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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】閉蓋固定構造
(51)【国際特許分類】
   E03F 5/04 20060101AFI20240806BHJP
【FI】
E03F5/04 F
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020118771
(22)【出願日】2020-07-09
(65)【公開番号】P2021021318
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2023-07-07
(31)【優先権主張番号】P 2019138952
(32)【優先日】2019-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】711006234
【氏名又は名称】川崎 勝成
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】川崎 勝成
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特許第6434671(JP,B1)
【文献】実開昭64-016126(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側溝用ブロックの天端に蓋連結用の側溝用固定具を埋設しその上面はブロック表面で露出状態とし、
上蓋用ブロックの側縁底面に側溝用固定具に対応する上蓋用固定具を埋設しその底面はブロック表面で露出状態とし、
側溝用ブロックに上蓋用ブロックを閉蓋した状態で上蓋用固定具と側溝用固定具とを上下当接状態とするように構成し、
しかも、
側溝用固定具は、一側方を開放し天井面にボルト挿通用溝を切欠した中空ケースより構成し、中空ケースの内部はワッシャとボルト頭を収納するためのボルト頭部保持空間に構成し、
上蓋用固定具は、有底筒体より構成し、
筒体の頭部開口部には蓋体を着脱自在に設けると共に筒体の底部には連結ボルト挿通孔を設け、筒体の内部はボルト本体と螺合するための締め付けナット収納空間に構成し
筒体の下部側壁には筒体内に浸入した雨水を排水するための排水窓を設けたことを特徴とする側溝用ブロックと上蓋用ブロックの固定具による閉蓋固定構造。
【請求項2】
側溝用固定具の中空ケースの外底面には下方拡大状のテーパーに形成した側溝用アンカーを垂設し、上蓋用固定具の外周側面には所定間隔を保持して複数のプレート状の板状アンカーを突設したことを特徴とする請求項に記載の側溝用ブロックと上蓋用ブロックの固定具による閉蓋固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、側溝用ブロックに上蓋用ブロックを固定したり取外したりするための側溝用ブロックと上蓋用ブロックの固定具による閉蓋固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、側溝用ブロックを上蓋用ブロックで閉蓋した場合、車両の走行振動等により上蓋用ブロックが側溝用ブロックから位置ズレしたり外れたりすることがあり、これを放置すると歩行者や走行車に思わぬ事故を生じさせる問題がある。
【0003】
かかる問題を未然に防止すべく両ブロックを連結構造を介して固定すること(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)が行われているが、両ブロックの連結構造部分は土中に完全に埋められてしまうためにブロックの取替えや側溝内の清掃等に伴う上蓋用ブロックの取外し固定作業を用意にできない問題があった。
【0004】
かかる問題に対してそれぞれ連結対応する側溝用金具と上蓋用金具とを介して上蓋用ブロックの側溝用ブロックへの簡易な取外し固定作業をせんとする閉蓋固定構造(例えば、特許文献3参照。)が提案されている。
【0005】
かかる閉蓋固定構造は、上蓋用ブロックの上面通水孔の両端位置を基準とした各ブロックの上下相対的位置に各金具をブロックの閉蓋状態で上蓋用ブロックの上面通水孔内に露出させるように埋設し、下方の側溝用金具から上方突出した連結ボルトを上蓋用金具の連結ボルト挿通孔に挿通させ、上面通水孔内に挿入したレンチ等の治具で連結ボルトに締め付けナットを取り付け、両金具を当接接合状態とすることにより側溝ブロックを上蓋ブロックで閉蓋固定できるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実全昭62-089387号公報
【文献】特開2000-291118号公報
【文献】特許第6434671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の閉蓋固定構造ではボルトやナットが、上蓋用ブロックの上面通水孔内で常時露出状態となるために、上面通水孔内を流れ落ちる雨水に曝されて不用意に腐食を進行させ、結果、錆を生起して互いに固着したり部材強度を低下させてしまう問題があった。
【0008】
すなわち、ボルトとナットの腐食劣化により、側溝用ブロックからの上蓋用ブロックの取り外し作業を困難としたり両ブロック同士の閉蓋固定状態を脆弱にしてしまったりする虞があった。
【0009】
本発明は側溝用ブロックに上蓋用ブロックを固定したり取外したりするために両ブロックに適合する所定構造の固定具を介して取外し固定作業が容易に行えることは勿論、ボルト及びナットの腐食劣化を可及的防止できる側溝用ブロックと上蓋用ブロックの固定具による閉蓋固定構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記従来の課題を解決するために、本発明では、側溝用ブロックの天端に蓋連結用の側溝用固定具を埋設しその上面はブロック表面で露出状態とし、上蓋用ブロックの側縁底面に側溝用固定具に対応する上蓋用固定具を埋設しその底面はブロック表面で露出状態とし、側溝用ブロックに上蓋用ブロックを閉蓋した状態で上蓋用固定具と側溝用固定具とを上下当接状態とするように構成し、しかも、側溝用固定具は、一側方を開放し天井面にボルト挿通用溝を切欠した中空ケースより構成し、中空ケースの内部はワッシャとボルト頭を収納するためのボルト頭部保持空間に構成し、上蓋用固定具は、有底筒体より構成し、筒体の頭部開口部には蓋体を着脱自在に設けると共に筒体の底部には連結ボルト挿通孔を設け、筒体の内部はボルト本体と螺合するための締め付けナット収納空間に構成したことを特徴とする側溝用ブロックと上蓋用ブロックの固定具による閉蓋固定構造を提供するものとする。
【0011】
また、筒体の下部側壁には筒体内に浸入した雨水を排水するための排水窓を設けたことに特徴を有する。
【0012】
また、側溝用固定具の中空ケースの外底面には下方拡大状のテーパーに形成した側溝用アンカーを垂設し、上蓋用固定具の外周側面には所定間隔を保持して複数のプレート状の板状アンカーを突設したことに特徴を有する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、側溝用ブロックの天端に蓋連結用の側溝用固定具を埋設しその上面はブロック表面で露出状態とし、上蓋用ブロックの側縁底面に側溝用固定具に対応する上蓋用固定具を埋設しその底面はブロック表面で露出状態とし、側溝用ブロックに上蓋用ブロックを閉蓋した状態で上蓋用固定具と側溝用固定具とを上下当接状態とするように構成し、しかも、側溝用固定具は、一側方を開放し天井面にボルト挿通用溝を切欠した中空ケースより構成し、中空ケースの内部はワッシャとボルト頭を収納するためのボルト頭部保持空間に構成し、上蓋用固定具は、有底筒体より構成し、筒体の頭部開口部には蓋体を着脱自在に設けると共に筒体の底部には連結ボルト挿通孔を設け、筒体の内部はボルト本体と螺合するための締め付けナット収納空間に構成したため、各ブロックに埋設した側溝用固定具と上蓋用固定具とを当接接合することにより各ブロック同士の確実な接合が行われて側溝用ブロックから上蓋用ブロックが不用意に外れる虞がない。
【0014】
すなわち、側溝用ブロックに上蓋用ブロックを閉蓋した状態で、側溝用固定具のの中空ケース内で上蓋用固定具の連結ボルト挿通孔を介して上蓋用締結具のナット収容空間内にボルト本体を上方突出させ、該連結ボルトに筒体内側で締付けナットを螺着することにより、側溝用ブロックのブロック表面に上蓋用ブロックのブロック表面を密着接合状態とした閉蓋固定を行うことができる効果がある。
【0015】
しかも、両ブロックの各ブロックの閉蓋固定後には、上蓋用固定具の筒体の頭部開口部を蓋体により閉蓋することによりナット収納空間への雨水の浸入を可及的防止し、ボルトやナットが雨水により曝されて腐食劣化することを防止することができる。
【0016】
従って、両ブロックを各固定具を介して長期間閉蓋固定状態にした場合であっても連結ボルトと締付けナットの部材状態を良好とし、側溝用ブロック内の点検時等で側溝用ブロックから上蓋用ブロックを取り外す必要が生じた際には上蓋用固定具の蓋体を取り外して筒体内部の連結ボルトから締付けナットを簡単に取り外すことができ、側溝用ブロックから上蓋用ブロックを簡単に取り外すことができる効果がある。
【0017】
また、請求項の発明によれば、筒体の下部側壁には筒体内に浸入した雨水を排水するための排水窓を設けたため、筒体内部に雨水を不用意に貯溜させてボルト及びナットを水に曝すことなくボルト及びナットの腐食劣化を可及的防止することができる効果がある。
【0018】
また、上蓋用固定具の筒体の頭部開口部から小石や土、砂利等が筒体内部へ不用意に侵入しても、同砂利等を筒体内に堆積させることなく排水窓から排出でき、同砂利等がナットの締付け取り外し作業の障害となることを防止できる効果がある。
【0019】
また、請求項の発明によれば、側溝用固定具の中空ケースの外底面には下方拡大状のテーパーに形成した側溝用アンカーを垂設し、上蓋用固定具の外周側面には所定間隔を保持して複数のプレート状の板状アンカーを突設したため、各固定具を各ブロックに確実に埋設固定することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る閉蓋固定構造を備えた側溝用ブロックと上蓋用ブロックの構成を示す模式的全体斜視図である。
図2】本発明に係る上蓋用ブロックの構成を示す部分拡大平面図及び部分拡大底面図である。
図3】本発明に係る側溝用固定具及び上蓋用固定具の構成を示す斜視図である。
図4】本発明に係る側溝用固定具の構成を示す正面図及び縦断面図である。
図5】本発明に係る上蓋用金具の構成を示す正面図及び縦断面図である。
図6】本発明に係る閉蓋固定構造を備える上蓋用ブロックを成型するための型枠と上蓋用固定具との関係を示す模式的斜視図である。
図7】他の実施例に係る閉蓋固定構造の構成を示す斜視図及び平面図である。
図8】他の実施例に係る閉蓋固定構造の構成を示す側面図及び底面図である。
図9】他の実施例に係る閉蓋固定構造の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
この発明の要旨は、側溝用ブロックの天端に蓋連結用の側溝用固定具を埋設しその上面はブロック表面で露出状態とし、上蓋用ブロックの側縁底面に側溝用固定具に対応する上蓋用固定具を埋設しその底面はブロック表面で露出状態とし、側溝用ブロックに上蓋用ブロックを閉蓋した状態で上蓋用固定具と側溝用固定具とを上下当接状態とするように構成し、しかも、側溝用固定具は、一側方を開放し天井面にボルト挿通用溝を切欠した中空ケースより構成し、中空ケースの内部はワッシャとボルト頭を収納するためのボルト頭部保持空間に構成し、上蓋用固定具は、有底筒体より構成し、筒体の頭部開口部には蓋体を着脱自在に設けると共に筒体の底部には連結ボルト挿通孔を設け、筒体の内部はボルト本体と螺合するための締め付けナット収納空間に構成したことを特徴とする側溝用ブロックと上蓋用ブロックの固定具による閉蓋固定構造としたことにある。
【0022】
また、筒体の下部側壁には筒体内に浸入した雨水を排水するための排水窓を設けたことにも特徴を有する。
【0023】
また、側溝用固定具の中空ケースの外底面には下方拡大状のテーパーに形成した側溝用アンカーを垂設し、上蓋用固定具の外周側面には所定間隔を保持して複数のプレート状の板状アンカーを突設したことにも特徴を有する。
【0024】
以下、この発明の実施例を図面に基づき詳説する。図1は閉蓋固定構造を備えた側溝用ブロックと上蓋用ブロックの構成を示す模式的全体斜視図、図2は上蓋用ブロックの構成を示す部分拡大平面図及び部分拡大底面図、図3は側溝用固定具及び上蓋用固定具の構成を示す斜視図、図4は側溝用固定具の構成を示す正面図及び縦断面図、図5は上蓋用金具の構成を示す正面図及び縦断面図、図6は閉蓋固定構造を備える上蓋用ブロックを成型するための型枠と上蓋用固定具との関係を示す模式的斜視図である。
【0025】
図1中符号10は、側溝用ブロック1の天端1aに埋設した蓋連結用の側溝用固定具である。すなわち、側溝用固定具10は、側溝用ブロック1の成型時にその上面10aを側溝用ブロック表面で露出状態となるようにして側溝用ブロックの天端1aに埋設している。
【0026】
なお、本実施例の側溝用ブロック1は所謂「落ち蓋式側溝用ブロック」であり、左右内側壁の上部に内方突設した上蓋受け部を側溝用固定具10を設ける天端1aとしているがこれに限定されることはなく例えば上蓋式U字側溝であってもよい。
【0027】
上蓋用ブロック2の側縁底面2aには、図1に示すように側溝用ブロック1に埋設した側溝用固定具10に対応する上蓋用固定具20が埋設されており、その底面20aはブロック表面で露出状態としている。
【0028】
すなわち、各固定具10、20は、側溝用ブロック1に上蓋用ブロック2を閉蓋した場合に、上面10a及び底面20aを互いに面当接する接合面とすると共に互いに同軸心上に相対配置して各ブロック1、2に埋設している。
【0029】
なお、本実施例では、図1に示すように各固定具10、20における上面10aや底面20aを各ブロック表面と面一に露出状態としているが、側溝用ブロック1に上蓋用ブロック2を閉蓋した状態で上蓋用固定具20と側溝用固定具10とが上下当接状態となればこれに限定されることはない。
【0030】
例えば、各固定具10、20は、上下当接対応しつつ上面10aや底面20aの高さ位置を各ブロック表面位置から上下にずらして埋設することもできる。
【0031】
かかる側溝用固定具10や上蓋用固定具20の素材は、各固定具10、20にそれぞれ設置されるボルト30やナット40による当接接合状態を実現できる強度を有するものであればよく、例えば金属や樹脂を採用することができる。
【0032】
各固定具10、20の素材として樹脂を採用する場合には、硬質性且つ耐候性を備えたものが好ましく、例えば塩化ビニール樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂等を採用することができる。
【0033】
側溝用固定具10は、図3図4(a)及び図4(b)に示すように、一側方10bを開放すると共に天井面10a(上面10a)にボルト挿通用溝12を切欠した中空ケース11より構成し、中空ケース11の内部はワッシャ31とボルト30のボルト頭部33を収納するためのボルト頭部保持空間13に構成している。
【0034】
中空ケース11は内部中空の略方形箱型であって、内部空間はボルト頭部保持空間13に形成し、上面10aは略平坦面に形成し、一側方10bはボルト頭部保持空間13を外側に開口させるように外方開放して形成している。
【0035】
また、ボルト挿通用溝12は、図2(a)で示したように、中空ケース11の上面10aを一側方10bから上面10aの平面視中央位置まで切り欠いて形成すると共にその溝幅をボルト30のボルト本体32の幅員(外径)と略同じとなるように形成し、ボルト頭部保持空間13を上側に開口させてるように形成している。
【0036】
かかる側溝用固定具10は、側溝用ブロック1の天端1aに対して図1に示すように開放一側方10bを側溝用ブロック1の内側に開放させると共にボルト挿通用溝12を上側に開放させるように埋設している。
【0037】
ボルト頭部保持空間13には、ボルト30の六角形状のボルト頭部33を嵌着可能にすると共にボルト30の回転を規制可能とするボルト頭部33の回り止め構造を形成している。なお、本実施例のボルト頭部の回り止め構造は、ボルト30の六角頭部幅員と略同一の嵌着幅にして構成している。
【0038】
また、ボルト頭部保持空間13の左右壁面には、図3図4(a)及び図4(b)に示すようにワッシャ31とボルト頭部33を収納するための段差を形成している。
【0039】
また、側溝用固定具10の中空ケース11の外底面10cには、図4(a)及び(b)に示すように下方拡大状のテーパーに形成した側溝用アンカー14を垂設している。
【0040】
側溝用アンカー14は、図3に示すように漸次下方拡幅する下方拡大状(略細長台形状)に形成し、図4(a)に示すように正面視で中空ケース11の外底面10c左右部からそれぞれ外方拡開するように左右2脚垂設している。
【0041】
また、側溝用アンカー14は、図4(b)に示すように側面視で中空ケース11の外底面10c後部側に偏心して垂設している。
【0042】
具体的には、左右2脚の側溝用アンカー14、14’は、図4(a)に示すようにその外側面14b、14b’について互いの外側面同士の間の幅員D2を中空ケース11の幅員D1より幅広なるように外方拡開の下方傾斜面に形成し、互いの側溝用ブロック1内部と側溝用固定具10との接触面積を拡大すると共に側溝用固定具10の左右方向の動きを規制している。
【0043】
また、側溝用アンカー14の基部14aは、図4(a)に示すように内側にせり出して中空ケース11を支持するように上方拡大状のテーパーの肉厚に形成し、側溝用アンカー14と中空ケース11との連結部強度を可及的向上している。
【0044】
また、側溝用アンカー14の先端部は、図4(b)に示すように側面視で前後二段に形成している。
【0045】
具体的には、側溝用アンカー14の先端部は、前側一部を切り欠いて前側段部14cを形成すると共に前側段部14cよりも後側で下方伸延した後側先端部14dを形成して前後二段に構成しており、側溝用ブロック1内部での側溝用固定具10の前後方向の動きを規制している。
【0046】
上蓋用固定具20は、図3図5(a)及び図5(b)に示すように、有底筒体21より構成し、筒体21の頭部開口部21aには蓋体22を着脱自在に設けると共に筒体21の底部21bには連結ボルト挿通孔23を設け、筒体21の内部はボルト本体32と螺合するナット40の締め付けナット収納空間24に構成している。
【0047】
有底筒体21は、頭部狭幅筒状であって、締め付けナット収納空間24の大部分をなす長尺幅広円筒状の胴部21cと、胴部21cの胴径よりも口径を小さくするように胴部21cから漸次上方狭副するテーパー中間部21bと、テーパー中間部21bから上方に立上り伸延する短尺幅狭筒状の頭部開口部21aと、で構成している。
【0048】
なお、有底筒体21の縦長さは、少なくとも上蓋用固定具20が埋設される上蓋用ブロック2の厚み以下であれば、特に限定されることはない。
【0049】
上蓋用固定具20における有底筒体21の外底面20aは、上述の側溝用固定具10における中空ケース11の上面10aに面当接対応するように略平坦面に形成している。
【0050】
かかる上蓋用固定具20の外底面20aの中央、すなわち筒体21の底部21e中央には、図3及び図5(b)に示すように円形の連結ボルト挿通孔23を穿設しており、側溝用固定具10の中空ケース11から上方に突出するボルト本体32を底部21eに貫通させて締め付けナット収納空間24内へ突出可能としている。
【0051】
そして、締め付けナット収納空間24内で突出したボルト本体32に、図3に示すように締付けナット40をワッシャ41を介して螺着締付けすることにより側溝用固定具10に上蓋用固定具20を接合して一体的に締付け状態とすることができる。なお、締付けナット40の種類は特に限定されることなく、六角ナットの他、例えば袋ナットであってもよい。
【0052】
筒体21の下部側壁には、図3図5(a)及び図5(b)に示すように筒体21内に浸入した雨水を排水するための排水窓25を設けている。
【0053】
具体的には、排水窓25は、筒体21の締め付けナット収納空間24を矩形状に開口させるように胴部21cの下部一側壁を縦方向に扁平状に切り欠いて形成している。なお、排水窓25は、筒体21内底面に連なる下端開口縁にその角部を面取りして下方傾斜テーパー面を形成し、排水性を向上させてもよい。
【0054】
また、筒体21の排水窓25の上方位置には、図3図5(a)、図5(b)及び図6に示すように後述する上蓋用ブロック2の下側型枠210と接続するための型枠連結ブラケット27を突設している。
【0055】
かかる型枠連結ブラケット27は、短筒の一側壁を外方側に切り欠いて平面視略C字状としており、詳細については後述するが同ブラケット27内側で下側型枠210に形成した固定具下支持部213を嵌着挟持可能に構成している。
【0056】
かかる構成の上蓋用固定具20は、図1に示すように上蓋用ブロック2に対して、同ブロック2の細長状の上面通水孔2bの端部位置に埋設している。
【0057】
具体的には、上蓋用固定具20は、筒体21の排水窓25を上蓋用ブロック2の上面通水孔2b内側に開放させ、筒体21上下の頭部開口部21a及び底部21eを上面通水孔2bの端部位置に位置付けるように埋設している。
【0058】
なお、本実施例の上蓋用固定具20は、後述のように上蓋用ブロック2に設けた上面通水孔2bの両端部外側方位置に埋設適応しているが、これに限定されることはなく、上面通水孔2bのない無孔の上蓋用ブロックにも適応できるのは勿論である。
【0059】
すなわち、上蓋用固定具20は、筒体21の頭部開口部21aを上蓋用ブロック2の上面側に露出させると共に筒体21の外底部21eを上蓋用ブロック2の底面側に露出させて上蓋用ブロック2に埋設していればよい。
【0060】
かかる上蓋用固定具20の外周側面には、図3図5(a)及び図5(b)に示すように所定間隔を保持して複数のプレート状の板状アンカー26を突設している。
【0061】
具体的には、板状アンカー26は、正面視で下方幅狭の細長台形帯板状であって、筒体21の胴部21cに対し、筒体21の筒軸に沿うように縦方向に伸延し、板面を周方向に向けると共に外側面を径方向外方に向けて配設している。
【0062】
また、板状アンカー26は、平面視で排水窓25を除いた外周側面から筒軸を中心に周方向に略90°間隔で3つ外方突出するように配設している。
【0063】
頭部開口部21aは、その中心軸を図2(a)に示すように筒体21の中心軸から一側方10b側に偏心するように形成している。
【0064】
かかる頭部開口部21aの内径は、蓋体22により締め付けナット収納空間24の頭部開口部21aを水密状に完全閉塞すべく蓋体22を嵌着可能な径にして形成している。
【0065】
蓋体22は、頭部開口部21aに嵌合対応するように、図3に示すように円盤状の蓋本体部22aと、蓋本体部22aの下底面から頭部開口部21aの内径と略同じ外径となるように下方突出した嵌着凸部22bと、で構成している。
【0066】
なお、図3中符合22dは、蓋体22を着脱する際に蓋本体部22aの上面中央に形成したドライバー等の治具と係合するための治具係合溝である。
【0067】
すなわち、頭部開口部21aと蓋体22とは互いに着脱自体の雌雄嵌着構造を構成しており、特に本実施例では嵌着凸部22bの外周面に雄ネジ部22cを形成すると共に頭部開口部21aの内周面に螺合対応する雌ネジ部21dを形成して互いに螺合可能に構成している。
【0068】
かかる構成の閉蓋固定構造Aにおける側溝用固定具10と上蓋用固定具20とは、以下のようにして側溝用ブロック1と上蓋用ブロック2とを閉蓋固定する。
【0069】
すなわち、側溝用ブロック1に上蓋用ブロック2を閉蓋した状態で、下方の側溝用固定具10から突出した連結ボルト30を上蓋用固定具20の筒体21の連結ボルト挿通孔23に挿通して締め付けナット収納空間24内に突出させる。
【0070】
そして、締め付けナット収納空間24の該連結ボルト30に締付けナット40を取り付け筒体21の底部21eに向かって締付けナット40を螺合方向に締付け回転することにより、ナット40とボルト頭部33との間にワッシャ31、41を介して側溝用固定具10の頭部保持空間13の天板(中空ケース11の上面10a)と上蓋用固定具20の底部21eとが挟持され、側溝用固定具10と上蓋用固定具20との一体接合がなされる。
【0071】
このようにして、側溝用ブロック1表面で露出する側溝用固定具10の上面10aと上蓋用ブロック2表面で露出する上蓋用固定具20の底面20aとを密着接合状態にすると共に側溝用ブロック1のブロック表面1aと上蓋用ブロック2のブロック表面2aとの密着接合状態とし、両ブロック1、2の閉蓋固定を実現する。
【0072】
なお、本閉蓋固定構造Aにて閉蓋固定した際に側溝用固定具10と上蓋用固定具20とは必ずしも接合した状態でなくともよく、ボルト30及び締付けナット40を介して各固定具10、20同士を近接状態とし、側溝用ブロック1に上蓋用ブロック2のみを接合するようにしてもよい。
【0073】
すなわち、ボルト30にナット40を螺着することにより、各固定具10、20同士の各当接面10a、20aを密着接合又は各ブロック1、2同士のブロック表面1a、2a同士を密着接合する少なくともいずれか一方の密着接合状態を実現して閉蓋固定できればよい。
【0074】
また、上蓋用固定具20の連結ボルト挿通孔23から締め付けナット収納空間24内で突出したボルト本体32及びボルト30に螺合締付けする締付けナット40の位置は、図1図4乃至図6に示すように上蓋用ブロック2に設けた上面通水孔2bと相対する上下位置に配設されている。
【0075】
かかる構成により上蓋用ブロック2を側溝用ブロックに閉蓋した状態でも上面通水孔2bから挿入したレンチ等の治具を使用して上蓋用ブロック2の上方から上蓋用固定具20の締め付けナット収納空間24内で締付けナット40の締め付け及び弛緩作業を行うことが可能となる。
【0076】
また、側溝用ブロック1への上蓋用ブロック2の閉蓋固定後に、上蓋用固定具20の頭部開口部21aに蓋体22を取り付けることで同頭部開口部21aを閉塞し、上面通水孔2bの左右端部で露出する上蓋用固定具20の締め付けナット収納空間24内への雨水の浸入を防止可能とし、ナット40やボルト30の腐食劣化を防止する。
【0077】
また、仮に蓋体22が頭部開口部21aから車の振動等により不用意に弛緩した場合に締め付けナット収納空間24に雨水が浸入しても、筒体21の下部側壁には排水窓25を設けているために同排水窓から浸入した雨水を排出できる。
【0078】
従って、側溝用ブロック1内の点検時等で上蓋用ブロック2を取り外す必要が生じた際に、両ブロック1,2を両固定具10、20を介して長期間閉蓋固定状態にした場合であっても、連結ボルト30と締付けナット40の部材状態を良好とし、上蓋用固定具20の蓋体22を取り外して筒体内部の連結ボルト30から締付けナット40を簡単に取り外すことができ、側溝用ブロック1から上蓋用ブロック2を簡単に取り外すことができる。
【0079】
次に、本発明にかかる閉蓋固定構造Aを備えた上蓋用ブロック2の打設成型に使用する上下側型枠200、210について説明する。閉蓋固定構造Aを備える上蓋用ブロック2は、図1で示したように、ブロック本体の長手方向に所定間隔を隔てて横長の上面通水孔2bを設けており、該上面通水孔2bの両端部には2つの上蓋用固定具20を埋設している。
【0080】
かかる上蓋用固定具20の打設成型に際し、図6に示すように、上下側型枠200、210は、同型枠同士を組み上げた状態で、それぞれの間の上下対向する位置に、上面通水孔2bを形成するための型枠となる通水孔上下部型枠凸部202、212と、打設コンクリート中で上蓋用固定具20を上下方で支持するための固定具上下支持部203、213と、を備えている。
【0081】
上側型枠200は、上蓋用ブロック2の上面を形成する方形プレート状の上側板体201からなり、該板体201下面には上面通水孔2bの上部を形成するための横長方形状の通水孔上部型枠凸部202を下方突出形成している。
【0082】
かかる通水孔上部型枠凸部202の長手両端には、上蓋用固定具20の頭部開口部21aに嵌着可能な固定具上支持部203、203’を下方突出して形成している。
【0083】
固定具上支持部203、203’は、その外径を頭部開口部21aの開口径と略同じにした短尺円柱状の支持突起203a、203’とし、通水孔上部型枠凸部202表面から下方突出して頭部開口部21a内に嵌着可能に構成している。
【0084】
なお、図6中符合204は、後述する通水孔下部型枠凸部212(台形型枠部212b)の頂部上面に形成した連結凹部214に嵌着対応する連結凸部である。連結凸部204は、通水孔上部型枠凸部202の長手中央で細長方形状に下方突出して形成している。
【0085】
すなわち、上蓋用ブロック2の上面通水孔2bは、上側型枠200と下側型枠210との間で通水孔上部型枠凸部202と通水孔下部型枠凸部212同士を各連結凹凸部204、214を介して一体的に連結して形成した通水孔型枠により成型される。
【0086】
換言すれば、上蓋用ブロック2の上面通水孔2bは、図1及び図6に示すように通水孔上下部型枠凸部202、212同士によりなす扁平横長の略下方拡開テーパー形状に成型されることとなる。
【0087】
下側型枠210は、上側型枠200と同様、上蓋用ブロック2の下底面を形成するための方形プレート状の下側板体211からなり、該板体211には上面通水孔2bの下部を形成するための通水孔下部型枠凸部212を突出形成している。
【0088】
通水孔下部型枠凸部212は、左右に段差部を形成した略台形山型状であって、上方から下方にかけて漸次拡開幅広となるように形成している。
【0089】
具体的には、通水孔下部型枠凸部212は、板体211表面から細長方形状に上方突出形成した方形型枠部212aと、方形型枠部212a上面の長手中央から略扁平台形柱状に上方突出形成した台形型枠部212bと、で構成している。
【0090】
かかる通水孔下部型枠凸部212の段差部、すなわち方形型枠部212aの長手両端には、上蓋用固定具20の型枠連結ブラケット27内側に嵌着挟持して上蓋用固定具20を下側から支持する上段突起213aを上方突出して形成している。
【0091】
また、板体211表面において、通水孔下部型枠凸部212の長手の左右外方位置、すなわち方形型枠部212aの左右外方位置には、上蓋用固定具20の連結ボルト挿通孔23に嵌着して上蓋用固定具20を下側から支持する下段突起213bを上方突出して形成している。
【0092】
すなわち、固定具下支持部213、213’は、型枠連結ブラケット27嵌着用の上段突起213a、213a’と連結ボルト挿通孔23嵌着用の下段突起213bとの上下二段の突起により構成している。
【0093】
かかる各上下段突起213a、213bはそれぞれ、型枠連結ブラケット27及び連結ボルト挿通孔23を介して上蓋用固定具20を下側型枠210に嵌着支持した状態で、通水孔下部型枠凸部212(方形型枠部212a)の端部外側面により上蓋用固定具20の排水窓25を完全閉塞する相対的な位置で突出している。
【0094】
なお、図6中符合215、215'は、上蓋用ブロック2の下端両側から雨水を側溝用ブロック1内へ集水する側面集水孔2c、2c’を成型するための側面集水孔型枠である。
【0095】
このように構成した上下側型枠200、210同士の間に、各種固定具上下支持部203、213を介して上蓋用固定具20、20’を介在配設することにより、コンクリート打設時に各固定具20、20’が位置ズレすることを防止することができる。
【0096】
しかも、各上下側型枠200、210同士の間に介在配設された上蓋用固定具20、20’が、上下側型枠200、210同士の上下間隔幅を一定に保持する支柱として機能することにより一定の肉厚を有する上蓋用ブロック2を安定して打設成型することができる。
【0097】
さらに、コンクリート固化後には、上側型枠200の通水孔上部型枠凸部202は横長方形状に形成すると共に下側型枠210の通水孔下部型枠凸部212は下方拡開形成しているため、該通水孔上部型枠凸部202や通水孔下部型枠凸部212が障害となることなく上下側型枠200、210の抜去作業を容易に行うことができ、上面通水孔2bの成型することができる。
【0098】
次に示すのは本発明の閉蓋固定構造の他の実施例である。図7(a)及び図7(b)はそれぞれ他の実施例に係る閉蓋固定構造の構成を示す斜視図及び平面図、図8(a)及び図8(b)はぞれぞれ他の実施例に係る閉蓋固定構造の構成を示す側面図及び底面図、図9(a)~図9(c)はそれぞれ他の実施例に係る閉蓋固定構造の構成を示すA-A断面図、B-B断面図、及びC-C断面図である。
【0099】
まず、前記の基本的な実施例においては、図6で示したように有底筒体21と側溝用固定具10とよりなる上蓋用固定具20を台形型枠部212bと方形型枠部212aとをそれぞれ別枠とし、これらを型枠連結ブラケット27と上段突起213aとの嵌合連結を介して一体に組立てている。
【0100】
他の実施例ではかかる上蓋用固定具20と方形型枠部212aと台形型枠部212bとをそれぞれ、図7図9に示すように当初より一体に連結することにより一体連結通水溝体300を構成している。
【0101】
すなわち、台形型枠部212bに相当する上下開放中空状の台形筒体21’bと、台形筒体21’bの下側に配置され、方形型枠部212aに相当する上下開放中空状の方形筒体21’aと、方形筒体21’aの長手方向の両側に配置され、有底筒体21に相当する略円筒状の連結筒体21’と、をそれぞれ一体的に連結して上下開放中空状の一体連結通水溝体300を構成している。
【0102】
一体連結通水溝体300の内部空間は、方形筒体21’a及び台形筒体21’bの内部空間をそれぞれ連通することにより上下側に開口させた排水用の通水用スリット310としている。
【0103】
また、連結筒体21’の底部には、図7(b)及び図8(b)に示すように側溝用固定具10から突出する連結ボルト30に挿通対応する連結ボルト挿通孔23を設けている。
【0104】
また、連結筒体21’の下部一側には、図8(b)及び図9(c)に示すように通水用スリット310(方形基部21’aの内部空間)に連通する排水窓25を開口して形成している。すなわち、方形筒体21’aも中空で台形筒体21’bの中空部と連通していると共に連結筒体21’の中空部とも連通している。
【0105】
かかる構成の一体連結通水溝体300は、上下側型枠200、210同士の間で形成される上蓋用ブロック2中に埋め殺し状態とする。このようにして、一体連結通水溝体300は、図7に示すように方形筒体21’aと台形筒体21’bと連結筒体21’とを一体的に連結して上蓋用ブロック2中で埋め殺しとなるように形成している。
【0106】
図6に基づいて他の実施例の型枠の組み立て状態を説明すると、上側型枠200(コンクリートの上蓋用ブロック2の形成後に取り外す型枠)と下側型枠210(同様に上蓋用ブロック2の形成後に取り外す型枠)との間に台形筒体21’bと方形筒体21’aと連結筒体21’とからなる一体連結通水溝体300を組付け介在して上蓋用ブロック2をコンクリート形成し、形成後に上側型枠200と下側型枠210とを離脱すると上蓋用ブロック2には上面に通水用スリット310を形成した上蓋用ブロック2が形成される。
【符号の説明】
【0107】
A 閉蓋固定構造
1 側溝用ブロック
10 側溝用固定具
11 中空ケース
12 ボルト挿通用溝
13 頭部保持空間
14 側溝用アンカー
2 上蓋用ブロック
20 上蓋用固定具
21 有底筒体
21a 頭部開口部
22 蓋体
23 連結ボルト挿通孔
24 締め付けナット収納空間
25 排水窓
26 板状アンカー
30 連結ボルト
31 ワッシャ
40 締付けナット
41 ワッシャ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9