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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】ゴーグル表示システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20240806BHJP
   A63F 9/00 20060101ALI20240806BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20240806BHJP
   G09G 5/38 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
G06F3/01 510
A63F9/00 505A
G09G5/00 510A
G09G5/00 550C
G09G5/38
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020197977
(22)【出願日】2020-11-30
(65)【公開番号】P2022086130
(43)【公開日】2022-06-09
【審査請求日】2023-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】520469848
【氏名又は名称】桂澤 雅貴
(74)【代理人】
【識別番号】100166589
【弁理士】
【氏名又は名称】植村 貴昭
(72)【発明者】
【氏名】桂澤 雅貴
【審査官】岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/110659(WO,A1)
【文献】特表2015-503399(JP,A)
【文献】国際公開第2019/187044(WO,A1)
【文献】特開2013-027458(JP,A)
【文献】特開2019-000171(JP,A)
【文献】特開2009-148385(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/048-3/04895
A63B 69/00-69/40
A63F 9/00-9/00
A63F 9/24
A63F 9/26-11/00
A63F 13/00-13/98
G09G 5/00-5/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現実空間に存在し、プレイヤによる力学的作用により、プレイヤから離れて移動する移動体と、
前記プレイヤが装着可能なゴーグルと、
を備え、
前記ゴーグルは、前記移動体に対応する画像を、現実空間の前記移動体の位置に対応させて表示し、
前記ゴーグルは、前記移動体に対応する画像に加えて、標的の画像を表示可能であり、前記標的に対応する現実空間の位置に前記移動体が来た場合、所定の表示を行う
ことを特徴とするゴーグル表示システム。
【請求項2】
現実空間に存在し、プレイヤによる力学的作用により、プレイヤから離れて移動する移動体と、
前記移動体をそれぞれ異なる方向から撮像する複数の撮像手段と、
前記複数の撮像手段が撮像した映像に基づいて、前記移動体の位置を検出する位置検出手段と、
前記プレイヤが装着可能なゴーグルと、
を備え、
前記ゴーグルは、前記位置検出手段による前記移動体の位置の検出結果に基づいて、前記移動体に対応する画像を、現実空間の前記移動体に重畳させて表示し、
前記ゴーグルは、前記移動体に対応する画像に加えて、標的の画像を表示可能であり、前記標的に対応する現実空間の位置に前記移動体が来た場合、所定の表示を行う
ことを特徴とするゴーグル表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴーグルにより画像を表示するゴーグル表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、仮想現実(VR:Virtual Reality)と拡張現実(AR:Augmented Reality)の上位版として、複合現実(MR:Mixed Reality)と呼ばれる技術が普及してきている。
【0003】
複合現実とは、仮想世界の情報を現実世界と重ね合わせて体験できる、仮想世界と現実世界を融合させる技術である。
【0004】
複合現実の一例として、例えば、特許文献1には、プレイヤが操作する銃玩具と、プレイヤが装着可能なゴーグルとを備え、当該ゴーグルに銃玩具から発射されるように見える光線の軌道を現実空間の景観に重畳させて表示するゲーム装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-81127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のゲーム装置において、ゴーグルに表示される光線の軌道は、現実空間に全く存在しないので、プレイヤは、ゴーグルに表示される光線を視覚と聴覚以外の感覚で感じることができず、体感性が十分であるとは言えなかった。
【0007】
本発明は、プレイヤの体感性を高めることができるゴーグル表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明のゴーグル表示システムは、現実空間に存在し、プレイヤによる力学的作用により移動する移動体と、前記プレイヤが装着可能なゴーグルと、を備え、前記ゴーグルは、前記移動体に対応する画像を、現実空間の前記移動体の位置に対応させて表示することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明のゴーグル表示システムは、現実空間に存在し、プレイヤによる力学的作用により移動する移動体と、前記移動体をそれぞれ異なる方向から撮像する複数の撮像手段と、前記複数の撮像手段が撮像した映像に基づいて、前記移動体の位置を検出する位置検出手段と、前記プレイヤが装着可能なゴーグルと、を備え、前記ゴーグルは、前記位置検出手段による前記移動体の位置の検出結果に基づいて、前記移動体に対応する画像を、現実空間の前記移動体に重畳させて表示することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明のゴーグル表示システムは、請求項1または2に記載のゴーグル表示システムであって、前記ゴーグルは、前記移動体に対応する画像に加えて、標的の画像を表示可能であり、前記標的に対応する現実空間の位置に前記移動体が来た場合、所定の表示を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明におけるゴーグル表示システムによって、プレイヤの体感性を高めることができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態にかかるゴーグル表示システムの全体構成を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態にかかるゴーグル表示システムのブロック図である。
図3】本発明の実施形態にかかるゴーグル表示システムの動作を示すフローチャートである。
図4】本発明の実施形態にかかるゴーグル表示システムの座標軸を示す説明図である。
図5】本発明の実施形態にかかるゴーグル表示システムのゴーグルに表示される画像を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<本発明の実施形態>
以下、本発明の実施形態にかかるゴーグル表示システムを、図面に基づいて説明する。
【0014】
<ゴーグル表示システムの構成> まず、本発明の実施形態にかかるゴーグル表示システムの構成について説明する。図1は、実施形態にかかるゴーグル表示システムの全体構成を示す斜視図である。図2は、実施形態にかかるゴーグル表示システムのブロック図である。
【0015】
図1に示すように、本発明の実施形態にかかるゴーグル表示システム1は、サッカーボール2と、ボール回収用のゴール3と、第1及び第2のビデオカメラ4、5と、サーバ6と、キーボード65と、マウス66と、ディスプレイ装置67と、無線LAN7と、複合現実ゴーグル(以下、MRゴーグルと呼ぶ)8とから構成される。
【0016】
サッカーボール2は、現実空間のスポーツ施設の室内に存在し、プレイヤが蹴ることで移動する。
【0017】
ゴール3は、フレーム31にボール回収用のネット32を取り付けたものであり、試合用のサッカーゴールより小さく形成されている。ゴール3は、現実空間の室内に設置される。
【0018】
第1及び第2のビデオカメラ4、5は、サッカーボール2をそれぞれ異なる方向(左右斜め後ろ方向)から撮像する。
【0019】
サーバ6には、キーボード65、マウス66、ディスプレイ装置67、及び無線LAN7が接続されるとともに、配線41、51を介して第1及び第2のビデオカメラ4、5が接続される。
【0020】
机20は、ゴーグル表示システム1を運用する団体の関係者により使用される。 サーバ6は、机20の下に設置されている。
【0021】
キーボード65、マウス66、ディスプレイ装置67、及び無線LAN7は、机20の上に配置される。
【0022】
サーバ6は、キーボード65とマウス66を用いた前記関係者の操作により各種信号処理を行い、第1及び第2のビデオカメラ4、5が撮像した映像に基づいて、サッカーボール2の位置を検出する。
【0023】
MRゴーグル8は、表示部81と、プレイヤ9の頭部に取り付けるためのバンド82とから構成されている。表示部81は、図示しない液晶ディスプレイに表示される仮想空間の画像をハーフミラー83(図5参照)で反射させることで、現実空間に仮想空間の画像を重ねて表示する。
【0024】
ここで、MRゴーグル8は、LAN7を介して前記サーバ6と接続され、サーバ6によるサッカーボール2の位置の検出結果に基づいて、サッカーボール2に対応する仮想ボール10(図4参照)の画像を、現実空間のサッカーボール2に重畳させて表示する。
【0025】
また、MRゴーグル8は、サーバ6からの制御により、仮想ボール10(図4参照)の画像に加えて、標的(図4(c)に示す仮想標的11a、11b、11c、11d)、障害物(図4(c)に示す仮想障害物12a、12b、12c)、及びゴールキーパー(図4(c)に示す仮想ゴールキーパー13)の画像を表示可能である。
【0026】
さらに、MRゴーグル8は、前記標的に対応する現実空間の位置にサッカーボール2が到達した場合、命中表示を行い、サッカーボール2が前記標的に対応する現実空間の位置に所定距離接近してから到達することなく離れた場合、失敗表示を行う。
【0027】
図2に示すように、サーバ6は、制御部61、記憶部62、インターフェイス63及び通信部64を備えている。
【0028】
記憶部62は、ゴーグル表示システム1のブログラムやプレイヤの情報、ゲームの結果等を記憶する。
【0029】
制御部61は、インターフェイスを介してキーボード65、マウス66及びディスプレイ装置67に接続され、キーボード65及びマウス66を用いた関係者の操作により各種設定が行われ、当該各種設定に基づく表示をディスプレイ装置67に行う。
【0030】
また、制御部61は、通信部64を介して第1及び第2のビデオカメラ4、5に接続されるとともに、通信部64及び無線LAN7を介してMRゴーグル8に接続され、第1及び第2のビデオカメラ4、5からの入力信号等に基づく判定処理や信号出力をMRゴーグル8に行う。
【0031】
<実施形態の作用>
図3は、本発明の実施形態にかかるゴーグル表示システム1の動作を示すフローチャートである。 図4は、本発明の実施形態にかかるゴーグル表示システム1の座標軸を示す説明図である。 図5は、本発明の実施形態にかかるゴーグル表示システム1のゴーグルに表示される画像を示す説明図である。
【0032】
図3において、ゴーグル表示システム1のセッティングを行うと、まず、第1及び第2のビデオカメラ4、5は、ステップS1において、サッカーボール2を撮像して、ビデオデータをサーバ6に送信する。
【0033】
これにより、サーバ6は、ステップS2において、第1及び第2のビデオカメラ4、5からサッカーボール2を撮像したビデオデータを受信し、ステップS3において、受信したビデオデータより、図4(a)に示す初期ボール座標x1、y1、z1を算出し、ステップS4において、初期ボール座標x1、y1、z1のデータをMRゴーグル8に送信する。
【0034】
すると、MRゴーグル8は、ステップS5において、初期ボール座標x1、y1、z1のデータを受信し、ステップS6において、図4(a)に示す仮想ボール座標x2、y2、z2を初期ボール座標x1、y1、z1の位置にシフトさせ、図4(b)に示すように、表示部81のハーフミラー83において、仮想ボール座標x2、y2、z2における初期の仮想ボール10の位置を初期ボール座標x1、y1、z1における現実空間のサッカーボール2に重ね、ステップS7において、図4(c)に示すように、表示部81のハーフミラー83に、仮想ボール10、仮想標的11a、11b、11c、11d、仮想障害物12a、12b、12c、及び仮想ゴールキーパー13を表示する。
これによりサッカーゴールシュートゲームの準備が完了する。
【0035】
次に、プレイヤがサッカーボール2を蹴ると、サーバ6は、ステップS8に示すように、第1及び第2のビデオカメラ4、5からのサッカーボール2を撮像したビデオデータから移動中のサッカーボール2の座標(移動ボール座標)を算出し、ステップS9に示すように、検出結果の移動ボール座標データをMRゴーグル8に送信する。
【0036】
すると、MRゴーグル8は、ステップS10において、移動ボール座標データを受信し、仮想ボール10を移動表示する。そして、MRゴーグル8は、ステップS11において、移動中のサッカーボール2の座標(移動ボール座標)に基づいて、図5(a)に示すように、表示部81のハーフミラー83に仮想ボール10を移動表示する。
【0037】
この後、MRゴーグル8は、ステップS12において、前記仮想標的10aに対応する現実空間の位置にサッカーボール2が到達した場合、図5(b)に示すように、表示部81のハーフミラー83において、成功の表示として、前記仮想標的10aの代わりにGoodの文字14の表示を行う。
また、MRゴーグル8は、ステップS12において、前記仮想標的11a、11b、11c、11dに対応する現実空間の位置のいずれにもサッカーボール2が到達せずに、仮想標的11a、11b、11c、11dから離れた場合、図5(c)に示すように、表示部81のハーフミラー83において、失敗の表示として、最もサッカーボール2が接近した仮想標的10aの代わりにmissの文字15の表示を行う。
【0038】
尚、仮想ボール10、仮想標的11a、11b、11c、11d、仮想障害物12a、12b、12c、及び仮想ゴールキーパー13について、図4及び図5に示したデザインに限らす、各種適用可能である。
【0039】
また、本実施形態では、ゲームとして、サッカーゴールゲームに適用し、プレイヤによる力学的作用により移動する移動体としてサッカーボールを用いたが、アーチェリーゲーム、ダーツゲーム、ゴルフゲーム等、他の各種ゲームに適用し、プレイヤによる力学的作用により移動する移動体として、アーチェリーの矢、ダーツの矢、ゴルフボール等、他の各種移動体を適用してもよい。
【0040】
さらに、本実施形態では、プレイヤが装着可能なゴーグルとして、MRゴーグルを用いてが、ゴーグルとしては、ARゴーグル、MRゴーグル等、各種適用可能である。
【0041】
<実施形態の構成及び作用の纏め>
以下、このような本発明の実施形態の構成及び作用を纏めて説明すると、ゴーグル表示システム1は、現実空間に存在し、プレイヤによる力学的作用により移動する移動体(サッカーボール2)と、前記プレイヤが装着可能なゴーグル(MRゴーグル8)とを備え、前記ゴーグル(MRゴーグル8)は、前記移動体(サッカーボール2)に対応する画像(仮想ボール10)を現実空間の前記移動体(サッカーボール2)の位置に対応させて表示する。
【0042】
また、ゴーグル表示システム1は、現実空間に存在し、プレイヤによる力学的作用により移動する移動体(サッカーボール2)と、前記移動体(サッカーボール2)をそれぞれ異なる方向から撮像する複数の撮像手段(第1及び第2のビデオカメラ4、5)と、前記複数の撮像手段(第1及び第2のビデオカメラ4、5)が撮像した映像に基づいて、前記移動体(サッカーボール2)の位置を検出する位置検出手段(サーバ6)と、前記プレイヤが装着可能なゴーグル(MRゴーグル8)とを備え、前記ゴーグル(MRゴーグル8)は、前記位置検出手段(サーバ6)による前記移動体(サッカーボール2)の位置の検出結果に基づいて、前記移動体(サッカーボール2)に対応する画像(仮想ボール10)を現実空間の前記移動体(サッカーボール2)に重畳させて表示する。
【0043】
前記ゴーグル(MRゴーグル8)は、前記移動体(サッカーボール2)に対応する画像(仮想ボール10)に加えて、標的の画像(仮想標的11a、11b、11c、11d)を表示可能であり、前記標的に対応する現実空間の位置に前記移動体(サッカーボール2)が来た場合、所定の表示を行う。
【0044】
以上説明した本実施形態によれば、現実空間に存在し、プレイヤによる力学的作用により移動する移動体(サッカーボール2)を使用し、ゴーグル(MRゴーグル8)が、現移動体(サッカーボール2)に対応する画像(仮想ボール10)を現実空間の移動体(サッカーボール2)の位置に対応させて表示するので、プレイヤの体感性を高めることができ、プレイヤ及びゴーグル表示システム1を運用する個人、団体等において、好影響を与えることができる。
【0045】
本発明の、システム、手段、方法、などは、本発明の要旨を変更しない範囲で、様々に変更可能である。
【0046】
例えば、前記移動体(サッカーボール2)をそれぞれ異なる方向から撮像する複数の撮像手段として、3台以上のビデオカメラを設ける、複数の撮像手段をゴーグルに設ける等、各種適用可能である。
【0047】
また、前記移動体をそれぞれ異なる方向から撮像する複数の撮像手段の位置としては、前記移動体の位置を検出できる位置であれば、左右斜め後ろ方向に限らず、360°方向のどこからでも可能である。
録音手段も、パソコン、ICレコーダ等を自由に選択することが可能である。
【0048】
例えば、2つ以上のシステムを1つにすることも可能であるし、逆に、1つのシステムを2つ以上の別のシステムから構成して接続することも可能である。
また、上記実施形態は、あくまでも、現在のところの最良の形態またはそれに近い形態の一つにすぎない。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明のゴーグル表示システムは、娯楽施設やスポーツ施設を運営する事業者や法人において効果的に利用できる。
【符号の説明】
【0050】
1 :ゴーグル表示システム
2 :サッカーボール3 :ゴール4、5 :ビデオカメラ6 :サーバ7 :無線LAN8 :MRゴーグル
9 :プレイヤ
10 :仮想ボール
11a、11b、11c、11d:仮想標的
12a、12b、12:仮想障害物
13 :仮想ゴールキーパー
14、15:文字
20 :机31 :フレーム32 :ネット61 :制御部62 :記憶部63 :インターフェイス64 :通信部65 :キーボード66 :マウス67 :ディスプレイ装置
81 :表示部
82 :バンド
83 :ハーフミラー
図1
図2
図3
図4
図5