(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】回転機器
(51)【国際特許分類】
F04D 29/42 20060101AFI20240806BHJP
F04D 29/58 20060101ALI20240806BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
F04D29/42 H
F04D29/58 P
H02K7/14 A
(21)【出願番号】P 2020148691
(22)【出願日】2020-09-04
【審査請求日】2023-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】樋口 幸洋
【審査官】森 秀太
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-094536(JP,A)
【文献】特開2019-97373(JP,A)
【文献】特開2018-155237(JP,A)
【文献】特開2019-176660(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/42
F04D 29/44
F04D 29/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インペラと、
モータと、
ハウジングと、
ハウジングの内側に形成された通気路と、を備え、
前記ハウジングは、
回転軸方向における、第1端部及び第2端部と、
前記モータを囲む環状の壁部と、
前記環状の壁部の内側において、前記モータを支持するホルダと、
前記ホルダと前記環状の壁部とを連結する複数の静翼と、を有し、
前記ホルダの外周部と前記環状の壁部との間に環状の空間部が形成されており、
前記環状の空間部は、前記静翼に対して前記ハウジングの第2端部側にあり、前記通気路の一部を形成
し、
前記ホルダは、複数の柱と、当該複数の柱に吊るされたフレームと、を備え、
前記フレームは、前記ハウジングの第2端部側にある前記モータの底部を支持し、
径方向において、前記環状の空間部の一部は、前記モータの外周と前記環状の壁部との間に形成され、
前記環状の壁部には、径方向に開口した開口部が形成されており、
前記通気路は、前記開口部を介して、前記ハウジングの外部と連通している、
回転機器。
【請求項2】
前記フレームに支持された軸受
を備え、
前記ホルダは、前記インペラに対して前記ハウジングの第2端部側に配置されている、請求項
1に記載の回転機器。
【請求項3】
前記ハウジングに支持された基板を備え、
前記基板は、前記モータに対して前記ハウジングの第2端部側に配置されており、
前記基板には、電子部品が配置されており、
前記基板は、回転軸方向において、前記モータと対向する、請求項
1又は2に記載の回転機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、掃除機等には、モータと、モータにより回転する遠心ファン(インペラ)と、遠心ファンとモータとの間に配置された静翼(固定翼)とを有する回転機器を搭載するものがある。静翼は、モータ駆動により回転する遠心ファンから排出された空気を整流しつつ、モータが収容された空間に送り込み、モータを冷却する構成になっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の回転機器では、ハウジング内にモータを保持するホルダを有し、当該ホルダがハウジングの内周面から径方向内側に延在する複数の円柱状のスポークを介して連結されているものがある。このようなスポークは、インペラから排出され、静翼を介してモータ側に向かう空気の流れに対して抵抗になり易く、改善の余地がある。
【0005】
本発明は、ハウジング内の通気路上の空気の流れを改善することができる回転機器を提供することを課題の一例とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る回転機器は、インペラと、モータと、ハウジングと、ハウジングの内側に形成された通気路と、を備える。前記ハウジングは、回転軸方向における、第1端部及び第2端部と、前記モータを囲む環状の壁部と、前記環状の壁部の内側において、前記モータを支持するホルダと、前記ホルダと前記環状の壁部とを連結する複数の静翼と、を有する。前記ホルダの外周部と前記環状の壁部との間に環状の空間部が形成されている。前記環状の空間部は、前記静翼に対して前記ハウジングの第2端部側にあり、前記通気路の一部を形成している。前記ホルダは、複数の柱と、当該複数の柱に吊るされたフレームと、を備える。前記フレームは、前記ハウジングの第2端部側にある前記モータの底部を支持する。径方向において、前記環状の空間部の一部は、前記モータの外周と前記環状の壁部との間に形成される。前記環状の壁部には、径方向に開口した開口部が形成されている。前記通気路は、前記開口部を介して、前記ハウジングの外部と連通している。
【0007】
本発明の一態様によれば、ハウジング内の通気路上の空気の流れを改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る回転機器の外観斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示すインペラの構成を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図2に示すインペラの構成を示す側面図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る回転機器の内部構造を示す断面図である。
【
図6】
図6は、
図5に示す回転機器の主要部の内部構造を示す部分拡大断面図である。
【
図8】
図8は、
図1に示す回転機器の内部に収容されるモータの構成を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、実施形態の変形例に係る回転機器の外観を示す部分斜視図である。
【
図11】
図11は、
図9に示す回転機器の主要部の内部構造を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態に係る回転機器について図面を参照して説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面における各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、1つの実施形態や変形例に記載された内容は、原則として他の実施形態や変形例にも同様に適用される。
【0010】
(実施形態)
図1は、実施形態に係る回転機器の外観斜視図である。
図2は、
図1に示す回転機器の部分分解斜視図である。
図3は、
図2に示すインペラの構成を示す斜視図である。
図4は、
図2に示すインペラの構成を示す側面図である。
図5は、実施形態に係る回転機器の内部構造を示す断面図である。
図6は、
図5に示す回転機器の主要部の内部構造を示す部分拡大断面図である。
図7は、
図1に示す筒部の構成を示す斜視図である。
図8は、
図1に示す回転機器の内部に収容されるモータの構成を示す斜視図である。なお、
図2は、
図1に示す回転機器からカバーを取り外した状態を示す。
図6は、
図5におけるA部の拡大図である。
【0011】
なお、図示のZ方向は、本実施形態における回転機器の回転軸方向とする。回転軸方向のうち、Z1方向を第1方向とし、Z2方向を第2方向とする。また、本実施形態における回転機器の回転軸方向と直交する径方向とする。径方向のうち、軸線Xから遠ざかる方向を径方向外側、軸線Xに向かう方向を径方向内側とする。図示の軸線Xは、回転軸方向と同一方向に延在する。
【0012】
図1に示す回転機器1は、例えば掃除機、吸引機等に組み込まれるものである。回転機器1は、
図5に示すように、ハウジング10と、インペラ20と、シャフト30と、モータ40と、基板50とを備える。
【0013】
ハウジング10は、少なくとも、インペラ20、シャフト30、及びモータ40を内部に収容し、一部が基板50で構成される。ハウジング10は、円筒状に形成され、内部に2つの空間部2,3を有し、内側に通気路5が形成されている。この通気路5の一部が、2つの空間部2,3で形成されている。空間部2は、少なくともインペラ20が収容されるハウジング10の内部空間である。空間部3は、空間部2と連通し、少なくともモータ40が収容されるハウジング10の内部空間である。空間部3は、筒部12に基板50が組み付けられた状態で、開口部120aを介して外部空間と連通する。言い換えると、通気路5は、開口部120aを介して、ハウジング10の外部と連通する。ハウジング10は、カバー11と、筒部12とを備える。ハウジング10は、回転軸方向において、2つの端部を備える。このハウジング10の2つの端部のうち、第1方向における一方の端部を第1端部と呼称し、第2方向における他方の端部を第2端部と呼称する。
【0014】
カバー11は、
図1、
図2、及び
図5に示すように、ハウジング10に収容されたインペラ20を覆う部分である。カバー11は、ハウジング10の一部であり、回転軸方向において、ハウジング10の第1端部側に配置されている。すなわち、カバー11は、第1方向から筒部12に対して組み付けられる。カバー11は、回転軸方向から見た場合、円形状に形成される。カバー11は、例えば合成樹脂等で形成されている。カバー11は、天井部110と、第1方向に向けて開口した開口部115とを有する。
【0015】
天井部110は、カバー11が筒部12に組み付けられた状態では、回転軸方向において、ハウジング10に収容されたインペラ20と対向する位置に形成されている。天井部110は、複数の凹凸を有する。天井部110の筒部12側の面は、
図5及び
図6に示すように、回転軸方向において第1方向に向けて凹む凹部111,112を有する。凹部111,112は、いずれも天井部110の周方向に全周に亘って溝状に形成されている。凹部111,112は、ハウジング10に収容されたインペラ20の一部を内側に収容する。凹部111と凹部112とは、天井部110を構成する連結部113により連結されている。連結部113は、凹部111の底面111a及び凹部112の底面112aに対して、回転軸方向において、第2方向に向けて凸状に形成される。連結部113は、天井部110の周方向に全周に亘って形成される。
【0016】
開口部115は、天井部110を回転軸方向に貫通する貫通孔である。開口部115は、回転軸方向から見た場合、円形状に形成される。開口部115は、軸線Xが通る天井部110の中心部分に設けられている。空間部2は、開口部115を介して外部空間と連通する。開口部115は、回転機器1における気体の吸引口となる部分である。
【0017】
筒部12は、
図5に示すように、ハウジング10に収容されたモータ40を覆う部分である。筒部12は、円筒状に形成される。筒部12は、例えば合成樹脂等で形成されている。なお、筒部12は、アルミ合金等の金属材料で形成されていてもよい。筒部12は、軸受125,126を介してシャフト30を回転自在に支持し、かつ内部に収容されたモータ40を保持する。軸受125は、ホルダ121の内側に配置されている。軸受126は、モータ40を回転軸方向において第2方向から支持するフレーム123に配置されている。つまり、軸受126は、フレーム123に支持されている。筒部12は、モータ40を囲む環状の壁部(周壁部)120と、周壁部120の内側においてモータ40を支持するホルダ121と、ホルダ121と周壁部120とを連結する複数の静翼122とを有する。また、ホルダ121は、ハウジング10の第2端部側にあるモータ40の一部を支持するフレーム123と、フレーム123に支持された軸受126と、フレーム123に対してハウジング10の第1端部側にある覆い部127を備えている。また、ホルダ121は、インペラ20に対して、ハウジング10の第2端部側に配置されている。
【0018】
周壁部120は、円筒状に形成される。ハウジング10の第1端部側にある周壁部120の端部(周壁部120の第1端部)にカバー11が組み付けられる。回転軸方向において、ハウジング10の第2端部側にある、周壁部120の端部(周壁部120の第2端部)は3つの開口部120aを有する。3つの開口部120aは、周方向に一定の間隔をあけて形成される。開口部120aは、筒部12において、径方向に開口するように形成されている。言い換えると、筒部12から外部に向けて、径方向に開口した開口部120aが形成されている。開口部120aは、回転軸方向において、周壁部120の第2端部から第1端部に向けて凹むように形成される。開口部120aは、径方向において、外側から見た場合、略矩形状に形成される。
【0019】
ホルダ121は、
図5、
図7に示すように、回転軸方向から見た場合、筒部12の内側に設けられ、略円筒状(中空の形状)に形成される。ホルダ121は、径方向において、複数の静翼122を介して周壁部120に連結されている。ホルダ121は、モータ40を保持する。ホルダ121は、ハウジング10の内側において、モータ40のステータ42に連結している。ホルダ121は、3つの柱(ピラー)130を介して、覆い部127に対してハウジング10の第2端部側に吊るされたフレーム123を有する。ホルダ121は、回転軸方向において、フレーム123により、ハウジング10の第2端部側にあるモータ40の一部分(底部)を支持する。回転軸方向において、フレーム123と覆い部127との間でモータ40を挟み込むように、モータ40が覆い部127とフレーム123とによって保持される。ホルダ121は、フレーム123に対して静翼122側に配置されている。ホルダ121は、軸線Xが通る中央部分にシャフト30が挿通する貫通孔121aを有する。ホルダ121は、軸受125,126を介してシャフト30を回転自在に支持する。ホルダ121は、回転軸方向から見た場合、ホルダ121とハウジング10との間で環状に形成された空間部3aを形成する。環状の空間部3aは、上述した空間部3の一部を構成するが、回転軸方向において、空間部2と空間部3との間に位置する。空間部3aは、インペラ20からモータ40側に流れる気体の通気路5上にあって、静翼122に対して下流側に位置する。通気路5は、
図5に示すように、インペラ20の回転によりハウジング10内で気体を通過させる通路である。通気路5は、モータ40の外周側を回転軸方向に沿って形成され、モータ40を冷却することができる。
【0020】
複数の静翼122は、周壁部120とホルダ121とを径方向において連結する。複数の静翼122は連結部にもなっている。複数の静翼122は、径方向において、周壁部120の内周面から内側(ホルダ121)に向けて延在し、ホルダ121の外周面に接続して形成される。複数の静翼122は、周方向に沿って一定の間隔をあけて全周に配置されている。複数の静翼122は、それぞれが翼形状を有し、径方向から見た断面形状が周方向の一方から他方に向けて傾斜した形状を有する。複数の静翼122は、ハウジング10に対してホルダ121を支持するものである。ホルダ121を回転軸方向から見た場合、周方向に隣り合う静翼122の間には、気体が通過する隙間が設けられている。複数の静翼122により形成される隙間は、空間部2と空間部3との間を連通し、通気路5の一部を構成する。
【0021】
本実施形態における回転機器は、インペラ20を備えており、
図2~
図4に示すように、いわゆる遠心ファンを形成している。インペラ20は、例えば、アルミ合金、ステンレス等の金属部材、又は樹脂部材で形成されている。インペラ20は、
図5に示すように、カバー11及び筒部12により形成される空間部2に収容される。インペラ20は、モータ40により駆動され、例えば
図2に示すR方向に回転する。インペラ20は、モータ40の回転軸方向に延在するシャフト30に固定されており、モータ40の駆動により軸線Xを中心軸として回転し、回転軸方向から径方向外側に向けて気流を発生させる。本実施形態におけるインペラ20は、ベース21と、複数の羽根22と、天面部23とを有する。
【0022】
ベース21は、例えば円板状に形成される。ベース21は、軸線Xを通る中央部分にシャフト30が挿通する貫通孔21aを有する。ベース21は、貫通孔21aに挿通されたシャフト30に対して、ボルト等の締結部材により締結される。
【0023】
複数の羽根22は、ベース21と天面部23とを回転軸方向において連結する。複数の羽根22は、それぞれがベース21からハウジング10の第1端部に向けて(第1方向に)延在し、天面部23に連結して形成される。複数の羽根22は、回転軸方向から見た断面形状が全て同じである。羽根22は、回転軸方向から見た断面が、回転方向に対して後向きに湾曲傾斜した形状を有する。羽根22は、例えば、回転方向に対して後向き羽根である。
【0024】
天面部23は、回転軸方向から見た場合、円環状に形成される。天面部23は、
図5、
図6に示すように、径方向から見た断面形状がハウジング10の第2端部に向けて(第2方向に)凹むU字形状を有する。天面部23は、環状の壁部24と、開口部25とを有する。
【0025】
壁部24は、天面部23の外周端から回転軸方向におけるハウジング10の第1端部に向けて(第1方向に)延在して形成される。壁部24は、天面部23のベース(以下、平坦部分と呼称する)23aに対して、直交または略直交するように形成される。天面部23の平坦部分23aは回転軸方向と直交する径方向に延在している。壁部24は、天面部23の外周端から回転軸方向における第2方向とは異なる方向に延在して形成されることが好ましい。例えば、壁部24は、複数の羽根22と径方向に対向しないように形成されることが好ましい。壁部24は、
図5及び
図6に示すように、カバー11が筒部12に組み付けられた状態で、凹部111の内側に収容される。壁部24は、カバー11が筒部12に組み付けられた状態で、第1方向側の壁端部24aが凹部111の底面111aに対向するように形成される。壁部24は、カバー11が筒部12に組み付けられた状態で、凹部111の底面111aとの間に隙間Iを有する。壁部24は、インペラ20の高速回転による遠心力で、凹部111の内周面に接触することがないように、凹部111との間に一定の長さの隙間Iが設けられている。壁部24は、凹部24bが形成される場合がある。つまり、本実施形態におけるインペラ20は、壁部24がマイナスバランスによって回転バランスを調整可能な部分を備えている。
【0026】
凹部24bは、壁部24の壁端部24aからハウジング10の第2端部に向けて(回転軸方向の第2方向に向けて)凹むように形成される。凹部24bは、
図4に示すように、径方向から見た形状が第2方向側に湾曲する半円形状を有する。凹部24bは、例えば壁部24の周りに1箇所設けられるだけでなく、複数箇所に設けられていてもよい。
【0027】
開口部25は、天面部23を回転軸方向に貫通する貫通孔である。開口部25は、回転軸方向から見た場合、円形状に形成される。開口部25は、軸線Xが通る天面部23の中心部分に設けられている。開口部25は、インペラ20における気体の吸引口となる部分である。開口部25の内周端がハウジング10の第1端部に向けて(回転軸方向の第1方向に向けて)延在するように形成される。開口部25の内周端は、カバー11が筒部12に組み付けられた状態で、凹部112の内側に収容される。開口部25の内周端の回転軸方向の高さは、どのような高さでもよいが、壁部24の回転軸方向の高さと同等またはそれ以上の高さを有することが好ましい。
【0028】
シャフト30は、円柱状に形成され、回転軸方向に延在し、ハウジング10に回転可能に支持されている。シャフト30は、例えば、ステンレス等の金属材料で形成されている。シャフト30は、後述するロータ41の一部を構成する。シャフト30は、モータ40がホルダ121に保持された状態で、ホルダ121の貫通孔121aに挿通され、インペラ20が固定される。シャフト30は、軸受125,126に回転可能に支持されている。
【0029】
モータ40は、回転軸である軸線Xを中心にインペラ20を回転させるものである。モータ40は、シャフト30を介してインペラ20を回転させる。モータ40は、筒部12及び基板50により形成される空間部3に収容される。モータ40は、覆い部127から柱130を介して吊されたフレーム123により保持される。モータ40は、ロータ41と、ステータ42とを有する。ロータ41は、マグネットを備えた磁性体で形成されており、回転軸である軸線Xを中心としてステータ42に対して相対的に回転する。ステータ42は、
図8に示すように、ステータコア42aと、インシュレータ42bと、コイル42cとで構成される。ステータコア42aは、複数枚の電磁鋼板(複数の磁性体)を積層してなるものである。コイル42cは、巻線がインシュレータ42bを介して巻かれることで形成される。
【0030】
基板50は、ハウジング10に支持されており、筒部12の第2方向側の開口を塞ぐように、筒部12の第2端部に固定される。基板50は、ハウジング10に固定された状態で、モータ40に対してハウジング10の第2端部側に配置されている。基板50は、不図示の接続端子によってモータ40と電気的に接続される。基板50は、例えばエポキシ等の絶縁性を有する樹脂部材で形成される。基板50は、回転軸方向において、モータ40と対向する。基板50は、不図示の接続端子によってモータ40と電気的に接続される。基板50は、回転機器1の外部にある電源に接続し、電源から供給される電力を駆動電力に変換してモータ40に供給する。基板50上には、電子部品(不図示)が配置される。電子部品には、例えばインバータ及び制御IC等が含まれる。外部の電源は、例えば、商用電源でもよいし、バッテリでもよい。
【0031】
次に、回転機器1の動作について説明する。モータ40は、基板50から電流が流れることで駆動を開始し、軸線Xを中心軸としてシャフト30を回転させる。シャフト30の回転に併せて、インペラ20が回転を開始する。インペラ20の回転により、天面部23に設けられた開口部25から気体が吸い込まれて通気路5に沿って流れ、隣り合う羽根22の隙間で、かつベース21と天面部23との間を通って径方向外側に排出される。インペラ20が回転すると、カバー11の開口部115から流入した気体が、複数の羽根22で形成された隙間を通って、インペラ20の外部に排出される。インペラ20の外部に排出された気体は、カバー11の内周面に沿って第2方向に流れ、複数の静翼122で形成された隙間を通って、空間部3に流れていく。空間部3に流れた気体は、開口部120aを通って直接外部に排出されたり、基板50に当たって開口部120aを通って間接的に外部に排出される。
【0032】
上述したように、本発明の一態様に係る回転機器1は、シャフト30と、インペラ20と、シャフト30を回転軸としてインペラ20を回転させるモータ40と、を備える。インペラ20は、天面部23の外周端から回転軸方向の一方に延在する環状の壁部24が形成されている。壁部24は、凹部24bが形成されている。このように、壁部24に凹部24bを形成することでインペラ20のマイナスバランスを取ることが可能となり、インペラ20の重量調整が容易となる。上述したように、インペラを構成する前面プレートの外径を大きくしたり、前面プレートに厚みを持たせる必要がなくなるので、回転機器1の大型化や、材料の増加によるコストアップを抑制することができる。
【0033】
また、上述したように、本発明の一態様に係る回転機器1は、インペラ20と、回転軸を中心にインペラ20を回転させるモータ40と、少なくともインペラ20及びモータ40を収容する円筒状のハウジング10とを備える。ハウジング10は、モータ40を保持するホルダ121と、ホルダ121に接続し、ホルダ121と連結した複数の静翼122とを有する。ホルダ121は、ハウジング10の内側において、モータ40のステータ42に連結する。回転軸方向から見た場合、ホルダ121が、ホルダ121とハウジング10との間で環状の空間部3aを形成する。環状の空間部3aは、インペラ20からモータ40側に流れる気体の通気路5上にあって、静翼122に対してハウジング10の第2端部側に位置し、通気路5の一部を形成している。このように、ホルダ121とハウジング10とを静翼122で連結することで、ハウジング10内の通気路5上には静翼122があり、気体の流れを阻害する障害物(例えばスポーク等)が見当たらない構成を回転機器1は備えるため、通気路5上の気体の流れを改善することができる。例えば、通気路5上に静翼122を設けることで、低流量側の静圧が改善する。また、通気路5上に静翼122を設けることで、部品点数が減少し、部品コストの削減及び軽量化を図ることができる。また、翼型の連結部である静翼にすることで、径方向の断面形状が変化し、ホルダ121とハウジング10とを連結する部分の剛性が上がり、例えばモータ40の駆動により生じる振動をハウジング10に伝えにくくすることができる。また、ホルダ121と静翼122とハウジング10の一部とを一体的に成形することが可能となり、回転機器1の生産性を向上させることができる。
【0034】
また、本発明の一態様に係る回転機器1は、インペラ20が金属材料で形成されている。これにより、樹脂部材のインペラに対して強度が増し、例えば高速回転時の耐久性を向上させることができる。
【0035】
また、本発明の一態様に係る回転機器1は、通気路5が、筒部12の径方向に形成された少なくとも1つの開口部120aを介して、ハウジング10の外部と連通している。これにより、通気路5を通る気体が空間部3から開口部120aを介して外部に排出されるので、ハウジング10内に吸い込んだ気体の外部への排出を効率よく、かつ容易に行うことができる。
【0036】
(実施形態の変形例)
図9は、実施形態の変形例に係る回転機器の外観を示す部分斜視図である。
図10は、
図9に示す回転機器の内部構造を示す部分断面図である。
図11は、
図9に示す回転機器の主要部の内部構造を示す部分拡大断面図である。なお、
図11は、
図10におけるB部の拡大図である。
【0037】
実施形態の変形例に係る回転機器1Aは、カバー11Aにおける天井部110Aが凹部111,112を有していない点で上記実施形態とは異なる。ハウジング10Aは、カバー11Aと、筒部12とを備える。カバー11Aは、ハウジング10Aの第1端部側に配置されており、筒部12に固定される。カバー11Aは、回転軸方向から見た場合、円形状に形成される。カバー11Aは、天井部110Aと、開口部115とを有する。
【0038】
天井部110Aは、カバー11Aが筒部12に組み付けられた状態であり、回転軸方向において、ハウジング10Aに収容されたインペラ20と対向する位置に形成されている。天井部110Aは、
図10及び
図11に示すように、凹凸が形成されておらず、ベース(回転軸方向と直交する径方向に平坦に形成された平坦部分)116を有する。ベース116は、天井部110Aの周方向に全周に亘って形成されている。ベース116は、カバー11Aが筒部12に組み付けられた状態において、径方向において、インペラ20の平坦部分23aと対向する位置に形成されている。天井部110Aは、凹凸が形成されていないので、例えば外側の凹部に塵埃等が溜まることを抑制することができる。また、天井部110Aに凹凸が無いことでカバー11Aの成型に必要な金型の耐久性を向上させることができる。
【0039】
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明したが、本発明は上記実施形態及び変形例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、凹部24bは、径方向から見た形状がハウジング10,10Aの第2端部(第2方向)に向けて湾曲する半円形状を有するが、これに限らず、矩形状を有していてもよいし、V字形状またはU字形状を有していてもよい。また、凹部24bは、壁部24の壁端部24aから回転軸方向の第2方向側に向けて凹むように形成されるが、これに限定されず、壁部24を貫通する貫通孔であってもよい。この場合、壁部24に形成される貫通孔が壁端部24aから切り欠かれたものではなく、円形状であるものとする。
【0040】
また、上記実施形態では、インペラ20は、金属材料で形成されているが、これに限定されるものではない。例えば、インペラ20は、強度、耐熱性等の機械特性が金属と同等または同等以上の合成樹脂で形成されていてもよい。また、インペラ20は、天面部23の外周端からハウジング10,10Aの第1端部側(回転軸方向の第1方向)に向けて延在する環状の壁部24が形成されているが、これに限定されるものではない。例えば、壁部24は、天面部23の外周端からハウジング10,10Aの第2端部側(回転軸方向の第2方向)に向けて延在して形成されていてもよい。
【0041】
また、上実施形態では、ホルダ121は、ハウジング10,10Aの内側において、モータ40のステータ42に連結し、回転軸方向から見た場合、ハウジング10,10Aとの間で環状の空間部3aを形成しているが、これに限定されるものではない。すなわち、環状の空間部3aは、インペラ20からモータ40側に流れる気体の通気路5上にあって、静翼122に対して下流側に位置するが、これに限定されるものではない。例えば、静翼122に対してハウジング10,10Aの第2端部側(静翼122の下流側)に、ホルダ121とハウジング10,10Aとを連結する複数のスポークが形成されていてもよい。
【0042】
また、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。例えば、インペラ20が天面部23の外周端から回転軸方向の一方(第1方向又は第2方向)または両方(第1方向及び第2方向)に延在する環状の壁部24を有する場合、ホルダ121とハウジング10とが静翼122とスポーク等とで連結され、静翼122の下流側に環状の空間部3aが形成されていない構成であってもよい。また、ホルダ121とハウジング10とが静翼122のみで連結され、かつ静翼122の下流側に環状の空間部3aが形成されている場合、インペラ20が環状の壁部24を有していない構成であってもよい。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0043】
1,1A 回転機器、10,10A ハウジング、11,11A カバー、12 筒部、20 インペラ、21 ベース、22 羽根、23 天面部、24 壁部、24b 凹部、30 シャフト、40 モータ、121 ホルダ