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特許7534068レバースイッチ及びオートライト制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】レバースイッチ及びオートライト制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/04 20060101AFI20240806BHJP
   B60Q 1/02 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
B60Q1/04 E
B60Q1/02 D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018195047
(22)【出願日】2018-10-16
(65)【公開番号】P2020062929
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-02-22
【審判番号】
【審判請求日】2022-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】弁理士法人小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土井 啓佑
(72)【発明者】
【氏名】今井 優司
【合議体】
【審判長】一ノ瀬 覚
【審判官】八木 誠
【審判官】北中 忠
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-2370(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0035435(US,A1)
【文献】実開昭57-150041(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q1/00-1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が備えるライトを制御するレバースイッチであって、
レバー本体と、
前記レバー本体の先端部に回転可能に設けられる回転操作子と、を備え、
前記レバー本体には、
ヘッドライト及びスモールライトの常時点灯を指示するライトONスイッチ位置、
車両周囲の照度に基づいて前記ヘッドライト及び前記スモールライトの点灯状態を制御するオートライトモードの設定を指示するオートライトスイッチ位置、及び
前記ヘッドライトの消灯を指示するライトOFFスイッチ位置の順番で、前記回転操作子の操作が可能な回転位置が固定的に設けられており、
前記回転操作子は、前記オートライトスイッチ位置から前記ライトOFFスイッチ位置までの間の位置で回転操作力が無くなると、前記オートライトスイッチ位置に自動的に復帰するモーメンタリ機構を有している、
レバースイッチ。
【請求項2】
請求項1に記載のレバースイッチと、
車両周囲の照度、車両の走行状態、及び前記レバースイッチの前記回転操作子のスイッチ位置の情報を取得し、当該取得した情報に基づいてヘッドライト及びスモールライトの点灯及び消灯を制御する制御部とを備えた、オートライト制御装置であって、
前記制御部は、前記回転操作子が前記オートライトスイッチ位置にあって車両が走行している場合、前記車両周囲の照度が所定値以下になれば前記ヘッドライト及び前記スモールライトを点灯状態にする、
オートライト制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記車両周囲の照度が前記所定値以下であり、かつ前記回転操作子が前記オートライトスイッチ位置にあって、車両が停車状態かつ前記ヘッドライト及び前記スモールライトが点灯状態にあるとき、前記回転操作子が前記ライトOFFスイッチ位置へ回転操作されると前記ヘッドライトを消灯状態にする、
請求項2に記載のオートライト制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記ヘッドライトを消灯状態にした後、前記回転操作子が前記ライトOFFスイッチ位置に保持された状態が所定時間継続した場合、さらに前記スモールライトを消灯状態にする、
請求項3に記載のオートライト制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記車両周囲の照度が前記所定値以下であり、かつ前記回転操作子が前記オートライトスイッチ位置にあって、車両が停車状態かつ前記ヘッドライトが消灯状態であるとき、車両が走行状態になるか又は前記ライトOFFスイッチ位置に保持された状態が所定時間継続しない前記回転操作子の前記ライトOFFスイッチ位置への回転操作が行われると前記ヘッドライト及び前記スモールライトを点灯状態にする、
請求項2に記載のオートライト制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記車両周囲の照度が前記所定値以下であり、かつ前記回転操作子が前記オートライトスイッチ位置にあって、車両が停車状態かつ前記ヘッドライトが消灯状態であるとき、前記ライトOFFスイッチ位置に保持された状態が所定時間継続する前記回転操作子の前記ライトOFFスイッチ位置への回転操作が行われると前記スモールライトを消灯状態にする、
請求項2に記載のオートライト制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記車両周囲の照度が前記所定値以下であり、かつ前記回転操作子が前記オートライトスイッチ位置にあって、前記ヘッドライト及び前記スモールライトが消灯状態であるとき、車両が走行状態になるか又は前記回転操作子が前記ライトOFFスイッチ位置へ回転操作されると前記ヘッドライト及び前記スモールライトを点灯状態にする、
請求項2に記載のオートライト制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が備えるライトを制御するレバースイッチ、及びレバースイッチを含むオートライト制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、夜間に車両が無灯火で走行することを防止する装置が提案されている。この特許文献1に記載された装置では、夜間走行中に信号停止などで一時的にヘッドライトを消灯した場合、その後の発進時にヘッドライトが点灯していなければ警告音を発してドライバーに注意喚起する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平01-148636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された装置では、ヘッドライトが消灯した状態で車両が発進し始めたときに装置から発せられる注意喚起の警告音をドライバーが気付かなければ、ヘッドライトの点灯操作が行われずに無灯火のまま車両が走行してしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、車両が無灯火で走行してしまうことを防止できるライト制御が可能なレバースイッチ及びレバースイッチを含むオートライト制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、車両が備えるライトを制御するレバースイッチであって、レバー本体と、レバー本体の先端部に回転可能に設けられる回転操作子と、を備え、回転操作子には、ヘッドライト及びスモールライトの常時点灯を指示するライトONスイッチ位置、車両周囲の照度に基づいてヘッドライト及びスモールライトの点灯状態を制御するオートライトモードの設定を指示するオートライトスイッチ位置、及びヘッドライトの消灯を指示するライトOFFスイッチ位置、の各スイッチ位置が回転方向に沿って順に設けられており、回転操作子は、オートライトスイッチ位置からライトOFFスイッチ位置までの間の位置で回転操作力が無くなると、オートライトスイッチ位置に自動的に復帰するモーメンタリ機構を有している、レバースイッチである。
【発明の効果】
【0007】
上記本発明のレバースイッチは、操作者によって回転操作子がライトOFFスイッチ位置に操作されても、回転操作子がオートライトスイッチ位置へ自動的に復帰する。よって、ヘッドライトが消された後に車両をオートライト制御状態にできるので、車両の走行に応じてヘッドライトが自動で点灯するため車両が無灯火で走行してしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係るレバースイッチが設けられた車室内の模式図及びレバースイッチの先端部を拡大した図
図2】本実施形態に係るレバースイッチを含むオートライト制御装置の概略構成図
図3】ライトが全灯状態であるときの制御フローチャート
図4】ライトが車幅灯状態であるときの制御フローチャート
図5】ライトが全消状態であるときの制御フローチャート
図6】ライトの点灯/消灯の状態遷移図
図7】オートライトモードにおけるライトの点灯/消灯状態の関係の一覧図
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態>
本発明の車両が備えるライトを制御するレバースイッチは、その先端部に設けられたライトの点灯/消灯を操作する回転操作子(ノブ)が、ライトの消灯を指示するライトOFFスイッチ位置で固定されずにモーメンタリ機構によってオートライトスイッチ位置に自動的に復帰する。従って、ヘッドライトが消されてもその後にオートライト制御状態にできるので、車両の走行に応じてヘッドライトが自動で点灯して車両の無灯火走行を防止できる。
【0010】
以下、本発明の実施形態に係るレバースイッチを図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
[構成]
図1は、本発明の一実施形態に係るレバースイッチ10が設けられた車室内の模式図及びレバースイッチ10の先端部を拡大した図である。図1に例示する右ハンドル車では、本実施形態に係るレバースイッチ10は、車両のステアリングコラム20の右側部にステアリングコラム20から突出して配置される。なお、左ハンドル車については、レバースイッチ10を、右ハンドル車と同様に車両のステアリングコラム20の右側部に配置してもよいし、左右を逆にして車両のステアリングコラム20の左側部に配置してもよい。レバースイッチ10は、レバー本体11及び回転操作子12を備えている。
【0012】
レバー本体11は、棒状の部材であり、車両のステアリングコラム20の右側部に前後上下方向に傾き操作可能に支持されている。このレバー本体11は、その軸を傾けることによって、ヘッドライトの光軸の切り替え又はターンシグナルランプの点灯及び消灯を操作可能に構成されている。例えば、レバー本体11を前方向(操作者から遠ざける方向)に操作することで、ヘッドライトが点灯している場合にはロービームからハイビームに切り替えることができる。また、レバー本体11を後方向(操作者に近付ける方向)に操作することで、操作している間だけヘッドライトをハイビームで点灯させることができる。また、レバー本体11を上方向(ステアリングコラム20の軸を反時計回りの方向)に操作することで、左ターンシグナルランプを動作させることができる。また、レバー本体11を下方向(ステアリングコラム20の軸を時計回りの方向)に操作することで、右ターンシグナルランプを動作させることができる。
【0013】
上述したヘッドライトのロービーム/ハイビームの切り替えやターンシグナルランプの動作は、レバー本体11の操作方向に応じた所定の操作信号(電気信号)がレバースイッチ10から後述する制御部60に出力され、制御部60がレバースイッチ10から受信した操作信号に基づいてヘッドライト及びターンシグナルランプを制御することで実施される。
【0014】
回転操作子12は、レバー本体11の先端部に、レバー本体11の軸周りに回転可能に設けられる。回転操作子12は、レバー本体11に設けられた所定の回転位置に基づいて、ヘッドライト及びスモールライトの点灯及び消灯を操作可能に構成されている。この回転操作子12の回転位置として、図1に示すように、ヘッドライト及びスモールライトの常時点灯を指示するライトONスイッチ位置(HEAD)、車両周囲の照度に基づいてヘッドライト及びスモールライトの点灯状態を制御するオートライトモードを設定するオートライトスイッチ位置(AUTO)、及びヘッドライトの消灯を指示するライトOFFスイッチ位置(OFF)の各スイッチ位置が、回転方向に沿って順に設けられている。
【0015】
回転操作子12は、操作者による回転操作の操作力が無くなっても、ライトONスイッチ位置(HEAD)を保持することができる。回転操作子12がライトONスイッチ位置(HEAD)にある場合、車両周囲の照度(昼間や夜間など)に関わらず、車両のヘッドライト及びスモールライトを全て点灯させる「全灯状態」となる。このライトONスイッチ位置(HEAD)では、回転操作子12は、ライトONスイッチ位置(HEAD)からオートライトスイッチ位置(AUTO)への回転は許容されているが、オートライトスイッチ位置(AUTO)と反対方向の回転は図示しないストッパ機構などによって規制されている。
【0016】
また、回転操作子12は、操作者による回転操作の操作力が無くなっても、オートライトスイッチ位置(AUTO)を保持することができる。回転操作子12がオートライトスイッチ位置(AUTO)にある場合、車両周囲の照度が所定値を超えれば(昼間など)車両のヘッドライト及びスモールライトを全て消灯させる「全消状態」となり、車両周囲の照度が所定値以下であれば、車両のヘッドライト及びスモールライトを全て点灯させる「全灯状態」となる。このオートライトスイッチ位置(AUTO)では、回転操作子12は、オートライトスイッチ位置(AUTO)からライトONスイッチ位置(HEAD)にもライトOFFスイッチ位置(OFF)にも回転が許容されている。
【0017】
一方、回転操作子12は、オートライトスイッチ位置(AUTO)からライトOFFスイッチ位置(OFF)までの間の位置では、操作者による回転操作の操作力が無くなれば、オートライトスイッチ位置(AUTO)に自動的に復帰するように構成されている(図1のA部拡大図における矢印方向に回転)。つまり、回転操作子12は、オートライトスイッチ位置(AUTO)においてモーメンタリ機構を有した構造をしている。モーメンタリ機構は、例えば図示しないばね機構によって、ライトOFFスイッチ位置(OFF)にある回転操作子12に対して、操作者による回転操作が可能な程度の付勢力をオートライトスイッチ位置(AUTO)側へ常時与えておくことで実現可能である。回転操作子12がライトOFFスイッチ位置(OFF)まで回転操作された場合、車両の状態に基づいて、ヘッドライトを消灯させたりさらにスモールライトを消灯させたりする。このライトOFFスイッチ位置(OFF)に基づくライト制御については、後述する。なお、回転操作子12は、オートライトスイッチ位置(AUTO)からライトOFFスイッチ位置(OFF)までの回転操作は可能であるが、それ以上の回転は図示しないストッパ機構などによって規制されている。
【0018】
上述したヘッドライト及びスモールライトの点灯及び消灯は、回転操作子12の回転位置(HEAD、AUTO、OFF)に応じた所定の操作信号(電気信号)がレバースイッチ10から後述する制御部60に出力され、制御部60がレバースイッチ10から受信した操作信号に基づいてヘッドライト及びスモールライトの点灯及び消灯を制御することで実施される。
【0019】
図2は、本実施形態に係るレバースイッチ10を含むオートライト制御装置100の概略構成図である。図2に示すオートライト制御装置100は、レバースイッチ10と、照度センサ30と、車速センサ40と、制御部60と、灯火機器70と、を構成に含んでいる。
【0020】
照度センサ30は、車両周囲の照度を検出することができるセンサである。照度センサ30には、例えばフォトトランジスタやフォトダイオードが用いられる。この照度センサ30は、例えばインストルメントパネルの上部や後部ダッシュボードの上など、ウインドシールドガラスを通して外部光を受光することができる車内の所定位置に設けられる。照度センサ30で検出された照度を示す信号(照度信号)は、制御部60に出力される。
【0021】
車速センサ40は、車両の走行速度(車速)を取得することができるセンサである。この車速センサ40は、トランスミッション(図示せず)の出力軸の回転数を検出するセンサなどを用いることができる。車速センサ40で検出された車速を示す信号(車速信号)は、制御部60に出力される。
【0022】
制御部60は、レバースイッチ10から操作信号を入力し、照度センサ30から照度信号を入力し、車速センサ40から車速信号を入力する。そして、制御部60は、これらの操作信号、照度信号、及び車速信号から得られる車両周囲の照度、車両の走行状態、及びレバースイッチ10の回転操作子12のスイッチ位置の情報に基づいて、車両に設けられたヘッドライト及びスモールライトなどの灯火機器70を制御する。
【0023】
この制御部60の全て又は一部は、典型的には中央演算処理装置(CPU:Central Processing Unit)、メモリ、及び入出力インタフェースを含んだ電子制御ユニット(ECU)として構成され得る。電子制御ユニットでは、メモリに格納されたプログラムをCPUが読み出して実行することによって、以降に説明するオートライト制御の機能が実現される。なお、図2の例では、制御部60を、レバースイッチ10とは独立に構成しているが、レバースイッチ10に組み込んで一体化してもよい。
【0024】
[オートライトモードによる制御]
図3乃至図6をさらに参照して、本実施形態に係るレバースイッチ10を含むオートライト制御装置100によって実施されるオートライトモードによる制御を説明する。図3は、ヘッドライト及びスモールライトが共に点灯(ON)した全灯状態であるときの制御フローチャートである。図4は、ヘッドライトが消灯(OFF)しスモールライトが点灯(ON)した車幅灯状態であるときの制御フローチャートである。図5は、ヘッドライト及びスモールライトが共に消灯(OFF)した全消状態であるときの制御フローチャートである。図6は、図3乃至図5のフローチャートに基づいたヘッドライト及びスモールライトの点灯/消灯の状態遷移図である。
【0025】
回転操作子12がオートライトスイッチ位置(AUTO)にあるときに設定されるオートライトモードによる制御では、車両周囲の照度が予め定められた所定値以下(例えば、夜間やトンネル走行を判断できる値)になれば、原則ヘッドライト及びスモールライトを点灯状態にする。以下の説明では、車両周囲の照度が所定値以下のときに、オートライトモードにおいて上記原則の他に行われるライト制御を説明する。
【0026】
1.全灯状態(図3
ヘッドライトが点灯(ON)かつスモールライトが点灯(ON)した全灯状態で、回転操作子12がオートライトスイッチ位置(AUTO)にある場合には、次の制御が行われる。
【0027】
ステップS31:制御部60は、操作信号に基づいて、回転操作子12をオートライトスイッチ位置(AUTO)からライトONスイッチ位置(HEAD)に回転させる操作(以下「ON操作」という)が行われたか否かを判断する。ON操作が行われた(ON操作あり)場合には、全灯状態が維持される。ON操作が行われていない(ON操作なし)場合には、ステップS32に処理が進む。
【0028】
ステップS32:制御部60は、操作信号に基づいて、回転操作子12をオートライトスイッチ位置(AUTO)からライトOFFスイッチ位置(OFF)に回転させる操作(以下「OFF操作」という)が行われたか否かを判断する。OFF操作が行われていない(OFF操作なし)場合には、全灯状態が維持される。OFF操作が行われた(OFF操作あり)場合には、ステップS33に処理が進む。
【0029】
ステップS33:制御部60は、車速信号に基づいて、車両が走行しているか否かを判断する。この判断は、車両の走行速度(車速)が所定値以上であるか否かで行うことができる。所定値は、車両が完全に停止している0km/hに設定することが望ましい。このようにして車両の停止を判断することによって、車両が無灯火で走行してしまうことを確実に防止することができる。車両が走行している場合には、上記ステップS32のOFF操作が無効とされて全灯状態が維持される。車両が走行していない停車の場合には、ステップS34に処理が進む。
【0030】
ステップS34:制御部60は、操作信号に基づいて、回転操作子12のOFF操作が継続して行われている時間が長いか短いかを判断する。ここで、継続時間が長いか短いかは、予め定めた所定の時間を超えて回転操作子12がライトOFFスイッチ位置(OFF)で保持されているか否かで判断することができる。所定の時間は、任意に設定可能であるが、例えば操作者の操作意思を確認するために十分な時間とすることができる。OFF操作の継続時間が短い場合には、上記ステップS32のOFF操作に応じて全灯状態から車幅灯状態へ遷移させる(図6に示した[A]→[B]の遷移)。OFF操作の継続時間が長い場合には、上記ステップS32のOFF操作に応じて全灯状態から車幅灯状態を経由して全消状態へ遷移させる(図6に示した[A]→[B]→[C]の遷移)。
【0031】
このように、停車時の全灯状態において回転操作子12のOFF操作が長く継続して行われた場合には、まず全灯状態から車幅灯状態へ切り替え(図6の[A]→[B])、さらに車幅灯状態から全消状態へ切り替える(図6の[B]→[C])ことによって、全灯状態から全消状態へ遷移することとなる。なお、停車時の全灯状態において回転操作子12のOFF操作が長く継続して行われた場合には、車幅灯状態を経由することなく長いOFF操作が確定したタイミングで全灯状態から全消状態へ直接切り替えてもよい(図6の点線矢印で示す[A]→[C])。
【0032】
2.車幅灯状態(図4
ヘッドライトが消灯(OFF)かつスモールライトが点灯(ON)した車幅灯状態で、回転操作子12がオートライトスイッチ位置(AUTO)にある場合には、次の制御が行われる。
【0033】
ステップS41:制御部60は、操作信号に基づいて、回転操作子12のON操作が行われたか否かを判断する。ON操作が行われた(ON操作あり)場合には、車幅灯状態から全灯状態へ遷移させる(図6に示した[B]→[A]の遷移)。ON操作が行われていない(ON操作なし)場合には、ステップS42に処理が進む。
【0034】
ステップS42:制御部60は、車速信号に基づいて、車両が走行しているか否かを判断する。この判断は、上述のステップS33と同様である。車両が走行している場合には、無灯火走行を防止するため、車幅灯状態から全灯状態へ遷移させる(図6に示した[B]→[A]の遷移)。車両が走行していない停車の場合には、ステップS43に処理が進む。
【0035】
ステップS43:制御部60は、操作信号に基づいて、回転操作子12のOFF操作が行われたか否かを判断する。OFF操作が行われていない(OFF操作なし)場合には、車幅灯状態が維持される。OFF操作が行われた(OFF操作あり)場合には、ステップS44に処理が進む。
【0036】
ステップS44:制御部60は、操作信号に基づいて、回転操作子12のOFF操作が継続して行われている時間が長いか短いかを判断する。OFF操作の継続時間が長いか短いかの判断は、上述のステップS34と同様である。OFF操作の継続時間が短い場合には、上記ステップS43のOFF操作に応じて車幅灯状態から全灯状態へ遷移させる(図6に示した[B]→[A]の遷移)。OFF操作の継続時間が長い場合には、上記ステップS43のOFF操作に応じて車幅灯状態から全消状態へ遷移させる(図6に示した[B]→[C]の遷移)。
【0037】
3.全消状態(図5
ヘッドライトが消灯(OFF)かつスモールライトが消灯(OFF)した全消状態で、回転操作子12がオートライトスイッチ位置(AUTO)にある場合には、次の制御が行われる。
【0038】
ステップS51:制御部60は、操作信号に基づいて、回転操作子12のON操作が行われたか否かを判断する。ON操作が行われた(ON操作あり)場合には、全消状態から全灯状態へ遷移させる(図6に示した[C]→[A]の遷移)。ON操作が行われていない(ON操作なし)場合には、ステップS52に処理が進む。
【0039】
ステップS52:制御部60は、車速信号に基づいて、車両が走行しているか否かを判断する。この判断は、上述のステップS33と同様である。車両が走行している場合には、無灯火走行を防止するため、全消状態から全灯状態へ遷移させる(図6に示した[C]→[A]の遷移)。車両が走行していない停車の場合には、ステップS53に処理が進む。
【0040】
ステップS53:制御部60は、操作信号に基づいて、回転操作子12のOFF操作が行われたか否かを判断する。OFF操作が行われていない(OFF操作なし)場合には、全消状態が維持される。OFF操作が行われた(OFF操作あり)場合には、全消状態から全灯状態へ遷移させる(図6に示した[C]→[A]の遷移)。
【0041】
図7は、上述した車両周囲の照度が所定値以下のときのオートライトモードによる制御における、OFF操作、車速、及びヘッドライト及びスモールライトの点灯/消灯状態の関係を一覧で示した図である。図7における[A][B][C]は、図6の状態遷移図における[A][B][C]と一致している。この図7で分かるように、本実施形態のオートライト制御では、車両が走行状態にある場合には、必ずヘッドライト及びスモールライトが全灯状態となり、車両が停車状態にある場合に、ヘッドライト及びスモールライトを車幅灯状態又は全消状態とすることができる。
【0042】
<作用・効果>
以上のように、本発明の一実施形態に係るレバースイッチ10及びレバースイッチ10を含むオートライト制御装置100によれば、操作者によってヘッドライトを消灯させることができるライトOFFスイッチ位置(OFF)への回転操作が行われても、操作者による回転操作の操作力が無くなればオートライトスイッチ位置(AUTO)に自動的に復帰させるモーメンタリ機構を、レバースイッチ10の回転操作子12に持たせる。
【0043】
このモーメンタリ機構により、ヘッドライト及びスモールライトを点灯させるライトONスイッチ位置(HEAD)以外では、常時オートライト制御を行うオートライトモードが設定されるオートライトスイッチ位置(AUTO)となる。これにより、例えば夜間にヘッドライトが消された状態で停車している車両が、ヘッドライト点灯の操作を忘れて走行を開始したとしても、制御部60が車速があることを判断してオートライト制御に従って自動的にヘッドライトを点灯させることができる。よって、車両が無灯火で走行してしまうことを防止できる。
【0044】
また、上記のように制御部60が消灯しているヘッドライトをオートライト制御に従って自動的に点灯させたとしても、レバースイッチ10の回転操作子12がオートライトスイッチ位置(AUTO)にあるため、ヘッドライトの点灯/消灯の状態が回転操作子12の位置とずれることがないため、操作者が混乱したり違和感を覚えたりすることが無くなる。
【0045】
<参考例>
上述した本実施形態に係るオートライト制御装置100に、運転者によって操作されているシフト位置が、パーキングレンジ(P)、リバースレンジ(R)、ニュートラルレンジ(N)、ドライブレンジ(D)などのうちのいずれの位置にあるのかを検出することができるシフト位置センサを備えてもよい。シフト位置センサを備えていれば、制御部60は、シフト位置センサで検出されたシフト位置を示すシフト位置信号を取得して、このシフト位置信号に基づいた以下に例示するオートライトモードにおける制御を行うことができる。
【0046】
ヘッドライトが消灯(OFF)かつスモールライトが点灯(ON)した車幅灯状態である場合、制御部60は、シフト位置信号に基づいて、シフト位置がパーキングレンジ(P)の位置にあるのかパーキングレンジ(P)以外の位置にあるのかを判断する。そして、制御部60は、シフト位置がパーキングレンジ(P)以外の位置にある場合には、車両が動く可能性があるため車幅灯状態を維持し、シフト位置がパーキングレンジ(P)の位置にある場合には、車両が動くことがないため車幅灯状態からさらに全消状態へ遷移させる。車幅灯状態からさらに全消状態へ遷移は、回転操作子12のOFF操作が継続して行われている時間が長い場合に限って実施してもよい。
【0047】
また、ヘッドライトが消灯(OFF)かつスモールライトが消灯(OFF)した全消状態である場合、制御部60は、シフト位置信号に基づいて、シフト位置がパーキングレンジ(P)の位置にあるのかパーキングレンジ(P)以外の位置にあるのかを判断する。そして、制御部60は、シフト位置がパーキングレンジ(P)の位置にある場合には、車両が動くことがないため全消状態を維持し、シフト位置がパーキングレンジ(P)以外の位置にある場合には、車両が動く可能性があるため全消状態から全灯状態へ遷移させる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明のレバースイッチ及びオートライト制御装置は、車両の状態に応じてヘッドライトなどを自動的に点灯/消灯させたい車両に利用可能である。
【符号の説明】
【0049】
10 レバースイッチ
11 レバー本体
12 回転操作子
20 ステアリングコラム
30 照度センサ
40 車速センサ
60 制御部
70 灯火機器
100 オートライト制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7