には、トイレ施設内に設置された各個室トイレの汚れ度合いに関するアンケートに対する回答結果が記録される。なお、
図4に示すように、本実施形態では、個室トイレの汚れ度合いに関するアンケートは、汚れ度合いを「きれい」、「ふつう」、「きたない」の三段階から1つを選択させるように構成されている。なお、「きれい」、「ふつう」、「きたない」の三段階は、本発明に係る「汚れ度合いを段階的に示す複数のレベル」の一例である。
【0037】
例えば、「Toilet ID」が「001」のレコード(1行目)では、「回答積算値」の「きたない」に「4」、「ふつう」に「3」、「きれい」に「0」がそれぞれ入力されている。これは、
図4に示すアンケート画面において、「きたない」が4回、「ふつう」が3回選択され、「きれい」が1回も選択されなかったことを意味する。
【0038】
また、「Toilet ID」が「002」のレコード(2行目)では、「回答積算値」の「きたない」に「11」、「ふつう」に「1」、「きれい」に「0」がそれぞれ入力されている。これは、
図4に示すアンケート画面において、「きたない」が11回選択され、「ふつう」が1回選択され、「きれい」が1回も選択されなかったことを意味する。
【0039】
「汚れ箇所」には、個室トイレの汚れ箇所に関するアンケートに対する回答結果が記録される。なお、
図5に示すように、本実施形態では、個室トイレの汚れ箇所に関するアンケートは、汚れ箇所を「便座」、「床」、「洗面台」の中から1つを選択させるように構成されている。なお、「便座」、「床」、「洗面台」は、本発明に係る「複数の汚れ箇所」の一例である。
【0040】
例えば、「Toilet ID」が「001」のレコード(1行目)では、「汚れ箇所」の「便座」に「2」、「床」に「1」、「洗面台」に「1」がそれぞれ入力されている。これは、
図5に示すアンケート画面において、「便座」が2回選択され、「床」が1回選択され、「洗面台」が1回選択されたことを意味する。
【0041】
また、「Toilet ID」が「002」のレコード(2行目)では、「汚れ箇所」の「便座」に「9」、「床」に「2」、「洗面台」に「0」がそれぞれ入力されている。これは、
図5に示すアンケート画面において、「便座」が9回選択され、「床」が2回選択され、「洗面台」が1回も選択されなかったことを意味する。
【0042】
続いて、
図3のシーケンス図を参照しながら、清掃管理システム1においてトイレ施設の清掃を決定するプロセスについて詳細に説明する。
【0043】
検知センサー2は、ドアが開閉される毎にドアが開閉されたことを示すトイレ利用データを清掃管理サーバー4に送信する。なお、トイレ利用データには、トイレ施設を識別する識別子が含まれているものとする。
【0044】
清掃管理サーバー4は、検知センサー2からトイレ利用データを2回受信すると、識別子で識別されるトイレ施設が1回利用されたと判断し、対応するトイレ施設の利用回数をインクリメントする(ステップS1)。
【0045】
モニター3は、利用者がモニター3に近づいたり、触れたりすると、
図4に示す画面SC1を表示する。画面SC1において利用者が「きれい」又は「ふつう」を選択すると、モニター3は、「きれい」又は「ふつう」に対応するレベルを含む回答データを清掃管理サーバー4に送信する。なお、回答データにはトイレ施設を識別する識別子が含まれているものとする。
【0046】
一方、画面SC1において利用者が「きたない」を選択すると、モニター3は、
図5に示す画面SC2を表示する。画面SC2において「便座」、「床」、「洗面台」のいずれかが汚れ箇所として選択されると、モニター3は、画面SC1を介して選択された「きたない」に対応するレベルと、画面SC2を介して選択された汚れ箇所とを含む回答データを清掃管理サーバー4に送信する。なお、回答データにはトイレ施設を識別する識別子が含まれているものとする。
【0047】
画面SC1において「きれい」又は「ふつう」が選択された場合、あるいは、画面SC1において「きたない」が選択され且つ画面SC2において汚れ箇所が選択された場合には、
図6に示すように、モニター3は、アンケートが終了したことを示す画面SC3を表示する。
【0048】
清掃管理サーバー4は、モニター3から回答データを受信すると、回答データに含まれる汚れ度合いのレベル(「きれい」、「ふつう」、「きたない」のいずれか)に対応する回答積算値を更新する(ステップS2)。具体的には、清掃管理サーバー4は、
図2のトイレ施設情報テーブルTBにアクセスし、対応するトイレ施設の汚れ度合いのレベルに対応する回答積算値をインクリメントする。
【0049】
また、ステップS2において、回答データに汚れ箇所が含まれる場合には、清掃管理サーバー4は、当該汚れ箇所(「便座」、「床」、「洗面台」のいずれか)に対応する汚れ箇所情報も更新する。具体的には、清掃管理サーバー4は、
図2のトイレ施設情報テーブルTBにアクセスし、汚れ箇所に対応する項目の積算値をインクリメントする。
【0050】
また、清掃管理サーバー4は、所定時間(本実施形態では1時間)が経過する毎に所定時間あたりの利用頻度を更新する(ステップS3)。具体的には、清掃管理サーバー4は、トイレ施設の最新の利用回数を所定時間あたりの利用頻度として更新する。同時に、清掃管理サーバー4は、トイレ施設の最新の利用回数を初期化(ゼロを入力)する。一旦利用頻度が更新されると、所定時間(1時間)が経過するまでの期間、同じ値が利用頻度として使用される。
【0051】
清掃管理サーバー4は、清掃依頼の条件判定処理を所定間隔で逐次実行する(ステップS4)。具体的には、清掃管理サーバー4は、
図2のトイレ施設情報テーブルTBにアクセスし、各トイレ施設に関し、利用頻度が事前に設定した頻度閾値(本発明に係る「第一閾値」の一例)を超えているか否かを判定すると共に、「きたない」に対応する回答積算値が事前に設定した回答積算値閾値(本発明に係る「第二閾値」の一例)を超えているか否かを判定する。
【0052】
ここで、一のトイレ施設に関し、利用頻度が頻度閾値を超え、かつ、回答積算値が回答積算値閾値を超えたと判定した場合、清掃管理サーバー4は、一のトイレ施設の清掃依頼を清掃者端末5に送信する(ステップS5)。その際、清掃管理サーバー4は、一のトイレ施設の汚れ箇所情報を取得し、清掃依頼と共に清掃者端末5に送信する。例えば、「Toilet ID」が「002」のトイレ施設であれば、清掃管理サーバー4は、汚れ箇所情報として「便座=9、床=2、洗面台=0」などの情報を清掃者端末5に送信する。
【0053】
これに対して、清掃者端末5は、対象のトイレ施設の清掃依頼を示す情報を画面に表示すると共に、汚れ箇所情報を画面に表示する。
【0054】
また、モニター3は、トイレ施設の清掃が完了したことを示す清掃完了操作を受ける端末としても機能する。
【0055】
具体的には、
図4に示す画面SC1において、清掃者が管理画面を表示させるためのボタンBTをタッチ操作すると、モニター3は、
図7に示すログイン画面SC4を表示する。
【0056】
ログイン画面SC4において、暗証番号が入力された後、エンターキーがタッチ操作されると、モニター3は、
図8に示す画面SC5を表示する。画面SC5において、1番の巡回清掃完了がタッチ操作されると、モニター3は、画面SC6を表示する。画面SC6において、清掃完了がタッチ操作されると、モニター3は、トイレ施設の識別情報を含む清掃完了情報を清掃管理サーバー4に送信する。
【0057】
清掃管理サーバー4は、清掃完了情報を受信すると、
図2のトイレ施設情報テーブルTBにアクセスし、識別情報で特定されるトイレ施設の利用頻度と各レベルの各回答積算値と各汚れ箇所の各回答回数(汚れ箇所情報)とをそれぞれ初期化する(ステップS6)。
【0058】
また、清掃管理サーバー4は、対象のトイレ施設の清掃依頼の解除を清掃者端末5に送信する(ステップS7)。
【0059】
上述した実施形態によれば、各個室トイレの汚れ度合いを段階的に示す複数のレベルの中から一のレベルを含む回答データを受信すると、当該回答データに含まれる一のレベルに対応する回答積算値が更新される(
図3のステップS2)。また、トイレ施設の所定時間あたりの利用状況値がトイレ利用データに基づいて定期的に更新される(ステップS3)。そして、利用頻度が頻度閾値を超え、かつ、複数のレベルのうち汚れ度合いが高いことを示す特定レベルの回答積算値が回答積算値閾値を超えた場合には(ステップS4)、トイレ施設の清掃依頼が送信される(ステップS5)。
【0060】
そのため、トイレ施設の清掃可否を決定するにあたり、トイレ施設に設置された各個室トイレの客観的な使用状況を示す利用頻度と、トイレ施設に設置された各個室トイレの利用者による主観的な汚れ度合いを示す特定レベルの回答積算値との双方が考慮される。よって、トイレ施設を清掃するか否かを当該トイレ施設に設置された各個室トイレの汚れ度合いに応じて決定することが可能である。
【0061】
特に、上述した実施形態によれば、汚れ度合い「きたない」が選択された場合には、更に汚れ箇所も選択させる仕様になっている。そして、選択された汚れ箇所に関する汚れ箇所情報は、清掃依頼とともに清掃者端末5に通知される。そのため、清掃者は、汚れ箇所情報に基づいて清掃時に重点的に清掃すべき箇所を事前に把握することが可能である。
【0062】
また、上述した実施形態によれば、モニター3を介して清掃完了操作が清掃者によって入力され、トイレ施設の清掃が完了したことが清掃管理サーバー4に適宜通知される。そのため、各トイレ施設の清掃状況を清掃管理システム1に対してリアルタイムに反映させることが可能である。
【0063】
<2.変形例>
本発明による清掃管理システム、清掃管理サーバー及び清掃管理プログラムは上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。
【0064】
例えば、上述した実施形態では、本発明に係る「所定時間あたりの利用状況値」の一例として「所定時間あたりの利用頻度」を例示したが、これに限定されない。「所定時間あたりの利用状況値」の一例として「所定時間あたりの利用率」を用いるようにしてもよい。
【0065】
具体的には、「所定時間あたりの利用率」は、「所定時間あたりの利用頻度」と同様に、所定時間内に各検知センサー2から受信する利用データに基づいて演算されるようにすればよい。
【0066】
より詳細には、検知センサー2から入室を示す利用データを受信すると、利用時間の計測を開始する。また、検知センサー2から退室を示す利用データを受信すると、利用時間の計測を終了し、利用時間を算出する。当該処理を所定時間内に繰り返し、合計利用時間を随時算出する。そして、所定時間(例えば1時間)が経過した時点で所定時間に対する利用時間を利用率として演算する(
図10のステップS30)。また、清掃依頼の条件判定処理(
図10のステップS40)において、演算された利用率が事前に設定した利用率閾値を超えるか否かを判定する。
【0067】
また、上記実施形態では「所定時間あたりの利用頻度」を利用し、上記変形例では「所定時間あたりの利用率」を利用する場合を例示したが、これに限定されない。「所定時間あたりの利用頻度」と「所定時間あたりの利用率」との双方を利用するようにしてもよい。
【0068】
図示は省略するが、清掃依頼の条件判定処理において、「所定時間あたりの利用頻度」が頻度閾値を超え、かつ、「所定時間あたりの利用率」が利用率閾値を超えることを条件判定に加えるようにしてもよい。
【0069】
また、上述した実施形態では、「所定時間あたりの利用頻度」と「回答積算値」との双方を考慮する場合を例示したが、いずれか一方だけで清掃依頼の条件判定を行うようにしてもよい。例えば、「所定時間あたりの利用頻度」が頻度閾値を超えたことのみを条件として清掃依頼通知を出すようにしてもよい。その場合、モニター3は必ずしも必須ではない。あるいは、「回答積算値」が回答積算値閾値を超えたことのみを条件として清掃依頼通知を出すようにしてもよい。その場合、検知センサー2は必ずしも必須ではない。
【0070】
また、上述した実施形態では、本発明に係る「検知部」の一例として、ドア開閉を検知する検知センサー2を例示したが、これに限定されない。例えば、人感センサーなどを「検知部」として用いるようにしてもよい。その場合、人感センサーが利用者に反応したタイミングを「開」として受信し、人感センサーが利用者の反応を確認できなくなったタイミングを「閉」として受信し、1回の個室トイレ利用としてカウントするようにすればよい。
【0071】
また、上述した実施形態では、
図4の画面SC1において「管理画面」と記載されたボタンBTをタッチ操作することで
図7のログイン画面SC4に遷移する場合を例示したが、これに限定されない。ボタンBTに代えてシステムのロゴマークなどを配置し、ロゴマークをタッチ操作することで
図7のログイン画面SC4に遷移するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 清掃管理システム
2 検知センサー
3 モニター
3 清掃管理サーバー
3 モニター
4 清掃管理サーバー
5 清掃者端末
PG 清掃管理プログラム
TB トイレ施設情報テーブルTB
【要約】
【課題】トイレ施設を清掃するか否かを当該トイレ施設に設置された個室トイレの汚れ度合いに応じて決定することが可能な清掃管理システム及びこれに関連する技術の提供。
【解決手段】清掃管理サーバー4は、各個室トイレが利用されたことを示す利用データを受信する(S1)。清掃管理サーバー4は、各個室トイレの汚れ度合いを段階的に示す複数のレベルの中から選択された一のレベルを含む回答データを受信すると、当該一のレベルに対応する回答積算値を更新する(S2)。清掃管理サーバー4は、トイレ施設の所定時間あたりの利用状況値を利用データに基づいて定期的に更新する(S3)。清掃管理サーバー4は、利用状況値が第一閾値を超え、かつ、複数のレベルのうち汚れ度合いが高いことを示す特定レベルの回答積算値が第二閾値を超えた場合には、トイレ施設の清掃依頼を清掃者端末5に送信する(S5)。
【選択図】
図3