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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】導光板、照明装置、表示装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20240806BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20240806BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240806BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20240806BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20240806BHJP
   F21Y 115/20 20160101ALN20240806BHJP
   F21Y 103/00 20160101ALN20240806BHJP
【FI】
F21S2/00 433
G02F1/13357
F21Y115:10
F21Y115:30
F21Y115:15
F21Y115:20
F21Y103:00
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020156989
(22)【出願日】2020-09-18
(65)【公開番号】P2022050840
(43)【公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001184
【氏名又は名称】弁理士法人むつきパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】千々波 和海
(72)【発明者】
【氏名】沖 庸次
(72)【発明者】
【氏名】浅倉 武志
(72)【発明者】
【氏名】栗田 篤史
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0336551(US,A1)
【文献】特開2002-277872(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
G02F 1/13357
F21Y 115/10
F21Y 115/30
F21Y 115/15
F21Y 115/20
F21Y 103/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面と当該一面の一端側に当該一面と交差して配置された光入射面とを有するベース部と、
前記ベース部の前記一面と対向する側に設けられており、各々が第1方向に延在しており前記第1方向と略直交する第2方向に沿って並ぶ複数の凸レンズと、
を含み、
前記ベース部は、前記光入射面から相対的に近い第1領域と前記光入射面から相対的に遠い第2領域とを少なくとも含み、
前記第1領域には、前記第2方向において隣り合う前記凸レンズ同士の相互間に各々配置される面であって前記第1方向に対して傾斜して配置される面である複数の第1底部が配置されており
前記複数の第1底部の各々は、前記光入射面に近いほど前記第2方向における幅が大きい平面視形状を有する、
導光板。
【請求項2】
前記複数の第1底部の各々は、前記光入射面に近いほど前記ベース部の前記一面を基準とした高さが大きくなるように傾斜して配置されている、
請求項1に記載の導光板。
【請求項3】
前記複数の第1底部の各々と前記第1方向とのなす角度である第1傾斜角度が0.5°以上5°以下である、
請求項1又は2に記載の導光板。
【請求項4】
一面と当該一面の一端側に当該一面と交差して配置された光入射面とを有するベース部と、
前記ベース部の前記一面と対向する側に設けられており、各々が第1方向に延在しており前記第1方向と略直交する第2方向に沿って並ぶ複数の凸レンズと、
を含み、
前記ベース部は、前記光入射面から相対的に近い第1領域と前記光入射面から相対的に遠い第2領域とを少なくとも含み、
前記第1領域には、前記第2方向において隣り合う前記凸レンズ同士の相互間に各々配置される面であって前記第1方向に対して傾斜して配置される面である複数の第1底部が配置されており、
前記第2領域には、前記第2方向において隣り合う前記凸レンズ同士の相互間に各々配置される面である複数の第2底部が配置されており、
前記複数の第2底部の各々は、少なくとも、前記光入射面に近いほど前記ベース部の前記一面を基準とした高さが大きくなるように傾斜して配置される第1面を有する、
導光板。
【請求項5】
前記複数の第1底部の各々は、前記光入射面に近いほど前記ベース部の前記一面を基準とした高さが大きくなるように傾斜して配置されている、
請求項に記載の導光板。
【請求項6】
前記複数の第2底部の各々の前記第1面と前記第1方向との間のなす角度である第2傾斜角度が、前記複数の第1底部の各々と前記第1方向とのなす角度である第1傾斜角度よりも小さい、
請求項4又は5に記載の導光板。
【請求項7】
前記第1傾斜角度が0.5°以上5°以下である、
請求項に記載の導光板。
【請求項8】
前記複数の第2底部の各々と当該第2底部の各々に隣り合う前記凸レンズとの平面視における面積比率が4:6~1:9の間で設定される、
請求項4~7の何れかに記載の導光板。
【請求項9】
前記複数の第2底部の各々は、前記光入射面に近いほど前記ベース部の前記一面を基準とした高さが小さくなるように傾斜して配置される第2面及び/又は前記第1方向と略平行に配置される第3面を更に有する、
請求項4~8の何れかに記載の導光板。
【請求項10】
前記複数の第1底部の各々は、前記光入射面に近いほど前記第2方向における幅が大きい平面視形状を有する、
請求項4~9の何れかに記載の導光板。
【請求項11】
請求項1~10の何れか1項に記載の導光板と、
前記導光板の前記一面側に配置される反射シートと、
前記導光板の光出射側に配置される集光シートと、
前記導光板の前記光入射面に対向して配置される複数の光源と、
を含む、照明装置。
【請求項12】
請求項11に記載の照明装置と、
前記照明装置の光出射側に配置される液晶パネルと、
を含む、表示装置。
【請求項13】
前記液晶パネルは、像の形成に寄与する部分である表示部と当該表示部を環状に囲む周辺部とを有しており、
前記導光板は、前記第1領域が前記液晶パネルの前記表示部の外側に位置するように配置される、
請求項12に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、導光板、照明装置、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2013-206577号公報には、第1主面に光立ち上げパターンの第1光学要素を有し、第2主面に光閉じ込めレンズの第2光学要素を有し、第2光学要素の内側、あるいは第2光学要素の内側と、第2光学要素の下層の第2光学要素の高さと同等の距離の位置までに、気泡を適当な大きさと適当な量で含有する導光板が記載されている。しかし、導光板の製造時に気泡の大きさや分散度合いを適切に制御することは比較的難しいと思われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-206577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示に係る具体的態様は、輝度むらの低減された導光板等を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[1]本開示に係る一態様の導光板は、(a)一面と当該一面の一端側に当該一面と交差して配置された光入射面とを有するベース部と、(b)前記ベース部の前記一面と対向する側に設けられており、各々が第1方向に延在しており前記第1方向と略直交する第2方向に沿って並ぶ複数の凸レンズと、を含み、(c)前記ベース部は、前記光入射面から相対的に近い第1領域と前記光入射面から相対的に遠い第2領域とを少なくとも含み、(d)前記第1領域には、前記第2方向において隣り合う前記凸レンズ同士の相互間に各々配置される面であって前記第1方向に対して傾斜して配置される面である複数の第1底部が配置されており、(d)前記複数の第1底部の各々は、前記光入射面に近いほど前記第2方向における幅が大きい平面視形状を有する、導光板である。
[1B]本開示に係る一態様の導光板は、(a)一面と当該一面の一端側に当該一面と交差して配置された光入射面とを有するベース部と、(b)前記ベース部の前記一面と対向する側に設けられており、各々が第1方向に延在しており前記第1方向と略直交する第2方向に沿って並ぶ複数の凸レンズと、を含み、(c)前記ベース部は、前記光入射面から相対的に近い第1領域と前記光入射面から相対的に遠い第2領域とを少なくとも含み、(d)前記第1領域には、前記第2方向において隣り合う前記凸レンズ同士の相互間に各々配置される面であって前記第1方向に対して傾斜して配置される面である複数の第1底部が配置されており、(e)前記第2領域には、前記第2方向において隣り合う前記凸レンズ同士の相互間に各々配置される面である複数の第2底部が配置されており、(f)前記複数の第2底部の各々は、少なくとも、前記光入射面に近いほど前記ベース部の前記一面を基準とした高さが大きくなるように傾斜して配置される第1面を有する、導光板である。
[2]本開示に係る一態様の照明装置は、前記[1A]又は[1B]に記載の導光板と、前記導光板の前記一面側に配置される反射シートと、前記導光板の光出射側に配置される集光シートと、前記導光板の前記光入射面に対向して配置される複数の光源と、を含む、照明装置である。
[3]本開示に係る一態様の表示装置は、前記[2]に記載の照明装置と、前記照明装置の光出射側に配置される液晶パネルと、を含む、表示装置である。
【0006】
本開示によれば、輝度むらの低減された導光板、照明装置、表示装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態の導光板の斜視図である。
図2図2は、第1実施形態の導光板を上面側から見た平面図である。
図3図3(A)は、図2に示すA-A線における一部断面図である。図3(B)は、図2に示すB-B線における一部断面部である。図3(C)は、各凸レンズと底部との比率を説明するための図である。
図4図4(A)は、図2に示すC-C線における断面図である。図4(B)は、第1領域および第2領域における底部の平面視形状を示したものである。
図5図5(A)は、第1実施形態の導光板の出光分布の一例を示す図である。図5(B)は、比較例の導光板の出光分布図である。
図6図6(A)は、一実施形態の照明装置およびこれを備える表示装置の構成例を示す模式的な側面図である。図6(B)は、液晶パネルの構造を説明するための模式的な平面図である。
図7図7(A)は、第2実施形態の導光板の断面図である。図7(B)は、第1領域から第2領域にかけての底部の平面視形状を示す図である。
図8図8(A)は、第3実施形態の導光板の断面図である。図8(B)は、第1領域から第2領域にかけての底部の平面視形状を示す図である。
図9図9(A)は、第4実施形態の導光板の断面図である。図9(B)、図9(C)は、各曲面の傾斜角度を規定する方法の一例を説明するための図である。
図10図10(A)は、第5実施形態の導光板の断面図である。図10(B)は、第1領域から第2領域にかけての底部の平面視形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、第1実施形態の導光板の斜視図である。図示の導光板(導光シート)1は、ベース部10と複数の凸レンズ11を含んで構成されている。本実施形態の導光板1は、ベース部10の光入射面13から入射される光を導光し、各凸レンズ11の上面(出射面)を介して図中上方へ面状の光にして出射させる。この導光板1は、光透過性の材料を用いて構成されており、透明な平板状(あるいはフィルム状)のものである。導光板1を構成する材料は光透過性であれば特に限定はないが、例えば種々の樹脂材料(一例としてアクリル系樹脂)であって屈折率が1.5~1.75程度の材料が好適に用いられる。
【0009】
ベース部10は、平坦な部分を有する下面(一面)と、この下面に略直交して配置された光入射面13と、テーパー部12を有しており、図中のXY方向に広がりをもち、Z方向に厚みをもつ平板状の形状を有している。本実施形態では、ベース部10は、Y方向長さがX方向長さに比べて相対的に長いがこれに限定されないし、平面視形状も矩形状にのみ限定されない。なお、本明細書における「略直交」とは、必ずしも厳密に90°の角度をなして交差することだけではなく、製造上の誤差等を許容するものであり、例えば90°±10°の範囲で交差することを含む。また、上記した一面は、光源から出射し光入射面13から入射して当該一面へ向かった光を出射面側に反射する光取り出し構造を有していてもよい。例えば、特許第5313098号や特許第6184205号に記載されているような微細な形状(光取り出し構造)を適用することができる。
【0010】
複数の凸レンズ11は、各々、図中のY方向に延在する半円筒状の形状を有しており、Y方向と略直交するX方向に沿って配列されている。本実施形態の導光板1は8つの凸レンズ11を有するが凸レンズ11の数に限定はない。図中ではいくつかの凸レンズ11にのみ符号を付している(後述の図2においても同様)。各凸レンズ11は、ベース部10の下面と対向する側(上面)に設けられており、頂上が図中の上方(Z方向)へ向かい、各々の稜線がY方向に沿うように配置されている。本実施形態では、ベース部10の下面を基準とした各凸レンズ11の頂上(Z方向に最も高い位置)の高さがほぼ同じになるように各凸レンズ11が配置されている。また、各凸レンズ11におけるベース部10の下面を基準とした頂上の高さはY方向に沿ってほぼ一定である。また、各凸レンズ11のX方向に沿った長さ(レンズ幅)はほぼ同じである。このような複数の凸レンズ11からなるレンズは、レンチキュラーレンズとも称される。
【0011】
テーパー部12は、ベース部10のY方向における一端側であって光入射面13に近い側に配置されている。このテーパー部12は、光入射面13に近づくほど厚さ(Z方向高さ)が大きくなるように上面側が傾斜した楔型の形状を有している。テーパー部12の下面はベース部10の下面と共通面である。ベース部10の下面を基準としたテーパー部12の高さは、光入射面13の位置において各凸レンズ11の高さとほぼ同じである。各凸レンズ11は、見かけ上、ベース部10の光入射面13側に近づくほどテーパー部12の内部に潜り込むような状態となる。
【0012】
光入射面13は、ベース部10のY方向における一端側に設けられている。本実施形態の光入射面13は、XZ面に略平行でありX方向に延びる平面である。この光入射面13は、図示しないLED等の光源から導光板1の内部へ光を入射させるための面である。
【0013】
図2は、第1実施形態の導光板を上面側から見た平面図である。本実施形態の導光板1は、その構造上、平面視においてY方向に沿って並ぶ3つの領域R1、R2、R3に分けられる。第1領域R1は、光入射面13から相対的に近い領域であってY方向に一定距離(例えば数mm)の部分であり、上記したテーパー部12に対応する。第2領域R2は、光入射面13から相対的に遠い領域であって第1領域R1とY方向に隣り合う領域である。第3領域R3は、第2領域R2とY方向に隣り合う領域である。図2は、説明の便宜のため、寸法や大小関係が実施のものと異なる場合がある。また、領域R3以降のY方向長さは後述する表示装置の大きさに対応して適切に調整される。
【0014】
第1領域R1では、上記のように各凸部レンズ11の高さが一定であるのに対してテーパー部12の上面である底部14は傾斜して設けられている。このため、各凸レンズ11は、平面視において光入射面13に近づくほど各々の見かけ上の幅(X方向長さ)が図2の領域R1に示されているように徐々に小さくなり、光入射面13と同位置(あるいは光入射面13から一定距離の位置でもよい)において幅が0となる。別言すれば、各凸レンズ11の第1領域R1内での平面視形状は、光入射面13に最も近い位置に1つの頂点を有する略三角形状(または半楕円形状)となる。
【0015】
第2領域R2では、その上面が第1領域R1よりも緩やかに傾斜している。図示のように、各凸レンズ11のX方向における相互間には底部14が配置される。これらの底部14は、平面視において、それぞれY方向に沿って延びており、光入射面13から遠くなるほど各々の幅(X方向長さ)が小さくなり、第2領域R2と第3領域R3との境界において幅が0となる。このため、各底部14は、第1領域R1から第2領域R2にかけて細長い二等辺三角形状の平面視形状となる。
【0016】
第3領域R3では、平面視において各凸レンズ11の間の底部14が線状となり、凸レンズ11の下端同士がX方向において互いに接して配置されている。また、領域R3の底部14は傾斜しておらずY方向に対して平行である。この第3領域R3は、導光板1において光入射面13から最も遠い領域である。
【0017】
図3(A)は、図2に示すA-A線における一部断面図である。図3(B)は、図2に示すB-B線における一部断面部である。また、図3(C)は、各凸レンズと底部との比率を説明するための図である。図3(A)に示すように、第1領域R1では、凸レンズ11の幅d1に対して底部14の幅d2が相対的に大きくなる。つまり、凸レンズ11の存在比が少なくなる。これにより、出射光の出射方向に広がりが与えられる。これは別言すれば、垂直方向(Z方向)への集光性が低下するともいえる。
【0018】
他方、図3(B)に示すように、第3領域R3では、底部14の幅d2が0となり、凸レンズの幅d1が相対的に大きくなる。つまり、凸レンズ11の存在比が大きくなる。これにより、出射光の出射方向が狭まるようになる。これは別言すれば、垂直方向への集光性が高まるともいえる。なお、図示を省略するが第2領域R2では、第1領域R1と第3領域R3の各配光特性の中間的な配光特性となる。第2領域R2の全体として、各凸レンズ11とこれに隣り合う各底部14との平面視における面積比率(存在比率)は、6:4から9:1の間で設定されることが好ましい。本願発明者の検討によれば、底部14の割合が4以上(40%以上)となると出射光の輝度低下が大きくなる一方で、底部14の割合が1以下(10%以下)となると出射光の広がり効果が不十分になるからである。すなわち、各凸レンズ11とこれに隣り合う各底部14との平面視における面積比率(存在比率)が上記の範囲内であることによって、出射光の輝度を十分保ちつつ、光入射面13近傍で発生する輝度ムラを低減することができる。
【0019】
図4(A)は、図2に示すC-C線における断面図である。なお、図4(A)では導光板1の構造をより理解しやすくするため、導光板1の厚さ方向(Z方向)の大きさを実際よりも拡大して示している。なお、ここでは上記した底部14について、第1領域R1に対応するものを底部14a(第1底部)、第2領域R2に対応するものを底部14b(第2底部)、第3領域R3に対応するものを底部14c(第3底部)と区別して表記する。
【0020】
第1領域R1において、テーパー部12の上面である底部14aとY方向とのなす角度である傾斜角度(第1傾斜角度)をθとする。この底部14aの傾斜角度θは、始点Pから第1領域R1と第2領域R2との境界に対応する変曲点(変化点)Pまで一定である。底部14aは、光入射面13に近いほどベース部10の下面を基準とした高さが大きくなるように傾斜して配置されている。
【0021】
第2領域R2において、各凸レンズ11の間の底部14bとY方向とのなす角度である傾斜角度(第2傾斜角度)をθとする。この傾斜角度θは、変曲点Pから変曲点Pまでの間で一定である。変曲点Pは第1領域R1と第2領域R2の境界に対応し、変曲点Pは第2領域R2と第3領域R3の境界に対応している。つまり、傾斜角度θは、第2領域R2の全体において一定である。底部14bは、光入射面13に近いほどベース部10の下面と基準とした高さが大きくなるように傾斜して配置されている。なお、第1実施形態では底部14b全体が「第1面」に相当する。
【0022】
第3領域R3においては、底部14cは、各凸レンズ11の間に線状に存在し、当該線状の底部14cとY方向とは略平行である。
【0023】
図4(B)は、第1領域R1および第2領域R2における底部14a、14bの平面視形状を示したものである。図示のように、底部14の平面視形状は、全体としては長細い二等辺三角形状となる。詳細には、底部14aは、光入射面13に近いほどX方向における幅が大きくなり、両脚が曲線となった略台形状の平面視形状である。底部14bは、光入射面13に近いほどX方向における幅が大きくなり、変曲点Pを頂点とした長細い二等辺三角形状となる。
【0024】
ここで、傾斜角度θ、θについて更に説明する。上記のように傾斜角度θ、θはY方向とのなす角度として規定されている。本実施形態では、Y方向は、各凸レンズ11の稜線11aと平行であり、かつ導光板1のベース部10の下面とも平行である。したがって、傾斜角度θ、θは、各凸レンズ11の稜線11a、あるいは導光板1のベース部10の下面とのなす角度として規定することもできる。本実施形態では、第1領域R1から第2領域R2を経て第3領域R3へ続く底部14のY方向とのなす角度が断面視において2つの変曲点P、Pで変化する。このとき、図示のように各傾斜角度θ、θの間にはθ>θの関係がある。別言すれば、光入射面13に近い側に位置する底部14aのほうが底部14b、底部14cよりもY方向を基準として大きな角度で傾斜して配置されている。
【0025】
ここで、本願発明者の検討によると、傾斜角度θは、例えば0.5°以上5°以下の範囲で設定されることが好ましい。また、傾斜角度θは、例えば0°より大きく0.02°以下の範囲で設定されることが好ましい。また、光入射面13から変曲点PまでのY方向長さyは、例えば0.1mm以上5mm以下の範囲で設定されることが好ましく、光入射面13から変曲点PまでのY方向長さyは、例えば15mm以上35mm以下の範囲で設定されることが好ましい。好適な一例として、傾斜角度θを2.7°、傾斜角度θを0.01°と設定し、Y方向長さyを0.3mm、Y方向長さyを20mmと設定することができる。
【0026】
図5(A)は、第1実施形態の導光板の出光分布(すなわち、上面から見た光線の出射位置の分布)の一例を示す図である。ここでは、傾斜角度θを2.7°、傾斜角度θを0.01°と設定し、Y方向長さyを0.3mm、Y方向長さyを20mmと設定し、導光板のY方向における全体長さを180mmとした場合において、導光板1のY方向の0mmから30mmの範囲内における導光板1の出光分布をシミュレーションにより求めた。また、図5(B)は、比較例の導光板の出光分布図である。ここでは、上記した実施形態のような第1領域R1、第2領域R2を設けずに、導光板の上面側全体を第3領域R3と同様の構造(d2=0;図3(B)参照)としたものを比較例とした。また、いずれの導光板についても、X方向0mm、5mmの各位置に光源としてのLEDを設けている。また、Y=0mmの位置が光入射面13の位置に対応している。また、図中に小さく点状に描かれたものが光の出射位置である。
【0027】
本実施形態の導光板1では、比較例の導光板と対比すると、Y方向長さが0~5mmくらいの範囲、すなわち光源から近い範囲においてX方向へ台形状に緩やかに光が広がった出光分布となっている。これは主に第1領域R1による効果である。これにより、いわゆるホットスポット現象の発生を抑える効果が得られる。この効果は、上記した傾斜角度θが5°より大きくなると効果が強く出すぎる傾向にあり、傾斜角度θが0.5°より小さいと不十分になる傾向にある。言い換えれば、傾斜角度θが5°より大きくなると光取り出し機能の効果が必要以上に強くなり光入射面13の直上にホットスポット現象が起き、また傾斜角度θが0.5°より小さいと光取り出し機能が弱くなることによって隣接する光源間の交点で出射光が強調されホットスポット現象が起きる傾向にある。したがって、傾斜角度θは上記した数値例の範囲に設定することが好ましい。ここでいうホットスポット現象とは、光入射面13にて隣接する点光源の各々から斜め方向へ進む光同士の交点で出射光が強調され、または光入射面13の直上の出射光が強調されて見栄えを低下させる現象である。本願発明者の検討によれば、主に第1領域R1の効果により、光源からY方向を基準に絶対値で60°~75°の方向へ進む光成分が減少しており、そのためホットスポット現象が抑制されていることが分かった。また、光源間の非出光領域がより小さくなることで、出射光の明暗ムラを抑制する効果も得られている。さらに、主に第2領域R2の効果により、Yが5mm以上の領域、つまり導光板1において主たる出光領域となるべき領域においてはX方向に広がりを持つ出光分布が得られている。
【0028】
図6(A)は、一実施形態の照明装置およびこれを備える表示装置の構成例を示す模式的な側面図である。図示の表示装置100は、反射シート101、導光板102、光源103、プリズムシート104、液晶パネル105を含んで構成されている。導光板102は、上記した実施形態に係る導光板1と同じものである。反射シート101、導光板102、光源103、プリズムシート(集光シート)104を含んで照明装置が構成されている。なお、ここに示した構成は例示であり、さらに他の構成が付け加えられることを妨げるものではない。
【0029】
反射シート101は、導光板102の下面から出射する光を反射させて導光板102へ戻す。導光板102は、光源103から入射する光を導光し、上面側へ出射させる。光源103は、例えばLEDやレーザなどの半導体発光素子であり、導光板102の一端側の入射面から導光板102内に光を入射させる。光源103の数に特段の限定はないが、少なくとも2つ以上の光源103が紙面奥行き方向へ並べて設けられる。また、光源103は、蛍光管、冷陰極管、熱陰極管、外部電極管、有機EL、無機ELなどであってもよい。プリズムシート104は、導光板102の上面側から出射した光を集光する。なお、プリズムシート104に代えて同様の集光機能を有する集光シートを用いてもよい。液晶パネル105は、複数の画素領域(光変調領域)を備えており、各画素領域において光透過率を任意に増減させることで出射光による像を形成することができる。
【0030】
図6(B)は、液晶パネルの構造を説明するための模式的な平面図である。図示のように、液晶パネル105は、上記した複数の画素領域が存在し、像の形成に寄与する部分である表示部105aと、表示部105aを環状に囲む周辺部105bを備えている。周辺部105bには、表示部105aの駆動に用いるドライバなどが配置されている。本実施形態の表示装置100では、図6(A)に示すように、液晶パネル105の表示部105aよりも外側に導光板102の第1領域R1(図2参照)が配置されるように、液晶パネル105と導光板102の相対的な配置関係が設定される。
【0031】
以上のような実施形態によれば、輝度むらの低減された導光板、照明装置並びに表示装置を得ることができる。
【0032】
なお、本開示は上記した実施形態の内容に限定されるものではなく、本開示の要旨の範囲内において種々に変形して実施をすることが可能である。例えば、上記した実施形態の導光板1は、3つの領域R1~R3を有していたが、第3領域R3が省略されてもよい。この場合、導光板1の他端側まで第2領域R2が続くことになる。更に、導光板における底部の構造は上記した実施形態に限定されない。以下に、他の実施形態をいくつか説明する。
【0033】
図7(A)は、第2実施形態の導光板の断面図である。この断面図も上記図4(A)と同様に図2に示すC-C線に対応しており、かつ導光板の厚さ方向(Z方向)の大きさを実際よりも拡大して示されている。第2実施形態の導光板1aは、第2領域R2における底部14bの領域中に変曲点を有する点が上記した第1実施形態と異なり、それ以外の点は同じである。詳細には、第2実施形態の導光板1aは、変曲点Pから変曲点Pの間の変曲点Pが追加されている。そして、底部14bは、変曲点Pから変曲点Pまでの間ではY方向と略平行な面として配置されており、変曲点Pから変曲点Pまでの間ではY方向を基準として傾斜角度θで傾斜して配置されている。なお、この第2実施形態の底部14bにおいては、変曲点Pから変曲点Pまでの間の面が「第3面」に対応し、変曲点Pから変曲点Pまでの間の面が「第1面」に対応する。
【0034】
図7(B)は、第1領域R1から第2領域R2にかけての底部の平面視形状を示す図である。第1領域R1の底部14aは、上記した実施形態と同様の平面視形状である。他方、第2領域R2の底部14bは、変曲点Pから変曲点Pまでの間では略長方形状の平面視形状であり、変曲点Pから変曲点Pまでの間では二等辺三角形状であり、全体としては長方形と二等辺三角形をY方向において連結させた平面視形状である。このような第2実施形態の導光板1aでも、第1実施形態の導光板1と同様の効果が得られる。また、第1実施形態の導光板1と同様に、照明装置および表示装置の構成部品として用いることができる(図6(A)参照)。
【0035】
図8(A)は、第3実施形態の導光板の断面図である。この断面図も上記図4(A)と同様に図2に示すC-C線に対応しており、かつ導光板の厚さ方向(Z方向)の大きさを実際よりも拡大して示しされている。第3実施形態の導光板1bは、第2領域R2における底部14bが2つの部分を有する点が上記した第1実施形態と異なり、それ以外の点は同じである。詳細には、第3実施形態の導光板1bは、第2実施形態の導光板1aと同様に、変曲点Pから変曲点Pの間の変曲点Pが追加されている。
【0036】
第3実施形態では、底部14bは、変曲点Pから変曲点Pまでの間ではY方向を基準として傾斜角度θで傾斜して配置されており、変曲点Pから変曲点Pまでの間ではY方向を基準として傾斜角度θで傾斜して配置されている。変曲点Pと変曲点PのZ方向高さは同じであり、傾斜角度θと傾斜角度θも同じ値となる。底部14bのうち、変曲点Pから変曲点Pまでの間の部分はZ方向に沿って高さが増加するように傾斜しており、変曲点Pから変曲点Pまでの間の部分はZ方向に沿って高さが減少するように傾斜している。なお、この第3実施形態の底部14bにおいては、変曲点Pから変曲点Pまでの間の面が「第2面」に対応し、変曲点Pから変曲点Pまでの間の面が「第1面」に対応する。
【0037】
図8(B)は、第1領域R1から第2領域R2にかけての底部の平面視形状を示す図である。第1領域R1の底部14aは、略三角形状である。これは、変曲点Pの位置で凸レンズ11同士がX方向において互いに接しており、d2=0となっているからである。また、第2領域R2の底部14bは、変曲点Pから変曲点Pまでの間では図中の左側に鋭角を有する二等辺三角形状であり、変曲点Pから変曲点Pまでの間では図中の右側に鋭角を有する二等辺三角形状であり、全体としてはY方向に沿って長い菱形の平面視形状である。このような第3実施形態の導光板1bでも、第1実施形態の導光板1と同様の効果が得られる。特に、d2=0の変曲点Pを設けることで光入射面近傍(変曲点Pの部分)の光取り出し効率が上がり、明暗ムラを抑制できるので、ホットスポット現象を抑制する効果が高まる。また、第1実施形態の導光板1と同様に、照明装置および表示装置の構成部品として用いることができる(図6(A)参照)。
【0038】
図9(A)は、第4実施形態の導光板の断面図である。この断面図も上記図4(A)と同様に図2に示すC-C線に対応しており、かつ導光板の厚さ方向(Z方向)の大きさを実際よりも拡大して示されている。第4実施形態の導光板1cは、第2実施形態の導光板1aにおける底部14の一部を曲面にしたものである。詳細には、第1領域R1の底部14aは、始点Pから変曲点Pまでの間で曲面となっている。また、第2領域R2の底部14bは、変曲点Pから変曲点Pまでの間で曲面となっている。なお、この第4実施形態の底部14bにおいては、変曲点Pから変曲点Pまでの間の面が「第3面」に対応し、変曲点Pから変曲点Pまでの間の面が「第1面」に対応する。また、詳細な説明を省略するが第1実施形態の導光板1、第3実施形態の導光板1b並びに後述する第5実施形態の導光板1dにおいても同様に底部14を曲面にしてもよい。
【0039】
図9(B)、図9(C)は、各曲面の傾斜角度を規定する方法の一例を説明するための図である。図9(B)に示すように、底部14aの傾斜角度θは、始点Pと変曲点Pとを結ぶ直線とY方向とのなす角度として規定することができる。同様に、図9(C)に示すように、底部14aの傾斜角度θは、変曲点Pと変曲点Pとを結ぶ直線とY方向とのなす角度として規定することができる。これにより、各曲面の平均的な傾斜角度を得られる。このような第4実施形態の導光板1cでも、第1実施形態の導光板1と同様の効果が得られる。また、第1実施形態の導光板1と同様に、照明装置および表示装置の構成部品として用いることができる(図6(A)参照)。
【0040】
図10(A)は、第5実施形態の導光板の断面図である。この断面図も上記図4(A)と同様に図2に示すC-C線に対応しており、かつ導光板の厚さ方向(Z方向)の大きさを実際よりも拡大して示しされている。第5実施形態の導光板1dは、第3実施形態の導光板1bに対して、第1領域R1と第2領域R2の間に新たに第4領域R4を設けたものである。この第4実施形態では、底部14bは、第4領域R4と第2領域R2の境界に対応する変曲点Pから変曲点Pまでの間ではY方向を基準として傾斜角度θで傾斜して配置されており、変曲点Pから変曲点Pまでの間ではY方向を基準として傾斜角度θで傾斜して配置されている。変曲点Pと変曲点PのZ方向高さは同じであり、傾斜角度θと傾斜角度θも同じ値となる。底部14bのうち、変曲点Pから変曲点Pまでの間の部分はZ方向に沿って高さが増加するように傾斜しており、変曲点Pから変曲点Pまでの間の部分はZ方向に沿って高さが減少するように傾斜している。また、第4領域R4では、底部14dは、変曲点Pと変曲点Pの間でY方向と平行に配置されている。なお、この第5実施形態の底部14bにおいては、変曲点Pから変曲点Pまでの間の面が「第2面」に対応し、変曲点Pから変曲点Pまでの間の面が「第1面」に対応し、変曲点Pから変曲点Pまでの間の面が「第3面」に対応する。
【0041】
図10(B)は、第1領域R1から第2領域R2にかけての底部の平面視形状を示す図である。第4領域R4における底部14dが線状である点以外は第3実施形態と同様である。第4領域R4では、凸レンズ11同士がX方向において互いに接しており、d2=0となっているため、底部14dが線状となる。このような第5実施形態の導光板1dでも、第1実施形態の導光板1と同様の効果が得られる。特に、第4領域R4を設けることで光入射面近傍(第4領域R4の部分)光取り出し効率が上がり、明暗ムラを抑制できるので、ホットスポット現象を抑制する効果が高まる。また、第1実施形態の導光板1と同様に、照明装置および表示装置の構成部品として用いることができる(図6(A)参照)。
【符号の説明】
【0042】
1:導光板、10:ベース部、11:凸レンズ、12:テーパー部、13:入射面、14、14a、14b、14c:底部、100:表示装置、101:反射シート、102:導光板、103:光源、104:プリズムシート、105:液晶パネル、R1:第1領域、R2:第2領域、R3:第3領域
図1
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