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特許7534307ブランクキーおよびキーにおけるキー組合せ要素
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】ブランクキーおよびキーにおけるキー組合せ要素
(51)【国際特許分類】
   E05B 19/08 20060101AFI20240806BHJP
   E05B 35/00 20060101ALI20240806BHJP
   E05B 27/10 20060101ALI20240806BHJP
   E05B 19/00 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
E05B19/08
E05B35/00 Z
E05B27/10
E05B19/00 C
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021544145
(86)(22)【出願日】2020-01-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-28
(86)【国際出願番号】 IL2020050028
(87)【国際公開番号】W WO2020157742
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2022-07-01
(31)【優先権主張番号】264518
(32)【優先日】2019-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(73)【特許権者】
【識別番号】500549548
【氏名又は名称】マル-ティー-ロック・テクノロジーズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】ベン-アハロン,エフィ
(72)【発明者】
【氏名】カイサー,イジャク
(72)【発明者】
【氏名】モルスキー,エヤル
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0091910(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107060513(CN,A)
【文献】特表2007-530840(JP,A)
【文献】特表2016-513765(JP,A)
【文献】国際公開第2015/063755(WO,A1)
【文献】米国特許第5894750(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00 - 85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体的に細長い軸部分であって、前記細長い軸部分(12)に沿った長手方向位置および横方向位置をそれぞれ画定する長さおよび幅を有し、反対に向けられた第1および第2の側表面(14、16)を含み、前記第1および第2の側表面のうちの少なくとも一方が、キー組合せ表面を画定するキーカット(18)を形成するように切込み可能である、細長い軸部分と、
前記細長い軸部分(12)内に配置され、前記細長い軸部分の前記幅に沿った異なる横方向位置において互いに並びかつ前記細長い軸部分の前記長さに沿った重複する長手方向位置に位置する、第1および第2のキー組合せ要素(20、22)であって、それぞれが枢動軸の周りで枢動可能である、第1および第2のキー組合せ要素(20、22)と、
を備え、
前記第1および第2のキー組合せ要素(20、22)が、互いに独立してバイアス力を提供することが可能な、独立して機能するバイアス要素である、キーデバイス(10)。
【請求項2】
前記第1および第2のキー組合せ要素(20、22)が、前記第1および第2の側表面(14、16)のうちの少なくとも一方を越えて互いに独立して弾性的に外方に突出することができる、請求項1に記載のキーデバイス。
【請求項3】
前記枢動軸が、前記細長い軸部分(12)の幅に沿って延在する、請求項1に記載のキーデバイス。
【請求項4】
前記第1および第2のキー組合せ要素(20、22)が、共通の枢動軸の周りでそれぞれ枢動可能である、請求項1に記載のキーデバイス。
【請求項5】
前記第1および第2のキー組合せ要素(20、22)が、前記細長い軸部分(12)内に形成された凹部(30)内にそれぞれ配置される、請求項1に記載のキーデバイス。
【請求項6】
前記第1および第2のキー組合せ要素(20、22)が、前記細長い軸部分(12)内に形成された共通の凹部(30)内に配置される、請求項1に記載のキーデバイス。
【請求項7】
前記重複する長手方向位置が、同一の長手方向位置である、請求項1に記載のキーデバイス。
【請求項8】
前記第1および第2のキー組合せ要素(20、22)のそれぞれが、共通のベースから延在する弾性アーム(24)の対を備え、前記共通のベース(26)が、前記細長い軸部分(12)内に取り付けられるインサート(28)内に枢動可能に取り付けられる、請求項1に記載のキーデバイス。
【請求項9】
シヤーライン(45)まで移動可能なドライバピン(44)を含むシリンダ錠ハウジング(42)と、
キー溝(48)を有しかつ前記シリンダ錠ハウジング(42)に対して前記シヤーライン(45)に沿って回転可能であるプラグ(46)であって、前記ドライバピン(44)と位置合わせされかつ前記シヤーライン(45)まで移動可能であるプラグピン(50)を含む、プラグ(46)と、
細長い軸部分(12)に沿った長手方向位置および横方向位置をそれぞれ画定する長さおよび幅を有する全体的に細長い軸部分(12)を含むキーデバイス(10)であって、前記細長い軸部分(12)が、反対に向けられた第1および第2の側表面を含み、前記第1および第2の側表面のうちの少なくとも一方が、キー組合せ表面を画定するキーカット(18)を形成するように切込み可能である、キーデバイス(10)と、
前記細長い部分(12)内に配置され、前記細長い軸部分の前記幅に沿った異なる横方向位置において互いに並びかつ前記細長い軸部分(12)の前記長さに沿った重複する長手方向位置に位置する、第1および第2のキー組合せ要素(20、22)であって、それぞれが枢動軸の周りで枢動可能である、第1および第2のキー組合せ要素と、
を備える、キーデバイスおよび錠組立体であって、
前記キー溝(48)内に前記キーデバイス(10)を挿入することにより、前記第1および第2のキー組合せ要素(20、22)のうちの一方が、前記プラグピン(50)と位置合わせされ、前記プラグピン(50)を前記シヤーライン(45)まで付勢して、前記プラグ(46)の回転を可能にし、前記第1および第2のキー組合せ要素(20、22)のうちのもう一方が、前記プラグ(46)の一部分に当接し、前記プラグピン(50)には当接せず、
前記第1および第2のキー組合せ要素(20、22)が、互いに独立してバイアス力を提供することが可能な、独立して機能するバイアス要素である、キーデバイスおよび錠組立体。
【請求項10】
第1のバイアスデバイス(54)が、前記ドライバピン(44)を前記シヤーライン(45)に向かって付勢するように構成され、第2のバイアスデバイス(56)が、前記ドライバピン(44)を前記シヤーライン(45)から離れる方向へ付勢するように構成される、請求項9に記載のキーデバイスおよび錠組立体。
【請求項11】
前記第1および第2のバイアスデバイスが、前記シリンダ錠ハウジング内に配置される、請求項10に記載のキーデバイスおよび錠組立体。
【請求項12】
前記第2のバイアスデバイス(56)が、前記第1および第2のキー組合せ要素(20、22)のうちの一方の付勢力を増大させて、前記プラグピン(50)を前記シヤーライン(45)まで付勢する、請求項10に記載のキーデバイスおよび錠組立体。
【請求項13】
前記プラグピン(50)および前記ドライバピン(44)が、入れ子式ピンを含む、請
求項9に記載のキーデバイスおよび錠組立体。
【請求項14】
シヤーライン(45)まで移動可能なドライバピン(44)を含むシリンダ錠ハウジング(42)と、
キー溝(48)を有しかつ前記シリンダ錠ハウジング(42)に対して前記シヤーライン(45)に沿って回転可能であるプラグ(46)であって、前記ドライバピン(44)と位置合わせされかつ前記シヤーライン(45)まで移動可能なプラグピン(50)を含む、プラグ(46)と、
前記ドライバピン(44)を前記シヤーライン(45)に向かって付勢するように構成された第1のバイアスデバイス(54)、および前記ドライバピン(44)を前記シヤーライン(45)から離れる方向へ付勢するように構成された第2のバイアスデバイス(56)と、
を備える、錠組立体。
【請求項15】
前記第1および第2のバイアスデバイス(54、56)が、前記シリンダ錠ハウジング(42)内に配置される、請求項14に記載の錠組立体。
【請求項16】
前記プラグピン(50)および前記ドライバピン(44)が、入れ子式ピンを含む、請求項14に記載の錠組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、ロック装置に関し、より詳細には、ブランクキーまたはキー内に移動可能に配置されるキー組合せ要素(key combination element)、およびそれによって作動される錠に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第7647799号は、キー組合せ要素(例えば、ばね)を含むブランクキーを開示しており、このキー組合せ要素は、ブランクキーの軸内に移動可能に配置され、シリンダ錠プラグ内に配置された錠組合せ要素に接触するように適合される。キー組合せ要素は、錠組合せ要素に対して付勢力を印加するための固有のエネルギーを有する。キー組合せ要素は、第1の側面および第2の側表面の両方を越えて弾性的に外方に突出し得る。キー組合せ要素は、アルファ形状ばねとして具現化され得る。そのようなブランクキーは、Mul-T-Lock Technologies Ltd.、IsraelからMT5の商標の下で市販されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、下記により詳細に説明されるように、新規なキーデバイスおよびそのための錠を提供することを図るものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書および特許請求の範囲にわたって、用語「キーデバイス」は、ブランクキー、またはキーカットが形成されたブランクキーから作られたキーを意味することに留意されたい。
【0005】
本発明のキーデバイスは、米国特許第7647799号のキーデバイスに類似するが、とりわけキーデバイスの細長い軸部分内に互いに並んで位置決めされた第1および第2のキー組合せ要素を有するということにより、米国特許第7647799号のキーデバイスとは異なる。第1および第2のキー組合せ要素は、互いに独立して移動可能である。これは、キーデバイスがシリンダ錠とともに使用されるときに、独特の特徴を提供する。例えば、キー組合せ要素のうちの一方のみが、シリンダ錠内のピンをシヤーライン(shear line)まで運ぶように作動され得る一方で、キー組合せ要素のうちのもう一方は、シヤーラインまで何かを運ぶために使用されず、代わりにシリンダ錠のプラグ内の構造に当接する。このようにして、本発明のキーデバイスは、本発明のシリンダ錠、および米国特許第7647799号のキーデバイス用に設計されたシリンダ錠を動作させる(ロック解除およびロックする)ことができる(すなわち、本発明のキーデバイスは、後方互換性を有する)。しかし、米国特許第7647799号のキー組合せ要素(アルファ形状ばね)は、過度に幅が広く、シリンダ錠プラグ内の構造に当接し、シリンダ錠ピンをシヤーラインまで運ぶことができないので、米国特許第7647799号のキーデバイスは、本発明のシリンダ錠を動作させることができない。
【0006】
本発明のキーデバイスは、不可逆キー(片側のみがシリンダ錠を動作させる)または可逆キー(キーの両側がシリンダ錠を動作させることができる)として具現化され得る。可逆キーの場合、第1のキー組合せ要素がプラグのピンに面する状態でキーがシリンダ錠のキー溝に挿入されると、第1のキー組合せ要素のみが、シリンダ錠内のピンをシヤーラインまで運ぶように機能し、一方で、第2のキー組合せ要素は、シヤーラインまで何かを運ぶために使用されず、代わりにシリンダ錠のプラグ内の構造に当接する。反対に、第2のキー組合せ要素がプラグのピンに面する状態でキーがシリンダ錠のキー溝に挿入されると、第2のキー組合せ要素のみが、リンダ錠内のピンをシヤーラインまで運ぶように機能し、一方で、第1のキー組合せ要素は、シヤーラインまで何かを運ぶために使用されず、代わりにシリンダ錠のプラグ内の構造に当接する。米国特許第7647799号のキーデバイス用に設計されたシリンダ錠のキー溝に本発明のそのような可逆キーが挿入された場合、本発明のキーのどちらの側が面しても、第1および第2のキー組合せ要素の両方が、シリンダ錠内のピンをシヤーラインまで運ぶように機能する。
【0007】
本発明の第1および第2のキー組合せ要素は、米国特許第7647799号のキー組合せ要素と比べると、比較的幅が狭い(例えば、半分の幅)。これは、技術的問題を提示する。本発明のキー組合せ要素は、それらの狭い幅にかかわらず、シリンダ錠(本発明のシリンダ錠と米国特許第7647799号のシリンダ錠の両方)のピンとともに使用されるばねを克服するために、十分な強度(てこ比)を有さなければならない。本発明者らは、合金鋼(17-4PHマルテンサイト系ステンレス鋼などであるが、これに限定されない)で作られた第1および第2のキー組合せ要素が後方互換性に必要な強度を示すことを見出した。
【0008】
したがって、本発明の限定的ではない実施形態によれば、全体的に細長い軸部分であって、細長い軸部分に沿った長手方向位置および横方向位置をそれぞれ画定する長さおよび幅を有し、反対に向けられた第1および第2の側表面を含み、第1および第2の側表面のうちの少なくとも一方が、キー組合せ表面を画定するキーカットを形成するように切込み可能である、細長い軸部分と、細長い軸部分内に配置され、細長い軸部分の幅に沿った異なる横方向位置において互いに並びかつ細長い軸部分の長さに沿った重複する長手方向位置に位置する、第1および第2のキー組合せ要素であって、それぞれが枢動軸の周りで枢動可能である、第1および第2のキー組合せ要素と、を含む、キーデバイスが提供される。第1および第2のキー組合せ要素は、互いに独立してバイアス力を提供することが可能な、独立して機能するバイアス要素であり得る。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、第1および第2のキー組合せ要素は、第1および第2の側表面のうちの少なくとも一方を越えて互いに独立して弾性的に外方に突出することができる。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、枢動軸は、細長い軸部分の幅に沿って延在する。
本発明の一実施形態によれば、第1および第2のキー組合せ要素は、共通の枢動軸の周りで枢動可能である。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、第1および第2のキー組合せ要素は、細長い軸部分内に形成された凹部(例えば、共通の凹部)内にそれぞれ配置される。
本発明の一実施形態によれば、第1および第2のキー組合せ要素のそれぞれは、共通のベースから延在する弾性アームの対を含み、共通のベースは、細長い軸部分内に取り付けられるインサート内に枢動可能に取り付けられる。
【0012】
本発明の限定的でない実施形態によれば、シヤーラインまで移動可能なドライバピンを含むシリンダ錠ハウジングと、キー溝を有しかつシリンダ錠ハウジングに対してシヤーラインに沿って回転可能であるプラグであって、ドライバピンと位置合わせされかつシヤーラインまで移動可能であるプラグピンを含む、プラグと、細長い軸部分に沿った長手方向位置および横方向位置をそれぞれ画定する長さおよび幅を有する全体的に細長い軸部分を含むキーデバイスであって、細長い軸部分が、反対に向けられた第1および第2の側表面を含み、第1および第2の側表面のうちの少なくとも一方が、キー組合せ表面を画定するキーカットを形成するように切込み可能である、キーデバイスと、細長い軸部分内に配置され、細長い軸部分の幅に沿った異なる横方向位置において互いに並びかつ細長い軸部分の長さに沿った重複する長手方向位置に位置する、第1および第2のキー組合せ要素であって、それぞれが枢動軸の周りで枢動可能である、第1および第2のキー組合せ要素と、を含む、キーデバイスおよび錠組立体であって、キー溝内にキーデバイスを挿入することにより、第1および第2のキー組合せ要素のうちの一方が、プラグピンと位置合わせされ、プラグピンをシヤーラインまで付勢して、プラグの回転を可能にし、第1および第2のキー組合せ要素のうちのもう一方が、プラグの一部分に当接し、プラグピンには当接しない、キーデバイスおよび錠組立体も提供される。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、例えばシリンダ錠ハウジング内に配置される第1のバイアスデバイスが、ドライバピンをシヤーラインに向かって付勢するように構成され、また、例えばシリンダ錠ハウジング内に配置される第2のバイアスデバイスが、ドライバピンをシヤーラインから離れる方向へ付勢するように構成される。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、第2のバイアスデバイスは、第1および第2のキー組合せ要素のうちの一方の付勢力を増大させて、プラグピンをシヤーラインまで付勢する。
本発明の一実施形態によればプラグピンおよびドライバピンは、入れ子式ピン(telescoping pin)を含む。
【0015】
本発明は、図面と併せ以下に詳細に説明することから、より詳細に理解されかつ明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の限定的でない実施形態に従って構成されかつ動作するキーデバイスの簡易化した斜視図である。図1Aは、キーデバイス内の第1および第2のキー組合せ要素の完全に重複した長手方向位置の簡易化した図である。図1Bは、キーデバイス内の第1および第2のキー組合せ要素の部分的に重複した長手方向位置の簡易化した図である。
図2】キーデバイスの細長い軸部分において互いに並んで位置決めされる第1および第2のキー組合せ要素を強調する、キーデバイスの簡易化した部分分解組立図である。
図3図1における線C-Cに沿った、第1および第2のキー組合せ要素の断面図である。
図4】シリンダ錠のロック要素がシヤーラインに沿って位置合わせされたときの第1および第2のキー組合せ要素の配向を示す、本発明の限定的でない実施形態に従って構成されかつ動作するシリンダ錠の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の限定的でない実施形態に従って構成されかつ動作するキーデバイス10を示す図1を参照する。
キーデバイス10は、反対に向けられた第1および第2の(例えば、全体的に平坦な)側表面14および16を含む全体的に細長い軸部分12を具備し、側表面14および16のうちの少なくとも一方は、キー組合せ表面を画定するキーカット18を形成するように切込み可能である。当技術分野で知られているように、表面14または16のうちの一方のみがキーカットを有するかまたはキーカットが異なる場合、キーデバイスは、不可逆キーデバイスである。両方の表面14および16が同一のキーカットを有する場合、キーデバイスは、可逆キーデバイスである。キーデバイス10は、ヘッド19を含み得る。
【0018】
細長い軸部分12は、細長い軸部分12に沿った長手方向位置および横方向位置をそれぞれ画定する、長さおよび幅を有する。例えば、キーカットは、長手方向位置L1~L5に切られて示されており、長手方向位置L1~L5の全てが、横方向位置W3に位置している。
【0019】
本発明の限定的でない実施形態によれば、第1および第2のキー組合せ要素20および22が、細長い軸部分12内に配置される。要素20および22は、細長い軸部分12の長さに沿った重複する長手方向位置において、細長い軸部分12の幅に沿った異なる横方向位置(例えば、W1およびW2)に互いに並んで位置決めされる。
【0020】
「重複する長手方向位置」の意味は、図1Aおよび1Bをさらに参照して説明される。図1および1Aに見られるように、第1および第2のキー組合せ要素20および22は、同一の長手方向位置、つまり、要素20および22の長手方向中心を通過する同じ長手方向位置L6に位置決めされ、また、要素20および22の長手方向端部は、同一の長手方向位置L6(A)およびL6(B)に位置する。しかし、本発明は、図1Bに示された状況も考慮し、この状況では、要素20および22の長手方向端部が、異なる長手方向位置(要素20に対してはL6(C)およびL6(D)、要素22に対してはL6(E)およびL6(F))に位置するが、長手方向位置L6は、依然として第1および第2のキー組合せ要素20および22の両方を通過する。したがって、「重複する長手方向位置」という用語は、完全に重複した長手方向位置(図1A)、および、部分的に重複した長手方向位置(図1B)を含む。
【0021】
第1および第2のキー組合せ要素20および22は、独立して機能するバイアス要素であり、つまり、それぞれが、互いに独立してバイアス力または付勢力を提供することができる。例えば、第1および第2のキー組合せ要素20および22は、図3に見られるように、第1および第2の側表面14および16の一方または両方を越えて互いに独立して弾性的に外方に突出することが可能であり得る。別の例では、第1および第2のキー組合せ要素20および22は、第1および第2の側表面14および16のいずれかを越えて突出する必要はないが、要素20は、いかなる場合においても、シリンダ錠内のピンと相互作用するためのバイアス力(ばね力)を提供して、シヤーラインへの移動を達成する。
【0022】
2つ以上のそのような組合せ要素、つまり、1つの第1のキー組合せ要素と1つの第2のキー組合せ要素、または、2つ以上の第1のキー組合せ要素と2つ以上の第2のキー組合せ要素が存在してもよい。したがって、本明細書および特許請求の範囲にわたって、「第1のキー組合せ要素」および「第2のキー組合せ要素」という用語は、少なくとも1つの第1のキー組合せ要素および少なくとも1つの第2のキー組合せ要素をそれぞれ意味する。
【0023】
次に、図2を参照する。本発明の一実施形態によれば、第1および第2のキー組合せ要素20および22のそれぞれは、共通のベース26から延在する弾性アーム24の対を含み、共通のベース26は、細長い軸部分内に形成された凹部30内に取り付けられるインサート28内に枢動可能に取り付けられる。したがって、第1および第2のキー組合せ要素20および22は、凹部30(例えば、両方の要素に対して共通の凹部であるが、それぞれの要素に対して別個の凹部であってもよい)内にそれぞれ配置される。インサート28は、留め具32を用いて固着され得る。
【0024】
第1および第2のキー組合せ要素20および22は、それぞれ、枢動軸の周りで枢動可能である。これは、両方の要素20および22に対して(図1AにおけるL6などの)共通の枢動軸であってよく、または、図1BにおけるL6とL6(C)との間の位置およびL6とL6(F)との間の位置などの、別個の枢動軸であってもよい。
【0025】
次に、本発明の限定的でない実施形態に従って構成されかつ動作するシリンダ錠40を示す図4を参照する。図4は、次いで説明されるようにシリンダ錠のロック要素がシヤーラインに沿って位置合わせされたときの第1および第2のキー組合せ要素20および22の配向を示す。
【0026】
シリンダ錠40は、シヤーライン45まで移動可能な少なくとも1つのドライバピン44を含むシリンダ錠ハウジング42を具備する。プラグ46が、キー溝48を有し、シリンダ錠ハウジング42に対してシヤーライン45に沿って回転可能である。プラグ46は、少なくとも1つのドライバピン44と位置合わせされかつシヤーライン45まで移動可能である、少なくとも1つのプラグピン50を含む。プラグピンおよびドライバピンは、示されるように、入れ子式ピンであってよい。
【0027】
キー溝48内にキーデバイス10を挿入することにより、第1および第2のキー組合せ要素のうちの一方(説明に役立つ例では、これは第1のキー組合せ要素20である)が、プラグピン50と位置合わせされる。このキー組合せ要素(第1のキー組合せ要素20)は、プラグピン50をシヤーライン45まで付勢する(そのばね力に起因する)付勢力を働かせて、プラグ46の回転を可能にする。第1および第2のキー組合せ要素のうちのもう一方(説明に役立つ例では、これは第2のキー組合せ要素22である)は、プラグ46の一部分に当接し、プラグピン50には当接しない。キー組合せ要素のばね力は、要素の弾力性に起因するもの、つまり(例えば、板ばねのような)材料の物理的性質に起因するものであってよく、または、キー組合せ要素に作用する外部バイアスデバイス(例えば、付勢力を提供するコイルばねなど)に起因するものであってよいことに留意されたい。
【0028】
示された実施形態では、プラグピン50は、一定の長さを有するのではなく、代わりにピン50の全周にわたって完全には延在しない延長部52を有することに留意されたい。第1のキー組合せ要素20は、延長部52に接触する。あるいは、プラグピン50は、そのような延長部を含まずに、一定の長さを有し得る。
【0029】
第1のバイアスデバイス54(コイルばねなど)が、シリンダ錠ハウジング42内に配置され、ドライバピン44をシヤーライン45に向かって付勢するように構成される。第2のバイアスデバイス56(内側入れ子式ピン44Aと外側入れ子式ピン44Bとの間に配置されるコイルばねなど)が、ドライバピン44をシヤーライン45から離れる方向へ付勢するように構成されたシリンダ錠ハウジング42内に配置され得る。第2のバイアスデバイス56は、第1のキー組合せ要素20の付勢力を増大させて、プラグピン50をシヤーライン45まで付勢する。
図1
図1A-1B】
図2
図3
図4