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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】バッテリ冷却用熱交換ユニット
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6568 20140101AFI20240806BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240806BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20240806BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240806BHJP
   H01M 10/651 20140101ALI20240806BHJP
   F28F 1/02 20060101ALI20240806BHJP
   F28D 15/02 20060101ALI20240806BHJP
   F28F 9/013 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
H01M10/6568
H01M10/613
H01M10/6556
H01M10/625
H01M10/651
F28F1/02 B
F28D15/02 K
F28F9/013 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021558388
(86)(22)【出願日】2020-11-17
(86)【国際出願番号】 JP2020042752
(87)【国際公開番号】W WO2021100690
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2023-04-19
(31)【優先権主張番号】P 2019210955
(32)【優先日】2019-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】500309126
【氏名又は名称】株式会社ヴァレオジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】倉橋 和也
(72)【発明者】
【氏名】王 鳴笛
【審査官】新田 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-072084(JP,A)
【文献】特開平05-001865(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/6568
H01M 10/613
H01M 10/6556
H01M 10/625
H01M 10/651
F28F 1/02
F28D 15/02
F28F 9/013
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリ(11,12)の被冷却面(11a,12a)に沿うように形成されて、前記複数のバッテリ(11,12)と熱交換を行うことが可能な熱交換器(30;130)と、前記熱交換器(30;130)を補強する補強部材(50)と、を有している、バッテリ冷却用熱交換ユニット(20;120)であって、
前記熱交換器(30;130)は、
間隔(C1,C2)をあけて並列に配置されているパイプ状の複数のヘッダ(31A,31B,31C;31D)と、
前記複数のヘッダ(31A,31B,31C;31D)同士の間の、複数のチューブ配列区間(32A,32B;32C)にそれぞれ配置されるとともに、互いに隣り合う前記ヘッダ(31A,31B,31C;31D)に両端を接続された断面が扁平な複数の熱交換チューブ(35A,35B)と、を含み、
前記複数のチューブ配列区間(32A,32B;32C)は、予め設定されている特定の区間(32B)を含み、
前記補強部材(50)は、前記特定の区間(32B)に位置している前記熱交換チューブ(35B)の両端が接続されている前記ヘッダ(31B,31C)同士を固定する、
ことを特徴とするバッテリ冷却用熱交換ユニット。
【請求項2】
前記特定の区間(32B)に位置している前記熱交換チューブ(35B)の幅(W2)は、前記複数のチューブ配列区間(32A,32B;32C)のなかの、他の区間(32A;32C)に位置している前記熱交換チューブ(35A)の幅(W1)よりも狭い、
ことを特徴とする請求項1に記載のバッテリ冷却用熱交換ユニット。
【請求項3】
前記特定の区間(32B)の前記間隔(C2)は、前記複数のチューブ配列区間(32A,32B;32C)のなかの、他の区間(32A;32C)の前記間隔(C1)よりも広い、ことを特徴とする請求項1に記載のバッテリ冷却用熱交換ユニット。
【請求項4】
前記特定の区間(32B)に位置している前記熱交換チューブ(35B)のチューブ肉厚(T2)は、前記複数のチューブ配列区間(32A,32B;32C)のなかの、他の区間(32A;32C)に位置している前記熱交換チューブ(35A)のチューブ肉厚(T1)よりも薄い、
ことを特徴とする請求項1に記載のバッテリ冷却用熱交換ユニット。
【請求項5】
前記特定の区間(32B)は、前記複数のチューブ配列区間(32A,32B,32C)が3区間以上の区間数であるとき、前記複数のチューブ配列区間のうちの中央の区間である
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のバッテリ冷却用熱交換ユニット。
【請求項6】
前記特定の区間(32B)に位置している前記熱交換チューブ(35B)は、前記複数のヘッダ(31A,31B,31C;31D)の長手方向に沿った扁平面(36B,37B)を有しており、
前記補強部材(50)は、少なくとも一部が、前記扁平面(36B,37B)に対して交差するように屈曲した屈曲部(52,53)を有する板材によって構成されている、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のバッテリ冷却用熱交換ユニット。
【請求項7】
前記特定の区間(32B)に位置している前記熱交換チューブ(35B)は、向かい合う前記バッテリ(12)の前記被冷却面(12a)に沿う内側の面(36B)と、前記内側の面(36B)とは反対側を向いている外側の面(37B)とを有し、
前記補強部材(50)は、前記外側の面(37B)を覆っており、
前記外側の面(37B)と前記補強部材(50)との間には、付勢部材(72)が介在しており、
前記付勢部材(72)は、前記特定の区間(32B)に位置している前記熱交換チューブ(35B)の前記内側の面(36B)を、向かい合う前記バッテリ(12)の前記被冷却面(12a)に押し付ける方向に付勢している、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のバッテリ冷却用熱交換ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリを冷却するためのバッテリ冷却用熱交換ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの車両には、駆動源の一部または全部としてモータが用いられる。モータは、車体に搭載されたバッテリから通電されて作動する。バッテリは、モータの作動中において高温となるので、冷却する必要がある。ここで、各バッテリの大きさは、全て同一高さであるとは限らない。各バッテリの高さが異なる従来技術として、例えば特許文献1によって知られている。
【0003】
そして、高さが異なる各バッテリを効率よく冷却するには、個々のバッテリの高さに合わせて、熱交換器の高さを変える必要があるとともに、冷媒の流れの連続性を確保する必要がある。異なる高さの熱交換器を流れる冷媒を円滑に流すには、熱交換器の高さが異なる部位にヘッダを設けて、区分けすることが考えられる。バッテリを冷却する熱交換器の両端にヘッダを設けるバッテリ冷却用熱交換ユニットは、例えば特許文献2によって知られている。
【0004】
特許文献2で知られているバッテリ冷却用熱交換ユニットは、上下方向へ延びた一対のヘッダ間に、水平方向へ延びた複数の熱交換チューブを配置し、これらの熱交換チューブの両端をヘッダに接続した、というものである。各熱交換チューブは、ヘッダの長手方向に沿った幅に対して厚さが小さい、扁平状断面のフラットチューブによって構成されている。
【0005】
この特許文献2で知られているヘッダの技術を、高さが異なる各バッテリを冷却するのに、採用することが考えられる。例えば、3つ以上のヘッダを並列に配置し、このなかの第1のヘッダ間には、ヘッダ長手方向の寸法が大きい幅広の熱交換チューブを設け、第2のヘッダ間(特定の区間という)には狭幅の熱交換チューブを設けることが考えられる。そして、バッテリ冷却用熱交換ユニットの冷却効果を高める上で、バッテリの被冷却面に対する、熱交換チューブの密着性を確保することが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-72819号公報
【文献】特開2016-35378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般には、幅狭の熱交換チューブは、幅広の熱交換チューブに比べて低剛性にならざるを得ない。第2のヘッダ間(特定の区間)に設けられている熱交換チューブは、第1のヘッダ間に設けられている熱交換チューブに比べて、低剛性である。このため、バッテリ冷却用熱交換ユニットをバッテリに組み付けるまで、低剛性である熱交換チューブに曲げや撓みが発生しないように、その部分だけでも、何らかの補強をすることが好ましい。例えば、熱交換チューブの扁平面の平坦度が低下したり、熱交換チューブに曲がりが発生した場合には、バッテリの被冷却面に対する、バッテリ冷却用熱交換ユニットの組み付け性を高める上で、不利である。また、バッテリ冷却用熱交換ユニットの冷却効果を高める上でも、こうした曲げや撓みは好ましくない。
【0008】
本発明は、バッテリに対するバッテリ冷却用熱交換ユニットの組み付け性を高めるとともに、バッテリの被冷却面に対する熱交換チューブの密着性を確保して、冷却効果を高める技術を提供することを、課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下の説明では、本発明の理解を容易にするために添付図面中の参照符号を括弧書きで付記するが、それによって本発明は図示の形態に限定されるものではない。
【0010】
本発明によれば、複数のバッテリ(11,12)の、それぞれ被冷却面(11a,12a)に沿うことによって、前記複数のバッテリ(11,12)と熱交換を行うことが可能な熱交換器(30;130)と、前記熱交換器(30;130)を補強する補強部材(50)と、を有している、バッテリ冷却用熱交換ユニット(20;120)であって、
前記熱交換器(30;130)は、
間隔(C1,C2)をあけて並列に配置されているパイプ状の複数のヘッダ(31A,31B,31C;31D)と、
前記複数のヘッダ(31A,31B,31C;31D)同士の間の、複数のチューブ配列区間(32A,32B;32C)にそれぞれ配置されるとともに、互いに隣り合う前記ヘッダ(31A,31B,31C;31D)に両端を接続された断面が扁平な複数の熱交換チューブ(35A,35B)と、を含み、
前記複数のチューブ配列区間(32A,32B;32C)は、予め設定されている特定の区間(32B)を含み、
前記補強部材(50)は、前記特定の区間(32B)に位置している前記熱交換チューブ(35B)の両端が接続されている前記ヘッダ(31B,31C)同士を固定する、
ことを特徴とするバッテリ冷却用熱交換ユニットが提供される。
【0011】
これによれば、バッテリ冷却用熱交換ユニットの特定の区間は、低剛性である熱交換チューブが位置するように、予め設定することができる。補強部材は、特定の区間の両側に位置しているヘッダ同士(特定のヘッダ同士)を固定している。この結果、それぞれの特定のヘッダと補強部材とは、一体化される。特定のヘッダ同士の相対的な変形や変位は、補強部材によって規制される。補強部材によって互いに一体化されている、それぞれの特定のヘッダには、特定の区間に位置した熱交換チューブ(特定の熱交換チューブ)の両端が、接続され且つ一体化されている。このため、低剛性である特定の熱交換チューブの、曲げや撓みの発生を防止することができる。バッテリ冷却用熱交換ユニットを、生産時からバッテリへの組み付け時までの間(保管中や搬送中を含む)に、特定の熱交換チューブの曲げや撓みの発生を防止することができる。従って、バッテリに対する、バッテリ冷却用熱交換ユニットの組み付け性を高めることができる。しかも、バッテリの被冷却面に対する各々の熱交換チューブの密着性を確保して、冷却効果を高めることができる。
【0012】
好ましくは、前記特定の区間(32B)に位置している前記熱交換チューブ(35B)の幅(W2)は、前記複数のチューブ配列区間(32A,32B;32C)のなかの、他の区間(32A;32C)に位置している前記熱交換チューブ(35A)の幅(W1)よりも狭い。
【0013】
好ましくは、前記特定の区間(32B)の前記間隔(C2)は、前記複数のチューブ配列区間(32A,32B;32C)のなかの、他の区間(32A;32C)の前記間隔(C1)よりも広い。
【0014】
好ましくは、前記特定の区間(32B)に位置している前記熱交換チューブ(35B)のチューブ肉厚(T2)は、前記複数のチューブ配列区間(32A,32B;32C)のなかの、他の区間(32A;32C)に位置している前記熱交換チューブ(35A)のチューブ肉厚(T1)よりも薄い。
【0015】
好ましくは、前記特定の区間(32B)は、前記複数のチューブ配列区間(32A,32B,32C)が3区間以上の区間数であるとき、全ての配列の組み合わせのなかの、中央の区間(32B)に配列されている。
【0016】
好ましくは、前記特定の区間(32B)に位置している前記熱交換チューブ(35B)は、前記複数のヘッダ(31A,31B,31C;31D)の長手方向に沿った扁平面(36B,37B)を有しており、
前記補強部材(50)は、少なくとも一部が、前記扁平面(36B,37B)に対して交差するように屈曲した屈曲部(52,53)を有する板材によって構成されている、
【0017】
好ましくは、前記特定の区間(32B)に位置している前記熱交換チューブ(35B)は、向かい合う前記バッテリ(12)の前記被冷却面(12a)に沿う内側の面(36B)と、前記内側の面(36B)とは反対側を向いている外側の面(37B)とを有し、
前記補強部材(50)は、前記外側の面(37B)を覆っており、
前記外側の面(37B)と前記補強部材(50)との間には、付勢部材(72)が介在しており、
前記付勢部材(72)は、前記特定の区間(32B)に位置している前記熱交換チューブ(35B)の前記内側の面(36B)を、向かい合う前記バッテリ(12)の前記被冷却面(12a)に押し付ける方向に付勢している。
【発明の効果】
【0018】
バッテリに対するバッテリ冷却用熱交換ユニットの組み付け性を高めるとともに、バッテリの被冷却面に対する熱交換チューブの密着性を確保して、冷却効果を高める技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施例1によるバッテリ冷却用熱交換ユニットとバッテリユニットの斜視図である。
図2図1に示されるバッテリ冷却用熱交換ユニットとバッテリユニットの分解した斜視図である。
図3図1の3-3線に沿った断面図である。
図4図1の4-4線に沿った断面図である。
図5】実施例2によるバッテリ冷却用熱交換ユニットとバッテリユニットの分解した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、添付図に示した形態は本発明の一例であり、本発明は当該形態に限定されない。図中、Upは上、Dnは下、Leは左、Riは右を示している。
<実施例1>
【0021】
図1図4を参照しつつ、実施例1のバッテリ冷却用熱交換ユニット20を説明する。図1に示されるように、バッテリ冷却用熱交換ユニット20は、バッテリユニット10の複数のバッテリ11,12を冷却するものである。
【0022】
図1に示されるように、バッテリユニット10は、複数のバッテリ11,12と、この複数のバッテリ11,12を内包するバッテリパック13とを有している。これらのバッテリ11,12は、バッテリパック13の底板14に固定されている。
【0023】
複数のバッテリ11,12は、例えば、電力によって走行用モータを駆動して走行する電気自動車や、動力源が内燃機関とモータとからなるハイブリッド車両に搭載されており、走行用モータに電力を供給するために用いられる。
【0024】
実施例1では、2つのバッテリ11,12を例示して説明する。各バッテリ11,12は、互いに高さが異なっている。以下、高いバッテリ11のことを「第1バッテリ11」といい、低いバッテリ12のことを「第2バッテリ12」という。第1バッテリ11の高さBh1は、第2バッテリ12の高さBh2よりも高い。
【0025】
複数のバッテリ11,12の、それぞれ被冷却面11a,12aは、同一面上に位置している。ここで、複数のバッテリ11,12の4つの側面のうち、互いに向かい合う側面11b,12bのことを第1側面11b,12bといい、互いに反対側の側面11c,12cのことを第2側面11c,12cという。各第1側面11b,12b間には所定の間隙15を有している。さらに、複数のバッテリ11,12を被冷却面11a,12a側から見たときに、第1バッテリ11の幅Bw1は、第2バッテリ12の幅Bw2よりも小さい(狭い)。
【0026】
バッテリ冷却用熱交換ユニット20(以下、単に「熱交換ユニット20」と略称する)は、図示しない冷凍サイクルに接続されて、内部を気液混合状態の冷媒が通流する。冷媒は複数のバッテリ11,12と熱交換を行い、バッテリ11,12を冷却する。また、熱交換ユニット20は、高さが異なる各バッテリ11,12を効率よく冷却することを特徴とする。この熱交換ユニット20は、熱交換器30と補強部材50とを有している。
【0027】
図2に示されるように、熱交換器30は、複数のバッテリ11,12の、それぞれ被冷却面11a,12aに沿うことによって、各バッテリ11,12と熱交換を行うことが可能である。この熱交換器30は、複数のヘッダ31A,31B,31Cと複数の熱交換チューブ35A,35Bと、を含む。熱交換器30は、アルミニウム合金などにより構成されて、ろう付けプロセスにより気密性を有するように接合される。
【0028】
複数のヘッダ31A~31Cは、複数の熱交換チューブ35A,35Bに冷媒を分配、または複数の熱交換チューブ35A,35Bからの冷媒を集約するものである。この複数のヘッダ31A~31Cは、各バッテリ11,12の高さ方向(上下方向)へ延びている密閉されたパイプ状の部材によって構成されており、互いに異なる高さの各バッテリ11,12間に配置することが可能である。つまり、複数のヘッダ31A,31B,31Cは、水平方向に互いに間隔C1,C2をあけて、この順に並列に配置されている。
【0029】
より具体的に説明すると、実施例1では、2つのバッテリ11,12に対して、3つのヘッダ31A,31B,31Cが配列される。以下、この3つのヘッダ31A,31B,31Cを、適宜「第1ヘッダ31A、第2ヘッダ31B、第3ヘッダ31C」と区別して説明する。
【0030】
第1ヘッダ31Aは、第1バッテリ11の第2側面11cの近傍に位置する。第2ヘッダ31Bは、各バッテリ11,12の第1側面11b,12b間が形成する間隙15の近傍に位置する。第3ヘッダ31Cは、第2バッテリ12の第2側面12cの近傍に位置する。このように、各バッテリ11,12の高さが異なる部位(間隙15)に第2ヘッダ31Bを設けることによって、第1ヘッダ31Aと第3ヘッダ31Cとの間を、区分けしている。
【0031】
各ヘッダ31A,31B,31C同士の間のことを、それぞれチューブ配列区間32A,32Bという。実施例1では、ヘッダ31A,31B,31Cが3つなので、チューブ配列区間32A,32Bの区間数は2である。第1ヘッダ31Aと第2ヘッダ31Bとの間の、チューブ配列区間32Aのことを、「第1区間32A」という。この第1区間32Aは、第1バッテリ11の被冷却面11aに位置する。第2ヘッダ31Bと第3ヘッダ31Cとの間の、チューブ配列区間32Bのことを、「第2区間32B」という。
【0032】
この第2区間32Bは、第2バッテリ12の被冷却面12aに位置するように、予め設定されているので、適宜「特定の区間32B」と言い換えることにする。この特定の区間32Bは、後述する低剛性の熱交換チューブ35Bが位置するように、予め設定される。一方、第1区間32Aは、複数のチューブ配列区間32A,32Bのなかの、特定の区間32Bを除く他の区間なので、適宜「他の区間32A」と言い換えることにする。つまり、複数のチューブ配列区間32A,32Bは、予め設定されている特定の区間32Bと、それ以外の他の区間32Aと、を含む。
【0033】
第2バッテリ12の幅Bw2が、第1バッテリ11の幅Bw1よりも大きい(広い)ので、特定の区間32B(第2区間32B)の間隔C2は、複数のチューブ配列区間32A,32Bのなかの、他の区間32A(第1区間32A)の間隔C1よりも大きい(広い)。
【0034】
複数の熱交換チューブ35A,35Bは、複数のヘッダ31A~31C同士の間の、複数のチューブ配列区間32A,32Bにそれぞれ配置されるとともに、互いに隣り合うヘッダ31A~31Cに両端を接続されている。これらの熱交換チューブ35A,35Bは、アルミニウム合金や銅合金などの熱伝導性が優れた材料によって構成されている。
【0035】
第1区間32Aに位置している熱交換チューブ35Aのことを、「第1熱交換チューブ35A」という。第2区間32Bに位置している熱交換チューブ35Bのことを、「第2熱交換チューブ35B」という。第1熱交換チューブ35Aと第2熱交換チューブ35Bは、それぞれ各ヘッダ31の長手方向に複数(複数段)並んでいる。
【0036】
上述のように、第2区間32Bの間隔C2が、第1区間32Aの間隔C1よりも大きい(広い)ので、第2熱交換チューブ35Bの長さL2は、第1熱交換チューブ35Aの長さL1よりも長い。
【0037】
図3及び図4に示されるように、複数の熱交換チューブ35A,35Bは、断面が扁平な部材である。つまり、各熱交換チューブ35A,35Bは、各ヘッダ31A~31Cの長手方向に沿った幅W1,W2(チューブ幅W1,W2)に対してチューブ厚さTcが小さい(薄い)、扁平状断面のフラットチューブによって構成されている。
【0038】
より具体的に述べると、図3に示されるように、第1熱交換チューブ35Aは、第1バッテリ11の被冷却面11aに沿う(密接する)ことが可能な平らな内側の面36Aと、この内側の面36Aとは反対側を向いている平らな外側の面37Aと、を有する。つまり、複数の第1熱交換チューブ35A,35Aは、それぞれ、複数のヘッダ31の長手方向に沿った扁平面36A,37Aを有している。
【0039】
図4に示されるように、第2熱交換チューブ35Bは、第2バッテリ12の被冷却面12aに沿う(密接する)ことが可能な平らな内側の面36Bと、この内側の面36Bとは反対側を向いている平らな外側の面37Bと、を有する。つまり、複数の第2熱交換チューブ35B,35Bは、それぞれ、複数のヘッダ31A~31Cの長手方向に沿った扁平面36B,37Bを有している。
【0040】
図2に示されるように、第1ヘッダ31Aは冷媒入口41を有し、第3ヘッダ31Cは冷媒出口42を有している。冷媒入口41から第1ヘッダ31Aへ供給された冷媒は、第1ヘッダ31Aから各第1熱交換チューブ35A,35Aへ分配される。各第1熱交換チューブ35A,35A内を流れた冷媒は、第1バッテリ11を冷却する。各第1熱交換チューブ35A,35Aを通過した冷媒は、第2ヘッダ31Bに集まり、更に第2ヘッダ31Bから各第2熱交換チューブ35B,35Bへ分配される。各第2熱交換チューブ35B,35B内を流れた冷媒は、第2バッテリ12を冷却する。各第2熱交換チューブ35B,35Bを通過した冷媒は、第3ヘッダ31Cに集まり、冷媒出口42から排出される。
【0041】
上述のように、第2バッテリ12の高さBh2は、第1バッテリ11の高さBh1よりも低い。これに合わせて、最上段の第2熱交換チューブ35Bの高さは、最上段の第1熱交換チューブ35Aの高さよりも、高さ差Hiだけ低く設定してある。同様に、各第2熱交換チューブ35Bの幅W2(チューブ幅W2)は、各第1熱交換チューブ35Aの幅W1(チューブ幅W1)よりも小さく設定してある。このように、互いに高さが相違している、第1熱交換チューブ35Aと第2熱交換チューブ35Bとに、冷媒を円滑に流すために、高さが異なる部位に第2ヘッダ31Bを設けることによって、区分けしている。
【0042】
第2熱交換チューブ35Bのチューブ肉厚T2(図4参照)は、第1熱交換チューブ35Aのチューブ肉厚T1(図3参照)よりも小さい。
【0043】
以上の説明から明らかなように、第2熱交換チューブ35Bは第1熱交換チューブ35Aに比べて低剛性であり、特にチューブ厚さTc方向の剛性が小さい。このため、低剛性である第2熱交換チューブ35Bに曲げや撓みが発生しないように、その部分だけでも、何らかの補強をすることが好ましい。
【0044】
これに対し、図1及び図2に示されるように、熱交換器30を補強部材50によって補強している。この補強部材50は、特定の区間32Bに位置している第2熱交換チューブ35B,35Bの両端が接続されている第2ヘッダ31Bと第3ヘッダ31Cとを固定している。
【0045】
図2に示されるように、補強部材50は、第2ヘッダ31Bの近傍から第3ヘッダ31Cの近傍まで延びた長尺材である。この補強部材50の長さLnは、特定の区間32B(第2区間32B)の間隔C2よりも短い。この補強部材50は、特定の区間32Bに位置している第2熱交換チューブ35Bの両端が接続されている特定のヘッダ31B,31C同士、つまり第2ヘッダ31Bと第3ヘッダ31Cとを固定している。この結果、図1に示されるように、それぞれの特定のヘッダ31B,31Cと補強部材50とは、一体化される。
【0046】
図2及び図4に示されるように、補強部材50は、少なくとも一部が、第2熱交換チューブ35B,35Bの扁平面37B,37Bに対して、交差するように屈曲した屈曲部52,53を有する、鋼板やステンレス鋼板等の金属製の板材によって構成されている。
【0047】
より詳しく説明すると、図2及び図4に示されるように、この補強部材50は、本体部51と上側の屈曲部52と下側の屈曲部53とからなる、断面略U字状に構成された、一体品である。本体部51は、各第2熱交換チューブ35B,35Bの外側の面37B,37Bを覆う平板状の部分である。上側の屈曲部52と下側の屈曲部53とは、本体部51の上端と下端から各第2熱交換チューブ35B,35B全体を包み込むように、つまり、扁平面37B,37Bに対して交差するように屈曲した部分である。この結果、補強部材50は、各第2熱交換チューブ35B,35Bの扁平面37B,37B(外側の面37B,37B)を覆っている。なお、上側の屈曲部52と下側の屈曲部53とは、いずれか一方のみを有してもよい。例えば、補強部材50は、上側の屈曲部52のみを有するものとし、後述する複数の係止爪61は、本体部51の平面に沿って当該本体部51から延長した形状としてもよい。
【0048】
図2に示されるように、本体部51の長手方向両端には、それぞれ取付脚部54,54が一体に設けられている。各取付脚部54,54は、第2ヘッダ31B及び第3ヘッダ31Cに設けられている各取付座55,55に、クリップやボルト等の締結部材56,56によって取り外し可能に取り付けられている。この結果、特定のヘッダ31B,31Cと補強部材50とが一体化される。締結部材56,56は、クリップによって構成することが好ましい。クリップであれば、スナップフィットによって、各ヘッダ31B,31Cに対する補強部材50の締結作業を、容易に且つ迅速に行うことができる。
【0049】
このように、補強部材50は、少なくとも一部が、特定の区間32Bに位置している熱交換チューブ35B,35Bの扁平面37B,37Bに対して交差するように屈曲した屈曲部52,53を有して構成されているので、剛性が高い。特定の区間32Bの両側に位置している特定のヘッダ31B,31C同士を、高剛性の補強部材50によって十分に一体化することができる。
【0050】
さらに補強部材50は、バッテリユニット10に熱交換ユニット20を取り付けるための、複数の係止爪61と複数の取付部62とを有している。複数の係止爪61は、本体部51の下端または下側の屈曲部53から下方へ延びており、バッテリパック13の底板14に有している複数の係止孔63に対して、係止することが可能である。複数の取付部62は、本体部51の上端または上側の屈曲部52から第2バッテリ12側へ延びており、第2バッテリ12に有している複数のバッテリ側取付部64に対して、ボルト等の締結部材65によって取り付けることが可能である。
【0051】
図4に示されるように、バッテリパック13の係止孔63に係止爪61を挿入して係止するとともに、第2バッテリ12のバッテリ側取付部64に取付部62を締結することにより、バッテリユニット10に対して熱交換ユニット20を取り付けることができる。
【0052】
図1図2及び図4に示されるように、熱交換ユニット20は、複数の付勢ユニット70を有している。複数の付勢ユニット70は、複数の第2熱交換チューブ35B,35Bに対して個別に設けられており、各第2熱交換チューブ35B,35Bと補強部材50との間に介在している。各付勢ユニット70は、それぞれ支持部材71と付勢部材72とからなる。
【0053】
支持部材71は、付勢部材72を第2熱交換チューブ35Bに支持させるための部材であって、第2熱交換チューブ35Bに沿って延びた長尺材である。この支持部材71は、第2熱交換チューブ35Bの長手方向から見て、略C字状断面を呈しており、弾性を有した素材によって構成されている、例えば樹脂成形品からなる。この支持部材71は、第2熱交換チューブ35Bに対して外側の面37B側から嵌め込まれることにより、第2熱交換チューブ35Bに取り付けられている。
【0054】
付勢部材72は、特定の区間32Bに位置している第2熱交換チューブ35Bの内側の面36Bを、第2バッテリ12の被冷却面12aに押し付ける方向に付勢している。この付勢部材72は、例えば、「板ばね」によって構成されており、支持部材71の長手方向から見て、支持部材71の背面71a(補強部材50の本体部51に向かい合う面71a)から、本体部51へ向かって広がる、略V字状断面を呈している。この付勢部材72は、支持部材71の背面71aに対して、一体に設けられている。例えば、支持部材71の背面71aから突出した支持突起部71bを、付勢部材72に熱カシメすることにより、支持部材71に付勢部材72を一体化することができる。
【0055】
以上の説明から明らかなように、複数の第2熱交換チューブ35Bの外側の面37Bと、補強部材50と、の間には複数の付勢部材72が介在している。補強部材50は、熱交換器30を補強するものであるから、第2熱交換チューブ35Bに比べて、高剛性に構成されている。付勢部材72は、補強部材50をベースとして、第2熱交換チューブ35Bの内側の面36Bを、第2バッテリ12の被冷却面12aに押し付ける方向に付勢することになる。第2熱交換チューブ35Bは、付勢部材72に付勢されることにより、第2バッテリ12の被冷却面12aに押し付けられる。第2バッテリ12の被冷却面12aに対する、第2熱交換チューブ35Bの密着性を一層高めることができるので、バッテリ冷却用熱交換ユニット20の冷却効果を一層高めることができる。
【0056】
実施例1の説明をまとめると、次の通りである。
図1及び図2に示されるように、特定の区間32Bは、低剛性である熱交換チューブ35B,35B(特定の熱交換チューブ35B,35B)が位置するように、予め設定することができる。補強部材50は、特定の区間32Bの両側に位置しているヘッダ31B,31C同士(特定のヘッダ31B,31C同士)を固定している。この結果、それぞれの特定のヘッダ31B,31Cと補強部材50とは、一体化される。特定のヘッダ31B,31C同士の相対的な変形や変位は、補強部材50によって規制される。補強部材50によって互いに一体化されている、それぞれの特定のヘッダ31B,31Cには、特定の区間32Bに位置した特定の熱交換チューブ35B,35Bの両端が、接続され且つ一体化されている。このため、低剛性である特定の熱交換チューブ35B,35Bの、曲げや撓みの発生を防止することができる。
【0057】
バッテリ冷却用熱交換ユニット20を、生産時からバッテリユニット10、例えば第2バッテリ12への組み付け時までの間(保管中や搬送中を含む)に、特定の熱交換チューブ35B,35Bの曲げや撓みの発生を防止することができる。従って、第2バッテリ12に対する、バッテリ冷却用熱交換ユニット20の組み付け性を高めることができる。しかも、第2バッテリ12の被冷却面12aに対する、各々の特定の熱交換チューブ35B,35Bの密着性を確保して、冷却効果を高めることができる。
【0058】
さらには、図2に示されるように、特定の区間32Bの間隔C2が大きい(広い)ので、特定の熱交換チューブ35B,35Bの長さL2は大きい。長いことによって低剛性である、特定の熱交換チューブ35B,35Bであっても、補強部材50を設けることにより、曲げや撓みの発生を防止することができる。
【0059】
また、図2に示されるように、幅W2(チューブ幅W2)が小さい(狭い)ことによって低剛性である、特定の熱交換チューブ35B,35Bであっても、補強部材50を設けることにより、曲げや撓みの発生を防止することができる。
【0060】
また、図4に示されるように、肉厚T2(チューブ肉厚T2)が小さい(薄い)ことによって低剛性である、特定の熱交換チューブ35B,35Bであっても、補強部材50を設けることにより、曲げや撓みの発生を防止することができる。
【0061】
次に、図5を参照しつつ、実施例2のバッテリ冷却用熱交換ユニット120を説明する。
<実施例2>
【0062】
図5は、実施例2によるバッテリユニット110とバッテリ冷却用熱交換ユニット120とを示し、上記図2に相当する。
【0063】
図1図4に示される実施例1のバッテリ冷却用熱交換ユニット20に対し、図5に示される実施例2のバッテリ冷却用熱交換ユニット120は、2区間のチューブ配列区間32A,32Bを、3区間以上の区間数に変更したことを特徴とする。その他の基本的な構成については、上記実施例1によるバッテリ冷却用熱交換ユニット20と共通する。実施例1によるバッテリユニット10及びバッテリ冷却用熱交換ユニット20と共通する部分については、符号を流用すると共に、詳細な説明を省略する。
【0064】
実施例2では、区間数が3区間である場合を例示する。実施例2のバッテリユニット110は、3つのバッテリ11,11,12を有する。2つの第1バッテリ11,11は、第2バッテリ12の両側に配置されている。両側の第1バッテリ11,11の高さBh1に対し、中央の第2バッテリ12の高さBh2は低い。なお、両側の第1バッテリ11,11の高さBh1は互いに異なってもよい。
【0065】
実施例2の熱交換ユニット120は、熱交換器130と補強部材50とを有している。熱交換器130は、複数(実施例2では4つ)のヘッダ31A,31B,31C,31Dと複数の熱交換チューブ35A,35Bと、を含む。つまり、3つのヘッダ31A,31B,31Cの他に、第4ヘッダ31Dを追加した。3つのバッテリ11,12,11に対して、4つのヘッダ31A,31B,31C,31Dは、この順に配列される。
【0066】
実施例2では、ヘッダ31A,31B,31C,31Dが4つなので、区間数は3である。第3ヘッダ31Cと第4ヘッダ31Dとの間の、チューブ配列区間32Cのことを、「第3区間32C」という。第1区間32Aと第3区間32Cとは、第2バッテリ12の両側に配置されている2つの第1バッテリ11,11の被冷却面11a,11aに、それぞれ位置する。
【0067】
実施例2においても、第2区間32Bは第2バッテリ12の被冷却面12aに位置するので、「特定の区間32B」ということになる。この特定の区間32Bには、低剛性の熱交換チューブ35Bが位置する。
【0068】
一方、第1区間32Aと第3区間32Cとは、複数のチューブ配列区間32A,32B.32Cのなかの、特定の区間32Bを除く他の区間なので、「他の区間32A,32C」ということになる。この他の区間32A,32Cには、それぞれ第1熱交換チューブ35Aが位置する。
【0069】
以上の説明から明らかなように、特定の区間32Bは、複数のチューブ配列区間が3区間以上の区間数であるとき、全ての配列の組み合わせのなかの、中央の区間に配列されている。ここで、中央の区間とは、チューブ配列区間が3区間の場合には第2区間、チューブ配列区間が4区間の場合には第2あるいは第3区間のことである。
【0070】
補強部材50は、特定の区間32Bに位置している第2熱交換チューブ35B,35Bの両端が接続されている第2ヘッダ31Bと第3ヘッダ31Cとを固定している。
【0071】
実施例2の説明をまとめると、次の通りである。
全てのチューブ配列区間32A~32Cのなかの、中央に特定の区間32Bを設定してある。つまり、チューブ配列区間32A~32Cが3区間以上の多数のとき、特定の区間32Bが中央の区間に配列されて強度が弱くなるところ、補強部材50により固定されるから、熱交換器30の中央に配列されたヘッダ31B,31C同士の相対的な変形や変位が規制される。
【0072】
バッテリ冷却用熱交換ユニット120を移動させるとき(搬送するとき)には、全てのチューブ配列区間32A~32Cのなかの中央に位置している補強部材50のみを、把持すればよい。補強部材50によって補強された中央の部位は、バッテリ冷却用熱交換ユニット20の概ね重心に位置する。従って、チューブ配列区間32A~32Cのなかの、特定の区間32B以外の部位を把持する必要がない。把持する力が、特定の区間32B以外の部位に位置している熱交換チューブ35Aの変形に、影響を及ぼすことはない。
【0073】
さらに、実施例2によるバッテリ冷却用熱交換ユニット120は、上記実施例1のバッテリ冷却用熱交換ユニット20と同様の効果を発揮することができる。
【0074】
なお、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、各実施例や変形例に限定されるものではない。
【0075】
例えば、第1熱交換チューブ35Aの個数と第2熱交換チューブ35Bの個数は、複数個ずつに限定されるものではなく、少なくとも1個ずつあればよい。
【0076】
また、補強部材50は、特定の区間32Bに位置している第2熱交換チューブ35Bの両端が接続されているヘッダ31B,31C同士を固定する構成であればよく、構成(形状を含む)や材質については任意である。
【0077】
また、補強部材50に有している屈曲部52,53は、特定の区間32Bに位置している第2熱交換チューブ35Bの扁平面36B,37Bに対して交差するように屈曲することによって、補強部材50の剛性を高める構成であればよい。例えば、補強部材50に対する屈曲部52,53の位置、形状、個数は任意である。
【0078】
また、付勢部材72は、特定の区間32Bに位置している第2熱交換チューブ35Bの内側の面36Bを、第2バッテリ12の被冷却面12aに押し付ける方向に付勢する構成であればよい。つまり、付勢部材72は、板ばねの構成に限定されるものではなく、例えば圧縮コイルばね等の他の種類であってもよい。付勢部材72の個数は任意である。
【0079】
また、付勢部材72は、特定の区間32Bに位置している第2熱交換チューブ35Bの外側の面37Bと、補強部材50との間に介在した構成であればよく、付勢部材72を支持するための支持部材71の有無は任意である。例えば、付勢部材72を外側の面37Bや補強部材50に直接に設けることができる。
【0080】
また、次の(1)~(3)の3つの構成のなかの、1つ又はいずれか2つ以上の組み合わせの場合に、特定の区間32Bに位置している第2熱交換チューブ35Bの両端が接続されているヘッダ31B,31C同士を、補強部材50によって固定する構成であればよい。
(1)特定の区間32Bの間隔C2が、他の区間32Aの間隔C1よりも大きい(広い)。
(2)特定の区間32Bに位置している第2熱交換チューブ35Bの幅W2が、他の区間32Aに位置している第1熱交換チューブ35Aの幅W1よりも小さい(狭い)。
(3)特定の区間32Bに位置している第2熱交換チューブ35Bのチューブ肉厚T2が、他の区間32Aに位置している第1熱交換チューブ35Aのチューブ肉厚T1よりも小さい(薄い)。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明のバッテリ冷却用熱交換ユニット20,120は、電気自動車やハイブリッド車両に搭載された複数のバッテリ11,12を冷却するのに好適である。
【符号の説明】
【0082】
10,110 バッテリユニット
11 第1バッテリ
11a 被冷却面
12 第2バッテリ
12a 被冷却面
20,120 バッテリ冷却用熱交換ユニット
30,130 熱交換器
31A 第1ヘッダ
31B 第2ヘッダ
31C 第3ヘッダ
31D 第4ヘッダ
32A 第1区間(他の区間)
32B 第2区間(特定の区間)
32C 第3区間(他の区間)
35A 第1熱交換チューブ(他の区間に位置している熱交換チューブ)
35B 第2熱交換チューブ(特定の区間に位置している熱交換チューブ)
36B 第2熱交換チューブの内側の面(扁平面)
37B 第2熱交換チューブの外側の面(扁平面)
50 補強部材
51 本体部
52,53 屈曲部
72 付勢部材
C1 他の区間(第1、第3区間)の間隔
C2 特定の区間(第2区間)の間隔
L1 第1熱交換チューブの長さ
L2 第2熱交換チューブの長さ
T1 第1熱交換チューブの肉厚
T2 第2熱交換チューブの肉厚
W1 第1熱交換チューブの幅(チューブ幅)
W2 第2熱交換チューブの幅(チューブ幅)
図1
図2
図3
図4
図5