IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ・ボーイング・カンパニーの特許一覧

特許7534131バックアップ動作モード時に限定的アンチスキッド制御を行うブレーキシステム
<>
  • 特許-バックアップ動作モード時に限定的アンチスキッド制御を行うブレーキシステム 図1
  • 特許-バックアップ動作モード時に限定的アンチスキッド制御を行うブレーキシステム 図2
  • 特許-バックアップ動作モード時に限定的アンチスキッド制御を行うブレーキシステム 図3
  • 特許-バックアップ動作モード時に限定的アンチスキッド制御を行うブレーキシステム 図4
  • 特許-バックアップ動作モード時に限定的アンチスキッド制御を行うブレーキシステム 図5
  • 特許-バックアップ動作モード時に限定的アンチスキッド制御を行うブレーキシステム 図6A
  • 特許-バックアップ動作モード時に限定的アンチスキッド制御を行うブレーキシステム 図6B
  • 特許-バックアップ動作モード時に限定的アンチスキッド制御を行うブレーキシステム 図6C
  • 特許-バックアップ動作モード時に限定的アンチスキッド制御を行うブレーキシステム 図6D
  • 特許-バックアップ動作モード時に限定的アンチスキッド制御を行うブレーキシステム 図7
  • 特許-バックアップ動作モード時に限定的アンチスキッド制御を行うブレーキシステム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】バックアップ動作モード時に限定的アンチスキッド制御を行うブレーキシステム
(51)【国際特許分類】
   B60T 17/18 20060101AFI20240806BHJP
   B60T 8/1761 20060101ALI20240806BHJP
   B64C 25/46 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
B60T17/18
B60T8/1761
B64C25/46
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020101995
(22)【出願日】2020-06-12
(65)【公開番号】P2021011255
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2023-05-10
(31)【優先権主張番号】16/451,858
(32)【優先日】2019-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】ニマ フォーガニ
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ティー.ヤマモト
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン エリオット スミス
【審査官】久米 伸一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-232259(JP,A)
【文献】特開平11-278235(JP,A)
【文献】特開昭64-028062(JP,A)
【文献】再公表特許第2005/069095(JP,A1)
【文献】特許第4538642(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2006/0061210(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0097567(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0009385(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0012689(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0210128(US,A1)
【文献】米国特許第04824183(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 17/18
B60T 8/1761
B64C 25/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギーの蓄積及び放出を行うエネルギー蓄積装置及び複数の車輪を含む構成におけるビークル用ブレーキシステムであって、
前記エネルギー蓄積装置に機能的に接続されているとともに、前記複数の車輪に電気的に接続された1つ以上のプロセッサと、
前記1つ以上のプロセッサに接続されたメモリと、を含み、前記メモリは、データベース及びプログラムコードを含むデータを格納しており、
前記プログラムコードは、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記ブレーキシステムに、
前記ブレーキシステムがバックアップ動作モードで動作中であるか判定させ、
前記ブレーキシステムが前記バックアップ動作モードで動作中であると判定した場合に、前記複数の車輪の動的スリップを算出させ、
前記動的スリップを前記複数の車輪の目標スリップ値と比較することにより、スリップ誤差を特定させ、その際に、前記目標スリップ値は、前記複数の車輪の理想スリップ値より小さい値であり、前記ブレーキシステムのブレーキ効率を低下させるものであり、
前記スリップ誤差に基づいてアンチスキッドコマンドを算出させるものであり、
前記アンチスキッドコマンドは、前記複数の車輪に作用するブレーキ圧を減少させるものである、ブレーキシステム。
【請求項2】
前記1つ以上のプロセッサは、前記スリップ誤差を、前記複数の車輪の車輪回転数(W)及び前記ビークルの実速度に基づいて特定する、請求項1に記載のブレーキシステム。
【請求項3】
前記1つ以上のプロセッサは、前記スリップ誤差を、
動的スリップ=(実速度信号-R×W)/実速度信号
に基づいて算出するものであり、式中、Rは、前記ビークルの前記複数の車輪のタイヤ回転半径を表し、Wは、前記複数の車輪の前記車輪回転数を表す、請求項2に記載のブレーキシステム。
【請求項4】
前記1つ以上のプロセッサは、前記スリップ誤差と比例ゲイン(kp)を組み合わせる
ことで比例値を特定するものであり、前記スリップ誤差と前記比例ゲイン(kp)を組み
合わせると、前記スリップ誤差が一定のとき、前記アンチスキッドコマンドの値が比例的に増加する、請求項1~3のいずれかに記載のブレーキシステム。
【請求項5】
前記1つ以上のプロセッサは、
前記スリップ誤差と積分ゲイン値を組み合わせることで、第1積分値を決定することと、
前記第1積分値を積分して第2積分値を求めることと、を行う、請求項4に記載のブレーキシステム。
【請求項6】
前記1つ以上のプロセッサは、前記比例値と前記第2積分値を組み合わせることで前記アンチスキッドコマンドを決定する、請求項5に記載のブレーキシステム。
【請求項7】
前記1つ以上のプロセッサは、前記アンチスキッドコマンドと、前記ブレーキシステムによって要求された制動力の大きさを表す入力コマンドと、の差分に基づいてブレーキ圧コマンドを決定する、請求項1~6のいずれかに記載のブレーキシステム。
【請求項8】
前記目標スリップ値は、前記複数の車輪に装着されたタイヤの種類に基づく固定値である、請求項1~7のいずれかに記載のブレーキシステム。
【請求項9】
前記エネルギー蓄積装置は、アキュムレータ、バッテリ、コンデンサ又はフライホイールである、請求項1~8のいずれかに記載のブレーキシステム。
【請求項10】
複数の車輪、及び、加圧された油圧ブレーキ流体を流体エネルギーとして蓄積及び放出するよう構成されたアキュムレータを含むブレーキシステムと、
前記アキュムレータに機能的に接続されているとともに、前記複数の車輪に電気的に接続された1つ以上のプロセッサと、
前記1つ以上のプロセッサに接続されたメモリと、を含む航空機であって、
前記メモリは、データベース及びプログラムコードを含むデータを格納しており、
前記プログラムコードは、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記ブレーキシステムに、
前記ブレーキシステムが、前記アキュムレータに蓄積された流体エネルギーを節約するモードであるバックアップ動作モードで動作中であるか判定させ、
前記ブレーキシステムが前記バックアップ動作モードで動作中であると判定した場合に、前記複数の車輪の動的スリップを算出させ、
前記動的スリップを前記複数の車輪の目標スリップ値と比較することにより、スリップ誤差を特定させ、その際に、前記目標スリップ値は、前記複数の車輪の理想スリップ値から外れた値であり、前記ブレーキシステムのブレーキ効率を低下させるものであり、
前記複数の車輪に作用するブレーキ圧を減少させるアンチスキッドコマンドを、前記スリップ誤差に基づいて算出させるものである、航空機。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載のブレーキシステムを含む航空機。
【請求項12】
ビークル用ブレーキシステムのバックアップ動作モード時にアンチスキッドコマンドを決定する方法であって、前記ブレーキシステムは、複数の車輪、及び、エネルギーの蓄積及び放出を行うよう構成されたエネルギー蓄積装置を含んでおり、当該方法は、
前記ブレーキシステムがバックアップ動作モードで動作中であるかをコンピュータによって判定し、
前記ブレーキシステムが前記バックアップ動作モードで動作中であると判定された場合に、前記複数の車輪の動的スリップを前記コンピュータによって算出し、
前記動的スリップを目標スリップ値と比較することにより、スリップ誤差を特定し、その際に、前記目標スリップ値は理想スリップ値より小さい値であって、前記理想スリップ値の場合と比較してブレーキ効率を低下させるものであり、
前記複数の車輪に作用するブレーキ圧を減少させるアンチスキッドコマンドを、前記スリップ誤差に基づいて算出する、ことを含む方法。
【請求項13】
前記スリップ誤差を、前記複数の車輪の車輪回転数(W)及び前記ビークルの実速度に基づいて特定することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記動的スリップを、
動的スリップ=(実速度信号-R×W)/実速度信号
に基づいて算出することをさらに含み、式中、Rは、前記ビークルの前記複数の車輪のタイヤ回転半径を表し、Wは、前記複数の車輪の前記車輪回転数を表す、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記アンチスキッドコマンドと、前記ブレーキシステムによって要求された制動力の大きさを表す入力コマンドと、の差分に基づいてブレーキ圧コマンドを決定することをさらに含む、請求項12~14のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ビークル用のブレーキシステムに関する。より具体的には、本開示は、バックアップ動作モード(backup mode of operation)時には限定的なアンチスキッド制御(limited antiskid control)を行って、エネルギー蓄積装置に蓄積されたエネルギーを節約するブレーキシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
航空機のブレーキは、様々な状況において使用される。例えば、航空機のブレーキは、滑走路を着陸滑走する航空機の制動に使用される。また、航空機のブレーキは、例えば、タキシング、ステアリング、パーキングなどの地上走行の際にも使用される。
【0003】
航空機の油圧ブレーキシステムは、加圧状態の油圧ブレーキ流体を蓄積するアキュムレータを含む。アキュムレータは、冗長圧力源(redundant pressure source)として使用され、また、予備の流体エネルギー源(backup source of fluid energy)としても使用される。具体的には、ブレーキアキュムレータは、稼働中の油圧システムが減圧した後に油圧を維持することを主要な用途とするが、ブレーキシステムの油圧が失われたり、航空機の油圧動力系統が動作不能になったりするなどの事態が発生した場合には、バックアップのエネルギー源としても使用される。ただし、アキュムレータに蓄積可能な油圧ブレーキ流体の量には限りがあり、アキュムレータの油圧流体の量及び圧力は、ブレーキ圧を発生、解放させる度に消耗する。例えば、アキュムレータの中には、6~8回程度のブレーキ動作に足りる油圧流体しか供給できない大きさのものもある。さらに、アキュムレータの圧力、アキュムレータの流体量、及び、最大ブレーキ圧は、ブレーキ動作を行う度に低下する。アキュムレータが空になると、ブレーキをかけても航空機を減速させることができなくなる。
【0004】
アキュムレータに蓄積された油圧流体を節約するための取り組みとして、アキュムレータを予備の流体エネルギー源として用いる場合は、ブレーキシステムにおけるいくつかの機能を使用しないことが考えられる。例えば、ブレーキシステムにおいて、アンチスキッド制御は使用せず、ペダルによるブレーキ制御(即ち、パイロットによるブレーキ入力)だけを使用することが考えられる。アンチスキッド制御とは、車輪にかかる油圧を一時的に解放して車輪が自由に回転できる状態にし、これによりスキッドの発生を防ぐスキッド保護(skid protection)を提供する。アンチスキッド制御を行わないと、凍結した滑走路などの滑りやすい路面を航空機が走行する際に問題が発生しうる。これに代わる別のアプローチとして、アキュムレータが予備の流体エネルギー源として用いられる場合でも、アンチスキッド制御を行うブレーキシステムも可能である。ただし、この構成では、スキッド保護のためにブレーキの解放が過剰に行われると、アキュムレータが比較的早く空になる可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
いくつかの態様において、ビークル用ブレーキシステムが開示されている。前記ブレーキシステムは、エネルギーの蓄積及び放出を行うよう構成されたエネルギー蓄積装置と、複数の車輪と、前記エネルギー蓄積装置に機能的に接続されているとともに、前記複数の車輪に電気的に接続された1つ以上のプロセッサと、前記1つ以上のプロセッサに接続されたメモリと、を含む。前記メモリは、データベース及びプログラムコードを含むデータを格納しており、前記プログラムコードは、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記ブレーキシステムに、前記ブレーキシステムがバックアップ動作モードで動作中であるか判定させる。前記ブレーキシステムが前記バックアップ動作モードで動作中であると判定すると、前記バックアップ動作モードで動作中の前記ブレーキシステムは、前記複数の車輪の動的スリップを算出する。前記ブレーキシステムは、さらに、前記動的スリップを目標スリップ値と比較することにより、スリップ誤差を特定する。前記目標スリップ値は、前記複数の車輪の理想スリップ値から外れた値であり、前記ブレーキシステムのブレーキ効率を低下させる。前記ブレーキシステムは、前記スリップ誤差に基づいてアンチスキッドコマンドを算出する。前記アンチスキッドコマンドは、前記複数の車輪に作用するブレーキ圧を減少させるものである。
【0006】
別の態様によれば、航空機が開示されている。前記航空機は、複数の車輪及びアキュムレータを含み、前記アキュムレータは、加圧された油圧ブレーキ流体を流体エネルギーとして蓄積及び放出するよう構成されている。前記航空機は、さらに、前記アキュムレータに機能的に接続されているとともに、前記複数の車輪に電気的に接続された1つ以上のプロセッサと、前記1つ以上のプロセッサに接続されたメモリと、を含む。前記メモリは、データベース及びプログラムコードを含むデータを格納しており、前記プログラムコードは、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記ブレーキシステムに、前記ブレーキシステムがバックアップ動作モードで動作中であるか判定させる。前記バックアップ動作モードは、前記アキュムレータの流体エネルギーを節約するモードである。前記ブレーキシステムが前記バックアップ動作モードで動作中であると判定すると、前記ブレーキシステムは、前記複数の車輪の動的スリップを算出する。前記ブレーキシステムは、さらに、前記複数の車輪の前記動的スリップを目標スリップ値と比較することにより、スリップ誤差を特定する。前記目標スリップ値は、前記複数の車輪の理想スリップ値から外れた値であり、前記ブレーキシステムのブレーキ効率を低下させる。前記ブレーキシステムは、さらに、前記スリップ誤差に基づいてアンチスキッドコマンドを算出する。前記アンチスキッドコマンドは、前記複数の車輪に作用するブレーキ圧を減少させる。
【0007】
さらに別の態様において、ビークル用ブレーキシステムのバックアップ動作モード時にアンチスキッドコマンドを決定する方法が開示されている。前記ブレーキシステムは、複数の車輪、及び、エネルギーの蓄積及び放出を行うよう構成されたエネルギー蓄積装置を含む。前記方法は、前記ブレーキシステムがバックアップ動作モードで動作中であるかをコンピュータによって判定することを含む。前記方法は、前記ブレーキシステムが前記バックアップ動作モードで動作中であると判定された場合に、前記複数の車輪の動的スリップを前記コンピュータによって算出することを含む。前記方法は、さらに、前記動的スリップを目標スリップ値と比較することにより、スリップ誤差を特定することを含む。前記目標スリップ値は、理想スリップ値より小さい値であって、前記理想スリップ値の場合と比較してブレーキ効率を低下させるものである。最後に、前記方法は、前記スリップ誤差に基づいてアンチスキッドコマンドを算出する。前記アンチスキッドコマンドは、前記複数の車輪に作用するブレーキ圧を減少させる。
【0008】
上述の特徴、機能及び効果は、様々な実施形態によって個別に達成することも可能であるし、さらに別の実施形態と組み合わせることも可能である。その詳細は、以下の説明及び図面に示す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本明細書において参照する図面は、あくまでも説明を目的としており、本開示の範囲を何ら限定するものではない。
【0010】
図1】例示的な実施形態による、エネルギー蓄積装置としてアキュムレータを含むブレーキシステムの概略図である。
図2】例示的な実施形態による、ブレーキシステムがバックアップ動作モードで動作する場合にアンチスキッドコマンドを決定するための手法を示すブロック図である。
図3】例示的な実施形態による例示的な摩擦-スリップ曲線であって、理想スリップ点及び目標スリップ点を示している。
図4】例示的な実施形態による、図2のシステムに基づくアンチスキッドコマンドを決定する方法を示す処理フロー図である。
図5】例示的な実施形態による、ブレーキシステムがバックアップ動作モードで動作する場合にアンチスキッドコマンドを決定するための別の手法を示すブロック図である。
図6A】例示的な実施形態による、図5の観察対象車輪がスキッド状態に入る際のブレーキ圧を示すグラフである。
図6B】例示的な実施形態による観察対象車輪のブレーキトルクを示すグラフである。
図6C】例示的な実施形態による観察対象車輪の車輪速度をビークルの実速度と比較して示すグラフである。
図6D】例示的な実施形態による観察対象車輪がスキッド状態に入る際の摩擦-スリップ曲線を示すグラフである。
図7】例示的な実施形態によるブレーキ圧を決定する別の方法を示す処理フロー図である。
図8】例示的な実施形態による、図1のブレーキシステムに用いられるコンピュータシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、ビークル用のブレーキシステムであって、エネルギー蓄積装置を含むブレーキシステムに関する。エネルギー蓄積装置は、バックアップ動作モード時には、ブレーキシステムにエネルギーを供給するために用いられる。ブレーキシステムは、バックアップ動作モード時には、エネルギー蓄積装置に蓄積されたエネルギーを節約するように動作する。具体的には、ブレーキシステムの制御モジュールは、ビークルの車輪にかかるブレーキ圧を減少させるアンチスキッドコマンドを決定する。アンチスキッドコマンドは、車輪の動的スリップ(dynamic slip)と車輪の目標スリップ値(target slip value)との誤差に基づいて算出される。目標スリップ値は、車輪の理想スリップ値から外れた値であり、ブレーキシステムの制動効率(stopping efficiency)の低下につながる。しかしながら、目標スリップによれば、車輪に作用するブレーキ圧が減少するので、ブレーキシステムが1回のブレーキ操作でエネルギー蓄積装置から消費するエネルギーを減らすことができる。
【0012】
以下の説明は、あくまでも例示であり、本開示を限定したり、その用途又は使用を限定したりすることを意図するものではない。
【0013】
図1を参照すると、ブレーキシステム18を有するビークル10の概略図が示されている。ブレーキシステム18は、ブレーキペダルコマンド部20、制御モジュール22、複数の車輪24(図1では、1つの車輪24だけが示されている)、バルブ26、一方向弁又は逆止め弁28、エネルギー蓄積装置30、ピストン・シリンダ部32及びブレーキスタック(brake stack)34を含む。制御モジュール22は、ブレーキペダルコマンド部20及びバルブ26に電気的に接続されている。バルブ26は、ブレーキシステム18がバックアップ動作モードで動作する間は、ピストン・シリンダ部32をエネルギー蓄積装置30に流体接続する。なお、バックアップ動作モードの詳細については、後述する。エネルギー蓄積装置30は、ブレーキシステム18の要求に応じてエネルギーの蓄積及び放出を行うよう構成された任意の種類のデバイスである。例えば、図示した実施形態では、エネルギー蓄積装置30は、加圧された油圧ブレーキ流体をエネルギーとして蓄積及び放出するよう構成されたアキュムレータ30Aである。エネルギー蓄積装置30は、ブレーキシステム18の油圧動力が失われた場合には、予備のエネルギー供給源として機能する。後述するように、エネルギー蓄積装置30が予備のエネルギー供給源として使用される場合は、ブレーキシステム18は、エネルギー蓄積装置30に蓄積されたエネルギーを節約すべく、ブレーキシステム18が実行するアンチスキッド制御を制限する。
【0014】
限定するものではないが、図1に示す実施形態では、ブレーキシステム18は、油圧ブレーキ流体を使用しており、エネルギー蓄積装置30は、アキュムレータ30Aである。アキュムレータ30Aは、加圧された油圧ブレーキ流体を流体エネルギーとして蓄積及び放出するよう構成されている。アキュムレータ30Aの例としては、限定するものではないが、圧縮ガスアキュムレータ(ブラダ形アキュムレータとも言う)、又は、ばね式アキュムレータが含まれる。なお、図1では、油圧ブレーキ流体を用いるブレーキシステム18を示しているが、ブレーキシステム18が油圧式に限定されないことは理解されよう。例えば、別の実施形態では、ブレーキシステム18は、電子ブレーキシステムである。また、エネルギー蓄積装置30も、アキュムレータ30Aに限定されるものではない。代わりに、エネルギー蓄積装置30は、限定するものではないが、例えば、バッテリ、コンデンサ又はフライホイールなど、エネルギーを蓄積及び放出するよう構成された任意のデバイスでもよい。
【0015】
一実施形態では、ビークル10は、航空機182(図5を参照)であり、油圧式ブレーキシステム18及びアキュムレータ30Aを含む。ただし、ブレーキシステム18が、供給動力に限りのある動力源(即ち、エネルギー蓄積装置30)で動作する他の種類のビークルにも利用可能なことは理解されよう。また、図1は、1つのブレーキシステム18のみを示しているが、実際の航空機は、複数のブレーキシステム18を含みうる。例えば、航空機の左右の車輪に対して別々のブレーキシステムを含む航空機もある。
【0016】
ブレーキシステム18は、さらに、供給圧力管40、戻り圧力管42及びブレーキライン管44を含む。供給圧力管40は、逆止め弁28及びエネルギー蓄積装置30に流体接続されており、ブレーキライン管44は、ピストン・シリンダ部32に流体接続されている。バルブ26は、ブレーキライン管44を供給圧力管40又は戻り圧力管42のいずれかに流体接続するよう構成されている。バルブ26が供給圧力管40をブレーキライン管44に流体接続すると、ピストン・シリンダ部32に加圧ブレーキ流体が供給される。逆止め弁28は、ブレーキ流体がバルブ26とは逆方向に流れるのを阻止する。
【0017】
ブレーキスタック34は、1つ以上のロータ50及び1つ以上のステータ52を含んでおり、ロータ50は、車輪24とともに回転する。ピストン・シリンダ部32は、ピストン54、シリンダ56及び付勢要素66を含み、ピストン54は、シリンダ56内において前後に直線的に並進するよう構成されている。図示の実施形態では、付勢要素66は、コイルばねである。バルブ26が供給圧力管40をブレーキライン管44に流体接続すると、ピストン・シリンダ部32に加圧ブレーキ流体が供給されるので、付勢要素66による付勢力にピストン54が打ち勝つ。ピストン54が付勢力に打ち勝つと、ピストン54は、シリンダ56内をブレーキスタック34に向かって並進する。ピストン54は、ブレーキスタック34に向かって移動を続け、最終的に、ピストン54の端部60がブレーキスタック34に当接して、圧縮力を加える。ブレーキスタック34が圧縮されると、ロータ50とステータ52との各間に、車輪24の回転に抵抗する摩擦力が発生する。
【0018】
ブレーキシステム18は、さらに、車輪速度センサ70、ブレーキ圧力トランスデューサ72及びアキュムレータ圧力トランスデューサ74を含み、それぞれが制御モジュール22に電気的に接続されている。車輪速度センサ70は、車輪24の回転速度を測定する。この測定値を、車輪速度80と呼ぶ。ブレーキ圧力トランスデューサ72は、ブレーキライン管44の流体圧を測定して、比例電気信号を生成する。この信号を、ブレーキ圧信号82と呼ぶ。アキュムレータ圧力トランスデューサ74は、エネルギー蓄積装置30(即ち、アキュムレータ30A)の流体圧を測定して、アキュムレータ圧信号を生成する。この信号を、エネルギー蓄積レベル84と呼ぶ。その理由は、アキュムレータ圧の減少は、アキュムレータ30Aに蓄積されたエネルギー量の減少を示すからである。
【0019】
制御モジュール22は、車輪速度80、ブレーキ圧信号82及びエネルギー蓄積レベル84を入力として受け取る。加えて、制御モジュール22は、入力コマンド86をブレーキペダルコマンド部20から受け取る。入力コマンド86は、ブレーキシステム18から要求された制動力の大きさを表す。例えば、ブレーキペダルコマンド部20がブレーキペダルの場合、操作者がブレーキペダルを押下することによって、制御モジュール22が受け取る入力コマンド86が生成される。制御モジュール22は、バルブ26に送られるブレーキ圧コマンド88を決定する。ブレーキ圧コマンド88は、バルブ26に命令して、ブレーキシステム18に供給される流体圧を増加又は減少させる。具体的には、バルブ26は、供給圧力管40及びエネルギー蓄積装置30をブレーキライン管44に流体接続することで、ブレーキシステムに供給される流体圧を増加させることができる。また、バルブ26は、戻り圧力管42をブレーキライン管44に流体接続することで、ブレーキシステム18に供給される流体圧を減少させることができる。例えば、限定するものではないが、一実施形態では、バルブ26は、サーボ弁であり、ブレーキ圧コマンド88は、ミリアンペア信号(milliamp signal)である。
【0020】
次に、ブレーキシステム18のバックアップ動作モードについて説明する。具体的には、ブレーキシステム18において有効な動力が失われると、制御モジュール22は、バックアップ動作モードを実行する。具体的には、制御モジュール22は、エネルギー蓄積装置30に機能接続されている。バックアップ動作モード時には、制御モジュール22は、バルブ26に命令して、エネルギー蓄積装置30をブレーキライン管44に流体接続させる。例えば、ブレーキシステム18が油圧ブレーキ流体を利用する構成であれば、アキュムレータ30Aは、ブレーキシステム18に供給される有効な油圧流体の圧力が失われた場合に、バックアップの流体エネルギー源として使用される。
【0021】
しかしながら、エネルギー蓄積装置30は、例えば、油圧ブレーキ流体などのエネルギーを、固定量、つまり限られた量だけ蓄積しているに過ぎない。同様に、ブレーキシステム18が電動ブレーキシステムの場合は、バッテリは、電力への変換が容易な化学エネルギーを限られた量だけ蓄積しているに過ぎない。本開示のバックアップ動作モードでは、ブレーキシステム18に限定的なアンチスキッド制御を行うよう命令するので、エネルギー蓄積装置30に蓄積されたエネルギーを節約することができる。具体的には、バックアップ動作モードでは、ブレーキシステム18に供給されるブレーキ流体圧の動的な変化を制限する。これにより、エネルギー蓄積装置30に蓄積されたエネルギー(即ち、油圧ブレーキ流体、化学エネルギーなど)を節約することができる。
【0022】
図2は、制御モジュール22によりアンチスキッドコマンド90を算出する手法を示すブロック図100である。アンチスキッドコマンド90は、車輪速度80から導出される。アンチスキッドコマンド90は、ビークル10が停止する際に、複数の車輪24に作用させるブレーキ圧を減少させ、アンチスキッド制御を実行する。ただし、アンチスキッドコマンド90により実行されるアンチスキッド制御では、従来のアンチスキッドシステムに比べて制御量が低減される。図2を再度参照すると、ブロック図100は、スリップ算出ブロック103、目標スリップブロック104、積分ゲインki、比例ゲインkp及び積分器108を含む。
【0023】
図1及び図2を参照すると、制御モジュール22は、ビークル10の車輪24が路面に沿って回転し始めると、ブレーキ圧コマンド88を動的に算出する。例えば、ビークル10が航空機であれば、制御モジュール22は、車輪24が滑走路面に沿って回転し始めると、ブレーキ圧コマンド88を動的に算出する。制御モジュール22は、車輪24が地表面に沿って回転するのに伴って、車輪回転数Wを入力として受け取るか、或いは、車輪速度80に基づいてこれを算出する。制御モジュール22は、実速度102も入力として受け取る。例えば、ビークル10が航空機であれば、実速度102は、対地速度信号である。
【0024】
引き続き図1及び図2を参照すると、スリップ算出ブロック103では、車輪回転数W及び実速度102に基づいて、複数の車輪24の動的スリップ112を算出する。具体的には、一実施例では、スリップ算出ブロック103では、下記の式1に基づいて動的スリップ112を算出する。

動的スリップ112=(実速度信号102-R×W)/実速度信号102

式中、Rは、ビークル10の複数の車輪24におけるタイヤ94のタイヤ回転半径を表す。算出された動的スリップ112は、加算部114に送られる。加算部114は、複数の車輪24の動的スリップ112及び目標スリップ値116を入力として受け取る。目標スリップ値116は、複数の車輪24の理想スリップ値から外れた値であり、よって、目標スリップ値116は、スリップオフセット(slip offset)とも呼ばれる。図3を参照して後述するように、目標スリップ値116は、理想スリップ値と比較すると、ブレーキシステム18のブレーキ効率(braking efficiency)を低下させる。なお、目標スリップ値116は、複数の車輪24に装着されているタイヤ94の種類によって決まる固定値である。タイヤ94の種類は、例えば、クロスプライタイヤ又はラジアルタイヤのいずれかであるベルト構成、及び、サイドウォール構成などの特性に依存する。したがって、車輪24に装着されたタイヤ94が変更されれば、目標スリップ値116も更新される。
【0025】
図3は、例示的な摩擦-スリップ曲線130を示す。なお、摩擦-スリップ曲線130は、あくまでも説明のために示しているに過ぎず、摩擦-スリップ曲線130が制御モジュール22には既知でない場合もある。この摩擦-スリップ曲線の形状132は、特定の種類のタイヤ94(図1)に基づくものである。摩擦-スリップ曲線130におけるx軸は、タイヤスリップを表し、y軸は、ブレーキ効率を表す。限定するものではないが、図3に示す例では、理想スリップ点134は、摩擦-スリップ曲線130における最大ブレーキ効率に相当する点を表す。一実施形態では、理想スリップ点134に相当するブレーキ効率は、約12%である。目標スリップ点136は、理想スリップ点134からずれた位置にある。例えば、図示の実施形態では、目標スリップ点136は、約8~10%のブレーキ効率に相当する。理想スリップ点134と目標スリップ点136との差分は、ブレーキ効率の低下140を表す。
【0026】
図1及び図3を参照すれば、ブレーキ効率の低下140により、ブレーキシステム18の制動効率が低下することが理解されよう。換言すると、目標スリップ点136では、ブレーキシステム18がビークル10を停止させる際の性能パラメータが低下する。ブレーキ性能パラメータの例には、限定するものではないが、制動距離及び制動時間が含まれる。ビークル10が停止までに要する時間又は距離が長すぎると、様々な悪条件が発生する可能性がある。したがって、制御モジュール22は、ブレーキシステム18がビークル10を閾値時間及び閾値距離の範囲内で停止させるように目標スリップ点136を選択する。例えば、ビークル10が航空機であれば、閾値時間及び閾値距離は、着陸時に航空機が滑走路から外れないことを保証する値である。したがって、図2に示す目標スリップ値116は、理想スリップ値の場合と比較して、ブレーキシステム18の制動距離及び制動時間が大きくなることを意味する。しかしながら、目標スリップ値116では、ブレーキシステム18の1回の操作につき、ブレーキシステム18がエネルギー蓄積装置30から消費するエネルギーを減らすことができる。
【0027】
図1及び図2を参照すると、加算部114は、動的スリップ112を目標スリップ値116と比較することにより、スリップ誤差148を特定する。ここで、スリップ誤差148は、動的スリップ112と目標スリップとの差分である。次いで、スリップ誤差148は、アンチスキッドコマンド90を決定するために、比例積分(PI)コントローラ150に渡される。PIコントローラ150は、比例ゲインkp、積分ゲインki、及び、積分器108を有する。
【0028】
比例ゲインkpをスリップ誤差148と組み合わせれば、スリップ誤差148が一定のとき、アンチスキッドコマンド90の値を比例的に増加させることができる。比例ゲインkpの値が大きいほど、アンチスキッドコマンド90からスリップ誤差148をより迅速に排除することができる。比例ゲインkpは、ブレーキシステムの力学系(即ち、バルブ、タイヤ、油圧)及びビークル10の構造力学系に基づく。ビークル10が航空機であれば、比例ゲインkpは、空力及び路面反動(ground reaction)にも基づく。路面反動は、航空機に作用する摩擦及び鉛直力に関係する。制御モジュール22は、スリップ誤差148を比例ゲインkpと組み合わせて、加算部162に送られる比例値160を取得する。
【0029】
積分ゲインkiは、制御モジュール22のメモリ1034(図8)に格納された固定値である。或いは、積分ゲインkiは、関数であってもよいし、ルックアップテーブルに基づいて決定されてもよい。積分ゲインkiにより、ブレーキシステム18の所与の作用についてのスリップ誤差148の定常率(steady-state rate)を小さくすることができる。積分ゲインkiの値が大きいほど、アンチスキッドコマンド90からスリップ誤差148をより迅速に排除することができる。なお、積分ゲインkiを増加させることにより、比例ゲインkpを絶えずコマンドすることなく、ブレーキシステム18がスキッドを迅速に調整できることは理解されよう。制御モジュール22は、スリップ誤差148を積分ゲインkiと組み合わせて、第1積分値164を得る。第1積分値164は、積分器108により積分され、その結果である第2積分値168が加算部162に送られる。
【0030】
加算部162は、比例値160と第2積分値168を組み合わせて、アンチスキッドコマンド90を取得する。図2に示すように、ブレーキ圧コマンド88は、入力コマンド86及びアンチスキッドコマンド90に基づいて決定される。具体的には、制御モジュール22は、アンチスキッドコマンド90と入力コマンド86との差分に基づいてブレーキ圧コマンド88を決定する。ここで、ブレーキ圧コマンド88は、ビークル10の複数の車輪24にブレーキスタック34が作用させる圧縮力の大きさを表す。
【0031】
図4を参照すると、バックアップ動作モード時にアンチスキッドコマンド90を決定する方法200を示す例示的な処理フロー図が示されている。図1図2及び図4を参照すると、方法200は、先ず、判定ブロック202を含む。判定ブロック202において、制御モジュール22は、ブレーキシステム18がバックアップ動作モードで動作中であるか判定する。上述したように、バックアップ動作モードは、エネルギー蓄積装置に蓄積されたエネルギーを節約するモードである。ブレーキシステム18がバックアップ動作モードで動作していれば、方法200は、次に、ブロック204に進む。
【0032】
ブロック204において、制御モジュール22は、ブレーキシステム18がバックアップ動作モードで動作しているとの判定に続き、複数の車輪24の動的スリップ112(図2を参照)を算出する。次いで、方法200は、ブロック206に進む。
【0033】
ブロック206では、制御モジュール22は、動的スリップ112を目標スリップ値116と比較することで、スリップ誤差148を特定する。ここで、目標スリップ値116は、複数の車輪24の理想スリップ値より小さい値であり、理想スリップ値の場合と比較してブレーキ効率を低下させる。
【0034】
一実施形態では、ブロック206Aにおいて、制御モジュール22は、スリップ誤差148を特定する。具体的には、ブロック206Aにおいて、制御モジュール22は、複数の車輪24の車輪回転数W及びビークル10の実速度102に基づいてスリップ誤差148を特定する。一実施形態では、制御モジュールは、上述の式1に基づいてスリップ誤差148を算出する。次いで、方法200は、ブロック208に進む。
【0035】
特に図2及び図4を参照すると、ブロック208Aにおいて、制御モジュール22は、スリップ誤差148を比例ゲインkpと組み合わせて、比例値160を取得する。上述したように、比例ゲインkpをスリップ誤差148と組み合わせることで、スリップ誤差148が一定のとき、アンチスキッドコマンド90の値を比例的に増加させることができる。
【0036】
ブロック208Bにおいて、制御モジュール22は、スリップ誤差148を積分ゲインkiと組み合わせて、第1積分値164を取得する。また、制御モジュール22は、第1積分値164を積分して、第2積分値168を取得する。次いで、方法200は、ブロック210に進む。
【0037】
ブロック210では、制御モジュール22は、スリップ誤差148に基づいてアンチスキッドコマンド90を算出する。ここで、アンチスキッドコマンド90は、複数の車輪24に作用するブレーキ圧を減少させるコマンドである。ブロック210Aに示すように、制御モジュール22は、比例値160を第2積分値168と組み合わせることで、アンチスキッドコマンド90を決定する。次いで、方法200は、ブロック212に進む。
【0038】
ブロック212では、制御モジュール22は、アンチスキッドコマンド90と入力コマンド86との差分に基づいてブレーキ圧コマンド88を決定する。ここで、入力コマンド86は、ブレーキシステム18から要求された制動力の大きさを示す。方法200は、次いで、ブロック204に戻るか、或いは、方法200は、ここで終了する。
【0039】
次に、図5を参照して、ブレーキ圧コマンド88を決定する別の手法を説明する。図5に示す例示的な実施形態では、複数の車輪24は、一組の車輪180のうちの一部である。例えば、一実施形態において、一組の車輪24は、航空機182における一組の降着装置である。なお、大型の航空機の中には、複数組の降着装置を含むものもある。例えば、大型の航空機の中には、5組の降着装置を含むものもある。限定するものではないが、図示の実施形態では、一組の降着装置は、4つの車輪24を含む。各車輪24は、それぞれに対応する車輪速度センサ70によって監視される。
【0040】
引き続き図5を参照すると、一組の車輪24のうちの1つの車輪24を観察対象車輪24Aとして指定する。観察対象車輪24Aを監視することにより、摩擦-スリップ係数μが決定される。なお、図示では、左上の車輪24が観察対象車輪24Aとして指定されているが、これは、あくまでも例示であって、いずれの車輪24を観察対象車輪24Aとして指定してもよい。また、複数組の車輪180がある場合、各組について観察対象車輪24Aが指定される。例えば、5組の降着装置を有する航空機であれば、5つの観察対象車輪24Aが指定される。
【0041】
制御モジュール22は、車輪24が路面に沿って回転中であると判定すると、指定された観察対象車輪24Aだけに適用される第1ブレーキ圧コマンド188を決定する。なお、第1ブレーキ圧コマンド188は、理想スリップ値に基づいて決定される。具体的には、図3を参照すると、第1ブレーキ圧コマンド188は、摩擦-スリップ曲線130上の理想スリップ点134に基づいて決定されるのであって、目標スリップ点136に基づいて決定されるのではない。したがって、第1ブレーキ圧コマンド188では、ブレーキ効率の低下140(図3を参照)は発生しない。
【0042】
制御モジュール22は、観察対象車輪24Aの車輪速度センサ70Aから車輪速度80を入力として受け取る。制御モジュール22は、さらに、航空機182の対地速度信号などの実速度102を受け取る。制御モジュール22は、観察対象車輪24Aの車輪速度80と実速度102との差分を特定する。詳細については後述するが、制御モジュール22は、観察対象車輪24Aの車輪速度80と実速度102との差分に基づいて、観察対象車輪24Aにおけるスキッド状態190(図6Cに示す)の開始時点を特定する。制御モジュール22は、スキッド状態190の開始を検知すると、第1ブレーキ圧コマンド188を減少させ、これにより、観察対象車輪24Aをスキッド状態190から回復させる。観察対象車輪24Aが少なくとも1回でもスキッド状態に入ると、制御モジュール22は、第2ブレーキ圧コマンド189を算出し、これを、1組の車輪180における他の車輪24に適用する。
【0043】
図6Aは、スキッド状態190にある観察対象車輪24Aのブレーキ圧196(即ち、図1のブレーキ圧信号82)を示すグラフである。図6B及び図6Cは、スキッド状態190にある観察対象車輪24Aのブレーキトルク198及び観察対象車輪24Aの車輪速度80を示すグラフである。図6Dは、指定された観察対象車輪24Aがスキッド状態190に入る場合の例示的な摩擦-スリップ曲線230を示すグラフである。図6A図6Dに示す各グラフは、動作点1、動作点2、動作点3及び動作点4として示す4つの動作点を含む。図6Aに示すように、観察対象車輪24Aのブレーキ圧196は、動作点1、動作点2及び動作点3の間で増加している。図6Cに示すように、観察対象車輪24Aは、動作点3と動作点4の間でスキッド状態190に入る。しかしながら、観察対象車輪24Aは、動作点4の後、スキッド状態190から回復する。
【0044】
図1図5図6A及び図6Cを参照すると、制御モジュール22は、第1ブレーキ圧コマンド188の値を増加させ、これにより、観察対象車輪24Aのブレーキ圧196を増加させる(図6A)。制御モジュール22は、スキッド状態190が検知される(動作点3と動作点4の間)まで、第1ブレーキ圧コマンド188の値を継続的に増加させる。第1ブレーキ圧コマンド188を増加させた結果、ブレーキトルクが増加し(図6Bを参照)、観察対象車輪24Aの車輪速度80が低下する(図6Cを参照)。
【0045】
図1図5図6A及び図6Cを参照すると、制御モジュール22は、観察対象車輪24Aの車輪速度80とビークル10の実速度102(即ち、航空機の対地速度)との差分に基づいて、スキッド状態190の開始を判定する。具体的には、制御モジュール22は、観察対象車輪24Aの車輪速度80とビークル10の実速度102(即ち、航空機の対地速度)との速度差分を特定する。観察対象車輪24Aの車輪速度80とビークル10の実速度102との速度差分が、差分閾値を超えていれば、制御モジュール22は、観察対象車輪24Aがスキッド状態190に入ったと判定する。速度差分の閾値は、観察対象車輪24Aが地表面に対してスリップして、速度が急激に低下する状態に相当する。図6Cは、スキッド状態190にある観察対象車輪24Aの車輪速度80が急激に低下する様子を示している。具体的には、図6Cにおいて、動作点3及び動作点4を結ぶ線分300は、スキッド状態190において生じた車輪速度80の急激な低下を表す。動作点1、動作点2及び動作点3を結ぶ線分304は、スキッド状態190前であって、ビークル10が停止しつつあるときの車輪速度80を表す。スキッド状態190でスリップした観察対象車輪24Aを表す線分300の勾配は、線分304の勾配の少なくとも二倍である。
【0046】
制御モジュール22は、スキッド状態190の開始を検知すると、第1ブレーキ圧コマンド188の値を減少させる。図5及び図6Cを参照すると、制御モジュール22は、観察対象車輪24Aがスキッド状態190から回復するまで、第1ブレーキ圧コマンド188を継続的に減少させる。図6Cに示すように、観察対象車輪24Aがスキッド状態190から回復すると、観察対象車輪24Aの車輪速度80は、実速度102と概ね等しくなる。この状態を、スキッド回復状態(skid recovery condition)240と呼ぶ。なお、図6Cでは、スキッド状態190は1回のみ示されているが、観察対象車輪24Aのスキッド状態は、航空機182が停止するまでに複数回発生する可能性がある。しかしながら、説明を簡単にするために、図6A図6Cでは、スキッド状態190を1回のみ示している。
【0047】
図6Dを参照すると、摩擦-スリップ曲線230上の動作点1、2、3及び4は、図6A図6Cにおける動作点1、2、3及び4に対応する。上述したように、この特定の摩擦-スリップ曲線230は、経験的データに基づくものであり、指定された観察対象車輪24Aに用いられているタイヤ94(図5)の種類に依存する。なお、観察対象車輪24Aがスキッド状態に入るのに伴って、観察対象車輪24Aは、理想スリップ値を発生させる。具体的には、図3図5図6C及び図6Dを参照すると、(図6Dに示す)摩擦-スリップ曲線230上の動作点4において、摩擦-スリップ係数μの実効値は、理想スリップ点134と一致する。換言すると、摩擦-スリップ係数μは、観察対象車輪24Aがスキッド状態190に入るときに、理想スリップ点134を示す。特に図3図6C及び図6Dを参照すると、観察対象車輪24Aの車輪速度80が(動作点4において)最小値である時、摩擦-スリップ係数μの実効値は、理想スリップ点134と等しくなる。
【0048】
図5及び図6A図6Dを参照すると、制御モジュール22は、観察対象車輪24Aのスキッド状態190が開始したと判定すると、他の車輪24に適用する第2ブレーキ圧コマンド189を決定する。例えば、図5に示す実施形態では、第2ブレーキ圧コマンド189は、他の3つの車輪24に適用される。制御モジュール22は、第2ブレーキ圧コマンド189を目標スリップ値116に基づいて決定する。ここで、目標スリップ値116は、理想スリップ値から外れた値であって、ブレーキシステム18のブレーキ効率を低下させる。具体的には、図3に示して説明したように、目標スリップ点136は、理想スリップ点134から外れた値であって、ブレーキ効率の低下140を発生させるものである。次いで、この第2ブレーキ圧コマンド189は、残りの車輪24に適用される。
【0049】
図5を参照すると、一実施形態において、制御モジュール22は、第2ブレーキ圧コマンド189をパラメトリック信頼値(parametric confidence value)の分、引き下げることによって、引き下げ後第2ブレーキ圧コマンド270を決定する。パラメトリック信頼値は、一組の車輪180における各車輪24の間で異なる1つ以上の動作条件を表す。一実施形態において、異なる動作条件として、路面の摩擦、ブレーキの摩耗量、タイヤの摩耗量、ブレーキシステム18作動中のビークル速度、及び、ブレーキトルクゲインが含まれる。例えば、ある車輪24が、他の車輪24とは異なる係数の摩擦を受ける可能性がある。具体的には、車輪24のうちの1つが、滑走路の滑りやすい部分、或いは、凍結した部分を通過し、他の車輪24は、滑走路の乾いた部分を通過する場合がありうる。限定するものではないが、一実施形態では、パラメトリック信頼値は、第2ブレーキ圧コマンド189を、約10%引き下げる。ただし、この値は、単なる例示に過ぎない。
【0050】
図7は、図5に示した航空機182における他の車輪24に適用する第2ブレーキ圧コマンド189を決定するための方法400を示す例示的なフロー図である。概して、図1図5図6A図6D及び図7を参照すると、方法400は、先ず判定ブロック402を含む。判定ブロック402において、制御モジュール22は、ブレーキシステム18がバックアップ動作モードで動作中であるか判定する。ブレーキシステム18がバックアップ動作モードで動作中であれば、方法400は、ブロック404に進む。
【0051】
ブロック404において、ブレーキシステム18がバックアップ動作モードで動作中であるとの判定を受けて、第1ブレーキ圧コマンド188を観察対象車輪24A(図5を参照)に適用する。次いで、方法400は、ブロック406に進む。
【0052】
ブロック406において、制御モジュール22は、観察対象車輪24Aに第1ブレーキ圧コマンド188を適用した状態で、観察対象車輪の車輪速度80及びビークル182の実速度102を監視する。ビークル10が、例えば、図5に示す航空機182などの航空機であれば、実速度102は、対地速度に相当する。図5及び図6Aを参照すると、制御モジュール22は、第1ブレーキ圧コマンド188の値を継続的に引き上げながら、観察対象車輪24Aの車輪速度80及びビークル10の実速度102を監視する。次いで、方法400は、ブロック408に進む。
【0053】
判定ブロック408において、制御モジュール22は、観察対象車輪24Aの車輪速度80及びビークル10の実速度102に基づいて、観察対象車輪24Aのスキッド状態190が開始したか判定する(図6C参照)。図6C及び図6Dに示すように、スキッド状態190の間、観察対象車輪24Aは理想スリップ値(即ち、理想スリップ点134)を生成する。例えば、上述したように、制御モジュール22は、指定した観察対象車輪24Aの車輪速度80と実速度102との差分が、差分閾値を超えていると判定した場合に、観察対象車輪24Aのスキッド状態190が開始したと判定する。
【0054】
観察対象車輪24Aのスキッド状態190が開始していなければ、方法400は、ブロック406に戻る。反対に、観察対象車輪24Aの車輪速度80及びビークル10の実速度102に基づいて、観察対象車輪24Aのスキッド状態が開始したと制御モジュール22が判定した場合には、方法400は、ブロック410及びブロック414に同時に進む。
【0055】
ブロック410において、制御モジュール22は、観察対象車輪24Aのスキッド状態190が開始したとの判定に続き、目標スリップ値に基づいて第2ブレーキ圧コマンド189を決定する。ここで、目標スリップ値は、理想スリップ値から外れた値であり、ブレーキシステム18のブレーキ効率を低下させる。次いで、方法400は、ブロック412に進む。
【0056】
ブロック412において、制御モジュール22は、複数の車輪24における他の車輪に第2ブレーキ圧コマンド189を適用する。例えば、図5に示す実施形態では、第2ブレーキ圧コマンド189は、他の3つの車輪24に適用される。
【0057】
次に、ブロック414及びブロック416について説明する。ブロック414において、制御モジュール22は、観察対象車輪24Aのスキッド状態190が開始したとの判定に続き、第1ブレーキ圧コマンド188の値を減少させる。次いで、方法400は、ブロック416に進む。
【0058】
判定ブロック416において、制御モジュール22は、観察対象車輪24Aの車輪速度80がビークル10の実速度102と概ね等しいか判定する。車輪速度80が実速度102と概ね等しい状態でなければ、方法は、ブロック414に戻り、第1ブレーキ圧コマンド188をさらに減少させる。反対に、観察対象車輪24Aの車輪速度80がビークル10の実速度102と概ね同じであれば、スキッド回復状態240が達成されたことになる(図6Cを参照)。よって、方法は、新たにスキッド状態190を発生するブロック404に戻る。或いは、ビークル10が停止すれば、方法400は、終了する。
【0059】
概して図1図7を参照すると、本開示は、ブレーキシステムのエネルギー蓄積装置について様々な技術的効果及び利点を実現する。具体的には、本開示のブレーキシステムは、バックアップ動作モードにおける1回のブレーキ動作につき使用するエネルギーが、従来のブレーキシステムに比べて少ない。これにより、エネルギー蓄積装置に蓄積されたエネルギーを節約することができる。したがって、本開示のエネルギー蓄積装置は、いくつかの態様において、従来の装置よりも小型化及び軽量化することが可能であり、これにより、航空機などのビークルの質量を低減することが可能である。
【0060】
次に、図8を参照すると、制御モジュール22は、例示的なコンピュータシステム1030など、1つ以上のコンピュータ装置又はシステムによって実現可能である。コンピュータシステム1030は、プロセッサ1032、メモリ1034、大容量メモリ装置1036、入出力(I/O)インターフェース1038及びヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)1040を含む。コンピュータシステム1030は、ネットワーク1026又はI/Oインターフェース1038を介して、1つ以上の外部資源1042に機能的に接続される。外部資源としては、限定するものではないが、サーバ、データベース、大容量記憶装置、周辺機器、クラウトベースのネットワークサービス、又は、コンピュータシステム1030による使用が可能な他の適当なコンピュータ資源が含まれる。
【0061】
プロセッサ1032は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、マイクロコンピュータ、中央処理装置、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ、プログラマブル論理デバイス、状態機械、論理回路、アナログ回路、デジタル回路、又は、メモリ1034に格納された処理命令に基づいて(アナログ又はデジタルの)信号を処理可能な他の適当なデバイスのうちから選択された1つ以上のデバイスを含む。メモリ1034は、単一のメモリデバイスで構成されていても、複数のメモリデバイスで構成されていてもよく、メモリデバイスの例としては、リード・オンリ・メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)、フラッシュメモリ、キャッシュメモリ、又は、情報を格納可能な他の適当なデバイスが含まれる。大容量メモリ装置1036は、例えば、ハードドライブ、光ドライブ、テープドライブ、揮発性又は不揮発性の固体装置、或いは、情報を格納可能な他の適当なデバイスなどのデータ記憶装置を含む。
【0062】
プロセッサ1032は、メモリ1034において実現されるオペレーティングシステム1046の制御下で動作する。オペレーティングシステム1046は、コンピュータ資源を管理して、メモリ1034に含まれるアプリケーション1048などの1つ以上のコンピュータソフトウェアアプリケーションとして具体化されたコンピュータプログラムコードの命令を、プロセッサ1032に実行させる。別の実施例では、プロセッサ1032がアプリケーション1048を直接実行する構成でもよく、この場合、オペレーティングシステム1046を省略することができる。メモリ1034には、1つ以上のデータ構造1049も含まれており、プロセッサ1032、オペレーティングシステム1046又はアプリケーション1048によるデータの格納や処理に利用される。
【0063】
I/Oインターフェース1038は、プロセッサ1032を、ネットワーク1026又は外部資源1042などの他のデバイス及びシステムに機能的に接続するマシンインターフェースを提供する。これにより、アプリケーション1048は、ネットワーク1026又は外部資源1042とI/Oインターフェース1038を介して通信することによって互いに連携して、本開示の実施例を構成する様々な特徴、機能、用途、処理又はモジュールを提供することができる。アプリケーション1048は、さらに、1つ以上の外部資源1042によって実行されるプログラムコードを含むか、或いは、コンピュータシステム1030の外部の他のシステム又はネットワークコンポーネントから提供される機能又は信号を利用する。実際のところ、可能なハードウェア構成及びソフトウェア構成は、ほぼ無制限にある。本開示の実施例として、コンピュータシステム1030の外部に配置されたアプリケーション、複数のコンピュータ又は他の外部資源1042に分散されたアプリケーション、或いは、クラウド・コンピューティング・サービスなどのネットワーク1026経由のサービスとして提供されるコンピュータ資源(ハードウェア及びソフトウェア)により提供されるアプリケーションが含まれうることは、当業者には理解されよう。
【0064】
HMI1040は、既知の態様でコンピュータシステム1030のプロセッサ1032に機能的に接続されており、ユーザがコンピュータシステム1030と直接に情報をやり取りすることを可能にする。HMI1040は、映像ディスプレイ又は英数字ディスプレイ、タッチスクリーン、スピーカ、及び、ユーザにデータを提示可能な他の適当な音声及び映像出力装置を含む。HMI1040は、さらに、英数字キーボード、ポインティング・デバイス、キーパッド、押しボタン、操作ノブ、マイクなど、ユーザからコマンドや入力を受け付けて、入力された内容をプロセッサ1032に伝達可能な入力装置及びコントローラを含む。
【0065】
データベース1044は、大容量メモリ装置1036において実現可能であり、本明細書で説明した様々なシステム及びモジュールが使用するデータの収集及び整理に利用される。データベース1044は、データ、及び、当該データを格納及び整理するためのデータ構造を含む。具体的には、データベース1044は、任意のデータベース構成又はデータベース構造で構築可能であり、限定するものではないが、例えば、関係型データベース、階層型データベース、ネットワークデータベース、又は、それらの組み合わせが可能である。データベースの管理システムとしては、プロセッサ1032で実行される命令であるコンピュータソフトウェアアプリケーションを用いることができ、これにより、クエリに応答して、データベース1044のレコードとして記録された情報やデータにアクセスできる。なお、クエリは、オペレーティングシステム1046、他のアプリケーション1048、又は、1つ以上のモジュールにより動的に決定及び実行することができる。
【0066】
本開示の説明は、あくまでも例示を目的としており、本開示の骨子から逸脱しない様々な変形も、本開示の範囲に包含されることを意図している。そのような変形は、本開示の精神及び範囲から逸脱すると解釈されるべきものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8