(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】身体強化方法を支援するコンピュータ、プログラム及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20240806BHJP
【FI】
A61N1/36
(21)【出願番号】P 2024090251
(22)【出願日】2024-06-03
【審査請求日】2024-06-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517074750
【氏名又は名称】株式会社RILARC
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【氏名又は名称】原田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】関屋 紘之
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-108054(JP,A)
【文献】特許第3026007(JP,B1)
【文献】特開2001-333990(JP,A)
【文献】特開2002-291912(JP,A)
【文献】特開2002-345975(JP,A)
【文献】特開2004-209040(JP,A)
【文献】特開2008-296009(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0001563(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/00―1/44
A63B 26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータであって、
メモリ、プロセッサ、入力装置及び出力装置を有し、
前記メモリには、非一時的なプログラムが記憶され、
前記プロセッサは、前記メモリに記憶されている前記プログラムを読み込むことにより、
前記入力装置から入力される対象者の身体情報を処理する第1処理と、
前記身体情報に基づいて、前記対象者のうち拮抗筋関係にある第1筋肉及び第2筋肉へ同時に電気刺激を付与する強化メニューを、前記出力装置で出力させる第2処理と、
を実行する構成である、コンピュータ。
【請求項2】
入力装置及び出力装置を備えたコンピュータで読み取りが可能なプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記入力装置から入力される対象者の身体情報を処理する第1処理と、
前記身体情報に基づいて、前記対象者のうち拮抗筋関係にある第1筋肉及び第2筋肉へ同時に電気刺激を付与する強化メニューを、前記出力装置で出力させる第2処理と、
を実行させるプログラム。
【請求項3】
入力装置及び出力装置を備えたコンピュータで読み取りが可能なプログラムが記憶された記録媒体であって、
前記プログラムは、前記コンピュータに、
前記入力装置から入力される対象者の身体情報を処理する第1処理と、
前記身体情報に基づいて、前記対象者のうち拮抗筋関係にある第1筋肉及び第2筋肉へ同時に電気刺激を付与する強化メニューを、前記出力装置で出力させる第2処理と、
を実行させるプログラムが記憶された記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、対象者の身体を強化する身体強化方法、身体強化方法を支援するコンピュータ、コンピュータに処理を実行させるプログラム、及びプログラムが記録された記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
対象者の身体を強化する身体強化方法の一例である筋肉刺激方法の一例が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載されている筋肉刺激方法は、主動筋となる筋肉が収縮しているときに、拮抗筋となる筋肉に電気的刺激を与えて遠心性収縮を行わせる閉鎖性運動連鎖による関節を屈曲あるいは伸展する運動におけるものである。
【0003】
具体的には、運動に伴い変化する関節の角度の情報を元に、使用者が耐え得るあらかじめ決められた電気的刺激の強さの範囲内において、運動初期には拮抗筋に対し、運動時の主動筋の収縮力より十分に小さい収縮力を拮抗筋に生じさせる強さの電気的刺激を与え、運動終端へ向けて電気的刺激の強さを徐々に強くするか、または、運動終端へ向けて各関節の角度毎に、あらかじめ決められている、拮抗筋に対し好適な筋収縮が得られる強さの電気的刺激を与えるようにする、筋肉の電気的刺激方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者は、特許文献1に記載されている筋肉刺激方法では、骨格、筋バランスが調整され、本来の身体のバランスを取り戻し得るものの、未だ改善の余地がある、という課題を認識した。
【0006】
本開示は、より効果的に身体を強化することの可能な身体強化方法、身体強化方法を支援するコンピュータ、プログラム及び記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、対象者の身体を強化する身体強化方法であって、対象者の身体情報をコンピュータへ入力する第1ステップと、前記身体情報に基づいて、前記対象者のうち拮抗筋関係にある第1筋肉及び第2筋肉へ同時に電気刺激を付与する強化メニューを、前記コンピュータで出力させる第2ステップと、前記コンピュータで出力される前記強化メニューを実行して前記対象者の身体を強化する第3ステップと、を有する身体強化方法である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、より効果的に身体を強化することの可能な身体強化方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の身体強化方法で用いられる身体強化システムの概要を示す模式図である。
【
図2】本開示の身体強化方法の一例を示す図表である。
【
図3】本開示の身体強化方法の一例を示すフローチャートである。
【
図5】複数の刺激付与器による刺激の付与タイミングの一例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(概要の説明)
本実施形態では、身体強化方法、身体強化方法を支援する支援コンピュータ、支援コンピュータに処理を実行させるプログラム、プログラムが記録された記録媒体の一実施例が、図面を参照して開示されている。
図1には、身体強化方法を支援する身体強化システム40が示されている。身体強化システム40は、支援コンピュータ14、刺激付与器10を含む。支援コンピュータ14は、対象者P1が実行する身体強化方法を支援する支援者、例えば、指導者P2により操作される。
【0011】
また、支援コンピュータ14は、ネットワーク22を介して対象者端末30に接続されてもよい。対象者端末30は、対象者P1により操作されるコンピュータである。
【0012】
なお、身体強化方法は、筋肉刺激方法、筋肉強化方法として把握することもできる。身体強化方法では、対象者P1を構成する筋肉のうち、“拮抗筋関係にある対となる第1筋肉及び第2筋肉”、つまり、2つの筋肉へ、それぞれ電気的刺激を同時に与えることで対象者P1の身体(人体)を強化する。また、身体強化方法は、拮抗筋関係にある2つの筋肉へ電気的刺激を与えること、及び各筋肉のトレーニングを行うこと、を含む。
【0013】
(強化する筋肉の説明)
人体の関節を曲げたり伸ばしたりする動作には、複数の筋(筋肉)が関係しており、直接的に動作を起こす筋肉を主動作筋と呼び、その反対の動きをする筋肉を拮抗筋と呼ぶ。拮抗筋は、関節の動作速度を緩める役割、及び関節の動作を止める役割を果たすことにより、関節構造(靭帯及び軟骨等)を保護している。具体的には、ある関節を曲げるとき、曲げる筋肉、つまり、主動作筋に力が入り、伸ばす筋肉、つまり、拮抗筋の力は抜ける。
【0014】
本実施形態において、拮抗筋関係にある2つの筋肉は、何れかの関節の動作させる場合における主動作筋と拮抗筋との組み合わせである。ここで、拮抗筋関係にある2つの筋肉は、関節が動作するときの作用が反する(相反抑制)ことになる。本実施形態で説明する拮抗筋は、一般的な拮抗筋とは異なる。本実施形態において、拮抗筋の関係と定義しているのは、一方を筋収縮させると拮抗関係にある筋肉に抑制がかかり柔らかくなる、弛緩する関係にある筋肉を拮抗関係と定義している。言い換えると、本実施形態で説明されている拮抗筋と、教科書に記載されているような拮抗筋とは少し意味合いが異なる。本実施形態において、拮抗筋関係にある2つの筋肉の組み合わせ例は、
図2に示されるように複数種類がある。
【0015】
・上半身
肩甲骨の前鋸筋と、菱形筋(大菱形筋、小菱形筋)との組み合わせ。肩関節の肩甲下筋と、上腕三頭筋、特に、長頭との組み合わせ。手首の橈側手根屈筋と、尺側手根屈筋との組み合わせ。手指の母指球筋と、小指球筋との組み合わせ。
【0016】
・下半身
腰から股関節に亘る腸腰筋と、多裂筋(腹横筋を含む)との組み合わせ。膝関節の内側ハムストリングス(半腱様筋・半膜様筋)と、内転筋(特に大内転筋)との組み合わせ。足首の後脛骨筋と、腓骨筋(長腓骨筋と短腓骨筋)との組み合わせ。足趾の母趾球筋と、小趾球筋との組み合わせ。
【0017】
(筋肉へ電気的刺激を与える刺激付与器の説明)
筋肉へ電気的刺激を付与する方法は、例えば、経皮的末梢神経電気刺激(TENS:Transcutaneous Electrical Nerve Stimulation)療法、神経筋電気刺激(EMS:Electric Muscle Stimulation)療法、微弱電流療法(マイクロカレント療法)、等を含む。何れの療法も、
図1に示すような刺激付与器10を用いて行われる。刺激付与器10は、別々に設けられた第1刺激付与器10A及び第2刺激付与器10Bを含む。第1刺激付与器10A及び第2刺激付与器10Bは、構造及び機能が同じである。
【0018】
刺激付与器10は、対象者P1の筋肉へ電気を流す電気パッド11,12と、電気パッド11,12にコードを介して接続されたコントローラ13と、通信インタフェース41と、を備えている。電気パッド11は、正極(プラス)に対応し、電気パッド12は、負極(マイナス)に対応する。電気パッド11,12を1組として1つの筋肉へ装着される。つまり、拮抗筋関係にある2つの筋肉に対し、2つの刺激付与器10の電気パッド11,12が、それぞれ装着される。
【0019】
コントローラ13は、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータである。プロセッサは、中央演算処理装置及び制御回路を有する。コントローラ13には、交流電流の出力を制御する操作部材が設けられている。対象者P1は、操作部材を操作できる。操作部材は、レバー、スイッチ、ノブ、等を含む。交流電流の出力は周期的に変化し、周波数は、単位時間、例えば、1秒間あたりにおける交流電流の出力の変化数である。
【0020】
コントローラ13は、各電気パッド11,12へ流す電気(交流)の出力、つまり、電流値、電圧(電位)、周波数、等を制御する。コントローラ13は、電気パッド11,12へ流す交流電流の周波数を複数の領域、例えば、第1領域、第2領域、第3領域に切り替えることができる。第1領域では、周波数が、0.1Hzから1,000までの低周波数で制御される。交流電流の周波数が第1領域であると、皮膚の表層に近い箇所で筋肉に刺激を与える。第2領域では、1,000を超える周波数から10,000Hzまでの低周波数で制御される。交流電流の周波数が第2領域であると、第1領域より深い皮下2~3cmで筋肉に刺激を与える。第3領域では、10,000を超える周波数で制御される。交流電流の周波数が第3領域であると、第2領域より深く、かつ、皮下約10cmまでの深さで筋肉に刺激を与える。
【0021】
通信インタフェース41は、ネットワーク22を介して支援コンピュータ14及び対象者端末30へ接続できる。通信インタフェース41は、コントローラ13と通信可能に接続されている。このため、刺激付与器10は、支援コンピュータ14及び対象者端末30から身体強化方法に関する情報を取得できる。コントローラ13は、取得した情報に基づいて、電気パッド11,12へ流す電気を制御できる。
【0022】
(身体強化方法を支援するコンピュータの説明)
身体強化方法を支援する支援コンピュータ14は、例えば、スポーツジム等に設置される。支援コンピュータ14は、本体(ケーシング)、プロセッサ20、主メモリ21、補助メモリ18、入力装置16、出力装置17、通信インタフェース19、等を備えている。本体は、金属及び合成樹脂等で構成されている。プロセッサ20は、本体の内部に設けられており、プロセッサ20は、演算装置(演算回路)と制御装置(制御回路)とが統合された中央演算処理装置(CPU(Central Processing Unit))により構成されている。プロセッサ20は、バス15を介して主メモリ21、補助メモリ18、入力装置16、出力装置17、通信インタフェース19、等へ通信可能に接続されている。
【0023】
プロセッサ20は、本体の内部に設けられた他の装置及び回路、本体の外部に設けられた装置及び回路を包括して制御する。つまり、プロセッサ20は、各種の情報を処理する構成である。情報は、データを含み、処理は、演算、判断、比較、制御等を含む。プロセッサ20が実行する処理は、補助メモリ18から情報を読み出す処理、外部から取得した情報の処理及び判断、補助メモリ18に記憶されている情報の追加、変更及び更新等を含む。
【0024】
プロセッサ20は、補助メモリ18に記憶されているアプリケーション及びプログラムを読み込んで起動され、かつ、入力情報処理部20A、強化メニュー処理部20B、適性判断部20Cとして機能する構成である。入力情報処理部20Aは、入力装置16から入力された情報、及び対象者端末30から取得された情報を処理する。強化メニュー処理部20Bは、入力情報処理部20Aで処理された情報、及び補助メモリ18に記憶されている情報に基づいて、強化メニューを生成する処理を実行する。
【0025】
また、強化メニュー処理部20Bは、強化メニューを補助メモリ18へ記憶させる処理、強化メニューを出力装置17で出力させる処理、強化メニューを対象者端末30へ送る処理、強化メニューのうち、刺激付与器10の制御に関する情報を、刺激付与器10へ送る処理を実行する。適性判断部20Cは、対象者P1により選択された強化メニューの適性の有無を、対象者P1の身体情報に基づいて判断する。
【0026】
主メモリ21は、揮発性の記憶装置であり、主メモリ21は、プロセッサ20が処理を実行する場合に、ワーク領域及びバッファ領域として機能する。補助メモリ18は、不揮発性の記憶装置であり、補助メモリ18には、非一時的なアプリケーション及び非一時的なプログラムが記録されている。プロセッサ20は、非一時的なアプリケーション及び非一時的なプログラムを読み込んで処理を実行する構成である。また、補助メモリ18には、プロセッサにより処理される情報が記録されている。補助メモリ18に記憶される情報は、例えば、文字、数字、文章、記号、図形、イラスト、バーコード、映像(画像)、動画、静止画、写真、信号、等のデータを含む。プロセッサ20は、補助メモリ18に記憶されているアプリケーション及びプログラムを読み込んで処理を実行する。
【0027】
補助メモリ18は、主メモリ21より大容量であり、補助メモリ18は、プロセッサ20による入力命令及び出力命令により動作する。補助メモリ18は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、フラッシュメモリ、等を含む。磁気ディスクとしては、ハードディスクドライブが挙げられる、光ディスクとしては、コンパクトディスク、デジタルビデオディスク、ブルーレイディスク、等が挙げられる。フラッシュメモリは、半導体メモリの一種であり、フラッシュメモリとしては、SDメモリーカード、USBフラッシュドライブ、ソリッドステートドライブ、等が挙げられる。補助メモリ18に含まれる少なくとも1つの要素は、非一時的なアプリケーション、非一時的なプログラム及び各種の情報が格納、つまり、記録された非一時的な記録媒体18Aに相当する。
【0028】
補助メモリ18に記憶される情報は、次の例を含む。補助メモリ18には、“拮抗筋関係にある2つの筋肉”の複数種類の組み合わせ、“拮抗筋関係にある2つの筋肉”に対し、電気パッド11,12をそれぞれ装着する位置を示すイラスト、静止画、動画のうち、1つ以上が記憶されている。ここで、位置とは、筋肉自体の位置ではなく、各筋肉において電気パッド11,12を装着する位置を意味する。
【0029】
また、補助メモリ18には、“拮抗筋関係にある2つの筋肉”の何れか一方の筋肉に対し、“共同筋”の関係にある筋肉に対し、電気パッド11,12をそれぞれ装着する位置を示すイラスト、静止画、動画のうち、1つ以上が記憶されている。ここで、位置とは、筋肉自体の位置ではなく、各筋肉において電気パッド11,12を装着する位置を意味する。
【0030】
また、補助メモリ18には、“拮抗筋関係にある2つの筋肉”の複数種類の組み合わせのそれぞれ毎に、電気パッド11,12から筋肉へ流される交流電流の出力パターンが記憶されている。さらに、補助メモリ18には、“共同筋”に対応して、電気パッド11,12から筋肉へ流される交流電流の出力パターンが記憶されている。
【0031】
また、補助メモリ18には、“拮抗筋関係にある2つの筋肉”を組み合わせる条件が記憶されている。ここで、“拮抗筋関係にある2つの筋肉”を組み合わせる条件は、対象者P1の身体情報である、対象者P1の身体情報は、対象者P1の生活習慣、対象者P1の仕事中の姿勢、対象者P1が取り組んでいるスポーツ、対象者P1の筋肉疾患、関節疾患、神経疾患、血行障害、等を含む。さらに、補助メモリ18には、“拮抗筋関係にある2つの筋肉”の複数種類の組み合わせ毎に、その筋肉が伸縮されるように関節を動作させるトレーニングのメニューが記憶されている。
【0032】
トレーニングする時における対象者P1の姿勢、対象者P1のトレーニング部位(関節及び筋肉)、関節を曲げる向き及び程度、関節を伸ばす、関節を動作させる回数、関節を曲げた状態の継続時間、トレーニングに使用できる器具、等を含む。トレーニングに使用できる器具は、筋肉へ負荷を与えるものであり、器具は、例えば、ストレッチ用ボール、バランスボール、ゴム紐、ウェイト、等を含む。
【0033】
入力装置16は、支援コンピュータ14に対し、データ、情報、信号等の入力及び出力を行なう場合に操作者により操作されるか、または、プロセッサ20により制御される機器である。また、入力装置16は、支援コンピュータ14で行う処理及び制御を選択するために操作者により操作されるか、または、プロセッサ20により制御される。入力装置16は、例えば、キーボード、タッチパッド、マウス、ジョイスティック、イメージスキャナ、デジタルカメラ、マイクロフォン、各種のセンサ、等を含む。入力装置16により支援コンピュータ14へ入力される情報は、例えば、文字、数字、文章、記号、図形、バーコード、映像(画像)、動画、静止画、写真、信号、等のデータを含む。操作者は、入力装置16を操作することにより、対象者P1の生活習慣、対象者P1が取り組んでいるスポーツ、対象者P1の筋肉疾患、関節疾患、神経疾患、血行障害、等を支援コンピュータ14へ入力できる。
【0034】
出力装置17は、支援コンピュータ14から情報及びデータを出力する機器である。出力装置17は、例えば、モニター(ディスプレイ)、印刷用プリンター、プロジェクター、スピーカー、等を含む。
【0035】
そして、モニターは、操作者が入力装置16を操作して、対象者P1の生活習慣、対象者P1が取り組んでいるスポーツ、対象者P1の筋肉疾患、関節疾患、神経疾患、血行障害、等を入力する画面を表示できる。また、モニターは、“拮抗筋関係にある2つの筋肉”の複数種類の組み合わせ、“拮抗筋関係にある2つの筋肉”に電気パッド11,12をそれぞれ装着する位置を示すイラスト、静止画、動画のうち、1つ以上を表示できる。
【0036】
また、モニターは、“拮抗筋関係にある2つの筋肉”の複数種類の組み合わせのそれぞれ毎に、刺激付与器10から筋肉へ流される交流電流の出力パターンを表示できる。さらに、モニターは、“拮抗筋関係にある2つの筋肉”を組み合わせる条件を表示できる。さらに、モニターは、対象者P1が行えるトレーニングのメニュー、例えば、トレーニングの種類、トレーニングで使用できる器具、等を表示できる。
【0037】
通信インタフェース19は、支援コンピュータ14を、無線通信システムまたは有線通信システムのうち、少なくとも何れか一方の通信システムにより、ネットワーク22へ接続する装置、機器及び規格を含む。支援コンピュータ14をネットワーク22へ接続する装置、機器は、ケーブル、アンテナ、ルータ、等を含む。
【0038】
(身体強化方法の一例)
身体強化方法の一例が、
図3のフローチャートに示されている。ここでは、便宜上、対象者端末30が使用されない例を説明する。ステップS11では、入力装置16が操作されて、対象者P1の情報が支援コンピュータ14へ入力される。対象者P1の情報は、例えば、
図4に示すように、対象者P1の識別番号、氏名、電話番号、メールアドレス、対象者P1の身体情報を含む。対象者P1の身体情報は、対象者P1の生活習慣、対象者P1が取り組んでいるスポーツ、対象者P1の筋肉疾患、関節疾患、血行障害等を含む。
【0039】
対象者P1の生活習慣は、同じ姿勢での立ち時間が所定時間以上、椅子に座った状態の合計時間が所定時間以上、等がある。スポーツは、例えば、サッカー、野球、水泳、バレーボール、バスケットボール、卓球、テニス、柔道、空手、等を含む。プロセッサ20は、対象者P1の情報を処理し、かつ、ステップS12で対象者P1の情報を補助メモリ18へ記憶する。
【0040】
また、プロセッサ20は、ステップS12に次ぐステップS13において、出力装置17のモニターで強化メニューを表示させる。強化メニューは、
図2に示されているように、“拮抗筋関係にある2つの筋肉”の複数種類の組み合わせ、“拮抗筋関係にある2つの筋肉”の強化に適したトレーニングの種類、そのトレーニングで使用できる器具、等が表示される。
【0041】
対象者P1は、入力装置16を操作することにより、ステップS14で強化メニューの何れかを選択できる。すると、プロセッサ20は、対象者P1が選択した“拮抗筋関係にある2つの筋肉”の組み合わせと、前述した身体情報とに基づいて、対象者P1が選択した“拮抗筋関係にある2つの筋肉”の組み合わせに適性が有るかを、ステップS15で判断する。
【0042】
例えば、対象者P1が選択した“拮抗筋関係にある2つの筋肉”の組み合わせが、対象者P1が取り組んでいるスポーツの技能向上に寄与することが推定されると、適性有と判断する。これに対して、対象者P1が選択した“拮抗筋関係にある2つの筋肉”の組み合わせが、対象者P1が取り組んでいるスポーツの技能向上に寄与しないことが推定されると、適性無しと判断する。
【0043】
また、対象者P1が選択した“拮抗筋関係にある2つの筋肉”の組み合わせが、対象者P1の筋肉疾患または関節疾患の改善に寄与することが推定されると、適性有と判断する。これに対して、対象者P1が選択した“拮抗筋関係にある2つの筋肉”の組み合わせが、対象者P1の筋肉疾患または関節疾患の改善に寄与しないことが推定されると、適性無しと判断する。
【0044】
さらに、対象者P1が選択した“拮抗筋関係にある2つの筋肉”の組み合わせが、対象者P1の生活習慣及び日常生活における姿勢に基づいて、対象者P1の血行促進に寄与することが推定されると、適性有と判断する。これに対して、対象者P1が選択した“拮抗筋関係にある2つの筋肉”の組み合わせが、対象者P1の血行促進に寄与しないことが推定されると、適性無しと判断する。
【0045】
そして、プロセッサ20は、ステップS15で適性有、つまり、ステップS15でYesと判断すると、ステップS16において、対象者P1が選択した強化メニューを表示する。具体的には、拮抗筋関係にある2つの筋肉”の組み合わせに対応させて、電気パッド11,12をそれぞれ装着する位置を示すイラスト、静止画、動画の何れか1つ以上を、出力装置17のモニターで表示させる。
【0046】
また、対象者P1が選択した“拮抗筋関係にある2つの筋肉”の組み合わせに対応させて、刺激付与器10から筋肉へ流される交流電流の出力パターンを、出力装置17のモニターで表示させる。さらに、対象者P1が選択した“拮抗筋関係にある2つの筋肉”の組み合わせに対応させて、対象者P1が行えるトレーニングの種類及び使用できる器具を、出力装置17のモニターで表示させる。
【0047】
これに対して、プロセッサ20は、ステップS15で適性無、つまり、ステップS15でNoと判断すると、プロセッサ20は、ステップS15で適性有と判断される内容の強化メニューを、ステップS17で選択する。そして、プロセッサ20は、ステップS17で選択した強化メニューを、ステップS18において、出力装置17で出力する。具体的に説明すると、プロセッサ20が抽出した“拮抗筋関係にある2つの筋肉”の組み合わせに対応させて、電気パッド11,12をそれぞれ装着する位置を示すイラスト、静止画、動画の何れか1つ以上を、出力装置17のモニターで表示させる。
【0048】
プロセッサ20が抽出した“拮抗筋関係にある2つの筋肉”の組み合わせに対応させて、刺激付与器10から筋肉へ流される交流電流の出力パターンを、出力装置17のモニターで表示させる。また、プロセッサ20が抽出した“拮抗筋関係にある2つの筋肉”の組み合わせに対応させて、対象者P1が行えるトレーニングの種類及びトレーニングで使用できる器具を、出力装置17のモニターで表示させる。
【0049】
プロセッサ20は、ステップS16の処理、ステップS18の処理の何れを実行する場合も、第1刺激付与器10Aの電気パッド11,12へ流す交流電流の周波数の領域と、第2刺激付与器10Bの電気パッド11,12へ流す交流電流の周波数の領域と、を異ならせる情報を、出力装置17のモニターで表示させることができる。
【0050】
対象者P1は、ステップS16またはステップS18に次ぐステップS19において、対象者P1が自分で選択した強化メニュー、または、支援コンピュータ14が選択した強化メニューの何れか一方を、入力装置16を操作して最終決定し、ステップS20において、最終決定した強化メニューを実行する。なお、プロセッサ20は、対象者P1がステップS19で最終決定した強化メニューを、補助メモリ18へ記憶する。なお、プロセッサ20は、ステップS19において、対象者P1が最終決定した強化メニューの一部、例えば、通電パターンを、ネットワーク22を介して刺激付与器10へ送ることもできる。
【0051】
対象者P1がステップS20で強化メニューを実行する場合、指導者P2が出力装置17のモニターを目視して対象者P1へ指導してもよいし、対象者P1が自分でモニターを目視して強化メニューを実行してもよい。対象者P1は、ステップS20において、“拮抗筋関係にある2つの筋肉”へ刺激付与器10の2個の電気パッド11,12をそれぞれ装着する。そして、対象者P1は、刺激付与器10のコントローラ13を自分で操作して、拮抗筋関係にある2つの筋肉”へ交流電流を同時に流して刺激を与えることができる。また、刺激付与器10のコントローラ13は、支援コンピュータ14から強化メニューに関する情報を取得し、取得した情報に基づいて、刺激付与器10の2個の電気パッド11,12に流す電流を自動的に制御することもできる。
【0052】
ここで、拮抗筋関係にある2つの筋肉へ交流電流を同時に流すとは、“主動作筋へ交流電流を流す処理の開始時点から終了時点までの所定範囲の時間”と、“拮抗筋へ交流電流を流す処理の開始時点から終了時点までの所定範囲の時間”とが、少なくとも一部で重なることを意味する。なお、所定時間は、例えば、20分以下であり、5分以下でも効果が確認されている。
【0053】
さらに、刺激付与器10が複数あり、かつ、第1刺激付与器10A及び第2刺激付与器10Bで行われる電気刺激の付与パターン(通電パターン)例が、
図5に示されている。
図5の上段に第1パターンが示され、中段に第2パターンが示され、下段に第3パターンが示されている。刺激ONは、刺激付与器10へ通電されて、刺激が付与されることを意味する。刺激OFFは、刺激付与器10へ通電されず、刺激が付与されないことを意味する。
【0054】
第1パターンは、第1刺激付与器10Aで刺激が付与されるタイミングと、第2刺激付与器10Bで刺激が付与されるタイミングと、が略一致する例である。第2パターンは、第1刺激付与器10Aで刺激が付与されるタイミングと、第2刺激付与器10Bで刺激が付与されるタイミングと、が略不一致となる例である。第3パターンは、第1刺激付与器10Aで刺激が付与されるタイミングと、第2刺激付与器10Bで刺激が付与されるタイミングと、が一部で重なる例である。
【0055】
(実施形態の効果)
以上のように、
図3の身体強化方法が実行されると、対象者P1は、目的とする筋肉及び関節を、自分で動作させることなく、“拮抗筋関係にある2つの筋肉”へ同時に負荷を与えることができる。したがって、筋肉を強化することができる。例えば、筋肉に付与される交流電流の出力が、第1領域であると、筋肉及び関節の痛みの緩和、緊張の緩和、凝りの軽減に寄与できる。また、筋肉に付与される交流電流の出力が、第2領域であると、主に筋肉や運動神経への電気刺激により筋収縮を起こすことで、筋力増強や筋委縮の予防、痙縮抑制などが期待できる。筋肉に付与される交流電流の出力が、第3領域であると、怪我や痛みの早期回復に寄与できる。また、対象者P1は、刺激付与器10で筋肉に刺激を与えると同時に、トレーニングのメニューに沿って、自ら関節及び筋肉を動作させることもできる。
【0056】
なお、体幹側、例えば、肩甲骨の筋肉及び股関節の筋肉へ、刺激付与器10で刺激を付与する場合と、末梢側(手首や足首)の筋肉へ、刺激付与器10で刺激を付与する場合とでは、対象者P1毎に効果が異なる。
【0057】
従来の身体強化方法では、対象者による主観的な判断により、身体の何れかの筋肉へ2個1組の電気パッドを装着した状態で、2個1組の電気パッドへ通電されて筋肉へ電気刺激を付与していた。これに対し、本実施形態では、支援コンピュータ14を利用して、拮抗筋の関係にある第1筋肉及び第2筋肉に電気刺激を付与するだけでなく、拮抗筋の関係にある2つの筋肉に対し共同筋の関係にある第3筋へ電気刺激を付与する、という身体強化方法の改善を、支援コンピュータ14におけるアプリケーション及びプログラムの実行により具現化している。
【0058】
さらに、プロセッサ20は、
図3に示すステップS15,S16,S17,18を省略し、かつ、ステップS14から直接ステップS19へ進むルーチンを実行することもできる。また、対象者P1の筋肉に対し電気パッド11,12をそれぞれ装着する位置を示すイラスト、静止画、動画の何れか1つ以上を、出力装置17のモニターで表示させることができる。このため、強化する目標である2つ以上の筋肉の対応箇所へ、電気パッド11,12をそれぞれ正確に、かつ、迅速に装着することができる。したがって、身体強化作業を円滑に行うことができ、かつ、対象者P1の身体を強化する効率が向上する。
【0059】
また、
図3のステップS19で強化メニューが選択された場合に、支援コンピュータ14は、強化メニューの一部である通電パターンを刺激付与器10へ送信できる。したがって、選択された強化メニューと、刺激付与器10の通電パターンとが整合され、対象者P1の身体を強化する効率が更に向上する。
【0060】
(身体強化方法の応用例)
支援コンピュータ14が提供する身体強化方法の応用例は、次の情報を含む。前述した“拮抗筋関係にある2つの筋肉”に電気的刺激を加えると同時に、“拮抗筋関係にある2つの筋肉”の何れか一方の筋肉に対し、“共同筋”の関係にある筋肉に、電気的刺激を加える情報である。
【0061】
共同筋の関係にある筋肉の一例は、
図2に示されている。まず、屈筋群として、前鋸筋―肩甲下筋―橈側手根屈筋―母指球筋、腸腰筋―内側ハムストリングス-後脛骨筋―母趾球筋、等がある。また、伸筋群として、菱形筋―上腕三頭筋―尺側手根屈筋―小指球筋、多裂筋(腹横筋)―内転筋―腓骨筋―小趾球筋、等がある。
【0062】
さらに、支援コンピュータ14が提供する身体強化方法の情報は、内側ハムストリングス、内転筋、後脛骨筋及び腸腰筋をそれぞれ動作させるトレーニングのメニューを含んでいてもよい。さらに、支援コンピュータ14が提供する身体強化方法の情報は、内側ハムストリングス、内転筋、腓骨筋及び腹横筋をそれぞれ動作させるトレーニングのメニューを含んでいてもよい。トレーニングのメニューは、トレーニングの種類、トレーニングで使用できる器具、等を含む。
【0063】
(対象者端末を利用する例)
支援コンピュータ14は、ネットワーク22に接続されており、ネットワーク22上のウェブサイトにおいて、身体強化方法を含む情報を提供することができる。このため、対象者P1は、対象者端末30を操作して、支援コンピュータ14から身体強化方法を含む情報を取得することができる。つまり、対象者P1は、スポーツジムを訪れることなく、自宅で対象者端末30を操作することにより、身体強化方法を実行できる。
【0064】
対象者端末30は、プロセッサ31、主メモリ42、補助メモリ32、入力装置33、出力装置34、通信インタフェース35、等を有する。プロセッサ31は、制御回路(制御装置)及び演算回路(演算装置)を統合した中央演算処理装置(CPU(Central Processing Unit))により構成されている。プロセッサ31は、バス36を介して主メモリ42、補助メモリ32、入力装置33、出力装置34、通信インタフェース35、等へ通信可能に接続されている。
【0065】
プロセッサ31は、本体の内部に設けられた他の装置及び回路、本体の外部に設けられた装置及び回路を包括して制御する構成である。プロセッサ31は、取得した情報を処理する。情報は、データを含み、処理は、演算、判断、比較、制御等を含む。プロセッサ31が実行する処理は、補助メモリ32から情報を読み出す処理、外部から取得した情報の処理及び判断、補助メモリ32に記憶されている情報の追加、変更及び更新等を含む。
【0066】
プロセッサ31は、補助メモリ32に記憶されているアプリケーション及びプログラムを読み込んで起動され、かつ、入力情報処理部31A、強化メニュー処理部31B、適性判断部31Cとして機能する構成である。入力情報処理部31Aは、入力装置33から入力された情報、及び支援コンピュータ14から取得された情報を処理する。強化メニュー処理部31Bは、入力情報処理部31Aで処理された情報、及び補助メモリ18に記憶されている情報に基づいて、強化メニューを生成する処理を実行する。
【0067】
また、強化メニュー処理部31Bは、強化メニューを補助メモリ18へ記憶させる処理、強化メニューを出力装置17で出力させる処理、対象者端末30で選択された強化メニューを支援コンピュータ14へ送る処理、強化メニューのうち、刺激付与器10の制御に関する情報を、刺激付与器10へ送る処理を実行する。適性判断部31Cは、対象者P1により選択された強化メニューの適性の有無を、対象者P1の身体情報に基づいて判断する。
【0068】
主メモリ42は、揮発性の記憶装置であり、主メモリ42は、プロセッサ31が処理を実行する場合に、ワーク領域及びバッファ領域として機能する。補助メモリ32は、不揮発性の非一時的な記憶装置であり、補助メモリ32には、非一時的なアプリケーション及び非一時的なプログラムが記憶されている。プロセッサ31は、非一時的なアプリケーション及び非一時的なプログラムを読み込んで処理を実行する。また、補助メモリ32には、プロセッサ31により処理される情報が記憶されている。補助メモリ32に記憶される情報は、例えば、文字、数字、文章、記号、図形、バーコード、映像(画像)、動画、静止画、写真、信号、等のデータを含む。プロセッサ31は、補助メモリ18に記憶されているアプリケーション及びプログラムを読み込んで処理を実行する。
【0069】
補助メモリ32は、主メモリ42より大容量であり、補助メモリ32は、プロセッサ31による入力命令及び出力命令により動作する。補助メモリ32は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、フラッシュメモリ、等を含む。磁気ディスクとしては、ハードディスクドライブが挙げられる、光ディスクとしては、コンパクトディスク、デジタルビデオディスク、ブルーレイディスク、等が挙げられる。フラッシュメモリは、半導体メモリの一種であり、フラッシュメモリとしては、SDメモリーカード、USBフラッシュドライブ、ソリッドステートドライブ、等が挙げられる。補助メモリ32に含まれる少なくとも1つの要素は、非一時的なアプリケーション、非一時的なプログラム及び各種の情報が格納された非一時的な記録媒体32Aに相当する。
【0070】
入力装置33は、対象者端末30に対し、データ、情報、信号等の入力及び出力を行なう場合に操作者により操作されるか、または、プロセッサ31により制御される機器である。また、入力装置33は、対象者端末30で行う処理及び制御を選択するために対象者P1により操作されるか、または、プロセッサ31により制御される。入力装置33は、例えば、キーボード、タッチパッド、マウス、ジョイスティック、イメージスキャナ、デジタルカメラ、マイクロフォン、各種のセンサ、等を含む。入力装置33により対象者端末30へ入力される情報は、例えば、文字、数字、文章、記号、図形、バーコード、映像(画像)、動画、静止画、写真、信号、等のデータを含む。対象者P1は、入力装置33を操作することにより、対象者P1の生活習慣、対象者P1が取り組んでいるスポーツ、対象者P1の筋肉疾患及び関節疾患、等を対象者端末30へ入力できる。
【0071】
出力装置34は、対象者端末30で情報及びデータを出力する機器である。出力装置34は、例えば、モニター(ディスプレイ)、印刷用プリンター、プロジェクター、スピーカー、等を含む。
【0072】
そして、出力装置34のモニターは、対象者P1が入力装置33を操作して、対象者P1の身体情報、例えば、対象者P1の生活習慣、対象者P1が取り組んでいるスポーツ、対象者P1の筋肉疾患及び関節疾患、等を入力する画面を表示できる。また、出力装置34のモニターは、支援コンピュータ14から取得した情報を表示できる。
【0073】
通信インタフェース35は、対象者端末30を無線通信システムまたは有線通信システムのうち、少なくとも何れか一方の通信システムにより、ネットワーク22へ接続する装置、機器及び規格を含む。対象者端末30をネットワーク22へ接続する装置、機器は、ケーブル、アンテナ、ルータ、等を含む。
【0074】
(身体強化方法の他の例)
対象者P1が、対象者端末30を操作して
図3のフローチャートを実行する例は、次の通りである。対象者P1は、ステップS11で対象者端末30の入力装置33を操作することにより、ステップS11の操作を行うことができる。ステップS11で入力された情報は、ネットワーク22を介して支援コンピュータ14へ送られる。また、支援コンピュータ14は、対象者端末30から取得した情報を、ステップS12において補助メモリ18へ記憶する。
【0075】
さらに、対象者端末30のプロセッサ31は、ステップS12に次ぐステップS13において、強化メニューを支援コンピュータ14から取得し、かつ、出力装置34のモニターで表示させる。対象者P1は、ステップS14において対象者端末30を操作して、強化メニューの何れかを選択できる。対象者端末30で選択された強化メニューは、補助メモリ32へ記憶される。また、対象者端末30で選択された強化メニューは、対象者端末30から支援コンピュータ14へ送られる。
【0076】
対象者端末30のプロセッサ31は、ステップS14に次いで、ステップS15の判断を実行する。対象者端末30のプロセッサ31は、ステップS15でYesと判断すると、ステップS16において、対象者P1が選択した強化メニューを出力装置34のモニターで表示させる。
【0077】
これに対して、プロセッサ31は、ステップS15でNoと判断すると、ステップS15で適性有と判断される内容の強化メニューを、ステップS17で選択する。そして、プロセッサ31は、ステップS17で選択した強化メニューを、ステップS18において、出力装置34で出力する。
【0078】
プロセッサ31は、ステップS16の処理、ステップS18の処理の何れを実行する場合も、第1刺激付与器10Aの電気パッド11,12へ流す交流電流の周波数の領域と、第2刺激付与器10Bの電気パッド11,12へ流す交流電流の周波数の領域と、を異ならせる情報を、出力装置34のモニターで表示させることができる。
【0079】
対象者P1は、ステップS16またはステップS18に次ぐステップS19において、対象者P1が自分で選択した強化メニュー、または、対象者端末30が選択した強化メニューの何れか一方を、入力装置33を操作して最終決定し、ステップS20において、最終決定した強化メニューを実行する。なお、プロセッサ31は、対象者P1がステップS19で最終決定した強化メニューを、補助メモリ32へ記憶する。なお、プロセッサ31は、ステップS19において、対象者P1が最終決定した強化メニューの一部を、ネットワーク22を介して刺激付与器10へ送ることもできる。
【0080】
また、刺激付与器10のコントローラ13は、対象者端末30から強化メニューに関する情報を取得し、取得した情報に基いて、刺激付与器10の2個の電気パッド11,12に流す電流を自動的に制御することもできる。さらに、プロセッサ31は、
図3に示すステップS15,S16,S17,18を省略し、かつ、ステップS14から直接ステップS19へ進むルーチンを実行することもできる。
【0081】
対象者端末30に、
図3の身体強化方法を実行するために必要なアプリケーション及びプログラムが支援コンピュータ14からダウンロードされていれば、
図3に示された処理及び判断の全てを、対象者端末30で実行できる。また、対象者端末30がネットワーク22を介して支援コンピュータ14に接続されており、
図3のステップS15の判断を行ない、かつ、ステップS17,S18の処理を行なってもよい。
【0082】
また、対象者P1の筋肉に対し電気パッド11,12をそれぞれ装着する位置を示すイラスト、静止画、動画の何れか1つ以上を、出力装置34のモニターで表示させることができる。このため、強化する目標である2つ以上の筋肉の対応箇所へ、電気パッド11,12をそれぞれ正確に、かつ、迅速に装着することができる。したがって、身体強化作業を円滑に行うことができ、かつ、対象者P1の身体を強化する効率が向上する。
【0083】
また、
図3のステップS19で強化メニューが選択された場合に、対象者端末30は、強化メニューの一部である通電パターンを刺激付与器10へ送信できる。したがって、選択された強化メニューと、刺激付与器10の通電パターンとが整合され、対象者P1の身体を強化する効率が更に向上する。
【0084】
従来の身体強化方法では、対象者による主観的な判断により、身体の何れかの筋肉へ2個1組の電気パッドを装着した状態で、2個1組の電気パッドへ通電されて筋肉へ電気刺激を付与していた。これに対し、本実施形態では、対象者端末30を利用して、拮抗筋の関係にある第1筋肉及び第2筋肉に電気刺激を付与するだけでなく、拮抗筋の関係にある2つの筋肉に対し共同筋の関係にある第3筋へ電気刺激を付与する、という身体強化方法の改善を、対象者端末30におけるアプリケーション及びプログラムの実行により具現化している。
【0085】
(補足説明)
本実施形態で開示された事項の技術的意味の一例は、次の通りである。支援コンピュータ14及び対象者端末30は、コンピュータの一例である。補助メモリ18,32は、メモリの一例である。プロセッサ20,31は、プロセッサの一例である。出力装置17,34は、出力装置の一例である。記録媒体18A,32Aは、記録媒体の一例である。刺激付与器10は、刺激付与器の一例である。電気パッド11,12は、電極の一例である。
図3に示されたステップS11は、第1ステップの一例である。ステップS16,S18は、第2ステップの一例である。ステップS20は、第3ステップの一例である。ステップS14は、第4ステップの一例である。ステップS15は、第5ステップの一例である。ステップS16は、第1補助ステップの一例である。ステップS18は、第2補助ステップの一例である。ステップS12は、第1処理の一例である。ステップS16,S18は、第2処理の一例である。
【0086】
また、対象者の筋肉、関節、等は、対象者の身体の一例である。対象者が取り組んでいるスポーツ、生活習慣、疾患、等は、対象者の身体情報の一例である。さらに、どの筋肉を強化するか、刺激付与器10で筋肉へ電気を流すこと、刺激付与器10で筋肉へ電気を流す通電パターン、器具を用いて対象者P1の筋肉へ負荷を与えるトレーニング、及びトレーニングの種類、器具、等は、強化メニューの一例である。
【0087】
支援コンピュータは、デスクトップ型コンピュータ、ノートブック型コンピュータを含む。また、支援コンピュータは、スーパーコンピュータ、メインフレーム、ワークステーション、サーバ、等で構成されていてもよい。支援コンピュータは、単数のコンピュータ、または複数のコンピュータ(分散型コンピュータ)の何れであってもよい。対象者端末は、デスクトップ型コンピュータ、ノートブック型コンピュータ、タブレット端末、スマートフォン、等のうち、何れであってもよい。また、複数の対象者端末が、ネットワークを介して支援コンピュータ14に接続することができる。さらに、本実施形態で開示された“プログラム”は、課題を解決するソフトウェア、つまり、“コンピュータプログラム製品”として把握することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本開示の身体強化方法、身体強化方法を支援するコンピュータ、及びコンピュータに処理を実行させるプログラムは、主として対象者の筋肉へ電気的刺激を付与するシステムに利用可能である。
【符号の説明】
【0089】
10…刺激付与器、10A…第1刺激付与器、10B…第2刺激付与器、11,12…電気パッド、14…支援コンピュータ、17,34…出力装置、18,32…補助メモリ、20,31…プロセッサ、30…対象者端末
【要約】
【課題】より効果的に身体を強化することの可能な身体強化方法を提供する。
【解決手段】対象者の身体を強化する身体強化方法であって、対象者の身体情報をコンピュータへ入力するステップS11と、身体情報に基づいて、対象者のうち拮抗筋関係にある第1筋肉及び第2筋肉へ同時に電気刺激を付与する強化メニューを、コンピュータで出力させるステップS16,S18と、コンピュータで出力される強化メニューを実行して対象者の身体を強化するステップS20と、を含む身体強化方法を構成した。
【選択図】
図3