(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】車両制御装置
(51)【国際特許分類】
B60W 30/16 20200101AFI20240806BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20240806BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
B60W30/16
B60W60/00
G08G1/16 E
(21)【出願番号】P 2020189181
(22)【出願日】2020-11-13
【審査請求日】2022-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増井 洋平
(72)【発明者】
【氏名】楠本 直紀
【審査官】稲本 遥
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-298254(JP,A)
【文献】特開2017-047710(JP,A)
【文献】特開2016-048562(JP,A)
【文献】特開2004-243788(JP,A)
【文献】特開2017-043292(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先行車両を検出する高精度センサと、先行車両を検出する低精度センサであって前記高精度センサよりも先行車両を検出できる距離が大きく測距精度が低い低精度センサと、を備える車両(10)に搭載される車両制御装置(110)であって、
前記高精度センサの検出情報である第1検出情報
を用いて、または、前記低精度センサの検出情報である第2検出情報
のみを用いて
、または、前記第1検出情報および前記第2検出情報を用いないで、前記車両が前記先行車両に衝突しないように前記車両を制御する追従制御を行う制御部(111)を備え、
前記制御部は、
前記第2検出情報のみを用いて前記追従制御を行う場合、前記第1検出情報を用いて前記追従制御を行う場合よりも、前記第2検出情報に基づく車両の
速度の変化
を小さく
し、
前記車両の速度が予め定められた閾値速度未満の場合に、前記第2検出情報を用いないで前記追従制御を行う、車両制御装置。
【請求項2】
先行車両を検出する高精度センサと、先行車両を検出する低精度センサであって前記高精度センサよりも先行車両を検出できる距離が大きく測距精度が低い低精度センサと、を備える車両に搭載される車両制御装置であって、
前記高精度センサの検出情報である第1検出情報
を用いて、または、前記低精度センサの検出情報である第2検出情報
のみを用いて
、または、前記第1検出情報および前記第2検出情報を用いないで、前記車両が前記先行車両に衝突しないように前記車両を制御する追従制御を行う制御部を備え、
前記制御部は、
前記第2検出情報のみを用いて前記追従制御を行う場合、前記第1検出情報を用いて前記追従制御を行う場合よりも、前記第2検出情報に基づく車両の
速度の変化
を小さく
し、
前記先行車両との車間距離と前記先行車両との相対速度との関係が予め定められた前記先行車両との衝突の可能性が低い範囲である場合に、前記第2検出情報を用いないで前記追従制御を行う、車両制御装置。
【請求項3】
先行車両を検出する高精度センサと、先行車両を検出する低精度センサであって前記高精度センサよりも先行車両を検出できる距離が大きく測距精度が低い低精度センサと、を備える車両に搭載される車両制御装置であって、
前記高精度センサの検出情報である第1検出情報
を用いて、または、前記低精度センサの検出情報である第2検出情報
のみを用いて
、または、前記第1検出情報および前記第2検出情報を用いないで、前記車両が前記先行車両に衝突しないように前記車両を制御する追従制御を行う制御部を備え、
前記制御部は、
前記第2検出情報のみを用いて前記追従制御を行う場合、前記第1検出情報を用いて前記追従制御を行う場合よりも、前記第2検出情報に基づく車両の
速度の変化
を小さく
し、前記先行車両と衝突するまでの予測時間と、前記先行車両と前記車両との車間距離と、前記先行車両と前記車両との相対速度と、のうちいずれか1つ以上が、予め定めた閾値以上である場合に、前記車間距離が予め定められた距離となるように前記車両を減速させる制御を行わない、車両制御装置。
【請求項4】
請求項
3に記載の車両制御装置であって、
前記閾値は、前記高精度センサの検出状況に関する第1の場合と、前記高精度センサの検出状況に関する第2の場合であって前記第1の場合よりも良い第2の場合とで、異なる値に決定される、車両制御装置。
【請求項5】
請求項
4に記載の車両制御装置であって、
前記第1の場合に、前記第2の場合に比べて前記閾値を大きい値に決定する、車両制御装置。
【請求項6】
請求項
1から請求項
5までのいずれか一項に記載の車両制御装置であって、
前記制御部は、前記第2検出情報のみを用いて前記追従制御を行う場合であって、前記第2検出情報のみを用いて前記車両を減速させると決定した場合、予め定められた固定の減速度で前記車両を減速させる、車両制御装置。
【請求項7】
請求項
1から請求項
6までのいずれか一項に記載の車両制御装置であって、
前記制御部は、前記第2検出情報のみを用いて前記追従制御を行う場合には、前記車両を加速させない、車両制御装置。
【請求項8】
先行車両を検出する高精度センサと、先行車両を検出する低精度センサであって前記高精度センサよりも先行車両を検出できる距離が大きく測距精度が低い低精度センサと、を備える車両に搭載される車両制御装置であって、
前記高精度センサの検出情報である第1検出情報
を用いて、または、前記低精度センサの検出情報である第2検出情報
のみを用いて
、または、前記第1検出情報および前記第2検出情報を用いないで、前記車両が前記先行車両に衝突しないように前記車両を制御する追従制御を行う制御部を備え、
前記制御部は、
前記第2検出情報のみを用いて前記追従制御を行う場合、前記第1検出情報を用いて前記追従制御を行う場合よりも、前記第2検出情報に基づく車両の
速度の変化
を小さく
し、
前記第1検出情報を用いた前記追従制御から前記第2検出情報のみを用いる前記追従制御に切り替える場合、前記第1検出情報を用いた前記追従制御の終了後かつ前記第2検出情報のみを用いる前記追従制御の開始前に、予め定められた時間区間、前記第1検出情報を用いた前記追従制御における減速度を維持して減速させる、または前記第1検出情報を用いた前記追従制御における加速度よりも小さい加速度で加速させるよう前記追従制御を行う、車両制御装置。
【請求項9】
先行車両を検出する高精度センサと、先行車両を検出する低精度センサであって前記高精度センサよりも先行車両を検出できる距離が大きく測距精度が低い低精度センサと、を備える車両に搭載される車両制御装置であって、
前記高精度センサの検出情報である第1検出情報
を用いて、または、前記低精度センサの検出情報である第2検出情報
のみを用いて
、または、前記第1検出情報および前記第2検出情報を用いないで、前記車両が前記先行車両に衝突しないように前記車両を制御する追従制御を行う制御部を備え、
前記制御部は、
前記第2検出情報のみを用いて前記追従制御を行う場合、前記第1検出情報を用いて前記追従制御を行う場合よりも、前記第2検出情報に基づく車両の
速度の変化
を小さく
し、
前記第1検出情報を用いた前記追従制御から前記第2検出情報のみを用いる前記追従制御に切り替える場合、予め定められた時間区間、前記第1検出情報を用いた前記追従制御における減速度を維持して減速させる、または前記第1検出情報を用いた前記追従制御における加速度よりも小さい加速度であり、かつ、前記第2検出情報を用いた前記追従制御における加速度よりも大きい加速度で加速させるよう前記追従制御を行う、車両制御装置。
【請求項10】
先行車両を検出する高精度センサと、先行車両を検出する低精度センサであって前記高精度センサよりも先行車両を検出できる距離が大きく測距精度が低い低精度センサと、を備える車両に搭載される車両制御装置であって、
前記高精度センサの検出情報である第1検出情報
を用いて、または、前記低精度センサの検出情報である第2検出情報
のみを用いて
、または、前記第1検出情報および前記第2検出情報を用いないで、前記車両が前記先行車両に衝突しないように前記車両を制御する追従制御を行う制御部を備え、
前記制御部は、
前記第2検出情報のみを用いて前記追従制御を行う場合、前記第1検出情報を用いて前記追従制御を行う場合よりも、前記第2検出情報に基づく車両の
速度の変化
を小さく
し、
前記第2検出情報のみを用いた前記追従制御から前記第1検出情報を用いる前記追従制御に切り替える場合、前記第2検出情報のみを用いた前記追従制御の終了後かつ前記第1検出情報を用いる前記追従制御の開始前に、予め定められた時間区間、前記第2検出情報のみを用いた前記追従制御における減速度を維持して減速させる、または前記第1検出情報を用いた前記追従制御における加速度よりも小さい加速度で加速させるよう前記追従制御を行う、車両制御装置。
【請求項11】
先行車両を検出する高精度センサと、先行車両を検出する低精度センサであって前記高精度センサよりも先行車両を検出できる距離が大きく測距精度が低い低精度センサと、を備える車両に搭載される車両制御装置であって、
前記高精度センサの検出情報である第1検出情報
を用いて、または、前記低精度センサの検出情報である第2検出情報
のみを用いて
、または、前記第1検出情報および前記第2検出情報を用いないで、前記車両が前記先行車両に衝突しないように前記車両を制御する追従制御を行う制御部を備え、
前記制御部は、
前記第2検出情報のみを用いて前記追従制御を行う場合、前記第1検出情報を用いて前記追従制御を行う場合よりも、前記第2検出情報に基づく車両の
速度の変化
を小さく
し、
前記第2検出情報のみを用いた前記追従制御から前記第1検出情報を用いる前記追従制御に切り替える場合、予め定められた時間区間、前記第2検出情報のみを用いた前記追従制御における減速度を維持して減速させる、または前記第1検出情報を用いた前記追従制御における加速度よりも小さい加速度であり、かつ、前記第2検出情報を用いた前記追従制御における加速度よりも大きい加速度で加速させるよう前記追従制御を行う、車両制御装置。
【請求項12】
請求項
1から請求項
11までのいずれか一項に記載の車両制御装置であって、
前記制御部は、
前記車両に搭載された第1情報出力部(132)であって、前記車両の搭乗者に前記車両の走行に関する情報の通知を行う第1情報出力部を制御し、
前記第2検出情報のみを用いて前記追従制御を行う場合、前記第1検出情報を用いて前記追従制御を行う場合とは異なる態様で前記通知を行う、車両制御装置。
【請求項13】
先行車両を検出する高精度センサと、先行車両を検出する低精度センサであって前記高精度センサよりも先行車両を検出できる距離が大きく測距精度が低い低精度センサと、を備える車両に搭載される車両制御装置であって、
前記高精度センサの検出情報である第1検出情報
を用いて、または、前記低精度センサの検出情報である第2検出情報
のみを用いて
、または、前記第1検出情報および前記第2検出情報を用いないで、前記車両が前記先行車両に衝突しないように前記車両を制御する追従制御を行う制御部を備え、
前記制御部は、
前記車両に搭載された、前記車両の搭乗者に前記第1検出情報と前記第2検出情報との少なくとも一方を用いて求められる前記先行車両と前記車両との車間距離を通知する第2情報出力部(134)を制御し、
前記第2検出情報のみを用いて前記追従制御を行う場合、前記第1検出情報を用いて前記追従制御を行う場合よりも、
通知内容の変動の頻度を小さくするよう前記第2情報出力部を制御し、
前記第2検出情報のみを用いて前記追従制御を行う場合から前記第1検出情報を用いる前記追従制御に切り替える場合、前記第2検出情報のみから求められた前記車間距離から前記第1検出情報を用いて求められる前記車間距離へと徐々に変化するように求められた前記車間距離を通知するように前記第2情報出力部を制御する、車両制御装置。
【請求項14】
先行車両を検出する高精度センサと、先行車両を検出する低精度センサであって前記高精度センサよりも先行車両を検出できる距離が大きく測距精度が低い低精度センサと、を備える車両に搭載される車両制御装置であって、
前記高精度センサの検出情報である第1検出情報
を用いて、または、前記低精度センサの検出情報である第2検出情報
のみを用いて
、または、前記第1検出情報および前記第2検出情報を用いないで、前記車両が前記先行車両に衝突しないように前記車両を制御する追従制御を行う制御部を備え、
前記制御部は、
前記車両に搭載された、前記車両の搭乗者に前記第1検出情報と前記第2検出情報との少なくとも一方を用いて求められる前記先行車両と前記車両との車間距離を通知する第2情報出力部を制御し、
前記第2検出情報のみを用いて前記追従制御を行う場合、前記第1検出情報を用いて前記追従制御を行う場合よりも、
通知内容の変動の頻度を小さくするよう前記第2情報出力部を制御し、
前記第1検出情報を用いた前記追従制御から前記第2検出情報のみを用いる前記追従制御に切り替える場合、前記第1検出情報を用いて求められた前記車間距離から前記第2検出情報のみから求められる前記車間距離へと徐々に変化するように求められた前記車間距離、または前記第1検出情報を用いて求められた前記車間距離を通知するように前記第2情報出力部を制御する、車両制御装置。
【請求項15】
請求項
13または請求項14に記載の車両制御装置であって、
前記制御部は、
前記第1検出情報を用いて前記追従制御を行う場合、前記車間距離の変化を第1間隔毎に通知するよう前記第2情報出力部を制御し、
前記第2検出情報のみを用いて前記追従制御を行う場合、前記車間距離として予め定められた距離を前記第1間隔よりも長い第2間隔毎に通知するよう前記第2情報出力部を制御する、車両制御装置。
【請求項16】
請求項1から請求項
15までのいずれか一項に記載の車両制御装置であって、
前記高精度センサは、ミリ波レーダまたはレーザセンサであり、
前記低精度センサは、カメラである、車両制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両制御装置として、ミリ波レーダ等の高精度センサの検出情報と、カメラ等の高精度センサよりも距離検出精度の低い低精度センサの検出情報とを用いて、車両を制御するものが知られている。例えば、特許文献1には、センサの検出情報に応じて、車両の加速度を定める技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高精度センサの検出情報と低精度センサの検出情報とは乖離するおそれがある。そのため、高精度センサの検出情報を利用できないために低精度センサの検出情報のみを用いて制御を行う場合の制御内容は、高精度センサの検出情報を利用できる場合の制御内容と、乖離するおそれがある。この場合、低精度センサのみを用いた制御から高精度センサを用いる制御に切り替える際に、例えば車両の速度や加速度の変化が大きく、搭乗者に違和感を生じさせるおそれがある。そのため、低精度センサのみを用いた制御と高精度センサを用いる制御とを切り替える際の違和感を抑制できる技術が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
本開示の一形態によれば、先行車両を検出する高精度センサと、先行車両を検出する低精度センサであって前記高精度センサよりも先行車両を検出できる距離が大きく測距精度が低い低精度センサと、を備える車両(10)に搭載される車両制御装置(110)が提供される。この車両提供装置は、前記高精度センサの検出情報である第1検出情報を用いて、または、前記低精度センサの検出情報である第2検出情報のみを用いて、または、前記第1検出情報および前記第2検出情報を用いないで、前記車両が前記先行車両に衝突しないように前記車両を制御する追従制御を行う制御部(111)を備える。前記制御部は、前記第2検出情報のみを用いて前記追従制御を行う場合、前記第1検出情報を用いて前記追従制御を行う場合よりも、前記第2検出情報に基づく車両の速度の変化を小さくし、前記車両の速度が予め定められた閾値速度未満の場合に、前記第2検出情報を用いないで前記追従制御を行う。
【0007】
この形態の車両制御装置によれば、第2検出情報のみを用いた制御において、制御内容が大きく変化することが抑制される。このため、測距精度が高い第1検出情報と測距精度が低い第2検出情報との両方を利用した追従制御から、測距精度が低い第2検出情報のみを利用する追従制御に移行した場合の、急激な変化が抑制される。従って、低精度センサのみを用いた制御と高精度センサを用いる制御とを切り替える際の違和感を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】自動運転システムの構成を示す概要図である。
【
図2】追従制御処理の一例を示すフローチャートである。
【
図3】検出情報決定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】道路の区画線の形状の周辺情報の例を示す図である。
【
図5】追従制御の一例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.第1実施形態:
図1に示すように、車両10は、自動運転制御システム100を備える。本実施形態において、自動運転制御システム100は、車両10の自動運転を実行する。本実施形態において、自動運転制御システム100は、車両制御装置110と、高精度センサ122と、低精度センサ124と、第1情報出力部132と、第2情報出力部134と、駆動力制御ECU(Electronic Control Unit)220と、制動力制御ECU230と、操舵制御ECU240と、を備える。車両制御装置110と、駆動力制御ECU220と、制動力制御ECU230と、操舵制御ECU240とは、車載ネットワーク250を介して接続される。なお、車両10は、自動運転に限らず、運転手によって手動で行われる手動運転によって運転されてもよい。
【0010】
高精度センサ122は、車両10の進行方向における前方を走行する先行車両を検出する。本実施形態において、高精度センサ122は、ミリ波レーダである。高精度センサ122の検出情報を第1検出情報という。第1検出情報は、例えば、先行車両と車両10との車間距離や相対速度を含む情報である。本実施形態において、相対速度は、先行車両の車速が車両10の車速よりも高速の場合をプラスとし、先行車両の車速が車両10の車速よりも低速の場合をマイナスとしている。
【0011】
低精度センサ124は、高精度センサ122よりも先行車両を検出できる距離が大きく、測距精度が低いセンサである。本実施形態において、低精度センサ124は、カメラである。低精度センサ124の検出情報を第2検出情報という。第2検出情報は、例えば、先行車両と車両10との車間距離や相対速度を含む情報である。
【0012】
第1情報出力部132は、車両10の搭乗者に車両10の走行に関する情報の通知を行う。第1情報出力部132は、例えば、車両10の速度や、車両10の加減速度を通知する。本実施形態において、「加減速度」は、加速度と減速度の両方を包含する意味を有する。
【0013】
第2情報出力部134は、車両10の搭乗者に第1検出情報と第2検出情報との少なくとも一方を用いて求められる先行車両と車両10との車間距離を通知する。第1情報出力部132および第2情報出力部134は、例えば、車両10に搭載されるナビゲーションシステムで用いられるディスプレイや、ヘッドアップディスプレイ(HUD)、インストルメントパネルの各メーター等である。第2情報出力部134は、機械式のアナログメーターではなく、デジタル表示であることが好ましい。
【0014】
車両制御装置110は、制御部111を備える。車両制御装置110は、中央処理装置(CPU)や、RAM、ROMにより構成されたマイクロコンピュータ等からなり、予めインストールされたプログラムをマイクロコンピュータが実行することによって、これらの各部の機能を実現する。ただし、これらの各部の機能の一部又は全部をハードウエア回路で実現してもよい。
【0015】
制御部111は、高精度センサ122の検出情報である第1検出情報と低精度センサ124の検出情報である第2検出情報との少なくとも一方を用いて、車両10が先行車両に衝突しないように車両10を制御する追従制御を行う。本実施形態において、制御部111は、追従制御として、予め定められた車速での走行において、先行車両との車間距離が予め定められた距離になるように、車両10の制御を行う。制御部111は、駆動力制御ECU220および制動力制御ECU230、操舵制御ECU240を制御することで、追従制御を実現する。制御部111は、例えば、駆動力制御ECU220および制動力制御ECU230を制御し、自動的に車両10の走行速度の制御を行う。
【0016】
駆動力制御ECU220は、エンジンなど車両の駆動力を発生するアクチュエータを制御する電子制御装置である。運転手が手動で運転を行う場合、駆動力制御ECU220は、アクセルペダルの操作量に応じてエンジンや電気モータである動力源を制御する。一方、自動運転を行う場合、駆動力制御ECU220は、制御部111で演算された要求駆動力に応じて動力源を制御する。
【0017】
制動力制御ECU230は、車両の制動力を発生するブレーキアクチュエータを制御する電子制御装置である。運転手が手動で運転を行う場合、制動力制御ECU230は、ブレーキペダルの操作量に応じてブレーキアクチュエータを制御する。一方、自動運転を行う場合、制動力制御ECU230は、制御部111で演算された要求制動力に応じてブレーキアクチュエータを制御する。
【0018】
操舵制御ECU240は、車両の操舵トルクを発生するモータを制御する電子制御装置である。運転手が手動で運転を行う場合、操舵制御ECU240は、ステアリングハンドルの操作に応じてモータを制御して、ステアリング操作に対するアシストトルクを発生させる。これにより、運転手が少量の力でステアリングを操作でき、車両の操舵を実現する。一方、自動運転を行う場合、操舵制御ECU240は、制御部111で演算された要求操舵角に応じてモータを制御することで操舵を行う。
【0019】
また、制御部111は、第1情報出力部132と第2情報出力部134とを制御する。制御部111は、例えば、第1情報出力部132を制御し、追従制御における制御内容を車両10の搭乗者に通知する。
【0020】
図2に示す追従制御処理は、車両制御装置110が車両10の追従制御を行う一連の処理である。この処理は、本実施形態において、車両10の自動走行中に車両制御装置110により繰り返し実行される処理であり、例えば、500ms毎に繰り返し実行される処理である。
【0021】
ステップS100において、制御部111は、追従制御に用いる検出情報を決定する。例えば、制御部111は、高精度センサ122や低精度センサ124の検出状況や検出情報に応じて、追従制御に用いる検出情報を決定する。本実施形態において、制御部111は、「第1検出情報を用いるパターン」と「第2検出情報のみを用いるパターン」と「検出情報を用いないパターン」との、3つのパターンの何れか一つにおいて、追従制御に用いる検出情報を決定する。
【0022】
図3に示す検出情報決定処理は、ステップS100(
図2)において、追従制御に用いる検出情報を決定する処理の一例である。ステップS101において、制御部111は、高精度センサ122が先行車両を検出できるか否かを判定する。例えば、制御部111は、第2検出情報における先行車両と車両10との車間距離が、高精度センサ122が先行車両を検出できる距離より小さいか否かを判定する。高精度センサ122が先行車両を検出できる場合、すなわち、車間距離が高精度センサ122が先行車両を検出できる距離より小さい場合、制御部111は、ステップS102の処理に進み、追従制御に用いる検出情報を第1検出情報に決定する。すなわち、制御部111は、第1検出情報を用いて、追従制御を行うよう決定する。一方、高精度センサ122が先行車両を検出できない場合、すなわち、車間距離が高精度センサ122が先行車両を検出できる距離以上である場合、制御部111は、ステップS103の処理に進む。
【0023】
ステップS103において、制御部111は、車両10の速度が予め定められた閾値速度未満か否かを判定する。閾値速度は、予め実験的または経験的に定めることができる。車両10の速度が閾値速度未満の場合、制御部111は、ステップS104の処理に進み、検出情報を用いないで追従制御を行うことを決定する。車両10が閾値速度未満の低速で走行していた場合には、先行車両との車間距離が小さくなる可能性が低いため、車両10が先行車両と衝突する可能性が低い。そのため、第2検出情報を用いた制御を行わなくても、安全に走行できる。一方、車両10の速度が閾値速度よりも速い場合、制御部111は、ステップS105の処理に進む。
【0024】
ステップS105において、制御部111は、先行車両との車間距離と先行車両との相対速度との関係が予め定められた範囲内であるか否かを判定する。予め定められた範囲は、予め実験的または経験的に定めることができる。予め定められた範囲の詳細については後述する。先行車両との車間距離と先行車両との相対速度との関係が範囲内である場合、ステップS106の処理に進み、追従制御に用いる検出情報を第2検出情報のみに決定する。すなわち、制御部111は、第2検出情報のみを用いて、追従制御を行うよう決定する。一方、先行車両との車間距離と先行車両との相対速度との関係が範囲内でない場合、ステップS104の処理に進む。
【0025】
図4において、予め定められた範囲とは、ハッチングが付され
ていない領域である。例えば、車間距離が40m以下である場合、高精度センサ122によって先行車両を検出できるため、制御部111は、第1検出情報を用いて追従制御を行うことができる。そのため、制御部111は、第2検出情報のみを用いた追従制御を行わない。
【0026】
ステップS110(
図2)において、制御部111は、ステップS100で決定した検出情報を用いて、追従制御における制御内容を決定する。制御部111は、第2検出情報のみを用いて追従制御を行う場合、第1検出情報を用いて追従制御を行う場合よりも、車両10の制御の変化の度合いを小さくする。本実施形態では、制御部111は、第2検出情報のみを用いて追従制御を行う場合、第1検出情報を用いて制御を行う場合よりも、車両10の速度の変化を小さくする。以下では、第2検出情報のみを用いて追従制御を行う場合を例として説明する。制御部111は、第2検出情報に基づいて、予め定めた制御内容パターンを満たすか否かを判定し、制御内容を定める。制御内容としては、例えば、減速や加速、一定速度での走行が挙げられる。
【0027】
<制御内容パターン1>
先行車両と車両10とが衝突するまでの予測時間が、予め定めた閾値以下である場合に、車両を減速させる。
<制御内容パターン2>
先行車両と車両10との車間距離が、予め定めた閾値以下である場合に、車両を減速させる。
<制御内容パターン3>
先行車両と車両10との相対速度が、予め定めた閾値以下である場合に、車両を減速させる。
<制御内容パターン4>
先行車両と車両10との車間距離が予め定めた閾値以上であって、かつ、先行車両と車両10との相対速度が、予め定めた閾値以上である場合に、車両を加速させる。
<制御内容パターン5>
第2検出情報のみを用いて車両10を加速させると決定した場合、車両10を加速させない。
<制御内容パターン6>
第1検出情報を用いた追従制御から第2検出情報のみを用いる追従制御に切り替える場合、予め定められた時間区間、第1検出情報を用いた追従制御における減速度を維持する。
<制御内容パターン7>
第1検出情報を用いた追従制御から第2検出情報のみを用いる追従制御に切り替える場合、予め定められた時間区間、第1検出情報を用いた追従制御における加速度よりも小さい加速度で車両を加速させる。
【0028】
上記の制御内容パターン1における予測時間は、例えば、先行車両と車両10との車間距離を、相対速度で除算することによって算出する。
【0029】
上記の制御内容パターン1~7やその他の制御内容パターンを適宜組み合わせて制御内容パターンとすることもできる。なお、上記の制御内容パターン1~7における各閾値は、予めシミュレーションや実験を行うことにより定めることができる。以下では制御内容を定めるためのパターンとして、上記の制御内容パターン1~3を採用する場合を例として説明する。すなわち、制御部111は、第2検出情報のみを用いて追従制御を行う場合、先行車両と衝突するまでの予測時間と、先行車両と車両10との車間距離と、先行車両と車両10との相対速度と、のうちいずれか1つ以上が、予め定めた閾値以下である場合に、車両10を減速させ、そうでない場合には車両10を減速させない。
【0030】
ステップS120(
図2)において、制御部111は、ステップS110で決定した制御内容を実行する。また、本実施形態において、制御部111は、ステップS110で決定した制御内容である車両10の走行に関する情報を通知する。例えば、制御部111は、第2検出情報のみを用いて追従制御を行う場合において、第1検出情報を用いて追従制御を行う場合とは異なる態様で、車両10の搭乗者に、車両10の走行に関する情報を通知するよう第1情報出力部132を制御する。異なる態様とは、例えば、車両10の車速や加減速度の表示において、異なる色や輝度とする態様である。具体的には、制御部111は、第1検出情報を用いて追従制御を行う場合には、輝度が高い黄緑色で車両10の走行に関する情報を表示し、第2検出情報のみを用いて追従制御を行う場合には、輝度が低い青色で車両10の走行に関する情報を表示するように第1情報出力部132を制御する。また、制御部111は、第2検出情報のみを用いて追従制御を行う場合には、車両10の走行に関する情報の表示を点滅させるように第1情報出力部132を制御してもよく、文言や音声にて通知するように第1情報出力部132を制御してもよい。
【0031】
図5を用いて、タイミングt1において追従制御を開始する場合を例として説明する。
図5では、タイミングt1からタイミングt2の期間において第2検出情報のみを用いる追従制御を行い、タイミングt2で第1検出情報と第2検出情報を用いる追従制御に切り替わる走行を例として説明する。また、
図5では、先行車両が一定の速度V1で走行する場合を例として説明する。
【0032】
図5において、上段のグラフは車両10と先行車両との車間距離を示す。中段のグラフにおける実線は車両10の車速を示し、一点鎖線は先行車両の車速を示す。下段のグラフにおける実線は車両10の加減速度を示し、一点鎖線は先行車両の加減速度を示す。
【0033】
上段のグラフに示すように、タイミングt1における車間距離は距離L1である。中段のグラフに示すように、タイミングt1における車速は先行車両の速度V1よりも早い。制御部111は、車速が速度V1であって、車間距離が予め定められた距離Ltになるように追従制御を行う。車速を速度V1にするために、下段のグラフに示すように、制御部111は、タイミングt1において、車両10を減速させるように制御する。本実施形態において、制御部111は、徐々に減速度を大きくするように制御する。
【0034】
上段のグラフに示すように、タイミングt2において、車間距離は高精度センサ122が先行車両を検出できる距離Lthとなる。そのため、タイミングt2で、制御部111は、第2検出情報のみを用いる追従制御から第1検出情報を用いる追従制御へ切り替える。下段のグラフに示すように、制御部111は、タイミングt2からタイミングt3の期間においては、第2検出情報のみを用いる追従制御から第1検出情報を用いる追従制御へ切り替えたことによる追従制御の変化の違和感を抑制するために、タイミングt2における減速度で減速を行う。制御部111は、タイミングt3から、タイミングt2からタイミングt3の期間における減速度よりも大きい減速度で車両10を減速させるように制御する。
【0035】
上段のグラフに示すように、タイミングt4において、車間距離は、距離Ltまで近づく。そのため、下段のグラフに示すように、制御部111は、タイミングt4から減速度の傾きが緩やかになるように制御を行う。
【0036】
制御部111は、第2検出情報のみを用いて追従制御を行う場合、第1検出情報と第2検出情報を用いて制御を行う場合よりも、車両10の速度の変化を小さくする。そのため、タイミングt1からタイミングt2の期間における減速度の傾きは、タイミングt3からタイミングt4の期間における減速度の傾きよりも小さい。
【0037】
以上で説明した本実施形態の車両制御装置110によれば、第2検出情報のみを用いた制御において、制御内容が大きく変化することが抑制される。このため、測距精度が高い第1検出情報と測距精度が低い第2検出情報との両方を利用した追従制御から、測距精度が低い第2検出情報のみを利用する追従制御に移行した場合の、急激な変化が抑制される。また、第2検出情報のみを用いた追従制御において、制御内容が大きく変化することが抑制されることから、第2検出情報のみを用いた追従制御が行われている間、第2検出情報のみを用いた追従制御に移行する前の、第1検出情報と第2検出情報との両方を利用した追従制御の内容が、維持される傾向にある。このため、第2検出情報のみを利用する追従制御から、再び、第1検出情報と第2検出情報との両方を利用する追従制御に移行する場合の、変化が少ない。従って、低精度センサのみを用いた制御と高精度センサを用いる制御とを切り替える際の違和感を抑制できる。
【0038】
また、制御部111は、第2検出情報のみを用いて追従制御を行う場合、第1検出情報を用いて制御を行う場合よりも、車両10の速度V1の変化を小さくする。そのため、第2検出情報のみを用いた追従制御において、車両の速度が過度に変化することを抑制できる。そのため、第2検出情報のみを用いた追従制御と第1検出情報を用いる追従制御とを切り替える際の違和感を抑制できる。
【0039】
また、制御部111は、車両10の速度が予め定められた閾値速度未満の場合に、第2検出情報のみを用いた追従制御を行わない。そのため、高精度センサ122から第1検出情報が得られていなくても、車両10が閾値速度未満の低速で走行していた場合には、第2検出情報のみを用いた追従制御を行わない。そのため、車両が閾値速度未満の低速で走行している場合にも第2検出情報のみを用いた追従制御を行う態様に比べて、第2検出情報のみを用いた制御から第1検出情報を用いる追従制御への切り替えによる違和感の発生を抑制できる。
【0040】
また、制御部111は、第2検出情報のみを用いて追従制御を行う場合、先行車と衝突するまでの予測時間と、先行車と車両10との車間距離と、先行車と車両10との相対速度と、のうちいずれか1つ以上が、予め定めた閾値以下である場合に、車両10を減速させる。すなわち、先行車両と衝突する可能性が高い場合にのみ、車両10を減速できる。そのため、減速が必要な状況においてのみ減速を行うことが出来る。従って、第2検出情報のみを用いて過度に車両の追従制御を行うことを抑制できるため、第2検出情報のみを用いた制御と第1検出情報を用いる追従制御とを切り替える際の違和感を抑制できる。
【0041】
また、制御部111は、第2検出情報のみを用いて追従制御を行う場合であって、第2検出情報のみを用いて車両10を加速させると決定した場合、車両10を加速させない。そのため、測距精度が低い低精度センサに基づく制御において、先行車両と衝突する可能性を回避できる。
【0042】
また、制御部111は、第2検出情報のみを用いて追従制御を行う場合、第1検出情報を用いて追従制御を行う場合とは異なる態様で通知を行うように、第1情報出力部132を制御する。そのため、搭乗者に、高精度センサと低精度センサの両方を活用した制御ではない制御が行われていることを通知できる。
【0043】
B.第2実施形態:
第2実施形態において、制御部111は、追従制御において、第2情報出力部134の制御を行う点が、第1実施形態と異なる。第2実施形態の自動運転制御システムの構成は、第1実施形態の自動運転制御システムの構成と同一であるため、自動運転制御システムの構成の説明は省略する。
【0044】
本実施形態において、制御部111は、第2情報出力部134を制御し、第2検出情報のみを用いて追従制御を行う場合、第1検出情報を用いて追従制御を行う場合よりも、通知内容の変動の頻度を小さくするよう第2情報出力部134を制御する。本実施形態において、通知内容の変動の頻度は、通知する車間距離を更新する間隔を含む概念である。例えば、制御部111は、第1検出情報を用いて追従制御を行う場合、車間距離の変化を第1間隔毎に通知するよう第2情報出力部134を制御する。より具体的には、制御部111は、第1検出情報を用いて追従制御を行う場合、例えば、以下のように通知するよう第2情報出力部134を制御する。
【0045】
<第1検出情報を用いて追従制御を行う場合における第2情報出力部134の通知内容>
第1検出情報における車間距離を小数点以下四捨五入した1m刻みの車間距離
【0046】
制御部111は、第2検出情報のみを用いて追従制御を行う場合、車間距離として予め定められた距離を第1間隔よりも長い第2間隔毎に通知するよう第2情報出力部134を制御する。より具体的には、制御部111は、第2検出情報のみを用いて追従制御を行う場合、例えば、以下のように通知するよう第2情報出力部134を制御する。
【0047】
<第2検出情報のみを用いて追従制御を行う場合における第2情報出力部134の通知内容>
第2検出情報における車間距離が40m未満:40m未満
第2検出情報における車間距離が40m以上60m未満:50m
第2検出情報における車間距離が60m以上80m未満:70m
第2検出情報における車間距離が80m以上:80m以上
【0048】
また、制御部111は、第2検出情報のみを用いて追従制御を行う場合から第1検出情報を用いる追従制御に切り替える場合、第2検出情報のみから求められた車間距離から第1検出情報を用いて求められる車間距離へと徐々に変化するように求められた車間距離を通知するように第2情報出力部134を制御できる。例えば、第2検出情報のみから求められた車間距離が50mであり、第1検出情報を用いて求められた車間距離が41mである場合、制御部111は、第2情報出力部134が通知する内容を50mから41mとするように制御するのではなく、予め実験的に定められた時間間隔で50mから41mまで「50m、48m、46m…」と2mずつ減少させた車間距離を通知するように第2情報出力部134を制御する。
【0049】
また、制御部111は、第1検出情報を用いた追従制御から第2検出情報のみを用いる追従制御に切り替える場合、第1検出情報を用いて求められた車間距離から第2検出情報のみから求められる車間距離へと徐々に変化するように求められた車間距離を通知するように第2情報出力部134を制御できる。なお、制御部111は、第1検出情報を用いた追従制御から第2検出情報のみを用いる追従制御に切り替える場合、第2検出情報を用いて求められた車間距離ではなく、第1検出情報を用いて求められた車間距離を通知するように第2情報出力部134を制御してもよい。
【0050】
以上で説明した第2実施形態の車両制御装置110によれば、制御部111は、第2検出情報のみを用いた制御において、第2情報出力部134の通知の頻度を小さくするよう制御する。そのため、第2検出情報のみを用いた制御と第1検出情報を用いる制御とを切り替える際の違和感を抑制できる。
【0051】
また、制御部111は、第1検出情報を用いて追従制御を行う場合、車間距離の変化を第1間隔毎に通知するよう第2情報出力部134を制御する。また、制御部111は、第2検出情報のみを用いて追従制御を行う場合、車間距離として予め定められた距離を第1間隔よりも長い第2間隔毎に通知するよう第2情報出力部134を制御する。そのため、第2検出情報のみを用いて追従制御を行う場合において、第1検出情報を用いて追従制御を行う場合よりも通知内容の変動の頻度を小さくできる。
【0052】
また、制御部111は、第2検出情報のみを用いて追従制御を行う場合から第1検出情報を用いる追従制御に切り替える場合、第2検出情報のみから求められた車間距離から第1検出情報を用いて求められる車間距離へと徐々に変化するように求められた車間距離を通知するように第2情報出力部134を制御する。そのため、第2検出情報のみを用いた追従制御から第1検出情報を用いる追従制御に切り替える場合の制御の変化の違和感を抑制することができる。
【0053】
また、制御部は、第1検出情報を用いた追従制御から第2検出情報のみを用いる追従制御に切り替える場合、第1検出情報を用いて求められた車間距離から第2検出情報のみから求められる車間距離へと徐々に変化するように求められた車間距離、または第1検出情報を用いて求められた車間距離を通知するように第2情報出力部を制御する。そのため、第1検出情報を用いた追従制御から第2検出情報のみを用いる制御に切り替える場合の追従制御の変化の違和感を抑制することができる。
【0054】
C.その他の実施形態:
(C1)上述した実施形態において、高精度センサ122は、ミリ波レーダであり、低精度センサ124はカメラである。これに限らず、高精度センサ122と低精度センサ124との組み合わせは、例えば、レーザセンサとカメラや、ステレオカメラと望遠カメラ、超音波センサとカメラ等が挙げられる。
【0055】
(C2)上述した実施形態において、車両制御装置110は、車両10の自動走行中に追従制御処理(
図4)を繰り返し実行している。この代わりに、車両制御装置110は、予め定められた条件を満たす場合に追従制御処理を行ってもよい。予め定められた条件とは、例えば、車両10と先行車両との車間距離が予め定められた閾値以下であることである。
【0056】
(C3)上述した実施形態において、制御部111は、ステップS100(
図2)で第1検出情報を用いて追従制御を行うと決定した場合に、第1検出情報と第2検出情報とを用いて追従制御を行っている。これに限らず、制御部111は、第1検出情報のみを用いて追従制御を行ってもよい。
【0057】
(C4)上述した実施形態において、制御部111は、ステップS110(
図2)で追従制御における制御内容を決定する際の制御内容パターン1~3において、予め定めた閾値を用いている。この代わりに、制御部111は、高精度センサ122の検出状況に応じて、閾値を定めてもよい。例えば、制御部111は、高精度センサ122の検出状況に関する第1の場合に、高精度センサ122の検出状況に関する第2の場合であって第1の場合よりも良い第2の場合に比べて、閾値を大きい値に決定する。すなわち、制御部111は、第2の場合よりも高精度センサ122の検出状況が悪い第1の場合に、閾値を大きい値に決定する。高精度センサ122の検出状況が悪い第1の場合とは、例えば、トンネル内を走行している場合や、防音壁の横を走行している場合、高架の下を走行している場合である。この形態によれば、高精度センサの検出状況が悪い場合に、第1検出情報を用いることなく、第2検出情報のみを用いて減速を行う制御ができる。そのため、安全に走行できる。なお、制御部111は、第1の場合に、第2の場合よりも閾値を小さい値に決定してもよい。閾値は、第1の場合と、第2の場合とで異なる値に決定されることが好ましい。
【0058】
(C5)上述した実施形態において、制御部111は、ステップS110(
図2)で制御内容を定めるためのパターンとして、制御内容パターン1~3を採用している。これに限らず、例えば、制御内容パターン4、5を採用してもよい。すなわち、制御部111は、第2検出情報のみを用いて追従制御を行う場合、先行車両と車両10との車間距離が予め定めた距離以上であって、先行車両と車両10との相対速度が予め定めた速度以上である場合に、車両10を加速させない。
【0059】
(C6)上述した実施形態において、制御部111は、第2検出情報のみを用いて追従制御を行う場合であって、第2検出情報のみを用いて車両10を減速させると決定した場合、徐々に減速度を大きくしている。この代わりに、制御部111は、第2検出情報のみを用いて追従制御を行う場合であって、第2検出情報のみを用いて車両10を減速させると決定した場合、予め定められた固定の減速度で車両10を減速させてもよい。固定の減速度は、例えば、0.49m/s2である。この形態によれば、第2検出情報のみを用いた制御において、第2検出情報の内容にかかわらず、車両の制御を行うことができる。そのため、低精度センサが誤検出をする場合であっても、車両の制御の挙動が悪化することを抑制できる。
【0060】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述した課題を解決するために、あるいは上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜削除することが可能である。
【0061】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制限部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0062】
10…車両、100…自動運転制御システム、110…車両制御装置、111…制御部、122…高精度センサ、124…低精度センサ、132…第1情報出力部、134…第2情報出力部、220…駆動力制御ECU、230…制動力制御ECU、240…操舵制御ECU、250…車載ネットワーク