IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハウニ・マシイネンバウ・アクチエンゲゼルシヤフトの特許一覧

特許7534073特に電子タバコ製品用の吸入器用の蒸発器ヘッド
<>
  • 特許-特に電子タバコ製品用の吸入器用の蒸発器ヘッド 図1
  • 特許-特に電子タバコ製品用の吸入器用の蒸発器ヘッド 図2
  • 特許-特に電子タバコ製品用の吸入器用の蒸発器ヘッド 図3
  • 特許-特に電子タバコ製品用の吸入器用の蒸発器ヘッド 図4
  • 特許-特に電子タバコ製品用の吸入器用の蒸発器ヘッド 図5
  • 特許-特に電子タバコ製品用の吸入器用の蒸発器ヘッド 図6
  • 特許-特に電子タバコ製品用の吸入器用の蒸発器ヘッド 図7
  • 特許-特に電子タバコ製品用の吸入器用の蒸発器ヘッド 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】特に電子タバコ製品用の吸入器用の蒸発器ヘッド
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/42 20200101AFI20240806BHJP
   A24F 40/44 20200101ALI20240806BHJP
【FI】
A24F40/42
A24F40/44
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019126570
(22)【出願日】2019-07-08
(65)【公開番号】P2020005640
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2022-07-05
(31)【優先権主張番号】10 2018 116 549.8
(32)【優先日】2018-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】10 2018 127 926.4
(32)【優先日】2018-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】595112018
【氏名又は名称】ケルバー・テクノロジーズ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】レーネ・シュミット
(72)【発明者】
【氏名】グンナー・ニーブーア
(72)【発明者】
【氏名】ラッセ・コルニルス
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/198417(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/167511(WO,A1)
【文献】特表2018-509158(JP,A)
【文献】国際公開第2018/083007(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/42
A24F 40/44
A24F 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入器(27)のための蒸発器ヘッド(1)であって、
-液体を導く少なくとも1つの貫通通路(62)を有する電気的に動作可能な発熱体(60)と、発熱体(60)の入口側(61)に配置された多孔性又は毛管状のウィック構造(19)とを有する発熱体-ウィック構造-構成体(20)と、
-該発熱体-ウィック構造-構成体(20)を保持するための支持プレート(23)と
を含む、前記蒸発器ヘッドにおいて、
-当該蒸発器ヘッド(1)が液体を導く細管(82)を備えており、該細管が、突き刺し範囲(83)を備えており、前記発熱体(60)が、ブロック状であり、導電性のドープされたケイ素から成り、前記発熱体(60)が、複数の貫通通路(62)を備えており、該貫通通路(62)の平均直径が5~200μmの範囲にあり、前記貫通通路(62)の長さが100~1000μmの範囲にあり、前記ウィック構造(19)及び前記発熱体(60)が前記細管(82)の固定側(84)に配置されており、前記ウィック構造(19)が少なくとも部分的に前記細管(82)内に配置されており、前記細管(82)が、固定側(84)と突き刺し側(85)の間で延びるジャケット(90)を備えており、該ジャケット(90)が、前記発熱体-ウィック構造-構成体(20)の少なくとも一部を周囲で包囲しており、前記突き刺し範囲(83)が、液体貯留部(18)へ突き刺すために形成されており、支持プレート(23)が貫通開口部(25)を備えており、前記発熱体-ウィック構造-構成体(20)が、少なくとも部分的に前記支持プレート(23)の前記貫通開口部(25)を通って延在しており、前記支持プレート(23)に吸口部(101)を固定可能であり、当該蒸発器ヘッド(1)が、液体貯留部(18)において係止するための係止要素(87)を含んでおり、当該液体貯留部(18)が、蒸発器ヘッド(1)を係止するための係止装置(105)を含んでおり、前記蒸発器ヘッド(1)が、使用準備された状態において前記液体貯留部(18)を液密に密閉しており、蒸発器ヘッド(1)を液体貯留部(18)と共に使用準備されたユニットへ結合することができるように、液体貯留部(18)の係止装置(105)が、蒸発器ヘッド(1)の係止要素(87)と協働するように構成されていることを特徴とする蒸発器ヘッド。
【請求項2】
-前記発熱体-ウィック構造-構成体(20)が層構成体として形成されていることを特徴とする請求項1に記載の蒸発器ヘッド(1)。
【請求項3】
-前記突き刺し範囲(83)が刃部(86)を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の蒸発器ヘッド(1)。
【請求項4】
-前記細管(82)が金属から成ることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の蒸発器ヘッド(1)。
【請求項5】
-前記発熱体(60)が微小電気機械システム(MEMS)であり、及び/又はケイ素を基礎としたものであることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の蒸発器ヘッド(1)。
【請求項6】
2つの前記貫通通路(62)の間隔が、前記貫通通路(62)の内のりの直径の少なくとも1.3倍であることを特徴とする請求項1に記載の蒸発器ヘッド(1)。
【請求項7】
請求項1~のいずれか1項に記載の蒸発器ヘッド(1)と、タンクハウジング(102)を含む液体貯留部(18)とを含む消費ユニット(100)であって、前記タンクハウジング(102)が、細管(82)によって突き刺し可能に形成されている、前記消費ユニットにおいて、
-前記蒸発器ヘッド(1)が、使用準備された当該消費ユニット(100)を形成するために、前記細管(82)でもって前記液体貯留部(18)へ刺し込み可能であることを特徴とする消費ユニット。
【請求項8】
-当該液体貯留部(18)の前記タンクハウジング(102)が、刺し込みシール(103)を含んでいることを特徴とする請求項に記載の消費ユニット(100)。
【請求項9】
-前記液体貯留部(18)が、少なくとも部分的に、細管(82)によって突き刺し可能な合成樹脂又は金属で形成されていることを特徴とする請求項又はに記載の消費ユニット(100)。
【請求項10】
当該消費ユニット(100)が吸口部(101)を備えていることを特徴とする請求項に記載の消費ユニット(100)。
【請求項11】
-前記蒸発器ヘッド(1)の前記支持プレート(23)が前記吸口部(101)に固定されていることを特徴とする請求項10に記載の消費ユニット(100)。
【請求項12】
-前記細管(82)が、使用準備された状態において前記吸口部(101)に埋設されていることを特徴とする請求項10に記載の消費ユニット(100)。
【請求項13】
-前記支持プレート(23)が、使用準備された状態において前記液体貯留部(18)の前記タンクハウジング(102)と面一となっていることを特徴とする請求項12のいずれか1項に記載の消費ユニット(100)。
【請求項14】
-前記支持プレート(23)が、使用準備された状態において、前記液体貯留部(18)の前記タンクハウジング(102)を完全で液密な液体貯留部(18)へ補足していることを特徴とする請求項13のいずれか1項に記載の消費ユニット(100)。
【請求項15】
請求項1~のいずれか1項に記載の蒸発器ヘッド(1)又は請求項14のいずれか1項に記載の消費ユニット(100)と、当該吸入器(27)の電気的な構成要素へ給電するための電気的なエネルギー貯蔵部(14)を有する基礎部分(16)とを有する吸入器(27)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に電子タバコ製品用の吸入用の蒸発器ヘッドであって、液体を導く少なくとも1つの貫通通路と、発熱体の入口側に配置された多孔性の、及び/又は毛管状のウィック構造とを有する、電気的に動作可能な発熱体を備えた発熱体-ウィック構造-構成体と、該発熱体-ウィック構造-構成体を保持するための支持プレートとを含む、前記蒸発器ヘッドに関するものである。本発明は、消費ユニット、液体貯留部、吸入器及び使用準備された消費ユニットを製造する方法に関するものでもある。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、ウィック-コイル原理に基づく吸入器及び特に電子タバコ製品が知られている。蒸発器ユニットあるいは蒸発器ヘッドには、液体が液体貯留部から加えられ、この液体は、発熱体によって蒸発されるとともに、蒸気及び/又はエアロゾルとして空気流へ加えられる。しばしば、ウィック-コイル原理に基づく蒸発器ユニットにより、例えば不均等な蒸発、気泡形成、局所的な過熱、乾燥動作及び汚染につながる。
【0003】
従来技術では、吸入器は、開放された、又は閉鎖された液体貯留部を含んでいる。
【0004】
開放タンクシステムでは、ユーザは、リキッドあるいは液体を再充填することができる。この場合、リキッドの種類についての管理及び使用がユーザに課される。蒸発器ヘッドは、定期的な消費(使用)において交換される必要がある。なぜなら、とりわけウィック構造が、発熱体の直近における局所的な過熱に基づき残留物により汚れてしまい、エアロゾルの風味が大きく変化してしまうためである。また、開放タンクシステムを有する吸入器は、適宜の液体を用いることで不適切に用いられることがあり、これにより、消費者の健康リスクがもたらされ得る。
【0005】
当該欠点は、閉鎖タンクシステムによって解消される。閉鎖タンクシステムでは、リキッドあるいは液体で満たされた液体貯留部をカートリッジと、液体貯留部から取外し不能な蒸発器ヘッドとをカートリッジが含んでいる。カートリッジは、ユーザにより使い切られるか、あるいは完全に蒸発され、つづいて、蒸発器ヘッドが、残留物が付着してない状態及び/又は動作可能であっても廃棄処理される。蒸発器ヘッドが液体貯留部に取外し不能に結合されていることにより、カートリッジ全体の廃棄処理のみが可能となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の基礎となる課題は、改善された結合可能性を有する蒸発器ヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、課題を解決するために、独立請求項1による蒸発器ヘッドを提案する。
【0008】
本発明によれば、蒸発器ヘッドは液体を導く細管を備えており、当該細管は、好ましくは突出した突き刺し範囲を備えている。液体を導く細管は、蒸発器ヘッドと外部の部分、特に液体タンクあるいは液体貯留部の間の連通を形成する、容易に操作可能な可能性である。液体を導く細管により、液体貯留部は、穴あけされることが可能であるとともに、液体を蒸発器ヘッドへ供給することが可能である。液体貯留部からの液体をウィック構造及び/又は発熱体へ搬送することができるように、液体貯留部からの液体は、細管を通って突き刺し範囲から発熱体-ウィック構造-構成体へ搬送可能である。細管を外部の部分、例えば液体タンクへ刺し込むことができるように、突き刺し範囲は、有利には蒸発器ヘッドを越えて突出している。
【0009】
本発明により、消費者は、蒸発器ヘッド及び液体貯留部を有する使用準備されたユニットを容易に形成することができるとともに、蒸発器ヘッドを容易に交換することが可能である。したがって、蒸発器ヘッドを、交換蒸発器ヘッドとも呼ぶことができる。
【0010】
本発明による細管は、特にチューブ状であるが、特に例えば円形の断面形状に限定されているわけではなく、考えられる適切な全ての断面形状を含んでいる。
【0011】
細管は有利には両側で開放されたチューブであり、当該チューブを通って液体を搬送することが可能である。1つの開放された側あるいは突き刺し側では、細管が突き刺し範囲を備えており、突き刺し範囲と対向する他の開放された側あるいは固定側では、細管が搬送プレート及び/又は発熱体-ウィック構造-構成体に固定されている。有利には、両側の間、すなわち突き刺し側と固定側の間では、液体を導く通路が細管内で延在しており、当該通路では、液体を突き刺し範囲あるいは突き刺し側からウィック構造、発熱体及び/又は固定側へ搬送可能である。
【0012】
細管は、固定側において、支持プレート及び/又は発熱体-ウィック構造-構成体に固定されている。細管と支持プレートあるいは発熱体-ウィック構造-構成体との間の固定は、例えば支持プレートの貫通開口部における通路の挟着、支持プレート又は発熱体-ウィック構造-構成体に配置された挟着要素との細管の挟着、接着及び/又は溶接であり得る。一実施形態では、支持プレート及び細管は一部材で形成されており、すなわち、支持プレート及び細管は、同一の材料で構成されているとともに、共に1つの部分を形成している。好ましくは、細管は、ユーザによって、取外し不能に支持プレート及び/又は発熱体-ウィック構造-構成体に固定されている。
【0013】
細管の有利な方向付けを保証するために、細管は、好ましくは少なくとも局所的に平坦な支持プレートと有利には例えば30~90°の角度、好ましくは45~90°の角度、更に好ましくは90°の角度をなしている。
【0014】
好ましい実施形態では、信頼性のある液体の搬送を達成するため、ウィック構造及び/又は発熱体を支持プレートによって保持可能に配置することができるように、及び/又は蒸発された液体がエアロゾルあるいは蒸気として出口側で有利に加えられることができるように、ウィック構造及び/又は発熱体は、細管の固定側に配置されている。有利には、ウィック構造は、細管の長さに関して例えば少なくとも25%、好ましくは50%、更に好ましくは少なくとも75%細管内へ延在することが可能である。しかし、他の実施形態では、ウィック構造は、細管全体を通って延在することも可能である。この実施形態では、発熱体-ウィック構造-構成体は細管あるいはチューブの一端に配置されている一方、他の自由端は、液体貯留部からの液体を収容することができるように開放されたままとなっている。
【0015】
有利には、蒸発器ヘッドの有効な構造及び信頼性のある液体搬送を可能とするために、ウィック構造は、少なくとも部分的に細管の内部に配置されている。細管内でのウィック構造の配置は、発熱体-ウィック構造-構成体の有利な保持に寄与し得る。
【0016】
好ましくは、コンパクトな構造及びエラーのない機能を促進するために、発熱体-ウィック構造-構成体は層構成体として形成されている。層構成体は、発熱体及びウィック構造を含んでおり、ウィック構造は、発熱体の入口側に配置されている。発熱体及びウィック構造は、それぞれ層構成体の少なくとも1つの層を形成している。有利には、層構成体を特にコンパクトかつ安定的に形成するために、及び/又は液体の毛管式の搬送を可能とするために、発熱体及びウィック構造は互いに平面的に接触する。有利には、液体は、ウィック構造によって発熱体の入口側を介して層構成体へ搬送可能であるとともに、発熱体により蒸発可能である。層構成体は、分離可能又は分離不能にまとめられた複数の層を含むことができる。発熱体及び/又はウィック構造は、ここでも複数の層を含むことが可能である。層構成体は、例えばウィック構造及び発熱体を結合するための、液体搬送に影響を与えるための、及び/又は機械的な安定化のための別の層を含むことが可能である。
【0017】
細管が、固定側と突き刺し側の間で延びるジャケットを備えており、このジャケットが発熱体-ウィック構造-構成体の少なくとも一部を広範囲に、特に密閉するように包囲していれば有利である。ジャケットは、内側を有しているとともに、液体を導く細管の通路を画定している。
【0018】
有利には、発熱体-ウィック構造-構成体はジャケットに接触し、発熱体-ウィック構造-構成体は、少なくとも部分的にジャケットの内側に当接することが可能である。発熱体-ウィック構造-構成体は、コントロールされた液体搬送を可能とするために、有利にはジャケットに大部分で接触している。細管は、固定側と突き刺し側の間で延びる長手軸線を備えている。ジャケットは、チューブ状に、又は中空円筒状に、長手軸線に対して平行に延在している。
【0019】
好ましくは、外部の部分、特に液体貯留部あるいは液体タンクへの単純な水力学的な、あるいは液体を導くような結合を提供することができるように、突き刺し範囲は、外部の部分、特に液体貯留部へ突き刺すように形成されている。
【0020】
有利には、突き刺し範囲は、液体貯留部への細管の確実な、信頼性をもった、清潔な侵入、突き刺しあるいは切り込みを可能とするために、刃部を備えている。一実施形態では、細管は、突き刺し範囲において先端部を備えている。細管は、消費者についてのけがのおそれを低減するために、丸みをもって形成されることも可能である。
【0021】
好ましくは、支持プレートは貫通開口部を備えており、当該貫通開口部には、発熱体-ウィック構造-構成体及び/又は細管は保持されることができ、液体は、貫通開口部を通って細管から発熱体へ搬送可能である。例えば、発熱体は、少なくとも部分的に貫通開口部内に配置されている。この場合、発熱体の出口側が支持プレートと面一(一直線)となることが可能である。他の例では、発熱体の出口側が支持プレートから突出している。
【0022】
好ましくは、支持プレートに発熱体-ウィック構造-構成体を保持することができるように、及び有利には、ウィック構造及び/又は発熱体、特に出口側を方向付け、及び/又は配置することを許容するために、発熱体-ウィック構造-構成体は、少なくとも部分的に支持プレートの貫通開口部を通って延在している。
【0023】
蒸発器ヘッドを液体貯留部と共に使用準備されたユニットへ結合されることができるように、蒸発器ヘッドが外部の部分、特に液体貯留部において係止するための係止要素を含んでいることが有利である。係止要素は、例えば磁気的なものであってよく、磁石を含むことができる。係止要素は、機械的なものであってよく、例えばクリップ、係合要素、クランプ、ブラケット、バネ、ネジ及び/又は他の機械的な係止要素を含むことができる。
【0024】
係止要素は、消費者によって、破壊することなく取外し可能であり得る。この実施形態では、消費者は、例えば蒸発器ヘッドを交換及び/又は洗浄することができるように、蒸発器ヘッドを液体貯留部から損傷なく分離することが可能である。蒸発器ヘッドあるいは交換蒸発器は、どのくらい頻繁に蒸発器ヘッドが使用されたか、及び香味物質交換及び/又は作用物質交換が行われるかに依存して、例えば特にアルコールを基礎とする溶液を用いて、又は熱分解によって洗浄されることが可能である。洗浄後、蒸発器ヘッドは、新たな、あるいは他の液体貯留部へ接続されることが可能である。
【0025】
係止要素は、消費者のための使用準備されたユニットの一回限りの取付を例えば製造者によって可能とするために、消費者によって取外し不能であり得る。
【0026】
好ましくは、蒸発器ヘッドの効果的で味気ない標準化された実施形態を提供することができるように、細管は金属で構成されている。
【0027】
好ましくは、ユーザの操作性及び/又は蒸発器ヘッド及び/又は吸口部の洗浄を容易にするために、吸口部は、蒸発器ヘッド、特に支持プレートに固定可能であるか、又は固定されている。蒸発器ヘッドは、吸口部を係止する係止要素を備えることが可能である。有利には、例えば細管によるけが及び/又は発熱体-ウィック構造-構成体の汚染を防止するために、細管及び/又は発熱体-ウィック構造-構成体は、細管及び/又は発熱体-ウィック構造-構成体が使用準備された状態で吸口部に(特に完全に)埋設されている。
【0028】
標準化され、効果的な製造を可能とするために、及び高い蒸気品質あるいはエアロゾル品質を提供することができるように、有利には、発熱体は、微小電気機械システム(MEMS)及び/又はケイ素を基礎としたものである。
【0029】
液体を導くように、及び遊離には液密に、細管による突き刺し前に閉鎖された液密の液体貯留部を蒸発器ヘッドに結合することができるように、有利には、液体貯留部のタンクハウジングが細管によって突き刺し可能に形成されている。吸入器の誤用を防止するために、有利には、液体貯留部は、蒸発器ヘッドとの結合前に製造者側であらかじめ設定された液体を含んでいる。有利には、液体貯留部は、細管によって突き刺されるように、特定可能な、細管に割り当て可能な刺し込み部分に設置されている。
【0030】
有利には、液体貯留部は、特に刺し込み部分において、刺し込み後、細管の取外しを可能とするシールを備えており、取外し後、液体貯留部は液密となっている。この実施形態では、消費者は、例えば、液体貯留部における液体の後の使用のために、及び/又は蒸発器ヘッドの洗浄のために、液体貯留部を蒸発器ヘッドから分離することが可能である。
【0031】
液体貯留部の無損傷を例えば細管の刺し込み前に特定することができるように、好ましくは、液体容器のタンクハウジングが刺し込みシールを含んでいる。有利には、刺し込みシールは、液体容器への細管の刺し込み時に破壊されるように設置されている。有利には、刺し込みシールは、液体貯留部及び特にその中に含まれる香味物質及び/又は作用物質を有する液体の信頼性を示すものである。一実施形態では、刺し込みシールは、細管の刺し込み後に読み取り可能なままであり得る。刺し込みシールは、例えば、ロゴ、番号、検査数字、スキャン可能なコード、例えばバーコード、二次元コード及び/又は人間及び/又は機械によって読み取り可能な他の要素を含むことができる。
【0032】
液体貯留部の製造及び単純な構造を可能とするために、好ましくは、液体貯留部は、少なくとも部分的に、細管によって突き刺し可能な合成樹脂及び/又は金属、特にアルミニウムで形成されている。液体貯留部は、例えば、合成樹脂から成る袋又はこのようなものを含むことが可能である。有利には、刺し込みシールは、細管により突き刺し可能な、残りのタンクハウジングの材料と同一又は異なり得る材料で構成されている。例えば、合成樹脂から成るタンクハウジング及び刺し込みシールは、アルミニウムキャップ、アルミニウムフィルム又は合成樹脂フィルムを含むことができ、これらアルミニウムキャップ、アルミニウムフィルム又は合成樹脂フィルムには、蒸発器ヘッドに固定された細管を刺し込むことが可能である。一実施例では、液体貯留部は、中空円筒として、特に合成樹脂で構成されている。
【0033】
液体貯留部が外部の部分、特に蒸発器ヘッドの特に回転運動によって軽視するための係止装置を含むことが有利である。液体貯留部の係止装置は、液体貯留部及び蒸発器ヘッドが使用準備されたユニットを形成することができるように、蒸発器ヘッドの係止要素と協働するように設置されている。好ましくは、係止によって、液体貯蔵部と外部の部分の間に液密な結合が形成される。一実施形態では、外部の部分の液密な係止を達成するために、液密なシールのための少なくとも1つのシールあるいはシール要素が係止装置に割り当てられている。
【0034】
係止装置は、例えば磁気的なものであり、及び/又は磁石を含むことができる。係止装置は、機械的なものであってよく、例えばクリップ、係合要素、クランプ、ブラケット、バネ、ネジ及び/又は他の機械的な係止装置を含むことができる。
【0035】
係止装置は、消費者によって、破壊することなく取外し可能であり得る。この実施形態では、消費者は、蒸発器ヘッドを交換及び/又は洗浄することができるように、蒸発器ヘッドを液体貯留部から損傷なく分離することが可能である。
【0036】
係止装置は、消費者のための使用準備されたユニットの一回限りの取付を例えば製造者によって可能とするために、消費者によって取外し不能であり得る。
【0037】
単純かつ確実な態様で使用準備された消費ユニットを含むように少なくとも蒸発器ヘッド及び液体貯留部を製造することができるように、有利には、蒸発器ヘッドは、使用準備されたユニットを製造するための液体貯留部へ細管と共に刺し込み可能である。一実施形態では、消費ユニットがカートリッジとして吸入器へ、例えば消費ユニットを収容するために設けられた吸入器の開口部へ、例えば吸入器ハウジングの側で挿入可能であってよい。
【0038】
有利には、ユーザのための消費ユニットが有利に操作可能であるように、消費ユニットは、吸口部を備えている。
【0039】
有利には、蒸発器ヘッドの支持プレートは吸口部に固定されている。吸口部における蒸発器ヘッドの固定は、消費者によって破壊なく取外し可能であるか、又はこれに代えて取外し不能であってよい。吸口部は、一実施形態において、動作準備された吸入器の吸入器ハウジングの一部を形成することが可能である。
【0040】
細管による消費者のけがのおそれを回避するために、有利には、細管は、使用準備された状態において、吸口部に特に完全に埋設されている。吸口部は、内部に細管が配置された中空円筒状の部分を備えることが可能である。有利には、細管が、吸口部の中空円筒状の部分の長手軸線に沿って配置されており、吸口部は、中空円筒状の部分において細管の長手軸線に対して同軸に延びている。液体貯留部は、吸口部の中空円筒状の部分へ挿入され、その際、細管によって突き刺されるように、設置されているか、あるいは寸法設定されている。円筒状という用語は、円形状の断面に限定されるものではなく、適宜の適切な断面を含み得る。
【0041】
吸入器の吸入器ハウジングへの良好な取付性を可能とするために、及び/又はユーザを煩わせるエッジを有さないカートリッジを提供することができるように、好ましくは、支持プレートは、使用準備された状態で、液体貯留部のタンクハウジングと面一となっている。
【0042】
使用時に液密なユニットを消費者に提供することができるように、有利には、支持プレートは、使用準備された状態で液体タンクを液密に密閉する。
【0043】
液体貯留部を突き刺し後に細管と共に液密なユニットとして提供することができるように、好ましくは、支持プレートは、使用準備された状態で、液体貯留部のタンクハウジングを完全かつ液密な液体タンクへ補足する。
【0044】
吸入器用の使用準備された消費ユニットを製造する容易かつ信頼性をもって方法は、蒸発器ヘッドを提供すること、液体貯留部を提供すること、及び蒸発器ユニットの細管を液体貯留部のタンクハウジングへ刺し込むことを含んでいる。
【0045】
当該方法をユーザにより知覚可能な所定の係止によって密閉することができるように、好ましくは、当該方法は、例えばバヨネット結合の態様で、特に回転運動によって液体貯留部に蒸発器ヘッドを係止することを含んでいる。有利には、液体貯留部のタンクハウジングへの蒸発器ヘッドの細管の刺し込みが係止によってなされる。
【0046】
以下に、本発明を、好ましい実施形態に基づき、添付の図面を参照しつつ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】吸口部を有する消費ユニットの概略的な断面図である。
図2】消費ユニットの斜視的な断面図である。
図3】吸入器を概略的に示す図である。
図4】層構成体の概略的な断面図である。
図5】層構成体の斜視的な断面図である。
図6】本発明の一実施形態での層構成体の概略的な断面図である。
図7】発熱体の側から見た支持プレートの斜視的な平面図である。
図8】液体供給部の反対側から見た支持プレートの斜視的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1には、例えば図3に示された吸入器27のための使用準備された消費ユニット100が示されている。図1に示された消費ユニット100は、液体貯留部18と、蒸発器ヘッド1と、吸口部101とを含んでいる。消費ユニット100は、交換カートリッジ17を形成することが可能である。液体貯留部18は、有利には、ユーザにより交換可能であることができ、並びに/又は蒸発器ヘッド1及び/若しくは吸口部101は、再利用可能であることができる。
【0049】
蒸発器ヘッド1は、電気的に動作可能な発熱体60と、多孔性及び/又は毛管状のウィック構造19とから成る、層構成体として形成された発熱体-ウィック構造-構成体20を含んでいる。液体貯留部18からの液体50は、ウィック構造18を介して発熱体60へ供給可能である。発熱体60は、当該発熱体へ供給された液体50を蒸発させるとともに、エアロゾルあるいは蒸気として空気流34(図3)へ加えるのに適している。蒸発器ヘッド1は、層構成体20を保持する支持プレート23を含んでいるため、支持プレート23及び層構成体20が互いに結合されている。層構造体20の例示的な実施形態は、それぞれ図4図6から見て取ることが可能である。
【0050】
図1における蒸発器ヘッド1は、液体を通す細管82を備えており、当該細管82は、その固定側84において、支持プレート23及び/又は発熱体-ウィック構造-構成体20に固定されている。
【0051】
有利には、細管82は管状である。有利には、突き刺し側85と固定側84の間には長手軸線が規定されている。ジャケット90は、有利には長手軸線に対して平行かつ同軸に長さLkにわたって延在している。ジャケット90は、細管82の液体を通す通路93を規定しているとともに、周囲部あるいは直径dk又は長手軸線に対して垂直な他の典型的な延長部、例えばエッジ長さを備えている。
【0052】
細管82は、有利には長く、すなわち、直径dkが細管82の長手軸線に沿った長さLkよりも短い。細管の外径dkは、有利には0.25~3.4mm、好ましくは0.5~1.8mmである。細管の長さLkは、有利には1~120mm、好ましくは2~50mm、更に好ましくは3~10mmである。有利には、細管82は、噴射細管あるいは注射細管の形態で構成されている。この例では、支持プレート23は平坦であり、細管82は、特にその長手軸線が、支持プレート23の表面と直角をなしている。
【0053】
有利には、細管82は、突き刺し側85において突き刺し範囲83を含んでおり、当該突き刺し範囲は、刃部86及び/又は先端部88を備えることができる。刃部86は、有利には、突き刺し側85に割り当てられた細管82の管状の、あるいは中空円筒状の部分から細管82の先端部88へ延在している。先端部88は、液体タンク50へ侵入するように、刺し込むように、又は切り込むように設定されている。有利には、刃部86は、液体タンク50への所定の切れ目を切り、切れ目の寸法は、細管82の寸法、特に細管82の厚さに対応する。
【0054】
有利には、ウィック構造19及び発熱体60は、固定側84に配置されている。有利には、細管82は、ウィック構造19を包囲あるいは囲繞し、すなわち、ウィック構造19は、少なくとも部分的に細管82の通路93に位置している。有利には、発熱体60は、少なくとも部分的に細管82の外部に配置されているため、吸口部の周囲を空気流34が流れることができるように、発熱体60の出口側64が図1に図示された吸口部101へ突出している。ウィック構造19は、細管82の内部において、固定側84から細管82の長手軸線に沿って突き刺し側85の方向へ延在している。
【0055】
有利には、吸口部101及び層構成体20は、層構成体20を汚染物及び/又は損傷から保護するために、適切な使用時にユーザが層構造体20に接触することがないように配置されている。
【0056】
有利には、消費ユニット100は、覆い部108を備えている。好ましくは、吸口部101が覆い部108を含んでいる。好ましくは、細管82は、使用準備された状態において、完全に吸口部101あるいは覆い部108に埋設されている。有利には、覆い部108は、細管82によって突き刺されることが可能であるように、液体タンク50を覆い部108へはめ込むことが可能であり、例えば挿入可能及び/又はねじ込み可能であるように寸法設定されている。
【0057】
図2には、タンクハウジング102及び蒸発器ヘッド1を有する液体貯留部18を含む消費ユニット100が示されている。この例では、係止装置105は、タンクハウジング102に、例えばタンクハウジング102の端面側89に凹部107を含んでいる。液体貯留部18は、凹部107の範囲に刺し込みシール103を備えることができ、この刺し込みシールは、突き刺すために細管82と共に設置されている。例えば、タンクハウジング102は、刺し込みシール103に比べて丈夫な合成樹脂で形成されることができ、刺し込みシール103は、突き刺し可能なフィルム又はキャップを含むことが可能である。他の実施形態では、タンクハウジング102は、フレキシブルな袋であってもよい。
【0058】
図2に示された状態では、細管82は、液体貯留部18へ刺し込まれている。蒸発器ヘッド1は、協働する係止要素87及び/又は係止装置105を用いて液体貯留部18に結合されており、及び/又は係止されている。有利には、係止要素87は支持プレート23に配置されている。有利には、係止要素87と協働する係止装置105は、タンクハウジングに配置されている。有利には、支持プレート23の形状がタンクハウジング102の凹部107の形状に対応するように、支持プレート23が形成されている。支持プレート23は、使用準備された状態においては、タンクハウジング102あるいはタンクハウジング102の端面側89と面一になっているとともに、凹部107を液密に密閉する。
【0059】
液体貯留部18への細管82の刺し込み後、及び液体タンク50における蒸発器ヘッド1の係止後、支持プレート23及びタンクハウジング102は、液密の液体タンク104を形成する。
【0060】
液体貯留部18を空にした後、あるいは液体タンク104を空にした後、このタンクは、破壊することなく解除可能な係止要素87と共に蒸発器ヘッド1から分離されることが可能であり、液体貯留部18あるいは液体タンク104が処理されることができ、及び/又は蒸発器ヘッド1が洗浄され、再利用され、特に複数回再利用されることが可能である。この例では、液体タンク18は、交換カートリッジ17の一部であるか、又は交換カートリッジ17を形成している。
【0061】
液体貯留部18あるいは液体タンク104は、香味物質及び/又は作用物質、特にニコチン及び/又は医療用物質を含む液体50を収容する。液体貯蔵部18の有利な容積は、0.1~5ml、好ましくは0.5~3ml、更に好ましくは0.7~2mの範囲にあり、又は1.5mlである。好ましくは、液体貯留部18あるいは液体タンク104は、あらかじめ充填されており、すなわち、液体貯留部18あるいは液体タンク104の製造者によって充填されている。
【0062】
図3には、吸入器27、ここでは吸入器ハウジング11を含む電子タバコ製品が示されており、吸入器ハウジングには、少なくとも1つの空気入口開口部31と空気出口開口部24の間の空気通路30が吸入器27の吸口端部32に設けられている。このとき、吸入器27の吸口端部32は、消費者が吸入の目的で吸い込み、これにより吸入器27が負圧を受け、空気流34が空気通路30内で生じる端部を意味する。
【0063】
有利には、吸入器27は、再利用可能な基礎部分16と、消費ユニット100とで構成されている。消費ユニット100は、蒸発器ヘッド1及び液体貯留部18を含んでいる。
【0064】
一実施形態では、蒸発器ヘッド1及び液体貯留部18から成る使用準備されたユニットは、カートリッジの形態で吸口部101へはめ込み可能である。そして、これにより形成された、カートリッジ及び吸口部101から成る消費ユニット100は、使用準備された吸入器27を形成するために基礎部分16と結合可能である。
【0065】
他の一実施形態では、吸口部101は、消費者が取り外せないように蒸発器ヘッド1に結合されている。この実施形態では、液体貯留部18が吸口部101へはめ込まれており、これにより、細管82が液体貯留部18へ侵入する。そして、これにより形成された、蒸発器ヘッド1及び液体貯留部を有する吸口部101から成る消費ユニット100は、ここでも、使用準備された吸入器27を形成するために基礎部分16と結合可能である。
【0066】
吸口部101は、使用準備された吸入器27の吸入器ハウジング11の一部を形成することができるか、あるいは吸入器ハウジング11を補足することが可能である。
【0067】
一実施形態では、消費ユニット100が、使用準備されたカートリッジあるいは交換カートリッジ17として、例えば吸入器ハウジング11の開口部へ、例えば吸入器27の一方側で吸入器ハウジング11へはめ込み可能であるとともに、そこで固定されることが可能である。
【0068】
入口開口部31を通して吸入される空気は、空気通路30において、少なくとも1つの層構成体20へ、又は少なくとも1つの層構成体20に沿って導かれる。層構成体20は、少なくとも1つの液体貯留部18に結合されているか、又は結合可能であり、この液体貯留部には、少なくとも1つの液体50が貯留されている。層構成体20は、液体貯留部18から供給される液体50を蒸発させるとともに、蒸発された液体をエアロゾル/蒸気22(図6参照)として出口側64において空気流34へ加える。一実施形態では、層構成体20あるいは蒸発器の傍らを通る吸口部101への空気供給は、有利には吸入器ハウジング11全体によって保証される。
【0069】
さらに、吸入器27は、電気的なエネルギー貯蔵部14と、電子的な制御装置15とを含んでいる。通常、エネルギー貯蔵部14は、基礎部分16に配置されているとともに、特に電気化学式の使い捨てバッテリ又は再充電可能な電気化学式の電池、例えばリチウムイオン電池であってよい。電子的な制御装置15は、少なくとも1つのデジタル式のデータ処理装置、特にマイクロプロセッサ及び/又はマイクロコントローラを(図3に示されているように)基礎部分16及び/又は消費ユニット17において含んでいる。
【0070】
吸入器ハウジング11内には、有利には、センサ、例えば圧力センサ又は圧力スイッチ若しくは流れスイッチが配置されており、制御装置15は、センサから発出されるセンサ信号に基づき、消費者がタバコ製品10の吸口端部32において吸入のために吸い込むことを特定することが可能である。この場合、制御装置15は、液体貯留部18からの液体50をエアロゾル/蒸気として空気流34へ加えるために、層構成体20を作動させる。
【0071】
液体貯留部18に貯留された配量されるべき液体50は、例えば、1,2-プロピレングリコール、グリセリン、水、少なくとも1つの香味(フレーバ)及び/又は少なくとも1つの作用物質、特にニコチン及び/又は治療上の作用物質の混合物である。
【0072】
有利には、消費ユニット100は、消費ユニット100に関する情報あるいはパラメータをメモリするための不揮発性のデータメモリを含んでいる。データメモリは、電子的な制御装置15の一部であり得る。データメモリ内には、有利には、液体貯留部18内に貯留されている液体50の組成についての情報、プロセスプロフィール(Prozessprofil)、特に出力制御/温度制御についての情報、状態監視あるいはシステム検査、例えば密度検査についてのデータ、コピー保護及び偽造防止に関するデータ、消費ユニット100を一義的に特徴付けるためのID、通し番号、製造年月日及び/又は有効期限及び/又は吸入数(消費者による吸入の数)あるいは使用時間がメモリされている。有利には、データメモリは、コンタクト及び/又は配線を介して制御装置15に接続されているか、又は接続可能である。
【0073】
図4及び図5には、蒸発器ユニットあるいは層構成体として形成された発熱体-ウィック構造-構成体20の有利な実施形態が示されている。蒸発器ユニットあるいは層構成体20は、好ましくは導電性の材料、好ましくはドープされたケイ素、ドープされたセラミック、金属セラミック、フィルタセラミック、半導体、特にゲルマニウム、グラファイト、半金属及び/又は金属から成るブロック状の、好ましくは一体式構造の発熱体60を含んでいる。発熱体60全体が導電性の材料で構成される必要はない。例えば、発熱体60の表面が導電性に、例えば金属的にコーティングされていることで十分である。この場合、表面全体をコーティングする必要はなく、例えば、導電経路を非導電性の本体部に設けることが可能である。また、必ずしも発熱体60全体が加熱される必要はなく、例えば、出口側64の範囲において発熱体60の一部又は発熱層のみが加熱されれば十分であり得る。
【0074】
発熱体60は、複数のマイクロ通路あるいは貫通通路62を備えており、これらマイクロ通路あるいは貫通通路は、液体を導くように発熱体60の入口側61を出口側64に接続している。入口側61は、ウィック構造19を介して液体を導くように液体貯留部18に接続されている。ウィック構造19は、毛管力によって液体貯留部50から発熱体60へ液体をパッシブに搬送するために用いられる。
【0075】
貫通通路62の平均直径は、好ましくは5~200μmの範囲にあり、更に好ましくは30~150μmの範囲にあり、更に好ましくは50~100μmの範囲にある。この寸法設定により、有利には毛管作用が生じ、その結果、入口側61において、貫通通路62が液体で満たされるまで、貫通通路62へ侵入する液体が貫通通路62を通して上昇する。発熱体60の多孔性を表し得る、発熱体60に対する貫通通路62の体積比率は、10~50%の範囲にあり、有利には15~40%の範囲にあり、更に有利には20~30%の範囲にあり、例えば25%である。
【0076】
発熱体60における、貫通通路62を備えた面の不図示の実施形態でのエッジ長さ及び/又は直径は、例えば0.5~3mmの範囲にあり、好ましくは0.5~1mmの範囲にある。発熱体60における貫通通路62を備えた面の寸法は、例えば、0.95mm×1.75mm、1.9mm×1.75mm又は1.9mm×0.75mmであってよい。発熱体60における不図示の実施形態でのエッジ長さ及び/又は直径は、例えば0.5~5mmの範囲にあり、好ましくは0.75~4mmの範囲にあり、更に好ましくは1~3mmの範囲にある。発熱体60の面(チップサイズ)は、例えば1mm×3mm、2mm×2mm又は2mm×3mmであってよい。
【0077】
発熱体60の幅あるいは直径は、好ましくは1~5mmの範囲にあり、更に好ましくは2~4mmの範囲にあり、例えば3mmである。発熱体60の高さは、好ましくは0.05~1mmの範囲にあり、更に好ましくは0.1~0.75mmの範囲にあり、更に好ましくは0.2~0.5mmの範囲にあり、例えば0.3mmである。
【0078】
貫通通路62の数は、好ましくは4~1000の範囲にある。このようにして、基層から貫通通路62への熱入力を最適化することができるとともに、保証された高い蒸発性能及び十分に大きな蒸発出口面を実現することが可能である。
【0079】
貫通通路62は、図5において分かるように、正方形、長方形、四角形、円形、だ円形又は他の形状の配列の形態で配置されている。当該配列は、s列及びz行を有するマトリクスの形態で形成されることができ、sは、有利には2~50の範囲にあり、更に有利には3~30の範囲にあり、及び/又はzは、有利には2~50の範囲にあり、更に有利には3~30の範囲にある。このようにして、効果的かつ容易に製造可能な貫通通路62の配置を保証された高い蒸発性能をもって実現することが可能である。
【0080】
貫通通路62の断面は、正方形、長方形、多角形、円形、だ円形又は他の形状に形成されることができ、及び/又は長手方向に部分的に変化することができ、特に拡大、縮小されるか、又は一定に維持されることが可能である。
【0081】
1つ又は各貫通通路62の長さは、好ましくは100~1000μmの範囲にあり、更に好ましくは150~750μmの範囲にあり、更に好ましくは180~400μmの範囲にあり、例えば300μmである。このようにして、発熱体60から貫通通路62への十分良好な熱入力において、最適な液体収容及び割当量形成を実現することが可能である。
【0082】
2つの貫通通路62の間隔は、好ましくは貫通通路62の内のりの直径の少なくとも1.3倍であり、当該間隔は、両貫通通路62の中心軸線に関するものである。当該間隔は、貫通通路62の内のりの直径の好ましくは1.5~5倍、更に好ましくは2~4倍であってよい。このようにして、基層から貫通通路への最適な熱入力を実現することができるとともに、貫通通路の十分に安定した配置及び壁厚を実現することが可能である。
【0083】
上述の特徴に基づき、発熱体60は、体積加熱部とも呼ぶことができる。
【0084】
層構成体20は、好ましくは制御装置15によって制御可能な加熱電圧源71を備えており、当該加熱電源は、電極72を介して発熱体60の対向する側でこの発熱体に接続されているため、加熱電圧源71により生成される電圧Uhは、発熱体60を通る電流の流れをもたらす。導電性の発熱体60のオーム抵抗に基づき、電流の流れは、発熱体60の加熱と、したがって貫通通路62に含まれる液体の蒸発とをもたらす。したがって、発熱体60は、蒸発器として作用する。このようにして生成される蒸気/エアロゾルは、貫通通路62から出口側64へ流出し、空気流34へ混合される。図3を参照のこと。より正確には、消費者の吸込みにより生じる空気通路30を通る空気流34の特定時に、制御装置15が加熱電圧源71を作動させ、自発的な加熱により、貫通通路62にある液体が蒸気/エアロゾルの形態で貫通通路62から移動される。
【0085】
このとき、液体の個々の割当量の個々の成分の異なる温度及び/又は蒸発における個々の蒸発ステップの継続時間は、段階的な蒸発が消費者によって知覚されないものの、ほぼ均一で、香味どおりの、繰り返し可能で精確なエアロゾル形成を保証することができるように、短く維持されることが可能である。特に、有利には、まず、液体の容易に沸騰(揮発)する成分の蒸気が第1の蒸発インターバルにおいて第1の温度Aでなされ、つづいて、液体のより高く沸騰する成分の蒸発が、第2の蒸発インターバルにおいて、温度Aを超える第2の温度Bでなされる。
【0086】
好ましくは、吸入器10のデータメモリには、使用される液体混合物に適合された電圧曲線Uh(t)がメモリされている。図5を参照のこと。このことにより、電圧曲線Uh(t)を使用される液体に合わせてあらかじめ設定することができ、その結果、発熱体60の加熱温度、ひいては毛管状の貫通通路62の温度も、公知の各液体の蒸発速度論に基づき蒸発過程にわたって時間的に制御可能であり、これにより、最適な蒸発結果を達成することが可能である。蒸発温度は、例えば100~400℃の範囲にあり、好ましくは150~350℃の範囲にあり、更に好ましくは190~290℃の範囲にある。いくつかの用途、例えば医療上の用途では、例えばタンパク質及び/又は作用物質を害なく投与することができるように、100℃より低い蒸発温度を設定することが可能である。
【0087】
発熱体60の入口側61には、多孔性の、及び/又は毛管状の、液体を導くウィック構造19が配置されている。図4及び図5に示すように、ウィック構造19は、発熱体60の入口側61に平坦に接触し、入口側で貫通通路62全体を覆っている。ウィック構造19は、発熱体60に対向する側において、液体を導くように液体貯留部に接続されている。ウィック構造19への液体貯留部18の直接的な結合は、例示的にのみ理解されるべきである。特に、液体境界面及び/又は複数の液体管路を液体貯留部18とウィック構造19の間に設けることが可能である。したがって、液体貯留部18を、ウィック構造19から離間して配置することも可能である。液体貯留部18は、その寸法について、ウィック構造19よりも大きくてよい。例えば図6を参照のこと。ウィック構造19は、例えば、液体貯留部18のタンクハウジング102の開口部へはめ込まれることが可能である。複数の層構成体20を1つの液体貯留部18に割り当てることも可能である。
【0088】
ウィック構造19は多孔性の、及び/又は毛管状の材料で構成されており、当該材料は、貫通通路62の空動作及びこれにより生じる問題を回避するために、毛管力により、発熱体60により蒸発される液体を十分な量で液体貯留部18から発熱体60へパッシブに供給されるようになっている。
【0089】
有利には、ウィック構造19への液体の電流の流れによる不都合な加熱を回避するために、ウィック構造19は、不導性の材料で構成されている。有利には、ウィック構造19は、材料である、綿、セルロース、アセテート、ガラスファイバ織物、ガラスファイバセラミック、焼結セラミック、セラミックペーパー、アルミノケイ酸塩ペーパー、発泡金属、金属スポンジ、わずかな供給率を有する他の耐熱性で多孔性の、及び/又は毛管状の材料のうち1つ又は複数で、あるいは上述の材料のうち2つ以上の材料の複合物で構成されている。有利で実用的な実施形態では、ウィック構造19は、少なくとも1つのセラミックファイバペーパー及び/又は多孔性のセラミックを含むことが可能である。発熱体19の体積は、好ましくは1~3mm3の範囲にあり、更に好ましくは3~8mm3の範囲にあり、更に好ましくは3~7mm3の範囲にあり、例えば5mm3である。
【0090】
例外ではない、ウィック構造19が導電性の材料で構成されている場合には、有利には、ウィック構造19と発熱体60の間には、電気的及び/又は熱的に絶縁された材料、例えばガラス、セラミック又は合成樹脂から成る絶縁層が、当該絶縁層を通って延び、貫通通路62に対応する貫通開口部と共に設けられている。
【0091】
有利には、ウィック構造19の材料における小孔あるいは毛管の大きさは、所定の基準に支配されている。したがって、発熱体60との接触範囲35,61におけるウィック構造19の小孔又は毛管の平均の小孔サイズ/毛管サイズDwは、有利には最小であり、すなわち、Dw=Pmin、及び/又は有利には2つの貫通通路62の最小の間隔Dpよりも小さく、好ましくは少なくともファクタ2だけ、更に好ましくは少なくともファクタ5だけ小さい。すなわちDw<<Dp。さらに、発熱体60との接触範囲35,61におけるウィック構造19の小孔又は毛管の平均の小孔サイズ/毛管サイズDwは、有利には貫通通路62の最小の内のりの直径Dpwよりも小さく、好ましくは少なくともファクタ2だけ、更に好ましくは少なくともファクタ5だけ小さい。すなわちDw<<Dpw。
【0092】
発熱体60との接触範囲35,61におけるウィック構造19は、液体を均一に分配するために、耐熱性であるために、及びその比較的小さな小孔及び/又は、気泡を含む液体が発熱体60からウィック構造19及び/又は液体貯留部18へ不都合に逆流するのを防ぐために、薄い毛管によって一種の逆止弁を形成するために用いられる。
【0093】
図4による実施形態では、ウィック構造19は、2つの例えば平坦な層35,36、すなわち、発熱体60の入口側61に平坦に位置しつつこの入口側に接触する、接触層とも呼ぶことができるウィック層35と、当該ウィック層に接し、液体を導くように液体貯留部18に結合された、より離れたウィック層とも呼ぶことができるウィック層36とを備えている。
【0094】
接触層35は、本質的に一定の小孔サイズ分布/毛管サイズ分布と、本質的に一定の平均の小孔サイズ/毛管サイズDwとを備えており、この平均の小孔サイズ/毛管サイズは、2つの貫通通路62の互いに対する最小の間隔Dpよりも大幅に小さいとともに、貫通通路62の最小の内のりの直径Dpwよりも大幅に小さい:Dw<<Dp,Dpw。
【0095】
より離れたウィック層36は、本質的に一定の小孔サイズ分布/毛管サイズ分布と、本質的に一定の平均の小孔サイズ/毛管サイズDwとを備えており、この平均の小孔サイズ/毛管サイズは、接触層35の平均の小孔サイズ/毛管サイズDwよりも大幅に大きい:Dw’>Dw、しかし、好ましくは依然としてDp及び/又はDpwよりも小さい:Dw’<<Dp,Dpw。
【0096】
有利で実用的な実施形態では、接触層35は例えばファイバペーパー層又はセラミックペーパー層であってよく、及び/又は層36は多孔性のセラミックであってよい。
【0097】
当然、ウィック構造19は、2つより多くのウィック層35,36・・・を備えることが可能である。2つより多くのウィック層35,36・・・の場合にも、平均の小孔サイズ/毛管サイズは、発熱体60に対する間隔が小さくなるのに伴い、有利には単調に(すなわちウィック層からウィック層へ)小さくなり、及び/又は同一のままであり、したがって、いずれにしても増大しない。
【0098】
図5による実施形態では、ウィック構造19は1つの層のみで構成されており、この層の平均の小孔サイズ/毛管サイズは、発熱体60に対する間隔が小さくなるのに伴い単調に小さくなる。
【0099】
全ての実施形態では、所望の小孔サイズ勾配/毛管サイズ勾配は最適に設定されることができるとともに、液体の流れは、発熱体60へ向けて緩慢にされるとともに均等にされることが可能である。
【0100】
発熱体60に対する間隔の低減に伴う、ウィック構造19における平均の小孔サイズ/毛管サイズの上述の低減は、発熱体の入口側61に対して垂直な方向、すなわち発熱体60とウィック構造19の間の接触面に対して垂直な方向において、あるいは貫通通路62の延長に対して平行な方向にも当てはまる。これに対して、発熱体60に対して同一の間隔を有する層の内部では、発熱体60の全ての貫通通路62に均等に液体が供給されるように、ウィック構造19における平均の小孔サイズ/毛管サイズが有利には一定となっている。
【0101】
好ましくは、貫通通路62は、その長手軸線について、層19,35,36に対して横方向に、あるいはより一般的には適宜の層順序に対して横方向に配置されている。このようにして、発熱体60から貫通通路62への最適な熱入力を実現することが可能である。
【0102】
有利には、発熱体60は、ウエハの部分から薄膜技術によって製造されることができ、当該ウエハは、好ましくは1000μm以下の層厚、更に好ましくは750μmの層厚、更に好ましくは500μm以下の層厚、有利には300μmの層厚を有している。有利には、発熱体60の表面は親水性であり得る。有利には、発熱体60の入口側61及び/又は出口側64は、微細構造化されることができるか、あるいは微細凹部(micro grooves(マイクロ溝))を備えることが可能である。
【0103】
発熱体-ウィック構造-構成体20は、消費者の吸い込みごとに1~20μlの範囲の、更に好ましくは2~10μlの範囲の、更に好ましくは3~5μlの範囲の、典型的には4μlの液体量が配量されるように調整されている。好ましくは、発熱体-ウィック構造-構成体20は、吸い込みごとの、すなわち0.5~5秒、好ましくは1~3秒の吸い込み時間ごとの液体量/蒸気量について調整可能であり得る。
【0104】
図6による実施例では、ウィック構造19は、2つより多くの、ここでは4つの層を含んでいる。発熱体60に直接隣接するように、及びこの発熱体に平坦に接触するようにフィルタ層55が配置されており、このフィルタ層は、特に1つ、2つ又はそれより多くのマイクロガラスファイバ層で構成されることが可能である。当該フィルタ層に平坦に隣接して、ファイバペーパー層56を配置することが可能である。有利には、ウィック層57,58、例えばセラミックウィック層57及びオイルランプウィック層58、すなわち従来はオイルランプのウィック(芯)に用いられるガラスファイバウィック材料がファイバペーパー層に平坦に隣接して設けられている。
【0105】
図6による実施形態では、有利には、少なくとも、発熱体60に平坦に接触する層55が、小孔サイズ/毛管サイズについての上述の条件Dw<<Dp,Dpwを満たす。有利には、層57及び/又は層58も当該条件を満たすことができる。さらに、液体貯留部18から発熱体60への液体の毛管搬送のための毛管力は、ウィック層57,58により主に、又は完全に提供されることが可能である。一般的に、ウィック構造19の全ての層が液体の毛管搬送のための毛管力を提供する場合には不要である。また、ウィック構造19の1つのみの層が液体の毛管搬送のための毛管力を提供することも十分である。
【0106】
有利には、図6図8に示されているように、発熱体-ウィック構造-構成体20は、発熱体60及び/又はウィック構造19を保持する特にプレート状の支持部23を備えている。支持部23は、適切な材料、例えばセラミック、ガラス及び/又は繊維強化性の合成樹脂、例えば回路基板材料を含む合成樹脂で構成されることができるとともに、貫通開口部25を備えており、当該貫通開口部を通って、ウィック構造19が延在しているとともに、当該貫通開口部においてウィック構造19が保持されている。
【0107】
支持部23の厚さは、好ましくは0.5~4mmの範囲にあり、更に好ましくは1~3mmの範囲にあり、更に好ましくは1~2mmの範囲にあり、例えば1.6mm又は2mmである。支持部23の貫通開口部25に配置されたウィック層57の厚さは、支持部23の厚さに適合されることができるか、支持部23の厚さに対応することができ、したがって、同様に1.6mm又は2mmであり得る。
【0108】
有利には、貫通開口部25は、容易に製造可能な円形状である。貫通開口部25の直径d又は場合によっては平均の直径(図8参照)は、好ましくは0.5~4mmの範囲にあり、好ましくは1~3mmの範囲にあり、更に好ましくは1.5~2.5mmの範囲にあり、例えば2mmである。
【0109】
貫通開口部25の直径dは、有利には、発熱体60の幅あるいは直径b以下である。図8を参照のこと。貫通開口部25の体積あるいは貫通開口部25のウィック体積は、有利には1~8mm3の範囲にあり、好ましくは2~6.5mm3の範囲にあり、更に好ましくは2.5~5mm3の範囲にある。
【0110】
ウィック構造19は、シャフト部29の追加的な保持力を貫通開口部25において生じさせるために、自由なあらかじめ取り付けられた状態において、過剰部、すなわち貫通開口部25よりも大きな直径を有している。
【0111】
有利には、ウィック層35の直径は、貫通開口部25の直径dよりも大きい。好ましくは、ウィック層35は、その全周にわたって、突出部をもって貫通開口部25を越えて突出している。貫通開口部25を越えるウィック層35の全般的な突出部により、支持部23への発熱体60の挟着時に、ウィック層35と、したがってウィック構造19全体とが確実に発熱体-ウィック構造-構成体20に保持される。
【0112】
支持部23での発熱体60の挟着は、発熱体60の対向する側でこの発熱体に係合する少なくとも2つの挟着要素37によって生じる。特に図7を参照のこと。各経着要素37は、有利には挟着クランプ38を備えており、当該挟着クランプは、互いに離間した2つの固定点39において、弾性的に支持部23に固定されているとともに、予負荷を生じさせ、この予負荷によって、発熱体60及び皿部28は、支持部23に挟着され、したがって確実に保持される。
【0113】
挟着クランプ38の両固定点39の互いの間隔aは、好ましくは4~10mmの範囲にあり、更に好ましくは5~8mmの範囲にあり、例えば6mmである。2つの挟着クランプ38の固定点39間の間隔cは、好ましくは5~12mmの範囲にあり、更に好ましくは6~10mmの範囲にあり、例えば8mmである。例えば長方形状の支持部23の寸法は、好ましくは6~20mmの範囲にあり、更に好ましくは8~17mmの範囲にあり、更に好ましくは10~14mmの範囲にある。
【0114】
特に有利には、挟着要素37は、同時に発熱体60のコンタクト及び加熱電流の供給のための電極として用いられる。この目的のために、有利には、挟着要素37あるいは挟着クランプ38は、導電性の材料で構成されているとともに、例えば金属ワイヤ、例えば真鍮ワイヤであり得る。挟着クランプ38と発熱体60の間の線形接触により、面接触でないことから挟着要素37と発熱体60の間を同時に理想的に熱的に分離しつつ挟着要素37と発熱体60の間の優れた電気的な接続が得られる。したがって、発熱体60から挟着要素37への放熱がわずかであり、電極38は、発熱体60よりも大幅に低温のままである。ダイオード効果が防止され、純粋にオームの電荷キャリア輸送が可能となる。
【0115】
挟着クランプ38は、側方で出口側64に対して平行に、及び/又は出口側64に対して垂直に、及び/又はコーナ溝において例えば30~60°の中間角度で、また、出口側64に対して垂直にも発熱体60を挟着することが可能である。最後に挙げた可能性は、挟着クランプと発熱体60の間の2つの接触線を伴うものであり、これにより、電気的な接触が更に改善される。挟着要素37は、1つより多くの挟着クランプ38を備えることができ、特に適宜の2つ又は全部で3つの挟着クランプを備えることができる。
【0116】
電子的な制御装置15及び発熱体60への電流供給のためのエネルギー源46への電気的な接続を形成するために、挟着要素37は、電気配線12によって、有利には、消費ユニット17に設けられた回路基板26(PCB)に結合されている。有利には、回路基板26には、消費ユニット17の電子的な構成部材が配置されている。
【0117】
図6による実施例では、回路基板26は、別個の部材であるとともに、支持部23から離間して、その発熱体60とは反対側に配置されている。回路基板26は貫通開口部10を備えており、当該貫通開口部を通して、ウィック構造19が延在しているとともに、当該貫通開口部にはウィック構造19が保持されている。電気配線12はここでは例えば4つの金属ピン44を含んでおり、これら金属ピンは、固定点39における支持部23の側33において、挟着要素37に結合されているとともに、それぞれ貫通開口部45を通って支持部23を貫通案内されており、そして、反対側43において、支持部23と回路基板26の間の間隔を橋渡ししている。
【0118】
他の実施形態では、支持部23は、回路基板26を形成している。そして、電気配線12を省略することが可能である。発熱体-ウィック構造-構成体20自体は回路基板を含まず、挟着クランプ38が、例えばフレキシブルな絶縁された配線12を介して、又は他の適切な態様で、例えば基礎部分16に配置された回路基板に結合されていることも可能である。
【0119】
支持部23の下側43には、液体貯留部18のハウジング又は支持部23の下方に配置された他の構成部材のハウジングに対して支持部23を密閉するためのシール要素73、例えばシールリングを配置することが可能である。
【0120】
図6には細管82が示されており、当該細管を通って、ウィック構造19、特にウィック層58あるいはシャフト29が延在している。この実施例では、例えば、細管82が固定側84に配置されたジャケット90の一部と共に貫通開口部10へ挟着されていることで、細管82は、回路基板26によって保持されている。
【0121】
ウィック層58は、ジャケット90の内側91に広範囲で接触しているとともに、細管82の通路93を通って延在している。
【0122】
以下では、蒸発過程の経過を説明する。
【0123】
初期状態では、加熱過程のための電圧源71がオフされている。
【0124】
液体50を蒸発させるために、発熱体60用の電圧源71が起動される。このとき、電圧Uhは、用いられる液体混合物の個別の蒸発特性に発熱体60における、したがって貫通通路62における蒸発温度が適合されるように設定される。これにより、局所的な過熱及びこれによる有害物質の発生のおそれが回避される。
【0125】
貫通通路62の体積に対応するか、又はこれに関連する液体量が蒸発されると、加熱電圧源71が停止される。有利には液体特性及び液体量が既知であるとともに、発熱体60が測定可能な温度に依存した抵抗を有しているため、この時点を非常に正確に特定あるいは制御することが可能である。したがって、発熱体-ウィック構造-構成体20のエネルギー消費は、公知の装置に比して低減されることができる。なぜなら、必要な蒸発エネルギーをより配量して、したがってより正確に提供することが可能であるためである。
【0126】
加熱過程の終了後には、貫通通路62は、十分に、又は完全に空にされる。そして、加熱電圧71は、ウィック構造19による液体の再搬送により貫通通路62が再び満たされるまでオフされたままとなる。このような場合には、次の加熱サイクルを、加熱電圧71のオンによって開始することが可能である。
【0127】
加熱電圧源71により生じる発熱体60の作動周波数は、一般的に、有利には1Hz~50kHzの範囲、好ましくは30Hz~30kHzの範囲、更に有利には100Hz~25kHzの範囲にある。
【0128】
有利には、発熱体60のための加熱電圧Uhの周波数及びデューティ比は、バルク沸騰中のバブル発振の固有振動あるいは固有周波数に適合されている。したがって、有利には、加熱電圧の周期1/fは、1~50msの範囲、更に有利には10~40msの範囲、更に有利には15~30msの範囲にあり、例えば20msであり得る。蒸発される液体の組成に応じて、上述の周波数とは異なる周波数をバブル発振の固有振動あるいは固有周波数へ最適に適合されることが可能である。
【0129】
さらに、加熱を回避しつつ濃縮された蒸気を保証するために、加熱電圧Uhにより生じる最大の加熱電流が好ましくは7Aを超えず、更に好ましくは6.5Aを超えず、更に好ましくは6Aを超えず、最適には2~6Aの範囲にあるべきであることが分かった。加熱電流は、十分な蒸発を保証することができるように、例えば1A、好ましくは2Aの下限を有することができる。
【0130】
ウィック構造19の搬送率は、ここでも発熱体60の蒸発率に最適に適合されており、その結果、液体をいつでも十分に再搬送することが可能であるとともに、発熱体60の手前の範囲の空動作が防止される。
【0131】
発熱体-ウィック構造-構成体20は、好ましくは、MEMS技術に基づき、特に配量されたケイ素に基づき製造されており、したがって、有利には微小電気機械システムである。
【0132】
上述の事項により、有利には、有利には少なくとも入口側61で平坦なSiを基礎とする発熱体60と、その下方に位置し、有利には異なる小孔サイズを有する1つ又は複数の毛管構造19とで構成された発熱体-ウィック構造-構成体20が提案される。発熱体60の入口側61に直接配置されたウィック構造19は、発熱体60の入口側61における気泡の形成を防止する。なぜなら、気泡により、別の搬送作用が妨げられ、同時に、後から流れる液体による不足する冷却により発熱体60の(局所的な)過熱がもたらされるためである。
なお、本発明は、以下の態様も包含し得る:
1.特に電子タバコ製品用の吸入器(27)のための蒸発器ヘッド(1)であって、
-液体を導く少なくとも1つの貫通通路(62)と、発熱体(60)の入口側(61)に配置された多孔性の、及び/又は毛管状のウィック構造(19)とを有する、電気的に動作可能な発熱体(60)を備えた発熱体-ウィック構造-構成体(20)と、
-該発熱体-ウィック構造-構成体(20)を保持するための支持プレート(23)と
を含む、前記蒸発器ヘッドにおいて、
-当該蒸発器ヘッド(1)が液体を導く細管(82)を備えており、該細管が、好ましくは突出した突き刺し範囲(83)を備えていることを特徴とする蒸発器ヘッド。
2.-前記ウィック構造(19)及び/又は前記発熱体(60)が前記細管(82)の固定側(84)に配置されていることを特徴とする上記1.に記載の蒸発器ヘッド(1)。
3.-前記ウィック構造(19)が少なくとも部分的に前記細管(82)内に配置されていることを特徴とする上記1.又は2.に記載の蒸発器ヘッド(1)。
4.-前記発熱体-ウィック構造-構成体(20)が層構成体として形成されていることを特徴とする上記1.~3.のいずれか1つに記載の蒸発器ヘッド(1)。
5.-前記細管(82)が、固定側(84)と突き刺し側(85)の間で延びるジャケット(90)を備えており、
-該ジャケット(90)が、前記発熱体-ウィック構造-構成体(20)の少なくとも一部を広範囲に、特に密閉するように包囲している
ことを特徴とする上記1.~4.のいずれか1つに記載の蒸発器ヘッド(1)。
6.-前記突き刺し範囲(83)が、外部の部分、特に液体貯留部(18)へ突き刺すために形成されていることを特徴とする上記1.~5.のいずれか1つに記載の蒸発器ヘッド(1)。
7.-前記突き刺し範囲(83)が刃部(86)を備えていることを特徴とする上記1.~6.のいずれか1つに記載の蒸発器ヘッド(1)。
8.-支持プレート(23)が貫通開口部(25)を備えていることを特徴とする上記1.~7.のいずれか1つに記載の蒸発器ヘッド(1)。
9.-前記発熱体-ウィック構造-構成体(20)が、少なくとも部分的に前記支持プレート(23)の前記貫通開口部(25)を通って延在していることを特徴とする上記8.に記載の蒸発器ヘッド(1)。
10.-当該蒸発器ヘッド(1)が、外部の部分、特に液体貯留部(18)において係止するための係止要素(87)を含んでいることを特徴とする上記1.~9.のいずれか1つに記載の蒸発器ヘッド(1)。
11.-当該蒸発器ヘッド(1)、特に前記支持プレート(23)に吸口部(101)を固定可能であることを特徴とする上記1.~10.のいずれか1つに記載の蒸発器ヘッド(1)。
12.-前記細管(82)が金属から成ることを特徴とする上記1.~11.のいずれか1つに記載の蒸発器ヘッド(1)。
13.-前記発熱体(60)が微小電気機械システム(MEMS)であり、及び/又はケイ素を基礎としたものであることを特徴とする上記1.~12.のいずれか1つに記載の蒸発器ヘッド(1)。
14.タンクハウジング(102)を含む液体貯留部(18)において、
-前記タンクハウジング(102)が、細管(82)によって突き刺し可能に形成されていることを特徴とする液体貯留部。
15.-当該液体貯留部(18)の前記タンクハウジング(102)が、刺し込みシール(103)を含んでいることを特徴とする上記14.に記載の液体貯留部(18)。
16.-前記液体貯留部(18)が、少なくとも部分的に、細管(82)によって突き刺し可能な合成樹脂及び/又は金属、特にアルミニウムで形成されていることを特徴とする上記14.又は15.に記載の液体貯留部(18)。
17.-当該液体貯留部(18)が、外部の部分、特に蒸発器ヘッド(1)の特に回転運動によって係止するための係止装置(105)を含んでいることを特徴とする上記14.~16.のいずれか1つに記載の液体貯留部(18)。
18.上記1.~13.のいずれか1つに記載の蒸発器ヘッド(1)と、上記14.~17.のいずれか1つに記載の液体貯留部(18)とを含む消費ユニット(100)において、
-前記蒸発器ヘッド(1)が、使用準備された当該消費ユニット(100)を製造するために、前記細管(82)でもって前記液体貯留部(18)へ刺し込み可能であることを特徴とする消費ユニット。
19.当該消費ユニット(100)が吸口部(101)を備えていることを特徴とする上記18.に記載の消費ユニット(100)。
20.-前記蒸発器ヘッド(1)の前記支持プレート(23)が前記吸口部(101)に固定されていることを特徴とする上記19.に記載の消費ユニット(100)。
21.-前記細管(82)が、使用準備された状態において前記吸口部(101)に埋設されていることを特徴とする上記18.~20.のいずれか1つに記載の消費ユニット(100)。
22.-前記支持プレート(23)が、使用準備された状態において前記液体貯留部(18)の前記タンクハウジング(102)と面一となっていることを特徴とする上記18.~21.のいずれか1つに記載の消費ユニット(100)。
23.-前記蒸発器ヘッド(1)が、使用準備された状態において前記液体タンク(104)を液密に密閉していることを特徴とする上記18.~22.のいずれか1つに記載の消費ユニット(100)。
24.-前記支持プレート(23)が、使用準備された状態において、前記液体貯留部(18)の前記タンクハウジング(102)を完全で液密な液体タンク(104)へ補足していることを特徴とする上記18.~23.のいずれか1つに記載の消費ユニット(100)。
25.上記1.~13.のいずれか1つに記載の蒸発器ヘッド(1)、上記18.~24.のいずれか1つに記載の消費ユニット(100)及び/又は上記14.~17.のいずれか1つに記載の液体貯留部(18)と、当該吸入器(27)の電気的な構成要素へ給電するための電気的なエネルギー貯蔵部(14)を有する基礎部分(16)とを有する吸入器(27)。
26.吸入器(27)用の使用準備された消費ユニット(100)を製造する方法において、 以下のステップ:
-上記1.~13.のいずれか1つに記載の蒸発器ヘッド(1)を提供するステップと、
-上記14.~17.のいずれか1つに記載の液体貯留部(18)を提供するステップと、-前記蒸発器ヘッド(1)の前記細管(82)を前記液体貯留部(18)の前記タンクハウジング(102)へ刺し込むステップと
を行うことを特徴とする方法。
27.以下のステップ:
-前記蒸発器ヘッド(1)を、特に回転運動によって前記液体貯留部(18)に係止するステップ
を行うことを特徴とする、上記26.に記載の使用準備された消費ユニット(100)を製造する方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8