(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 10/40 20180101AFI20240806BHJP
【FI】
G16H10/40
(21)【出願番号】P 2020176258
(22)【出願日】2020-10-20
【審査請求日】2023-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】517448489
【氏名又は名称】合同会社H.U.グループ中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 賢治
(72)【発明者】
【氏名】加藤 聡史
(72)【発明者】
【氏名】有田 泰久
【審査官】甲斐 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-052717(JP,A)
【文献】特開2002-022748(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1機関で検体に対して実施した第1検査の検査結果を取得し、
前記第1機関とは異なる第2機関で前記検体に対して実施される第2検査の進捗情報を取得し、
前記検体に対する前記第1検査の検査結果及び第2検査の進捗情報を関連付けて出力
し、
前記進捗情報は、前記第2検査の検査結果が確定される前の確定前結果を含み、
前記第1検査の検査結果及び前記第2検査の確定前結果を関連付けて出力し、
前記第2検査の確定前結果を出力した後、前記検体に対する前記第2検査の再測定の実行指示、又は前記第2検査の再測定不要の指示を前記第2機関に対応する装置へ出力する
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項2】
第1機関で検体に対して実施した第1検査の検査結果を取得し、
前記第1機関とは異なる第2機関で前記検体に対して実施される第2検査の進捗情報を取得し、
前記検体に対する前記第1検査の検査結果及び第2検査の進捗情報を関連付けて出力し、
前記進捗情報は、前記第2検査の検査結果が確定される前の確定前結果を含み、
前記第1検査の検査結果及び前記第2検査の確定前結果を関連付けて出力し、
前記第1検査の検査結果及び前記第2検査の確定前結果に基づいて、前記検体に対する前記第2検査の再測定の要否を特定する
処理
をコンピュータが実行す
る情報処理方法。
【請求項3】
第1機関で検体に対して実施した第1検査の検査結果を取得し、
前記第1機関とは異なる第2機関で前記検体に対して実施される第2検査の進捗情報を取得し、
前記検体に対する前記第1検査の検査結果及び第2検査の進捗情報を関連付けて出力し、
前記進捗情報は、前記第2検査の検査結果が確定される前の確定前結果を含み、
前記第1検査の検査結果及び前記第2検査の確定前結果を関連付けて出力し、
前記第1検査の検査結果及び前記第2検査の確定前結果に基づいて、前記検体に対して行うべき追加検査を特定し、
特定した追加検査のレコメンド情報を出力する
処理
をコンピュータが実行す
る情報処理方法。
【請求項4】
第1機関で検体に対して実施した第1検査の検査結果を取得し、
前記第1機関とは異なる第2機関で前記検体に対して実施される第2検査の進捗情報を取得し、
前記検体に対する前記第1検査の検査結果及び第2検査の進捗情報を関連付けて出力し、
前記進捗情報は、前記第2検査の検査結果を含み、
前記第1検査の検査結果及び前記第2検査の検査結果に基づいて、前記検体に対して行うべき追加検査を特定し、
特定した追加検査のレコメンド情報を出力する
処理
をコンピュータが実行す
る情報処理方法。
【請求項5】
前記検体の残量に基づいて、前記追加検査の可否を判定する
処理を前記コンピュータが実行する請求項
3又は
4に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記追加検査のレコメンド情報に対応付けて、前記追加検査に対応する保険点数、及び、前記追加検査を特定した根拠情報を出力する
処理を前記コンピュータが実行する請求項
3から
5までのいずれかひとつに記載の情報処理方法。
【請求項7】
第1機関で検体に対して実施した第1検査の検査結果を取得し、
前記第1機関とは異なる第2機関で前記検体に対して実施される第2検査の進捗情報を取得し、
前記検体に対する前記第1検査の検査結果及び第2検査の進捗情報を関連付けて出力し、
前記検体の残量を示すグラフを表示するための表示情報を出力し、
前記検体に対する追加検査の実行指示を受け付けた場合に、前記グラフを、前記追加検査を行った後の残量を示すグラフに変更する
処理
をコンピュータが実行す
る情報処理方法。
【請求項8】
第1機関に対応する第1装置と、前記第1機関とは異なる第2機関に対応する第2装置と、前記第1装置及び第2装置と通信可能な情報処理装置とを含む情報処理システムであって、
前記第1装置は、前記第1機関で検体に対して実施した第1検査の検査結果を前記情報処理装置へ出力する出力部を備え、
前記第2装置は、前記第2機関で前記検体に対して実施される第2検査の進捗情報を前記情報処理装置へ出力する出力部を備え、
前記情報処理装置は、
前記第1装置から取得した前記第1検査の検査結果、及び前記第2装置から取得した前記第2検査の進捗情報を記憶する記憶部と、
前記検体に対する前記第1検査の検査結果及び第2検査の進捗情報を関連付けて前記第1装置又は第2装置へ出力する出力部とを備え
、
前記第1検査の検査結果及び前記第2検査の検査結果が確定される前の確定前結果に基づいて、前記検体に対する前記第2検査の再測定の要否を特定する特定部を更に備える
情報処理システム。
【請求項9】
第1機関で検体に対して実施した第1検査の検査結果を取得し、
前記第1機関とは異なる第2機関で前記検体に対して実施される第2検査の進捗情報と、前記進捗情報が示す各進捗段階での検査結果とを順次取得し、
前記検体に対する前記第1検査の検査結果と、前記第2検査の進捗情報及び各進捗段階での検査結果とを関連付けて出力
し、
前記検体に対する前記第2検査の再測定の実行指示、又は前記検体に対する追加検査の実行指示を受け付ける
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項10】
第1機関で検体に対して実施した第1検査の検査結果を取得し、
前記第1機関とは異なる第2機関で前記検体に対して実施される第2検査の進捗情報と、前記進捗情報が示す各進捗段階での検査結果とを順次取得し、
前記検体に対する前記第1検査の検査結果と、前記第2検査の進捗情報及び各進捗段階での検査結果とを関連付けて出力し、
前記第1検査の検査結果及び前記第2検査の各進捗段階での検査結果に基づいて、前記検体に対して行うべき追加検査を特定し、
特定した追加検査のレコメンド情報を出力する
処理
をコンピュータに実行させ
るプログラム。
【請求項11】
前記検体の残量を示すグラフを表示するための表示情報を出力し、
前記検体に対する前記第2検査の再測定の実行指示、又は前記検体に対する追加検査の実行指示を受け付けた場合に、前記グラフを、前記第2検査の再測定又は前記追加検査を行った後の残量を示すグラフに変更する
処理を前記コンピュータに実行させる請求項
9又は10に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理方法、情報処理システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療機関では、医師が患者の病状を診断するために、患者から採取した検体に対する検体検査が行われている。検体検査は、医療機関内の検査室で実施されるほか、医療機関外の検査機関でも実施可能であり、多くの医療機関では、検体検査の一部を外部の検査機関に委託している。特許文献1では、医療機関又は検査機関で行われる臨床検査関連業務に関する状況を的確に把握することにより、業務を効率的に処理するための改善処置を適切に行うことが可能なシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたシステムでは、医療機関及び検査機関における臨床検査関連業務の効率化が可能である。しかし、外部の検査機関に委託する検体検査では、検体を検査機関に輸送する必要があるので、検査結果が医療機関に届くまでに時間を要する。また医療機関では、検査機関から検査結果が報告されるまで検査機関での検査結果及び検査の進捗状況を把握できないという問題がある。
【0005】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、医療機関外部の検査機関で行われる検査の進捗状況を把握することが可能な情報処理方法等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る情報処理方法は、第1機関で検体に対して実施した第1検査の検査結果を取得し、前記第1機関とは異なる第2機関で前記検体に対して実施される第2検査の進捗情報を取得し、前記検体に対する前記第1検査の検査結果及び第2検査の進捗情報を関連付けて出力する処理をコンピュータが実行する。
【発明の効果】
【0007】
本開示にあっては、医療機関外部の検査機関で行われる検査の進捗状況を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】情報処理システムの構成例を示す模式図である。
【
図2】情報処理システムにおける処理の概要を示す模式図である。
【
図5】検査セットDBの構成例を示す模式図である。
【
図6】医療機関端末及び検査機関端末の構成例を示すブロック図である。
【
図7】オーダー処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図9】登録処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図11】閲覧処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図13】実施形態2の閲覧処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図15】検査機関端末による閲覧処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図17】追加検査ルールDBの構成例を示す模式図である。
【
図18】実施形態4の閲覧処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示の情報処理方法、情報処理システム及びプログラムについて、その実施形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0010】
(実施形態1)
医療機関(第1機関)で行われる検査の検査結果と、医療機関から委託された検査機関(第2機関)で行われる検査の検査結果とを、医療機関及び検査機関で共有する情報処理システムについて説明する。本実施形態において検査結果が共有される検査は、例えば患者から採取された検体に対して行う検体検査であり、検体は、例えば血液、唾液、鼻水、鼻腔ぬぐい液、咽頭ぬぐい液、尿、糞便、組織、細胞等である。
図1は情報処理システムの構成例を示す模式図である。本実施形態の情報処理システム100は、サーバ10、医療機関端末20、検査機関端末30等を含み、サーバ10、医療機関端末20、検査機関端末30は、インターネット等のネットワークNWを介して通信可能に構成されている。
【0011】
サーバ10は、医療機関のサーバであり、例えば医療機関における患者の電子カルテを管理するサーバであってもよい。サーバ10は、種々の情報処理、情報の送受信が可能な情報処理装置であり、例えばサーバコンピュータ又はパーソナルコンピュータ等を用いて構成される。サーバ10は、複数台設けられて分散処理する構成でもよく、1台のサーバ内に設けられた複数の仮想マシンによって実現されてもよく、クラウドサーバを用いて実現されてもよい。医療機関端末20(第1装置)は、例えば医療機関内に設置され、医療機関内の医療スタッフ(医師、看護師、検査技師等を含む医療従事者)が使用する端末であり、複数台設けられていてもよい。医療機関端末20は、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等の情報処理装置を用いて構成されるが、専用の端末によって構成されていてもよい。検査機関端末30(第2装置)は、例えば検査機関内に設置され、検査機関内の検査スタッフが使用する端末であり、複数台設けられていてもよい。検査機関端末30は、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等の情報処理装置を用いて構成されるが、専用の端末によって構成されていてもよい。
【0012】
図2は、情報処理システム100における処理の概要を示す模式図である。本実施形態の情報処理システム100において、医療機関における医師は、患者に行うべき各種の検査をオーダー(依頼)する場合、医療機関端末20を介して、オーダー対象の検査をサーバ10に登録する。その際、医師は、検査を行う機関として、医療機関内の検査室(院内検査)に対するオーダーであるか、医療機関外の検査機関(外注検査)に対するオーダーであるかを指定して登録する。オーダーされた検査は、院内検査と外注検査とに区分され、院内検査は医療機関内の検査室に発注され、外注検査は検査機関に発注される。その後、医師等の医療スタッフが患者から検体を採取し、オーダー内容に従って、検体を医療機関内の検査室又は検査機関へ搬送する。医療機関内の検査室で検査を行う医療スタッフは、受け取った検体に対してオーダー内容に従った検査を行い、検査結果(確定した検査値
)が得られた後、医療機関端末20を介して、各検査の検査結果(測定結果)をサーバ10に登録する。なお、医師が使用する医療機関端末20と検査者が使用する医療機関端末20とは同じ端末であってもよく、異なる端末であってもよい。
【0013】
検査機関で検査を行う検査スタッフは、検体を受け取り、受け取った検体に対してオーダー内容に従った検査を行う。このとき検査スタッフは、検体の受取から検査結果(確定検査値)を医療機関に報告するまでの各進捗段階での状況を示すステータス情報を、検査機関端末30を介して逐次サーバ10に登録する。具体的には、検査スタッフは、検体を受け取った後、オーダー内容に従った検査項目について測定処理を行い、測定結果(初回検査値)を得る。検査スタッフは、得られた初回検査値に基づいて、同一の検査項目について再測定が必要であるか否かを判断し、必要であると判断した場合、再測定処理を行い、測定結果(再測定検査値)を得る。そして、検査スタッフは、得られた初回検査値又は再測定検査値に基づいて、ここでの検査項目に対する検査結果を確定し、確定した検査結果(確定検査値)を医療機関に報告する。従って、ステータス情報は、検体の受取完了を示す「検体到着済」、検査(測定)が開始されたことを示す「測定中(アッセイ中)」、初回検査値が得られたことを示す「初検値」、再測定が開始されたことを示す「再測定中」、再測定した検査値が得られたことを示す「再測定値」、初回検査値又は再測定検査値から検査結果(測定結果)が確定されたことを示す「確定」、確定された検査結果が医療機関に報告されたことを示す「報告済」を含む。
【0014】
検査スタッフは、検体に対してオーダー内容に従った検査を行いつつ、上述したステータス情報をサーバ10に登録し、検査結果(初回検査値、再測定検査値、及び確定検査値)が得られる都度、得られた検査結果をサーバ10に登録する。これにより、本実施形態の情報処理システム100では、検査機関における確定後の検査結果(確定検査値)だけでなく、実行中の検査の進捗状況を示すステータス情報と、検査(測定)によって得られた確定前の検査結果(初回検査値、再測定検査値)とがサーバ10に登録される。上述したように、サーバ10の患者DB12a(
図3参照)には、医療機関内の検査室で行われた院内検査の結果と、検査機関で行われている外注検査のステータス情報及び検査結果とが登録される。このようにサーバ10に登録された各検査の検査結果及び外注検査のステータス情報は、医療機関端末20及び検査機関端末30を介して閲覧することができる。よって、医療機関の医療スタッフ及び検査機関の検査スタッフは、各検査の検査結果及び外注検査のステータス情報を共有することができる。なお、医療機関の医療スタッフも、検査結果だけでなく、検体の受取から検査結果(測定結果)が確定されるまでの進捗状況を示すステータス情報をサーバ10に登録してもよい。
【0015】
図3はサーバ10の構成例を示すブロック図である。サーバ10は、制御部11、記憶部12、通信部13、入力部14、表示部15、読み取り部16等を含み、これらの各部はバスを介して相互に接続されている。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)又はGPU(Graphics Processing Unit)等の1又は複数のプロセッサを含む。制御部11は、記憶部12に記憶してある制御プログラム12Pを適宜実行することにより、サーバ10が行うべき種々の情報処理、制御処理等を行う。
【0016】
記憶部12は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等を含む。記憶部12は、制御部11が実行する制御プログラム12P及び制御プログラム12Pの実行に必要な各種のデータ等を予め記憶している。また記憶部12は、制御部11が制御プログラム12Pを実行する際に発生するデータ等を一時的に記憶する。また記憶部12は、後述する患者DB(データベース)12a、検査セットDB12bを記憶する。患者DB12a及び検査セットDB12bは、サーバ10に接続された他の記憶装置に記憶されてもよく、ネットワークNWを介してサー
バ10が通信可能な他の記憶装置に記憶されてもよく、ブロックチェーンのような分散型台帳形式でサーバ10が接続可能な他の複数のサーバに整合性を持って記憶されていてもよい。
【0017】
通信部13は、有線通信又は無線通信によってネットワークNWに接続するためのインタフェースであり、ネットワークNWを介して他の装置との間で情報の送受信を行う。入力部14は、サーバ10を使用するユーザによる操作入力を受け付け、操作内容に対応した制御信号を制御部11へ送出する。表示部15は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等であり、制御部11からの指示に従って各種の情報を表示する。入力部14及び表示部15は一体として構成されたタッチパネルであってもよい。
【0018】
読み取り部16は、CD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード等を含む可搬型記憶媒体1aに記憶された情報を読み取る。記憶部12に記憶される制御プログラム12P及び各種のデータは、制御部11が読み取り部16を介して可搬型記憶媒体1aから読み取って記憶部12に記憶してもよい。また、記憶部12に記憶される制御プログラム12P及び各種のデータは、制御部11が通信部13を介して他の装置からダウンロードして記憶部12に記憶してもよい。
【0019】
図4は患者DB12aの構成例を示す模式図である。患者DB12aは、患者の診療データを格納するデータベースであり、例えば電子カルテデータである。
図4に示す患者DB12aは、患者ID列、診察券番号列、氏名列、性別列、年齢列、院内検査列、外注検査列等を含み、患者IDに対応付けて患者に関する各情報を記憶する。患者ID列は、各患者を識別するための識別情報(患者ID)を記憶し、診察券番号列は、各患者に対して医療機関で発行された診察券の診察券番号を記憶する。なお、患者IDに診察券番号を用いてもよく、この場合、診察券番号列は必要ない。氏名列、性別列及び年齢列のそれぞれは、患者の氏名、性別及び年齢を記憶する。院内検査列は、医療機関内の検査室で行われる検査(院内検査)に関する情報を記憶する。具体的には、各検査について、検査がオーダーされた受付日、検査項目、検査結果が確定された日時(結果確定日時)、検査結果(測定結果)、検体残量等が対応付けて記憶される。院内検査の検査結果は、検査結果として確定された測定値であり、検査結果が確定された場合に、結果確定日時及び検査結果が対応付けて記憶される。外注検査列は、医療機関外の検査機関で行われる検査(外注検査)に関する情報を記憶する。具体的には、各検査について、検査がオーダーされた受付日、検査項目、検査対象の検体が検査機関に搬送された日付(検体到着日)、検査結果の医療機関への報告予定日(仕上り予定日)、検査の進捗状況を示すステータス情報(進捗情報)、検査結果(測定結果)、検体残量等が対応付けて記憶される。外注検査の仕上り予定日は、検体が検査機関に到着した後に、例えば検査スタッフによって特定される日付であり、検査毎に予め設定された検査日数に基づいて自動的に算出される日付であってもよい。外注検査の検査結果は、初回検査値、再測定検査値又は確定検査値であり、初回検査値は「初検値」のステータス情報に対応付けて記憶され、再測定検査値は「再測定値」のステータス情報に対応付けて記憶され、確定検査値は「確定」のステータス情報に対応付けて記憶される。外注検査の検査結果は最新の測定値(初回検査値、再測定検査値又は確定検査値)が記憶されてもよく、得られた全ての測定値が記憶されてもよい。
【0020】
患者DB12aに記憶される患者IDは、医療機関内で新たな患者に診察券が発行された場合に、制御部11によって発行されて記憶される。患者DB12aに記憶される診察券番号、氏名、性別及び年齢は、制御部11が通信部13又は入力部14を介して新たな患者の診察券番号、氏名、性別及び年齢を取得した場合に制御部11によって記憶される。患者DB12aに記憶される院内検査に関する情報及び外注検査に関する情報は、制御部11が通信部13を介して各情報を取得した場合に制御部11によって記憶される。患
者DB12aの記憶内容は
図4に示す例に限定されず、診断名、症状、既往歴、治療歴、薬剤服用歴等、患者に関する各種の情報、患者に行った検査に関する各種の情報を記憶してもよい。また、院内検査又は外注検査に関する情報は、X線画像、超音波画像、CT(Computed Tomography:コンピュータ断層撮影法)画像、MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像法)画像、PET(Positron Emission Tomography:陽電子放出断層撮影法)画像等の医用画像、心電図データ、脳波データ等の生体検査結果を含んでもよい。また、院内検査に関する情報及び外注検査に関する情報を、それぞれ異なるDBに登録するように構成されていてもよい。
【0021】
図5は検査セットDB12bの構成例を示す模式図である。検査セットDB12bは、病名毎に、各病名の病気が疑われる場合に実施すべき検査のセットに関する情報を記憶する。
図5に示す検査セットDB12bは、セットID列、病名列、検査項目列等を含み、セットIDに対応付けて、各病名の病気が疑われる場合に実施が推奨されている検査項目を記憶する。セットID列は、登録された各セットに割り当てられた識別情報(セットID)を記憶する。病名列及び検査項目列はそれぞれ、病気の呼び名、実施すべき複数の検査の検査項目(検査セット)を記憶する。検査セットDB12bに記憶されるセットIDは、新たな検査セットが登録される際に、制御部11によって発行されて記憶される。検査セットDB12bに記憶される他の情報は、制御部11が通信部13又は入力部14を介して新たな検査セットの情報を取得した場合に制御部11によって記憶され、変更指示を取得した場合に制御部11によって変更される。検査セットDB12bの記憶内容は
図5に示す例に限定されない。例えば同じ病名であっても、患者の年齢層又は性別等の属性情報に応じて推奨される検査内容が異なる場合、属性情報に対応付けて、それぞれ推奨される検査セットを記憶してもよい。この場合、検査セットDB12bは、属性情報が記憶される属性情報列を有する。
【0022】
図6は医療機関端末20及び検査機関端末30の構成例を示すブロック図である。医療機関端末20は、制御部21、記憶部22、通信部23、入力部24、表示部25、読み取り部26等を含み、これらの各部はバスを介して相互に接続されている。医療機関端末20の制御部21、記憶部22、通信部23、入力部24、表示部25、読み取り部26のそれぞれは、サーバ10の制御部11、記憶部12、通信部13、入力部14、表示部15、読み取り部16と同様の構成であるので詳細な説明は省略する。なお、医療機関端末20の記憶部22は、制御部21が実行する制御プログラム22Pに加え、サーバ10に検査結果を登録する処理、及びサーバ10に登録された検査結果を閲覧する処理を実現するための検査共有アプリケーションプログラム22AP(以下では検査共有アプリ22APという)を記憶する。
【0023】
検査機関端末30は、制御部31、記憶部32、通信部33、入力部34、表示部35、読み取り部36等を含み、これらの各部はバスを介して相互に接続されている。検査機関端末30の制御部31、記憶部32、通信部33、入力部34、表示部35、読み取り部36のそれぞれは、医療機関端末20の制御部21、記憶部22、通信部23、入力部24、表示部25、読み取り部26と同様の構成であるので詳細な説明は省略する。
【0024】
以下に、本実施形態の情報処理システム100において、医師が、患者に実施すべき検査をオーダーする際に、各装置が行う処理について説明する。
図7はオーダー処理手順の一例を示すフローチャート、
図8は画面例を示す模式図である。
図7では左側に医療機関端末20が行う処理を、右側にサーバ10が行う処理をそれぞれ示す。以下の処理は、医療機関端末20の記憶部22に記憶してある制御プログラム22Pに従って制御部21によって実現され、サーバ10の記憶部12に記憶してある制御プログラム12Pに従って制御部11によって実現される。以下の処理の一部を専用のハードウェア回路で実現してもよい。
【0025】
本実施形態の情報処理システム100において、医師は、患者に実施すべき検査をオーダーする場合、医療機関端末20を用いて、検査をオーダーするためのオーダー画面をサーバ10から取得する。オーダー画面は、例えば医療機関端末20が検査共有アプリ22APを実行することによって取得することができ、医師は、医療機関端末20に検査共有アプリ22APを起動させる。医療機関端末20の制御部21は、入力部24を介した医師による操作に従って検査共有アプリ22APを起動し、オーダー画面をサーバ10から取得して表示部25に表示する(S11)。なお、検査共有アプリ22APを起動した場合、制御部21はまず、
図8Aに示すような初期画面をサーバ10から取得して表示部25に表示する。初期画面は、例えば医療機関端末20を操作中の医師が今日診察する予定の患者の情報を一覧表示している。患者の情報は、例えば患者が医療機関に対する受付を行った際に割り当てられた受付番号、患者の患者ID及び氏名を含む。また初期画面は、各患者に対して、詳細な情報(電子カルテの情報)の閲覧を指示するための詳細表示ボタンと、オーダー画面の表示を指示するための検査オーダーボタンと、検査結果の登録を指示するための結果登録ボタンとを有する。医師は、このような初期画面において、検査をオーダーしたい患者に対応する検査オーダーボタンを操作することにより、オーダー画面をサーバ10に要求し、
図8Bに示すようなオーダー画面をサーバ10から取得して表示部25に表示する。
【0026】
図8Bに示すオーダー画面は、初期画面で選択された患者に対して、検査のオーダーを受け付ける受付日(今日の日付)、患者に割り当てられた受付番号、患者の患者ID及び氏名を表示する。またオーダー画面は、検査項目を入力するための入力欄を有し、検査項目の入力欄には、選択可能な複数の検査項目のいずれかを選択するためのプルダウンメニューが設けられている。検査項目の入力欄は、1つの検査項目が入力された場合に、新たな入力欄が表示され、複数の検査項目を入力できるように構成されている。またオーダー画面は、病名を入力するための入力欄を有し、病名の入力欄には、選択可能な複数の病名のいずれかを選択するためのプルダウンメニューが設けられている。病名の入力欄は、病名が入力された場合に、入力された病名に対して推奨されている検査セットをサーバ10から取得し、
図8Cに示すようにオーダー画面に表示するように構成されている。具体的には、病名の入力欄に病名が入力された場合、医療機関端末20は、入力された病名に対応する検査セットをサーバ10に要求し、サーバ10は、要求された病名に対応する検査セットを検査セットDB12bから取得して医療機関端末20へ送信する。そして医療機関端末20は、取得した検査セット(複数の検査項目)をオーダー画面に表示する。
図8Cに示す例は、病名として腎機能が入力され、腎機能に対応する検査セットとして検査L~Oの各検査項目の情報が表示された状態を示す。具体的には、各検査項目について、項目名、材料名(検体の種類)、検査に必要な検体量、オーダー先が医療機関内(院内)であるか検査機関(外注)であるかを示す情報、健康保険の適用の可否が表示されており、各検査項目を選択するためのチェックボックスが設けられている。
【0027】
またオーダー画面は、検査項目の入力欄を介して指定された検査項目でのオーダーを指示するためのOKボタンと、病名の入力欄を介して指定された病名に対応して表示された検査セットの各検査項目に対するチェックボックスを介して選択された検査項目でのオーダーを指示するためのOKボタンとを有する。従って、医師は、オーダー画面中の検査項目の入力欄に検査項目を入力してOKボタンを操作するか、病名の入力欄に病名を入力し、表示された検査項目に対するチェックボックスをチェックしてOKボタンを操作することによって、選択した検査項目のオーダーを指示する。なお、各病名に対応付けられている検査セットは、検査共有アプリ22AP内に設定されていてもよく、この場合、医療機関端末20は、入力された病名に対する検査セットを検査共有アプリ22APから取得できる。
【0028】
図8B及び
図8Cに示すオーダー画面において、制御部21は、検査項目の入力欄に検査項目が入力されたか否かを判断しており(S12)、入力されたと判断した場合(S12:YES)、入力された検査項目をオーダー画面(入力欄)に表示する(S13)。そして制御部21は、検査項目の入力欄に対応するOKボタンが操作されたか否かを判断し(S14)、操作されていないと判断した場合(S14:NO)、ステップS12の処理に戻る。OKボタンが操作されたと判断した場合(S14:YES)、制御部21は、入力された検査項目に対するオーダー登録をサーバ10に要求する(S22)。
【0029】
検査項目の入力欄に検査項目が入力されていないと判断した場合(S12:NO)、制御部21は、病名の入力欄に病名が入力されたか否かを判断する(S15)。病名が入力されていないと判断した場合(S15:NO)、制御部21は、ステップS12の処理に戻る。病名が入力されたと判断した場合(S15:YES)、制御部21は、入力された病名をオーダー画面(入力欄)に表示する(S16)。そして制御部21は、入力された病名に対して推奨されている検査セットを取得し(S17)、取得した検査セットに含まれる各検査項目をオーダー画面に表示する(S18)。なお、制御部21は、病名に対応する検査セットをサーバ10から取得してもよく、検査共有アプリ22APから取得してもよい。これにより、入力された病名に対して実施が推奨されている検査項目を選択対象の候補として提示(レコメンド)することができる。よって、医師は、提示された検査項目から必要な検査項目を選択すればよく、検査項目のオーダー漏れを抑制できる。
【0030】
なお、オーダー画面において、検査項目の入力欄に検査項目が入力された場合に、入力された検査項目に関連する他の検査項目を選択対象の候補として提示するように構成されていてもよい。例えば、医師による過去のオーダー履歴に基づいて、共起頻度が高い検査項目を登録しておき、検査項目の入力欄に入力された検査項目との共起頻度が高い検査項目を選択候補として提示するように構成されていてもよい。また、関連する複数の検査項目を検査セットとして登録しておき、検査項目の入力欄に入力された検査項目を含む検査セットを特定し、特定した検査セットに含まれる他の検査項目を選択候補として提示するように構成されていてもよい。更に、検査セットDB12bに登録してある検査セットから、検査項目の入力欄に入力された検査項目を含む検査セットを特定し、特定した検査セットに含まれる他の検査項目を選択候補として提示するように構成されていてもよい。この場合にも、入力された検査項目に関連する他の検査項目が選択候補として提示されるので、検査項目のオーダー漏れを抑制できる。
【0031】
図8Cに示すオーダー画面において、制御部21は、チェックボックスを介して、いずれかの検査項目が選択されたか否かを判断しており(S19)、選択されていないと判断した場合(S19:NO)、待機する。いずれかの検査項目が選択されたと判断した場合(S19:YES)、制御部21は、選択された検査項目のチェックボックスに対してチェックマークを表示する(S20)。
図8Cに示す例は、検査Lのチェックボックスを介して検査Lが選択された状態であることを示している。制御部21は、病名の入力欄に対応するOKボタンが操作されたか否かを判断し(S21)、操作されていないと判断した場合(S21:NO)、ステップS12の処理に戻る。OKボタンが操作されたと判断した場合(S21:YES)、制御部21は、チェックボックスを介して選択された検査項目に対するオーダー登録をサーバ10に要求する(S22)。
【0032】
ステップS22において制御部21は、例えば受付日及び患者の患者IDと、指定された検査項目を示す情報とを含み、検査を依頼するためのオーダー情報をサーバ10へ送信する。サーバ10の制御部11は、医療機関端末20からオーダー登録を要求された場合、要求されたオーダー内容を患者DB12aに記憶する(S23)。具体的には、制御部11は、医療機関端末20から受信したオーダー情報に含まれる患者IDに対応付けて、オーダー情報に含まれる受付日及び検査項目を患者DB12aに記憶する。このとき、制
御部11は、オーダー先が医療機関内(院内)である場合、院内検査の受付日及び検査項目として、オーダー情報に含まれる受付日及び検査項目を記憶し、オーダー先が検査機関(外注)である場合、外注検査の受付日及び検査項目として、オーダー情報に含まれる受付日及び検査項目を記憶する。このようにオーダー情報を患者DB12aに登録した後、制御部11は、医療機関内の検査室内の医療機関端末20、及び検査機関の受注処理を行う検査機関端末30に対して、オーダー内容を送信することにより、検査の発注処理を行う。
【0033】
制御部11は、検査のオーダー登録が完了したことを医療機関端末20へ通知し(S24)、医療機関端末20の制御部21は、サーバ10において検査のオーダー登録が完了したことを通知する完了画面(図示せず)を表示部25に表示する(S25)。なお、制御部21は、オーダー画面の表示を終了し、例えば患者の詳細な情報(例えば電子カルテ)を表示する詳細画面を表示部25に表示することにより、検査のオーダー登録が完了したことを通知してもよい。上述した処理により、医師が患者に対して実施すべきであると判断した検査項目について、適切に選択することができ、選択された検査項目のオーダー情報がサーバ10の患者DB12aに登録される。
【0034】
上述した処理によって患者に実施すべき検査のオーダー登録が完了した後、医師又は医療スタッフが患者から、オーダーした検査に必要な検体を採取する。採取された検体は、オーダー内容に応じて医療機関内の検査室又は医療機関外の検査機関に搬送され、医療機関内の検査室又は医療機関外の検査機関でオーダー内容に応じた検査(測定)が行われる。医療機関内の検査室又は医療機関外の検査機関で検査結果が得られた場合、医療機関の医療スタッフ又は検査機関の検査スタッフが検査結果(測定値)をサーバ10に登録する。なお、検査機関の検査スタッフは、検査結果だけでなく、検査の進捗状況を示すステータス情報もサーバ10に登録する。
【0035】
以下に、医療機関の医療スタッフ及び検査機関の検査スタッフが医療機関端末20又は検査機関端末30を用いて検査結果をサーバ10に登録する際に、各装置が行う処理について説明する。
図9は登録処理手順の一例を示すフローチャート、
図10は画面例を示す模式図である。
図9では左側に医療機関端末20及び検査機関端末30が行う処理を、右側にサーバ10が行う処理をそれぞれ示す。なお、医療機関端末20が行う処理と、検査機関端末30が行う処理とは、登録すべき情報の入力画面が異なること以外は同じであるので、
図9ではまとめて図示している。以下の処理は、医療機関端末20及び検査機関端末30の記憶部22,32に記憶してある制御プログラム22P,32Pに従って制御部21,31によって実現され、サーバ10の記憶部12に記憶してある制御プログラム12Pに従って制御部11によって実現される。以下の処理の一部を専用のハードウェア回路で実現してもよい。
【0036】
まず、医療機関の医療スタッフが検査結果をサーバ10に登録する際の処理について説明する。本実施形態の情報処理システム100において、医療スタッフは、実施中の検査について測定値が得られた場合、得られた測定値を検査結果に確定すべきか否かを判断し、確定すべきであると判断した場合、得られた測定値を検査結果としてサーバ10に登録する。なお、測定値を検査結果に確定すべきか否かの判断は、例えば、各検査項目について患者の年齢層及び性別に応じて設定された第1測定値以上第2測定値以下(第1測定値<第2測定値)の範囲内であるか否かに応じて行ってもよい。第1測定値以上第2測定値以下の範囲は、例えば多数の被検者による測定値に対する3標準偏差(3σ)の範囲を用いることができる。得られた測定値を検査結果に確定すべきでないと判断した場合、医療スタッフは、同じ検査について再度測定を行ってもよい。
【0037】
検査結果に確定した測定値をサーバ10に登録する場合、医療スタッフは、医療機関端
末20を用いて、検査結果を入力するための入力画面をサーバ10から取得する。入力画面は、例えば医療機関端末20が検査共有アプリ22APを実行することによってサーバ10から取得する初期画面(
図8A参照)を介して取得することができる。よって、医療スタッフは、医療機関端末20に検査共有アプリ22APを起動させてサーバ10から初期画面を取得し、取得した初期画面において、検査結果を登録したい患者に対応する結果登録ボタンを操作することにより、入力画面をサーバ10に要求する。医療機関端末20の制御部21は、入力部24を介した医療スタッフによる操作に従って検査共有アプリ22APを起動し、
図10Aに示すような入力画面をサーバ10から取得して表示部25に表示する(S31)。
【0038】
図10Aに示す入力画面は、初期画面で選択された患者に対して、検査がオーダーされた受付日、患者の受付番号、患者ID及び氏名と、オーダーされた検査の情報とを表示する。検査の情報は検査項目の項目名及びオーダー先を示す情報(院内又は外注)を含むが、これら以外の情報を含んでいてもよい。また入力画面は、医療機関内の検査室で行われる検査(院内検査)に対して検査結果(測定値)を入力するための入力欄を有する。
図10Aに示す例では、検査L,Mが院内で行われる検査であるので、検査L,Mの検査結果の入力欄が表示されている。更に入力画面は、検査結果の入力欄に入力された検査結果のサーバ10への登録を指示するための登録ボタンを有する。従って、医療スタッフは、入力画面中の検査結果の入力欄に、検査結果に確定した測定値を入力して登録ボタンを操作することによって、検査結果のサーバ10への登録を指示する。
【0039】
図10Aに示す入力画面において、制御部21は、検査結果の入力欄を介して検査結果の入力を受け付け、検査結果を受け付けた場合、受け付けた検査結果を入力画面(入力欄)に表示する(S32)。制御部21は、登録ボタンが操作されたか否かを判断し(S33)、操作されていないと判断した場合(S33:NO)、ステップS32の処理に戻る。登録ボタンが操作されたと判断した場合(S33:YES)、制御部21は、入力欄に入力された検査結果の登録をサーバ10に要求する(S34)。例えば制御部21は、受付日及び患者の患者IDと、検査項目に対して入力された検査結果とを含み、検査結果の登録を要求するための要求情報をサーバ10へ送信する。これにより、制御部21は、医療機関(第1機関)で検体に対して実施された検査(第1検査)の検査結果をサーバ10へ出力する出力部として機能する。
【0040】
サーバ10の制御部11は、医療機関端末20から検査結果の登録を要求された場合、医療機関端末20から送信された検査結果を取得し、取得した検査結果を患者DB12aに記憶する(S35)。具体的には、制御部11は、医療機関端末20から受信した要求情報に含まれる患者ID及び受付日に対応付けて、要求情報に含まれる検査結果(測定値)を患者DB12aに記憶する。その際、制御部11は、結果確定日時として現在日時を患者DB12aに記憶しておく。制御部11は、検査結果の登録が完了したことを医療機関端末20へ通知し(S36)、医療機関端末20の制御部21は、サーバ10において検査結果の登録が完了したことを通知する登録完了画面(図示せず)を表示部25に表示する(S37)。なお、制御部21は、
図10Aに示す入力画面の表示を終了し、例えば患者の詳細な情報(例えば電子カルテ)を表示する詳細画面を表示部25に表示することにより、検査結果の登録が完了したことを通知してもよい。上述した処理により、医療スタッフによって医療機関内の検査室で行われた検査の結果がサーバ10に登録される。
【0041】
次に、検査機関の検査スタッフが検査の進捗状況及び検査結果をサーバ10に登録する際の処理について説明する。本実施形態の情報処理システム100において、検査スタッフは、医療機関から搬送された検体に対してオーダー内容に従った検査を行うが、検体の受取から検査結果(検査結果に確定された測定値)が医療機関に報告されるまでの進捗状況を示す情報(ステータス情報)を逐次サーバ10に登録する。ステータス情報は例えば
、検査機関が検体を受け取ったことを示す「検体到着済」、検査(測定)が開始されたことを示す「測定中」、初回検査値が得られたことを示す「初検値」、再測定が開始されたことを示す「再測定中」、再測定した検査値が得られたことを示す「再測定値」、検査結果(測定値)が確定されたことを示す「確定」、確定された検査結果が医療機関に報告されたことを示す「報告済」等を含む。また検査スタッフは、初回検査値が得られた場合には初回検査値を、再測定による測定値が得られた場合には再測定検査値をサーバ10に登録する。更に検査スタッフは、初回検査値又は再測定検査値を検査結果に確定すべきか否かを判断し、確定すべきであると判断した場合、検査結果に確定した検査値(初回検査値又は再測定検査値)をサーバ10に登録する。ここでも、初回検査値又は再測定検査値を検査結果に確定すべきか否かの判断は、各検査項目について患者の年齢層及び性別に応じて設定された第1測定値以上第2測定値以下(第1測定値<第2測定値)の範囲内であるか否かに応じて行うことができる。なお、検査スタッフは、初回検査値を検査結果に確定すべきでないと判断した場合に、同じ検査について再度測定を行って再測定検査値を取得する。
【0042】
検査の進捗状況又は検査結果をサーバ10に登録する場合、検査スタッフは、検査機関端末30を用いて、
図10Bに示すような入力画面をサーバ10から取得する。検査機関端末30においても、入力画面は、検査共有アプリ32APを実行することによってサーバ10から取得する初期画面(
図8A参照)を介して取得することができる。よって、検査スタッフは、検査機関端末30に検査共有アプリ32APを起動させてサーバ10から初期画面を取得し、取得した初期画面において、検査結果を登録したい患者に対応する結果登録ボタンを操作することにより、入力画面をサーバ10に要求する。検査機関端末30の制御部31は、入力部34を介した検査スタッフによる操作に従って検査共有アプリ32APを起動し、
図10Bに示すような入力画面をサーバ10から取得して表示部35に表示する(S31)。
【0043】
図10Bに示す入力画面は、
図10Aに示す入力画面と同様の構成を有するが、検査機関で行われる検査(外注検査)に対して、検査結果(測定値)を入力するための入力欄と、ステータス情報を入力するための入力欄とを有する。ステータス情報の入力欄には、複数のステータス情報のいずれかを選択するためのプルダウンメニューが設けられている。更に入力画面は、ステータス情報及び検査結果の入力欄に入力されたステータス情報及び検査結果のサーバ10への登録を指示するための登録ボタンを有する。従って、検査スタッフは、入力画面中のステータス情報の入力欄に、登録したいステータス情報を入力し、検査結果の入力欄に初回検査値、再測定検査値、又は検査結果に確定した測定値を入力して登録ボタンを操作することによって、進捗状況及び検査結果のサーバ10への登録を指示する。なお、検査機関では検体を受け取った際に、検査スタッフがオーダー内容に応じて各検査の完了予定日(仕上り予定日)を予測し、検体到着日と共に、予測した仕上り予定日をサーバ10(患者DB12a)に登録する。仕上り予定日は、各検査に予め設定された、検査に要する標準の日数に基づいて予測することができ、検査項目毎に自動的に算出してもよい。
【0044】
図10Bに示す入力画面において、制御部31は、ステータス情報の入力欄を介してステータス情報の入力を受け付け、検査結果の入力欄を介して検査結果の入力を受け付け、ステータス情報又は検査結果を受け付けた場合、受け付けたステータス情報又は検査結果を入力画面(入力欄)に表示する(S32)。なお、検査スタッフは、ステータス情報の入力欄に「初検値」を入力する場合、得られた初回検査値を検査結果(測定値)の入力欄に入力し、ステータス情報の入力欄に「再測定値」を入力する場合、得られた再測定検査値を検査結果の入力欄に入力し、ステータス情報の入力欄に「確定」を入力する場合、検査結果として確定された測定値(初回検査値又は再測定検査値)を検査結果の入力欄に入力する。
【0045】
制御部31は、登録ボタンが操作されたか否かを判断し(S33)、操作されていないと判断した場合(S33:NO)、ステップS32の処理に戻る。登録ボタンが操作されたと判断した場合(S33:YES)、制御部31は、入力欄に入力されたステータス情報又は検査結果の登録をサーバ10に要求する(S34)。例えば制御部31は、受付日及び患者の患者IDと、検査項目に対して入力されたステータス情報又は検査結果とを含み、登録を要求するための要求情報をサーバ10へ送信する。これにより、制御部31は、検査機関(第2機関)で検体に対して実施される検査(第2検査)の進捗情報及び検査結果をサーバ10へ出力する出力部として機能する。
【0046】
サーバ10の制御部11は、検査機関端末30から登録を要求された場合、検査機関端末30から送信されたステータス情報又は検査結果を取得し、取得したステータス情報又は検査結果を患者DB12aに記憶する(S35)。具体的には、制御部11は、検査機関端末30から受信した要求情報に含まれる患者ID及び受付日に対応付けて、要求情報に含まれるステータス情報又は検査結果(測定値)を患者DB12aに記憶する。なお、要求情報にステータス情報及び検査結果の両方が含まれる場合、制御部11は、患者ID及び受付日に対応付けて、ステータス情報及び検査結果を患者DB12aに記憶する。制御部11は、登録が完了したことを検査機関端末30へ通知し(S36)、検査機関端末30の制御部31は、サーバ10において登録が完了したことを通知する登録完了画面(図示せず)を表示部35に表示する(S37)。上述した処理により、検査スタッフによって検査機関で行われる検査の進捗状況及び検査結果がサーバ10に登録される。
【0047】
次に、上述した処理によってサーバ10に登録された、医療機関及び検査機関で行われた検査結果、並びに検査機関で行われている検査の進捗状況を医療スタッフが閲覧する際に、各装置が行う処理について説明する。
図11は閲覧処理手順の一例を示すフローチャート、
図12は画面例を示す模式図である。
図11では左側に医療機関端末20が行う処理を、右側にサーバ10が行う処理をそれぞれ示す。
【0048】
本実施形態の情報処理システム100において、医者等の医療スタッフは、患者の検査結果を確認する場合、医療機関端末20に検査共有アプリ22APを起動させてサーバ10から初期画面を取得する。医療機関端末20の制御部21は、入力部24を介した医療スタッフによる操作に従って検査共有アプリ22APを起動し、
図8Aに示すような初期画面をサーバ10から取得して表示部25に表示する(S41)。そして医療スタッフは、初期画面において、検査結果を閲覧したい患者に対応する詳細表示ボタンを操作することにより、患者の検査結果を表示した詳細画面をサーバ10に要求する。初期画面において、制御部21は、いずれかの患者に対応する詳細表示ボタンが操作されたか否かを判断しており(S42)、操作されていないと判断した場合(S42:NO)、操作されるまで待機する。いずれかの詳細表示ボタンが操作されたと判断した場合(S42:YES)、制御部21は、操作された詳細表示ボタンに対応する患者の詳細情報をサーバ10に要求する(S43)。例えば制御部21は、患者の患者IDを含み、詳細情報を要求するための要求情報をサーバ10へ送信する。
【0049】
サーバ10の制御部11は、医療機関端末20から患者の詳細情報を要求された場合、要求された患者の検査結果を患者DB12aから読み出す(S44)。例えば制御部11は、患者DB12aに記憶してある院内検査の情報及び外注検査の情報から、直近の受付日の検査項目に関する情報を読み出す。なお、制御部11は、院内検査については、検査項目及び検査結果(測定値)を読み出し、外注検査については、検査項目、ステータス情報及び検査結果(測定値)を読み出す。制御部11は、読み出した情報に基づいて、
図12に示すような詳細画面を生成し、生成した詳細画面を医療機関端末20へ送信する(S45)。
図12に示す詳細画面は、初期画面で選択された患者に対して、検査がオーダー
された受付日、患者の受付番号、患者ID、氏名及び検査機関で行われている検査の仕上り予定日を表示する。また詳細画面は、オーダーされた検査について、項目名、材料名、オーダー先(院内又は外注)、ステータス情報、検査結果(測定値)、判定結果を表示する。詳細画面に表示される各検査の材料名は、各検査項目に対して予め設定されている材料名が用いられる。院内検査のステータス情報は、患者DB12aに検査結果が登録されている検査については「完了」が表示され、検査結果が登録されていない検査については「測定中」が表示される。また、詳細画面に表示される各検査の判定結果は、各検査項目に対して予め設定されている正常範囲よりも検査結果(測定値)が大きい検査については「High」が表示され、小さい検査については「Low」が表示される。これにより、制御部11は、医療機関で行われた検査の検査結果と、検査機関で行われた検査の検査結果及びステータス情報とを関連付けて出力する出力部として機能する。
【0050】
医療機関端末20の制御部21は、サーバ10から詳細画面を受信した場合、受信した詳細画面を表示部25に表示する(S46)。これにより、
図12に示すような詳細画面が医療機関端末20の表示部25に表示されるので、医療スタッフは、患者の検査結果を閲覧できる。上述した処理により、医療スタッフは、サーバ10に登録してある患者の検査結果及び検査機関での検査の進捗状況を、医療機関端末20を用いて閲覧することができる。よって、検査を行う医療スタッフ及び検査スタッフは、検査結果(確定前の検査結果も含む)をサーバ10に登録しておくことにより、検査結果を閲覧する医療スタッフは任意のタイミングで検査結果を確認することができる。これにより、検査結果が得られてから医療スタッフに報告されるまでの間にタイムラグが発生しない。
【0051】
図12に示す詳細画面は、検査をオーダーするための検査オーダーボタンと、オーダー済みの検査の結果を登録するための結果登録ボタンとを有する。よって、詳細画面において、更に検査をオーダーしたい場合に検査オーダーボタンを操作することにより、
図8Bに示すオーダー画面を医療機関端末20に表示させ、オーダー画面を介して検査のオーダーを行うことが可能となる。また、詳細画面において、オーダー済みの検査の検査結果を登録したい場合に結果登録ボタンを操作することにより、
図10Aに示す入力画面を医療機関端末20に表示させ、入力画面を介して検査結果の登録を行うことが可能となる。
【0052】
本実施形態の情報処理システム100では、検査スタッフが検査機関端末30を用いて、サーバ10に登録してある検査結果及び検査の進捗状況を閲覧することができる。その際に、検査機関端末30は、
図11に示す処理と同様の処理を行うことができ、その結果、
図12に示す詳細画面を表示部35に表示することができる。よって、検査機関においても検査スタッフは、
図12に示す詳細画面を介して、サーバ10に登録してある検査結果及び検査の進捗状況を閲覧できる。なお、サーバ10から検査機関端末30に提供される詳細画面は、
図12に示す詳細画面において検査オーダーボタンを備えない構成となる。
【0053】
本実施形態では、医療機関の医療スタッフは、検査機関に委託した検査について、検査結果だけでなく検査の進捗状況を把握することができる。また、医療スタッフは、検査結果に確定された測定値(確定検査値)だけでなく、確定前の測定値(初回検査値)、及び、必要に応じて行われる再測定によって得られた測定値(再測定検査値)を把握することができる。従って、検査項目毎に検査機関で検査結果(初回検査値、再測定検査値又は確定検査値)が得られ次第、各検査結果が医療機関(医療スタッフ)に提供される。よって、医療スタッフは、検査機関で行われる検査の進捗状況を把握できると共に、検査機関から確定された検査結果が報告される前に、確定前の測定値(確定前結果)を把握することができる。検査機関で行われる検査は、検体を検査機関に輸送する手間を要するので検査結果が医療機関に報告されるまでに時間がかかる。しかし、本実施形態では、検査機関で確定された検査結果が医療機関に報告される前に、確定前の測定値を医療スタッフが把握
できるので、早期の診断が可能となる。また、確定前の測定値に基づいて追加の検査が必要である場合には追加の検査のオーダーを早期に行うことが可能であり、病状の診断に必要な検査結果が得られるまでの待ち時間を短縮することができる。
【0054】
(実施形態2)
医療機関の医療スタッフが、検査機関で行われた検査の初回検査値に基づいて、この検査に対する再測定の要否を判断し、再測定の要否を検査機関に指示する情報処理システムについて説明する。本実施形態の情報処理システム100は、実施形態1の情報処理システム100と同様の装置にて実現可能であるので、構成についての詳細な説明は省略する。また、本実施形態の情報処理システム100において、各機器は
図7に示す処理及び
図9に示す処理と同様の処理を実行する。これにより、本実施形態においても、医療機関端末20を介して検査のオーダー情報がサーバ10に登録され、医療機関端末20及び検査機関端末30を介して医療機関及び検査機関での検査結果及び検査機関での検査の進捗状況がサーバ10に登録される。
【0055】
図13は、実施形態2の閲覧処理手順の一例を示すフローチャート、
図14は画面例を示す模式図である。
図13に示す処理は、
図11に示す処理においてステップS46の後にステップS51~S61を追加したものである。
図11と同じステップについては説明を省略する。なお、
図13では
図11中のステップS41~S45の図示を省略している。本実施形態の医療機関端末20の制御部21及びサーバ10の制御部11は、
図11に示すステップS41~S46と同様の処理を行う。これにより、医療機関端末20は、医療スタッフが選択した患者の検査結果等を表示した詳細画面をサーバ10から受信し、受信した詳細画面を表示部25に表示する。
【0056】
本実施形態の詳細画面は、
図14に示すように、
図12の構成に加えて、オーダー済みの各検査に対して、再測定の対象に選択するためのチェックボックスが設けられている。また
図14に示す詳細画面は、チェックボックスを介して選択された検査項目について再測定を指示するための再測定依頼ボタンと、表示中の検査項目について再測定の不要を指示するための再測定不要ボタンとを有する。また
図14に示す詳細画面は、医療機関内での検査(院内検査)のために患者から採取済みの検体の残量を示すインジケータ(グラフ)と、検査機関での検査(外注検査)のために患者から採取済みの検体の残量を示すインジケータ(グラフ)とを表示している。サーバ10の制御部11は、
図14に示すような表示画面を表示するための表示情報を生成して医療機関端末20へ出力することにより、医療機関端末20の表示部25に
図14に示すような詳細画面を表示させることができる。
【0057】
図14に示す詳細画面において、医療機関の医療スタッフは、医療機関及び検査機関で行われた検査の結果及び検査機関における検査の進捗状況を閲覧できる。そして、例えば医師は、
図14に示す詳細画面において、各検査の検査結果から再測定が必要な検査があるか否かを判断し、再測定が必要であると判断した検査のチェックボックスをチェックした後、再測定依頼ボタンを操作する。一方、医師は、再測定が必要な検査がないと判断した場合、チェックボックスをチェックせずに再測定不要ボタンを操作する。
【0058】
医療機関端末20の制御部21は、詳細画面においてチェックボックスを介して、いずれかの検査項目が選択されたか否かを判断しており(S51)、選択されていないと判断した場合(S51:NO)、ステップS59の処理に移行する。いずれかの検査項目が選択されたと判断した場合(S51:YES)、制御部21は、選択された検査項目のチェックボックスに対してチェックマークを表示する(S52)。
図14に示す例は、検査Nのチェックボックスを介して検査Nが選択されたことを示している。制御部21は、チェックボックスを介して選択された検査項目に必要な検体量を取得し、インジケータが示す
検体残量を、取得した検体量を減算した量に更新する(S53)。制御部21は、院内検査が選択された場合、院内検査用のインジケータが示す検体残量を更新し、外注検査が選択された場合、外注検査用(検査機関用)のインジケータが示す検体残量を更新する。各検査に必要な検体量は検査共有アプリ22APに登録されていてもよく、サーバ10から取得してもよい。なお、制御部21は、インジケータが示す更新前の検体残量に対して、選択された検査項目に必要な検体量(即ち、減算すべき検体量)と、この検体量を減算した更新後の検体残量とを異なる態様で示してもよい。また制御部21は、チェックボックスに対するチェックが解消された場合、インジケータが示す検体残量を、選択されていた検査項目に必要な検体量が減算される前(更新前)の検体残量に戻す。また、制御部21は、選択された検査項目に必要な検体量が検体残量よりも多いか否かを判断し、多いと判断した場合、即ち、選択された検査に必要な検体量を確保できない場合、エラー表示を行い、検体残量の不足によって、選択された検査の再測定を実行できないことを医師に通知してもよい。
【0059】
医師は、チェックボックスを介して再測定が必要な検査を選択した後、再測定依頼ボタンを操作する。よって、制御部21は、いずれかのチェックボックスがチェックされた後、再測定依頼ボタンが操作されたか否かを判断し(S54)、操作されたと判断した場合(S54:YES)、選択された検査項目に対する再測定のオーダー登録をサーバ10に要求する(S55)。ここでは例えば、制御部21は、再測定の受付日及び患者の患者IDと、選択された検査項目を示す情報とを含み、再測定を依頼するためのオーダー情報(再測定の実行指示)をサーバ10へ送信する。サーバ10の制御部11は、医療機関端末20から再測定のオーダー登録を要求された場合、要求されたオーダー内容を患者DB12aに記憶する(S56)。ここでは制御部11は、医療機関端末20から受信した患者IDに対応付けて、再測定の受付日及び再測定の対象である検査項目を患者DB12aに記憶する。このように再測定のオーダー情報を患者DB12aに登録した後、制御部11は、医療機関内の検査室内の医療機関端末20、及び検査機関の受注処理を行う検査機関端末30に対して、オーダー内容を送信することにより、再測定の依頼処理を行う。制御部11は、検査のオーダー登録が完了したことを医療機関端末20へ通知し(S57)、医療機関端末20の制御部21は、完了画面を表示部25に表示する(S58)。
【0060】
詳細画面において再測定依頼ボタンが操作されていないと判断した場合(S54:NO)、制御部21は、再測定不要ボタンが操作されたか否かを判断する(S59)。再測定不要ボタンが操作されていないと判断した場合(S59:NO)、制御部21は、ステップS51の処理に戻る。再測定不要ボタンが操作されたと判断した場合(S59:YES)、制御部21は、表示中の検査項目に対する再測定の不要登録をサーバ10に要求する(S60)。例えば制御部21は、再測定不要の受付日及び患者の患者IDと、再測定不要が選択された検査項目を示す情報とを含み、再測定不要を登録するためのオーダー情報をサーバ10へ送信する。具体的には、制御部21は、詳細画面に初回検査値が表示されている検査項目について再測定の不要登録を指示する。サーバ10の制御部11は、医療機関端末20から再測定の不要登録を要求された場合、要求された不要登録の内容を患者DB12aに記憶する(S61)。ここでは制御部11は、医療機関端末20から受信した患者IDに対応付けて、再測定不要の受付日及び再測定不要の対象である検査項目を患者DB12aに記憶する。なお、制御部11は、再測定不要の登録が完了した後、登録完了を医療機関端末20に通知し、医療機関端末20に完了画面を表示させてもよい。医療機関端末20の制御部21は、検査項目に対する再測定の不要登録をサーバ10に要求するほかに、検査機関端末30に対して再測定の不要指示を送信してもよい。
【0061】
上述した処理により、医療スタッフは、医療機関及び検査機関での検査結果及び検査機関での検査の進捗状況に基づいて、各検査に対する再測定の要否をサーバ10に登録することができる。サーバ10は、再測定のオーダー情報を患者DB12aに登録した後、医
療機関内の検査室内の医療機関端末20、及び検査機関の受注処理を行う検査機関端末30に対して、再測定のオーダー内容を送信することにより、再測定の発注処理を行う。またサーバ10は、再測定の不要登録を行った後、検査機関端末30に対して、再測定の不要指示を送信する。これにより、サーバ10は、検査機関端末30に対して、初回検査値が得られた検査項目に対する再測定の要否を指示することができる。
【0062】
上述した処理では、各検査に対する再測定の要否を医師が判断するが、サーバ10又は医療機関端末20が自動的に判断する構成でもよい。例えば、各検査について再測定が必要であるか否かを判断する基準範囲をサーバ10の記憶部12に登録しておき、サーバ10の制御部11が、
図14に示す詳細画面を生成した場合に、詳細画面に表示される検査項目について、検査結果と基準範囲との比較結果に基づいて再測定の要否を判断してもよい。この場合、再測定の要否の判断結果を詳細画面に含めて医療機関端末20又は検査機関端末30に提供することができ、再測定の要否を医療スタッフ又は検査スタッフに提示できる。また、各検査に対する基準範囲を検査共有アプリ22APに登録しておき、医療機関端末20の制御部21が、
図12に示す詳細画面をサーバ10から取得して表示した場合に、表示中の検査項目について、検査結果と基準範囲との比較結果に基づいて再測定の要否を判断してもよい。また、医療機関端末20の制御部21が、
図10Aに示す登録画面を介して検査結果の入力を受け付けた場合に、入力された検査結果と基準範囲との比較結果に基づいて再測定の要否を判断してもよい。このように、各検査に対する再測定の要否を所定の基準範囲に基づいて自動的に判断して提示する場合、医師の負担を軽減することが可能となる。なお、各検査に対する基準範囲は、検査毎の基準範囲であってもよく、複数の検査項目の検査結果に基づく基準範囲であってもよい。例えば、2つの検査項目において、一方の検査項目の検査結果に応じて、他方の検査項目の検査結果の適否(再測定の要否)を判断するための基準範囲であってもよい。このような基準範囲は、医療機関毎又は検査機関毎に設定されてもよい。
【0063】
本実施形態では、上述した各実施形態と同様の効果が得られる。また本実施形態では、医療機関の医療スタッフは、検査機関から確定された検査結果が報告される前に、確定前の測定値を把握することができ、医療機関での検査結果と、検査機関での確定前の測定値とに基づいて、各検査に対する再測定の要否を判断できる。このような構成により、例えば検査機関で行われた検査の初回検査値が得られた時点で、この検査に対する再測定の要否を判断することができ、再測定が必要であった場合には再測定の依頼を早期に行うことが可能となる。よって、再測定のオーダーを早期に行うことができることにより、病状の診断に必要な検査結果が得られるまでの待ち時間を短縮することができる。また、検査機関での検査結果に対する再測定の要否を検査機関の検査スタッフが判断する前に医療機関の医療スタッフが判断した場合には、検査スタッフが判断する必要がなく、検査スタッフの処理負担を軽減することが可能となる。また、医療スタッフによって再測定の不要が早期に決定された場合には、検査機関での不要な再測定の実施が回避され、検査機関で確定された検査結果が医療機関に報告されるまでの時間を短縮することが可能となる。よって、検査機関から医療機関への検査結果の報告が早期に行われると共に、検査機関での検査を効率よく行うことが可能となる。本実施形態においても、上述した実施形態1で適宜説明した変形例の適用が可能である。
【0064】
(実施形態3)
検査機関の検査スタッフが、検査機関で行われた検査の初回検査値に基づいて、この検査に対する再測定の要否を判断する際に、医療機関で行われた検査の結果を考慮する情報処理システムについて説明する。本実施形態の情報処理システム100は、実施形態1の情報処理システム100と同様の装置にて実現可能であるので、構成についての詳細な説明は省略する。また、本実施形態の情報処理システム100において、各機器は
図7に示す処理及び
図9に示す処理と同様の処理を実行する。これにより、本実施形態においても
、医療機関端末20を介して検査のオーダー情報がサーバ10に登録され、医療機関端末20及び検査機関端末30を介して医療機関及び検査機関での検査結果及び検査機関での検査の進捗状況がサーバ10に登録される。
【0065】
図15は、検査機関端末30による閲覧処理手順の一例を示すフローチャート、
図16は画面例を示す模式図である。
図15に示す処理は、
図11に示す医療機関端末20による処理においてステップS46の後にステップS71~S81を追加したものである。
図11と同じステップについては説明を省略する。なお、
図15では
図11中のステップS41~S44の図示を省略している。本実施形態の検査機関端末30の制御部31及びサーバ10の制御部11は、
図11に示すステップS41~S46と同様の処理を行う。これにより、検査機関端末30は、検査スタッフが選択した患者の検査結果等を表示した詳細画面をサーバ10から受信し、受信した詳細画面を表示部35に表示することができる。
【0066】
本実施形態の詳細画面は、
図16に示すように、
図14に示す詳細画面において検査オーダーボタンと、オーダー済みの院内検査(医療機関で行われる検査)に対して再測定の対象に選択するためのチェックボックスと、院内検査用の検体の残量を示すインジケータとを備えない。従って、
図16に示す詳細画面は、検査機関で行われる検査項目(外注検査)に対応するチェックボックスと、検査機関での検査用の検体に対応するインジケータとを表示している。また
図16に示す詳細画面は、チェックボックスを介して選択された検査項目について再測定の実行を指示するための再測定ボタンと、初回検査値が表示されている検査項目について再測定の不要(検査結果の確定)を指示するための再測定不要ボタンとを有する。
【0067】
図16に示す詳細画面において、検査機関の検査スタッフは、医療機関及び検査機関で行われた検査の結果及び検査機関における検査の進捗状況を閲覧できる。そして、検査スタッフは、
図16に示す詳細画面において、検査機関で行われた各検査の検査結果から再測定が必要な検査があるか否かを判断し、再測定が必要であると判断した検査のチェックボックスをチェックした後、再測定ボタンを操作する。一方、検査スタッフは、再測定が必要な検査がないと判断した場合、チェックボックスをチェックせずに再測定不要ボタンを操作する。
【0068】
検査機関端末30の制御部31は、サーバ10から詳細画面を取得して表示部35に表示した後、詳細画面に表示中の外注検査について、再測定の要否を判定すべき対象があるか否かを判断する(S71)。例えば、詳細画面にいずれかの外注検査の初回検査値が含まれる場合、制御部31は、再測定の要否を判定すべき対象があると判断する。再測定の要否を判定すべき対象があると判断した場合(S71:YES)、制御部31(特定部)は、詳細画面に表示中の初回検査値に基づいて、この検査項目に対する再測定の要否を判定(特定)する(S72)。例えば、各検査項目について再測定が必要であるか否かを判断する基準範囲が検査共有アプリ32APに登録してあり、制御部31は、詳細画面に表示中の初回検査値と、この検査項目における基準範囲とを比較し、比較結果に基づいて再測定の要否を判断する。例えば制御部31は、初回検査値が基準範囲内の値である場合、再測定は不要であると判断し、初回検査値が基準範囲外の値である場合、再測定が必要であると判断する。なお、制御部31は、各検査項目の基準範囲をサーバ10から取得してもよい。
【0069】
また制御部31は、詳細画面に表示中の院内検査の検査結果及び外注検査の検査結果から、再測定を必要とする検査結果があるか否かを、複数の検査項目に対する検査結果を機械学習した学習モデルを用いて判断してもよい。この場合、訓練データによる機械学習によって、複数の検査項目に対する検査結果が入力された場合に、検査結果が異常であり再
測定が必要である検査項目を示す情報を出力するように学習された学習モデルを用いることができる。このような学習モデルは、複数の検査項目に対する検査結果に対して、再測定が必要であると判断される検査項目を示す情報(正解ラベル)が付与された訓練データを用いて学習する。学習モデルは、決定木、ランダムフォレスト、SVM(Support Vector Machine)、CNN(Convolution Neural Network)等のアルゴリズムを用いて構成される。このような学習モデルを用いる場合、制御部31は、詳細画面に表示中の院内検査及び外注検査の検査結果を学習モデルに入力し、学習モデルからの出力値に基づいて、再測定が必要である検査項目を特定する。
【0070】
更に制御部31は、患者の過去の検査結果と今回の検査結果(詳細画面に表示中の検査結果)との差異に基づいて、今回の検査結果が異常であり再測定が必要であるか否かを判断してもよい。また、複数の検査項目における検査結果の相関関係に基づいて、詳細画面に表示中の院内検査及び外注検査の検査結果から、再測定を必要とする検査結果があるか否かを判断してもよい。例えば複数の検査項目において検査結果の相関関係を示す関数を算出しておき、今回の検査結果と、相関関係を示す関数との距離(差異)に基づいて、この検査項目に対する再測定の要否を判断してもよい。
【0071】
制御部31は、再測定が必要と判断した検査項目があるか否かを判断し(S73)、あると判断した場合(S73:YES)、再測定が必要であると判断した検査項目について再測定を提案する(S74)。例えば制御部31は、
図16に示すように詳細画面に、再測定が必要である検査項目を示すメッセージを表示する。制御部31は、再測定の要否を判定すべき対象がないと判断した場合(S71:NO)、又は、再測定の必要がある検査項目がないと判断した場合(S73:NO)、ステップS75の処理に移行する。
【0072】
制御部31は、詳細画面においてチェックボックスを介して、いずれかの検査項目が選択されたか否かを判断しており(S75)、選択されていないと判断した場合(S75:NO)、ステップS80の処理に移行する。いずれかの検査項目が選択されたと判断した場合(S75:YES)、制御部31は、選択された検査項目のチェックボックスに対してチェックマークを表示する(S76)。制御部31は、チェックボックスを介して選択された検査項目に必要な検体量を取得し、外注検査用(検査機関用)のインジケータが示す検体残量を、取得した検体量を減算した量に更新する(S77)。各検査に必要な検体量は検査共有アプリ32APに登録されていてもよく、サーバ10から取得してもよい。また、選択された検査に必要な検体量を確保できない場合、制御部31は、エラー表示を行い、検体残量の不足によって、選択された検査の再測定を実行できないことを検査スタッフに通知してもよい。
【0073】
検査スタッフは、チェックボックスを介して再測定が必要な検査を選択した後、再測定ボタンを操作する。よって、制御部31は、いずれかのチェックボックスがチェックされた後、再測定ボタンが操作されたか否かを判断し(S78)、操作されたと判断した場合(S78:YES)、選択された検査項目に対する再測定の指示を出力する(S79)。例えば制御部31は、再測定の受付日及び患者の患者IDと、選択された検査項目を示す情報とを含み、再測定を指示するための情報を表示部35に表示する。これにより、検査スタッフは、表示部35に表示された情報に基づいて、再測定を行うべき患者及び検査項目を把握できる。このとき制御部31は、患者の患者IDと、「再測定中」のステータス情報とを含み、検査の進捗状況の登録を要求するための要求情報をサーバ10へ送信してもよい。なお、再測定の対象とすべき検査項目のリストを記憶部32に記憶しておき、制御部31は、選択された検査項目を、再測定の検査リストに追加することにより、選択された検査項目に対する再測定の実行を指示してもよい。
【0074】
詳細画面において再測定ボタンが操作されていないと判断した場合(S78:NO)、
制御部31は、再測定不要ボタンが操作されたか否かを判断する(S80)。再測定不要ボタンが操作されていないと判断した場合(S80:NO)、制御部31は、ステップS75の処理に戻る。再測定不要ボタンが操作されたと判断した場合(S80:YES)、制御部31は、表示中の初回検査値を、対応する検査項目の検査結果に確定する(S81)。例えば制御部31は、この時点の日時(受付日時)及び患者の患者IDと、検査結果を確定した検査項目及び確定検査値と、「確定」のステータス情報とを含み、確定検査値の登録を要求するための要求情報をサーバ10へ送信する。サーバ10の制御部11は、検査機関端末30から確定検査値の登録を要求された場合、検査機関端末30から受信した患者ID及び検査項目に対応付けて、「確定」のステータス情報と確定検査値とを患者DB12aに記憶する。なお、制御部11は、確定検査値に、検査結果を確定した日時を付加して記憶してもよい。上述した処理により、検査機関の検査スタッフは、各検査項目について得られた初回検査値に基づいて、この初回検査値を検査結果に確定すべきか、再測定を行うべきかを判断する際に、医療機関で行われた検査の結果を考慮することができる。
【0075】
上述した処理では、検査機関で行われた検査に対する再測定の要否を検査機関端末30が判断するが、サーバ10が判断する構成でもよい。例えば、各検査について再測定が必要であるか否かを判断する基準範囲をサーバ10の記憶部12に登録しておき、サーバ10の制御部11が、
図16に示す詳細画面を生成する際に、詳細画面に表示される検査項目について、検査機関で得られた初回検査値と基準範囲との比較結果に基づいて再測定の要否を判断してもよい。この場合、再測定の要否の判断結果を詳細画面に含めて検査機関端末30に提供することができ、再測定の要否を検査スタッフに提示できる。このように、各検査に対する再測定の要否を所定の基準範囲に基づいて自動的に判断する場合、検査スタッフの負担を軽減することが可能となる。ここでも、各検査に対する基準範囲は、検査毎の基準範囲であってもよく、複数の検査の検査結果に基づく基準範囲であってもよく、検査機関毎に設定されてもよい。
【0076】
本実施形態では、上述した各実施形態と同様の効果が得られる。また本実施形態では、検査機関で得られた初回検査値に対して再測定の要否を判断する際に、医療機関で行われた検査結果を考慮することができる。よって、検査機関の検査スタッフは、初回検査値を検査結果に確定する際に、医療機関での検査結果を考慮して、各検査に対する再測定の要否をより正確に判断することができる。これにより、検査機関での不要な再測定の実施が回避され、検査機関での検査を効率よく行うことが可能となる。本実施形態においても、上述した各実施形態で適宜説明した変形例の適用が可能である。
【0077】
(実施形態4)
医療機関で行われた検査の結果と、検査機関で行われた検査の結果(初回検査値、再測定検査値、確定検査値)とに基づいて、追加で行うべき検査の要否を判断し、追加で行うべき検査を提案する情報処理システムについて説明する。本実施形態の情報処理システム100は、実施形態1の情報処理システム100と同様の装置にて実現可能であるので、構成についての詳細な説明は省略する。なお、本実施形態の情報処理システム100において、サーバ10は、
図3に示す構成に加えて、記憶部12に追加検査ルールDB12cを記憶している。
【0078】
図17は追加検査ルールDB12cの構成例を示す模式図である。追加検査ルールDB12cは、患者に行った検査の結果に応じて追加で行うべき検査(以下では追加検査という)に関する情報を記憶する。
図17に示す追加検査ルールDB12cは、ルールID列、適用条件列、追加項目列、検体量列、検査時間列、保険適用列、参考列、概要列等を含み、ルールIDに対応付けて、検査結果に基づく適用条件と、適用条件に合致した場合に実施が推奨されている検査項目(追加検査の項目)とを記憶する。ルールID列は、登録
された各ルールに割り当てられた識別情報(ルールID)を記憶し、適用条件列は、登録されたルールを適用すべき条件を記憶する。適用条件は、医療機関又は検査機関で行われた検査の結果(測定値)を用いた条件と、患者の属性情報(性別又は年齢)を用いた条件とを含む。追加項目列、検体量列、検査時間列及び保険適用列はそれぞれ、適用条件に合致した場合に実施すべき検査項目、この検査項目に必要な検体量、検査に要する検査時間、医療保険の適用の可否を記憶する。なお、保険適用列は保険適用の可否に加えて、適用された場合の保険点数を記憶してもよい。参考列は、適用条件に含まれる検査項目及び追加検査の項目についての参考情報を記憶する。参考情報は、各検査項目の測定値に応じて考えられる病名、各検査項目についての注意事項等を含む。概要列は、適用条件に対して追加検査とすべき根拠を示す根拠情報を記憶する。追加検査ルールDB12cに記憶されるルールIDは、新たなルールが登録される際に、制御部11によって発行されて記憶される。追加検査ルールDB12cに記憶される他の情報は、制御部11が通信部13又は入力部14を介して新たなルールの情報を取得した場合に制御部11によって記憶され、変更指示を取得した場合に制御部11によって変更される。追加検査ルールDB12cの記憶内容は
図17に示す例に限定されない。なお、追加検査ルールDB12cに登録されるルールは、医療機関内の医師毎に設定されてもよい。この場合、各ルールに対応付けて、各ルールを採用する医療スタッフ(例えば医師)の情報を追加検査ルールDB12cに登録しておき、追加検査ルールDB12cを参照する際に、各ルールに対応付けられた医療スタッフも考慮して各ルールを適用すべきか否かを判断してもよい。
【0079】
本実施形態の情報処理システム100において、サーバ10は、医療機関での検査結果及び検査機関での検査結果が得られた場合に、追加検査ルールDB12cに登録してあるルールに従って、追加検査の要否を判断する。そして、サーバ10は、追加検査が必要であると判断した場合、追加検査の項目を提示する。これにより、例えば検査機関でいずれかの検査項目に対する初回検査値が得られた時点で、この初回検査値と医療機関での検査結果とに基づいて追加検査の要否を判断できる。また、検査機関でいずれかの検査項目に対する再測定検査値が得られた時点で、この再測定検査値と医療機関での検査結果とに基づいて追加検査の要否を判断できる。更に、検査機関でいずれかの検査項目に対する確定検査値が得られた時点で、この確定検査値と医療機関での検査結果とに基づいて追加検査の要否を判断できる。このように、検査機関で検査結果が得られた時点で、追加検査の要否が判断され、必要に応じて追加検査が依頼されることにより、病状の診断に必要な検査結果が得られるまでの待ち時間を短縮することができる。
【0080】
本実施形態の情報処理システム100において、各機器は
図7に示す処理及び
図9に示す処理と同様の処理を実行する。これにより、本実施形態においても、医療機関端末20を介して検査のオーダー情報がサーバ10に登録され、医療機関端末20及び検査機関端末30を介して医療機関及び検査機関での検査結果及び検査機関での検査の進捗状況がサーバ10に登録される。
【0081】
図18は、実施形態4の閲覧処理手順の一例を示すフローチャート、
図19及び
図20は画面例を示す模式図である。
図18に示す処理は、
図11に示す処理においてステップS45~S46の代わりにステップS91~S105を追加したものである。
図11と同じステップについては説明を省略する。なお、
図18では
図11中のステップS41~S43の図示を省略している。本実施形態の医療機関端末20の制御部21及びサーバ10の制御部11は、
図11に示すステップS41~S44と同様の処理を行う。これにより、サーバ10は、医療機関端末20で医療スタッフが選択した患者の検査結果等の情報を患者DB12aから読み出すことができる。
【0082】
制御部11は、読み出した情報に基づいて、
図12に示すような検査結果画面を生成する(S91)。なお、制御部11は、
図14に示すような検査結果画面を生成してもよい
。制御部11は、検査結果画面を生成した後、追加検査ルールDB12cに登録してあるルールのうちで、検査結果画面に表示された各検査項目の検査結果に基づいて適用すべきルールがあるか否かを判断する(S92)。具体的には、制御部11は、追加検査ルールDB12cに登録してある各ルールの適用条件に含まれる検査項目が、検査結果画面に表示された検査項目に含まれているか否かを判断し、含まれる場合、検査結果画面に表示された各検査項目の検査結果が、各検査項目における適用条件を満たすか否かを判断し、満たす場合に、このルールを適用すべきであると判断する。なお、ルールの適用条件に患者の属性情報が含まれる場合、制御部11は、患者の属性情報を患者DB12aから取得し、属性情報についても適用条件を満たすか否かを判断する。
【0083】
制御部11は、適用すべきルールがあると判断した場合(S92:YES)、適用すべきルールに基づいて、レコメンドすべき追加検査を特定し、
図19に示すような追加検査のレコメンド画面(レコメンド情報)を生成する(S93)。なお、本実施形態の詳細画面は、検査結果画面及びレコメンド画面を有しており、
図19に示すように検査結果タブ又はレコメンドタブを選択することにより、検査結果画面とレコメンド画面との切替を指示することができる。レコメンド画面は、初期画面で選択された患者に対して、検査がオーダーされた受付日、患者の受付番号、患者ID、氏名及び検査機関で行われている検査の仕上り予定日を表示する。これらの情報は患者DB12aから取得される。またレコメンド画面は、オーダーされた検査の検査結果に基づいて実施すべきと判断された追加検査について、項目名、材料名、検体量、オーダー先(院内又は外注)、所要時間(検査時間)、保険適用の可否などのレコメンド情報を表示する。保険適用の可否は、保険適用が可能である場合、可能を示す情報(「可」)と共に保険点数が表示される。レコメンド画面に表示される各検査の項目名、検体量、保険適用の可否及び保険点数は、追加検査ルールDB12cから取得され、各検査の材料名、オーダー先は記憶部12から取得される。なお、各検査の材料名、オーダー先は各検査項目に対応付けて記憶部12に記憶されている。また、レコメンド画面に表示される所要時間は、仕上り予定日までに検査を完了できる(予定時間内)か、仕上り予定日から超過する超過時間又は超過日数を示しており、追加検査ルールDB12cに登録してある各検査項目の検査時間と、仕上り予定日とに基づいて特定された情報が用いられる。このようなレコメンド画面は、患者の検査結果に応じて、追加での検査が推奨されている検査項目を選択対象の候補としてレコメンドすることができる。レコメンド画面は、選択候補として提示する各検査項目に対して、追加検査の対象に選択するためのチェックボックスと、追加検査に選択すべき理由(根拠情報)の概要を表示するための表示ボタンとが設けられている。更に
図19に示すレコメンド画面は、院内検査用の検体残量を示すインジケータと、外注検査用の検体残量を示すインジケータとを表示しており、チェックボックスを介して選択された検査項目について追加検査を指示するための追加検査依頼ボタンが設けられている。
【0084】
制御部11は、ステップS91で生成した検査結果画面と、ステップS93で生成したレコメンド画面とを含む詳細画面を医療機関端末20へ送信する(S94)。制御部11は、適用すべきルールがないと判断した場合(S92:NO)、ステップS93の処理をスキップし、ステップS91で生成した検査結果画面のみを含む詳細画面を医療機関端末20へ送信する(S94)。なお、制御部11は、適用すべきルールがない場合、追加検査に関するレコメンド情報がないことを示すメッセージを表示するレコメンド画面を生成して、検査結果画面と共に医療機関端末20へ送信してもよく、この場合、推奨される追加検査がないことを医療スタッフに通知できる。
【0085】
医療機関端末20の制御部21は、サーバ10から詳細画面を受信した場合、詳細画面のうちの検査結果画面を表示部25に表示する(S95)。制御部21は、入力部24を介してレコメンドタブが操作されたか否かを判断し(S96)、操作されていないと判断した場合(S96:NO)、検査結果画面の表示を継続する。レコメンドタブが操作され
たと判断した場合(S96:YES)、制御部21は、検査結果画面の表示を終了し、
図19に示すようなレコメンド画面を表示する(S97)。
図19に示すレコメンド画面において、医療機関の医療スタッフは、医療機関及び検査機関で行われた検査の結果に基づいて追加で検査すべき検査項目のレコメンドを受けることができる。そして、例えば医師は、
図19に示すレコメンド画面において、追加検査すべき検査項目があるか否かを判断し、追加検査すべき検査項目のチェックボックスをチェックした後、追加検査依頼ボタンを操作して、追加検査のオーダーを行う。一方、医師は、追加検査すべき検査項目がないと判断した場合、例えば検査結果タブを選択することにより、レコメンド画面の表示を終了して検査結果画面を表示させる。
【0086】
制御部21は、レコメンド画面においてチェックボックスを介して、いずれかの検査項目が選択されたか否かを判断しており(S98)、選択されたと判断した場合(S98:YES)、選択された検査項目のチェックボックスに対してチェックマークを表示する(S99)。
図19に示す例は、検査R及び検査Sが選択されたことを示している。制御部21は、チェックボックスを介して選択された検査項目に必要な検体量を取得し、インジケータが示す検体残量を、取得した検体量を減算した量に更新する(S100)。ここでも制御部21は、院内検査が選択された場合、院内検査用のインジケータが示す検体残量を更新し、外注検査が選択された場合、外注検査用のインジケータが示す検体残量を更新する。また、選択された検査項目に必要な検体量を確保できない場合、制御部21は、エラー表示を行ってもよい。
【0087】
制御部21は、いずれかのチェックボックスがチェックされた後、追加検査依頼ボタンが操作されたか否かを判断し(S101)、操作されたと判断した場合(S101:YES)、選択された検査項目に対する追加検査のオーダー登録をサーバ10に要求する(S102)。ここでは例えば、制御部21は、追加検査の受付日及び患者の患者IDと、選択された検査項目を示す情報とを含み、追加検査を依頼するためのオーダー情報をサーバ10へ送信する。サーバ10の制御部11は、医療機関端末20から追加検査のオーダー登録を要求された場合、要求されたオーダー内容を患者DB12aに記憶する(S103)。ここでは制御部11は、医療機関端末20から受信した患者IDに対応付けて、追加検査の受付日及び追加検査の対象である検査項目を患者DB12aに記憶する。このように追加検査のオーダー情報を患者DB12aに登録した後、制御部11は、医療機関内の検査室内の医療機関端末20、及び検査機関の受注処理を行う検査機関端末30に対して、オーダー内容を送信することにより、追加検査の依頼処理を行う。制御部11は、追加検査のオーダー登録が完了したことを医療機関端末20へ通知し(S104)、医療機関端末20の制御部21は、完了画面を表示部25に表示する(S105)。
【0088】
レコメンド画面においてチェックボックスが選択されていないと判断した場合(S98:NO)、又は追加検査依頼ボタンが操作されていないと判断した場合(S101:NO)、制御部21は一連の処理を終了する。なお、制御部21は、レコメンド画面の表示中に検査結果タブが操作された場合、レコメンド画面の表示を終了して検査結果画面を表示させる。上述した処理により、医療機関及び検査機関での検査結果に基づいて、追加で行うべき検査を医療スタッフにレコメンドすることができる。医療機関の医療スタッフは、レコメンドされた検査について追加検査すべきか否かを判断し、追加検査すべきであると判断した場合に、追加検査をオーダーすることにより、効率よく追加検査のオーダーを行うことができる。また、
図19に示すようなレコメンド画面では、レコメンドされる各検査項目について、保険適用の可否及び保険点数が提示されるので、追加検査をオーダーする際に保険点数の確認が可能となる。なお、保険点数は、例えば追加検査ルールDB12cに登録されており、例えば複数の検査項目のうちの1つに対してのみ保険点数が加算、1ヶ月に1回の検査に対して保険点数が加算、同時の実施が禁止されている検査項目等、診療報酬に関するガイドラインに沿った点数が登録されている。このような情報をレコメ
ンド画面に表示することにより、医療スタッフは、追加検査をオーダーするか否かを判断する際に、煩雑な診療報酬に関して保険適用の可否及び保険点数を考慮することができる。
【0089】
なお、
図19に示すレコメンド画面において、医療スタッフは、追加検査の選択候補に挙げられた各検査項目についてその理由を知りたい場合、検査項目に対応する表示ボタンを操作する。いずれかの検査項目の表示ボタンが操作された場合、制御部21は、表示ボタンが操作された検査項目について、選択候補に挙げられた理由及び根拠(レコメンド理由)を、例えばサーバ10から取得して、
図20に示すように表示する。レコメンド理由(根拠情報)は、追加検査ルールDB12cにルールの概要として記憶されているが、検査共有アプリ22APに設定されていてもよい。
図20に示す例では、検査Rの表示ボタンが操作された状態を示しており、検査Nの測定値(検査結果)から検査Rがレコメンドされた理由が表示されている。レコメンド理由は、例えば各検査項目に対して関連する他の検査項目に関する情報、関連する検査項目における検査結果の相関情報等を含んでいてもよい。
【0090】
上述した処理では、追加検査ルールDB12cに登録してあるルールを参照して、患者に行った検査の結果から追加検査すべき検査項目をレコメンドするが、このような構成に限定されない。例えば、追加検査の要否を判断する際に、追加検査ルールDB12cに加えて、
図5に示す検査セットDB12bを用いて発注漏れの検査項目の有無を判断してもよい。この場合、各検査項目の検査漏れを確実に防止できる。
【0091】
また、サーバ10の制御部11は、患者に行った検査の結果(院内検査及び外注検査の検査結果)から、想定される疾患を予測し、予測した疾患の診断に必要な検査項目を特定し、追加検査をレコメンドする際に、予測した疾患を提示してもよい。想定される疾患は、各疾患に対応付けて、各疾患の患者から得られた複数の検査項目に対する検査結果が登録してあるデータベースに基づいて予測することができる。また、想定される疾患は、複数の検査項目に対する検査結果を機械学習した学習モデルを用いて予測してもよい。この場合、訓練データによる機械学習によって、複数の検査項目に対する検査結果が入力された場合に、想定される疾患を示す情報を出力するように学習された学習モデルを用いることができる。このような学習モデルは、複数の検査項目に対する検査結果に対して、想定される疾患を示す情報(正解ラベル)が付与された訓練データを用いて学習する。学習モデルは、決定木、ランダムフォレスト、SVM、CNN等のアルゴリズムを用いて構成される。このような学習モデルを用いる場合、制御部11は、院内検査及び外注検査の検査結果を学習モデルに入力し、学習モデルからの出力値に基づいて、想定される疾患を予測できる。
【0092】
本実施形態において、医療機関内で行われた検査の結果と、検査機関内で行われた検査の結果とは異なるDBに登録されてもよい。また、検査機関で得られた検査結果に基づいて追加検査の要否を判断するための追加検査ルールDB12cは、例えば医療機関毎、又は医療機関内の医師毎に設けられてもよい。この場合、医療機関毎又は医師毎に、追加検査の要否を判断する際のルールを設定することができる。また、検査機関で検査毎に得られた初回検査値に基づいて追加検査の要否を判断するための追加検査ルールDBと、検査機関で検査毎に得られた確定検査値に基づいて追加検査の要否を判断するための追加検査ルールDBとを各別に設けてもよい。
【0093】
本実施形態では、上述した各実施形態と同様の効果が得られる。また本実施形態では、検査機関で検査結果が確定される前であっても、検査機関で得られた初回検査値に基づいて追加検査の要否が判断され、必要な追加検査がレコメンドされる。このような構成により、例えば検査機関で初回検査値が得られた時点で、追加検査の要否を判断することがで
きるので、必要に応じて追加検査のオーダーを早期に行うことが可能となる。よって、追加検査のオーダーを早期に行うことができることにより、病状の診断に必要な検査結果が得られるまでの待ち時間を短縮することができる。また、検査機関で検査結果が確定された後は、検査機関で得られた確定検査値に基づいて追加検査の要否が判断され、必要な追加検査がレコメンドされる。また、医療スタッフは、レコメンドされた検査項目から、追加検査が必要な検査項目を選択すればよいので、検査をオーダーする医療スタッフの負担を軽減できる。本実施形態においても、上述した各実施形態で適宜説明した変形例の適用が可能である。
【0094】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものでは無いと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した意味では無く、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0095】
10 サーバ
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
20 医療機関端末
21 制御部
22 記憶部
23 通信部
30 検査機関端末
31 制御部
32 記憶部
33 通信部
12a 患者DB
12b 検査セットDB