(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】液晶ポリマーフィルムの製造方法
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20240806BHJP
C09K 19/38 20060101ALI20240806BHJP
C09K 19/56 20060101ALI20240806BHJP
C09K 19/60 20060101ALI20240806BHJP
C08F 20/10 20060101ALI20240806BHJP
C08L 33/04 20060101ALI20240806BHJP
C08K 5/23 20060101ALI20240806BHJP
C08F 2/44 20060101ALI20240806BHJP
C08F 2/48 20060101ALI20240806BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20240806BHJP
G02F 1/13363 20060101ALI20240806BHJP
G02F 1/1337 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
G02B5/30
C09K19/38
C09K19/56
C09K19/60 A
C08F20/10
C08L33/04
C08K5/23
C08F2/44 B
C08F2/48
G02F1/1335 510
G02F1/13363
G02F1/1337
(21)【出願番号】P 2021542458
(86)(22)【出願日】2020-01-20
(86)【国際出願番号】 EP2020051229
(87)【国際公開番号】W WO2020152079
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2023-01-19
(32)【優先日】2019-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】593033142
【氏名又は名称】メルク・パテント・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent GmbH
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250, 64293 Darmstadt
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン マルケイ
(72)【発明者】
【氏名】エドゥアルド ベルトラン グラシア
(72)【発明者】
【氏名】オーワイン パリ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィッキー プール
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ アレン
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン アドレム
(72)【発明者】
【氏名】ハサン アラジ
【審査官】藤岡 善行
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/102051(WO,A1)
【文献】特開2002-082224(JP,A)
【文献】国際公開第2018/050608(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
C08F 20/10
C08F 2/44
C08F 2/48
G02F 1/1335
G02F 1/13363
G02F 1/1337
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 1つ以上の重合性液晶分子と、1つ以上の自己組織化光配向剤とを有する重合性液晶混合物を基材上に準備するステップと、
- 前記重合性液晶混合物の光配向を引き起こす直線偏光を、前記液晶混合物に照射するステップと、
- 任意に、紫外線の照射により、重合性液晶化合物を硬化させるステップと
を少なくとも有する、均質に整列したポリマーフィルムの製造方法であって、
1つ以上の自己組織化光配向剤は、式S
【化1】
[ここで、
L
sはそれぞれ、同じかまたは異なり、それぞれの出現において同じかまたは異なり、F、Cl、CN、SCN、SF
5または直鎖状または分岐状の、それぞれ任意にフッ素化された、12までのC原子を有するアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシ、(Sp
s)
r1-G、Y、または(Sp
s)
r1-P
sを意味し、
P
sはそれぞれ、互いに独立して、重合性基を意味し、
Sp
sは、それぞれの出現において、同じかまたは異なり、スペーサー基を意味し、
Yは、(R
b)
2N-またはR
cC(O)O-を意味し、
Gは、-OHまたはSi(OR
a)
3を意味し、
R
a、R
b、R
cはそれぞれ、同じかまたは異なり、H、1~6のC原子を有する直鎖状または分岐状のアルキルを意味し、
r1は、0または1を意味し、
t1、t2は、それぞれおよび独立して、1、2、3、4または5を意味し、かつ
Z
sは、-N=N-、-CH=CH-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-、-CO-CH=CH-、-CH=CH-CO-から選択される基を意味し、ここで、1つ以上のHは、ハロゲンに置き換えられていてよい]
の化合物から選択され、
前記液晶混合物中の1つ以上の重合性液晶分子の総濃度は、85~99.9%の範囲内である、方法。
【請求項2】
1つ以上の自己組織化光配向剤は、式S1
【化2】
[ここで、
Yは、(R
b)
2N-、R
cC(O)O-、または基L
sを意味し、
Spは、スペーサー基を意味し、
Gは、-OHまたはSi(OR
a)
3を意味し、
R
a、R
b、R
cはそれぞれ、同じかまたは異なり、1~6のC原子を有する直鎖状または分岐状のアルキルを意味し、
L
sはそれぞれ、同じかまたは異なり、式Sについて定義され
た基を意味し、
t1、t2は、0、1、2、3または4を意味する]
の化合物の群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記液晶混合物中の前記1つ以上の自己組織化光配向剤の総濃度は、1~15%の範囲内である、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
1つ以上の重合性液晶分子は、式DRM
P
1-Sp
1-MG-Sp
2-P
2 DRM
[ここで、
P
1およびP
2は、互いに独立して、重合性基を意味し、
Sp
1およびSp
2は、互いに独立して、スペーサー基または単結合であり、かつ
MGは、棒状メソゲン基である]
の化合物の群から選択される、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
1つ以上の重合性液晶分子は、以下の式
【化3-1】
【化3-2】
[ここで、
P
0は、複数存在する場合に互いに独立して、アクリル基、メタクリル基、オキセタン基、エポキシ基、ビニル基、ヘプタジエン基、ビニルオキシ基、プロペニルエーテル基またはスチレン基であり、
Lは、それぞれの出現で同じかまたは異なり、P-Sp-、F、Cl、Br、I、-CN、-NO
2、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、-C(=O)NR
00R
000、-C(=O)OR
00、-C(=O)R
00、-NR
00R
000、-OH、-SF
5、任意に置換されたシリル、1~12のC原子を有するアリールまたはヘテロアリール、1~12のC原子を有する直鎖状または分岐状のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシであり、ここで、1つ以上のH原子は、任意に、FまたはClに置き換えられていて、
R
00およびR
000はそれぞれ、互いに独立して、H、Fまたは1~12のC原子を有する直鎖状または分岐状のアルキルを意味し、ここで、付加的に、1つ以上のH原子は、Fに置き換えられていてよく、
Spは、スペーサー基を意味し、
rは、0、1、2、3または4であり、
xおよびyは、互いに独立して、0または1から12までの同じまたは異なる整数であり、
zは、それぞれおよび独立して、0または1であり、隣接するxまたはyが0である場合、zは0である]
からの化合物の群から選択される、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
1つ以上の重合性液晶分子は、式MRM
P
1-Sp
1-MG-R MRM
[ここで、P
1、Sp
1およびMGは、請求項4に記載の式DRM中で与えられ
た意味を有し、
Rは、F、Cl、Br、I、-CN、-NO
2、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、-C(=O)NR
xR
y、-C(=O)X、-C(=O)OR
x、-C(=O)R
y、-NR
xR
y、-OH、-SF
5、任意に置換されたシリル、1~12のC原子を有する、直鎖状または分岐状のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシであり、ここで、1つ以上のH原子は、任意に、FまたはClに置き換えられ、
Xは、ハロゲンであり、かつ
R
xおよびR
yは、互いに独立して、Hまたは1~12のC原子を有するアルキルである]
から選択される、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
1つ以上の重合性液晶分子は、以下の式
【化4-1】
【化4-2】
【化4-3】
【化4-4】
[ここで、P
0は、複数存在する場合に互いに独立して、重合性基であり、
Lは、複数出現する場合に互いに独立して、F、Cl、CNまたは1~5のC原子を有する、任意にハロゲン化されたアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシから選択され、
rは、0、1、2、3または4であり、
xおよびyは、互いに独立して、0または1から12までの同じまたは異なる整数であり、
zは、それぞれおよび独立して、0または1であり、隣接するxまたはyが0である場合、zは0であり、
R
0は、1以上のC原子を有するアルキル、アルコキシ、チオアルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシであるか、またはY
0を意味し、
Y
0は、F、Cl、CN、NO
2、OCH
3、OCN、SCN、SF
5、または1~4のC原子を有するモノ-、オリゴ-またはポリフッ素化されたアルキルまたはアルコキシであり、
Z
0は、-COO-、-OCO-、-CH
2CH
2-、-CF
2O-、-OCF
2-、-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-COO-、または単結合であり、
A
0は、複数存在する場合に互いに独立して、非置換であるかまたは1、2、3または4の基Lで置換されている1,4-フェニレン、またはトランス-1,4-シクロヘキシレンであり、
uおよびvは、互いに独立して、0、1または2であり、
wは、0または1であり、かつ
ここで、ベンゼン環およびナフタレン環は、付加的に、1つ以上の同じまたは異なる基Lで置換されていることができる]
から選択される、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記偏光は紫外線である、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記偏光はVIS光である、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項記載の方法から得ることができる、ポリマーフィルム。
【請求項11】
光学部品における、請求項10記載のポリマーフィルムの使用。
【請求項12】
請求項11記載のポリマーフィルムを含む、光学部品。
【請求項13】
光学装置における、請求項12記載の光学部品の使用。
【請求項14】
請求項10記載のポリマーフィルムまたは請求項12記載の光学部品を備えた、光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、均質に整列した液晶ポリマーフィルムの製造方法、対応する製造方法から得ることができるポリマーフィルム、およびこのようなポリマーフィルムの光学部品および電気光学装飾品への使用、ならびにこのようなポリマーフィルムを有する部品および装置に関する。
【0002】
背景および先行技術
重合性液晶材料または反応性メソゲン(RM)は、一様な配向を有する異方性ポリマーフィルムの製造についての先行技術において公知である。このようなフィルムは、通常では、基材上に重合性液晶混合物の薄層を被覆し、この混合物を一様な配向に整列させ、かつこの混合物を重合させることにより製造される。このフィルムの配向は、平面的であることができ、すなわち液晶分子は、層に対して実質的に平行に、ホメオトロピック(層に対して直交または垂直)にまたは傾斜して配向する。
【0003】
このような光学フィルムは、例えば欧州特許第0940707号明細書、欧州特許第0888565号明細書および英国特許第2329393号明細書に記載されている。
【0004】
現在のRM被覆は、ラビングポリイミド(PI)か光配向層のいずれかの配向層を必要とする。この配向層なしで、それ自体が配向するRMモノマーについての優先的な秩序はない。これは、RMモノマーのランダムな整列を引き起こし、硬化の際にポリマーのランダムな整列を引き起こす。
【0005】
反応性メソゲン分子の均質な整列を与えるための標準的な技術は、それに関連して欠点を有する。ラビングPI整列のための機械的ラビングプロセスは、RM被覆にいくらかの静電気電荷と異物とを導入することがあり、これらは整列に有害な効果を有することがある。
【0006】
非接触的なアプローチである光配向プロセスが最近になって発明されたが、これはコストの観点から望ましくない別の被覆ステップをこの製造プロセスに追加する。例えば、N.A. Clark et al., Langmuir 2010, 26(22), 17482-17488は、以下の構造
【化1】
の化合物が基材上で自己組織化して、光配向して液晶の均質な整列を引き起こすことができる単分子層を生じることができることを示した。
【0007】
In Situ自己整列は、欧州特許出願公開第3390570号明細書に開示されているような液晶系に対しては可能であることが示されたが、反応性メソゲンフィルムに対しては可能ではない。
【0008】
非反応性液晶については、光配向基と光重合性基とを含む添加物が使用される。このプロセスでは、LCセルは等方相にあるときに偏光されたUV線が照射される。次いで、ネマチック相に冷却される際に、このLCは、今や反応した自己整列添加物によって与えられた整列をとる。これは、調製物中の成分のほとんどが、自己整列添加物のように光重合性であるため、RMフィルムに対しては困難である。RMフィルムにUV光が照射される場合、このフィルムは、被覆された際に有するランダム整列で重合するだけであるため、LCに対して機能する自己整列添加物は、RMフィルム内では機能することができない。
【0009】
したがって、先行技術の方法またはフィルムの欠点を示さないか、または示したとしても僅かな程度で示すだけの、新規でかつ好ましく改善された、均質に整列した液晶ポリマーフィルムの製造方法、またはこのようなポリマーフィルムが依然として必要とされている。
【0010】
好都合にも、このような方法は、好ましくは、適合性があり、費用有効性があり、一般的に公知の大量生産のための方法により製造されるべき均質に整列したポリマーフィルムの製造のために適用可能であるべきであり、得られるポリマーフィルムは、好ましくは同時に、基板への有利な接着、VIS光に対する高い透明性、低い暗状態透過率、有利な高温安定性または耐久性、およびさらに一様な整列を示すべきである。
【0011】
本発明の他の目的は、以下の詳細な説明から当業者に直ちに明らかである。
【0012】
意外にも、本発明の発明者らは、請求項1に記載の均質に整列した液晶ポリマーの製造方法により、上述の要件の目的の1つ以上、好ましくは全てを、好ましくは同時に達成することができることを見出した。
【0013】
発明の概要
したがって、本発明は、
- 1つ以上の重合性液晶分子と、1つ以上の自己組織化光配向剤とを有する重合性液晶混合物を基材上に準備するステップと、
- この重合性液晶混合物の光配向を引き起こす直線偏光を、液晶混合物に照射するステップと、
- 任意に、紫外線の照射により、重合性液晶化合物を硬化させるステップと
を少なくとも有する、均質に整列したポリマーフィルムの製造方法に関する。
【0014】
本発明はさらに、上述のおよび後述に記載されるような方法から得ることができる、好ましくは得られるポリマーフィルムに関する。
【0015】
本発明はさらに、上述のおよび後述に記載されるようなポリマーフィルムの、光学部品における使用、本発明によるポリマーフィルムを有する光学部品ならびにこのような光学部品の光学装置への使用に関する。
【0016】
最後に、本発明は、本発明によるポリマーフィルムまたは光学部品を光学的に備えた光学装置に関する。
【0017】
用語および定義
ここで使用されるような「ポリマー」の用語は、1つ以上の明確なタイプの繰返単位(分子の最小の構成単位)の主鎖を含む分子を意味すると解釈され、一般的に公知の「オリゴマー」、「コポリマー」、「ホモポリマー」等の用語を含む。さらに、ポリマーの用語は、ポリマー自体に加えて、開始剤からの残留物、触媒およびこのようなポリマーの合成に付随する他の要素を含むと解釈されるが、このような残留物は、共有結合によりポリマーに組み込まれていないと解釈される。さらに、このような残留物および他の要素は、通常では重合後の精製プロセスによって除去されるが、一般的にはポリマーと混合または混ぜられて、容器間にまたは溶媒または分散媒体間で移行する場合にポリマーとともに残留する。
【0018】
本発明において使用されるような「(メタ)アクリル系ポリマー」の用語は、アクリル系モノマーから得ることができるポリマーと、メタクリル系モノマーから得ることができるポリマーと、相応してこれらのようなモノマーの混合物から得ることができるコポリマーとを含む。
【0019】
「重合」の用語は、複数の重合性基またはこのような重合性基を含むポリマー前駆体(重合性化合物)と一緒に結合することによりポリマーを形成する化学的プロセスを意味する。
【0020】
「フィルム」および「層」の用語は、機械的安定性を有する剛性のまたは可撓性の自己支持型または自立型のフィルム、ならびに支持基材上のまたは基材間の被覆または層を含む。
【0021】
「液晶」または「LC」の用語は、いくつかの温度範囲(サーモトロピックLC)でまたは溶液中でのいくつかの濃度範囲(リオトロピックLC)で液晶中間相を有する材料に関する。これらは、必須でメソゲン化合物を含む。
【0022】
「メソゲン化合物」および「液晶化合物」の用語は、1つ以上のカラミチック(棒状または幅広/板状)のまたはディスコチック(円盤状)のメソゲン基を含む化合物を意味する。「メソゲン基」の用語は、液晶相(または中間相)挙動を引き起こすことができる基を意味する。メソゲン基を有する化合物は、必ずしも液晶中間相自体を示す必要はない。これらは、他の化合物と混合した形でだけ、またはメソゲン化合物または材料、またはそれらの混合物が重合した場合にだけ液晶中間相を示すことも可能である。これは、低分子量の非反応性液晶化合物と、反応性または重合性液晶化合物と、液晶ポリマーとを含む。
【0023】
カラミチックメソゲン基は、通常では、互いに直接的にまたは連結基を介して結合された1つ以上の芳香族または非芳香族環式基からなるメソゲンコアを有し、任意にこのメソゲンコアの末端に結合した末端基を有し、かつ任意にこのメソゲンコアの長辺に結合した1つ以上の側方基を有し、これらの末端基および側方基は、通常では、例えばカルビル基またはヒドロカルビル基、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシなどのような極性基、または重合性基から選択される。
【0024】
「反応性メソゲン」の用語は、重合性メソゲンまたは液晶化合物、好ましくはモノマー化合物を意味する。これらの化合物は、純粋な化合物としてまたは反応性メソゲンと、光開始剤、禁止剤、界面活性剤、安定剤、連鎖移動剤、非重合性化合物等として機能する他の化合物との混合物として使用することができる。
【0025】
1つの重合性基を有する重合性化合物は、「一反応性」化合物と言われ、2つの重合性基を有する重合性化合物は、「二反応性」化合物と言われ、2つより多くの反応性基を有する化合物は、「多反応性」化合物と言われる。重合性基のない化合物は、「非反応性または非重合性」化合物とも言われる。
【0026】
本発明による光反応性基は、分子により吸収されることができる適切な波長の光の照射の際に、結合回転、骨格転位または原子または基の移動、または二量化による分子の形状の変化を引き起こす分子の官能基である。
【0027】
本発明による光反応性メソゲンは、1つ以上の光反応性基を有するメソゲン化合物である。
【0028】
光反応性基の例は、-C=C-二重結合およびアゾ基(-N=N-)である。
【0029】
このような光反応性基を有する分子構造および下位構造の例は、スチルベン、(1,2-ジフルオロ-2フェニルビニル)-ベンゼン、シンナマート、4-フェニルブタ-3-エン-2-オン、カルコン、クマリン、クロモン、ペンタレノンおよびアゾベンゼンである。
【0030】
「重合性液晶混合物」の用語は、上述または後述に記載されるような重合性液晶分子化合物を90質量%より多く、好ましくは95質量%より多く、さらに好ましくは98質量%より多く有する材料を意味する。
【0031】
「非メソゲン化合物または材料」の用語は、上述で定義されたようなメソゲン基を含まない化合物または材料を意味する。
【0032】
可視光は、約400nm~約740nmの範囲内の波長を有する電磁波である。紫外(UV)線は、約200nm~約450nmの範囲内の波長を有する電磁波である。
【0033】
本出願によると、「直線偏光」の用語は、少なくとも部分的に直線偏光された光を意味する。好ましくは、この整列光は、5:1より大きい偏光の度合いで直線偏光されている。直線偏光の波長、強度およびエネルギーは、光配向性材料の感光性に依存して選択される。典型的には、この波長は、UV-A、UV-Bおよび/またはUV-C範囲内または可視範囲内にある。好ましくは、直線偏光は、450nmより低い、より好ましくは420nmより低い波長の光を有し、同時に、この直線偏光は、好ましくは、280nmより長い、好ましくは320nmより大きい、より好ましくは350nmを越える波長の光を有する。
【0034】
放射照度(Ee)または照射力は、表面に入射する単位面積(dA)当たりの電磁波の力(dθ)として定義される。
Ee=dθ/dA
この放射露光または放射線量(He)は、時間(t)当たりの放射照度または照射力(Ee)である。
He=Ee・t
例えば液晶の融点T(C,N)またはT(C,S)、スメティック(S)相からネマチック(N)相への転位T(S,N)および澄明点T(N,I)のような全ての温度は、摂氏で表示される。全ての温度差は、差分の度合いで表示される。
【0035】
「澄明点」の用語は、最も高い温度範囲を有する中間相と、等方相との間で転移が起こる温度を意味する。
【0036】
「ダイレクター」の用語は、先行技術において公知であり、かつ液晶またはRM分子の長い分子軸(カラミチック化合物の場合)または短い分子軸(ディスコチック化合物の場合)の優先的な配向方向を意味する。このような異方性分子の一軸秩序の場合、ダイレクターは、異方性の軸である。
【0037】
「整列」または「配向」の用語は、「整列方向」と言われる共通方向での、小分子または大分子の断片のような材料の異方性単位の整列(配向秩序)に関する。液晶またはRM材料の整列した層内で、液晶ダイレクターは、整列方向と一致するので、この整列方向は、材料の異方性の軸の方向に対応する。
【0038】
例えば材料の層内の、液晶またはRM材料の「一様な配向」または「一様な整列」の用語は、液晶またはRM分子の長い分子軸(カラミチック化合物の場合)または短い分子軸(ディスコチック化合物の場合)が、実質的に同じ方向に配向していることを意味する。換言すると、液晶ダイレクターの線は、平行である。
【0039】
「ホメオトロピック構造」または「ホメオトロピック配向」の用語は、光学軸がフィルム平面に対して実質的に垂直であるフィルムを言う。
【0040】
「プレーナー構造」または「プレーナー配向」または「均質な整列」の用語は、光学軸がフィルム平面に対して実質的に平行であるフィルムを言う。
【0041】
「負の(光学的)分散」の用語は、波長(λ)の増大とともに複屈折(Δn)の大きさが増大する逆複屈折分散を示す複屈折のまたは液晶の材料またはその層を言う。つまり、|Δn(450)|<|Δn(550)|、またはΔn(450)/Δn(550)<1であり、ここで、Δn(450)とΔn(550)とは、それぞれ450nmと550nmの波長で測定された材料の複屈折である。対照的に、「正の(光学的)分散」は、|Δn(450)|>|Δn(550)|またはΔn(450)/Δn(550)>1を有する材料または層を意味する。例えば、A. Uchiyama, T. Yatabe “Control of Wavelength Dispersion of Birefringence for Oriented Copolycarbonate Films Containing Positive and Negative Birefringent Units”. J. Appl. Phys. Vol. 42 pp 6941-6945 (2003)も参照。
【0042】
所定の波長での光学的リタデーションは、上述のように複屈折と層の厚さとの積として定義される[R(λ)=Δn(λ)・d]ため、光学的分散は、Δn(450)/Δn(550)の比による「複屈折分散」として表すことができるか、またはR(450)/R(550)の比による「リタデーション分散」として表すことができ、ここで、R(450)とR(550)とは、それぞれ450nmと550nmの波長で測定された材料のリタデーションである。層の厚さdは、波長とともに変化しないため、R(450)/R(550)は、Δn(450)/Δn(550)と等しい。したがって、負の分散または逆の分散を有する材料または層は、R(450)/R(550)<1または|R(450)|<|R(550)|を有し、かつ正の分散または正規の分散を有する材料または層は、R(450)/R(550)>1または|R(450)|>|R(550)|を有する。
【0043】
本発明において、他に言及されていない限り、「光学的分散」は、リタデーション分散、すなわちR(450)/R(550)の比を意味する。
【0044】
「高い分散」の用語は、分散の絶対値が1からの大きな逸脱を示すことを意味し、「低い分散」の用語は、分散の絶対値が1からの僅かな逸脱を示すことを意味する。したがって、「高い負の分散」は、分散値が1よりかなり小さいことを意味し、「低い負の分散」は、分散値が1より僅かに小さいことを意味する。
【0045】
材料のリタデーション(R(λ))は、分光エリプソメーター、例えばJ. A. Woollam Co.により製造されたM2000分光エリプソメーターを使用して測定することができ、この機器は、典型的には370nm~2000nmの波長範囲にわたり複屈折サンプル、例えば石英のナノメートルでの光学的リターダンスを測定することを可能にする。このデータから、材料の分散(R(450)/R(550)またはΔn(450)/Δn(550))を計算することが可能である。
【0046】
これらの測定を実施する方法は、N. Singhにより2006年10月に国立物理学研究所(ロンドン、UK)で、「Spectroscopic Ellipsometry, Part1-Theory and Fundamentals, Part 2 - Practical Examples and Part 3 - measurements」のタイトルで発表された。J. A. Woollam Co. Inc (Lincoln, NE, USA)により発行されたRetardation Measurement (RetMeas) Manual (2002) and Guide to WVASE (2002) (Woollam Variable Angle Spectroscopic Ellipsometer)に記載された測定手順に従う。他に言及されていない限り、この方法は、本発明に記載された材料、フィルムおよび装置のリタデーションを決定するために使用される。
【0047】
「Aプレート」の用語は、異常軸が層の平面に対して平行に配向している一軸性複屈折材料の層を利用した光学的リターダーを言う。
【0048】
「Cプレート」の用語は、異常軸が層の平面に対して垂直に配向している一軸性複屈折材料の層を利用した光学的リターダーを言う。
【0049】
一様な配向を有する光学的一軸複屈折液晶材料を有するA/Cプレートでは、フィルムの光学軸は、異常軸の方向によって与えられる。正の複屈折を有する光学的一軸複屈折材料を有するA(またはC)プレートは、「正のA(またはC)プレート」または「+A(または+C)プレート」とも言われる。
【0050】
ディスコチック異方性材料のような負の複屈折を有する光学的一軸複屈折材料のフィルムを有するA(またはC)プレートは、ディスコチック材料の配向に依存して、「負のA(またはC)プレート」または「-A(またはC)プレート」とも言われる。スペクトルのUV部分で反射バンドを有するコレステリックカラミチック材料から製造されたフィルムは、負のCプレートの光学系を有する。
【0051】
複屈折Δnは、以下のように定義され、
Δn=ne-no
ここで、neは、異常屈折率であり、noは常屈折率であり、平均屈折率nav.は、以下の式により与えられる。
nav.=((2no
2+ne
2)/3)1/2
【0052】
平均屈折率nav.および常屈折率noは、アッベ屈折計を使用して測定することができる。Δnは、次に上述の式から計算することができる。
【0053】
他に文脈が明確に指摘していない限り、本明細書の用語の本明細書で使用されるような複数形は、単数形を含むと解釈されるべきであり、またその逆も同様である。
【0054】
全ての物理特性は、「Merck Liquid Crystals, Physical Properties of Liquid Crystals」, Status Nov. 1997, Merck KGaA、ドイツ国により決定されたおよび決定され、かつ他に明確に言及されていない限り、20℃の温度で与えられる。光学異方性(Δn)は、589.3nmの波長で決定される。
【0055】
疑わしい場合には、C. Tschierske, G. PelzlおよびS. Diele, Angew. Chem. 2004, 116, 6340-6368に与えられている定義が適用される。
【0056】
示された一般式において他に明確に言及されていない限り、以下の用語は、以下の意味を有する:
「有機基」の用語は、炭素基または炭化水素基を意味する。
【0057】
「炭素基」の用語は、少なくとも1つの炭素原子を含む一価または多価の有機基を意味し、この基は別の原子を含まない(例えば、-C≡C-)か、または任意に1つ以上の別の原子、例えば、N、O、S、P、Si、Se、As、TeまたはGeを含む(例えばカルボニル等)。「炭化水素基」の用語は、付加的に1つ以上のH原子と、任意に1つ以上のヘテロ原子、例えば、N、O、S、P、Si、Se、As、TeまたはGeとを含む炭素基を意味する。
【0058】
「ハロゲン」は、F、Cl、BrまたはIを意味する。
【0059】
炭素基または炭化水素基は、飽和基または不飽和基であってよい。不飽和基は、例えば、アリール基、アルケニル基またはアルキニル基である。3以上の原子を有する炭素基または炭化水素基は、直鎖状、分岐状および/または環状であってよく、スピロ結合または縮合環を含んでいてもよい。
【0060】
「アルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」の等の用語は、多価基、例えばアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレンなども含む。
【0061】
「アリール」の用語は、芳香族炭素基またはこの芳香族炭素基から誘導された基を意味する。「ヘテロアリール」の用語は、1つ以上のヘテロ原子を含む、上述で定義された「アリール」を意味する。
【0062】
好ましい炭素基および炭化水素基は、1~40、好ましくは1~25、特に好ましくは1~18のC原子を有する、任意に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシおよびアルコキシカルボニルオキシ、6~40、好ましくは6~25のC原子を有する、任意に置換されたアリールまたはアリールオキシ、または6~40、好ましくは6~25のC原子を有する、任意に置換された、アルキルアリール、アリールアルキル、アルキルアリールオキシ、アリールアルキルオキシ、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、アリールカルボニルオキシおよびアリールオキシカルボニルオキシである。
【0063】
さらに好ましい炭素基および炭化水素基は、C1~C40アルキル、C2~C40アルケニル、C2~C40アルキニル、C3~C40アリル、C4~C40アルキルジエニル、C4~C40ポリエニル、C6~C40アリール、C6~C40アルキルアリール、C6~C40アリールアルキル、C6~C40アルキルアリールオキシ、C6~C40アリールアルキルオキシ、C2~C40ヘテロアリール、C4~C40シクロアルキル、C4~C40シクロアルケニル等である。特に好ましくは、C1~C22アルキル、C2~C22アルケニル、C2~C22アルキニル、C3~C22アリル、C4~C22アルキルジエニル、C6~C12アリール、C6~C20アリールアルキルおよびC2~C20ヘテロアリールである。
【0064】
さらに好ましい炭素基および炭化水素基は、非置換であるか、またはF、Cl、Br、IまたはCNにより一置換または多置換された、1~40、好ましくは1~25のC原子を有する直鎖状、分岐状または環状のアルキル基であり、このアルキル基において1つ以上の隣接していないCH2基は各々、互いに独立して、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように、-C(Rz)=C(Rz)-、-C≡C-、-N(Rz)-、-O-、-S-、-CO-、-CO-O-、-O-CO-、-O-CO-O-に置き換えられていてよい。
【0065】
Rzは、好ましくは、H、ハロゲン、1~25のC原子を有する直鎖状、分岐状または環状のアルキル鎖を意味し、このアルキル鎖において、さらに、1つ以上の隣接しないC原子は、-O-、-S-、-CO-、-CO-O-、-O-CO-または-O-CO-O-に置き換えられていてよく、かつ1つ以上のH原子は、フッ素、6~40のC原子を有する、任意に置換されたアリール基またはアリールオキシ基、または2~40のC原子を有する、任意に置換されたヘテロアリールまたはヘテロアリールオキシ基に置き換えられていてよい。
【0066】
好ましいアルキル基は、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、シクロペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、2-エチルヘキシル、n-ヘプチル、シクロヘプチル、n-オクチル、シクロオクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、トリフルオロメチル、ペルフルオロ-n-ブチル、2,2,2-トリフルオロエチル、ペルフルオロオクチルおよびペルフルオロヘキシルである。
【0067】
好ましいアルケニル基は、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニルおよびシクロオクテニルである。
【0068】
好ましいアルキニル基は、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルおよびオクチニルである。
【0069】
好ましいアルコキシ基は、例えば、メトキシ、エトキシ、2-メトキシエトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、2-メチルブトキシ、n-ペントキシ、n-ヘキソキシ、n-ヘプトキシ、n-オクトキシ、n-ノノキシ、n-デコキシ、n-ウンデコキシおよびn-ドデコキシである。
【0070】
好ましいアミノ基は、例えば、ジメチルアミノ、メチルアミノ、メチルフェニルアミノおよびフェニルアミノである。
【0071】
アリール基およびヘテロアリール基は、単環式または多環式であることができ、すなわちこれらは、1つの環(例えばフェニル)または2つ以上の環を含むことができ、これらの環は、縮合されていてもよく(例えばナフチル)または共有結合されていてもよく(例えばビフェニル)、または縮合環と結合環との組合せを含んでいてもよい。ヘテロアリール基は、好ましくは、O、N、SおよびSeから選択される1つ以上のヘテロ原子を含む。このタイプの環系は、例えば、フルオレン基本構造の場合のように、個々の非共役単位を含んでいてもよい。
【0072】
6~25のC原子を有する単環、二環または三環のアリール基および2~25のC原子を有する単環、二環または三環のヘテロアリール基が特に好ましく、これらは、任意に縮合環を含みかつ任意に置換されている。さらに、5員、6員または7員のアリール基およびヘテロアリール基が好ましく、これらの基において、付加的に、1つ以上のCH基は、O原子および/またはS原子が互いに直接結合しないように、N、SまたはOに置き換えられていてよい。
【0073】
好ましいアリール基は、例えば、親構造のベンゼン、ビフェニル、テルフェニル、[1,1′:3′,1″]テルフェニル、ナフタレン、アントラセン、ビナフチル、フェナントレン、ピレン、ジヒドロピレン、クリセン、ペリレン、テトラセン、ペンタセン、ベンゾピレン、フルオレン、インデン、インデノフルオレン、スピロビフルオレン等から誘導されている。
【0074】
好ましいヘテロアリール基は、例えば、5員環、例えば、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、テトラゾール、フラン、チオフェン、セレノフェン、オキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、6員環、例えば、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、または縮合基、例えば、インドール、イソインドール、インドリジン、インダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、プリン、ナフトイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリドイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、キノリン、イソキノリン、プテリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、ベンゾイソキノリン、アクリジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾピリダジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、フェナジン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントリジン、フェナントロリン、チエノ[2,3b]チオフェン、チエノ[3,2b]チオフェン、ジチエノチオフェン、ジヒドロチエノ[3,4-b]-1,4-ジオキシン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ベンゾチアジアゾチオフェン、またはこれらの基の組合せである。ヘテロアリール基は、アルキル、アルコキシ、チオアルキル、フッ素、フルオロアルキルまたは別のアリール基またはヘテロアリール基により置換されていてもよい。
【0075】
(非芳香族)脂環式基および複素環式基は、飽和環、すなわち、単結合だけを含む環と、部分的に不飽和の環、すなわち、多重結合を含んでいてもよい環との両方を含む。複素環は、好ましくはSi、O、N、SおよびSeから選択される1つ以上のヘテロ原子を含む。
【0076】
(非芳香族)脂環式基および複素環式基は、単環、すなわち、1つの環だけ(例えば、シクロヘキサン)、または多環、すなわち、複数の環(例えば、デカヒドロナフタレンまたはビシクロオクタン)を含むことができる。飽和基が特に好ましい。さらに、3~25のC原子を有する単環式基、二環式基または三環式基が好ましく、この基は、任意に縮合環を含みかつ任意に置換されている。さらに、5員、6員、7員または8員の炭素環式基が好ましく、この基において、付加的に、1つ以上のC原子は、Siに置き換えられていてよく、かつ/または1つ以上のCH基は、Nに置き換えられていてよく、かつ/または1つ以上の隣接しないCH2基は、-O-および/または-S-に置き換えられていてよい。
【0077】
好ましい脂環式基および複素環式基は、例えば、5員基、例えば、シクロペンタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフラン、ピロリジン、6員基、例えば、シクロヘキサン、シリナン、シクロヘキセン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオピラン、1,3-ジオキサン、1,3-ジチアン、ピペリジン、7員基、例えば、シクロヘプタン、および縮合基、例えばテトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、インダン、ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイル、スピロ[3.3]ヘプタン-2,6-ジイル、オクタヒドロ-4,7-メタノインダン-2,5-ジイルである。
【0078】
アリール基、ヘテロアリール基、炭素基および炭化水素基は、任意に、好ましくはシリル、スルホ、スルホニル、ホルミル、アミン、イミン、ニトリル、メルカプト、ニトロ、ハロゲン、C1~12アルキル、C6~12アリール、C1~12アルコキシ、ヒドロキシルを含む基、またはこれらの基の組合せから選択される1つ以上の置換基を有する。
【0079】
好ましい置換基は、例えば、溶解促進基、例えばアルキルまたはアルコキシ、および電子吸引基、例えばフッ素、ニトロまたはニトリルである。
【0080】
好まし置換基は、他に言及されていない限り、上述および後述で「L」とも言われ、F、Cl、Br、I、-CN、-NO2、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、-C(=O)N(Rz)2、-C(=O)Y1、-C(=O)Rz、-N(Rz)2であり、Rzは、上述に示された意味を有し、Y1は、ハロゲン、任意に置換されたシリルまたは6~40、好ましくは6~20のC原子を有するアリール、1~25のC原子、好ましくは2~12のC原子を有する、直鎖状または分岐状のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシを意味し、1つ以上のH原子は、任意に、FまたはClに置き換えられていてよい。
【0081】
「置換されたシリルまたはアリール」は、好ましくは、ハロゲン、-CN、Ry1、-ORy1、-CO-Ry1、-CO-O-Ry1、-O-CO-Ry1または-O-CO-O-Ry1により置換されていることを意味し、Ry1は、上述に示された意味を有する。
【0082】
特に好ましい置換基Lは、例えば、F、Cl、CN、CH3、C2H5、-CH(CH3)2、OCH3、OC2H5、CF3、OCF3、OCHF2、OC2F5、さらにフェニルである。
【0083】
上述および後述の「ハロゲン」は、F、Cl、BrまたはIを意味する。
【0084】
上述および後述の、「アルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」等の用語は、多価基、例えば、アルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン等も含む。
【0085】
上述および後述に示された式において、置換フェニル環
【化2】
は、
【化3】
が好ましい、
ここで、Lは、それぞれの出現において同じかまたは異なり、上述または後述に与えられた意味の1つを有し、好ましくはF、Cl、CN、NO
2、CH
3、C
2H
5、C(CH
3)
3、CH(CH
3)
2、CH
2CH(CH
3)C
2H
5、OCH
3、OC
2H
5、COCH
3、COC
2H
5、COOCH
3、COOC
2H
5、CF
3、OCF
3、OCHF
2、OC
2F
5またはP-Sp-、極めて好ましくはF、Cl、CN、CH
3、C
2H
5、OCH
3、COCH
3、OCF
3またはP-Sp-、最も好ましくはF、Cl、CH
3、OCH
3、COCH
3またはOCF
3である。
【0086】
「ハロゲン」は、F、Cl、BrまたはI、好ましくはFまたはCl、より好ましくはFを意味する。
【0087】
「重合性基」(P)は、好ましくは、C=C二重結合またはC≡C三重結合を含む基、および開環による重合に適した基、例えばオキセタン基またはエポキシ基から選択される。
【0088】
好ましくは、重合性基(P)は、CH
2=CW
1-COO-、CH
2=CW
1-CO-、
【化4】
、CH
2=CW
2-(O)
k3-、CW
1=CH-CO-(O)
k3-、CW
1=CH-CO-NH-、CH
2=CW
1-CO-NH-、CH
3-CH=CH-O-、(CH
2=CH)
2CH-OCO-、(CH
2=CH-CH
2)
2CH-OCO-、(CH
2=CH)
2CH-O-、(CH
2=CH-CH
2)
2N-、(CH
2=CH-CH
2)
2N-CO-、CH
2=CW
1-CO-NH-、CH
2=CH-(COO)
k1-Phe-(O)
k2-、CH
2=CH-(CO)
k1-Phe-(O)
k2-、Phe-CH=CH-、からなる基から選択され、
ここで、
W
1は、H、F、Cl、CN、CF
3、フェニルまたは1~5のC原子を有するアルキル、殊にH、F、ClまたはCH
3を意味し、
W
2は、Hまたは1~5のC原子を有するアルキル、殊にH、メチル、エチルまたはn-プロピルを意味し、
W
3およびW
4はそれぞれ、互いに独立して、H、Clまたは1~5のC原子を有するアルキルを表し、Pheは、任意に、上述で定義されているがP-Spとは異なる1つ以上の基Lにより置換された1,4-フェニレンを意味し、有利に好ましい置換基Lは、F、Cl、CN、NO
2、CH
3、C
2H
5、OCH
3、OC
2H
5、COCH
3、COC
2H
5、COOCH
3、COOC
2H
5、CF
3、OCF
3、OCHF
2、OC
2F
5、さらにフェニルであり、および
k
1、k
2およびk
3はそれぞれ、互いに独立して、0または1を意味し、k
3は、好ましくは1を意味し、k
4は、1~10の整数である。
【0089】
特に好ましい重合性基Pは、CH
2=CH-COO-、CH
2=C(CH
3)-COO-、CH
2=CF-COO-、CH
2=CH-、CH
2=CH-O-、(CH
2=CH)
2CH-OCO-、(CH
2=CH)
2CH-O-、
【化5】
であり、ここで、W
2は、Hまたは1~5のC原子を有するアルキル、殊にH、メチル、エチルまたはn-プロピルを意味し、
さらに好ましい重合性基(P)は、ビニルオキシ、アクリラート、メタクリラート、フルオロアクリラート、クロロアクリラート、オキセタンおよびエポキシド、最も好ましくはアクリラートまたはメタクリラート、殊にアクリラートである。
【0090】
好ましくは、全ての多反応性重合性化合物およびその下位式は、1つ以上の基P-Sp-の代わりに、2つ以上の重合性基Pを含む1つ以上の分岐状基(多反応性重合性基)を含む。
【0091】
このタイプの適切な基は、およびこの基を含む重合性化合物は、例えば米国特許第7,060,200号明細書または米国特許出願公開第2006/0172090号明細書に記載されている。
【0092】
以下の式から選択される多反応性重合性基が特に好ましい:
-X-アルキル-CHPx-CH2-CH2Py I*a
-X-アルキル-C(CH2Px)(CH2Py)-CH2Pz I*b
-X-アルキル-CHPxCHPy-CH2Pz I*c
-X-アルキル-C(CH2Px)(CH2Py)-CaaH2aa+1 I*d
-X-アルキル-CHPx-CH2Py I*e
-X-アルキル-CHPxPy I*f
-X-アルキル-CPxPy-CaaH2aa+1 I*g
-X-アルキル-C(CH2Pv)(CH2Pw)-CH2OCH2-C(CH2Px)(CH2Py)CH2Pz I*h
-X-アルキル-CH((CH2)aaPx)((CH2)bbPy) I*i
-X-アルキル-CHPxCHPy-CaaH2aa+1 I*k
ここで、
アルキルは、単結合または1~12のC原子を有する直鎖状または分岐状のアルキレンを意味し、1つ以上の隣接しないCH2基はそれぞれ、互いに独立して、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように、-C(Rx)=C(Rx)-、-C≡C-、-N(Rx)-、-O-、-S-、-CO-、-CO-O-、-O-CO-、-O-CO-O-に置き換えられてよく、付加的に、1つ以上のH原子は、F、ClまたはCNに置き換えられてよく、Rxは、上述の意味を有し、
aaおよびbbはそれぞれ、互いに独立して、0、1、2、3、4、5または6を意味し、
Xは、X′について示された意味の1つを有し、および
PvからPzまではそれぞれ、互いに独立して、Pについて上述に示した意味の1つを有する。
【0093】
好ましいスペーサー基Spは、式Sp′-X′から選択され、基「P-Sp-」は、式「P-Sp′-X′-」に一致し、ここで、
Sp′は、任意にF、Cl、Br、IまたはCNにより一置換または多置換された、1~20、好ましくは1~12のC原子を有するアルキレンを意味し、このアルキレンにおいて、付加的に、1つ以上の隣接しないCH2基はそれぞれ、互いに独立して、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように、-O-、-S-、-NH-、-NRxx-、-SiRxxRyy-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCO-O-、-S-CO-、-CO-S-、-NRxx-CO-O-、-O-CO-NR0xx-、-NRxx-CO-NRyy-、-CH=CH-または-C≡C-に置き換えられていてよく、
X′は、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-COO-、-CO-NRxx-、-NRxx-CO-、-NRxx-CO-NRyy-、-OCH2-、-CH2O-、-SCH2-、-CH2S-、-CF2O-、-OCF2-、-CF2S-、-SCF2-、-CF2CH2-、-CH2CF2-、CF2CF2-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=CRxx-、-CYxx=CYxx-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-または単結合を意味し、
RxxおよびRyyはそれぞれ、互いに独立して、Hまたは1~12のC原子を有するアルキルを意味し、かつ
YxxおよびYyyはそれぞれ、互いに独立して、H、F、ClまたはCNを意味し、
X′は、好ましくは-O-、-S--CO-、-COO-、-OCO-、-O-COO-、-CO-NRxx-、-NRxx-CO-、-NRxx-CO-NRyy-または単結合である。
【0094】
典型的なスペーサー基Sp′は、例えば、-(CH2)p1-、-(CH2CH2O)q1-CH2CH2-、-CH2CH2-S-CH2CH2-、-CH2CH2-NH-CH2CH2-または-(SiRxxRyy-O)p1-であり、ここで、p1は、1~12の整数であり、q1は、1~3の整数であり、RxxおよびRyyは、上述の意味を有する。
【0095】
特に好ましい基-X′-Sp′-は、-(CH2)p1-、-O-(CH2)p1-、-OCO-(CH2)p1-、-OCOO-(CH2)p1-であり、ここで、p1は、1~12の整数である。
【0096】
特に好ましい基Sp′は、例えば、それぞれ直鎖の場合に、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、オクタデシレン、エチレンオキシエチレン、メチレンオキシブチレン、エチレンチオエチレン、エチレン-N-メチルイミノエチレン、1-メチルアルキレン、エテニレン、プロペニレンおよびブテニレンである。
【0097】
本発明の場合に、
【化6】
は、1,4-シクロヘキシレン、好ましくはトランス-1,4-シクロヘキシレンを意味し、かつ
【化7】
は、1,4-フェニレンを意味する。
【0098】
本発明の場合に、基-CO-O-、-COO--C(=O)O-または-CO
2-は、式
【化8】
のエステル基を意味し、かつ基-O-CO-、-OCO-、-OC(=O)-、-O
2C-または-OOC-は、式
【化9】
のエステル基を意味する。
【0099】
「ポリマー網目」は、全てのポリマー鎖が相互接続されて、多くの架橋により単一の巨視的な存在を形成する網目である。
【0100】
ポリマー網目は、次のタイプで生じることができる:
- グラフトポリマー分子は、1つ以上の側鎖が、構造的または配置的に主鎖とは異なる分岐ポリマー分子である。
【0101】
- 星型ポリマー分子は、単一の分岐点が、複数の線状鎖または腕を生じる分岐ポリマー分子である。腕が同一である場合、星型ポリマー分子は、規則的であると言われる。隣接する腕が、異なる下位繰返単位から構成されている場合、星型ポリマー分子は多彩であると言われる。
【0102】
- 櫛型ポリマー分子は、2つ以上の三方向分岐点を有する主鎖と、線状の側鎖とからなる。腕が同一である場合、櫛型ポリマー分子は、規則的であると言われる。
【0103】
- ブラシ状ポリマー分子は、非分岐の側鎖を有する線状の主鎖からなり、分岐点の1つ以上が四方向以上の官能性を有する。
【0104】
本明細書の説明および特許請求の範囲の全体にわたり、「有する(comprise)」および「含む(contain)」の単語およびこの単語の変化形、例えば「有する(comprising)」および「含む(comprises)」は、「含むがこれらに限定されない」ことを意味し、他の要素を除外することを意図しない(および除外しない)。一方で、「有する(comprise)」の単語は、「からなる(consisting of)」の用語も含むが、これに限定されるものではない。
【0105】
本明細書の説明および特許請求の範囲の全体にわたり、「得ることができる(obtainable)」および「得られた(obtained)」の単語およびこの単語の変化形は、「含むがこれらに限定されない」ことを意味し、他の要素を除外することを意図しない(および除外しない)。一方で、「得ることができる(obtainable)」の単語は、「得られた(obtained)」の用語も含むが、これに限定されるものではない。
【0106】
全ての濃度は、質量パーセントで表示され、全体としてそれぞれの混合物に対しており、全ての温度は、摂氏で表示され、全ての温度差は差分の度合いで表示される。
【0107】
詳細な説明
既に述べたように、本発明は、以下:
- 1つ以上の重合性液晶分子と、1つ以上の自己組織化光配向剤とを有する重合性液晶混合物を基材上に準備するステップと、
- 重合性液晶混合物の光配向を引き起こす直線偏光を、液晶混合物に照射するステップと、
- 任意に、紫外線の照射により、重合性液晶化合物を硬化させるステップと
を少なくとも有する、均質に整列したポリマーフィルムの製造方法に関する。
【0108】
本発明による自己組織化光配向(SAPA)は、好ましくは、少なくとも1つの極性側方基と少なくとも1つの光反応性基を有する化合物である。本発明についての研究を考慮すると、極性側方基が、基材表面と相互作用して、LCセルの充填後にSAPAがLC混合物から相分離することを可能にすると思われる。この見解によると、SAPAは、直線偏光UV光で光配向することができる層を基材上に形成する。液晶は、整列したSAPAの配向に従い、全体のディスプレーにわたり一様な平面状の整列が生じる。
【0109】
本発明による光配向プロセスは、適切な波長の直線偏光の照射下でSAPAに異性化を起こさせる。光異性化は、角度に依存するプロセスであり、最終的に化学線の偏光に対して優先的に垂直で、かつLCの配列を可能にする配向的な異方性で、SAPA配向の光選択が生じる。
【0110】
偏光の波長領域は、好ましくは、SAPAの吸収スペクトルにマッチするように選択される。
【0111】
好ましくは、1つ以上の自己組織化剤は、式S
【化10】
の化合物から選択され、
ここで、
L
sはそれぞれ、それぞれの出現において、同じかまたは異なり、F、Cl、CN、SCN、SF
5または直鎖状または分岐状の、それぞれの場合に、任意にフッ素化された、12までのC原子を有するアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシ、(Sp
s)
r1-G、Y、または(Sp
s)
r1-P
sを意味し、
P
sはそれぞれ、互いに独立して、重合性基を意味し、
Sp
sは、それぞれの出現において、同じかまたは異なり、スペーサー基を意味し、
Yは、(R
b)
2N-またはR
cC(O)O-を意味し、
Gは、-OHまたはSi(OR
a)
3を意味し、
R
a、R
b、R
cはそれぞれ、同じかまたは異なり、H、1~6のC原子を有する直鎖状または分岐状のアルキルを意味し、
r1は、0または1を意味し、
t1、t2は、それぞれおよび独立して、1、2、3、4または5を意味し、かつ
Z
sは、-N=N-、-CH=CH-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=-CH-、-CO-CH=CH-、-CH=CH-CO-から選択される基を意味し、ここで、1つ以上のHは、ハロゲンに置き換えられていてよい。
【0112】
好ましい自己組織化剤は、反応性であることができる式Sの化合物、したがって、Lsの1つ以上が(Sps)r1-Psから選択される式Sの化合物、または非反応性であることができる式Sの化合物、したがって、Lsのいずれも(Sps)r1-Psから選択されない式Sの化合物から選択される。
【0113】
反応性自己組織化剤が選択される場合、これらは、光反応が重合とは別の波長で起こる化合物から選択される。
【0114】
さらに好ましい自己組織化剤は、式S1
【化11】
の化合物から選択され
ここで、
Yは、(R
b)
2N-、R
cC(O)O-、または基L
sを意味し、
Spは、スペーサー基を意味し、
Gは、-OHまたはSi(OR
a)
3を意味し、
R
a、R
b、R
cはそれぞれ、同じかまたは異なり、1~6のC原子を有する直鎖状または分岐状のアルキルを意味し、
L
sはそれぞれ、同じかまたは異なり、式Sについて定義されたような基を意味し、
t1、t2は、0、1、2、3または4を表す。
【0115】
式S1の好ましい化合物は、式S1-1またはS1-2
【化12】
の化合物から選択され、
ここで、パラメータは、上述で定義された意味を有し、X
sは、O、-C(O)O-、C(O)NH-または単結合を意味する。
【0116】
式S-1の特に好ましい化合物は、次のS1-1およびS1-2
【化13-1】
【化13-2】
の化合物であり、
ここで、パラメータは、上述に与えられた意味を有し、好ましくは、R
aは、メチルまたはエチルを意味し、R
bおよびR
cは、メチルを意味し、n1は、0~10、好ましくは1~4の整数を意味する。
【0117】
好ましくは、LC媒体中の重合性液晶内のSAPA、好ましくは式Sの化合物の割合は、1~15%、極めて好ましくは3~12%、殊に5~10%である。
【0118】
式Sおよびその下位式の化合物は、当業者に公知のプロセスと同様に製造することができ、例えばHouben-Weyl, Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Thieme-Verlag, Stuttgartのような有機化学の標準的な著作に記載されている。これらの化合物のいくつかは、一般に公知のメチルレッドのように、市場で入手可能でもある。
【0119】
好ましい実施態様では、1つ以上の重合性液晶または重合性液晶分子は、式P
P
a-(Sp
a)
s1-A
2-(Z
1-A
1)
n2-R
a P
の化合物から選択され、
ここで、
P
aはそれぞれ、互いに独立して、重合性基を意味し、
Sp
aは、それぞれの出現において、同じかまたは異なり、スペーサー基を意味し、
s1は、0または1を意味し、
R
aは、F、Cl、CN、SCN、SF
5または12までのC原子を有する直鎖状または分岐状の、それぞれの場合に、任意にフッ素化された、アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシ、またはP
a-(Sp
a)
s1を意味し、
A
1、A
2はそれぞれ、互いに独立して、以下の群:
a)トランス-1,4-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘキセニレンおよび4,4´-ビシクロヘキシレンからなる群、ここで、付加的に、1つ以上の隣接しないCH
2基は、-O-および/または-S-に置き換えられていてよく、付加的に、1つ以上のH原子は、Fに置き換えられていてよい、
b)1,4-フェニレンおよび1,3-フェニレンからなる群、ここで、付加的に、1つまたは2つのCH基は、Nに置き換えられていてよく、付加的に、1つ以上のH原子は、Lに置き換えられていてよい、
c)テトラヒドロピラン-2,5-ジイル、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル、テトラヒドロフラン-2,5-ジイル、シクロブタン-1,3-ジイル、ピペリジン-1,4-ジイル、チオフェン-2,5-ジイルおよびセレノフェン-2,5-ジイルからなる群、これらの各々は、Lにより一置換または多置換されていてもよい、
d)5~20の環C原子を有する、飽和、部分飽和または完全飽和の、任意に置換された多環式基からなる群、これらの1つ以上は、付加的に、好ましくは:
【化14-1】
【化14-2】
から選択されるヘテロ原子に置き換えられていてよい、
から選択される基を意味し、
ここで、付加的に、これらの基中の1つ以上のH原子は、Lに置き換えられていてよく、かつ/または1つ以上の二重結合は、単結合に置き換えられていてよく、かつ/または1つ以上のCH基は、Nに置き換えられていてよく、
n2は、0、1、2または3を意味し、
Z
1は、複数存在する場合には互いに独立して、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-S-CO-、-CO-S-、-O-COO-、-CO-NR
00-、-NR
00-CO-、-NR
00-CO-NR
000、-NR
00-CO-O-、-O-CO-NR
00-、-OCH
2-、-CH
2O-、-SCH
2-、-CH
2S-、-CF
2O-、-OCF
2-、-CF
2S-、-SCF
2-、-CH
2CH
2-、-(CH
2)
n1、-CF
2CH
2-、-CH
2CF
2-、-CF
2CF
2-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=CR
00-、-CY
1=CY
2-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-または単結合を意味し、
Lは、P-Sp-、F、Cl、Br、I、-CN、-NO
2、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、-C(=O)NR
00R
000、-C(=O)OR
00、-C(=O)R
00、-NR
00R
000、-OH、-SF
5、任意に置換されたシリル、1~12のC原子を有するアリールまたはヘテロアリール、1~12のC原子を有する直鎖状または分岐状のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシであり、ここで、1つ以上のH原子は、任意に、FまたはClに置き換えられていて、
R
0、R
00、R
000はそれぞれ、互いに独立して、H、Fまたは1~12のC原子を有する直鎖状または分岐状のアルキルを意味し、ここで、付加的に、1つ以上のH原子は、Fに置き換えられてよく、
Y
1およびY
2は、互いに独立して、H、F、ClまたはCNを意味し、
nは、1、2、3または4であり、
n1は、1~10の整数であり、
Mは、-O-、-S-、-CH
2-、-CHY
1-または-CY
1Y
2-を意味し、かつ
Y
1およびY
2はそれぞれ、互いに独立して、R
0について上述に示した意味の1つを有するか、またはClまたはCNを意味する。
【0120】
式Pの好ましい化合物は、一反応性、二反応性または多反応性であることができる化合物から選択される。
【0121】
好ましくは、1つ以上の重合性液晶分子は、式DRM
P1-Sp1-MG-Sp2-P2 DRM
から選択された1つ以上の二反応性または多反応性メソゲン化合物から選択され、
ここで、
P1およびP2は、互いに独立して、重合性基を意味し、
Sp1およびSp2は、互いに独立して、スペーサー基または単結合であり、および
MGは、好ましくは式MG
-(A11-Z11)n-A12- MG
から選択される棒状メソゲン基であり、
ここで、
A11およびA12は、複数存在する場合に互いに独立して、芳香族基または脂環式基を意味し、これらの基は、任意に、N、OおよびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含み、かつ任意にL11により一置換または多置換されていて、
L11は、P-Sp-、F、Cl、Br、I、-CN、-NO2、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、-C(=O)NR00R000、-C(=O)OR00、-C(=O)R00、-NR00R000、-OH、-SF5、任意に置換されたシリル、1~12、好ましくは1~6のC原子を有するアリールまたはヘテロアリール、および1~12、好ましくは1~6のC原子を有する直鎖状または分岐状のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシであり、ここで、1つ以上のH原子は、任意に、FまたはClに置き換えられていて、
R00およびR000はそれぞれ、互いに独立して、H、Fまたは1~12のC原子を有する直鎖状または分岐状のアルキルを意味し、ここで、付加的に、1つ以上のH原子は、Fに置き換えられていてよく、
Z11は、複数存在する場合に互いに独立して、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-S-CO-、-CO-S-、-O-COO-、-CO-NR00-、-NR00-CO-、-NR00-CO-NR000、-NR00-CO-O-、-O-CO-NR00-、-OCH2-、-CH2O-、-SCH2-、-CH2S-、-CF2O-、-OCF2-、-CF2S-、-SCF2-、-CH2CH2-、-(CH2)n1、-CF2CH2-、-CH2CF2-、-CF2CF2-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=CR00-、-CY1=CY2-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-または単結合を意味し、
Y1およびY2は、互いに独立して、H、F、ClまたはCNを意味し、
nは、1、2、3または4、好ましくは1または2、最も好ましくは2であり、
n1は、1~10の整数、好ましくは1、2、3または4である。
【0122】
好ましい基A11およびA12は、制限なしで、フラン、ピロール、チオフェン、オキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イミダゾール、フェニレン、シクロヘキシレン、ビシクロオクチレン、シクロヘキセニレン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、アズレン、インダン、フルオレン、ナフタレン、テトラヒドロナフタレン、アントラセン、フェナントレンおよびジチエノチオフェンを含み、これらの全ては、非置換であるかまたは上述で定義されたような1、2、3または4の基L11により置換されている。
【0123】
特に好ましい基A11およびA12は、1,4-フェニレン、ピリジン-2,5-ジイル、ピリミジン-2,5-ジイル、チオフェン-2,5-ジイル、ナフタレン-2,6-ジイル、1,2,3,4-テトラヒドロ-ナフタレン-2,6-ジイル、インダン-2,5-ジイル、ビシクロオクチレンまたは1,4-シクロヘキシレンから選択され、ここで、1つまたは2つの隣接しないCH2基は、任意に、Oおよび/またはSに置き換えられていて、これらの基は、非置換であるかまたは上述で定義されたような1、2、3または4の基Lにより置換されている。
【0124】
特に好ましい基Z11は、それぞれの存在で互いに独立して、好ましくは-COO-、-OCO-、-CH2CH2-、-CF2O-、-OCF2-、-C≡C-、-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-COO-、または単結合から選択される。
【0125】
極めて好ましい1つ以上の重合性液晶分子は、次の式:
【化15-1】
【化15-2】
から選択される式DRMの二反応性メソゲン化合物から選択され、
ここで、
P
0は、複数存在する場合に互いに独立して、重合性基、好ましくはアクリル基、メタクリル基、オキセタン基、エポキシ基、ビニル基、ヘプタジエン基、ビニルオキシ基、プロペニルエーテル基またはスチレン基であり、
Lは、それぞれの出現において同じかまたは異なり、式DRM中のL
1について与えられた意味の1つを有し、好ましくは、複数出現する場合に互いに独立して、F、Cl、CNまたは1~5のC原子を有する、任意にハロゲン化されたアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシから選択され、
rは、0、1、2、3または4であり、
xおよびyは、互いに独立して、0または1から12までの同じまたは異なる整数であり、
zは、それぞれおよび独立して、0または1であり、隣接するxまたはyが0である場合、zは0である。
【0126】
特に、式DRMa1、DRMa2およびDRMa3の化合物、殊に式DRMa1の化合物が好ましい。
【0127】
好ましくは、1つ以上の重合性液晶分子は、一反応性メソゲン化合物から選択され、より好ましくは式MRM
P1-Sp1-MG-R MRM
の化合物から選択され、
ここで、P1、Sp1およびMGは、式DRM中で与えられた意味を有し、
Rは、F、Cl、Br、I、-CN、-NO2、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、-C(=O)NRxRy、-C(=O)X、-C(=O)ORx、-C(=O)Ry、-NRxRy、-OH、-SF5、任意に置換されたシリル、1~12、好ましくは1~6のC原子を有する、直鎖状または分岐状のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシであり、1つ以上のH原子は、任意に、FまたはClに置き換えられ、
Xは、ハロゲン、好ましくはFまたはClであり、および
RxおよびRyは、互いに独立して、Hまたは1~12のC原子を有するアルキルである。
【0128】
式MRMの好ましい化合物は、以下の式から選択される。
【化16-1】
【化16-2】
【化16-3】
【0129】
ここで、P0、L、r、x、yおよびzは、式DRMa-1から式DRMeまでに定義されたとおりであり、
R0は、1以上、好ましくは1~15のC原子を有するアルキル、アルコキシ、チオアルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシであるか、またはY0を意味し、
Y0は、F、Cl、CN、NO2、OCH3、OCN、SCN、SF5、または1~4のC原子を有するモノ-、オリゴ-またはポリフッ素化されたアルキルまたはアルコキシであり、
Z0は、-COO-、-OCO-、-CH2CH2-、-CF2O-、-OCF2-、-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-COO-、または単結合であり、
A0は、複数存在する場合に互いに独立して、非置換であるかまたは1、2、3または4の基Lで置換されている1,4-フェニレン、またはトランス-1,4-シクロヘキシレンであり、
uおよびvは、互いに独立して、0、1または2であり、
wは、0または1であり、
かつここで、ベンゼン環およびナフタレン環は、付加的に、1つ以上の同じまたは異なる基Lで置換されていることができる。
【0130】
さらに、式MRM1、MRM2、MRM3、MRM4、MRM5、MRM6、MRM7、MRM9およびMRM10の化合物、特に式MRM1、MRM4、MRM6、およびMRM7の化合物、殊に式MRM1およびMRM7の化合物が好ましい。
【0131】
式P、DRM、MRM、およびその下位式の化合物は、当業者に公知のプロセスと同様に製造することができ、例えばHouben-Weyl, Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Thieme-Verlag, Stuttgartのような有機化学の標準的な著作に記載されている。
【0132】
全体としての重合性液晶混合物中の前記一反応性、二反応性または多反応性液晶化合物の割合は、好ましくは30~99.9質量%の範囲内、より好ましくは50~99.9質量%の範囲内、さらにより好ましくは85~99.9質量%の範囲内である。
【0133】
好ましい実施態様では、全体としての重合性液晶混合物中の二反応性または多反応性重合性メソゲン化合物の割合は、好ましくは5~99質量%の範囲内、より好ましくは10~97質量%の範囲内、さらにより好ましくは15~95質量%の範囲内である。
【0134】
別の好ましい実施態様では、全体としての重合性液晶混合物中の一反応性重合性メソゲン化合物の割合は、存在する場合に、好ましくは5~80質量%の範囲内、より好ましくは10~75質量%の範囲内、さらにより好ましくは15~70質量%の範囲内である。
【0135】
別の好ましい実施態様では、全体としての重合性液晶混合物中の多反応性重合性メソゲン化合物の割合は、存在する場合に、好ましくは1~30質量%の範囲内、より好ましくは2~20質量%の範囲内、さらにより好ましくは3~10質量%の範囲内である。
【0136】
別の好ましい実施態様では、重合性液晶混合物は、2つより多くの重合性基を有する重合性メソゲン化合物を含まない。
【0137】
別の好ましい実施態様では、重合性液晶混合物は、2つより少ない重合性基を有する重合性メソゲン化合物を含まない。
【0138】
別の好ましい実施態様では、重合性液晶混合物は、アキラル材料であり、すなわちあらゆるキラル重合性メソゲン化合物または他のキラル化合物を含まない。
【0139】
さらに好ましい実施態様では、重合性液晶混合物は、好ましくは式MRM-1から選択された少なくとも1つの一反応性メソゲン化合物と、好ましくは式DRMa-1から選択された少なくとも1つの二反応性メソゲン化合物と、式Sの1つ以上の化合物とを有する。
【0140】
さらに好ましい実施態様では、重合性液晶混合物は、好ましくは式MRM-7から選択された少なくとも1つの一反応性メソゲン化合物と、好ましくは式DRMa-1から選択された少なくとも1つの二反応性メソゲン化合物と、式Sの1つ以上の化合物とを有する。
【0141】
さらに好ましい実施態様では、重合性液晶混合物は、好ましくは式MRM-1および/またはMRM-7の化合物から選択された少なくとも2つの一反応性メソゲン化合物と、好ましくは式DRMa-1から選択された少なくとも1つの二反応性メソゲン化合物と、式Sの1つ以上の化合物とを有する。
【0142】
さらに好ましい実施態様では、重合性液晶混合物は、好ましくは式MRM-1および/またはMRM-7の化合物から選択された少なくとも2つの一反応性メソゲン化合物と、好ましくは式DRMa-1の化合物から選択された少なくとも2つの二反応性メソゲン化合物と、式Sの1つ以上の化合物とを有する。
【0143】
さらに好ましい実施態様では、重合性液晶混合物は、好ましくは式DRMa-1の化合物から選択された少なくとも2つの二反応性メソゲン化合物と、式Sの1つ以上の化合物とを有する。
【0144】
さらに好ましい実施態様では、特に負の光学的分散用途のために、上述に記載されたような重合性液晶混合物は、付加的に式ND
【化17】
の1つ以上の化合物を有し、
ここで、
U
1,2は、互いに独立して、
【化18】
から選択され、それらの鏡像体を含み、ここで、環U
1およびU
2はそれぞれ、アキシアル結合を介して基-(B)
q-に結合し、これらの環内の1つまたは2つの隣接しないCH
2基は、任意に、Oおよび/またはSに置き換えられ、かつ環U
1およびU
2は、任意に、1つ以上の基Lにより置換されていて、
Q
1,2は、互いに独立して、CHまたはSiHであり、
Q
3は、CまたはSiであり、
Bは、それぞれの出現で互いに独立して、-C≡C-、-CY
1=CY
2-または任意に置換された芳香族基またはヘテロ芳香族基であり、
Y
1,2は、互いに独立して、H、F、Cl、CNまたはR
0であり、
qは、1~10の整数、好ましくは1、2、3、4、5、6または7であり、
A
1~4は、互いに独立して、非芳香族、芳香族またはヘテロ芳香族の炭素環式基または複素環式基から選択され、これらの基は、任意に、1つ以上の基R
5により置換されていて、-(A
1-Z
1)
m-U
1-(Z
2-A
2)
n-および-(A
3-Z
3)
o-U2-(Z
4-A
4)
p-の各々は、非芳香族基よりも多くの芳香族基を含まず、好ましくは1つより多くの芳香族基を含まず、
Z
1~4は、互いに独立して、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-COO-、-CO-NR
0-、-NR
0-CO-、-NR
0-CO-NR
00-、-OCH
2-、-CH
2O-、-SCH
2-、-CH
2S-、-CF
2O-、-OCF
2-、-CF
2S-、-SCF
2-、-CH
2CH
2-、-(CH
2)
3-、-(CH
2)
4-、-CF
2CH
2-、-CH
2CF
2-、-CF
2CF
2-、-CH=CH-、-CY
1=CY
2-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=CR
0-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-、CR
0R
00または単結合であり、
R
0およびR
00は、互いに独立して、Hまたは1~12のC原子を有するアルキルであり、
mおよびnは、互いに独立して、0、1、2、3または4であり、
oおよびpは、互いに独立して、0、1、2、3または4であり、
R
1~5は、互いに独立して、H、ハロゲン、-CN、-NC、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、-C(=O)NR
0R
00、-C(=O)X
0、-C(=O)R
0、-NH
2、-NR
0R
00、-SH、-SR
0、-SO
3H、-SO
2R
0、-OH、-NO
2、-CF
3、-SF
5、P-Sp-、任意に置換されたシリル、または任意に置換されかつ任意に1つ以上のヘテロ原子を含む1~40のC原子を有するカルビルまたはヒドロカルビルから選択される同じまたは異なる基であるか、PまたはP-Sp-を意味するか、またはPまたはP-Sp-により置換されていて、ここで、この化合物は、PまたはP-Sp-を意味するかまたはPまたはP-Sp-により置換されている少なくとも1つの基R
1~5を含み、
Pは、重合性基であり、
Spは、スペーサー基または単結合である。
【0145】
好ましくは、式ND中の橋かけ基Bを形成する下位群は、好ましくは、120°以上、好ましくは180°の範囲内の結合角を有する基から選択される。-C≡C-基またはパラ位でその隣接する基に結合した二価芳香族基、例えば1,4-フェニレン、ナフタレン-2,6-ジイル、インダン-2,6-ジイルまたはチエノ[3,2-b]チオフェン-2,5-ジイルが極めて好ましい。
【0146】
さらに可能な下位群は、-CH=CH-、-CY1=CY2-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-および-CH=CR0-を含み、ここで、Y1、Y2、R0は、上述の与えられた意味を有する。
【0147】
好ましくは、式ND中の橋かけ基、または-(B)q-は、-C≡C-、任意に置換された1,4-フェニレンおよび任意に置換された9H-フルオレン-2,7-ジイルからなる群から選択される1つ以上の基を有する。下位基、または式ND中のBは、好ましくは、-C≡C-、任意に置換された1,4-フェニレンおよび任意に置換された9H-フルオレン-2,7-ジイルからなる群から選択され、ここで、フルオレン基において9位のH原子は、任意に、カルビル基またはヒドロカルビル基に置き換えられている。
【0148】
極めて好ましい式ND中の橋かけ基、または-(B)
q-は、-C≡C-、-C≡C-C≡C-、-C≡C-C≡C-C≡C-、-C≡C-C≡C-C≡C-C≡C-、
【化19-1】
【化19-2】
から選択され、
ここで、rは、0、1、2、3または4であり、Lは、後述で記載された意味を有する。
【0149】
好ましくは、橋かけ基が結合されているメソゲン基の非芳香族環は、式ND中のU
1およびU
2のように、好ましくは、
【化20】
から選択され、ここで、R
5は、式NDに定義されたとおりである。
【0150】
好ましくは、式ND中の芳香族基A1~4は、単核、すなわち1つの芳香環だけを有する(例えば、フェニルまたはフェニレン)か、または多核、すなわち2つ以上の縮合環を有してよい(例えば、ナフチルまたはナフチレン)。25までのC原子を有する単環式、二環式または三環式の芳香族基またはヘテロ芳香族基が特に好ましく、これらの基は、縮合環を有していてもよく、かつ任意に置換されている。
【0151】
好ましくは、式NDの化合物中の非芳香族の炭素環および複素環A1~4は、飽和(つまり「完全飽和」とも言う)されている、すなわち、単結合により結合されたC原子またはヘテロ原子だけを含む環と、不飽和(つまり「部分飽和」とも言う)の、すなわち、二重結合により結合されたC原子またはヘテロ原子も有する環を含む。非芳香族環は、好ましくは、Si、O、NおよびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を有していてもよい。
【0152】
好ましくは、非芳香族環および芳香族環、または式ND中のA1~4は、トランス-1,4-シクロヘキシレンおよび1,4-フェニレンから選択され、これらは、任意に、1つ以上の基Lで置換されている。
【0153】
mおよびpは1であり、nおよびoは1または2である式NDの化合物が極めて好ましい。さらに、mおよびpは1または2であり、nおよびoは0である式NDの化合物が好ましい。さらに、m、n、oおよびpは2である化合物が好ましい。
【0154】
式NDの化合物中で、メソゲン基中の芳香族および非芳香族の環式基を結合する結合基、またはZ1~4は、好ましくは、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-COO-、-CO-NR0-、-NR0-CO-、-NR0-CO-NR0-、-OCH2-、-CH2O-、-SCH2-、-CH2S-、-CF2O-、-OCF2-、-CF2S-、-SCF2-、-CH2CH2-、-(CH2)3-、-(CH2)4-、-CF2CH2-、-CH2CF2-、-CF2CF2-、-CH=CH-、-CY1=CY2-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=CR0-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-、CR0R00または単結合、極めて好ましくは、-COO-、-OCO-および単結合から選択される。
【0155】
好ましくは、式NDの化合物中で、Lのような、環の置換基は、好ましくは、P-Sp-、F、Cl、Br、I、-CN、-NO2、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、-C(=O)NR0R00、-C(=O)X、-C(=O)OR0、-C(=O)R0、-NR0R00、-OH、-SF5、任意に置換されたシリル、1~12、好ましくは1~6のC原子を有するアリールまたはヘテロアリール、1~12、好ましくは1~6のC原子を有する直鎖状または分岐状のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシから選択され、ここで、1つ以上のH原子は、任意に、FまたはClに置き換えられていて、R0およびR00は、式NDに定義されたとおりであり、Xはハロゲンである。
【0156】
好ましくは、式NDの化合物は、R1~4のような1つ以上の末端基、またはR5のような置換基を含み、これらは、2つ以上の重合性基PまたはP-Sp-により置換されている(多官能性重合性基)。このタイプの適切な多官能性重合性基は、例えば、米国特許第7,060,200号明細書または米国特許出願公開第2006/0172090号明細書に記載されている。
【0157】
式NDの極めて好ましい化合物は、以下の下位式の化合物である:
【化21-1】
【化21-2】
【化21-3】
【化21-4】
【化21-5】
ここで、R
1~5、A
1~4、Z
1~4、B、m、n、o、pおよびqは、上述に与えられた意味の1つを有する。
【0158】
以下の下位式の化合物が特に好ましい:
【化22-1】
【化22-2】
【化22-3】
【化22-4】
【化22-5】
【化22-6】
【化22-7】
【化22-8】
【化22-9】
【化22-10】
ここで、Zは、上述で与えられたZ
1の意味の1つを有し、Rは、P-Sp-とは異なる上述で与えられたR
1の意味の1つを有し、P、Sp、Lおよびrは、上述で定義されたとおりであり、メソゲン基中のベンゼン環は、任意に、上述で定義されたとおりの1つ以上の基Lにより置換されている。
【0159】
さらに、式NDの化合物が、式ND25またはND26の化合物の群から選択され、特に、Zは-COO-を意味し、rは、それぞれの存在で、0であり、p、Spは、上述で定義されたとおりである重合性液晶媒体が有利である。
【0160】
これらの好ましい化合物中のP-Sp-は、好ましくはP-Sp′-X′であり、X′は、好ましくは-O-、-COO-または-OCOO-である。
【0161】
式NDの化合物、その下位式およびその合成のために適した方法は、国際公開第2008/119427号に記載されている。
【0162】
重合性液晶混合物中の式NDの化合物の量は、好ましくは1~50%、極めて好ましくは1~40%である。
【0163】
さらに好ましい実施態様では、重合性液晶混合物は、任意に、別の重合開始剤、酸化防止剤、界面活性剤、安定剤、触媒、増感剤、禁止剤、連鎖移動剤、共反応性モノマー、反応性希釈剤、表面活性化合物、潤滑剤、湿潤剤、分散剤、疎水化剤、接着剤、流動性向上剤、脱ガス剤または脱泡剤、脱気剤、希釈剤、反応性希釈剤、助剤、着色剤、色素、顔料およびナノ粒子からなる群から選択される1つ以上の添加物を有する。
【0164】
別の好ましい実施態様では、重合性液晶混合物は、任意に、重合性非メソゲン化合物(反応性希釈剤)から選択される1つ以上の添加物を有する。重合性液晶混合物中のこれらの添加物の量は、好ましくは0~30%、極めて好ましくは0~25%である。
【0165】
使用される反応性希釈剤は、実際の意味で反応性希釈剤と言われる物質だけでなく、1つ以上の相補的な反応単位または重合性基P、例えばヒドロキシ基、チオール基、またはアミノ基を含む上述で言及された補助化合物でもあり、これらの基を介して液晶化合物の重合性単位との反応を行うことができる。
【0166】
通常では光重合が可能である物質は、例えば、少なくとも1つのオレフィン性二重結合を含む単官能性、二官能性および多官能性の化合物を含む。これらの例は、カルボン酸、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸およびステアリン酸のビニルエステル、およびジカルボン酸、例えばコハク酸、アジピン酸のビニルエステル、アリルおよびビニルエーテルおよび単官能性アルコール、例えばラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコールおよびステアリルアルコールのメタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステル、およびに二官能性アルコール、例えばエチレングリコールおよび1,4-ブタンジオールのジアリルエーテルおよびジビニルエーテルである。
【0167】
例えば、特に、ヒドロキシル基を除いて別の官能基を含まないか、またはせいぜいエーテル基を含む多官能性アルコールのメタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステルも適している。このようなアルコールの例は、二官能性アルコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコールおよびこれらのさらに高度に縮合された代表物、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、アルコキシル化フェノール化合物、例えばエトキシル化およびプロポキシル化ビスフェノール、シクロヘキサンジメタノール、三官能性および多官能性アルコール、例えばグリセロール、トリメチロールプロパン、ブタントリオール、トリメチロールエタン、ペンタエリトリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリトリトール、ソルビトール、マンニトール、および相応するアルコキシル化、特にエトキシル化およびプロポキシル化アルコールである。
【0168】
他の適切な反応性希釈剤は、ポリエステル(メタ)アクリラートであり、これはポリエステロールの(メタ)アクリル酸エステルである。
【0169】
適切なポリエステロールの例は、ポリオール、好ましくはジオールを使用して、ポリカルボン酸、好ましくはジカルボン酸のエステル化により製造することができるものである。このようなヒドロキシル含有ポリエステルの出発材料は、当業者に公知である。使用することができるジカルボン酸は、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、o-フタル酸およびその異性体および水素化生成物、および前記酸のエステル化可能およびエステル交換可能な誘導体、例えば無水物およびジアルキルエステルである。適切なポリオールは、上述のアルコール、好ましくはエチレングリコール、1,2-および1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノールおよびエチレングリコールタイプおよびプロピレングリコールタイプのポリグリコールである。
【0170】
適切な反応性希釈剤はさらに、1,4-ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌラート、ジヒドロジシクロペンタジエニルアクリラートの名称でも公知の以下の式
【化23】
のトリシクロデセニルアルコールのアクリル酸エステル、およびアクリル酸、メタクリル酸およびシアノアクリル酸のアリルエステルである。
【0171】
例として言及された反応性希釈剤の内で、光重合性基を含むものが、特に、上述の好ましい化合物を考慮して使用される。
【0172】
この群は、例えば二価および多価アルコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコールおよびこれらのさらに高度に縮合した代表物、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ブタントリオール、トリメチロールエタン、ペンタエリトリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリトリトール、ソルビトール、マンニトールおよび相応するアルコキシル化、特にエトキシル化およびプロポキシル化アルコールを含む。
【0173】
この群はさらに、例えばアルコキシル化フェノール化合物、例えばエトキシル化およびプロポキシル化ビスフェノールも含む。
【0174】
これらの反応性希釈剤はさらに、例えばエポキシドまたはウレタン(メタ)アクリラートであってよい。
【0175】
エポキシド(メタ)アクリラートは、例えば、当業者に公知の、エポキシ化オレフィンまたはポリまたはジグリシジルエーテル、例えばビスフェノールAジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応により得ることができるものである。
【0176】
ウレタン(メタ)アクリラートは、特に、同様に当業者に公知のように、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリラートとポリまたはジイソシアナートとの反応の生成物である。
【0177】
このようなエポキシドおよびウレタン(メタ)アクリラートは、「混合形」として上述に列挙された化合物に含まれる。
【0178】
反応性希釈剤が使用される場合、その量および特性は、一方で、十分に望ましい効果、例えば本発明による組成物の望ましい色彩が達成されるように、他方で、液晶組成物の相挙動が過度に損なわれないように、その都度の条件に合わせなければならない。低架橋(高架橋)液晶組成物は、例えば、分子当たりの反応性単位の比較的低い(高い)数を有する相応する反応性希釈剤を使用して製造することができる。
【0179】
希釈剤の群は、例えば、
C1~C4-アルコール、例えばメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノールおよび特に、C5~C12-アルコール、n-ペンタノール、n-ヘキサノール、n-ヘプタノール、n-オクタノール、n-ノナノール、n-デカノール、n-ウンデカノールおよびn-ドデカノール、およびそれらの異性体、グリコール、例えば1,2-エチレングリコール、1,2-および1,3-プロピレングリコール、1,2-、2,3-および1,4-ブチレングリコール、ジ-およびトリエチレングリコールおよびジ-およびトリプロピレングリコール、エーテル、例えばメチルtert-ブチルエーテル、1,2-エチレングリコールモノ-およびジメチルエーテル、1,2-エチレングリコールモノ-および-ジエチルエーテル、3-メトキシプロパノール、3-イソプロポキシプロパノール、テトラヒドロフランおよびジオキサン、ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンおよびジアセトンアルコール(4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン)、C1~C5-アルキルエステル、例えばメチルアセタート、エチルアセタート、プロピルアセタート、ブチルアセタートおよびアミルアセタート、脂肪族および芳香族炭化水素、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、石油エーテル、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリン、デカリン、ジメチルナフタレン、ホワイトスピリット、Shellsol(登録商標)およびSolvesso(登録商標)、鉱油、例えば、ガソリン、ケロシン、ディーゼル油および暖房用オイル、また天然油、例えば、オリーブ油、ダイズ油、ナタネ油、アマニ油およびヒマワリ油を含む。
【0180】
もちろん、本発明による組成物中にこれらの希釈剤の混合物を使用することも可能である。
【0181】
これらの希釈剤は、少なくとも部分的な混和性がある限り、水と混合されることもできる。ここでの適切な希釈剤の例は、C1~C4-アルコール、例えばメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノールおよびsec-ブタノール、グリコール、例えば1,2-エチレングリコール、1,2-および1,3-プロピレングリコール、1,2-、2,3-および1,4-ブチレングリコール、ジ-およびトリエチレングリコール、およびジ-およびトリプロピレングリコール、エーテル、例えばテトラヒドロフランおよびジオキサン、ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトンおよびジアセトンアルコール(4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン)、およびC1~C4-アルキルエステル、例えばメチルアセタート、エチルアセタート、プロピルアセタートおよびブチルアセタートである。
【0182】
希釈剤は、任意に、重合性LC材料の全質量を基準として、約0~10.0質量%、好ましくは約0~5.0質量%の割合で使用される。
【0183】
消泡剤および脱気剤(c1))、潤滑剤および流動助剤(c2))、熱硬化性助剤または放射線硬化性助剤(c3))、基材湿潤助剤(c4))、湿潤助剤および分散助剤(c5))、疎水化剤(c6))、接着促進剤(c7))、および耐引掻性を改善する助剤(c8))は、それらの作用において互いに厳密に区別することができない。
【0184】
例えば、潤滑剤および流動助剤は、しばしば消泡剤および/または脱気剤および/または耐引掻性を改善する助剤としても作用する。放射線硬化性助剤は、潤滑剤および流動助剤および/または脱気剤および/または基材湿潤助剤としても作用することができる。個々の場合に、このような助剤のいくつかは、接着促進剤(c8))の機能を満たすこともできる。
【0185】
したがって、上述に対応して、一定の添加物は、後述に記載される群c1)~c8)のいくつかに分類することができる。
【0186】
群c1)の消泡剤は、シリコンフリーポリマーおよびシリコン含有ポリマーを含む。シリコン含有ポリマーは、例えば、非変性または変性ポリジアルキルシロキサンまたは分岐状コポリマー、ポリジアルキルシロキサンとポリエーテル単位とを有する櫛型またはブロックコポリマーであり、後者は、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドから得ることができる。
【0187】
群c1)の脱気剤は、例えば、有機ポリマー、例えばポリエーテルおよびポリアクリラート、ジアルキルポリシロキサン、特にジメチルポリシロキサン、有機変性ポリシロキサン、例えばアリールアルキル変性ポリシロキサン、およびフルオロシリコーンを含む。
【0188】
この消泡剤の作用は、本質的に、泡の形成を妨げるかまたは既に形成された泡を破壊することに基づく。消泡剤は、本質的に、脱気すべき媒体、例えば本発明による組成物中で、微細に分配されたガスまたは気泡の合体を促進して、より大きな気泡にして、ガス(空気)の脱出を促進することにより機能する。消泡剤は、たびたび脱気剤として使用することもでき、その逆も同様であるので、これらの添加物は一緒に群c1)に含まれる。
【0189】
このような助剤は、例えば、TegoからTEGO(登録商標)Foamex 800、TEGO(登録商標)Foamex 805、TEGO(登録商標)Foamex 810、TEGO(登録商標)Foamex 815、TEGO(登録商標)Foamex 825、TEGO(登録商標)Foamex 835、TEGO(登録商標)Foamex 840、TEGO(登録商標)Foamex 842、TEGO(登録商標)Foamex 1435、TEGO(登録商標)Foamex 1488、TEGO(登録商標)Foamex 1495、TEGO(登録商標)Foamex 3062、TEGO(登録商標)Foamex 7447、TEGO(登録商標)Foamex 8020、Tego(登録商標)Foamex N、TEGO(登録商標)Foamex K3、TEGO(登録商標)Antifoam 2-18、TEGO(登録商標)Antifoam 2-18、TEGO(登録商標)Antifoam 2-57、TEGO(登録商標)Antifoam 2-80、TEGO(登録商標)Antifoam 2-82、TEGO(登録商標)Antifoam 2-89、TEGO(登録商標)Antifoam 2-92、TEGO(登録商標)Antifoam 14、TEGO(登録商標)Antifoam 28、TEGO(登録商標)Antifoam 81、TEGO(登録商標)Antifoam D90、TEGO(登録商標)Antifoam 93、TEGO(登録商標)Antifoam 200、TEGO(登録商標)Antifoam 201、TEGO(登録商標)Antifoam 202、TEGO(登録商標)Antifoam 793、TEGO(登録商標)Antifoam 1488、TEGO(登録商標)Antifoam 3062、TEGOPREN(登録商標)5803、TEGOPREN(登録商標)5852、TEGOPREN(登録商標)5863、TEGOPREN(登録商標)7008、TEGO(登録商標)Antifoam 1-60、TEGO(登録商標)Antifoam 1-62、TEGO(登録商標)Antifoam 1-85、TEGO(登録商標)Antifoam 2-67、TEGO(登録商標)Antifoam WM 20、TEGO(登録商標)Antifoam 50、TEGO(登録商標)Antifoam 105、TEGO(登録商標)Antifoam 730、TEGO(登録商標)Antifoam MR 1015、TEGO(登録商標)Antifoam MR 1016、TEGO(登録商標)Antifoam 1435、TEGO(登録商標)Antifoam N、TEGO(登録商標)Antifoam KS 6、TEGO(登録商標)Antifoam KS 10、TEGO(登録商標)Antifoam KS 53、TEGO(登録商標)Antifoam KS 95、TEGO(登録商標)Antifoam KS 100、TEGO(登録商標)Antifoam KE 600、TEGO(登録商標)Antifoam KS 911、TEGO(登録商標)Antifoam MR 1000、TEGO(登録商標)Antifoam KS 1100、Tego(登録商標)Airex 900、Tego(登録商標)Airex 910、Tego(登録商標)Airex 931、Tego(登録商標)Airex 935、Tego(登録商標)Airex 936、Tego(登録商標)Airex 960、Tego(登録商標)Airex 970、Tego(登録商標)Airex 980 およびTego(登録商標)Airex 985としておよびBYKからBYK(登録商標)-011、BYK(登録商標)-019、BYK(登録商標)-020、BYK(登録商標)-021、BYK(登録商標)-022、BYK(登録商標)-023、BYK(登録商標)-024、BYK(登録商標)-025、BYK(登録商標)-027、BYK(登録商標)-031、BYK(登録商標)-032、BYK(登録商標)-033、BYK(登録商標)-034、BYK(登録商標)-035、BYK(登録商標)-036、BYK(登録商標)-037、BYK(登録商標)-045、BYK(登録商標)-051、BYK(登録商標)-052、BYK(登録商標)-053、BYK(登録商標)-055、BYK(登録商標)-057、BYK(登録商標)-065、BYK(登録商標)-066、BYK(登録商標)-070、BYK(登録商標)-080、BYK(登録商標)-088、BYK(登録商標)-141およびBYK(登録商標)-A530として市場で入手可能である。
【0190】
群c1)の助剤は、任意に、重合性LC材料の全質量を基準として、約0~3.0質量%、好ましくは約0~2.0質量%の割合で使用される。
【0191】
群c2)では、潤滑剤および流動助剤は、典型的には、シリコンフリーポリマー、またシリコン含有ポリマー、例えばポリアクリラートまたは変性剤、低分子量ポリジアルキルシロキサンを含む。この変性は、広範囲な種類の有機基に置き換えられたアルキル基のいくつかからなる。これらの有機基は、例えば、ポリエーテル、ポリエステルまたは長鎖(フッ素化)アルキル基であり、前者が最も頻繁に使用される。
【0192】
相応して変性されたポリシロキサン中のポリエーテル基は、通常では、エチレンオキシド単位および/またはプロピレンオキシド単位から構築される。一般に、変性されたポリシロキサン中のこれらのアルキレンオキシド単位の比率が高ければそれだけ、得られた生成物はより疎水性になる。
【0193】
このような助剤は、例えば、Tegoから、TEGO(登録商標)Glide 100、TEGO(登録商標)Glide ZG 400、TEGO(登録商標)Glide 406、TEGO(登録商標)Glide 410、TEGO(登録商標)Glide 411、TEGO(登録商標)Glide 415、TEGO(登録商標)Glide 420、TEGO(登録商標)Glide 435、TEGO(登録商標)Glide 440、TEGO(登録商標)Glide 450、TEGO(登録商標)Glide A115、TEGO(登録商標)Glide B1484 (消泡剤および脱気剤として使用することもできる)、TEGO(登録商標)Flow ATF、TEGO(登録商標)Flow 300、TEGO(登録商標)Flow 460、TEGO(登録商標)Flow 425 およびTEGO(登録商標)Flow ZFS 460として市場で入手可能である。耐引掻性を改善するために使用することもできる放射線硬化性潤滑剤および流動助剤は、同様に、TEGOから入手可能な製品TEGO(登録商標)Rad 2100、TEGO(登録商標)Rad 2200、TEGO(登録商標)Rad 2500、TEGO(登録商標)Rad 2600およびTEGO(登録商標)Rad 2700である。
【0194】
このような助剤は、例えば、BYKからBYK(登録商標)-300 BYK(登録商標)-306、BYK(登録商標)-307、BYK(登録商標)-310、BYK(登録商標)-320、BYK(登録商標)-333、BYK(登録商標)-341、Byk(登録商標)354、Byk(登録商標)361、Byk(登録商標)361N、BYK(登録商標)388として入手可能でもある。
【0195】
このような助剤は、例えば3Mから、FC4430(登録商標)として入手可能でもある。
【0196】
このような助剤は、例えばCytonixから、FluorN(登録商標)561またはFluorN(登録商標)562として入手可能でもある。
【0197】
このような助剤は、例えばMerck KGaAから、Tivida(登録商標)FL 2300 およびTivida(登録商標)FL 2500として入手可能でもある。
【0198】
群c2)の助剤は、任意に、重合性LC材料の全質量を基準として、約0~3.0質量%、好ましくは約0~2.0質量%の割合で使用される。
【0199】
群c3)では、放射線硬化性助剤は、特に、例えばアクリラート基の構成要素である末端二重結合を有するポリシロキサンを含む。このような助剤は、化学線または例えば電子線により架橋することができる。これらの助剤は、通常では、いくつかの特性を相互に組み合わせている。未架橋の状態で、これらは、消泡剤、脱気剤、潤滑剤および流動助剤および/または基材湿潤剤として作用することができるが、架橋した状態で、これらは、特に、例えば本発明による組成物を使用して製造することができる被覆またはフィルムの、引掻耐性を向上させる。例えば、まさにこれらの被覆またはフィルムの光沢特性における改善は、本質的に、消泡剤、脱気剤および/または潤滑剤および流動助剤(未架橋状態で)としてのこれらの助剤の作用の結果と見なされる。
【0200】
適切な放射線硬化性助剤の例は、TEGOから入手可能な製品TEGO(登録商標)Rad 2100、TEGO(登録商標)Rad 2200、TEGO(登録商標)Rad 2500、TEGO(登録商標)Rad 2600 およびTEGO(登録商標)Rad 2700およびBYKから入手可能な製品BYK(登録商標)-371である。
【0201】
群c3)の熱硬化性助剤は、例えば、結合剤のイソシアナート基と反応することができる第一級OH基を含む。
【0202】
使用することができる熱硬化性助剤の例は、BYKから入手可能な製品BYK(登録商標)-370、BYK(登録商標)-373 およびBYK(登録商標)-375である。
【0203】
群c3)の助剤は、任意に、重合性LC材料の全質量を基準として、約0~5.0質量%、好ましくは約0~3.0質量%の割合で使用される。
【0204】
群c4)の基材湿潤助剤は、特に、例えば印刷インキまたは被覆組成物、例えば本発明による組成物により印刷または被覆された基材の湿潤を高めることを提供する。このような印刷インキまたは被覆組成物の潤滑剤および流動助剤において一般的に付随する改善は、仕上げられた(例えば架橋した)印刷または被覆の外観への効果を有する。
【0205】
広範囲な種類のこのような助剤は、例えば、TegoからTEGO(登録商標)Wet KL 245、TEGO(登録商標)Wet 250、TEGO(登録商標)Wet 260 およびTEGO(登録商標)Wet ZFS 453として、およびBYKからBYK(登録商標)-306、BYK(登録商標)-307、BYK(登録商標)-310、BYK(登録商標)-333、BYK(登録商標)-344、BYK(登録商標)-345、BYK(登録商標)-346 およびByk(登録商標)-348として市場で入手可能である。
【0206】
群c4)の助剤は、任意に、液晶組成物の全質量を基準として、約0~3.0質量%、好ましくは約0~1.5質量%の割合で使用される。
【0207】
群c5)の湿潤助剤および分散助剤は、特に、顔料の浮き色および浮きまだらおよび沈殿を防ぐことを提供し、それにより、必要な場合に、特に顔料添加された組成物中に適している。
【0208】
これらの助剤は、本質的に、これらの添加物を含む顔料粒子の静電反発力および/または立体障害によって顔料分散液を安定化し、後者の場合に、助剤の周囲環境媒体(例えば結合剤)との相互作用が主要な役割を果たす。
【0209】
このような湿潤助剤および分散助剤の使用は、例えば印刷インキおよびペイントの技術分野において、一般的な慣例であるため、このタイプの適切な助剤の選択は、一般に、これらを使用する場合に、当業者にはいかなる困難も存在しない。
【0210】
このような湿潤助剤および分散助剤は、例えばTegoからTEGO(登録商標)Dispers 610、TEGO(登録商標)Dispers 610 S、TEGO(登録商標)Dispers 630、TEGO(登録商標)Dispers 700、TEGO(登録商標)Dispers 705、TEGO(登録商標)Dispers 710、TEGO(登録商標)Dispers 720 W、TEGO(登録商標)Dispers 725 W、TEGO(登録商標)Dispers 730 W、TEGO(登録商標)Dispers 735 WおよびTEGO(登録商標)Dispers 740 Wとして、およびBYKから、Disperbyk(登録商標)、 Disperbyk(登録商標)-107、Disperbyk(登録商標)-108、Disperbyk(登録商標)-110、Disperbyk(登録商標)-111、Disperbyk(登録商標)-115、Disperbyk(登録商標)-130、Disperbyk(登録商標)-160、Disperbyk(登録商標)-161、Disperbyk(登録商標)-162、Disperbyk(登録商標)-163、Disperbyk(登録商標)-164、Disperbyk(登録商標)-165、Disperbyk(登録商標)-166、Disperbyk(登録商標)-167、Disperbyk(登録商標)-170、Disperbyk(登録商標)-174、Disperbyk(登録商標)-180、Disperbyk(登録商標)-181、Disperbyk(登録商標)-182、Disperbyk(登録商標)-183、Disperbyk(登録商標)-184、Disperbyk(登録商標)-185、Disperbyk(登録商標)-190、Anti-Terra(登録商標)-U、Anti-Terra(登録商標)-U80、Anti-Terra(登録商標)-P、Anti-Terra(登録商標)-203、Anti-Terra(登録商標)-204、Anti-Terra(登録商標)-206、BYK(登録商標)-151、BYK(登録商標)-154、BYK(登録商標)-155、BYK(登録商標)-P104 S、BYK(登録商標)-P105、Lactimon(登録商標)、Lactimon(登録商標)-WS およびBykumen(登録商標)として市場で入手可能である。
【0211】
群c5)の助剤の量は、助剤の平均分子量に対して使用される。したがって、いかなる場合でも、予備試験が望ましいが、これは当業者により簡単に達成することができる。
【0212】
群c6)の疎水化剤は、例えば、本発明による組成物を使用して製造されるペイントまたは被覆に撥水特性を付与するために使用することができる。これは、水の吸収による膨潤を、それにより例えば、このような印刷または被覆の光学特性の変化を妨げるかまたは少なくとも大幅に抑制する。付加的に、例えば、オフセット印刷における印刷インキとして組成物が使用される場合、それにより水の吸収を妨げるかまたは少なくとも大幅に低減することができる。
【0213】
このような疎水化剤は、例えばTegoからTego(登録商標)Phobe WF、Tego(登録商標)Phobe 1000、Tego(登録商標)Phobe 1000 S、Tego(登録商標)Phobe 1010、Tego(登録商標)Phobe 1030、Tego(登録商標)Phobe 1010、Tego(登録商標)Phobe 1010、Tego(登録商標)Phobe 1030、Tego(登録商標)Phobe 1040、Tego(登録商標)Phobe 1050、Tego(登録商標)Phobe 1200、Tego(登録商標)Phobe 1300、Tego(登録商標)Phobe 1310およびTego(登録商標)Phobe 1400として市場で入手可能である。
【0214】
群c6)の助剤は、任意に、重合性LC材料の全質量を基準として、約0~5.0質量%、好ましくは約0~3.0質量%の割合で使用される。
【0215】
群c7)からのさらなる接着促進剤は、接触している2つの界面の接着を改善することを提供する。これは、効果的な接着促進剤の本質的に唯一の部分が、一方のまたは他方のまたは両方の界面にあることから直接明らかである。例えば、液状またはペースト状の印刷インキ、被覆組成物またはペイントを、固形の基材に塗布しようとする場合、これは、一般に、接着促進剤を後者に直接添加しなければならないか、または基材を接着促進剤で前処理しなければならない(プライミングとしても公知である)ことを意味し、つまりこの基材は、変性された化学的および/または物理的表面特性が付与される。
【0216】
基材は、予めプライマーでプライミングされた場合、これは、接触している界面が、一方でプライマーの界面であり、他方で印刷インキまたは被覆組成物またはペイントの界面であることを意味する。この場合、基材とプライマーとの間の接着特性だけでなく、基材と印刷インキまたは被覆組成物またはペイントとの間の接着特性も、基材上の全体の多層構造の接着に関与する。
【0217】
言及することができる広い意味での接着促進剤は、群c4)で既に列挙された基材湿潤助剤でもあるが、これらは、一般に、同じ接着促進能力を有していない。
【0218】
例えば、その印刷または被覆を意図した基材および印刷インキ、被覆組成物およびペイントの物理的かつ化学的な性質が広範囲に変化することを考慮すると、接着促進剤系の多様性は意外ではない。
【0219】
シランベースの接着促進剤は、例えば、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-アミノエチル-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-メチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシランおよびビニルトリメトキシシランである。これらのおよび別のシランは、Huelsから、例えばDYNASILAN(登録商標)の商品名で市販されている。
【0220】
このような添加物の製造元からの相応する技術情報は、一般的に用いられるべきであるかまたは当業者は、相応する予備実験を通して簡単な方法でこの情報を得ることができる。
【0221】
しかしながら、これらの添加物が群c7)からの助剤として本発明による重合性LC材料に添加される場合、これらの割合は、任意に、重合性LC材料の全質量を基準として約0~5.0質量%に対応する。添加剤の量および同一性は、基材および印刷/被覆組成物の性質による各々の個別の場合で決定されるので、これらの濃度データは、単なるガイダンスとして提供される。対応する技術情報は、通常では、この場合にこのような添加物の製造元から入手可能であるかまたは当業者により相応する予備実験を通して簡単な方法で決定することができる。
【0222】
群c8)の耐引掻性を改善する助剤は、例えばTegoから入手可能な上述の製品TEGO(登録商標)Rad 2100、TEGO(登録商標)Rad 2200、TEGO(登録商標)Rad 2500、TEGO(登録商標)Rad 2600 およびTEGO(登録商標)Rad 2700を含む。
【0223】
これらの助剤について、群c3)について与えられた量のデータは、同様に適切であり、すなわち、これらの添加剤は、任意に、液晶組成物の全質量を基準として約0~5.0質量%、好ましくは約0~3.0質量%の割合で使用される。
【0224】
他の光、熱および/または酸化安定剤の、言及することができる例は、以下のものである:
アルキル化モノフェノール、例えば2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2-tert-ブチル-4,6-ジメチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-n-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-イソブチルフェノール、2,6-ジシクロペンチル-4-メチルフェノール、2-(α-メチルシクロヘキシル)-4,6-ジメチルフェノール、2,6-ジオクタデシル-4-メチルフェノール、2,4,6-トリシクロヘキシルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メトキシメチルフェノール、線状または分岐状側鎖を有するノニルフェノール、例えば2,6-ジノニル-4-メチルフェノール、2,4-ジメチル-6-(1′-メチルウンデカ-1′-イル)フェノール、2,4-ジメチル-6-(1′-メチルヘプタデカ-1′-イル)フェノール、2,4-ジメチル-6-(1′-メチルトリデカ-1′-イル)フェノールおよびこれらの化合物の混合物、アルキルチオメチルフェノール、例えば2,4-ジオクチルチオメチル-6-tert-ブチルフェノール、2,4-ジオクチルチオメチル-6-メチルフェノール、2,4-ジオクチルチオメチル-6-エチルフェノールおよび2,6-ジドデシルチオメチル-4-ノニルフェノール、
ヒドロキノンおよびアルキル化ヒドロキノン、例えば2,6-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェノール、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-アミルヒドロクライノン(amylhydrocrainone)、2,6-ジフェニル-4-オクタデシルオキシフェノール、2,6-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルステアラートおよびビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)アジパート、
トコフェロール、例えばα-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロールおよびこれらの化合物の混合物、およびトコフェロール誘導体、例えばトコフェリルアセタート、スクシナート、ニコチナートおよびポリオキシエチレンスクシナート(「tocofersolate」)、
ヒドロキシル化ジフェニルチオエーテル、例えば2,2′-チオビス(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、2,2′-チオビス(4-オクチルフェノール)、4,4′-チオビス(6-tert-ブチル-3-メチルフェノール)、4,4′-チオビス(6-tert-ブチル-2-メチルフェノール)、4,4′-チオビス(3,6-ジ-sec-アミルフェノール)および4,4′-ビス(2,6-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ジスルフィド、
アルキリデンビスフェノール、例えば2,2′-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、2,2′-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-エチルフェノール)、2,2′-メチレンビス[4-メチル-6-(α-メチルシクロヘキシル)フェノール]、2,2′-メチレンビス(4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール)、2,2′-メチレンビス(6-ノニル-4-メチルフェノール)、2,2′-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2-エチリデンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2′-エチリデンビス(6-tert-ブチル-4-イソブチルフェノール)、2,2′-メチレンビス[6-(α-メチルベンジル)-4-ノニルフェノール]、2,2′-メチレンビス[6-(α,α-ジメチルベンジル)-4-ノニルフェノール]、4,4′-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、4,4′-メチレンビス(6-tert-ブチル-2-メチルフェノール)、1,1-ビス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ブタン、2,6-ビス(3-tert-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシベンジル)-4-メチルフェノール、1,1,3-トリス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ブタン、1,1-ビス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-3-n-ドデシル-メルカプトブタン、エチレングリコールビス[3,3-ビス(3′-tert-ブチル-4′-ヒドロキシフェニル)ブチラート]、ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ジシクロペンタジエン、ビス[2-(3′-tert-ブチル-2′-ヒドロキシ-5′-メチルベンジル)-6-tert-ブチル-4-メチルフェニル]テレフタラート、1,1-ビス(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-4-n-ドデシル-メルカプトブタンおよび1,1,5,5-テトラキス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ペンタン、
O-、N-およびS-ベンジル化合物、例えば3,5,3′,5′-テトラ-tert-ブチル-4,4′-ジヒドロキシジベンジルエーテル、オクタデシル4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルベンジルメルカプトアセタート、トリデシル4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルベンジルメルカプトアセタート、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)アミン、ビス(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)ジチオテレフタラート、ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)スルフィドおよびイソオクチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルメルカプトアセタート、
芳香族ヒドロキシベンジル化合物、例えば1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,4,6-トリメチル-ベンゼン、1,4-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,3,5,6-テトラメチル-ベンゼンおよび2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)フェノール、
トリアジン化合物、例えば2,4-ビス(オクチルメルカプト)-6-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2-オクチルメルカプト-4,6-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2-オクチルメルカプト-4,6-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェノキシ)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェノキシ)-1,2,3-トリアジン、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌラート、1,3,5-トリス(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)イソシアヌラート、2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルエチル)-1,3,5-トリアジン、1,3,5-トリス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、1,3,5-トリス(3,5-ジシクロヘキシル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌラートおよび1,3,5-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌラート、
ベンジルホスホナート、例えばジメチル2,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホナート、ジエチル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホナート、ジオクタデシル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホナートおよびジオクタデシル5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-3-メチルベンジルホスホナート、
アシルアミノフェノール、例えば4-ヒドロキシラウロイルアニリド、4-ヒドロキシステアロイルアニリドおよびオクチルN-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)カルバマート、
プロピオン酸エステルおよび酢酸エステル、例えば一価または多価アルコール、例えばメタノール、エタノール、n-オクタノール、i-オクタノール、オクタデカノール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌラート、N,N′-ビス(ヒドロキシエチル)オキサルアミド、3-チアウンデカノール、3-チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパンおよび4-ヒドロキシメチル-1-ホスファ-2,6,7-トリオキサビシクロ[2.2.2]-オクタン、
アミン誘導体ベースのプロピオンアミド、例えばN,N′-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミン、N,N′-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)トリメチレンジアミンおよびN,N′-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジン、
アスコルビン酸(ビタミンC)およびアスコルビン酸誘導体、例えばアスコルビルパルミタート、ラウラートおよびステアラート、およびアスコルビルスルファートおよびホスファート、
アミン化合物ベースの酸化防止剤、例えば、N,N′-ジイソプロピル-p-フェニレンジアミン、N,N′-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン、N,N′-ビス(1,4-ジメチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N,N′-ビス(1-エチル-3-メチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N,N′-ビス(1-メチルヘプチル)-p-フェニレンジアミン、N,N′-ジシクロヘキシル-p-フェニレンジアミン、N,N′-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N,N′-ビス(2-ナフチル)-p-フェニレンジアミン、N-イソプロピル-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1-メチルヘプチル)-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-シクロヘキシル-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、4-(p-トルエンスルファモイル)ジフェニルアミン、N,N′-ジメチル-N,N′-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、N-アリルジフェニルアミン、4-イソプロポキシジフェニルアミン、N-フェニル-1-ナフチルアミン、N-(4-tert-オクチルフェニル)-1-ナフチルアミン、N-フェニル-2-ナフチルアミン、オクチル置換されたジフェニルアミン、例えばp,p′-ジ-tert-オクチルジフェニルアミン、4-n-ブチルアミノフェノール、4-ブチリルアミノフェノール、4-ノナノイルアミノフェノール、4-ドデカノイルアミノフェノール、4-オクタデカノイルアミノフェノール、ビス[4-メトキシフェニル)アミン、2,6-ジ-tert-ブチル-4-ジメチルアミノメチルフェノール、2,4-ジアミノジフェニルメタン、4,4′-ジアミノジフェニルメタン、N,N,N′,N′-テトラメチル-4,4′-ジアミノジフェニルメタン、1,2-ビス[(2-メチルフェニル)アミノ]エタン、1,2-ビス(フェニルアミノ)プロパン、(o-トリル)ビグアニド、ビス[4-(1′,3′-ジメチルブチル)フェニル]アミン、tert-オクチル置換されたN-フェニル-1-ナフチルアミン、モノおよびジアルキル化されたtert-ブチル/tert-オクチルジフェニルアミンの混合物、モノおよびジアルキル化されたノニルジフェニルアミンの混合物、モノおよびジアルキル化されたドデシルジフェニルアミンの混合物、モノおよびジアルキル化されたイソプロピル/イソヘキシルジフェニルアミンの混合物、モノおよびジアルキル化されたtert-ブチルジフェニルアミンの混合物、2,3-ジヒドロ-3,3-ジメチル-4H-1,4-ベンゾチアジン、フェノチアジン、モノ-およびジアルキル化されたtert-ブチル/tert-オクチルフェノチアジンの混合物、モノ-およびジアルキル化されたtert-オクチルフェノチアジンの混合物、N-アリルフェノチアジン、N,N,N′,N′-テトラフェニル-1,4-ジアミノブタ-2-エン、N,N-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミン、ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバカート、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-オンおよび2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-オール、
ホスフィン、ホスフィットおよびホスホニット、例えばトリフェニルホスニン(triphenylphosnine)トリフェニルホスフィット、ジフェニルアルキルホスフィット、フェニルジアルキルホスフィット、トリス(ノニルフェニル)ホスフィット、トリラウリルホスフィット、トリオクタデシルホスフィット、ジステアリルペンタエリトリトールジホスフィット、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフィット、ジイソデシルペンタエリトリトールジホスフィット、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスフィット、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスフィット、ジイソデシルオキシペンタエリトリトールジホスフィット、ビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスフィット、ビス(2,4,6-トリス(tert-ブチルフェニル))ペンタエリトリトールジホスフィット、トリステアリルソルビトールトリホスフィット、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)4,4′-ビフェニレンジホスホニット、6-イソオクチルオキシ-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチル-12H-ジベンズ[d,g]-1,3,2-ジオキサホスホシン、6-フルオロ-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチル-12-メチル-ジベンズ[d,g]-1,3,2-ジオキサホスホシン、ビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)メチルホスフィットおよびビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)エチルホスフィット、
2-(2′-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、例えば2-(2′-ヒドロキシ-5′-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3′,5′-ジ-tert-ブチル-2′-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(5′-tert-ブチル-2′-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2′-ヒドロキシ-5′-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3′,5′-ジ-tert-ブチル-2′-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3′-tert-ブチル-2′-ヒドロキシ-5′-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3′-sec-ブチル-5′-tert-ブチル-2′-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2′-ヒドロキシ-4′-オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3′,5′-ジ-tert-アミル-2′-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3,5′-ビス-(α,α-ジメチルベンジル)-2′-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3′-tert-ブチル-2′-ヒドロキシ-5′-(2-オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)-5-クロロベンゾトリアゾールの混合物、2-(3′-tert-ブチル-5′-[2-(2-エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]-2′-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3′-tert-ブチル-2′-ヒドロキシ-5′-(2-メトキシカルボニルエチル)フェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3′-tert-ブチル-2′-ヒドロキシ-5′-(2-メトキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3′-tert-ブチル-2′-ヒドロキシ-5′-(2-オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3′-tert-ブチル-5′-[2-(2-エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]-2′-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3′-ドデシル-2′-ヒドロキシ-5′-メチルフェニル)ベンゾトリアゾールおよび2-(3′-tert-ブチル-2′-ヒドロキシ-5′-(2-イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニルベンゾトリアゾール、2,2′-メチレンビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-ベンゾトリアゾール-2-イルフェノール];ポリエチレングリコール300による2-[3′-tert-ブチル-5′-(2-メトキシカルボニルエチル)-2′-ヒドロキシフェニル]-2H-ベンゾトリアゾールの完全エステル化の生成物;
硫黄含有ペルオキシドスカベンジャーおよび硫黄含有酸化防止剤、例えば3,3′-チオジプロピオン酸のエステル、例えばラウリル、ステアリル、ミリスチルおよびトリデシルエステル、メルカプトベンズイミダゾールおよび2-メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩、ジブチル亜鉛ジチオカルバマート、ジオクタデシルジスルフィドおよびペンタエリトリトールテトラキス(β-ドデシルメルカプト)プロピオナート、
非置換および置換安息香酸のエステル、例えば4-tert-ブチルフェニルサリチラート、フェニルサリチラート、オクチルフェニルサリチラート、ジベンゾイルレゾルシノール、ビス(4-tert-ブチルベンゾイル)レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾアート、ヘキサデシル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾアート、オクタデシル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾアートおよび2-メチル-4,6-ジ-tert-ブチルフェニル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾアート、
アクリラート、例えばエチルα-シアノ-β,β-ジフェニルアクリラート、イソオクチルα-シアノ-β,β-ジフェニルアクリラート、メチルα-メトキシカルボニルシンナマート、メチルα-シアノ-β-メチル-p-メトキシシンナマート、ブチル-α-シアノ-β-メチル-p-メトキシシンナマートおよびメチル-α-メトキシカルボニル-p-メトキシシンナマート、立体障害アミン、例えばビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバカート、ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)スクシナート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)セバカート、ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバカート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)-n-ブチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルマロナート、1-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシピペリジンとコハク酸との縮合生成物、N,N′-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミンと4-tert-オクチルアミノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンとの縮合生成物、トリス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ニトリロトリアセタート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシラート、1,1′-(1,2-エチレン)ビス(3,3,5,5-テトラメチルピペラジノン)、4-ベンゾイル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-ステアリルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)2-n-ブチル-2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルベンジル)マロナート、3-n-オクチル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ[4.5]デカン-2,4-ジオン、ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバカート、ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)スクシナート、N,N′-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミンと4-モルホリノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンとの縮合生成物、2-クロロ-4,6-ビス(4-n-ブチルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)-1,3,5-トリアジンと1,2-ビス(3-アミノプロピルアミノ)エタンとの縮合生成物、2-クロロ-4,6-ジ(4-n-ブチルアミノ-1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)-1,3,5-トリアジンと1,2-ビス(3-アミノプロピルアミノ)エタンとの縮合生成物、8-アセチル-3-ドデシル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ[4.5]-デカン-2,4-ジオン、3-ドデシル-1-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ピロリジン-2,5-ジオン、3-ドデシル-1-(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)ピロリジン-2,5-ジオン、4-ヘキサデシルオキシ-と4-ステアリルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンとの混合物、N,N′-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミンおよび4-シクロヘキシルアミノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンとの縮合生成物、1,2-ビス(3-アミノプロピルアミノ)エタンと2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジンとの縮合生成物、4-ブチルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、N-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)-n-ドデシルスクシンイミド、N-(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)-n-ドデシルスクシンイミド、2-ウンデシル-7,7,9,9-テトラメチル-1-オキサ-3,8-ジアザ-4-オキソ-スピロ[4.5]-デカン、7,7,9,9-テトラメチル-2-シクロウンデシル-1-オキサ-3,8-ジアザ-4-オキソスピロ-[4.5]デカンとエピクロロヒドリンとの縮合生成物、4-アミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンとテトラメチロールアセチレンジウレアとの縮合生成物、ポリ(メトキシプロピル-3-オキシ)-[4(2,2,6,6-テトラメチル)ピペリジニル]-シロキサン、
オキサルアミド、例えば4,4′-ジオクチルオキシオキサニリド、2,2′-ジエトキシオキサニリド、2,2′-ジオクチルオキシ-5,5′-ジ-tert-ブトキサニリド、2,2′-ジドデシルオキシ-5,5′-ジ-tert-ブトキサニリド、2-エトキシ-2′-エチルオキサニリド、N,N′-ビス(3-ジメチルアミノプロピル)オキサルアミド、2-エトキシ-5-tert-ブチル-2′-エトキサニリドおよびこれと2-エトキシ-2′-エチル-5,4′-ジ-tert-ブトキサニリドとの混合物、およびオルト-、パラ-メトキシ二置換オキサニリドの混合物およびオルト-およびパラ-エトキシ二置換オキサニリドの混合物、および
2-(2-ヒドロキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、例えば2,4,6-トリス-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-プロピルオキシフェニル)-6-(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-4,6-ビス(4-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-ドデシルオキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-トリデシルオキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[2-ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシ-3-ブチルオキシプロポキシ)フェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチル)-1,3,5-トリアジン、2-[2-ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシ-3-オクチルオキシプロポキシ)フェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-(ドデシルオキシ/トリデシルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[2-ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロポキシ)フェニル]-4,6-ビス-(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシフェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス[2-ヒドロキシ-4-(3-ブトキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル]-1,3,5-トリアジンおよび2-(2-ヒドロキシフェニル)-4-(4-メトキシフェニル)-6-フェニル-1,3,5-トリアジン。
【0225】
別の好ましい実施態様では、重合性液晶混合物は、好ましくは、Ciba、スイス国からのIrganox(登録商標)シリーズ、例えば市場で入手可能な酸化防止剤のIrganox(登録商標)1076 およびIrganox(登録商標)1010から選択される1つ以上の特別な酸化防止添加物を有する。
【0226】
別の好ましい実施態様では、重合性液晶混合物は、例えば、市場で入手可能なIrgacure(登録商標)またはDarocure(登録商標)(Ciba AG)シリーズ、特にIrgacure 127、Irgacure 184、Irgacure 369、Irgacure 651、Irgacure 817、Irgacure 907、Irgacure 1300、Irgacure、Irgacure 2022、Irgacure 2100、Irgacure 2959、またはDarcure TPO、から選択される、さらに市場で入手可能なOXE02(Ciba AG)、NCI 930、N1919T(Adeka)、SPI-03またはSPI-04(Samyang)、または好ましくはこれらの組合せ、例えばSPI-03およびNCI-930から選択される1つ以上の、より好ましくは1つまたは2つの光開始剤の組合せを有する。
【0227】
重合性液晶混合物中の全体としての重合開始剤の濃度は、好ましくは、0.5~5%、極めて好ましくは0.5~3%、より好ましくは1~2%である。
【0228】
好ましくは、重合性LC混合物は、好ましくは式Sの1つ以上のSAPAの他に、
a)好ましくは式pの、1つ以上の一反応性、二反応性または多反応性の重合性メソゲン化合物、
b)任意に1つ以上の重合性メソゲン化合物、
c)任意に1つ以上の酸化防止添加物、
d)任意に1つ以上の接着促進剤、
e)任意に1つ以上の界面活性剤、
f)任意に1つ以上の一反応性、二反応性または多反応性の重合性非メソゲン化合物、
g)任意に光重合を開始するために使用する波長で吸収極大を示す1つ以上の色素、
h)任意に1つ以上の連鎖移動剤、
i)任意に1つ以上の安定剤、
j)任意に1つ以上の潤滑剤および流動助剤、および
k)任意に1つ以上の希釈剤、
l)任意に非重合性ネマチック成分
を有する。
【0229】
より好ましくは、重合性液晶混合物は、
a)式Sの1つ以上の化合物、
b)式DRMの、好ましくは、少しでも存在する場合に、10~90質量%、極めて好ましくは15~75質量%の量の、好ましくは式DRMa-1の化合物から選択される1つ以上の、好ましくは2つ以上の二反応性の重合性メソゲン化合物、
c)任意に、式MRMの、好ましくは10~95質量%、極めて好ましくは25~85%の量の、好ましくは式MRM-1および/またはMRM-7の化合物から選択される1つ以上の、好ましくは2つ以上の一反応性の重合性メソゲン化合物、
d)任意に、式NDの、好ましくは1~50%、極めて好ましくは1~40%の量の1つ以上の化合物、
e)任意に、好ましくは非置換および置換安息香酸のエステルから選択された、特にIrganox(登録商標)1076の、および存在する場合に、好ましくは0.01~2質量%、極めて好ましくは0.05~1質量%の量の1つ以上の酸化防止添加物、
f)任意に、好ましくはBYK(登録商標)388、FC 4430、Fluor N561および/またはFluor N562から選択された、および存在する場合に、好ましくは0.1~5質量%、極めて好ましくは0.2~3質量%の量の1つ以上の潤滑剤および流動助剤、および
任意に、1つ以上の光開始剤
を有する。
【0230】
好ましくは、重合性LC混合物は、適切な基材上に提供する前に、適切な溶媒中に溶かされる。したがって、別の好ましい実施態様では、重合性液晶混合物は、好ましくは有機溶媒から選択される1つ以上の溶媒を有する。溶媒は、好ましくはケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトンまたはシクロヘキサノン;アセタート、例えばメチル、エチルまたはブチルアセタートまたはメチルアセトアセタート;アルコール、例えばメタノール、エタノールまたはイソプロピルアルコール;芳香族溶媒、例えばトルエンまたはキシレン;脂環式炭化水素、例えばシクロペンタンまたはシクロヘキサン;ハロゲン化炭化水素、例えばジ-またはトリクロロメタン;グリコールまたはそのエステル、例えばPGMEA(プロピルグリコールモノメチルエーテルアセタート)、γ-ブチロラクトンから選択される。上述の溶媒の二成分、三成分またはより多くの成分の混合物を使用することも可能である。
【0231】
重合性液晶混合物が1つ以上の溶媒を含む場合、溶媒中の、RMを含めた全ての固体の総濃度は、好ましくは10~60%である。
【0232】
次いで、この溶液は、例えばスピンコーティング、印刷、または他の公知の技術により基材上に被覆または印刷され、溶媒は、重合の前に蒸発させられる。たいていの場合に、溶媒の蒸発を促進するために混合物を加熱することが適している。
【0233】
重合性液晶混合物は、スピンコーティング、バーコーティングまたはブレードコーティングのような慣用の被覆技術により基材に塗布することができる。この重合性液晶混合物は、例えばスクリーン印刷、オフセット印刷、リールトゥリール印刷、レタープレス印刷、グラビア印刷、輪転グラビア印刷、フレキソ印刷、凹版印刷、タコ印刷、ヒートシール印刷、インクジェット印刷またはスタンプまたは印刷版を用いる印刷のような当業者に公知の慣用の印刷技術により基材に塗布することもできる。
【0234】
適切な基材材料および基材は、当業者に公知であり、例えば光学フィルム工業において使用される、例えばガラスまたはプラスチックのような慣用の基材として文献に記載されている。重合のために特に適した好ましい基材は、ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタラート(PET)またはポリエチレンナフタラート(PEN)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカルボナート(PC)、トリアセチルセルロース(TAC)、またはシクロオレフィンポリマー(COP)、または一般に公知のカラーフィルター材料、特にトリアセチルセルロース(TAC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、または一般に公知のカラーフィルター材料である。
【0235】
好ましい実施態様では、直線偏光は、自己組織化光配向剤の光配向と重合性液晶分子化合物の光硬化とが同時に可能である紫外線である。
【0236】
本発明による自己組織化光配向(SAPA)は、好ましくは、少なくとも1つの極性側方基と少なくとも1つの光反応性基とを有する化合物である。本発明についての研究を考慮すると、極性側方基が、基材表面と相互作用して、LCセルの充填後にSAPAがLC混合物から相分離することを可能にすると思われる。この見解によると、SAPAは、直線偏光UV光で光配向することができる層を基材上に形成する。液晶は、整列したSAPAの配向に従い、全体のディスプレーにわたり一様な平面状の整列を与える。
【0237】
本発明による光配向プロセスは、適切な波長の直線偏光の照射下でSAPAに異性化を起こさせる。光異性化は、角度に依存するプロセスであり、最終的に化学線の偏光に対して優先的に垂直で、かつLCの配列を可能にする配向的な異方性で、SAPA配向の光選択がなされる。
【0238】
偏光の波長領域は、好ましくは、SAPAの吸収スペクトルにマッチするように選択される。
【0239】
例えば、熱または光の影響下で整列が可逆的である場合、SAPAおよびLCの整列を固定することが必須である。
【0240】
本発明によるポリマーフィルムの製造のために、重合性LC混合物は、好ましくは基材の表面上に再分配させる。基板上に重合性LC混合物の層を提供した後に、この層を、10秒~1hの間、好ましくは20秒~30分の間、最も好ましくは30秒~5分の間の時間アニーリングする。アニーリングは、好ましくは室温で行われる。
【0241】
別の実施態様では、アニーリングは、高めた温度で、好ましくは20℃超でかつ140℃未満、より好ましくは40℃超でかつ100℃未満、最も好ましくは50℃超でかつ80℃未満で行われる。
【0242】
好ましい実施態様では、重合性化合物のアニーリング、光配向および硬化のプロセスステップの1つ以上は、重合性液晶混合物の澄明点より高い温度で行われる。
【0243】
重合性液晶化合物の光配向の間に、ディスプレーまたは液晶層を直線偏光に曝すことにより異方性が誘導される。
【0244】
本発明の好ましい実施態様では、SAPAは、第一のステップで直線偏光を使用して光配向され、第二のステップで重合性液晶化合物は、直線偏光または非偏光UV線を用いて硬化される。
【0245】
別の実施態様では、本発明の方法により適用される直線偏光は、光配向を可能にする紫外線またはVISである。
【0246】
SAPAの光配向および重合性液晶化合物の硬化は、同時にまたは段階的に行うことができる。このプロセスが異なるステップに分割される場合、個々のステップは、同じ温度または異なる温度で行うことができる。
【0247】
硬化時間は、とりわけ、重合性LC混合物の反応性、被覆層の厚さ、重合開始剤のタイプおよびUVランプの出力に依存する。硬化時間は、好ましくは≦5分、極めて好ましくは≦3分、最も好ましくは≦1分である。大量生産のために、≦30秒の短い硬化時間が好ましい。
【0248】
適切なUV放射出力は、好ましくは5~200mWcm-2の範囲内、より好ましくは50~175mWcm-2の範囲内、最も好ましくは100~150mWcm-2の範囲内である。
【0249】
適用されるUV放射と関連して、時間の関数として、適切なUV線量は、好ましくは25~7200mJcm-2の範囲内、より好ましくは500~7200mJcm-2の範囲内、最も好ましくは3000~7200mJcm-2の範囲内にある。
【0250】
光重合は、好ましくは不活性ガス雰囲気下で、好ましくは加熱された窒素雰囲気下で行われるが、空気中での重合も可能である。
【0251】
光配向および硬化のステップの後に、任意に、未反応の重合性化合物を除去するために、いわゆる「後硬化」ステップが、低減された温度でUV線および/または可視光(両方とも直線状かまたは非偏光のいずれか)の照射により行うことができる。後硬化は、好ましくは、0℃超でかつ使用されるLC混合物の澄明点未満で、好ましくは20℃超でかつ60℃未満で、最も好ましくは20℃超でかつ40℃未満で行われる。
【0252】
本発明により重合したLCフィルムの好ましい厚さは、フィルムまたは最終製品に求められる光学特性により決定される。例えば、重合したLCフィルムが主に光学層として作用しないが、例えば接着層、配向層または保護層として作用する場合、この厚さは、好ましくは1μm以下、特に0.5μm以下、極めて好ましくは0.2μm以下である。
【0253】
例えば、本発明の一様の平面状に整列したポリマーフィルムは、例えばLCDにおいて、広い視野角でコントラストおよび輝度を改善しかつ色度を低減するために、リタデーションまたは調整フィルムとして使用することができる。これらは、LCDにおいて、切替可能な液晶セルの外部でまたは切替可能な液晶セルを形成しかつ切替可能な液晶媒体を含む基材、通常ではガラス基材の間で使用することができる(セル内用途)。
【0254】
ポリマーフィルムの光学用途のために、これは、好ましくは0.5~10μm、極めて好ましくは0.5~5μm、特に0.5~3μmの厚みを有する。
【0255】
入射ビームの波長(λ)の関数としてのポリマーフィルムの光学的リタデーション(δ(λ))は、以下の式により与えられる:
δ(λ)=(2πΔn・d)/λ
ここで、(Δn)は、フィルムの複屈折であり、(d)は、フィルムの厚さであり、λは入射ビームの波長である。
【0256】
スネルの法則に従って、入射ビームの方向の関数としての複屈折は、
Δn=sinΘ/sinΨ
として定義され、
ここで、sinΘは、入射角またはフィルム中での光学軸の傾斜角であり、sinΨは、対応する反射角である。
【0257】
この法則に基づいて、複屈折およびそれに応じた光学的リタデーションは、フィルムの厚さおよびフィルム中での光学軸の傾斜角に依存する(ベレック補償板参照)。したがって、当業者は、ポリマーフィルム中の液晶分子の配向を調節することにより異なる光学的リタデーションまたは異なる複屈折を引き起こすことができることに気づく。
【0258】
本発明によるポリマーフィルムの複屈折(Δn)は、好ましくは0.01~0.30の範囲内、より好ましくは0.01~0.25の範囲内、さらにより好ましくは0.01~0.16の範囲内にある。
【0259】
本発明によるポリマーフィルムの厚みの関数としての光学的リタデーションは、200nm未満、好ましくは180nm未満、さらにより好ましくは150nm未満である。
【0260】
特に、セル内用途に関して、本発明によるポリマーフィルムは、高温安定性を示す。したがって、ポリマーフィルムは、300℃まで、好ましくは250℃まで、より好ましくは230℃までの温度安定性を示す。
【0261】
本発明のポリマーフィルムは、別の液晶またはRM材料用の配向フィルムとして使用することもできる。例えば、これらは、切替可能な液晶媒体の整列を誘導または改善するため、またはその上に被覆された重合性液晶混合物の後続層を整列するために、LCD中で使用することができる。このように、重合したLCフィルムのスタックを製造することができる。
【0262】
要約すると、本発明による重合したLCフィルムは、液晶ディスプレーまたはプロジェクションシステム中の偏光子、補償子、配向層、円偏光子またはカラーフィルターのような光学部品において、装飾画像において、液晶または効果顔料の製造のため、および特に空間的に変化する反射色を有する反射フィルムにおいて、例えば装飾、情報記憶またはセキュリティ用途のための多色画像として、例えば身分証明カードまたはクレジットカード、銀行券などのような偽造防止文書において有用である。
【0263】
本発明によるポリマーフィルムまたは光学部品は、光学装置、例えば透過式または反射式のディスプレーにおいて使用することができる。これらは、従来のOLEDディスプレーまたはLCD、特にDAP(整列相の変形(deformation of aligned phase))またはVA(垂直整列(vertically aligned))モードのLCD、例えばECB(電気的に制御された複屈折(electrically controlled birefringence))、CSH(カラースーパーホメオトロピック(colour super homeotropic))、VANまたはVAC(垂直整列ネマチックまたはコレステリック(vertically aligned nematic or cholesteric))ディスプレー、MVA(マルチドメイン垂直整列(multi-domain vertically aligned))またはPVA(パターン化垂直整列(patterned vertically aligned))ディスプレーにおいて、ベンドモードのディスプレーまたはハイブリッド型ディスプレー、例えばOCB(光学補償したベンドセルまたは光学補償した複屈折(optically compensated bend cell or optically compensated birefringence))、R-OCB(反射型OCB(reflective OCB))、HAN(ハイブリッド整列ネマチック(hybrid aligned nematic))またはpi-cell(π-cell)ディスプレーにおいて、さらにTN(ねじれネマチック(twisted nematic))、HTN(高ねじれネマチック(highly twisted nematic))またはSTN(超ねじれネマチック(super twisted nematic))モードのディスプレーにおいて、AMD-TN(アクティブマトリックスドライブTN(active matrix driven TN))ディスプレーにおいてまたは「スーパーTFT」ディスプレーとしても公知のIPS(面内スイッチング(in plane switching))モードのディスプレーにおいて使用することができる。特に、VA、MVA、PVA、OCB、およびpi-cellディスプレーが好ましい。
【0264】
本発明によるポリマーフィルムは、特に欧州特許第0829744号明細書、欧州特許出願公開第0887666号明細書、欧州特許第0887692号明細書、米国特許第6,046,849号明細書、米国特許第6,437,915号明細書および「Proceedings o the SID 20th International Display Research Conference, 2000」第280頁に記載されたような3Dディスプレーに有効である。本発明によるポリマーフィルムを有するこのタイプの3Dディスプレーは、本発明の別の主題である。
【0265】
本発明は、特に好ましい実施態様を特に参照して上述および後述に説明されている。本発明の精神および範囲から逸脱することなしに、その中で多様な変更および修正を行うことができることを理解すべきである。
【0266】
上述および後述で言及された化合物またはその混合物の多くは、市場で入手可能である。これらの化合物の全ては、既知であるか、または前記反応について公知でかつ適切な反応条件下で行うために、文献(例えば、Houben-Weyl, Methoden der Organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg-Thieme-Verlag, Stuttgartのような標準的な著作)に記載されているような自体公知の方法により製造することができる。ここでは言及されていないが、それ自体公知のバリエーションがここで行われてもよい。
【0267】
依然として本発明の範囲内にあるように、本発明の上述の実施態様に対する変更を行うことができることが認識される。他に言及されていない限り、同じ、同等または類似の目的を提供する代替の特徴で、本明細書中に開示された各特徴を置き換えてよい。したがって、他に言及されていない限り、開示された各特徴は、同等または類似の特徴の包括的な系列の一例にすぎない。
【0268】
本明細書中に開示されている特徴の全ては、このような特徴および/またはステップの少なくともいくつかが相互に排他的である組合せを除いて、任意の組合せで組み合わせてよい。特に、本発明の好ましい特徴は、本発明の全ての態様に適用可能であり、かつ任意の組合せで使用されてよい。同様に、必須でない組合せにおいて記載された特徴は、(組合せではなく)個別に使用されてよい。
【0269】
上述した特徴の多く、特に好ましい実施態様の多くは、本発明の実施態様の一部としてだけでなく、それ自体が発明的であることが認識される。現在の特許請求の範囲に記載された発明に加えてまたはその代わりに、これらの特徴について独立した保護が求められ得る。
【0270】
本発明を、以下の実施例を参照してより詳細に説明するが、これは単に例示するだけであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0271】
後述の実施例は、本発明を限定することなく説明するために提供される。
【0272】
実施例
使用したRM
以下の混合物について、以下のRMを使用する:
【化24】
【0273】
【0274】
使用した混合物
以下の混合物CM-1およびM-1~4を、以下の表に従って製造する:
【表1】
【0275】
Irganox1076(登録商標)は、市場で入手可能な安定剤である(Ciba AG, Basel,スイス国)。FluorN 562 FluorNは、市場で入手可能な非反応性の、高フッ素含有率の、エチレングリコールベースの高分子のフッ素系界面活性剤である(Cytonix LLC, Beltsville, USA)。
【0276】
ポリマーフィルム製造のための一般的な方法:
目的の混合物を、配向層のない未加工のガラススライドに、3000rpmで30秒間スピンコーティングする。
【0277】
このサンプルを、温度制御されたホットプレート上にて60℃で60秒間アニールする。
【0278】
このサンプルを例えば100℃で60秒間加熱して対応する混合物の等方相とし、次いで、等方相である間に直線偏光(250~450nm Omnicure高圧水銀ランプ、60秒間で30mW/cm2)を照射する。
【0279】
実験1
ポリマーフィルムを、上述した方法を用いて製造する。
【0280】
混合物CM-1から得られたポリマーフィルム(CE-1)を、異なる量のSAPAを含む混合物M-1~M-4から得られたポリマーフィルム(E-1~E-4)と比較する。
【0281】
各フィルムを、交差した偏光板の間で一様な均質な整列について視覚的に検査する。
【表2】
【0282】
混合物M1~M4から得られたポリマーフィルムについてのリタデーションを、550nmの波長で20℃の温度で-60°から40°までの入射角で測定する。
【0283】
材料のリタデーション(R(λ))は、分光エリプソメーター、例えばJ. A. Woollam Co.により製造されたM2000分光エリプソメーターを使用して測定することができ、この機器により、典型的には370nm~2000nmの波長範囲にわたり複屈折サンプル、例えば石英のナノメートルで示す光学的リターダンスを測定することができる。
【0284】
これらの測定を実施する方法は、N. Singhにより2006年10月に国立物理学研究所(ロンドン、UK)で、「Spectroscopic Ellipsometry, Part1-Theory and Fundamentals, Part 2 - Practical Examples and Part 3 - measurements」のタイトルで発表された。J. A. Woollam Co. Inc (Lincoln, NE, USA)により発行されたRetardation Measurement (RetMeas) Manual (2002)およびGuide to WVASE (2002) (
Woollam
Variable
Angle
Spectroscopic
Ellipsometer)に記載された測定手順に従う。他に言及されていない限り、この方法は、本発明に記載された材料、フィルムおよび装置のリタデーションを決定するために使用される。
【表3】