(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】麺皮食品の皮に適用されるための組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 7/109 20160101AFI20240806BHJP
A23L 29/25 20160101ALI20240806BHJP
A23L 29/238 20160101ALI20240806BHJP
A23L 35/00 20160101ALN20240806BHJP
【FI】
A23L7/109 A
A23L7/109 D
A23L29/25
A23L29/238
A23L35/00
(21)【出願番号】P 2020002221
(22)【出願日】2020-01-09
【審査請求日】2022-12-28
(31)【優先権主張番号】P 2019008752
(32)【優先日】2019-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000175283
【氏名又は名称】三栄源エフ・エフ・アイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 允
【審査官】田名部 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-136638(JP,A)
【文献】特開2015-043709(JP,A)
【文献】特開2008-182930(JP,A)
【文献】特開2008-283888(JP,A)
【文献】特開2014-226067(JP,A)
【文献】特開2014-226066(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アラビアガム、ガティガム及び大豆多糖類からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、
加熱調理前の麺皮食品の皮に適用される打ち粉、バッター及びまぶし粉からなる群より選択される少なくとも1種に用いられるための組成物。
【請求項2】
前記麺皮食品が、冷凍、冷蔵、チルド、又は、常温温度帯で保存、流通、及び/又は販売される麺皮食品である、請求項
1に記載の組成物。
【請求項3】
麺皮食品の品質低下を抑制するための、請求項
1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記麺皮食品の品質低下が、前記麺皮食品同士の結着、前記麺皮食品と調理器具との結着、該結着に起因する前記皮の破れ、又は、前記麺皮食品の経時的硬化である、請求項
3に記載の組成物。
【請求項5】
前記アラビアガムの含有量が、組成物全量に対して、0.001質量%以上である、請求項1~
4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記ガティガムの含有量が、組成物全量に対して、0.001質量%以上である、請求項1~
5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記大豆多糖類の含有量が、組成物全量に対して、0.001質量%以上である、請求項1~
6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
アラビアガム、ガティガム及び大豆多糖類からなる群より選択される少なくとも1種を、
加熱調理前の麺皮食品の皮に適用する工程を含む、麺皮食品の品質低下抑制方法。
【請求項9】
アラビアガム、ガティガム及び大豆多糖類からなる群より選択される少なくとも1種を、
加熱調理前の麺皮食品の皮に適用する工程を含む、品質低下が抑制された麺皮食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、麺皮食品の皮に適用されるための組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
麺皮食品は、野菜類、畜肉類、魚介類等の具材を麺皮(以下、「皮」とも言う)で包んだ食品である。麺皮は、小麦粉等の穀粉類と、水等を原料として混捏して得られた生地を適宜圧延やくり抜き等の処理を行ったものである。麺皮食品は、餃子、(生)春巻き、ワンタン、シュウマイ、ラビオリ等の各国の料理でみられ、世界中で食されている食品形態である。
【0003】
このような麺皮食品は、多種の冷凍食品、チルド食品、冷蔵食品、常温食品が市場で流通している。外食業界においても、麺皮食品が多くの店舗から提供されている。この場合、各店舗において、上記の具材を用意し、麺皮に包んで調理することもあれば、冷凍、チルド、又は冷蔵、常温の状態で麺皮食品を入手して、店舗において解凍及び/又は加熱等の調理のみを行う場合もある。また、近年、小売された調理済食品を自宅で食べる中食という食事形態がよく見られ、多くの麺皮食品が消費者に利用されている。
【0004】
麺皮食品における麺皮は、生の状態で提供されることでモチモチとした食感を与えることができ、加熱調理に供されることで、パリッとした食感等を与えることができるため、麺皮食品の味わいに重要な役割を担っている。特許文献1においては、麺皮の食感を改良すること等を目的として、柑橘類由来及び/又は大豆由来の食物繊維を麺皮の原料粉に配合する技術が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、麺皮食品における、生の状態の麺皮や、加熱前後の麺皮は結着しやすく、個々の麺皮食品同士や、麺皮食品と調理器具とが接触した状態で調理を行うと、引き離す際に麺皮が破れやすいという問題点がある。麺皮が破れると、具材に含まれる野菜や肉類から出た旨み成分が流出したり、水分が流出したりすることで、調理後の麺皮食品の風味を著しく損なうこととなる。
また、生の状態の麺皮は経時的に食感が硬くなるため、調理前後の麺皮食品の味わいを損なわせてしまう。
この麺皮の結着現象や、経時的な硬化現象に対して、効果的な成分の開発は十分になされていない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、麺皮食品の皮に適用されるための組成物に、アラビアガム、ガティガム及び大豆多糖類からなる群より選択される少なくとも1種を含有させることにより、生の状態や、加熱調理された麺皮食品の品質低下を抑制することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、下記に掲げる麺皮食品の皮に適用されるための組成物を提供する。
[1]
アラビアガム、ガティガム及び大豆多糖類からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、麺皮食品の皮に適用されるための組成物。
【0009】
[2]
調理時の水若しくは食用油と共に用いられる、又は、前記麺皮食品の皮に適用される打ち粉、バッター及びまぶし粉からなる群より選択される少なくとも1種に用いられるための、[1]に記載の組成物。
【0010】
[3]
前記麺皮食品が、冷凍、冷蔵、チルド、又は、常温温度帯で保存、流通、及び/又は販売される麺皮食品である、[1]又は[2]に記載の組成物。
【0011】
[4]
麺皮食品の品質低下を抑制するための、[1]~[3]のいずれかに記載の組成物。
【0012】
[5]
前記麺皮食品の品質低下が、前記麺皮食品同士の結着、前記麺皮食品と調理器具との結着、該結着に起因する前記皮の破れ、又は、前記麺皮食品の経時的硬化である、[4]に記載の組成物。
【0013】
[6]
前記アラビアガムの含有量が、組成物全量に対して、0.001質量%以上である、[1]~[5]のいずれかに記載の組成物。
【0014】
[7]
前記ガティガムの含有量が、組成物全量に対して、0.001質量%以上である、[1]~[6]のいずれかに記載の組成物。
【0015】
[8]
前記大豆多糖類の含有量が、組成物全量に対して、0.001質量%以上である、[1]~[7]のいずれかに記載の組成物。
【0016】
また、本発明は、下記に掲げる麺皮食品の品質低下抑制方法を提供する。
[9]
アラビアガム、ガティガム及び大豆多糖類からなる群より選択される少なくとも1種を、麺皮食品の皮に適用する工程を含む、麺皮食品の品質低下抑制方法。
【0017】
また、本発明は、下記に掲げる品質低下が抑制された麺皮食品の製造方法を提供する。
[10]
アラビアガム、ガティガム及び大豆多糖類からなる群より選択される少なくとも1種を、麺皮食品の皮に適用する工程を含む、品質低下が抑制された麺皮食品の製造方法。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、麺皮食品における加熱前(生の状態)や加熱時の麺皮の結着を効果的に抑制する組成物及び方法を提供することが可能となる。麺皮の結着が抑制できると、例えば、麺皮食品の流通時に容器の仕切り等で個々の麺皮食品を分離することなく、互いが接した状態で流通させることができ、包装の小型化等に繋がり得る。また、例えば、個々の麺皮食品が接した状態で加熱調理に供することも可能であり、調理・生産効率の向上に繋がり得る。
また、本発明によれば、生の状態の麺皮食品の皮が、経時的に硬化することを抑制する組成物及び方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】試験例1における、麺皮食品(餃子)の加熱調理時の結着抑制試験の結果を示した写真像図である。
【
図2】試験例3における、麺皮食品(生春巻き)の加熱調理時の結着抑制試験の結果を示した写真像図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[麺皮食品の皮に適用されるための組成物]
本発明の麺皮食品の皮に適用されるための組成物は、アラビアガム、ガティガム及び大豆多糖類からなる群より選択される少なくとも1種を含有する。
【0021】
(アラビアガム)
本発明で用いるアラビアガムは、マメ科植物であるアカシア属の植物(例えば、アカシア・セネガル(Acacia senegal)やアカシア・セイアル(Acacia seyal)等)の樹液から得られる多糖類である。上記の新たな課題に対して検討した結果、驚くべきことに、アラビアガムが、麺皮に適用されることで麺皮食品の品質低下を効果的に抑制できることが見出された。
アラビアガムの分子構造は、完全に明らかにはされていないが、ガラクトース、アラビノース、ラムノース、及びグルクロン酸を構成糖とすることが知られている。
アラビアガムは商業的に入手することができ、かかる製品としては、例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製の「ガムアラビックSD」等が挙げられる。
【0022】
本発明ではまた、アラビアガムとして、前記アラビアガムを改質した、改質アラビアガムを用いることも可能である。
改質アラビアガムは、通常のアラビアガムと比較し、重量平均分子量やアラビノガラクタンタンパク質含量が高く、乳化性に優れたアラビアガムであり、重量平均分子量が150万以上であるか、又はアラビノガラクタン蛋白量含量が17重量%以上であるアラビアガムである。アラビアガムの重量平均分子量及びアラビノガラクタンタンパク質含量は、MALLS(多角度光散乱光度計)、RI(屈折率)を検出器としてオンラインで接続したゲル濾過クロマトグラフィー法(GPC-MALLS)により求めることができる。
【0023】
改質の方法としては、例えば、90~180℃で15分~72時間加熱処理する方法や、アラビアガムから金属塩を除去又は低減する方法等が挙げられる。アラビアガムから金属塩を除去又は低減する方法としては、例えば、有機溶媒中でのイオン交換処理、電気透析膜、又はイオン交換樹脂等による脱塩処理が例示できる。これら改質アラビアガムは、上記規定を満たすものが得られる製造方法であれば特に限定されないが、例えば、特表2006-522202号公報に記載された方法、即ちアラビアガムを110℃以上で10時間以上加熱することにより得ることができる。このような改質アラビアガムは商業的に入手することができ、かかる製品としては、例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の「SUPER GUM(商標)」等が挙げられる。
【0024】
本発明の組成物におけるアラビアガムの含有量は、他の成分の含有量、製剤の形態、食材の種類等により適宜変更され、限定はされない。
【0025】
(ガティガム)
ガティガムは、シクンシ科ガティノキ(Anogeissus Latifolia)の樹液(分泌液)に由来する多糖類であり、通常、室温、又はそれ以上の温度条件下で、30質量%程度まで水に溶解する水溶性多糖類である。ガティガムは、増粘安定剤(食品添加物)として公知の多糖類である。本発明で使用するガティガムは商業的に入手可能であり、例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の「ガティガムRD」を挙げることができる。
【0026】
ガティガムとしては、限定はされないが、低分子化されたガティガム(低分子ガティガム)であってもよい。低分子ガティガムの重量平均分子量は、限定はされないが、例えば、0.020×106~1.10×106とすることができ、好ましくは0.020×106~0.90×106であり、より好ましくは0.020×106~0.60×106であり、更に好ましくは0.025×106~0.50×106であり、より更に好ましくは0.030×106~0.40×106であり、特に好ましくは0.030×106~0.35×106であり、更に特に好ましくは0.040×106~0.35×106である。
【0027】
ガティガムの分子量、及びその分布は、以下の方法で測定される。
[分子量、及び分子量分布の測定方法]
分子量、及び分子量分布は、以下の条件のGPC分析で測定される。
検出器: RI
移動相: 100mM K2SO4
流量: 1.0ml/min
温度: 40℃
カラム: TSKgel GMPWXL 30cm (ガードPWXL)
インジェクション: 100μl
プルランスタンダード: Shodex STANDARD P-82
【0028】
低分子ガティガムの製造方法
本発明の低分子ガティガムは、例えば、以下に説明する製造方法、又はこれに類似する方法により製造できる。本発明の低分子ガティガムの製造方法は、原料であるガティガムを低分子化処理する工程を含む。原料であるガティガムとしては、商業的に入手可能なガティガムを使用できる。
市場で流通しているガティガムの重量平均分子量は、通常、1.1×106~2×106の範囲内である。原料であるガティガムとしては、目的とする分子量のガティガムが製造可能であれば特に制限されず、その一部に低分子量のガティガムを元々含有していてもよい。
当該製造方法における低分子化処理の方法は、特に限定されないが、その好適な例は、加熱分解処理、酸分解処理、及び酵素分解処理からなる群より選択される1種以上の処理方法等の、水の存在下での低分子化処理方法を包含する。
【0029】
前記加熱分解処理は、所望する重量平均分子量を有するガティガムが得られる条件を技術常識に基づいて適宜選択して、実施すればよい。
通常、処理温度が高いほど、より重量平均分子量が小さいガティガムが得られる。
当該加熱分解処理の処理温度は、具体的には、例えば、60~200℃の範囲内、及び好ましくは80~200℃の範囲内であることができる。
通常、処理時間が長いほど、より重量平均分子量が小さいガティガムが得られる。
当該加熱分解処理の処理時間は、具体的には、例えば、30秒~8時間の範囲内であることができる。なお、当該時間は、加熱分解処理の処理温度に応じて適宜選択することができる。例えば、処理温度が高い場合は、処理時間を短くするなど適宜選択できる。
加熱分解処理は、例えば、pH5以下のpH条件で、好適に実施できる。
【0030】
前記酸分解処理に用いられる酸の例は、クエン酸(これは、無水クエン酸を包含する。)、リン酸、フィチン酸、リンゴ酸、酒石酸、塩酸、酢酸、乳酸、及びアスコルビン酸を包含する。
当該酸は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
通常、処理温度が高いほど、より重量平均分子量が小さいガティガムが得られる。
当該酸分解処理の処理温度は、例えば、60~200℃の範囲内であることができる。
通常、処理時間が長いほど、より重量平均分子量が小さいガティガムが得られる。
当該酸分解処理の処理時間は、例えば、30秒~8時間の範囲内であることができる。
酸分解処理は、例えば、pH4以下の条件で、好適に実施できる。
【0031】
前記酵素分解処理に用いられる酵素の例は、セルラーゼ;マンナナーゼ;ペクチナーゼ;スクラーゼ;ヘミセルラーゼ;セルロシンAC40、セルロシンHC100、セルロシンTP25、及びセルロシンGM5(エイチビィアイ株式会社製);スミチームPX、及びスミチームAG2-L(新日本化学工業株式会社製);マセロチームA(ヤクルト薬品工業株式会社製);並びにマセレイティングエンザイムY(ヤクルト薬品工業株式会社製)を包含する。
当該酵素は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
当該酵素処理の条件(例:温度、時間、pH、及び添加物)は、使用される酵素に応じて適宜選択することができる。
【0032】
本発明におけるガティガムの含有量は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、組成物の全量に対して、32質量%以下であり、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下であり、更に好ましくは15質量%以下であり、特に好ましくは10質量%以下であり、最も好ましくは8質量%以下である。また、ガティガムの含有量は、組成物の全量に対して、0.5質量%以上とすることができ、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは3質量%以上であり、更に好ましくは4質量%であり、より更に好ましくは5質量%以上であり、特に好ましくは6質量%以上である。ガティガムの含有量としては、例えば、組成物の全量に対して、0.5~32質量%、0.5~30質量%、0.5~20質量%、0.5~15質量%、0.5~10質量%、0.5~8質量%、1~32質量%、1~30質量%、1~20質量%、1~15質量%、1~10質量%、1~8質量%、3~32質量%、3~30質量%、3~20質量%、3~15質量%、3~10質量%、3~8質量%、4~32質量%、4~30質量%、4~20質量%、4~15質量%、4~10質量%、4~8質量%、5~32質量%、5~30質量%、5~20質量%、5~15質量%、5~10質量%、5~8質量%、6~32質量%、6~30質量%、6~20質量%、6~15質量%、6~10質量%、6~8質量%が挙げられる。
【0033】
(大豆多糖類)
本発明で用いられる大豆多糖類とは、大豆に由来する水溶性の多糖類であり、特に制限されるものではないが、別名大豆食物繊維又は水溶性大豆ヘミセルロース等と称されるものが包含される。当該大豆多糖類は、通常、大豆から分離大豆蛋白質を製造する過程で生成する不溶性食物繊維から、抽出・精製され、必要に応じて殺菌して調製することができる。大豆多糖類としては、水溶性大豆多糖類が好ましい。大豆多糖類は商業的に入手することができ、かかる製品としては、例えば不二製油株式会社の「ソヤファイブ-S」、又は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の水溶性大豆多糖類「SM700」、「SM900」、「SM1200」等が挙げられる。
【0034】
本発明の組成物における大豆多糖類の含有量は、他の成分の含有量、製剤の形態、食材の種類等により適宜変更され、限定はされない。
【0035】
本発明の組成物は、本発明の効果を奏する限り、デキストリン、デンプン、糖類等の賦形剤や無機塩、有機酸塩等の塩類、乳化剤等を含んでいてもよい。
【0036】
また、本発明の組成物は、本発明の効果を奏する限り、食品への使用が許可されている各種多糖類を配合することができる。例えば、キサンタンガム、ウェランガム、ガラクトマンナン(例えば、グァーガム、ローカストビーンガム、タラガム等)、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、カラギナン(例えば、カッパ型、イオタ型、ラムダ型等)、タマリンドシードガム、グルコマンナン、サイリウムシードガム、マクロホモプシスガム、寒天、ペクチン(例えば、HMペクチン、LMペクチン等)、アルギン酸、アルギン酸塩(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム等)、カードラン、トラガントガム、アラビノガラクタン、カラヤガム、ファーセレラン、キチン、セルロース類(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、発酵セルロース、結晶セルロース等)、デンプン類(例えば、デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルボキシメチルスターチ、ヒドロキシプロピルスターチ、α化デンプン、アセチル化アジピン酸架橋デンプン、リン酸架橋デンプン、オクテニルコハク酸デンプン、酢酸デンプン等)、デキストリン類(例えば、ポリデキストロース、難消化性デキストリン等)等が挙げられる。
【0037】
上記の各種多糖類の他、本発明の組成物は、本発明の効果を奏する限り、一般に、麺皮に使用される材料を適宜含んでいてもよい。そのような材料としては小麦粉、大麦粉、米粉等の穀粉;タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉等の澱粉;澱粉にα化、エーテル化、エステル化、アセチル化、架橋処理、酸化処理等の処理を施した加工澱粉;卵白、卵黄、カゼイン等の小麦たんぱく質以外のたんぱく質素材;食用油脂;糖類;色素;アラニン、グリシン、リジン等のアミノ酸;グルタミン酸ナトリウム、食塩等の調味料;香料;かんすい;アルコール製剤等が挙げられる。
【0038】
(対象となる麺皮食品)
本発明の組成物は、各種の麺皮に有効量適用させることにより、対象となる麺皮食品の品質低下を抑制し、風味や外観に優れた麺皮食品を提供することが可能となる。本明細書において、麺皮食品の品質低下は、風味や外観、食感を損なう変化であれば特に限定されない。麺皮食品の品質低下としては、例えば、麺皮食品同士の結着、麺皮食品と調理器具との結着、結着に起因する麺皮食品の皮の破れ、又は、麺皮食品の経時的硬化が挙げられる。
【0039】
本明細書において、麺皮とは、餃子、春巻き、生春巻き、焼売、包子、ワンタン、ラビオリ等に用いることができる皮をいう。麺皮には、通常、小麦粉等の原料粉が配合されるが、浮き粉(小麦デンプン)を主体とする皮(澄麺皮等)であってもよい。また、麺皮は、餃子、春巻き、生春巻き、焼売、包子、ワンタン、ラビオリ等の麺皮食品に適用される大きさにカットされた状態でもよく、工業的な製造段階や流通過程における麺帯の状態でもよい。
【0040】
麺皮における原料粉の組成や、主体となる原料の種類は、麺皮食品の種類等により適宜設定され特に限定はされない。典型的な一例として、小麦粉を主体とする原料粉の場合、原料粉の全量に対する小麦粉の含有量は、50質量%以上含有することが好ましく、55質量%以上含有することがさらに好ましく、80質量%含有することが特に好ましい。
【0041】
麺皮食品における吸水後の皮の厚さは、麺皮食品の種類等により適宜設定され限定はされないが、例えば、0.05~5mmとすることができ、好ましくは0.1~2mm、より好ましくは0.2~1mmである。
【0042】
本発明の組成物の、各種の麺皮食品への適用方法は、麺皮食品の種類や、流通方法、提供方法等により適宜設定され限定はされないが、麺皮食品に直接適用してもよく、調理時の水(蒸し水等)若しくは食用油と共に用いられてもよく、麺皮食品の皮に適用される打ち粉、バッター及びまぶし粉からなる群より選択される少なくとも1種に用いられてもよい。食用油としては、大豆油、綿実油、とうもろこし油等の一般的な食用油やその精製品及び加工品、更にグリセリン脂肪酸エステル等が利用でき、特に限定されない。
【0043】
本発明の組成物は、各種の麺皮に有効量適用させることにより、調理前後の麺皮食品どうしが接した状態で所定時間保管(保持)したとしても、本発明の成分を適用しない同種の食品と比較して、結着することが少ないか、又は結着が弱いため、個々の麺皮食品を引き離す際の皮の破れ及び/又は剥がれを低減することができる。また、本発明の組成物は、各種の麺皮に有効量適用させることにより、所定時間保管(保持)したとしても、麺皮食品の経時的な硬化が抑制される。
【0044】
保管(保持)時間は、麺皮食品の種類や、流通方法、提供方法等により適宜設定され限定はされないが、例えば、1分以上、5分以上、10分以上、15分以上、20分以上、30分以上、1時間以上、2時間以上、3時間以上、6時間以上、12時間以上、24時間以上、2日以上、5日以上、7日以上等が挙げられる。保管(保持)時間は、例えば、調理後の麺皮食品であれば、1分~3時間、3分~2時間、5分~1時間等の比較的短時間が挙げられ、調理前の麺皮食品であれば、製造から流通にかけて24時間以上の比較的長時間が挙げられる。調理後の麺皮食品であっても、飲食店等で調理後にそのまま提供される場合は、例えば、1分~10分、1~5分、1~3分等が挙げられ、中食として提供される場合は、例えば、10分~3時間、15分~2時間、20分~1時間等が挙げられる。
【0045】
保管(保持)温度は、麺皮食品の種類や、保存方法、流通方法、販売方法、提供方法等により適宜設定され限定はされず、冷凍(-15℃以下)、冷蔵(約10℃以下)、チルド(約5℃以下)、又は、常温(約10℃以上)の温度帯が挙げられる。
【0046】
麺皮食品への本発明の組成物の添加量は、麺皮食品の種類等により、適宜調整することが可能であるが、組成物全量に対するアラビアガム、ガティガム及び大豆多糖類からなる群より選択される少なくとも1種の総含有量の下限値は、本発明の効果を奏する限り、特に制限されないが、例えば、0.001質量%以上、好ましくは0.005質量%以上、更に好ましくは0.0075質量%以上、特に好ましくは0.01質量%以上となるように調整することができる。組成物全量に対するアラビアガム、ガティガム及び大豆多糖類からなる群より選択される少なくとも1種の総含有量の上限値は、本発明の効果を奏する限り、特に制限されないが、例えば、50質量%以下、45質量%以下、40質量%以下、35質量%以下、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、7.5質量%以下、5質量%以下となるように調整することができる。組成物全量に対するアラビアガム、ガティガム及び大豆多糖類からなる群より選択される少なくとも1種の総含有量は、例えば、0.001~30質量%とすることができ、好ましくは0.005~20質量%、より好ましくは0.0075~10質量%、更に好ましくは0.01~5質量%となるように調整することができる。
【0047】
本発明の組成物がアラビアガムを含有する場合、アラビアガム単独の含有量の下限値は、本発明の効果を奏する限り、特に制限されないが、組成物全量に対して、例えば、0.001質量%以上であり、好ましくは0.005質量%以上、更に好ましくは0.075質量%以上、特に好ましくは0.01質量%以上である。また、アラビアガム単独の含有量の上限値は、本発明の効果を奏する限り、特に制限されないが、組成物全量に対して、例えば、30質量%以下とすることができ、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、特に好ましくは10質量%以下、最も好ましくは5質量%以下である。
【0048】
1つの実施態様において、蒸し水等の液状組成物として本発明の組成物を適用する場合、アラビアガム単独の含有量は、麺皮食品全量に対して、例えば、0.001~10質量%とすることができ、好ましくは0.005~7.5質量%、より好ましくは0.01~5質量%である。
【0049】
1つの実施態様において、打ち粉等の固形組成物として本発明の組成物を適用する場合、アラビアガム単独の含有量は、麺皮食品全量に対して、例えば、0.001~30質量%とすることができ、好ましくは0.01~20質量%、より好ましくは0.1~10質量%である。
【0050】
本発明の組成物がガティガムを含有する場合、ガティガム単独の含有量の下限値は、本発明の効果を奏する限り、特に制限されないが、組成物全量に対して、例えば、0.001質量%以上であり、好ましくは0.005質量%以上、更に好ましくは0.075質量%以上、特に好ましくは0.01質量%以上である。また、ガティガム単独の含有量の上限値は、本発明の効果を奏する限り、特に制限されないが、組成物全量に対して、例えば、30質量%以下とすることができ、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、特に好ましくは10質量%以下、最も好ましくは5質量%以下である。
【0051】
1つの実施態様において、蒸し水等の液状組成物として本発明の組成物を適用する場合、ガティガム単独の含有量は、麺皮食品全量に対して、例えば、0.001~10質量%とすることができ、好ましくは0.005~7.5質量%、より好ましくは0.01~5質量%である。
【0052】
1つの実施態様において、打ち粉等の固形組成物として本発明の組成物を適用する場合、ガティガム単独の含有量は、麺皮食品全量に対して、例えば、0.001~30質量%とすることができ、好ましくは0.01~20質量%、より好ましくは0.1~10質量%である。
【0053】
本発明の組成物が大豆多糖類を含有する場合、大豆多糖類単独の含有量の下限値は、本発明の効果を奏する限り、特に制限されないが、組成物全量に対して、例えば、0.001質量%以上であり、好ましくは0.005質量%以上、更に好ましくは0.01質量%以上である。また、大豆多糖類単独の含有量の上限値は、本発明の効果を奏する限り、特に制限されないが、組成物全量に対して、例えば、30質量%以下とすることができ、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、特に好ましくは10質量%以下、最も好ましくは5質量%以下である。
【0054】
1つの実施態様において、蒸し水等の水性組成物として本発明の組成物を適用する場合、大豆多糖類単独の含有量は、麺皮食品全量に対して、例えば、0.001~10質量%とすることができ、好ましくは0.005~7.5質量%、より好ましくは0.01~5質量%である。
【0055】
1つの実施態様において、打ち粉等の固形組成物として本発明の組成物を適用する場合、大豆多糖類単独の含有量は、麺皮食品全量に対して、例えば、0.001~30質量%とすることができ、好ましくは0.01~20質量%、より好ましくは0.1~10質量%である。
【0056】
[麺皮食品の品質低下抑制方法]
本発明はまた、以下の態様を有する、麺皮食品の品質低下抑制方法にも関する。
アラビアガム、ガティガム及び大豆多糖類からなる群より選択される少なくとも1種を、麺皮食品の皮に適用する工程を含む、麺皮食品の品質低下抑制方法。
【0057】
本方法の実施態様は、上記の[麺皮食品の皮に適用されるための組成物]の実施態様、及び使用方法に準じる。
【0058】
[品質低下が抑制された麺皮食品の製造方法]
本発明はまた、以下の態様を有する、品質低下が抑制された麺皮食品の製造方法にも関する。
アラビアガム、ガティガム及び大豆多糖類からなる群より選択される少なくとも1種を、麺皮食品の皮に適用する工程を含む、品質低下が抑制された麺皮食品の製造方法。
【0059】
本方法の実施態様は、上記の[麺皮食品の皮に適用されるための組成物]の実施態様、及び使用方法に準じる。
【0060】
上記の実施態様の他、本発明によれば、以下の態様も提供され得る。
アラビアガム、ガティガム及び大豆多糖類からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、麺皮食品の照り艶保持用組成物。
アラビアガム、ガティガム及び大豆多糖類からなる群より選択される少なくとも1種を、麺皮食品の皮に適用する工程を含む、麺皮食品の照り艶を保持させる方法。
アラビアガム、ガティガム及び大豆多糖類からなる群より選択される少なくとも1種を、麺皮食品の皮に適用する工程を含む、照り艶が保持された麺皮食品の製造方法。
【0061】
上記の実施態様は、上記の[麺皮食品の皮に適用されるための組成物]の実施態様、及び使用方法に準じる。
【0062】
なお、上記の方法発明において、麺皮食品の皮に対する適用方法は、特に制限されず、上記の麺皮食品の皮に対して物理的に接触させることをいう。物理的な接触方法としては、例えば、アラビアガム、ガティガム及び大豆多糖類からなる群より選択される少なくとも1種を麺皮食品の皮の表面に、噴霧、塗布、浸漬又は降りかける等することにより付着させること、又は、麺皮食品の皮を構成する材料として配合すること等が挙げられる。
【実施例】
【0063】
以下、本発明の内容を以下の実施例、比較例等を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。なお、実施例中の「%」は、「質量%」であることを意味する。
【0064】
[試験例1:麺皮食品(餃子)の加熱調理における結着抑制試験1]
以下の手順により、餃子を調製した。
(1)フライパンに油10gを加え、200℃まで加熱した。
(2)市販の生餃子を互いに接するように6個並べ(生餃子の質量:1個あたり約25g)、30秒間加熱し、焦げ目を付けた。
(3)下記表1~表3に示す処方の水又は水溶液50gを蒸し水として加え、蓋をして、中火で4分間加熱した。
(4)容器に移し、粗熱を除去後、5℃で保管した。
(5)10時間保管後、互いの餃子を引き離し、結着の度合い、及び、麺皮の破れ度合いを目視で評価した。
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
加熱調理した互いの餃子を引き離し、結着の度合い、及び、麺皮の破れ度合いを目視で評価を行った。評価の結果を表4に示す。また、比較例1-1及び実施例1-3について、10時間5℃で保管した後の結着状態、並びに、互いの餃子を引き離した際の麺皮の破れ度合いを
図1に示す。
【0069】
【0070】
表4及び
図1に示すように、アラビアガム、ガティガム及び大豆多糖類からなる群より選択される少なくとも1種を含有しない処方(比較例1-1)では、餃子同士が強く結着し、皮が大きく破れるとの評価がされた。すなわち、通常の加熱調理の条件であれば、麺皮食品同士の結着を防止するために、加熱時に麺皮食品同士が接しないよう配置する必要があり、調理・生産効率の低下を招くことが示された。一方で、アラビアガム、ガティガム及び大豆多糖類からなる群より選択される少なくとも1種を含有する処方(実施例)では、麺皮食品同士の結着や、麺皮食品と調理器具との結着が抑制され、互いの麺皮食品を引き離す際の破れも抑制された。すなわち、本発明の組成物を用いることにより、麺皮食品の加熱調理を行う際に、麺皮食品同士が接していてもよく、調理・生産効率を向上させることが可能となる。一例であるが、個々の餃子を花びらに見立て、放射線状に密接して餃子を配置する花餃子という調理法がある。このような麺皮食品が密接して配置される調理法においても、風味や外観を損なわずに餃子を摂食することが可能となる。
【0071】
[試験例2:麺皮食品(餃子)の加熱調理における結着抑制試験2]
以下の手順により、餃子を調製した。
(1)市販の生餃子(株式会社王将フードサービス(餃子の王将)製)の表面に、下記表5に示す処方の打ち粉を10g/6個付着させた。
(2)フライパンに油10gを加え、200℃まで加熱した。
(3)上記の生餃子を互いに接するように6個並べ(生餃子1個あたり25g程度)、30秒間加熱し、焦げ目を付けた。
(4)水50gを蒸し水として加え、蓋をして、中火で4分間加熱した。
(5)容器に移し、粗熱を除去後、5℃で保管した。
(6)10時間保管後、互いの餃子を引き離し、結着の度合い、及び、麺皮の破れ度合いを目視で評価した。
【0072】
【0073】
加熱調理した餃子の互いの餃子を引き離し結着の度合い、及び、麺皮の破れ度合いを目視で評価を行った。評価の結果を表6に示す。
【0074】
【0075】
表6に示すように、アラビアガム、ガティガム及び大豆多糖類からなる群より選択される少なくとも1種を含有しない処方(比較例2-1)では、餃子同士が強く結着し、皮が大きく破れるとの評価がされた。すなわち、通常の加熱調理の条件であれば、麺皮食品同士の結着を防止するために、加熱時に麺皮食品同士が接しないよう配置する必要があり、調理・生産効率の低下を招くことが示された。一方で、アラビアガムを含有する処方(実施例)では、麺皮食品同士の結着や、麺皮食品と調理器具との結着が抑制され、互いの麺皮食品を引き離す際の破れも抑制された。すなわち、本発明の組成物を用いることにより、麺皮食品の加熱調理を行う際に、麺皮食品同士が接していてもよく、調理・生産効率を向上させることが可能となる。なお、本発明の組成物を打ち粉として用いる場合は、少量のアラビアガムであっても、麺皮食品の結着抑制に特に顕著な効果を奏することが示された。
【0076】
[試験例3:生の状態の麺皮食品(生春巻き)における結着抑制試験1]
以下の手順により、生春巻きを調製した。
(1)下記表7に示すとおり、アラビアガムをイオン交換水に添加し、室温で10分間撹拌し、水又は水溶液を調製した。
(2)上記で調製した各処方の水又は水溶液を40℃に調温した。
(3)生春巻きの皮(ユウキ食品株式会社製)を、上記で調製した各処方の水又は水溶液に25秒間浸漬した。
(4)各生春巻きの皮に、サニーレタス1枚、ボイルエビ2尾を盛り付けて巻いた。
(5)容器に移し、各生春巻きが接した状態で5℃で保管した。
(6)24時間保管後、互いの生春巻きを引き離し、結着の度合いを目視で評価した。
【0077】
【0078】
表7及び
図2に示すように、アラビアガム、ガティガム及び大豆多糖類からなる群より選択される少なくとも1種を含有しない処方(比較例3-1)では、生春巻きのベタツキが強く、強く結着するとの評価がされた。麺皮食品同士の結着を防止するために、保管や調理時等に麺皮食品同士が接しないよう配置する必要があり、保管流通・調理効率の低下を招くことが示された。一方で、アラビアガムを含有する処方(実施例)では、麺皮食品同士の結着や、麺皮食品と調理器具との結着が抑制された。また、アラビアガムを含有する処方(実施例)では、麺皮食品の麺皮の透明性が高く具材が透き通って見え、照り艶が良好であるため、調理後の外観に優れることも示された。また、アラビアガムを含有する処方(実施例)では、食感が柔らかく、経時的な硬化を抑制できることが示された。
すなわち、本発明の組成物を用いることにより、麺皮食品を生の状態で保管流通・調理する際に、麺皮食品同士が接していてもよく、保管流通・調理効率を向上させることが可能となる。