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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】希薄相粉末ポンプを備えた粉末分配装置
(51)【国際特許分類】
   B05B 7/14 20060101AFI20240806BHJP
   B05B 7/30 20060101ALI20240806BHJP
   B05B 5/025 20060101ALI20240806BHJP
   B65G 53/66 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
B05B7/14
B05B7/30
B05B5/025 B
B65G53/66 B
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021538001
(86)(22)【出願日】2019-12-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-14
(86)【国際出願番号】 EP2019086031
(87)【国際公開番号】W WO2020136058
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】102019101930.3
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102018133603.9
(32)【優先日】2018-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513200450
【氏名又は名称】ゲマ スイッツランド ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】トブラー, ロジャー
(72)【発明者】
【氏名】サンワルド, マルコ
(72)【発明者】
【氏名】モーシュル, フェリックス
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0216859(US,A1)
【文献】国際公開第2018/149524(WO,A1)
【文献】特開平06-246196(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0047200(US,A1)
【文献】特開2002-273282(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 5/00-5/16
7/00-7/32
B65G 53/00-53/28
53/32-53/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末を粉末貯蔵器から粉末噴霧装置に搬送するための希薄相粉末ポンプ(51)を備えた粉末分配装置(50)であって、
前記粉末分配装置(50)に一体化された制御装置(52)が設けられ、前記制御装置(50)は、前記粉末噴霧装置で行われる噴霧コーティングプロセスに関して、および/または前記希薄相粉末ポンプ(51)で行われる粉末搬送に関して特徴付ける少なくとも1つのパラメータを設定するように設計されており、
前記制御装置(52)は前記希薄相粉末ポンプ(51)とともに1つの構造ユニットを形成し、
前記制御装置(52)は、制御モジュールとして設計され、圧縮空気接続部(64)を有する圧縮空気制御部(60)を備え、該圧縮空気接続部(64)を介して、前記圧縮空気制御部(60)に圧縮空気を供給することができ、前記圧縮空気制御部(60)は、粉末又はコーティング粉末を搬送する前記希薄相粉末ポンプ(51)によって必要とされる圧縮空気を供給するための第1圧縮空気出口(65)、第2圧縮空気出口(66)、および第4圧縮空気出口(67)を有し、前記圧縮空気制御部(60)は、粉末又はコーティング粉末を搬送するため単位時間当たりの前記希薄相粉末ポンプ(51)による要求に応じて、前記第1圧縮空気出口(65)、前記第2圧縮空気出口(66)、および前記第4圧縮空気出口(67)の少なくとも1つを介して供給される前記圧縮空気の体積を設定するように設計されており、
前記圧縮空気制御部(60)は、粉末又はコーティング粉末を搬送する前記希薄相粉末ポンプ(51)による要求に応じて搬送空気を供給するための前記第1圧縮空気出口(65)と、粉末又はコーティング粉末を搬送する前記希薄相粉末ポンプ(51)による要求に応じて補助空気を供給するための前記第2圧縮空気出口(66)とを備え、前記圧縮空気制御部(60)は、粉末又はコーティング粉末を搬送するため単位時間当たりの前記希薄相粉末ポンプ(51)による要求に応じて、前記第1圧縮空気出口(65)および前記第2圧縮空気出口(66)を介して供給される搬送空気又は補助空気の体積を設定するように設計されており、
前記希薄相粉末ポンプ(51)は、ポンプモジュールとして設計され、駆動ノズル(1)及び収集ノズル(11)を有する粉末搬送インジェクタ(100)を備え、前記粉末搬送インジェクタ(100)は、第1圧縮空気接続部(7)及び第2圧縮空気接続部(27)を含み、前記第1圧縮空気接続部(7)を介して搬送空気が前記駆動ノズル(1)に供給され、前記第2圧縮空気接続部(27)を介して補助空気が前記粉末搬送インジェクタ(100)に供給され、前記第1圧縮空気接続部(7)は制御モジュールとして実現された前記制御装置(52)の前記第1圧縮空気出口(65)に流体接続され、前記第2圧縮空気接続部(27)は制御モジュールとして実現された前記制御装置(52)の前記第2圧縮空気出口(66)に流体接続され
前記希薄相粉末ポンプ(51)は粉末入口(80)を含み、前記粉末入口(80)を介して、前記希薄相粉末ポンプ(51)に粉末又はコーティング粉末を供給することができ、前記希薄相粉末ポンプ(51)は、少なくとも1つのピンチ弁(40)を含み、前記ピンチ弁(40)は、前記希薄相粉末ポンプ(51)の前記粉末入口(80)と前記駆動ノズル(1)の前記粉末入口(5)との間の流路に配置され、前記希薄相粉末ポンプ(51)の前記粉末入口(80)と前記駆動ノズル(1)の前記粉末入口(5)との間の流体接続を遮断し、
前記希薄相粉末ポンプ(51)は圧縮空気注入装置(30)を有し、前記圧縮空気注入装置(30)を介して、圧縮空気を、前記粉末搬送インジェクタ(100)の前記駆動ノズル(1)の前記粉末入口(5)に供給することができ、前記圧縮空気注入装置(30)は、前記ピンチ弁(40)と前記粉末搬送インジェクタ(100)の前記駆動ノズル(1)の前記粉末入口(5)との間の前記流路に配置される、粉末分配装置(50)。
【請求項2】
前記制御装置(52)は、以下に列挙され、前記粉末噴霧装置に関して行われる噴霧コーティング操作を特徴付けるパラメータのうち、
- 前記粉末噴霧装置の1つ以上の高電圧電極における電極噴霧電流、
- 前記粉末噴霧装置の1つ以上の高電圧電極における高電圧、
- 単位時間あたりに前記粉末噴霧装置に供給される電極パージ用空気の体積、
- 単位時間当たりに前記粉末噴霧装置に供給されるシェーピングエアの体積、
の少なくとも1つを設定するように設計されており、
および/または、前記制御装置(52)は、以下に列挙され、前記粉末分配装置(50)に関して行われる粉末搬送を特徴付けるパラメータのうち、
- 単位時間当たりに前記粉末分配装置(50)によって搬送される粉末又はコーティング粉末の量、
- 単位時間当たりに粉末又はコーティング粉末と一緒に搬送される圧縮搬送空気の体積、
の少なくとも1つを設定するように設計されている、請求項1に記載の粉末分配装置(50)。
【請求項3】
前記制御装置(52)は、少なくとも1つの手動操作可能なパラメータ設定要素(61)を備え、前記パラメータ設定要素(61)は、前記粉末噴霧装置を用いて行われる噴霧コーティングプロセスに関して、および/または前記粉末分配装置(50)を用いて行われる粉末搬送に関して特徴付ける前記少なくとも1つのパラメータの目標パラメータ値を設定するものである、請求項1又は2記載の粉末分配装置(50)。
【請求項4】
前記制御装置(52)は光学表示ユニットを備え、前記光学表示ユニットは、前記少なくとも1つの設定された目標パラメータ値を表示する、および/または対応する実際のパラメータ値を表示するものである、請求項3記載の粉末分配装置(50)。
【請求項5】
前記粉末貯蔵器は流動化装置を備え、前記制御装置(52)は、単位時間当たりに前記流動化装置に供給される圧縮流動化空気の体積を設定するようにさらに設計されており、前記制御装置(52)は、単位時間当たりに前記流動化装置に供給される前記圧縮流動化空気の体積の目標値を設定するための少なくとも1つの手動操作可能な設定要素(61)を備える、請求項1から4までのいずれか一項記載の粉末分配装置(50)。
【請求項6】
前記制御装置(52)は、前記制御装置(52)の通信バスを導出するためのインタフェース接続部(62)を備え、前記制御装置(52)は、遠隔制御を介して前記少なくとも1つのパラメータを設定するように、および/または、前記少なくとも1つの設定された目標パラメータ値を遠隔処理ユニットに通信するように設計されている、請求項1から5までのいずれか一項記載の粉末分配装置(50)。
【請求項7】
前記インタフェース接続部(62)はパラレルインタフェースまたはシリアルインタフェースを有し、および/または、前記通信バスはフィールドバスシステムとして設計される、請求項6記載の粉末分配装置(50)。
【請求項8】
前記制御装置(52)は噴霧コーティング手順を実行するようにさらに設計されており、前記制御装置(52)は複数の噴霧コーティングプログラムを有するメモリ装置(63)を備え、前記各噴霧コーティングプログラムは少なくとも1つのそれぞれ調整可能なパラメータを含み、前記制御装置(52)は前記少なくとも1つの調整可能なパラメータの目標パラメータ値を設定するための少なくとも1つの手動操作可能なパラメータ設定要素(61)を有し、前記制御装置(52)は、前記少なくとも1つの設定された目標パラメータ値を自動的に表示するための光学表示ユニットをさらに備える、請求項1から7までのいずれか一項記載の粉末分配装置(50)。
【請求項9】
前記圧縮空気制御部(60)は、粉末又はコーティング粉末を噴霧するための前記粉末噴霧装置によって必要とされる圧縮空気を供給する第3圧縮空気出口(69)を有し、前記圧縮空気制御部(60)は、粉末又はコーティング粉末を噴霧するため単位時間当たりに前記粉末噴霧装置が必要とする、前記第3圧縮空気出口(69)を介して供給される前記圧縮空気の体積を設定するように設計されている、請求項1から8までのいずれか一項記載の粉末分配装置(50)。
【請求項10】
前記第1圧縮空気出口(65)、前記第2圧縮空気出口(66)、および前記第3圧縮空気出口(69)の少なくとも1つには、少なくとも1つの絞り弁を有する圧縮空気絞り装置(59)が割り当てられ、前記絞り弁は、前記制御装置(52)によって調整可能であり、前記第1圧縮空気出口(65)、前記第2圧縮空気出口(66)、および前記第3圧縮空気出口(69)の少なくとも1つを介して単位時間当たりに供給される前記圧縮空気の体積を設定することができる、請求項記載の粉末分配装置(50)。
【請求項11】
前記希薄相粉末ポンプ(51)の前記第1圧縮空気接続部(7)および前記第2圧縮空気接続部(27)はそれぞれ、前記制御装置(52)のそれぞれの前記第1圧縮空気出口(65)または前記第2圧縮空気出口(66)に直接流体接続され、前記希薄相粉末ポンプ(51)は、前記制御装置(52)に直接接続される、請求項1から10までのいずれか一項記載の粉末分配装置(50)。
【請求項12】
前記希薄相粉末ポンプ(51)の前記第1圧縮空気接続部(7)および前記第2圧縮空気接続部(27)はそれぞれ、分配ブロック(53)に形成された流路(55、56)を介して、前記制御装置(52)のそれぞれの前記第1圧縮空気出口(65)または前記第2圧縮空気出口(66)に流体接続され、前記希薄相粉末ポンプ(51)は、前記分配ブロック(53)を介して、前記制御装置(52)に接続される、請求項記載の粉末分配装置(50)。
【請求項13】
前記分配ブロック(53)は圧縮空気出口(70)を有し、前記圧縮空気出口(70)は、前記分配ブロック(53)に形成された流路(57)を介して、前記制御装置(52)の前記第3圧縮空気出口(69)に流体接続されている、請求項12記載の粉末分配装置(50)。
【請求項14】
前記ピンチ弁(40)は、前記圧縮空気制御部(60)によって供給される圧縮空気によって空気圧式に作動され得る、請求項1から13までのいずれか一項記載の粉末分配装置(50)。
【請求項15】
前記少なくとも1つの粉末搬送インジェクタ(100)の前記収集ノズル(11)は、前記少なくとも1つの粉末搬送インジェクタ(100)の前記駆動ノズル(1)と軸方向に対向して配置された収集流路(12)を示し、
前記少なくとも1つの粉末搬送インジェクタ(100)の前記駆動ノズル(1)は、前記少なくとも1つの粉末搬送インジェクタ(100)の前記収集流路(12)と軸方向に対向して配置された前記粉末入口(5)を有する、請求項1から14までのいずれか一項記載の粉末分配装置(50)。
【請求項16】
前記駆動ノズル(1)の前記粉末入口(5)は、前記収集流路(12)から軸方向に対向して離間され、且つ、前記収集流路(12)によって規定される長手方向軸(L)と一致するか、または前記収集流路(12)によって規定される長手方向軸(L)と平行に延びる軸に対して整列される、請求項15記載の粉末分配装置(50)。
【請求項17】
前記粉末分配装置(50)の幅は、20mm~150mmの範囲である、請求項1から16までのいずれか一項記載の粉末分配装置(50)。
【請求項18】
請求項1から17までのいずれか一項記載の粉末分配装置(50)と前記粉末貯蔵器とを有するシステムであって、前記粉末分配装置(50)は前記粉末貯蔵器に直接配置され、前記粉末分配装置(50)の前記粉末入口(80)は、吸入ラインを介して前記粉末貯蔵器の粉末チャンバ内に開口する、システム。
【請求項19】
前記粉末貯蔵器は、粉末又はコーティング粉末のための粉末チャンバを有する少なくとも1つの粉末容器を含み、前記粉末容器の側壁に粉末分配流路が形成されており、前記粉末分配装置(50)の前記粉末入口(80)は、吸入ホース接続を介して、前記粉末分配流路に流体接続されている、または流体接続可能である、請求項18記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末、特にコーティング粉末を粉末貯蔵器から粉末噴霧装置に搬送するための希薄相粉末ポンプを備えた粉末分配装置に関する。本発明は、特に、上述のような粉末分配装置および粉末噴霧コーティング装置に関し、これらは粉末ポンプとして希薄相粉末ポンプを含む。
【0002】
本開示の文脈において、希薄相粉末ポンプは特にインジェクタまたはインジェクタポンプの各々であり、それによって、粉末、特にコーティング粉末が搬送空気流中に吸引され、次に当該搬送空気流と混合され、搬送ライン(粉末供給ライン)を通って粉末噴霧装置に搬送される。このような粉末搬送は、本技術分野では希薄相粉末搬送とも呼ばれる。
【背景技術】
【0003】
希薄相粉末搬送のためのこのような粉末分配装置は、例えば、EP0606577B1またはUS4,284,032公報から知られている。
【0004】
濃厚相粉末搬送とは対照的に、希薄相粉末搬送では、この場合、粉末またはコーティング粉末をそれぞれ搬送するための粉末ポンプとしてインジェクタが使用されるので、他の状況が適用される。空気の搬送または搬送流の各々によって、インジェクタ内に負圧が生成される。粉末、コーティング粉末の各々は、負圧によって圧縮搬送気流に吸い込まれる。次に、圧縮搬送空気と粉末との混合物は、インジェクタから、例えば、粉末分配装置に接続された粉末噴霧装置に流れる。単位時間あたりにインジェクタによって搬送される粉末の量は、単位時間あたりにインジェクタを流れる搬送空気または各搬送空気の容積に特に依存する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、オペレータが良好なコーティング品質および良好なコーティング効率を犠牲にする必要なしに、噴霧コーティング操作をより容易にするための技術的解決策を特定する課題を解決することである。
【0006】
この課題は特に、独立請求項1の主題によって解決され、それによって、本発明の粉末分配装置の有利なさらなる発展は従属請求項に明記される。
【0007】
したがって、特に、粉末貯蔵器から粉末噴霧装置に粉末/コーティング粉末を搬送するための希薄相粉末ポンプを有する粉末分配装置であって、粉末分配装置に一体化された制御装置が提供され、この制御装置は粉末噴霧装置で行われる噴霧コーティングプロセスに関して、および/または希薄相粉末ポンプで行われる粉末搬送に関して特徴付ける少なくとも1つのパラメータを設定するように設計されており、制御装置は希薄相粉末ポンプとともに1つの構造ユニットを形成する、粉末分配装置が特定される。
【0008】
粉末噴霧装置を用いて行われる噴霧コーティングプロセスに関して特徴的な少なくとも1つのパラメータは例えば、粉末噴霧装置の1つ以上の高電圧電極からの電極噴霧電流、粉末噴霧装置の1つ以上の高電圧電極における高電圧、単位時間当たりに粉末噴霧装置に供給されるシェーピングエアの体積、単位時間当たりに粉末噴霧装置に供給される電極パージ用空気の体積、単位時間当たりに粉末噴霧装置に供給される粉末またはコーティング粉末のそれぞれの量、および/または単位時間当たりに粉末/コーティング粉末と共に粉末噴霧装置に供給される圧縮搬送空気の体積である。
【0009】
粉末分配装置によって行われる粉末搬送を特徴付ける少なくとも1つのパラメータは例えば、単位時間当たりに粉末分配装置によって搬送される粉末/コーティング粉末の量、および/または単位時間当たりに粉末/コーティング粉末と一緒に搬送される搬送空気の体積である。
【0010】
特に、本発明の粉末分配装置の制御装置が、粉末噴霧装置によってもたらされる噴霧コーティングプロセスに関して特徴的な、および/または粉末分配装置によってもたらされる粉末搬送に関して特徴的な、少なくとも1つのパラメータのための目標パラメータ値を設定する少なくとも1つの手動操作可能なパラメータ設定要素を備えることが好ましい。これに関連して、制御装置は、少なくとも1つの設定された目標パラメータ値を自動的に表示するための、および/または少なくとも1つの実際のパラメータ値を自動的に表示するための光学表示ユニットをさらに備えることが適切である。
【0011】
本発明の粉末分配装置の実施形態によれば、粉末分配装置が流体接続または流体接続可能である粉末貯蔵器のために流動化装置が提供され、それによって、粉末分配装置の制御装置は、単位時間当たりに流動化装置に供給される圧縮流動化空気の体積を設定するように設計される。同様に、この実施形態では、制御装置が、単位時間当たりに流動化装置に供給される圧縮流動化空気の体積の目標値を設定する少なくとも1つの手動操作可能な設定要素を備える。
【0012】
また、本発明の粉末分配装置の実施形態によれば、制御装置は、当該制御装置の通信バスを導出するためのインタフェース接続部を備える。これは、遠隔制御(外部制御)を介して少なくとも1つのパラメータを設定するのに役立つ。代替的に又は追加的に、通信バスは、少なくとも1つの設定された目標パラメータ値を遠隔処理ユニットに通信するのに役立つ。
【0013】
これにより、必要に応じて、遠隔制御によって制御装置に到達できるという利点が実現される。従って、自動モードでの制御も特に可能であり、手動操作可能な設定要素及び/又は光学表示ユニットが制御装置自体に設けられていない場合でさえも自動モードでの制御が可能である。これらの要素が設けられた場合であっても、自動運転と手動制御運転との両方を有利に行うことができる。
【0014】
通信バスは有利にはフィールドバスシステムとして構成されている。これにより、既存の自動化システムへの単純な統合を可能にするために、シグナリングに関する頑丈で標準化されたフィールドバスシステム、例えばCANバス(CAN bus)またはプロフィバス(Profi-bus)を特に使用することができる。
【0015】
本発明による粉末分配装置は特に、従来技術から知られている従来の粉末分配装置とは対照的に、二重の機能を与えられ、第1に、粉末分配装置は、粉末貯蔵器から、粉末分配装置に流体接続された粉末噴霧装置に粉末/コーティング粉末を搬送するように機能する。
【0016】
しかしながら、第2に、粉末分配装置は特に、粉末分配装置から粉末噴霧装置に搬送される粉末/コーティング粉末を、コーティングされる物体上に噴霧するように、粉末分配装置に流体接続された粉末噴霧装置を適切に制御する役割も果たす。
【0017】
言い換えれば、本発明による解決手段は特に、
別個に設計された電子制御装置を省略することができるという利点を達成し、この結果、粉末コーティングシステム全体がよりコンパクトで規則正しく設計されることができる。制御装置を粉末分配装置に統合することによって、典型的に、複雑な配線または圧縮空気ラインの複雑な接続がそれぞれ排除され、これにより、好ましくは粉末分配装置の圧縮空気接続を直接実施することができる。
【0018】
粉末分配装置に一体化されたまたは粉末分配装置に直接接続された制御装置は、粉末分配装置に接続された粉末噴霧装置を制御するだけでなく、粉末分配装置によって行われる粉末搬送に関して特徴的なパラメータの少なくともいくつかを設定する役割も果たすことが好ましい。これは、特に、単位時間当たりに粉末分配装置によって搬送される粉末/コーティング粉末の量、単位時間当たりに粉末/コーティング粉末と共に搬送される圧縮搬送空気の体積などに関連する。
【0019】
本発明の粉末分配装置は、自動噴霧装置(自動ガン)及び手動噴霧装置(ハンドガン)に適している。しかしながら、特に、手動噴霧装置の場合、コーティング品質及び効率の程度は、オペレータの経験に大きく依存する。
【0020】
したがって、本発明の解決手段のさらなる展開によれば、本発明の粉末分配装置に一体化された制御装置は、複数の噴霧コーティングプログラムを含むメモリ装置を有し、当該プログラムは、可変パラメータだけでなく不変パラメータも有する。不変パラメータは特に、コーティング品質および/または効率の程度に極めて重要であり、かつパラメータを正確に設定する、例えば、コーティング材料の静電帯電のための高電圧電極の高電圧を正確に設定する、好ましくは電極電流も正確に設定するという点で、多大な経験を必要とするものである。不変のパラメータは、実際に特に有利であることが判明したパラメータ値に設定される。
【0021】
本発明による粉末分配装置の好ましい実施形態によれば、粉末分配装置の制御装置は制御モジュールとして設計されており、一方で、粉末分配装置の希薄相粉末ポンプはポンプモジュールとして設計される。
【0022】
「モジュール」という用語は、本明細書では粉末分配装置自体の交換可能な構成要素として理解されるべきである。特に、粉末分配装置は、好ましくは少なくとも部分的にモジュール構造であり、すなわち複数のモジュールから構成される。
【0023】
本発明の粉末分配装置は特に、そのコンパクトな設計によって特徴付けられる。制御装置を粉末分配装置に一体化することにより、通常は外部に設けられる制御装置と粉末分配装置との間の複雑な配線又は異なるタイプの接続部が省略される。さらに、粉末分配装置内の弁(特にピンチ弁)を制御するための非常に短い空気圧ラインしかないので、粉末分配装置の応答時間および応答挙動が改善される。
【0024】
本発明は特に、粉末分配装置が、特に粉末分配装置の幅に関して、コンパクトな外形寸法を示すことを可能にする。粉末分配装置の好ましい実施形態によれば、粉末分配装置は、20mm~150mmの幅、好ましくは30mm~100mmの幅を有する。これにより、複数の粉末分配装置を互いに直接隣接して粉末容器に配置することを容易に実現することができる。
【0025】
本発明の粉末分配装置の実施形態によれば、制御モジュールとして設計された制御装置は、圧縮空気接続部(粉末分配装置の中央圧縮空気接続部)を有する圧縮空気制御部を備える。特に(外部の)圧縮空気源からの圧縮空気は、圧縮空気接続部を介して粉末分配装置の圧縮空気制御部に供給され得る。
【0026】
圧縮空気制御部は、粉末/コーティング粉末を搬送する粉末分配装置の希薄相粉末ポンプによって必要とされる圧縮空気を提供するために、少なくとも1つの圧縮空気出口を有する。圧縮空気制御部は特に、圧縮空気制御部の少なくとも1つの圧縮空気出口を介して供給された粉末/コーティング粉末を搬送するために、単位時間当たりに希薄相粉末ポンプによって必要とされる圧縮空気の体積を設定するように設計される。
【0027】
これに関連して、粉末/コーティング粉末を搬送する粉末分配装置の希薄相粉末ポンプによる要求に応じて、圧縮空気制御部が搬送空気または搬送空気を提供する第1圧縮空気出口を含むことが特に考えられる。
【0028】
この第1圧縮空気出口に加えて、圧縮空気制御部は好ましくは、粉末/コーティング粉末を搬送する粉末分配装置の希薄相粉末ポンプによる要求に応じて補助空気を提供するために、さらなる(第2の)圧縮空気出口を含む。これらの実施形態では、粉末分配装置の圧縮空気制御部は特に、粉末/コーティング粉末を搬送するための単位時間当たりに粉末分配装置の希薄相粉末ポンプによって必要とされる、第1および第2圧縮空気出口を介して供給される圧縮空気の体積を設定するように設計される。
【0029】
その代わりに、またはそれに加えて、特に電極パージ用空気、シェーピングエア、および/または圧縮搬送空気など、粉末/コーティング粉末を噴霧するための粉末噴霧装置によって必要とされる圧縮空気を供給するために、圧縮空気制御部が圧縮空気出口を有することが考えられる。この圧縮空気出口は、この圧縮空気出口が第1及び第2圧縮空気出口を有することなく設けられているとしても、本明細書では「第3圧縮空気出口」とも呼ばれることがある。
【0030】
圧縮空気制御部は、第3圧縮空気出口を介して供給され、かつ単位時間当たりに必要とされるように、粉末噴霧装置が粉末/コーティング粉末を噴霧するために必要とする圧縮空気(電極パージ用空気、シェーピングエア、圧縮搬送空気など)を設定するように設計されることが好ましい。
【0031】
単位時間当たりに対応する圧縮空気出口に供給される圧縮空気の体積を設定するために、本発明の粉末分配装置の有利な実施形態では、それぞれの圧縮空気出口に割り当てられる圧縮空気絞り装置が設けられ、当該圧縮空気絞り装置は、特に粉末分配装置の制御装置によって調整され得る少なくとも1つの絞り弁を備える。この絞り弁は例えば、対応する圧縮空気出口を介して単位時間当たりに供給される圧縮空気の体積を設定するために使用することができる。
【0032】
既に示したように、本発明の粉末分配装置の好ましい実施形態では、希薄相粉末ポンプがポンプモジュールとして設計され、制御装置が制御モジュールとして設計されている。本発明の実施形態では、ポンプモジュールとして設計された希薄相粉末ポンプが駆動ノズルと収集ノズルとを有する粉末搬送インジェクタを備え、粉末搬送インジェクタが第1圧縮空気接続部を含み、当該第1圧縮空気接続部を介して駆動ノズルに搬送空気を供給することができる。粉末搬送インジェクタはさらに第2圧縮空気接続部を含み、当該第2圧縮空気接続部を介して、補助空気を粉末搬送インジェクタに供給することができる。
それによって、ポンプモジュールの第1圧縮空気接続部は、制御モジュールの第1圧縮空気出口に流体接続され、その一方で、ポンプモジュールの第2圧縮空気接続部は制御モジュールの第2圧縮空気出口に流体接続される。
【0033】
本発明の実施形態によれば、ポンプモジュールの第1および第2圧縮空気接続部は、それぞれの場合において、制御モジュールのそれぞれの第1または第2圧縮空気出口に直接、流体接続される。このことは、ポンプモジュールが制御モジュールに直接(好ましくは取り外し可能に)接続されている場合に特に適切である。
【0034】
しかしながら、これに代えて、ポンプモジュールの第1および第2圧縮空気接続部が、それぞれの場合において、分配ブロックに形成された流路を介して、ポンプモジュールのそれぞれの第1または第2圧縮空気出口に流体接続されることも考えられる。この場合、ポンプモジュールが分配ブロックを介して制御モジュールに(好ましくは着脱可能に)接続されて、粉末分配装置を形成することが認識され得る。
【0035】
分配ブロックが本発明による粉末分配装置に使用される場合、分配ブロックに形成された流路を介して、制御モジュールの第3圧縮空気出口に流体接続された圧縮空気出口を含むことが特に適切である。
【0036】
本発明は、特に上述のタイプの粉末分配装置だけでなく、本発明の粉末分配装置と粉末貯蔵器とからなるシステムにも関する。
【0037】
さらなる態様によれば、本発明は物体の粉末噴霧コーティングのための粉末コーティングシステムに関し、粉末コーティングシステムは、上述のタイプの粉末分配装置と、粉末供給ラインを介して粉末分配装置に接続された少なくとも1つの粉末噴霧装置とを備える。本発明の粉末コーティングシステムは特に、少なくとも1つの粉末噴霧装置の機能に関して設定可能な全てのパラメータが、粉末分配装置の制御装置によって設定可能であることを特徴とする。従って、それは、良好なコーティング品質及び良好なコーティング効率を放棄することなく、オペレータのためのより単純でより安価な噴霧コーティング操作を提供する特にコンパクトなシステムを構成する。
【0038】
さらなる態様によれば、本発明は上述のタイプの粉末分配装置および粉末貯蔵器を有するシステムに関し、粉末分配装置は粉末貯蔵器に直接配置され、粉末分配装置の粉末入口は吸入ラインを介して粉末貯蔵器の粉末チャンバ内に開口する。例えば、粉末貯蔵器は、粉末チャンバを有する少なくとも1つの粉末容器を含み、粉末容器の側壁に粉末分配流路が形成され、粉末分配装置の粉末入口は、吸入ホース接続を介して粉末分配流路に流体接続されているまたは流体接続可能である。
【0039】
本発明のこの態様によれば、粉末分配装置、特に粉末分配装置の希薄相粉末ポンプは、粉末分配開口を介して粉末チャンバ内に開口する粉末分配流路に接続されている、または接続可能である。したがって、特に短い吸引距離が得られ、それによって、粉末流速の調整可能性および再現性に有益である。最後に、本発明のシステムは、システムが必要とするスペースをかなり減少させる。
【0040】
本発明によるシステムの1つの好ましい発展形では、粉末分配流路が粉末容器の側壁に形成されており、粉末分配装置または粉末分配装置の希薄相粉末ポンプのそれぞれが、吸入ホース接続を介して粉末分配流路に接続されまたは接続可能である。
【0041】
粉末容器の側壁に粉末分配流路を設けることにより、粉末分配装置の希薄相粉末ポンプを粉末容器に特に近い距離で取り付けることができる。これにより、粉末分配装置の希薄相粉末ポンプは、粉末分配開口から特に短い距離に取り付けられる。したがって、これは、希薄相粉末ポンプの助けを借りて粉末分配流路を通してコーティング粉末を搬送するために必要とされる持ち上げ作業を基本的に減少させる。短い吸引距離はまた、粉末流速の調整可能性および再現性にプラスの効果を提供する。粉末分配装置の希薄相粉末ポンプは、それによって、別個の吸入ホース接続を介して粉末分配流路に接続されまたは接続可能であり得る。既に知られている粉末容器を、吸入ホース接続部によって、それぞれ、本発明の粉末分配装置または粉末分配装置の希薄相粉末ポンプに後付けできることが考えられる。
【0042】
さらに、粉末分配装置は吸入ホースを備えることもでき、当該吸入ホースは、粉末容器の吸入ホース接続部の貫通孔に流体接続されたまたは接続可能である。それによって、吸入ホースは特に、粉末容器の粉末分配流路に挿入可能であるように設計される。
【0043】
粉末分配流路の内径は、吸入ホース接続部に接続されるか、または接続可能な吸入ホースによって容易に変化させることができる。特に、吸入ホースは、5mm~8mm、好ましくは約4mmの内径を有することができる。吸入ホースを介して粉末分配流路の径を減少させることは、粉末分配装置の希薄相粉末ポンプの吸引性能を改善することができる。これは、特に、粉末分配流路内の粉末の量が減少したこと、並びに粉末の排出が遅いことに起因する。
【0044】
以下では、添付図面を参照しつつ、本発明の粉末分配装置の例示的な実施形態をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】希薄相粉末ポンプを有する本発明の粉末分配装置の例示的な実施形態の概略断面図である。
図2図1に記載の粉末分注装置に用いられる希薄相粉末ポンプの分解状態における粉末搬送インジェクタの概略断面図である。
図3】希薄相粉末ポンプのハウジング内に組み立てられた状態の図2に記載の粉末搬送インジェクタの概略断面図である。
図4】希薄相粉末ポンプを有する本発明の粉末分配装置の別の例示的な実施形態の概略断面図である。
図5図4に記載の本発明の粉末分配装置の例示的な実施形態の概略分解図である。
図6図4に記載の複数の粉末分配装置と粉末貯蔵器としての粉末容器とを有する本発明によるシステムの例示的な実施形態の概略等角図である。
図7図6に記載の本発明のシステムの粉末容器であって、粉末ディスペンサおよび容器蓋を有さない粉末容器を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1は、本発明の粉末分配装置50の好ましい実施形態の概略断面図を示しており、当該粉末分配装置50は、希薄相粉末ポンプ51を含み、粉末貯蔵器(図1には図示せず)から粉末噴霧装置(図1には同様に図示せず)へ粉末またはコーティング粉末のそれぞれを搬送するものである。
【0047】
粉末噴霧装置は、手動で操作可能な噴霧ガンまたは自動制御可能な噴霧装置とすることができる。粉末噴霧装置によって噴霧されたコーティング粉末を静電的に帯電させるために、高電圧源から高電圧を供給される少なくとも1つの高電圧電極を含むことが好ましい。高電圧源は、粉末噴霧装置に統合することができる。粉末噴霧装置は、噴霧開口部または回転噴霧器を含むことができる。
【0048】
本開示の意味における粉末貯蔵器は、好ましくは粉末チャンバを有する少なくとも1つの粉末容器を含み、当該粉末チャンバから、粉末、コーティング粉末の各々が、負圧によって希薄相粉末ポンプ51を介して抽出され、その後、粉末/コーティング粉末が希薄相粉末ポンプ51から、正圧下で対応する粉末噴霧装置に流れる。
【0049】
粉末容器は、好ましくは少なくとも1つの粉末出口開口部を備え、当該粉末出口開口部には、粉末分配装置50の粉末入口が接続される。これに関連して、粉末容器の少なくとも1つの粉末出口開口を粉末容器の側壁に配置することが特に考えられる。
【0050】
粉末貯蔵器の粉末チャンバには、粉末容器の粉末チャンバ内に収容されたコーティング粉末を流動化するための流動化装置を設けることができる。流動化装置は、開気孔材料から成る少なくとも1つの流動化壁、または圧縮空気は透過するが粉末またはコーティング粉末は透過しない狭小孔を備えた材料を含むことができる。これに関連して、粉末貯蔵器の粉末容器内の流動化壁が粉末容器の底部を形成し、粉末容器の粉末チャンバと圧縮空気を流動化するチャンバとの間に配置されることが特に有利である。圧縮空気を流動化するチャンバは、以下でより詳細に説明するように、粉末分配装置50および当該粉末分配装置50に一体化された圧縮空気制御部60を介して、対応する圧縮空気源に流体接続される。
【0051】
本開示の意味で粉末容器として実現される粉末貯蔵器の例示的な実施形態は例えば、EP2675574A2公報に記載されている。
【0052】
図1に概略的に示すように、本発明による粉末分配装置50の例示的な実施形態は、モジュール構造を特徴とし、基本的に、制御モジュールとして設計された制御装置52と、ポンプモジュールとして設計された希薄相粉末ポンプ51とから構成される。これらの2つのモジュール(制御モジュールおよびポンプモジュール)は、特にコンパクトな粉末分配装置50を形成するために、互いに取り外し可能に接続されることが好ましい。
【0053】
図1に概略的に示されているように、本発明の粉末分配装置50、特に粉末分配装置50のポンプモジュールは粉末入口80を備え、当該粉末入口80は、粉末ライン(図1には示されていない)特に吸入ホースなどを介して、前述の粉末貯蔵器(同様に図1には示されていない)に流体接続または流体接続可能である。
【0054】
粉末出口81は、粉末分配装置50、特に粉末分配装置50のポンプモジュールの反対側の端部領域に設けられ、粉末ライン(図1には図示せず)特に粉末ホースを介して、粉末噴霧装置(特にコーティングガン)の粉末入口に流体接続または流体接続可能である。
【0055】
具体的には、図1に示す例示的な実施形態では、粉末分配装置50の粉末入口80および粉末分配装置50の粉末出口81の両方がそれぞれホースコネクタとして設計されており、当該ホースコネクタには、対応する粉末ライン/対応する粉末ホースが、例えばホースクランプによって取り付けられ、固定され得る。もちろん、粉末分配装置50特に粉末分配装置50のポンプモジュールの粉末入口80または粉末出口81それぞれに関し、他の実施形態も可能である。
【0056】
粉末入口80および粉末出口81は、好ましくは希薄相粉末ポンプ51内で搬送される粉末/コーティング粉末の偏向がないかまたはわずかな偏向のみを実現するために、共通の長手方向軸L(図3参照)上に位置しており、これは、希薄相粉末ポンプ51内の粉末/空気混合物の乱流をかなり低減する。
【0057】
図1に示される実施形態による粉末分配装置50のポンプモジュールは希薄相粉末ポンプ51を備え、当該希薄相粉末ポンプ51は、インジェクタ原理またはベンチュリ管原理に従って動作する。希薄相粉末ポンプ51はその端部に粉末搬送インジェクタ100を有し、このインジェクタの中で、流路拡張によって形成された負圧領域内で空気流によって負圧が生成され、それによって、この負圧は、ポンプモジュール/粉末分配装置50の粉末入口を介して粉末貯蔵器から粉末またはコーティング粉末をそれぞれ引き込むために使用される。引き出された粉末/コーティング粉末は、上記空気流によって引っ張られ、粉末噴霧装置に運ばれる。気流の流速を調節することにより、負圧、したがって搬送される粉末の量を設定することができる。
【0058】
以下では、まず、図2および図3を参照しつつ、本発明の粉末分配装置50の希薄相粉末ポンプ51での使用に適した粉末搬送インジェクタ100の例示的な実施形態をより詳細に説明する。
【0059】
粉末搬送インジェクタ100の例示的な実施形態は、駆動ノズル1として機能する第1領域と、収集ノズル11として機能する第2領域とを有する。収集ノズル11として機能する粉末搬送インジェクタ100の第2領域は、その内部に流れ収集流路12として機能する縦軸Lを有する流路を有する。粉末/コーティング粉末と搬送空気との混合物は、粉末搬送インジェクタ100が例えば粉末を搬送するために希薄相粉末ポンプで使用されるとき、この流路を通って流れる。
【0060】
流路(以下、流れ収集流路12または粉末流路とも呼ぶ)は長手方向軸Lを示し、それによって、流れの方向は、図2において矢印によって示される。搬送される粉末/コーティング粉末と搬送空気との混合物は、漏斗状のノズル入口13で収集ノズル11として機能する第2領域に入り、ノズル出口14で再び収集ノズル11から出る。
【0061】
少なくともノズル入口13の領域およびノズル出口14の領域において、収集ノズル11として機能する第2領域は、対応する円筒状のガイド面15、15’が形成されるように外側において円筒状である。
【0062】
第2領域(収集ノズル11)の上流に配置された粉末搬送インジェクタ100の第1領域は、駆動ノズル1の機能を想定する。第1領域(駆動ノズル1)は基本的に、搬送空気ダクト3を有する駆動ノズルハウジング2と、搬送空気ダクト3に流体的に接続されたノズル4とから成り、そのノズル開口部は、流れ収集流路12に軸方向において対向して配置される。
【0063】
図2には示されていないが、ノズル4またはノズル開口部はそれぞれ、金属インサートとして設計されたノズルチップによって形成され、特に、駆動ノズルハウジング2に分離不能に接続されることが考えられる。
【0064】
断面図で図2に模式的に示された粉末搬送用インジェクタ100において、駆動ノズル1となる第1領域及び収集ノズル11となる第2領域は、1つの構成要素として接合され、互いに分離不可能に接続されるように設けることができる。これに関連して、原則として、粉末搬送インジェクタ100の第1領域および第2領域1、11は、例えば射出成形部品として、1つの同じ材料から一体的に形成されることが考えられる。
【0065】
これに代えて、図2に概略的に示すように、粉末搬送インジェクタ100の第1領域および第2領域1、11を別々に形成することもでき、これにより、これら2つの領域1、11は、例えば挿入、接着またはプレスによって、取り外し可能または分離不能に互いに接続される。これは、粉末搬送インジェクタ1002つの領域1、11が異なる材料、特に異なるプラスチック材料から形成されることができるという利点を有する。
【0066】
本実施形態のさらなる利点は、流れ収集流路12の長手方向軸Lに対して回転対称な設計の粉末搬送インジェクタ100の第2領域11を、旋削部品として形成できることである。これは、特に、粉末搬送インジェクタ100の第2領域11の製造及び組立を簡素化する。さらに、粉末搬送インジェクタ100の第2領域11は、必要に応じてすなわち粉末搬送インジェクタ100の第1領域1とは関係なく、個別に交換することができる。
【0067】
粉末搬送インジェクタ100の例示的な実施形態は、例えば断面図で図2に概略的に示されるように、いわゆる「インライン」粉末搬送インジェクタ100であることをさらなる特徴とし、これは、粉末搬送インジェクタ100を介して搬送される粉末/コーティング粉末が、流れ収集流路12の長手方向軸Lに沿って、粉末搬送インジェクタ100全体を通って(好ましくは希薄相粉末ポンプ51全体も通って)軸方向に流れることを意味する。
【0068】
特に、粉末搬送インジェクタ100の例示的な実施形態では、粉末搬送インジェクタ100の第1領域1が粉末入口5を有し、当該粉末入口5は、第2領域(収集ノズル11)のノズル出口14または希薄相粉末ポンプ51の粉末出口それぞれの軸方向反対側に位置する。
【0069】
粉末入口5と粉末出口14のこの軸方向配置によって、搬送される粉末/コーティング粉末が粉末搬送インジェクタ100内で偏向されないか、またはわずかに偏向されるだけであることが達成され、これは粉末搬送インジェクタ100内の粉末/空気混合物の乱流を大幅に低減する。
【0070】
さらに、粉末/空気混合物は、粉末搬送インジェクタ100において最小の流れ抵抗しか受けず、これは粉末搬送インジェクタ100が同じ体積の搬送空気で達成することができる搬送能力を全体的に増大させる。
【0071】
具体的には、図2に概略的に示されているように、駆動ノズル1として働く粉末搬送インジェクタ100の第1領域は実質的に円筒形の構造であり、実質的に円筒形の外面を有する駆動ノズルハウジング2を示す。当該駆動ノズルハウジング2の少なくとも幾つかの領域は、流れ収集流路12の長手方向軸Lに対して軸方向又は少なくとも実質的に軸方向に配置された内部搬送空気ダクト3を画定する。駆動ノズル1のノズル開口部4が形成されたノズル突起6は、搬送空気ダクト3内に延びている。
【0072】
ノズル開口部4は、搬送空気ダクト3を介して搬送空気入口7に流体的に接続されており、当該搬送空気入口7は、流れ収集流路12として機能する第2領域11の流路の縦軸Lに対して非軸方向に配置および整列されている。一方、既に記載されているように、駆動ノズル1のノズル開口4は、流れ収集流路12の長手方向軸Lに対して軸方向に配置される。
【0073】
粉末搬送インジェクタ100が作動しているとき、搬送空気は駆動ノズル1の搬送空気入口7を介して供給され、この搬送空気は駆動ノズル1のノズル開口4を介して流れ収集流路12に向かって流出する。流れ収集チャンネル12の少なくとも上流側領域におけるノズル状の構成により、搬送空気は収集ノズル11に圧入され、また、駆動ノズル1のノズル開口4の径が比較的小さいため、高速の気流が形成され、これにより、粉末搬送インジェクタ100の粉末入口5の領域に負圧が形成される。粉末搬送インジェクタ100の動作中に粉末入口領域に形成されるこの負圧の結果として、駆動ノズル1として機能する粉末搬送インジェクタ100の第1領域1の粉末入口5が希薄相粉末ポンプ51の粉末流路を介しておよび/または粉末ラインなどを介して、適切な粉末容器などに流体接続されるとき、コーティング粉末が引き出される。
【0074】
図2に概略的に示されるように、駆動ノズルハウジング2はその下流端領域に円筒形の内側輪郭を有し、その内側輪郭の中に、粉末搬送インジェクタ100の第2領域11の上流端領域、すなわち収集ノズルとして機能する粉末搬送インジェクタ100の領域の上流端領域が挿入され、したがって、当該上流端領域は、(例えば、クランプ、接着、またはプレスによって)駆動ノズルハウジング2に着脱可能または着脱不可能に接続され得る。
【0075】
したがって、全体として、粉末搬送インジェクタ100の第1領域および第2領域1、11は、1つの構成要素として互いに接合される。1つの構成要素として互いに接合されたこれら2つの領域1、11は、流れ収集チャンネル12の長手方向軸Lに対して好ましくは回転対称である全体の外側輪郭を有している。これにより、ユーザがノズル配列100の特定の向きに注意を払う必要なく、粉末搬送インジェクタ100を任意の所与の方法で希薄相粉末ポンプ51のハウジング20の着座部21に挿入することが可能になる。
【0076】
図2の概略断面図からさらに分かるように、粉末搬送インジェクタ100は対応シール部8を備え、当該対応シール部8を介して、粉末搬送インジェクタ100を希薄相粉末ポンプ51のハウジング20内に収容する際に、粉末搬送インジェクタ100は希薄相粉末ポンプ51のハウジング20に対して封止され得る。
【0077】
具体的には、このために少なくとも2つの円周方向シール領域8a、8bを設けることが優先され、それによって、2つの円周方向シール領域8a、8bの間に狭小流路または環状溝22が形成される。また、駆動ノズル1の搬送空気入口7は、2つの円周方向シール領域8a、8bの間に狭小流路又は環状溝22が形成されるこの領域内に開口する。
【0078】
図3は、粉末搬送インジェクタ100が希薄相粉末ポンプ51のハウジング20内に少なくとも部分的に収容された状態での、図2に記載の粉末搬送インジェクタ100の例示的な実施形態の概略断面図を示す。
【0079】
図示するように、希薄相粉末ポンプ51のハウジング20はそれによって、着座部21を備え、その大きさは、粉末搬送インジェクタ100の第1領域(駆動ノズル1)の少なくとも上流端領域の外径および外側構成に適合される。粉末搬送インジェクタ100のシールリング8a、8bは、希薄相粉末ポンプ51のハウジング20に設けられた着座部21の壁に対して、粉末搬送インジェクタ100の少なくとも上流端領域を封止する。
【0080】
図3からさらに分かるように、粉末搬送インジェクタ100の2つの円周方向のシール領域8a、8bの間に形成された狭小流路又は環状溝22が、希薄相粉末ポンプ51におけるハウジング20の着座部21の壁とともに環状の空間を形成し、これにより、この環状の空間は、希薄相粉末ポンプ51のハウジング20に形成された搬送空気接続部23によって流体的に接続されている。
【0081】
図3からさらに分かるように、粉末ライン接続部24は、粉末搬送インジェクタ100(収集ノズル11)の第2領域の下流端領域に嵌合し、特に当該下流端領域に着脱自在に接続されている。
【0082】
そのために、粉末ライン接続部24は、流れ収集流路12の長手方向軸Lに対して軸線方向に配置された受け流路を有し、当該受け流路において、収集ノズル11の下流端領域が少なくとも部分的に受容され得る。さらに、図3に概略的に示すように、粉末ライン接続部24は、希薄相粉末ポンプ51のハウジング20に対して特に粉末ライン接続部24を封止するために、対応シール部25を備えることができる。
【0083】
粉末ライン接続部24は収集ノズル11の下流端領域に嵌合され得て、この結果、希薄相粉末ポンプ51のハウジング20と粉末ライン接続部24と粉末搬送インジェクタ100とによって区画された環状空間26が、希薄相粉末ポンプ51のハウジング20に形成された補助空気ダクト27に流体接続されるように形成される。補助空気ダクト27は、粉末搬送インジェクタ100によって搬送される粉末/空気混合物に加えることができる補助空気を環状空間26に供給することができる。
【0084】
図1の記載に戻ると、図2に記載の粉末搬送インジェクタ100を備えた希薄相粉末ポンプ51が使用された本発明の粉末分配装置50の例示的な実施形態が、以下でより詳細に説明される。
【0085】
粉末分配装置50の動作中、粉末搬送インジェクタ100における駆動ノズル1の搬送空気入口7を介して搬送空気が供給され、当該搬送空気は、駆動ノズル1のノズル開口4を介して流れ収集流路12に向かって流出する。流れ収集流路12の少なくとも上流側領域のノズル状の構成により、搬送空気は収集ノズル11に圧入され、また、駆動ノズル1のノズル開口4の径が比較的小さいため、高速の気流が形成され、これにより、粉末搬送インジェクタ100の粉末入口の領域に負圧が形成される。粉末分配装置50の動作中に粉末入口領域に形成されるこの負圧の結果として、駆動ノズル1として機能する粉末搬送インジェクタ100の第1領域の粉末入口が粉末ラインなどを介して適切な粉末容器などに流体接続されるとき、粉末またはコーティング粉末のそれそれが引き込まれる。
【0086】
図1に記載の概略断面図からさらに分かるように、粉末搬送インジェクタ100はポンプモジュールとして実現された希薄相粉末ポンプ51の着座部に収容され、この結果、ポンプモジュールは粉末搬送インジェクタ100に対して、ハウジング20またはインジェクタハウジングとしてそれぞれ機能する。
【0087】
上記粉末搬送インジェクタ100に加えて、ポンプモジュールとして設計された発明の粉末分配装置の例示的な実施形態の希薄相粉末ポンプ51は、ポンプモジュールの粉末注入口80と粉末搬送インジェクタ100の駆動ノズル1の粉末注入口5との間の流路に配置されたピンチ弁40を示すことが好ましい。
【0088】
上記ピンチ弁40は必要に応じて、ポンプモジュールの粉末入口80と粉末搬送インジェクタ100の駆動ノズル1の粉末入口5との間の流体接続を中断するように、粉末分配装置50の一部であって粉末分配装置50に一体化された制御装置52によって制御され得ることが好ましい。このような流路の遮断は好ましくは、以下でより詳細に説明するように、粉末分配装置50のポンプモジュールにおける洗浄モードで実施される。
【0089】
さらに、必要に応じて粉末搬送インジェクタ100に圧縮空気を供給するために、粉末搬送インジェクタ100の駆動ノズル1の粉末入口5とピンチ弁40との間に圧縮空気注入装置30を設けることも考えられる。具体的には、図1に示す本発明の粉末分配装置50の例示的な実施形態で示されるように、粉末搬送インジェクタ100の駆動ノズル1の粉末入口5とピンチ弁40との間の流路に圧縮空気注入装置30が配設されている。
【0090】
このようなポンプモジュールは第1圧縮空気接続部7を備え、この第1の圧縮空気接続部7を介して、粉末搬送インジェクタ100の駆動ノズル1に搬送空気が供給され得る。ポンプモジュールはさらに、第2の圧縮空気接続部27を備え、この第2の圧縮空気接続部27を介して、粉末搬送インジェクタ100に補助空気が供給され得る。
【0091】
それに加えて、ポンプモジュールは、第3の圧縮空気接続部と第4の圧縮空気接続部とを備え、第3の圧縮空気接続部を介して、必要に応じて圧縮空気注入装置30に圧縮空気が供給され得て、第4の圧縮空気接続部を介して、ピンチ弁40を作動させるための適切な制御圧力がピンチ弁40に供給され得る。
【0092】
ポンプモジュールとして設計された希薄相粉末ポンプ51を作動させるために必要な圧力は、制御モジュールとして構成された粉末分配装置50の制御装置52における対応する圧縮空気制御部60によって与えられる。そのために、制御モジュールとして構成された制御装置52の圧縮空気制御部60は(中央)圧縮空気接続部64を有し、当該圧縮空気接続部64を介して、圧縮空気源(図1には示されていない)から圧縮空気制御部60に圧縮空気が供給され得る。
【0093】
圧縮空気制御部60は、複数の圧縮空気出口65~69をさらに備え、この出口を介して、噴霧コーティング操作中に粉末/コーティング粉末を搬送するために希薄相粉末ポンプ51によって必要とされる圧縮空気が供給され、又は、噴霧コーティング操作中に粉末分配装置50に接続された粉末噴霧装置によって必要とされる圧縮空気が供給される。
【0094】
以下に説明するように、制御モジュールとして設計された本発明の粉末分配装置50における制御装置52の圧縮空気制御部60は特に、制御モジュールの複数の圧縮空気出口65~69の少なくとも一部によって、単位時間当たりに提供される圧縮空気の必要量を調節するように設計されている。
【0095】
具体的には、図1に概略的に示すように、制御モジュールとして設計された本発明の粉末分配装置50における制御装置52は第1圧縮空気出口65を備え、当該第1圧縮空気出口65は、粉末/コーティング粉末を搬送するためにポンプモジュールの希薄相粉末ポンプ51によって必要とされる搬送空気を供給するため、圧縮空気制御部60に割り当てられている。
【0096】
制御モジュールとして設計された制御装置52はさらに、圧縮空気制御部60に割り当てられた第2圧縮空気出口66を備え、当該第2の圧縮空気出口66を介して、粉末/コーティング粉末を搬送するためにポンプモジュールの希薄相粉末ポンプ51によって必要とされる補助空気が供給される。
【0097】
図1に示す本発明の粉末分配装置50の例示的な実施形態では、制御モジュールとして設計された制御装置52、または対応する圧縮空気制御部60はそれぞれ、第3圧縮空気出口69を有し、当該第3圧縮空気出口69を介して、粉末/コーティング粉末を噴霧するために粉末分配装置50に接続された粉末噴霧装置によって必要とされる圧縮空気が提供される。この圧縮空気は特に、電極パージ用空気、シェーピングエア(shaping air)、圧縮搬送空気などである。
【0098】
これにより、制御モジュールとして設計された本発明の粉末分配装置50の例示的な実施形態における制御装置52の圧縮空気制御部60は、単位時間当たりに制御モジュールの第1、第2、および第3圧縮空気出口65、66、69に供給される圧縮空気の体積を相応に調整するように設計される。
【0099】
制御モジュールの対応する圧縮空気出口65、66、69の各々は、その端部に圧縮空気絞り装置59を割り当てられており、その各々は粉末分配装置50の制御装置52によって特に調節可能な少なくとも1つの絞り弁を有する。そして、制御モジュールの対応する圧縮空気出口を介して単位時間当たりに提供される圧縮空気の容積は、この絞り弁を介して調節することができる。
【0100】
本発明の粉末分配装置50において、このような圧縮空気絞り装置59または絞り弁を使用することは特に有利であり、なぜなら、必要とされる粉末/コーティング粉末の量の点で良好なコーティング品質および良好な効率を得るために、圧縮空気の必要な流れを、微小なステップでまたは無段階で、それによって連続的に正確に調整することができることが特に重要であるからである。
【0101】
制御モジュールとして設計された制御装置の第1、第2、及び第3の圧縮空気出口65、66、69に割り当てられた圧縮空気絞り装置59はそれぞれ、絞り弁と制御可能な電気モータとを備え、当該電気モータは絞り弁を調整するためのモータシャフトを有する。モータは、規定された回転角度位置に制御可能に調節できるモータシャフトを有する任意のタイプのモータとすることができ、好ましくは電動ステップモータとすることができる。
【0102】
図1に示すように、制御モジュールとして設計された制御装置52の第3圧縮空気出口69はポンプモジュールに(流体的に)接続されず、むしろ分配ブロック53の圧縮空気出口70に開口しており、この場合、分配ブロック53の当該圧縮空気出口70は、分配ブロック53に形成された流路57を介して制御モジュールの第3圧縮空気出口69に流体的に接続される。
【0103】
制御モジュールの他の圧縮空気出口、すなわち第1、第2、第4および第5の圧縮空気出口65~68は、ポンプモジュールの対応する圧縮空気入口に流体的に接続される。上述の分配ブロック53に形成された対応する流路55、56、58は、図1に概略的に示された本発明の粉末分配装置50の実施形態において、その目的のために使用される。
【0104】
分配ブロック53は、制御モジュールの圧縮空気出口それぞれをポンプモジュールの対応する圧縮空気接続部に流体的に接続する役割だけでなく、ポンプモジュールを制御モジュールに対応して接続する役割も担っている。分配器ブロック53は例えば、圧縮空気をポンプモジュールに供給するために必要なすべての流路が形成される材料の一体ブロックであってもよく、分配器ブロック53の流路と制御モジュールの圧縮空気出口との間、又は分配器ブロック53の流路とポンプモジュールの圧縮空気入口との間の封止に関するあらゆる問題を防止するように、一方ではポンプモジュールに対して、他方では制御モジュールに対して、特に最適化されるインタフェースを提供する。
【0105】
さらに、分配ブロック53内に形成された流路はできるだけ短くなるように設計されており、ポンプモジュールの動作中に排気される必要がある又は圧縮空気で満たされる必要がある可能な最小の容積を表す。これにより、ポンプモジュールの応答遅延が短縮され、応答時間の向上を達成することができる。
【0106】
しかしながら、制御モジュールの圧縮空気出口をポンプモジュールの対応する圧縮空気入口に直接接続することができる場合に、ポンプモジュールと制御モジュールとを互いに直接接続することも勿論考えられる。
【0107】
制御モジュールとして設計された本発明の粉末分配装置50における制御装置52は、粉末分配装置50の最もコンパクトな可能な構造を達成するために粉末分配装置50に一体化される。特に、粉末分配装置50は有利には「希薄相粉末ポンプ51」および「制御装置52」の構成要素がそれぞれモジュール式構成要素として設計されるモジュール式構造を有し、それにより、これら2つのモジュール式構成要素は同様にモジュール式構造の分配ブロックによって互いに接続される。ポンプモジュール自体が例えば、個々の「粉末入口80」、「ピンチ弁40」、「圧縮空気注入装置30」および「粉末搬送インジェクタ100」のモジュールからなるモジュール式構造を有することができる。
【0108】
制御モジュールに関連付けられた制御装置52は、粉末分配装置50に接続された粉末噴霧装置によって行われる噴霧コーティング動作プロセスに関して特徴的な少なくとも1つのパラメータ、および/またはポンプモジュールの希薄相粉末ポンプ51によって行われる粉末搬送に関して特徴的な少なくとも1つのパラメータを設定および調整またはそれぞれ制御するだけでなく、対応する電気的変数を調整するようにも機能する。
【0109】
そのために、制御装置52は、対応する電気的接続および電気的制御(マザーボード)を示す。制御装置52はさらに、制御装置52の通信バスを導出するためのインタフェース接続部62を割り当てられ、当該制御装置52は、遠隔制御によって少なくとも1つのパラメータを調整し、かつ/または少なくとも1つの設定された目標パラメータ値を遠隔処理ユニットに通信するように設計されている。インタフェース接続部は例えば、パラレルインタフェースまたはシリアルインタフェースを示すことができる。
【0110】
粉末分配装置50に接続された粉末噴霧装置には、インタフェース接続部62を介して電気制御信号または電気エネルギーをそれぞれ供給することができる。
【0111】
制御装置52は特に、以下に列挙され、粉末噴霧装置に関して行われる噴霧コーティング動作を特徴付けるパラメータのうちの少なくとも1つを設定するように設計されている。
-粉末噴霧装置の1つ以上の高電圧電極における電極噴霧電流、
-粉末噴霧装置の1つ以上の高電圧電極における高電圧、
-単位時間当たりに粉末噴霧装置に供給される電極パージ用空気の体積、
-単位時間あたりに粉末噴霧装置に供給されるシェーピングエアの体積。
【0112】
代替的に又は追加的に、制御装置52は、以下に列挙されるパラメータのうちの少なくとも1つを設定し、粉末分配装置50に関して行われる粉末搬送を特徴付けるように設計されている。
-単位時間当たりに粉末分配装置50によって搬送される粉末/コーティング粉末の量、
-単位時間当たりに粉末/コーティング粉末と一緒に搬送されるべき圧縮搬送空気の体積。
【0113】
図1には示されていないが、この文脈では制御装置52が、少なくとも1つの手動で作動可能なパラメータ設定要素61を備えることが考えられ、当該パラメータ設定要素61は少なくとも1つのパラメータに対する目標パラメータ値を設定するためのものであり、当該パラメータは、粉末噴霧装置によって行われる噴霧コーティングプロセスに関して特徴付けるか、又は粉末分配装置50によって行われる粉末搬送に関して特徴付けるものである。それにもかかわらず、この文脈において、制御装置52が光学表示ユニットを有することがさらに考えられ、当該光学表示ユニットは、少なくとも1つの設定された目標パラメータ値を表示する、および/または対応する実際のパラメータ値を表示するためのものである。
【0114】
制御装置52が噴霧コーティング手順を実行するように設計されることが考えられ、この場合、制御装置52は、その目的に関する複数の噴霧コーティングプログラムを有するメモリ装置63を備え、各噴霧コーティングプログラムは、少なくとも1つの個別の調節可能なパラメータを含み、制御装置52は、少なくとも1つの調節可能なパラメータの目標パラメータ値を設定する少なくとも1つの手動で作動可能なパラメータ設定要素を有し、制御装置52は、少なくとも1つの設定された目標パラメータ値を自動的に表示するための光学表示ユニットを有する。
【0115】
制御装置52はさらに、例えば粉末を交換する際に必要であるポンプモジュールの洗浄(フラッシング)を、好ましくは自動的に行するように設計され得る。このために、制御モジュールが、ピンチ弁40を閉じるように第5圧縮空気出口を介してポンプモジュールのピンチ弁40に対応する作動圧力を作用させることが考えられる。次いで、第4圧縮空気出口を介してポンプモジュールの圧縮空気注入装置30にパージ用空気を供給することができ、次いで、粉末分配装置50のポンプユニットに流体接続された粉末噴霧装置へのラインシステムと同様に、ポンプユニットの粉末インジェクタをフラッシングすることができる。同時に、またはそれと並行して、第1および第2圧縮空気出口を介してポンプモジュールに圧縮空気を供給することもできる。
【0116】
以下、図4および図5を参照しつつ、本発明の粉末分配装置50の別の例示的な実施形態を説明する。
【0117】
簡単に要約すると、粉末分配装置50の例示的な実施形態は、原則として図1図3を参照して上述した粉末分配装置50の構成に対応する構成を示す。
【0118】
したがって、本発明の粉末分配装置50の別の例示的な実施形態は、粉末、特にコーティング粉末を、粉末貯蔵器から粉末噴霧装置に圧送する希薄相粉末ポンプ51を備える。
【0119】
さらに、粉末分配装置50に一体化された制御装置52が設けられており、この制御装置は、粉末噴霧装置で行われる噴霧コーティングプロセスに関して特徴的な、および/または希薄相粉末ポンプ51で行われる粉末搬送に関して特徴的な少なくとも1つのパラメータを設定することができるように設計されている。
【0120】
本発明の粉末分配装置50の別の例示的な実施形態では、制御装置52が希薄相粉末ポンプ51とともに1つの構造ユニットを形成することも提供される。
【0121】
本発明の分配装置50の別の例示的な実施形態の制御装置52は、構造的および機能的な点で、図1図3を参照して上述した制御装置52に対応する。従って、繰り返しを避けるために、この時点で、上述の説明を参照されたい。
【0122】
図4および図5に記載の本発明の粉末分配装置50の別の例示的な実施形態では、図1図3に記載の実施形態と比較して、よりコンパクトな構造を示す希薄相粉末ポンプが希薄相粉末ポンプ51として使用される。
【0123】
図2および図3を参照して少なくとも原理的に説明したような粉末搬送インジェクタ100は、図4および図5による希薄相粉末ポンプ51にその目的に関して使用される。
【0124】
図4および図5による実施形態では、粉末容器(またはホッパ)に流体接続された粉末供給流路が搬送軸に対してわずかに角度をなして設けられている。このようにして、粉末供給流路は比較的短い設計とすることができ、これにより、希薄相粉末ポンプの応答挙動が全体的に最適化される。
【0125】
図4および図5に示される例示的な実施形態では具体的に、粉末搬送インジェクタの粉末供給流路が、粉末容器の粉末分配流路または粉末入口流路の一部としてすでに形成されているか、または粉末容器に直接流体接続され得ることが提供される。ここでも粉末供給流路内にピンチ弁40が設けられており、ピンチ弁40と粉末搬送インジェクタ100の駆動ノズル1の粉末入口5との間に圧縮空気注入装置30が設けられている。
【0126】
ピンチ弁40および圧縮空気注入装置30によって達成され得る利点に関して、図1に示される粉末分配装置50の例示的実施形態に関連して先の実施形態が参照される。
【0127】
図6は、第2の例示的な実施形態(図4参照)による複数の粉末分配装置50と粉末貯蔵器とからなる本発明のシステムの例示的な実施形態の概略等角図を示す。粉末貯蔵器は、そのチャンバ壁に設けられた対応する粉末分配開口91を有する粉末容器90である。これにより、粉末分配開口91の各々がポンプモジュールとして実現された粉末分配装置50の希薄相粉末ポンプ51の粉末入口80に流体接続され又は流体接続可能であり、それにより、粉末コーティングシステムの粉末コーティング動作中に、粉末容器90の粉末チャンバからコーティング粉末を抽出し、それぞれの噴霧装置に供給することができる。
【0128】
粉末チャンバ内に開口する粉末容器90のチャンバ壁における粉末分配開口は、好ましくは楕円形を呈し、その結果、コーティング粉末を吸引(流動化)するための有効面積が拡大される。
【0129】
粉末分配開口は、粉末分配装置50が粉末チャンバから好ましくは全てのコーティング粉末を抽出することができるように、粉末チャンバ内にできるだけ深く配置される。粉末分配装置50の希薄相粉末ポンプ51は、好ましくは最も高い粉末高さよりも高い点に位置し、それぞれ粉末分配開口の1つに接続され、当該粉末分配開口は粉末分配流路または粉末入口流路によって粉末チャンバ内に開口する。粉末分配装置50の希薄相粉末ポンプ51を最も高い粉末高さよりも高く配置することにより、スイッチが入っていないときに、コーティング粉末が粉末チャンバから希薄相粉末ポンプ51内に上昇することが防止される。
【0130】
図6に示すように、例示的な実施形態は閉じた粉末容器90であるか、またはそれぞれ蓋で閉じることができ、この場合当該蓋は、好ましくは着脱容易な接続を介して粉末容器90に接続可能である。
【0131】
特に、図6に記載の粉末容器90には、粉末容器90を開放するために粉末容器90の上側壁部の実質的に全体が取り外し可能であるように設けられている。
【0132】
粉末容器90は、好ましくはコーティング粉末を収容するための実質的に立方体形状の粉末チャンバを備える。少なくとも1つの圧縮パージ用空気入口を粉末容器90の側壁に設けることができ、この側壁に圧縮空気ラインを介して圧縮空気源を接続して、システムの洗浄動作中に粉末チャンバ内に圧縮パージ用空気を導入し、粉末チャンバから残留粉末を除去することができる。
【0133】
さらに、粉末容器90の側壁には、出口開口部を有する残留粉末出口を設けることができ、この出口開口部を介して、システムの洗浄動作中に粉末チャンバ内に導入された圧縮パージ用空気の助けを借りて、残留粉末を粉末チャンバから排出することができる。
【0134】
圧縮された流動化空気を粉末容器90の粉末チャンバ内に導入するための流動化装置が、図6に示される実施形態において提供されることが好ましい。圧縮された流動化空気は、端壁、側壁、底壁または上壁を通して粉末チャンバに導入することができる。しかしながら、有利には、粉末チャンバの底壁が流動床として設計される。複数の開いた孔または小さい貫通開口を通じて、圧縮された流動化空気は、底壁の下に配置された流動化圧縮空気チャンバから粉末チャンバ内に上向きに流れることができ、これにより、粉末コーティング操作中にその中のコーティング粉末を懸濁状態にし(それを流動化し)、その結果、粉末分配デバイス50はそれを容易に抽出することができる。圧縮された流動化空気は、流動化圧縮空気入口を介して流動化圧縮空気チャンバに供給される。
【0135】
粉末チャンバ内の圧力が、流動化装置の作動中に所定の最大圧力を超えないように、粉末チャンバは好ましくは出口開口を有する少なくとも1つの流動化圧縮空気出口を備え、当該出口開口は、粉末チャンバ内に導入された圧縮流動化空気を放出し、圧力均等化を行うためのものである。少なくとも1つの流動化圧縮空気出口の出口開口は、流動化装置の作動中、大気圧と比較して最大で0.5bar高い圧力が粉末チャンバ内で生じるように寸法設定されることが特に望ましい。
【0136】
粉末容器90は、粉末チャンバ内の最大許容粉末高さを検出できるように、少なくとも1つのレベルセンサを備えることがさらに好ましい。例えば、レベルセンサは、粉末チャンバ内の最大、最小、または任意の所与の粉末高さを検出することができる。
【0137】
また、粉末容器に対して配置された別のレベルセンサを設けて、最小粉末高さを検出し、対応するメッセージを制御ユニットに、好ましくは、上記最小粉末高さに到達した直後又は下回った直後に、それぞれの粉末分配装置50に一体化された少なくとも1つの制御装置52に発信して、新鮮な粉末又は収集された粉末を、好ましくは自動的に、少なくとも1つの粉末入口の入口開口を介して粉末チャンバに供給するようにすることも考えられる。
【0138】
本発明は、図面に示される例示的な実施形態に限定されず、むしろ、本明細書に開示される全ての特徴を統合した全体的な考察から生じるものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7