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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】垂れ壁及び垂れ壁の設置構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/74 20060101AFI20240806BHJP
   E04B 2/82 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
E04B2/74 561B
E04B2/82 501E
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020170525
(22)【出願日】2020-10-08
(65)【公開番号】P2022062489
(43)【公開日】2022-04-20
【審査請求日】2023-10-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000207436
【氏名又は名称】日鉄鋼板株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 清一
(72)【発明者】
【氏名】香山 好雄
(72)【発明者】
【氏名】茶木 康友
(72)【発明者】
【氏名】藤原 誠司
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-082222(JP,U)
【文献】特開2006-320433(JP,A)
【文献】特開2019-005295(JP,A)
【文献】特開2005-282176(JP,A)
【文献】特開2020-073772(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/74
E04B 2/82
E04B 1/94
E04C 2/38
A62C 2/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井から吊り下げられる垂れ壁であって、
前後方向に対向する一対の金属外皮と、
前記一対の金属外皮の上端部の間に位置し、左右方向に対して平行な長手方向を有する直管状の上部スペーサーと、
前記一対の金属外皮の下端部の間に位置し、左右方向に対して平行な長手方向を有する直管状の下部スペーサーと、を備え、
前記一対の金属外皮のそれぞれは、前記上部スペーサーと前記下部スペーサーのそれぞれに接着されている、
ことを特徴とする垂れ壁。
【請求項2】
前記一対の金属外皮の間において、前記上部スペーサーの左右の端部と前記下部スペーサーの左右の端部の間に位置し、上下方向に対して平行な長手方向を有する左右一対の側部スペーサーを更に備え、
前記一対の金属外皮のそれぞれは、前記左右一対の側部スペーサーのそれぞれに接着されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の垂れ壁。
【請求項3】
前記上部スペーサーと前記下部スペーサーと前記左右一対の側部スペーサーとは、自身の長手方向に直交する断面形状が、互いに同じである、
ことを特徴とする請求項2に記載の垂れ壁。
【請求項4】
前記一対の金属外皮の間において、前記上部スペーサーと前記下部スペーサーの間に位置する芯材を更に備え、
前記一対の金属外皮のそれぞれは、前記芯材に接着されている、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の垂れ壁。
【請求項5】
前記一対の金属外皮を、前記上部スペーサーと前記下部スペーサーに固定する固定具を更に備え、
前記一対の金属外皮のそれぞれは、前記上部スペーサーと前記下部スペーサーの左右の端面を覆う左右一対の側板部を有し、
前記左右一対の側板部のそれぞれは、前記固定具によって、前記上部スペーサーと前記下部スペーサーの左右の端面に固定されている、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の垂れ壁。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の垂れ壁と、
天井に固定される支持部材と、
前記支持部材と、前記一対の金属外皮の上端部と、前記上部スペーサーとを前後方向に貫通して、前記支持部材に前記垂れ壁を取り付ける複数の取付具と、を備え、
前記複数の取付具は、左右方向に間隔をおいて位置する、
ことを特徴とする垂れ壁の設置構造。
【請求項7】
前記下部スペーサーの内部に通される部分と、前記支持部材に連結される部分とを有する索条を更に備える、
ことを特徴とする請求項6に記載の垂れ壁の設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、垂れ壁及び垂れ壁の設置構造に関し、詳しくは、天井から吊り下げられる垂れ壁及び垂れ壁の設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、厚さが1mm以下の鋼板を折り曲げ加工して形成された防煙垂れ壁が記載されている。この防煙垂れ壁は、鉛直方向に延びた垂れ壁本体部と、垂れ壁本体部の下端から斜め上方に延びた折り返し部と、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-100402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の防煙垂れ壁では、垂れ壁本体部の下端に折り返し部を設けることで、垂れ壁本体部の下端側にたわみが発生することを防止している。
【0005】
しかし、この防煙垂れ壁は、厚さが1mm以下の薄い鋼板で形成されるため、垂れ壁本体部を水平方向に長く設けると、水平方向にたわみが生じやすい。また、この防煙垂れ壁を風通しの良い空間の天井に設けた場合に、風を受けてたわむおそれがある。
【0006】
上記事情に鑑みて、本開示は、たわみが発生しにくい垂れ壁及び垂れ壁の設置構造を提案することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る一態様の垂れ壁は、天井から吊り下げられる垂れ壁である。この垂れ壁は、前後方向に対向する一対の金属外皮と、前記一対の金属外皮の上端部の間に位置し、左右方向に対して平行な長手方向を有する直管状の上部スペーサーと、前記一対の金属外皮の下端部の間に位置し、左右方向に対して平行な長手方向を有する直管状の下部スペーサーと、を備える。前記一対の金属外皮のそれぞれは、前記上部スペーサーと前記下部スペーサーのそれぞれに接着されている。
【0008】
本開示に係る一態様の垂れ壁の設置構造は、前記の垂れ壁と、天井に固定される支持部材と、前記支持部材、前記一対の金属外皮の上端部、及び前記上部スペーサーを前後方向に貫通して、前記支持部材に前記垂れ壁を取り付ける複数の取付具と、を備える。前記複数の取付具は、左右方向に間隔をおいて位置する。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る一態様の垂れ壁及び垂れ壁の設置構造では、たわみが発生しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示に係る一実施形態の垂れ壁及びその設置構造を示す側断面図である。
図2図2は、図1の要部を拡大して示す側断面図である。
図3図3は、同上の垂れ壁及びその設置構造を示す斜視図である。
図4図4は、同上の垂れ壁を示す正面図である。
図5図5Aは、図4のA-A線における断面図であり、図5Bは、図5AのB部を拡大した図である。
図6図6は、図4のC-C線における断面図である。
図7図7は、同上の垂れ壁の側面図である。
図8図8は、同上の垂れ壁の設置構造の設置例を示す側面図である。
図9図9は、同上の垂れ壁の変形例の要部を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.概要
図1には、一実施形態の垂れ壁1と、垂れ壁の設置構造100(以下「設置構造100」と記載する)とが示されている。垂れ壁1は、天井10から吊り下げられる壁である。垂れ壁1は、例えば、二つの空間をつなぐ連絡通路の天井10に設置される。連絡通路の一例としては、駅に設けられる連絡通路が挙げられる。
【0012】
垂れ壁1は、前後方向に対向する一対の金属外皮2,3と、一対の金属外皮2,3の上端部の間に位置し、左右方向に対して平行な長手方向を有する直管状の上部スペーサー40と、一対の金属外皮2,3の下端部の間に位置し、左右方向に対して平行な長手方向を有する直管状の下部スペーサー41と、を備える。一対の金属外皮2,3のそれぞれは、上部スペーサー40と下部スペーサー41のそれぞれに接着されている。
【0013】
また、設置構造100は、上述した垂れ壁1と、天井10に固定される支持部材7と、支持部材7、一対の金属外皮2,3の上端部、及び上部スペーサー40を前後方向に貫通して、支持部材7に垂れ壁1を取り付ける複数の取付具8と、を備える。複数の取付具8は、図3示すように、左右方向に間隔をおいて位置する。
【0014】
以下では、本実施形態の垂れ壁1及びその設置構造100について更に詳しく説明する。本明細書では、垂れ壁1のうち、一対の金属外皮2,3が対向する方向を前後方向とし、一対の金属外皮2,3の間に位置する上下のスペーサー40,41の長手方向を左右方向とし、垂れ壁1と天井10(詳しくは天井下地101)とが並ぶ方向を上下方向としている。
【0015】
2.詳細
2-1.天井
天井10は、図1図2及び図3に示すように、天井下地101と、天井下地101の下方に配置される複数の天井パネル102と、を有する。
【0016】
本実施形態では、天井下地101は、複数の梁103で構成される(図8参照)。複数の梁103のそれぞれは、左右方向を長手方向とし、長手方向に直交する断面形状がH字状の形鋼で構成される。複数の梁103のそれぞれは、互いに平行な上下一対のフランジ104と、一対のフランジ104の間に介在するウェブ105と、を有する。支持部材7は、梁103の下側のフランジ104に、ボルトとナット等の固定具11で固定される。下側のフランジ104のうち、ウェブ105よりも前側の部分と、ウェブ105よりも後側の部分のそれぞれには、固定具11が通される複数の貫通孔106が、左右方向に間隔をおいて設けられている。
【0017】
複数の天井パネル102のそれぞれは、支持部材7にボルトとナット等の固定具12で固定され、天井下地101から下方に離れた位置に配置される。複数の天井パネル102のそれぞれは、例えば、アルミニウム製である。複数の天井パネル102の下面が、天井面を構成する。
【0018】
2-2.垂れ壁
垂れ壁1は、図3に示すように、矩形板状のパネルである。垂れ壁1は、自身の長手方向が左右方向に対して平行となり、自身の短手方向が鉛直方向(上下方向)に対して平行となる姿勢で、天井10の天井下地101に吊り下げられる。垂れ壁1の左右方向の長さは、例えば、1000mm以上4500mm以下である。
【0019】
本実施形態では、垂れ壁1は、図4図5A及び図6に示すように、前後方向に対向する一対の金属外皮2,3と、一対の金属外皮2,3の間に位置する矩形枠状のスペーサーユニット4と、芯材5と、化粧カバー6とを備える。
【0020】
2-2-1.一対の金属外皮
一対の金属外皮2,3は、構造が互いに共通している。一対の金属外皮2,3のうち、前側に位置する金属外皮2は、後側に開口した扁平な矩形の箱型である。金属外皮2は、スペーサーユニット4及び芯材5の前側に位置する矩形状の主板部20と、スペーサーユニット4の左右に位置する一対の側板部21とを含む。金属外皮2は更に、スペーサーユニット4の上面を覆う上板部22と、スペーサーユニット4の下面を覆う下板部23とを含む。
【0021】
左右一対の側板部21は、主板部20の左右の縁の上下方向の全長から後側に突出している。上板部22は、主板部20の上縁の左右方向の全長から後側に突出している。下板部23は、主板部20の下縁の左右方向の全長から後側に突出している。左右一対の側板部21、上板部22及び下板部23のそれぞれは、主板部20に対して略垂直である。
【0022】
図7に示すように、左右一対の側板部21のそれぞれは、スペーサーユニット4が有する上下のスペーサー40,41の左右端開口を覆う部分に、切欠き210と、左右方向に貫通した第一貫通孔211と、を有する。左右一対の側板部21のそれぞれは、その前後方向の長さが、切欠き210のある箇所を除いて、上下方向にわたって一定であり、スペーサーユニット4の前後方向の長さの略半分である。
【0023】
図4図5A及び図6に示すように、一対の金属外皮2,3のうち、後側に位置する金属外皮3は、前側に開口した扁平な矩形の箱型である。金属外皮3は、スペーサーユニット4及び芯材5の後側に位置する矩形状の主板部30と、スペーサーユニット4の左右に位置する一対の側板部31とを含む。金属外皮3は更に、スペーサーユニット4の上面を覆う上板部32と、スペーサーユニット4の下面を覆う下板部33とを含む。
【0024】
左右一対の側板部31は、主板部30の左右の縁の上下方向の全長から前側に突出している。上板部32は、主板部30の上縁の左右方向の全長から前側に突出している。下板部33は、主板部30の下縁の左右方向の全長から前側に突出している。左右一対の側板部31、上板部32及び下板部33のそれぞれは、主板部30に対して略垂直である。
【0025】
図7に示すように、左右一対の側板部31のそれぞれは、上下のスペーサー40,41の左右端開口を覆う部分に、切欠き310と、左右方向に貫通した第二貫通孔311と、を有する。左右一対の側板部31のそれぞれは、その前後方向の長さが、切欠き310のある箇所を除いて、上下方向にわたって一定であり、スペーサーユニット4の前後方向の長さの略半分である。
【0026】
金属外皮2,3のそれぞれは、金属板を折り曲げて形成される。金属板は、塗装鋼板、亜鉛めっき鋼板、ガルバリウム鋼板(登録商標)、エスジーエル(登録商標)鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム鋼板、チタン板等であるが、これらに限定されない。金属板の厚みは、例えば0.35mm~1.2mmである。
【0027】
図7に示すように、金属外皮2の左右の側板部21の上下の切り欠き210と、金属外皮3の左右の側板部31の上下の切り欠き310とは、上下のスペーサー40,41の左右端の開口に対向し、この左右端の開口よりも面積の小さい挿入口24を形成している。
【0028】
図4及び図5Aに示すように、金属外皮2の上端部(つまりスペーサーユニット4の上部スペーサー40に接着される部分)には、取付具8が通される複数の貫通孔25が前後方向に貫通するように設けられている。複数の貫通孔25は、左右方向に互いに間隔をおいて位置する。金属外皮3の上端部(つまりスペーサーユニット4の上部スペーサー40に接着される部分)には、取付具8が通される複数の貫通孔35が前後方向に貫通するように設けられている。複数の貫通孔35は、左右方向に互いに間隔をおいて位置する。金属外皮2の複数の貫通孔25と金属外皮3の複数の貫通孔35は、上下方向及び左右方向の配置と数が互いに同じであり、前後方向に一対一に並んで位置する。
【0029】
2-2-2.芯材
図4図5A及び図6に示すように、芯材5は、金属外皮2と金属外皮3とスペーサーユニット4によって囲まれる領域の全体に位置する。
【0030】
芯材5は、全体形状が1つの板をなすように上下方向に並んだ複数のブロック体で構成される。複数のブロック体のそれぞれは、ロックウールやグラスウールなどの繊維状無機材をバインダー等で固めて形成される。
【0031】
芯材5の厚みは、スペーサーユニット4の厚みと同じである。芯材5は繊維状無機材の他、スペーサーユニット4で囲まれる領域の全体に充填された樹脂発泡材(ウレタンフォーム、フェノールフォーム、スチレンフォーム等)であってもよい。芯材5は、発泡樹脂ボードを短冊状に加工したものを接着剤等で互いに接着させたものであってもよい。
【0032】
また、芯材5は、金属外皮2と金属外皮3とスペーサーユニット4によって囲まれる領域の全体ではなく、部分的に位置してもよい。例えば、芯材5は、左右方向に延びかつ上下方向に間隔をおいて位置する複数本の横材と、上下方向に延びかつ左右方向に間隔をおいて位置する複数本の縦材とが、互いに直交するように組み合わさった形状であってもよい。
【0033】
垂れ壁1の軽量化を図るためには、芯材5は繊維状無機材ではなく樹脂発泡材であることが好ましく、また、芯材5は前記領域の全体ではなく一部に位置することが好ましい。
【0034】
2-2-3.スペーサーユニット
スペーサーユニット4は、矩形枠状のスペーサーユニット4の上枠部分を構成する上部スペーサー40と、スペーサーユニット4の下枠部分を構成する下部スペーサー41と、スペーサーユニット4の左右の枠部分を構成する一対の側部スペーサー42,43とを含む。一対の側部スペーサー42,43は、上下のスペーサー40,41の間に位置している。
【0035】
上部スペーサー40は、一対の金属外皮2,3の上端部の間に位置し、左右方向に対して平行な長手方向を有する直管状の部材である。上部スペーサー40は、その長手方向の全長にわたって、一対の金属外皮2,3の上端部に接着されている。
【0036】
下部スペーサー41は、一対の金属外皮2,3の下端部の間に位置し、左右方向に対して平行な長手方向を有する直管状の部材である。下部スペーサー41は、その長手方向の全長にわたって、一対の金属外皮2,3の上端部に接着されている。
【0037】
左の側部スペーサー42は、一対の金属外皮2,3の左端部の間に位置し、上下方向に対して平行な長手方向を有する直管状の部材である。左の側部スペーサー42は、その長手方向の全長にわたって、一対の金属外皮2,3の左端部に接着されている。
【0038】
右の側部スペーサー43は、一対の金属外皮2,3の右端部の間に位置し、上下方向に対して平行な長手方向を有する直管状の部材である。右の側部スペーサー43は、その長手方向の全長にわたって、一対の金属外皮2,3の右端部に接着されている。
【0039】
スペーサー40,41は、長手方向(左右方向)の長さが、互いに同じである。スペーサー42,43は、長手方向(上下方向)の長さが互いに同じである。スペーサー40,41の長手方向の長さは、スペーサー42,43の長手方向の長さよりも長い。スペーサー40,41,42,43は、前後方向の長さが互いに同じである。
【0040】
左の側部スペーサー42は、上部スペーサー40の左端部と下部スペーサー41の左端部の間に位置する。右の側部スペーサー43は、上部スペーサー40の右端部と下部スペーサー41の右端部の間に位置する。これにより、スペーサー40,41,42,43は、矩形枠状に配置されている。
【0041】
スペーサー40,41,42,43のそれぞれは、自身の長手方向にわたって断面形状が一定である。本実施形態では、スペーサー40,41,42,43は、断面形状が互いに同じである。スペーサー40,41,42,43のそれぞれは、例えばアルミニウム製の押出成形品である。スペーサー40,41,42,43のそれぞれは、同じ型を用いて成形される。
【0042】
続いて、図5Bに示す下部スペーサー41について更に詳しく説明する。
【0043】
下部スペーサー41は、自身の長手方向に直交する断面形状が、略矩形の枠状である。下部スペーサー41は、自身の長手方向にわたって断面形状が一定である。
【0044】
下部スペーサー41は、金属外皮2の主板部20側(前側)を向く面の下端部に、この面の他の部分よりも後側に凹んだ第一凹段部44を有し、金属外皮3の主板部30側(後側)を向く面の下端部に、この面の他の部分よりも前側に凹んだ第二凹段部45を有する。第一凹段部44の上端部には、後側に更に凹んだ凹み440が設けられ、第二凹段部45の上端部には、前側に更に凹んだ凹み450が設けられている。
【0045】
下部スペーサー41は、芯材5の側とは反対側(下側)を向く面の前後方向の中央部に、上側に凹んだ凹条部46を有する。凹条部46は、芯材5の側とは反対側(下側)に向けて開口している。
【0046】
下部スペーサー41は、自身の長手方向(左側と右側のそれぞれ)に開口した第一挿入孔47と第二挿入孔48を更に有する。挿入孔47,48のそれぞれは、上向きに開口したC字状の片で囲まれた部分であり、芯材5の側(上側)にも開口している。第一挿入孔47は、下部スペーサー41の前側の部分に位置し、第二挿入孔48は、下部スペーサー41の後側の部分に位置する。挿入孔47,48は、下部スペーサー41の下側の部分に位置する。挿入孔47,48は、凹段部44,45の間に位置する。
【0047】
下部スペーサー41は更に、芯材5の側(上側)を向く面の前端部と後端部に、この面の前後方向の中央部よりも下側に凹んだ凹段部49を有する。
【0048】
スペーサー40,42,43のそれぞれは、下部スペーサー41と同形状であるため、下部スペーサー41と同様に、第一凹段部44、凹み440、第二凹段部45、凹み450、凹条部46、第一挿入孔47、第二挿入孔48、及び一対の凹段部49を有する。
【0049】
図4及び図5Aに示すように、上部スペーサー40には、取付具8が通される複数の貫通孔400が前後方向に貫通するように設けられている。複数の貫通孔400は、左右方向に互いに間隔をおいて位置する。
【0050】
詳しくは、上部スペーサー40の前側の壁のうち第一凹段部44よりも下側の部分と、上部スペーサー40の後側の壁のうち第二凹段部45よりも下側の部分のそれぞれに、複数の貫通孔400が前後方向に貫通するように設けられている。
【0051】
上部スペーサー40の前側の壁に設けられた複数の貫通孔400と、上部スペーサー40の後側の壁に設けられた複数の貫通孔400は、上下方向及び左右方向の位置と数が互いに同じであり、前後方向に一対一に並んで位置する。上部スペーサー40の複数の貫通孔400と、金属外皮2,3の複数の貫通孔25,35とは、前後に並んで位置するように、配置が対応している。
【0052】
2-2-4.化粧カバー
図4に示すように、化粧カバー6は、左右方向に長尺な部材であり、上下のスペーサー40,41と同じ左右長さを有する。化粧カバー6は、自身の長手方向に直交する断面形状が、長手方向にわたって一定である。化粧カバー6は、例えば、アルミニウム製の押出成形品である。化粧カバー6には、塗装等の各種の表面加工が施される。
【0053】
本実施形態では、垂れ壁1は、上下のスペーサー40,41に取り付けられる上下一対の化粧カバー6を備える。上下一対の化粧カバー6は、長手方向に直交する断面形状が互いに同じである。以下では、図5Bに示す下側の化粧カバー6について詳しく説明する。
【0054】
化粧カバー6は、下部スペーサー41を前後方向から挟む第一取付片60と第二取付片61を有する。化粧カバー6は更に、下部スペーサー41の凹条部46に嵌まる突条部62を有する。化粧カバー6は更に、板状の化粧部63を有する。
【0055】
化粧部63は、略矩形板状である。突条部62は、化粧部63と一体であり、本実施形態では、半角筒状である。突条部62は、化粧部63から芯材5の側(上側)に突出した一対の突出片620と、一対の突出片620の先端部(上端部)の間に介在する連結片621とで構成される。一対の突出片620は、互いに平行である。
【0056】
取付片60,61のそれぞれは、突条部62と一体であり、本実施形態では、L字状である。第一取付片60は、前側の突出片620の上側の部分から前側に突出した第一片部600と、第一片部600の前端部から上側に突出した第二片部601と、第二片部601の先端部から後側に突出した爪部602とを有する。
【0057】
第一取付片60は更に、第一片部600の前後方向の中央部から下側に突出した第一堰部603を有する。第一取付片60は更に、第二片部601の金属外皮2の主板部20の側を向く面(前面)の上下方向の中央部に設けられ、ビス等の固定具9の挿入位置を示す凹条の溝604を有する。溝604は、第一片部600の左右方向の全長にわたるように設けられている。
【0058】
第二取付片61は、後側の突出片620の上側の部分から後側に突出した第一片部610と、第一片部610の後端部から上側に突出した第二片部611と、第二片部611の先端部から前側に突出した爪部612とを有する。
【0059】
第二取付片61は更に、第一片部610の前後方向の中央部から下側に突出した第二堰部613を有する。第二取付片61は更に、第二片部611の金属外皮3の主板部30の側を向く面(後面)の上下方向の中央部に設けられ、固定具9の挿入位置を示す凹条の溝614を有する。溝614は、第二片部611の左右方向の全長にわたるように設けられている。
【0060】
化粧カバー6は、第一取付片60と第二取付片61とで下部スペーサー41を前後方向から挟み、かつ突条部62が下部スペーサー41の凹条部46に嵌まり込むように、下部スペーサー41に取り付けられる。
【0061】
取付状態において、第一取付片60の第二片部601は、下部スペーサー41の第一凹段部44に接し、第一取付片60の爪部602は、下部スペーサー41の凹み440に挿入される。第一取付片60の第一片部600は、下部スペーサー41の下側の面のうち、凹条部46よりも前側の部分に接する。
【0062】
また取付状態において、第二取付片61の第二片部611は、下部スペーサー41の第二凹段部45に接し、第二取付片61の爪部612は、下部スペーサー41の凹み450に挿入される。第二取付片61の第一片部610は、下部スペーサー41の下側の面のうち、凹条部46よりも後側の部分に接する。
【0063】
また取付状態において、突条部62の一対の突出片620のうち、第一片部600,610よりも芯材5の側の部分と連結片621は、下部スペーサー41の凹条部46に嵌まり込む。
【0064】
下部スペーサー41への化粧カバー6の取り付けは、下部スペーサー41の下側の面に対向するように化粧カバー6を配置した状態から、化粧カバー6の一対の取付片60,61間に下部スペーサー41が入り込むように、化粧カバー6を下部スペーサー41に対して嵌め込むことで行うことができる。この際、一対の取付片60,61は、下部スペーサー41に当たることで、第二片部601,611の先端部間の間隔が僅かに拡がるように僅かに弾性変形可能である。
【0065】
なお、下部スペーサー41への化粧カバー6の取り付けは、化粧カバー6の長手方向の一端側から化粧カバー6の一対の取付片60,61間に下部スペーサー41を差し込んで、相対的にスライド移動させることで、行ってもよい。この場合、一対の取付片60,61は、弾性変形不可に形成することができる。
【0066】
化粧カバー6は、取付片60,61で下部スペーサー41を挟み込んだ状態で、固定具9を取付片60,61の第二片部601,611の溝604,614に打ち込むことによって、下部スペーサー41に固定される。溝604,614への固定具9の打ち込みは、例えば、化粧カバー6の長手方向の中央部において行う。
【0067】
上側の化粧カバー6は、上部スペーサー40に対して、上述した方法と同様の方法で固定される。
【0068】
2-2-5.垂れ壁の組み立て方法
続いて、垂れ壁1の組み立て方法の一例について説明する。
【0069】
まず、金属外皮2を、主板部20の起立姿勢における前面が下側を向くように、平置きする。この状態で、主板部20の上面に、接着剤13を塗布する。
【0070】
次いで、金属外皮2の主板部20の上面に、スペーサーユニット4を載せる。
【0071】
詳しくは、図5Bに示すように、化粧カバー6を固定した下部スペーサー41は、化粧カバー6の第一堰部603が、下板部23に当たるように、主板部20の上面に載せる。このとき、下部スペーサー41の第一挿入孔47が、左右の側板部21,21の第一貫通孔211に対して、左右に一直線上に並ぶ(図7参照)。またこのとき、主板部20の上面に塗布した接着剤13が下部スペーサー41によって押し出されて、化粧カバー6の第一取付片60と主板部20と下板部23で囲まれるスペースに接着剤13が充填される。
【0072】
化粧カバー6を固定した上部スペーサー40は、化粧カバー6の第一堰部603が、上板部22に当たるように、主板部20の上面に載せる。このとき、上部スペーサー40の第一挿入孔47が、左右の側板部21,21の第一貫通孔211に対して、左右に一直線上に並ぶ。またこのとき、主板部20の上面に塗布した接着剤13が上部スペーサー40によって押し出されて、化粧カバー6の第一取付片60と主板部20と上板部22で囲まれるスペースに接着剤13が充填される。
【0073】
図6に示すように、左の側部スペーサー42は、凹段部49が左の側板部21に対向するように、主板部20の上面に載せる。側部スペーサー42としては、左の側板部21の側を向く面のうち、一対の凹段部49の間の部分に、構造用接合テープ等の両面テープを貼り付けたものを用いる。両面テープとしては、例えば、ブチルテープが挙げられる。主板部20の上面に左の側部スペーサー42を載せることで、主板部20の上面に塗布した接着剤13が側部スペーサー42によって押し出されて、側部スペーサー42の凹段部49と左の側板部21の間のスペースに接着剤13が充填される。左の側部スペーサー42は、左の側板部21に両面テープ及び接着剤13を介して接着される。
【0074】
右の側部スペーサー43は、凹段部49が右の側板部21に対向するように、主板部20の上面に載せる。側部スペーサー43としては、右の側板部21の側を向く面のうち、一対の凹段部49の間の部分に、構造用接合テープ等の両面テープを貼り付けたものを用いる。主板部20の上面に右の側部スペーサー43を載せることで、主板部20の上面に塗布した接着剤13が側部スペーサー43によって押し出されて、側部スペーサー43の凹段部49と右の側板部21の間のスペースに接着剤13が充填される。右の側部スペーサー43は、右の側板部21に両面テープ及び接着剤13を介して接着される。
【0075】
なお、左右の側部スペーサー42,43に貼り付ける両面テープは、左右の側部スペーサー42,43の長手方向の両側にはみ出す長さを有してもよい。この場合、両面テープのはみ出した部分は、上部スペーサー40の内面(上部スペーサー40の下側(側部スペーサー42,43側)の壁の上面)と下部スペーサー41の内面(下部スペーサー41の上側(側部スペーサー42,43側)の壁の下面)にそれぞれ貼り付けられる。この場合、四つのスペーサー40,41,42,43のうち隣接する二つのスペーサー間の隙間を両面テープで覆うことができて、止水性等の向上が図れる。なお、左右の側部スペーサー42,43には、両面テープを貼り付けなくてもよい。
【0076】
次いで、主板部20の上面のうち、スペーサー40,41,42,43で囲まれる領域の全体に、芯材5を載せる。芯材5は、その下面全体が主板部20に接着される。またこのとき、主板部20の上面に塗布した接着剤13が、下部スペーサー41の凹段部49と主板部20と芯材5で囲まれるスペースと、上部スペーサー40の凹段部49と主板部20と芯材5で囲まれるスペースと、側部スペーサー42の第二凹段部45と主板部20と芯材5で囲まれるスペースと、側部スペーサー43の第二凹段部45と主板部20と芯材5で囲まれるスペースのそれぞれに、充填される。
【0077】
次いで、スペーサーユニット4及び芯材5の上面に、主板部30の起立姿勢における前面が下側を向くように平置き姿勢にした金属外皮3を載せる。ここで、金属外皮3の主板部30の下面には、接着剤13を塗布しておく。
【0078】
金属外皮3は、上部スペーサー40に固定された化粧カバー6の第二堰部613が、上板部32に当たり、下部スペーサー41に固定された化粧カバー6の第二堰部613が、下板部33に当たり、左右の側部スペーサー42,43の両面テープが、左右の側板部31,31に当たるように、配置する(図6参照)。このとき、上部スペーサー40の第二挿入孔48が、左右の側板部31の第二貫通孔311に対して、左右に一直線上に並び、下部スペーサー41の第二挿入孔48が、左右の側板部31,31の第二貫通孔311に対して、左右に一直線上に並ぶ(図7参照)。
【0079】
スペーサーユニット4及び芯材5の上面に主板部30を載せることで、主板部30の下面に塗布した接着剤13がスペーサー40,41,42,43のそれぞれによって押し出されて、スペーサー40,41,42,43の周囲の各スペースに接着剤13が充填される。詳しくは、化粧カバー6の第二取付片61と主板部30と下板部33で囲まれるスペースと、下部スペーサー41の凹段部49と主板部30と芯材5で囲まれるスペースと、化粧カバー6の第二取付片61と主板部30と上板部32で囲まれるスペースと、上部スペーサー40の凹段部49と主板部30と芯材5で囲まれるスペースと、側部スペーサー42の第一凹段部44と主板部30と芯材5で囲まれるスペースと、側部スペーサー42の凹段部49と左の側板部31の間のスペースと、側部スペーサー43の第一凹段部44と主板部30と芯材5で囲まれるスペースと、側部スペーサー43の凹段部49と右の側板部31の間のスペースのそれぞれに、接着剤13が充填される。左右の側板部31,31は、左右の側部スペーサー42,43に両面テープと接着剤13を介して接着される。
【0080】
次いで、金属外皮2の左右の側板部21,21の各第一貫通孔211に位置決め用のピンを挿入し、前後のスペーサー40,41の対応する第一挿入孔47まで差し込んで、左右の側板部21,21を前後のスペーサー40,41に対して位置決めする。同様に、金属外皮3の左右の側板部31,31の各第二貫通孔311に位置決め用のピンを挿入し、前後のスペーサー40,41の対応する第二挿入孔48まで差し込んで、左右の側板部31,31を前後のスペーサー40,41に対して位置決めする(図6参照)。
【0081】
次いで、スペーサーユニット4及び芯材5を間にセットした金属外皮2,3に対して、ホットプレス加工を行って、接着剤13を硬化させ、金属外皮2,3を、スペーサー40,41,42,43及び芯材5に対して固定する。
【0082】
次いで、前後のスペーサー40,41及び左右の側板部21,31から位置決め用のピンを抜き、代わりに、ビス等の固定具14を挿入する。これにより、金属外皮2,3の左右の側板部21,31は、スペーサーユニット4に固定具14によって固定される。
【0083】
上記のように組み立てることで、図4図5A図6及び図7に示す垂れ壁1が製造される。
【0084】
2-3.設置構造
本実施形態の設置構造100は、支持部材7と取付具8に加えて、索条15と索条支持具16を更に備える。以下、支持部材7、取付具8、索条15、及び索条支持具16について、詳しく説明する。
【0085】
2-3-1.支持部材
支持部材7は、図1図2及び図3に示すように、天井10の天井下地101(本実施形態では梁103の下側のフランジ104)に固定される一対の第一支持部材70と、一対の第一支持部材70に固定され、天井パネル102が取り付けられる一対の第二支持部材71と、を有する。
【0086】
一対の第一支持部材70のそれぞれは、本実施形態では、左右方向を長手方向とし、長手方向に直交する断面形状がL字状の形鋼である。また、一対の第二支持部材71のそれぞれは、本実施形態では、左右方向を長手方向とし、長手方向に直交する断面形状がL字状の金属製の部材である。一対の第二支持部材71は、一対の第一支持部材70よりも厚みの小さい金属板で形成されている。
【0087】
一対の第一支持部材70のそれぞれは、梁103の下側のフランジ104に固定される板状の固定部700と、固定部700の前後方向内側の端部から垂下した板状の支持部701と、を有する。
【0088】
一対の第二支持部材71のそれぞれは、支持部701に固定される板状の固定部710と、固定部710の下端部から前後方向外側に突出した取付部711と、を有する。
【0089】
一対の第一支持部材70の左右方向の長さは、垂れ壁1の左右方向の長さよりも長く、一対の第一支持部材70には、複数の垂れ壁1を左右方向に並べて取り付けることが可能である。
【0090】
固定部700は、矩形板状である。固定部700は、左右方向に対して平行な長手方向と、前後方向に対して平行な短手方向とを有する。
【0091】
支持部701は、矩形板状である。支持部701は、左右方向に対して平行な長手方向と、上下方向に対して平行な短手方向とを有する。支持部701の左右方向の長さは、固定部700の左右方向の長さと同じである。
【0092】
支持部701には、支持部材7に垂れ壁1を固定する取付具8が通される複数の貫通孔702が設けられている。複数の貫通孔702は、左右方向に間隔をおいて位置する。また、支持部701には、索条15が接続される索条支持具16が通される複数の貫通孔703が更に設けられている。複数の貫通孔703は、複数の貫通孔702よりも上方に位置する。複数の貫通孔703は、支持部701のうち、垂れ壁1の左右方向の両端部に対応する部分に、配置されている。支持部701に設けられる複数の貫通孔703の数は、例えば、支持部材7に取り付けられる垂れ壁1の数のおよそ2倍である。例えば、支持部材7に二つの垂れ壁1を取り付ける場合、支持部701には、四つの貫通孔703が設けられる。
【0093】
また、固定部700には、固定具11が通される複数の貫通孔704が設けられている。固定部700における複数の貫通孔704の配置は、梁103の下側のフランジ104における複数の貫通孔106の配置に対応している。
【0094】
一対の第一支持部材70は、固定部700の複数の貫通孔106のそれぞれに通した固定具11によって、梁103の下側のフランジ104に固定される。固定状態において、二つの支持部701は、垂れ壁1の厚みと略同じ距離だけ、前後方向に離れて位置する。また固定状態において、一対の第一支持部材70は、一方の第一支持部材70の支持部701に設けられた複数の貫通孔702と、他方の第一支持部材70の支持部701に設けられた複数の貫通孔702とが、前後方向に一対一に並んで位置する。
【0095】
一対の第二支持部材71の左右方向の長さは、本実施形態では、一対の第一支持部材70の左右方向の長さと同じである。
【0096】
固定部710は、矩形板状である。固定部710は、左右方向に対して平行な長手方向と、上下方向に対して平行な短手方向とを有する。
【0097】
取付部711は、矩形板状である。取付部711は、左右方向に対して平行な長手方向と、前後方向に対して平行な短手方向とを有する。取付部711の左右方向の長さは、固定部710の左右方向の長さと同じである。
【0098】
固定部710には、支持部材7に垂れ壁1を固定する取付具8が通される複数の貫通孔712が設けられている。複数の貫通孔712は、左右方向に間隔をおいて位置する。固定部710における複数の貫通孔712の配置は、第一支持部材70の支持部701における複数の貫通孔702の配置に対応している。
【0099】
取付部711には、天井パネル102を固定するボルトとナット等の固定具12が通される複数の貫通孔713が設けられている。複数の貫通孔713は、左右方向に間隔をおいて位置する。
【0100】
一対の第二支持部材71は、固定部710が、垂れ壁1と第一支持部材70の支持部701との間に位置し、固定部710の複数の貫通孔712が、支持部701の複数の貫通孔702に対して前後方向に一対一に並ぶように、垂れ壁1及び第一支持部材70に対して取り付けられる。一対の第二支持部材71のそれぞれの取付部711は、一対の第一支持部材70の支持部701よりも下方において前後方向外側(垂れ壁1から離れる方向)に突出する。なお、一対の第二支持部材71は、一対の第一支持部材70に対して、接着等の適宜手段で固定されてもよい。
【0101】
2-3-2.取付具
複数の取付具8のそれぞれは、本実施形態では、ボルト80と、ボルト80に取り付けられる二つのナット81とを有する。
【0102】
2-3-3.索条
索条15は、垂れ壁1の下部スペーサー41の内部に通される部分と、支持部材7に連結される部分とを有する。本実施形態では、索条15は、ワイヤー又は紐である。索条15の長手方向の両端にはそれぞれ、索条支持具16に接続される環状部150が設けられる。環状部150は、索条15の一部で構成されてもよいし、索条15に固定される環状の部材で構成されてもよい。
【0103】
索条15は、スペーサーユニット4の下部スペーサー41の内部に通した状態で、索条15の長手方向の両端部の環状部150が二つの索条支持具16にそれぞれ接続されることで、支持部材7に連結される。
【0104】
2-3-4.索条支持具
索条支持具16は、本実施形態では、ボルト160と、ボルト160に取り付けられる二つのナット161とを有する。
【0105】
3.垂れ壁の設置方法
続いて、上述した垂れ壁1を天井10に設置する方法の一例について説明する(図1図2参照)。
【0106】
まず、天井10の天井下地101の複数の梁103の下側のフランジ104のそれぞれに、支持部材7の一対の第一支持部材70の固定部700を固定具11で固定する。
【0107】
次いで、支持部材7の一対の第一支持部材70の支持部701の間に、垂れ壁1の上端部と、一対の第二支持部材71の固定部710を差し込み、一対の支持部701に設けられた複数の貫通孔702と、一対の第二支持部材71の固定部710に設けられた複数の貫通孔712と、垂れ壁1の上端部に設けられた複数の貫通孔(金属外皮2,3の貫通孔25,35と上部スペーサー40の貫通孔400)とを、前後方向に並べて、取付具8のボルト80を通す。次いで、ボルト80の先端部に二つのナット81を取り付けて、一対の第一支持部材70に垂れ壁1と一対の第二支持部材71を固定する(図2参照)。
【0108】
次いで、垂れ壁1の下部スペーサー41に、索条15の長手方向の中央部を通し、索条15の長手方向の両端部の環状部150を、一対の第一支持部材70の支持部701の間に配置する。索条15の長手方向の両側の部分は、垂れ壁1の左右の側部スペーサー42,43の左右方向外側の面に沿うように配置される(図1参照)。
【0109】
次いで、一対の第一支持部材70のそれぞれの支持部701の左右に並ぶ二つの貫通孔703に、索条支持具16のボルト160を通し、一対の第一支持部材70の支持部701の間において、索条15の両端部の環状部150にボルト160を通す(図1参照)。
【0110】
次いで、各索条支持具16のボルト160の先端部に二つのナット161を取り付ける。これにより、索条15の一部が索条支持具16を介して支持部材7の一対の第一支持部材70に連結される。そのため、もし仮に、複数の取付具8が一対の第一支持部材70及び垂れ壁1から外れても、一対の第一支持部材70から垂れ壁1が落下することを、索条15によって防ぐことができる(図1参照)。
【0111】
次いで、一対の第一支持部材70に取り付けた垂れ壁1の側方(左右方向)に、他の垂れ壁1を上述した施工方法と同様の方法で固定する(図3参照)。左右方向に並ぶ垂れ壁1は、例えば、10mm以上30mm以下の隙間を間に形成するように設置される。左右に並ぶ垂れ壁1には、間の隙間を覆うように防煙用のシート(図示せず)が貼り付けられる。
【0112】
次いで、上述した施工方法で、天井10の天井下地101の複数の梁103のそれぞれに対して、支持部材7の一対の第一支持部材70を固定し、各第一支持部材70の支持部701に一対の第二支持部材71と複数の垂れ壁1を取り付ける(図8参照)。
【0113】
次いで、前後方向に隣接する二つの第二支持部材71の取付部711に、天井パネル102を固定具12で取り付ける。
【0114】
以上のように施工することで、例えば、図8に示す設置例のように、天井10に対して複数の垂れ壁1を前後方向に間隔をおいて吊り下げることができる。複数の垂れ壁1のうち、前後方向に隣接する二つの垂れ壁1の間には天井パネル102が位置し、天井パネル102によって、天井下地101が覆い隠される。
【0115】
図8に示す設置例では、天井10には、上下方向の長さが互いに異なる複数の垂れ壁1が吊り下げられている。前後方向に間隔をおいて並ぶ複数の垂れ壁1は、それぞれの下端が、波状に並ぶように、長さが設定されている。前後に隣接する二枚の垂れ壁1の上下方向の長さの差は、例えば13mmである。
【0116】
本実施形態の垂れ壁1は、側部スペーサー42,43と芯材5と金属外皮2,3のそれぞれが、長さ調整しやすい部材で形成されているため、上下方向の長さに変化をつけやすい。
【0117】
4.変形例
続いて、上述した垂れ壁1及びその設置構造100の変形例について説明する。なお、後述する各変形例は、適宜組み合わせ可能である。
【0118】
下側の化粧カバー6の化粧部63には、図9に示すように、LED(Light Emitting Diord)等の照明装置が装着される取付部材17を取り付けてもよい。取付部材17は、例えば、アルミニウム製である。取付部材17は、例えば、ビス等の固定具を用いて化粧部63に固定される。なお、取付部材17は、化粧カバー6と一体に成形されてもよい。本実施形態の設置構造100では、垂れ壁1が、中空のスペーサーユニット4を有するため、スペーサーユニット4の内部の空間を配線スペースとして利用することができる。
【0119】
垂れ壁1は、スペーサーユニット4のうち、上下のスペーサー40,41のみを有し、左右の側部スペーサー42,43を有さなくてもよい。
【0120】
また、スペーサー40,41,42,43は、自身の長手方向に直交する断面形状が、互いに同じでなくてもよく、例えば、下部スペーサー41を除く残りのスペーサー40,42,43は、長手方向に直交する断面形状が矩形枠状の角パイプであってもよい。
【0121】
また、垂れ壁1は、芯材5を備えなくてよい。
【0122】
また、垂れ壁1は、一対の金属外皮2,3の左右の側板部21,31を上下のスペーサー40,41に固定する固定具14を備えなくてもよい。
【0123】
また、索条15は、下部スペーサー41の内部に通される部分と、支持部材7に連結される部分とを有すればよく、図1図2及び図3に示すものに限定されない。例えば、索条15は、その長手方向の両端部が、索条支持具16を介さず支持部材7に直接連結されてもよい。また、索条15は、輪状に設けて、その一部を支持部材7に設けた貫通孔に通す等してもよい。
【0124】
また、垂れ壁1の設置構造は、索条15を備えなくてもよい。
【0125】
支持部材7は、図1図2及び図3に示す形状に限らず、適宜変更可能である。支持部材7は、天井下地101に固定される部分と、垂れ壁1を支持する部分とを少なくとも有すればよい。支持部材7は、例えば、第一支持部材70と第二支持部材71とが一体に成形されたものであってもよい。
【0126】
化粧カバー6は、上下のスペーサー40,41とは別部材でなくてもよく、上下のスペーサー40,41と一体に成形されてもよい。また、上部スペーサー40に取り付ける化粧カバー6は、省略可能である。
【0127】
左右の側部スペーサー42,43は、図6に示す凹条部46が左右方向内側に開口する向きに配置されなくてもよく、凹条部46が左右方向外側に開口する向きに配置されてもよい。また、左側の側部スペーサー42,43は、凹条部46の開口する向きが右側又は左側に揃うように、配置されてもよい。
【0128】
5.まとめ
以上説明した一実施形態及びその変形例のように、第一態様の垂れ壁(1)は、以下の構成を備える。
【0129】
すなわち、第一態様の垂れ壁(1)は、天井(10)から吊り下げられる垂れ壁(1)である。垂れ壁(1)は、前後方向に対向する一対の金属外皮(2,3)と、一対の金属外皮(2,3)の上端部の間に位置し、左右方向に対して平行な長手方向を有する直管状の上部スペーサー(40)と、一対の金属外皮(2,3)の下端部の間に位置し、左右方向に対して平行な長手方向を有する直管状の下部スペーサー(41)と、を備える。一対の金属外皮(2,3)のそれぞれは、上部スペーサー(40)と下部スペーサー(41)のそれぞれに接着されている。
【0130】
上記構成を備えることで、第一態様の垂れ壁(1)では、一対の金属外皮(2,3)のそれぞれは、左右方向を長手方向とする上部スペーサー(40)と下部スペーサー(41)のそれぞれに接着されているため、左右方向にたわみが生じることを抑制することができる。また、第一態様の垂れ壁(1)では、一対の金属外皮(2,3)のそれぞれは、その下端部が下部スペーサー(41)に接着されているため、下部スペーサー(41)の重量により下向きのテンションがかかって、上下方向にたわみが生じることも抑制できる。したがって、第一態様の垂れ壁(1)では、たわみが生じにくい。
【0131】
また、上述した一実施形態及びその変形例のように、第二態様の垂れ壁(1)は、第一態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0132】
すなわち、第二態様の垂れ壁(1)では、一対の金属外皮(2,3)の間において、上部スペーサー(40)の左右の端部と下部スペーサー(41)の左右の端部の間に位置し、上下方向に対して平行な長手方向を有する左右一対の側部スペーサー(42,43)を更に備える。一対の金属外皮(2,3)のそれぞれは、左右一対の側部スペーサー(42,43)のそれぞれに接着されている。
【0133】
上記構成を備えることで、第二態様の垂れ壁(1)では、一対の金属外皮(2,3)のそれぞれが、左右一対の側部スペーサー(42,43)に接着することで、上下方向にたわみが生じにくい。
【0134】
また、上述した一実施形態及びその変形例のように、第三態様の垂れ壁(1)は、第二態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0135】
すなわち、第三態様の垂れ壁(1)では、上部スペーサー(40)と下部スペーサー(41)と左右一対の側部スペーサー(42,43)とは、自身の長手方向に直交する断面形状が、互いに同じである。
【0136】
上記構成を備えることで、第三態様の垂れ壁(1)では、スペーサー(40,41),(42,43)を同じ型を用いて製造できるため、前後方向の長さが一定となりやすく、スペーサー(40,41),(42,43)の製造誤差を起因としたねじれやたわみが、一対の金属外皮(2,3)に生じにくい。
【0137】
また、上述した一実施形態及びその変形例のように、第四態様の垂れ壁(1)は、第一から第三のいずれか一つの態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0138】
すなわち、第四態様の垂れ壁(1)は、一対の金属外皮(2,3)の間において、上部スペーサー(40)と下部スペーサー(41)の間に位置する芯材(5)を更に備える。一対の金属外皮(2,3)のそれぞれは、芯材(5)に接着されている。
【0139】
上記構成を備えることで、第四態様の垂れ壁(1)では、一対の金属外皮(2,3)に上下のスペーサー(40,41)の間において芯材(5)が接着するため、一対の金属外皮(2,3)に上下方向及び左右方向にたわみが生じることが更に抑えられる。
【0140】
また、上述した一実施形態及びその変形例のように、第五態様の垂れ壁(1)は、第一から第四のいずれか一つの態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0141】
すなわち、第五態様の垂れ壁(1)は、一対の金属外皮(2,3)を、上部スペーサー(40)と下部スペーサー(41)に固定する固定具(14)を更に備える。一対の金属外皮(2,3)のそれぞれは、上部スペーサー(40)と下部スペーサー(41)の左右の端面を覆う左右一対の側板部(21、31)を有する。左右一対の側板部(21,31)のそれぞれは、固定具(14)によって、上部スペーサー(40)と下部スペーサー(41)の左右の端面に固定されている。
【0142】
上記構成を備えることで、第五態様の垂れ壁(1)では、一対の金属外皮(2,3)が有する左右一対の側板部(21,31)を上下のスペーサー(40,41)の左右の端面に固定することで、一対の金属外皮(2,3)に左右方向にたわみが生じることを更に抑制しやすい。また、第五態様の垂れ壁(1)では、一対の金属外皮(2,3)と上下のスペーサー(40,41)との接着が剥がれても、固定具(14)によって一対の金属外皮(2,3)と上下のスペーサー(40,41)とが固定された状態を維持することができる。
【0143】
また、上述した一実施形態及びその変形例ように、第六態様の垂れ壁の設置構造(100)は、第一から第五のいずれか一つの態様の垂れ壁(1)と、天井(10)に固定される支持部材(7)と、支持部材(7)、一対の金属外皮(2,3)の上端部、及び上部スペーサー(40)を前後方向に貫通して、支持部材(7)に垂れ壁(1)を取り付ける複数の取付具(8)と、を備える。複数の取付具(8)は、左右方向に間隔をおいて位置する。
【0144】
上記構成を備える第六態様の垂れ壁の設置構造(100)では、左右方向に間隔をおいて位置する複数の取付具(8)によって、上部スペーサー(40)に一対の金属外皮(2,3)を固定できるため、一対の金属外皮(2,3)に左右方向のたわみが生じにくい。
【0145】
また、上述した一実施形態及びその変形例のように、第七態様の垂れ壁の設置構造(100)は、第六態様において、下記の構成を付加的に備える。
【0146】
すなわち、第七態様の垂れ壁の設置構造(100)は、下部スペーサー(41)の内部に通される部分と支持部材(7)に連結される部分とを有する索条(15)を更に備える。
【0147】
上記構成を備えることで、第七態様の垂れ壁の設置構造(100)では、下部スペーサー(41)に通した索条(15)を支持部材(7)に連結することができる。そのため、もし仮に複数の取付具(8)による垂れ壁(1)の支持部材(7)への固定が外れても、支持部材(7)からの垂れ壁(1)の落下を索条(15)によって防ぐことができる。
【0148】
以上、本開示を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本開示は上記の実施形態に限定されるものではなく、本開示の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0149】
1 垂れ壁
2 金属外皮
21 側板部
3 金属外皮
31 側板部
40 上部スペーサー
41 下部スペーサー
42 側部スペーサー
43 側部スペーサー
5 芯材
7 支持部材
8 取付具
10 天井
14 固定具
15 索条
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9