(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】制御装置および変速システム
(51)【国際特許分類】
B62M 9/04 20060101AFI20240806BHJP
B62J 99/00 20200101ALI20240806BHJP
B62M 9/123 20100101ALI20240806BHJP
B62M 9/133 20100101ALI20240806BHJP
B62M 25/00 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
B62M9/04 C
B62J99/00
B62M9/123
B62M9/133
B62M25/00 Z
(21)【出願番号】P 2019022450
(22)【出願日】2019-02-12
【審査請求日】2021-11-04
【審判番号】
【審判請求日】2023-05-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】謝花 聡
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 充彦
【合議体】
【審判長】筑波 茂樹
【審判官】横溝 顕範
【審判官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-95384(JP,A)
【文献】特開2001-10581(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M1/00-11/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1参照値に基づいて規定される変速条件に応じて、人力駆動車の変速比が変化するように変速装置を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記人力駆動車への入力に関する第2参照値の
所定期間の変化に応じて、変速を抑制するように前記変速装置を制御する、制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2参照値の変化に応じて、前記人力駆動車の変速比が大きくなるシフトアップ変速、および、前記人力駆動車の変速比が小さくなるシフトダウン変速の少なくとも1つを抑制するように前記変速装置を制御する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記第1参照値は、前記人力駆動車の走行状態に関する走行情報を含む、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記走行情報は、ケイデンス、前記人力駆動車のクランクに作用するトルク、車速、加速度、および、パワーの少なくとも1つを含む、請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
第1参照値に基づいて規定される変速条件に応じて、人力駆動車の変速比が変化するように変速装置を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記人力駆動車への入力に関する第2参照値の変化に応じて、変速を抑制するように前記変速装置を制御し、
前記制御部は、前記第2参照値の変化に応じて、前記人力駆動車の変速比が大きくなるシフトアップ変速、および、前記人力駆動車の変速比が小さくなるシフトダウン変速の少なくとも1つを抑制するように前記変速装置を制御し、
前記第1参照値は、前記人力駆動車の走行状態に関する走行情報を含み、
前記走行情報は、ケイデンス、前記人力駆動車のクランクに作用するトルク、車速、加速度、および、パワーの少なくとも1つを含み、
前記第1参照値は、前記ケイデンスを含み、
前記制御部は、前記第2参照値の変化に応じて、前記シフトアップ変速を抑制するように前記変速装置を制御する
、制御装置。
【請求項6】
前記第1参照値は、前記トルクを含み、
前記制御部は、前記第2参照値の変化に応じて、前記シフトダウン変速を抑制するように前記変速装置を制御する、請求項4または5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記第2参照値は、ケイデンス、前記人力駆動車のクランクに作用するトルク、および、パワーの少なくとも1つを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
第1参照値に基づいて規定される変速条件に応じて、人力駆動車の変速比が変化するように変速装置を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記人力駆動車への入力に関する第2参照値の変化に応じて、変速を抑制するように前記変速装置を制御し、
前記第2参照値は、ケイデンス、前記人力駆動車のクランクに作用するトルク、および、パワーの少なくとも1つを含み、
前記制御部は、前記第2参照値の瞬間的な増加に応じて、変速を抑制するように前記変速装置を制御する
、制御装置。
【請求項9】
前記第2参照値は、前記ケイデンスを含み、
前記制御部は、前記ケイデンスが瞬間的に第1ケイデンス以上になると、変速を抑制するように前記変速装置を制御する、請求項8に記載の制御装置。
【請求項10】
前記第1ケイデンスは、前記変速条件を規定するシフトアップ変速用の閾値に基づいて設定される、請求項9に記載の制御装置。
【請求項11】
前記第2参照値は、前記トルクを含み、
前記制御部は、前記トルクが瞬間的に第1トルク以上になると、変速を抑制するように前記変速装置を制御する、請求項8から10のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項12】
前記第1トルクは、70Nm以上である、請求項11に記載の制御装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記第2参照値の変化量に応じて、変速を抑制するように前記変速装置を制御する、請求項
8から12のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項14】
第1参照値に基づいて規定される変速条件に応じて、人力駆動車の変速比が変化するように変速装置を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記人力駆動車への入力に関する第2参照値の変化に応じて、変速を抑制するように前記変速装置を制御し、
前記第2参照値は、ケイデンス、前記人力駆動車のクランクに作用するトルク、および、パワーの少なくとも1つを含み、
前記制御部は、前記第2参照値の変化量に応じて、変速を抑制するように前記変速装置を制御する
、制御装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記第2参照値の瞬間的な増加量に応じて、変速を抑制するように前記変速装置を制御する、請求項
14に記載の制御装置。
【請求項16】
前記第2参照値は、前記ケイデンスを含み、
前記制御部は、前記ケイデンスの瞬間的な増加量が第1増加量になると、変速を抑制するように前記変速装置を制御する、請求項
15に記載の制御装置。
【請求項17】
前記第2参照値は、前記トルクを含み、
前記制御部は、前記トルクの瞬間的な増加量が第2増加量になると、変速を抑制するように前記変速装置を制御する、請求項
15または
16に記載の制御装置。
【請求項18】
前記制御部は、前記第2参照値の変化と、車速および路面の勾配の少なくとも1つとに応じて、変速を抑制するように前記変速装置を制御する、請求項1から
17のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項19】
前記制御部は、変速を抑制するように前記変速装置を制御した後、前記第2参照値および車速の少なくとも1つに応じて、変速の抑制を解除するように前記変速装置を制御する、請求項1から
18のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項20】
前記制御部は、前記第2参照値が所定域外になると、変速の抑制を解除するように前記変速装置を制御する、請求項
19に記載の制御装置。
【請求項21】
前記第2参照値は、トルクを含み、
前記制御部は、前記トルクが前記所定域外に含まれる第2トルク未満になると、変速の抑制を解除するように前記変速装置を制御する、請求項
20に記載の制御装置。
【請求項22】
第1参照値に基づいて規定される変速条件に応じて、人力駆動車の変速比が変化するように変速装置を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記人力駆動車への入力に関する第2参照値の変化に応じて、変速を抑制するように前記変速装置を制御し、
前記制御部は、変速を抑制するように前記変速装置を制御した後、前記第2参照値および車速の少なくとも1つに応じて、変速の抑制を解除するように前記変速装置を制御し、
前記制御部は、前記第2参照値が所定域外になると、変速の抑制を解除するように前記変速装置を制御し、
前記第2参照値は、トルクを含み、
前記制御部は、前記トルクが前記所定域外に含まれる第2トルク未満になると、変速の抑制を解除するように前記変速装置を制御し、
前記制御部は、前記トルクが前記所定域外に含まれる第3トルク未満になると、変速の抑制を解除するように前記変速装置を制御し、
前記第3トルクは、前記第2トルクよりも大きい
、制御装置。
【請求項23】
前記第2参照値は、ケイデンスを含み、
前記制御部は、前記ケイデンスが前記所定域外に含まれる第2ケイデンス以上になると、変速の抑制を解除するように前記変速装置を制御する、請求項
21または22に記載の制御装置。
【請求項24】
第1参照値に基づいて規定される変速条件に応じて、人力駆動車の変速比が変化するように変速装置を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記人力駆動車への入力に関する第2参照値の変化に応じて、変速を抑制するように前記変速装置を制御し、
前記制御部は、変速を抑制するように前記変速装置を制御した後、前記第2参照値および車速の少なくとも1つに応じて、変速の抑制を解除するように前記変速装置を制御し、
前記制御部は、前記第2参照値が所定域外になると、変速の抑制を解除するように前記変速装置を制御し、
前記第2参照値は、ケイデンスを含み、
前記制御部は、前記ケイデンスが前記所定域外に含まれる第2ケイデンス以上になると、変速の抑制を解除するように前記変速装置を制御する
、制御装置。
【請求項25】
前記制御部は、前記車速が前記人力駆動車の変速比に応じた所定車速以上になると、変速の抑制を解除するように前記変速装置を制御する、請求項
21から
24のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項26】
第1参照値に基づいて規定される変速条件に応じて、人力駆動車の変速比が変化するように変速装置を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記人力駆動車への入力に関する第2参照値の変化に応じて、変速を抑制するように前記変速装置を制御し、
前記制御部は、変速を抑制するように前記変速装置を制御した後、前記第2参照値および車速の少なくとも1つに応じて、変速の抑制を解除するように前記変速装置を制御し、
前記制御部は、前記車速が前記人力駆動車の変速比に応じた所定車速以上になると、変速の抑制を解除するように前記変速装置を制御する
、制御装置。
【請求項27】
前記制御部は、変速を抑制するように前記変速装置を制御してから所定時間が経過すると、変速の抑制を解除するように前記変速装置を制御する、請求項1から
26のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項28】
第1参照値に基づいて規定される変速条件に応じて、人力駆動車の変速比が変化するように変速装置を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記人力駆動車への入力に関する第2参照値の変化に応じて、変速を抑制するように前記変速装置を制御し、
前記制御部は、変速を抑制するように前記変速装置を制御してから所定時間が経過すると、変速の抑制を解除するように前記変速装置を制御する
、制御装置。
【請求項29】
請求項1から
28のいずれか一項に記載の制御装置と、
前記変速装置と、を備える変速システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置および変速システムに関する。
【背景技術】
【0002】
人力駆動車の変速装置を制御する変速システムが知られている。従来の変速システムは、人力駆動車のクランクの回転数および閾値に基づいて規定される変速条件に応じて、クランクの回転数が所定の範囲内に維持されるように変速装置を制御する。特許文献1は、従来の変速システムの一例を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人力駆動車に搭乗する搭乗者が快適に走行できることが望ましい。
本発明の目的は、人力駆動車の快適な走行に貢献できる制御装置および変速システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1側面に従う制御装置は、第1参照値に基づいて規定される変速条件に応じて、人力駆動車の変速比が変化するように変速装置を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記人力駆動車への入力に関する第2参照値の変化に応じて、変速を抑制するように前記変速装置を制御する。
上記第1側面の制御装置によれば、第2参照値の変化に応じて変速が抑制されるため、人力駆動車に搭乗する搭乗者の意図しない変速を抑制できる。このため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0006】
前記第1側面に従う第2側面の制御装置において、前記制御部は、前記第2参照値の変化に応じて、前記人力駆動車の変速比が大きくなるシフトアップ変速、および、前記人力駆動車の変速比が小さくなるシフトダウン変速の少なくとも1つを抑制するように前記変速装置を制御する。
上記第2側面の制御装置によれば、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0007】
前記第2側面に従う第3側面の制御装置において、前記第1参照値は、前記人力駆動車の走行状態に関する走行情報を含む。
上記第3側面の制御装置によれば、人力駆動車の変速装置が変速条件に応じて好適に制御されるため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0008】
前記第3側面に従う第4側面の制御装置において、前記走行情報は、ケイデンス、前記人力駆動車のクランクに作用するトルク、車速、加速度、および、パワーの少なくとも1つを含む。
上記第4側面の制御装置によれば、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0009】
前記第4側面に従う第5側面の制御装置において、前記第1参照値は、前記ケイデンスを含み、前記制御部は、前記第2参照値の変化に応じて、前記シフトアップ変速を抑制するように前記変速装置を制御する。
上記第5側面の制御装置によれば、第2参照値の変化に応じてシフトアップ変速が抑制されるため、高いケイデンスに伴う搭乗者の意図しないシフトアップ変速を抑制できる。このため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0010】
前記第4または第5側面に従う第6側面の制御装置において、前記第1参照値は、前記トルクを含み、前記制御部は、前記第2参照値の変化に応じて、前記シフトダウン変速を抑制するように前記変速装置を制御する。
上記第6側面の制御装置によれば、第2参照値の変化に応じてシフトダウン変速が抑制されるため、高いトルクに伴う搭乗者の意図しないシフトダウン変速を抑制できる。このため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0011】
前記第1から第6側面のいずれか1つに従う第7側面の制御装置において、前記第2参照値は、ケイデンス、前記人力駆動車のクランクに作用するトルク、および、パワーの少なくとも1つを含む。
上記第7側面の制御装置によれば、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0012】
前記第7側面に従う第8側面の制御装置において、前記制御部は、前記第2参照値の瞬間的な増加に応じて、変速を抑制するように前記変速装置を制御する。
上記第8側面の制御装置によれば、第2参照値の瞬間的な増加に応じて変速が抑制されるため、搭乗者の意図しない変速を抑制できる。このため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0013】
前記第8側面に従う第9側面の制御装置において、前記第2参照値は、前記ケイデンスを含み、前記制御部は、前記ケイデンスが瞬間的に第1ケイデンス以上になると、変速を抑制するように前記変速装置を制御する。
上記第9側面の制御装置によれば、ケイデンスの瞬間的な増加に伴う変速が抑制されるため、搭乗者の意図しない変速を抑制できる。このため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0014】
前記第9側面に従う第10側面の制御装置において、前記第1ケイデンスは、前記変速条件を規定するシフトアップ変速用の閾値に基づいて設定される。
上記第10側面の制御装置によれば、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0015】
前記第8から第10側面のいずれか1つに従う第11側面の制御装置において、前記第2参照値は、前記トルクを含み、前記制御部は、前記トルクが瞬間的に第1トルク以上になると、変速を抑制するように前記変速装置を制御する。
上記第11側面の制御装置によれば、トルクの瞬間的な増加に伴う変速が抑制されるため、搭乗者の意図しない変速を抑制できる。このため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0016】
前記第11側面に従う第12側面の制御装置において、前記第1トルクは、70Nm以上である。
上記第12側面の制御装置によれば、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0017】
前記第7から第12側面のいずれか1つに従う第13側面の制御装置において、前記制御部は、前記第2参照値の変化量に応じて、変速を抑制するように前記変速装置を制御する。
上記第13側面の制御装置によれば、第2参照値の変化量に応じて変速が抑制されるため、搭乗者の意図しない変速を抑制できる。このため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0018】
前記第13側面に従う第14側面の制御装置において、前記制御部は、前記第2参照値の瞬間的な増加量に応じて、変速を抑制するように前記変速装置を制御する。
上記第14側面の制御装置によれば、第2参照値の瞬間的な増加に伴う変速が抑制されるため、搭乗者の意図しない変速を抑制できる。このため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0019】
前記第14側面に従う第15側面の制御装置において、前記第2参照値は、前記ケイデンスを含み、前記制御部は、前記ケイデンスの瞬間的な増加量が第1増加量になると、変速を抑制するように前記変速装置を制御する。
上記第15側面の制御装置によれば、ケイデンスの瞬間的な増加に伴う変速が抑制されるため、搭乗者の意図しない変速を抑制できる。このため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0020】
前記第14または第15側面に従う第16側面の制御装置において、前記第2参照値は、前記トルクを含み、前記制御部は、前記トルクの瞬間的な増加量が第2増加量になると、変速を抑制するように前記変速装置を制御する。
上記第16側面の制御装置によれば、トルクの瞬間的な増加に伴う変速が抑制されるため、搭乗者の意図しない変速を抑制できる。このため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0021】
前記第1から第16側面のいずれか1つに従う第17側面の制御装置において、前記制御部は、前記第2参照値の変化と、車速および路面の勾配の少なくとも1つとに応じて、変速を抑制するように前記変速装置を制御する。
上記第17側面の制御装置によれば、第2参照値の変化と、車速および路面の勾配の少なくとも1つとに応じたタイミングで変速が抑制されるため、搭乗者の意図しない変速を抑制できる。このため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0022】
前記第1から第17側面のいずれか1つに従う第18側面の制御装置において、前記制御部は、変速を抑制するように前記変速装置を制御した後、前記第2参照値および車速の少なくとも1つに応じて、変速の抑制を解除するように前記変速装置を制御する。
上記第18側面の制御装置によれば、第2参照値および車速の少なくとも1つに応じたタイミングで変速の抑制が解除されるため、変速装置によるスムーズな変速を実現できる。このため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0023】
前記第18側面に従う第19側面の制御装置において、前記制御部は、前記第2参照値が所定域外になると、変速の抑制を解除するように前記変速装置を制御する。
上記第19側面の制御装置によれば、第2参照値に応じたタイミングで変速の抑制が解除されるため、変速装置によるスムーズな変速を実現できる。このため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0024】
前記第19側面に従う第20側面の制御装置において、前記第2参照値は、トルクを含み、前記制御部は、前記トルクが前記所定域外に含まれる第2トルク未満になると、変速の抑制を解除するように前記変速装置を制御する。
上記第20側面の制御装置によれば、トルクの低下に応じて変速の抑制が解除されるため、変速装置によるスムーズな変速を実現できる。このため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0025】
前記第20側面に従う第21側面の制御装置において、前記制御部は、前記トルクが前記所定域外に含まれる第3トルク未満になると、変速の抑制を解除するように前記変速装置を制御し、前記第3トルクは、前記第2トルクよりも大きい。
上記第21側面の制御装置によれば、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0026】
前記第19から第21側面のいずれか1つに従う第22側面の制御装置において、前記第2参照値は、ケイデンスを含み、前記制御部は、前記ケイデンスが前記所定域外に含まれる第2ケイデンス以上になると、変速の抑制を解除するように前記変速装置を制御する。
上記第22側面の制御装置によれば、ケイデンスの増加に応じて変速の抑制が解除されるため、変速装置によるスムーズな変速を実現できる。このため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0027】
前記第18から第22側面のいずれか1つに従う第23側面の制御装置において、前記制御部は、前記車速が前記人力駆動車の変速比に応じた所定車速以上になると、変速の抑制を解除するように前記変速装置を制御する。
上記第23側面の制御装置によれば、車速の増加に応じて変速の抑制が解除されるため、変速装置によるスムーズな変速を実現できる。このため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0028】
前記第1から第23側面のいずれか1つに従う第24側面の制御装置において、前記制御部は、変速を抑制するように前記変速装置を制御してから所定時間が経過すると、変速の抑制を解除するように前記変速装置を制御する。
上記第24側面の制御装置によれば、変速の抑制から経過した時間に応じて変速の抑制が解除されるため、変速装置によるスムーズな変速を実現できる。このため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0029】
本発明の第25側面に従う変速システムは、前記制御装置と、前記変速装置と、を備える。
上記第25側面の変速システムによれば、第2参照値の変化に応じて変速が抑制されるため、人力駆動車に搭乗する搭乗者の意図しない変速を抑制できる。このため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の制御装置および変速システムによれば、人力駆動車の快適な走行に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】第1実施形態の変速システムを含む人力駆動車の側面図。
【
図2】
図1の制御装置と各種の要素との電気的な接続関係を示すブロック図。
【
図3】
図1の変速装置の制御に用いられる変速条件の一例を示すマップ。
【
図4】
図1の制御装置が実行する自動変速制御の一例を示すフローチャート。
【
図5】
図1の制御装置が実行する第1変速抑制制御において、第1所定条件に関する判定処理の一例を示すフローチャート。
【
図6】
図1の制御装置が実行する第1変速抑制制御の一例を示すフローチャート。
【
図7】第2実施形態の変速システムの制御装置が実行する第2変速抑制制御において、第2所定条件に関する判定処理の一例を示すフローチャート。
【
図8】
図7の制御装置が実行する第2変速抑制制御の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0032】
<第1実施形態>
図1を参照して、変速システム10を含む人力駆動車Aについて説明する。
ここで、人力駆動車は、走行のための原動力に関して、少なくとも部分的に人力を用いる車両を意味し、電動で人力を補助する車両を含む。人力以外の原動力のみを用いる車両は、人力駆動車には含まれない。特に、内燃機関のみを原動力に用いる車両は、人力駆動車には含まれない。通常、人力駆動車には、小型軽車両が想定され、公道での運転に免許を要しない車両が想定される。図示される人力駆動車Aは、電気エネルギーを用いて人力駆動車Aの推進を補助する電動補助ユニットEを含む自転車である。具体的には、図示される人力駆動車Aは、トレッキングバイクである。人力駆動車Aは、フレームA1、フロントフォークA2、車輪W、ハンドルH、および、ドライブトレインBをさらに含む。車輪Wは、前輪WFおよび後輪WRを含む。
【0033】
ドライブトレインBは、例えばチェーンドライブタイプである。ドライブトレインBは、クランクC、フロントスプロケットD1、リアスプロケットD2、および、チェーンD3を含む。クランクCは、フレームA1に回転可能に支持されるクランク軸C1、および、クランク軸C1の両端部のそれぞれに設けられる一対のクランクアームC2を含む。各クランクアームC2の先端には、ペダルPDが回転可能に取り付けられる。ドライブトレインBは、任意のタイプから選択でき、ベルトドライブタイプ、または、シャフトドライブタイプであってもよい。
【0034】
フロントスプロケットD1は、クランク軸C1と一体に回転するようにクランクCに設けられる。リアスプロケットD2は、後輪WRのハブHRに設けられる。チェーンD3は、フロントスプロケットD1およびリアスプロケットD2に巻き掛けられる。人力駆動車Aに搭乗する搭乗者によってペダルPDに加えられる人力駆動力は、フロントスプロケットD1、チェーンD3、および、リアスプロケットD2を介して後輪WRに伝達される。
【0035】
電動補助ユニットEは、人力駆動車Aの推進をアシストするように動作する。電動補助ユニットEは、例えばペダルPDに加えられる人力駆動力に応じて動作する。電動補助ユニットEは、モータE1を含む。電動補助ユニットEは、人力駆動車Aに搭載されるバッテリBTから供給される電力によって動作する。
【0036】
変速システム10は、制御装置12と、変速装置20とを備える。制御装置12は、例えば電動補助ユニットEのハウジングE2内に収容される。制御装置12は、バッテリBTから供給される電力によって動作する。
【0037】
変速装置20は、例えばシフトレバーSLの操作に応じて機械的または電気的に駆動されるように構成される。変速装置20が電気的に駆動される場合、変速装置20は、バッテリBTから供給される電力、または、変速装置20に搭載される専用の電源から供給される電力によって動作する。変速装置20は、外装変速機を含む。一例では、変速装置20は、フロントディレーラ22およびリアディレーラ24の少なくとも1つを含む。本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、その選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、その選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【0038】
フロントディレーラ22は、フロントスプロケットD1付近に設けられる。フロントディレーラ22の駆動に伴って、チェーンD3が巻き掛けられるフロントスプロケットD1が変更され、人力駆動車Aの変速比が変更される。人力駆動車Aの変速比は、フロントスプロケットD1の歯数とリアスプロケットD2の歯数との関係に基づいて規定される。一例では、人力駆動車Aの変速比は、フロントスプロケットD1の回転速度に対するリアスプロケットD2の回転速度の割合で定義される。すなわち、人力駆動車Aの変速比は、リアスプロケットD2の歯数に対するフロントスプロケットD1の歯数の割合で定義される。リアディレーラ24は、フレームA1のリアエンドA3に設けられる。リアディレーラ24の駆動に伴って、チェーンD3が巻き掛けられるリアスプロケットD2が変更され、人力駆動車Aの変速比が変更される。変速装置20は、外装変速機に代えて内装変速機を含んでいてもよい。この場合、内装変速機は、例えば後輪WRのハブHRに設けられる。変速装置20は、外装変速機に代えて無段変速機を含んでいてもよい。この場合、無段変速機は、例えば後輪WRのハブHRに設けられる。
【0039】
図2を参照して、制御装置12の具体的な構成について説明する。
制御装置12は、第1参照値RV1に基づいて規定される変速条件に応じて、人力駆動車Aの変速比が変化するように変速装置20を制御する制御部14を備える。制御部14は、CPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)である。制御部14は、人力駆動車Aの変速装置20を変速条件に応じて自動的に制御する自動変速制御を実行する。制御部14は、シフトレバーSLの操作に応じて変速装置20を制御することもできる。制御部14は、人力駆動車Aの変速装置20以外に、人力駆動車Aに搭載される各種のコンポーネントをさらに制御してもよい。制御装置12は、各種の情報を記憶する記憶部16をさらに備える。記憶部16は、不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。記憶部16は、例えば制御のための各種プログラム、および、予め設定される情報等を記憶する。
【0040】
図3に示されるように、変速条件は、第1参照値RV1および閾値THに基づいて規定される。第1参照値RV1は、人力駆動車Aの走行状態に関する走行情報を含む。走行情報は、ケイデンス、人力駆動車AのクランクCに作用するトルク、車速、加速度、および、パワーの少なくとも1つを含む。ケイデンスは、クランクCの回転数と同義である。パワーは、ケイデンスとトルクとの積である。本実施形態では、第1参照値RV1は、ケイデンスを含む。
【0041】
閾値THは、第1閾値TH1および第2閾値TH2を含む。制御部14は、第1参照値RV1と第1閾値TH1との関係に応じて、人力駆動車Aの変速比が大きくなるシフトアップ変速を実行するように変速装置20を制御する。制御部14は、第1参照値RV1と第2閾値TH2との関係に応じて、人力駆動車Aの変速比が小さくなるシフトダウン変速を実行するように変速装置20を制御する。第1閾値TH1は、第2閾値TH2とは異なる。この場合、第1閾値TH1および第2閾値TH2は、所定の範囲を有する。一例では、第1閾値TH1は、第2閾値TH2に対して所定値PVだけ異なる。所定値PVは、所定の範囲を規定する所定幅である。本実施形態では、第1閾値TH1は、第2閾値TH2よりも大きい。一例では、制御部14は、第1参照値RV1が第1閾値TH1以上になるとシフトアップ変速を実行するように変速装置20を制御し、第1参照値RV1が第2閾値TH2未満になるとシフトダウン変速を実行するように変速装置20を制御する。
【0042】
制御部14は、第1参照値RV1が第1閾値TH1以上、かつ、現在の人力駆動車Aの変速比が最大変速比の場合、人力駆動車Aの変速比を維持するように変速装置20を制御する。人力駆動車Aの最大変速比は、フロントスプロケットD1とリアスプロケットD2との関係に基づく最大の変速比である。制御部14は、第1参照値RV1が第2閾値TH2未満、かつ、現在の人力駆動車Aの変速比が最小変速比の場合、人力駆動車Aの変速比を維持するように変速装置20を制御する。人力駆動車Aの最小変速比は、フロントスプロケットD1とリアスプロケットD2との関係に基づく最小の変速比である。第1参照値RV1がトルクを含む例では、第1参照値RV1がケイデンスを含む上述の例とは反対の制御が実行される。一例では、制御部14は、第1参照値RV1と第1閾値TH1との関係に応じてシフトダウン変速を実行するように変速装置20を制御し、第1参照値RV1と第2閾値TH2との関係に応じてシフトアップ変速を実行するように変速装置20を制御する。
【0043】
制御部14は、変速を抑制するように変速装置20を制御し、その後に変速の抑制を解除するように変速装置20を制御する第1変速抑制制御を実行する。制御部14は、人力駆動車Aへの入力に関する第2参照値RV2の変化に応じて、変速を抑制するように変速装置20を制御する。第2参照値RV2は、ケイデンス、人力駆動車AのクランクCに作用するトルク、および、パワーの少なくとも1つを含む。制御部14は、変速を抑制している期間において、変速条件に応じた変速、および、シフトレバーSLの操作に応じた変速の少なくとも1つを抑制するように変速装置20を制御する。本実施形態では、制御部14は、変速を抑制している期間において、変速条件に応じた変速を抑制するように変速装置20を制御する。制御部14は、変速を抑制している期間において、シフトレバーSLの操作に応じた変速を許可するように変速装置20を制御してもよい。
【0044】
制御部14は、第2参照値RV2の変化に応じて、人力駆動車Aの変速比が大きくなるシフトアップ変速、および、人力駆動車Aの変速比が小さくなるシフトダウン変速の少なくとも1つを抑制するように変速装置20を制御する。第2参照値RV2の変化に応じて抑制される変速(シフトアップ変速、シフトダウン変速)は、例えば第1参照値RV1の種類に応じて設定されることが好ましい。一例では、第1参照値RV1は、ケイデンスを含む。制御部14は、第2参照値RV2の変化に応じて、シフトアップ変速を抑制するように変速装置20を制御する。この場合、制御部14は、第2参照値RV2の変化に関わらず、シフトダウン変速を常に許可するように変速装置20を制御してもよく、シフトアップ変速を抑制するとともにシフトダウン変速も抑制するように変速装置20を制御してもよい。車速、加速度、および、パワーの少なくとも1つが第1参照値RV1に含まれる場合においても同様である。別の一例では、第1参照値RV1は、トルクを含む。制御部14は、第2参照値の変化に応じて、シフトダウン変速を抑制するように変速装置20を制御する。この場合、制御部14は、第2参照値RV2の変化に関わらず、シフトアップ変速を常に許可するように変速装置20を制御してもよく、シフトダウン変速を抑制するとともにシフトアップ変速も抑制するように変速装置20を制御してもよい。本実施形態では、上述のとおり第1参照値RV1がケイデンスを含むため、制御部14は、第2参照値RV2の変化に応じて、シフトアップ変速を抑制するように変速装置20を制御する。
【0045】
制御部14は、第2参照値RV2の瞬間的な増加に応じて、変速を抑制するように変速装置20を制御する。瞬間的が意味する期間には、0秒よりも長く、2秒よりも短い期間が含まれる。好ましい例では、瞬間的が意味する期間には、0秒よりも長く、0.5秒よりも短い期間が含まれる。制御部14は、第2参照値RV2の変化と、車速および路面の勾配の少なくとも1つとに応じて、変速を抑制するように変速装置20を制御する。
【0046】
制御部14は、第1所定条件が成立すると、変速を抑制するように変速装置20を制御する。制御部14は、例えば第1条件および第2条件の少なくとも1つが成立すると、第1所定条件が成立すると判定する。一例では、制御部14は、第1条件および第2条件の少なくとも1つの成立に加えて、第3条件から第5条件の少なくとも1つが成立すると、第1所定条件が成立すると判定する。本実施形態では、制御部14は、第1条件から第5条件の全部が成立すると、第1所定条件が成立すると判定する。
【0047】
第2参照値RV2は、ケイデンスを含む。制御部14は、例えばケイデンスが瞬間的に第1ケイデンス以上になると、第1条件が成立すると判定する。具体的には、制御部14は、ケイデンスが所定ケイデンス未満の状態から瞬間的に第1ケイデンス以上になると、第1条件が成立すると判定する。換言すれば、制御部14は、所定期間において、ケイデンスが所定ケイデンス未満の状態から第1ケイデンス以上になると、第1条件が成立すると判定する。制御部14は、前回測定されたケイデンスが所定ケイデンス未満であり、現在のケイデンスが第1ケイデンス以上になると、第1条件が成立すると判定してもよい。第1ケイデンスは、変速条件を規定するシフトアップ変速用の閾値THに基づいて設定される。換言すれば、第1ケイデンスは、変速条件を規定する第1閾値TH1に基づいて設定される。第1ケイデンスは、第1閾値TH1に相当するケイデンスと一致する。一例では、第1ケイデンスは、80rpmである。所定ケイデンスは、第1ケイデンスよりも小さい。一例では、所定ケイデンスは、70rpmである。第1ケイデンスおよび所定ケイデンスの少なくとも1つは、搭乗者が変更可能に記憶部16に記憶されてもよい。所定期間は、瞬間的が意味する期間である。第1条件の成立に応じて第1所定条件が成立すると判定される場合、制御部14は、ケイデンスが瞬間的に第1ケイデンス以上になると、変速を抑制するように変速装置20を制御する。
【0048】
第2参照値RV2は、トルクを含む。制御部14は、例えばトルクが瞬間的に第1トルク以上になると、第2条件が成立すると判定する。具体的には、制御部14は、トルクが所定トルク未満の状態から瞬間的に第1トルク以上になると、第2条件が成立すると判定する。換言すれば、制御部14は、所定期間において、トルクが所定トルク未満の状態から第1トルク以上になると、第2条件が成立すると判定する。制御部14は、前回測定されたトルクが所定トルク未満であり、現在のトルクが第1トルク以上になると、第2条件が成立すると判定してもよい。第1トルクは、70Nm以上である。一例では、第1トルクは、70Nmである。所定トルクは、第1トルクよりも小さい。一例では、所定トルクは、55Nmである。第1トルクおよび所定トルクの少なくとも1つは、搭乗者が変更可能に記憶部16に記憶されてもよい。第2条件の成立に応じて第1所定条件が成立すると判定される場合、制御部14は、トルクが瞬間的に第1トルク以上になると、変速を抑制するように変速装置20を制御する。
【0049】
制御部14は、例えば路面の勾配が所定勾配以上になると、第3条件が成立すると判定する。所定勾配は、5%以上である。一例では、所定勾配は、10%である。所定勾配は、搭乗者が変更可能に記憶部16に記憶されてもよい。制御部14は、例えば車速が所定速度域になると、第4条件が成立すると判定する。所定速度域は、所定速度未満の速度域を含む。具体的には、所定速度域は、0km/h以上かつ所定速度未満の速度域を含む。所定速度は、15km/h以下である。一例では、所定速度は、13km/h以下である。所定速度域は、搭乗者が変更可能に記憶部16に記憶されてもよい。制御部14は、例えば人力駆動車Aの変速比が所定変速比以下になると、第5条件が成立すると判定する。所定変速比は、5速に相当する変速比以下である。一例では、所定変速比は、3速に相当する変速比である。所定変速比は、搭乗者が変更可能に記憶部16に記憶されてもよい。
【0050】
制御部14は、変速を抑制するように変速装置20を制御した後、第2参照値RV2および車速の少なくとも1つに応じて、変速の抑制を解除するように変速装置20を制御する。一例では、制御部14は、第2参照値RV2が所定域外になると、変速の抑制を解除するように変速装置20を制御する。制御部14は、変速の抑制を解除すると、変速条件に応じた変速を許可するように変速装置20を制御する。第1参照値RV1がケイデンスを含む例では、制御部14は、シフトアップ変速の抑制を解除すると、変速条件に応じたシフトアップ変速を許可するように変速装置20を制御する。第1参照値RV1がトルクを含む例では、制御部14は、シフトダウン変速の抑制を解除すると、変速条件に応じたシフトダウン変速を許可するように変速装置20を制御する。
【0051】
第2参照値RV2は、トルクを含む。一例では、制御部14は、トルクが所定域外に含まれる第2トルク未満になると、変速の抑制を解除するように変速装置20を制御する。本実施形態では、制御部14は、トルクが第2トルク未満になって、その状態が第1所定時間継続すると、変速の抑制を解除するように変速装置20を制御する。第2トルクは、30Nm以下である。一例では、第2トルクは、10Nmである。第1所定時間は、5秒以下である。一例では、第1所定時間は、2秒である。第2トルクおよび第1所定時間の少なくとも1つは、搭乗者が変更可能に記憶部16に記憶されてもよい。制御部14は、トルクが第2トルク未満になってから第1所定時間が経過すると、変速の抑制を解除するように変速装置20を制御してもよい。
【0052】
制御部14は、トルクが所定域外に含まれる第3トルク未満になると、変速の抑制を解除するように変速装置20を制御する。本実施形態では、制御部14は、トルクが第3トルク未満になって、その状態が第2所定時間継続すると、変速の抑制を解除するように変速装置20を制御する。第3トルクは、第2トルクよりも大きい。第3トルクは、70Nm以下である。一例では、第3トルクは、55Nmである。第2所定時間は、第1所定時間よりも長い。第2所定時間は、10秒以下である。一例では、第2所定時間は、5秒である。第3トルクおよび第2所定時間の少なくとも1つは、搭乗者が変更可能に記憶部16に記憶されてもよい。制御部14は、トルクが第3トルク未満になってから第2所定時間が経過すると、変速の抑制を解除するように変速装置20を制御してもよい。
【0053】
第2参照値RV2は、ケイデンスを含む。一例では、制御部14は、ケイデンスが所定域外に含まれる第2ケイデンス以上になると、変速の抑制を解除するように変速装置20を制御する。第2ケイデンスは、100rpm以上である。一例では、第2ケイデンスは、120rpmである。第2ケイデンスは、搭乗者が変更可能に記憶部16に記憶されてもよい。
【0054】
制御部14は、車速が人力駆動車Aの変速比に応じた所定車速以上になると、変速の抑制を解除するように変速装置20を制御する。所定車速は、例えばケイデンスが第3ケイデンスの場合における現在の人力駆動車Aの変速比に応じた車速である。一例では、現在の人力駆動車Aの変速比が小さくなるにつれて所定車速も小さくなり、現在の人力駆動車Aの変速比が大きくなるにつれて所定車速が大きくなる。第3ケイデンスは、例えば第2ケイデンスと一致する。一例では、第3ケイデンスは、120rpmである。第3ケイデンスは、搭乗者が変更可能に記憶部16に記憶されてもよい。本実施形態では、所定車速は、ケイデンスが120rpmの場合における現在の人力駆動車Aの変速比に応じた車速である。この場合、車速が人力駆動車Aの変速比に応じた所定車速以上になると、ケイデンスが第2ケイデンス以上になる。
【0055】
図2に示されるように、人力駆動車Aは、各種の情報を検出する検出装置DDをさらに含む。検出装置DDは、第1検出部DD1、第2検出部DD2、第3検出部DD3、および、第4検出部DD4の少なくとも1つを含む。第1検出部DD1は、例えば第1参照値RV1に関する情報を検出するように構成される。一例では、第1検出部DD1は、第1参照値RV1を検出可能な各種のセンサを含む。本実施形態では、第1検出部DD1は、ケイデンスに関する情報を検出可能なセンサを含む。第1検出部DD1は、検出した第1参照値RV1に関する情報を制御部14に出力する。
【0056】
第2検出部DD2は、例えば第2参照値RV2に関する情報を検出するように構成される。一例では、第2検出部DD2は、第2参照値RV2を検出可能な各種のセンサを含む。本実施形態では、第2検出部DD2は、ケイデンスに関する情報を検出可能なセンサ、および、トルクに関する情報を検出可能なセンサを含む。第2検出部DD2は、検出した第2参照値RV2に関する情報を制御部14に出力する。第2検出部DD2は、第1検出部DD1に含まれるセンサを省略してもよい。第2検出部DD2に含まれるセンサの全部が第1検出部DD1に含まれる場合、検出装置DDは、第2検出部DD2を省略して構成されてもよい。
【0057】
第3検出部DD3は、例えば車速に関する情報を検出するように構成される。一例では、第3検出部DD3は、車速を検出可能なセンサを含む。第3検出部DD3は、検出した車速に関する情報を制御部14に出力する。車速を検出可能なセンサが第1検出部DD1に含まれる場合、検出装置DDは、第3検出部DD3を省略して構成されてもよい。第4検出部DD4は、例えば路面の勾配に関する情報を検出するように構成される。一例では、第4検出部DD4は、路面の勾配を検出可能なセンサを含む。第4検出部DD4は、検出した路面の勾配に関する情報を制御部14に出力する。
【0058】
図4を参照して、制御装置12が実行する自動変速制御について説明する。
制御部14は、例えば以下の処理に従って自動変速制御を実行する。制御部14は、ステップS11において、第1参照値RV1を取得する。具体的には、制御部14は、第1検出部DD1からケイデンスに関する情報を取得する。制御部14は、ステップS12において、第1参照値RV1が第1閾値TH1以上か否かを判定する。制御部14は、ステップS12において、第1参照値RV1が第1閾値TH1以上であると判定した場合、ステップS13の処理に移行する。
【0059】
制御部14は、ステップS13において、現在の人力駆動車Aの変速比が最大変速比か否かを判定する。制御部14は、ステップS13において、現在の人力駆動車Aの変速比が最大変速比であると判定した場合、ステップS11に処理を戻す。制御部14は、ステップS13において、現在の人力駆動車Aの変速比が最大変速比でないと判定した場合、ステップS14の処理に移行する。制御部14は、ステップS14において、人力駆動車Aの変速比が大きくなるように変速装置20を制御する。
【0060】
制御部14は、ステップS12において、第1参照値RV1が第1閾値TH1未満であると判定した場合、ステップS15の処理に移行する。制御部14は、ステップS15において、第1参照値RV1が第2閾値TH2未満か否かを判定する。制御部14は、ステップS15において、第1参照値RV1が第2閾値TH2以上であると判定した場合、ステップS11に処理を戻す。制御部14は、ステップS15において、第1参照値RV1が第2閾値TH2未満であると判定した場合、ステップS16の処理に移行する。
【0061】
制御部14は、ステップS16において、現在の人力駆動車Aの変速比が最小変速比か否かを判定する。制御部14は、ステップS16において、現在の人力駆動車Aの変速比が最小変速比であると判定した場合、ステップS11に処理を戻す。制御部14は、ステップS16において、現在の人力駆動車Aの変速比が最小変速比でないと判定した場合、ステップS17の処理に移行する。制御部14は、ステップS17において、人力駆動車Aの変速比が小さくなるように変速装置20を制御する。以上の処理を経て、ステップS11からステップS17の処理を終了する。制御部14は、例えば人力駆動車Aの走行中において、ステップS11からステップS17の処理を含む自動変速制御を繰り返し実行する。
【0062】
図5を参照して、制御装置12が実行する第1変速抑制制御において、第1所定条件に関する判定処理の一例について説明する。
制御部14は、例えば
図6に示されるステップS32において以下の処理を実行する。制御部14は、ステップS21において、路面の勾配が所定勾配以上か否かを判定する。制御部14は、ステップS21において、路面の勾配が所定勾配以上であると判定した場合、ステップS22の処理に移行する。制御部14は、ステップS22において、トルクが瞬間的に第1トルク以上になったか否かを判定する。制御部14は、ステップS22において、トルクが瞬間的に第1トルク以上になったと判定した場合、ステップS23の処理に移行する。制御部14は、ステップS23において、ケイデンスが瞬間的に第1ケイデンス以上になったか否かを判定する。制御部14は、ステップS23において、ケイデンスが瞬間的に第1ケイデンス以上になったと判定した場合、ステップS24の処理に移行する。制御部14は、ステップS24において、車速が所定速度域か否かを判定する。制御部14は、ステップS24において、車速が所定速度域にあると判定した場合、ステップS25の処理に移行する。制御部14は、ステップS25において、人力駆動車Aの変速比が所定変速比以下か否かを判定する。制御部14は、ステップS25において、人力駆動車Aの変速比が所定変速比以下であると判定した場合、ステップS26の処理に移行する。制御部14は、ステップS26において、第1所定条件が成立すると判定する。
【0063】
制御部14は、ステップS21において、路面の勾配が所定勾配未満であると判定した場合、ステップS27の処理に移行する。制御部14は、ステップS22において、トルクが瞬間的に第1トルク以上になっていないと判定した場合、ステップS27の処理に移行する。制御部14は、ステップS23において、ケイデンスが瞬間的に第1ケイデンス以上になっていないと判定した場合、ステップS27の処理に移行する。制御部14は、ステップS24において、車速が所定速度域外にあると判定した場合、ステップS27の処理に移行する。制御部14は、ステップS25において、人力駆動車Aの変速比が所定変速比よりも大きいと判定した場合、ステップS27の処理に移行する。制御部14は、ステップS27において、第1所定条件が成立しないと判定する。
【0064】
以上の処理を経て、ステップS21からステップS27の処理を終了する。制御部14は、
図6に示されるステップS32において、ステップS21からステップS27の処理を実行する。制御部14は、ステップS21からステップS27の処理において、ステップS21からステップS25の処理の順番を適宜変更してもよい。
図5に示されるステップS21からステップS27の処理において、ステップS21、ステップS24、および、ステップS25の少なくとも1つの処理を省略してもよい。この例では、
図5に示されるステップS21からステップS27の処理において、ステップS22およびステップS23の一方の処理をさらに省略してもよい。
図5に示されるステップS21からステップS27の処理において、ステップS22およびステップS23の一方の処理のみを省略してもよい。
【0065】
図6を参照して、制御装置12が実行する第1変速抑制制御について説明する。
制御部14は、例えば以下の処理に従って第1変速抑制制御を実行する。制御部14は、ステップS31において、各種の情報を取得する。具体的には、制御部14は、検出装置DDからケイデンスに関する情報、トルクに関する情報、車速に関する情報、および、勾配に関する情報の少なくとも1つを取得する。制御部14は、ステップS32において、第1所定条件が成立するか否かを判定する。制御部14は、ステップS32において、第1所定条件が成立しないと判定した場合、ステップS31に処理を戻す。制御部14は、ステップS32において、第1所定条件が成立すると判定した場合、ステップS33の処理に移行する。制御部14は、ステップS33において、変速を抑制するように変速装置20を制御する。本実施形態では、制御部14は、シフトアップ変速を抑制するように変速装置20を制御する。
【0066】
制御部14は、ステップS34において、トルクが第2トルク未満か否かを判定する。制御部14は、ステップS34において、トルクが第2トルク未満であると判定した場合、ステップS35の処理に移行する。制御部14は、ステップS34において、トルクが第2トルク以上であると判定した場合、ステップS36の処理に移行する。制御部14は、ステップS35において、トルクが第2トルク未満の状態が第1所定時間継続したか否かを判定する。一例では、制御部14は、ステップS35において、ステップS31と同様の処理をさらに実行する。制御部14は、ステップS35におけるステップS31と同様の処理を定期的に実行してもよく、不定期的に実行してもよい。ステップS35におけるステップS31と同様の処理では、制御部14は、検出装置DDからトルクに関する情報のみを取得してもよい。制御部14は、ステップS35において、トルクが第2トルク未満の状態が第1所定時間継続していないと判定した場合、ステップS36の処理に移行する。具体的には、制御部14は、第1所定時間が経過するまでの間に、トルクが第2トルク以上になると、ステップS36の処理に移行する。制御部14は、ステップS35において、トルクが第2トルク未満になってから第1所定時間が経過したか否かを判定してもよい。
【0067】
制御部14は、ステップS36において、トルクが第3トルク未満か否かを判定する。制御部14は、ステップS36において、トルクが第3トルク未満であると判定した場合、ステップS37の処理に移行する。制御部14は、ステップS36において、トルクが第3トルク以上であると判定した場合、ステップS38の処理に移行する。制御部14は、ステップS37において、トルクが第3トルク未満の状態が第2所定時間継続したか否かを判定する。一例では、制御部14は、ステップS37において、ステップS31と同様の処理をさらに実行する。制御部14は、ステップS37におけるステップS31と同様の処理を定期的に実行してもよく、不定期的に実行してもよい。ステップS37におけるステップS31と同様の処理では、制御部14は、検出装置DDからトルクに関する情報のみを取得してもよい。制御部14は、ステップS37において、トルクが第3トルク未満の状態が第2所定時間継続していないと判定した場合、ステップS38の処理に移行する。具体的には、制御部14は、第2所定時間が経過するまでの間に、トルクが第3トルク以上になると、ステップS38の処理に移行する。制御部14は、ステップS37において、トルクが第3トルク未満になってから第2所定時間が経過したか否かを判定してもよい。
【0068】
制御部14は、ステップS38において、車速が所定車速以上か否かを判定する。制御部14は、ステップS38において、車速が所定車速未満であると判定した場合、ステップS34に処理を戻す。一例では、制御部14は、ステップS38からステップS34に処理を戻す過程において、ステップS31と同様の処理を実行する。ステップS31と同様の処理では、制御部14は、ステップS34からステップS38の処理に関連する要素のみ検出装置DDから取得してもよい。制御部14は、ステップS38において、ケイデンスが第2ケイデンス以上か否かを判定してもよい。
【0069】
制御部14は、ステップS35において、トルクが第2トルク未満の状態が第1所定時間継続したと判定した場合、ステップS39の処理に移行する。制御部14は、ステップS37において、トルクが第3トルク未満の状態が第2所定時間継続したと判定した場合、ステップS39の処理に移行する。制御部14は、ステップS38において、車速が所定車速以上であると判定した場合、ステップS39の処理に移行する。制御部14は、ステップS39において、変速の抑制を解除するように変速装置20を制御する。本実施形態では、制御部14は、シフトアップ変速の抑制を解除するように変速装置20を制御する。
【0070】
以上の処理を経て、ステップS31からステップS39の処理を終了する。制御部14は、例えば人力駆動車Aの走行中において、ステップS31からステップS39の処理を含む第1変速抑制制御を繰り返し実行する。制御部14は、ステップS31からステップS39の処理において、ステップS34からステップS35の処理、ステップS36からステップS37の処理、および、ステップS38の処理の順番を適宜変更してもよい。
図6に示されるステップS31からステップS39の処理において、ステップS35およびステップS37の少なくとも1つの処理を省略してもよい。この例では、
図6に示されるステップS31からステップS39の処理において、ステップS34、ステップS36、および、ステップS38の1つまたは2つの処理をさらに省略してもよい。ステップS34の処理が省略される場合、ステップS35の処理が省略される。ステップS36の処理が省略される場合、ステップS37の処理が省略される。
図6に示されるステップS31からステップS39の処理において、ステップS38の処理のみを省略してもよい。制御部14は、第1変速抑制制御において、
図6に示されるステップS34からステップS38の処理を、
図8に示されるステップS54の処理に置き換えてもよい。
【0071】
人力駆動車Aに搭乗する搭乗者が上り坂を走行する場合、段差、岩場、および、木の根等の障害物を乗り越えることがある。一例では、搭乗者が勢いをつけてペダルPDを漕ぎ、人力駆動車Aで障害物を乗り越える。この場合、人力駆動車Aへの入力が急激に変化するため、搭乗者の意図しない変速が生じやすい。本実施形態の変速システム10では、第2参照値RV2の変化に応じて変速が抑制されるため、搭乗者の意図しない変速を抑制できる。このため、人力駆動車Aの快適な走行に貢献できる。
【0072】
<第2実施形態>
図7および
図8を参照して、第2実施形態の変速システム10について説明する。第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0073】
制御部14は、第1変速抑制制御に代えてまたは加えて、変速を抑制するように変速装置20を制御し、その後に変速の抑制を解除するように変速装置20を制御する第2変速抑制制御を実行する。制御部14は、第2参照値RV2の変化量に応じて、変速を抑制するように変速装置20を制御する。一例では、制御部14は、第2参照値RV2の瞬間的な増加量に応じて、変速を抑制するように変速装置20を制御する。
【0074】
制御部14は、第2所定条件が成立すると、変速を抑制するように変速装置20を制御する。制御部14は、例えば第6条件および第7条件の少なくとも1つが成立すると、第2所定条件が成立すると判定する。本実施形態では、制御部14は、第6条件および第7条件の全部が成立すると、第2所定条件が成立すると判定する。
【0075】
第2参照値RV2は、ケイデンスを含む。制御部14は、例えばケイデンスの瞬間的な増加量が第1増加量になると、第6条件が成立すると判定する。換言すれば、制御部14は、所定期間において、ケイデンスの増加量が第1増加量になると、第6条件が成立すると判定する。制御部14は、前回測定されたケイデンスに対する現在のケイデンスの増加量が第1増加量になると、第6条件が成立すると判定してもよい。第1増加量は、10rpm以上である。一例では、第1増加量は、10rpmである。第1増加量は、搭乗者が変更可能に記憶部16に記憶されてもよい。第6条件の成立に応じて第2所定条件が成立すると判定される場合、制御部14は、ケイデンスの瞬間的な増加量が第1増加量になると、変速を抑制するように変速装置20を制御する。
【0076】
第2参照値RV2は、トルクを含む。制御部14は、例えばトルクの瞬間的な増加量が第2増加量になると、第7条件が成立すると判定する。換言すれば、制御部14は、所定期間において、トルクの増加量が第2増加量になると、第7条件が成立すると判定する。制御部14は、前回測定されたトルクに対する現在のトルクの増加量が第2増加量になると、第7条件が成立すると判定してもよい。第2増加量は、10Nm以上である。一例では、第2増加量は、10Nmである。第2増加量は、搭乗者が変更可能に記憶部16に記憶されてもよい。第7条件の成立に応じて第2所定条件が成立すると判定される場合、制御部14は、トルクの瞬間的な増加量が第2増加量になると、変速を抑制するように変速装置20を制御する。
【0077】
制御部14は、変速を抑制するように変速装置20を制御してから所定時間が経過すると、変速の抑制を解除するように変速装置20を制御する。所定時間は、10秒以下である。一例では、所定時間は、5秒である。所定時間は、搭乗者が変更可能に記憶部16に記憶されてもよい。制御部14は、変速の抑制を解除すると、変速条件に応じた変速を許可するように変速装置20を制御する。制御部14は、変速を抑制するように変速装置20を制御した後、第2参照値RV2および車速の少なくとも1つに応じて、変速の抑制を解除するように変速装置20を制御してもよい。
【0078】
図7を参照して、制御装置12が実行する第2変速抑制制御において、第2所定条件に関する判定処理の一例について説明する。
制御部14は、例えば
図8に示されるステップS52において以下の処理を実行する。制御部14は、ステップS41において、ケイデンスの瞬間的な増加量が第1増加量になったか否かを判定する。制御部14は、ステップS41において、ケイデンスの瞬間的な増加量が第1増加量になったと判定した場合、ステップS42の処理に移行する。制御部14は、ステップS42において、トルクの瞬間的な増加量が第2増加量になったか否かを判定する。制御部14は、ステップS42において、トルクの瞬間的な増加量が第2増加量になったと判定した場合、ステップS43の処理に移行する。制御部14は、ステップS43において、第2所定条件が成立すると判定する。
【0079】
制御部14は、ステップS41において、ケイデンスの瞬間的な増加量が第1増加量になっていないと判定した場合、ステップS44の処理に移行する。制御部14は、ステップS42において、トルクの瞬間的な増加量が第2増加量になっていないと判定した場合、ステップS44の処理に移行する。制御部14は、ステップS44において、第2所定条件が成立しないと判定する。
【0080】
以上の処理を経て、ステップS41からステップS44の処理を終了する。制御部14は、
図8に示されるステップS52において、ステップS41からステップS44の処理を実行する。制御部14は、ステップS41からステップS44の処理において、ステップS41およびステップS42の処理の順番を適宜変更してもよい。
図7に示されるステップS41からステップS44の処理において、ステップS41およびステップS42の一方の処理を省略してもよい。
【0081】
図8を参照して、制御装置12が実行する第2変速抑制制御について説明する。
制御部14は、例えば以下の処理に従って第2変速抑制制御を実行する。制御部14は、ステップS51において、各種の情報を取得する。具体的には、制御部14は、検出装置DDからケイデンスに関する情報、および、トルクに関する情報の少なくとも1つを取得する。制御部14は、ステップS52において、第2所定条件が成立するか否かを判定する。制御部14は、ステップS52において、第2所定条件が成立しないと判定した場合、ステップS51に処理を戻す。制御部14は、ステップS52において、第2所定条件が成立すると判定した場合、ステップS53の処理に移行する。制御部14は、ステップS53において、変速を抑制するように変速装置20を制御する。本実施形態では、制御部14は、シフトアップ変速を抑制するように変速装置20を制御する。
【0082】
制御部14は、ステップS54において、変速を抑制するように変速装置20を制御してから所定時間が経過したか否かを判定する。制御部14は、ステップS54において、所定時間が経過していないと判定した場合、ステップS54の処理を繰り返す。制御部14は、ステップS54において、所定時間が経過したと判定した場合、ステップS55の処理に移行する。制御部14は、ステップS55において、変速の抑制を解除するように変速装置20を制御する。本実施形態では、制御部14は、シフトアップ変速の抑制を解除するように変速装置20を制御する。
【0083】
以上の処理を経て、ステップS51からステップS55の処理を終了する。制御部14は、例えば人力駆動車Aの走行中において、ステップS51からステップS55の処理を含む第2変速抑制制御を繰り返し実行する。制御部14は、第2変速抑制制御において、
図8に示されるステップS54の処理を、
図6に示されるステップS34からステップS38の処理に置き換えてもよい。この場合、制御部14は、ステップS34からステップS35の処理、ステップS36からステップS37の処理、および、ステップS38の処理の順番を適宜変更してもよい。また、
図6に示されるステップS31からステップS38の処理において、省略可能なステップについては適宜省略してもよい。
【0084】
<変形例>
上記各実施形態に関する説明は、本発明に従う制御装置および変速システムが取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う制御装置および変速システムは、例えば以下に示される上記各実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、各実施形態の形態と共通する部分については、各実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0085】
・第1参照値RV1の種類は、任意に変更可能である。第1例では、第1参照値RV1は、人力駆動車Aの走行環境に関する環境情報を含む。環境情報は、路面の状態に関する路面情報、空気抵抗に関する空気抵抗情報、天候に関する天候情報、および、気温に関する気温情報の少なくとも1つを含む。第2例では、第1参照値RV1は、走行情報および環境情報を含む。
【0086】
・第2参照値RV2の種類は、任意に変更可能である。一例では、第2参照値RV2は、人力駆動車の走行状態に関する走行情報を含む。この場合、第2参照値RV2は、ケイデンス、人力駆動車AのクランクCに作用するトルク、車速、加速度、および、パワーの少なくとも1つを含む。
【0087】
・人力駆動車Aの種類は、任意に変更可能である。第1例では、人力駆動車Aは、ロードバイク、マウンテンバイク、クロスバイク、シティサイクル、カーゴバイク、または、リカンベントである。第2例では、人力駆動車Aは、キックスケータである。
【符号の説明】
【0088】
10…変速システム、12…制御装置、14…制御部、20…変速装置、A…人力駆動車、C…クランク、RV1…第1参照値、RV2…第2参照値、TH…閾値、TH1…第1閾値(閾値)。