IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ミャント インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特許-電気コネクタ 図1
  • 特許-電気コネクタ 図2
  • 特許-電気コネクタ 図3
  • 特許-電気コネクタ 図4
  • 特許-電気コネクタ 図5
  • 特許-電気コネクタ 図6
  • 特許-電気コネクタ 図7
  • 特許-電気コネクタ 図8
  • 特許-電気コネクタ 図9
  • 特許-電気コネクタ 図10
  • 特許-電気コネクタ 図11
  • 特許-電気コネクタ 図12
  • 特許-電気コネクタ 図13
  • 特許-電気コネクタ 図14
  • 特許-電気コネクタ 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/46 20060101AFI20240806BHJP
   H01R 12/77 20110101ALI20240806BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
H01R13/46 A
H01R12/77
H05K1/18 U
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019234674
(22)【出願日】2019-12-25
(65)【公開番号】P2021103657
(43)【公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】518091668
【氏名又は名称】ミャント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡村 智仁
(72)【発明者】
【氏名】エイドリアン、ストラカ
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル、ジェン
(72)【発明者】
【氏名】カルビン、クォック
(72)【発明者】
【氏名】クリス、ライハート
【審査官】長清 吉範
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-18730(JP,A)
【文献】特開平10-134905(JP,A)
【文献】特開2019-121515(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0181729(US,A1)
【文献】特表2018-500066(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/46
H01R 12/77
H05K 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側電気コネクタに接続される電気コネクタであって、
環状部を持つ絶縁性のハウジングと、
前記環状部に設けられた第1の弾性部材と、
前記環状部に設けられた第2の弾性部材と
を備え、
前記第1の弾性部材は、前記環状部の内側面に露出して前記相手側電気コネクタが備える第1の部材と接触する第1の部位を有し、
前記第2の弾性部材は、前記環状部の外側面に露出して前記相手側電気コネクタが備える第2の部材と接触する第2の部位を有し、
前記第1の弾性部材及び第1の部材と、前記第2の弾性部材及び第2の部材との少なくとも一方が電気コンタクトであり、
前記電気コネクタは、導電パターンが形成された布に固定され、
前記第1の弾性部材及び前記第2の弾性部材の少なくとも一方は、前記導電パターンと接触する面を有する端子部を備える
電気コネクタ。
【請求項2】
前記第1の弾性部材及び前記第2の弾性部材のそれぞれは、弾性変形可能な曲げ部を備え、
前記第1の弾性部材の前記曲げ部及び前記第2の弾性部材の前記曲げ部が、前記環状部内に設けられる
請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記第1の部位は、前記第1の部材と係合又は接触し、
前記第2の部位は、前記第2の部材と係合又は接触する
請求項2に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記曲げ部の頂部は、前記環状部の頂部より低い位置にある
請求項2又は3に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記第1の弾性部材及び前記第2の弾性部材は、前記環状部の周方向において互いに異なる位置に設けられる
請求項1から4のいずれか一項に記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記ハウジングは、前記布に挿し込まれる絶縁性のボス部を有する基部をさらに備える請求項に記載の電気コネクタ。
【請求項7】
前記端子部の一方の面が、前記ハウジングの前記基部における前記ボス部を有する面に接触し、
前記端子部の他方の面が、前記布に接触し、
前記端子部には、前記一方の面から前記他方の面まで貫通する貫通孔が形成され、
前記ボス部は前記貫通孔を貫通する
請求項に記載の電気コネクタ。
【請求項8】
前記ハウジングの前記基部との間で前記布を挟み込む絶縁性のプレート
をさらに備え、
前記プレートには、前記ボス部が貫通する貫通孔が形成されている
請求項又はに記載の電気コネクタ。
【請求項9】
前記ボス部は、前記プレートが備える前記貫通孔から突き出た部分が前記プレートに熱溶着又は熱圧着によって固定されている
請求項に記載の電気コネクタ。
【請求項10】
前記相手側電気コネクタ
をさらに備える請求項1からのいずれか一項に記載の電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び2には、スナップボタン型電気コネクタ対が開示されている。特許文献3には、コネクタを接続するための基板を繊維基材に取り付ける技術が開示されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特許2019-121512号公報
[特許文献2]特許2019-121515号公報
[特許文献3]国際公開第2019/134031号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電気コネクタにおいて、相手側電気コネクタと嵌合させる場合に、電気コネクタが備える電気コンタクトが、相手側電気コネクタの想定外の部位と接触してしまい、電気コンタクトが変形したり破壊されたりする場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、電気コネクタが提供される。電気コネクタは、相手側電気コネクタに接続される。電気コネクタは、環状部を持つ絶縁性のハウジングを備える。電気コネクタは、記環状部に設けられた第1の弾性部材を備える。電気コネクタは、環状部に設けられた第2の弾性部材を備える。第1の弾性部材は、環状部の内側面に露出して相手側電気コネクタが備える第1の部材と接触する第1の部位を有する。第2の弾性部材は、環状部の外側面に露出して相手側電気コネクタが備える第2の部材と接触する第2の部位を有する。第1の弾性部材及び第1の部材と、第2の弾性部材及び第2の部材との少なくとも一方が電気コンタクトである。
【0005】
第1の弾性部材及び第2の弾性部材のそれぞれは、弾性変形可能な曲げ部を備えてよい。第1の弾性部材の曲げ部及び第2の弾性部材の曲げ部が、環状部内に設けられてよい。
【0006】
第1の部位は、第1の部材と係合又は接触してよい。第2の部位は、第2の部材と係合又は接触してよい。
【0007】
曲げ部の頂部は、環状部の頂部より低い位置にあってよい。
【0008】
第1の弾性部材及び第2の弾性部材は、環状部の周方向において互いに異なる位置に設けられてよい。
【0009】
電気コネクタは、導電パターンが形成された布に固定されてよい。第1の弾性部材及び第2の弾性部材の少なくとも一方は、導電パターンと接触する面を有する端子部を備えてよい。
【0010】
ハウジングは、布に挿し込まれる絶縁性のボス部を有する基部をさらに備えてよい。端子部の一方の面が、ハウジングの基部におけるボス部を有する面に接触してよい。端子部の他方の面が、布に接触してよい。端子部には、一方の面から他方の面まで貫通する貫通孔が形成されてよい。ボス部は貫通孔を貫通してよい。
【0011】
電気コネクタは、ハウジングの基部との間で布を挟み込む絶縁性のプレートをさらに備えてよい。プレートには、ボス部が貫通する貫通孔が形成されていてよい。
【0012】
ボス部は、プレートが備える貫通孔から突き出た部分がプレートに熱溶着又は熱圧着によって固定されてよい。
【0013】
相手側電気コネクタをさらに備えてよい。
【0014】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態におけるレセプタクル100の斜視図である。
図2】レセプタクル100の上面図である。
図3】プラグ200の斜視図を示す。
図4】プラグ200の上面図である。
図5】レセプタクル100とプラグ200とが嵌合した状態の斜視図である。
図6】レセプタクル100にプラグ200を嵌合させた状態の断面図である。
図7図6のC部の拡大図である。
図8】外側コンタクト120の斜視図である。
図9】外側コンタクト120の斜視図である。
図10】レセプタクル100にプラグ200を嵌合させた状態の断面図である。
図11】内側導電性弾性部材110の斜視図である。
図12】レセプタクル100の水平断面図である。
図13】レセプタクル本体部101の単体の斜視図である。
図14】レセプタクル本体部101に布190及びプレート150を組み付けた状態を示す側面図である。
図15】レセプタクル100の変形例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。なお、図面において、同一または類似の部分には同一の参照番号を付して、重複する説明を省く場合がある。
【0017】
図1は、一実施形態におけるレセプタクル100の斜視図である。図2は、レセプタクル100の上面図である。図1及び図2は、布190に装着された状態のレセプタクル100を示す。布190には、導電パターンが形成されている。
【0018】
レセプタクル100は、電気コネクタの一例である。レセプタクル100は、ハウジング102と、内側導電性弾性部材110aと、内側導電性弾性部材110bと、外側コンタクト120aと、外側コンタクト120bと、外側コンタクト120cと、外側コンタクト120dとを備える。なお、内側導電性弾性部材110a及び内側導電性弾性部材110bを「内側導電性弾性部材110」と総称する場合がある。なお、外側コンタクト120a、外側コンタクト120b、外側コンタクト120c、及び外側コンタクト120dを、「外側コンタクト120」と総称する場合がある。
【0019】
布190には、導電パターンが形成されている。外側コンタクト120は、布190に形成された導電パターンが電気的に接続される。布190は、ハウジング102の下面側に設けられる。なお、本実施形態において「上面」、「下面」、「上下方向」等の上下関係を示す用語は、ハウジング102の布190側の面を下面とし、ハウジング102の反対側の面を上面とみなした場合の向きを表す。本実施形態において上下関係を示す用語は、鉛直方向の上下関係とは無関係である。
【0020】
ハウジング102は、絶縁性の部材である。ハウジング102は、樹脂で形成される。ハウジング102は、環状部104と、基部106とを有する。環状部104は、キー部130a、キー部130b、及びキー部130cを備える。基部106の少なくとも一部は布190に接触する。
【0021】
内側導電性弾性部材110及び外側コンタクト120は、環状部104に固定される。内側導電性弾性部材110は「第1の弾性部材」の一例である。外側コンタクト120は「第2の弾性部材」の一例である。
【0022】
なお、図2に示されるように、内側導電性弾性部材110a、内側導電性弾性部材110b、外側コンタクト120a、外側コンタクト120b、外側コンタクト120c、及び外側コンタクト120dは、環状部104の周方向において互いに異なる位置に設けられる。つまり、環状部104の中心を中心として内側導電性弾性部材110の径方向外方向側には、いずれの外側コンタクト120も存在しない。これにより、環状部104の厚みを薄くすることができる。
【0023】
図3は、プラグ200の斜視図を示す。図4は、プラグ200の上面図である。図3及び図4は、布290に装着された状態のプラグ200を示す。
【0024】
レセプタクル100は、プラグ200に接続される。プラグ200は、相手側電気コネクタの一例である。プラグ200は、ハウジング202と、外側コンタクト220aと、外側コンタクト220bと、外側コンタクト220cと、外側コンタクト220dとを備える。なお、外側コンタクト220a、外側コンタクト220b、外側コンタクト220c、及び外側コンタクト220dを、「外側コンタクト220」と総称する場合がある。
【0025】
布290には、導電パターンが形成されている。外側コンタクト220は、布290に形成された導電パターンが電気的に接続される。
【0026】
ハウジング202は、樹脂で形成される。ハウジング202は、内側ピン210と、環状部204とを有する。環状部204は内側ピン210を囲う。外側コンタクト220は、環状部204に固定される。内側ピン210は、「第1の部材」の一例である。外側コンタクト220は、「第2の部材」の一例である。
【0027】
環状部204は、キー部230a、キー部230b、及びキー部230cを備える。環状部204の底部は、布290に接触する。レセプタクル100とプラグ200とは、少なくともレセプタクル100のキー部130a、キー部130b及びキー部130cが、それぞれプラグ200のキー部230a、キー部230b及びキー部230cに嵌合する。これにより、レセプタクル100とプラグ200は、特定の向きで嵌合する。
【0028】
図5は、レセプタクル100とプラグ200とが嵌合した状態の斜視図である。図5は、レセプタクル100の底部が見える方向から見た場合の電気コネクタ組立体の斜視図である。図6は、レセプタクル100にプラグ200を嵌合させた状態の断面図である。図6は、図5のAA線に沿って上下方向に切断した断面図である。図7は、図6のC部の拡大図である。図8及び図9は、外側コンタクト120の斜視図である。
【0029】
まず、図8及び図9を参照して、外側コンタクト120の構造を説明する。外側コンタクト120は、板状の金属部材を加工することによって形成される。図8及び図9に示されるように、外側コンタクト120は、端子部126と、曲げ部122と、コンタクト部124と、固定部121とを備える。固定部121は、環状部104に形成された切り欠きに係合して、外側コンタクト120を環状部104に固定する。端子部126には、端子部126の上面125から下面128まで貫通する貫通孔127が形成されている。端子部126は、端子部126の下面128から突出する突起129を備える。
【0030】
外側コンタクト120は、曲げ部122を頂点に折り返した形状を持つ。また、外側コンタクト120は、金属部材の曲げ部122によって形成されたコンタクト部124を備える。コンタクト部124は、金属部材の曲げ部によって形成された凸形状を有する。コンタクト部124は、環状部104の外側面109から露出して、外側コンタクト220と接触する「第2の部位」の一例である。
【0031】
なお、本実施形態において、外側コンタクト120aの「端子部126」、「曲げ部122」、「コンタクト部124」及び「固定部121」の各部位に、符号「a」を付与して説明する場合がある。外側コンタクト120b、外側コンタクト120c、及び外側コンタクト120dについても同様に、外側コンタクト120が備える上記の部位にそれぞれ符号「b」、「c」及び「d」を付与して説明する場合がある。
【0032】
図6及び図7に示されるように、曲げ部122aは、ハウジング102の頂部103より低い位置に存在する。また、コンタクト部124aは、ハウジング102の外側に向かって凸形状を持つように設けられ、環状部104の外側面109に露出する。コンタクト部124aは、曲げ部122aより外側に位置する。したがって、外側コンタクト120aは、コンタクト部124aに加えられる外から内側に向かう力に対に対して弾性変形可能となる。これにより、コンタクト部124aは、プラグ200の外側コンタクト220aに接触した状態を維持することができる。
【0033】
同様に、曲げ部122cは、ハウジング102の頂部103より低い位置に存在する。また、コンタクト部124cは、ハウジング102の外側に向かって凸形状を持つように設けられ、環状部104の外側面109に露出する。コンタクト部124cは、曲げ部122cより外側に位置する。したがって、外側コンタクト120cは、コンタクト部124cに加えられる外側から内側に向かう力に対に対して弾性変形可能となる。これにより、コンタクト部124cは、プラグ200の外側コンタクト220cに接触した状態を維持することができる。
【0034】
なお、図6には示されていないが、外側コンタクト120a及び外側コンタクト120cと同様に、外側コンタクト120bの曲げ部122b及び外側コンタクト120dの曲げ部122dは、ハウジング102の頂部103より低い位置に存在する。また、コンタクト部124b及びコンタクト部124dは、ハウジング102の外側に向かって凸形状を持つように設けられ、環状部104の外側面109に露出する。外側コンタクト120b及び外側コンタクト120dは、それぞれコンタクト部124b及びコンタクト部124dに加えられる外側から内側に向かう力に対に対して弾性変形可能となる。これにより、コンタクト部124b及びコンタクト部124dは、それぞれプラグ200の外側コンタクト220b及び外側コンタクト220dに接触した状態を維持することができる。
【0035】
上述したように、外側コンタクト120の曲げ部122は、ハウジング102の頂部103より低い位置にある。これにより、レセプタクル100にプラグ200を嵌合させる場合に、外側コンタクト120にプラグ200の想定外の部位が接触することを抑制することができる。そのため、外側コンタクト120がプラグ200の想定外の部位が接触して塑性変形したり破壊されたりすることを抑制することができる。
【0036】
なお、図7に示されるように、レセプタクル100は、ハウジング102の基部106と絶縁性のプレート150との間で布190を挟み込むことにより、布190に装着される。
【0037】
ハウジング102の基部106からは、ボス部107が突出している。ボス部107は、布190に挿し込まれる絶縁性の部材である。外側コンタクト120aの端子部126aには、貫通孔127aが形成されている。またプレート150には、貫通孔157が形成されている。ボス部107は、外側コンタクト120aの貫通孔127aを通過し、布190を突き刺して、貫通孔157を通過して、プレート150から突出する。後述するように、ボス部107が熱溶着又は熱圧着されることによってプレート150に固定される。
【0038】
布190には、導電パターンが形成されている。外側コンタクト120aは、布190に形成された導電パターンと接触する下面128aを有する。上述したように、外側コンタクト120aの下面128aには、突起129aが形成されている。したがって、突起129aは、布190に形成された導電パターンに強く押しつけられる。これにより、布190に形成された導電パターンと外側コンタクト120aとの間の電気接続性を高めることができる。
【0039】
なお、ボス部107は、ハウジング102の基部106において、外側コンタクト120a以外の外側コンタクト120b、外側コンタクト120c、及び外側コンタクト120dの貫通孔127に整合する位置に設けられる。このように、ハウジング102は、少なくとも外側コンタクト120と布190とが接触する領域にボス部107を有する。そして、それぞれの外側コンタクト120の端子部126の上面125が、ハウジング102の基部106におけるボス部107を有する面に接触する。また、それぞれの外側コンタクト120の端子部126の下面128が、布190に接触する。そして、それぞれの外側コンタクト120には、上面125から下面128まで貫通する貫通孔127が形成されており、ボス部107は貫通孔127を貫通して、布190に刺し込まれている。
【0040】
図10は、レセプタクル100にプラグ200を嵌合させた状態の断面図である。図10は、図5のBB線に沿って上下方向に切断した断面図である。図11は、内側導電性弾性部材110の斜視図である。
【0041】
まず、図11を参照して、内側導電性弾性部材110の構造を説明する。内側導電性弾性部材110は、板状の金属部材を加工することによって形成される。図11に示されるように、内側導電性弾性部材110は、曲げ部112と、係合部114と、固定部111とを備える。固定部111は、環状部104の内側に形成された切り欠きに係合して、内側導電性弾性部材110を環状部104に固定する。
【0042】
内側導電性弾性部材110は、曲げ部112を頂点に折り返した形状を持つ。また、内側導電性弾性部材110の係合部114は、金属部材の曲げ部112によって形成される。係合部114は、凸形状を有する。係合部114は、環状部104の内側面108から露出して、内側ピン210と接触する「第1の部位」の一例である。
【0043】
なお、本実施形態において、内側導電性弾性部材110aの「曲げ部112」、「係合部114」及び「固定部111」の各部位に、符号「a」を付与して説明する場合がある。同様に、内側導電性弾性部材110bの「曲げ部112」、「係合部114」及び「固定部111」の各部位に、符号「b」を付与して説明する場合がある。
【0044】
図10に示されるように、内側導電性弾性部材110aの係合部114aは、曲げ部112aより内側に位置する。したがって、内側導電性弾性部材110aは、係合部114aに加えられる内側から外側に向かう力に対に対して弾性変形可能となる。これにより、係合部114aは、プラグ200の内側ピン210に係合する。同様に、内側導電性弾性部材110bの係合部114bは、曲げ部112bより内側に位置する。これにより、内側導電性弾性部材110bは、係合部114bに加えられる内側から外側に向かう力に対に対して弾性変形可能となる。これにより、係合部114bは、プラグ200の内側ピン210に係合する。
【0045】
ここで、図10に示されるように、内側導電性弾性部材110の曲げ部112は、ハウジング102の頂部103より低い位置にある。これにより、レセプタクル100にプラグ200を嵌合させる場合に、内側導電性弾性部材110にプラグ200の想定外の部位が接触することによって内側導電性弾性部材110が塑性変形したり破壊されたりすることを抑制することができる。
【0046】
図12は、レセプタクル100の水平断面図である。図12は、図10のDD線を含み上下方向に直交する方向に切断した場合のレセプタクル100の断面図である。
【0047】
内側導電性弾性部材110の曲げ部112は、環状部104の内側面108より外側、すなわち環状部104の内部側に位置する。また、曲げ部112は、環状部104の外側面109より内側に位置する。また、外側コンタクト120の曲げ部122は、環状部104の外側面109より内側に位置し、かつ、環状部104の内側面108より外側に位置する。
【0048】
このように、内側導電性弾性部材110の曲げ部112及び外側コンタクト120の曲げ部122が、環状部104内に設けられる。つまり、曲げ部112及び曲げ部122が、環状部104の内側面108と外側面109との間に設けられる。これにより、内側導電性弾性部材110の曲げ部112及び外側コンタクト120の曲げ部122は、環状部104によってカバーされる。これにより、レセプタクル100にプラグ200を嵌合させる場合に、内側導電性弾性部材110及び外側コンタクト120がプラグ200の想定外の部位が接触することによって塑性変形したり破壊されたりすることを抑制することができる。
【0049】
図13は、レセプタクル本体部101の単体の斜視図である。レセプタクル本体部101は、レセプタクル100を構成する部品のうちプレート150以外の部分である。図14は、レセプタクル本体部101に布190及びプレート150を組み付けた状態を示す側面図である。
【0050】
上述したように、レセプタクル本体部101において、ハウジング102の基部106から、外側コンタクト120の端子部126の貫通孔127を貫通して複数のボス部107が突出している。
【0051】
図14に示されるように、レセプタクル本体部101に布190、及びプレート150を組み付けた場合に、ボス部107の先端部がプレート150の下面152から突出する。この状態で、プレート150から突出したボス部107の先端部に熱プレート1400を押し当てる。これにより、ボス部107の先端部が熱によって溶解してプレート150に接着される。このように、ボス部107は、プレート150から突き出た部分が熱溶着によってプレート150に固定されている。
【0052】
なお、ボス部107の先端部が熱によって塑性変形することによってプレート150に固定されてもよい。例えば、ボス部107は、プレート150から突き出た部分が熱圧着によって塑性変形することによってプレート150に固定されてよい。
【0053】
以上に説明した実施形態では、外側コンタクト120が電気コンタクトとして機能する一方、内側導電性弾性部材110は電気コンタクトとしては機能せず、レセプタクル100とプラグ200とを嵌合させる機能を提供する。しかし、外側コンタクト120に加えて内側導電性弾性部材110も、電気コンタクトとして機能してよい。例えば、プラグ200の内側ピン210の表面に、インサート成形等によって、布290に形成された電極パターンに電気的に接続される電極を形成してよい。そして、レセプタクル100の内側導電性弾性部材110を、外側コンタクト120と同様の接続構造によって、導電性パターンに電気的に接続させてよい。なお、プラグ200の内側ピン210を互いに絶縁された2つの電極を形成することによって、内側導電性弾性部材110a及び内側導電性弾性部材110bを2つの電気コンタクトとして機能させてよい。
【0054】
なお、布190は、衣服や下着等の一部を形成してよい。布190には、導電糸を布190に織り込むことによって導電パターンが形成されてよい。導電パターンは、布190に付着されていてもよい。例えば、導電パターンは、導電性インクを布190に印刷することによって布190に形成されてよい。布190と同様に、布290は、衣服や下着等の一部を形成してよい。また、導電パターンが形成されてよい。電気コネクタにより、布190と布290との間で、電気信号又は電力を相互に伝達することができる。
【0055】
図15は、レセプタクル100の変形例の断面を示す。図14は、外側コンタクト120aと布190との接触する部分の断面図である。外側コンタクト120aは、ハトメ金具1500によって、プレート150に固定されるとともに、布190に形成された導電パターンに電気的に接続される。例えば、外側コンタクト120の端子部126の貫通孔127からハトメ金具1500を挿入して、プレート150の下面152から突出したハトメ金具1500を治具で変形させることによって、外側コンタクト120aをプレート150に固定する。他の外側コンタクト120も同様に、ハトメ金具1500によって、プレート150に固定してよい。
【0056】
以上に説明したレセプタクル100によれば、ハウジング102を絶縁体として、内側導電性弾性部材110や外側コンタクト120a等の電極をハウジング102に独立して配置する。これにより、レセプタクル100が有するコンタクトを多極化しつつ、プラグ200をレセプタクル100に嵌合させる場合に、レセプタクル100が備える電気コンタクト等の部材が、プラグ200の想定外の部位と接触して変形されたり破壊されたりすることを抑制することができる。上述したレセプタクル100が備える接続構造は、必ずしもレセプタクルに限られず、様々な接続構造を持つ電気コネクタを適用できる。上述したレセプタクル100が備える接続構造は、布に装着される電気コネクタ以外の電気コネクタにも適用可能である。
【0057】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、技術的に矛盾しない範囲において、特定の実施形態について説明した事項を、他の実施形態に適用することができる。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0058】
100 レセプタクル
101 レセプタクル本体部
102 ハウジング
103 頂部
104 環状部
106 基部
107 ボス部
108 内側面
109 外側面
110 内側導電性弾性部材
111 固定部
112 曲げ部
114 係合部
120 外側コンタクト
121 固定部
122 曲げ部
124 コンタクト部
125 上面
126 端子部
127 貫通孔
128 下面
129 突起
130 キー部
150 プレート
152 下面
157 貫通孔
190 布
200 プラグ
202 ハウジング
204 環状部
210 内側ピン
220 外側コンタクト
230 キー部
290 布
1400 熱プレート
1500 ハトメ金具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15