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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】カメラモジュール及び端末装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/04 20210101AFI20240806BHJP
   G02B 7/10 20210101ALI20240806BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20240806BHJP
   H04N 23/55 20230101ALI20240806BHJP
   H04N 23/57 20230101ALI20240806BHJP
   H04N 23/69 20230101ALI20240806BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20240806BHJP
【FI】
G02B7/04 E
G02B7/10
G02B7/02 A
H04N23/55
H04N23/57
H04N23/69
G03B30/00
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2022519203
(86)(22)【出願日】2020-09-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-01
(86)【国際出願番号】 CN2020115091
(87)【国際公開番号】W WO2021057529
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】201910927693.1
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】リヤオ,ウエンジョーァ
(72)【発明者】
【氏名】リー,ミーン
(72)【発明者】
【氏名】フオン,ジュイン
【審査官】岡田 弘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/110617(WO,A1)
【文献】特開平07-225333(JP,A)
【文献】特開2005-165058(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02-7/16
H04N 5/222-5/257
H04N 23/00
H04N 23/40-23/76
H04N 23/90-23/959
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラモジュールであって、
当該カメラモジュールは、2つの第1の磁性体、レンズグループ、ズームコイル、及びセンサを含み、
前記2つの第1の磁性体はそれぞれ前記レンズグループの2つの対向する側に配置され、
前記レンズグループは、第1の軟質フィルムレンズを含み、
前記ズームコイルは、前記第1の軟質フィルムレンズの軟質フィルムに接続され、前記ズームコイルに通電すると、前記2つの第1の磁性体が形成する磁場の作用によりローレンツ力が発生し、前記第1の軟質フィルムレンズの形状を変化させて、該第1の軟質フィルムレンズの焦点距離を変化させ、
前記センサは、前記レンズグループを介して入射する光ビームを受け取るように構成され、
当該カメラモジュールは、第1の補償コイルをさらに含み、該第1の補償コイルは、前記2つの第1の磁性体の間に配置され、前記第1の補償コイルに通電すると、前記2つの第1の磁性体が形成する磁場の作用によりローレンツ力が発生し、前記レンズグループの位置を変化させて、当該カメラモジュールの像距離を変化させ、前記ズームコイル及び前記第1の補償コイルは直列に接続される、又は
当該カメラモジュールは、第2の補償コイルをさらに含み、前記レンズグループは、第3の軟質フィルムレンズをさらに含み、前記第2の補償コイルは、前記第3の軟質フィルムレンズの軟質フィルムに接続され、前記第2の補償コイルに通電すると、前記2つの第1の磁性体が形成する磁場の作用によりローレンツ力が発生し、前記第3の軟質フィルムレンズの形状を変化させ、当該カメラモジュールの像距離を変化させ、前記ズームコイル及び前記第2の補償コイルは直列に接続される、
カメラモジュール。
【請求項2】
当該カメラモジュールは、表面に開口部を有する環状バレルをさらに含み、前記センサは、環状バレルの内側であり且つ前記開口部の反対側である底面に固定されており、前記2つの第1の磁性体は、それぞれ、前記環状バレルの内側にあり且つ前記底面の両側にある表面に固定される、請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項3】
当該カメラモジュールは、前記環状バレルに接続されたレンズコーンをさらに含み、該レンズコーンは、弾性装置を介して前記環状バレルに接続され、前記レンズグループ内の少なくとも1つのレンズが、前記レンズコーンに接続される、請求項2に記載のカメラモジュール。
【請求項4】
前記第1の軟質フィルムレンズは、軟質フィルム変形領域及びレンズ固定領域を含み、当該カメラモジュールは、導電性ロッド、スライド可能な導電性装置、及びリード線をさらに含み、
前記レンズ固定領域は、レンズを前記レンズコーンに固定するように構成され、
前記導電性ロッドは、前記レンズ固定領域に配置され、且つ電気を通すように構成され、
前記スライド可能な導電性装置は、前記導電性ロッドに配置され、
前記リード線は、前記ズームコイルと前記スライド可能な導電性装置との両方に接続される、請求項3に記載のカメラモジュール。
【請求項5】
当該カメラモジュールは、前記第1の軟質フィルムレンズと前記第1の磁性体との間に配置された第2の磁性体をさらに含み、該第2の磁性体は前記第1の磁性体と1対1で対応し、前記第2の磁性体の磁場方向は、前記対応する第1の磁性体の磁場方向と同じである、請求項3又は4に記載のカメラモジュール。
【請求項6】
前記第2の磁性体は前記レンズコーンに固定される、請求項5に記載のカメラモジュール。
【請求項7】
カメラモジュールであって、
当該カメラモジュールは、2つの第1の磁性体、レンズグループ、ズームコイル、及びセンサを含み、
前記2つの第1の磁性体はそれぞれ前記レンズグループの2つの対向する側に配置され、
前記レンズグループは、第1の軟質フィルムレンズを含み、
前記ズームコイルは、前記第1の軟質フィルムレンズの軟質フィルムに接続され、前記ズームコイルに通電すると、前記2つの第1の磁性体が形成する磁場の作用によりローレンツ力が発生し、前記第1の軟質フィルムレンズの形状を変化させて、該第1の軟質フィルムレンズの焦点距離を変化させ、
前記センサは、前記レンズグループを介して入射する光ビームを受け取るように構成され、
当該カメラモジュールは、第1の補償コイルをさらに含み、該第1の補償コイルは、前記2つの第1の磁性体の間に配置され、前記第1の補償コイルに通電すると、前記2つの第1の磁性体が形成する磁場の作用によりローレンツ力が発生し、前記レンズグループの位置を変化させて、当該カメラモジュールの像距離を変化させ、前記ズームコイル及び前記第1の補償コイルは直列に接続され、
当該カメラモジュールは、第1の調整コイルをさらに含み、該第1の調整コイルは、前記2つの第1の磁性体の間に配置され、前記第1の調整コイルの巻数が、前記第1の補償コイルの巻数よりも少ない、又は前記第1の調整コイルの単巻長さが、前記第1の補償コイルの単巻長さよりも短い、カメラモジュール。
【請求項8】
当該カメラモジュールは、第2の調整コイルをさらに含み、前記レンズグループは、第2の軟質フィルムレンズをさらに含み、
前記第2の調整コイルは、前記第2の軟質フィルムレンズの軟質フィルムに接続され、前記第2の調整コイルに通電すると、磁場の作用によりローレンツ力が発生し、前記第2の軟質フィルムレンズの形状を変化させて、前記光ビームを前記センサ上に集束させる、請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項9】
カメラモジュールであって、
当該カメラモジュールは、2つの第1の磁性体、レンズグループ、ズームコイル、及びセンサを含み、
前記2つの第1の磁性体はそれぞれ前記レンズグループの2つの対向する側に配置され、
前記レンズグループは、第1の軟質フィルムレンズを含み、
前記ズームコイルは、前記第1の軟質フィルムレンズの軟質フィルムに接続され、前記ズームコイルに通電すると、前記2つの第1の磁性体が形成する磁場の作用によりローレンツ力が発生し、前記第1の軟質フィルムレンズの形状を変化させて、該第1の軟質フィルムレンズの焦点距離を変化させ、
前記センサは、前記レンズグループを介して入射する光ビームを受け取るように構成され、
当該カメラモジュールは、第2の補償コイルをさらに含み、前記レンズグループは、第3の軟質フィルムレンズをさらに含み、前記第2の補償コイルは、前記第3の軟質フィルムレンズの軟質フィルムに接続され、前記第2の補償コイルに通電すると、前記2つの第1の磁性体が形成する磁場の作用によりローレンツ力が発生し、前記第3の軟質フィルムレンズの形状を変化させ、当該カメラモジュールの像距離を変化させ、前記ズームコイル及び前記第2の補償コイルは直列に接続され、
当該カメラモジュールは、前記第3の軟質フィルムレンズと前記第1の磁性体との間に配置された第3の磁性体をさらに含み、該第3の磁性体は、前記第1の磁性体と1対1で対応し、前記第3の磁性体の磁場方向は、前記対応する第1の磁性体の磁場方向と同じである、カメラモジュール。
【請求項10】
当該カメラモジュールは、第1の調整コイルをさらに含み、該第1の調整コイルは、前記2つの第1の磁性体の間に配置され、前記第1の調整コイルに通電すると、磁場の作用によりローレンツ力が発生し、前記レンズグループの位置を変化させて、当該カメラモジュールの像距離を変化させる、請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項11】
カメラモジュールであって、
当該カメラモジュールは、2つの第1の磁性体、レンズグループ、ズームコイル、及びセンサを含み、
前記2つの第1の磁性体はそれぞれ前記レンズグループの2つの対向する側に配置され、
前記レンズグループは、第1の軟質フィルムレンズを含み、
前記ズームコイルは、前記第1の軟質フィルムレンズの軟質フィルムに接続され、前記ズームコイルに通電すると、前記2つの第1の磁性体が形成する磁場の作用によりローレンツ力が発生し、前記第1の軟質フィルムレンズの形状を変化させて、該第1の軟質フィルムレンズの焦点距離を変化させ、
前記センサは、前記レンズグループを介して入射する光ビームを受け取るように構成され、
当該カメラモジュールは、第2の補償コイルをさらに含み、前記レンズグループは、第3の軟質フィルムレンズをさらに含み、前記第2の補償コイルは、前記第3の軟質フィルムレンズの軟質フィルムに接続され、前記第2の補償コイルに通電すると、前記2つの第1の磁性体が形成する磁場の作用によりローレンツ力が発生し、前記第3の軟質フィルムレンズの形状を変化させ、当該カメラモジュールの像距離を変化させ、前記ズームコイル及び前記第2の補償コイルは直列に接続され、
前記カメラモジュールは、第2の調整コイルをさらに含み、前記レンズグループは、第2の軟質フィルムレンズをさらに含み、
前記第2の調整コイルは、前記第2の軟質フィルムレンズの軟質フィルムに接続され、前記第2の調整コイルの巻数が前記第2の補償コイルの巻数より少ない、又は前記第2の調整コイルの単巻長さが前記第2の補償コイルの単巻長より短い、カメラモジュール。
【請求項12】
前記カメラモジュールは、入力光ビームを前記レンズグループに反射するように構成された反射板をさらに含む、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のカメラモジュール。
【請求項13】
軟質フィルムレンズの軟質フィルムに接続された前記ズームコイルの遮光面積が、前記軟質フィルムレンズ内にあり且つ前記ズームコイルに接続される表面の面積の1/4未満である、請求項1乃至12のいずれか一項に記載のカメラモジュール。
【請求項14】
前記軟質フィルムレンズは、前記軟質フィルムを使用して液体又はゲルを包む方法で形成される、又は前記軟質フィルムレンズは、前記軟質フィルム及びレンズから構成される密閉空間に液体又はゲルを包む方法で形成される、請求項13に記載のカメラモジュール。
【請求項15】
前記カメラモジュールは、前記センサによって送信された情報に基づいて制御情報を生成して、コイルの通電量を制御するように構成されたコントローラをさらに含む、請求項1乃至14のいずれか一項に記載のカメラモジュール。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか一項に記載のカメラモジュール、プロセッサ、及びディスプレイを含む端末装置であって、
前記カメラモジュールは画像情報を取り込むように構成され、前記プロセッサは、前記画像情報を処理して、取り込んだ画像を表示するべくディスプレイを制御するように構成される、端末装置。
【請求項17】
当該端末装置は、複数のカメラモジュールを含み、前記カメラモジュールのうちの少なくとも1つは、請求項1乃至15のいずれか一項に記載のカメラモジュールである、請求項16に記載の端末装置。
【請求項18】
撮影方法であって、当該撮影方法は、請求項1乃至15のいずれか一項に記載のカメラモジュールに適用され、当該撮影方法は、
ズーム命令を受け取って、前記ズーム命令に従って前記ズームコイルの通電量を決定するステップと、
前記ズームコイルに通電するステップであって、該ズームコイルに通電した後に発生するローレンツ力によって、前記ズームコイルを押し動かして、前記第1の軟質フィルムレンズを変形させ、前記焦点距離を変化させる、ステップと、を含む、
撮影方法。
【請求項19】
端末装置が複数のカメラモジュールを含み、該カメラモジュールのうちの少なくとも1つは、請求項1乃至15のいずれか一項に記載のカメラモジュールであり、ズーム命令を受け取った後に、当該撮影方法は、
前記受け取ったズーム命令に従って、対応するカメラモジュールを起動させるステップをさらに含む、請求項18に記載の撮影方法。
【請求項20】
命令を記憶する可読記憶媒体であって、前記命令が端末装置で実行されると、該端末装置は、請求項18又は19に記載の撮影方法を実行することができる、
可読記憶媒体。
【請求項21】
命令を含むコンピュータプログラムであって、前記命令が端末装置で実行されると、該端末装置は、請求項18又は19に記載の撮影方法を実行することができる、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年9月27日に中国国家知識産権局に出願した、“CAMERA MODULE AND TERMINAL DEVICE”という表題の中国特許出願第201910927693.1号に対する優先権を主張するものであり、この文献はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、電子技術の分野に関連し、特に、カメラモジュール及び端末装置に関連する。
【背景技術】
【0003】
携帯電話等の電子装置は、次第に公共の生活に欠かせない製品になりつつある。電子技術の発達に伴い、少なくとも通信、インターネットアクセス、及び撮影等の機能を含む、電子装置の機能は絶えず向上している。撮影の品質は、電子装置の使用経験に直接影響する。電子装置の撮影機能の実現は、ハードウェアのカメラモジュールに依存して画像取込みを完了し、ソフトウェアのアルゴリズムの操作に依存して、ユーザが必要とする撮影体験を最終的に達成する。
【0004】
電子装置を用いて撮影を行う場合に、ユーザは、広角撮影を行いたい場合もあれば、長焦点撮影を行いたい場合もある。従って、カメラモジュールのズームに対するユーザの要求はより強くなる。携帯電話又はタブレットコンピュータ等の既存の製品では、通常、単一レンズは、固定焦点撮影を行う能力しかない。ズームは、複数の固定焦点レンズを使用してスプライシングする(splicing:組み換える)ことで完了する。撮影が行われると、様々なズーム要件に基づいて様々な焦点距離のレンズが起動される。しかしながら、この解決策には2つの問題がある。1つは、より高品質で焦点距離の長い撮影特性のために、複数のレンズのスプライシングが必要であり、結果として外観設計の難しさが増すことである。この場合に、通常、従来の携帯電話のコンパクトなリアハウジングに様々なレンズのための位置を確保する必要があり、画面と本体との比率を下げない限り、前面レンズの数を殆ど増やせない。もう一つの問題は、複数の固定焦点レンズを使用してスプライシングを行う方法が、画質の「中断(interruption)」問題を引き起こすことである。つまり、異なるズーム倍率の間に画質劣化の問題が存在する。
【発明の概要】
【0005】
本願は、端末装置内のカメラモジュール(又はレンズ)の数量が多く、コストが高いという問題を解決するための、カメラモジュールを提供する。技術的な解決策は次の通りである。
【0006】
第1の態様によれば、カメラモジュールが提供される。カメラモジュールは、2つの第1の磁性体、レンズグループ、ズームコイル、及びセンサを含み、2つの第1の磁性体は、それぞれ、レンズグループの2つの対向する側に配置される。レンズグループは、第1の軟質フィルムレンズを含む。ズームコイルは、第1の軟質フィルムレンズの軟質フィルムに接続される。ズームコイルに通電すると、2つの第1の磁性体が形成する磁場の作用によりローレンツ力が発生し、第1の軟質フィルムレンズの形状を変化させて、第1の軟質フィルムレンズの焦点距離を変化させる。センサは、レンズグループを介して入射する光ビームを受け取るように構成される。
【0007】
さらに、ズームコイルは、第1の軟質フィルムレンズの外面のエッジに配置されて、軟質フィルムに接続され得る。ズームコイルに通電すると、発生したローレンツ力によってズームコイルを押し動かして、第1の軟質フィルムレンズを押し出して変形させ、ズーム機能を実現する。あるいはまた、ズームコイルは、第1の軟質フィルムレンズの内面のエッジに配置されて、すなわち、第1の軟質フィルムレンズの内側に配置されて、軟質フィルムに接続され得る。この場合に、ズームコイルに通電すると、発生したローレンツ力によってもズームコイルを押し動かして、第1の軟質フィルムレンズの軟質フィルムを引きずり出して(drag)第1の軟質フィルムレンズを変形させ、ズーム機能を実現する。
【0008】
本願のこの実施形態で提供されるカメラモジュールによれば、ズームコイルは、連続的な光学ズーム機能を実現するために、第1の軟質フィルムレンズ上に配置される。また、実像が取り込まれ、撮像効果が向上する。カメラモジュールの全体的な構造は比較的コンパクトであるため、カメラモジュールを、携帯電話等の端末装置の限られた空間で使用することができる。さらに、複数の固定焦点レンズを使用してスプライシングを行う方法でズーム機能を実現する現在一般的に使用されている解決策と比較して、本願のカメラモジュールは光学ズーム機能を有している。すなわち、単一のレンズが2つの固定焦点レンズによって実施されるズーム機能を実現し、2つのレンズがより多くの固定焦点レンズによって達成される効果を実現することができる。従って、光学ズーム機能が確保されれば、端末装置内のカメラモジュールの数量を減らし、コストを削減することができる。
【0009】
第1の態様に関して、第1の態様の第1の可能な実施態様において、カメラモジュールは、表面に開口部を有する環状バレルをさらに含み、センサは、環状バレルの内側であり且つ開口部の反対側である底面に固定される。2つの第1の磁性体は、それぞれ、環状バレルの内側にあり且つ底面の両側にある表面に固定される。
【0010】
第1の態様の第1の可能な実施態様に関して、第1の態様の第2の可能な実施態様において、カメラモジュールは、環状バレルに接続されたレンズコーン(lens cone)をさらに含み、レンズコーンは、弾性装置を介して環状バレルに接続され、レンズグループ内の少なくとも1つのレンズが、レンズコーンに接続される。具体的には、弾性装置は、レンズコーンを動かすことができるように、ばね、ばね板等であり得る。
【0011】
前述の可能な実施態様に関して、第1の態様の第3の可能な実施態様において、カメラモジュールは、第1の軟質フィルムレンズと第1の磁性体との間に配置された第2の磁性体をさらに含み、第2の磁性体は第1の磁性体と1対1で対応し、第2の磁性体の磁場方向は、対応する第1の磁性体の磁場方向と同じである。オプションで、第2の磁性体はレンズコーンに固定される。この実施形態における第2の磁性体は、第1の磁性体の磁場を収束させて、磁場を増強することができる。同じ電流の場合に、ズームコイルによって発生するローレンツ力が増大し、第1の軟質フィルムレンズの変形量が増大する。従って、ズーム機能が向上する。
【0012】
前述の可能な実施態様に関して、第1の態様の第4の可能な実施態様において、カメラモジュールは、第1の補償コイルをさらに含み、第1の補償コイルは、2つの第1の磁性体の間に配置される。第1の補償コイルに通電すると、磁場の作用によりローレンツ力が発生し、レンズグループの位置を変化させ、カメラモジュールの像距離(image distance)を変化させる。本願のこの実施形態では、第1の補償コイルは、画質を保証するために、カメラモジュールの焦点距離の変化によって引き起こされる像距離の変化を補償するために追加される。オプションで、レンズグループに含まれる全て又は一部のレンズは、第1の補償コイルによって形成される空間に配置される。
【0013】
第1の態様の第4の可能な実施態様に関して、第1の態様の第5の可能な実施態様において、カメラモジュールは、環状バレルに接続されたレンズコーンをさらに含み、レンズコーンは、弾性装置を介して環状バレルに接続され、第1の補償コイル及び第1の調整コイルはレンズコーンに固定され、レンズグループ内の少なくとも1つのレンズがレンズコーンに接続される。具体的には、弾性装置は、ばね、ばね板等であり得る。第1の補償コイルに通電した後に発生するローレンツ力によって、レンズコーンを押して、レンズコーンに接続されたレンズを動かす。
【0014】
第1の態様の第4又は第5の可能な実施態様に関して、第1の態様の第6の可能な実施態様において、ズームコイル及び第1の補償コイルは直列に接続される。ズーム値と補償値との間の1対1の対応関係は、光学設計によって学習することができる。従って、ズーム機能及び補償機能は、電流制御によって実現することができる。
【0015】
第1の態様の第6の可能な実施態様に関して、第1の態様の第7の可能な実施態様において、カメラモジュールは、第1の調整コイルをさらに含み、第1の調整コイルは、2つの第1の磁性体の間に配置され、第1の調整コイルの巻数が第1の補償コイルの巻数より少ない、又は第1の調整コイルの単巻長さが第1の補償コイルの単巻長さより短い。
【0016】
第1の態様の第6の可能な実施態様に関して、第1の態様の第8の可能な実施態様において、カメラモジュールは、第2の調整コイルをさらに含み、レンズグループは、第2の軟質フィルムレンズをさらに含み、第2の調整コイルは、第2の軟質フィルムレンズの軟質フィルムに接続される。そして、第2の調整コイルに通電すると、磁場の作用によりローレンツ力が発生し、第2の軟質フィルムレンズの形状を変化させて、光ビームをセンサに集束させる。オプションで、カメラモジュールは、第2の軟質フィルムレンズと第1の磁性体との間に配置された第4の磁性体をさらに含み、第4の磁性体は、第1の磁性体と1対1で対応し、第4の磁性体の磁場方向は、対応する第1の磁性体の磁場方向と同じである。第4の磁性体は、磁場を収束させて、ローレンツ力を増強し、第2の軟質フィルムレンズの変形量を増大させることができる。
【0017】
通常、ズームコイルの巻数及び単巻長さ、並びに第1の補償コイルの巻数及び単巻長さを設計した後に、電流制御により比較的理想的な画像を得ることができる。特別な理由によって得られた画像が十分に鮮明でない場合、例えば、組立て誤差又は長時間の操作後のレンズの安定性の低下等の要因によって画像が十分に鮮明でなくなる場合に、画質をさらに向上させるために、カメラモジュールを、前述の2つの実施態様で提供される調整コイルを使用してさらに調整する必要がある。
【0018】
第1の態様又は第1の態様の第1~第3の可能な実施態様に関して、第1の態様の第9の可能な実施態様において、カメラモジュールは第2の補償コイルをさらに含み、レンズグループは第3の軟質フィルムレンズをさらに含み、第2の補償コイルは第3の軟質フィルムレンズの軟質フィルムに接続される。第2の補償コイルに通電すると、磁場の作用によりローレンツ力が発生し、第3の軟質フィルムレンズの形状を変化させて、カメラモジュールの像距離を変化させる。本願のこの実施形態では、第2の補償コイルは、画質を保証するために、カメラモジュールの焦点距離の変化によって引き起こされる像距離の変化を補償するために追加される。
【0019】
第1の態様の第9の可能な実施態様に関して、第1の態様の第10の可能な実施態様において、カメラモジュールは、第3の軟質フィルムレンズと第1の磁性体との間に配置された第3の磁性体をさらに含み、第3の磁性体は第1の磁性体と1対1で対応しており、第3の磁性体の磁場方向は、対応する第1の磁性体の磁場方向と同じである。第3の磁性体は、磁場を収束させて、ローレンツ力を増強し、第3の軟質フィルムレンズの変形量を増大させることができる。
【0020】
第1の態様の第9又は第10の可能な実施態様に関して、第1の態様の第11の可能な実施態様において、ズームコイル及び第2の補償コイルは直列に接続される。ズーム値と補償値との間の1対1の対応関係は、光学設計によって学習することができる。従って、ズーム機能及び補償機能は、電流制御によって実現することができる。
【0021】
第1の態様の第11の可能な実施態様に関して、第1の態様の第12の可能な実施態様において、カメラモジュールは、第1の調整コイルをさらに含み、第1の調整コイルは、2つの第1の磁性体の間に配置される。そして、第1の調整コイルに通電すると、磁場の作用によりローレンツ力が発生し、レンズグループの位置を変化させ、カメラモジュールの像距離を変化させる。
【0022】
第1の態様の第11の可能な実施態様に関して、第1の態様の第13の可能な実施態様において、カメラモジュールは第2の調整コイルをさらに含み、レンズグループは第2の軟質フィルムレンズをさらに含み、第2の調整コイルは第2の軟質フィルムレンズの軟質フィルムに接続される。第2の調整コイルの巻数が第2の補償コイルの巻数より少ない、又は第2の調整コイルの単巻長さが第2の補償コイルの単巻長より短い。
【0023】
通常、ズームコイルの巻数及び単巻長さ、並びに第2の補償コイルの巻数及び単巻長さを設計した後に、電流制御により比較的理想的な画像を得ることもできる。実際に画像が十分に鮮明でないという問題がある場合に、画質をさらに向上させるために、カメラモジュールを、前述の2つの実施態様で提供される調整コイルを使用してさらに調整する必要がある。
【0024】
前述の可能な実施態様のいずれか1つに関して、第1の態様の第14の可能な実施態様において、カメラモジュールは、入力光ビームをレンズグループに反射するように構成された反射板をさらに含む。本願のこの実施形態で提供されるカメラモジュールによれば、光路を折り畳み、カメラモジュールの体積を減らすために、潜望鏡構造が実装され得る。カメラモジュールは、携帯電話等、体積が必要な端末装置に適用可能である。
【0025】
前述の可能な実施態様のいずれか1つに関して、第1の態様の第15の可能な実施態様において、軟質フィルムレンズの軟質フィルムに接続されたコイルの遮光面積は、軟質フィルムレンズに関するものであり且つコイルに接続される表面の面積の1/4未満である。例えば、コイルは、ズームコイル、第2の補償コイル、又は第2の調整コイルである。前述のサイズ要件によって、十分な強度の光ビームがあまり多くの損失なしにセンサに到達することを保証することができる。遮光面積の具体的な値は、実際のケースに基づいて変更される場合がある。これは、本願では限定されない。
【0026】
前述の可能な実施態様のいずれか1つに関して、第1の態様の第16の可能な実施態様において、軟質フィルムレンズは、軟質フィルムを使用して液体又はゲルを包む方法で形成される、又は、軟質フィルムレンズは、軟質フィルム及びレンズを含む密閉空間に液体又はゲルを包む方法で形成される。
【0027】
前述の可能な実施態様のいずれか1つに関して、第1の態様の第17の可能な実施態様において、カメラモジュールは、センサによって送信された情報に基づいて制御情報を生成して、前述の実施態様で開示したコイルの通電量を制御するように構成されたコントローラをさらに含む。
【0028】
前述の可能な実施態様のいずれか1つに関して、第1の態様の第18の可能な実施態様において、軟質フィルムレンズは、軟質フィルム変形領域及びレンズ固定領域を含み、カメラモジュールは、導電性ロッド、スライド可能な導電性装置、及びリード線をさらに含む。レンズ固定領域は、レンズをレンズコーンに固定するように構成される。導電性ロッドは、レンズ固定領域に配置され、且つ電気を通すように構成される。スライド可能な導電性装置は、導電性ロッドに配置される。リード線は、軟質フィルムレンズに配置されたコイルとスライド可能な導電性装置との両方に接続される。この実施形態では、スライド可能な導電性装置は、導電性ロッドに沿って移動することができ、リード線を使用してコイルに接続される。コイルに通電すると、磁場の作用によりローレンツ力が発生する。ローレンツ力によってコイルを押してそのコイルの位置を変化させる。比較的剛性の高いリード線を使用しているため、コイルの移動に合わせてスライド可能な導電性装置が移動し、リード線の相対位置は変化せず、安定性が向上する。この実施形態では、軟質フィルムレンズは、前述の可能な実施態様において述べた任意の軟質フィルムレンズであり得、コイルは、前述の可能な実施態様において述べた任意の軟質フィルムレンズ上のコイル、例えばズームコイル、第2の補償コイル、又は第2の調整コイルであり得る。
【0029】
第2の態様によれば、第1の態様で提供されるカメラモジュールを使用するズーム方法が提供される。この方法は、ズーム命令を受け取って、受け取ったズーム命令に従ってズームコイルの通電量を決定するステップであって、通電量はズームに必要な電圧又は電流の値である、決定するステップと;ズームコイルに通電するステップであって、ズームコイルに通電した後に発生するローレンツ力によって、ズームコイルを押し動かして、第1の軟質フィルムレンズを変形させ、焦点距離を変化させる、通電するステップと;を含む。オプションで、カメラモジュールが補償コイルを含む場合に、補償コイルが通電され、補償コイルに通電した後に発生するローレンツ力を使用して、像距離の変化によって引き起こされ且つ焦点距離の変化によって引き起こされる画質の劣化(degradation:低下)度を補償する。さらに、カメラモジュールが調整コイルをさらに含む場合であって、ズームコイル及び補償コイルが直列に接続される場合に、不十分な補償が発生し、方法は、調整コイルに通電するステップであって、通電後に、調整コイルは、光ビームをセンサにより正確に焦点を合わせ、光ビームの損失を減らすように、カメラモジュールの像距離を調整するように構成される。
【0030】
第2の態様に関して、第2の態様の第1の可能な実施態様において、複数のカメラモジュールが含まれる場合に、ズーム命令を受け取った後に、この方法は、受け取ったズーム命令に従って対応するカメラモジュールを起動するステップをさらに含む。例えば、長焦点撮影では、焦点距離の長いカメラモジュールを起動する必要がある。
【0031】
第3の態様によれば、端末装置が提供される。端末装置は、第1の態様の任意の実施態様で説明したカメラモジュール、プロセッサ、及びディスプレイを含み、カメラモジュールは画像情報を取り込むように構成され、プロセッサは、画像情報を処理して、取り込んだ画像を表示するべくディスプレイを制御するように構成される。
【0032】
第3の態様に関して、第3の態様の第1の可能な実施態様において、端末装置は、画像情報を記憶するように構成されたメモリをさらに含む。必要に応じて、ユーザは、撮影した写真又はビデオをメモリから呼び出すことができる。
【0033】
前述の可能な実施態様に関して、第3の態様の第2の可能な実施態様において、端末装置は、複数のカメラモジュールを含み、カメラモジュールのうちの少なくとも1つは、第1の態様の実施態様において説明しれたカメラモジュールである。本願のこの実施形態では、第1の態様の任意の実施態様で説明した複数のカメラモジュールを使用することができ、又はいくつかの追加の固定焦点レンズを追加することができる。固定焦点レンズを使用してスプライシングを行う既存のズーム技術と比較して、カメラモジュールの数は少なくなっている。また、本願のカメラモジュールによれば、連続的な光学ズームを実施することができ、画質が向上する。
【0034】
第4の態様によれば、カメラ装置には、例えば、カメラ又はカムコーダが提供され、カメラ装置は、第1の態様の任意の実施態様で説明したカメラモジュール及びパッケージング構造を含む。
【0035】
第5の態様によれば、可読記憶媒体が提供される。可読記憶媒体は命令を記憶し、命令が端末装置で実行されると、端末装置は、第2の態様で説明した方法又は第2の態様の任意の実施態様を実行することができる。
【0036】
第6の態様によれば、命令を含むコンピュータプログラム製品が提供される。命令が端末装置で実行されると、端末装置は、第2の態様で説明した方法又は第2の態様の任意の実施態様を実行することができる。
【0037】
本願の実施形態で提供されるカメラモジュールは、別個のカメラとして使用することができ、或いはスマートフォン、タブレットコンピュータ、又はロボット等の異なるシナリオで撮影又はビデオ録画を行う必要がある装置で使用することができる。本願の実施形態におけるカメラモジュールによれば、連続的な光学ズーム機能が実装され得、実像が取り込まれ、撮像効果がより向上する。複数の固定焦点レンズを使用してスプライシングを行う方法でズーム機能を実現する現在一般的に使用されている解決策と比較して、本願のカメラモジュールは光学ズーム機能を有している。すなわち、単一のレンズが、2つの固定焦点レンズによって実施されるズーム機能を実現し、2つのレンズが、より多くの固定焦点レンズによって達成される効果を実現することができる。光学ズーム機能を変更せず、端末装置内のカメラモジュールの数量を減らすことができる。さらに、固定焦点レンズの現在のスプライシングに存在する画質の「中断」問題は、本願に開示する複数のカメラモジュールを使用してさらに解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】カメラモジュールの撮像の概略図である。
図2】本願の一実施形態によるカメラモジュールの構造の概略図である。
図3】本願の一実施形態によるカメラモジュールの第1の軟質フィルムレンズの概略図である。
図4】本願の別の実施形態によるカメラモジュールの構造の概略図である。
図5】本願の別の実施形態によるカメラモジュールの磁性体の構成の概略図である。
図6】本願の別の実施形態によるカメラモジュールに関するのものである第1の磁性体及び対応する第2の磁性体の構成の概略図である。
図7】本願の別の実施形態によるカメラモジュールの構造の概略図である。
図8】本願の別の実施形態による、カメラモジュール内のズームコイル及び補償コイルの配線接続方法の概略図である。
図9】本願の別の実施形態による、カメラモジュール内のズームコイル及び補償コイルの配線接続方法の概略図である。
図10】本願の別の実施形態によるカメラモジュールの構造の概略図である。
図11】本願の別の実施形態によるカメラモジュールの構造の概略図である。
図12】本願の別の実施形態によるカメラモジュールの構造の概略図である。
図13】本願の別の実施形態によるカメラモジュールの構造の概略図である。
図14】本願の別の実施形態によるカメラモジュールの構造の概略図である。
図15】本願の別の実施形態によるカメラモジュールの構造の概略図である。
図16】本願の別の実施形態によるカメラモジュールの構造の概略図である。
図17】本願の一実施形態による、カメラモジュールを使用して実行されるズーム方法のフローチャートである。
図18】本願の一実施形態による、複数のカメラモジュールの場合の、1つのカメラモジュールを使用して実行されるズーム方法のフローチャートである。
図19】本願の一実施形態によるカメラモジュールを含む端末装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本願の実施形態を詳細に説明及び述べる前に、本願の実施形態における適用シナリオについて最初に説明する。
【0040】
携帯電話等の電子装置のカメラ機能は、内蔵デジタルカメラ又は外部デジタルカメラを使用して静止画又は動画を撮影することである。電子装置の新たな追加機能として、電子装置の撮影能力が最も懸念される指標の1つになっている。電子装置の撮影機能の実現は、ハードウェアの光学モジュールに依存して画像取込みを完了し、ソフトウェアのアルゴリズムの操作に依存して、ユーザが必要とする撮影体験を最終的に達成する。撮像機能に加えて、光学モジュールの最も重要な技術には、ズーム及びフォーカス技術が含まれる。
【0041】
焦点距離は、光学系における光の収束又は発散を評価する測定方法であり、平行光が入射するときのレンズの中心から光収束の焦点までの距離を指す。焦点距離が短いほど、視野が広くなることを示す。焦点距離が一定の場合に、画像面(つまり、カメラモジュール内のセンサの有効な動作面)が大きいほど、視野が広くなることを示す。一般的に、光学モジュールの焦点距離は固定される。
【0042】
フォーカスは、異なる距離にある被写体がレンズの後部に鮮明に写し出される異なる位置に基づいて、画像面とレンズとの間の距離が変化し、それによって、撮影した被写体が鮮明に写るようにするプロセスを指す。全ての撮像システムに被写界深度が存在するため、撮影した被写体が被写界深度の外側にある場合に、被写体を撮影した後に画像がぼやける。撮影した被写体を鮮明に見せるために、焦点合せを行う必要がある。
【0043】
被写界深度は、光学撮像システムにおける鮮明な撮像のための深さである。被写界深度は物理現象であるが、様々な光学系によって被写界深度の値が異なる。図1はレンズ撮像の概略図であり、ここで、ΔLは被写界深度を表し、Lは撮影距離を表す。被写界深度の値は、焦点距離f及びレンズのFストップ(F値)等の光学レンズのパラメータに関連しており、使用されるセンサで識別することができる錯乱円の直径δにも関連している。
【0044】
前述のパラメータの間の関係は、以下の式を使用して記述される。
【数1】
【0045】
ユーザが携帯電話に益々依存するにつれて、携帯電話に対する要求もより多様になる。例えば、ユーザは広角で美しいシーンを撮影する必要がある場合もあれば、ユーザは遠くのポートレートを撮影する必要がある場合もある。様々なシナリオで撮影する必要があるため、広角カメラと長焦点カメラとの両方を使用する必要がある。従って、カメラモジュールに対する一般ユーザのズーム要件がより強くなる。
【0046】
これを考慮して、本願の一実施形態は、カメラモジュールを提供する。図2に示されるように、カメラモジュールは、2つの第1の磁性体(201、202)、レンズグループ203(図2では、レンズグループ203は4つのレンズを含む)、ズームコイル204、及びセンサ205を含む。
【0047】
2つの第1の磁性体(201、202)は、それぞれ、レンズグループ203の2つの対向する側に配置されて、磁場を形成する。レンズグループ203は、第1の軟質フィルムレンズ2031を含む。ズームコイル204は、第1の軟質フィルムレンズ2031の軟質フィルムに接続され、ズームコイル204は、第1の軟質フィルムレンズ2031の外面のエッジに配置されて、軟質フィルムに接続され得る。第1の軟質フィルムレンズ2031及びズームコイル204の特定の構造が図3に示され得る。あるいはまた、ズームコイル204は、第1の軟質フィルムレンズ2031の内面のエッジに配置され得、すなわち、第1の軟質フィルムレンズ2031の内側に配置されて、軟質フィルムに接続され得る。ズームコイル204に通電すると、磁場の作用によりローレンツ力が発生し、ズームコイル204を押し動かして、第1の軟質フィルムレンズ2031の軟質フィルムを押し出し又は引きずり出して、第1の軟質フィルムレンズ2031の形状を変化させ、すなわち、第1の軟質フィルムレンズ2031の表面タイプ(曲率又は他のパラメータ等)を変化させ、それによりレンズグループの焦点距離を変化させ、ズーム機能を実現する。センサ205は、レンズグループ203を介して入射する光ビームを受け取るように構成される。
【0048】
第1の軟質フィルムレンズは、軟質フィルムを使用して液体又はゲルを包む方法で形成することができ、又は第1の軟質フィルムレンズは、軟質フィルム及びレンズを含む密閉空間に液体又はゲルを包む方法で形成することができる。液体は、油、溶媒、イオン性液体、液体金属等であり得る。液体は透明又は半透明の物質である。軟質フィルムで包むと、液体が力によって変形し、ズーム機能を実現することができる。軟質フィルムレンズに配置されるコイルは、コイルに通電したときのローレンツ力による磁場の中で軟質フィルムレンズの軟質フィルムを押すことができれば、金属線を複数回又は1回転だけ巻くことによって形成される構造であってもよく、又は円形の金属リングであってもよい。後続の実施形態における同様のコイルも、前述の構造を有することができ、詳細については、このアプリケーションでは再び説明しない。
【0049】
さらに、本願で提供されるカメラモジュールは、表面に開口部を有する環状バレル206をさらに含み得、ここで、センサ205は、環状バレル206の内側であり且つ開口部の反対側である底面に固定される。2つの第1の磁性体(201、202)は、環状バレル206の内側に別々に固定され、且つ環状バレル206の底面の両側の表面に互いに反対側に配置される。また、カメラモジュールは、環状バレル206に接続されたレンズコーン207をさらに含む。レンズコーン207は、ばね板又はばね等の装置を使用して環状バレル206の底面又は側面に接続され得、それによって、レンズコーン207は移動できる。レンズコーン207及び環状バレル206の特定の構造が図4に示されている。
【0050】
さらに、図3に示されるように、第1の軟質フィルムレンズ2031は、軟質フィルム変形領域301及びレンズ固定領域302を含み、ここで、レンズ固定領域302は、レンズをレンズコーン207に固定するように構成される。カメラモジュールは、レンズ固定領域302に配置された導電性ロッド305、及び導電性ロッド305に接続されたスライド可能な導電性装置304をさらに含み、ここで、導電性ロッド305は、電源回路に接続され(端末装置において、電源回路がプロセッサに接続される場合に、それは導電性ロッド305がプロセッサに接続されると理解され得る)、電気を通すように構成される。そして、スライド可能な導電性装置304は、導電性ロッド305に沿って移動することができ、リード線303を使用してズームコイル204に接続される。ズームコイル204に通電すると、磁場の作用によりローレンツ力が発生し、ローレンツ力によってズームコイル204を押して、そのズームコイル204の位置を変化させる。比較的剛性の高いリード線303を使用しているため、ズームコイル204の移動に合わせてスライド可能な導電性装置304を移動させることができ、リード線303の相対位置は変化せず、安定性が向上する。確かに、リード線は、代替的に、端末内の電源回路に直接接続することができる。しかしながら、コイルが電源回路から最も遠い距離に移動したときにリード線がコイルに接続されたままになるのを保証するために、リード線のセグメントを確保しておく必要がある。この場合に、コイルが動くとそれに応じてリード線が常にスイングする(swing:揺れる)ため、安定性が比較的低くなる。本願では、スライド可能な導電性装置304を駆動することができれば、リード線303の剛性は任意の範囲内であり得ることを理解されたい。そして、スライド可能な導電性装置304は、スライド可能な導電性装置304が導電性ロッド305に沿って移動することができれば、スライド可能なリング又は任意の他の形態であってもよい。
【0051】
後続の実施形態における軟質フィルムレンズ構造は、前述の軟質フィルムレンズ構造と同様であり、詳細については、本願で再び説明しないことに留意されたい。レンズグループでは、軟質フィルムレンズ以外のレンズにもそれぞれレンズ固定領域がある。各レンズは、レンズ固定領域を使用して、対応するレンズコーンに固定される。しかしながら、これらのレンズの外面又は内面にはコイルがないため、これらのレンズのレンズ固定領域には導電性ロッド又はリード線等の装置はない。
【0052】
本願のこの実施形態では、磁性体は、磁場を発生し得る物体、例えば、磁石又はロードストーン(lodestone:天然磁石)である。2つを超える第1の磁性体が存在し得、例えば、4つの第1の磁性体がレンズグループ203の周りに相対的に配置されるか、或いは6つの第1の磁性体がレンズグループ203を相対的に取り囲んでいる。図5は、4つの第1の磁性体(201、202、209、及び210)が存在する例の概略図である。全ての第1の磁性体は、環状バレル206の内側に固定され得る。本願の後続の実施形態では、2つの第1の磁性体が存在する例を説明のために使用する。オプションで、カメラモジュールは、第1の磁性体と第1の軟質フィルムレンズとの間に配置された第2の磁性体208をさらに含む。図4に示されるように、第2の磁性体208は、レンズコーン207に固定され得るか、又はレンズコーン207の内部に統合され得る。第2の磁性体は、第1の磁性体と1対1で対応している。第2の磁性体及び第1の磁性体の構造が図5に示され得る(明確に示すために、レンズコーン等の構造を図に示していない)。第1の磁性体の形状及び第2の磁性体の形状は、軟質フィルムレンズを取り囲むように、それぞれ交互に湾曲した形状であり得ることを理解されたい。特定の形状に制限はない。
【0053】
また、第2の磁性体208の極性方向は、対応する第1の磁性体201の極性方向と同じである。図6に示されるように、第1の磁性体201に関するものであり且つ第2の磁性体208に面する表面の極性がS極(S pole)である場合に、第2の磁性体208に関するものであり且つ第1の磁性体201に面する表面の極性はN極(N pole)である。そうでなければ、第1の磁性体201に関するものであり且つ第2の磁性体208に面する表面の極性がN極である場合に、第2の磁性体208に関するものであり且つ第1の磁性体201に面する表面の極性はS極である。この場合に、第2の磁性体208は、第1の磁性体201の磁場を収束させて、磁場を増強させることができる。従って、同じ電流の場合に、ズームコイル204によって発生するローレンツ力が増大し、第1の軟質フィルムレンズ2031の変形量が増大する。カメラモジュールを携帯電話等の小型端末装置に使用する場合に、電流を特に大きくすることができないため、ローレンツ力の強さが制限され、それによって、第1の軟質フィルムレンズ2031は、より良いズーム効果を達成することができない。この実施形態では、第2の磁性体208を使用して磁場収束を実施し、それによって、この問題を解決することができる。
【0054】
第1の磁性体の磁場を収束させ、第2の軟質フィルムレンズの変形量を増大させるために、本願において後述する第2の軟質フィルムレンズと第1の磁性体との間に第3の磁性体も存在し得ることを理解されたい。第1の磁性体の磁場を収束させ、第の軟質フィルムレンズの変形量を増大させるために、第3の軟質フィルムレンズと第1の磁性体との間に第4の磁性体も存在し得る。第3の磁性体の特徴及び第4の磁性体の特徴は第2の磁性体の特徴と同じであり、軟質フィルムレンズが多い場合に、軟質フィルムレンズに対応し且つ磁場収束の役割を担う磁性体も存在し得る。本願のこの実施形態では、詳細について再び説明しない。
【0055】
本願で提供されるカメラモジュールは、携帯電話、タブレットコンピュータ、又は車両等の端末装置でさらに使用することができ、携帯電話のカメラ、車両搭載装置のイベントデータレコーダ、又は別のカメラ装置として機能することができる。カメラモジュールは、従来のカメラモジュールであってもよく、又は折畳み式カメラモジュールであってもよい。端末装置内のプロセッサは、センサ205によって取り込んだ画像情報を処理し、ユーザによって伝えられたズーム要件を解析し、ズーム要件に基づいてカメラモジュールを駆動して、光学ズームを完了する。
【0056】
具体的には、光ビームがレンズグループ203を通って入射した後に、光ビームはセンサ205上に収束される。ズームコイル204が光ビームの侵入を遮断するのを防ぐために、ズームコイル204の遮光面積は、第1の軟質フィルムレンズ2031内にあり且つズームコイル204に接続される表面の面積の1/4又は1/3未満である必要がある。遮光面積の特定の値は限定されない。また、レンズグループ203は、複数のレンズ、例えば4つ又は6つのレンズをさらに含み得る。図2において、例として4つのレンズが使用されている。これは本願では限定されない。センサ205は、画像センサ、例えば、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)画像センサ、電荷結合型装置(CCD)画像センサ等であり得る。センサ205によって返される画像は、端末装置によって撮影されたプレビューである。ユーザがプレビューを拡大するか、或いは2倍又は5倍等のズームボタンをタップすると、端末装置のプロセッサは、ズーム要件信号を取得し、ユーザによって与えられたズーム要件信号に基づいてズームコイル204の通電量を制御する。ズームコイル204の電力は、装置内の電源装置から供給され得る。例えば、カメラモジュールが携帯電話又はタブレットコンピュータで使用される場合に、電力は、携帯電話又はタブレットコンピュータのバッテリから供給され得る。コイルに通電した後に、磁場の作用によりローレンツ力が発生し、それによってコイルが移動し、それにより第1の軟質フィルムレンズ2031を押し出し又は引きずり出して変形させ、焦点距離を変化させ、光学ズーム機能を実現する。通電量を連続的に変化させることができるので、第1の軟質フィルムレンズ2031を連続的に変形させることができ、それにより連続的な光学ズーム機能を実現することができる。
【0057】
本願で提供されるカメラモジュールによれば、ズームコイルは、第1の軟質フィルムレンズの外面又は内面のエッジに配置され、それによって、連続的な光学ズーム機能を実現することができ、実像が取り込まれ、撮像効果が向上する。カメラモジュールの全体的な構造は比較的コンパクトであるため、カメラモジュールを携帯電話等の端末装置の限られた空間で使用することができる。さらに、複数の固定焦点レンズを使用してスプライシングを行う方法でズーム機能を実現する現在一般的に使用されている解決策と比較して、本願のカメラモジュールは光学ズーム機能を有している。すなわち、単一のレンズが2つの固定焦点レンズによって実施されるズーム機能を実現することができ、例えば、本願の単一のカメラモジュールは、1~2倍の焦点距離の連続的な変更を実現することができる。従来の技術では、1倍の固定焦点レンズと2倍の固定焦点レンズとを組み合わせて1~2倍のズーム効果を実現する必要があった。また、本願の光学ズームは連続的であり、実像が取り込まれ、撮像効果が向上する。さらに、本願のデュアルレンズは、より多くの固定焦点レンズによって達成される効果を実現することができる。従って、端末装置内のカメラモジュールの数を減らすことができ、光学ズーム能力が弱まらないことをさらに保証することができる。
【0058】
オプションで、本願で提供されるカメラモジュールは、第1の補償コイル701をさらに含む。図7に示されるように、第1の補償コイル701は、2つの第1の磁性体(201、202)の間に配置され、レンズグループ203は、第1の補償コイル701によって形成される空間に配置される。具体的には、レンズグループ203に含まれる全てのレンズは、第1の補償コイル701によって形成される空間に配置されるか、或いはレンズグループ203に含まれるいくつかのレンズは、第1の補償コイル701によって形成される空間に配置される。例えば、レンズグループ203は4つのレンズを含み、1つ、2つ、又は3つのレンズが第1の補償コイルによって形成された空間に配置され得るか、或いは4つのレンズ全てが第1の補償コイルによって形成された空間に配置され得る。第1の補償コイル701に通電すると、磁場の作用によりローレンツ力が発生するので、レンズグループ203が移動し、レンズグループ203の位置が変化し、それによりカメラモジュールの像距離を変化させ、補償を実施する(つまり、ズームを実施する)。さらに、第1の補償コイル701によって発生したローレンツ力は、代替的に、レンズグループ203内のいくつかのレンズのみを押し動かして、それにより補償も実施することができる。
【0059】
本願のこの実施形態の動作手順は以下の通りである。例えば、センサ205は、端末装置によって撮影されたプレビューを返し、ユーザは、2倍又は5倍等のズームボタンをタップし、端末装置のプロセッサはズーム要件信号を取得する。プロセッサは、ユーザによって与えられたズーム要件信号に基づいてズームコイル204の通電を制御し、通電されたコイルは、磁場の作用によりローレンツ力を発生させ、それによって、第1の軟質フィルムレンズ2031が変形され、それにより焦点距離が変化し、光学ズーム機能を実現する。ズームが完了した後に、プレビューが未だ十分に鮮明でない場合に、プロセッサは、第1の補償コイル701の電流を徐々に増大させて、レンズグループ203を動かすか又はレンズグループ203内のいくつかのレンズを動かして、それによりズーム補償を実施する。センサ205によって送信された画像信号が鮮明になると、プロセッサは、第1の補償コイル701の電流の増大を停止して、補償を完了する。
【0060】
具体的には、第1の補償コイル701はレンズコーン207に固定され、レンズグループ203はレンズコーン207に接続され、第1の補償コイル701に通電した後に発生するローレンツ力によって、第1の補償コイル701がレンズコーン202を動かし、それにより、レンズグループ203内のレンズの位置を変化させる。また、レンズコーン207は、レンズグループ203を固定することもできる。さらに、レンズグループ203内のレンズは全てレンズコーン207に接続されない場合がある。例えば、レンズグループが6つのレンズを含む場合に、4つ又は5つのレンズをレンズコーン207に接続する場合がある。特定の数量は制限されない。残りのレンズは、固定部分又は別の固定装置を使用して環状バレル206に接続することができる。第1の補償コイル701に通電した後に発生するローレンツ力によって、第1の補償コイル701がレンズコーン207を動かし、それによって、レンズコーン207に接続されたレンズが移動し、残りのレンズの位置は変化しない。
【0061】
さらに、レンズグループ内の各レンズのパラメータ(例えば、レンズが凹レンズであるか凸レンズであるか、及び各レンズの曲率半径)及びレンズ同士の間の距離は、光学設計によって決定することができる。決定が完了した後に、レンズグループ203の焦点距離変化値とレンズグループ203の変位値との間の対応関係を算出することができ、焦点距離変化値はレンズグループ203の変位値と1対1で対応する。つまり、この場合に、ズームコイル204が発生させる力も、第1の補償コイル701が発生させる力と1対1で対応する。従って、ズームコイル204の巻数及び単巻長さ、並びに第1の補償コイル701の巻数及び単巻長さは、ズームコイル204及び第1の補償コイル701を直列に接続できるように、事前に設計することができ、電流負荷の後に、ズームを実行している間に補償機能を実現することができる。この場合に、図8に示されるように、ズームコイル204の一端を第1の補償コイル701の一端に接続することができる。あるいはまた、近接の原理によれば、これは、ズームコイル204に比較的近い部分で第1の補償コイル701を切断することと同等であり、図9に示されるように、2つの切断されたポートは、それぞれ、ズームコイル204の両端に接続される。あるいはまた、別の接続方法があり得る。これは、本願では限定されない。
【0062】
通常、ズームコイル204の巻数及び単巻長さ、並びに第1の補償コイル701の巻数及び単巻長さを設計した後に、電流制御によって比較的理想的な画像を得ることができる。特別な理由(組立て誤差又は長時間の操作後のレンズの安定性の低下等の要因)により、取得した画像が十分に鮮明でない場合に、カメラモジュールをさらに調整する必要がある。この場合に、本願の別の実施形態は、以下の2つの実行可能な方法を提供する。
【0063】
(1)図10に示されるように、カメラモジュールは、第1の調整コイル1001をさらに含むことができる。第1の調整コイル1001もまた、2つの第1の磁性体(201、202)の間に配置される。レンズグループ203に含まれるいくつかのレンズは、第1の調整コイル1001を巻回することによって形成される空間に配置される。第1の調整コイル1001に通電すると、磁場の作用によりローレンツ力も発生し、それによって、レンズグループ203の位置を変化させ、カメラモジュールの像距離を変化させ、更なる調整が実施される。従って、光ビームをセンサ205上により正確に集束させて、より鮮明な画像が得られる。第1の調整コイル1001が、ズームコイル204及び第1の補償コイル701に基づく微調整の役割を果たすため、レンズグループ203に大きな力を加える必要はない。従って、通常、第1の調整コイル1001によって発生するローレンツ力は、第1の補償コイル701によって発生するローレンツ力よりも小さい。同じ電流を加えるときに、磁場内でコイルが発生させるローレンツ力の大きさは、コイルの巻数及び単巻長さに関連する。コイルの単巻長さが変わらない場合に、磁場内でコイルが発生させるローレンツ力の大きさは、コイルの巻数に正比例する。コイルの巻数が変わらない場合に、磁場内で発生するローレンツ力の大きさは、コイルの単巻長さに正比例する。従って、第1の調整コイル1001の巻数は、第1の補償コイル701の巻数よりも少なくてもよく、或いは第1の調整コイル1001の単巻長さは、第1の補償コイル701の単巻長さよりも短くてもよい。
【0064】
第1の補償コイル701は、第1の調整コイル1001から切り離されており、第1の補償コイル701及び第1の調整コイル1001は、別々に電流負荷を実行することができることを理解されたい。ズームコイル204及び第1の補償コイル701の調整が完了した後に、画像が依然として鮮明度要件を満たさない場合に、更なる調整のために、第1の調整コイル1001が起動される。通常、第1の補償コイル701によって、レンズグループ203を押してより長い距離を移動させる必要があるため、第1の補償コイル701を巻回することによって形成される空間は、第1の調整コイル1001を巻回することによって形成される空間よりも大きい。従って、第1の補償コイル701を巻回することによって形成される空間内のレンズの数量もまた、第1の調整コイル1001を巻回することによって形成される空間内のレンズの数量よりも大きい。
【0065】
さらに、レンズグループ203に含まれるいくつかのレンズは、第1の補償コイル701によって形成される空間に配置され得、残りのレンズは、第1の調整コイル1001によって形成される空間に配置され得る。例えば、レンズグループは4つのレンズを含み、3つのレンズが第1の補償コイル701によって形成される空間に配置され、1つのレンズが第1の調整コイル1001によって形成される空間に配置される。この場合に、第1の補償コイル701によって発生するローレンツ力は、第1の補償コイル701によって形成された空間内の3つのレンズを押してそれら3つのレンズの位置を変化させて、補償機能を完了させることができる。そして、第1の調整コイル1001によって発生するローレンツ力は、第1の調整コイル1001によって形成される空間にレンズを押し込み、その位置を変化させて、カメラモジュールをさらに調整することができる。確かに、2つのレンズは、第1の補償コイル701を巻回することによって形成される空間に交互に配置され得、他の2つのレンズは、第1の調整コイル1001を巻回することによって形成される空間に配置され得る。あるいはまた、別の配置方法があり得る。これは、本願では限定されない。
【0066】
オプションで、カメラモジュールは、ばね又はばね板を使用して環状バレル206に接続されたレンズコーン207を含む。図4に示されるように、レンズグループ203内の全て又は一部のレンズはレンズコーン207に接続され、第1の調整コイル1001と第1の補償コイル701との両方がレンズコーンに固定される。第1の補償コイル701に通電した後に発生するローレンツ力によって、第1の補償コイル701を押してレンズコーン207を動かし、それにより補償を実施する。それでも画像の鮮明度が要件を満たさない場合に、第1の調整コイル1001が通電される。この場合に、発生したローレンツ力によって、第1の調整コイル1001を押してレンズコーン207を動かし、それによりレンズコーン207に接続されたレンズの位置を変化させ、調整をさらに実施する。
【0067】
さらに、レンズコーンは、第1のレンズコーン2071及び第2のレンズコーン2072にさらに分割され得、ここで、レンズグループ内のいくつかのレンズは、第1のレンズコーン2071に接続され得、残りのレンズは、第2のレンズコーン2072に接続され得る。例えば、図11に示されるように、レンズグループ203は4つのレンズを含み、ここで、3つのレンズが第1のレンズコーン2071に接続され、残りの1つのレンズが第2のレンズコーン2072に接続される。第1のレンズコーン2071及び第2のレンズコーン2072は、互いに接続されず、変形可能な装置(ばね、ばね板等)を使用して環状バレル206に別々に接続される。第1の補償コイル701は第1のレンズコーン2071に接続され、第1の調整コイル1001は第2のレンズコーン2072に接続される。この場合に、第1の補償コイル701に通電した後に発生するローレンツ力によって、第1の補償コイル701を押して第1のレンズコーン2071を動かし、それにより第1のレンズコーン2071に接続されたレンズの位置を変化させ、補償を実施する。それでも画像の鮮明度が要件を満たさない場合に、第1の調整コイル1001が通電される。この場合に、発生したローレンツ力によって、第1の調整コイル1001を押して第2のレンズコーン2072を動かし、それにより第2のレンズコーン2072に接続されたレンズの位置を変化させ、調整をさらに実施する。
【0068】
(2)図12に示されるように、カメラモジュールは、第2の調整コイル1201をさらに含み、レンズグループ203は、第2の軟質フィルムレンズ2032をさらに含む。第2の調整コイル1201は、第2の軟質フィルムレンズ2032の軟質フィルムに接続される。第2の調整コイル1201の特定の構造は、ズームコイル204の構造に類似している。第2の調整コイル1201はまた、第2の軟質フィルムレンズ2032の外面のエッジに配置されて、軟質フィルムに接続され得る、又は第2の軟質フィルムレンズ2032の内面のエッジに配置されて、すなわち、図3を参照して第2の軟質フィルムレンズ2032の内側に配置されて、軟質フィルムに接続され得る。第2の調整コイル1201に通電すると、磁場の作用によりローレンツ力も発生し、第2の調整コイルを押し動かして、第2の軟質フィルムレンズ2032の軟質フィルムを押し出し又は引きずり出し、それによって、第2の軟質フィルムレンズ2032の形状が変更され、レンズグループの焦点距離が微調整される。焦点距離が変化するため、像距離も変化し、光ビームがセンサ上により正確に集束され、更なる調整が実施される。第2の調整コイル1201が光ビームの侵入を遮断するのを防ぐために、第2の調整コイル1201の遮光面積もまた、第2の軟質フィルムレンズ2032にあり且つ第2の調整コイル1201に接続される表面の面積の1/4又は1/3未満である必要がある。遮光面積の特定の値は限定されない。
【0069】
第2の調整コイル1201は、ズームコイル204及び第1の補償コイル701に基づいて微調整の役割を果たすので、第2の軟質フィルムレンズ2032の軟質フィルムに大きな力を加える必要はない。従って、第2の調整コイル1201によって発生するローレンツ力は、一般に、ズームコイル204によって発生するローレンツ力よりも小さい。同じ電流を加えるときに、磁場内でコイルが発生させるローレンツ力の大きさは、コイルの巻数及び単巻長さに関連する。コイルの単巻長さが変わらない場合に、磁場内でコイルが発生させるローレンツ力の大きさは、コイルの巻数に正比例する。コイルの巻数が変わらない場合に、磁場内で発生するローレンツ力の大きさは、コイルの単巻長さに正比例する。従って、第2の調整コイル1201の巻数は、ズームコイル204の巻数よりも少なくてもよく、或いは第2の調整コイル1201の単巻長さは、ズームコイル204の単巻長さよりも短くてもよい。
【0070】
第2の調整コイル1201もまた別のコイルから切り離されており、第2の調整コイル1201及び別のコイルは、別々に電流負荷を実行することができることを理解されたい。ズームコイル204及び第1の補償コイル701の調整が完了した後に、画像が依然として鮮明度要件を満たさない場合に、更なる調整のために、第2の調整コイル1201が起動される。また、第2の軟質フィルムレンズは、軟質フィルムを使用して液体又はゲルを包む方法で形成することができるか、又は軟質フィルム及びレンズを含む密閉空間に液体又はゲルを包む方法で形成することができる。
【0071】
さらに、本願の別の実施形態は、カメラモジュールを提供する。図2に基づいて、カメラモジュールは、図13に示されるように、第2の補償コイル1301をさらに含む。この場合に、レンズグループ203は、第3の軟質フィルムレンズ2033をさらに含む。第2の補償コイル1301は、第3の軟質フィルムレンズ2033の軟質フィルムに接続される。第2の補償コイル1301の特定の構造は、図3を参照して、ズームコイル204の構造及び第2の調整コイル1201の構造と類似している。詳細については、本願では再び説明しない。第2の補償コイル1301に通電すると、磁場の作用によりローレンツ力も発生し、第3の軟質フィルムレンズ2033の形状を変化させて、レンズグループの焦点距離を変化させ、それによりレンズグループの像距離を変化させ、補償を実施する。この実施形態では、レンズグループ203は移動する必要がなく、設計がより簡素である。同様に、第3の軟質フィルムレンズは、軟質フィルムを使用して液体又はゲルを包む方法で形成することができる、又は軟質フィルム及びレンズを含む密閉空間に液体又はゲルを包む方法で形成することができる。第2の補償コイル1301が光ビームの侵入を遮断するのを防ぐために、第2の補償コイル1301の遮光面積もまた、第3の軟質フィルムレンズ2033にあり且つ第2の補償コイル1301に接続される表面の面積の1/4又は1/3未満である必要がある。遮光面積の特定の値は限定されない。
【0072】
オプションで、レンズグループ内の各レンズのパラメータ(例えば、レンズが凹レンズであるか又は凸レンズであるか、及び各レンズの曲率半径)及びレンズ同士の間の距離は、光学設計によって決定される。決定が完了した後に、レンズグループの焦点距離変化値と像距離変化値との間の対応関係を算出することができ、焦点距離変化値は像距離変化値と1対1で対応する。換言すれば、同じ磁場の作用により、ズームコイル204が発生させる力もまた、第2の補償コイル1301が発生させる力と1対1で対応する。従って、ズームコイル204の巻数及び単巻長さ、並びに第2の補償コイル1301の巻数及び単巻長さは、ズームコイル204及び第2の補償コイル1301を直列に接続できるように、事前に設計することができる。そして、電流負荷の後に、ズームを実行している間に補償機能を実現することができる。
【0073】
通常、ズームコイル204の巻数及び単巻長さ、並びに第2の補償コイル1301の巻数及び単巻長さを設計した後に、電流制御によって比較的理想的な画像を得ることができる。特別な理由(例えば、組立て誤差又は長時間の操作後のレンズの安定性の低下等の要因)により、取得した画像が十分に鮮明でない場合に、この場合に、本願のこの実施形態は、図14に示されるように、前述の実施態様で述べた第1の調整コイル1001をさらに含み得、又は図15に示されるように、第2の調整コイル1201を含み得る。特定の原理及び特徴は、前述の実施態様において詳細に説明してきた。詳細については、本願ンでは(再び)説明しない。
【0074】
オプションで、図2図15に示される実施形態に基づいて、カメラモジュールは、入力光ビームをレンズグループ203に反射して光路を折り畳むように構成された反射板1601をさらに含み、潜望鏡カメラモジュールを実装し、カメラモジュールの体積を減らす。カメラモジュールの特定の構造が図16に示されている。図16は、図2図7図10、及び図12図15に示される構造のうちの1つに基づいて、反射板を追加することによって得られるカメラモジュールの概略図であることを理解されたい。さらに、前述の実施態様で述べた全てのコイルは、プロセッサに接続され、それらの間の接続は、電源回路を使用してプロセッサに接続され、それによって、プロセッサがコイルの通電量を制御し、カメラモジュールのズーム効果及び撮像効果が調整される。
【0075】
前述の実施態様に基づいて、レンズグループは、受け取った光ビームを集束させるように構成された第1の固定レンズをさらに含む。レンズグループは、光ビームをさらに集束させて光ビームをセンサ205上に収束させる第2の固定レンズをさらに含むことができる。光ビームは、第1の固定レンズ、軟質フィルムレンズ、及び第2の固定レンズを順番に通過することができる。あるいはまた、第1の固定レンズ、軟質フィルムレンズ、及び第2の固定レンズを別の方法で配置することができる。これは、本願では限定されない。レンズグループはさらに多くのレンズを含み得、追加したレンズは、さらに光ビームを集束させて画質を向上させ得ることに留意されたい。
【0076】
本願の実施形態で開示するカメラモジュールは、撮影のために別々に使用することができる、又は別のカメラ(例えば、固定焦点レンズ)と一緒に使用することができる。確かに、本願で開示する複数のカメラモジュールは、代替的に一緒に使用され得る。具体的なプロセスは次の通りである。
【0077】
(1)本願で開示する単一のカメラモジュールの特定の操作手順が図17に示されている。
【0078】
1701:2倍のズーム倍率等の受け取った異なる命令に従って、ズームに必要な電圧又は電流の値を取得する。ここで、ズーム倍率と対応するコイルに供給される電圧又は電流との間の関係をプロセッサに事前に格納することができ、例えば、対応関係が表の形式又は関数の形式で格納される。そして、プロセッサは、必要なズーム倍率に基づいて、対応するコイルに供給される電圧又は電流の値を学習することができ、ここで、対応するコイルは、前述の異なる装置の実施形態で述べた異なるコイルを含む。
【0079】
1702:ズームコイルに通電する。ここで、ズームコイルに通電した後に発生するローレンツ力によって、ズームコイルを押し動かして、第1の軟質フィルムレンズを押し出し又は引きずり出して変形させ、焦点距離を変化させる。
【0080】
オプションで、カメラモジュールの特定の操作手順は以下をさらに含む。1703:補償コイルに通電する。ここで、補償コイルに通電した後に発生するローレンツ力は、像距離の変化によって引き起こされ、焦点距離の変化によって引き起こされる画質の劣化度を補償するために使用される。カメラモジュールは、図7図12に示される構造に関するものであり得、補償コイルは第1の補償コイルであり、第1の補償コイルが発生させるローレンツ力によって、レンズグループ又はレンズグループ内のいくつかのレンズを移動させるよう制御して、カメラモジュールの像距離を変化させ、補償を実施する。あるいはまた、カメラモジュールは、図13図15に示される構造に関するものであり得る。この場合に、補償コイルは第2の補償コイルであり、第2の補償コイルが発生させるローレンツ力によって、第2の補償コイルを押し動かして、第3の軟質フィルムレンズを押し出して変形させ、カメラモジュールの像距離を変化させ、補償を実施する。
【0081】
オプションで、ズームコイル及び補償コイルが直列に接続される場合に、特定の操作手順は以下をさらに含む。1704:調整コイルに通電する。ここで、通電後に、調整コイルは、光ビームをセンサにより正確に集束させ、光ビームの損失を減らすように、カメラモジュールの像距離を調整するように構成される。カメラモジュールは、図10及び図14に示される構造に関するものであり得、調整コイルは第1の調整コイルであり、第1の調整コイルが発生させるローレンツ力によって、レンズグループ又はレンズグループ内のいくつかのレンズを移動させるよう制御して、像距離をさらに調整する。あるいはまた、カメラモジュールは、図12及び図15に示される構造に関するものであり得る。この場合に、調整コイルは第2の調整コイルであり、第2の調整コイルが発生させるローレンツ力によって、第2の調整コイルを押し動かして、第2の軟質フィルムレンズを押し出して変形させ、像距離をさらに調整する。
【0082】
(2)複数のカメラモジュールの動作手順は、以下の通りである。ケース(1)に基づいて、ズームシナリオ認識手順が追加され、ここで、要件に基づいて使用すべき特定のカメラを決定する必要がある。特定の手順が図18に示されている。
【0083】
1801:受け取った異なる命令に従って、対応するカメラモジュールを起動する。2つのカメラモジュールがあり、それぞれ1~4倍のズーム倍率及び4~8倍のズーム倍率を有していると想定される。受け取った命令により、3倍のズーム倍率が必要であることが示されると、1~4倍のズーム倍率を有するカメラモジュールが起動される。そして、受け取った命令により、6倍のズーム倍率が必要であることが示されると、4~8倍のズーム倍率を有するカメラモジュールが起動される。より多くのカメラモジュールについて、同様の方法を使用して、起動すべきカメラモジュールを決定することもできる。さらに、画質の「中断」問題なしに、この想定下で1~8倍の連続ズームを実施することができる。
【0084】
起動すべきカメラモジュールを決定した後に、残りのステップは、ケース(1)の場合と同じである。詳細については、本願では再び説明しない。前述の操作手順は、本願で開示するカメラモジュールのためのものにすぎないことを理解されたい。複数のカメラモジュールに固定焦点モジュールが含まれており、固定焦点モジュールが起動される場合に、固定焦点モジュールは、起動された後に、撮影を直接行う。
【0085】
さらに、以下のケースがある。それぞれ1~2倍のズーム倍率及び6~8倍のズーム倍率を有する2つのカメラモジュールがある場合に、受け取った命令により4倍のズーム倍率が必要であることが示されると、カメラモジュールは、4倍のズーム倍率を個別に実現することはできない。この場合に、2つのカメラモジュールのうちの1つが最初に起動される。例えば、2倍のズーム倍率モードに設定されているカメラモジュールが起動されて、撮影が行われる。次に、他方のカメラモジュールが起動される。例えば、6倍ズームの倍率モードに設定されているカメラモジュールが起動されて、撮影が行われる。得られた画像情報をプロセッサに送信し、アルゴリズム調整により4倍のズーム倍率の効果を実現する。この場合に、2つのカメラの焦点距離は必要な焦点距離に近くなり、1倍の固定焦点レンズ及び8倍の固定焦点レンズを使用して実現される撮影効果よりも優れた撮影効果が得られる。
【0086】
本願の実施形態で提供されるカメラモジュールは、別個のカメラとして使用することができ、或いはスマートフォン、タブレットコンピュータ、又はロボット等の異なるシナリオで撮影又はビデオ録画を行う必要がある装置で使用することができる。本願の実施形態におけるカメラモジュールによれば、連続的な光学ズーム機能が実現され得、実像が取り込まれ、撮像効果が向上する。複数の固定焦点レンズを使用してスプライシングを行う方法でズーム機能を実現する現在一般的に使用されている解決策と比較して、本願のカメラモジュールは光学ズーム機能を有している。すなわち、単一のレンズが、2つの固定焦点レンズによって実施されるズーム機能を実現することができ、2つのレンズが、より多くの固定焦点レンズによって達成される効果を実現することができる。光学ズーム機能を変更せず、端末装置のカメラモジュールの数を減らすことができる。さらに、固定焦点レンズの現在のスプライシングに存在する画質の「中断」問題は、本願に開示する複数のカメラモジュールを使用してさらに解決することができる。
【0087】
本願の一実施形態は、カメラ又はカムコーダ等のカメラ装置を提供する。カメラ装置は、前述の実施態様で提供されるカメラモジュール及びパッケージング構造を含む。カメラモジュールは、カメラモジュール内のコイルに接続されたコントローラをさらに含み、コントローラは、コイルの通電量を制御するように構成される。コイルは、前述の異なる装置の実施形態で述べた異なるコイルを含む。コントローラは、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等であり得る。
【0088】
本願の一実施形態は、本願の前述の実施態様で提供されるカメラモジュールを含む端末装置を提供する。図19は、本願の例示的な実施形態による端末装置の構造のブロック図である。端末装置は、スマートフォン、タブレットコンピュータ、スマートロボット、又はノートブックコンピュータ等の撮影又はビデオ録画機能を統合する装置であり得るか、或いは撮影又はビデオ録画機能を有する自動車等の輸送手段であり得る。端末装置は、ユーザ機器、ポータブル端末、ラップトップ端末、デスクトップ端末、車載端末、又は別の名前で呼ばれることもある。
【0089】
通常、端末装置は、プロセッサ1901及びメモリ1902をさらに含む。
【0090】
プロセッサ1901は、1つ又は複数の処理コアを含むことができ、例えば、プロセッサ1901は、4コアプロセッサ又は8コアプロセッサであり得る。プロセッサ1901は、デジタル信号処理(DSP)、FPGA、又はプログラマブルロジックアレイ(PLA)の少なくとも1つのハードウェア形式で実装され得る。プロセッサ1901は、代替的に、メインプロセッサ及びコプロセッサを含み得る。メインプロセッサは、ウェイクアップ状態でデータを処理するように構成されたプロセッサであり、中央処理装置(CPU)とも呼ばれる。コプロセッサは、スタンバイ状態でデータを処理するように構成された低電力プロセッサである。いくつかの実施形態では、プロセッサ1901は、グラフィックス処理装置(GPU)を統合することができ、GPUは、ディスプレイに表示する必要があるコンテンツをレンダリング及び描画するように構成される。いくつかの実施形態では、プロセッサ1901は、人工知能(AI)プロセッサをさらに含むことができ、AIプロセッサは、機械学習に関連するコンピューティング演算を処理するように構成される。
【0091】
メモリ1902は、1つ又は複数のコンピュータ可読記憶媒体を含み得、ここで、コンピュータ可読記憶媒体は、非一時的な状態にあり得る。メモリ1902は、高速ランダムアクセスメモリ及び不揮発性メモリ、例えば、1つ又は複数の磁気ディスク記憶装置又はフラッシュメモリ記憶装置をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、メモリ1902内の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、少なくとも1つの命令を記憶するように構成される。
【0092】
いくつかの実施形態では、端末装置3000は、オプションで、周辺装置インターフェース1903及び少なくとも1つの周辺装置を含み得る。プロセッサ1901、メモリ1902、及び周辺装置インターフェース1903は、バス又は信号ケーブルを介して接続され得る。各周辺装置は、バス、信号ケーブル、又は回路基板を介して周辺装置インターフェース1903に接続され得る。具体的には、周辺装置は、カメラアセンブリ1904、無線周波数回路1905、ディスプレイ1906、オーディオ回路1907、位置決めアセンブリ1908、又は電源1909のうちの少なくとも1つを含む。
【0093】
周辺装置インターフェース1903は、入力/出力(I/O)に関連する少なくとも1つの周辺装置をプロセッサ1901及びメモリ1902に接続するように構成され得る。いくつかの実施形態では、プロセッサ1901、メモリ1902、及び周辺装置インターフェース1903は、同じチップ又は同じ回路基板上に統合される。いくつかの他の実施形態では、プロセッサ1901、メモリ1902、及び周辺装置インターフェース1903のうちの任意の1つ又は2つは、別個のチップ又は別個の回路基板上に実装され得る。これは、この実施形態に限定されない。
【0094】
カメラアセンブリ1904は、前述の実施態様で提供されるカメラモジュールを含み得、画像又はビデオを取り込み、取り込んだ画像又はビデオ情報をプロセッサ1901に送信して、画像プレビュー処理又は格納を実行するように構成される。オプションで、カメラアセンブリ1904は、前面カメラ及び背面カメラを含む。通常、前面カメラは端末の前面パネルに配置され、背面カメラは端末の背面に配置される。前面カメラは、本願で提供されるカメラモジュールを使用して、様々なシナリオのズーム要件に適応することができる。通常、複数の背面カメラが存在し得、それぞれがメインカメラ、被写界深度カメラ、広角カメラ、及び長焦点カメラのいずれかであり、メインカメラ及び被写界深度カメラを組み合わせることにより背景のぼかし機能を実現したり、メインカメラ及び広角カメラを組み合わせることによりパノラマ撮影及びバーチャルリアリティ(VR)撮影機能を実現したり、又は別の組合せを使用して撮影機能を実現したりすることができる。全ての背面カメラは、本願で提供されるカメラモジュールを使用することができる。或いは、一部の背面カメラは既存の固定焦点レンズであり、残りの背面カメラは本願で提供されるカメラモジュールである。いくつかの実施形態では、カメラアセンブリ1904は、フラッシュをさらに含み得る。
【0095】
無線周波数回路1905は、無線周波数(RF)信号を受信及び送信するように構成され、無線周波数信号は、電磁信号とも呼ばれる。無線周波数回路1905は、電磁信号を使用して、通信ネットワーク及び別の通信装置と通信する。無線周波数回路1905は、電気信号を送信のための電磁信号に変換するか、又は受信した電磁信号を電気信号に変換する。
【0096】
ディスプレイ1906は、ユーザインターフェース(UI)を表示するように構成される。UIには、グラフ、テキスト、アイコン、ビデオ、及びそれらの任意の組合せを含めることができる。ディスプレイ1906がタッチディスプレイである場合に、ディスプレイ1906は、ディスプレイ1906の表面上又は表面の上でタッチ信号を収集する能力をさらに有する。タッチ信号は、処理のために制御信号としてプロセッサ1901に入力され得る。この場合に、ディスプレイ1906は、仮想ボタン及び/又は仮想キーボードを提供するようにさらに構成され得る。仮想ボタン及び/又は仮想キーボードは、ソフトボタン及び/又はソフトキーボードとも呼ばれる。
【0097】
オーディオ回路1907は、ユーザの音波及び環境の音波を収集し、音波を電気信号に変換し、電気信号を処理のためにプロセッサ1901に入力するか、又は電気信号を無線周波数回路1905に入力して音声通信を実施するように構成される。ステレオ収集又はノイズ低減の目的で、複数のマイクが存在する場合があり、マイクは、端末の異なる部分に別々に配置される。いくつかの実施形態では、オーディオ回路1907は、ヘッドセットジャックをさらに含み得る。
【0098】
位置決めアセンブリ1908は、端末装置の現在の地理的位置を位置決めして、ナビゲーション又はロケーション(位置特定)ベースのサービス(LBS)を実施するように構成される。
【0099】
電源1909は、端末装置内の各構成要素に電力を供給するように構成される。
【0100】
当業者は、図19に示される構造が端末装置の制限を構成するものではなく、端末装置は、図に示されるものよりも多い又は少ないコンポーネントを含むか、又はいくつかのコンポーネントを組み合わせるか、又は異なるタイプのコンポーネント配置を使用することができることを理解し得る。
【0101】
本願の実施形態の説明を明確にするために、無関係の構成要素を参照の添付の図面に示さない場合があり、明確にするために、層及び領域の厚さを誇張する場合があることに留意されたい。本願の実施形態は、特定の値を含むパラメータの例を提供するが、パラメータは、対応する値に正確に等しい必要はないが、許容可能な誤差許容範囲及び設計上の制約内で対応する値に近似され得ることを理解されたい。
【0102】
当業者は、実施形態のステップの全部又は一部が、ハードウェア又は関連するハードウェアに命令するプログラムによって実施され得ることを理解し得る。プログラムは、コンピュータで可読記憶媒体に記憶され得る。記憶媒体は、読取り専用メモリ、磁気ディスク、光ディスク等であり得る。
【0103】
前述の説明は、本願の単なるオプションの実施形態であり、本願を限定することを意図するものではない。本願の精神及び原則から逸脱することなく行われた任意の変更、同等の交換、改良等は、本願の保護範囲に含まれるものとする。
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