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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 21/06 20060101AFI20240806BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20240806BHJP
   F25D 21/08 20060101ALI20240806BHJP
   F25D 21/10 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
F25D21/06 K
F25D11/00 101B
F25D21/08 A
F25D21/10 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018231214
(22)【出願日】2018-12-10
(65)【公開番号】P2020094712
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-07-01
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【弁理士】
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 浩太
(72)【発明者】
【氏名】石 冰潔
【合議体】
【審判長】間中 耕治
【審判官】鈴木 充
【審判官】村山 美保
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-76995(JP,A)
【文献】特開2001-21241(JP,A)
【文献】特開平9-303938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D21/00-21/02
F25D21/06-21/12
F25D11/00-11/02
F25D17/06-17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵部を含む筐体と、
冷却器を含み、前記貯蔵部を冷却する冷却部と、
少なくとも一部の時間帯に前記冷却器に冷媒を供給して第1温度帯の範囲内で前記貯蔵部の空気温度が上下するように前記冷却部を制御する低温冷却制御と、少なくとも一部の時間帯に前記冷却器に冷媒を供給して前記第1温度帯よりも高い第2温度帯の範囲内で前記貯蔵部の空気温度が上下するように前記冷却部を制御する高温冷却制御とを交互に繰り返す制御を実行可能な制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記高温冷却制御が実施されている間に、前記冷却器の除霜を行う除霜制御を実行し、前記低温冷却制御が実施されている間には、前記除霜制御を実行しない、または前記高温冷却制御が実施されている間に行われる前記除霜と比べて弱い除霜を行う除霜制御を実行する、
冷蔵庫。
【請求項2】
貯蔵部を含む筐体と、
冷却器を含み、前記貯蔵部を冷却する冷却部と、
少なくとも一部の時間帯に前記冷却器に冷媒を供給して第1温度帯の範囲内で前記貯蔵部の空気温度が上下するように前記冷却部を制御する低温冷却制御と、少なくとも一部の時間帯に前記冷却器に冷媒を供給して前記第1温度帯よりも高い第2温度帯の範囲内で前記貯蔵部の空気温度が上下するように前記冷却部を制御する高温冷却制御とを交互に繰り返す制御を実行可能な制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記低温冷却制御が実施されている間に、除霜運転を開始して前記冷却器の温度が除霜区間開始温度から除霜終了閾値温度になるまでの時間が除霜時間閾値以下であることである所定の条件が満たされることが検出された場合に、前記低温冷却制御を終了して前記高温冷却制御を開始することを含む除霜制御を実行する、
冷蔵庫。
【請求項3】
貯蔵部を含む筐体と、
冷却器を含み、前記貯蔵部を冷却する冷却部と、
少なくとも一部の時間帯に前記冷却器に冷媒を供給して第1温度帯の範囲内で前記貯蔵部の空気温度が上下するように前記冷却部を制御する低温冷却制御と、少なくとも一部の時間帯に前記冷却器に冷媒を供給して前記第1温度帯よりも高い第2温度帯の範囲内で前記貯蔵部の空気温度が上下するように前記冷却部を制御する高温冷却制御とを交互に繰り返す制御を実行可能な制御部と、
を備え、
前記制御部は、除霜運転を開始して前記冷却器の温度が除霜区間開始温度から除霜終了閾値温度になるまでの時間が除霜時間閾値以下であることである所定の条件が満たされた場合に、前記低温冷却制御の実施時間に対する前記高温冷却制御の実施時間の割合を増加させることを含む除霜制御を実行する、
冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵室よりも低い温度に保たれるチルド室を備えた冷蔵庫が知られている。チルド室は、発酵食品や生鮮食品などの食品を、できるだけ低温で凍らない温度で保存する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-102320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年、冷蔵庫に対してのユーザからの要望が高まりに応じて、冷蔵庫は様々な制御を行っており、そのような状況下においても、十分な除霜を行うことが望まれている。本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、様々な制御が行われている状態においても、十分な除霜を行い易くすることが可能な冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の冷蔵庫は、筐体と、冷却部と、制御部とを持つ。前記筐体は、貯蔵室を含む。前記冷却部は、冷却器を含み、前記貯蔵部を冷却する。前記制御部は、少なくとも一部の時間帯に前記冷却器に冷媒を供給して第1温度帯の範囲内で前記貯蔵部の空気温度が上下するように前記冷却部を制御する低温冷却制御と、少なくとも一部の時間帯に前記冷却器に冷媒を供給して前記第1温度帯よりも高い第2温度帯の範囲内で前記貯蔵部の空気温度が上下するように前記冷却部を制御する高温冷却制御とを交互に繰り返す制御を実行可能である。前記制御部は、前記高温冷却制御が実施されている間に、前記冷却器の除霜を行う除霜制御を実行し、前記低温冷却制御が実施されている間には、前記除霜制御を実行しない、または前記高温冷却制御が実施されている間に行われる前記除霜と比べて弱い除霜を行う除霜制御を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態の冷蔵庫の全体の概略構成を示す縦断側面図。
図2】実施形態の冷蔵庫を示す正面図。
図3】実施形態の冷蔵庫の冷気供給ダクトの配置と冷蔵室温度センサを示す模式図。
図4】実施形態の冷凍サイクルの構成図。
図5】実施形態の冷蔵庫の制御装置を示すブロック図。
図6】実施形態の冷蔵庫の操作パネル部を示す図。
図7】実施形態の冷蔵庫が特別チルド運転で冷却を行った際の、チルド室の空気温度の測定結果を示す図。
図8】実施形態の冷蔵庫が特別チルド運転で冷却を行った際の、低温冷却におけるチルド室の空気温度の測定結果を示す図。
図9】実施形態の冷蔵庫が行う除霜時間延長型の除霜運転を示すフローチャート。
図10】実施形態の冷蔵庫が除霜運転を行った際の、冷蔵用冷却器の温度とチルド室の空気温度の測定結果を示す図。
図11】実施形態の冷蔵庫が行う最低除霜時間設定型の除霜運転を示すフローチャート。
図12】実施形態の冷蔵庫が行う除霜運転において、高温運転時間の実施割合の変化を示す図。
図13】変形例の冷蔵庫の全体の概略構成を示す縦断側面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の冷蔵庫を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。本明細書では、冷蔵庫の正面に立つユーザから冷蔵庫を見た方向を基準に、左右を定義している。また、冷蔵庫から見て冷蔵庫の正面に立つユーザに近い側を「前」、遠い側を「後ろ」と定義している。
【0008】
本明細書で「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。また「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。「XX」は、任意の要素(例えば任意の情報)である。
【0009】
(第1の実施形態)
<冷蔵庫の構成>
図1は、実施形態の冷蔵庫1の全体の概略構成を示す縦断側面図である。図2は、実施形態の冷蔵庫1を示す正面図である。冷蔵庫1は、前面が開口した縦長矩形箱状の断熱筐体2内に、複数の貯蔵室を設けて構成されている。具体的には、断熱筐体2内には、上段から順に、冷蔵室3、野菜室4が設けられ、その下方に製氷室5と小冷凍室6(図2参照)が左右に並べて設けられ、これらの下方に冷凍室7が設けられている。図1に示すように、製氷室5内には、自動製氷装置8が設けられている。断熱筐体2は、詳細は後述するが、鋼板製の外箱2aと合成樹脂製の内箱2bとの間に断熱材を有して構成されている。断熱筐体2は、「筐体」の一例である。
【0010】
冷蔵室3及び野菜室4は、いずれも冷蔵温度帯(例えば、1~4℃のプラス温度帯)の貯蔵室であり、それらの間は、プラスチック製の仕切壁9により上下に仕切られている。冷蔵室3の前面部には、ヒンジ開閉式の断熱扉3aが設けられ、野菜室4の前面には引出し式の断熱扉4aが設けられている。この断熱扉4aの背面部には、貯蔵容器を構成する下部ケース10が連結されている。下部ケース10の上部には、下部ケース10よりも小型の上部ケース11が設けられている。
【0011】
冷蔵室3内の最下部(仕切壁9の上部)において、右側にはチルド室12が設けられている。チルド室12は、ヨーグルト、生クリームなどの発酵食品、生鮮食品、練り製品、乳製品などの食品を、できるだけ低温で凍らない温度、例えば1℃の温度で保存する。尚、チルド室12は、食品を、微凍結領域の-3℃(パーシャル)で保存してもよい。このチルド室12内には、チルドケース13が出し入れ可能に設けられている。チルド室12は、「貯蔵部」および「第1貯蔵部」のそれぞれ一例である。また、チルド室12の左側には、自動製氷装置8の製氷皿8aに供給する水を貯留するための、貯水タンク(図示しない)が設けられている。
【0012】
製氷室5、小冷凍室6、並びに冷凍室7は、いずれも冷凍温度帯(例えば、-10~-20℃のマイナス温度帯)の貯蔵室であり、野菜室4と、製氷室5及び小冷凍室6との間は、断熱仕切壁14により上下に仕切られている。図1に示すように、製氷室5の前面部には、引出し式の断熱扉5aが設けられており、その断熱扉5aの背面部に貯氷容器15が連結されている。小冷凍室6の前面部にも、貯蔵容器が連結された引出し式の断熱扉6aが設けられている。冷凍室7の前面部にも、下側の貯蔵容器7b及び上側の貯蔵容器7cが連結された引出し式の断熱扉7aが設けられている。製氷室5、小冷凍室6、並びに冷凍室7の各々は、チルド室12とは熱的に分離された「第2貯蔵部」の一例である。
【0013】
冷蔵庫1内には、各貯蔵室を冷却するための冷凍サイクル装置16(図4参照)が組込まれている。詳細は後述するが、冷凍サイクル装置16は、冷蔵温度帯の貯蔵室(冷蔵室3、チルド室12、野菜室4)を冷却するための冷蔵用冷却器17と、冷凍温度帯の貯蔵室(製氷室5、小冷凍室6、冷凍室7)を冷却するための冷凍用冷却器18とを含んで構成されている。
【0014】
冷蔵用冷却器17には、冷蔵用冷却器温度センサ17aが設けられている。冷蔵用冷却器温度センサ17aは、図1に示すように、冷蔵用冷却器17の例えば上端部に設けられ、冷蔵用冷却器17の温度を検出する。冷凍用冷却器18には、冷凍用冷却器温度センサ18aが設けられている。冷凍用冷却器温度センサ18aは、冷凍用冷却器18の例えば上端部に設けられ、冷凍用冷却器18の温度を検出する。冷蔵用冷却器温度センサ17aおよび冷凍用冷却器温度センサ18aは、例えばサーミスタで構成されている。
【0015】
図1に示すように、冷蔵庫1の下端部背面側には、機械室19が設けられている。機械室19内に、冷凍サイクル装置16を構成する圧縮機20や凝縮器21(図4参照)、及びこれらを冷却するための冷却ファン(図示しない)や後述する除霜水蒸発皿35などが配設されている。図1に示すように、冷蔵庫1の背面下部寄り部分には、マイコンなどのコンピュータで構成される制御部100を備える制御盤53が設けられており、制御部100は、冷蔵庫1の全体を制御する。制御部100については、後述する。
【0016】
図1に示すように、冷蔵用冷却器室32内の下部には、冷蔵用冷却器17の下方に位置して、該冷蔵用冷却器17からの除霜水を受ける冷蔵側水受部33が設けられている。冷蔵側水受部33は、冷蔵側排水ホース34を介して、機械室19内に設けられた除霜水蒸発皿35に接続されている。冷蔵側水受部33で受けられた除霜水は、冷蔵側排水ホース34を通って除霜水蒸発皿35に導かれて、該除霜水蒸発皿35で蒸発する。
【0017】
野菜室4の後方には、冷蔵側水受部33の下方に位置させて、冷蔵用送風ファン31が配設されているとともに、送風ダクト36及び吸込み口37が設けられている。冷蔵用送風ファン31は、送風機の一例であり、冷蔵用冷却器17に風を送る。なお本明細書において「冷却器に風を送る」とは、空気の流れ方向で冷却器の上流側に配置され、冷却器に向けて風を送る場合に限定されず、空気の流れ方向で冷却器の下流側に配置され、周囲の空気をさらに下流側に送ることで、前記冷却器の上流側に位置する空気を前記冷却器に向けて移動させる場合も含む。送風ダクト36は、上端部が冷蔵側水受部33を迂回するようにして冷蔵用冷却器室32に連通している。吸込み口37は、例えば野菜室4に開口している。
【0018】
また、チルド室12には、複数のチルド用冷気供給口30bが、冷蔵用冷却器室32の前壁部32a(チルド室12の後壁部)を貫通するように設けられている。複数のチルド用冷気供給口30bによって、冷蔵用冷却器室32とチルド室12とが連通している。これにより、冷蔵用冷却器室32の冷蔵用冷却器17を通過した直後の冷気の一部は、チルド用冷気供給口30bを通してチルド室12に直接供給されるようになっている。チルド用冷気供給口30bを通じて直接供給される冷気により、チルド室12の温度は、後述の低温冷却時に-5℃ぐらいに保持されることができる。
【0019】
この構成において、冷蔵用送風ファン31が駆動されると、主に図1の白抜き矢印で示すように、野菜室4内の空気が吸込み口37から冷蔵用送風ファン31側に吸い込まれ、その吸い込まれた空気は、送風ダクト36側へ吹き出される。送風ダクト36側へ吹き出された空気は、冷蔵用冷却器室32及び冷気供給ダクト30を通り、複数の冷蔵用冷気供給口30aから冷蔵室3内に吹き出され、複数のチルド用冷気供給口30bからチルド室12に吹き出される。冷蔵室3内に吹き出された空気は、冷蔵室3から野菜室4に流れ、また、チルド室12内に吹き出された空気は、チルド室12から野菜室4に流れ、最終的に冷蔵用送風ファン31に吸い込まれるという循環が行われる。
【0020】
この過程で、冷蔵用冷却器室32内を通る空気が冷蔵用冷却器17により冷却されて冷気となり、その冷気が冷蔵室3及び野菜室4に供給されることによって、冷蔵室3及び野菜室4が冷蔵温度帯の温度に冷却される。このとき、発熱部品(モータ)を含む冷蔵用送風ファン31は、冷蔵用冷却器17よりも風上であって、冷蔵室3(及びチルド室12)に比べて温度の高い野菜室4の後方に配設されていると共に、最も低温となる冷蔵用冷却器17が、冷蔵室3や野菜室4に比べて低温のチルド室12の後方に配置されている。従って、各部品の配置を、冷蔵室3、チルド室12、野菜室4の温度分布に対応したものとすることができ、各室に適した冷却性能を得ることができ、併せて断熱構造なども簡単に済ませることができる。
【0021】
冷蔵庫1の冷凍温度帯の貯蔵室(製氷室5、小冷凍室6、冷凍室7)の背壁部には、冷凍用冷却器室38が設けられている。冷凍用冷却器室38の下部には、冷凍用冷却器18や除霜用ヒータ(図示せず)などが配設されている。また、冷凍用冷却器室38の上部には、冷凍用送風ファン39が配設されている。冷凍用冷却器室38の前面の中間部には、冷気吹出口38aが設けられ、下端部には、戻り口38bが設けられている。
【0022】
図1に示すように、冷凍用冷却器18の下方には、冷凍用冷却器18の除霜時の除霜水を受ける冷凍側水受部40が設けられている。冷凍側水受部40は、冷凍側排水ホース41を介して機械室19内に設けられた除霜水蒸発皿35に接続されている。これにより、冷凍側水受部40で受けられた除霜水も、冷凍側排水ホース41を通って除霜水蒸発皿35に導かれて、該除霜水蒸発皿35で蒸発するようになっている。
【0023】
この構成において、冷凍用送風ファン39が駆動されると、冷凍用冷却器18により生成された冷気が、前記冷気吹出口38aから製氷室5、小冷凍室6、冷凍室7内に供給された後、戻り口38bから冷凍用冷却器室38内に戻されるといった循環を行うようになっている。これにより、それら製氷室5、小冷凍室6、及び冷凍室7が冷却される。
【0024】
本実施形態では、圧縮機20、冷蔵用冷却器17、冷蔵用送風ファン31、冷凍用冷却器18、および冷凍用送風ファン39により「冷却部」の一例が構成されている。なお、「冷却部を制御する」とは、例えば、圧縮機20と、冷蔵用送風ファン31と、冷凍用送風ファン39とのうちいずれか1つ以上を制御することを意味する。
【0025】
冷蔵庫1の冷蔵温度帯の貯蔵室(冷蔵室3、チルド室12、野菜室4)の背壁部には、冷蔵用冷却器17や、この冷蔵用冷却器17により生成された冷気を冷蔵室3(及び野菜室4)内に供給するための冷気供給ダクト30、前記冷気を循環させるための冷蔵用送風ファン31などが、以下のようにして配設されている。即ち、冷蔵庫1の背壁部には、冷蔵室3の最下段のチルド室12の後方に位置して、冷蔵用冷却器室32が設けられている。そして、冷蔵用冷却器17は、冷蔵用冷却器室32内に配設されている。冷蔵用冷却器室32の前壁部32a(チルド室12の後壁部)は、断熱性を有する。また、冷蔵用冷却器室32の上端部は、冷蔵室3の背壁部を一定の幅で上方に延びるように設けられた冷気供給ダクト30の下端部につながっている。冷気供給ダクト30には、冷蔵室3内で開口する複数の冷蔵用冷気供給口30aと、チルド室内で開口する複数のチルド用冷気供給口30bが設けられている。
【0026】
図3は、実施形態の冷蔵庫1の冷気供給ダクト30の配置と冷蔵室温度センサ110を示す模式図である。図3は、図2の冷蔵庫1の正面図において、冷気供給ダクト30と冷蔵用冷却器17を透視して表現している。実際には、冷気供給ダクト30と冷蔵用冷却器17は、冷蔵室3の背壁部に備えられるものである。断熱扉3aを開けた際には、開かれた断熱扉3aの開口部を通して、冷気供給ダクト30の一部は、冷蔵庫1の正面から見ることができるが、その他の部分は、実際には、冷蔵庫1の正面から見ることはできない。図3に示されるように、冷気供給ダクト30は、その幅方向の中央部に通気部30Aを備え、幅方向の両端部に非通気部30B、30Cを備える。通気部30Aは、内部が中空となっており、冷蔵用冷却器室32から送風された冷気が通気する部分である。複数の冷蔵用冷気供給口30aは、通気部30Aに設けられている。非通気部30B、30Cは、隔壁などによって通気部30Aから隔離されており、冷蔵用冷却器室32から送風された冷気が通気しない部分である。非通気部30Bは、冷蔵庫1の高さ方向における冷気供給ダクト30の略中央付近に、非通気部30Bを冷蔵庫1の奥行方向に貫通する貫通部30Baを備える。貫通部30Baの位置に対応する冷蔵室3の背壁部には、冷蔵室温度センサ110が固定されている。冷蔵室温度センサ110は、後述する制御部100に電気的に接続され、貫通部30Baを通して冷蔵室3の内部の空気に露出されるように配置される。これにより、冷蔵室温度センサ110は、冷蔵室3の空気温度を測定する。冷蔵室温度センサ110については、後述する。
【0027】
次に、冷凍サイクル装置16の構成について詳述する。
図4は、実施形態の冷凍サイクル装置16の構成図である。図示するように、冷凍サイクル装置16は、冷媒の流れ順に、圧縮機20と、凝縮器21と、ドライヤ22と、三方弁23と、キャピラリーチューブ24,25と、冷却器17,18とが環状に接続されている。圧縮機20の高圧吐出口には、凝縮器21とドライヤ22とが順に接続パイプ26を介して接続されている。ドライヤ22の吐出側には、三方弁23が接続されている。三方弁23は、ドライヤ22が接続される1つの入口と、2つの出口とを有している。三方弁23の2つの出口のうち、一方の出口には冷蔵側キャピラリーチューブ24と冷蔵用冷却器17とが順に接続されている。冷蔵用冷却器17は、接続配管である冷蔵側サクションパイプ27を介して圧縮機20に接続されている。
【0028】
三方弁23の2つの出口のうち、他方の出口には、冷凍側キャピラリーチューブ25と冷凍用冷却器18とが順に接続されている。冷凍用冷却器18は、接続配管である冷凍側サクションパイプ28を介して圧縮機20に接続されている。なお、冷凍用冷却器18と圧縮機20との間には、冷蔵用冷却器17からの冷媒が冷凍用冷却器18側に逆流しないための逆止弁29が設けられている。
【0029】
次に、冷凍サイクル装置16の冷媒の流れを説明する。
まず、冷凍サイクル装置16を循環する冷媒は、圧縮機20により圧縮されて、高温、高圧のガス状冷媒となる。このガス状冷媒は、凝縮器21により放熱されて、中温、高圧の液状冷媒となる。その後、ドライヤ22を通って、汚れや水分などの不純物が取り除かれた液状冷媒は、三方弁23により絞り制御されながら、冷蔵側キャピラリーチューブ24(又は冷凍側キャピラリーチューブ25)に入る。このとき、冷蔵側キャピラリーチューブ24(又は冷凍側キャピラリーチューブ25)内の中温、高圧の液状冷媒は、冷蔵側サクションパイプ27(又は冷凍側サクションパイプ28)内の冷媒と熱交換されながら減圧される。そして、この冷媒は、冷蔵用冷却器17(又は冷凍用冷却器18)を通過しながら蒸発し、冷蔵用冷却器室32(又は冷凍用冷却器室38)内が冷却される。その後、低温、低圧のガス状となった冷媒は、冷蔵側サクションパイプ27(又は冷凍側サクションパイプ28)に流入する。このとき、冷蔵用冷却器17(又は冷凍用冷却器18)から冷蔵側サクションパイプ27(又は冷凍側サクションパイプ28)に流入した直後の冷媒ガスの温度は、-10℃前後と低温である。しかし、この冷媒ガスは、サクションパイプ27(又はサクションパイプ28)を通る間に、前記キャピラリーチューブ24(又はキャピラリーチューブ25)内の冷媒と熱交換されて、最終的には室温程度にまで昇温される。そして、この冷媒ガスが、圧縮機20に再び吸入されて、冷媒の循環が完了する。
【0030】
上記の冷凍サイクル装置16において、三方弁23は、制御部100(図5参照)によって制御されており、流路B及び流路Cのうち一方又は両方を選択する。流路Bは、冷蔵温度帯の貯蔵室(冷蔵室3、チルド室12、野菜室4)の冷却に供する流路であり、一方、流路Cは、冷凍温度帯の貯蔵室(製氷室5、小冷凍室6、冷凍室7)の冷却に供するものである。これら二つの流路は合流点Dにおいて合流し、冷媒はこの合流点Dから矢印Eの方向に流れて圧縮機20へと戻る。
【0031】
上記のように冷媒の流路を切り替えることにより、流路Bを選択した場合は、冷蔵温度帯の貯蔵室(冷蔵室3、チルド室12、野菜室4)を冷却する冷蔵運転を行い、流路Cを選択した場合は、冷凍温度帯の貯蔵室(製氷室5、小冷凍室6、冷凍室7)を冷却する冷凍運転を行い、流路B及び流路Cの両方を選択した場合は、冷蔵運転と冷凍運転との両方を行う。冷蔵運転停止中(冷凍運転のみ行っている場合又は圧縮機20を停止している場合)において、冷蔵温度帯用の冷蔵用送風ファン31(図1、2、および3参照)を駆動することにより、冷蔵用冷却器17に付着した霜を溶解及び蒸発させ、冷蔵温度帯の貯蔵室(冷蔵室3、チルド室12、野菜室4)に湿気を供給することができる(除霜運転)。
【0032】
図5は、実施形態の冷蔵庫1の制御部100を示すブロック図である。制御盤53は、マイコン、タイマなどを有したコンピュータで構成される制御部100を備え、冷蔵庫1の全般を制御する。冷蔵室温度センサ110、冷凍室温度センサ112、庫外温度センサ114、記憶部116、冷蔵用冷却器温度センサ17a、冷凍用冷却器温度センサ18a、圧縮機20、三方弁23、冷蔵用送風ファン31、冷凍用送風ファン39、および操作パネル部150は、それぞれ制御部100に接続されており、それぞれ制御部100からの指令によって駆動制御される。
【0033】
冷蔵室温度センサ110は、上述したように、冷蔵室3内に設けられており、冷蔵室3内の空気温度を検出する。冷凍室温度センサ112は、同様に、冷凍室7内に設けられており、冷凍室7内の空気温度を検出する。冷蔵室温度センサ110、冷凍室温度センサ112、冷蔵用冷却器温度センサ17a、および冷凍用冷却器温度センサ18aの各々は、「筐体の内部の状態を検出するセンサ」の一例である。一方で、庫外温度センサ114は、貯蔵室の外部つまり庫外に設けられており、庫外の温度つまり冷蔵庫1が設置されている室内の温度を検出する。庫外温度センサ114は、「筐体の外部の状態を検出するセンサ」の一例である。
【0034】
記憶部116は、冷蔵庫1の運転に必要な情報を記憶する。例えば、記憶部116は、除霜運転を実行中であるか否かを示す除霜運転実行中フラグを記憶する。
【0035】
例えば冷蔵温度帯の貯蔵室(冷蔵室3、チルド室12、野菜室4)の扉3a、4aが開閉されたり、冷蔵室3及び野菜室4内の貯蔵物が増えたりすると、冷蔵室温度センサ110によって検出される冷蔵室3及び野菜室4内の空気温度が所定温度以上に上昇する。この場合、制御部100は、冷凍サイクル装置16を駆動させて、冷蔵室3及び野菜室4内を目標温度まで冷却するように冷蔵冷却運転を行う。同様に、例えば、冷凍温度帯の貯蔵室(製氷室5、小冷凍室6、冷凍室7)の扉5a、6a、7aが開閉されたり、製氷室5、小冷凍室6、および冷凍室7内の貯蔵物が増えたりすると、冷凍室温度センサ112によって検出される製氷室5、小冷凍室6、および冷凍室7内の空気温度が所定温度以上に上昇する。すると、制御部100は、冷凍サイクル装置16を駆動させて、製氷室5、小冷凍室6、および冷凍室7内を目標温度まで冷却するように冷凍冷却運転を行う。
【0036】
図6は、実施形態の冷蔵庫1の操作パネル部150を示す図である。操作パネル部150は、左扉3aの前面のうち、ヒンジとは反対の開動側、つまり右側の辺部寄り部分の縦長な矩形状の領域に設けられている(図2参照)。操作パネル部150は、制御部100に電気的に接続されている。操作パネル部150は、各貯蔵室の設定温度や運転モードを切り替えるための操作を受け付けるとともに、設定内容や現在の運転状況を表示させる。操作パネル部150は、例えば、いわゆるタッチ式の操作パネル部である。タッチ式の操作パネル部は、静電容量式スイッチによって構成されるタッチセンサを備える。この場合、操作パネル部150は、図2に示すように、冷蔵室扉3aの表面にあって、冷蔵室扉3aと一体に設けられている。
【0037】
このとき、操作パネル部150は、図6に示すように、右側に、ユーザが手の指でタッチ操作する複数、この場合7個の操作部151~157を縦一列に並んで備えている。これと共に、それら操作部151~157の左側に、各操作部151~157に対応した表示部158~163が縦に並んで設けられている。各操作部151~157は、静電容量式タッチセンサから構成されており、操作パネル部150の前面に仮想的に設定される操作ボタン151a~157aと、その裏面側に位置する不図示の静電容量検出部とを有している。
【0038】
具体的には、図6に示すように、上から順に、「冷蔵」の操作部151(操作ボタン151a)、「冷凍」の操作部152(操作ボタン152a)、「冷凍機能」の操作部153(操作ボタン153a)、「製氷」の操作部154(操作ボタン154a)、「節電」の操作部155(操作ボタン155a)、「特別チルド」の操作部156(操作ボタン156a)、「ホーム」の操作部157(操作ボタン157a)が設けられている。
【0039】
これに対し、最上段の表示部158は、「冷蔵」、「冷凍」の操作部151、152に対応してそれらの中間の高さに設けられ、「強」、「弱」の文字と、全体で円形に配置された5個の円弧ライン状のマークからなり、点灯の数が強度レベルを表すインジケータとなる。その一つ下の表示部159は、「冷凍機能」の操作部153に対応し、上から順に「一気冷凍」、「熱もの冷凍」、「野菜冷凍」、「ドライ」の文字が、選択的に表示される。
【0040】
その下の表示部160は、「製氷」の操作部154に対応し、「一気製氷」、「製氷オフ」の文字が、選択的に表示される。その下の表示部161は、「節電」の操作部155に対応し、上から順に「節電」、「おでかけ」、「ピークシフト」の文字が、選択的に表示される。その下の表示部162は、「特別チルド」の操作部156に対応し、「通常チルド」、「特別チルド」の文字が、選択的に表示される。最下段の表示部163は、「ホーム」の操作部156に対応し、「ecoモード」の文字と、「キー(鍵)」のマークとが表示される。
【0041】
制御部100は、ユーザによる操作パネル部150の操作に従って、冷蔵庫1の運転を制御する。尚、冷蔵庫1の出荷時のデフォルト状態においては、制御部100は、「通常チルド」が選択された状態である。「通常チルド」が選択された状態においては、後述する通常チルド運転が行われる。ユーザが、操作部156にタッチすることによって、「特別チルド」を選択し、表示部162に「特別チルド」が表示されると、制御部100は、後述する特別チルド運転を実行する。冷蔵庫1の出荷時のデフォルト状態においては、制御部100は、「通常チルド」が選択された状態であることにより、特別チルド運転を必要としないユーザにとっては、知らぬ間に不必要な特別チルド運転が実行されてしまい、無駄な電気代を消費してしまうということを抑制するという効果を奏する。
【0042】
操作パネル部150は、「入力部」の一例であり、ユーザの入力を受け付ける。なお、「入力部」は、操作パネル部150に限定されず、冷蔵庫1の断熱筐体2の内壁または扉3aに設けられた物理的なボタンでもよい。また、「入力部」は、音声入力に対応した冷蔵庫1の場合は、ユーザの音声を拾うマイクに接続された音声解析部などでもよい。
【0043】
<通常チルド運転>
まず、通常チルド運転について説明する。
通常チルド運転においては、制御部100は、冷凍サイクル装置16を制御することにより、チルド室12内を通常チルド目標温度に冷却する。より詳しく言うと、制御部100は、通常チルド目標温度を所定の計算により冷蔵室目標温度に換算し、冷蔵室温度センサ110で検出された冷蔵室3の空気温度を冷蔵室目標温度にするように、PID制御(Proportional-Integral-Differential Control)などのフィードバック制御に従って冷凍サイクル装置16を制御する。これによって、チルド室12内は、通常チルド目標温度に対応する通常チルド温度帯に保たれる。通常チルド目標温度は、例えば0~1℃である。通常チルド温度帯は、「一定の温度帯」の一例である。制御部100が、チルド室12内を通常チルド目標温度にするように冷凍サイクル装置16を制御すると、通常チルド温度帯の中心温度は、通常チルド目標温度と略同じになる。したがって、通常チルド運転における通常チルド温度帯の中心温度も、例えば1℃である。尚、中心温度とは、対象となる運転が実施される期間における最大温度と最小温度の和を2で除算した値である。制御部100が運転モードを切り替えた直後においてまだ温度が安定していない期間における温度は、中心温度の計算において除外されてもよい。
【0044】
上記説明したように、制御部100は、三方弁23を制御することにより、冷媒の流路を図4に示される流路Bと流路Cとを交互に切り替える。流路Bに冷媒が流れている時には、冷蔵温度帯の貯蔵室(冷蔵室3、チルド室12、野菜室4)が冷却される。流路Cに冷媒が流れている時には、冷凍温度帯の貯蔵室(製氷室5、小冷凍室6、冷凍室7)が冷却される。制御部100は、例えば、40分の間、流路Bに冷媒を流して、冷蔵温度帯の貯蔵室の冷却を行い、60分の間、流路Cに冷媒を流して、冷凍温度帯の貯蔵室の冷却を行う。冷蔵温度帯の貯蔵室が冷却されている時に、冷凍用冷却器18の除霜が行われる。冷凍温度帯の貯蔵室が冷却されている時に、冷蔵用冷却器17の除霜が行われる。「制御部100は、例えば、40分の間、流路Bに冷媒を流して、冷蔵温度帯の貯蔵室の冷却を行い、60分の間、流路Cに冷媒を流して、冷凍温度帯の貯蔵室の冷却を行う」ことは、「前記制御部は、第3時間の間、前記圧縮機で圧縮された冷媒を前記第1冷却器に送るように前記三方弁を制御し、第4時間の間、前記圧縮機で圧縮された冷媒を前記第2冷却器に送るように前記三方弁を制御する」ことの一例である。冷蔵用冷却器17と冷凍用冷却器18の除霜については、後述する。
【0045】
上述したように、制御部100は、冷蔵庫1のデフォルト状態では、通常チルド運転でチルド室12を冷却するように設定されている。すなわち、制御部100は、冷蔵庫1の電源が切られた状態から冷蔵庫1の電源が入れられた場合に、通常チルド運転によりチルド室12を冷却する。通常チルド運転は、チルド室12の冷却モードの1つである「第1制御モード」の一例である。
【0046】
尚、上記では、通常チルド運転において、制御部100は、チルド室12内を、凍結寸前の温度である通常チルド目標温度(例えば1℃)に冷却するものとした。しかし、制御部100は、チルド室12内を、半凍結・微凍結状態の温度であるいわゆるパーシャルの目標温度(例えば、-1℃~-3℃)に冷却するものであってもよい。これによって、チルド室12内は、パーシャルの目標温度に対応するパーシャル温度帯に保たれる。パーシャルの温度帯は、「一定の温度帯」の一例である。制御部100が、チルド室12内をパーシャルの目標温度にするように冷凍サイクル装置16を制御すると、パーシャルの温度帯の中心温度は、パーシャルの目標温度と略同じになる。したがって、パーシャルの温度帯の中心温度も、例えば、-1℃から-3℃のうちの任意の温度である。中心温度の計算は上記と同じである。チルド室12をパーシャルの目標温度で冷却する運転は、チルド室12の冷却モードの1つである「第1制御モード」の一例である。
【0047】
<特別チルド運転>
次に、実施形態の特別チルド運転について説明する。
図7は、実施形態の冷蔵庫1が特別チルド運転で冷却を行った際の、チルド室12の空気温度の測定結果を示す図である。図7においては、縦軸にチルド室12の空気温度が示され、横軸に測定開始からの経過時間が示される。
【0048】
冷蔵庫1の制御部100は、チルド室12の温度制御について、通常チルド運転と特別チルド運転を選択的に実行することができる。例えば、上記説明した、操作パネル部150の操作部156をユーザがタッチすることにより、通常チルド運転と特別チルド運転の切り替えを行うことができる。例えば、制御部100は、操作パネル部150の操作部156がユーザによりタッチされることで、チルド室12の冷却モードを、通常チルド運転から特別チルド運転に切り替え、特別チルド運転を開始する。ユーザが、操作パネル部150の操作部156をタッチして、チルド室12の冷却モードを通常チルド運転から特別チルド運転に切り替えると、まず、制御部100は、チルド室12を第1温度帯で冷却する低温冷却制御を行い、その後、チルド室12を第1温度帯よりも高い第2温度帯で冷却する高温冷却制御を行う。尚、図7は、特別チルド運転の開始からの測定結果ではなく、特別チルド運転の途中の測定結果を示しているものである。操作パネル部150の操作部156をユーザがタッチすることは、「ユーザの所定の入力」の一例である。特別チルド運転は、チルド室12の冷却モードの1つである「第2制御モード」の一例である。
【0049】
特別チルド運転においては、図7に示されるように、制御部100は、チルド室12を第1温度帯で冷却する低温冷却制御を行い、その後、チルド室12を第1温度帯よりも高い第2温度帯で冷却する高温冷却制御を行い、その後、チルド室12を第1温度帯で冷却する低温冷却制御を行うことを含む冷却パターンで冷蔵用冷却器17を制御する。尚、チルド室12を第1温度帯で冷却する低温冷却制御を行った後であって、チルド室12を第1温度帯よりも高い第2温度帯で冷却する高温冷却制御を行う前に、任意の制御が行われてもよい。また、チルド室12を第1温度帯よりも高い第2温度帯で冷却する高温冷却制御を行った後であって、チルド室12を第1温度帯で冷却する低温冷却制御を行う前に、任意の制御が行われてもよい。ここで、任意の制御は特に限定されるものではない。任意の制御は、例えば、第1温度帯や第2温度帯以外の目標温度で冷却する冷却制御であってもよい。任意の制御が行われても、本実施形態の特別チルド運転を実現することができる。つまり、低温冷却制御と高温冷却制御との間に任意の制御を実行することは、本実施形態の特別チルド運転の一部を構成するものである。
【0050】
第1温度帯は、制御部100は、チルド室12を特別チルド低温目標温度に冷却するように制御したときの、チルド室12の温度帯である。特別チルド低温目標温度は、例えば、-5℃である。つまり、第1温度帯の中心温度も、例えば、-5℃である。特別チルド低温目標温度(第1温度帯の中心温度)は、0℃未満の温度である。実施形態の冷蔵庫1では、第1温度帯の最大値も、0℃未満の温度である。第1温度帯は、通常チルド温度帯よりも低い温度帯である。第1温度帯は、チルド室12の貯蔵物の表面を微凍結させる温度である。第1温度帯は、チルド室12の貯蔵物の真ん中のほうまで氷結するのではなく、表面のみに氷結した層を作ることができる温度帯である。
【0051】
第2温度帯は、制御部100は、チルド室12を特別チルド高温目標温度に冷却するように制御したときの、チルド室12の温度帯である。特別チルド高温目標温度(第2温度帯の中心温度)は、例えば、1℃である。つまり、第2温度帯の中心温度も、例えば、1℃である。特別チルド高温目標温度(第2温度帯の中心温度)は、0℃以上の温度である。実施形態の冷蔵庫1では、第2温度帯の最大値は、0℃以上の温度であり、第2温度帯の最小値は、0℃未満の温度である。第2温度帯は、通常チルド温度帯よりも高い温度帯である。第2温度帯は、貯蔵物の表面を作られた微凍結の層を融解させることができる温度である。
【0052】
本実施形態においては、第2温度帯は、最大氷結晶生成帯(例えば、-5℃~-1℃)よりも高い温度を含む。最大氷結晶生成帯とは、食品中の水分における氷結晶の生成が最大となり、食品中の水分がほとんど凍結する温度帯である。また、制御部100は、第2温度帯においては、チルド室12に貯蔵される食品の温度が最大氷結晶生成帯よりも高い温度になるように冷却部を制御している。
【0053】
第1温度帯は、制御部100がチルド室12を特別チルド低温目標温度に冷却するように制御したときにおいて、チルド室12の空気温度の極大値の平均値と極小値の平均値との間の温度帯であってもよい。このとき、チルド室12の空気温度の極大値と極小値の平均値を求める際には、外れ値を除外して平均値を計算してもよい。第2温度帯についても同様である。第1温度帯の中心温度は、制御部100がチルド室12を特別チルド低温目標温度に冷却するように制御したときにおける、チルド室12の空気温度の極大値の平均値と極小値の平均値との平均値であってよい。このとき、チルド室12の空気温度の極大値の平均値と極小値の平均値を求める際には、外れ値を除外して平均値を計算してもよい。第2温度帯の中心温度についても同様である。
【0054】
図7に示されるように、制御部100がチルド室12の冷却を第2温度帯から第1温度帯に変更してまだチルド室12の空気温度が安定していない期間におけるチルド室12の空気温度は、第1温度帯の空気温度の極大値と極小値から除外されもよい。同様に、制御部100がチルド室12の冷却を第1温度帯から第2温度帯に変更してまだチルド室12の空気温度が安定していない期間におけるチルド室12の空気温度は、第2温度帯の空気温度の極大値と極小値から除外されもよい。
【0055】
実施形態では、特別チルド低温目標温度(第1温度帯の中心温度、-5℃)と、通常チルド目標温度(1℃)との間の第1温度差(6℃)は、特別チルド高温目標温度(第2温度帯の中心温度、1℃)と、通常チルド目標温度(1℃)との間の第2温度差(0℃)よりも大きい。
【0056】
図7に示されるように、第1温度帯においては、チルド室12の空気温度は、第1温度帯の範囲内で上下している。同様に、第2温度帯においては、チルド室12の空気温度は、第2温度帯の範囲内で上下している。第2温度帯においては、温度下降に比べ、温度上昇の方が、空気温度が緩やかに変化する。第2温度帯の温度上昇における温度変化率は、一定ではない。つまり、第2温度帯の温度上昇においては、最初に急激に温度上昇し、途中から緩やかな温度上昇になる。換言すると、第2温度帯の温度上昇においては、最初の温度変化率は大きく、途中から温度変化率が小さくなる。また、温度上昇における温度変化率は、温度下降における温度変化率よりも大きい。上記のようにチルド室12の空気温度を変化させるように、後述する圧縮機20の動作周波数の調整が行われる。また、同様に、第1温度帯においては、温度下降に比べ、温度上昇の方が、空気温度が緩やかに変化する。第1温度帯の温度上昇における温度変化率は、一定ではない。つまり、第1温度帯の温度上昇においては、最初に急激に温度上昇し、途中から緩やかな温度上昇になる。換言すると、第1温度帯の温度上昇においては、最初の温度変化率は大きく、途中から温度変化率が小さくなる。また、温度上昇における温度変化率の変化は、温度下降における温度変化率の変化よりも大きい。上記のようにチルド室12の空気温度を変化させるように、後述する圧縮機20の動作周波数の調整と三方弁23の制御が行われる。
【0057】
本明細書において、「ある温度帯が別の温度帯よりも高い」という表現は、「ある温度帯の中心温度が、別の温度帯の中心温度よりも高い」という意味であり、「ある温度帯」の一部に、「別の温度帯」の一部が重なる場合も含むものとする。同様に、「ある温度帯が別の温度帯よりも低い」という表現は、「ある温度帯の中心温度が、別の温度帯の中心温度よりも低い」という意味であり、「ある温度帯」の一部に、「別の温度帯」の一部が含まれている場合も含むものとする。
【0058】
制御部100は、第1時間の間、チルド室12を第1温度帯で冷却するように冷却部を制御することと、第2時間の間、チルド室12を第2温度帯で冷却するように冷却部を制御することとを交互に繰り返す。第1時間の間、チルド室12を第1温度帯で冷却するように冷却部を制御することと、第2時間の間、チルド室12を第2温度帯で冷却するように冷却部を制御することの間に、任意の制御が行われてもよい。
【0059】
第1時間は、例えば、2時間である。第2時間は、例えば、5時間である。第2時間は、第1時間よりも長い。第1時間は、通常チルド運転において、流路Bに冷媒を流して、冷蔵温度帯の貯蔵室の冷却を行う時間(40分)と、流路Cに冷媒を流して冷凍温度帯の貯蔵室の冷却を行う時間(60分)のそれぞれよりも長い(さらに言えばそれらの合計よりも長い)。換言すると、第1時間は、通常チルド運転における、冷蔵用冷却器17と冷凍用冷却器18の除霜の周期よりも長い。
【0060】
第2時間は、通常チルド運転において、流路Bに冷媒を流して、冷蔵温度帯の貯蔵室の冷却を行う時間(40分)と、流路Cに冷媒を流して冷凍温度帯の貯蔵室の冷却を行う時間(60分)のそれぞれよりも長い(さらに言えばそれらの合計よりも長い)。換言すると、第2時間は、通常チルド運転における、冷蔵用冷却器17と冷凍用冷却器18の除霜の周期よりも長い。
【0061】
図8は、実施形態の冷蔵庫1が特別チルド運転で冷却を行った際の、低温冷却におけるチルド室12の空気温度の測定結果を示す図である。つまり、図8は、図7の低温冷却を拡大して示すものである。図8においても、縦軸にチルド室12の空気温度が示され、横軸に測定開始からの経過時間が示される。図8に示される低温冷却においては、チルド室12内を例えば-5℃の低温目標温度にするように冷却が行われているので、-9.1℃~-1.9℃にチルド室12内が保たれている。また、高温冷却から低温冷却に切り替わった後、15分で-5℃の低温目標温度に到達している。
【0062】
通常チルド運転では、チルド室12内を高温気味にすると、鮮度が維持しにくい。逆に、チルド室12をパーシャルの温度、例えば-1℃の目標温度まで冷却してチルド室12内を低温気味にすると、食品が凍ってしまうために、温度制御を適切に行わないと、食品内部まで徐々に微凍結して、凍結した部分が、解凍時にドリップが発生するなど、食品状態が、悪化してしまう可能性があった。そこで、特別チルド運転においては、例えば、2時間の間、-5℃の低温目標温度にするように冷却(低温冷却)し、チルド室12を、7時間の間、1℃の高温目標温度にするように冷却(高温冷却)するということを繰り返すように制御を行うことにより、食品表面のみ微凍結することにより、食品の乾燥・酸化を防止することができ、食品を冷凍しなくてもチルドで鮮度維持することができる。
【0063】
尚、特別チルド運転においては、特別チルド高温目標温度と、高温冷却の実施時間と、特別チルド低温目標温度と、低温冷却の実施時間とは、上記の例に限られない。特別チルド運転においては、特別チルド高温目標温度と、高温冷却の実施時間と、特別チルド低温目標温度と、低温冷却の実施時間は、任意の値であってよい。好ましくは、特別チルド高温目標温度と、高温冷却の実施時間と、特別チルド低温目標温度と、低温冷却の実施時間は、高温冷却において、低温冷却の時に形成された食品表面の凍結が融解させ、食品の融解が内部に進行しないような値に設定されることが好ましい。しかしながら、本実施形態はそれに限定されない。特別チルド高温目標温度と、高温冷却の実施時間と、特別チルド低温目標温度と、低温冷却の実施時間は、冷蔵庫1に保存される食品の品質を向上させることができる値に設定されていれば、どのような値であってもよい。
【0064】
特別チルド高温目標温度は、食品の表面の凍結を融解させることができる、氷点(0℃)以上の温度であってよい。特別チルド高温目標温度は、例えば、1℃である。特別チルド低温目標温度は、食品の鮮度を維持できる、氷点(0℃)未満の温度であってよい。特別チルド低温目標温度は、例えば、-5℃である。
【0065】
高温冷却の実施時間は、食品の表面の凍結を融解させることができる、任意の時間であってよい。好ましくは、高温冷却の実施時間は、例えば、4時間以上である。より好ましくは、高温冷却の実施時間は、例えば、7時間である。低温冷却の実施時間は、食品の鮮度を維持できる、1時間以上の時間であってよい。低温冷却の実施時間は、例えば、2時間である。
【0066】
特別チルド運転においては、低温冷却制御に間であっても、制御部100は、三方弁23を制御することにより、冷媒の流路を図4に示される流路Bと流路Cとを交互に切り替えることにより、冷蔵温度帯の貯蔵室(冷蔵室3、チルド室12、野菜室4)の冷却と、冷凍温度帯の貯蔵室(製氷室5、小冷凍室6、冷凍室7)の冷却とを交互に繰り返す。制御部100は、高温冷却制御が実施されている間に、冷蔵用冷却器17の除霜を行う。制御部100は、低温冷却制御が実施されている間には、原則的には冷蔵用冷却器17の除霜を行わない。つまり、制御部100は、低温冷却制御が実施されている間には、三方弁が流路Cに切り替えられ冷凍温度帯の貯蔵室の冷却を行う時間が到来しても、冷蔵用冷却器17の除霜を行わない。言い換えると、制御部100は、特別チルド運転が行われている場合、少なくとも低温冷却制御が行われる第1時間の間は、冷蔵用冷却器17の除霜を停止する。一方で、制御部100は、高温冷却制御が実施されている間には、冷蔵用冷却器17の除霜を行うために、冷蔵用冷却器17の温度を3℃以上に上昇させる。
【0067】
上記の特別チルド運転においては、制御部100は、低温冷却制御が実施されている間には、原則的には冷蔵用冷却器17の除霜を行わないものとした。しかし、特別チルド運転においては、制御部100は、低温冷却制御が実施されている間には、冷蔵用冷却器17の除霜を、高温冷却制御が実施されている間に行われる冷蔵用冷却器17の除霜よりも、弱く行ってもよい。例えば、制御部100は、低温冷却制御が実施されている間には、冷蔵用冷却器17の温度を、高温冷却制御が実施されている間に行われる冷蔵用冷却器17の除霜よりも、低い温度まで上昇させるように制御を行ってもよい。また、例えば、制御部100は、低温冷却制御が実施されている間には、冷蔵用冷却器17の除霜を、高温冷却制御が実施されている間に行われる冷蔵用冷却器17の除霜よりも、短い時間実行するように制御を行ってもよい。「低温冷却制御が実施されている間には、原則的には冷蔵用冷却器17の除霜を行わない」ことと、「低温冷却制御が実施されている間には、冷蔵用冷却器17の除霜を、高温冷却制御が実施されている間に行われる冷蔵用冷却器17の除霜よりも、弱く行う」ことは、「前記冷却器の除霜の実行を抑制する」ことの一例である。
【0068】
<センサで検出した情報に基づく特別チルド運転>
上記では、特別チルド運転は、低温冷却を2時間、高温冷却を7時間行うという固定時間に基づく冷却制御の例を示した。特別チルド運転は、センサで検出した情報に基づいて、高温冷却の実施時間と、低温冷却の実施時間のいずれか1つを変更してもよい。例えば、庫外温度センサ114で測定した庫外温度に基づいて、高温冷却の実施時間と、低温冷却の実施時間のいずれか1つを変更することができる。例えば、庫外温度センサ114で測定した庫外温度に基づいて、高温冷却の実施時間を5時間、7時間、10時間に変更することができる。つまり、庫外温度センサ114で測定した庫外温度が高い場合は、高温冷却の実施時間を、標準の7時間から5時間に減少させることにより、食品の劣化を防ぐ。また、庫外温度センサ114で測定した庫外温度が低い場合は、高温冷却の実施時間を、標準の7時間から10時間に増加少させることにより、食品の内部への凍結の進行を防ぐ。ここでは、高温冷却の実施時間を変更する例を述べたが、低温冷却の実施時間を変更してもよい。同様に、例えば、冷蔵室温度センサ110で測定した冷蔵室3内の空気温度に基づいて、高温冷却の実施時間を変更してもよい。
【0069】
特別チルド運転は、高温冷却の実施時間と、低温冷却の実施時間のいずれか1つを、様々なセンサで検出した情報に基づいて、変更することができる。例えば、庫外や庫内を撮影するカメラによって、高温冷却の実施時間と、低温冷却の実施時間のいずれか1つを変更することができる。例えば、庫内を撮影するカメラで、チルド室12に貯蔵される食品の種類と量とのうち少なくとも一方を判定し、判定結果に応じて高温冷却の実施時間と、低温冷却の実施時間のいずれか1つを変更することができる。上記では、高温冷却の実施時間と、低温冷却の実施時間のいずれか1つを変更する例を示したが、様々なセンサで検出した情報に基づいて、特別チルド高温目標温度と、特別チルド低温目標温度とを変更してもよい。
【0070】
また、例えば、チルド室12の空気温度や食品温度を測定するセンサによって検出した情報に基づいて、特別チルド高温目標温度と、高温冷却の実施時間と、特別チルド低温目標温度と、低温冷却の実施時間のいずれか1つを変更してもよい。食品温度を測定するセンサは、チルド室12において食品が載置される金属製トレイに当接する温度センサであってよい。これにより、より正確な温度制御に従った特別チルド運転をすることができる。
【0071】
制御部100は、特別チルド運転において、高温冷却と低温冷却を行うために、冷凍サイクル装置16を制御するが、冷凍サイクル装置16の制御において、制御部100は、低温冷却を行う際に、圧縮機20の動作周波数を、高温冷却を行う際の圧縮機20の動作周波数よりも高くしてもよい。例えば、高温冷却を行う際の圧縮機20の動作周波数を20Hzとし、低温冷却を行う際の圧縮機20の動作周波数を60Hzとしてよい。低温冷却において、圧縮機20の動作周波数を高くすることにより、冷却能力が向上し、短時間でチルド室12内を低温目標温度にするように冷却することができる。これにより、食品の劣化をより確実に防ぐことができる。低温冷却に移行する時に時間がかかると食品表面だけでなく、食品内部にも凍結が始まるため、そのような食品内部の凍結を、圧縮機20の動作周波数を高くすることにより、冷却能力を向上させることにより防止することができる。尚、上記とは逆に、負荷が軽い場合は、低温冷却において圧縮機20の動作周波数を低下させてもよい。
【0072】
<特別チルド運転の1回目の低温冷却について>
上述したように、冷蔵庫1が通常チルド運転の時に、ユーザが操作パネル部150の「特別チルド」の操作部156をタッチすることにより、制御部100は特別チルド運転を開始する。特別チルド運転を開始した際に、初回の低温冷却における、初回の低温目標温度は、第1温度帯でもよく、第1温度帯よりもさらに低い第3温度帯でもよい。第3温度帯の中心温度は、例えば、-10℃である。尚、温度帯や中心温度の定義については、上述した第1温度帯と第2温度帯についての説明を援用する。制御部100は、特別チルド運転が開始される場合に、チルド室12を第1温度帯よりも低い第3温度帯で冷却するように冷却部を制御し、その後、チルド室12を第2温度帯で冷却するように冷却部を制御することと、チルド室12を第1温度帯で冷却するように冷却部を制御することとを交互に繰り返してもよい。
【0073】
また、チルド室12の空気温度が第3温度帯に到達後所定時間経過した場合、制御部100は、低温目標温度を第1温度帯に変更してもよい。また、初回の低温冷却における、低温目標温度を第3温度帯として冷却を行う時間と、低温目標温度を第1温度帯として冷却を行う時間との合計時間が、2回目及びその後の低温冷却における、低温目標温度を第1温度帯として冷却を行う時間と略同一になるように、制御部100は、冷却部を制御してもよい。
【0074】
庫外温度センサ114によって検出された庫外の温度(冷蔵庫1が設置されている室内の温度)が、通常の室内の温度よりも高い場合、制御部100は、初回の低温冷却における目標温度を、第1温度帯よりもさらに低い第3温度帯としてよい。また、冷蔵庫1は、チルド室12の図示しない扉の開閉を検出するセンサを備えていてよく、該センサがチルド室12の扉の開閉を検出した場合に、制御部100は、初回の低温冷却における目標温度を、第1温度帯よりもさらに低い第3温度帯としてよい。また、冷蔵庫1は、チルド室12のチルドケース13のスライドを検出するセンサを備えていてよく、該センサがチルドケース13のスライドを検出した場合に、制御部100は、初回の低温冷却における目標温度を、第1温度帯よりもさらに低い第3温度帯としてよい。また、冷蔵庫1は、チルド室12の食品の温度を検出するセンサを備えていてよく、該センサによって検出された食品の温度が基準値よりも高い場合に、制御部100は、初回の低温冷却における目標温度を、第1温度帯よりもさらに低い第3温度帯としてよい。初回の低温冷却における目標温度を、第1温度帯よりもさらに低い第3温度帯とすることにより、短時間で、食品を冷却し、食品の鮮度を保つことができる。
【0075】
<オート特別チルドモード>
尚、制御部100は、ユーザが操作パネル部150の「特別チルド」の操作部156をタッチしなくても、特別チルド運転を開始してもよい。この場合には、初回の低温冷却を第3温度帯で行ってもよい。例えば、操作パネル部150は、更に、図示しない「オート特別チルドモード」の操作部を備えていてよく、この場合においては、ユーザが「オート特別チルドモード」の操作部をタッチして、「オート特別チルドモード」を選択すると、制御部100は、図示しない庫内カメラによって撮像された撮像画像に基づいて、特別チルド運転に適した食材がチルド室12に入れられたか否かを判定する。特別チルド運転に適した食材がチルド室12に入れられたと判定されると、制御部100は、特別チルド運転を自動的に開始する。この場合の庫内カメラは、センサの一例である。
【0076】
<特別チルド運転の変形例1>
上記の実施形態においては、ユーザが、操作パネル部150の操作部156をタッチして、チルド室12の冷却モードを通常チルド運転から特別チルド運転に切り替えると、まず、制御部100は、チルド室12を第1温度帯で冷却する低温冷却制御を行い、その後、チルド室12を第1温度帯よりも高い第2温度帯で冷却する高温冷却制御を行うものとした。しかし、実施形態の特別チルド運転は、上記の実施形態に限られない。特別チルド運転の変形例1においては、ユーザが、操作パネル部150の操作部156をタッチして、チルド室12の冷却モードを通常チルド運転から特別チルド運転に切り替えると、まず、制御部100は、チルド室12を第2温度帯で冷却する高温冷却制御を行い、その後、チルド室12を第2温度帯よりも低い第1温度帯で冷却する低温冷却制御を行う。
【0077】
<特別チルド運転の変形例2>
上記の実施形態においては、制御部100は、第1時間の間、チルド室12を第1温度帯で冷却するように冷却部を制御することと、第2時間の間、チルド室12を第2温度帯で冷却するように冷却部を制御することとを交互に繰り返すものとした。しかし、実施形態の特別チルド運転は、上記の実施形態に限られない。特別チルド運転の変形例2においては、制御部100は、第1時間の間、チルド室12を第1温度帯で冷却するように冷却部を制御することと、第2時間の間、チルド室12を第2温度帯で冷却するように冷却部を制御することとを、少なくとも1サイクル実行する。
【0078】
<ダンパを使用する変形例>
上記の実施形態においては、冷蔵室3と、野菜室4と、チルド室12とを、共通の冷蔵用冷却器17と冷蔵用送風ファン31によって、連動した温度設定で冷却するものとした。最も低温となる冷蔵用冷却器17が、冷蔵室3や野菜室4に比べて低温のチルド室12の後方に配置されていることにより、冷蔵室3と、野菜室4と、チルド室12とが連動した温度設定で冷却されても、本実施形態の特別チルド運転が行われることができる。しかしながら、本実施形態の冷蔵庫1は、上記の構成に限定されない。例えば、実施形態の変形例の冷蔵庫は、実施形態の冷蔵庫1の構成に加えて、図示しないダンパ装置を備える。ダンパ装置は、2つの開口部を備えた所謂ツインダンパ装置である。ダンパ装置は、冷蔵用冷却器17の冷蔵用送風ファン31から送風された冷気の、冷蔵室3と野菜室4への送風と、チルド室12への送風とを、それぞれ個別に制御する。これにより、実施形態の変形例の冷蔵庫は、チルド室12の温度を、冷蔵室3と野菜室4の温度とは、独立して制御することができる。これにより、実施形態の変形例の冷蔵庫は、特別チルド運転において、チルド室12の温度を、冷蔵室3と野菜室4とは独立して自由に制御することができるので、食品の保存状態をより向上させることができる。本変形例では、圧縮機20、冷蔵用冷却器17、冷蔵用送風ファン31、冷凍用冷却器18、冷凍用送風ファン39、およびダンパ装置により「冷却部」の一例が構成されている。
【0079】
<特別チルド運転とチルド室の真空引きを併用する変形例>
本実施形態の冷蔵庫1のチルド室12の構成は、上記に限られない。実施形態の変形例の冷蔵庫は、チルド室12の代わりに、食品の鮮度低下を抑えるために減圧された減圧チルド室を備える。減圧チルド室は、室内を気密に密閉されるように構成されており、真空ポンプにより、内部の空気が吸引され、例えば、0.7気圧(70kPa)等に減圧される気体調節室である。減圧チルド室は減圧されることにより、食品周囲の酸素を低減して酸化を抑えることで、食品の鮮度低下を抑えることができる。本実施形態の特別チルド運転は、このような減圧チルド室を備える冷蔵庫にも適用することができる。特別チルド運転の高温冷却制御中に減圧チルド室内を真空引することにより、減圧チルド室の空気温度が高温な状況においても食品の鮮度を保つことができる。尚、特別チルド運転の低温冷却制御中に減圧チルド室内を真空引してもよい。低温冷却中に、減圧チルド室内を真空引する場合は、減圧チルド室内に貯蔵される食品を減圧状態におくことにより、食品内部に含まれている水分を蒸発させることにより、蒸発熱を食品から奪うことによって、食品の冷却を促進することができる。したがって、食品を短時間で冷却することにより、食品の保存状態を向上させることができる。
【0080】
また、特別チルド運転の高温冷却制御中に減圧チルド室内を真空引してもよい。高温冷却中に、減圧チルド室内を真空引する場合は、減圧チルド室の温度が高くなり食品の鮮度低下しやすい高温冷却中に、減圧チルド室が真空引されて減圧されることにより、食品周囲の酸素を低減して酸化を抑えることで、食品の鮮度低下を抑えることができる。つまり、この場合は、高温冷却中の食品の鮮度低下を低減することができる。尚、特別チルド運転の低温冷却制御中に減圧チルド室内を真空引する場合は、特別チルド運転の高温冷却制御中に減圧チルド室内を真空引をしなくてもよいし、特別チルド運転の高温冷却制御中に減圧チルド室内を真空引してもよい。
【0081】
ここで、第1ダンパ装置260は2つの開口部を備えた所謂ツインダンパ装置である。図示しない第1開口260aは冷気供給ダクト30への送風を制御し、第2開口260bはチルド室送風ダクト265への送風を制御する構成である。チルド室送風ダクト265は、冷蔵庫200の正面から見て、冷気供給ダクト30の右手側に分岐し、チルド室12内に連通している。
【0082】
<除霜運転>
次に、冷蔵庫1の除霜運転について説明する。除霜運転には、除霜ヒータを使う方法と、除霜ヒータを使わずに送風機で送風することにより除霜する方法がある。実施形態の冷蔵庫1では、冷凍用冷却器18の除霜は除霜ヒータで行い、冷蔵用冷却器17の除霜は冷蔵用送風ファン31の送風で行う。
【0083】
冷凍用冷却器18の除霜運転は、圧縮機20が停止された状態、または、三方弁23によって冷凍用冷却器18へ冷媒の供給が停止された状態で実行される。この場合、制御部100は、冷凍用冷却器18の除霜運転を開始すると、不図示の除霜ヒータを駆動させる。これにより、冷凍用冷却器18が温められ、冷凍用冷却器18に付着した霜が取り除かれる。一方、冷蔵用冷却器17の除霜運転は、圧縮機20が停止された状態、または、三方弁23によって冷蔵用冷却器17へ冷媒の供給が停止された状態で実行される。
【0084】
制御部100は、冷蔵用冷却器17の除霜運転を開始すると、冷蔵用送風ファン31を駆動させる。すると、冷蔵用送風ファン31の送風作用によって、冷蔵室3および野菜室4内のプラス温度の空気が、冷蔵用冷却器室32内へ取り込まれる。このプラス温度の空気により冷蔵用冷却器17が温められて、冷蔵用冷却器17に付着した霜が取り除かれる。このとき、除霜によって生じる湿気が、冷蔵用送風ファン31の送風作用によって、冷蔵室3および野菜室4へ供給される。この場合、除霜による湿気は、冷蔵用送風ファン31が正回転であれば主に冷蔵室3へ供給され、逆回転であれば主に野菜室4へ供給される。このように冷蔵用冷却器17の除霜によって生じる湿気を、冷蔵室3および野菜室4へ供給することを、この実施形態ではうるおい運転と称し、このうるおい運転は、調湿手段として機能する。冷蔵用冷却器温度センサ17aによって検出される冷蔵用冷却器17の温度が、所定の閾値(3℃)を上回れば、制御部100は、冷蔵用冷却器17の除霜運転を終了する。
【0085】
<第1除霜運転と第2除霜運転>
実施形態の冷蔵庫1においては、制御部100は、所定条件が満たされる通常時には、通常の除霜運転である第1除霜運転(第1除霜制御に従った除霜運転)を行い、所定条件が満たされない時には、第1除霜運転よりも除霜効果の高い第2除霜運転(第2除霜制御に従った除霜運転)を行う。つまり、制御部100は、基準値を設定し、基準値の外の場合に冷却制御を変更する。
【0086】
前記所定条件(基準値)は、冷蔵室温度センサ110、冷凍室温度センサ112、庫外温度センサ114、冷蔵用冷却器温度センサ17a、冷凍用冷却器温度センサ18aなどの温度センサのうち少なくとも1つの検出結果から得られる情報に関する条件(基準値)である。冷凍室温度センサ112、庫外温度センサ114、冷蔵用冷却器温度センサ17a、冷凍用冷却器温度センサ18aは、温度センサの一例である。温度センサは、貯蔵部の内部の温度を検出する温度センサ(例えば、冷蔵室温度センサ110、冷凍室温度センサ112)であるか、または、前記冷却器の温度を検出する温度センサ(例えば、冷蔵用冷却器温度センサ17a、冷凍用冷却器温度センサ18a)である。
【0087】
第2除霜運転は、第1除霜運転と比べて、冷蔵用冷却器17の除霜を長時間行うことと、冷蔵用冷却器17の除霜を行う温度を高くすることとのうち少なくとも一方を含む。以下では、冷蔵用冷却器17の除霜を長時間行う場合について詳しく説明する。なお、冷蔵用冷却器17の除霜を行う温度を高くするとは、例えば、第1除霜運転が行われる場合と比べて、冷蔵用冷却器17の除霜のための冷蔵用送風ファン31の回転数を増加させ(送風量を増加させ)、貯蔵室内の空気を冷蔵用冷却器17に多く当てることで、冷蔵用冷却器17の温度を高くすることなどを含む。また、冷蔵用冷却器17の除霜を行う温度を高くするとは、第1除霜運転が行われる場合と比べて、冷蔵用冷却器17に関して除霜の完了を判定する除霜終了閾値温度を高くすることを含んでもよい。例えば、冷蔵用冷却器17の除霜を行う温度を高くするとは、通常であれば3℃である除霜終了閾値温度を5℃に変更することを含む。
【0088】
本実施形態では、第2除霜運転は、除霜時間を延長することにより除霜効果の高い運転を行う除霜時間延長型の除霜運転と、最低の除霜時間を設定することにより除霜効果の高い運転を行う最低除霜時間設定型の除霜運転とのうち少なくとも一方を含む。まず、除霜時間延長型の除霜運転の一例を説明する。図9は、実施形態の冷蔵庫1が行う除霜時間延長型の除霜運転を示すフローチャートである。
【0089】
除霜時間延長型の第2除霜運転は、例えば、冷蔵用冷却器温度センサ17aの検出結果から得られる情報が第1の所定の条件を満たさない場合(第2の所定の条件を満たす場合)に、冷蔵用冷却器温度センサ17aにより検出された温度に関わらず、冷蔵用冷却器17の除霜時間を所定時間だけ延長することを含む。
【0090】
詳しく述べると、まず、制御部100は、冷蔵用冷却器温度センサ17aによって測定される冷蔵用冷却器17の温度が、除霜開始閾値温度以下であるか否かを判定する(ステップS100)。除霜開始閾値温度は、例えば、-20℃である。冷蔵用冷却器17の温度が、除霜開始閾値温度以下ではない場合は、制御部100は、ステップS100を繰り返す。冷蔵用冷却器17の温度が、除霜開始閾値温度以下である場合は、制御部100は、ステップS110に進む。
【0091】
次に、制御部100は、記憶部116の除霜運転実行中フラグが実行中を示す値であるか非実行中を示す値であるかに基づいて、冷蔵用冷却器17が除霜中か否かを判定する(ステップS110)。冷蔵用冷却器17が除霜中の場合は、ステップS130に進む。冷蔵用冷却器17が除霜中ではない場合は、ステップS120に進み、除霜運転を開始し、記憶部116の除霜運転実行中フラグに実行中を示す値を設定する(ステップS120)。
【0092】
次に、制御部100は、冷蔵用冷却器17の温度が除霜終了閾値温度以上であるか否かを判定する(ステップS130)。除霜終了閾値温度は、例えば、3℃である。冷蔵用冷却器17の温度が除霜終了閾値温度以上ではない場合、制御部100は、ステップS130を繰り返す。冷蔵用冷却器17の温度が除霜終了閾値温度以上である場合、制御部100は、S140に進む。
【0093】
次に、制御部100は、除霜運転を開始して冷蔵用冷却器17の温度が上昇し、その際に、冷蔵用冷却器17の温度が除霜区間開始温度から除霜終了閾値温度になるのにかかった時間が除霜時間閾値以下であったか否かを判定する(ステップS140)。除霜区間開始温度は、例えば、-1℃である。除霜時間閾値は、例えば、15分である。冷蔵用冷却器17の温度が除霜区間開始温度から除霜終了閾値温度になるのにかかった時間が除霜時間閾値以下であったと判定された場合は、制御部100は、ステップS160に進む。冷蔵用冷却器17の温度が除霜区間開始温度から除霜終了閾値温度になるのにかかった時間が除霜時間閾値以下ではない場合は、ステップS150に進み、除霜運転を終了する。
【0094】
ステップS160においては、制御部100は、追加除霜運転を実行し終わったか否かを判定する。追加除霜運転とは、例えば、追加で10分の間、除霜運転をすることである。追加除霜運転を実行し終わったと判定されない場合は、制御部100は、ステップS160を繰り返す。追加除霜運転を実行し終わったと判定される場合は、制御部100は、ステップS150に進み、除霜運転を終了する。尚、除霜運転を追加で10分実行することは、第2除霜制御の一例である。また、除霜運転を開始して冷蔵用冷却器17の温度が温度上昇し、その際に、冷蔵用冷却器17の温度が-1℃から3℃になるのにかかった時間が15分よりも長い事は、第1の所定の条件の一例である。冷蔵用冷却器17の温度が-1℃から3℃になるのにかかった時間が15分以下である事は、第2の所定の条件の一例である。以上で、除霜時間延長型の除霜運転を示すフローチャートの説明を終わる。
【0095】
上記の例における、ステップS140について、具体的な数値を用いて説明する。ステップS140においては、制御部100は、除霜運転を開始して冷蔵用冷却器17の温度が上昇し、その際に、冷蔵用冷却器17の温度が除霜区間開始温度から除霜終了閾値温度になるのにかかった時間が除霜時間閾値以下であったか否かを判定している。つまり、ステップS140において、制御部100は、第1の所定の条件(冷蔵用冷却器17の温度が-1℃から3℃になるのにかかった時間が15分よりも長いこと)が満たされるか、第2の所定の条件(冷蔵用冷却器17の温度が-1℃から3℃になるのにかかった時間が15分よりも短いこと)が満たされるかを判定し、第1の所定の条件(冷蔵用冷却器17の温度が-1℃から3℃になるのにかかった時間が15分よりも長いこと)が満たされる場合に、制御部100は、ステップS150に進み、第2の所定の条件(冷蔵用冷却器17の温度が-1℃から3℃になるのにかかった時間が15分よりも短いこと)が満たされる場合に、制御部100は、ステップS160に進む。
【0096】
上記の例においては、第1の所定の条件と第2の所定の条件とは、同じ閾値に基づいた条件であるものとした。しかしながら、第1の所定の条件と第2の所定の条件とは、異なる閾値に基づいた条件であってもよい。例えば、第1の所定の条件は、冷蔵用冷却器17の温度が-1℃から3℃になるのにかかった時間が17分よりも長いことであってよく、第1の所定の条件は、冷蔵用冷却器17の温度が-1℃から3℃になるのにかかった時間が13分よりも短いことであってよい。
【0097】
除霜時間延長型の除霜運転においては、除霜運転を開始して冷蔵用冷却器17の温度が温度上昇し、その際に、冷蔵用冷却器17の温度が-1℃から3℃(除霜区間開始温度から除霜終了閾値温度)になるのにかかった時間が、短すぎる(15分以下、つまり、除霜時間閾値以下))の場合は、冷蔵室の半扉等が原因で十分に除霜ができていないことが考えられる。なぜなら、半扉の場合は、冷蔵用冷却器17の冷蔵用冷却器温度センサ17aの周囲の温度上昇がしやすいが、冷蔵用冷却器17の別の場所で霜が多く残っている場合があるからである。したがって、冷却器の除霜を通常よりも長くすることで、過着霜を抑制する。上記では、第2除霜制御として、追加で10分の除霜運転を行うとしたが、冷蔵用冷却器温度センサ17aによって検出される冷蔵用冷却器17が所定の温度以上(例えば、5℃以上)になるまで、除霜運転を実行するとしてもよい。
【0098】
尚、上記では、ステップS140において、冷蔵用冷却器17の温度が-1℃から3℃になるのにかかった時間が15分以下であったかどうか判定している。しかし、ステップ140の判定は、冷蔵用冷却器温度センサ17aによって測定される冷蔵用冷却器17の温度が-1℃から3℃(除霜区間開始温度から除霜終了閾値温度)になるのにかかった時間に基づいて判定されることに限定されず、様々な他の判定方法が可能である。例えば、冷蔵用冷却器17に着霜していれば熱交換が行われないため、冷蔵用冷却器17の温度の下がりが早くなるので、第2除霜制御を行う必要があると判定されてもよい。したがって、例えば、冷蔵用冷却器17の温度が通常よりも低い場合や、温度低下の傾きや時間が早い場合に、第2除霜制御を行ってもよい。また、冷蔵室3の断熱扉3aが半扉である場合は、庫外の湿気が多い空気が冷蔵室3の中に流入して霜がつきやすくなることが予想されるので、第2除霜制御を行う必要があると判定されてもよい。したがって、例えば、冷蔵室温度センサ110で検出される冷蔵室3の空気温度が通常よりも低下しにくい場合に、第2除霜制御を行ってもよい。上記述べたように、冷蔵庫1が備える様々な温度センサ(例えば、冷蔵室温度センサ110、冷凍室温度センサ112、庫外温度センサ114、冷蔵用冷却器温度センサ17a、冷凍用冷却器温度センサ18a)を活用して、ステップS140の判定を行うことが可能である。また、冷蔵用冷却器温度センサ17aによって測定される冷蔵用冷却器17の温度は、冷蔵用冷却器17に接続されるアキュミュレータの温度を測定する図示しない温度センサによって検出される温度で代用されてもよい。
【0099】
図10は、実施形態の冷蔵庫1が除霜運転を行った際の、冷蔵用冷却器17の温度とチルド室12の空気温度の測定結果を示す図である。図10においては、縦軸にチルド室12の空気温度が示され、横軸に測定開始からの経過時間が示される。図示されるように、冷蔵用冷却器17の除霜運転が行われると、冷蔵用冷却器17の温度が上昇し、冷蔵用冷却器17に付着した霜が取り除かれる。冷蔵用冷却器17の除霜は、冷蔵用冷却器17の温度が+3℃に到達するまで実施し、実施形態の冷蔵庫1の構成では、除霜に通常30分以上の時間が要する。
【0100】
次に、最低除霜時間型の除霜運転の一例を説明する。
図11は、実施形態の冷蔵庫1が行う最低除霜時間設定型の除霜運転を示すフローチャートである。最低除霜時間設定型の除霜運転は、除霜時間延長型の除霜運転におけるステップS160が、ステップS260に置き換えられている点以外は、除霜時間延長型の除霜運転と同じであるので、相違点のみ以下に説明する。
【0101】
最低除霜時間型の第2除霜運転は、例えば、冷蔵用冷却器温度センサ17aの検出結果から得られる情報が所定の条件を満たさない場合(第2の所定の条件を満たす場合)に、冷蔵用冷却器温度センサ17aにより検出された温度に関わらず、少なくとも予め設定された最低実施時間は前記冷却器の除霜を行うことを含む。
【0102】
詳しく述べると、ステップS140において、冷蔵用冷却器17の温度が除霜区間開始温度から除霜終了閾値温度になるのにかかった時間が除霜時間閾値以下であったと判定された場合は、制御部100は、ステップS260に進み、除霜運転開始からの経過時間が、除霜最低実施時間(例えば、30分)以上であるかどうか判定する(ステップS260)。ステップS260において、除霜運転開始からの経過時間が、除霜最低実施時間(例えば、30分)以上ではないと判定される場合、制御部100は、ステップS260を繰り返す。ステップS260において除霜運転開始からの経過時間が、除霜最低実施時間(例えば、30分)以上であると判定される場合、制御部100は、ステップS150に進み、除霜運転を終了し、除霜運転実行中フラグに非実行中を示す値を設定する。尚、除霜最低実施時間(例えば、30分)以上の間、除霜運転を実行することは、第2除霜制御の一例である。以上で、除霜時間延長型の除霜運転を示すフローチャートの説明を終わる。
【0103】
除霜時間延長型の除霜運転によれば、除霜最低実施時間(例えば、30分)に基づいて、除霜運転の継続が判断されるため、確実に除霜時間を確保することができる。したがって、除霜を確実に行うことができる。また、除霜時間延長型の除霜運転によれば、少なくとも除霜最低実施時間(例えば、30分)の間は、除霜運転を行うので、センサ不具合時にも除霜を確実に行うことができる。
【0104】
<特別チルドと除霜運転の組み合わせ>
特別チルド運転を行う際に、除霜運転を行う場合は、チルド室以外の食品の凍結や、冷蔵用冷却器17の過着霜などの弊害が想定される。これについて、構造的な改善によって対処する場合は冷蔵庫1の庫内容積の低下や、コストの増加を招く場合がる。特に、特別チルド運転で-5℃まで冷却することにより、冷蔵用冷却器17への着霜が促進されるため、特に高温多湿の環境下で半扉状態になった場合には、着霜劣化となり、冷却不能状態に陥る可能性がある。また、実施形態の冷蔵庫1のような、冷蔵室専用の冷蔵用冷却器17を備えている冷蔵庫(2エバポレーター型)では、除霜はヒータではなく、冷蔵用送風ファン31の送風によって行っている。したがって、冷蔵室専用の冷蔵用冷却器17を備えている冷蔵庫1では、着霜が徐々に蓄積されていくリスクは、除霜をヒータで行う場合よりも高いことがある。そこで、実施形態の冷蔵庫1では、特別チルド運転を行っている際に上述したような第1の所定の条件が満たされなくなった場合(第2の所定の条件が満たされる場合)に、上記説明した最低除霜時間設定型の除霜運転や除霜時間延長型の除霜運転に示されるような、冷蔵用冷却器温度センサ17aから取得される情報を用いた除霜制御(第2除霜制御)を行うことで、上記問題を抑制することができる。
【0105】
特別チルド運転を行う際に、除霜運転を行う場合は、第2除霜制御としては、上記説明した最低除霜時間設定型の除霜運転や除霜時間延長型の除霜運転による制御以外に、特別チルド運転の低温冷却と高温冷却の実施時間のいずれか一方の長さを変更することにより、第2除霜制御を行うことができる。
【0106】
図12は、実施形態の冷蔵庫1が行う除霜運転において、高温運転時間の実施割合の変化を示す図である。図示されるように、第2除霜制御として、高温冷却の実施時間を延長することができる。つまり、通常は、7時間の間、高温冷却を実行するが、第2除霜制御として、高温冷却を7時間から10時間に延長することによって、高温冷却の実施時間の割合を高くすることにより、冷蔵用冷却器17の除霜をすることができる。
【0107】
尚、特別チルド運転とともに、除霜運転を行う場合は、第2除霜制御(除霜時間延長型、最低除霜時間設定型)は、高温冷却制御が実施されているときに実行される。これによって、高温冷却のときに除霜できるので、低温冷却の妨げとならない。
【0108】
<特別チルドと除霜運転の組み合わせの変形例>
例えば、制御部100は、低温冷却制御が実施されている間に前記第1の所定の条件が満たされないこと(第2の所定の条件を満たされること)が検出された場合に、チルド室12の冷却制御を低温冷却制御から高温冷却制御に切り替えるとともに、第2除霜制御を行ってもよい。例えば、着霜量が多い場合は、低温冷却制御から高温冷却制御に切り替えることにより、過度の着霜を防止することができる。これにより、すぐに除霜しないといけない場合にも対応できる。
【0109】
<第2除霜制御の変形例>
第2除霜制御としては、上記に説明した方法以外にも、第1除霜制御が行われる場合と比べて、貯蔵室を冷却するための冷蔵用送風ファン31の回転数を低下させて、送風量を低下させることにより、熱交換量を減らして、着霜量を抑制することもできる。図2に示すように、チルド室12の吹き出しダクトと、それ以外の冷蔵室3の吹き出しダクトが同一であれば、冷蔵用送風ファン31の回転数を低下させることで、低温(-5℃)の冷気が主にチルド室12に送ることが可能となり(つまり、冷蔵室3の上段には届かなくなる)、チルド室12以外の食品の凍結を抑制する効果も得ることができる。例えば、冷蔵用送風ファン31の回転数を低下としては、1500rpmを700rpmにすることにより、着霜量を抑制することができる。
【0110】
また、第2除霜制御としては、圧縮機20の能力を、第1除霜制御が行われる場合と比べて、圧縮機20の能力を低下させることで、冷蔵用冷却器17の温度を上げ、着霜量を抑制してもよい。例えば、第1除霜制御における圧縮機20の動作周波数である60Hzを、50Hz~30Hzに低下させる。
【0111】
また、第2除霜制御としては、制御部100が、冷蔵室3の冷却目標温度(設定温度)を上昇させてもよい。冷蔵室3の目標温度(設定温度)を上げることで、冷却時間を短くし、着霜量を抑制する。例えば、目標温度(設定温度)を、4℃から5℃にすることにより、冷却時間を短くし、着霜量を抑制することができる。
【0112】
<ダンパを使用して冷蔵室と冷凍室とで共通の冷却器を使う変形例>
上記では、冷蔵室3を冷蔵用冷却器17で冷却し、冷凍室7を冷凍用冷却器18で冷却する、2エバポレーター型の冷蔵庫1の例を説明した。しかし、冷蔵室3と冷凍室7で共通の冷却器で冷却する場合にも、実施形態や変形例の構成を適用することができる。
【0113】
図13は、変形例の冷蔵庫200の全体の概略構成を示す縦断側面図である。図13の冷蔵庫200には、図1に示される実施形態の冷蔵庫1と同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付している。冷蔵庫200は、冷蔵庫1と同様に、前面が開口した縦長矩形箱状の断熱筐体2内に、複数の貯蔵室を設けて構成されている。冷蔵庫1においては、冷凍サイクル装置16は、冷蔵温度帯の貯蔵室(冷蔵室3、チルド室12、野菜室4)を冷却するための冷蔵用冷却器17と、冷凍温度帯の貯蔵室(製氷室5、冷凍室7)を冷却するための冷凍用冷却器18とを含んで構成されていたが、冷蔵庫200においては、冷凍サイクル装置16は、冷蔵温度帯の貯蔵室(冷蔵室3、チルド室12、野菜室4)と冷凍温度帯の貯蔵室(製氷室5、冷凍室7)との両方を冷却する共用冷却器210を含んで構成される。また、冷蔵庫200においては、制御盤53は、筐体2の上面における奥行方向の後寄りの部位に備えられている。また、筐体2の背面に、真空断熱パネル2cが備えられている。
【0114】
図13に示すように、共用冷却器210は、冷凍室7の背壁部に設けられている。共用冷却器210には、共用冷却器温度センサ210aが設けられている。冷蔵用冷却器温度センサ17aは、図1に示すように、共用冷却器210の例えば上端部に設けられ、共用冷却器210の温度を検出する。共用冷却器210の上方には送風ファン230が設けられている。共用冷却器210で熱交換して冷やされた冷気は、送風ファン230によって冷気供給ダクト30、チルド室送風ダクト265、図示しない野菜室送風ダクト、冷凍室送風ダクト240、及び図示しない製氷室送風ダクトを介して、冷蔵室3、チルド室12、野菜室4、製氷室5、冷凍室7へそれぞれ送られる。各貯蔵室への送風は、制御部100によって制御される第1ダンパ装置260と第2ダンパ装置270の開閉により制御される。
【0115】
ここで、第1ダンパ装置260は2つの開口部を備えた所謂ツインダンパ装置である。図示しない第1開口260aは冷気供給ダクト30への送風を制御し、第2開口260bはチルド室送風ダクト265への送風を制御する構成である。チルド室送風ダクト265は、冷蔵庫200の正面から見て、冷気供給ダクト30の右手側に分岐し、チルド室12内に連通している。
【0116】
具体的には、各貯蔵室への送風は、以下のように制御される。第1ダンパ装置260の第1開口260aが開状態であり、第2ダンパ装置270が閉状態のときには、冷気は、冷気供給ダクト30を通り、複数の冷蔵用冷気供給口30aから冷蔵室3に送られる。
【0117】
第1ダンパ装置260の第2開口260bが開状態であり、第2ダンパ装置270が閉状態のときには、冷気は、チルド室送風ダクト265を通り、チルド室12に送られる。
【0118】
冷蔵室3を冷却した冷気は、冷蔵室3の下部に設けられた図示しない戻り口から図示しない冷蔵室戻りダクトを経て、冷蔵庫200の正面から見て、右側下部に戻る。また、野菜室4からの戻り空気は、戻り口280から野菜室戻りダクト285を経て、共用冷却器210の下部に戻る。
【0119】
第2ダンパ装置270が開状態のとき、共用冷却器210で熱交換された冷気が送風ファン230により図示省略の製氷室送風ダクトや冷凍室送風ダクト240を経て吹き出し口38aからそれぞれ製氷室5、冷凍室7へ送風される。冷凍室7,製氷室5を冷却した冷気は、冷凍室7の奥下部に設けられた吸込み口37を介して、共用冷却器室208に戻る。
【0120】
冷蔵温度帯の貯蔵室(冷蔵室3、チルド室12、野菜室4)と冷凍温度帯の貯蔵室(製氷室5、冷凍室7)との両方に、共用冷却器210を経た冷気を送る場合には、大部分の冷気が第2ダンパ装置270側に送られて、残りのわずかの冷気が冷気供給ダクト30側に送られるよう構成されている。
【0121】
冷気供給ダクト30に導かれた冷気は、第1ダンパ装置260の第1開口260aのみが開口している場合には、冷気供給ダクト30に導かれる。第2開口260bのみが開口している場合には、チルド室送風ダクト265に導かれる。の第1開口260aと第2開口260bの両方が開口している場合には、冷気供給ダクト30とチルド室送風ダクト265の両方に導かれる。
【0122】
共用冷却器210の下方に除霜ヒータ220が設置されている。共用冷却器210の下方には、共用冷却器210からの除霜水を受ける水受部40が設けられている。水受部40は、冷凍側排水ホース41を介して機械室19内に設けられた除霜水蒸発皿35に接続されている。これにより、水受部40で受けられた除霜水は、冷凍側排水ホース41を通って除霜水蒸発皿35に導かれて、該除霜水蒸発皿35で蒸発するようになっている。
【0123】
共用冷却器210には、共用冷却器温度センサ210aが設けられている。共用冷却器温度センサ210aは、図1に示すように、共用冷却器210の例えば上端部に設けられ、共用冷却器210の温度を検出する。共用冷却器温度センサ210aは、例えばサーミスタで構成されている。
【0124】
冷蔵庫200においては、冷蔵庫1と同様に、制御盤53は、マイコン、タイマなどを有したコンピュータで構成される制御部100を備え、冷蔵庫1の全般を制御する。冷蔵室温度センサ110、冷凍室温度センサ112、庫外温度センサ114、記憶部116、共用冷却器温度センサ210a、圧縮機20、送風ファン230、第1ダンパ装置260、第2ダンパ装置270、および操作パネル部150は、それぞれ制御部100に接続されており、それぞれ制御部100からの指令によって駆動制御される。制御部100は、第1ダンパ装置260、第2ダンパ装置270を個別に駆動する後述するそれぞれの駆動モータの制御、送風ファン230のON/OFFや回転速度の制御、冷凍サイクル装置16の制御等を行う。
【0125】
次に、第1ダンパ装置260が閉状態で、且つ第2ダンパ装置270が開状態で、冷凍温度帯の貯蔵室(製氷室5、冷凍室7)のみの冷却が行われている場合、製氷室5に製氷室送風ダクトを介して送風された冷気は、冷凍室7に下降する。そして、冷凍室7に送風された冷気とともに、吸込み口37から共用冷却器室208に戻り、共用冷却器室208との熱交換が行われる。
【0126】
一方、第1ダンパ装置260が開状態で、且つ第2ダンパ装置270が閉状態で、冷蔵温度帯室(冷蔵室3ないし野菜室4)のみの冷却が行われている場合、冷蔵室3からの戻り冷気は、図示しない冷蔵室戻りダクトを介して、吸込み口37から共用冷却器室208に戻り、共用冷却器210との熱交換が行われる。
【0127】
上記にて説明したように、冷蔵庫200においては、各貯蔵室への送風は、制御部100によって制御される第1ダンパ装置260と第2ダンパ装置270の開閉により制御される。冷蔵庫200においても、同様に、上記に説明した特別チルド運転や、第1除霜制御と第2除霜制御を適用することができる。つまり、実施形態における、冷蔵用冷却器17の制御を、共用冷却器210の制御と読み替えることにより、実施形態の特別チルド運転や、第1除霜制御と第2除霜制御を本変形例に適用することができる。つまり、本変形例では、圧縮機20、共用冷却器210、および送風ファン230により「冷却部」の一例が構成されている。
【0128】
以上、冷蔵室3と冷凍室7で共通の冷却器で冷却する変形例として、チルド室12に対して、冷却器からチルド室12専用のチルド室送風ダクト265で冷気を供給する冷蔵庫200の例を説明した。しかし、冷凍室7を冷却する冷気をチルド室12に供給することによってチルド室12を冷却するように構成されてもよい。この場合も、同様に、上記に説明した特別チルド運転や、第1除霜制御と第2除霜制御を適用することができる。
【0129】
<ファンを使用して冷蔵室と冷凍室とで共通の冷却器を使う変形例>
上記の変形例では、第1ダンパ装置260を使用して、チルド室12への冷気の送風を制御した。チルド室12への冷気の送風を制御する手段は、第1ダンパ装置260に限られず、例えば、送風ファンによってチルド室12への冷気の送風を制御することもできる。第1ダンパ装置260の代わりに、冷気供給ダクト30への冷気の送風を行う冷気供給ダクト送風ファンと、チルド室12への冷気の送風を行うチルド室送風ファンが備えられていてもよい。この場合、冷気供給ダクト送風ファンと、チルド室送風ファンとの送風量を個別に制御することにより、チルド室12の温度制御を行うことができる。この場合でも、同様に、上記に説明した特別チルド運転や、第1除霜制御と第2除霜制御を適用することができる。つまり、実施形態における、冷蔵用冷却器17の制御を、共用冷却器210の制御と読み替えることにより、実施形態の特別チルド運転や、第1除霜制御と第2除霜制御を本変形例に適用することができる。つまり、本変形例では、圧縮機20、共用冷却器210、およびチルド室送風ファンにより「冷却部」の一例が構成されている。
【0130】
以上、いくつかの実施形態および変形例について説明したが、実施形態は、上記例に限定されない。例えば、実施形態および変形例は、互いに組み合わせて実現可能である。第2時間は、第1時間よりも長い場合に限定されず、第1時間と同じでもよく、第1時間よりも短くてもよい。ある観点によれば、第2除霜制御は、特別チルド運転とは関係なく実施されてもよい。
【0131】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、冷蔵庫は、前記第1貯蔵室を第1温度帯で冷却し、その後、前記貯蔵室を前記第1温度帯よりも高い第2温度帯で冷却し、その後、前記第1貯蔵室を前記第1温度帯で冷却するように前記冷却部を制御する制御部を有する。このような構成によれば、食品の保存状態の向上を図ることができる。
【0132】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、冷蔵庫は、所定条件が満たされる場合に第1除霜制御を行い、前記所定条件が満たされない場合に前記第1除霜制御よりも除霜効果の高い第2除霜制御を行う制御部を有する。このような構成によれば、過着霜を防ぐなどの除霜制御のさらなる向上を図ることができる。
【0133】
以上説明した少なくともひとつの実施形態において、中心温度は平均温度に読み替えられてもよい。平均温度とは、対象となる運転が実施される期間における温度の平均値である。
【0134】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0135】
1、200…冷蔵庫、2…筐体、3…冷蔵室、3a…断熱扉、4…野菜室、5…製氷室、6…小冷凍室、7…冷凍室、12…チルド室、16…冷凍サイクル装置、17…冷蔵用冷却器、18…冷凍用冷却器、20…圧縮機、30…冷気供給ダクト、53…制御盤、100…制御部、110…冷蔵室温度センサ、112…冷凍室温度センサ、114…庫外温度センサ、150…操作パネル部、200…冷蔵庫、208…共用冷却器室、210…共用冷却器、210a…共用冷却器温度センサ、220…除霜ヒータ、230…送風ファン、240…冷凍室送風ダクト、260…第1ダンパ装置、265…チルド室送風ダクト、270…第2ダンパ装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11
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図13