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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】果汁含有アルコール飲料
(51)【国際特許分類】
   C12G 3/04 20190101AFI20240806BHJP
【FI】
C12G3/04
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021010019
(22)【出願日】2021-01-26
(65)【公開番号】P2022113971
(43)【公開日】2022-08-05
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100129458
【弁理士】
【氏名又は名称】梶田 剛
(72)【発明者】
【氏名】藤田 峻也
(72)【発明者】
【氏名】大本 哲也
(72)【発明者】
【氏名】米澤 知絵
(72)【発明者】
【氏名】生木 大志
【審査官】二星 陽帥
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103484327(CN,A)
【文献】特開2019-193602(JP,A)
【文献】特開2019-080545(JP,A)
【文献】国際公開第2009/017115(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/104660(WO,A1)
【文献】特開2016-154520(JP,A)
【文献】特開2019-097510(JP,A)
【文献】特開2011-142890(JP,A)
【文献】特開2020-092636(JP,A)
【文献】特開2020-188743(JP,A)
【文献】国際公開第2006/009252(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/064748(WO,A1)
【文献】特開2018-088867(JP,A)
【文献】特開2016-015935(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12G 3/04
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高甘味度甘味料を含有しない果汁含有アルコール飲料であって、
糖アルコールを除く単糖類及び二糖類の総含有量が0.5w/w%未満であり;
3以上の重合度を有する多糖類の総含有量が0.08w/v%以上であり;そして
クエン酸換算の酸度が0.1g/100ml以上であり、
ここで、前記多糖類が、難消化性デキストリン及びポリデキストロースからなる群から選択される少なくとも一種類のものである、前記飲料。
【請求項2】
果汁の総含有量が、果汁率換算で0.5w/w%以上である、請求項1に記載の飲料。
【請求項3】
果汁が柑橘類果汁である、請求項2に記載の飲料。
【請求項4】
果汁が混濁果汁である、請求項1~3のいずれか一項に記載の飲料。
【請求項5】
アルコール含有量が1~10v/v%である、請求項1~4のいずれか一項に記載の飲料。
【請求項6】
炭酸を含有する、請求項1~のいずれか一項に記載の飲料。
【請求項7】
果実及び/又は野菜の凍結粉砕浸漬酒を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の飲料。
【請求項8】
高甘味度甘味料を含有しない果汁含有アルコール飲料の製造方法であって、
当該飲料中の、糖アルコールを除く単糖類及び二糖類の総含有量を0.5w/w%未満に調整する工程;
当該飲料中の、3以上の重合度を有する多糖類の総含有量を0.08w/v%以上に調整する工程;及び
当該飲料におけるクエン酸換算の酸度を0.1g/100ml以上に調整する工程;
を含み、
ここで、前記多糖類が、難消化性デキストリン及びポリデキストロースからなる群から選択される少なくとも一種類のものである、前記方法。
【請求項9】
さらに、
果実及び/又は野菜の一種以上を凍結して凍結物を得る工程;
当該凍結物を微粉砕して凍結微粉砕物を得る工程;
当該微粉砕物をそのまま、又は解凍してペースト状にしてから、アルコール含有液に浸漬して浸漬酒を得る工程;及び
当該浸漬酒を他の原料と混合する工程;
を含み、前記飲料が当該浸漬酒を含む、請求項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高甘味度甘味料を含有しない果汁含有アルコール飲料に関する。具体的には、糖アルコールを除く単糖類及び二糖類の総含有量が低く、3以上の重合度を有する多糖類を特定量含有し、そしてクエン酸換算の酸度が一定値以上である前記飲料、及びそれに関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
果汁含有アルコール飲料は、アルコール飲料中に果汁を含有させることによって果汁の甘味、酸味及び香りを付与して、アルコール飲料のおいしさを向上させている。果汁含有アルコール飲料としては、例えば、グレープフルーツ、レモン、ライム、オレンジなどの柑橘類の果汁を含有させた商品や、梅、林檎、葡萄、苺などの果汁を含有させた商品が多く市販されている。そのような商品には、たとえばチューハイがある。
【0003】
果汁含有アルコール飲料を飲用すると、果実由来の甘味及び酸味、味のふくらみ等を楽しむことができる。果汁は、含有する糖質、クエン酸、アミノ酸等の成分によって味に厚み又はボディ感を付与し、アルコールの刺激感を軽減する効果を有し、美味しさの向上に有益である。
【0004】
近年では、消費者の健康指向が高まり、カロリーをできるだけ低下させた糖類ゼロのアルコール飲料が要求されている。例えば、特許文献1には、高甘味度甘味料と柑橘類果汁とを含む、糖類ゼロタイプのアルコール飲料が記載されている。ここでいう糖類は、単糖類又は二糖類であって、糖アルコールでないものを意味する。また、高甘味度甘味料を用いてカロリー及び糖質を抑えたアルコール飲料では、高甘味度甘味料に由来する甘味の後引きが課題として挙げられる。
【0005】
また、果汁含有アルコール飲料に関連して、特許文献2には、果汁感はあっても香味のべたつき感のない飲料を提供するための香味改善用組成物であって、リンゴ酸とクエン酸の配合比率が10:90~40:60であることを特徴とする、香味改善用組成物が開示されている。
【0006】
特許文献3には、果実などの凍結粉砕浸漬酒に関する開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2011-135837号公報
【文献】特開2013-126393号公報
【文献】WO2006/009252
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
糖類、糖類を含有する果汁、及び甘味料は、甘味や糖類等の成分によって飲料に厚み又はボディ感を付与し、さらに刺激感を軽減する効果も期待される。しかしながら、糖類の配合量が制限される糖類ゼロタイプのアルコール飲料では、それらの効果はあまり期待できない。したがって、糖類ゼロタイプのアルコール飲料には、果汁感や果実感が不足しがちであるだけでなく、アルコールによる刺激感が目立ちやすいという問題がある。この問題は、高甘味度甘味料を含まない場合にさらに深刻となる。
【0009】
本発明の課題は、高甘味度甘味料を含有しない、糖類ゼロタイプの果汁含有アルコール飲料において不足しがちな果実感を高めることである。本発明の他の課題は、高甘味度甘味料を含有しない、糖類ゼロタイプの果汁含有アルコール飲料において、アルコールの刺激感を低減させることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記の課題を解決するための手段について研究し、そのために3以上の重合度を有する多糖類が有効であることを見出した。また、クエン酸換算の酸度の値も影響することを見出した。
【0011】
本発明は、以下のものに関するが、これらに限定されない。
1.高甘味度甘味料を含有しない果汁含有アルコール飲料であって、
糖アルコールを除く単糖類及び二糖類の総含有量が0.5w/w%未満であり;
3以上の重合度を有する多糖類の総含有量が0.08w/v%以上であり;そして
クエン酸換算の酸度が0.1g/100ml以上である、
前記飲料。
2.果汁の総含有量が、果汁率換算で0.5w/w%以上である、1に記載の飲料。
3.果汁が柑橘類果汁である、2に記載の飲料。
4.果汁が混濁果汁である、1~3のいずれか一項に記載の飲料。
5.アルコール含有量が1~10v/v%である、1~4のいずれか一項に記載の飲料。
6.前記多糖類が食物繊維である、1~5のいずれか一項に記載の飲料。
7.前記食物繊維が、難消化性デキストリン及びポリデキストロースからなる群から選択される少なくとも一種類のものである、6に記載の飲料。
8.炭酸を含有する、1~7のいずれか一項に記載の飲料。
9.果実及び/又は野菜の凍結粉砕浸漬酒を含む、1~8のいずれか一項に記載の飲料。
10.高甘味度甘味料を含有しない果汁含有アルコール飲料の製造方法であって、
当該飲料中の、糖アルコールを除く単糖類及び二糖類の総含有量を0.5w/w%未満に調整する工程;
当該飲料中の、3以上の重合度を有する多糖類の総含有量を0.08w/v%以上に調整する工程;及び
当該飲料におけるクエン酸換算の酸度を0.1g/100ml以上に調整する工程;
を含む前記方法。
11.さらに、
果実及び/又は野菜の一種以上を凍結して凍結物を得る工程;
当該凍結物を微粉砕して凍結微粉砕物を得る工程;
当該微粉砕物をそのまま、又は解凍してペースト状にしてから、アルコール含有液に浸漬して浸漬酒を得る工程;及び
当該浸漬酒を他の原料と混合する工程;
を含み、前記飲料が当該浸漬酒を含む、10に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、糖類ゼロであり、かつ高甘味度甘味料を含有しないアルコール飲料において果実感を高めることができる。また、本発明は、そのような飲料において、アルコールの刺激感を低減することができる。ここで、「果実感」とは、果実の実がつまった味わいや果実本来の風味が感じられる自然な味わいを意味する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の果汁含有アルコール飲料、及び関連する方法について、以下に説明する。
(多糖類)
本発明の飲料は、3以上の重合度を有する多糖類を含有する。その総含有量は、0.08w/v%以上、好ましくは0.08~2.4w/v%、より好ましくは0.08~1.6w/v%、より好ましくは0.24~1.6w/v%である。当該多糖類の含有量がこの範囲にあると、果実感を十分に高めることができ、又はアルコールの刺激感を十分に低減することができる。
【0014】
当該多糖類は、3以上の分子の単糖がグリコシド結合した糖類を意味する。
そのような多糖類には、デンプンなどの消化性のものと、難消化性の食物繊維が含まれる。好ましい多糖類の例は、食物繊維、特に水溶性食物繊維であり、それには、ペクチン、キサンタンガム、大豆多糖類、グアーガム、アラビアガム、寒天、カラギナン、ポリデキストロース、及び難消化性デキストリンが含まれる。特に好ましい多糖類は、難消化性デキストリン、ポリデキストロースである。
【0015】
難消化性デキストリンは、デキストリンの一種であり、ヒトの消化酵素によって消化されにくい、難消化性のデンプン分解物である。これは、例えば、焙焼デキストリンをα-アミラーゼ及びグルコアミラーゼにより加水分解することなどにより得ることができる。また、本発明における難消化性デキストリンには、水素添加された還元難消化性デキストリンも含まれる。
【0016】
本明細書における「大豆多糖類」との用語は、大豆に由来する、ヘミセルロースを主成分として含む水溶性の食物繊維を意味する。当該大豆多糖類は、通常、大豆から豆腐などの大豆加工品を製造する過程で生成するおからなどの不溶性素材から、抽出・精製を経て製造することができる。
【0017】
グアーガムは、グアー豆から得られる水溶性の天然多糖類である。グアーガム分子の主鎖はマンノースで、側鎖はガラクトースで構成されており、ガラクトースとマンノースは1:2の比率で均一に存在する。
【0018】
アラビアガムは、アカシア属セネガル種(Acacia senegal)の樹脂から得られる多糖類である。アラビアガム分子はポリウロン酸と呼ばれる構造を有し、その主鎖はガラクトースで構成され、側鎖はガラクトース、アラビノース、ラムノース、グルクロン酸で構成されている。
【0019】
寒天は、テングサ(天草)、オゴノリなどの紅藻類の粘液質から得られる多糖類である。主成分はアガロース及びアガロペクチンである。
カラギナンは、紅藻類から抽出される多糖類であり、D-ガラクトースと硫酸から構成される。必ず硫酸基を有しており、その硫酸基の結合状態により、カッパカラギナン、イオタカラギナン、ラムダカラギナンの3つに分類される。いずれも本願発明において用いることができるが、好ましいカラギナンはカッパカラギナンとイオタカラギナンである。
【0020】
ポリデキストロースは、ブドウ糖とソルビトールを重合させて得られる、水溶性食物繊維である。
ペクチンは、多糖類の一種であり、その主な構成糖はガラクツロン酸とガラクツロン酸メチルエステルである。
【0021】
キサンタンガムは、多糖類の1つであり、グルコース2分子、マンノース2分子、グルクロン酸1分子からなる繰り返し単位を有する。
3以上の重合度を有する多糖類には、また、3~10の重合度を有する多糖類であるオリゴ糖も含まれる。それには、キシロオリゴ糖(キシロトリオース、キシロテトラオース、キシロペンタオース、キシロヘキサオース、キシロヘプタオース等)、マルトオリゴ糖(マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース、およびマルトヘプタオース等)のようなグルコオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖(ニゲロトリオース、ニゲロテトラオース、ニゲロペンタオース、ニゲロヘキサオース、ニゲロヘプタオース等)などが含まれるが、これらに限定されない。好ましいオリゴ糖は、キシロオリゴ糖、マルトオリゴ糖、グルコオリゴ糖などである。本発明の飲料には、一種類のオリゴ糖だけが含まれていてもよいし、二種以上のオリゴ糖が含まれていてもよい。複数種類のオリゴ糖の混合物が市販されており、それらを利用することもできる。
【0022】
本発明の飲料には、上記の多糖類のいずれか一種類だけが含まれていてもよいし、二種類以上が含まれていてもよい。
前記多糖類が上記の特定のものに限定される場合、限定された範囲の多糖類の含有量の合計の値も、上記と同じ範囲となる。
【0023】
当該多糖類の含有量の測定方法は特に限定されないが、例えばHPLCを用いることができる。例えば、ポリデキストロースや難消化性デキストリンの含有量は、衛新第13号(「栄養表示基準における栄養成分等の分析方法等について」)に記載の食物繊維の分析方法である高速液体クロマトグラフ法(酵素-HPLC法)で測定することができる。
【0024】
(酸度)
本発明の飲料における酸度は、クエン酸換算で0.1g/100ml以上、好ましくは0.2~0.6g/100ml、より好ましくは0.3~0.6g/100mlである。また、別の好ましい酸度は、0.4~0.6g/100mlである。酸度が前記の範囲にあると、果実感が十分に高まる。
【0025】
本明細書における「酸度」とは、飲料中の酸が全て一価の酸であると仮定して、その酸の総モル濃度をクエン酸量に換算した値を指す。これは、炭酸飲料の場合、脱気後の酸度を意味する。試料となる飲料中の酸の総モル濃度は、滴定などの公知の方法で測定することができ、例えば、試料が中性(pH8.2)となるまでに要した水酸化ナトリウムの添加量から算出することができる。詳しくは、試料10mLをホールピペットで200mLのビーカーに分取し、蒸留水を加えて液量を約100mLとし、当該液中にpHメーターの電極を挿入する。その後、当該液を撹拌しながら1/10N水酸化ナトリウム溶液をビュレットから滴下し、pHメーターの目盛りが8.2を示すところを終点とする。そして、終点に達するまでに要した水酸化ナトリウム溶液量から、試料中の酸の総モル濃度を求める。さらに、得られた酸の総モル濃度とクエン酸(確認のために記載するが、ここでは、遊離のクエン酸を意味する)の分子量及びカルボン酸の数を考慮して、以下の式に基づき試料中の総酸を算出する:総酸=試料中の酸の総モル濃度×(クエン酸の分子量/クエン酸のカルボン酸の数)。なお、滴定には自動滴定装置を用いてもよい。
【0026】
本発明の飲料が含有する酸の典型的な例は、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、リン酸、酒石酸などである。特に、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸が好ましい。
(果汁)
本発明の果汁含有アルコール飲料は、果汁を含有する。
【0027】
当該果汁の種類は、特に限定されないが、例えば、柑橘類(オレンジ、うんしゅうみかん、グレープフルーツ、レモン、ライム、柚子、いよかん、なつみかん、はっさく、ポンカン、シイクワシャー、かぼす、など)、仁果類(りんご、なし、など)、核果類(もも、梅、アンズ、スモモ、さくらんぼ、など)、しょうか類(ブドウ、カシス、ブルーベリー、など)、熱帯又は亜熱帯性果実類(パイナップル、グアバ、バナナ、マンゴー、ライチ、など)、果実的野菜(いちご、メロン、スイカ、など)の果汁が挙げられる。これらの果汁は、1種類を単独使用しても、2種類以上を併用してもよい。好ましい果汁は柑橘類果汁であり、より好ましくは、オレンジ、グレープフルーツ、及びレモンからなる群から選択される柑橘類果汁である。
【0028】
本発明の飲料における果汁の含有量は、特に限定されないが、果汁率換算で、好ましくは0.5w/w以上、より好ましくは1~8w/w%、より好ましくは4~8w/w%である。
【0029】
本発明では、飲料中の「果汁率」を飲料100ml中に配合される果汁配合量(g)を用いて下記換算式によって計算することとする。また濃縮倍率を算出する際はJAS規格に準ずるものとし、果汁に加えられた糖質、はちみつ等の糖用屈折計示度を除くものとする。
【0030】
果汁率(w/w%)=<果汁配合量(g)>×<濃縮倍率>/100mL/<飲料の密度>×100
なお、果汁は、果実を搾汁して得られる果汁をそのまま使用するストレート果汁、あるいは濃縮した濃縮果汁のいずれの形態であってもよい。また、透明果汁、混濁果汁を使用することもでき、果実の外皮を含む全果を破砕し種子など特に粗剛な固形物のみを除いた全果果汁、果実を裏ごしした果実ピューレ、或いは、乾燥果実の果肉を破砕もしくは抽出した果汁を用いることもできる。
【0031】
(アルコール)
本発明の果汁含有アルコール飲料は、アルコールを含有する。本明細書に記載の「アルコール」との用語は、特に断らない限りエタノールを意味する。
【0032】
アルコールはどのような手段で飲料に含有させてもよく、本発明の飲料は蒸留酒又は醸造酒を含有することができ、好ましくは蒸留酒を含有する。蒸留酒は、その原料や製造方法によって限定されない。当該蒸留酒としては、例えば、スピリッツ(例えば、ウオッカ、ラム、テキーラ、ジン、アクアビット、コルン)、ニュートラルスピリッツ、リキュール類、ウイスキー類(例えば、ウイスキー及びブランデー)、焼酎が挙げられる。
【0033】
本発明の飲料のアルコール含有量は、好ましくは1~10v/v%であり、より好ましくは3~10v/v%である。
本明細書においては、飲料のアルコール含有量は、公知のいずれの方法によっても測定することができるが、例えば、振動式密度計によって測定することができる。具体的には、飲料から濾過又は超音波によって炭酸ガスを抜いた試料を調製し、そして、その試料を直火蒸留し、得られた留液の15℃における密度を測定し、国税庁所定分析法(平19国税庁訓令第6号、平成19年6月22日改訂)の付表である「第2表 アルコール分と密度(15℃)及び比重(15/15℃)換算表」を用いて換算して求めることができる。
【0034】
本発明のアルコール飲料は、その種類は特に限定されないが、好ましくは、チューハイ(酎ハイ)、カクテル、サワーなどである。
チューハイ(酎ハイ)はもともとは焼酎ハイボールの略称である。現在ではその定義は様々であるが、一般的には、蒸留酒を別の飲料で割ったアルコール飲料を意味する。チューハイは、酒感、甘味、酸味、フルーツ感のバランスがとれたすっきりとした味わいを特徴とする。サワーも、蒸留酒を別の飲料で割ったアルコール飲料であり、さらに、柑橘類の果汁を含有する。カクテルは、ベースとなる酒に果汁等を混ぜて作るアルコール飲料である。
【0035】
(高甘味度甘味料)
本明細書において用いられる「高甘味度甘味料」との用語は、ショ糖に比べて強い甘味を有する(例えばショ糖の数倍から数百倍の甘味を有する)天然甘味料及び合成甘味料を意味する。そのような高甘味度甘味料としては、ペプチド系甘味料、例えばアスパルテーム、アリテーム等;配糖体系甘味料、例えばステビア甘味料(ステビア抽出物およびステビアを酵素処理してブドウ糖を付加した酵素処理ステビアおよびステビアの甘味成分の中で最も甘味質のよいレバウディオサイドAを含む)、カンゾウ抽出物等;蔗糖誘導体、例えばスクラロース等;合成甘味料、例えばアセスルファムK、サッカリン等が挙げられる。
【0036】
本発明の飲料は、高甘味度甘味料を含有しない。ここで、高甘味度甘味料を含有しないことは、ごく微量の高甘味度を含有することを排除するものではない。具体的には、飲料が高甘味度甘味料を含有しないことには、高甘味度甘味料が分析において検出限界未満であること、たとえば、10ppm未満であることが包含される。この濃度は、HPLC法などの公知の方法により測定することができる。
【0037】
(糖類ゼロ)
本発明のアルコール飲料は、健康増進法の栄養表示基準の規定における「糖類ゼロ」に相当するアルコール飲料である。具体的には、本発明の飲料に含まれる糖類(単糖類又は二糖類であって、糖アルコールでないもの)の量は、飲料100gあたり0.5g未満である。
【0038】
含有量が規制される単糖類としては、具体的には、ブドウ糖、果糖、D-キシロース、L-アラビノースを挙げることができる。また、含有量が規制される二糖類として、ショ糖、ラクトースを挙げることができる。
【0039】
本発明のアルコール飲料に含まれる糖類の量は、財団法人日本食品分析センターに依頼すれば知ることができる。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などの通常の方法によって測定することもできる。或いは、HPLCの具体的条件としては、例えば、以下の例を挙げることができる。
【0040】
使用機器:HP社 HP1100システム
使用カラム:LiChrospher100 NH2(5μm)(4mm×250mm)
移動相:アセトニトリル:水=75:25
流速:1.0mL/min
カラム温度:40℃
注入量:10μL
検出器:糖度示差屈折計(Shodex RI-71)
(炭酸ガス)
本発明の飲料は、炭酸ガスを含んでもよい。炭酸ガスは、当業者に通常知られる方法を用いて飲料に付与することができ、例えば、これらに限定されないが、二酸化炭素を加圧下で飲料に溶解させてもよいし、ツーヘンハーゲン社のカーボネーター等のミキサーを用いて配管中で二酸化炭素と飲料とを混合してもよいし、また、二酸化炭素が充満したタンク中に飲料を噴霧することにより二酸化炭素を飲料に吸収させてもよいし、飲料と炭酸水とを混合してもよい。これらの手段を適宜用いて炭酸ガス圧を調節する。
【0041】
本発明の飲料が炭酸ガスを含有する場合、その炭酸ガス圧は、特に限定されないが、好ましくは0.7~3.5kgf/cm、より好ましくは0.8~2.8kgf/cmである。本発明において、炭酸ガス圧は、京都電子工業製ガスボリューム測定装置GVA-500Aを用いて測定することができる。例えば、試料温度を20℃にし、前記ガスボリューム測定装置において容器内空気中のガス抜き(スニフト)、振とう後、炭酸ガス圧を測定する。本明細書においては、特に断りがない限り、炭酸ガス圧は、20℃における炭酸ガス圧を意味する。
【0042】
(凍結粉砕浸漬酒)
本発明の飲料は、果実及び/又は野菜の凍結粉砕浸漬酒を含んでもよい。その含有量は限定されないが、例えば、0.1v/v%以上、又は0.1~1v/v%である。
【0043】
果実及び/又は野菜の凍結粉砕浸漬酒は、原料となる果実及び/又は野菜の一種以上を凍結して凍結物を得る工程、当該凍結物を微粉砕して凍結微粉砕物を得る工程、当該微粉砕物をそのまま、又は解凍してペースト状にしてから、アルコール含有液に浸漬して得られる浸漬酒を意味する。
【0044】
当該凍結粉砕浸漬酒を製造するために用いられる果実は、限定されないが、例えば、果汁に関して上記した、柑橘類(オレンジ、うんしゅうみかん、グレープフルーツ、レモン、ライム、柚子、いよかん、なつみかん、はっさく、ポンカン、シイクワシャー、かぼすなど)、仁果類(りんご、なし、など)、核果類(もも、梅、アンズ、スモモ、さくらんぼ、など)、しょうか類(ブドウ、カシス、ブルーベリー、など)、熱帯又は亜熱帯性果実類(パイナップル、グアバ、バナナ、マンゴー、ライチ、など)、果実的野菜(いちご、メロン、スイカ、など)の果実が挙げられ、好ましくは柑橘類果実であり、より好ましくは、オレンジ、グレープフルーツ、及びレモンからなる群から選択される柑橘類果実である。
【0045】
当該凍結粉砕浸漬酒を製造するために用いられる野菜には、特別な場合を除き、葉茎菜類、果菜類(ただし、市場では果実として扱われているものを除く)、花菜類、根菜類のほか、豆類、食用の植物種子が含まれ、シソ、ショウガ、トウガラシ、ハーブ(例えば、ミント、レモングラス、コリアンダー、イタリアンパセリ、ローズマリー)、ワサビ等も含まれる。好ましい野菜の例は、トマト、セロリ、ニンジン、パセリ、ホウレン草、クレソン、ピーマン、レタス、キャベツ、ビート、ショウガ類(ショウガ、葉ショウガ)、シソ(青ジソ、赤ジソ)である。
【0046】
以下において、凍結粉砕浸漬酒に関して果実を例にして説明することがあるが、そのような説明は、特別な場合を除き、野菜にも当てはまる。
また、本明細書において、原料に関して「果実」、「野菜」というときは、特別な場合を除き、汁液および固形分を含む生の果実全体または野菜全体を指し、これらは、「果汁」や「野菜汁」と区別される。「果汁」や「野菜汁」との用語を用いる場合には、特別な場合を除き、圧搾等の工程によりあらかじめ得た果実または野菜の汁液を指し、これには、原料として果実及び/又は野菜の全体を用いた結果として最終製品等に含まれることとなる果実及び/又は野菜の汁液は包含されない。
【0047】
凍結工程においては、原料果実及び/又は野菜を凍結して固化する。凍結のために用いられる凍結機、凍結方法は、ともに限定されず、空気凍結法、エアブラスト凍結法、接触式凍結法、ブライン凍結法、液体窒素を用いる凍結法のいずれ用いてもよい。好ましい凍結方法は、液体窒素を用いる凍結法である。液体窒素の温度は-196℃である。凍結する温度は、用いる原料果実、野菜の脆下温度以下であることが好ましい。本明細書における「脆化温度」とは、対象物が低温で急激に脆化(脆く、破壊されやすくなる)する温度を意味する。脆化温度は、高分子などで実施される従来の方法を適用して決定することができる。
【0048】
凍結工程に供する果実及び野菜の大きさは、凍結機に投入可能であれば限定されない。しかしながら、なるべく短時間で凍結するためには小さくカットしたほうが適切な場合があり、なるべく傷めず、また空気に曝さずに凍結するためにはあまり切り分けないほうが適切な場合がある。果実及び野菜は、果皮および種子を含んだ全体を凍結工程に付すことができ、あるいは、非可食部や好ましくない成分を含む部分を除去してから凍結工程に付すこともできる。このような部分の除去は、凍結工程の後に行うこともできる。凍結工程を経て、果実又は野菜の凍結物を得ることができる。
【0049】
微粉砕工程では、当該凍結物を微粉砕する。この工程に用いる粉砕機、微粉砕方法は、ともに限定されない。微粉砕は、凍結物が固化している状態を保つように低温で、好ましくは液体窒素を用いた凍結条件下で行うことが好ましい。液体窒素の温度は-196℃である。微粉砕の程度は特に限定されないが、得られる微粉砕物の平均粒径が好ましくは約1μm~約1000μm、より好ましくは約1μm~200約μm、より好ましくは約1μm~約100μmとなるまで行う。なお、本明細書における平均粒径は、メディアン径(ふるい上分布曲線の50%に対応する粒径。中位径、または50%粒子径ともいう。)を意味する。微粉砕工程を経て、果実及び/又は野菜の凍結微粉砕物を得ることができる。
【0050】
得られた凍結微粉砕物を、次に、浸漬工程に付す。具体的には、凍結微粉砕物を、アルコール含有液に浸漬する。凍結微粉砕物は、そのまま浸漬工程に付してもよいし、解凍してペースト状にしてから付してもよい。浸漬工程温度は、熱をかけない限り特に限定されない。また、浸漬期間も限定されないが、典型的には、約半日~数カ月、又は約1日間~約3日間であり、数カ月であってもよい。
【0051】
アルコール含有液とは、飲用可能、又は食品製造に用いることができるエタノールを含む液体を意味し、それは水を含有してもよい。典型的には、アルコール含有液はエタノールと水の混合液であり、それには、前記の蒸留酒や醸造酒が包含される。この工程においては、好ましくは、アルコール含有液は、上記に例示されたものを含む蒸留酒である。この工程に用いるアルコール含有液のアルコール含有量は、好ましくは、約15v/v%~約100v/v%のものを用い、好ましくは約25v/v%~約60v/v%である。
【0052】
浸漬比も限定されないが、典型的には、アルコール含有液1Lに対して凍結微粉砕物約1g~約500g、約5g~約300g、又は約10g~約200gである。
浸漬工程を経て、凍結粉砕浸漬酒である浸漬酒が得られる。浸漬酒は、そのまま用いてもよいし、ろ過を通じて固形物を除いてから用いてもよい。
【0053】
本発明の飲料の製造のためには、当該凍結粉砕浸漬酒を、他の材料と混合すればよい。
(他の成分)
本発明における飲料には、他にも、本発明の効果を損なわない限り、飲料に通常配合する添加剤、例えば、香料、ビタミン、色素類、酸化防止剤、保存料、調味料、エキス類、pH調整剤、品質安定剤等を配合することができる。
【0054】
(容器詰め飲料)
本発明の飲料は、容器詰めの形態で提供することができる。容器の形態には、缶等の金属容器、ペットボトル、紙パック、瓶、パウチなどが含まれるが、これらに限定されない。例えば、本発明の飲料を容器に充填した後にレトルト殺菌等の加熱殺菌を行う方法や、飲料を殺菌して容器に充填する方法を通じて、殺菌された容器詰め製品を製造することができる。
【0055】
(製造方法)
本発明は、別の側面では、高甘味度甘味料を含有しない果汁含有アルコール飲料の製造方法である。当該方法は、
当該飲料中の、糖アルコールを除く単糖類及び二糖類の総含有量を0.5w/w%未満に調整する工程;
当該飲料中の、3以上の重合度を有する多糖類の総含有量を0.08w/v%以上に調整する工程;及び
当該飲料におけるクエン酸換算の酸度を0.1g/100ml以上に調整する工程;
を含む。
【0056】
飲料中の各成分の含有量を調整する方法は、当該飲料に関する上の記載から自明である。そのタイミングも限定されない。例えば、上記工程を同時に行ってもよいし、別々に行ってもよいし、工程の順番を入れ替えてもよい。最終的に得られた飲料が、上記の条件を満たせばよい。また、各成分の種類や含有量の好ましい範囲は、飲料に関して上記した通りである。また、追加される他の成分の具体例や量も、飲料に関して上記した通りである。
【0057】
また、当該製造方法は、さらに、
果実及び/又は野菜の一種以上を凍結して凍結物を得る工程;
当該凍結物を微粉砕して凍結微粉砕物を得る工程;
当該微粉砕物をそのまま、又は解凍してペースト状にしてから、アルコール含有液に浸漬して浸漬酒を得る工程;及び
当該浸漬酒を他の原料と混合する工程;
を含んでもよい。その場合、前記飲料は当該浸漬酒を含む。
【0058】
本発明の製造方法は、高甘味度甘味料を含有しない果汁含有アルコール飲料において果実感を高めることができ、または、アルコールの刺激感を低減できる。従って、当該製造方法は、別の側面では、高甘味度甘味料を含有しない果汁含有アルコール飲料において果実感を高める、または、アルコールの刺激感を低減させる方法である。
【0059】
(数値範囲)
明確化のために記載すると、本明細書において下限値と上限値によって表されている数
値範囲、即ち「下限値~上限値」は、それら下限値及び上限値を含む。
【実施例
【0060】
以下に実施例に基づいて本発明の説明をするが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。
(試験例1) 糖類ゼロの場合に生じる問題と、多糖類の影響
高甘味度甘味料を用いずに、糖類(単糖類又は二糖類であって、糖アルコールでないもの)の含有量を変動させ、いわゆる糖類ゼロの範囲に低下させた場合に生じる、果実感の低下を確認した。また、アルコールの刺激感の上昇も確認した。そして、糖類ゼロの飲料に対する多糖類の効果を検討した。
【0061】
具体的には、所定量のレモン果汁、クエン酸、ニュートラルスピリッツを、種々の量の糖類(用いない場合もある)と水と混合し、全量が等しい三つの飲料を調製した。それらの糖類の量は1g/100ml、0.5g/100ml、0g/100mlであった(A-1からA-3)。これらの飲料において、レモン果汁の量は果汁率換算で1w/w%であり、酸度はクエン酸換算で0.1g/100mlであり、アルコール含有量は7v/v%であった。用いた糖類は果糖ブドウ糖液糖であった。
【0062】
次いで、多糖類を加えたことを除いて、糖類の含有量が0g/100mlである飲料(A-3)と同じ飲料を複数調製した(A-4からA-11)。用いた多糖類は、ポリデキストロース(ダニスコ株式会社のライテス)である。
【0063】
各飲料の糖類と多糖類の含有量を以下の表に示す。なお、表に記載の多糖類の量は、ライテス中のポリデキストロースの含有量とライテスの使用量とから求めた値である。
得られた飲料について訓練された5名のパネラーが官能評価を実施した。評価項目は、果実感と、アルコール感及び/又は酒感の低減(アルコールの刺激感の低減に対応する)、及び総合評価である。飲料A-3(糖類も多糖類も含まれていない飲料)を基準として、アルコール感及び/又は酒感の低減の度合いを評価した。それらの評価基準は以下のとおりである。特に記載がない限り、全ての試験例で当該評価基準を用い、同じ5名のパネラーが試験をした。なお、評価に先立って、各スコアと、それに対応する基準飲料を用いて、各スコアに関する共通認識を形成した。
【0064】
(果実感)
1: 果実感がない
2: 果実感がわずかにある
3: 果実感がある
4: 果実感が優れている
5: 果実感が非常に優れている
(アルコール感及び/又は酒感の低減)
1: アルコール感、酒感の低減なし
2: アルコール感、酒感の低減がわずかにある
3: アルコール感、酒感の低減がある
4: アルコール感、酒感の低減が大きい
5: アルコール感、酒感の低減が非常に大きい
5名のパネラーから得られたスコアの平均値を、他の情報と共に以下の表に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
高甘味度甘味料を用いずに、糖類の含有量を低下させると、果実感が低下し、アルコールの刺激感が上昇した。それに対して、多糖類を添加すると、果実感を向上し、そしてアルコールの刺激感を低減することができた。
【0067】
(試験例2) 酸度の影響
酸度の影響を検討した。
具体的には、試験例1のA-6と同じ材料を用いて、高甘味度甘味料を用いずに、酸度だけが異なる複数の飲料を調製した。酸度はクエン酸を用いて調整した。得られた全ての飲料において、糖類の含有量は0g/100mlであり、レモン果汁の含有量は果汁率換算で1w/w%であり、多糖類(ポリデキストロース)の含有量は0.08w/v%であり、アルコール含有量は7v/v%であった。
【0068】
以下の表に、得られた飲料の酸度と、実施した官能評価の結果を示す。酸度が高まると高い効果が得られた。
【0069】
【表2】
【0070】
(試験例3) 果汁量の影響
果汁量の影響を検討した。
具体的には、試験例1のA-6と同じ材料を用いて、高甘味度甘味料を用いずに、果汁量だけが異なる複数の飲料を調製した。得られた全ての飲料において、糖類の含有量は0g/100mlであり、多糖類(ポリデキストロース)の含有量は0.08w/v%であり、クエン酸換算の酸度は0.4g/100mlであり、アルコール含有量は7v/v%であった。
【0071】
以下の表に、得られた飲料におけるレモン果汁の果汁率換算の含有量と、実施した官能評価の結果を示す。
【0072】
【表3】
【0073】
(試験例4) 多糖類の種類
多糖類の種類の影響を検討した。
具体的には、多糖類を変化させること以外は、試験例1のA-6と同じ材料を用いて、高甘味度甘味料を用いずに複数の飲料を調製した。得られた全ての飲料において、糖類の含有量は0g/100mlであり、レモン果汁の果汁率換算の含有量が1w/w%であり、多糖類の含有量は0.1w/v%であり、クエン酸換算の酸度は0.1g/100mlであり、アルコール含有量は7v/v%であった。使用した多糖類は、ポリデキストロース(ライテス)、難消化性デキストリン(三和澱粉工業株式会社、サンデック#150)、オリゴ糖(日本食品化工株式会社、フジオリゴ#360)、ペクチン(三晶株式会社、GENU pectin type JM-150-J)、キサンタンガム(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社、(ST)サンエース E-S)であった。
【0074】
以下の表に、使用した多糖類と、実施した官能評価の結果を示す。いずれの多糖類でも効果が得られた。
【0075】
【表4】
【0076】
(試験例5) 果汁の種類
果汁の種類の影響を検討した。
具体的には、果汁の種類を変化させること以外は、試験例1のA-6と同じ材料を用いて、高甘味度甘味料を用いずに複数の飲料を調製した。得られた全ての飲料において、糖類の含有量は0g/100mlであり、果汁の果汁率換算の含有量が3w/w%であり、多糖類(ポリデキストロース)の含有量は0.24w/v%であり、クエン酸換算の酸度は0.3g/100mlであり、アルコール含有量は7v/v%であった。用いた果汁は、レモン果汁、グレープフルーツ果汁、桃果汁であった。
【0077】
以下の表に、使用した果汁の種類及び多糖類の量と、実施した官能評価の結果を示す。いずれの果汁を用いても効果が見られた。
【0078】
【表5】
【0079】
(試験例6) 凍結粉砕浸漬酒の影響
凍結粉砕浸漬酒(FCI)の添加の影響を検討した。
具体的には、凍結粉砕浸漬酒を所定量添加すること以外は、試験例1のA-6と同じ材料を用いて、高甘味度甘味料を用いずに複数の飲料を調製した。得られた全ての飲料において、糖類の含有量は0g/100mlであり、果汁の果汁率換算の含有量が1w/w%であり、多糖類(ポリデキストロース)の含有量は0.08w/v%であり、クエン酸換算の酸度は0.1g/100mlであり、アルコール含有量は7v/v%であった。用いた凍結粉砕浸漬酒は、レモンを凍結後、脆化温度以下で微粉砕し、アルコール含有液に浸漬して得た。
【0080】
以下の表に、使用した凍結粉砕浸漬酒の量と、実施した官能評価の結果を示す。凍結粉砕浸漬酒を添加すると効果が高まった。
【0081】
【表6】