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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】ウエハ操作のためのリフトピンシステム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20240806BHJP
【FI】
H01L21/68 N
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020537238
(86)(22)【出願日】2018-12-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-08
(86)【国際出願番号】 US2018065753
(87)【国際公開番号】W WO2019139731
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2021-12-10
(31)【優先権主張番号】62/615,211
(32)【優先日】2018-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/938,239
(32)【優先日】2018-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500324750
【氏名又は名称】バリアン・セミコンダクター・エクイップメント・アソシエイツ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】マルセリナス, スタシア
(72)【発明者】
【氏名】カヤビャブ, ライアダン
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー, ジョナサン ディー.
【審査官】宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-053134(JP,A)
【文献】特開平07-007072(JP,A)
【文献】特開2004-207453(JP,A)
【文献】特開平09-173945(JP,A)
【文献】特開2007-251073(JP,A)
【文献】特開2017-028248(JP,A)
【文献】実開平06-002677(JP,U)
【文献】特開2008-177454(JP,A)
【文献】特開2002-373610(JP,A)
【文献】特表平10-508153(JP,A)
【文献】特開平06-112303(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハ支持体と、
前記ウエハ支持体に連結されたリフトピンアセンブリであって、複数のピンを含むリフトピンアセンブリと、
を備えるリフトピンシステムであって、
前記複数のピンは、
ハウジングを通って延在する先端部であって、
前記ハウジングの開口部を通って延在する第1の部分と、
前記第1の部分から延在する第2の部分であって、前記ハウジング内に位置する第2の部分と、
を含む、先端部と、
前記ハウジング内のばねであって、前記先端部に対して付勢するとともに、前記ばねの第1の端部が前記第2の部分に当接する、ばねと、
前記ばね内へと上方に延在する、前記ハウジング内の支持ステムであって、前記ばねが前記支持ステムを取り囲み、前記支持ステムが、前記先端部の前記第2の部分と、前記ハウジングの近位端との間に位置している、支持ステムと、
を備え、支持部が、前記ハウジングに螺合可能に連結される、リフトピンシステム。
【請求項2】
前記複数のピンは、前記ウエハ支持体を通って延在する、請求項1に記載のリフトピンシステム。
【請求項3】
前記第2の部分はフランジを含み、前記ばねの第1の端部は、前記フランジに当接する、請求項1に記載のリフトピンシステム。
【請求項4】
記ばねの第2の端部が、前記支持部に直接物理的に連結される、請求項1に記載のリフトピンシステム。
【請求項5】
前記ばねの前記第1の端部は、前記先端部の前記第2の部分の周囲に延在する、請求項に記載のリフトピンシステム。
【請求項6】
静電チャックを通って延在する複数の支持アームを含む支持構造と、
前記複数の支持アームに連結されたハウジングと、
前記ハウジングを通って延在する先端部であって、
前記ハウジングの開口部を通って延在する第1の部分と、
前記第1の部分から延在する第2の部分であって、前記ハウジング内に位置する第2の部分と、
を含む、先端部と、
前記ハウジング内のばねであって、前記先端部に対して付勢するとともに、前記ばねの第1の端部が前記第2の部分に当接する、ばねと、
前記ばね内へと上方に延在する、前記ハウジング内の支持ステムであって、前記ばねが前記支持ステムを取り囲み、前記支持ステムが、前記先端部の前記第2の部分と、前記ハウジングの近位端との間に位置している、支持ステムと、
を備え、前記先端部は、前記静電チャックの上面の上方に延在し、前記複数の支持アームは、前記ハウジングと直接螺合可能に連結される、リフトピンアセンブリ。
【請求項7】
静電チャックを通って延在する複数の支持アームを含む支持構造と、
前記複数の支持アームに螺合可能に連結されたハウジングと、
前記ハウジングを通って延在する先端部であって、前記静電チャックの上面の上方に延在するとともに、
前記ハウジングの開口部を通って延在する第1の部分と、
前記第1の部分から延在する第2の部分であって、前記ハウジング内に位置する第2の部分と、
を含む、先端部と、
前記ハウジング内のばねであって、前記先端部に対して付勢するとともに、前記ばねの第1の端部が前記第2の部分に当接する、ばねと、
前記ばね内へと上方に延在する、前記ハウジング内の支持ステムであって、前記ばねが前記支持ステムを取り囲み、前記支持ステムが、前記先端部の前記第2の部分と、前記ハウジングの近位端との間に位置している、支持ステムと、
を備える、リフトピンアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本願は、「Lift Pin System for Wafer Handling」と題され、2018年1月9日に出願された米国特許仮出願第62/615,211号の優先権を主張するもので、そのすべての内容は参照により本願に組み込まれている。
【0002】
[0002] 本開示の実施形態は、概して、ウエハ操作に関し、より具体的には、ウエハ操作用にカスタマイズされたリフトピンシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 基板上のいくつかのデバイスの形成は、物理的気相堆積(PVD)チャンバのような、堆積チャンバ内で堆積された複数の薄膜層を含む。いくつかの実施形態では、基板は、良好な膜均一性を得るために、堆積処理中に回転される。いくつかの層の堆積はまた、加熱される基板を含んでもよい。さらに、堆積処理は、高真空圧を含む。静電チャックは、堆積処理中に基板支持体上に基板を静電的に保持するためにしばしば使用される。セットアップ中に、3つ以上のリフトピン上に支持されたウエハなどの基板は、静電チャックの突起またはリフトピン上に降ろされる。その後、静電チャックの電源または電圧がオンになる。
【0004】
[0004] 現在のリフトピンアセンブリは、1つまたは複数の先端部の保守および/または交換では、処理チャンバからの完全な取り外しを含むため、ツールの稼働停止という結果になる。さらに、現在のリフトピンアセンブリは、カスタマイズ可能ではなく、焦点のぼけとデチャッキングの問題に悩まされている。本開示が提供されるのは、現在のアプローチのこのような不備に関してである。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 第1の実施形態では、リフトピンシステムは、ウエハ支持体と、ウエハ支持体に連結されたリフトピンアセンブリとを含みうる。リフトピンアセンブリは、複数のピンを含んでもよく、複数のピンの各々は、ハウジングを通って延在する先端部を有し、ハウジングは、支持アームに連結されている。複数のピンの各々は、ハウジング内にばねをさらに含んでもよく、ばねは先端部に対して付勢する。
【0006】
[0006] 第2の実施形態では、リフトピンアセンブリは、静電チャックを通って延在する複数の支持アームを含む支持構造と、複数の支持アームに連結されたハウジングとを含みうる。リフトピンアセンブリは、ハウジングを通って延在する先端部と、ハウジング内にばねとをさらに含んでもよく、ばねは先端部に対して付勢する。
【0007】
[0007] 第3の実施形態では、リフトピンアセンブリは、静電チャックを通って延在する複数の支持アームを含む支持構造と、複数の支持アームに連結されたハウジングとを含みうる。リフトピンアセンブリは、ハウジングを通って延在する先端部をさらに含んでもよく、先端部は、静電チャックの上面の上方に延在する。リフトピンアセンブリは、ハウジング内にばねをさらに含んでもよく、ばねは先端部に対して付勢する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の特定の態様によるリフトピンシステムの側面断面図を示す。
図2】本開示の特定の態様による図1のリフトピンシステムのリフトピンアセンブリの斜視図を示す。
図3】本開示の特定の態様による図1のリフトピンシステムのピンの側面断面図を示す。
図4】本開示の特定の態様による図1のリフトピンシステムのピンの別の側面断面図を示す。
図5】本開示の特定の態様による別のピンの側面断面図を示す。
図6】本開示の特定の態様によるリフトピンシステムの側面断面図を示す。
図7】本開示の特定の態様による図6のリフトピンシステムのリフトピンアセンブリの斜視図を示す。
図8】本開示の特定の態様による図6のリフトピンシステムのピンの側面断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0016] 図面は、必ずしも縮尺どおりではない。図面は、単なる表現であり、本開示の特定のパラメータを描写することを意図していない。さらに、図面は、本開示の例示的な実施形態を示すことを意図しており、したがって、範囲を限定するものとは見なされない。
【0010】
[0017] さらに、図面のいくつかにおける特定の要素は、説明を明確にするために、省略されるか、または縮尺通りには図示されていないことがある。断面図は、「スライス」または「近接して見た」断面図の形態の場合があり、説明を明確にするために、「真の」断面図では見えている特定の背景線を省略することがある。さらに、明確にするために、いくつかの参照番号は、いくつかの図面では省略されることがある。
【0011】
[0018] これ以降、本開示による様々なアプローチを、方法の実施形態が示されている添付の図面を参照して、より完全に説明する。アプローチは、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載された実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が詳細かつ完全であり、システムおよび方法の範囲を当業者に完全に伝えるように提供されている。
【0012】
[0019] 便宜上および明確にするために、「上部(top)」、「底部(bottom)」、「上方(upper)」、「下方(lower)」、「垂直(vertical)」、「水平(horizontal)」、「横方向(lateral)」、および「縦方向(longitudinal)」などの用語は、本明細書では、図に見られるようなデバイスの構成要素の幾何学的形状および配向に関し、これらの構成要素およびそれらの構成部品(constituent parts)の相対的な配置および配向を説明するために使用される。用語は、具体的に言及された単語、その派生語、並びに同様の意味および/または意義の単語を含む。
【0013】
[0020] 本明細書で使用されるように、単数形で示され、「a」または「an」という語に続く要素または動作は、そのような除外が明示的に示されるまで、複数の要素または動作を含むものとして理解されたい。さらに、本開示の「一実施形態」への言及は、限定を意図するものではない。追加の実施形態も、示された特徴を組み込むことができる。
【0014】
[0021] さらに、「およそ(approximate)」または「近似的に(approximately)」という用語は、いくつかの実施形態では同義的に使用することができ、当業者によって許容される任意の相対的尺度を使用して説明することができる。例えば、これらの用語は、意図された機能を依然として提供する程度の逸脱を示すために、基準パラメータとの比較の役割を果たすことができる。限定するものではないが、基準パラメータからの逸脱は、例えば、1%未満、3%未満、5%未満、10%未満、15%未満、20%未満などの値になりうる。
【0015】
[0022] リフトピンシステムおよびリフトピンアセンブリが開示される。1つまたは複数のアプローチでは、リフトピンシステムは、静電チャックまたはプラテンと、静電チャックまたはプラテンに連結されたリフトピンアセンブリとを含む。リフトピンアセンブリは、複数のピンを含んでもよい。複数のピンの各々は、ハウジングを通って延在する先端部と、ハウジング内のばねとを含んでもよく、ばねは先端部に対して付勢する。複数のピンは、それぞれ、ハウジングに連結された支持アームを含んでもよい。いくつかのアプローチでは、ハウジングは、支持アームと螺合可能に連結され、交換を容易にするため、静電チャックまたはプラテンの上面より上方の各ピンの先端部へのアクセスが可能である。交換可能な先端部は、特定の処理またはウエハ特性に応じて、ピン先端部の幾何学的形状、材料、ばね力などのより容易なカスタマイズをさらに可能にする。
【0016】
[0023] 以下に説明するように、本明細書において提供されるのは、静電チャック(ESC)上のウエハを取り扱うための新しいリフトピン機構設計である。リフトピン機構は、特定のばねおよびリフトピン先端部を装填した交換可能なアセンブリばねであってもよい。リフトピン先端部は、ばねに溶接可能な任意の材料で作ることができる。リフトピン先端は、リフトピンのユーザ、処理、または目的に応じて、事実上どのような先端部形状であってもよい。非限定的な一実施形態では、リフトピンのハウジング内側での金属と金属の接触を防止して、粒子生成を低減するため、リフトピンは三角形の形状になっている。ばねは、パルスDCバイアスRFプラズマ処理中の電気的導通(electrical continuity)を目的として、背面力接触(backside force contact)を提供することができる。いくつかのアプローチでは、ばねは、DCバイアスのための電気的導通を改善するためにリフトピン先端部にレーザー溶接され、リフトピン先端部アセンブリの導電性ベースに機械的に(例えば、ねじによって)固定されてもよい。ねじは、リフトピン先端部アセンブリを導電性リフトピン支持アセンブリに固定することができる。
【0017】
[0024] 使用中、例えば、支持アセンブリがウエハの装填/取出のための「上方」位置にあるときに、ねじはESC表面の上方でアクセス可能になりうる。リフトピン先端部は、リフトピン支持アセンブリに螺合または圧入されたハウジングを含むことができる。ハウジングは、リフトピン先端部をプラズマ見通し線から覆うのを助け、リフトピンとばねを意図した方向に誘導するのを助ける。
【0018】
[0025] いくつかのアプローチでは、ばねは、リフトピンアセンブリのハウジング内に取り付けられる。例えば、ばねの底部タング(bottom tang)をハウジング内部のベースに機械的に固定して、電気的導通を維持し、組立設置中にばねを所定の位置に固定することができる。他のアプローチでは、非金属ピン先端部を溶接可能なピンホルダーに圧入することができ、溶接可能なピンホルダーはばねにレーザー溶接されている。
【0019】
[0026] リフトピン先端部は、ピン先端部の幾何学的形状および材料を変更することによって、ツール、処理および/またはユーザごとにカスタマイズすることができる。例えば、背面絶縁層を貫通するために、より鋭い先端部を選択してもよい。逆に、背面の損傷を避けるため、より平坦な先端部を使用してもよい。ばねは、例えば、どれだけの背面力接触が意図されるかに応じて、ツール、処理および/またはユーザごとにカスタマイズすることもできる。例えば、背面絶縁層を貫通する場合、より大きなばね力が選択されうる。ウエハの背面の損傷を避けるため、より小さなばね力を選択してもよい。本明細書に開示されるリフトピンアセンブリは、ユニバーサルサポートアセンブリ、および交換可能なリフトピン先端部を使用して、そのような方法で作動することを意図している。リフトピン先端部は、意図された頻度で交換することができ、および/または処理の間で切り替えることができる。
【0020】
[0027] いくつかの実施形態では、先端部は、ESC/プラテン/表面の上方でアクセス可能であり、チャンバの下方にアクセスする必要がないため、余計な労力/機械的支持/ツールの稼働停止は要求されない。有利には、先端部は、チャンバから追加の部品を取り除くことなく、取り外し、取り付けが可能である。リフトピン先端部アセンブリはさらに、(例えば、オペレータのエラーを回避するため)反復可能な設置処理を可能にする。1つの非限定的な実施例では、ツールの稼働停止は、およそ1日からおよそ1時間に短縮されうる。本開示の実施形態はまた、例えば、0.3lbf~1.8lbfから0.45lbf~0.55lbf(または、それ以上)の範囲で、ばね力の再現性を改善することができる。
【0021】
[0028] 次に図1図2を参照して、本開示の実施形態によるリフトピンシステム(以下、「システム」)100をより詳細に説明する。図に示すように、システム100は、ウエハ支持体102と、ウエハ支持体102に連結されたリフトピンアセンブリ104とを含んでもよい。いかなる特定のタイプまたは形状にも限定されないが、ウエハ支持体102は、これ以降、静電チャックとして記述される。静電チャックは、物理的気相堆積、エッチング、または化学気相堆積などの様々な用途で使用される処理チャンバ内での基板処理中に、半導体ウエハなどの基板を保持することができる。他の実施形態では、ウエハ支持体102はプラテンであってもよい。静電チャックは、静電クランプ場を生成するための誘電体または半導体セラミック材料を含む一体型チャック本体内に埋め込まれた1つまたは複数の電極を含んでもよい。例えば、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、または金属酸化物がドープされた酸化アルミニウムなどの半導電性セラミック材料を使用して、ジョンセン・ラーベック(Johnsen-Rahbek)または非クーロン静電クランプ場を生成することが可能になりうる。
【0022】
[0029] 単極静電チャックでは、チャックは、印加電圧によって基板に対して電気的にバイアスされた単一の電極を備える。プラズマを処理チャンバ内に導入し、チャックおよび基板内に対向する静電荷を誘導して、基板をチャックに静電的に保持するための静電引力を生成する。双極静電チャックでは、チャックは、基板をチャックに保持するための静電力を提供するために、互いに対して電気的にバイアスされた2つの電極を備える。単極静電チャックとは異なり、双極チャックは、静電クランプ力を発生させるためにプラズマの存在を必要としない。
【0023】
[0030] 静電チャックは、機械的クランプ装置および真空チャックと比較して、いくつかの利点を提供する。例えば、静電チャックは、機械的クランプによって引き起こされる応力誘起クラックを減少させ、処理のために基板のより大きな領域を露出させることを可能にし(エッジ除外がほとんどないか、全くない)、低圧環境または高真空環境で使用することができる。加えて、静電チャックは、基板をチャッキング表面に対してより均一に保持して、基板温度に対するより大きな制御を可能にすることができる。この制御は、チャックと基板との間の熱的結合のために熱伝達ガスを使用することによって、さらに強化されてもよい。
【0024】
[0031] 集積回路の製造に用られる種々の処理は、基板処理のための高温および広い温度範囲を含みうる。そのような温度は、およそ20℃~およそ150℃の範囲であってもよく、いくつかの処理では300℃~500℃、あるいはこれを超える高温であってもよい。したがって、多くの場合、広範囲の温度にわたって動作可能な静電チャックを有することが望ましい。
【0025】
[0032] 静電チャックの利点を利用するために、静電チャックは、基板を加熱および冷却するため、およびチャック電極への電力の経路を確保するための様々な構成要素を含む、基板支持アセンブリの一部を形成してもよい。さらに、基板支持アセンブリは、基板バイアスを提供するため、およびプラズマ電力を供給するための構成要素も含んでもよい。その結果、静電チャックのセラミック本体は、いくつか例を挙げるならば、追加の電極と、加熱素子、ガスチャネル、および冷却剤チャネルなどの他の構成要素とを含んでもよい。また、静電チャックは、1つまたは複数の支持構成要素に取り付けられてもよい。
【0026】
[0033] さらに図1図2を参照すると、システム100のリフトピンアセンブリ104は、支持ベース114から延在する複数の支持アーム108、110、および112を含む支持構造106をさらに含んでもよい。図に示すように、複数の支持アーム108、110、および112は、例えば、開口部123を通ってウエハ支持体102内に延在している。任意の特定の形状または構成に限定されないが、支持ベース114は、その端部に対応する支持アームをそれぞれ含む3つの点を含んでもよい。いくつかの実施形態では、複数の支持アーム108、110、および112は、支持ベース114と一体に形成される。支持ベース114は、リフトピンアセンブリ104の上昇位置または下降位置に応じて、ウエハ支持体102の底面117に直接隣接して当接または位置するように構成された上面115を含んでもよい。支持ベース114は、支持ベース114をシャフト121に連結するファスナ119をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、支持ベース114は、シャフト121の周りを回転することができる。
【0027】
[0034] さらに示すように、複数の支持アーム108、110、および112のそれぞれに接続されるのは、それぞれのピン116、118、および120である。いくつかの実施形態では、複数のピン116、118、および120の各々は、例えば、螺合(threading)によって、対応する各支持アーム108、110、および112に直接物理的に連結されてもよい。具体的には、いくつかの実施形態では、複数のピン116、118、及び120のそれぞれに沿った雌ねじが、それぞれの支持アーム108、110、及び112の外側に沿った雄ねじに機械的に連結される。
【0028】
[0035] ここで図3図4を参照して、本開示の非限定的な実施形態によるリフトピンアセンブリ104の例示的なピン116をより詳細に説明する。図に示すように、ピン116は、近位端130及び遠位端132を有するハウジング128を含むことができる。先端部134は、ハウジング128の遠位端132の開口部136を通って延在することができる。近位端130において、ハウジング128は、支持アーム108を取り囲み、直接機械的に連結されてもよい。いくつかの実施形態では、先端部134は、ウエハ(図示せず)と係合するためにハウジング128の外側に延在する第1の部分138を含む。先端部134は、ハウジング128内に第2の部分140をさらに含むことができ、第2の部分140は、開口部136の直径よりも大きい/長い断面または直径を有するフランジ142を含む。このように、フランジ142は、ハウジング128の遠位端132に向かうピンの軸方向の動きを制限することができる。
【0029】
[0036] さらに示すように、ピン116は、ハウジング128の内部146に位置するばね144を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ばね144は、先端部134の第2の部分140を取り囲み、フランジ142と当接する第1の端部148を有する螺旋ばねである。いくつかの実施態様では、ばね144は、先端部134に直接溶接されてもよい。ばね144の第2の端部150は、ハウジング128内に位置するされたベース152に連結されてもよい。例えば、ベース152は、ハウジング128の遠位端132に向かってばね144内に延在する第1の部分154を含むことができる。ベース152は、第1の部分154から延在する第2の部分156をさらに含むことができ、第2の部分156は、ハウジング128の内部146でベース152の軸方向位置を維持するために、ハウジング128の内部ショルダ160と係合するための、第1の部分154よりも大きい断面を有する。
【0030】
[0037] いくつかの実施形態では、ばね144の第2の端部150は、ベース152に直接物理的に連結されてもよい。例えば、ばね144の底部タング162は、ベース152の内部チャネル164内に延在し、ねじなどのファスナ168のステム166の周りに延在することができる。いくつかの実施形態では、底部タング162は、ファスナ168およびベース152によって機械的に固定されて、電気的導通を維持し、ピン116の設置中にばね144を所定の位置に固定することができる。
【0031】
[0038] ここで図5を参照すると、本開示の非限定的な実施形態によるピンアセンブリ(例えば、図1図4のリフトピンアセンブリ104)の別の例示的なピン216が、より詳細に説明される。図に示すように、ピン216は、近位端230および遠位端232を有するハウジング228を含むことができる。先端部234は、ハウジング228の遠位端232の開口部236を通って延在することができる。近位端230において、ハウジング228は、支持アーム208を取り囲み、直接機械的に連結されてもよい。この実施形態では、ハウジング228は、支持アーム208の周りに圧入されてよく、ハウジング228の内面と支持アーム208の外面との間に摩擦シールを形成する1つまたは複数のOリング280を含むことができる。
【0032】
[0039] いくつかの実施形態では、先端部234は、ウエハ(図示せず)と係合するためにハウジング228の外側に延在する第1の部分238を含む。先端部234は、ハウジング228内に第2の部分240をさらに含むことができ、第2の部分240は、開口部236の直径よりも大きい/長い断面または直径を有するフランジ242を含む。このように、フランジ242は、ハウジング228の遠位端232に向かうピンの軸方向の動きを制限することができる。この実施形態では、第1の部分238および第2の部分240は、互いに連結された別個の構成要素であってもよい。さらに、いくつかの実施形態では、第1の部分238は、非金属/非導電性であってもよい。第1の部分238は、第2の部分240に圧入されてよく、第2の部分240は、ばね244にレーザー溶接される。
【0033】
[0040] さらに示すように、ピン216は、ハウジング228の内部246に位置するばね244を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ばね244は、先端の第2の部分240を取り囲み、フランジ242と当接する第1の端部248を有する螺旋ばねである。ばね244の第2の端部250は、ハウジング228内に位置するベース252に連結されてもよい。例えば、ベース252は、ハウジング228の遠位端232に向かってばね244内に延在する第1の部分254を含むことができる。ベース252は、第1の部分254から延在する第2の部分256をさらに含むことができ、第2の部分256は、ハウジング228の内部246でベース252の軸方向位置を維持するために、ハウジング228の内部ショルダ260と係合するための、第1の部分254よりも大きい断面を有する。
【0034】
[0041] いくつかの実施形態では、ばね244の第2の端部250は、ベース252に直接物理的に連結されてもよい。例えば、ばね244の底部タング262は、ベース252の内部チャネル264内に延在し、ねじなどのファスナ268のステム266の周りに延在することができる。いくつかの実施形態では、底部タング262は、ファスナ268およびベース252によって機械的に固定されて、電気的導通を維持し、ピン216の設置中にばね244を所定の位置に固定することができる。
【0035】
[0042] ここで図6図7を参照して、本開示の実施形態によるリフトピンシステム(以下、「システム」)300をより詳細に説明する。図に示すように、システム300は、ウエハ支持体302と、ウエハ支持体302に連結されたリフトピンアセンブリ304とを含んでもよい。いかなる特定のタイプまたは形状にも限定されないが、ウエハ支持体302は、半導体ウエハまたはプラテンなどの基板を保持するために使用される静電チャックであってもよい。
【0036】
[0043] システム300のリフトピンアセンブリ304は、支持ベース314から延在する複数の支持アーム308、310、および312を含む支持構造306をさらに含むことができる。図に示すように、複数の支持アーム308、310、および312は、例えば、一組の開口部323を通ってウエハ支持体302内に延在する。任意の特定の形状または構成に限定されないが、支持ベース314は、その端部に対応する支持アームをそれぞれ含む3つの点を含んでもよい。支持ベース314は、リフトピンアセンブリ304の上昇位置または下降位置に応じて、ウエハ支持体302の底面317に直接隣接して当接または位置するように構成された上面315を含んでもよい。支持ベース314は、支持ベース314をペデスタル327およびシャフト321に連結する複数のファスナ(例えば、ねじ)319をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、支持ベース314は、シャフト321の周りを回転することができる。
【0037】
[0044] さらに示すように、複数の支持アーム308、310、および312のそれぞれに接続されるのは、それぞれのピン316、318、および320である。いくつかの実施形態では、複数のピン316、318、および320のそれぞれは、例えば、螺合または圧入によって、対応する各支持アーム308、310、および312に物理的/機械的に直接連結されてもよい。具体的には、いくつかの実施形態では、複数のピン316、318、及び320のそれぞれに沿った雌ねじが、それぞれの支持アーム308、310、及び312の外側に沿った雄ねじに機械的に連結される。図7に最もよく示されているように、複数のピン316、318、および320の各々は、支持ベース314からの取り外しを可能にするために、1つまたは複数のツーリングフラット(tooling flats)331を含んでもよい。
【0038】
[0045] ここで図8を参照すると、本開示の非限定的な実施形態によるリフトピンアセンブリ304の例示的なピン316が、より詳細に説明される。図に示すように、ピン316は、近位端330および遠位端332を有するハウジング328を含むことができる。いくつかの実施形態では、近位端330は、支持ベース314の上面315まで延在することができる(図6図7)。先端部334は、ハウジング328の遠位端332の開口部336を通って延在することができる。近位端330において、ハウジング328は、支持アーム308を取り囲み、直接機械的に連結されてもよい。いくつかの実施形態では、先端部334は、ウエハ(図示せず)と係合するためにハウジング328の外側に延在する第1の部分338を含む。先端部334は、ハウジング328内に第2の部分340をさらに含むことができ、第2の部分340は、開口部336の直径よりも大きい/長い断面または直径を有するフランジ342を含む。このように、フランジ342は、先端部334がハウジング328の遠位端332から出るのを防止することができる。いくつかの実施形態では、第1の部分338は、第2の部分340に圧入されてもよい。図に示すように、第2の部分340は、ハウジング328の内部346を通って延在するシャフトであってもよい。第2の部分340は、支持アーム308に近接する近位端372と、ハウジング328の遠位端332まで延在する遠位端374とを有することができる。第2の部分340は、ピン316の動きを制限するために、内部ショルダ380と当接する第2のフランジ376を含んでもよい。
【0039】
[0046] さらに示すように、ピン316は、ハウジング328の内部346に位置するばね344を含んでもよい。いくつかの実施態様では、ばね344は、先端部334の第2の部分340を取り囲む第1の端部348を有し、第2のフランジ376と当接する螺旋ばねである。いくつかの実施態様では、ばね344は、先端部334の第2の部分340に直接溶接されてもよい。ばね344の第2の端部350は、ハウジング328内に延在する支持アーム308に当接してもよい。いくつかの実施形態では、支持アーム308は、ばね344の第2の端部350内に上方に延在する支持ステム382を含むことができる。
【0040】
[0047] いくつかの実施形態では、ばね344の第2の端部350は、支持アーム308に直接物理的に連結されてもよい。具体的には示されていないが、ばね344の底部タングは、支持アーム308の内部チャネル内に延在してもよい。ばね344の底部タングは、電気的導通を確保するために、その中に機械的に固定されるか、または他の方法で保持されてもよい。ピン316は、現場で使用するために圧入され、螺合されてもよく、ピン316は基本的に分離不可能なアセンブリとなる。
【0041】
[0048] 本明細書における実施形態の第1の利点には、定期的な処理中にピン先端部を静電チャック表面より上方で交換することができるため、ピン先端部の交換が容易であることが含まれ、その結果、稼働停止が低減される。本明細書の実施形態の第2の利点は、異なる処理/種、異なるデバイス/ウエハ(背面層)および温度範囲に対して異なるリフトピンを使用できることである。リフトピンは、処理、ユーザ、製品ラインなどに対してカスタマイズすることができる。本明細書の実施形態の第3の利点には、焦点のぼけの改善、すなわち、リフトピンの再現性がより高く、リフトピンの交換がより容易であることが含まれる。本明細書の実施形態の第4の利点には、カスタム材料およびリフトピン力を提供することによって、デチャッキング問題を軽減できることが含まれる。
【0042】
[0049] 本開示の特定の実施形態が本明細書に記載されているが、本開示は、当該技術分野が許す限り広い範囲内にあり、本明細書を同様に読むことができるため、本開示はこれに限定されない。したがって、上記の説明は、限定として解釈されるべきではない。むしろ、上記の説明は、特定の実施形態の例示にすぎない。当業者であれば、添付の請求権の範囲の趣旨および範囲内で、他の修正を想起するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8