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特許7534309オス型コネクターおよびメス型コネクター用ユニバーサルキャップ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】オス型コネクターおよびメス型コネクター用ユニバーサルキャップ
(51)【国際特許分類】
   A61M 39/20 20060101AFI20240806BHJP
   A61M 39/16 20060101ALI20240806BHJP
   A01P 1/00 20060101ALI20240806BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20240806BHJP
   A01N 25/02 20060101ALI20240806BHJP
   A01N 31/02 20060101ALI20240806BHJP
   A01N 37/40 20060101ALI20240806BHJP
   A01N 31/08 20060101ALI20240806BHJP
   A01N 47/44 20060101ALI20240806BHJP
   A01N 59/12 20060101ALI20240806BHJP
   A01N 43/16 20060101ALI20240806BHJP
   A01N 43/54 20060101ALI20240806BHJP
   A01N 31/16 20060101ALI20240806BHJP
   A01N 59/00 20060101ALI20240806BHJP
   A01N 59/16 20060101ALI20240806BHJP
   A01N 33/12 20060101ALI20240806BHJP
   A01N 43/40 20060101ALI20240806BHJP
   A01N 25/10 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
A61M39/20
A61M39/16
A01P1/00
A01P3/00
A01N25/02
A01N31/02
A01N37/40
A01N31/08
A01N47/44
A01N59/12
A01N43/16 Z
A01N43/54 E
A01N31/16
A01N59/00 A
A01N59/16 A
A01N33/12 101
A01N43/40 101K
A01N25/10
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2021544410
(86)(22)【出願日】2020-01-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-22
(86)【国際出願番号】 US2020015535
(87)【国際公開番号】W WO2020160064
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2023-01-25
(31)【優先権主張番号】62/798,624
(32)【優先日】2019-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/774,853
(32)【優先日】2020-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン エム.ライアン
【審査官】星名 真幸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0067422(US,A1)
【文献】特表2016-511111(JP,A)
【文献】特表2019-501741(JP,A)
【文献】特表2012-522593(JP,A)
【文献】特表2017-506115(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/20
A61M 39/16
A01P 1/00
A01P 3/00
A01N 25/02
A01N 31/02
A01N 37/40
A01N 31/08
A01N 47/44
A01N 59/12
A01N 43/16
A01N 43/54
A01N 31/16
A01N 59/00
A01N 59/16
A01N 33/12
A01N 43/40
A01N 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、突出部とを含むキャップであって、
前記ハウジングは、外部表面および内部表面を有する閉止端壁と、円筒形の内側壁と、開放底部とを含み、
前記円筒形の内側壁および前記内部表面は、第1キャビティを形成し、
前記開放底部は、前記円筒形の内側壁によって形成され、前記ハウジング内の第1キャビティに、メス型ニードルレスコネクターまたはオス型ニードルレスコネクターのハブを受容するための開口部を有し、
前記突出部は、前記ハウジングと一体的に形成され、前記第1キャビティ内に配置され、前記突出部は、前記内部表面から開放近位端に向かって近位方向に延在する内面および外面を有し、前記内面は、前記内部表面と一体的に形成された分割型ネジ付き突出部を有し、前記分割型ネジ付き突出部の内面は、第2キャビティを画定し、
前記突出部の内面に設けられた内側ネジ山であって、前記内側ネジ山は、前記メス型ニードルレスコネクターの係合部とインターロックするのに十分であり、
前記突出部の外面は、前記オス型ニードルレスコネクターの係合部をインターロックするのに十分であるプレス嵌め接続でのオス型ニードルレスコネクターとの嵌合のために、テーパー状であり、同嵌合に適した寸法を有し、同嵌合に適応している
ことを特徴とする、キャップ。
【請求項2】
前記第2キャビティの内面に前記メス型ニードルレスコネクターのハブが受容される際に、前記内面の少なくとも一部が前記メス型ニードルレスコネクターのハブ上の係合部にインターロックすることによって、前記ハブが前記第2キャビティの内面に固定されることを特徴とする、請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
前記突出部は、1つまたは複数のそれぞれのギャップによって離間された1つまたは複数の片持ち突起を含み、前記片持ち突起の少なくとも1つは屈曲または変形するように構成されて、前記突出部と前記オス型ニードルレスコネクターまたは前記メス型ニードルレスコネクターの係合部との間の締まり嵌めを容易にすることを特徴とする、請求項1に記載のキャップ。
【請求項4】
前記突出部が、本質的に前記ハウジングの閉止端壁の内部表面から前記ハウジングの前記開放底部に向かって延在していることを特徴とする、請求項1に記載のキャップ。
【請求項5】
前記突出部は、前記ハウジングの内側壁と実質的に平行に延在していることを特徴とする、請求項1に記載のキャップ。
【請求項6】
内側ネジ山が傾斜したネジパターンを有することを特徴とする、請求項1に記載のキャップ。
【請求項7】
内側ネジ山が螺旋状のネジパターンを有することを特徴とする、請求項1に記載のキャップ。
【請求項8】
内側ネジ山は、ネジパターンに1つまたは複数のギャップを有していることを特徴とする、請求項1に記載のキャップ。
【請求項9】
前記ハウジングの円筒形の内側壁は、前記突出部の外面と本質的に平行であることを特徴とする、請求項1に記載のキャップ。
【請求項10】
前記ハウジングの外側壁は、複数の把持部材を含むことを特徴とする、請求項1に記載のキャップ。
【請求項11】
メス型ニードルレスコネクターが、無針コネクター、カテーテル用ルアーコネクター、ストップコック、および血液透析用コネクターから本質的に構成される群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載のキャップ。
【請求項12】
前記オス型ニードルレスコネクターが、静脈内チューブの端部、ストップコック、またはオス型ロックルアーであることを特徴とする、請求項1に記載のキャップ。
【請求項13】
前記キャップは、ポリプロピレンまたはポリエチレン素材を含むことを特徴とする、請求項1に記載のキャップ。
【請求項14】
前記第1キャビティおよび前記第2キャビティ内に配置される少なくとも1つの吸収材と、前記吸収材内に保持された消毒剤または抗菌剤とをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のキャップ。
【請求項15】
前記吸収材が発泡体であることを特徴とする、請求項14に記載のキャップ。
【請求項16】
前記発泡体がポリウレタンフォームであることを特徴とする、請求項15に記載のキャップ。
【請求項17】
前記吸収材がスポンジであることを特徴とする、請求項14に記載のキャップ。
【請求項18】
前記吸収材がスリットを有することを特徴とする、請求項14に記載のキャップ。
【請求項19】
メス型ニードルレスコネクターへの接続時に、ハウジングの閉止端壁の内部表面に向かう前記吸収材の圧縮が起こることを特徴とする、請求項14に記載のキャップ。
【請求項20】
吸収材の圧縮によってメス型ニードルレスコネクターを消毒することを特徴とする請求項19に記載のキャップ。
【請求項21】
前記吸収材が前記内側ネジ山によって半径方向に圧縮され、吸収材が第2キャビティに保持されていることを特徴とする、請求項14に記載のキャップ。
【請求項22】
殺菌剤または抗菌剤が、イソプロピルアルコール、エタノール、2-プロパノール、ブタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、没食子酸プロピル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン、t-ブチルヒドロキノン、クロロキシレノール、クロルヘキシジン、クロルヘキシジングルコン酸塩、クロルヘキシジン酢酸塩、ポビドンヨード、アルコール、ジクロロベンジルアルコール、デヒドロ酢酸、ヘキセチジン、トリクロサン、過酸化水素、コロイド状銀、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、オクテニジン、抗生物質、およびこれらの混合物から本質的になる群から選択されることを特徴とする、請求項14に記載のキャップ。
【請求項23】
殺菌剤または抗菌剤が、クロルヘキシジングルコン酸塩およびクロルヘキシジン酢酸塩の少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項22に記載のキャップ。
【請求項24】
殺菌剤または抗菌剤が、流体またはゲルであることを特徴とする、請求項15に記載のキャップ。
【請求項25】
前記ハウジングの開放底部の端面に剥離可能シールをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のキャップ。
【請求項26】
剥離可能シールが、アルミニウムまたは多層ポリマーフィルムのピールバック蓋を含むことを特徴とする、請求項25に記載のキャップ。
【請求項27】
剥離可能シールが、前記ハウジングの開放底部の結合面にヒートシールまたは誘導シールされていることを特徴とする、請求項25に記載のキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に、たとえば、オス型ルアー継手およびメス型ルアー継手を有するアクセスポートを消毒および滅菌するための装置に関する。本開示は、具体的には、複数種のコネクターに適合することができる消毒および滅菌装置に関する。一般的には、本開示の例示的な実施形態は、医療用キャップおよび医療用消毒キャップ、特に流体ルアーコネクターと一緒に使用するためのキャップおよび/または消毒キャップを含む、ネジ式継手の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
血管アクセス装置(VAD)は、一般的に使用される治療器具であり、静脈内カテーテルなどを含む。VADは、末梢カテーテルおよび中心静脈カテーテルである、2種の一般的分類がある。バクテリアやその他の微生物は、流体または薬剤を供給するためのVADに接続する際に、アクセスハブおよびポート/バルブから患者の血管系に侵入する可能性がある。各アクセスハブ(あるいは、ポート/バルブまたは接続部)は、コストがかかり、潜在的には致死的となり得るカテーテル由来血流感染(CRBSI)を伝達する何らかのリスクと関連する。
【0003】
CRBSI症例を減少させ、VADを正しく使用および維持するために、消毒手順および洗浄手順を含む実施標準が開発された。
【0004】
消毒用キャップは、米国医療疫学学会(SHEA)のガイドラインに追加されており、2016年の輸液看護師標準(INS)のガイドラインにもキャップが組み込まれる初期徴候が存在する。
【0005】
先進国の市場では、IVカテーテルを使用する際には、典型的にはニードルレスコネクターを使用してシステムを閉鎖し、その後、患者に対して薬剤またはその他の必要な液体をカテーテルを介して投与する。INS実施標準では、ニードルレスコネクターの使用が推奨されており、「各アクセスの前に、アルコール、ヨードチンキ、クロルヘキシジングルコン酸塩/アルコールの組み合わせを用いて、着実かつ徹底的に消毒する」べきであると述べられている。ニードルレスコネクターの消毒は、表面に生息し、CRBSIを含む種々のカテーテル由来の合併症を引き起こす可能性のある細菌の減少を補助することを、最終的な目的とする。典型的には、看護師は、「ハブのスクラブ」として知られている方法によりこの消毒作業を完了するために、70%イソプロピルアルコール(IPA)パッドを使用する。しかし、この手順の遵守率は典型的には非常に低い。また、臨床医へのインタビューでは、「ハブのスクラブ」の遵守率の低さに加えて、スクラブ時間、乾燥時間、ニードルレスコネクターのスクラブ回数にばらつきがあることが指摘されている。
【0006】
CRBSIの原因となる微生物の感染に関連する一連の手順全体を通して、接触または汚染のリスクが多く存在する。汚染は、薬剤の混合、カニューレの装着、アクセスハブへの挿入の際に起こり得る。VADに接続する手順は非常に一般的かつ単純であるため、患者の血管系への挿入に関連するリスクはしばしば見過ごされてきた。現在のところ、病院および患者に対するリスクは、接続を実施する臨床医の勤勉さに大きく依存しており、この勤勉さはほとんど制御できない。
【0007】
現在、オス型ニードルレスコネクター用キャップ、メス型ニードルレスコネクター用キャップ、静脈注射ライン用キャップ、血液透析ライン用のキャップは異なる設計が用いられており、そのため、キャップを装着できるコネクターの種類が限定される。現在、ISO594-2タイプのメス型ネジ式流体ルアーコネクターを消毒するオス型消毒キャップ装置があり、ISO594-2タイプのオス型ネジ式流体ルアーコネクターを消毒するメス型消毒キャップ装置がある。しかしながら、オス型ネジ式コネクター、メス型ネジ式コネクターのいずれにも対応できる、単一のユニバーサルな消毒キャップ装置は存在しない。そのため、従来の消毒キャップは、1つのタイプのコネクターにのみ適合するように設計されており、特定のサイズおよび/または形状のコネクターにしか対応していなかった。そのため、オス型コネクターおよびメス型コネクターの両方を含む、複数種のコネクターに対応し、消毒作業を効率化することができる消毒キャップが求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の1つの態様は、医療用コネクターに接続するための装置に関する。本開示の第1の態様は、ハウジングと突出部とを含むキャップに関する。ハウジングは、頂壁と、キャビティを形成する本質的に円筒形側壁と、円筒形側壁によって形成され、ハウジング内のキャビティに開口部を有し、メス型ニードルレスコネクターまたはオス型ニードルレスコネクターのハブを受容するための開放底部とを含むことができる。突出部は、ハウジングと一体的に形成され、キャビティ内に配置される。突出部は、遠位壁と、開放近位端と、遠位壁から開放近位端に向かって近位方向に延在する側壁とを含む。1つまたは複数の実施形態において、側壁は、遠位壁と一体的に形成された分割型ネジ付き突出部を含むことができる。分割型ネジ付き突出部は、内面および外面を含み、分割型ネジ付き突出部の内面は、第2キャビティを規定する。突出部の内面に内側ネジ山を含むことができ、内側ネジ山は、メス型ニードルレスコネクターの係合部(mating feature)をインターロックするのに十分である。1つまたは複数の実施形態において、内側ネジ山は、傾斜したネジパターンまたはらせん状のネジパターンを有する。1つまたは複数の実施形態において、突出部の外面は、前記オス型ニードルレスコネクターの係合部をインターロックするのに十分であるプレス嵌め接続でのオス型ルアーコネクターとの嵌合のために、テーパー状であり、同嵌合に適した寸法を有し、同嵌合に適応している。1つまたは複数の実施形態において、突出部は、1つまたは複数のそれぞれのギャップによって離間された1つまたは複数の片持ち突起(cantilevered prong)を含むことができる。1つまたは複数の実施形態において、突起の少なくとも1つを屈曲するように構成して、突起とオス型ニードルレスコネクター係合部との間の締まり嵌め、またはメス型ニードルレスコネクターの係合部との間の締まり嵌めを促進することができる。1つまたは複数の実施形態において、突出部は、頂部壁の内面からハウジングの開放底部に向かって本質的に延在することができる。1つまたは複数の実施形態において、突出部は、ハウジングの側壁に実質的に平行に延在することができる。
【0009】
開放底部は、端面および結合面(engagement surface)を画定する開放底部から径方向外側に延びる周辺縁を有し、突出部の内壁面は、メス型ルアーコネクターと嵌合するように適合された1つまたは複数のネジ山を有し、前記突出部の外壁面は、オス型ルアーコネクターを受容するようにテーパー状に形成されている。
【0010】
殺菌剤または抗菌剤がチャンバーから漏出するのを防ぐために、キャップの開放底部の端面に剥離可能シールを配置することができる。
【0011】
1つまたは複数の実施形態において、メス型ルアーコネクターはニードルレスコネクター、ストップコック、および血液透析用コネクターから本質的になる群から選択される。
【0012】
1つまたは複数の実施形態において、オス型コネクターは、静脈内チューブの端部またはストップコックである。
【0013】
キャップは、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン、または医療装置に使用されるその他の成形可能なプラスチック材料のような、多くの種類のプラスチック材料の任意のものから作製できる。1つまたは複数の実施形態において、キャップは、ポリプロピレン材料またはポリエチレン材料を含む。1つまたは複数の実施形態において、キャップ外面は、複数の把持部材を含む。
【0014】
1つまたは複数の実施形態において、吸収材はスリットを有する。1つまたは複数の実施形態において、吸収材は、内側ネジ山による径方向の圧縮を受けて、吸収材をチャンバー内に保持する。1つまたは複数の実施形態において、吸収材は、内側ネジ山による径方向の圧縮を受けずに、チャンバー内に保持される。1つまたは複数の実施形態において、吸収材は、不織布、発泡体、またはスポンジである。特定の実施形態において、発泡体はポリウレタンフォームである。
【0015】
1つまたは複数の実施形態において、消毒剤または抗菌剤は、イソプロピルアルコール、エタノール、2-プロパノール、ブタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、没食子酸プロピル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン、t-ブチルヒドロキノン、クロロキシレノール、クロルヘキシジン、クロルヘキシジン酢酸塩、クロルヘキシジングルコン酸塩、ポビドンヨード、アルコール、ジクロロベンジルアルコール、デヒドロ酢酸、ヘキセチジン、トリクロサン、過酸化水素、コロイド状銀、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、オクテニジン、抗生物質、およびそれらの混合物から本質的になる群から選択される。特定の実施形態において、殺菌剤または抗菌剤は、クロルヘキシジングルコン酸塩およびクロルヘキシジン酢酸塩の少なくとも1種を含む。1つまたは複数の実施形態において、消毒剤または抗菌剤は、流体またはゲルである。
【0016】
メス型ルアーコネクターまたはオス型ルアーコネクターへの接続時に、チャンバーまたは第1キャビティまたは第2キャビティの遠位壁に向かって吸収材を圧縮することで、コネクターを消毒剤または抗菌剤と接触させ、メス型ルアーコネクターまたはオス型ルアーコネクターを消毒することができる。
【0017】
1つまたは複数の実施形態において、剥離可能シールは、アルミニウムまたは多層ポリマーフィルムのピールバック蓋を含む。具体的な実施形態において、剥離可能シールは、結合面にヒートシールまたは誘導シールされる。
【0018】
本開示の第2の態様は、医療用コネクターを消毒する方法に関する。本方法は、1つまたは複数の実施形態の装置を医療用コネクターに接続する工程を含み、接続工程は、チャンバーへの挿入時に内壁面を嵌合させて、吸収材および消毒剤または抗菌剤に医療用コネクターを接触させることを含む。
【0019】
本開示の第3の態様は、アセンブリに関する。アセンブリは、医療用コネクターに接続される1つまたは複数の実施形態の装置を含む。1つまたは複数の実施形態において、医療用コネクターは、オス型ルアーコネクター、メス型ルアーコネクター、およびニードルレスコネクターから選択される。
【0020】
本概要は、以下の詳細な説明に記載される概念の一部を簡略化して紹介するためのものである。本概要は、特許請求の範囲に記載された内容の主要な特徴または必須の特徴を特定することを意図するものではなく、また、特許請求の範囲に記載された内容の範囲を決定する際の補助として使用することを意図するものでもない。
【0021】
本開示の追加の特徴および利点は、以下の説明に記載され、部分的には説明から明らかになり、または本開示の実施によって知ることができる。添付の特許請求の範囲で具体的に指摘されている器具および組み合わせを用いて、本開示の特徴および利点を実現および獲得することができる。本開示のこれらおよび他の特徴は、以下の説明および添付の特許請求の範囲から、より完全に明らかになるであろうし、または、以下に記載されるような本開示の実施によって知ることができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本開示のキャップの1つの実施形態を示す透視底面図である。
図2】本開示の1つの実施形態による装置の透視立面図である。
図3】本開示の1つの実施形態によるキャップの側面図である。
図4図1の装置の構成要素の透視側面図である。
図5】本開示のキャップの1つの実施形態の上面図である。
図6】本開示のキャップの1つの実施形態の底面図である。
図7】本開示のキャップの1つの実施形態の透視底面図である。
図8図1のキャップの底面透視図である。
図9図1のキャップの断面図である。
図10図1のキャップの断面側面図である。
図11図1のキャップの断面透視図である。
図12】オス型のニードルレスコネクターと嵌合した例示的なキャップの断面透視図である。
図13】メス型のニードルレスコネクターと嵌合した例示的なキャップの断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示の実施形態は、オス型コネクターおよびメス型コネクターを含む医療用コネクターへの接続および消毒のための、滅菌ユニバーサルキャップに関する。オス型コネクターおよびメス型コネクターは、オス型ルアーコネクターおよびメス型ルアーコネクターであり得る。キャップの実施形態は、キャビティを有するハウジングと、キャビティ内に配置された突出部とを含む。キャビティは、閉止端、開放底部、および内側壁を画定し、閉止端は、外側の頂部壁と内側の遠位壁とを有する。ハウジングの内側壁は、遠位壁から開放底部まで延在し、チャンバーを画定する長さLCを有する。1つまたは複数の実施形態において、開放底部は、端面と、剥離可能シールを固定することができる結合面とを画定する、開放底部から径方向外側に延びる周辺縁すなわちリムを含む。突出部は、内壁面および外壁面を有し、内壁面は、メス型ルアーコネクターとの嵌合に適合した1つまたは複数のネジ山を有し、外壁面は、遠位壁からのテーパーを有し、テーパーは、近位方向に延在し、オス型ニードルレスコネクターの係合部をインターロックするのに十分であるプレス嵌め接続でのオス型ルアーコネクターとの嵌合に適した寸法を有し、同嵌合に適応している。キャップは、チャンバー内に配置された吸収材をさらに含んでもよい。吸収材は、その中に消毒剤または抗菌剤を含んでもよい。キャップは、コネクターのための機械的障壁を提供し、消毒のための抗菌剤を保持する。本開示のキャップは、開業医が消毒プロセスを合理化することを可能にする。
【0024】
本開示で使用されている用語に関して、以下の定義を提供する
【0025】
本明細書で用いられる際に、「a」、「an」、および「the」の使用は、単数および複数を含む。
【0026】
本明細書で用いられる際に、「カテーテル由来血流感染」または「CRBSI」という用語は、カテーテルまたはIVラインの存在に起因するあらゆる感染症を意味する。
【0027】
本明細書で用いられる際に、「ルアーコネクター」とは、注射器、カテーテル、ハブ付き針、点滴チューブなどを相互接続するための標準的な方法である接続用カラーを意味する。ルアーコネクターは、オス型インターロックチューブおよびメス型インターロックチューブで構成されており、単純なプレス嵌め/ねじり嵌めでも保持力が高まるようにわずかにテーパーが付けられている。また、ルアーコネクターは、任意選択的にネジ付きの追加外周リムを設けて、より確実に固定することができる。ルアーコネクターのオス端は、一般的にはフラッシュシリンジと関連し、血管アクセス装置(VAD)にあるメス端とインターロックおよび接続することができる。ルアーコネクターは、遠位端、近位端、不規則形状の外壁、シリンジの筒部のチャンバーからVADのハブへの流体連絡のための、プロファイル付き中央通路から構成される。また、ルアーコネクターは、VADのハブにルアーコネクターを解放可能に取り付ける遠位端チャネルと、シリンジの筒部にルアーコネクターを解放可能に取り付ける近位端チャネルとを有する。
【0028】
関連する技術分野の当業者であれば容易に理解できるように、本明細書全体を通して、「ロック」、「先端」、「ハブ」、「ネジ山」、「スポンジ」、「突起(prong)」、「突出部」、「壁」、「頂」、「側部」、「底部」などの説明的用語を、理解を容易にするために使用している。しかしながら、これらの説明的用語は、本開示の実施形態の種々の態様を実現するために、個別または組み合わせにおいて使用できるあらゆる構成要素を制限することを意図するものではない。
【0029】
本明細書で用いられる際に、「医療装置」という用語は、ネジ式またはインターロック式の接続部を有し、当該接続部は対応する嵌合要素を有する、一般的な医療装置を指示する。限定的ではなく例示的なものであるが、シリンジは、カテーテル、IVラインなどのオス型ルアー接続部のような二次医療装置と解放可能にインターロックするオス型ネジ式接続部を有していてもよい。ネジ式接続部は内腔を含んでもよく、内腔は、二次医療装置に取り付けるためのネジ式手段を有する突出壁に包囲される流体経路を画定する。
【0030】
関連する技術分野の当業者であれば容易に理解できるように、本明細書全体を通して、「ネジ山」、「テーパー」、「タブ」、「スラント」、「壁」、「頂」、「側部」、「底部」などの説明的用語を、理解を容易にするために使用している。しかしながら、これらの説明的用語は、本開示の実施形態の種々の態様を実現するために、個別または組み合わせにおいて使用できるあらゆる構成要素を制限することを意図するものではない。
【0031】
本明細書に例示されている事項は、本開示の例示的な実施形態の包括的な理解を助けるために提供されている。したがって、当業者であれば、本開示の範囲および真意から逸脱することなく、本明細書に記載された実施形態の種々の変更および修正を行うことができることを認識するであろう。また、明確性および簡潔性のために、よく知られている機能および構造の説明を省略している。
【0032】
本開示の例示的な実施形態は、キャップを提供する。1つのキャップまたは装置に、オス型ニードルレスコネクターおよびメス型ニードルレスコネクターの両方に使用できる機能を含めることで、オス型ネジ式流体ルアーコネクターおよびメス型ネジ式流体ルアーコネクターの接続、キャッピング、および/または消毒のために、病院環境で現在必要とされている装置の種類とロジスティクスの数を略半減できる。
【0033】
本開示の1つまたは複数の例示的な実施形態において、キャップ、コネクターキャップ、または消毒キャップは、テーパー面、一体型ネジ山(複数を含む)、およびその他の特徴を任意および全ての組み合わせで含み、オス型ニードルレスコネクターとメス型ニードルレスコネクターの両方と機能的接続することを可能とする。テーパー面は、キャップのテーパー面とオス型ニードルレスコネクターの対応するテーパー面との間のプレス嵌めで、オス型ニードルレスコネクターを固定する。一体型ネジ山は、メス型ニードルレスコネクターの対応するネジ山と嵌合する。
【0034】
本開示の実施形態のさらなる例示的な実装によれば、キャップを構成する構造要素の構成は、キャップの内部キャビティに配置される1つまたは複数の片持ち突起を含み、片持ち突起は、メス型ニードルレスコネクターに接続するための内側ネジ山と、オス型ニードルレスコネクターに接続するための外側テーパー面とを含み、キャップをメス型継手に固定すること、またはキャップをオス型継手に固定することのそれぞれを容易にする。
【0035】
本開示の実施形態のさらなる例示的な実施例によれば、片持ち突起は、突出部の形態であってもよく、突出部が弾性的に変形または屈曲して、継手とのより良い締まり嵌めコンプライアンスを可能にするような、分割型ネジ付きであってもよい。
【0036】
本開示の実施形態のさらに例示的な実施例によれば、メス型ネジは、標準的なISO594-2タイプのオス型継手と嵌合する寸法およびネジパターンを有してもよく、および/または、標準的なISO594-2タイプのメス型継手と嵌合する寸法およびネジパターンを有するオス型ネジと嵌合する寸法およびネジパターンを有してもよい。ISO594-2タイプの継手の例は、Qスタイルの継手である。
【0037】
1つまたは複数の実施形態において、メス型ニードルレスコネクターは、ニードルフリーコネクター、カテーテル用ルアーコネクター、ストップコック、および血液透析用コネクターから本質的になる群から選択されてもよい。1つまたは複数の実施形態において、ニードルレスコネクターは、Q-Syteコネクター、MaxPlus、MaxPlus Clear、MaxZero、UltraSite、CareSite、InVision-Plus、Safeline、OneLink、V-Link、ClearLink、NeutraClear、Clave、MicroClave、MicroClave Clear、Neutron、NanoClave、Kendall、Nexus、InVision、Vadsite、Bionectorなどから選択される。
【0038】
1つまたは複数の実施形態において、オス型コネクターは、静脈内チューブの端部、ストップコックまたはオス型ロックルアーであってもよい。
【0039】
本開示のいくつかの例示的な実施形態を説明する前に、本開示は、以下の説明に記載されている構造またはプロセス工程の詳細に限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態が可能であり、種々の方法で実践または実施することが可能である。
【0040】
今や、いくつかの図を通して類似の参照符号が同一または対応する部分を示す図面を参照して、本開示の実施形態を以下に説明する。
【0041】
本開示の第1の態様は、ハウジング20と、突出部30の形態の突起とを含むキャップ10に関する。図1図2に示すように、ハウジング20は、頂壁22と、外側壁24と、第1キャビティ28を形成する本質的に円筒形の内側壁26と、円筒形側壁26によって形成された開放底部23とを含み、ハウジング20内の第1キャビティ28に対する開放底部23は、メス型ニードルレスコネクターまたはオス型ニードルレスコネクターのハブを受容する。1つまたは複数の実施形態において、開放底部23は、開放底部23から径方向外側に延在する周辺縁またはリム29を含み、周辺縁またはリム29は、端面と、剥離可能シール60を固定してもよい結合面とを画定する。
【0042】
1つの実施形態において、突出部30は、ハウジング20と一体的に形成され、第1キャビティ28内に配置される。突出部30は、遠位壁25から少なくとも部分的に長さLcにわたって延在し、突出部30は、内面31と外面33とを含み、突出部30の内面31は、突出部30内に配置される第2キャビティ40を画定する。
【0043】
1つまたは複数の実施形態において、本開示のキャップ10は、たとえばメス型ルアーコネクターなどのメス型コネクターのねじ込み可能部分に嵌合する寸法およびピッチを有する内側ネジ山36を有する。このようなコネクターは、カテーテルおよび他の流体密閉保護コネクターとして、医療用途において一般的かつ普遍的に使用される。1つまたは複数の実施形態において、キャップ10は、メス型ルアーコネクターのネジ山が嵌合してキャップ10の内側ネジ山36と解放可能な接続を形成した際に、メス型ルアーコネクターの保護カバーを提供する。内側ネジ山36は、突出部30の内面31に含まれることができ、内側ネジ山36は、メス型ニードルレスコネクターの係合部とインターロックするのに十分である。1つまたは複数の実施形態において、突出部30の内面31は、遠位壁25から内面31の一部長さまたは全長にわたる内側ネジ山36を含む。1つまたは複数の実施形態において、ネジパターンは傾斜している。1つまたは複数の実施形態において、ネジパターンは螺旋状である。
【0044】
突出部30の外面33は、オス型ルアーコネクターをオス型ニードルレスコネクターの係合部とインターロックするのに十分であるプレス嵌め接続でのオス型ルアーコネクターとの嵌合のために、テーパー状であり、同嵌合に適した寸法を有し、同嵌合に適応している。1つまたは複数の実施形態において、突出部30は、1つまたは複数のそれぞれのギャップ35によって離間された1つまたは複数の片持ち突起44を含むことができる。1つまたは複数の実施形態において、突起44のうちの少なくとも1つを弾性的に変形または湾曲するように構成して、少なくとも1つの突起44とオス型ニードルレスコネクターまたはメス型ニードルレスコネクターの係合部との間の締まり嵌めを容易にすることができる。
【0045】
1つまたは複数の実施形態において、突出部30は、遠位壁25からハウジング20の開放底部23へと本質的に向かって、近位方向に延びることができる。1つまたは複数の実施形態において、突出部30は、ハウジング20の内側壁26と本質的に平行に延びることができる。
【0046】
図2図5を参照すると、本開示の例示的な実施形態によれば、キャップ10は、ハウジング20を含み、ハウジング20は、頂壁22および外側壁24を含み、外側壁24は、本質的に円筒形である。1つまたは複数の実施形態において、ハウジング20は、開放底部23から径方向外側に延在する周辺縁またはリム29をさらに含み、端面と、剥離可能シール(図示せず)が固定され得る結合面とを画定する。外側壁24の外面は、ハウジング20の回転または取り扱いを補助する複数の把持部材90をさらに含む。キャップ10は、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリラクチド、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン、または医療機器で使用される他の成形可能なプラスチック材料のような、多数の種類のプラスチック材料の任意のものから作製される。1つまたは複数の実施形態において、キャップ10は、ポリプロピレン材料またはポリエチレン材料を含む。
【0047】
図6図8を参照すると、本開示の例示的な実施形態によれば、キャップ10は、ハウジング20を含み、ハウジング20は、内側壁26および遠位壁25を含み、第1キャビティ28、および第1キャビティ28内への開放底部23を画定する。遠位壁25からは、突出部30(本質的に円筒形であって、内側壁26と同軸であってもよい)が延在し、突出部30は、第2キャビティ40を画定する内面31と、第1キャビティ28の外側部分を画定するテーパー状外面33とを有する。突出部30は、メス型コネクターに嵌合するための内面31上の内側ネジ山36と、オス型ルアーコネクターに嵌合するためのテーパー状の外面33とを有し、外面33は、前記オス型ニードルレスコネクターの係合部をインターロックするのに十分であるプレス嵌め接続でのオス型ルアーコネクターとの嵌合に適した寸法を有し、同嵌合に適応している。突出部30は、切り欠きまたはギャップ35によって離隔され、遠位壁25から本質的に近位方向に延びる2つの突起44を含むものとして図示されている。
【0048】
例示的な実施形態において、剥離可能シール60を提供して、たとえば、上述の先願に例示的に記載されているように、ハウジング20の開放底部23のリム29の表面への取り付けによって、キャップ10の使用前に開放底部23を封止することができる。図1を参照すると、1つまたは複数の実施形態において、剥離可能シール60は、ハウジング20の開放底部23の結合面に配置され、消毒剤または抗菌剤が第1キャビティ28および第2キャビティ40から脱出するのを防止する。図9に示すように、剥離可能シール60は、潜在的な微粒子状危険要素の進入を最小限にし、また、キャップ10に実質的に不浸透性の外囲を提供し、漏れ防止および保護の外囲を提供し、第1キャビティ28および第2キャビティ40内に収容された内容物を保護し、および/または、密封かつ滅菌された環境を維持する。剥離可能シール60は、広範囲の温度、圧力、および湿度レベルで十分なシールを提供する。
【0049】
1つまたは複数の実施形態において、剥離可能シール60は、アルミニウムまたは多層ポリマーフィルムのピールバック蓋を含む。具体的な実施形態において、剥離可能シール60は、キャップの開放底部23にヒートシールまたは誘導シールされる。1つまたは複数の実施形態において、剥離可能シール60は、水分障壁を構成する。
【0050】
図8図11を参照すると、1つまたは複数の実施形態において、第1キャビティ28および第2キャビティ40によって画定されるチャンバー内に吸収材50が配置され、吸収材は、第1キャビティ28および第2キャビティ40内に吸収材50を保持するための、突出部30の内面31に設けられた内側ネジ山36による径方向の圧縮を受ける。図9に示すように、吸収材50は、突出部30の突起44が通過するスリットを有する、一体の円筒形であってもよい。図10に示すように、1つまたは複数の実施形態において、吸収材50は、内側円筒材51と外側円筒材52を含む。内側円筒材51は第2キャビティ40内に配置され、外側円筒材52は第1キャビティ28内に配置され、外側円筒材52は、開口部と突出部30の直径に本質的に等しい開口部直径とを有する環であり、外側円筒材52は、第1キャビティ28内にのみ配置され、ハウジング20の内側壁26と突出部30の外面33とに接触する。第1キャビティ28または第2キャビティ40内に配置される際に、吸収材50、内側円筒材51および外側円筒材52は、遠位壁25に接している。
【0051】
1つまたは複数の実施形態において、吸収材50は、不織布材料、発泡体、またはスポンジである。具体的な実施形態において、発泡体は、ポリウレタンフォームである。具体的な実施形態において、吸収材50は、発泡体プラグの形態である。1つまたは複数の実施形態において、吸収材50は、1つまたは複数のスリットを含む。吸収材50が第1キャビティ28および第2キャビティ40に適切に挿入された状態で、剥離可能シール60を、ハウジング20の開放底部23の結合面に固定してもよい。
【0052】
さらに別の例示的な実施態様では、IPAのしみ込んだスポンジおよび/またはスポンジの形態の吸収材50のような、1つまたは複数の消毒材を使用することができる。1つまたは複数の実施態様では、吸収材50は、単一の清掃部材として一緒に形成することもでき、あるいは別個の清掃部材を第1キャビティ28内に設けることもできる。
【0053】
キャップ10は、吸収材50、内側円筒材51および/または外側円筒材52に消毒剤または抗菌剤を組み込むことで、ルアーコネクターに使用する際の消毒を実現することができる。消毒剤または抗菌剤は、第1キャビティ28または第2キャビティ40に直接含ませることができる。あるいは、キャップ10のチャンバーを充填するスポンジまたは発泡材料に、殺菌剤または抗菌剤を吸収させることができる。キャップ10は、種々の消毒剤との相互作用に適合するように設計されている。1つまたは複数の実施形態において、消毒剤または抗菌剤は、アルコールまたはクロルヘキシジンの変異体を含んでもよい。1つまたは複数の実施形態において、消毒剤または抗菌剤は、イソプロピルアルコール、エタノール、2-プロパノール、ブタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、没食子酸プロピル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン、t-ブチルヒドロキノン、クロロキシレノール、クロルヘキシジン、クロルヘキシジン酢酸塩、クロルヘキシジングルコン酸塩、ポビドンヨード、アルコール、ジクロロベンジルアルコール、デヒドロ酢酸、ヘキセチジン、トリクロサン、過酸化水素、コロイド状銀、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、オクテニジン、抗生物質、およびそれらの混合物から本質的になる群から選択される。特定の実施形態において、消毒剤または抗菌剤は、クロルヘキシジングルコン酸塩およびクロルヘキシジン酢酸塩の少なくとも1つを含む。1つまたは複数の実施形態において、消毒剤または抗菌剤は、流体またはゲルである。
【0054】
メス型ルアーコネクターまたはオス型ルアーコネクターへの接続時に、吸収材50、内側円筒材51および/または外側円筒材52をハウジング20の遠位壁25に向けて圧縮することにより、コネクターを消毒剤または抗菌剤に接触させて、メス型ルアーコネクターまたはオス型ルアーコネクターを消毒することができる。このように、吸収材の圧縮により、メス型ルアーコネクターが消毒される。吸収材50、内側円筒材51および/または外側円筒材52、ならびに、殺菌剤または抗菌剤は、メス型ルアーコネクターまたはオス型ルアーコネクターがキャップのチャンバーに挿入された後に、メス型ルアーコネクターまたはオス型ルアーコネクターに接触する。
【0055】
本開示の実施形態の例示的な実施態様においては、突出部30は、たとえば、1つまたは複数の切り欠きまたはギャップ35を有することによって、片持ち式にすることができる。例示的な実施態様においては、片持ち式の突出部30の少なくとも一部を屈曲させて、オス型コネクターまたはメス型コネクターの少なくとも一方のような継手とのより良好な締まり嵌めコンプライアンスを可能にしてもよい。
【0056】
さらに別の例示的な実施態様においては、突出部30は、本質的に遠位壁25からハウジング20の開放底部23に向かって、延在することができる。
【0057】
さらに例示的な実施態様においては、突出部30は、内側壁26に実質的に平行に延在することができる。
【0058】
図12を参照すると、本開示の例示的な実施形態によれば、キャップ10は、たとえば、第1キャビティ28および第2キャビティ40を密封する剥離可能シール(不図示)が除去された後に、あるいは、剥離可能シール(不図示)が穿孔された際に、オス型ニードルレスコネクター70の先端またはハブ72を受容することができる。ハブ72は、第2キャビティ40内に受容され、一方、オス型ニードルレスコネクター70のカラー76は、第1キャビティ28内に受容され、第1キャビティ28の外面33とオス型コネクターの対応するテーパー付きカラーとのプレス嵌め接続によって固定される。オス型ニードルレスコネクター70が第1キャビティ28および第2キャビティ40内をさらに前進するに連れて、カラー76は、突出部30を内方に向かって弾性変形または撓屈させる。
【0059】
さらに図13を参照すると、本開示の例示的な実施形態によれば、キャップ10は、たとえば、第1キャビティ28および第2キャビティ40を封止する剥離可能シール(図示せず)が除去された後、または剥離可能シール(図示せず)が穿孔されたときに、メス型ニードルレスコネクター80の先端部82を受容することができる。先端部82は、突出部30の内側ネジ山36にねじ込み固定されている。1つまたは複数のネジ山36は、ニードルレスコネクターの係合部をインターロックするのに十分であることができる。
【0060】
図1および図7図11の例示的な実施態様では、突出部30は、切り欠きまたはギャップ35によって離隔され、本質的に遠位壁25から延在する2つの突起44を含むものとして図示されている。しかしながら、突出部30の内面のネジ山36に対してメス型コネクターと嵌合し、突出部30のテーパー状の外面に対してオス型コネクターと嵌合するように構成されている限り、切り欠きまたはギャップ35のない一体型の突出部30からなるキャップ、ならびに任意の数の(長さ、幅、厚さまたは形状などの任意の寸法特性に関して)同一および/または相違する突起からなる突出部30を有するキャップも、本開示の範囲内に含まれる。
【0061】
現在市販されている消毒キャップは、3種類のルアー継手、すなわち無針コネクターのメス型ルアー、ストップコックのメス型ルアー、静脈注射部位のオス型ルアーコネクターのうち1種類しか消毒できない。上述のように、複数の異種のコネクターを洗浄するために複数の異種の消毒キャップを用いる必要性を排除するため、図12および図13に示すように、キャップ10は、オス型ルアーコネクターおよびメス型ルアーコネクターの両方に嵌合し、複数の異種のコネクターを1つの機器で洗浄することを可能にする。図13に示すように、メス型ルアーコネクターにキャップ10を装着する際には、メス型ルアーコネクターを第2キャビティ40に挿入し、キャップのネジ山36にねじ込む。また、図12に示すように、オス型ルアーコネクターにキャップを装着する際には、第1キャビティ28に挿入された際に、オス型ルアーコネクターは突起の外面に摩擦嵌合される。したがって、本開示のキャップは、オス型ルアーコネクターおよびメス型ルアーコネクターの両方に取り付けることができ、これにより、当該技術分野における現在のニーズを満たすことができる。
【0062】
本開示の他の態様は、医療用コネクターおよびアセンブリを消毒する方法を指向する。1つまたは複数の実施形態において、医療用コネクターを消毒する方法は、1つまたは複数の実施形態のキャップを医療用コネクターに接続する工程を含み、接続工程は、オス型医療用コネクターを突出部の内壁面に摩擦嵌合させて、吸収材50および消毒剤または抗菌剤に接触させること、あるいは、メス型医療用コネクターをチャンバーに挿入する際に、メス型医療用コネクターをネジ山36に嵌合させて、吸収材50および消毒剤または抗菌剤に接触させることを含む。
【0063】
1つまたは複数の実施形態において、アセンブリは、医療用コネクターに接続される1つまたは複数の実施形態のキャップ10を含む。1つまたは複数の実施形態において、医療用コネクターは、オス型ルアーコネクター、メス型ルアーコネクター、およびニードルレスコネクターから選択される。
【0064】
本明細書を通じて「1つの実施形態」、「特定の実施形態」、「1つまたは複数の実施形態」または「実施形態」との言及は、実施形態に関連して記載された具体的な特徴、構造、材料、または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の種々の場所における「1つまたは複数の実施形態において」、「特定の実施形態において」、「1つの実施形態において」、または「実施形態において」のような語句の出現は、必ずしも本開示の同じ実施形態を指示するものではない。さらに、具体的な特徴、構造、材料、または特性は、1つまたは複数の実施形態において、任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0065】
本明細書の開示は、特定の実施形態を参照した説明を提供したが、これらの実施形態は、本開示の原理および応用の例示に過ぎないことを理解されたい。本開示の真意および範囲から逸脱することなく、本開示の方法および装置に種々の修正および変形を加えることができることは、当業者には明らかであろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲およびその等価物の範囲内にある修正および変形を含むことが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13