(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】忘れ物防止システム
(51)【国際特許分類】
B60R 11/04 20060101AFI20240806BHJP
G08B 21/24 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
B60R11/04
G08B21/24
(21)【出願番号】P 2020003884
(22)【出願日】2020-01-14
【審査請求日】2022-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】海野 裕之
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-008352(JP,A)
【文献】特開2012-123491(JP,A)
【文献】特開2005-115911(JP,A)
【文献】特開2009-075756(JP,A)
【文献】特開2008-262459(JP,A)
【文献】特開2019-159560(JP,A)
【文献】特開2006-145494(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/04
G08B 21/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車に搭載される忘れ物防止システムであって、
ユーザの降車を検知する降車検知手段と、
所定の対象についての現在の状態を検知する状態検知手段と、
前記降車検知手段がユーザの降車を検知したときに、自動車内に残置されている物品を認識し、認識した物品と、前記状態検知手段が検知した現在の状態とを含めた残置物データを記憶する物品認識手段と、
記憶されている前記残置物データに基づいて、残置物データに含まれる各物品について、前記状態によって示される状況のうちの、当該物品の認識の出現と相関が高い状況を当該物品の状況条件として設定する状況条件算定手段と、
前記降車検知手段がユーザの降車を検知したときに、前記状態検知手段が検知した現在の状態が示す状況が状況条件として設定されている物品ではない物品が、物品認識手段によって認識されている場合に、当該認識されている物品の忘れ物の注意を喚起する注意メッセージを出力する注意手段とを有することを特徴とする忘れ物防止システム。
【請求項2】
自動車に搭載される忘れ物防止システムであって、
ユーザの降車を検知する降車検知手段と、
複数の所定の項目の現在の状態を検知する状態検知手段と、
前記降車検知手段がユーザの降車を検知したときに、自動車内に残置されている物品を認識し、認識した物品と、前記状態検知手段が検知した前記複数の項目の現在の状態とを
含めた残置物データを記憶する物品認識手段と、
記憶されている前記残置物データに基づいて、残置物データに含まれる各物品について、当該物品の認識の出現と相関が高くなる、任意数の任意の前記項目の状態の組み合わせの条件を当該物品の状況条件として設定する状況条件算定手段と、
前記降車検知手段がユーザの降車を検知したときに、前記状態検知手段が検知した前記複数の所定の項目の現在の状態の組み合わせが満たす状況条件が設定されている物品ではない物品が、物品認識手段によって認識されている場合に、当該認識されている物品の忘れ物の注意を喚起する注意メッセージを出力する注意手段とを有することを特徴とする忘れ物防止システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の忘れ物防止システムであって、
前記注意手段は、予め登録されたユーザの端末宛に前記注意メッセージを送信することにより、前記注意メッセージの出力を行うことを特徴とする忘れ物防止システム。
【請求項4】
請求項2記載の忘れ物防止システムであって、
前記複数の所定の項目は、曜日と時間帯と場所と天気との項目のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする忘れ物防止システム。
【請求項5】
請求項1、2、3または4記載の忘れ物防止システムであって、
カメラを備え、
前記物品認識手段は、前記カメラが撮影した画像から、前記自動車の車室、または、前記自動車の車室及び荷室にある物品を認識することを特徴とする忘れ物防止システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の搭乗者の忘れ物を防止する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の搭乗者の忘れ物を防止する技術としては、ユーザの自動車からの降車時に、カメラで撮影した車室内の状況と、過去にカメラで撮影し記憶しておいた乗車時もしくは前回の降車時の車室内の状況との相違から車内への忘れ物の有無を判定し、忘れ物が有ると判定したときに忘れ物があることをユーザに通知する技術が知られている(たとえば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-115911号公報
【文献】特開2009- 75756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した技術によれば、持っていかなければならない持ち物を持ち忘れた状態でユーザが自動車に搭乗したときに、その忘れ物を検出してユーザに通知することができない。
また、上述した技術によれば、降車時にユーザが持ち出し忘れて車内に残ってしまった持ち物と、降車時にユーザが意図的に車内に残した持ち物とを弁別することができないため、ユーザが意図的に車内に持ち物を残した場合でも、これを忘れ物として検出してユーザに通知してしまう。
【0005】
そこで、本発明は、ユーザが自動車に持ち込み忘れた忘れ物を検出することを課題とする
また、併せて、本発明は、降車時にユーザが真に車外へ持ち出し忘れた忘れ物を検出することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題達成のために、本発明は、自動車に搭載される忘れ物防止システムに、ユーザの乗車を検知する乗車検知手段と、所定の対象についての現在の状態を検知する状態検知手段と、前記乗車検知手段がユーザの乗車を検知したときに、自動車内に持ち込まれている物品を認識し、認識した物品と、前記状態検知手段が検知した現在の状態とを含めた持込物データを記憶する物品認識手段と、記憶されている前記持込物データに基づいて、持込物データに含まれる各物品について、前記状態によって示される状況のうちの、当該物品の認識の出現と相関が高い状況を当該物品の状況条件として設定する状況条件算定手段と、前記乗車検知手段がユーザの乗車を検知したときに、前記状態検知手段が検知した現在の状態が示す状況が状況条件として設定されている物品が、物品認識手段によって認識されていない場合に、当該認識されていない物品の忘れ物の注意を喚起する注意メッセージを出力する注意手段とを備えたものである。
【0007】
このような忘れ物防止システムでは、自動車へのユーザの乗車の発生時に、現在と同じ状況で過去に乗車が発生したときに自動車に持ち込まれていた頻度が高い物品が、自動車に持ち込まれていない場合に、その物品に対する忘れ物の注意がユーザに対して行われることとなる。
【0008】
ここで、現在と同じ状況で過去に乗車が発生したときに自動車に持ち込まれていた頻度が高い物品は、ユーザが持っていかなければならない物品である蓋然性が大きい。
よって、本忘れ物防止システムによれば、持っていかなければならない持ち物を持ち忘れた状態でユーザが自動車に搭乗したときに、その忘れ物を検出してユーザに通知することができる。
【0009】
また、前記課題達成のために、本発明は、自動車に搭載される忘れ物防止システムに、ユーザの降車を検知する降車検知手段と、所定の対象についての現在の状態を検知する状態検知手段と、前記降車検知手段がユーザの降車を検知したときに、自動車内に残置されている物品を認識し、認識した物品と、前記状態検知手段が検知した現在の状態とを含めた残置物データを記憶する物品認識手段と、記憶されている前記残置物データに基づいて、残置物データに含まれる各物品について、前記状態によって示される状況のうちの、当該物品の認識の出現と相関が高い状況を当該物品の状況条件として設定する状況条件算定手段と、前記乗車検知手段がユーザの降車を検知したときに、前記状態検知手段が検知した現在の状態が示す状況が状況条件として設定されている物品ではない物品が、物品認識手段によって認識されている場合に、当該認識されている物品の忘れ物の注意を喚起する注意メッセージを出力する注意手段とを備えたものである。
【0010】
このような忘れ物防止システムによれば、自動車からのユーザの降車の発生時に、現在と同じ状況で過去に乗車が発生したときに自動車に残されていた頻度が高い物品でない物品が残されているときに、その物品に対する忘れ物の注意をユーザに対して行う。
【0011】
ここで、現在と同じ状況において自動車に残されていた頻度が高い物品は、ユーザが意図的に自動車に残している物品であり、他の物品は、忘れ物である物品である蓋然性が大きい。
【0012】
したがって、本忘れ物防止システムによれば、降車時にユーザが真に車外へ持ち出し忘れた物品を検出してユーザに通知することができる。
また、前記課題達成のために、本発明は、自動車に搭載される忘れ物防止システムに、ユーザの乗車を検知する乗車検知手段と、所定の複数の項目の現在の状態を検知する状態検知手段と、前記乗車検知手段がユーザの乗車を検知したときに、自動車内に持ち込まれている物品を認識し、認識した物品と、前記状態検知手段が検知した前記複数の項目の現在の状態とを含めた持込物データを記憶する物品認識手段と、記憶されている前記持込物データに基づいて、持込物データに含まれる各物品について、当該物品の認識の出現と相関が高くなる、任意数の任意の前記項目の状態の組み合わせの条件を当該物品の状況条件として設定する状況条件算定手段と、前記乗車検知手段がユーザの乗車を検知したときに、前記状態検知手段が検知した前記複数の項目の現在の状態の組み合わせが満たす状況条件が設定されている物品が、物品認識手段によって認識されていない場合に、当該認識されていない物品の忘れ物の注意を喚起する注意メッセージを出力する注意手段とを備えたものである。
【0013】
このような忘れ物防止システムによっても、持っていかなければならない持ち物を持ち忘れた状態でユーザが自動車に搭乗したときに、その忘れ物を検出してユーザに通知することができる。
【0014】
また、前記課題達成のために、本発明は、自動車に搭載される忘れ物防止システムに、ユーザの降車を検知する降車検知手段と、複数の所定の項目の現在の状態を検知する状態検知手段と、前記降車検知手段がユーザの降車を検知したときに、自動車内に残置されている物品を認識し、認識した物品と、前記状態検知手段が検知した前記複数の項目の現在の状態とを含めた残置物データを記憶する物品認識手段と、記憶されている前記残置物データに基づいて、残置物データに含まれる各物品について、当該物品の認識の出現と相関が高くなる、任意数の任意の前記項目の状態の組み合わせの条件を当該物品の状況条件として設定する状況条件算定手段と、前記乗車検知手段がユーザの降車を検知したときに、前記状態検知手段が検知した前記複数の所定の項目の現在の状態の組み合わせが満たす状況条件が設定されている物品ではない物品が、物品認識手段によって認識されている場合に、当該認識されている物品の忘れ物の注意を喚起する注意メッセージを出力する注意手段とを備えたものである。
【0015】
このような、忘れ物防止システムにおいて、前記注意手段は、予め登録されたユーザの端末宛に前記注意メッセージを送信することにより、前記注意メッセージの出力を行うものとしてよい。
【0016】
このような忘れ物防止システムによっても、降車時にユーザが真に車外へ持ち出し忘れた物品を検出してユーザに通知することができる。
また、以上の各忘れ物防止システムは、前記1または複数の所定の項目は、曜日と時間帯と場所と天気との項目のうちの少なくとも一つを含むものとすることが好ましい。
また、以上の忘れ物防止システムに、カメラを備え、前記物品認識手段において、前記カメラが撮影した画像から、前記自動車の車室、または、前記自動車の車室及び荷室にある物品を認識するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、ユーザが自動車に持ち込み忘れた忘れ物を検出することができる。
また、本発明によれば、降車時にユーザが真に車外へ持ち出し忘れた忘れ物を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係る車載システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る車載システムの表示装置とカメラの配置を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る物品認識履歴データベースの内容を示す図である
【
図4】本発明の実施形態に係る持込物テーブルと残置物テーブルの内容を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る車外忘れ物通知処理を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の実施形態に係る車内忘れ物通知処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に本実施形態に係る車載システムの構成を示す。
車載システムは自動車に搭載されたシステムであり、図示するように、表示装置1、スピーカを備え当該スピーカから音声を出力する音声出力装置2、現在位置の算出やユーザから設定された目的地までの経路案内を行うナビゲーションシステム3、移動通信を行う移動通信装置4、車両状態センサ5、カメラ6、忘物防止制御装置7とを備えている。
【0020】
車両状態センサ5は、自動車のイグニッションキー/スイッチやトランスミッションやエンジンやパーキングブレーキや車速の状態や、自動車の各ドアのロック状態や開閉状態や、自動車の外気温の状態、各座席の荷重の状態等の自動車の各種状態を検出する。
【0021】
音声出力装置2は、ナビゲーションシステム3と忘物防止制御装置7に共用される装置であり、ナビゲーションシステム3の経路案内音声の出力や、忘物防止制御装置7の忘れ物の注意メッセージの音声出力に用いられる。
【0022】
表示装置1は、ナビゲーションシステム3と忘物防止制御装置7に共用される装置であり、たとえば、
図2aに示すように、ダッシュボードに設置され、ナビゲーションシステム3の経路案内画面の表示や、忘物防止制御装置7の忘れ物の注意メッセージの表示に用いられる。
【0023】
また、カメラ6は、たとえば、
図2bに示すように自動車の車室天井に、自動車の各座席を撮影できるように設置される。
図1に戻り、忘物防止制御装置7は、忘物注意部71、物品認識履歴解析部72、物品認識部73、持込物テーブル74、残置物テーブル75、物品認識履歴データベース76とを備えている。
【0024】
ここで、
図3に物品認識履歴データベース76の内容を示す。
図示するように、物品認識履歴データベース76は、持込物履歴データと残置物履歴データを含んでいる。
持込物履歴データには複数の持込物データを登録することができ、各持込物データは状況データと物品データとよりなる。また、残置物履歴データには複数の残置物データを登録することができ、各残置物データは状況データと物品データとよりなる。ここで持込物データと残置物データの状況データと物品データの内容については後述する。
【0025】
さて、物品認識部73は、車両状態センサ5が検出している自動車の状態に基づいてユーザの乗車の発生を検知する。ここで、この検知は、たとえば、自動車のロックが解除された後に、自動車のイグニッションキー/スイッチの操作によってACC電源オンとされるか、エンジンが始動されたならば、ユーザの乗車の発生を検知すること等により行う。
【0026】
そして、物品認識部73は、ユーザの乗車の発生を検知したならば、ユーザの乗車の発生を忘物注意部71に通知する。
また、物品認識部73は、ユーザの乗車の発生を検知したならば、カメラ6の撮影画像を解析して、搭乗者によって自動車内に持ち込まれている物品を認識する。ここで、自動車内に持ち込まれている物品としては、自動車の各座席や荷物スペースに置かれた物、各搭乗者の手荷物、各搭乗者が身に付けていたり携帯している物を検出する。ただし、さらにカメラ6を、トランクその他の荷室やグローブボックスの内部を撮影するように設け、これら荷室やグローブボックス内にある物品も認識するようにしてもよい。
【0027】
また、物品認識部73は、ユーザの乗車の発生を検知したならば、現在の状況の情報を収集する。現在の状況の情報としては、現在の日時、休日と平日のいずれであるか、曜日、時間帯、現在の場所、天気、外気温、自動車の搭乗者人数、出発地、目的地などの複数の項目の現在の状態を収集する。
【0028】
ここで、現在の場所は、たとえば、ナビゲーションシステム3が算出している現在位置から求め、現在の天気は、移動通信装置4を介して外部の天気情報提供サーバから取得し、現在の外気温は自動車状態センサから取得する。また、現在の搭乗者人数は、自動車状態センサが検出している各座席の荷重やカメラ6で撮影した画像を解析して求め、現在の出発地は、ナビゲーションシステム3が管理している走行履歴より求まる現在以前にエンジンを停止した状態で所定時間(たとえば3時間)以上駐車した地点として求め、目的地はナビゲーションシステム3に設定されている目的地として求める。
【0029】
ここで、物品認識部73は、カメラ6で撮影した画像から自動車の搭乗者の個人認識を行うと共に、認識した自動車に搭乗している個人の組み合わせも現在の状況の情報として収集してもよい。
【0030】
そして、物品認識部73は、
図3に示すように、状況データに収集した複数の項目の現在の状態を登録し、物品データに認識した各物品を登録した持込物データを作成し、物品認識履歴データベース76の持込物履歴データに登録する。
【0031】
ここで、物品認識部73において、このようにして作成し登録した持込物データの状況データの目的地を、登録後にエンジンを停止した状態での所定時間(たとえば2時間)以上の駐車が最初に発生した時点で、その時点における現在位置に書き換えるようにしてもよい。
【0032】
また、物品認識部73において、持込物データの登録後の所定期間内に自動車が発進せずに、自動車からの搭乗者の退出が発生した場合には、登録した持込物データを消去するようにしてもよい。ここで、無人状態や搭乗者の退出は、たとえば、カメラ6で撮影した画像から自動車の各席の搭乗者の有無を監視することなどより行う。
【0033】
また、物品認識部73は、車両状態センサ5が検出している自動車の状態に基づいてユーザの降車の発生を検知する。ここで、この検知は、たとえば、自動車の走行から駐停車への状態の遷移の発生時から所定期間(たとえば、3分)以内に、自動車のエンジンが停止されるかトランスミッションギヤがパーキングに変更され、その後に、自動車のドアが開いたときにユーザの降車の発生を検知することや、自動車の走行から駐停車への状態の遷移の発生時から所定期間(たとえば、3分)以内に、搭乗者の減少が検出されたときに、ユーザの降車の発生を検知すること等により行う。
【0034】
そして、物品認識部73は、ユーザの降車の発生を検知したならば、ユーザの降車の発生を忘物注意部71に通知する。
また、物品認識部73は、ユーザの降車の発生を検知したならば、カメラ6の撮影画像を解析して、自動車内に残されている物品を認識する。また、現在の状況の情報を収集する。現在の状況の情報としては、上述した乗車の発生の検知時に収集した情報と同様の複数の項目の現在の状態を収集する。ただし、ユーザの降車の発生時には、現在位置を目的地とする。また、物品認識部73において走行中の搭乗者人数を検出すると共に、搭乗者人数として、直前の走行中の搭乗者の人数、すなわち、降車発生前の搭乗者の人数を用いるようにする。また、物品認識部73において走行中の自動車の搭乗者の個人認識を行うと共に、現在の状況の情報として、直前の走行中に認識した個人の組み合わせ、すなわち、降車発生前に自動車に搭乗していた個人の組み合わせも用いてもよい。
【0035】
そして、物品認識部73は、状況データに収集した複数の項目の現在の状態を登録し、物品データに認識した各物品を登録した残置物データを作成し、物品認識履歴データベース76の残置物履歴データに登録する。
【0036】
ここで、物品認識部73は、このようにして作成し登録した残置物データの状況データの目的地を、登録後にエンジンを停止した状態での所定時間(たとえば2時間)以上の駐車が最初に発生した時点で、その時点における現在位置に書き換えるようにしてもよい。
【0037】
次に、物品認識履歴解析部72は、定期的にもしくは新たな持込物データが持込物履歴データに登録されたときに、持込物テーブル74を更新する。
この更新は、
図4aに示すように、持込物テーブル74が、持込物履歴データの持込物データの物品データに登録されている全ての物品の各々に対応するエントリ(図の各行)を持つ持込物テーブル74となるように行う。また、この更新では、持込物テーブル74の各エントリに、状況条件として、持込物履歴データの各持込物データを統計的に解析して求まる、当該エントリに対応する物品の乗車の検出の発生時の認識の出現と、所定レベル以上、相関の大きい、状態もしくは状態の組み合わせを登録する。
【0038】
すなわち、たとえば、持込物履歴データが、天気が雨であるときに、乗車の検出の発生時に「傘」が高い頻度で認識されていることを表している場合には、持込物テーブル74の「傘」に対応するエントリに状況条件として「天気=雨」を登録する。また、たとえば、持込物履歴データが、平日の朝の時間帯と、平日の夕方の時間帯に、乗車の検出の発生時に「ランチボックス」が高い頻度で認識されていることを表している場合には、持込物テーブル74の「ランチボックス」に対応するエントリに状況条件として「休日/平日=平日 and (時間帯=朝 or 時間帯=夕方)」を登録する。
【0039】
なお、持込物履歴データが、持込物データの状況データに登録される複数の項目の状態の如何に関わらずに、乗車の検出発生時に常に高い頻度で認識されていることを表している物品のエントリの状況条件には「任意」を登録する。
【0040】
また、物品認識履歴解析部72は、定期的にもしくは新たな残置物データが残置物履歴データに登録されたときに、残置物テーブル75を更新する。
この更新は、
図4bに示すように、残置物テーブル75が、残置物履歴データの残置物データの物品データに登録されている全ての物品の各々に対応するエントリ(図の各行)を持つ残置物テーブル75となるように行う。また、この更新では、残置物テーブル75の各エントリに、状況条件として、残置物履歴データの各残置物データを統計的に解析して求まる、当該エントリに対応する物品の降車の発生時の認識の出現と、所定レベル以上、相関の大きい、状態もしくは状態の組み合わせを登録する。
【0041】
すなわち、たとえば、残置物履歴データが、天気が晴れであるときに、降車の検出の発生時に「レインブーツ」が高い頻度で認識されていることを表している場合には、残置物テーブル75の「レインブーツ」に対応するエントリに状況条件として「天気=晴れ」を登録する。
【0042】
なお、残置物履歴データが、残置物データの状況データに登録される複数の項目の状態の如何に関わらずに、降車の検出の発生時に常に高い頻度で認識されていることを表している物品のエントリの状況条件には「任意」を登録する。
【0043】
次に、忘物注意部71は、物品認識部73から、ユーザの乗車の発生が通知されたならば、車外忘れ物通知処理を行う。
図5に、この車外忘れ物通知処理の手順を示す。
図示するように、この処置において、忘物注意部71は、上述のように物品認識部73が今回のユーザの乗車の発生時に収集した現在の状況の情報と認識した物品を取得する(ステップ502)。
【0044】
そして、持込物テーブル74の、現在の状況の情報が示す複数の項目の状態の組み合わせが満たす状況条件が登録されているエントリの物品を全て抽出する(ステップ504)。なお、状況条件として任意が登録されている物品は、常に、現在の状況の情報が示す複数の項目の状態の組み合わせが満たす状況条件が登録されている物品とする。
【0045】
そして、持込物テーブル74から抽出した物品の全てが、物品認識部73が今回のユーザの乗車の発生時に認識した物品の内に含まれているかどうかを調べ(ステップ506)、含まれている場合には、車外忘れ物通知処理を終了する。
【0046】
一方、持込物テーブル74から抽出した物品の内に、物品認識部73が今回のユーザの乗車の発生時に認識した物品でない物品、すなわち、物品認識部73によって認識されなかった物品が存在した場合には(ステップ506)、当該存在した物品の忘れ物の注意を喚起する注意メッセージを出力する(ステップ508)。
【0047】
そして、車外忘れ物通知処理を終了する。
ここで、ステップ508の注意メッセージの出力は、持込物テーブル74から抽出した物品の内の物品認識部73によって認識されなかった物品がAであるものとして、たとえば、「Aをお持ちになるのをお忘れではありませんか?」のような注意メッセージを表示装置1に表示したり、音声出力装置2から音声出力することにより行う。
【0048】
次に、忘物注意部71は、物品認識部73から、ユーザの降車の発生が通知されたならば、車内忘れ物通知処理を行う。
図6に、この、車内忘れ物通知処理の手順を示す。
図示するように、この処置において、忘物注意部71は、上述のように物品認識部73が今回のユーザの降車の発生時に収集した現在の状況の情報と認識した物品を取得する(ステップ602)。
【0049】
そして、残置物テーブル75の、現在の状況の情報が示す複数の項目の状態の組み合わせが満たす状況条件が登録されているエントリの物品を全て抽出する(ステップ604)。なお、状況条件として任意が登録されている物品は、常に、現在の状況の情報が示す複数の項目の状態の組み合わせが満たす状況条件が登録されている物品とする。
【0050】
そして、残置物テーブル75から抽出した物品ではない物品が、物品認識部73が今回のユーザの降車の発生時に認識した物品の内に含まれているかどうかを調べ(ステップ606)、含まれていない場合には、車内忘れ物通知処理を終了する。
【0051】
一方、残置物テーブル75から抽出した物品ではない物品が、物品認識部73がユーザの降車の発生時に認識した物品の内に含まれている場合には(ステップ606)、当該含まれている物品の忘れ物の注意を喚起する注意メッセージを、移動通信装置4を用いて、予め登録しておいたユーザのモバイル端末宛にメッセージ送信する(ステップ608)。
【0052】
そして、このようにして送信された注意メッセージを受信したモバイル端末は、受信した注意メッセージをユーザに通知する。
そして、車内忘れ物通知処理を終了する。
ここで、ステップ608の注意メッセージは、物品認識部73がユーザの降車の発生時に認識した、残置物テーブル75から抽出した物品ではない物品がBであるものとして、たとえば、「Bが車内に残っています。お持ちになるのをお忘れではありませんか?」のような注意メッセージとする。
【0053】
以上、本発明の実施形態について説明した。
このように、本実施形態では、自動車へのユーザの乗車の発生時に、現在と同じ状況で過去に乗車が発生したときに自動車に持ち込まれていた頻度が高い物品が持ち込まれていない場合に、その物品に対する忘れ物の注意をユーザに対して行う。
【0054】
ここで、現在と同じ状況で過去に乗車が発生したときに自動車に持ち込まれていた頻度が高い物品は、ユーザが持っていかなければならない物品である蓋然性が大きい。
よって、本実施形態によれば、持っていかなければならない持ち物を持ち忘れた状態でユーザが自動車に搭乗したときに、その忘れ物を検出してユーザに通知することができる。
また、本実施形態では、自動車からのユーザの降車の発生時に、現在と同じ状況で過去に乗車が発生したときに自動車に残されていた頻度が高い物品でない物品が残されているときに、その物品に対する忘れ物の注意をユーザに対して行う。
【0055】
ここで、現在と同じ状況において自動車に残されていた頻度が高い物品はユーザが意図的に自動車に残している物品であり、他の物品は、そうではない物品である蓋然性が大きい。
【0056】
したがって、本実施形態によれば、降車時にユーザが真に車外へ持ち出し忘れた物品を検出してユーザに通知することができる。
【符号の説明】
【0057】
1…表示装置、2…音声出力装置、3…ナビゲーションシステム、4…移動通信装置、5…車両状態センサ、6…カメラ、7…忘物防止制御装置、71…忘物注意部、72…物品認識履歴解析部、73…物品認識部、74…持込物テーブル、75…残置物テーブル、76…物品認識履歴データベース。