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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】管体の製造装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/58 20060101AFI20240806BHJP
   B29C 49/04 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
B29C49/58
B29C49/04
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021064257
(22)【出願日】2021-04-05
(65)【公開番号】P2022159830
(43)【公開日】2022-10-18
【審査請求日】2023-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岸田 知之
(72)【発明者】
【氏名】勝亦 昭文
(72)【発明者】
【氏名】光田 崇
(72)【発明者】
【氏名】宇佐見 公章
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-194934(JP,A)
【文献】特開2006-046407(JP,A)
【文献】特開平04-323021(JP,A)
【文献】特開平05-104524(JP,A)
【文献】特開2000-176997(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0099840(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 48/00-48/96
B29C 49/00-49/46
B29C 49/58-49/68
B29C 49/72-51/28
B29C 51/42
B29C 51/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状ないし管状に成形された管体の製造装置であって、
成形型と、
前記成形型内に筒状の溶融樹脂を押し出す溶融樹脂押出装置と、
前記溶融樹脂押出装置から押し出された筒状の溶融樹脂をガイドするガイド部と、
前記ガイド部でガイドされた筒状の溶融樹脂の内部にブロー気体を送気するブロー気体供給路と、を備え、
前記ガイド部は、下流に向かうにつれて外側に拡がるように形成されており、
前記ブロー気体供給路は、前記ガイド部に沿って押し出される筒状の溶融樹脂の角度に合わせて外側に向けて傾斜した方向で前記筒状の溶融樹脂の内部にブロー気体を送気するようになっていることを特徴とする製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載の管体の製造装置において、
前記ブロー気体供給路は、前記溶融樹脂押出装置の押し出し方向に対して傾斜した方向にブロー気体を送気する傾斜供給路を含んでいることを特徴とする製造装置。
【請求項3】
請求項2に記載の管体の製造装置において、
前記ブロー気体供給路における前記傾斜供給路は、前記溶融樹脂押出装置の押し出し方向に延びる上流側の中央導入路から分岐するように形成されていることを特徴とする製造装置。
【請求項4】
請求項3に記載の管体の製造装置において、
前記ブロー気体供給路における前記傾斜供給路は、前記中央導入路周りの複数箇所に形成されていることを特徴とする製造装置。
【請求項5】
請求項1に記載の管体の製造装置において、
前記ブロー気体供給路は、前記溶融樹脂押出装置の押し出し方向にブロー気体を送気する中央供給路と、前記溶融樹脂押出装置の押し出し方向に対して傾斜した方向にブロー気体を送気する傾斜供給路と、を含んでいることを特徴とする製造装置。
【請求項6】
請求項5に記載の管体の製造装置において、
前記ブロー気体供給路における前記傾斜供給路は、前記中央供給路から分岐するように形成されていることを特徴とする製造装置。
【請求項7】
請求項6に記載の管体の製造装置において、
前記ブロー気体供給路における前記傾斜供給路は、前記中央供給路周りの複数箇所に形成されていることを特徴とする製造装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の管体の製造装置において、
前記溶融樹脂押出装置の下流側端面に、前記ガイド部及び前記ブロー気体供給路が形成されたガイドアタッチメントが取り付けられていることを特徴とする製造装置。
【請求項9】
請求項8に記載の管体の製造装置において、
前記ガイドアタッチメントは、外周面が前記ガイド部とされるとともに、内部に前記ブロー気体供給路が形成されていることを特徴とする製造装置。
【請求項10】
請求項1から7のいずれか一項に記載の管体の製造装置において、
前記ガイド部の下流側端部の外径は、前記溶融樹脂押出装置の外径よりも小さくされていることを特徴とする製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コルゲートチューブ等の管体の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のコルゲートチューブの製造方法として、例えば、特許文献1には、蛇腹状内周面を有するトンネル状の移動成形空間内にノズルから半溶融状態の合成樹脂筒状体を供給して該合成樹脂筒状体内に送気することにより合成樹脂筒状体を膨張させてコルゲート管を製造する方法が記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、外周面に山部及び谷部を有するコルゲート状の保護層を押出成形部に供給すること、及び、押出成形部において、外被を構成する溶融樹脂に保護層を接触させた状態で管状の保護層を広げて、外被を押出成形すること、を行う方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-323885号公報
【文献】特開2020-140064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のような従来の押出コルゲートチューブの成形では、未硬化の半溶融状態の樹脂(溶融樹脂)が水平方向に吐出されるので、溶融樹脂が型へ到達するまでに重力の影響を受け、拡大できるチューブ径の倍率が小さい。チューブ径の拡大倍率を向上しようとすると、溶融樹脂が型壁面に到達して硬化する前に重力で地側に垂れてしまい、成形が困難である。すなわち、成形品の径を拡大していくと、成形品を形成する溶融樹脂が型壁面に到達して硬化する前に重力によって垂れてしまい、成形不良が発生する虞がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、押出コルゲートチューブ等の管体の製造装置において、成形品を形成する溶融樹脂の垂れを抑制し、成形不良の発生を抑えることができる管体の製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成すべく、本発明の管体の製造装置は、筒状ないし管状に成形された管体の製造装置であって、成形型と、前記成形型内に筒状の溶融樹脂を押し出す溶融樹脂押出装置と、前記溶融樹脂押出装置から押し出された筒状の溶融樹脂をガイドするガイド部と、前記ガイド部でガイドされた筒状の溶融樹脂の内部にブロー気体を送気するブロー気体供給路と、を備え、前記ガイド部は、下流に向かうにつれて外側に拡がるように形成されており、前記ブロー気体供給路は、前記ガイド部に沿って押し出される筒状の溶融樹脂の角度に合わせて外側に向けて傾斜した方向で前記筒状の溶融樹脂の内部にブロー気体を送気するようになっている。
【0008】
好ましい態様では、前記ブロー気体供給路は、前記溶融樹脂押出装置の押し出し方向に対して傾斜した方向にブロー気体を送気する傾斜供給路を含んでいる。
【0009】
他の好ましい態様では、前記ブロー気体供給路における前記傾斜供給路は、前記溶融樹脂押出装置の押し出し方向に延びる上流側の中央導入路から分岐するように形成されている。
【0010】
他の好ましい態様では、前記ブロー気体供給路における前記傾斜供給路は、前記中央導入路周りの複数箇所に形成されている。
【0011】
他の好ましい態様では、前記ブロー気体供給路は、前記溶融樹脂押出装置の押し出し方向にブロー気体を送気する中央供給路と、前記溶融樹脂押出装置の押し出し方向に対して傾斜した方向にブロー気体を送気する傾斜供給路と、を含んでいる。
【0012】
他の好ましい態様では、前記ブロー気体供給路における前記傾斜供給路は、前記中央供給路から分岐するように形成されている。
【0013】
他の好ましい態様では、前記ブロー気体供給路における前記傾斜供給路は、前記中央供給路周りの複数箇所に形成されている。
【0014】
別の好ましい態様では、前記溶融樹脂押出装置の下流側端面に、前記ガイド部及び前記ブロー気体供給路が形成されたガイドアタッチメントが取り付けられている。
【0015】
別の好ましい態様では、前記ガイドアタッチメントは、外周面が前記ガイド部とされるとともに、内部に前記ブロー気体供給路が形成されている。
【0016】
他の好ましい態様では、前記ガイド部の下流側端部の外径は、前記溶融樹脂押出装置の外径よりも小さくされている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、溶融樹脂が溶融樹脂押出装置から吐出された直後に溶融樹脂を型壁面に向かわせるガイド部を設け、また、そのガイド部の内側の圧を掛けるブロー気体供給路の向きをガイド部の傾斜面に沿わせ、溶融樹脂を型壁面に向かわせることで、成形品を形成する溶融樹脂の垂れを抑制し、成形不良の発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態に係るコルゲートチューブ(管体)の製造装置を示す縦断面図である。
図2図1に示すガイドアタッチメントを下流側から視て示した正面図。
図3】本発明の第2実施形態に係るコルゲートチューブ(管体)の製造装置を示す縦断面図である。
図4図3に示すガイドアタッチメントを下流側から視て示した正面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0020】
[第1実施形態]
(製造装置の構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係るコルゲートチューブ(管体)の製造装置を示す縦断面図である。また、図2は、図1に示すガイドアタッチメントを下流側から視て示した正面図である。
【0021】
本実施形態の製造装置1は、筒状ないし管状の管体である押出コルゲートチューブを成形(押出ブロー成形)するための装置である。なお、本実施形態の製造装置1は、天然ガスや水素ガスなどの燃料ガスを、常圧より高い圧力、すなわち、高圧で貯蔵する圧力容器の中空のライナなどの製造装置としても適用可能である。
【0022】
製造装置1は、成形型10を有する。成形型10は、成形品に合わせた形状の筒状ないし管状の内壁面(以下、成形面と呼ぶ場合がある)11を有する。図示は省略するが、成形型10は、複数の(例えば左右分割、又は、上下分割の)分割型で構成されている。また、成形型10の内壁面(成形面)11には、成形型10内に供給された溶融樹脂を吸引して型転写するための図示しない吸引用開口が複数箇所に開口せしめられている。
【0023】
また、製造装置1は、図1に示すように、溶融樹脂押出装置としての押出ノズル20を有する。押出ノズル20には、図示しない溶融樹脂タンク及びブロー空気タンクが接続されている。溶融樹脂タンクは、未硬化の半溶融状態の樹脂(溶融樹脂)を貯留しており、溶融樹脂タンクから押出ノズル20に溶融樹脂が所定粘度、所定温度、及び所定圧力で供給されるようになっている。本実施形態で使用される樹脂としては、ナイロン樹脂、ポリエチレン樹脂などが挙げられる。ブロー空気タンクは、ブロー気体としてのブロー空気を貯留しており、ブロー空気タンクから押出ノズル20(の後述するガイドアタッチメント30)にブロー空気が所定流量、所定温度、及び所定圧力で供給されるようになっている。
【0024】
押出ノズル20は、溶融樹脂タンクから供給された溶融樹脂を成形型10内に供給するためのもので、主にインナーノズル22とアウターノズル24とを含んで構成されている。インナーノズル22及びアウターノズル24はそれぞれ円筒状に形成されており、インナーノズル22の外周にアウターノズル24が配置されるとともに先端(下流端)が略一致した状態で、同心配置されている。換言すると、インナーノズル22及びアウターノズル24のそれぞれの中心軸線は一致している。インナーノズル22(の外周面)とアウターノズル24(の内周面)との間の円筒状の空間は、溶融樹脂タンクから供給された溶融樹脂が流過する溶融樹脂供給路26を構成している。そして、インナーノズル22の先端とアウターノズル24の先端とで形成される円環状の開口、すなわち、溶融樹脂供給路26の先端の円環状の開口は、溶融樹脂供給路26から成形型10内に中心軸線O方向に向けて溶融樹脂を吐出する(押し出す)吐出口28となっている。一方、インナーノズル22の内部空間は、ブロー空気タンクから供給されたブロー空気が流過する空間となっている。
【0025】
本実施形態では、押出ノズル20の先端(下流側端面)に、ガイドアタッチメント30が装着されている。
【0026】
ガイドアタッチメント30は、押出ノズル20の溶融樹脂供給路26を通って吐出口28から成形型10内に吐出される溶融樹脂をガイドするための部材である。本実施形態では、ガイドアタッチメント30の外周面が、溶融樹脂を成形型10の内壁面11に向けてガイドするガイド面(ガイド部)36とされている。
【0027】
詳細には、ガイドアタッチメント30は、その上流側(つまり、押出ノズル20側)半部の外径が、インナーノズル22の外径と略同じになるように形成されており、その下流側(つまり、押出ノズル20側とは反対側)半部の外径が、下流側に行くにつれて徐々に(連続的に)大きくなるように形成されている。換言すると、ガイドアタッチメント30は、その上流側半部が、インナーノズル22の外周面に連続し且つ中心軸線O方向に(中心軸線Oに沿って)延びる円筒面で構成される外周面を有し、その下流側半部が、前記上流側の外周面(円筒面)から下流側に向かうにつれて徐々に拡幅する(外側に拡がる)円錐台面で構成される外周面を有している。前述の上流側の外周面(円筒面)と下流側の外周面(円錐台面)とは滑らかに連続している。そして、前述の上流側の外周面(円筒面)及び下流側の外周面(円錐台面)を含むガイドアタッチメント30の外周面によって、溶融樹脂供給路26に連続し、吐出口28から成形型10内に中心軸線O方向に吐出された溶融樹脂を、成形型10の内壁面11に向けて中心軸線Oに対して傾斜した方向にガイドするガイド面36が構成されている。
【0028】
本実施形態では、ガイドアタッチメント30の下流側端面の外径、換言すると、ガイドアタッチメント30の外周面(ガイド面36)の下流側端部の外径は、押出ノズル20(のアウターノズル24)の外径と同等もしくはそれよりも若干小さくされている。
【0029】
また、本実施形態では、ガイドアタッチメント30の内部に、前述のインナーノズル22の内部空間と連通し、ブロー空気タンクから供給されたブロー空気が流過するブロー空気供給路31が設けられている。
【0030】
ブロー空気供給路31は、ブロー空気タンクから供給されたブロー空気を成形型10内(詳しくは、ガイドアタッチメント30の外周面でガイドされた筒状の溶融樹脂の内部)に供給するために設けられており、上流側端面から下流側端面にかけて形成された貫通穴で形成される中央供給路32と傾斜供給路34とを含んでいる。
【0031】
詳細には、ガイドアタッチメント30の中心部(中心軸線O上)において、上流側端面から下流側端面に向けて真っ直ぐに(直線状に)延びる貫通穴からなる中央供給路32が形成されている。本実施形態では、中央供給路32の穴径(開口径)は、インナーノズル22の内径よりも小さく形成されている。また、中央供給路32の(中心軸線O方向の)中央付近から分岐しつつ下流側端面に向けて傾斜した方向に延びる貫通穴からなる傾斜供給路34が形成されている。傾斜供給路34は、図2に示されるように、中央供給路32周り(ガイドアタッチメント30の中心軸線O周り)に所定角度間隔で複数箇所(図示例では、4箇所)に形成されている。なお、中央供給路32及び傾斜供給路34の位置や形状、大きさなどは、図示例に限られないことは勿論である。
【0032】
なお、傾斜供給路34は、外側に向けて傾斜した方向に延びていればよく、ガイドアタッチメント30の外周面(ガイド面36)の円錐台面部分と略平行となるように形成してもよい(換言すると、傾斜供給路34の傾斜角とガイドアタッチメント30の外周面(ガイド面36)の円錐台面部分の傾斜角とが略同じになるように形成してもよい)し、異なる角度で形成してもよい。
【0033】
前述したように、ガイドアタッチメント30の内部の中央供給路32及び傾斜供給路34は、前述のインナーノズル22の内部空間とともに、ブロー空気タンクから供給されたブロー空気が流過するブロー空気供給路31を構成している。
【0034】
そして、中央供給路32の下流側開口(図2に示す例では中央に1個)は、当該中央供給路32(ブロー空気供給路31)から成形型10内にブロー空気を送気(圧送)する中央出口33となっている。傾斜供給路34の下流側開口(図2に示す例では周方向に4個)は、当該傾斜供給路34(ブロー空気供給路31)から成形型10内にブロー空気を送気(圧送)する傾斜出口35となっている。
【0035】
ガイドアタッチメント30の上流側端面の中央部には、小径の挿入突起38が形成(突設)されている。挿入突起38の外周には雄ネジが形成されている。また、インナーノズル22の内周には雌ネジが形成されている。挿入突起38がインナーノズル22の内部空間に下流側から挿入され、挿入突起38(の雄ネジ)がインナーノズル22(の雌ネジ)に螺着されることで、ガイドアタッチメント30は、押出ノズル20の先端に取付固定されている。なお、ガイドアタッチメント30の押出ノズル20に対する取付構成は、図示例に限られないことは当然である。
【0036】
なお、本実施形態では、ガイドアタッチメント30の外周面が、溶融樹脂を成形型10の内壁面11に向けてガイドするガイド面(ガイド部)36とされているが、例えば、ガイドアタッチメント30の内部に、溶融樹脂を成形型10の内壁面11に向けてガイドするガイド部(通路部)を形成した構成でもよい。また、ガイドアタッチメント30の一部品に、ガイド面(ガイド部)36及びブロー空気供給路31が形成されているが、ガイド面(ガイド部)36及びブロー空気供給路31をそれぞれ別部品に形成した構成でもよい。
【0037】
また、本実施形態において、成形型10には、内壁面(成形面)11よりも小径の内壁面で構成され、押出ノズル20を成形型10内の所定位置まで挿入するための挿入部12が設けられている。
【0038】
(製造方法)
上記した構成の製造装置1において、押出コルゲートチューブを成形するに当たっては、成形型10を図1の矢印(X)方向に所定速度で移動させつつ、溶融樹脂タンクから押出ノズル20に溶融樹脂を供給するとともに、ブロー空気タンクから押出ノズル20にブロー空気を供給する。
【0039】
押出ノズル20に送られた溶融樹脂は、溶融樹脂供給路26を流過した後、先端の吐出口28から成形型10内に中心軸線O方向に向けて円筒状に連続的に吐出される(押し出される)。その後、押出ノズル20に装着したガイドアタッチメント30の外周面(ガイド面36)上を流過するとともに、当該ガイドアタッチメント30の外周面(ガイド面36)によって、成形型10の内壁面11に向けて中心軸線Oに対して傾斜した方向にガイドされた後、成形型10の内壁面11(溶融樹脂を吸引して型転写する吸引用開口が設けられた内壁面)に転写せしめられる。
【0040】
また、押出ノズル20に送られたブロー空気は、押出ノズル20に装着されたガイドアタッチメント30のブロー空気供給路31(中央供給路32、傾斜供給路34)を流過した後、先端の中央出口33及び傾斜出口35から成形型10内に連続的に送気される。このとき、ブロー空気は、その外周でガイドアタッチメント30の外周面でガイドされて筒状に押し出される溶融樹脂の内部に送気(圧送)される。このブロー空気が筒状の溶融樹脂内に充満して内部の空気圧が上昇し、ブロー空気で筒状の溶融樹脂が膨張せしめられ、成形型10の内壁面11(溶融樹脂を吸引して型転写する吸引用開口が設けられた内壁面)に押圧される。
【0041】
また、本実施形態では、ブロー空気供給路31における傾斜供給路34は、中央供給路32から分岐するとともに、ガイドアタッチメント30の外周面(ガイド面36)に沿うように傾斜している。中央供給路32を流過したブロー空気は、先端の中央出口33から筒状の溶融樹脂内に、中心軸線O方向(換言すると、押出ノズル20の押し出し方向)に向けて送気される。一方、傾斜供給路34を流過したブロー空気は、先端の傾斜出口35から筒状の溶融樹脂内に、ガイドアタッチメント30の外周面(ガイド面36)に沿って押し出される筒状の溶融樹脂の角度に合わせて外側に向けて傾斜した方向(換言すると、押出ノズル20の押し出し方向に対して傾斜した方向)で送気される。傾斜供給路34を流過して先端の傾斜出口35から送気されたブロー空気は、前記のように筒状の溶融樹脂内に充満しつつ、筒状の溶融樹脂を成形型10の内壁面11側に押圧することになるので、ガイドアタッチメント30の外周面でガイドされた筒状の溶融樹脂が重力で垂れ下がってしまう現象に抗することができる。
【0042】
成形型10の内壁面(成形面)11に押し付けられた円筒状の溶融樹脂が硬化した後、脱型して、所望の長さに切断することにより、筒状ないし管状の管体としての押出コルゲートチューブが製造される。
【0043】
(作用効果)
以上で説明したように、本実施形態の製造装置1は、筒状ないし管状に成形された管体の製造装置1であって、成形型10と、前記成形型10内に筒状の溶融樹脂を押し出す押出ノズル(溶融樹脂押出装置)20と、前記押出ノズル(溶融樹脂押出装置)20から押し出された筒状の溶融樹脂をガイドするガイド面(ガイド部)36と、前記ガイド面(ガイド部)36でガイドされた筒状の溶融樹脂の内部にブロー気体を送気するブロー空気供給路(ブロー気体供給路)31と、を備え、前記ガイド面(ガイド部)36は、下流に向かうにつれて外側に拡がるように形成されており、前記ブロー空気供給路(ブロー気体供給路)31は、前記ガイド面(ガイド部)36に沿って押し出される筒状の溶融樹脂の角度に合わせて外側に向けて傾斜した方向で前記筒状の溶融樹脂の内部にブロー気体を送気するようになっている。
【0044】
また、前記ブロー空気供給路(ブロー気体供給路)31は、前記押出ノズル(溶融樹脂押出装置)20の押し出し方向にブロー気体を送気する中央供給路32と、前記押出ノズル(溶融樹脂押出装置)20の押し出し方向に対して傾斜した方向にブロー気体を送気する傾斜供給路34と、を含んでいる。また、前記ブロー空気供給路(ブロー気体供給路)31における前記傾斜供給路34は、前記中央供給路32から分岐するように形成されている。また、前記ブロー空気供給路(ブロー気体供給路)31における前記傾斜供給路34は、前記中央供給路32周りの複数箇所に形成されている。
【0045】
本実施形態によれば、溶融樹脂が押出ノズル(溶融樹脂押出装置)20から吐出された直後に溶融樹脂を型壁面に向かわせるガイド面(ガイド部)36を設け、また、そのガイド面(ガイド部)36の内側の圧を掛けるブロー空気供給路(ブロー気体供給路)31の向きをガイド面(ガイド部)36の傾斜面に沿わせ、溶融樹脂を型壁面に向かわせることで、成形品を形成する溶融樹脂の垂れを抑制し、成形不良の発生を抑えることができる。
【0046】
また、それとともに、ガイド面(ガイド部)36に沿って押し出された溶融樹脂の硬化を速めることで、成形品を形成する溶融樹脂の垂れを抑制し、成形不良の発生を抑えることができる。
【0047】
[第2実施形態]
(製造装置の構成)
図3は、本発明の第2実施形態に係るコルゲートチューブ(管体)の製造装置を示す縦断面図である。また、図4は、図3に示すガイドアタッチメントを下流側から視て示した正面図である。本第2実施形態において、第1実施形態と同じ機能を有する部分には同じ符号を付して重複説明を省略し、以下では、相違点のみを説明する。
【0048】
本第2実施形態の製造装置2は、上述した第1実施形態の製造装置1と同様、ガイドアタッチメント30の内部にブロー空気供給路31が設けられている。ただし、ガイドアタッチメント30の中心部(中心軸線O上)において成形型10内にブロー空気を送気(圧送)する中央出口33を省略している。
【0049】
詳細には、ガイドアタッチメント30の後部の中心部(中心軸線O上)において、上流側端面から下流側に向けて真っ直ぐに(直線状に)延びる中央導入路39が形成されている。そして、中央導入路39の下流側端部(図示例では、ガイドアタッチメント30の中心軸線O方向の中央付近)から分岐しつつ下流側端面に向けて傾斜した方向に延びる貫通穴からなる傾斜供給路34が形成されている。傾斜供給路34は、図4に示されるように、中央導入路39周り(ガイドアタッチメント30の中心軸線O周り)に所定角度間隔で複数箇所(図示例では、4箇所)に形成されている。なお、中央導入路39及び傾斜供給路34の位置や形状、大きさなどは、図示例に限られないことは勿論である。また、中央導入路39を省略し、傾斜供給路34のみを形成して、傾斜供給路34の上流側端部(開口)をインナーノズル22の内部空間に連通してもよいことは当然である。
【0050】
前述したように、ガイドアタッチメント30の内部の中央導入路39(省略可)及び傾斜供給路34は、前述のインナーノズル22の内部空間とともに、ブロー空気タンクから供給されたブロー空気が流過するブロー空気供給路31を構成している。
【0051】
(製造方法)
上記した構成の製造装置2において、押出コルゲートチューブを成形するに当たっては、押出ノズル20に送られたブロー空気は、押出ノズル20に装着されたガイドアタッチメント30のブロー空気供給路31(中央導入路39から傾斜供給路34)を流過した後、先端の傾斜出口35から成形型10内に連続的に送気される。
【0052】
また、本実施形態でも、ブロー空気供給路31における傾斜供給路34は、中央導入路39から分岐するとともに、ガイドアタッチメント30の外周面(ガイド面36)に沿うように傾斜している。傾斜供給路34を流過したブロー空気は、先端の傾斜出口35から筒状の溶融樹脂内に、ガイドアタッチメント30の外周面(ガイド面36)に沿って押し出される筒状の溶融樹脂の角度に合わせて外側に向けて傾斜した方向(換言すると、押出ノズル20の押し出し方向に対して傾斜した方向)で送気される。傾斜供給路34を流過して先端の傾斜出口35から送気されたブロー空気は、前記のように筒状の溶融樹脂内に充満しつつ、筒状の溶融樹脂を成形型10の内壁面11側に押圧することになるので、ガイドアタッチメント30の外周面でガイドされた筒状の溶融樹脂が重力で垂れ下がってしまう現象に抗することができる。
【0053】
(作用効果)
以上で説明したように、本実施形態の製造装置2は、基本的に上述した第1実施形態の製造装置1と同じ構成を有するとともに、前記ブロー空気供給路(ブロー気体供給路)31は、前記押出ノズル(溶融樹脂押出装置)20の押し出し方向に対して傾斜した方向にブロー気体を送気する傾斜供給路34を含んでいる。また、前記ブロー空気供給路(ブロー気体供給路)31における前記傾斜供給路34は、前記押出ノズル(溶融樹脂押出装置)20の押し出し方向に延びる上流側の中央導入路39から分岐するように形成されている。また、前記ブロー空気供給路(ブロー気体供給路)31における前記傾斜供給路34は、前記中央導入路39周りの複数箇所に形成されている。
【0054】
本第2実施形態によれば、上述した第1実施形態と同様、溶融樹脂が押出ノズル(溶融樹脂押出装置)20から吐出された直後に溶融樹脂を型壁面に向かわせるガイド面(ガイド部)36を設け、また、そのガイド面(ガイド部)36の内側の圧を掛けるブロー空気供給路(ブロー気体供給路)31の向きをガイド面(ガイド部)36の傾斜面に沿わせ、溶融樹脂を型壁面に向かわせることで、成形品を形成する溶融樹脂の垂れを抑制し、成形不良の発生を抑えることができる。
【0055】
また、それとともに、ガイド面(ガイド部)36に沿って押し出された溶融樹脂の硬化を速めることで、成形品を形成する溶融樹脂の垂れを抑制し、成形不良の発生を抑えることができる。
【0056】
加えて、中央出口33を省略していることで、傾斜供給路34の傾斜出口35の動圧を高めることもできる。
【0057】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0058】
1 製造装置(第1実施形態)
2 製造装置(第2実施形態)
10 成形型
11 内壁面(成形面)
20 押出ノズル(溶融樹脂押出装置)
22 インナーノズル
24 アウターノズル
26 溶融樹脂供給路
28 吐出口
30 ガイドアタッチメント
31 ブロー空気供給路(ブロー気体供給路)
32 中央供給路
33 中央出口
34 傾斜供給路
35 傾斜出口
36 ガイド面(ガイドアタッチメントの外周面)(ガイド部)
38 挿入突起
39 中央導入路(第2実施形態)
図1
図2
図3
図4