(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】環境制御システムおよび環境制御方法
(51)【国際特許分類】
F24F 11/56 20180101AFI20240806BHJP
F24F 11/46 20180101ALI20240806BHJP
F24F 11/62 20180101ALI20240806BHJP
F24F 11/64 20180101ALI20240806BHJP
F24F 11/89 20180101ALI20240806BHJP
F24F 110/10 20180101ALN20240806BHJP
F24F 110/30 20180101ALN20240806BHJP
F24F 120/12 20180101ALN20240806BHJP
F24F 120/20 20180101ALN20240806BHJP
F24F 140/00 20180101ALN20240806BHJP
【FI】
F24F11/56
F24F11/46
F24F11/62
F24F11/64
F24F11/89
F24F110:10
F24F110:30
F24F120:12
F24F120:20
F24F140:00
(21)【出願番号】P 2020145876
(22)【出願日】2020-08-31
【審査請求日】2021-08-02
【審判番号】
【審判請求日】2023-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】306029774
【氏名又は名称】ビッグローブ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(74)【復代理人】
【識別番号】100187230
【氏名又は名称】佐藤 晶司
(72)【発明者】
【氏名】有泉 健
【合議体】
【審判長】間中 耕治
【審判官】竹下 和志
【審判官】鈴木 充
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/087650(WO,A1)
【文献】特開2014-16091(JP,A)
【文献】特開2010-34853(JP,A)
【文献】特開2017-67427(JP,A)
【文献】国際公開第2020/066017(WO,A1)
【文献】特開2013-108671(JP,A)
【文献】特開2016-217709(JP,A)
【文献】特開2017-146760(JP,A)
【文献】特開2010-25546(JP,A)
【文献】特開2019-178858(JP,A)
【文献】特開2019-202689(JP,A)
【文献】特開2019-27603(JP,A)
【文献】特開2019-79406(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/46 - 11/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が所持する携帯端末を介して、環境を調節する環境調節装置の動作を制御する環境制御システムであって、
前記携帯端末の位置空間を特定可能な空間情報を取得する空間情報取得手段と、
前記携帯端末の周辺の環境を特定可能な周辺環境情報を取得する環境情報取得手段と、
前記携帯端末の位置空間に応じた領域に存在する環境調節装置から、該環境調節装置を特定可能な装置識別情報を取得する識別情報取得手段と、
前記空間情報にて特定される位置空間で快適とされる環境を特定可能な快適環境情報が当該空間情報に対応づけて登録されているとともに、前記環境調節装置にて調節可能な環境の種類が当該環境調節装置を特定可能な装置識別情報と対応づけて登録されているデータベースと、
前記空間情報取得手段にて取得された空間情報に基づいて快適環境情報を前記データベースから抽出するとともに、前記識別情報取得手段にて取得された装置識別情報にて特定される環境調節装置にて調節可能な環境の種類を前記データベースから抽出し、前記識別情報取得手段にて取得された装置識別情報にて特定される環境調節装置において、前記空間情報取得手段にて取得された空間情報にて特定される位置空間を、前記環境情報取得手段にて取得された周辺環境情報によって特定される環境から、前記抽出した快適環境情報にて特定される環境とするための制御情報を生成して出力する環境制御装置とを有し、
前記位置空間が移動手段であり、
前記携帯端末は、該携帯端末の所持者の目的地
の名称若しくは住所または移動目的に関する移動情報を受け付ける移動情報受付手段を有し、
前記環境制御装置は、前記移動情報受付手段にて移動情報が受け付けられた場合、前記生成した制御情報を前記移動情報に応じて補正して出力する、環境制御システム。
【請求項2】
利用者が所持する携帯端末を介して、環境を調節する環境調節装置の動作を制御する環境制御システムであって、
前記携帯端末の位置空間を特定可能な空間情報を取得する空間情報取得手段と、
前記携帯端末の周辺の環境を特定可能な周辺環境情報を取得する環境情報取得手段と、
前記携帯端末の位置空間に応じた領域に存在する環境調節装置から、該環境調節装置を特定可能な装置識別情報を取得する識別情報取得手段と、
前記空間情報にて特定される位置空間で快適とされる環境を特定可能な快適環境情報が当該空間情報に対応づけて登録されているとともに、前記環境調節装置にて調節可能な環境の種類が当該環境調節装置を特定可能な装置識別情報と対応づけて登録されているデータベースと、
前記空間情報取得手段にて取得された空間情報に基づいて快適環境情報を前記データベースから抽出するとともに、前記識別情報取得手段にて取得された装置識別情報にて特定される環境調節装置にて調節可能な環境の種類を前記データベースから抽出し、前記識別情報取得手段にて取得された装置識別情報にて特定される環境調節装置において、前記空間情報取得手段にて取得された空間情報にて特定される位置空間を、前記環境情報取得手段にて取得された周辺環境情報によって特定される環境から、前記抽出した快適環境情報にて特定される環境とするための制御情報を生成して出力する環境制御装置とを有し、
前記
携帯端末の位置情報が、前記環境調節装置が設置された所定の空間の外であり、
前記データベースには、前記装置識別情報が、該装置識別情報によって特定される環境調節装置が設置された位置を示す装置位置情報と対応づけて登録されており、
前記環境制御装置は
、前記携帯端末
から取得した位置情報の既定の範囲内に設置された環境調節装置を前記装置位置情報に基づいて抽出し、当該環境調節装置によって環境が制御可能な空間を、地図画像上に表示する地図画面データを作成し、前記
位置情報
を取得
した携帯端末に送信する、環境制御システム。
【請求項3】
請求項
2に記載の環境制御システムにおいて、
前記携帯端末は、前記送信された地図画面データを基に、前記環境調節装置によって環境が制御可能な空間が選択可能な地図画面を表示する表示手段を有し、
前記表示手段は、地図上の空間が選択された際に、その空間に対応する制御可能な環境の種類と、利用者数と、現在の環境情報との少なくとも1つを表示する、環境制御システム。
【請求項4】
利用者が所持する携帯端末の移動手段である位置空間で快適とされる環境を特定可能な快適環境情報が当該位置空間を特定可能な空間情報に対応づけて登録されているとともに、環境を調節する環境調節装置にて調節可能な環境の種類が当該環境調節装置を特定可能な装置識別情報と対応づけて登録されているデータベースを参照し、前記携帯端末を介して前記環境調節装置の動作を制御する環境制御方法であって、
前記空間情報を取得する空間情報取得処理と、
前記携帯端末の周辺の環境を特定可能な周辺環境情報を取得する環境情報取得処理と、
前記環境調節装置から、該環境調節装置を特定可能な装置識別情報を取得する識別情報取得処理と、
前記空間情報取得処理にて取得した空間情報に基づいて快適環境情報を前記データベースから抽出するとともに、前記識別情報取得処理にて取得した装置識別情報にて特定される環境調節装置にて調節可能な環境の種類を前記データベースから抽出する抽出処理と、
前記識別情報取得処理にて取得した装置識別情報にて特定される環境調節装置において、前記空間情報取得処理にて取得した空間情報にて特定される位置空間を、前記環境情報取得処理にて取得した周辺環境情報によって特定される環境から、前記抽出処理にて抽出した快適環境情報にて特定される環境とするための制御情報を生成して出力する生成処理と、
前記携帯端末の所持者の目的地
の名称若しくは住所または移動目的に関する移動情報を受け付ける処理と、
前記移動情報が受け付けられた場合、前記生成した制御情報を前記移動情報に応じて補正する処理とを有する、環境制御方法。
【請求項5】
利用者が所持する携帯端末の位置空間で快適とされる環境を特定可能な快適環境情報が当該位置空間を特定可能な空間情報に対応づけて登録されているとともに、環境を調節する環境調節装置にて調節可能な環境の種類が当該環境調節装置を特定可能な装置識別情報と対応づけて登録されているデータベースを参照し、前記携帯端末を介して前記環境調節装置の動作を制御する環境制御方法であって、
前記空間情報を取得する空間情報取得処理と、
前記携帯端末の周辺の環境を特定可能な周辺環境情報を取得する環境情報取得処理と、
前記環境調節装置から、該環境調節装置を特定可能な装置識別情報を取得する識別情報取得処理と、
前記空間情報取得処理にて取得した空間情報に基づいて快適環境情報を前記データベースから抽出するとともに、前記識別情報取得処理にて取得した装置識別情報にて特定される環境調節装置にて調節可能な環境の種類を前記データベースから抽出する抽出処理と、
前記識別情報取得処理にて取得した装置識別情報にて特定される環境調節装置において、前記空間情報取得処理にて取得した空間情報にて特定される位置空間を、前記環境情報取得処理にて取得した周辺環境情報によって特定される環境から、前記抽出処理にて抽出した快適環境情報にて特定される環境とするための制御情報を生成して出力する生成処理と
を有し、
前記携帯端末の位置情報が、前記環境調節装置が設置された所定の空間の外であり、
前記データベースに、前記装置識別情報を、該装置識別情報によって特定される環境調節装置が設置された位置を示す装置位置情報と対応づけて登録
されており、
前記携帯端末
から取得した位置情報の既定の範囲内に設置された環境調節装置を前記装置位置情報に基づいて抽出する装置抽出処理と、
前記環境調節装置によって環境が制御可能な空間を、地図画像上に表示する地図画面データを作成する処理と、
前記作成した地図画面データを前記
位置情報
を取得
した携帯端末に送信する処理とを有する、環境制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアコンなどの環境を調節する環境調節装置を用いて環境を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、空調装置においては、空間を所望の温度に効率的に調節することが好ましい。特に、近年の地球温暖化に伴う猛暑の中では、省電力化を図るためや、空間を速やかに所望の温度とするために、その空間を所望の温度に効率的に調節することが望まれる。
【0003】
ここで、室内にいる人物の位置をセンサなどによって検知し、その位置に応じて風向きや温度などを制御する空調装置が考えられている(例えば、特許文献1参照)。このような空調装置を用いれば、例えば空間内において人物が存在する領域に対して優先的に風を吹き付けるなどして、その領域の温度を効率的に調節することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した空調装置のように人物の位置に応じて風向きや温度などの環境を調節する環境調節装置は、環境調節装置に予め設定された条件に基づいて、風向きや温度などの制御を一義的に行っている。
【0006】
そのため、環境調節装置が設置された空間に存在する人物にとって適切な環境に調節しているとは言えない場合がある。特に、1つの空間に複数の人物が存在する場合、複数の人物のそれぞれに対して、適切な環境が提供されているものとは言い難い。
【0007】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、環境調節装置が設置された空間に存在する人物に対して、その空間や環境に応じて適切な環境を提供しやすい環境制御システム、環境制御装置、環境制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、
利用者が所持する携帯端末を介して、環境を調節する環境調節装置の動作を制御する環境制御システムであって、
前記携帯端末の位置空間を特定可能な空間情報を取得する空間情報取得手段と、
前記携帯端末の周辺の環境を特定可能な周辺環境情報を取得する環境情報取得手段と、
前記携帯端末の位置空間に応じた領域に存在する環境調節装置から、該環境調節装置を特定可能な装置識別情報を取得する識別情報取得手段と、
前記空間情報にて特定される位置空間で快適とされる環境を特定可能な快適環境情報が当該空間情報に対応づけて登録されているとともに、前記環境調節装置にて調節可能な環境の種類が当該環境調節装置を特定可能な装置識別情報と対応づけて登録されているデータベースと、
前記空間情報取得手段にて取得された空間情報に基づいて快適環境情報を前記データベースから抽出するとともに、前記識別情報取得手段にて取得された装置識別情報にて特定される環境調節装置にて調節可能な環境の種類を前記データベースから抽出し、前記識別情報取得手段にて取得された装置識別情報にて特定される環境調節装置において、前記空間情報取得手段にて取得された空間情報にて特定される位置空間を、前記環境情報取得手段にて取得された周辺環境情報によって特定される環境から、前記抽出した快適環境情報にて特定される環境とするための制御情報を生成して出力する環境制御装置とを有する。
【0009】
また、利用者が所持する携帯端末の位置空間で快適とされる環境を特定可能な快適環境情報が当該位置空間を特定可能な空間情報に対応づけて登録されているとともに、環境を調節する環境調節装置にて調節可能な環境の種類が当該環境調節装置を特定可能な装置識別情報と対応づけて登録されているデータベースを参照し、前記携帯端末を介して前記環境調節装置の動作を制御する環境制御装置であって、
前記空間情報と、前記携帯端末の周辺の環境を特定可能な周辺環境情報と、前記装置識別情報とを受け付ける条件受付手段と、
前記条件受付手段にて受け付けた空間情報に基づいて快適環境情報を前記データベースから抽出するとともに、前記条件受付手段にて受け付けた装置識別情報にて特定される環境調節装置にて調節可能な環境の種類を前記データベースから抽出する抽出手段と、
前記条件受付手段にて受け付けた装置識別情報にて特定される環境調節装置において、前記条件受付手段にて受け付けた空間情報にて特定される位置空間を、前記条件受付手段にて受け付けた周辺環境情報によって特定される環境から、前記抽出手段にて抽出した快適環境情報にて特定される環境とするための制御情報を生成して出力する生成手段とを有する。
【0010】
また、利用者が所持する携帯端末の位置空間で快適とされる環境を特定可能な快適環境情報が当該位置空間を特定可能な空間情報に対応づけて登録されているとともに、環境を調節する環境調節装置にて調節可能な環境の種類が当該環境調節装置を特定可能な装置識別情報と対応づけて登録されているデータベースを参照し、前記携帯端末を介して前記環境調節装置の動作を制御する環境制御方法であって、
前記空間情報を取得する空間情報取得処理と、
前記携帯端末の周辺の環境を特定可能な周辺環境情報を取得する環境情報取得処理と、
前記環境調節装置から、該環境調節装置を特定可能な装置識別情報を取得する識別情報取得処理と、
前記空間情報取得処理にて取得した空間情報に基づいて快適環境情報を前記データベースから抽出するとともに、前記識別情報取得処理にて取得した装置識別情報にて特定される環境調節装置にて調節可能な環境の種類を前記データベースから抽出する抽出処理と、
前記識別情報取得処理にて取得した装置識別情報にて特定される環境調節装置において、前記空間情報取得処理にて取得した空間情報にて特定される位置空間を、前記環境情報取得処理にて取得した周辺環境情報によって特定される環境から、前記抽出処理にて抽出した快適環境情報にて特定される環境とするための制御情報を生成して出力する生成処理とを有する。
【0011】
また、利用者が所持する携帯端末の位置空間で快適とされる環境を特定可能な快適環境情報が当該位置空間を特定可能な空間情報に対応づけて登録されているとともに、環境を調節する環境調節装置にて調節可能な環境の種類が当該環境調節装置を特定可能な装置識別情報と対応づけて登録されているデータベースを参照し、前記携帯端末を介して前記環境調節装置の動作を制御するためのプログラムであって、
コンピュータに、
前記空間情報と、前記携帯端末の周辺の環境を特定可能な周辺環境情報と、前記装置識別情報とを受け付ける条件受付手順と、
前記条件受付手順にて受け付けた空間情報に基づいて快適環境情報を前記データベースから抽出するとともに、前記条件受付手順にて受け付けた装置識別情報にて特定される環境調節装置にて調節可能な環境の種類を前記データベースから抽出する抽出手順と、
前記条件受付手順にて受け付けた装置識別情報にて特定される環境調節装置において、前記条件受付手順にて受け付けた空間情報にて特定される位置空間を、前記条件受付手順にて受け付けた周辺環境情報によって特定される環境から、前記抽出手順にて抽出した快適環境情報にて特定される環境とするための制御情報を生成して出力する生成手順とを実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、温度などの環境を調節する環境調節装置を用いて適切な環境を提供する場合に、環境調節装置が設置された空間に存在する人物に対して、その空間や環境に応じて適切な環境を提供しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の環境制御システムの第1の実施の形態を示す図である。
【
図2】
図1に示したスマートフォンの構成を示す図である。
【
図3】
図1に示した環境制御サーバーの構成を示す図である。
【
図4】
図1~
図3に示した環境制御システムにおける基本的な処理を説明するためのフローチャートである。
【
図5】
図1~
図3に示した環境制御システムにて環境制御サーバーから送信された制御情報に基づいて環境調節装置が運転を開始してから既定のタイミング後にスマートフォンに表示される画面の一例を示す図である。
【
図6】
図1~
図3に示した環境制御システムにおいて
図5に示した画面がスマートフォンに表示された後の処理を説明するためのフローチャートである。
【
図7】環境制御サーバーから送信されてスマートフォンの表示部に表示される変更画面の一例を示す図である。
【
図8】
図1~
図3に示した環境制御システムにおいてデータベースに登録された変更内容を考慮して環境調節装置の動作を制御する際の処理を説明するためのフローチャートである。
【
図9】本発明の環境制御システムの第2の実施の形態を示す図である。
【
図10】
図9に示した環境制御システムにおける処理を説明するためのフローチャートである。
【
図11】本発明の環境制御システムの第3の実施の形態を示す図である。
【
図12】
図11に示した環境制御システムにおける処理を説明するためのフローチャートである。
【
図13】
図1に示した環境制御システムにおいて、スマートフォンが空間の外に存在している場合に、快適な環境を提供可能な空間の位置を知らせるための構成を示す図である。
【
図14】
図11に示した環境制御システムにおいて、スマートフォンが空間の外に存在している場合に、快適な環境を提供可能な空間の位置を知らせるための構成を示す図である。
【
図15】
図13または
図14に示した構成において、スマートフォンに快適な環境を提供可能な空間の位置を知らせる処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0015】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の環境制御システムの第1の実施の形態を示す図である。
図2は、
図1に示したスマートフォン10の構成を示す図である。
図3は、
図1に示した環境制御サーバー50の構成を示す図である。
【0016】
本形態による環境制御システムは
図1に示すように、スマートフォン10と、空間認識センサー21と、環境認識センサー22と、環境制御サーバー50と、データベース60とを有している。
【0017】
スマートフォン10は、利用者が所持する携帯端末である。スマートフォン10は、利用者がスマートフォン10を所持して環境調節装置30が設置されたホテルなどの空間1に入った場合に、環境調節装置30を用いて空間1内の環境を快適にするための制御情報を環境制御サーバー50に要求する。スマートフォン10は、受信した制御情報を用いて環境調節装置30に環境の調節を指示する。なお、スマートフォンは一例であって、スマートフォン以外のパーソナルコンピュータやゲーム機、AIスピーカーなどの端末でも構わない。
【0018】
スマートフォン10は
図2に示すように、通信部11a,11bと、位置取得部12と、表示部13と、操作部14と、記憶部15と、制御部16とを有している。
【0019】
通信部11aは、例えば、4GやLTE、5G、公衆無線LANなどの通信方式によってアクセスポイント40にアクセスし、通信回線70を介して環境制御サーバー50と通信を行う。
【0020】
通信部11bは、本願発明における識別情報取得手段となるものである。例えば、無線LANやBluetooth(登録商標)、4G、LTE、5Gなどのネットワークによって、環境調節装置30と通信を行う。また、空間認識センサー21及び環境認識センサー22が空間1内に設置されている場合は、通信部11bは、ネットワークを介して、空間認識センサー21及び環境認識センサー22と通信を行う。なお、空間認識センサー21及び環境認識センサー22が、スマートフォン10に内蔵または外付けされている場合は、スマートフォン10に備わっている内部バスまたは外部バスインターフェースを用いて接続し情報を送受信する。この場合は、内部バスまたは外部バスインターフェースのコントローラーが、通信部11bとなる。本実施形態では、空間認識センサー21及び環境認識センサー22が空間1内に設置されネットワークを介して通信する例を用いて説明する。通信部11a,11bは、例えば、各通信方式のネットワークインターフェースカードまたはネットワークインターフェースコントローラーなどから構成されている。
【0021】
位置取得部12は、空間認識センサー21とともに本願発明における空間情報取得手段となるものである。位置取得部12は、例えば、GPSを利用してスマートフォン10の位置を特定可能な位置情報を取得する。GPS以外にも通信可能なアクセスポイント40や無線LANのアクセスポイントなどを利用してスマートフォン10の位置を特定可能な位置情報を取得してもよい。空間1内のスマートフォン10の位置であれば、スピーカーとマイクによる音や超音波の反射音を用いたり、赤外線やレーザー、ミリ波などのレーダーを用いたり、カメラで撮像した画像を解析したりして、空間1内のスマートフォン10の位置を把握してスマートフォン10の位置情報として取得してもよい。
【0022】
表示部13は、例えば、液晶パネルまたは有機ELパネルなどから構成されている。表示部13は、記憶部15にインストールされたアプリケーションプログラムによる情報や操作ボタンなどを表示する。
【0023】
操作部14は、本願発明における変更受付手段及び移動情報受付手段となるものである。操作部14は、例えば、表示部13上に積層されたタッチパネルなどから構成されており、利用者からの指示が入力される。
【0024】
記憶部15は、例えば、RAMまたはフラッシュメモリ、ソリッドステートドライブ(SSD)などから構成されている。記憶部15は、事前にインストールされた各種OSやアプリケーションプログラム、データを記憶する。
【0025】
制御部16は、例えば、CPUまたはSoCなどから構成されている。制御部16は、通信部11a,11b、位置取得部12、表示部13、操作部14及び記憶部15に対する信号のやりとりを制御することで、スマートフォン10全体の動作を制御する。
【0026】
空間認識センサー21は、スマートフォン10の位置取得部12とともに本願発明における空間情報取得手段となるものである。空間認識センサー21は、例えば、赤外線やレーザー、ミリ波などを用いたレーダーまたはカメラを用いた画像解析などを用いて、スマートフォン10の位置空間となる空間1を特定可能な空間情報を取得する。なお、空間情報としては、空間1の広さや空間1の形状、あるいは空間1内のスマートフォン10を所持する利用者の位置などの少なくとも1以上の空間を特定可能なものが考えられる。空間1の種類や空間1内の人の数や密接度なども空間情報として扱ってもよい。また、空間認識センサー21は、1つでも複数でもよく、空間1内に設置されているものでも、スマートフォン10に内蔵、外付けまたは別装置として利用者が保持しているものでもよいし、複数の場合は、一部の空間認識センサーが、空間1内に設置され、他の空間認識センサーが、スマートフォン10に内蔵、外付けまたは別装置として利用者が保持しているものでもよい。
【0027】
環境認識センサー22は、本願発明における環境情報取得手段となるものである。環境認識センサー22は、例えば、取得する周辺環境情報が温度であれば温度センサーなど、各周辺環境情報によって特定される環境に対応するセンサーを用いて、空間1におけるスマートフォン10の周辺の環境を特定可能な周辺環境情報を取得する。例えば、換気量を特定可能な周辺環境情報を取得する場合は、空気中のCo2濃度や空間内の風量を計測する。なお、周辺環境情報としては、温度や湿度、照度、色温度、音、Co2ガスやイオンなどの空気中の濃度、室内空気の清浄度(空気中の既定の成分の値とは異なる基準値以上の成分の度合い)、換気量、臭いや香り、気圧などの少なくとも1以上の環境の種類の程度や量、成分などを特定可能なものが考えられる。また、環境認識センサー22は、1つでも環境の種類に応じて複数でもよく、空間1内に設置されているものでも、スマートフォン10に内蔵、外付けまたは別装置として利用者が保持しているものでもよいし、複数の場合は、一部の環境認識センサーが、空間1内に設置され、他の環境認識センサーが、スマートフォン10に内蔵、外付けまたは別装置として利用者が保持しているものでもよい。
【0028】
環境調節装置30は、空間1内の環境を調節する装置である。例えば、エアコンや照明装置、音楽再生装置などが挙げられる。また、加湿器や除湿器、空気清浄装置、換気扇(窓の開閉装置でも可)、イオン発生装置、次亜塩素酸発生装置なども含まれてもよい。また、将来的に、消臭する装置や各種の香りを発生させる装置や気圧を調節できる装置などが含まれてもよい。環境調節装置30は、空間1内に複数種類の環境をそれぞれ調節するものが複数設置されていてもよい。また、空間1内に1種類の装置が複数設置されていてもよい。さらに、環境調節装置30は、スマートフォン10を所持する各利用者がいる場所を個別に調節できるものであればなおよい。環境調節装置30は、その種類や機種を特定するための装置識別情報となる装置識別子を備える。装置識別子は、例えば、装置の種類、装置名や型番などの、どのような種類の装置かを表す情報と、ドメイン名やIPアドレス、ユニークな装置名などの環境調節装置30と通信するためにネットワーク上にて環境調節装置30を特定する情報とが含まれることが好ましい。ただし、環境制御サーバー50とデータベース60にて、環境調節装置30を特定する情報から環境調節装置30の種類が判別できれば、環境調節装置30を特定する情報のみで構わず、どのような種類の装置かを示す情報で環境調節装置30を特定することができれば、どのような種類の装置かを示す情報のみでも構わない。
【0029】
データベース60は、空間認識センサー21にて取得される空間情報にて特定される位置空間となる空間の大きさや形において快適とされる環境を特定可能な快適環境情報が、その空間情報に対応づけて登録されている装置である。例えば、データベースサーバソフトウェアやAIがインストールされたサーバーまたはネットワークストレージなどであり、環境制御サーバー50とケーブルやLANなどを介して接続されている。また、データベース60には、環境調節装置30にて調節可能な環境の種類がその環境調節装置30の装置識別子と対応づけて登録されている。更に、データベース60には、環境調節装置30を設定値に制御する制御信号と装置識別子とが対応づけて登録されている。なお、快適環境情報は、例えば、温度の場合、単に快適な温度だけではなく、空間の大きさや形などの空間情報に合わせて、現在の温度から快適な温度にしていくためやその快適な温度を維持していくための風の温度や風量、風向などの手順が含まれるデータである。そのため、快適環境情報が空間情報に対応づけて登録されているとは、空間情報に対して1つのデータが登録していることだけではなく、基本データとその基本データを空間情報に含まれる項目に応じて追加や修正などの補正をするための補正データが登録されており、空間情報に応じて、基本データとともに補正データが快適環境情報として抽出されるように登録されていることでもよい。または、データベース60は、空間情報に含まれる項目からその空間情報にあったデータが快適環境情報として出力されるAIでもよく、それらを快適環境情報が空間情報に対応づけて登録されているとしている。また、データベース60に登録されている環境調節装置30の調節可能な環境の種類については、その環境の種類だけでなく、その環境の種類をどのように調節できるか(例えば、エアコンでれば、風の温度や風量、風向など)を示す調節方法も含まれていることが好ましい。本実施形態では、調節方法も含まれているとして説明する。なお、空間情報だけでなく、環境調節装置30に備わる調節方法によって(例えば、エアコンであれば、風量機能はあるが、風向機能はない、風量が5段階か3段階かなど)も用いて、対応する快適環境情報を抽出してもよい。
【0030】
環境制御サーバー50は、本願発明における環境制御装置となるものである。環境制御サーバー50は、空間認識センサー21やスマートフォン10にて取得された情報を基に、スマートフォン10を所持する利用者がいる空間1を快適な環境にするための設定値を算出し、環境調節装置30を制御する制御情報を生成して出力する。具体的には、環境制御サーバー50は、空間認識センサー21やスマートフォン10にて取得された空間情報に基づいて快適環境情報をデータベース60から抽出するとともに、装置識別子にて特定される環境調節装置30にて調節可能な環境の種類をデータベース60から抽出し、装置識別子にて特定される環境調節装置30において、空間認識センサー21やスマートフォン10にて取得された空間情報にて特定される位置空間を、環境認識センサー22にて取得された周辺環境情報によって特定される環境から、データベース60から抽出した快適環境情報にて特定される環境とするための設定値を算出し、算出した設定値にするために装置識別子にて特定される環境調節装置30を制御する制御情報を生成する。
【0031】
環境制御サーバー50は
図3に示すように、通信部51と、記憶部52と、データベースアクセス部53と、制御部54とを有している。
【0032】
通信部51は、本願発明における条件受付手段となるものである。通信部51は、例えば、各種ネットワークインターフェースカード、またはネットワークインターフェースコントローラーなどから構成されている。通信部51は、スマートフォン10と通信回線70を介して通信し、空間認識センサー21やスマートフォン10にて取得された空間情報と、環境認識センサー22にて取得された周辺環境情報と、環境調節装置30の装置識別子とを受け付ける。また、通信部51は、制御部54にて生成されて出力された制御情報を通信回線70を介してスマートフォン10に送信する。
【0033】
記憶部52は、例えば、ハードディスクまたはRAM、ソリッドステートドライブ(SSD)などから構成されており、インストールされた各種OSやソフトウェアプログラム、データを記憶する。
【0034】
データベースアクセス部53は、本願発明における抽出手段となるものである。データベースアクセス部53は、例えば、外部バスインターフェースコントローラーまたはネットワークインターフェースコントローラーなどから構成され、データベース60とケーブルやLANなどを介して接続されている。データベースアクセス部53は、通信部51にて受け付けた空間情報に基づいて快適環境情報をデータベース60から抽出するとともに、通信部51にて受け付けた装置識別子にて特定される環境調節装置30にて調節可能な環境の種類をデータベース60から抽出する。
【0035】
制御部54は、本願発明における生成手段となるものである。制御部54は、例えば、CPUまたはSoCなどから構成されている。制御部54は、通信部51、記憶部52及びデータベースアクセス部53に対する信号のやりとりを制御することで、環境制御サーバー50全体の動作を制御する。また、制御部54は、通信部51にて受け付けた装置識別子にて特定される環境調節装置30において、通信部51にて受け付けた空間情報にて特定される位置空間を、通信部51にて受け付けた周辺環境情報によって特定される環境から、データベースアクセス部53にてデータベース60から抽出した快適環境情報にて特定される環境とするための設定値を算出する。また、算出した設定値にするために装置識別子にて特定される環境調節装置30を制御するための制御情報を生成する。
【0036】
以下に、上記のように構成された環境制御システムの動作について説明する。
【0037】
図4は、
図1~
図3に示した環境制御システムにおける基本的な処理を説明するためのフローチャートである。
【0038】
スマートフォン10を所持する利用者がホテルの個室や大勢が入れるレストランなどの空間1に入り、スマートフォン10において所定の制御アプリを操作部14にて起動し、例えば、制御アプリにて表示部13に表示された「快適ボタン」を指定すると、スマートフォン10の制御部16が「快適ボタン」が指定されたことを検出する。なお、制御アプリの起動や「快適ボタン」の指定は、表示部13に表示された所定のアイコンに対するタップなどで行うことが考えられる。
【0039】
すると、スマートフォン10の制御部16が、空間1に設置された環境調節装置30を検出するための検出信号を通信部11bを介して送信する。検出信号を受信した環境調節装置30は、検出信号に応答して環境調節装置30の装置識別子を返信する。スマートフォン10は、環境調節装置30の装置識別子を通信部11bにて受け付けることで取得する(ステップS1)。その際、空間1に複数の環境調節装置30が設置されている場合は、それぞれの環境調節装置30の装置識別子を取得する場合もある。なお、スマートフォン10において所定の制御アプリを事前に起動しておき、スマートフォン10が定期的に検出信号を送信し、環境調節装置30がその検出信号に応答することで、装置識別子を返信してきた環境調節装置30を検出してもよいし、環境調節装置30が装置識別子を定期的にブロードキャスト送信し、スマートフォン10に対する所定の操作により、装置識別子の受信待機状態のスマートフォン10が装置識別子を取得してもよい。
【0040】
また、スマートフォン10の制御部16が、空間1に設置された空間認識センサー21に対して、上述したような空間情報を要求し、空間認識センサー21から送信された空間情報を通信部11bを介して取得する(ステップS2)。また、空間1におけるスマートフォン10自身の位置は、位置取得部12から取得する。なお、空間情報の取得は、スマートフォン10において所定の制御アプリを事前に起動しておき、スマートフォン10が定期的に空間情報を要求し、空間1に設置された空間認識センサー21がその要求に応答して空間情報を返信することで行ってもよいし、空間認識センサー21が空間情報を定期的にブロードキャスト送信し、スマートフォン10に対する所定の操作により、空間情報の受信待機状態のスマートフォン10が空間情報を受信してもよい。
【0041】
また、スマートフォン10の制御部16が、空間1に設置された環境認識センサー22に対して、上述したような周辺環境情報を要求し、環境認識センサー22から送信された周辺環境情報を通信部11bを介して取得する(ステップS3)。なお、周辺環境情報の取得は、スマートフォン10において所定の制御アプリを事前に起動しておき、スマートフォン10が定期的に周辺環境情報を要求し、空間1に設置された環境認識センサー22がその要求に応答して周辺環境情報を返信することで行ってもよいし、環境認識センサー22が周辺環境情報を定期的にブロードキャスト送信し、スマートフォン10に対する所定の操作により、周辺環境情報の受信待機状態のスマートフォン10が周辺環境情報を受信してもよい。
【0042】
なお、上述したステップS1~S3における処理の順番はこれに限らない。例えば、スマートフォン10が、ステップS1にて制御可能な環境調節装置30の存在を検出した場合に、ステップS2,S3の処理を実行してもよく、ステップS1~S3の処理を同時に実行してもよい。
【0043】
すると、スマートフォン10の制御部16は、通信部11b及び位置取得部12にて取得した、装置識別子、空間情報及び周辺環境情報を制御要求として、通信部11aからアクセスポイント40及び通信回線70を介して環境制御サーバー50に送信する(ステップS4)。なお、制御要求の送信前または送信の際に、スマートフォン10は、環境制御サーバー50に利用者識別子などの認証情報を送信し、環境制御サーバー50は、受信した認証情報を基にスマートフォン10または利用者を特定する認証を実行する。認証処理は、アプリによる自動または手動で行われる。利用者識別子としては、利用者固有のIDまたはスマートフォン10固有のブラウザのcookieや電話番号などが考えられる。
【0044】
環境制御サーバー50の制御部54は、スマートフォン10から送信されてきた、装置識別子、空間情報及び周辺環境情報を含む制御要求を受信する(ステップS5)。なお、上述した認証により特定された利用者識別子に対応づけて、装置識別子、空間情報及び周辺環境情報を送受信などの処理をしたり、記憶部52やデータベース60にこれらの情報を記憶したりしてもよい。
【0045】
すると、環境制御サーバー50のデータベースアクセス部53が、スマートフォン10から送信されてきた制御要求に含まれる装置識別子および空間情報に基づき、登録された情報をデータベースから抽出する(ステップS6)。データベース60には、上述したように、空間情報に応じて快適な快適環境情報が登録されている。また、データベース60には、上述したように、環境調節装置30にて調節可能な環境の種類がその環境調節装置30の装置識別子に対応づけて登録されている。そのため、データベースアクセス部53は、スマートフォン10から送信されてきた制御要求に含まれる空間情報に基づいて快適環境情報をデータベース60から抽出するとともに、スマートフォン10から送信されてきた制御要求に含まれる装置識別子にて特定される環境調節装置30にて調節可能な環境の種類をデータベース60から抽出することができる。なお、空間情報に利用者の位置情報が含まれている場合は、利用者の位置情報と地図情報から求まる空間の種類も空間情報として用いてもよい。空間の種類とは、例えば、自宅やレストラン、スポーツジムなどであり、空間の種類によって快適環境情報が異なる場合に用いることが考えられる。
【0046】
環境制御サーバー50の制御部54は、通信部51にて受け付けた装置識別子にて特定される環境調節装置30において、通信部51にて受け付けた空間情報にて特定される位置空間に合わせて、通信部51にて受け付けた周辺環境情報によって特定される環境から、データベースアクセス部53にてデータベース60から抽出した快適環境情報にて特定される環境とするための設定値を算出する(ステップS7)。例えば、環境調節装置30にて調節可能な環境の種類が温度であり、環境調節装置30の調節方法が温度の絶対値(例えば28℃)で調節可能なエアコンの機種であれば、快適環境情報における温度の値(例えば27℃にした後に3分経過したら26℃にする)が設定値となる。また、環境調節装置30の調節方法が温度の相対値(例えば+1℃)で調節可能なエアコンの機種であれば、現在の温度と快適な温度の差分の温度(例えば1℃下げた後に3分経過したらさらに1℃下げる)が設定値となる。また、環境調節装置30の調節方法が、風量(例えば、強、弱、出力レベル量など)で調節可能なエアコンの機種であれば、現在の温度から快適な温度にするために変更する風量とその風量の出力時間(例えば、出力レベルが1~5の5段階であった場合、出力5レベルを5分出力後、出力レベル1にする)が設定値となる。なお、設定値は、空間情報に含まれる空間の形や大きさなどに応じて、風向や風を出す時間などを補正して算出する。また、環境調節装置30にて調節可能な環境の種類が、換気量の場合は、現在の空気中のCo2濃度や空間内の風量を快適な換気量にするために、環境調節装置30の調節方法により、換気扇の風量(例えば、強→弱、弱→強)の変更値を求めたり、換気窓の開閉(例えば、開→閉、閉→開)の変更値を求めたりして、その変更値が設定値となる。設定値は、温度と風量などの複数の組み合わせの場合や、環境調節装置30の調節方法によりデータベース60から再抽出した補正データを用いて補正する場合もある。なお、データベース60にAIを搭載している場合は、空間情報と周辺環境情報、装置識別子をデータベースアクセス部53にて入力することにより、装置識別子にて特定される環境調節装置30において調節が可能な調節方法で、空間情報にて特定される位置空間に合わせて、周辺環境情報によって特定される環境から、快適環境情報にて特定される環境にするための設定値が制御部54に出力される。
【0047】
ここで、環境調節装置30が、空間1内の位置を指定して、その位置の環境を制御できる場合は、スマートフォン10から受信した空間情報に含まれる空間における利用者の位置が快適な環境になるように、設定値を算出する。例えば、環境調節装置30がエアコンであれば、利用者の位置が快適な温度になるように、位置情報と温度を設定値とする。また、環境調節装置30が位置を指定して制御できない場合は、環境制御サーバー50の制御部54が、利用者の位置と環境調節装置30の位置とを環境調節装置30からスマートフォン10を経由して取得し、これらを基に、風向や風量を算出し、温度と共に求めた風向と風量を設定値とする。この場合、利用者の位置が快適な環境になればよいので、空間1全体や他の位置も快適にする必要はないので、環境を調節する電気代等の費用が削減できる。
【0048】
なお、空間1内に複数の利用者の所持するスマートフォン10からの要求がある場合、空間1全体が同じように快適な環境にするように、設定値を設定してもよいが、各利用者の位置毎に快適な環境に設定できる場合は、各利用者の位置が快適な環境であれば構わない。
【0049】
また、空間内に複数の利用者の所持するスマートフォン10からの要求があり、各利用者の快適な環境が異なる場合に、各々の利用者毎に環境調節装置30が設置されていればよいが、スマートフォン10を所持する利用者の人数よりも環境調節装置30の数が少ない場合は、環境制御サーバー50の制御部54は、既定の時間ごとに、順番に各利用者向けの環境を出力することを繰り返す設定値にしてもよい。例えば、利用者Aの位置に26℃の風を15秒間送った後、利用者Bの位置に28℃の風を15秒送り、その後、また利用者Aの位置に26℃の風を15秒間送るなどし、各利用者の位置がそれぞれの快適な環境になるよう設定値を算出する。
【0050】
また、環境制御サーバー50の制御部54は、環境調節装置30の機能などにより、空間1内にいる全ての利用者が快適になる設定値が算出できない場合は、快適にならない利用者に快適になる空間内の場所を示して、移動するように、当該利用者のスマートフォン10に通知してもよい。
【0051】
データベース60には、上述したように環境調節装置30を設定値に制御するための制御信号がその環境調節装置30の装置識別子と対応づけて登録されている。環境制御サーバー50のデータベースアクセス部53は、装置識別子と算出した設定値とに基づいて、環境調節装置30を、算出した設定値とするための制御信号をデータベース60から抽出し、制御情報を生成する。制御情報は、例えば、装置識別子が機種Aのエアコンで、設定値が27℃の場合、そのエアコンAの設定を27℃に変更するための制御信号とそのエアコンの装置識別子である。
【0052】
環境制御サーバー50の制御部54は、生成した制御情報を通信部51によって通信回線70を介してスマートフォン10に送信する(ステップS8)。
【0053】
スマートフォン10の制御部16は、環境制御サーバー50から送信されてきた制御情報を通信部11aにて受信した場合(ステップS9)、その制御情報に含まれる装置識別子にて特定される環境調節装置30に対して、受信した制御情報に含まれる制御信号を通信部11bにて送信する(ステップS10)。
【0054】
スマートフォン10から送信された制御信号を受信した(ステップS11)環境調節装置30は、受信した制御信号に従って、風向きや温度などを制御して運転を行う(ステップS12)。
【0055】
このように、利用者が所持するスマートフォン10の位置などの空間と周辺の環境に応じて環境調節装置30の動作が制御されるので、環境調節装置が設置された空間に存在する人物に対して、その空間や環境に応じて適切な環境を提供しやすくなる。
【0056】
ここで、上述したようにして制御された環境調節装置30の設定を利用者が変更する際の処理について説明する。
【0057】
上述したようにして環境調節装置30が運転を開始してから、既定タイミング後(例えば、5分などの既定時間後、あるいは、環境調節装置30の運転を管理するコントロールセンターサーバーから環境の調節が完了された旨の通知を受けた後など)に、スマートフォン10の制御部16は、環境調節装置30の設定を変更するための画面を表示部13に表示させる。
【0058】
図5は、
図1~
図3に示した環境制御システムにて環境制御サーバー50から送信された制御情報に基づいて環境調節装置30が運転を開始してから既定のタイミング後にスマートフォン10に表示される画面の一例を示す図である。
【0059】
図5に示すように、環境調節装置30が運転を開始してから、既定タイミング後に、スマートフォン10の制御部16は、表示部13に「快適になりましたか?」などの文言ともに、快適になった事を回答するための「快適になった」ボタン13aと、変更を希望するための「変更する」ボタン13bとを表示させる。
【0060】
以下に、
図5に示した画面がスマートフォン10に表示された後の処理について説明する。
【0061】
図6は、
図1~
図3に示した環境制御システムにおいて
図5に示した画面がスマートフォン10に表示された後の処理を説明するためのフローチャートである。
【0062】
図5に示した画面がスマートフォン10の表示部13に表示された後、「快適になった」ボタン13aまたは「変更する」ボタン13bがタッチされると、スマートフォン10の制御部16は、操作部14にてその選択動作を快適回答情報として受け付ける(ステップS21)。
【0063】
スマートフォン10の操作部14にて受け付けた快適回答情報が、「快適になった」ボタン13aがタッチされたものである場合は(ステップS22)、スマートフォン10の制御部16は、制御情報を変更しない旨を、スマートフォン10の利用者の利用者識別子とともに快適回答情報として通信部11aによって送信する(ステップS23)。この際、スマートフォン10の利用者の利用者識別子によってスマートフォン10が特定可能となる。すなわち、利用者識別子は、本願発明にて端末識別情報ともなるものである。
【0064】
スマートフォン10から送信された快適回答情報は、アクセスポイント40及び通信回線70を介して環境制御サーバー50にて受信される(ステップS24)。
【0065】
環境制御サーバー50のデータベースアクセス部53は、スマートフォン10から送信されてきた快適回答情報が、制御情報を変更しない旨であるため、その旨を利用者識別子に対応づけてデータベース60に登録する(ステップS25)。
【0066】
一方、スマートフォン10の操作部14にて受け付けた快適回答情報が、「変更する」ボタン13bがタッチされたものである場合は(ステップS22)、スマートフォン10の制御部16は、どのように変更するかを利用者が指定するための変更画面を、利用者識別子とともに環境制御サーバー50に要求する(ステップS26)。
【0067】
環境制御サーバー50は、スマートフォン10から送信された変更画面の要求を、アクセスポイント40及び通信回線70を介して受信すると(ステップS27)、環境制御サーバー50のデータベースアクセス部53は、変更画面の要求とともに送信されてきた利用者識別子によって特定されるスマートフォン10に送信した制御情報の装置識別子にて特定される環境調節装置にて調節可能な環境の種類をデータベース60から読み出し、その環境の種類の設定を変更するため選択肢を含む変更画面を生成して、スマートフォン10に通信部51によって送信する(ステップS28)。
【0068】
スマートフォン10の制御部16は、環境制御サーバー50から送信された変更画面を受信すると(ステップS29)、受信した変更画面を表示部13に表示させる(ステップS30)。
【0069】
図7は、環境制御サーバー50から送信されてスマートフォン10の表示部13に表示される変更画面の一例を示す図である。
【0070】
図7に示すように、環境制御サーバー50から送信されてスマートフォン10の表示部13に表示される変更画面には、環境調節装置30にて設定された温度を上げるための「もっと暖かく」ボタン13cと、温度を下げるための「もっと涼しく」ボタン13dとが表示される。これは、環境調節装置30にて調節可能な種類が温度の場合であり、調節可能な種類が香りの場合は、「スパイシーな香りに」、「香りを強く」、「香りを弱く」などを示すボタンが考えられる。
【0071】
スマートフォン10の利用者が、「もっと暖かく」ボタン13cと「もっと涼しく」ボタン13dとのいずれかにタッチすることで変更情報となる変更内容を選択し、スマートフォン10の操作部14がその変更内容を受け付けると(ステップS31)。スマートフォン10の制御部16は、操作部14が受け付けた変更内容を利用者識別子及び装置識別子とともに環境制御サーバー50に送信する(ステップS32)。
【0072】
また、スマートフォン10の制御部16は、受け付けた変更内容に対応する制御信号を装置識別子に対応する環境調節装置30に送信する。その際に、スマートフォン10の制御部16が、その装置識別子と変更内容に対応する制御信号を環境制御サーバー50に問合せ、環境制御サーバー50がデータベース60からその装置識別子と変更内容に対応する設定値を求め、さらにデータベース60からその装置識別子とその設定値に対応する制御信号を抽出して制御情報としてスマートフォン10に送信してもよい。または、環境調節装置30が、予め変更画面の生成時に、変更内容に対応する制御信号を抽出しておき、変更画面ともに、制御信号をスマートフォン10に送信しておいてもよい。
【0073】
環境制御サーバー50は、スマートフォン10から送信された変更内容を通信部51にて受信すると(ステップS33)、環境制御サーバー50の制御部54が、受信した変更内容を、変更内容とともに送信されてきた利用者識別子に対応づけてデータベースアクセス部53によってデータベース60に登録する(ステップS34)。なお、同一の利用者識別子に対応づけられた変更内容が、データベース60に登録されている場合、履歴ログのように前の変更内容に追加するかたちで情報を登録する。
【0074】
以下に、上記のようにしてデータベース60に登録された変更内容を考慮して環境調節装置30の動作を制御する際の処理について説明する。
【0075】
図8は、
図1~
図3に示した環境制御システムにおいてデータベース60に登録された変更内容を考慮して環境調節装置30の動作を制御する際の処理を説明するためのフローチャートである。
【0076】
ステップS41~S47までは、
図4に示したステップS1~S7までの処理と同様であるため、説明は省略する。
【0077】
環境制御サーバー50の制御部54は、通信部51にて受け付けた装置識別子にて特定される環境調節装置30において、通信部51にて受け付けた空間情報にて特定される位置空間を、通信部51にて受け付けた周辺環境情報によって特定される環境から、データベースアクセス部53にてデータベース60から抽出した快適環境情報にて特定される環境とするための設定値を算出した後、スマートフォン10から送信されてきた利用者識別子に対応づけられた変更内容がデータベース60に登録されているかどうかを確認する(ステップS48)。そのため、スマートフォン10からは、装置識別子、空間情報及び周辺環境情報とともに、利用者識別子が環境制御サーバー50に送信されることになる。
【0078】
スマートフォン10から送信されてきた利用者識別子に対応づけられた変更内容がデータベース60に登録されている場合は、環境制御サーバー50の制御部54は、ステップS47にて算出した設定値をその変更内容に基づいた補正値を用いて補正し(ステップS49)、データベース60から装置識別子と補正した設定値に対応する制御信号を抽出して制御情報を生成し、スマートフォン10に送信する(ステップS50)。例えば、利用者識別子に対応づけて登録された変更内容から利用者が暑がりである場合は、算出した設定値に対して温度を低めに設定する補正を行う。このように、環境制御サーバー50の制御部54は、データベース60に利用者識別子に対応付けて登録されている変更内容から利用者の環境の種類毎に好み(温度-2℃(かなり寒め)、温度+1℃(少し暖かめ)、甘い香り多め、香り無しなど)を分析し、快適な環境情報を好みに合わせて設定値を補正し、それに応じた制御情報を生成する。すなわち、環境制御サーバー50の制御部54は、スマートフォン10から送信されてきた利用者識別子に対応づけられた変更内容がデータベース60に登録されている場合は、その変更内容に基づいて制御情報を補正することになる。なお、空間情報の大きさや形によって、各環境の種類に対応した補正の量を増減してもよい。
【0079】
その後、ステップS9~S12における処理と同様に、スマートフォン10が環境制御サーバー50から送信されてきた制御情報を受信すると、これに含まれる制御信号を環境調節装置30に送信し、環境調節装置30が制御信号に基づく運転を行う(ステップS51~S54)。
【0080】
このように、スマートフォン10において、環境制御サーバー50にて算出された設定値の変更を受け付け可能とし、環境制御サーバー50において、スマートフォン10にて受け付けられた変更内容を、その変更を受け付けたスマートフォン10を特定可能な利用者識別子と対応づけてデータベース60に登録しておき、利用者識別子が指定された場合、環境調節装置30の動作を調節するために算出した設定値を利用者識別子に対応づけてデータベース60に登録されている変更内容に基づいて補正し、それに応じた制御情報を生成して出力することにより、同じ利用者が同じ場所や異なる場所を訪れた際に、利用者の好みに応じた環境を提供することができる。
【0081】
なお、上述したように利用者が制御情報の基となった設定値を変更した変更内容をデータベース60に登録しておいてその変更内容に基づいて設定値を補正するのではなく、スマートフォン10を所持する利用者に関する利用者情報を利用者識別子と対応づけてデータベース60に登録しておき、その後、利用者識別子が指定された場合、環境調節装置30の動作を調節するために算出した設定値を利用者識別子に対応づけてデータベース60に登録されている利用者情報に基づいて補正し、これに応じた制御情報を生成して出力する構成とすることも考えられる。その際、利用者情報としては、居住地または出身地などの間接的な情報、暑がりまたは寒がり、好みの香りなどの直接的な情報が考えられる。例えば、利用者情報のうち、環境に直接的な情報(暑がりや好みの香りなど)であればそれを補正値として、対応する設定値を加減する。環境に間接的な情報であれば、データベース60に予め登録されているそれらの情報に対応する各環境の補正値を読み出し、補正する。例えば、情報が出身地であれば、出身地の人の平均的な体温を基にした快適な温度の値や出身地の人に人気の香りの情報などを格納しておく。この場合も、環境制御サーバー50の制御部54は、スマートフォン10から送信されてきた利用者識別子に対応づけられた利用者情報がデータベース60に登録されている場合は、その利用者情報に基づいて制御情報を補正することになる。
【0082】
これにより、スマートフォン10を所持する利用者の体質や出身地などに応じて、快適な環境を提供することができる。
【0083】
(第2の実施の形態)
図9は、本発明の環境制御システムの第2の実施の形態を示す図である。
【0084】
本形態による環境制御システムは
図9に示すように、
図1に示したものに対して、コントロールセンターサーバー80を有する点が異なる。本形態は、オフィスビルや空港などのように、環境調節装置などの装置をコントロールセンターで集中管理している場合に適用される。なお、第1の実施の形態と同様の点や既に説明した詳細な点は、説明を省略する。
【0085】
コントロールセンターサーバー80は、空間1に設置された環境調節装置30とネットワーク(不図示)を介して接続され、環境制御サーバー50から送信された制御情報に含まれる制御信号を環境調節装置30に送信することで、環境調節装置30の動作を制御する。なお、1つのコントロールセンターサーバー80が複数の環境調節装置30の動作を制御してもよい。コントロールセンターサーバー80は環境調節装置30や環境制御サーバー50と通信を行うための通信部と、各種OS、ソフトウェアプログラム、データを記憶する記憶部と、通信部や記憶部との間の信号のやりとりなどの制御を行う制御部とを有している。各部のハードウェア構成は、例えば、通信部が各種ネットワークインターフェースカードまたはネットワークインターフェースコントローラーなどから構成され、記憶部がハードディスクやRAM、ソリッドステートドライブ(SSD)などから構成され、制御部がCPUまたはSoCなどから構成されている。
【0086】
以下に、上記のように構成された環境制御システムの動作について説明する。
【0087】
図10は、
図9に示した環境制御システムにおける処理を説明するためのフローチャートである。
【0088】
スマートフォン10を所持する利用者がホテルの個室や大勢が入れるレストランなどの空間1に入り、スマートフォン10において所定の制御アプリを操作部14にて起動し、例えば、制御アプリにて表示部13に表示された「快適ボタン」を指定すると、スマートフォン10の制御部16が「快適ボタン」が指定されたことを検出し、
図4に示したステップS1~S4における処理と同様に、スマートフォン10が、空間1にて検出した環境調節装置の装置識別子、空間情報及び周辺環境情報をアクセスポイント40及び通信回線70を介して環境制御サーバー50に送信する(ステップS61~S64)。その際、スマートフォン10の制御部16は、装置識別子について、どのような種類の装置かを表す情報や、ネットワーク上の環境調節装置を特定する情報以外に、コントロールセンターサーバー80と通信するためのネットワーク上のコントロールセンターサーバー80を特定するドメイン名やIPアドレスなどの識別子情報も装置識別子に含めて環境調節装置30から取得する。なお、環境制御サーバー50にて、環境調節装置30の動作を制御するコントロールセンターサーバーを特定するために、環境調節装置30とコントロールセンターサーバー80との識別子の対応表をデータベース60に予め記憶しておいてもよい。この場合は、装置識別子にコントロールセンターサーバー80の識別子情報を含めて取得する必要はない。
【0089】
環境制御サーバー50の制御部54は、
図4に示したステップS5~S7における処理と同様に、スマートフォン10から送信された、装置識別子、空間情報及び周辺環境情報を受信し、これらに基づいてデータベース60を参照して、環境調節装置30の動作を制御するための設定値を算出し、それに応じた制御信号をデータベース60から抽出し、制御情報を生成する(ステップS65~S67)。
【0090】
環境制御サーバー50は、生成した制御情報を、スマートフォン10から受信した装置識別子に含まれる、または、装置識別子に対応してデータベース60に記憶されている、コントロールセンターサーバー80を特定するドメイン名やIPアドレスなどの識別子情報に基づいてコントロールセンターサーバー80に送信する(ステップS68)。
【0091】
コントロールセンターサーバー80は、環境制御サーバー50から送信されてきた制御情報を受信すると(ステップS69)、その制御情報に含まれる装置識別子にて特定される環境調節装置30に対して、受信した制御情報に含まれる制御信号を送信する(ステップS70)。
【0092】
コントロールセンターサーバー80から送信された制御信号を受信した(ステップS71)環境調節装置30は、受信した制御信号に従って、風向きや温度などを制御して運転を行う(ステップS72)。
【0093】
なお、本形態においても、第1の実施の形態にて
図5~
図8を用いて説明したような補正値を用いた処理を行うことができる。
【0094】
その場合、環境制御サーバー50が、コントロールセンターサーバー80に制御情報を送信してから、既定タイミング後(例えば、5分などの既定時間後、あるいは、コントロールセンターサーバー80から環境の調節が完了された旨の通知を受けた後など)に、スマートフォン10に対して、
図5に示したような画面を送信することが考えられる。
【0095】
そして、環境制御サーバー50がスマートフォン10に
図7に示したような画面を送信した後、スマートフォン10の利用者が、「もっと暖かく」ボタン13cと「もっと涼しく」ボタン13dとのいずれかにタッチすることで変更情報となる変更内容を選択し、スマートフォン10が、その変更内容を利用者識別子及び装置識別子とともに環境制御サーバー50に送信すると、環境制御サーバー50がコントロールセンターサーバー80に対して、受信した変更内容に応じた制御信号を送信する。
【0096】
(第3の実施の形態)
図11は、本発明の環境制御システムの第3の実施の形態を示す図である。
【0097】
本形態による環境制御システムは
図11に示すように、
図9に示したものに対して、スマートフォン10が、空間認識センサー21、環境認識センサー22及び環境調節装置30から、空間情報、周辺環境情報及び装置識別子をそれぞれ受信するのではなく、これらをコントロールセンターサーバー80から受信する点が異なる。本形態も、オフィスビルや空港などのように、環境調節装置などの装置をコントロールセンターで集中管理している場合に適用される。なお、本形態に関しても、空間認識センサー21と環境認識センサー22のいずれか一方、または、空間認識センサー21や環境認識センサー22の一部がスマートフォン10に内蔵さていてもよい。第2の実施の形態と同様の点や第1の実施の形態で説明済みの詳細な点については、説明を省略する。
【0098】
以下に、上記のように構成された環境制御システムの動作について説明する。
【0099】
図12は、
図11に示した環境制御システムにおける処理を説明するためのフローチャートである。
【0100】
スマートフォン10を所持する利用者がホテルの個室や大勢が入れるレストランなどの空間1に入り、スマートフォン10において所定の制御アプリを操作部14にて起動し、例えば、制御アプリにて表示部13に表示された「快適ボタン」を指定し、スマートフォン10の制御部16が「快適ボタン」が指定されたことを検出すると、スマートフォン10の制御部16は、通信部11aまたは通信部11bを用いて、コントロールセンターサーバー80を検出するための検出信号を送信する。そして、スマートフォン10の制御部16は、検出信号を受信したコントロールセンターサーバー80からコントロールセンターサーバー80の識別子情報を通信部11aまたは通信部11bにて受信すると、コントロールセンターサーバー80に対して、空間1の空間情報及び周辺環境情報、並びに空間1に設置された環境調節装置30の装置識別子の送信を要求する(ステップS81)。
【0101】
すると、コントロールセンターサーバー80は、空間認識センサー21が取得した空間情報と環境認識センサー22が取得した周辺環境情報とをそれぞれ空間認識センサー21及び環境認識センサー22から取得し(ステップS82)、これら空間情報及び環境情報と環境調節装置30の装置識別子とをスマートフォン10に送信する(ステップS83)。なお、スマートフォン10が定期的に空間情報や周辺環境情報を要求し、その要求に応答してコントロールセンターサーバー80が空間情報、環境情報及び装置識別子を送信してもよいし、コントロールセンターサーバー80が空間情報、環境情報及び装置識別子を定期的にブロードキャスト送信し、スマートフォン10に対する所定の操作により、空間情報、環境情報及び装置識別子の受信待機状態のスマートフォン10がこれら空間情報、環境情報及び装置識別子を取得してもよい。また、スマートフォン10の制御部16が、通信部11aと位置取得部12とを用いて、スマートフォン10の位置情報を環境制御サーバー50に送信し、環境制御サーバー50は、受信した位置情報を基に、同じ位置の空間を管理しているコントロールセンターサーバー80の識別子情報をデータベース60から抽出し、抽出したコントロールセンターサーバー80の識別子情報をスマートフォン10送信し、スマートフォン10とコントロールセンターサーバー80とが通信できるようにしてもよい(この場合は、次にステップS81における処理に移行する)。更には、スマートフォン10の制御部16が、通信部11aと位置取得部12とを用いて、スマートフォン10の位置情報を環境制御サーバー50に送信し、環境制御サーバー50は、受信した位置情報を基に、同じ位置の空間を管理しているコントロールセンターサーバー80の識別子情報をデータベース60から抽出し、抽出したコントロールセンターサーバー80の識別子情報を基に、コントロールセンターサーバー80に要求し、コントロールセンターサーバー80から空間情報、環境情報及び装置識別子を受信するようにしてもよい(この場合は、次にステップS87における処理に移行する)。
【0102】
コントロールセンターサーバー80から送信された空間情報、環境情報及び装置識別子をスマートフォン10の通信部11aまたは通信部11bにて受信すると(ステップS84)、スマートフォン10の制御部16は、受信した環境調節装置30の装置識別子、空間情報及び周辺環境情報をアクセスポイント40及び通信回線70を介して環境制御サーバー50に送信する(ステップS85)。
【0103】
環境制御サーバー50の制御部54は、
図4に示したステップS5~S7における処理と同様に、スマートフォン10から送信された、装置識別子、空間情報及び周辺環境情報を受信し、これらに基づいてデータベース60を参照して、環境調節装置30の動作を制御するための設定値を算出し、それに応じた制御信号をデータベース60から抽出し、制御情報を生成する(ステップS86~S88)。
【0104】
環境制御サーバー50は、生成した制御情報を、スマートフォン10から受信した装置識別子に含まれる、または、装置識別子に対応してデータベースに記憶されている、コントロールセンターサーバー80を特定するドメイン名やIPアドレスなどの識別子情報に基づいてコントロールセンターサーバー80に送信する(ステップS89)。
【0105】
コントロールセンターサーバー80は、環境制御サーバー50から送信されてきた制御情報を受信すると(ステップS90)、その制御情報に含まれる装置識別子にて特定される環境調節装置30に対して、受信した制御情報に含まれる制御信号を送信する(ステップS91)。
【0106】
コントロールセンターサーバー80から送信された制御信号を受信した(ステップS92)環境調節装置30は、受信した制御信号に従って、風向きや温度などを制御して運転を行う(ステップS93)。なお、本形態においても、第1の実施の形態にて
図5~
図8を用いて説明したような補正値を用いた処理を第2の実施の形態にて説明したように行うことができる。
【0107】
(第4の実施の形態)
本形態は、
図1~
図3に示した環境制御システムにおいて、スマートフォン10の利用者が集中モード、リラックスモード、基本モードなど、その時の気分ややることに合わせてモードを選択し、環境制御サーバー50が、選択されたモードに応じた環境情報により環境調節装置30を制御するものである。
【0108】
以下に、本形態における処理について、
図4に示したフローチャートを用いて説明する。なお、第1の実施の形態と同様の点や既に説明した詳細な点は、説明を省略する。
【0109】
本形態においては、スマートフォン10の利用者が、スマートフォン10において所定の制御アプリを操作部14にて起動し、例えば、制御アプリにて表示部13に表示された「快適ボタン」を指定する際、表示部13に表示された複数のモードのうち所望のモードも指定することで処理が開始される。
【0110】
スマートフォン10の制御部16は、ステップS4にて装置識別子、空間情報及び周辺環境情報を環境制御サーバー50に送信する際、利用者が選択したモードを特定可能なモード識別子も制御要求に含めて環境制御サーバー50に送信する。
【0111】
環境制御サーバー50は、スマートフォン10から送信されてきた制御要求を受信した後、ステップS6にてデータベースアクセス部53が快適環境情報をデータベース60から抽出する際に、スマートフォン10から送信されてきた制御要求に含まれる装置識別子、空間情報及びモード識別子に基づき、登録された情報をデータベースから抽出する。データベース60には、空間情報に応じて快適な快適環境情報がモード識別子毎に登録されている。そのため、データベースアクセス部53は、スマートフォン10から送信されてきた制御要求に含まれる空間情報及びモード識別子に基づいて快適環境情報をデータベース60から抽出することができる。例えば、同じ空間でも集中モードにおいては、快適環境情報が、標準的な快適環境情報に比べて、温度は低め、音は無しに設定されており、また、リラックスモードにおいては、標準的な快適環境情報に比べて温度は標準、音はオルゴール音の音楽、香りは、甘い香りに設定されている。なお、基本モードは、標準的に快適とされる環境情報が設定されている。なお、快適環境情報がモード識別子毎に登録されているのではなく、モード識別子毎に補正値が登録されており、生成した制御情報を補正値を用いて補正して、指定されたモードに応じた快適な環境情報を提供してもよい。
【0112】
スマートフォン10から送信されてきた制御要求に含まれる装置識別子にて特定される環境調節装置30にて調節可能な環境の種類をデータベース60から抽出する点や、その後の、ステップS7~S12における処理は、第1の実施の形態の説明と同様に行われる。なお、本形態を第2の実施の形態または第3の実施の形態に当てはめても構わない。
【0113】
なお、本形態においても、
図5~
図8を用いて第1の実施の形態にて説明したような補正値を用いた処理を行うことができる。
【0114】
その場合、変更内容をデータベース60に登録する際に、利用者識別子と選択されたモード識別子にも対応させて変更内容を登録しておく。そして、同じ利用者が同じ場所や異なる場所を訪れた際に、その利用者の所持するスマートフォン10から同じモード識別子を含む制御要求を受信した場合、同じ利用者識別子と同じモード識別子に対応させてデータベース60に登録された変更内容を基に、制御情報を補正して出力する。この場合、同じ利用者識別子と異なるモード識別子に対応した変更内容がデータベース60に登録されていても、その変更内容は使用しない。
【0115】
このように、データベース60に、快適環境情報が利用者の利用に関するモード毎に空間情報に対応づけて登録されており、環境制御サーバー50が、モードが指定された場合、指定されたモードについて空間情報に対応づけられた快適環境情報をデータベースから抽出することにより、集中モードやリラックスモード、基本モードなど、その時の気分ややることに合わせて利用者が選択したモードに応じた環境を提供することができる。
【0116】
(第5の実施の形態)
本形態は、
図1~
図3に示した環境制御システムにおいて、空間1が車や電車などの移動手段である場合の変形例である。
【0117】
以下に、本形態における処理について、
図4に示したフローチャートを用いて説明する。なお、第1の実施の形態と同様の点や既に説明した詳細な点は、説明を省略する。
【0118】
本形態においては、スマートフォン10の利用者が、スマートフォン10において所定の制御アプリを操作部14にて起動し、例えば、制御アプリにて表示部13に表示された「快適ボタン」を指定する際、目的地または移動目的も入力する。これにより、スマートフォン10の操作部14が、目的地または移動目的を示す移動情報を受け付ける。
【0119】
スマートフォン10の制御部16は、ステップS4にて装置識別子、空間情報及び周辺環境情報を環境制御サーバー50に送信する際、利用者が入力した目的地または移動目的を示す移動情報も制御要求に含めて環境制御サーバー50に送信する。
【0120】
環境制御サーバー50は、スマートフォン10から送信されてきた制御要求を受信した後、ステップS6にてデータベースアクセス部53が快適環境情報をデータベース60から抽出する際に、スマートフォン10から送信されてきた制御要求に含まれる移動情報に応じた補正値をデータベースから抽出する。データベース60には、予め、目的地または移動目的を示す移動情報に応じた補正値が登録されている。目的地おいて住所などを用いる場合は、利用者識別子毎に登録されている。目的地の場合は、例えば、「会社」、「自宅」、「旅館」、「遊園地」などの名称でも、それらの住所でもよい。本制御アプリがさらにナビゲーション機能や乗換案内機能などを有しているか、またはその機能と連携可能であり、その機能に入力した目的地を移動情報として共用してもよい。また、移動目的の場合は、例えば、「出勤」、「帰宅」、「旅行」、「レジャー」などの名称である。
【0121】
次に、環境制御サーバー50の制御部54は、データベース60から抽出した快適環境情報を、データベース60から抽出した補正値によって補正する。これにより、環境制御サーバー50の制御部54は、データベース60を参照して算出した設定値による制御情報を補正値によって補正して出力する。なお、移動情報に応じて補正値が登録されているのではなく、空間情報に応じた快適環境情報が移動情報毎に登録されており、制御要求に含まれる空間情報及び移動情報を基に移動情報に応じて補正された快適な環境情報を抽出してもよい。
【0122】
スマートフォン10から送信されてきた制御要求に含まれる装置識別子にて特定される環境調節装置30にて調節可能な環境の種類をデータベース60から抽出する点や、その後の、ステップS7~S12における処理は、第1の実施の形態の説明と同様に行われる。なお、本形態を第2の実施の形態または第3の実施の形態に当てはめても構わない。
【0123】
このように、スマートフォン10に利用者の移動に関する移動情報が入力された場合に、環境制御サーバー50が、スマートフォン10から送信されてきた空間情報及び装置識別子に応じてデータベース60から抽出した快適環境情報を、移動情報に応じてデータベース60に登録された補正値によって補正することにより、目的地や移動目的に応じて適切な環境を提供することができる。
【0124】
なお、上述したように、スマートフォン10の利用者が、スマートフォン10の操作部14に目的地または移動目的を示す移動情報を入力するのではなく、スマートフォン10の制御部16が、スマートフォン10の時計部から日時情報を取得したり、位置取得部12から位置情報を取得したり、記憶部15から過去の移動履歴情報を抽出したりして、このうちの少なくとも1つの情報から、目的地または移動目的を予測して移動情報を導き出してもよい。
【0125】
また、スマートフォン10の制御部16が、上述したような日時情報、位置情報及び過去の移動履歴情報の少なくとも1つの情報を取得し、これを環境制御サーバー50に送信し、環境制御サーバー50の制御部54が、スマートフォン10から送信されてきた情報に基づいて、目的地または移動目的を予測して移動情報を導き出してもよい。
【0126】
なお、本形態においても、
図5~
図8を用いて第1の実施の形態にて説明したような補正値を用いた処理を行うことができる。
【0127】
その場合、変更内容をデータベース60に登録する際に、利用者識別子と入力された移動情報にも対応させて変更内容を登録しておく。そして、同じ移動手段または異なる移動手段を利用した際に、その利用者の所持するスマートフォン10から同じ移動情報を含む制御要求を受信した場合、同じ利用者識別子と同じ移動情報に対応させてデータベース60に登録された変更内容を基に、制御情報を補正して出力する。この場合、同じ利用者識別子と異なる移動情報に対応した変更内容がデータベース60に登録されていても、その変更内容は使用しない。
【0128】
(第6の実施の形態)
本形態では、
図1に示した環境制御システムにおいて、利用者が所持しているスマートフォン10が空間1の外に存在している場合に、スマートフォン10の近辺に周辺に存在する、上述したような快適な環境を提供可能な空間1の位置をスマートフォン10の利用者に知らせる例について説明する。
【0129】
図13は、
図1に示した環境制御システムにおいて、スマートフォン10が空間1の外に存在している場合に、快適な環境を提供可能な空間1の位置を知らせるための構成を示す図である。
図14は、
図11に示した環境制御システムにおいて、スマートフォン10が空間1の外に存在している場合に、快適な環境を提供可能な空間1の位置を知らせるための構成を示す図である。なお、
図13と
図14に示した環境制御システムを構成する各装置等の各部について、それぞれ
図1と
図11に示した環境制御システムを構成する各装置等の各部の機能や動作と同様の点は、上述の各実施の形態にて既に説明済みのため、本形態では説明を省略する。
図15は、
図13または
図14に示した構成において、スマートフォン10に快適な環境を提供可能な空間1の位置を知らせる処理を説明するためのフローチャートである。また、構成図は省略するが、
図9に示した環境制御システムにおいても、スマートフォン10が空間1の外に存在している場合に、
図15に示したフローチャートと同様の処理により、快適な環境を提供可能な空間1の位置を知らせることが、本形態と同様にできる。
図15に示したフローチャートにおいては、
図1及び
図9に示した環境制御システムにおける環境調節装置30だけでなく、
図9及び
図11に示した環境制御システムにおけるコントロールセンターサーバー80も考慮に入れてまとめて説明をする。
【0130】
本形態においては、空間1の外にいるスマートフォン10を所持する利用者が空間1に入る前に、スマートフォン10を操作し、制御アプリを実行する。
【0131】
スマートフォン10の制御部16は、表示部13に表示されたメニュー画面において、「近くの快適な環境の空間を検索」ボタンが操作部14にて選択されると、位置情得部12からスマートフォン10の位置情報を取得し(ステップS101)、取得した位置情報を含めて、近くの快適な環境空間の提供を要求するための空間照会要求を通信部11aによって環境制御サーバー50に送信する(ステップS102)。
【0132】
環境制御サーバー50の制御部54が、スマートフォン10から送信された空間照会要求を通信部51にて通信回線70を介して受信すると(ステップS103)、環境制御サーバー50のデータベースアクセス部53が、受信した空間照会要求に含まれる位置情報を中心にした既定の範囲内の位置情報に対応づけられた環境調節装置30またはコントロールセンターサーバー80をデータベース60から抽出する(ステップS104)。データベース60には、環境調節装置30の装置識別子が、この装置識別子によって特定される環境調節装置30が設置された位置を示す位置情報と対応づけて登録されている。また、コントロールセンターサーバー80を有する形態であれば、データベース60にコントロールセンターサーバー80の識別子情報が、この識別子情報によって特定されるコントロールセンターサーバー80が設置された位置を示す位置情報と対応づけて登録されている。そのため、環境制御サーバー50のデータベースアクセス部53は、空間照会要求を送信したスマートフォン10の位置情報を中心にした既定の範囲にある制御可能な環境調節装置30またはコントロールセンターサーバー80をデータベース60から抽出することができる。
【0133】
環境制御サーバー50の制御部54は、データベースアクセス部53がデータベース60から抽出した環境調節装置30またはコントロールセンターサーバー80の位置が、空間照会要求を送信したスマートフォン10の位置情報を中心にした既定の範囲内の地図画像上に、快適な環境に制御可能な空間として表示された地図画面データを生成し、通信部51によってスマートフォン10に送信する(ステップS105)。
【0134】
スマートフォン10の制御部16は、環境制御サーバー50から送信された地図画面データを通信部11aにて受信すると(ステップS106)、受信した地図画面データを基に、快適な環境に制御可能な空間1の位置が表示された地図画面を表示部13にて表示する(ステップS107)。
【0135】
さらに、環境制御サーバー50の制御部54は、スマートフォン10の表示部13に表示された地図上の空間がタップなどで選択された場合、制御可能な環境の種類をアイコンなどをスマートフォン10の表示部13に表示させるとなおよい。また、地図上に表示された空間にいる(制御要求を送信した)利用者数や、(既に空間内にいる利用者から受信した制御要求に含まれる直近の周辺環境情報やその制御後の)現在の環境情報を表示してもよい。この場合、環境制御サーバー50の制御部54は、地図画面データとともに、または、地図上の空間がタップなどで選択された際に、その空間に対応する環境調節装置またはコントロールセンターサーバー80の制御可能な環境の種類、利用者数、現在の環境情報をスマートフォン10に送信する。
【0136】
その後、スマートフォン10の利用者が、空間1に入った後の処理は、
図1、
図9または
図11にて示して上述した実施の形態で説明したものと同様となる。なお、空間認識センサー21にて取得された空間情報と、環境認識センサー22にて取得された周辺環境情報と、環境調節装置30の装置識別子とは、通信回線70を介して環境制御サーバー50に送信されている。
【0137】
このように、データベース60に、環境調節装置30が設置された位置を示す位置情報が登録されており、環境制御サーバー50が、スマートフォン10の位置空間の近くに設置された環境調節装置30を判断してその環境調節装置30によって環境が制御可能な空間をスマートフォン10に通知することにより、空間1の外にいる利用者が、快適な環境が提供可能な空間の位置を知ることができる。特に、近年の感染症の感染拡大防止の観点から、環境のコントロールが可能な空間を知ることを希望する利用者には好ましい。また、そのような観点から、環境制御サーバー50が、空間認識センサー21から送信されてくる空間情報や、環境認識センサー22から送信されてくる周辺環境情報や、スマートフォン10から送信されてくるスマートフォン10の位置情報に基づいて、スマートフォン10の所持者が今いる空間が、いわゆる三密になりそうかどうかを判断し、三密になりそうになると、その空間にいるスマートフォン10にアラームを出力させる構成とすることも考えられる。
【0138】
また、環境調節装置30によって環境が制御可能な空間をスマートフォン10に通知する際、空間を選択可能に地図表示すれば、利用者が今いる場所の近くにある、快適な環境をビジュアル的に知ることができる。
【0139】
なお、環境を制御可能な環境調節装置30が設置された快適な空間をデータベース60に登録するには、管理者が手動で登録してもよいが、対応する環境調節装置またはコントロールセンターサーバー80が、データベースに位置情報(制御可能な環境の種類も)を送信するようにしてもよい。また、その空間内のセンサーにより受信した現在の環境情報をセンサーまたはコントロールセンターサーバー80が、データベースに送信するようにしてもよい。利用者数は、環境制御サーバー50が受信した制御要求を送信してきた利用者識別子数や空間内にある人感センサーを用いる。
【0140】
なお、上述した実施の形態においては、スマートフォン10の位置空間となる空間1を特定可能な空間情報を取得する空間認識センサー21と、スマートフォン10の周辺の環境を特定可能な周辺環境情報を取得する環境認識センサー22とをスマートフォン10とは別個に設けた構成を例に挙げて説明したが、スマートフォン10に内蔵されたセンサーによってこれら空間情報と周辺環境情報を取得してもよく、スマートフォン10の外部のセンサーと内蔵されたセンサーとによってこれらの情報を取得する構成としてもよい。
【0141】
また、本発明の環境制御サーバー50にて行われる方法は、コンピュータに実行させるためのプログラムに適用してもよい。また、そのプログラムを記憶媒体に格納することも可能であり、ネットワークを介して外部に提供することも可能である。
【符号の説明】
【0142】
1 空間
10 スマートフォン
11a,11b,51 通信部
12 位置取得部
13 表示部
13a~13d ボタン
14 操作部
15,52 記憶部
16,54 制御部
21 空間認識センサー
22 環境認識センサー
30 環境調節装置
40 アクセスポイント
50 環境制御サーバー
53 データベースアクセス部
60 データベース
70 通信回線
80 コントロールセンターサーバー