(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】顧客端末、コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/32 20120101AFI20240806BHJP
【FI】
G06Q20/32 300
(21)【出願番号】P 2024083322
(22)【出願日】2024-05-22
【審査請求日】2024-06-06
(31)【優先権主張番号】P 2023212341
(32)【優先日】2023-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】720007578
【氏名又は名称】決済サービスコンサルティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108604
【氏名又は名称】村松 義人
(72)【発明者】
【氏名】宮居 雅宣
【審査官】加舎 理紅子
(56)【参考文献】
【文献】特許第6838182(JP,B1)
【文献】国際公開第2021/033477(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/004873(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支払いを行うための顧客IDを持つ顧客に対する小売を行う、支払いを受取るための店舗IDを持つ店舗に配置されるものであり、前記店舗IDを特定するデータである店舗IDデータを記録したメモリ、及び前記メモリに記録された前記店舗IDデータを無線により発信して近距離通信を行う発信機、を含む店舗タグと、
前記店舗に前記店舗タグと対として配置されるものであり、対とされる前記店舗タグの前記メモリに記録された前記店舗IDデータにより特定される前記店舗IDに対応する情報を内包したバーコードと、
前記顧客が前記店舗に対して行う金銭の支払いの決済を行う決済装置と、
の組合せにより決済システムを構成する、前記顧客が所持することが予定された顧客端末であって、
前記顧客IDのデータを特定するデータである顧客IDデータを記録した記録装置と、
前記店舗タグの前記発信機から前記店舗IDデータを受信することが可能とされた受信機と、
ネットワークを介してのデータの送信を行う送受信機構と、
画像を表示する機能を有するディスプレイと、
撮像を行い撮像した画像についてのデータである画像データを生成するカメラと、
前記顧客が前記店舗に支払いを行う金額である支払金額を特定するデータである金額データを入力可能な入力装置と、
情報処理を実行する制御部と、
を備えており、
前記制御部は、
前記顧客が前記顧客端末を前記店舗タグに所定の距離より近づけた場合には、前記店舗タグの前記発信機から前記店舗IDデータを受付けた前記受信機から、前記店舗IDデータを受取るとともに、前記店舗IDデータを受付けた場合に自動的に、前記ディスプレイに、顧客に対して前記支払金額の入力を促す画像である第1金額入力画像を表示させるようになっているとともに、
前記顧客が前記カメラで前記バーコードを撮像した場合には、前記カメラが生成した前記バーコードを含む画像についての画像データを前記カメラから受取り、前記画像データによって特定される前記画像に含まれる前記バーコードに内包される前記店舗IDデータを読出すとともに、前記店舗IDデータを読出した場合に自動的に、前記ディスプレイに、顧客に対して前記支払金額の入力を促す画像である第2金額入力画像を表示させるようになっており、
且つ、
前記顧客が前記入力装置を用いて前記ディスプレイに表示された前記第1金額入力画像又は前記第2金額入力画像に前記支払金額を入力することによって入力された前記金額データを受取った場合に、前記店舗タグから受取った、又は前記バーコードから読出した前記店舗IDデータと、前記記録装置から読み出した前記顧客IDデータと、前記入力装置から入力された前記金額データと、前記金額データが前記第1金額入力画像から入力されたか前記第2金額入力画像から入力されたかを示す経路データとを、前記顧客から前記店舗への支払いを特定するために必要な情報である支払いデータとして互いに紐づけて、前記送受信機構から前記ネットワークを介して前記決済装置に送信するようになっている、
顧客端末。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2金額入力画像を、それが前記ディスプレイに表示された場合に、前記ディスプレイに表示された前記第1金額入力画像と視覚的に区別可能なものとして前記ディスプレイに表示するようになっている、
請求項1記載の顧客端末。
【請求項3】
前記メモリには、前記店舗IDデータに加え、前記ディスプレイに前記第1金額入力情報を表示させることを前記制御部に指示するデータである指示データが更に記録されており、
前記顧客が前記顧客端末を前記店舗タグに所定の距離より近づけた場合に前記店舗タグの前記発信機から前記店舗IDデータ及び前記指示データを受取った前記受信機から前記店舗IDデータ及び前記指示データを受取った前記制御部が自動的に、前記ディスプレイに前記第1金額入力画像を表示させるようになっている、
請求項1記載の顧客端末。
【請求項4】
前記制御部は、前記ディスプレイに、前記決済装置に前記支払いデータを送信するためのコンピュータプログラムである決済コンピュータプログラムを立ち上げるためのアイコンを表示させるようになっているとともに、顧客が前記アイコンに対して入力を行うことで生成された立上げデータを受取った前記制御部が前記決済コンピュータプログラムを立ち上げるようになっており、
前記メモリには、前記店舗IDデータに加え、前記指示データ、及び前記立上げデータが更に記録されており、前記顧客が前記顧客端末を前記店舗タグに所定の距離より近づけた場合に前記店舗タグの前記発信機から前記店舗IDデータ、前記指示データ、及び前記立上げデータを受取った前記受信機から前記店舗IDデータ、前記指示データ、及び前記立上げデータを受取った前記制御部が自動的に、前記ディスプレイに前記第1金額入力画像を表示させるようになっている、
請求項3記載の顧客端末。
【請求項5】
支払いを行うための顧客IDを持つ顧客に対する小売を行う、支払いを受取るための店舗IDを持つ店舗に配置されるものであり、前記店舗IDを特定するデータである店舗IDデータを記録したメモリ、及び前記メモリに記録された前記店舗IDデータを無線により発信して近距離通信を行う発信機、を含む店舗タグと、
前記店舗に前記店舗タグと対として配置されるものであり、対とされる前記店舗タグの前記メモリに記録された前記店舗IDデータにより特定される前記店舗IDに対応する情報を内包したバーコードと、
前記顧客が前記店舗に対して行う金銭の支払いの決済を行う決済装置と、
の組合せにより決済システムを構成する、前記顧客が所持することが予定された顧客端末であり、
前記顧客IDを特定するデータである顧客IDデータを記録した記録装置と、
前記店舗タグの前記発信機から前記店舗IDデータを受信することが可能とされた受信機と、
ネットワークを介してのデータの送信を行う送受信機構と、
画像を表示する機能を有するディスプレイと、
撮像を行い撮像した画像についてのデータである画像データを生成するカメラと、
前記顧客が前記店舗に支払いを行う金額である支払金額を特定するデータである金額データを入力可能な入力装置と、
情報処理を実行する制御部と、
を備えている、顧客端末における前記制御部に、
前記顧客が前記顧客端末を前記店舗タグに所定の距離より近づけた場合には、前記店舗タグの前記発信機から前記店舗IDデータを受付けた前記受信機から、前記店舗IDデータを受取るとともに、前記店舗IDデータを受付けた場合に自動的に、前記ディスプレイに、顧客に対して前記支払金額の入力を促す画像である第1金額入力画像を表示させる処理と、前記顧客が前記カメラで前記バーコードを撮像した場合には、前記カメラが生成した前記バーコードを含む画像についての画像データを前記カメラから受取り、前記画像データによって特定される前記画像に含まれる前記バーコードに内包される前記店舗IDデータを読出すとともに、前記店舗IDデータを読出した場合に自動的に、前記ディスプレイに、顧客に対して前記支払金額の入力を促す画像である第2金額入力画像を表示させる処理とのいずれかと、
前記顧客が前記入力装置を用いて前記ディスプレイに表示された前記第1金額入力画像又は前記第2金額入力画像に前記支払金額を入力することによって入力された前記金額データを受取った場合に、前記店舗タグから受取った、又は前記バーコードから読出した前記店舗IDデータと、前記記録装置から読み出した前記顧客IDデータと、前記入力装置から入力された前記金額データと、前記金額データが前記第1金額入力画像から入力されたか前記第2金額入力画像から入力されたかを示す経路データとを、前記顧客から前記店舗への支払いを特定するために必要な情報である支払いデータとして互いに紐づけて、前記送受信機構から前記ネットワークを介して前記決済装置に送信する処理と、
を実行させるための、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子決済技術に関する。
【背景技術】
【0002】
顧客から店舗への支払いを決済するための技術としての様々な電子決済技術が普及して久しいが、その中にQRコード(商標)その他の二次元バーコード或いは一次元バーコード等のバーコードを用いた決済システムがある。
バーコードを用いた決済システムには、顧客が所持するスマートフォンのディスプレイに表示されたバーコードを店舗側が読取って決済を行うタイプと、ユーザが所持するスマートフォンで、店舗に掲示されたバーコードを読取って決済を行うタイプがある。本願では後者に着目して話を進める。
【0003】
上述のような決済システムは、概ね以下のように構成されている。
決済システムは、決済装置を含んで構成される。決済装置は一般にサーバ装置によって構成されている。
決済装置には、顧客のスマートフォンから後述する支払いデータが送られてくる。支払いデータは、誰が、誰に、幾らの支払いをするか、ということを特定するための3つのデータを含むデータである。支払いデータを受取ることにより、決済装置は、顧客から店舗への支払いの決済を行う。決済装置が実行する決済の方式は適宜選択可能であり、例えば、日本の資金決済に関する法律で規定される顧客の前払いが前提となる前払い支払手段、即時決済を前提とするデビット決済、後払いを前提とするクレジット決済を採用することが可能である。
決済装置が、前払い支払手段の決済装置である場合を例にとって以下説明を進める。
上述したように決済装置は一般にサーバ装置によって構成される。決済装置は、データベースであるバランスデータベースを備えている。バランスデータベースには、店舗が支払いを受けるためのアカウント(銀行でいうところの口座)を特定する情報である店舗IDと、顧客(或いは顧客が支払いを行うためのアカウント(銀行でいうところの口座))を特定する情報である顧客IDとが記録されている。バランデータベースにはまた、店舗IDと紐づけてそのアカウントの残高の情報が、また、顧客IDと紐づけて、顧客の残高の情報が記録されている。決済装置は、また、バランスデータベース上のデータを更新する機能を有するバランス部を備えている。
決済装置には、顧客からより詳細には顧客が所持する顧客端末(殆どの場合はスマートフォンである。)から支払いデータが送られてくる。支払いデータは、上述したように、誰が誰に幾ら支払うかということを特定するデータである。支払いデータには、支払い者を特定する顧客IDのデータである顧客IDデータと、受取者を特定する店舗IDのデータである店舗IDデータと、支払金額を特定する金額データとが含まれる。この3つのデータが揃うことで、支払いの内容を確定することができる。支払いデータを受取ると、バランス部は、支払いデータに含まれる顧客IDデータによって特定される顧客IDと紐付けられた残高を金額データで特定される支払金額分だけバランスデータベースにおいて減少させるとともに、支払いデータに含まれる店舗IDデータによって特定される店舗IDと紐付けられた残高を金額データで特定される支払金額分だけバランスデータベースにおいて増加させる。
このようにして、顧客の残高と、店舗の残高とをバランスさせることにより、決済装置は決済を実行する。
【0004】
顧客が顧客端末から支払いデータを送るためには、顧客端末で支払いデータを生成することが必要である。それは現状、例えば以下のようにして実行されている。顧客端末がスマートフォンであるとして話を進める。
店舗には、店舗IDが情報として内包されたバーコードが表示されている。多くの場合、バーコードは、紙に印刷された状態で、支払いが行われるレジスター装置の近くに表示されている。
支払いを行おうとする顧客はまず自らのスマートフォンのディスプレイに表示されている、支払い用のコンピュータプログラム(いわゆるアプリ)のアイコンにタッチする。そうすると、スタート画像が表示される。
スタート画像には、カメラを起動させるためのボタンが表示されている。顧客は、そのボタンにタッチすることでスマートフォンに搭載されたカメラを起動させる。
顧客は、スマートフォンのカメラで店舗に表示されているバーコードを撮像する。そうすると、スマートフォン内でバーコードを含む画像についての画像データが生成される。スマートフォンは、その画像データから、バーコードに埋め込まれていた店舗IDについてのデータ、つまり店舗IDデータを取出す。
スマートフォンのカメラでバーコードを撮像すると、今度は、スマートフォンのディスプレイに、支払金額の入力を顧客に促す画面である金額入力画像が表示される。金額入力画像は、例えば、「支払金額を入力してください」という文字の下に、横長で矩形の入力用の枠を表示した画面となっている。顧客は、その枠内に、支払金額を入力する。
顧客は、枠内に支払金額を入力した状態の金額入力画像を、店舗の店員に見せる。店員は、枠内に表示された支払金額が誤っていれば顧客に入力の訂正を求め、正しければそれで良いとの意思を顧客に伝える。
金額入力画像の枠内に入力された金額が支払金額として正しいということになると、顧客は、金額入力画像に表示されている支払いを実行する意思を表明するためのボタン、例えば、「確定」や「支払い」といった文字が表示されているボタンにタッチする。
そうすると、顧客IDデータと、店舗IDデータと、金額データとを含む支払いデータが生成される。スマートフォンは先程述べたように、バーコードから店舗IDデータを取出している。スマートフォンに内蔵された記録装置には、顧客IDデータが当初から記録されている。また、金額入力画像に入力された金額についてのデータが、金額データとなる。したがって、スマートフォンは、それら3つのデータを組合せて支払いデータを生成することができる。
支払いデータは、ネットワーク、例えば、インターネットや、スマートフォンを提供している携帯電話会社のキャリヤ回線を介して、顧客のスマートフォンから決済装置に送られる。
それにより、支払いデータを受取った決済装置は、上述のようにして決済を実行する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
バーコードを利用した電子決済システムを用いて実行される決済の流れは以上で説明したようなものである。上述の如き電子決済システムは多くの顧客には概ね便利に利用されている。
しかしながら、上述の如き電子決済システムにも改良すべき点がある。
まず、上述の如き電子決済システムには若干の不便があるという点である。上述の如き電子決済システムを不便であると感じる顧客は、もちろんこの限りではないが主に年輩者である。
年輩者は、スマートフォンのトップ画面に多数表示されているアイコンの中から、支払い用のコンピュータプログラムのアイコンを探し出すのに苦労することが多い。
また、アイコンを見つけだして支払い用のコンピュータプログラムを立ち上げることができたにせよ、カメラを立ち上げるのに苦労する年輩者も多い。また、カメラを立ち上げることに成功したにせよ、顧客が年輩者である場合には、スマートフォンのインカメラが立ち上がっているのかアウトカメラが立ち上がっているのか把握できないなどという状況も頻繁に生じる。
そして、カメラが起動しているとしても、カメラの撮像範囲にバーコードを位置させることでカメラによってバーコードを撮像するのに苦労する顧客もいる。インカメラとアウトカメラのどちらが立ち上がっているかを顧客が把握できていない場合にも、バーコードの撮像が失敗となる可能性が高い。
このような様々な事情から、年輩者を典型とするスマートフォンの操作を得意としない顧客は、金額入力画像に辿り着くまでの道のりに困難を感じることが多い。
これでは、電子決済システムの操作性に不便がある。
【0006】
また、バーコードを用いた電子決済システムには、セキュリティ上の課題もある。
セキュリティ上の課題を突いて悪意の第三者が行う最も簡単な不正は、偽のバーコードを店舗に配置するというものである。
悪意の第三者は、不正を行う際、自らが支払いを受けるためのアカウントを特定する情報であるID(不正ID)を情報として含むバーコードを店舗のレジスター装置の近くに掲示する。不正IDを情報として含むバーコードは通常紙に印刷されているが、紙に対するバーコードの印刷は特殊な機器がなくとも可能であるため、偽のバーコードを店舗に掲示するのは造作もない。
そうすると、その偽のバーコードを自らのスマートフォンのカメラによって撮像した顧客が行った支払いは、店舗IDではなく、不正IDに対して行われることになる。それにて、悪意の第三者は、顧客が支払った金銭を、店舗の代わりに受取ることが可能となる。
それ以外にも、偽のバーコードを用いて、顧客をインターネット上に設けた不正なサイトに誘導し、顧客の個人情報を顧客に入力させたり、また、スマートフォンに記録されていた個人情報や金融機関のIDやパスワードを盗むといった手口も横行している。
【0007】
以上の点に鑑みるに、上述した電子決済システムは、バーコードを利用しないように改良すべきである。とはいえ、既に普及したバーコードを利用した電子決済システムをあるタイミングですべて止めて、バーコードを利用しない電子決済システムに乗り換えるというのは、既にバーコードを利用した電子決済システムに慣れた顧客には酷であり、顧客から受け入れられないおそれもある。
本願発明は、バーコードを利用した電子決済システムを、バーコードを利用しない電子決済システムに置き換えるにあたって、そのシステムの変更をスムーズなものとするための技術を提供することを主な課題とし、バーコードを利用しない電子決済システムの利用を顧客に促すことを可能とするための技術を提供することを更なる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、支払いを行うための顧客IDを持つ顧客に対する小売を行う、支払いを受取るための店舗IDを持つ店舗に配置されるものであり、前記店舗IDを特定するデータである店舗IDデータを記録したメモリ、及び前記メモリに記録された前記店舗IDデータを無線により発信して近距離通信を行う発信機、を含む店舗タグと、前記店舗に前記店舗タグと対として配置されるものであり、対とされる前記店舗タグの前記メモリに記録された前記店舗IDデータにより特定される前記店舗IDに対応する情報を内包したバーコードと、前記顧客が前記店舗に対して行う金銭の支払いの決済を行う決済装置と、の組合せにより決済システムを構成する、前記顧客が所持することが予定された顧客端末である。
この顧客端末は、前記顧客IDを特定するデータである顧客IDデータを記録した記録装置と、前記店舗タグの前記発信機から前記店舗IDデータを受信することが可能とされた受信機と、ネットワークを介してのデータの送信を行う送受信機構と、画像を表示する機能を有するディスプレイと、撮像を行い撮像した画像についてのデータである画像データを生成するカメラと、前記顧客が前記店舗に支払いを行う金額である支払金額を特定するデータである金額データを入力可能な入力装置と、情報処理を実行する制御部と、を備えている。
そして、前記制御部は、前記顧客が前記顧客端末を前記店舗タグに所定の距離より近づけた場合には、前記店舗タグの前記発信機から前記店舗IDデータを受付けた前記受信機から、前記店舗IDデータを受取るとともに、前記店舗IDデータを受付けた場合に自動的に、前記ディスプレイに、顧客に対して前記支払金額の入力を促す画像である第1金額入力画像を表示させるようになっているとともに、前記顧客が前記カメラで前記バーコードを撮像した場合には、前記カメラが生成した前記バーコードを含む画像についての画像データを前記カメラから受取り、前記画像データによって特定される前記画像に含まれる前記バーコードに内包される前記店舗IDデータを読出すとともに、前記店舗IDデータを読出した場合に自動的に、前記ディスプレイに、顧客に対して前記支払金額の入力を促す画像である第2金額入力画像を表示させるようになっており、且つ、前記顧客が前記入力装置を用いて前記ディスプレイに表示された前記第1金額入力画像又は前記第2金額入力画像に前記支払金額を入力することによって入力された前記金額データを受取った場合に、前記店舗タグから受取った、又は前記バーコードから読出した前記店舗IDデータと、前記記録装置から読み出した前記顧客IDデータと、前記入力装置から入力された前記金額データと、前記金額データが前記第1金額入力画像から入力されたか前記第2金額入力画像から入力されたかを示す経路データとを、前記顧客から前記店舗への支払いを特定するために必要な情報である支払いデータとして互いに紐づけて、前記送受信機構から前記ネットワークを介して前記決済装置に送信するようになっている。
【0009】
背景技術の欄で説明した決済システムは、店舗に配置されたバーコードと、顧客端末と、決済装置とによって構成されていた。
他方、本願発明における顧客端末を含む決済システムは、顧客端末と決済装置を含むものの、店舗に配置されるのがバーコードだけではなく、バーコードと店舗タグである。本願発明における顧客端末は、背景技術の欄で説明した決済システムの場合と同じく、典型的には顧客が持つスマートフォンである。
本願における顧客端末を含む決済システムでも、顧客端末は、決済データを生成するに先立って、店舗IDデータを取得する必要がある。背景技術の欄で述べた顧客端末は、店舗IDをカメラによるバーコードの撮像によって入手したが、本願における顧客端末は、店舗IDデータを、店舗タグとの間での無線通信によって、又はカメラによるバーコードの撮像によって入手する。その結果、本願発明における顧客端末は、背景技術の欄で説明した顧客端末(スマートフォン)と同様に、店舗IDデータ、顧客IDデータ、金額データという背景技術の欄で説明した3つのデータを含む支払いデータを生成できることになる。もっとも、本願による顧客端末が生成する支払いデータには、後述するように、経路データが含まれている。したがって、決済装置が顧客端末から受取る支払いデータには、店舗IDデータ、顧客IDデータ、金額データに加えて、経路データが含まれる(或いは経路データが付加される)ことになる。
【0010】
本願による顧客端末は、顧客IDのデータを特定するデータである顧客IDデータを記録した記録装置と、店舗タグの発信機から店舗IDデータを受信することが可能とされた受信機と、ネットワークを介してのデータの送信を行う送受信機構と、画像を表示する機能を有するディスプレイと、撮像を行い撮像した画像についてのデータである画像データを生成するカメラと、顧客が店舗に支払いを行う金額である支払金額を特定するデータである金額データを入力可能な入力装置と、情報処理を実行する制御部と、を含んでいる。これらはいずれも、一般的なスマートフォンが備えているものと言える。
記録装置の例は、メモリ或いは大容量記録装置である。受信機の例は、店舗タグの発信機と近距離通信を行うための装置である。店舗タグと、受信機とに応用可能な技術としては、RFID(radio frequency identification)やNFC(near field communication)が公知或いは周知である。インターネット、キャリヤ回線その他のネットワークを介しての通信が可能な送受信機構は、顧客端末に応用可能なスマートフォンの分野で説明の必要がない程公知或いは周知である。ディスプレイの一例となるのは、液晶ディスプレイや有機EL(electro-luminescence)ディスプレイである。入力装置の一例となるのは、例えば、タッチパネル式のディスプレイである。制御部の一例となるのは、演算装置である。演算装置としては例えば、CPU(central processing unit)、GPU(graphics processing unit)、GPGPU(general purpose computing on GPU)である。制御部は、記録装置に記録された後述するコンピュータプログラムの機能によって、以下に説明する機能を発揮するようになっていてもよい。
【0011】
制御部は、顧客が顧客端末を店舗タグに所定の距離より近づけた場合には、店舗タグの発信機から店舗IDデータを受付けた受信機から、店舗IDデータを受取るとともに、店舗IDデータを受付けた場合に自動的に、ディスプレイに、顧客に対して支払金額の入力を促す画像である第1金額入力画像を表示させるようになっているとともに、顧客がカメラでバーコードを撮像した場合には、カメラが生成したバーコードを含む画像についての画像データをカメラから受取り、画像データによって特定される画像に含まれるバーコードに内包される店舗IDデータを読出すとともに、店舗IDデータを読出した場合に自動的に、ディスプレイに、顧客に対して支払金額の入力を促す画像である第2金額入力画像を表示させるようになっている。本願発明の顧客端末は、店舗IDデータを、店舗タグとの間での無線通信によって、又はカメラによるバーコードの撮像によって入手する。そして、どちらの経路によって店舗IDデータを入手したにせよ、制御部は、それらのいずれもが顧客に対して支払金額の入力を促す画像である第1金額入力画像、又は第2金額入力画像をディスプレイに表示させるようになっている。
顧客は、店舗IDデータを入手するために店舗タグを利用するのか、それともバーコードを利用するのかを任意に選択することができる。本願の顧客端末によれば、顧客にそのような自由度を与えることにより、バーコードを利用した電子決済システムを、バーコードを利用しない電子決済システム(つまり、店舗タグを用いた電子決済システム)に置き換えるにあたって、そのシステムの変更をスムーズなものとすることが可能となる。
また、特に、店舗タグを利用する場合には、顧客は、背景技術の欄で説明したような不便さから解放される。というのは、本願発明では、店舗IDは、顧客が顧客端末を店舗に設置された店舗タグに近づけることにより、店舗タグから顧客端末へと自動的に送信され、その結果、店舗IDを受取った顧客端末のディスプレイには自動的に、顧客に対して支払金額の入力を促す第1金額入力画像が表示されるからである。つまり、顧客は、事実上、顧客端末を店舗タグに近づけるという動作を行うだけで、第1金額入力画像にまで辿り着くことができる。言い換えれば、顧客が顧客端末を店舗タグに近づけると、顧客端末のディスプレイには半ば強制的に金額入力画像が表示されることになる。したがって、本願発明の顧客端末によれば、顧客は、店舗に対する支払いを行うにあたって、顧客端末のトップ画面からアイコンを探す、顧客端末のカメラを起動させる、起動させたカメラの状態が所望の状態か把握する、カメラでバーコードを撮像するといった作業を行わないで済む。それにより、本願発明の顧客端末によれば、年輩者のような顧客端末の操作に明るくない者でも、店舗での支払いを容易に行うことができるようになる。
【0012】
第1金額入力画像又は第2金額入力画像がディスプレイに表示された後に顧客が行うべきこと、店舗側の対応、及び顧客端末の動作は背景技術で説明した場合と基本的に同じである。顧客は、第1金額入力画像又は第2金額入力画像に支払金額を入力し、店舗の店員に見せる。店員が、金額入力画像に入力された支払金額が正しいということを伝えたら、顧客は、顧客端末に対して支払いを行う意思表示に相当する操作を行う。そうすると、顧客IDデータと、店舗IDデータと、金額データとを含む支払いデータが生成される。顧客端末は、先程述べたように、店舗タグ又はバーコードから店舗IDデータを取得している。顧客端末に内蔵された記録装置には、顧客IDが当初から記録されている。また、第1金額入力画像、又は第2金額入力画像に入力された金額についてのデータが、金額データとなる。したがって、顧客端末は、それら3つのデータを組合せて支払いデータを生成する。ただし、本願発明では、制御部は、支払いデータに経路データを含める。そして、支払いデータは、顧客端末から決済装置に送られ、決済装置では背景技術の欄で述べたのと同じく、顧客から店舗への支払いについての決済の処理が実行される。
つまり、制御部は、以下に述べるように構成されている。制御部は、顧客が入力装置を用いてディスプレイに表示された第1金額入力画像又は第2金額入力画像に支払金額を入力することによって入力された金額データを受取った場合に、店舗タグから受取った、又はバーコードから読出した店舗IDデータと、記録装置から読み出した顧客IDデータと、入力装置から入力された金額データと、金額データが第1金額入力画像から入力されたか第2金額入力画像から入力されたかを示す経路データとを、顧客から店舗への支払いを特定するために必要な情報である支払いデータとして互いに紐づけて、送受信機構からネットワークを介して決済装置に送信するようになっている。
経路データは、金額データが第1金額入力画像から入力されたか第2金額入力画像から入力されたかを示すデータである。経路データは、金額データが第1金額入力画像から入力されたか第2金額入力画像から入力されたかを直接的に示すデータでも良いが、金額データが第1金額入力画像から入力されたか第2金額入力画像から入力されたかを間接的に示すデータでも良い。例えば、経路データは、支払いデータが生成される前の所定の時間帯において、受信機が店舗タグから店舗IDデータを受取ったこと(或いは、受信機が店舗タグと通信したこと)を示すデータであっても構わない。受信機が店舗タグから店舗IDデータを受取ったことを示すデータを経路データとした場合には、当該経路データが存在する以上、顧客端末のディスプレイに表示されたのは第1金額入力画像であるのだから、その経路データは、「金額データが第1金額入力画像から入力されたこと」を間接的に示すデータである。
いずれにせよ、経路データを含む支払いデータは、顧客端末から決済装置に送られる。その結果、決済装置は、支払いデータのうちの、店舗IDデータと、顧客IDデータと、金額データとにより、誰が、誰に、幾らの支払いをするか、ということを特定することが可能となるから、それらデータを用いて、決済装置は、背景技術の欄で説明したようにして、顧客から店舗への支払いを決済する。他方、決済装置は、支払いデータに含まれる経路データを用いて(例えば、経路データを所定の記録装置に記録することによって)、少なくとも全顧客のうちのどの程度の者が決済の際に店舗タグを使い、どの程度の者が決済の際にバーコードを使ったかということを把握することができるようになる。また、顧客IDデータと経路データとを紐づけて用いれば、顧客IDで特定される顧客が決済の際に、店舗タグとバーコードとのどちらを使ったかということを把握することができるようになる。また、顧客IDデータと、金額データと、経路データとを紐づけて用いれば、顧客IDで特定される顧客が金額データで特定された金額の支払いをした決済の際に、店舗タグとバーコードとのどちらを使ったかということを把握することができるようになる。もちろん、顧客が決済を行った際に店舗タグとバーコードとのどちらを使ったかの把握をする際に他のデータ、例えば、顧客が買物を行った店舗を特定する店舗IDや、顧客が買物を行った日時を特定するデータ(例えば、決済装置が支払いデータを受取った日時を示すデータを利用すればそのようなデータを利用することができる。)をも利用することができる。いずれにせよ、支払いデータに経路データが含まれていれば、決済装置において、ある決済が行われた際に店舗タグとバーコードのいずれが利用されたのか、ということを把握することができるようになる。
決済装置で、ある決済が行われた際に店舗タグとバーコードのいずれが利用されたのかということを把握することが可能となれば、店舗或いは店舗を経営する法人等は、把握した上述の情報に基づいて、顧客にバーコードを利用しない電子決済システム(つまり、店舗タグを用いた決済)の利用を促すことができるようになる。例えば、店舗タグを用いた顧客に対して何らかの条件下で、バーコードを用いた顧客には与えない特典(例えば、代金の割引や、無償での商品や景品の提供)を与える等の施策を店舗或いは店舗を経営する法人等が実施すれば、顧客は決済の際にバーコードではなく店舗タグを使用するように誘導されるであろう。そのような施策を行う際に、決済装置にて把握された、ある決済が行われた際に店舗タグとバーコードのいずれが利用されたのかという情報は、大いに役に立つ。
【0013】
前記制御部は、前記第2金額入力画像を、それが前記ディスプレイに表示された場合に、前記ディスプレイに表示された前記第1金額入力画像と視覚的に区別可能なものとして前記ディスプレイに表示するようになっていてもよい。
上述したように、本願の顧客端末では、顧客が店舗に対して支払いを行うに先立って顧客が店舗から店舗IDを受取る場合に店舗タグを利用した場合には、顧客端末のディスプレイに第1金額入力画像が、同様の場合にバーコードを利用した場合には、顧客端末のディスプレイに第2金額入力画像がそれぞれ表示される。
既に述べたように、顧客は、第1金額入力画像又は第2金額入力画像に支払金額を入力し、店舗の店員に見せる。本願発明では、この「店員に顧客端末のディスプレイを見せる」という必須の過程を利用する。第1金額入力画像と第2金額入力画像とが視覚的に区別可能な画像となっているのであれば、店舗の店員が、ディスプレイに表示されている画像が第1金額入力画像と第2金額入力画像とのどちらかであるかを視覚によって区別することができる。そして、顧客が店員に見せた画像が第1金額入力画像であるか第2金額入力画像であるかの別によって、つまり、顧客が店舗に対して支払いを行うに先立って利用したのが店舗タグであるかバーコードなのかに基づいて、店員が顧客に異なる便益を提供する等、店員の行動を変化させることができるようになる。例えば、店舗タグを用いた顧客に対して、何らかの条件下で、バーコードを用いた顧客には与えない特典を与える等の施策を店舗の店員が実施することとすれば、決済の際にバーコードではなく店舗タグを使用するように顧客を誘導することが可能となる。
第1金額入力画像と第2金額入力画像とを視覚的に区別可能な画像とするには、様々な手法が考えられる。例えば、第1金額入力画像と第2金額入力画像との一方のみに所定の文字、記号、図形等を表示したり、それらの一方と他方とに異なる所定の文字、記号、図形等を表示したりすることが考えられる。また、第1金額入力画像と第2金額入力画像の一方のみの所定の同一の位置又は範囲(例えば、背景のある部分)に所定の柄を表示したり、それらの一方と他方の所定の同一の位置又は範囲に異なる柄を表示したりするという手法によっても、第1金額入力画像と第2金額入力画像とを視覚的に区別可能な画像とすることができる。更には、第1金額入力画像と第2金額入力画像の所定の同一の位置又は範囲の色彩を異ならせるという手法によっても、第1金額入力画像と第2金額入力画像とを視覚的に区別可能な画像とすることができる。
【0014】
本願発明による顧客端末では、店舗IDデータが店舗タグから顧客端末に送られると自動的に、ディスプレイに金額入力画像が表示されるようになっている。店舗IDデータが店舗タグから顧客端末に送られたときに、ディスプレイに金額入力画像が自動的に表示されるようにするための仕組みはどのようなものであっても構わない。
例えば、店舗タグの前記メモリには、前記店舗IDデータに加え、前記ディスプレイに前記第1金額入力画像を表示させることを前記制御部に指示するデータである指示データが更に記録されていてもよい。
この場合、前記顧客が前記顧客端末を前記店舗タグに所定の距離より近づけた場合に前記店舗タグの前記発信機から前記店舗IDデータ及び前記指示データを受取った前記受信機から前記店舗IDデータ及び前記指示データを受取った前記制御部が自動的に、前記ディスプレイに前記第1金額入力画像を表示させるようになっていてもよい。
【0015】
また、前記制御部は、前記ディスプレイに、前記決済装置に前記支払いデータを送信するためのコンピュータプログラムである決済コンピュータプログラムを立ち上げるためのアイコンを表示させるようになっているとともに、顧客が前記アイコンに対して入力を行うことで生成された立上げデータを受取った前記制御部が前記決済コンピュータプログラムを立ち上げるようになっていても良い。
この場合において、店舗タグの前記メモリには、前記店舗IDデータに加え、前記指示データ、及び前記立上げデータが更に記録されていてもよい。
この場合、前記顧客が前記顧客端末を前記店舗タグに所定の距離より近づけた場合に前記店舗タグの前記発信機から前記店舗IDデータ、前記指示データ及び前記立上げデータを受取った前記受信機から前記店舗IDデータ、前記指示データ、及び前記立上げデータを受取った前記制御部が自動的に、前記ディスプレイに前記第1金額入力画像を表示させるようになっていてもよい。
【0016】
店舗タグは、店舗タグに記録されたものと同じ店舗IDデータを含むバーコードの近傍に配されていても良い。
バーコードと店舗タグは、同一の紙その他のシートに設けることができ、そうすることで、対となっているバーコードと店舗タグを一括して扱うことができるようになるから、店舗にとって便利である。例えば、バーコードが印刷された紙におけるバーコードが印刷された部分の裏側に、店舗タグが配置されていても良い。
【0017】
本願発明者は、一般的な携帯端末を本願発明の顧客端末として機能させるためのコンピュータプログラムをも、本願発明の一態様として提案する。このコンピュータプログラムの効果は、以上で説明した顧客端末の効果に加えて、一般的な携帯端末を本願発明の顧客端末として機能させられることである。
一例となるコンピュータプログラムは以下のようなものである。
そのコンピュータプログラムは、支払いを行うための顧客IDを持つ顧客に対する小売を行う、支払いを受取るための店舗IDを持つ店舗に配置されるものであり、前記店舗IDを特定するデータである店舗IDデータを記録したメモリ、及び前記メモリに記録された前記店舗IDデータを無線により発信して近距離通信を行う発信機、を含む店舗タグと、前記店舗に前記店舗タグと対として配置されるものであり、対とされる前記店舗タグの前記メモリに記録された前記店舗IDデータにより特定される前記店舗IDに対応する情報を内包したバーコードと、前記顧客が前記店舗に対して行う金銭の支払いの決済を行う決済装置と、の組合せにより決済システムを構成する、前記顧客が所持することが予定された顧客端末であり、前記顧客IDを特定するデータである顧客IDデータを記録した記録装置と、前記店舗タグの前記発信機から前記店舗IDデータを受信することが可能とされた受信機と、ネットワークを介してのデータの送信を行う送受信機構と、画像を表示する機能を有するディスプレイと、撮像を行い撮像した画像についてのデータである画像データを生成するカメラと、前記顧客が前記店舗に支払いを行う金額である支払金額を特定するデータである金額データを入力可能な入力装置と、情報処理を実行する制御部と、を備えている、顧客端末における前記制御部に、以下のような処理を実行させるためのコンピュータプログラムである。
このコンピュータプログラムは、制御部に、前記顧客が前記顧客端末を前記店舗タグに所定の距離より近づけた場合には、前記店舗タグの前記発信機から前記店舗IDデータを受付けた前記受信機から、前記店舗IDデータを受取るとともに、前記店舗IDデータを受付けた場合に自動的に、前記ディスプレイに、顧客に対して前記支払金額の入力を促す画像である第1金額入力画像を表示させる処理と、前記顧客が前記カメラで前記バーコードを撮像した場合には、前記カメラが生成した前記バーコードを含む画像についての画像データを前記カメラから受取り、前記画像データによって特定される前記画像に含まれる前記バーコードに内包される前記店舗IDデータを読出すとともに、前記店舗IDデータを読出した場合に自動的に、前記ディスプレイに、顧客に対して前記支払金額の入力を促す画像である第2金額入力画像を表示させる処理とのいずれかと、前記顧客が、前記入力装置を用いて前記ディスプレイに表示された前記第1金額入力画像又は前記第2金額入力画像に前記支払金額を入力することによって入力された前記金額データを受取った場合に、前記店舗タグから受取った、又は前記バーコードから読出した前記店舗IDデータと、前記記録装置から読み出した前記顧客IDデータと、前記入力装置から入力された前記金額データと、前記金額データが前記第1金額入力画像から入力されたか前記第2金額入力画像から入力されたかを示す経路データとを、前記顧客から前記店舗への支払いを特定するために必要な情報である支払いデータとして互いに紐づけて、前記送受信機構から前記ネットワークを介して前記決済装置に送信する処理と、を実行させるためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本願発明の一実施形態による決済システムの全体構成を示す図。
【
図2】
図1に示した決済システムに含まれる店舗IDタグに含まれる店舗タグの(A)正面図と(B)側断面図。
【
図3】
図1に示した決済システムに含まれる顧客端末のハードウェア構成を示す図。
【
図4】
図1に示した顧客端末の内部に生成される機能ブロックを示すブロック図。
【
図5】
図1に示した決済装置の内部に生成される機能ブロックを示すブロック図。
【
図6】
図1に示した決済装置が持つバランスデータベースに記録されているデータの一例を示す図。
【
図7】
図1に示した決済システムを用いて行われる二次元バーコードを用いた支払いの流れを示す流れ図。
【
図8】
図1に示した決済システムを用いて行われる支払い開始前に顧客端末のディスプレイに表示されるトップ画面の一例を示す図。
【
図9】
図1に示した決済システムを用いて行われる支払いの途中で顧客端末のディスプレイに表示されるスタート画像の一例を示す図。
【
図10】
図1に示した決済システムを用いて行われる支払いの途中で顧客端末のディスプレイに表示される第2金額入力画像の一例を示す図。
【
図11】
図1に示した決済システムを用いて行われる店舗タグを用いた支払いの流れを示す流れ図。
【
図12】
図1に示した決済システムを用いて行われる支払いの途中で顧客端末のディスプレイに表示される第1金額入力画像の一例を示す図。
【
図13】
図1に示した決済システムを用いて行われる支払いの途中で顧客端末のディスプレイに表示される第1金額入力画像と第2金額入力画像との他の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態について説明する。
【0020】
図1に、一実施形態による決済システムの全体図を示す。
決済システムは、
図1に示したように、店舗IDタグ1と、顧客端末2と、決済装置3とによって構成される。顧客端末2と、決済装置3とは、所定のネットワーク4を介して接続可能とされており、顧客端末2と、決済装置3とは通信可能となっている。この実施形態における顧客端末2と決済装置3との間の通信は顧客端末2から決済装置3への一方向であってもよいが、この実施形態ではこれには限られないが双方向である。ネットワーク4はそのような通信を実現可能なものであれば特に制限はなく、例えば、インターネットであっても良い。或いは、ネットワーク4は、スマートフォンである顧客端末2を販売する携帯電話会社が提供するキャリヤ回線であってもよく、これには限られないがこの実施形態では後述するようにそうされている。
【0021】
店舗IDタグ1は、小売を行う店舗に配置される。店舗は、支払いを受取るための店舗IDを少なくとも1つ持っている。店舗IDタグ1は、店舗において顧客から店舗への支払いが行われる場所の近く、典型的には店舗内に配置されたレジスター装置の近辺に配置される。
店舗IDは、店舗が支払いを受けるためのアカウント(例えば、銀行における口座)を特定するための識別子である。1つの店舗IDタグ1は、1つの店舗IDに対応しており、対応する店舗IDに対応する情報を含んでいる。
店舗IDは、1つの店舗に対して1つだけ割当てられることもあれば、複数割当てられることもある。
例えば、スーパーマーケットである店舗の会計場所において、多数配列されたレジスター装置のすべてに対して、同一の店舗IDタグ1が配置されることがある。これは、1つの店舗に対して1つの店舗IDが割当てられる例であるが、この場合には、その店舗のどのレジスター装置で顧客が行った支払いも、共通の或いは同一の店舗IDで受取られることになる。
また、店舗IDは、店舗の中の例えば売り場ごとに割り当てられる場合もある。これは、1つの店舗に複数の店舗IDが割当てられる例である。ある店舗内の食料品売り場における各レジスター装置には共通の店舗IDが割当てられ、また、その店舗内の衣料品売り場における各レジスター装置には食料品売場に割当てられたのとは異なる共通の店舗IDが割当てられるといった具合である。この場合には、その店舗の食料品売り場のどのレジスター装置で顧客が行った支払いも、食料品売場に共通の店舗IDで受取られることになり、その店舗の衣料品売り場のどのレジスター装置で顧客が行った支払いも、衣料品売場に共通の店舗IDで受取られることになる。同様に、店舗IDは、各レジスター装置毎に割振られることもあり得る。
また、店舗IDは、複数の店舗において共通する場合もある。例えば、ある法人傘下の系列のスーパーマーケットのどの店舗のどの売場で顧客が買物した場合であってもある特定の店舗IDで支払いを受取ることをその法人が望むのであれば、その系列のスーパーマーケットには共通の店舗IDが割当てられることになる。
例えて言うなら、店舗IDは、顧客が支払った金銭を受取るための財布毎に割当てられる。支払いを受取る財布をどのように設定するかは当然に店舗側が自由に決定することができるため、店舗IDは各店舗に少なくとも1つ割当てられるがその数は1つとは限らないし、また、場合によっては店舗を超えて共通する店舗IDが割当てられることもある。つまり、各店舗IDタグ1に割振られる店舗IDはユニークであるとは限らない。
【0022】
店舗IDタグ1は、2つの形態で店舗IDについての情報を保持している。保持している店舗IDについての情報が異なる点を除けば、これには限られないが、この実施形態における複数の店舗IDタグ1の構成は同じとすることができる。
店舗IDタグ1は、二次元バーコード11を印刷した紙片12を備えている。紙片12は、これには限られないがこの実施形態では紙製であり、これには限られないが矩形である。紙片が他の素材、例えば樹脂でできていても良いし、その形状が矩形以外の円形、楕円形等であっても良いのは当然である。二次元バーコード11には少なくとも、二次元バーコード11を含む店舗IDタグ1に割振られた店舗IDの情報が内包されている。二次元バーコード11の例は、QRコード(商標)である。また、二次元バーコード11は、二次元である必要はなく、バーコードであれば足りる。二次元バーコード11は、一次元バーコードであっても良い。
店舗IDタグ1は、また、店舗タグ13を含んでいる(
図1、
図2)。同一の店舗IDタグ1に含まれる店舗タグ13と二次元バーコード11とは対とされている。店舗タグ13は、これには限られないが薄く構成されており、この実施形態ではICチップにより構成されている。店舗タグ13は、これには限られないが矩形であり、これには限られないがその大きさは紙片12よりも一回り小さくされている。これには限られないが、店舗タグ13は、
図2(B)に示したように、適当な平面X(例えば、レジスター装置のケースの外面や、近辺の壁等)に、二次元バーコード11を印刷した紙片12と、紙片12の裏に店舗タグ13が位置するようにして重ね合わせられた状態で取付けられている。二次元バーコード11が印刷された紙片12と店舗タグ13とは互いに固定されていると、店舗IDタグ1を店舗内の所定の位置に取り付けようとする店舗の店員にとって便利であろう。もっとも、紙片12と店舗タグ13とは重ね合わせて配置されている必要はなく、後述するようにして決済を行う顧客の手の届く範囲に双方が配置されている程度の近傍に配置されていればそれで良い。例えば、紙片12の表側のある位置に二次元バーコード11が印刷されている場合における、当該紙片12の表側の二次元バーコード11が印刷されている部分のすぐ近傍に、店舗IDタグ13が貼り付けられていても良い。
店舗タグ13は、メモリ14と、発信機15とを備えている(
図2)。メモリ14は、電子データを記録することのできる記録装置であり、例えばRAM(random access memory)により構成されている。メモリ14には、少なくとも、その店舗タグ13を含んでいる店舗IDタグ1に割振られた店舗IDについてのデータである店舗IDデータが記録されている。これには限られないが、この実施形態では、メモリ14には、店舗IDデータに加え、後述する立上げデータと、これも後述する指示データとが記録されている。店舗タグ13のメモリ14に記録されている店舗IDデータは、同一の店舗IDタグ1に含まれている二次元バーコード11(つまり、ある店舗タグ13と対となっている二次元バーコード11)に内包されている店舗IDについての情報と事実上同じである。
店舗タグ13はまた、発信機15を備えている。発信機15は、顧客の顧客端末2が所定の距離よりも近づいたときに、メモリ14に記録されたデータを読出して顧客端末2に対して送信する機能を有している。後述するように店舗タグ13がRFIDタグである場合には、発信機15は店舗タグ13の周囲に沿って巻かれた単なるコイルである場合が一般的である。メモリ14から読出されて発信機15から顧客端末2へと送られるデータには少なくとも店舗IDデータが含まれる。この実施形態では、店舗IDデータに加えて、立上げデータと指示データとが発信機15から顧客端末2へと送信されるようになっている。
このような構成と機能を持つ製品としては、RFIDタグやNFCタグが知られている。店舗タグ13は、公知或いは周知の、又は市販のRFIDタグやNFCタグを用いて構成することができる。店舗タグ13がRFIDタグやNFCタグである場合、RFIDタグやNFCタグは、パッシブタグでもアクティブタグでも、セミアクティブタグでも構わない。これには限られないが、この実施形態では、店舗タグ13は、公知或いは周知のRFIDタグのメモリ14に、上述の如きデータを書き込むことで作られている。
【0023】
次に、顧客端末2の構成を説明する。
顧客端末2は、各顧客が所持する携帯可能な通信端末である。各顧客端末2の構成は、決済システムとの関係でいえば同じといえる。顧客端末2は、コンピュータを含んでいる。より詳細には、この実施形態における顧客端末2は、ハードウェアとして見た場合には、汎用のコンピュータにより構成されているが、後述するコンピュータプログラムの機能により、汎用のコンピュータとは異なる機能を発揮し、汎用のコンピュータとは異なる動作を行う。
顧客端末2は、一般に、スマートフォンかタブレットであり、典型的にはスマートフォンである。それらはすべて、ネットワーク4を介しての通信が可能なものであり、また後述するコンピュータプログラムをインストールすることによって後述する機能ブロックをその内部に生成し、そして後述する情報処理を実行できるものであることが求められる。
顧客端末2は、また、後述するディスプレイ201を必要とする。本願発明との関係で、顧客端末2は、そのディスプレイ201に、いずれも後述する第1金額入力画像と第2金額入力画像とを表示可能であることが求められるからである。
顧客端末2において、それ以外の機能として必要となるのは、ネットワーク4を介して決済装置3と通信を行えること、店舗IDタグ1から少なくとも店舗IDについての情報(或いはデータ)を受付けることが可能であること、である。この実施形態における顧客端末2は、店舗IDタグ1から、二次元バーコード11経由か、又は店舗タグ13経由かのいずれかによって、店舗IDデータ(それ以外のデータを含む場合もある。)を受取るようになっている。顧客端末2は、二次元バーコード11から店舗IDについての情報を受取るために、二次元バーコード11を撮像するためのカメラ203を有している。顧客端末2は、また、店舗タグ13から店舗IDデータを無線で受取るために、店舗タグ13に含まれる発信機15が送信したデータを受信するための受信機を有している。
上述した機能、構成を有する顧客端末2は、公知或いは周知であり市販もされている。例えば、所定のコンピュータプログラムをインストールするために記録する記録装置を有しているとともに、インストールされたコンピュータプログラムを実行するための演算装置を有しており、また、ネットワーク4を介しての通信を行うための送受信機構と、画像を表示するディスプレイ201と、画像の撮影を行うことのできるカメラ203と、店舗タグ13から店舗IDデータを無線で受取るための受信機とはいずれもハードウェアを用いて構成されるが、それらを構成するために必要なハードウェアすべては、現在市販されている多くのスマートフォンに実装されている。
例えば、顧客端末2がスマートフォンかタブレットである場合、スマートフォンとしての顧客端末2は例えば、Apple Japan合同会社が製造、販売を行うiPhone(商標)で良いし、タブレットとしての顧客端末2は例えば、Apple Japan合同会社が製造、販売を行うiPad(商標)でよい。以下、これには限られないが、顧客端末2がスマートフォンであることとして話を進める。
【0024】
顧客端末2の外観の一例が
図1に示されている。
顧客端末2は、ディスプレイ201を備えている。ディスプレイ201は、静止画又は動画を表示するためのものであり、公知、或いは周知のものを用いることができる。ディスプレイ201は例えば、液晶ディスプレイや有機EL(electro-luminescence)ディスプレイである。顧客端末2は、また入力装置202を備えている。入力装置202は、ユーザが所望の入力を顧客端末2に対して行うためのものである。入力装置202は、公知或いは周知のものを用いることができる。この実施形態における顧客端末2の入力装置202はボタン式のものとなっているが、これには限られない。ディスプレイ201がタッチパネルである場合、ディスプレイ201は入力装置202の機能を兼ねることになり、これには限られないがこの実施形態ではそうされている。
顧客端末2は、また、カメラ203を備えている。符号203が付されているのは正確にはカメラのレンズであるが、よく知られるようにレンズの後側には撮像素子が配されており、レンズとの組合せによりカメラを構成する。
図1に示されているのはスマートフォンにおけるいわゆるインカメラであるが、これには限られないが、顧客端末2の背面には、いわゆるアウトカメラ(のレンズ)が設けられている。インカメラ、アウトカメラともにその構成は公知というより周知であり、市販の多くのスマートフォンに実装されているから、これ以上の説明は省略する。
顧客端末2は、また、店舗タグ13における発信機15が送信したデータを受信可能な受信機(図示せず)を有する。
【0025】
顧客端末2のハードウェア構成を、
図3に示す。
ハードウェアには、CPU(central processing unit)211、ROM(read only memory)212、RAM(random access memory)213、インターフェイス214が含まれており、これらはバス216によって相互に接続されている。
CPU211は、演算を行う演算装置である。CPU211は、例えば、ROM212、或いはRAM213に記録されたコンピュータプログラムを実行することにより、後述する処理を実行する。図示をしていないが、ハードウェアはHDD(hard disk drive)、SSD(solid state drive)その他の大容量記録装置を備えていてもよく、コンピュータプログラムは大容量記録装置に記録されていても構わない。また、CPU211は将来の演算処理能力の向上を考慮しGPU(graphics processing unit)やGPGPU(general purpose computing on GPU)であってもよい。本願では実施形態の例としてCPU211にはいわゆるCPUを採用している。
ここでいうコンピュータプログラムには、後述する処理(例えば、スマートフォンにより構成される顧客端末2を本願発明における顧客端末として機能させるための処理)を顧客端末2に実行させるためのコンピュータプログラムが少なくとも含まれる。このコンピュータプログラムは、顧客端末2にプリインストールされていたものであっても良いし、顧客端末2にポストインストールされたものであっても良い。このコンピュータプログラムの顧客端末2へのインストールは、メモリカード等の所定の記録媒体を介して行なわれても良いし、LAN或いはインターネットなどのネットワークを介して行なわれても構わない。コンピュータプログラムには、CPU211がコンピュータプログラムに基づく命令によって情報処理を実行するときに使用されるデータが含まれていても良いのは当然である。
ROM212は、書き換え不可能なデータの記録装置であり、CPU211が後述する処理を実行するために必要なコンピュータプログラムやデータを記録している。ROM212に記録されたコンピュータプログラムとしては、これに限られず、顧客端末2がスマートフォンであれば、顧客端末2をスマートフォンとして機能させるために必要な、例えば、通話や電子メールの機能を実現するためのコンピュータプログラムやデータが記録されている。顧客端末2は、また、ネットワーク4を介して受取ったデータに基づいて、ホームページを閲覧することも可能とされており、それを可能とするための公知のwebブラウザを実装している。
RAM213は、書き換え可能なデータの記録装置であり、CPU211が処理を行うために必要なワーク領域を提供する。場合によっては、上述のコンピュータプログラムやデータ(の一部)が例えば一時的に記録される場合がある。
インターフェイス214は、バス216で接続されたCPU211やRAM213等と外部との間でデータのやり取りを行うものである。インターフェイス214には、上述のディスプレイ201と、入力装置202と、カメラ203と、受信機が接続されている。
入力装置202から入力された操作内容は、インターフェイス214からバス216に入力されるようになっている。また、周知のようにディスプレイ201に画像を表示するための画像データは、バス216からインターフェイス214に送られ、インターフェイス214からディスプレイ201に出力されるようになっている。カメラ203が撮像を行うことにより生成された画像データは、カメラ203からインターフェイス214に至り、インターフェイス214からバス216へ送られるようになっている。店舗タグ13から受信機が受取った店舗IDデータその他のデータは、受信機からインターフェイス214に至り、インターフェイス214からバス216へ送られるようになっている。
インターフェイス214は、また、ネットワーク4を介して外部と通信を行うための公知の手段である送受信機構(図示を省略)に接続されており、それにより、顧客端末2は、ネットワーク4を介してデータを送信することと、ネットワーク4を介してデータを受信することとが可能になっている。かかるネットワーク4を介してのデータの送受信は無線で行われる。そのような通信が可能な限り、送受信機構の構成は、公知或いは周知のものとすることができる。送受信機構がネットワーク4から受取ったデータは、インターフェイス214により受取られるようになっており、インターフェイス214から送受信機構にわたされたデータは、送受信機構によって、ネットワーク4を介して外部、例えば、決済装置3に送られるようになっている。
【0026】
CPU211がコンピュータプログラムを実行することにより、顧客端末2内部には、
図4で示されたような機能ブロックが生成される。なお、以下の機能ブロックは、顧客端末2を本願発明の顧客端末として機能させるための上述のコンピュータプログラム単体の機能により生成されていても良いが、上述のコンピュータプログラムと、顧客端末2にインストールされたOSその他のコンピュータプログラムとの協働により生成されても良い。
顧客端末2内には、本願発明の機能との関係で、入力部221、制御部222、画像認識部223、記録部225、出力部226が生成される。制御部222の中には、画像生成部222Aと、支払いデータ生成部222Bが生成される。画像生成部222Aと、支払いデータ生成部222Bも含めてこれらは機能ブロックであり、いずれも観念的なものである。
これらのうち後述するように情報処理を実行する機能ブロック、即ち、制御部222(画像生成部222Aと、支払いデータ生成部222Bを含む)と、画像認識部223とは、ハードウェアとしては演算装置(この実施形態では、CPU211がその一例である。)に相当し、或いは上述のコンピュータプログラムの命令によって情報処理を実行する演算装置の機能によって実現される。ただし、各機能ブロックがデータを一時的にでも保持する場合には、データの一時的な記録に記録装置(主にRAM213)が利用されることがある。
入力部221と出力部226とは、ハードウェアとして見た場合には、インターフェイス214に相当し、或いはインターフェイス214の機能によって実現される。より具体的には、入力部221と出力部226は、概念としては、インターフェイス214とバス216との接続部分に相当する。
データを記録する機能ブロック、即ち、この実施形態における記録部225は、ハードウェアとしては情報を記録する記録装置、即ち、ROM212、RAM213、又は存在する場合には大容量記録装置によって実現される。記録装置に記録される情報又はデータが変化する場合には、記録装置は、RAM213又は大容量記録装置によって構成されることになる。
【0027】
入力部221は、インターフェイス214からの入力を受取るものである。
インターフェイス214からの入力部221への入力には、入力装置202からの入力がある。入力装置202からの入力には、例えば、いずれも後述するが、立上げデータと、金額データとがある。
インターフェイス214からの入力部221への入力には、カメラ203からの画像データの入力がある。インターフェイス214からの入力部221への入力には、また、受信機からの店舗IDデータ、立上げデータ、及び指示データの入力がある。また、インターフェイス214からの入力部221への入力には、これについても後述するが、送受信機構からの結果データの入力がある。
以上で説明したデータを受取った場合、入力部221は受取ったデータが、カメラ203からの画像データであった場合にはそれを画像認識部223へ送り、それ以外のデータを受取った場合には受取ったデータをいずれも、制御部222へと送るようになっている。
【0028】
制御部222は、顧客が顧客端末2を用いて店舗へ支払いを行う場合において顧客端末2全体の制御を行うように構成されている。
例えば、制御部222は、顧客端末2を用いて顧客が支払いを行う際において顧客に対して様々な入力を促すための画像をディスプレイ201に表示させる機能を有している。制御部222において、ディスプレイ201に表示させる画像についてのデータである画像データを生成する機能を担うのは画像生成部222Aである。制御部222内の画像生成部222Aは、後述するデータを受取ったとき、画像データを生成して、生成した画像データを出力部226へ送るようになっている。
例えば、制御部222は、入力部221から、店舗IDデータ、立上げデータ、指示データ、結果データを受取る場合がある。それらを受取った場合に制御部222は、所定の画像データを生成するようになっている。制御部222がどのデータを受取った場合にどのような画像データを生成するか、という点については後述する。
制御部222は、また、店舗IDデータ、立上げデータ、指示データを画像認識部223から受取る場合がある。それらを受取った場合に制御部222は、所定の画像データを生成するようになっている。制御部222がどのデータを受取った場合にどのような画像データを生成するか、という点については後述する。制御部222が生成する画像データがどのようなものかについては後述する。制御部222は生成した画像データを出力部226へ送るようになっている。
制御部222における画像生成部222Aが画像データを生成する場合、画像生成部222Aは、記録部225に記録されているデータを利用する場合がある。画像生成部222Aが、画像データを生成する際に、記録部225に記録されているどのようなデータをどのように利用するのかという点については後述する。
制御部222内には、既に述べたように支払いデータ生成部222Bが存在する。支払いデータ生成部222Bは、支払いデータを生成する機能を有している。支払いデータの詳細については後述するが、簡単にいうと、支払いデータは、顧客IDデータと店舗IDデータと金額データとを含むデータである。上述したように、制御部222は、入力部221又は画像認識部223から店舗IDデータを受取る場合がある。制御部222は、また、入力部221から金額データを受取る場合がある。更に、記録部225には、顧客IDデータが記録されている。支払いデータ生成部222Bは、それら店舗IDデータと、金額データと、顧客IDデータとを用いて、支払いデータを生成する。支払いデータ生成部222Bは、生成した支払いデータを、出力部226へ送るようになっている。
なお、この実施形態における支払いデータには、上述の3つのデータに加えて更に経路データが含まれる。制御部222に存在する支払いデータ生成部222Bは、経路データを含むものとして支払いデータを生成する。経路データがどのようなデータであるのか、また経路データを含む支払いデータを支払いデータ生成部222Bがどのようにして生成するのか、という点については後述する。
【0029】
制御部222はまた、カメラ203を起動させるためのカメラ起動データを生成する場合がある。どのような場合に制御部222がカメラ起動データを生成するかについては後述する。制御部222は生成したカメラ起動データを出力部226に送るようになっている。
【0030】
画像認識部223には、入力部221から、画像データが送られてくる場合がある。この画像データは、撮像を行ったカメラ203が生成したデータである。カメラ203から送られてきた画像データは、後述するように、店舗IDタグ1における二次元バーコード11が含まれた画像についての画像データである。画像認識部223は、その画像データに対して画像認識処理を実行し、二次元バーコード11に内包されている情報、つまり、店舗IDについての情報を読取るようになっている。
なお、二次元バーコード11に含まれている情報を読取るための技術が公知或いは周知であることは当業者には当然に明らかであろう。画像認識部223で用いられる二次元バーコード11に含まれる情報を読取るための技術は、そのような公知或いは周知の技術で十分である。
【0031】
記録部225は、データを記録する機能を有している。
これには限られないが、この実施形態における、記録部225には、その顧客端末2を使用する顧客の顧客IDデータが記録されている。
また、この実施形態における記録部225には、制御部222における画像生成部222Aが画像を生成するために利用される画像のデータが記録されている。
【0032】
出力部226は、制御部222から、制御部222が生成した、より詳細には制御部222における画像生成部222Aが生成した画像データを受取る場合がある。出力部226は、受取った画像データをインターフェイス214を介してディスプレイ201へ送る。画像データを受取ったディスプレイ201には、画像データに基づく画像が表示される。
出力部226は、支払いデータ生成部222Bから支払いデータを受取る場合がある。支払いデータを受取ると出力部226は、支払いデータをインターフェイス214を介して送受信機構へと送る。送受信機構は支払いデータを、ネットワーク4を介して決済装置3へ送るようになっている。
出力部226はカメラ起動データを受取る場合がある。カメラ起動データを受取ると出力部226は、カメラ起動データをインターフェイス214を介してカメラ203に送るようになっている。カメラ起動データを受取るとカメラ203が立ち上がって撮像を開始するようになっている。
【0033】
次に、決済装置3の構成について説明する。
決済装置3は、支払いデータを受取って、支払いデータに含まれる顧客IDデータで特定される顧客のアカウントから支払いデータに含まれる店舗IDデータで特定される店舗のアカウントへの金額データで特定される金額の支払いについての決済を行う装置である。
そのような装置は、公知或いは周知であるため、そのような装置を決済装置3として流用可能である。例えば、決済装置3は、前払式支払手段としての決済を実行するものであっても良いし、即時決済であるデビット決済、或いは後払い決済であるクレジット決済を実行するものであっても良い。
以下、決済装置3が、これには限られないが前払式支払手段としての決済を実行するものとして話を進める。
決済装置3は、顧客IDと、各顧客IDと紐付けられた各顧客IDで特定されるアカウントの残高を管理するとともに、店舗IDと、各店舗IDと紐付けられた各店舗IDで特定されるアカウントの残高とを管理する機能を有している。このような機能を持つ決済装置3は、電子決済システム技術において公知或いは周知であるため、決済装置3はそのような公知或いは周知の装置に倣って構成すれば良い。以下、決済装置3について簡単に説明する。
【0034】
決済装置3は、コンピュータにより構成されている。この実施形態では決済装置3は1台のコンピュータによって構成されているが、複数台のコンピュータを組み合わせることによって決済装置3が構成されていても構わない。
決済装置3に求められる最低限の機能は、データを記録できること、情報処理を行えること、少なくとも顧客端末2とネットワーク4を介した通信を行えること、である。決済装置3を構成するコンピュータは、ハードウェアとして見た場合には公知或いは周知のいわゆるサーバ装置で良く、市販のもので良い。公知或いは周知の、そして市販のサーバ装置は上述の最低限の機能を通常備えている。この実施形態における決済装置3は、ハードウェアとしては市販のサーバ装置によって構成されている。もっとも、決済装置3を構成するコンピュータは、後述するコンピュータプログラムによって、汎用のサーバ装置とは異なる機能を発揮し、汎用のサーバ装置とは異なる動作を行う。
【0035】
決済装置3は、ディスプレイや入力装置を備えていていても構わないが、この実施形態とは無関係であるので説明を省略する。
決済装置3のハードウェア構成に付いて説明する。
決済装置3のハードウェア構成は、コンピュータにおいて一般的なものであり、顧客端末2のハードウェア構成(
図3)に倣うことができる。この実施形態の決済装置3は、CPU、ROM、RAM、インターフェイスを備えており、これらはバスによって相互に接続されている。また、決済装置3は、バスに接続された大容量記録装置を備えている。
決済装置3におけるCPU、ROM、RAM、インターフェイス、バスの構成、機能は、顧客端末2におけるCPU211、ROM212、RAM213、インターフェイス214、バス216の構成、機能と同じでよく、この実施形態ではそうされている。大容量記録装置は、既に説明したように、大量のデータを記録することのできる記録装置である。
インターフェイスには、ネットワーク4を介して通信を行うことのできる送受信機構が接続されている。送受信機構は、公知或いは周知のものでよく、最低限顧客端末2とネットワーク4を介して通信を行えることが求められる。
インターフェイスには、送受信機構が受取った支払いデータが入力される場合がある。支払いデータを受取ったインターフェイスは、それをバスに送るようになっている。また、バスからインターフェイスに送られた後述する結果データを、インターフェイスは送受信機構に送るようになっている。
【0036】
決済装置3の記録装置(大容量記録装置、ROM、RAM)の少なくとも1つに記録されていた、サーバ装置を決済装置3として機能させるためのコンピュータプログラムを実行することにより、決済装置3内には、
図5に示したような機能ブロックが生成されることになる。
以下の機能ブロックは、サーバ装置を本願発明における決済装置3として機能させるための上述のコンピュータプログラム単体の機能により生成されていても良いが、上述のコンピュータプログラムと、決済装置3にインストールされたOSその他のコンピュータプログラムとの協働により生成されても良い。
決済装置3内には、本願発明の機能との関係で、入力部321、バランス部322、バランスデータベース323、出力部324が生成される。
これらは機能ブロックであり観念的なものである。
これらのうち後述するように情報処理を実行する機能ブロック、即ち、バランス部322は、ハードウェアとしては演算装置(この実施形態ではCPU)に相当し、或いは上述のコンピュータプログラムの命令によって情報処理を実行する演算装置の機能によって実現される。ただし、バランス部322がデータを一時的にでも保持する場合には、データの一時的な記録に記録装置(主にRAM)が利用されることがある。
入力部321と出力部324は、ハードウェアとして見た場合には、インターフェイスに相当し、或いはインターフェイスの機能によって実現される。より具体的には、入力部321と出力部324とは、概念としては、インターフェイスとバスとの接続部分に相当する。
データを記録する機能ブロック、即ち、バランスデータベース323は、ハードウェアとしては情報を記録する記録装置、即ち、RAM、又は大容量記録装置によって実現される。この実施形態では、大容量記録装置に記録されたデータにより、バランスデータベース323が構成されることになる。バランスデータベース323は、複数の大容量記録装置に跨って構成されても構わない。
【0037】
入力部321は、ネットワーク4を介して顧客端末2から送られてきて送受信機構に受取られた支払いデータを、インターフェイスから受取る場合がある。
支払いデータを受取った入力部321は、支払いデータをバランス部322へと送るようになっている。
バランスデータベース323には、顧客IDと、各顧客IDと紐付けられた各顧客IDで特定されるアカウントの残高とが記録されるとともに、店舗IDと、各店舗IDと紐付けられた各店舗IDで特定されるアカウントの残高とが記録される。
バランスデータベース323に記録されている、各顧客ID及びそれに紐づけられた残高と、各店舗ID及びそれに紐づけられた残高とに関するデータの一例を
図6(A)に示す。「顧客ID」の欄の下側に縦方向に羅列されているのが各顧客の顧客IDである。もちろんこの限りではないが、この実施形態では、頭に「C」の文字が付された「000001」から始まる連番が各顧客の顧客IDとされている。また、「顧客残高」の下側に縦方向に羅列されているのが、左隣の顧客IDで特定されるアカウントの現時点における残高である。例えば、顧客ID「C000002」で特定されるアカウントの残高は、「22500」である。「店舗ID」の欄の下側に縦方向に羅列されているのが店舗IDである。もちろんこの限りではないが、この実施形態では、頭に「S」の文字が付された「000001」から始まる連番が各店舗の店舗IDとされている。また、「店舗残高」の下側に縦方向に羅列されているのが、左隣の店舗IDで特定されるアカウントの現時点における残高である。例えば、店舗ID「S000003」で特定されるアカウントの残高は、「213879451」である。
【0038】
バランス部322は、バランスデータベース323に記録された、
図6(A)に示されたデータを更新する機能を有している。
バランス部322には上述したように、入力部321から支払いデータが送られてくる場合がある。支払いデータを受取ったらバランス部322は、バランスデータベース323に記録された、
図6(A)に示したデータを更新するようになっている。
バランス部322がどのようにしてバランスデータベース323における
図6(A)に示されたデータの内容を更新するかについては後述する。
バランス部322は、バランスデータベース323において、
図6(A)に示した顧客IDと紐づけられた残高と店舗IDと紐づけられた残高との内容を更新したら、結果データを生成する。結果データは、バランス部322から出力部324に送られ、出力部324から、送受信機構に送られる。送受信機構は、結果データをネットワーク4を介して顧客端末2に送信するようになっている。
なお、結果データは、これには限られないがこの実施形態では、バランス部322がバランスデータベース323の内容を更新できなかった場合にも生成される。その場合に生成される結果データの内容はバランス部322がバランスデータベース323の内容を更新した場合に生成される結果データの内容とは異なるが、その点も含めて結果データについては追って説明する。
【0039】
バランスデータベース323には、また、
図6(B)に示したような履歴データが記録されている。上述したように、バランス部322には、支払いデータが送られてくる。支払いデータには、顧客IDデータ、店舗IDデータ、金額データが含まれており、更には、経路データが含まれている。
履歴データは、これらのうち、少なくとも、顧客が支払いを行う際に金額データを入力するために用いたのが第1金額入力画像か第2金額入力画像かを特定するデータである経路データが含まれる。
これには限られないが、この実施形態では、
図6(B)に示したように、履歴データには、経路データに加え、顧客IDデータ、店舗IDデータ、金額データ、及び日時データが含まれる。
図6(B)において、「日時」という文字の下に書き込まれたデータが日時データであり、「顧客ID」という文字の下に書き込まれたデータが顧客IDデータであり、「店舗ID」という文字の下に書き込まれたデータが店舗IDデータであり、「経路」という文字の下に書き込まれたデータが経路データであり、「金額」という文字の下に書き込まれたデータが金額データである。
横並びに書き込まれた日時データ、顧客IDデータ、店舗IDデータ、経路データ、金額データは、互いに紐づけられている。互いに紐づけられたそれらのデータのうち、日時データを除いた各データは、店舗への支払いを行おうとした顧客が顧客端末2から送ってきた支払いデータに含まれていた同名のデータを、そのままバランスデータベース323に記録したものとすることができる。経路データについては追って更に説明する。
日時データは、顧客が店舗への支払いを行おうとした日時を特定するデータである。この日時データは、例えば、決済装置3が、或いは決済装置3のバランスデータベース323が、支払いデータを受取った時刻を特定するデータ(例えば、その時刻を示すタイムスタンプ)とすることができる。同様のタイムスタンプは、決済装置3ではなく、顧客端末2で生成することも当然に可能である。例えば、顧客端末2の制御部222における支払いデータ生成部222Bが支払いデータを生成したとき、支払いデータ生成部222Bが、支払いデータを生成した時刻についてのタイムスタンプを、支払いデータに含めるようにすることが可能である。タイムスタンプを顧客端末2と、決済装置3のいずれで生成するにせよ、
図6(B)に示したような履歴データにタイムスタンプを含めることが可能なことは、少なくとも当業者において自明であろう。
【0040】
以下、以上のように構成された決済システムの使用方法と動作を説明する。
決済システムが利用されるとき、顧客端末2の記録部225には顧客IDデータが記録された状態となっているものとする。各顧客に割当てられた顧客IDを各顧客がこの実施形態ではスマートフォンである自らの顧客端末2中の記録装置(例えば、RAM213や大容量記録装置)に記録することは広く行われており、そのための技術は公知或いは周知である。そのような公知或いは周知の技術を用いて、記録部225に顧客IDデータを記録することが可能である。
店舗で買物をした顧客が店舗に顧客端末2を用いて支払いをする場合の方法として、この実施形態では顧客は2つの方法を選択することが可能である。その一方は二次元バーコード11を利用した支払いであり、他方は店舗タグ13を利用した支払いである。以下、順に説明する。
【0041】
(二次元バーコード11を利用した支払い)
二次元バーコード11を利用した支払いについて、
図7を用いて説明する。
店舗で買物を行った顧客に対して、店舗の店員が支払いを求める。
顧客は、二次元バーコード11を用いての支払いを行うために、支払いを行うためのコンピュータプログラムを立ち上げるための操作を行い、立上げデータの入力を行う。
顧客は、顧客端末2のディスプレイ201にトップ画面を表示させる。トップ画面には様々なコンピュータプログラム(いわゆるアプリ)を立ち上げるためのアイコンが、通常は複数表示されている(
図8)。
この実施形態では、例えば、
図8中501という符号の付された「¥」マークを円で囲んだアイコンが、上述のコンピュータプログラムを立ち上げるためのアイコンである。アイコン501をトップ画面に表示するための画像データは、例えば、記録部225に記録されたデータを用いて制御部222が生成する。制御部222は生成した画像データを出力部226に送る。画像データは、出力部226からインターフェイス214を介してディスプレイ201に送られる。それにより、ディスプレイ201に表示されるトップ画面には、これには限られないがこの実施形態では常時、アイコン501が表示されるようになっている。もちろんアイコン501の表示にOSその他のコンピュータプログラムの機能が利用されても構わない。
顧客は、そのアイコン501に対して入力を行う。この実施形態では、アイコン501に対する入力は、タッチパネルであるディスプレイ201におけるアイコン501が表示されている位置を顧客がタッチすることにより行う。そうすると、この実施形態ではディスプレイ201が兼ねている入力装置202が立上げデータを生成し、生成された立上げデータが顧客端末2に入力される。
【0042】
立上げデータが入力されると、アイコン501と紐付けられた、スマートフォンを本願発明の顧客端末2として機能させるためのコンピュータプログラムが立ち上がり、スタート画像がディスプレイ201に表示される(S1101)。
立上げデータは、入力装置202からインターフェイス214、入力部221を経て顧客端末2の制御部222に至る。立上げデータを受けた制御部222は、上述のコンピュータプログラムを立ち上げ、ディスプレイ201にスタート画像を表示させる。
具体的には、立上げデータを受付けた制御部222は、より詳細には、制御部222における、画像生成部222Aは、ディスプレイ201にスタート画像を表示させるための画像データを生成する。この画像データを生成するために、画像生成部222Aは、記録部225に記録された画像データその他の適宜のデータを読出し、それを利用する場合がある。生成された画像データは、アイコン501をディスプレイ201に表示させるための画像データと同様に、制御部222から出力部226に送られ、インターフェイス214を経てディスプレイ201に送られる。ディスプレイ201にはスタート画像が表示される。
スタート画像の例を
図9に示す。
スタート画像には、「二次元バーコード使用」と書かれたボタン502と、「店舗タグ使用」と書かれたボタン503が存在する。今回は二次元バーコード11を利用しての支払いを行うので、顧客は、ボタン502にタッチすることで、二次元バーコード11を利用した決済を行う意思表示についてのデータを入力する。そうすると、入力装置202は、その意思表示に対応したデータを生成する。
そのデータは、立上げデータと同じ経路を辿って、入力装置202からインターフェイス214、入力部221を介して制御部222に送られる。そのデータを受取ると制御部222はカメラ203を起動させるためのデータであるカメラ起動データを生成する。生成されたカメラ起動データは、出力部226、インターフェイス214を経てカメラ203に送られる。カメラ起動データを受取るとカメラ203は起動し、撮像を開始する。
【0043】
カメラ203が起動したら顧客は、顧客端末2の位置と向きを調整し、カメラ203でレジスター装置の近くにある店舗IDタグ1に含まれる二次元バーコード11の撮像を行う(S1102)。
撮像を行うとカメラ203は、二次元バーコード11を含む画像についての画像データを生成する。カメラ203によって生成された画像データは、カメラ203からインターフェイス214を経て入力部221へと送られ、更には画像認識部223へと送られる。
画像認識部223は、画像データによって特定される画像に映り込んでいる二次元バーコード11に対して画像認識を実行し、二次元バーコード11に情報として内包されていた店舗IDを読出す。画像認識部223は、読出した店舗IDに対応する店舗IDデータを生成する。
画像認識部223は、店舗IDデータを制御部222へと送る。店舗IDデータは、支払いデータ生成部222Bが受取る。
【0044】
店舗IDデータが支払いデータ生成部222Bに送られたら、顧客は続けて、金額データの入力を行うが、その前に第2金額入力画像がディスプレイ201に表示される(S1103)。
店舗IDデータが支払いデータ生成部222Bに送られたら、画像生成部222Aは、顧客に対して支払金額の入力を促す画面である第2金額入力画像を表示させるための画像データを生成する。画像生成部222Aは、第2金額入力画像のデータを生成するにあたって必要であれば、記録部225から必要なデータを読出し、そのデータを利用する。制御部222における画像生成部222Aが生成したその画像データは、画像生成部222Aがこれまでに生成した画像データと同じ経路でディスプレイ201に送られる。その画像データを受取ったディスプレイ201には、第2金額入力画像が表示される。
ディスプレイ201に表示される第2金額入力画像の一例を、
図10(A)に示す。第2金額入力画像には、「支払金額を入力してください」という文字504が表示されている。その文字504の下には、金額入力用の枠505がある。文字504と枠505の組合わせにより、それらを見た顧客は、枠505内に支払金額を入力すべきであるということを理解する。
顧客は、支払金額を枠505に入力する(S1104)。入力には入力装置201を用いるが、この実施形態では、顧客は、ディスプレイ201に対して数字の入力のための操作を行うことにより、枠505に支払金額を入力する(
図10(B))。
図10(B)の例では、支払金額は1000円である。
顧客は、支払金額を金額入力画像の枠505内に入力したらその金額を店舗の店員に見せる。
金額が誤っていれば店員はそれを指摘する。指摘されたら顧客は金額入力画像に再度支払金額の入力を行い、訂正後の金額入力画像を店員に見せる。支払金額が正しければ、店員はその旨を顧客に伝える。
顧客は第2金額入力画像に入力された支払金額を確定させる(S1105)。
支払金額を確定させるために顧客が行うのは、金額入力画像に表示されている「確定」と書かれたボタン506にタッチする操作である。顧客は、ボタン506にタッチを行う。そうすると、画面に表示されている支払金額(この例であれば、1000円)が、顧客が支払いを行うことを許容した金額として確定される。顧客がボタン506にタッチすると、枠505に書き込まれている金額を特定するデータである金額データが、立上げデータと同様の経路を辿って入力装置202から制御部222へ送られ、支払いデータ生成部222Bに受取られる。
【0045】
金額データを受取ると、支払いデータ生成部222Bは、支払いデータを生成する(S1106)。
支払いデータは、支払いを行う顧客を特定するデータである顧客IDデータと、支払いを受ける店舗(正確には、店舗が使用するアカウント乃至口座)を特定するデータである店舗IDデータと、支払金額を特定する金額データとを組合せたものである。
支払いデータ生成部222Bは、金額データを受取ると記録部225から記録部225に記録されていた顧客IDデータを読出す。支払いデータ生成部222Bは、先に受取っていた店舗IDデータ、及び金額データと、新たに読出した顧客IDデータとを組合せて、顧客IDデータ、店舗IDデータ、及び金額データを含む支払いデータを生成する。なお、支払いデータ生成部222Bによる顧客IDデータの記録部225からの読出しは、支払いデータの生成の前のどのタイミングで行われるようになっていても構わず、例えば、立上げデータの入力が制御部222になされたタイミングで、支払いデータ生成部222Bが記録部225から顧客IDデータを読出すようになっていても構わない。
【0046】
上述したように、この実施形態における支払いデータには、経路データが含まれる。
経路データは、上述した金額データが第1金額入力画像(「第1金額入力画像」については後述する。)から入力されたのか、或いは第2金額入力画像から入力されたのかを示すデータである。「二次元バーコード11を利用した支払い」を選択した場合、顧客は、後述するような例外もあるがここまでに説明したように、金額データを
図10に示した第2金額入力画像から入力する。
したがって、この場合における経路データは、「金額データが第2金額入力画像から入力されたことを示すデータ」となる。経路データは、「金額データが第2金額入力画像から入力されたこと」を直接的に示すデータであっても良いし、間接的に示すデータであっても良い。この点については、追って述べる。
いずれにせよ、支払いデータ生成部222Bは、経路データを含めた状態で支払いデータを生成する。
支払いデータ生成部222Bは、生成した支払いデータを、出力部226へと送る。
【0047】
出力部226は支払いデータをインターフェイス214を介して送受信機構に送る。
送受信機構は、ネットワーク4を介して支払いデータを決済装置3に送る(S1107)。顧客がボタン506にタッチしてから、支払いデータを決済装置3に送るまでの各処理を、顧客端末2は自動的に例えば数秒以内に行う。
決済装置3は、その送受信機構で支払いデータを受取る。
支払いデータを受取ると、決済装置3は、決済の処理を行う(S1108)。
具体的には、決済装置3が受取った支払いデータは、送受信機構から、入力部321を経てバランス部322へと送られる。
バランス部322は、受取った支払いデータを用いてバランスデータベース323の内容を更新する。上述したように、支払いデータには、顧客IDデータと、店舗IDデータと、金額データとが含まれている。バランス部322は、バランスデータベース323に記録されているデータのうち、受取った支払いデータに含まれていた顧客IDデータに紐付けられた残高(顧客残高)のデータを、金額データで特定される金額分だけ減少させるとともに、受取った支払いデータに含まれていた店舗IDデータに紐付けられた残高(店舗残高)のデータを、金額データで特定される金額分だけ増加させる。それにより、顧客IDで特定される顧客の残高が減り、店舗IDで特定される店舗の残高が増えるので、顧客IDで特定される顧客から店舗IDで特定される店舗に対して金額データで特定された金額分の支払いが行われたことになる。
例えば、支払いデータにおいて、顧客IDが「C000001」、店舗IDが「S000004」、金額データが「1000(円)」というものであったのであれば、バランス部322は、顧客ID「C000001」と紐付けられた顧客残高を、6221から、5221に更新し、店舗ID「S000004」と紐付けられた店舗残高を、7452422から7453422に書換える(
図6参照)。
これにより決済が正常に終わる。決済が正常に終わったら、バランス部322は、決済が正常に終わったことを示す結果データを生成する。
他方、決済が正常に終わらない場合がある。例えば、それは顧客IDデータで特定されるアカウントの残高が、金額データで特定される金額に満たない場合、つまり残高不足が生じた場合である。
例えば、支払いデータにおいて、顧客IDが「C000005」、店舗IDが「S000004」、金額データが「1000(円)」というものであった場合には、顧客ID「C000005」と紐付けられた顧客残高が324であるので、顧客IDデータで特定されるアカウントの残高が、金額データで特定される金額に満たない。
もちろん残高不足以外の理由も存在するであろうが、バランス部322は決済を行えなかった場合には、決済が正常に終わらなかったことを示す結果データを生成する。
結果データは、バランス部322から出力部324に送られ、更にはインターフェイスを経て送受信機構に送られる。
結果データは、送受信機構からネットワーク4を経て顧客端末2へと送られる(S1109)。
【0048】
他方、バランス部322は、履歴データをバランスデータベース323に書き込む。バランス部322は、顧客から店舗への支払いが行われるたびに、
図6(B)において横方向に配列された一組のデータを、バランスデータベース323に書き込む。バランス部322によるバランスデータベース323への履歴データの書き込みは、バランス部322が行う上述した決済の処理とは独立して実行することができる。したがって、バランスデータベース323への履歴データの書き込みは、決済の処理よりも先に行われても良いし、後に行われても良いし、並行して行われても良い。
例えば、「2024/04/12/10:00.40」という日時データを含む一組のデータが、バランス部322によって、バランスデータベース323に対して書き込まれる。このデータの意味は、「2024年4月12日の10時00分40秒」に、顧客IDが「C001005」である顧客から、店舗IDが「S000202」である店舗に対して行われた「5820」円の支払いに際し、金額データは、第2金額入力画像から入力されたということを示している。「経路」という文字の下に書き込まれた経路データは
図6(B)を見れば明らかなように、「1」か「0」のいずれかとなっているが、この実施形態では、そのデータが「1」の場合には、金額データの入力が第1金額入力画像から行われたこと、そのデータが「0」の場合には、金額データの入力が第2金額入力画像から行われたことをそれぞれ示している。もちろん、経路データは、「0」、「1」というデータとする必要はなく、例えば、「第1金額入力画像」と「第2金額入力画像」等の他のデータにすることも当然に可能である。
いずれにせよ、この経路データは、顧客端末2で、より詳細にはこれには限られないがこの実施形態では、顧客端末2の支払いデータ生成部222Bによって生成される。支払いデータ生成部222Bは、下記の(1)から(3)のうちのいずれか1つとされる「所定の条件」が充足された場合に「1」という経路データを、所定の条件が充足されなかった場合に「0」という経路データを生成するようになっている。以下の(1)から(3)の条件はいずれも、金額データの入力を顧客が第1金額入力画像から行った場合には充足されるが、金額データの入力を顧客が第2金額入力画像から行った場合には充足されないものとなっている。したがって、下記(1)から(3)の条件が充足された場合にはどの条件が充足された場合であっても、金額データの入力が第1金額入力画像から行われたことが保証されるから、経路データを、金額データの入力が第1金額入力画像から行われたことを示す「1」とすることにしている。
(1)ディスプレイ201に第1金額入力画像を表示するための画像データを画像生成部222Aが生成したことを支払いデータ生成部222Bが検知した場合
(2)ディスプレイ201に表示された第1金額入力画像に金額データを入力するための金額が入力されたことを支払いデータ生成部222Bが検知した場合
(3)金額データが入力される前の所定の時間帯(例えば、金額データが入力される前の30秒間)に店舗タグ13から受信機に対してデータの送信があったことを制御部222が検知した場合
これには限られないが、この実施形態では、上記(3)が所定の条件として採用されているものとする。そうすると、支払いデータ生成部222Bは、金額データが入力される前の所定の時間帯に店舗タグ13から受信機に対してデータの送信があったことを検知した場合には経路データを「1」とし、金額データが入力される前の所定の時間帯に店舗タグ13から受信機に対してデータの送信があったことを検知しなかった場合には経路データを「0」とする。
【0049】
話を戻す。決済装置3は上述したようにネットワーク4を介して顧客端末2に結果データを送る。
顧客端末2は、送受信機構で結果データを受取る。
受取られた結果データは、送受信機構、インターフェイス214、入力部221を経て制御部222に送られる。
制御部222は、結果データに応じた画像をディスプレイ201に表示させるための画像データを生成する。
画像データを生成したら、制御部222はその画像データを出力部226、インターフェイス214を介してディスプレイ201に送る。
それにより、ディスプレイ201には画像データに応じた画像が表示される。
結果データが決済が正常に終わったことを示すものなのであれば、その画像は、決済が正常に終了したことを示すものとなり、結果データが決済が正常に終わらなかったことを示すものなのであれば、その画像は、決済が正常に終了しなかったことを示すものとなる。
顧客は、顧客端末2のディスプレイ201に表示された画像を店舗の店員に見せる。その画像が、決済が正常に終了したことを示すものであったのなら、顧客の店舗に対する支払いが終了する(S1110)。
その画像が決済が正常に終了したことを示さないものであったのなら、顧客は他の方法で店舗に対して支払いを行う。
【0050】
(店舗タグ13を利用した支払い)
店舗タグ13を利用した支払いについて、
図11を用いて説明する。
店舗で買物を行った顧客に対して、店舗の店員が支払いを求める。
顧客は、支払いを行うためのコンピュータプログラムを立ち上げるための操作を行うことにより、顧客端末2に対して立上げデータの入力を行う。
顧客は、まず、顧客端末2のディスプレイ201にトップ画面を表示させる。
顧客はトップ画面の中にあるアイコンの中から、
図8に示されたアイコン501をタッチする。
それにより、入力装置202から、立上げデータが入力される。
【0051】
立上げデータが入力されると、アイコン501と紐付けられた、スマートフォンを本願発明の顧客端末2として機能させるためのコンピュータプログラムが立ち上がり、スタート画像がディスプレイ201に表示される(S1201)。ここまでの処理は、(二次元バーコード11を利用した支払い)の場合と同じである。
スタート画像は例えば
図9に示されたものとされる。
【0052】
今回は二次元バーコード11を使用しての支払いではなく、店舗タグ13を使用しての支払いを行うので、顧客は、「店舗タグ使用」と書かれたボタン503にタッチすることで、店舗タグ13を利用した決済を行う意思表示についてのデータを入力する。そうすると、入力装置202は、その意思表示についてのデータを生成する。
【0053】
そのデータは、立上げデータと同じ経路を辿って、入力装置202から制御部222に入力される。そのデータを受取ると制御部222は、店舗タグ13を使用しての支払いが選択されたことを示す画像データを生成する。画像データは、今までと同様に、制御部222から、出力部226、インターフェイス214を介してディスプレイ201に送られる。ディスプレイ201には画像データに基づく画像が表示される。その画像には例えば、「スマートフォンを店舗タグに近づけてください」といった、顧客が取るべき行動を顧客に伝えるようなメッセージが含まれていても良い。もっとも、顧客がボタン503にタッチしても顧客端末2のディスプレイ201に何らかの新たな画像を表示する必要は必ずしもない。
顧客は、顧客端末2を店舗IDタグ1に近づける(S1202)。顧客端末2をある程度以上店舗IDタグ1に近づけると、店舗IDタグ1における紙片12の裏側にある店舗タグ13に含まれる発信機15は、店舗タグ13に含まれるメモリ14に記録されていたデータ、つまり、立上げデータと指示データと店舗IDデータとをメモリ14から読み出して、それを顧客端末2に向けて送信する。
顧客端末2の受信機は、立上げデータと指示データと店舗IDデータとを受信する。紙片12の存在は、発信機15と受信機の間で行われる上述のデータの送受信を妨げない。これには限られないが、この実施形態における店舗タグ13に含まれていた発信機15と顧客端末2に含まれている受信機間でのデータの送受信は、RFIDによる通信として実行される。
受信機で受取られたそれら3つのデータは、受信機からインターフェイス214を介して入力部221へ送られ、更には制御部222に送られる。
制御部222は、立上げデータを受取っても特に処理を行わない、言い換えれば立上げデータを無視する。なぜなら、顧客端末2にインストールされている決済を行うための本願発明によるコンピュータプログラムは既に立ち上がっているからである。他方、制御部222における画像生成部222Aは、指示データを受取ったら、その指示データに基づいて、ディスプレイ201に第1金額入力画像を表示させるための画像データを生成する。つまり、指示データは、「第1金額入力画像をディスプレイ201に表示せよ」という指示についてのデータである。
第1金額入力画像は、第2金額入力画像と同様に、顧客に対して支払金額の入力を促す画像である。ただし、第1金額入力画像は、第2金額入力画像とは異なるものとなっている。第1金額入力画像と、第2金額入力画像とは、それらがディスプレイ201に表示された場合に、互いに視覚的に区別可能な画像とされる。この点については、後述する。
制御部222における画像生成部222Aは、ディスプレイ201に第1金額入力画像を表示するための画像データを生成したら、その画像データを出力部226に送る。
画像データは、出力部226からインターフェイス214を経てディスプレイ201に送られる。その結果、ディスプレイ201には、第1金額入力画像が表示されることになる(S1203)。
また、支払いデータ生成部222Bには、受信機が店舗タグ13から受取った店舗IDデータが、インターフェイス214、入力部221を介して送られてくる。
【0054】
顧客端末2のディスプレイ201に表示される第1金額入力画像の一例を
図12に示す。
第1金額入力画像は上述したように、第2金額入力画像と同様の目的、つまり、顧客に対して支払金額の入力を促すという目的を持つ画像である。したがって、第1金額入力画像は、
図10に示された第2金額入力画像と基本的に同じような画像とされている。つまり、第1金額入力画像は、第2金額入力画像と同様に、「支払金額を入力してください」という文字504と、その文字504の下に表示される金額入力用の枠505と、「確定」と書かれたボタン506とを備えている。
ただし、第1金額入力画像は、それがディスプレイ201に表示された場合において、ディスプレイ201に表示された場合における第2金額入力画像と視覚的に区別可能な画像となっている。
この実施形態では、
図12に示された第1金額入力画像には、楕円に囲まれた「店舗ID利用」という文字が存在するが、
図10に示された第2金額入力画像には、楕円も「店舗ID利用」という文字も存在しない。それにより、第1金額入力画像と第2金額入力画像とのいずれかを見た者、例えば、店舗の店員は、自分が見たその画像が第1金額入力画像であるか、第2金額入力画像であるかを区別して認識することができる。
この実施形態では上述したように、第1金額入力画像と第2金額入力画像とを視覚的に区別可能とするために、前者のみに、楕円で囲まれた「店舗ID利用」という文字を含めることとしているが、もちろん、第1金額入力画像と第2金額入力画像とを視覚的に区別可能とするための工夫は他のものであっても良い。例えば、第1金額入力画像と第2金額入力画像との一方のみに所定の文字、記号、図形等を表示したり(
図10と
図12を用いて説明したのは、第1金額入力画像にのみ所定の文字と図形を表示した例である。)、それらの一方と他方とにそれぞれ異なる所定の文字、記号、図形等を表示したりすることにより、第1金額入力画像と第2金額入力画像とを視覚的に区別可能とすることができる。また、第1金額入力画像と第2金額入力画像の一方のみの所定の同一の位置又は範囲(例えば、背景のある部分)に所定の柄を表示したり、それらの一方と他方の所定の同一の位置又は範囲に異なる柄を表示したりするという手法によっても、第1金額入力画像と第2金額入力画像とを視覚的に区別可能な画像とすることができる。更には、第1金額入力画像と第2金額入力画像の所定の同一の位置又は範囲の色彩を異ならせるという手法によっても、第1金額入力画像と第2金額入力画像とを視覚的に区別可能な画像とすることができる。例えば、
図13(A)と、(B)に第1金額入力画像と第2金額入力画像との背景(或いは背景の色彩)を異ならせたものの例を示す。どちらが第1金額入力画像でも構わないが、例えば
図13(A)が第1金額入力画像で、同(B)が第2金額入力画像であるとする。両者が視覚的に区別可能であることは一目瞭然であろう。
【0055】
第1金額入力画像がディスプレイ201に表示された場合においても顧客は、第2金額入力画像がディスプレイ201に表示された場合と同様に、支払金額を枠505に入力する(S1204)。第2金額入力画像に支払金額を入力するときと同じく、入力には入力装置202としてのディスプレイ201を用いる。
図12(B)の例では、支払金額は1000円である。
【0056】
ここからの処理は、(二次元バーコード11を利用した支払い)の場合の(S1104)から(S1110)の処理と同じである。
顧客は、支払金額を金額入力画像の枠505内に入力したらその金額を店舗の店員に見せる。
金額が誤っていれば店員はそれを指摘する。指摘されたら顧客は第1金額入力画像に再度支払金額の入力を行い、訂正後の第1金額入力画像を店員に見せる。支払金額が正しければ、店員はその旨を顧客に伝える。
顧客は第1金額入力画像に入力された支払金額を確定させる(S1205)。そうすると、金額データは、支払いデータ生成部222Bに送られる。
【0057】
金額データを受取ると、支払いデータ生成部222Bは、支払いデータを生成する(S1206)。
支払いデータは、(二次元バーコード11を利用した支払い)の場合と同じく、支払いを行う顧客を特定するデータである顧客IDデータと、支払いを受ける店舗(正確には、店舗が使用するアカウント乃至口座)を特定するデータである店舗IDデータと、支払金額を特定する金額データとを組合せたものとされる。
支払いデータには、また、経路データが含まれる。
上述したように、この実施形態では、上述した(3)の条件を所定の条件として採用している。それにより、支払いデータ生成部222Bは、金額データが入力される前の所定の時間帯に店舗タグ13から受信機に対してデータの送信があったことを検知した場合には経路データを「1」とし、金額データが入力される前の所定の時間帯に店舗タグ13から受信機に対してデータの送信があったことを検知しなかった場合には経路データを「0」とする。
この例では、金額データを入力するための上述のS1204、S1205の処理が実行される前に、店舗タグ13から顧客端末2の受信機への店舗IDデータ等の送信があったため、それを検知した制御部222或いは制御部222における支払いデータ生成部222Bは、「1」という経路データを生成して、それを支払いデータに含める。
【0058】
支払いデータは、支払いデータ生成部222Bから出力部226へ送られる。支払いデータは更に、出力部226から送受信機構に送られ、ネットワーク4を経て決済装置3に送られる。つまり、支払いデータは、顧客端末2から決済装置3に送られる(S1207)。
顧客がボタン506にタッチしてから、支払いデータを決済装置3に送るまでの各処理を、顧客端末2は自動的に例えば数秒以内に行う。
決済装置3は、その送受信機構で支払いデータを受取る。
支払いデータを受取ると、決済装置3は、決済の処理を行う(S1208)。決済の処理については、(二次元バーコード11を利用した支払い)の場合と変わらない。
その後結果データが、決済装置3からネットワーク4を経て顧客端末2へと送られる(S1209)。
【0059】
顧客端末2は、送受信機構で結果データを受取る。
顧客端末2のディスプレイ201には、結果データの内容に応じた画像が表示される。その画像が、決済が正常に終了したことを示すものであったのなら、顧客の店舗に対する支払いが終了する(S1210)。
その画像が決済が正常に終了したことを示さないものであったのなら、顧客は他の方法で店舗に対して支払いを行う。
【0060】
他方、支払いデータを受取った決済装置3は、(二次元バーコード11を利用した支払い)の場合と同じく、履歴データをバランスデータベース323に対して書き込む。
決済装置3において行われるバランスデータベース323に対する履歴データの書き込みの処理は、(二次元バーコード11を利用した支払い)の場合と同じ種類のデータをバランス部322がバランスデータベース323に対して記録することにより行う。したがって、この実施形態では、バランス部322は、経路データ、顧客IDデータ、店舗IDデータ、金額データ、及び日時データを互いに紐づけた状態で、バランスデータベース323に記録する。
その結果、決済装置3のバランスデータベース323には、顧客が(二次元バーコード11を利用した支払い)を行った場合であっても、(店舗タグ13を利用した支払い)を行った場合であっても、履歴データが蓄積されていくことになる。
【0061】
ところで、以上で説明した(店舗タグ13を利用した支払い)では、顧客が、顧客端末2のディスプレイ201のトップ画面に表示されたアイコン501を操作することによって決済を行うための本願発明によるコンピュータプログラムを立ち上げてから、或いはスタート画像をディスプレイ201に表示させてから、顧客端末2を店舗タグ13を含む店舗IDタグ1に近づけた。
しかしながら、顧客は、顧客端末2にスタート画像を表示する(S1201)の処理を省略しても良い。
この決済システムでは、上述のコンピュータプログラムが立ち上がっていない状態で、或いは、ディスプレイ201にスタート画像が表示されていない状態で、顧客は、顧客端末2を店舗IDタグ1に近づけるという、上述のS1202の処理を実行することができる。
顧客がそのような行動を行うと、店舗IDタグ1における紙片12の裏側にある店舗タグ13に含まれる発信機15は、店舗タグ13に含まれるメモリ14に記録されていたデータ、つまり、立上げデータと指示データと店舗IDデータとをメモリ14から読み出して、それを顧客端末2に向けて送信する。
顧客端末2の受信機は、立上げデータと指示データと店舗IDデータとをその受信機により受信する。
受信機で受信されたそれら3つのデータは、受信機からインターフェイス214を介して入力部221へ送られ、更には制御部222に送られる。
制御部222は、立上げデータを受取ると、決済を行うための本願発明によるコンピュータプログラムを立ち上げる。また、制御部222における画像生成部222Aは、指示データを受取ったら、その指示データに基づいて、ディスプレイ201に第1金額入力画像を表示させるための画像データを、例えば必要に応じて記録部225に記録されていたデータを利用して生成する。その結果、先程説明した場合と同様に、ディスプレイ201には、第1金額入力画像が表示されることになる(S1203)。このとき、立上げデータを受取った制御部222が、ディスプレイ201に対してスタート画像と第1金額入力画像とをその順に表示させても良いし、スタート画像を省略して最初から第1金額入力画像を表示させてもよい。
この場合においても、制御部222における支払いデータ生成部222Bは、受信機からインターフェイス214、入力部221を介して店舗IDデータを受取る。
【0062】
つまり、この実施形態では、顧客は、顧客端末2において決済を行うための本願発明によるコンピュータプログラムが立ち上がっていない状態でも、顧客端末2を店舗IDタグ1或いは、それに含まれる店舗タグ13に近づけるだけで、顧客端末2のディスプレイ201に第1金額入力画像を表示させることが可能である。顧客はアイコン501を探さずに、またアイコン501にタッチせずに、顧客端末2のディスプレイ201に第1金額入力画像を表示させることができる。
第1金額入力画像が表示された後の処理は、既に説明した通りである。
また、顧客端末2において決済を行うための本願発明によるコンピュータプログラムが立ち上がっていない状態で顧客端末2を店舗IDタグ1或いは、それに含まれる店舗タグ13に近づけることにより、顧客端末2のディスプレイ201に第1金額入力画像を表示させた場合においても、上述の経路データは、支払いデータの入力が第1金額入力画像から行われたことを示す「1」となる。なぜなら、この場合においても、支払いデータ生成部222Bは、金額データが入力される前の所定の時間帯に店舗タグ13から受信機に対してデータの送信があったことを検知するからである。
したがって、この場合において生成される経路データ(或いは経路データを含む支払いデータ)は、顧客端末2にスタート画像を表示する(S1201)の処理を省略しなかった場合に支払いデータ生成部222Bで生成されるそれらデータと同一となる。その結果、決済が行われる度に決済装置3のバランスデータベース323に蓄積される履歴データの内容も、顧客端末2にスタート画像を表示する(S1201)の処理を省略しなかった場合にバランスデータベース323に蓄積される履歴データの内容と変わらないものとなる。
【0063】
上述したように、決済装置3のバランスデータベース323には、履歴データが蓄積される。
履歴データには少なくとも経路データが含まれる。履歴データにはそれ以外のデータを任意に含めることができ、この実施形態では、経路データに加え、顧客IDデータ、店舗IDデータ、金額データ、及び日時データが互いに紐づけられた状態で、バランスデータベース323に記録される。
履歴データは、追って、決済装置3で、或いは決済装置3外の他の装置で利用される。決済装置3外の装置で履歴データを利用する場合には、バランスデータベース323に記録された、
図6(B)に示されたような履歴データは、ネットワーク4その他のネットワークを介して他の装置に送られ、或いは記録媒体を介して他の装置に送られることにより、他の装置で利用される。
履歴データを用いて、店舗或いは店舗を経営する者(仮に、この者を「経営者」と称する。)は、以下のようなことを把握することが可能となる。
履歴データには上述したように少なくとも経路データが含まれる。したがって、経営者は、全顧客のうちのどの程度の者が決済の際に店舗タグ13を使い、どの程度の者が決済の際二次元にバーコード11を使ったかということを把握することができるようになる。
経路データに日時データを紐づけて記録しておけば、経営者は、ある期間に決済を行った顧客のうちのどの程度の者が決済の際に店舗タグ13を使い、どの程度の者が決済の際に二次元バーコード11を使ったかということを把握することができるようになる。
また、経路データに加え顧客IDデータをも記録しておけば、経営者は、各顧客が店舗タグ13を用いた決済と二次元バーコード11を用いた決済のどちらを利用したかを把握することができるようになる。
更に、経路データに加えて金額データを紐づけて記録しておけば、経営者は、顧客から店舗へ支払われた金額の大小と、決済の際に店舗タグ13が用いられるか二次元バーコード11が用いられるかということの関係を把握することができるようになる。
このように、経営者は、経路データを、或いは経路データに加えて、顧客IDデータ、店舗IDデータ、金額データ、及び日時データ(或いはそれ以外のデータ)のうちの必要なデータを記録しておき、記録しておいたそれらデータを適宜利用することにより、決済において顧客が店舗タグ13を利用したか二次元バーコード11を利用したかを解析可能となる。もちろん記録しておいたデータの種類によって、経営者は、日時や、支払金額との関係において、顧客が決済において店舗タグ13を利用したか二次元バーコード11を利用したかを解析することが可能となる。
そのような解析結果を、経営者は、決済の際に二次元バーコード11ではなく店舗タグ13を用いるように顧客の行動を誘導するための適切な施策を開発するための情報として利用可能である。
【0064】
また、この実施形態で説明した決済システムでは、以下のようにして、決済の際に二次元バーコード11ではなく店舗タグ13を利用させるように顧客を誘導することが可能である。
上述したように、(店舗タグ13を利用した支払い)を選択した場合において顧客は、第1金額入力画像に支払金額を入力し(S1204)、支払金額が入力された状態の第1金額入力画像が表示されたディスプレイ201を、店舗の店員に見せる。
同様に、(二次元バーコード11を利用した支払い)を選択した場合において顧客は、第2金額入力画像に支払金額を入力し(S1104)、支払金額が入力された状態の第2金額入力画像が表示されたディスプレイ201を、店舗の店員に見せる。
つまり、顧客は、(店舗タグ13を利用した支払い)と(二次元バーコード11を利用した支払い)とのどちらを選択した場合であっても、第1金額入力画像又は第2金額入力画像を店舗の店員に見せる必要がある。
そして、既に述べたように、第1金額入力画像と第2金額入力画像とは、互いに異なる、視覚的に区別可能な画像となっている。したがって、第1金額入力画像又は第2金額入力画像を見せられた店員は、見せられた画像が第1金額入力画像か又は第2金額入力画像かを区別することが可能であり、もっと言えば顧客が現在行おうとしているその店舗への支払いにおいて、店舗タグ13を利用しているか、二次元バーコード11を利用しているかを区別することが可能である。
それを利用して、店舗の店員は、顧客が店員に見せた画像が第1金額入力画像と第2金額入力画像とのどちらなのか、又は顧客が現在行おうとしているその店舗への支払いに利用しているのが店舗タグ13なのか二次元バーコード11なのかによって、顧客に対して異なる便益を与えることができる。例えば、店員に見せた画像が第1金額入力画像であった、つまり、店舗に対する支払いに店舗タグ13を用いている顧客にのみ、代金の割引や、無償での商品や景品の提供といった特典を店員が与えるといった施策を、店舗の経営者等が店舗の店員に実行させることができる。そのようにすることにより、顧客が支払いを行う際に、二次元バーコード11ではなく店舗タグ13を利用するように、顧客を誘導することが可能となる。
【符号の説明】
【0065】
1 店舗IDタグ
2 顧客端末
3 決済装置
11 二次元バーコード
12 紙片
13 店舗タグ
14 メモリ
15 発信機
201 ディスプレイ
202 入力装置
203 カメラ
221 入力部
222 制御部
222B 支払いデータ生成部
223 画像認識部
225 記録部
226 出力部
【要約】
【課題】店舗タグ13と二次元バーコード11のいずれかを用いて電子決済を行う顧客を、店舗タグ13を用いた決済に誘導する技術を提供する。
【解決手段】店舗には、二次元バーコード11と店舗タグ13を含む店舗IDタグ1が配置される。店舗への支払いを行うとき顧客は、顧客端末2で二次元バーコード11の撮像を行うか、顧客端末2を店舗タグ13に近づける。前者によれば、二次元バーコード11に埋め込まれた店舗IDデータを顧客端末2が取得する。後者によれば、店舗タグ13と顧客端末2がRFID通信を行い顧客端末2は店舗IDデータが送信される。顧客端末2は、決済を行う決済装置に、いずれの経路で店舗IDを得たかを示す経路データを送信する。
【選択図】
図1