(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】自動車カメラ・ハウジング組立体およびそれを作るための方法
(51)【国際特許分類】
H04N 23/51 20230101AFI20240806BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20240806BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
H04N23/51
G03B17/02
H05K5/02 L
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019206687
(22)【出願日】2019-11-15
【審査請求日】2022-11-15
(32)【優先日】2018-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516284976
【氏名又は名称】フィコサ アダス,ソシエダッド リミタダ ユニペルソナル
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100192533
【氏名又は名称】奈良 如紘
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・アロンソ・オリバ
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-215183(JP,A)
【文献】特開2015-161780(JP,A)
【文献】特開2017-182971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/51
G03B 17/02
G03B 30/00
H05K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用時に内側空間(130)を一緒に画定する第1のハウジング部品(110)および第2のハウジング部品(120)と、前記第1および第2のハウジング部品(110、120)を相互に接合するための接合手段(200)と、を備える、自動車カメラ・ハウジング組立体(100)であって、
前記接合手段(200)が、前記
自動車カメラ・ハウジング組立体(100)の長手軸(x)の周りで巻付け方向(D)に従って1周よりも多く巻き付けられるシート材料(210)を含み、
前記シート材料(210)が、支持層(215)と、前記第1および第2のハウジング部品(110、120)のそれぞれの外側表面(115、125)に接着される少なくとも1つの接着剤層(216)と、を有し、
使用時に、前記シート材料(210)が、前記第1および第2のハウジング部品(110、120)上に巻き付けられたときの前記シート材料(210)の2つの対向する縁部(250、260)によって画定される重なり部分(240)の近傍に形成される隙間(230)を少なくとも部分的に埋め、それにより、前記第1および第2のハウジング部品(110、120)が互いに封止可能に接合されることを特徴とする、自動車カメラ・ハウジング組立体(100)。
【請求項2】
前記シート材料(210)が、前記長手軸(x)に垂直に圧力が及ぼされるように前記第1および第2のハウジング部品(110、120)の周りに巻き付けられる、請求項1に記載の
自動車カメラ・組立体(100)。
【請求項3】
前記シート材料(210)が、幅寸法(W
s)を有し、
使用時に、前記シート材料(210)の前記幅寸法(W
s)の第1の部分(W
s1)が、前記第1のハウジング部品(110)に付着され、前記シート材料(210)の前記幅寸法(W
s)の第2の部分(W
s2)が、前記第2のハウジング部品(120)に付着され、
前記幅寸法(W
s)の前記第1および第2の部分(W
s1、W
s2)が、
等しい、請求項1または2に記載の
自動車カメラ・組立体(100)。
【請求項4】
前記接着剤層(216)が、硬化性接着物質を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の
自動車カメラ・組立体(100)。
【請求項5】
前記シート材料(210)が、2つの対向する接着剤層(216)を有する、請求項1から4のいずれ一項に記載の
自動車カメラ・組立体(100)。
【請求項6】
前記第1および第2のハウジング部品(110、120)が、前記第1のハウジング部品(110)の断面領域が前記第2のハウジング部品(120)の断面領域と少なくとも部分的に一致するように、相互に接合される、請求項1から5のいずれか一項に記載の
自動車カメラ・組立体(100)。
【請求項7】
前記シート材料(210)が、前記第1および第2のハウジング部品(110、120)のそれぞれの第1および第2の長手軸(x
1、x
2)が前記長手軸(x)に沿って互いに位置合わせされるように、前記第1および第2のハウジング部品(110、120)の周りに巻き付けられる、請求項1から6のいずれ一項に記載の
自動車カメラ・組立体(100)。
【請求項8】
前記巻付け方向(D)
は、前記第1および第2のハウジング部品(110、120)のそれらのそれぞれの断面領域が互いに
一致するように
、決定される、請求項1から7のいずれか一項に記載の
自動車カメラ・組立体(100)。
【請求項9】
前記隙間(230)が、前記接着剤層(216)に由来する材料で少なくとも
埋められる、請求項1から8のいずれか一項に記載の
自動車カメラ・組立体(100)。
【請求項10】
前記接着剤層の厚さ(T
a
)の前記支持層の厚さ(T
s
)に対する比が、0.65以上である、請求項1から9のいずれか一項に記載の
自動車カメラ・組立体(100)。
【請求項11】
前記支持層(215)が、プラスチックで作られる、請求項1から10のいずれか一項に記載の
自動車カメラ・組立体(100)
【請求項12】
前記支持層(215)が、前記隙間(230)を少なくとも部分的に閉鎖するための展性を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の
自動車カメラ・組立体(100)。
【請求項13】
前記支持層(215)が、金属で作られる、請求項12に記載の
自動車カメラ・組立体(100)。
【請求項14】
車両カメラ・ハウジング組立体(100)を作るための方法であって、
- 少なくとも1つの第1のハウジング部品(110)および第2のハウジング部品(120)を用意するステップと、
- 前記第1および第2のハウジング部品(110、120)を相互に接近させるステップと、
- 内側空間(130)を画定するように、シート材料(210)を巻付け方向(D)に従って前記第1および第2のハウジング部品(110、120)のそれぞれの外側表面(115、125)上に1周よりも多く巻き付けて、前記第1および第2のハウジング部品(110、120)を相互に恒久的に接合し、それにより、前記第1および第2のハウジング部品(110、120)上に巻き付けられたときの前記シート材料(210)の2つの対向する縁部(250、260)によって画定される重なり部分(240)の近傍に形成される間隙(230)が、前記第1および第2のハウジング部品(110、120)が相互に封止可能に接合されるように少なくとも部分的に埋められるステップと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記シート材料(210)が、展性のある材料で作られた支持層(215)と、少なくとも1つの接着剤層(216)とを有し、
前記方法が、前記シート材料(210)が前記第1および第2のハウジング部品(110、120)の前記それぞれの外側表面(115、125)にしっかりとなじむように前記支持層(215)に圧力を加えるステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動車のためのカメラに関し、より具体的には、その中にカメラ電子部品を納めるためのハウジング組立体と、それらを作るための方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
パーキング・カメラなどの自動車内のカメラは、典型的には、カメラ電子部品が受容されるハウジングを含む。ハウジングは、一般に、第1の部品または前ハウジングと、第2の部品または後ハウジングとを備える。ほんの数年前まで、両方のハウジング部品は、一般に、超音波溶接によって相互に接合される射出成形プラスチックで作られていた。
【0003】
現在では、自動車カメラは、より強力になり、また、ECU(電子制御ユニット)を含むことが多いが、ECUは、ハウジング内で多量の熱を生成する。金属は良好な熱伝導体であるので、プラスチックで作られたハウジング部品は、可能な限り迅速に熱を外部に散逸させるために、金属、例えばアルミニウムで作られたハウジング部品と置き換えられてきた。
【0004】
金属製ハウジング部品は、通常、機械加工または射出成形によって作られる。機械加工は、より良好な表面仕上げを提供し、したがってより優れた精度を提供し、一方で、射出成形は、より迅速であり、かつ、より費用効率が良いが、その結果は製造公差の面で精度が低く、そのことが密封性に悪影響を与える。レーザ溶接が、自動車カメラにおいてアルミニウム製ハウジング部品を相互に接合するための超音波溶接の代案とされてきた。しかし、レーザ溶接は、費用のかかるものであり、また、アルミニウム製ハウジング部品を適切に接合するために長い作業サイクルを通常伴うので、時間がかかる。いずれにせよ、溶接は、追加される材料を伴い、したがって、車両内にハウジング組立体を取り付けることにおける問題を伴う。また、溶接は、ハウジング部品の位置合わせを確実としない。溶接材料が送達されない場合、通常、ハウジング部品間の境界面における塵およびほこりが原因で、問題が生じる。また、アルミニウム溶接は、溶接領域に微小孔を作り出しやすく、このこともまた、密封性に悪影響を与える。したがって、溶接は、不満足となる。
【0005】
費用を削減するために、金属製ハウジング部品を相互に接合するためのねじまたはボルトに基づくさらなる手法も提案されてきた。ねじまたはボルトの使用から生じる問題は、自動車カメラのハウジング組立体の外部からの水などの流体が、例えばハウジング部品間の隙間に、またはねじとねじ山との間の空間にすら侵入し得ることである。この問題を克服するために、ゴム・パッキンなどの密封手段が、ハウジング部品間に設けられてきた。ねじの頭とハウジング部品との間には、追加の密封手段が設けられてきた。これは、あいにくにも複雑さを強め、また、ねじおよびゴム・パッキンによって占有される空間のために体積をも増大させ、さらに、組立体の密封を確実としない一方で、ゴムは溶接と比較すると弱い熱放散をもたらす断熱材料であるので、熱放散から生じる問題をなおも伴う。さらに、ハウジング部品を互いに取り付けるためのねじまたはボルトを設置するために、ハウジング部品内の穴またはねじ山を互いに位置合わせしてねじまたはボルトの適切な挿入を確実とするための事前の位置合わせが必要とされる。事前の位置合わせは、典型的には、ハウジング部品内の穴またはねじ山の一時的な位置合わせを実現するセンタリング・パッドまたは任意の案内手段の使用を通じて達成される。前述のセンタリング・パッドまたは案内手段によって追加される複雑さ以外に、ハウジング部品に関連する既存の製造幾何公差により、ハウジング部品間に必要とされる最小限の事前位置合わせが達成されなくなる。それにより、ねじまたはボルトをハウジング部品内の穴またはねじ山に適切に挿入することができなくなる。
【0006】
ハウジング部品を射出成形することは、ハウジング部品の幾何形状における製造公差を示す。これを克服するために、事前位置合わせパッドまたはセンタリング・パッドが形成されて、一方のハウジング部品に形成された対応する凹部内に挿入されるように、他方のハウジング部品から突出する。このこともまた、複雑さを強め、したがって費用を増大させる。これは望ましくない。
【0007】
例えばKR20160046256で開示されているようなカメラ・モジュールのハウジングを完全にカバーすることができる保護テープなどの、ねじおよび溶接以外の他の解決策が提案されてきた。そのような保護テープは、ハウジング組立体の一側面に付着される、接着剤付きのフィルム部材を備える。この文献は、自動車カメラ・ハウジング組立体におけるハウジング部品の取付け、封止、および位置合わせを論じていない。
【0008】
したがって、自動車カメラ・ハウジング組立体の取付け、封止、および位置合わせは、今までに知られている解決策では適切に達成されない。
【0009】
したがって、本開示の目的は、そのハウジング部品が効率的に組み立てられると同時に適切に封止されかつ互いに位置合わせされ得る、軽量、単純、かつ費用効率が高い自動車カメラ・ハウジング組立体を提供することである。
【0010】
本開示のさらなる目的は、密封性が改善された自動車カメラ・ハウジング組立体を提供することである。本開示のなおもさらなる目的は、車両カメラ・ハウジング組立体を作るための方法である。
【発明の概要】
【0011】
(概要)
本開示の第1の態様によれば、例えばパーキング・カメラおよび他の電子部品を受容するためのハウジング組立体である、自動車カメラ・ハウジング組立体が提供される。当然ながら、本開示が適用され得る他のタイプのカメラは除外されない。
【0012】
本自動車カメラ・ハウジング組立体は、第1および第2のハウジング部品と、内側区間を画定するように第1および第2のハウジング部品を相互に接合するための接合手段とを備える。そのような内側空間は、典型的には、電子部品、光学部品、および他の構成要素をその中に保持するのに適している。
【0013】
接合手段は、例えばテープなどのシート材料を含む。自動車分野に適用される目的のために、前述のシート材料は、-40℃から150℃の間程度の温度範囲さらにはそれより高い温度に耐えることができまたその接着性が動作範囲内の温度条件によって変化しない耐熱性材料で作られることが、好ましい。一般に、シート材料は、化学薬品、生理食塩水ミスト、等のような外部物質の攻撃に対して耐性があることが好ましい。
【0014】
第1のハウジング部品、第2のハウジング部品、およびシート材料のうちの少なくとも1つが放熱材料(heat dissipating material)から作られることが、好ましいとされ得る。シート材料が第1および第2のハウジング部品のうちの少なくとも一方と同じ材料から作られることも、好ましいとされ、また、シート材料が第1のハウジング部品および第2のハウジング部品の両方と同じ材料から作られることが、最も好ましいとされ得る。結果として、それぞれの熱膨張係数は、ハウジング組立体が温度変化の下で塊として振る舞うように、全て類似する。
【0015】
一般に、引張り伸びを回避するのに適した材料からシート材料が作られることが、好ましい。耐摩耗性材料からシート材料が作られることもまた、好ましい。シート材料が作られ得る第1の材料は、例えば3Mから市販されているPaint Protection Film8592テープなどの、好ましくはポリウレタンを含むプラスチックである。シート材料が作られ得る材料の別の例は、例えばアルミニウムといった金属などの導体材料である。一般に、ファラデー・ケージの構築の改善に貢献する電磁両立性(EMC、Electromagnetic Compliance)を有する材料が好ましい。なおも一部の用途では、シート材料は、良好な表面順応性を有するように、展性のある材料から作られることが好ましいとされ得る。流密かつ塵密の材料(fluid and dust tight material)からシート材料が作られることも、好ましい。流密かつ塵密のシート材料の使用は、ハウジング組立体を確実に封止する目的に最も好ましい。それがアルミニウムから作られるかプラスチックから作られるかにかかわらず、または、機械加工によって製造されるか射出成形によって製造されるかにかかわらず、溶接材料を送達することを伴ってまたは伴わずに、流密かつ塵密の自動車カメラ・ハウジング組立体が有利に得られる。
【0016】
シート材料は、ハウジング組立体の長手軸の周りで巻付け方向に従って第1および第2のハウジング部品上に1周よりも多く巻き付けられる。本明細書において、ハウジング組立体の長手軸は、第1および第2のハウジング部品の長さに沿って延在する線として定義され得る。また、本明細書において、ハウジング組立体の長手軸は、第1および第2のハウジング部品の断面の中心を通過する線として定義され得る。
【0017】
より詳細には、シート材料は、支持層および少なくとも1つの接着剤層を有する。必要とされるならば、例えば対向する2つの接着剤層が設けられ、それらの間に支持層が配置されてもよい。接着剤層は、例えば、硬化性接着物質を含み得る。第1および第2のハウジング部品のそれぞれの外側表面に接着されてそれらを相互にしっかりと接合するのに適しているのであれば、他の適切な接着物質も使用可能である。
【0018】
全てのタイプのシート材料が本自動車カメラ・ハウジング組立体の目的に適しているとは限らないことが分かっている。具体的には、本自動車カメラ・ハウジング組立体の目的に適したシート材料は、第1および第2のハウジング部品上に巻き付けられたときのシート材料の2つの対向する縁部によって画定される重なり部分の近傍に形成される隙間を少なくとも部分的に埋めるものである。結果として、第1および第2のハウジング部品は、相互に封止可能に取り付けられる。そのような隙間は、シート材料が第1および第2のハウジング部品上に巻き付けられるときに形成され、シート材料が1回巻き付けられてからシート材料の2回目の巻きが始まり、そしてシート材料の新たな巻きがシート材料の前の巻きに重なることにより、第1および第2のハウジング部品の境界面によって画定された接続線に沿って、つまりそれらの間に画定された境界面において、シート材料の巻きと巻きとの間のチャネル形状の隙間が形成される。前述の隙間は、前述の接続線に対して少なくとも実質的に垂直であり、かつ、第1および第2のハウジング部品上に巻き付けられたときのシート材料により少なくとも部分的に埋められるかまたは塞がれる。そうではなく、シート材料を作る材料が、アルミニウム、または銅の展性以上の高い展性を有する任意の金属などの金属である場合、第1および第2のハウジング部品上のシート材料の巻きが、ハウジング部品上のシート材料の前の巻きの形状に適切になじむ。
【0019】
接着剤層で隙間を埋めることは、接続線と隙間との間での流体連通が阻止されることを有利にもたらす。したがって、カメラ組立体の外部とカメラ組立体の内部との間での流体連通が、有利に阻止される。
【0020】
シート材料は、接触圧力がハウジング組立体の長手軸に垂直に及ぼされるように、第1および第2のハウジング部品の周りに巻き付けられることが好ましい。したがって、第1および第2のハウジング部品上へのシート材料の巻付けは、カメラ・ハウジング組立体の内部に向けられる、第1および第2のハウジング部品の外側表面に実質的に垂直な前述の接触圧力により、第1および第2のハウジング部品の相互の位置合わせをもたらす。
【0021】
第1および第2のハウジング部品上に巻き付けられたときのシート材料によって及ぼされる圧力に関して、圧力値が5Nよりも低い場合、ハウジング部品の外側表面上での接触がハウジング部品の流密な取付けを確実とするのに十分ではない可能性があることが分かっている。また、圧力値が8Nを超える場合、シート材料がハウジング部品の外側表面から離れて、シート材料が適切に巻き付けられ得ないことが分かっている。したがって、第1および第2のハウジング部品上に巻き付けられたときのシート材料によって及ぼされる圧力に好ましい値は、例えば、5.2から7.4Nなどの、5から8Nまでの範囲に及び得る。他の値も使用され得る。
【0022】
実際には、上述のハウジング組立体の長手軸は、例えばパーキング・カメラなどのハウジング部品内に受容される電子部品の光学軸に一致するかまたは少なくとも平行であり得る。
【0023】
シート材料が、使用時にシート材料の幅寸法の第1の部分が第1のハウジング部品に付着されシート材料の幅寸法の第2の部分が第2のハウジング部品に付着されるような幅寸法を有して、第1および第2のハウジング部品が相互にしっかりと取り付けられることもまた、好ましい。前述の幅寸法の第1および第2の部分は、少なくとも実質的に等しいことが好ましい。
【0024】
第1および第2のハウジング部品上でのシート材料の巻付けにより、第1のハウジング部品の断面領域が第2のハウジング部品の断面領域と少なくとも部分的に一致するように、つまり、第1および第2のハウジング部品が適切に「回転的に位置合わせされる」ように、第1および第2のハウジング部品を相互に接合させることができる。本明細書において、回転的な位置のずれとは、一方のハウジング部品が例えばその長手軸の周りで他方のハウジング部品に対して少なくともわずかに回転されていることを意味する。この場合、シート材料がハウジング部品の周りに巻き付けられる巻付け方向は、ハウジング部品のそれぞれの断面領域が互いに少なくとも実質的に一致するようにハウジング部品が回転される最短の向きに相当する。前述の巻付け方向はまた、第1および第2のハウジング部品が互いに回転されて回転的に位置合わせされることになる最小角度を伴う方向として定義され得る。したがって、前述の巻付け方向に従ったハウジング部品の周りでのシート材料の巻付けにより、第1および第2のハウジング部品が適切に回転的に位置合わせされることになる。
【0025】
実際には、シート材料をハウジング部品の周りでハウジング部品の外側表面上に貼り付けるために、第1および第2のハウジング部品のうちの一方を固定しながら第1および第2のハウジング部品のうちのもう一方を回転させて、シート材料が第1および第2のハウジング部品上に巻き付けられているときに存在する角度オフセットを補償する。したがって、巻付け方向は第1および第2のハウジング部品のうちのどちらが固定または回転されるのかに応じて異なり得ることに、留意されたい。いずれにせよ、上述のように、巻付け方向は、第1および第2のハウジング部品が互いに回転されて回転的に位置合わせされることになる最小角度を伴う方向である。シート材料は、第1のハウジング部品の縁部と第2のハウジング部品の隣接する縁部との間に位置する領域において巻き付け始められることが好ましい。このようにして、シート材料は、固定されていないハウジング部品、つまり回転されるハウジング部品と可能な限り早く接触する。
【0026】
また、第1および第2のハウジング部品上でのシート材料の巻付けは、第1および第2のハウジング部品のそれぞれの第1および第2の長手軸が前述の長手軸に沿って互いに位置合わせされるように、つまり、それらが適切に「直線的に位置合わせされる」ように、第1および第2のハウジング部品を位置決めさせることができる。本明細書において、直線的な位置のずれとは、一方のハウジング部品が、他方のハウジング部品に対して、その境界面または接触面に相当する平面において例えば上へ、下へ、右へ、左へ、等と水平方向および/または垂直方向に直線的に変位することを意味する。
【0027】
シート材料の接着剤層の厚さのシート材料の支持層の厚さに対する比は、0.25以上であることが好ましい。例えば、支持層は、0.2mmの厚さであってもよく、一方で、接着剤層は、0.05mmの厚さであってもよい。シート材料がアルミニウムで作られる場合、隙間は、ハウジング部品に巻き付けられたときのシート材料に印加される圧力に応じて縮小される。したがって、上述の接着剤層の厚さ/支持層の厚さの比は小さくされ、したがって、プラスチック材料で作られたときのシート材料の0.25よりも大きくより好ましくは0.65よりも大きい接着剤層の厚さ/支持層の厚さの比よりも低くなる。例えば、特にプラスチックで作られたシート材料の場合、支持層は、0.2mmの厚さであってもよく、接着剤層は、0.13mmの厚さであってもよい。そのような厚さの比がハウジング組立体の適当な封止を適切に確実とすることが分かっている。
【0028】
1つの例では、支持層は、プラスチックで作られる。他の例では、支持層は、アルミニウムなどの金属で作られる。一般に、支持層を作る材料は、上述の隙間を少なくとも部分的に閉鎖するための展性を有することが好ましい。
【0029】
プラスチックで作られたシート材料は、通常、優れた柔軟性を有するが展性は低く、一方で、アルミニウムまたは銅などの金属で作られたシート材料は、通常、より低い柔軟性を有するが、展性はより優れている。優れた柔軟性は、比較的小さな力を加えることによりシート材料の長さを延長させるようにシート材料を引き伸ばすことができ、それにより強い接触圧力が提供されるので、有利である。シート材料が引き伸ばされるほど、隙間はより大きくなる。プラスチック製シート材料は、良好な接触圧力を提供するための良い選択肢であり、一方で、金属製シート材料は、良好な隙間埋めを実現するための良い選択肢である。いかなる場合でも、第1および第2のハウジング部品上に巻き付けられたときのシート材料の前述の重なり部分にあるシート材料の少なくとも1つの端部が、漸減する厚さを有することが、有利であり得る。
【0030】
本開示の第2の態様によれば、車両カメラ・ハウジング組立体を作るための方法も提供される。方法は、少なくとも1つの第1のハウジング部品および第2のハウジング部品を用意するステップと、前述の第1および第2のハウジング部品を相互に接近させるステップとを含む。方法は、巻付け方向に従って第1および第2のハウジング部品のそれぞれの外側表面上に1周よりも多くシート材料を巻き付けて、電子部品を内部に保持するのに適した内側空間を画定するように第1および第2のハウジング部品を相互に恒久的に接合するステップを、さらに含む。
【0031】
上述のように、巻付け方向に従って第1および第2のハウジング部品の外側表面上にシート材料を巻き付けることは、シート材料の2つの対向する縁部によって画定される重なり部分の近傍に隙間を作り出し、この隙間は、シート材料によって少なくとも部分的に埋められる。結果として、第1および第2のハウジング部品は、相互に封止可能に接合される。
【0032】
展性のある材料で作られた支持層をシート材料が有する場合、方法は、シート材料が第1および第2のハウジング部品のそれぞれの外側表面にしっかりとなじむように支持層に圧力を印加するステップをさらに含み得る。
【0033】
必要に応じて、シート材料を硬化させるために、熱を加えるステップが行われ得る。これは、接着剤シート材料が第1および第2のハウジング部品の少なくとも一方の外側部分の周りに巻き付けられた後で行われ得る。
【0034】
第1および第2のハウジング部品を相互に接近させるステップは、シート材料の幅に実質的に相当するかまたはそれよりも短い場合がある間隙をそれらの間に画定することを伴い得る。
【0035】
本ハウジング組立体における接合手段の性質は、そのハウジング部品の効率的な取付けを可能にして、たとえハウジング部品が互いに対して段のある外側表面を有していても、つまり、第1のハウジング部品の外側表面から第1のハウジング部品の長手軸までの距離が第2のハウジング部品の外側表面から第2のハウジング部品の長手軸までの距離とは異なる場合でも、ハウジング部品間の直線的および回転的な位置のずれを、効率的に補正および防止する。そのような距離の違いは、例えば0.1mmから3mmの間などの0mmから10mmの間に及び得る。
【0036】
シート材料は、第1および第2のハウジング部品の周りに巻き付けられて、それらを完全にカプセル化し、すなわち、それらを完全に取り囲み、その結果として、流体および他の外部粒子がハウジング組立体の内部に入ってその中の電子部品と接触することが防がれるように、封止が確実とされる。
【0037】
位置合わせは、ハウジング組立体内の光学部品の適切な動作、および、自動車の内側空間内でのハウジング組立体の適切な取付けを確実とし、つまり、車両への良好な組込みが達成される。ゴム・パッキンなどの追加の封止要素、および、ねじまたは溶接などの取付け手段は、もはや必要とされない。事前位置合わせ手段または事前固定手段として働くセンタリング・パッドは、もはや必要ない。全体的なサイズおよび費用が削減され、また、製造公差に起因するハウジング部品間の相対運動が有利に抑制される。
【0038】
しかし、本自動車カメラ・ハウジング組立体における接合手段は、ハウジング部品を互いに適切に回転的にかつ直線的に位置合わせさせ、第1および第2のハウジング部品は、完全に組み立てられる前に、互いに事前位置合わせすることができる、つまり、第1および第2のハウジング部品のそれぞれの長手軸が、互いに少なくとも実質的に位置合わせされる。上述のように、本明細書において、長手軸は、第1および第2のハウジング部品の長さに沿って延在する線として、かつ/または、第1および第2のハウジング部品の断面の中心を通過する線として、画定され得る。場合により、長手軸は、第1および第2のハウジング部品の接触面、つまり接続線を含む平面に垂直に延在しかつ第1および第2のハウジング部品の幾何学的中心を通過する線によって、画定され得る。
【0039】
ハウジング部品の取付け、封止、および位置合わせが、効率的かつ確実に達成される。したがって、そのような位置合わせ-ティーチング-封止機能(aligning-teaching-sealing function)を行う接合手段の使用は、自動車部品に取り付けられる場合の本カメラ・ハウジング組立体の目的に非常に有利である。
【0040】
第1および第2のハウジング部品のそれぞれの端部分に凹部が形成され得る。そのような凹部は、接着剤シート材料を受け入れるように構成される。凹部の深さは、接着剤シート材料の厚さに実質的に相当すること、また特に、要求に応じて、第1および/または第2のハウジング部品の外周の周りに数回巻き付けられる接着剤シート材料の厚さに実質的に相当することが、好ましい。前述の凹部により、いったん接着剤シート材料が凹部内に配置されると、接着剤シート材料は、ハウジング部品から突出しない。シート材料は、有利にはハウジング組立体にしっかりと貼り付けられ、また、たとえ高圧流体がハウジング組立体に作用しても、シート材料は取り除かれない。前述の凹部の存在により、シート材料は、いかなる場合でも必ず封止材料であることを必要とされない。
【0041】
シート材料は、例えば0.07~0.11mmの厚さとされ得る。一方で、シート材料は、例えば4~40mmの幅とされ得るが、場合により、シート材料は、4~12mmの幅であることが好ましいとされ得る。当然ながら、要求および/または用途に応じて、他のサイズも想定される。また、シート材料が、54N/cmが好ましいとされる、33.8または65N/cmなどの、25~75N/cmの引張り強さと、7%が好ましいとされる、5%などの、3~10%の破断点伸びと、1.55g/m2/24hが好ましいとされる、0.77g/m2/24hなどの、0.5~2g/m2/24hの蒸気移動係数(steam transfer coefficient)と、例えばアルミニウムの場合では2.4・10-5℃-1または銅の場合では1.7・10-5℃-1の、ハウジング部品の熱膨張係数の±15%の熱膨張係数と、を有することが、好ましいとされ得る。
【0042】
本ハウジング組立体の1つの可能な例では、シート材料は、第1のハウジング部品または第2のハウジング部品のうちの少なくとも一方と一体に作られ得る。この場合、シート材料は、ハウジング組立体の一体部分である。
【0043】
本自動車カメラ・ハウジング組立体によれば、費用効率が高くかつ確実なハウジング部品同士の接合が、有利に得られる。上記のようなシート材料に基づく接合手段は、ハウジング部品のすみやかな組立てを可能にする。接合手段は、ハウジング部品を完全に取り囲んでそれらを相互に恒久的に接合するように配置される。既知のハウジング組立体と比較すると、本ハウジング組立体を作るのに必要とされる材料はより少ないので、向上された放熱も得られる。このことはまた、ハウジングの肉厚が削減されることにより、重量の削減を伴う。その結果として、ハウジング内の利用可能な空間が、有利に増大される。したがって、組立ての時間および費用と同様に、全体的なカメラ・サイズも縮小され得る。
【図面の簡単な説明】
【0044】
(図面の簡単な説明)
以下、添付の図面を参照しながら本開示の非限定的な例について説明する。
【0045】
【
図1】ハウジング部品が回転的に正しく位置合わせされていない、従来技術の自動車カメラ・ハウジング組立体の1つの例を示す斜視図である。
【
図2】本車両カメラ・ハウジング組立体の1つの例の分解組立斜視図である。
【
図3】シート材料により第1および第2のハウジング部品が相互に取り付けられた、
図2における本自動車カメラ・ハウジング組立体の例の正面断面図である。
【
図4】
図2および3における自動車カメラ・ハウジング組立体の第1および第2のハウジング部品を取り付けるための接合手段の1つの例の斜視図である。
【
図5】
図5aは、接合手段の一部であるシート材料の断片的拡大図である。
図5bは、ハウジング部品の外側表面上に貼り付けられた金属製シート材料の断片的断面図である。
図5cは、ハウジング部品の外側表面上に貼り付けられたプラスチック金属製シート材料の断片的断面図である。
【
図6】シート材料のいくつかの寸法が示されている、シート材料により第1および第2のハウジング部品が相互に取り付けられた、本自動車カメラ・ハウジング組立体の概略立面図である。
【
図7】車体領域上に取り付けられた、
図6における自動車カメラ・ハウジング組立体の断面図である。
【
図8】シート材料によりその第1および第2のハウジング部品が相互に取り付けられた、本自動車カメラ・ハウジング組立体の概略立面図である。
【
図9】ハウジング部品が互いに取り付けられた、本車両カメラ・ハウジング組立体の斜視図である。
【
図10】第1および第2のハウジング部品の境界面に画定された接続線が示されている、
図9における車両カメラ・ハウジング組立体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
(実施例の詳細な説明)
図2~6に示された自動車カメラ・ハウジング組立体100の例は、第1のハウジング部品110および第2のハウジング部品120を備える。使用時には、
図3および
図6~10に示されるように、第1および第2のハウジング部品110、120は、
図4に詳細に示されている接合手段200を通じて相互に取り付けられる。その結果、PCBおよびパーキング・カメラ300等のような光学要素などの電子装置を保持するための内側空間130が、その中に画定される。
図7に示された例では、自動車カメラ・ハウジング組立体100は、車体領域400上に取り付けられる。
【0047】
図面のうちの
図4を再度参照すると、接合手段200は、シート材料210を含む。このシート材料210は、示された例ではプラスチック・テープであるが、アルミニウムなどの他の材料が使用されてもよい。プラスチック・テープ210は、
図3および4に示されるように、巻付け方向Dに沿って第1および第2のハウジング部品110、120の外側表面115、125の周りに1周よりも多く巻き付けられる。
【0048】
図5aに示されるように、プラスチック・テープ210は、1つの接着剤層216を担持する支持層215を有し、接着剤層216は、その接着性が使用中の温度または他の条件によって変化しない、硬化性接着物質を含む。接着剤層216は、第1および第2のハウジング部品110、120のそれぞれの外側表面115、125に接着されて、それらを相互に接合する。
【0049】
図3、4、5b、および5cを参照すると、プラスチック・テープ210が第1および第2のハウジング部品110、120上に巻き付けられたときにプラスチック・テープ210の2つの対向する縁部250、260によって画定される重なり部分240の近傍に、隙間230が形成される。隙間230は、プラスチック・テープ210が1回巻かれた後で2周目が始まって、プラスチック・テープ210の前の巻きに重なるプラスチック・テープ210の新たな巻きがなされたときに形成される。結果として、前述の隙間230は、図面のうちの
図1、8、および10に示された接続線150に沿ってプラスチック・テープ210の巻きと巻きとの間に形成される。接続線150は、前述の
図1、8、および10で分かるように、第1および第2のハウジング部品110、120の境界面に画定される。
【0050】
図5aは、金属などの延性材料から作られたシート材料、例えばアルミニウム・テープ210が使用される、さらなる例を示す。この特定の事例では、支持層215に圧力が加えられると、アルミニウム・テープ210は、第1および第2のハウジング部品110、120のそれぞれの外側表面115、125になじんで、アルミニウム・テープ210の延性により隙間230をなくす。
【0051】
それに代えて、プラスチック・テープ210が使用される上記の事例では、隙間230は、第1および第2のハウジング部品110、120に巻き付けられたときのプラスチック・テープ210によって埋められるかまたは塞がれる。これは、図面のうちの
図5bに概略的に示されている。
【0052】
いったんプラスチック・テープ210が第1および第2のハウジング部品110、120のそれぞれの外側表面115、125の周りに巻き付けられると、それらは互いに位置合わせされたままである。これは、プラスチック・テープ210によりハウジング部品110、120に加えられる接触圧力によるものであり、この接触圧力は、第1および第2のハウジング部品110、120のそれぞれの外側表面115、125に垂直な方向、つまりハウジング組立体100の長手軸xに垂直な方向に沿って、カメラ・ハウジング組立体100の内部130に向けられる。第1および第2のハウジング部品110、120に巻き付けられるときのプラスチック・テープ210に加えられる力は、例えば、2~9Nの力であり得る。示された例では、ハウジング組立体100の長手軸xは、例えばパーキング・カメラ300などのハウジング部品110、120内に受け入れられる電子部品の光学軸と一致し、この光学軸は、第1および第2のハウジング部品110、120のそれぞれの長手軸x1、x2に対応する。
【0053】
使用時には、
図3および
図6~10に示されるように自動車カメラ・ハウジング組立体100が組み立てられた状態にあると、第1のハウジング部品110および第2のハウジング部品120は、面一に配置されて、互いに当接する。
【0054】
図面のうちの
図6を参照すると、プラスチック・テープ210は、幅寸法W
sを有する。使用時には、プラスチック・テープ210の幅寸法W
sの第1の部分W
s1が、第1のハウジング部品110に付着され、プラスチック・テープ210の幅寸法W
sの第2の部分W
s2が、第2のハウジング部品120に付着される。第1および第2のハウジング部品110、120が相互にしっかりと取り付けられるときに、プラスチック・テープ210の幅寸法W
sの第1および第2の部分W
s1、W
s2は、少なくとも実質的に等しい。
【0055】
第1および第2のハウジング部品110、120のそれぞれの外側表面115、125の周りに巻き付けられるプラスチック・テープ210の1つの重要な作用は、
図3に示されるように、第1のハウジング部品110の断面領域が第2のハウジング部品120の断面領域と一致すること(回転的な位置合わせ)である。これは、
図1に示されるような従来技術のハウジング組立体100における回転的な位置のずれを許容する。
【0056】
図3および4に示されるように、プラスチック・テープ210がハウジング部品110、120の周りに巻き付けられる巻付け方向Dは、ここでは、ハウジング部品110、120のそれぞれの断面領域が少なくとも実質的に互いに一致するようにそれらが互いに回転されるときの最短の向きに対応する。言い換えれば、巻付け方向Dは、第1および第2のハウジング部品110、120が長手軸xの周りで互いに回転されて回転的に位置合わせされるときの最小限の角度を伴う方向である。これは、プラスチック・テープ210が第1および第2のハウジング部品110、120に巻き付けられるときに既存の角度オフセットを補償するために、第2のハウジング部品120を固定しながら第1のハウジング部品110を回転させることによって行われる。巻付け方向Dは、第1のハウジング部品110が固定されていて第2のハウジング部品120が第1のハウジング部品110に対して回転される場合には、異なり得る。
【0057】
それぞれの外側表面115、125の周りに巻き付けられるプラスチック・テープ210のさらなる重要な作用は、
図6~10に示されるように、第1および第2のハウジング部品110、120のそれぞれの第1および第2の長手軸x
1、x
2がハウジング組立体100の長手軸xに沿って互いに位置合わせされるように、第1および第2のハウジング部品110、120が位置決めされ得ること(直線的な位置合わせ)である。第1および第2のハウジング部品110、120の周りでのプラスチック・テープ210の巻付けは、第1および第2のハウジング部品110、120の境界面または接触面に相当する平面における、例えば上への、下への、右への、左への、等の、水平方向および/または垂直方向の変位をなくす。
【0058】
プラスチック・テープ210は、好ましくは第1のハウジング部品110の縁部と第2のハウジング部品120の隣接する縁部との間の領域において巻付けを開始され、その結果、プラスチック・テープ210は、固定されていないハウジング部品、つまり回転されるハウジング部品に可能な限り早く接触する。
【0059】
本明細書において説明される例では、支持層215は、0.2mmの厚さであり、接着剤層216は、0.13mmの厚さである。したがって、接着剤層の厚さTaの支持層の厚さTsに対する比は、0.65以上である。そのような厚さの比は、ハウジング組立体100の適当な封止を適切に確実とすることが分かった。プラスチック・テープ210は、示された例では4~12mmの幅であり、かつ、54N/cmの引張り強さ、1.55g/m2/24hの蒸気移動係数、および、ハウジング部品の熱膨張係数(それがアルミニウムで作られているときは2.4・10-5℃-1、または、それが銅で作られているときは1.7・10-5℃-1)の±15%の熱膨張係数を有する。プラスチック・テープ210の粘着力(すなわち、鋼への粘着力)は、10N/cmよりも大きい。具体的には、第1および第2のハウジング部品110、120上でのプラスチック・テープ210の粘着力は、40N/cmよりも大きく、より好ましくは56N/cm以上である。
【0060】
車両カメラ・ハウジング組立体100を作るための方法も提供される。方法は、少なくとも1つの第1のハウジング部品110、および第2のハウジング部品120を用意するステップと、それらを互いに接近させるステップとを含む。次いで、パーキング・カメラ300およびそれぞれの電子部品が、第1および第2のハウジング部品110、120内に画定された内側空間130内に納められる。次いで、シート材料210が、前述の内側空間130を画定するように、巻付け方向Dに従って第1および第2のハウジング部品110、120のそれぞれの外側表面115、125上に1周よりも多く巻き付けられて、第1および第2のハウジング部品110、120を相互に恒久的に接合する。
【0061】
上述の巻付け方向Dに従って第1および第2のハウジング部品110、120の外側表面115、125上にシート材料210を巻き付けることにより、シート材料210の2つの対向する縁部250、260によって画定される重なり部分240の近傍に形成される上述の隙間230が埋められる。結果として、第1および第2のハウジング部品110、120は、相互に封止可能に接合される。
【0062】
アルミニウムなどの展性のある材料で作られた支持層215をシート材料210が有する場合、第1および第2のハウジング部品110、120のそれぞれの外側表面115、125にシート材料210がしっかりとなじむように、支持層215に圧力が加えられる。
【0063】
必要とされるならば、シート材料210内の接着剤層216を硬化させるために、熱が加えられ得る。これは、シート材料210が第1および第2のハウジング部品110、120の周りに巻き付けられた後で行われ得る。また、例えばイソプロピル・アルコール(IPA)と水との50:50の混合物を使用することにより、清浄作業が行われてもよい。
【0064】
いくつかの例のみが本明細書において開示されたが、他の代案、修正、使用法、および/またはその均等物が想定される。さらに、説明された例のあらゆる可能な組合わせもまた、カバーされる。例えば、たとえ粘着性シーリング・テープが単一の連続的なシート材料として前後のハウジングに貼り付けられることが上記の説明から理解されるとしても、例えばハウジング部品の周りに巻き付けられてハウジング部品を相互に恒久的に接合する粘着性シーリング・テープの単一の長さまたはセグメントのような、他の様々なテープの構成が適用され得る。したがって、本開示の範囲は、上記の特定の例によって限定されるのではなく、以下の特許請求の範囲を正しく読むことによってのみ定められるべきである。
【0065】
特許請求の範囲において括弧内に記載された図面に関連する参照記号は、単にそれらの明瞭さを強めようとしているだけであり、特許請求の範囲に記載の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。