(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】電動オートバイのためのスイングアーム同心モーター駆動
(51)【国際特許分類】
B62M 7/02 20060101AFI20240806BHJP
B62J 25/06 20200101ALI20240806BHJP
B62M 7/12 20060101ALI20240806BHJP
H02K 7/10 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
B62M7/02 C
B62J25/06
B62M7/12
H02K7/10 D
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019237574
(22)【出願日】2019-12-27
【審査請求日】2022-12-21
(32)【優先日】2019-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523044769
【氏名又は名称】ライブワイヤー イーブイ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ライティンガー,サムエル ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】コンケル,エリック
(72)【発明者】
【氏名】ゲイルス,マーク
(72)【発明者】
【氏名】テド,ジャレド ピーター
【審査官】宇佐美 琴
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0168172(US,A1)
【文献】実開昭51-080848(JP,U)
【文献】特開2012-101679(JP,A)
【文献】特開2013-071717(JP,A)
【文献】国際公開第2012/090243(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0213632(US,A1)
【文献】特開2006-096117(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 6/55, 7/02- 7/06, 7/12,23/02
B62K 11/00-11/14,25/20
B62J 25/00-25/08
H02K 7/00- 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オートバイであって、
モーター軸を定義する出力シャフトを有する電気モーターと、
当該オートバイを推進するために前記電気モーターに駆動されるよう連結される後輪と、
前記後輪を回転可能に支持するスイングアームと、
前記電気モーター及び前記スイングアームを支持するメインフレーム部材を含むフレームであって、前記電気モーターのケースは、該メインフレーム部材と前記スイングアームとの間における該フレームのストレスメンバーである、フレームと、
を含み、
前記スイングアームは前記電気モーターのケースに連結されて、前記モーター軸と同軸のスイングアーム枢動軸を定義し、
前記メインフレーム部材はバックボーン及びフロントダウンチューブを含み、該バックボーン及び該フロントダウンチューブは前記電気モーターのケースの外周に独立して固定さ
れ、
前記電気モーターの回転子は、該回転子のそれぞれ端部にポケットがそれぞれ形成される「I」字状の断面形状を有し、前記オートバイは、前記電気モーターのケース内で前記回転子を支持する第1のベアリング及び第2のベアリングをさらに含み、該第1のベアリング及び該第2のベアリングは、前記回転子の前記ポケット内にそれぞれネストされる、オートバイ。
【請求項2】
前記出力シャフトの端部は前記電気モーターのケースの外に出て、エンドレス駆動部材により前記後輪の被駆動スプロケットに連結される駆動スプロケットを該端部の上で固定された関係で支持する、請求項1に記載のオートバイ。
【請求項3】
エンドレス駆動部材を介して前記後輪を駆動するための駆動スプロケットが、前記スイングアームの外側の位置で前記モーター軸に沿って位置している、請求項1に記載のオートバイ。
【請求項4】
前記スイングアームの前端は、前記モーター軸上にスイングアームピボットを形成するために、それぞれのベアリングにより前記電気モーターのケースに連結される左側及び右側を含む、請求項1に記載のオートバイ。
【請求項5】
前記それぞれのベアリングは、前記スイングアームの前端に締結されるベアリングクランプによりそれぞれ取り囲まれている、請求項4に記載のオートバイ。
【請求項6】
前記第1のベアリングは、駆動スプロケットを有する駆動側から離れており、前記第2のベアリングは該駆動側に隣接し、前記第2のベアリングの前記枢動軸沿いの寸法は、前記第1のベアリングの同様に測定される寸法よりも大きい、請求項
1に記載のオートバイ。
【請求項7】
前記電気モーターのケースに依存する一組のフットサポートをさらに含む、請求項1に記載のオートバイ。
【請求項8】
オートバイであって、
当該オートバイを推進するために動作する電気モーターであって、該電気モーターの回転子を取り囲む該電気モーターのケースは、当該オートバイのフレームストレスメンバーである、電気モーターと、
前記電気モーターにより回転可能な駆動スプロケットと、当該オートバイの後輪に連結される被駆動スプロケットと、該駆動スプロケットと該被駆動スプロケットとの間で広がるエンドレス駆動部材とを含むドライブトレインと、
前記後輪を支持するスイングアームと、
を含み、
前記オートバイ上にある前記スイングアームの枢動軸は、前記駆動スプロケット及び前記電気モーターの回転子双方の軸でもあり、
前記回転子は、該回転子のそれぞれ端部にポケットがそれぞれ形成される「I」字状の断面形状を有し、前記オートバイは、前記電気モーターのケース内で前記回転子を支持する第1のベアリング及び第2のベアリングをさらに含み、該第1のベアリング及び該第2のベアリングは、前記回転子の前記ポケット内にそれぞれネストされる、オートバイ。
【請求項9】
前記駆動スプロケットは前記電気モーターの出力シャフト上に取り付けられる、請求項
8に記載のオートバイ。
【請求項10】
前記駆動スプロケットは、前記スイングアームの外側の位置で前記枢動軸に沿って位置している、請求項
8に記載のオートバイ。
【請求項11】
前記スイングアームの前端は、前記枢動軸上にスイングアームピボットを形成するために、それぞれのベアリングにより前記電気モーターのケースに連結される左側及び右側を含む、請求項
8に記載のオートバイ。
【請求項12】
ぞれぞれの前記スイングアームピボットを形成する前記それぞれのベアリングは、前記スイングアームの前端に締結されるベアリングクランプによりそれぞれ取り囲まれている、請求項
11に記載のオートバイ。
【請求項13】
前記第1のベアリングは前記駆動スプロケットから離れており、前記第2のベアリングは前記駆動スプロケットに隣接し、前記第2のベアリングの前記枢動軸沿いの寸法は、前記第1のベアリングの同様に測定される寸法よりも大きい、請求項
8に記載のオートバイ。
【請求項14】
前記電気モーターのケースに依存する一組のフットサポートをさらに含む、請求項
8に記載のオートバイ。
【請求項15】
オートバイであって、
モーター軸を定義する出力シャフトを有する電気モーターと、
当該オートバイを推進するために前記電気モーターに駆動されるよう連結される後輪と、
前記後輪を回転可能に支持するスイングアームと、
前記電気モーター及び前記スイングアームを支持するメインフレーム部材を含むフレームであって、前記電気モーターのケースは、該メインフレーム部材と前記スイングアームとの間における該フレームのストレスメンバーである、フレームと、
を含み、
前記スイングアームは前記電気モーターのケースに連結されて、前記モーター軸と同軸のスイングアーム枢動軸を定義し、
前記電気モーターの回転子は、該回転子のそれぞれ端部にポケットがそれぞれ形成される「I」字状の断面形状を有し、前記オートバイは、前記電気モーターのケース内で前記回転子を支持する第1のベアリング及び第2のベアリングをさらに含み、該第1のベアリング及び該第2のベアリングは、前記回転子の前記ポケット内にそれぞれネストされる、オートバイ。
【請求項16】
前記第1のベアリングは、駆動スプロケットを有する駆動側から離れており、前記第2のベアリングは該駆動側に隣接し、前記第2のベアリングの前記枢動軸沿いの寸法は、前記第1のベアリングの同様に測定される寸法よりも大きい、請求項
15に記載のオートバイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年1月7日に出願された米国仮特許出願第62/789302号の優先権を主張する。該仮特許出願の内容全体は、参照により本願に組み込まれる。
【0002】
本発明は車両に関し、より具体的にはスイングアームリヤサスペンション及び電力駆動モーターを有するオートバイに関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一態様では、本発明は、オートバイであって、モーター軸を定義する出力シャフトを有する電気モーターと、当該オートバイを推進するために前記電気モーターに駆動されるよう連結される後輪と、後輪を回転可能に支持するスイングアームと、フレームとを含むオートバイを提供する。フレームは電気モーター及びスイングアームを支持するメインフレーム部材を含む。電気モーターのケースは、該メインフレーム部材と前記スイングアームとの間における該フレームのストレスメンバーである。スイングアームは電気モーターのケースに連結されて、モーター軸と同軸のスイングアーム枢動軸を定義する。
【0004】
別の態様では、本発明は、オートバイであって、当該オートバイを推進するために動作する電気モーターであって、該電気モーターの回転子を取り囲む該電気モーターのケースは、当該オートバイのフレームストレスメンバーである、電気モーターを含むオートバイを提供する。オートバイのドライブトレインは電気モーターにより回転可能な駆動スプロケットと、当該オートバイの後輪に連結される被駆動スプロケットと、該駆動スプロケットと該被駆動スプロケットとの間で広がるエンドレス駆動部材とを含む。スイングアームは後輪を支持し、当該オートバイ上にあるスイングアームの枢動軸は、駆動スプロット及び電気モーターの回転子双方の軸でもある。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るオートバイの斜視図である。
【
図4】
図4は、モーター、フレーム及びスイングアームを含む
図1のオートバイの一部の斜視図である。
【
図5】
図5は、
図4に示すオートバイの部分の分解組立図である。
【
図6】
図6は、
図3の線6-6に沿ったオートバイの断面である。
【
図7】
図7は、
図6の断面から取られたモーターの出力側の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の態様を詳細に説明する前に、本発明はその適用において、以下の説明に記載の又は以下の図面に示す構成要素の構成及び配置の詳細に限定されない。本発明は他の実施形態も可能であり、様々な方法で実施するか又は行うことができる。
【0007】
図1は、本開示の一実施形態に係るオートバイ20を示す。オートバイ20は前輪22、後輪24(例えば、1つの前輪22と、1つの軌道を定義するために前輪22と一直線に配置される1つの後輪24と)を含む。オートバイ20はメインフレーム28を有するフレーム構造を含む。フロントフォーク32は前輪22をメインフレーム28の前で支持する。フロントフォーク32は、メインフレーム28のヘッドチューブ(head tube)36に回転可能に連結されている。運転手がフロントフォーク32及び前輪22の向きを制御することができるようにハンドルバー40がフロントフォーク32に連結されている。リアスイングアーム44は、後輪24がリアスイングアーム44内で回転できるように支持し、リアスイングアーム44は、後輪24及びスイングアーム44が共にメインフレーム28に対して軸Aを中心に枢動サスペンション動作(pivoting suspension movement)できるようにする(
図4)。軸Aでの枢動支持に加えて、スイングアーム44は(例えばコイルバネ及び油圧ダンパーを含む)ショックアブゾーバーユニット46を介してメインフレーム28に連結されている。オートバイ20は、少なくとも1つのシート48(例えば、オペレータ及び任意で後部同乗者のためのサドルシート)と、少なくとも一組のフットサポート50(例えば、横方向に延びるフットペグ)とをさらに含む。
【0008】
図示のように、オートバイ20は、電力貯蔵部54(例えばバッテリーパック)と、電力貯蔵部54に電気的に連結される電気モーター58とを含む電気パワートレインにより駆動される電動オートバイであり、オートバイ20を駆動するために電力貯蔵部54からの貯蔵電気エネルギーが回転運動エネルギーに変換される。図示のように、モーター58は、駆動スプロケット66(
図4)と、後輪24にしっかりと固定される被駆動スプロケット68との周りに巻き付けられる環状体の形態のエンドレス駆動部材62(例えばベルト又はチェーン)を介して後輪24に動力を与える。以下でさらに詳細に説明するように、エンドレス駆動部材62を駆動する駆動スプロケット66は、軸Aを中心に回転するように配置されている。また、駆動スプロケット66は、軸Aを中心に電気モーター58の出力シャフト70と一体的に回転するように固定されている。そのため、オートバイ20には、電気モーター58と駆動スプロケット66との間のマルチスピードトランスミッションが設けられておらず、ギアボックスも設けられていない。これは、電気モーター58を高トルク密度の高極数モーターとして提供することによりさらに促進され得る。
【0009】
とりわけ
図4及び
図5を参照して、電気モーター58は、主部材としてメインフレーム28を含むオートバイフレームの一体的なストレスメンバー(stressed member)を形成する。メインフレーム28は、ヘッドチューブ36から後方且つ下方に延びるバックボーン28Aと、ヘッドチューブ36から後方且つ下方にバックボーン28Aの下で延びるフロントダウンチューブ28Bとを含む。バックボーン28A及びフロントダウンチューブ28Bの双方は、電気モーター58に(例えばその外周で)強固に連結される。バックボーン28A及びフロントダウンチューブ28Bの電気モーター58に接続されている部分は、電気モーター58に別個に接続されるように互いに別れ且つ離間されている。バックボーン28Aは電気モーター58に(例えば、複数のファスナージョイントを用いてモーターの上部に)直接的に連結され、フロントダウンチューブ28Bは(例えば、バックボーン28Aの連結の前方にあるモーター上の位置で中間ブラケット74及び複数の締結具を用いて)電気モーター58に間接的に連結される。メインフレーム28の連結のために、電気モーター58は、
図5に示すように複数のボス76(例えば、モーターの径方向外縁に形成されるとともに軸Aと平行に延びる締結具を受容するように適合されたボス)を備えることができる。しかしながら、図示のボス76に加えて又は代えて、1つ以上の代替的な連結方法を用いることができる。電気モーター58に連結される中間ブラケット74の部分は、離間された左側部分及び右側部分に分岐する。同様に、バックボーン28A及びフロントダウンチューブ28Bの双方の下端も分岐されている。なお、電気モーター58は、例えばその底部において、フットサポート50がメインフレーム28等のフレームの他の部分よりもむしろ電気モーター58に依存する(depend from)ようにフットサポート50のための1つ以上の取り付け場所を提供する。図示のように、フットサポート50は左側フットペグ及び右側フットペグを含み、フットペグ及び右側フットペグは、フットサポート50の間で延びる中央フットサポートブラケット78により互いに連結されるとともに電気モーター58に連結される。
【0010】
次にスイングアーム44に移る。とりわけ
図5~
図7を参照して、スイングアーム44と電気モーター58との間の2つの枢結ジョイントは、モーターの回転子86を収容するために設けられるモーターハウジング又はケース84の円筒状ボス82のそれぞれにより形成される。回転子86は、モーター58が通電された場合に固定子(図示せず)及びモーターケース84に対して回転するように駆動される回転アセンブリであり、例えば永久磁石を含む。ケース84は、組み立てのために、例えば軸Aと平行に合体される複数の部品で形成することができる。いくつかの構造では、モーターケース84は、電力貯蔵部54から電気モーター58に電力を伝えるための電力機器(power electronics)を完全に又は部分的に収容し得る。ボス82は、ケース84の軸方向端面(例えば、平坦なリブ付のプレート)を越えて軸方向に突出するように形成されている。そのため、ボス82は、ケース84の最も幅広の点を形成し得る。
図6及び
図7に示すように、駆動側(図示するように運転手の右側)のボス82は、回転子86を覆うために軸Aから径方向外方に延びるケース84の部分とは別個の挿入体として形成され得るが、他の構成も任意である。出力シャフト70は、駆動側でボス82を通って外に出る。非駆動側(non-drive side)では、図示のボス82は、ケース84の外周へと径方向に延びるケース84の一部と一体的に形成され、回転子86の一部又は全てにわたって横の軸方向(widthwise, axial direction)にも延び得る。各スイングアームジョイントにおいて、スイングアーム44の前側分岐端部90は、それぞれのボス82と(例えば、ローラーベアリング等のベアリング92を介して)連結されている。スイングアームベアリングクランプ94は、スイングアーム44を軸Aに対して適所で維持するために、ベアリング92の外側レースの周りで前側分岐端部90に締結されている。各スイングアームベアリングクランプ94は、
図7に示すように、両側に端部フランジ又は肩部が配置される溝等のスイングアーム44をモーター58に対して適所に配置するための部位を含む。本願で図示及び説明した構成により、スイングアーム44は、回転子86及びモーター58の出力シャフト70の軸である軸Aを中心に、駆動スプロケット66と共にモーターケース84に枢動可能に支持される。後輪24からスイングアーム44への負荷はさらにメインフレーム28に伝達されるが、間接的にしか伝達されない。とりわけ、スイングアーム44における負荷は2つの可能な経路を介して、即ち、ショックアブソーバユニット46を介してメインフレーム28のショックアブソーバマウント28Cに、モーターケース84を介してメインフレーム28に伝達される。
【0011】
駆動側のスイングアームジョイントは、駆動スプロケット66と共に、モーターケース84に固定されるカバー96(
図1及び
図2)によって部分的に又は全体的に隠れているが、
図4~7では明確性のためにカバー96が取り外されている。電気モーター58の直ぐ前の追加のエンクロージャ100(
図1~
図3)は、モーター58に駆動電力信号を供給するための電力機器を収容する。例えば、モーターインバータ、充電器及びDC/DCコンバータのうちの1つ又は任意の組み合わせがエンクロージャ100内に設けられ得る。電力機器エンクロージャ100は、モーター58に連結されて、電子機器が統合されたモータアセンブリ又は電力ユニットを形成する1つ以上の個々の部品により提供できる。
【0012】
図6に示すように、モーター58内の回転子86は軸方向において、その内径部と比べて軸Aから最も遠い外径端で大幅に広くなる断面形状を有する。例えば、回転子86は、軸Aに沿って切断した場合に「I」字状の断面(即ち、
図6のように、軸Aを含む平面に沿った断面)を有し得る。回転子の軸方向に測定した幅Wは、出力シャフト70に固定される回転子86の内側部から径方向の外端に隣接する最も広い点まで4、5又はそれ以上の因数で増加する半径の関数(function of radius)である。
図6に示すように、この形状は大きな空間又はポケットを形成するため、第1のベアリング104及び/又は第2のベアリング106を回転子86内に少なくとも部分的にネストできる(場合によっては完全にネストされる)。第1のベアリング104は、回転子86の駆動側とは反対側に設けられる。第2のベアリング106は、回転子86の駆動側で駆動スプロケット66に隣接して設けられる。第2のベアリング106は、第1のベアリング104よりも大きな定格荷重を有することができる。第2のベアリング106は第1のベアリング104よりも幅が大きく及び/又は内部の回転要素の列の数が多い(例えば一列に対して複数列)構成とすることができる。第1のベアリング104及び第2のベアリング106は、出力シャフト70をケース84に対して支持する唯一のベアリングであり、ボス82の突出部を除いて測定した場合であってもケース84の外側の幅プロファイル(exterior width profile)内にその全体が位置する。一部の構成では、図示のように、ケース84の軸方向端面は、ボス82の径方向外側で平坦であり、第1のベアリング104及び第2のベアリング106は完全にこれらの2つの平坦な軸方向端面の間にある。
図6に示すように、モーター58のためのセンサ108(例えば回転位置センサ)がボス82内の非駆動側に位置する。
【0013】
軸方向において、スイングアーム44の駆動側にある部分は、モーターケース84の隣接する軸方向端面と駆動スプロケット66との間に位置する。即ち、駆動スプロケット66はスイングアーム枢結ジョイントの外側に位置する。駆動スプロケット66とスイングアーム枢結ジョイントとの間にスペーサリング112が軸方向に設けられ得る。スペーサリング112は駆動スプロケット66とスイングアーム枢結ジョイントとの間で軸方向に配置される唯一の部品であり得る。スペーサリング112は出力シャフト70の肩部に当接して、駆動スプロケット66を後輪24上の被駆動スプロケット68との整合のために正しい位置にセットできる。出力シャフト70にねじ込まれるボルト116は、別個のワッシャと共に又は別個のワッシャなしで駆動スプロケット66を出力シャフト70の軸端に固定する。駆動スプロケット66は出力シャフト70と一体的に回転するためにスプライン結合されているか、固定されているか(keyed)、あるはロックされている。
【0014】
上述の構成は、スイングアーム枢動軸と同軸の出力軸Aを有する電動オートバイモーター58を提供する。さらに、スイングアーム44の前端はモーターケース84の支持部(例えば、ボス82)と相互作用し、それらの間にはベアリング92があるだけであるため、スイングアーム44のための別個の枢動シャフトが存在しない。スイングアーム44をモーター出力軸Aと同軸に枢動させることにより、スイングアーム44の運動距離(travel)に亘って駆動スプロケット66と被駆動スプロケット68との間の中心距離の変動が排除されるため、オートバイ20は広範なサスペンショントラベルに適応できる。エンドレス駆動部材62における張力は、サスペンショントラベルに伴って変化しないため、耐久性が改善される一方で、効率のために張力を最適化することができる。
【0015】
本発明の様々な特徴及び利点は、以下の特許請求の範囲に記載されている。
【符号の説明】
【0016】
20 オートバイの
22 前輪
24 後輪
28 メインフレーム
32 フロントフォーク
36 ヘッドチューブ
40 ハンドルバー
44 スイングアーム
46 ショックアブゾーバーユニット
48 シート
50 フットサポート
54 電力貯蔵部
58 電気モーター
62 エンドレス駆動部材
66 駆動スプロケット
68 被駆動スプロケット
70 出力シャフト
74 中間ブラケット
76 ボス
78 中央フットサポートブラケット
82 円筒状ボス
84 モーターケース
86 回転子
92 ベアリング
94 スイングアームベアリングクランプ
100 エンクロージャ
104 第1のベアリング
106 第2のベアリング