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特許7534327タンクの密閉メンブレンを構築するためのコルゲートコーナー部品及びコーナー部品にコルゲーションを形成するための曲げ加工システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】タンクの密閉メンブレンを構築するためのコルゲートコーナー部品及びコーナー部品にコルゲーションを形成するための曲げ加工システム
(51)【国際特許分類】
   F17C 3/04 20060101AFI20240806BHJP
   B65D 88/10 20060101ALI20240806BHJP
   B63B 25/16 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
F17C3/04 A
B65D88/10 Z
B63B25/16 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021564250
(86)(22)【出願日】2020-04-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-06
(86)【国際出願番号】 EP2020059932
(87)【国際公開番号】W WO2020221566
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2023-02-13
(31)【優先権主張番号】1904524
(32)【優先日】2019-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】515220317
【氏名又は名称】ギャズトランスポルト エ テクニギャズ
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】ベルジェ ヴァンサン
(72)【発明者】
【氏名】ペロー オリヴィエ
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2010-0001677(KR,A)
【文献】国際公開第2016/030619(WO,A1)
【文献】特表2016-522364(JP,A)
【文献】特開昭56-109993(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 3/04
B65D 88/10
B63B 25/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンクのための密閉メンブレン(3)を構築するためのコーナー部品(2)であって、
前記コーナー部品(2)は、第1のフランジ(11)及び第2のフランジ(12)を含み、
前記第1のフランジ(11)及び前記第2のフランジ(12)は、1°から179°の角度αで互いに傾斜し、曲げ線(13)で接合し、
前記コーナー部品(2)はコルゲーション(17)を含み、
前記コルゲーション(17)は前記曲げ線(13)と交差し前記コーナー部品(2)の一端から他端まで延在しており、これにより、前記コーナー部品(2)が前記コルゲーション(17)を横切る方向に変形可能となるよう構成されており、
前記コルゲーション(17)は、
前記第1のフランジ(11)に形成され、前記コーナー部品(2)の第1の縁から前記曲げ線(13)に向かって延在する第1の部分(18)と、
前記第2のフランジ(12)に形成され、前記コーナー部品(2)の第2の縁から前記曲げ線(13)に向かって延在する第2の部分(19)と、
前記第1のフランジ(11)と前記第2のフランジ(12)とにまたがって形成され、前記第1の部分(18)と前記第2の部分(19)との間に延在し、前記第1の部分(18)及び前記第2の部分(19)と並んで配置される中央部分(20)と、を備え、
前記中央部分(20)は、前記曲げ線(13)を通る平面上の断面において、逆W字状形状のプロファイルを有し
前記曲げ線(13)を通る前記平面は、前記第1のフランジ(11)および前記第2のフランジ(12)によって形成される前記角度αを2つの等しい半角に分割し、
記プロファイルは、凹状くぼみ(24)と、前記凹状くぼみ(24)の両側それぞれに横方向に配置された2つの凸状突起(22,23)とを備える、コーナー部品(2)。
【請求項2】
前記コーナー部品(2)は、矩形の部品のかたちに平らに展開することができる幾何学的構成を有する、請求項1に記載のコーナー部品(2)。
【請求項3】
前記凹状くぼみ(24)の下端部は円弧形状又は楕円弧形状である、請求項1又は2に記載のコーナー部品(2)。
【請求項4】
前記凹状くぼみ(24)の深さ及び厚さは、前記コルゲーション(17)の方向において、前記曲げ線(13)から前記第1の部分(18)まで減少して前記第1の部分(18)の頂点につながり、前記曲げ線(13)から前記第2の部分(19)まで減少して前記第2の部分(19)の頂点につながる、請求項1~3の何れか一項に記載のコーナー部品(2)。
【請求項5】
前記第1の部分(18)、前記第2の部分(19)及び前記凸状突起(22,23)は、前記角度αの内側に向かって突出している、請求項1~4の何れか一項に記載のコーナー部品(2)。
【請求項6】
前記第1の部分(18)及び前記第2の部分(19)は、一定の高さを有する半楕円形又は三角形のプロファイルを有する、請求項1~5の何れか一項に記載のコーナー部品(2)。
【請求項7】
前記第1のフランジ(11)及び前記第2のフランジ(12)は、略矩形形状を有する、請求項1~6の何れか一項に記載のコーナー部品(2)。
【請求項8】
密閉メンブレン(3)を備える流体を貯蔵するための密閉断熱タンクであって、
前記密閉メンブレン(3)は、
前記密閉断熱タンクの内部に向かって突出する少なくとも1つのコルゲーションを含む、互いに溶接された複数のコルゲート金属板(8)と、
前記密閉断熱タンクの2つの壁の間の接合部において前記密閉メンブレン(3)の前記金属板同士を接続する、請求項1~7の何れか一項に記載の前記コーナー部品(2)を少なくとも1つと、を備える、密閉断熱タンク。
【請求項9】
二重船体(172)と、前記二重船体(172)内に配置される請求項8に記載のタンク(171)と、を備える、流体を輸送するための船(170)。
【請求項10】
請求項9に記載の船(170)と、
前記船の前記二重船体内に設置された前記タンク(171)を浮体又は陸上貯蔵設備(177)に接続するよう配された断熱パイプ(173,179,176,181)と、
前記浮体若しくは陸上貯蔵設備から前記船の前記タンクへ又は前記船の前記タンクから前記浮体若しくは陸上貯蔵設備への前記断熱パイプを介する流体の流れを生じさせるためのポンプと、を備える、流体輸送システム。
【請求項11】
請求項9に記載の船(170)に対して積み降ろしを行うための方法であって、
浮体若しくは陸上貯蔵設備(177)から前記船の前記タンク(171)に又は前記船の前記タンク(171)から浮体若しくは陸上貯蔵設備(177)に、断熱パイプ(173,179,176,181)を介して流体を送ることを含む、方法。
【請求項12】
請求項1~7の何れか一項に記載のコーナー部品(2)を形成するための曲げ加工システム(1)であって、
休止位置と曲げ加工位置の間で互いに対して鉛直方向に移動可能な上側フレーム(26)及び下側フレーム(25)と、
角度αで互いに対して傾斜するよう構成された及び前記コーナー部品(2)の前記第1のフランジ(11)及び前記第2のフランジ(12)をそれぞれ受けるよう構成された第1及び第2のベアリング面(29,30)を各々が有する2つの下側ダイクッション(27,28)であって、近接集合位置と離隔位置との間で横方向に前記下側フレーム(25)上をスライドするように取り付けられた2つの下側ダイクッション(27,28)と、
前記上側フレーム(26)に取り付けられ、前記下側ダイクッション(27,28)の前記第1及び第2のベアリング面(29,30)にそれぞれ対向して配置された2つの移動アセンブリ(40,41)と、を備え、
前記移動アセンブリ(40,41)は、各々、
支持体(51)と、
前記支持体(51)に固定され、前記コーナー部品(2)の前記第1のフランジ(11)及び前記第2のフランジ(12)の一方又は他方における前記コルゲーション(17)の前記第1の部分(18)又は前記第2の部分(19)を形成するよう構成されたパンチ(31)と、
前記パンチ(31)の両側それぞれに横方向に配置された2つの上側ダイクッション(42,43,44,45)と、を備え、
前記上側ダイクッション(42,43,44,45)の各々は、メイン構造(46)と、前記下側ダイクッション(27,28)の前記第1及び第2のベアリング面(29,30)の1つに平行に対向して配置されたクランプ面を有するクランプ板(47)と、を有し、これにより、中間クランプ位置において前記クランプ面が前記下側ダイクッション(27,28)の前記第1及び第2のベアリング面(29,30)の1つに前記コーナー部品(2)を押し付けてクランプするよう構成され、
前記クランプ板(47)は、前記上側ダイクッション(42,43,44,45)の前記メイン構造(46)上を横方向にスライドするよう取り付けられており、
前記上側ダイクッション(42,43,44,45)は、各々、前記移動アセンブリ(40,41)の支持体(51)に前記上側ダイクッション(42,43,44,45)の前記クランプ面に直交する方向に移動可能に取り付けられており、これにより、前記上側ダイクッション(42,43,44,45)が前記休止位置から前記曲げ加工位置に前記上側フレーム(26)に対して移動している最中に前記上側ダイクッション(42,43,44,45)が前記中間クランプ位置に到達するとすぐに、前記上側ダイクッション(42,43,44,45)が前記クランプ面に直交する方向に前記上側フレーム(26)に対して移動するように構成されており、
各前記移動アセンブリ(40,41)の前記支持体(51)は、前記移動アセンブリ(40,41)の前記パンチ(31)の長手方向に平行な方向に移動可能に前記上側フレーム(26)に取り付けられており、
前記曲げ加工システムは、前記曲げ線(13)を変形させる装置をさらに備え、
前記曲げ線(13)を変形させる装置は、
前記曲げ線(13)と、形成しようとしている前記コルゲーション(17)と、の間の交差部に対向して配置される中央フィンガ(60)であって、前記下側フレーム(25)によって支持され、前記凹状くぼみ(24)を形成するよう構成された中央フィンガ(60)と、
前記中央フィンガ(60)の両側それぞれに横方向に配置され前記曲げ線(13)を変形するよう構成された2つのフィンガ(61,62)であって、前記上側フレーム(26)に移動可能に取り付けられ、前記2つの凸状突起(22,23)の一方及び他方をそれぞれ形成するように配置された2つのフィンガ(61,62)と、を備えた、曲げ加工システム(1)。
【請求項13】
前記2つのフィンガ(61,62)は、フィンガ支持体(63)に取り付けられており、
前記フィンガ支持体(63)は、前記上側フレーム(26)と、少なくとも、前記移動アセンブリ(40,41)のうちの一方の2つの前記上側ダイクッション(42,43,44,45)と、に関節式連結機構によって運動学的に接続されており、
前記関節式連結機構は、低減手段を形成するよう構成され、
前記低減手段は、前記フィンガ支持体(63)の前記上側フレーム(26)と前記下側フレーム(25)との間における鉛直方向の相対移動について、前記上側フレーム(26)と前記下側フレーム(25)との間で前記休止位置から前記曲げ加工位置に前記相対移動が行われている最中に前記上側ダイクッション(42,43,44,45)が前記クランプ位置になったときに、前記フィンガ支持体(63)の前記鉛直方向の前記相対移動を低減可能である、請求項12に記載の曲げ加工システム(1)。
【請求項14】
前記関節式連結機構は、4つのリンクからなる第1のグループを少なくとも含み、
前記4つのリンクからなる第1のグループは、
第1の幾何学的軸(A)の周りで前記上側フレーム(26)に関節式に連結された第1の上側リンク(68)と、
第2の幾何学的軸(B)の周りで前記上側フレーム(26)に関節式に連結された第2の上側リンク(69)と、
第3の幾何学的軸(C)の周りで前記上側ダイクッション(42,43,44,45)の1つに関節式に連結された第1の下側リンク(70)と、
第4の幾何学的軸(D)の周りで前記上側ダイクッション(42,43,44,45)の別の1つに関節式に連結された第2の下側リンク(71)と、を含み、
前記第1の上側リンク(68)及び前記第1の下側リンク(70)は、第5の幾何学的軸(E)の周りで互いに関節式に連結されており、
前記第2の上側リンク(69)及び前記第2の下側リンク(71)は、第6の幾何学的軸(F)の周りで互いに関節式に連結されており、
前記第1、第2、第3、第4、第5及び第6の幾何学的軸(A,B,C,D,E,F)は、前記予め形成された曲げ線(13)に直交する水平方向に平行であり、
前記フィンガ支持体(63)は、一方側において、第1のスライド接続部によって前記第1の上側リンク(68)及び/又は前記第1の下側リンク(70)に接続されており、他方側において、第2のスライド接続部によって前記第2の上側リンク(69)及び/又は前記第2の下側リンク(71)に接続されており、
前記第1のスライド接続部及び前記第2のスライド接続部は、前記フィンガ支持体(63)を鉛直方向において支持するように配置されている、請求項13に記載の曲げ加工システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化ガスのような流体を貯蔵するタンクのための密閉メンブレンを構築するためのコルゲートコーナー部品に関する。
【0002】
本発明はまた、このようなコルゲートコーナー部品を製造するための曲げ加工システムに関する。
【背景技術】
【0003】
従来技術において、タンク内に貯蔵される液化ガスと接触するよう及びタンクを密閉するよう構成されたコルゲート密閉メンブレンを備えた液化ガスを貯蔵するための密閉断熱タンクが開示されている。密閉メンブレンは金属板を含み、金属板には、タンクの内部に向かって突出し、特にタンク内に貯蔵される液化天然ガスにより生じる熱的及び機械的負荷によって密閉メンブレンが変形することを可能にする一連の垂直コルゲーションが含まれる。
【0004】
密閉メンブレンは、タンクの2つの壁間の接合部において、連続した密閉性を保証するように隣接する金属板に溶接により接続されるコーナー部品を含む。コーナー部品は、互いに対して傾斜し交差部のレベルで結合する2つのフランジを含む。コーナー部品は、交差部に対して垂直にコーナー部品の一方の端部から他方の端部に延在するコルゲーションを含み、交差部に平行な横方向にコーナー部品が変形できるようになっている。
【0005】
この種のコーナー部品は、特に文献WO2016030619に記載及び示されている。この文献に記載されるコーナー部品は、コーナー部品の第1のフランジ及び第2のフランジにそれぞれ形成された第1の部分及び第2の部分を含むコルゲーションと、第1の部分と第2の部分との間に延在する交差部をまたぐ中央部分とを有している。第1の部分及び第2の部分並びに中央部分は、略半楕円形状又は略三角形状のプロファイルを有する。コーナー部品は、スロッシング現象、即ちタンクの内部の貨物の動きの影響を最も受けやすいタンクのゾーンへの実装を考えると、高い負荷を受けやすい。
【発明の概要】
【0006】
本発明の基礎を形成する思想の1つは、スロッシング現象に対する機械的耐性をより有することができる流体を貯蔵するタンクのための密閉メンブレンを構築することを目的とするコーナー部品を提示することである。
【0007】
本発明の基礎を形成する思想のもう1つは、製造コストが低く、疲労強度が高く、曲げ線の軸上でのけん引に対する柔軟性が高く、及び/又は曲げ線の軸の周りの回転に対する柔軟性が高いコーナー部品を提示することである。
【0008】
本発明は、一実施形態において、タンクのための密閉メンブレンを構築するためのコーナー部品であって、コーナー部品は、1°から179°の角度αで互いに傾斜するとともに曲げ線のレベルで接合する第1のフランジ及び第2のフランジを含み、コーナー部品はコルゲーションを含み、コルゲーションは、曲げ線と交差しコーナー部品の一端から他端まで延在しており、これにより、コーナー部品がコルゲーションを横切る方向に変形可能となるよう構成されており、コルゲーションは、第1のフランジに形成されコーナー部品の第1の縁から曲げ線に向かって延在する第1の部分と、第2のフランジに形成されコーナー部品の第2の縁から曲げ線に向かって延在する第2の部分と、第1のフランジと第2のフランジとにまたがって形成され、第1の部分と第2の部分との間に延在し、第1の部分及び第2の部分と並んで配置される中央部分と、を備え、中央部分は曲げ線を通る平面上の断面において逆W字状形状のプロファイルを有し、プロファイルは、凹状くぼみと、凹状くぼみの両側それぞれに横方向に配置された2つの凸状突起と、を備える。
【0009】
したがって、このような中央部分を有するコーナー部品は、その形状、特に従来技術のコーナー部品における中央部分に比べてタンクの内部に向かってより低い高さで突出するという事実を考慮すると、スロッシング現象の影響を受けにくいという点で有利である。このようなコーナー部品は疲労強度もより優れている。
【0010】
さらに、このような中央部分は、曲げ線の軸上でのけん引に対するより高い柔軟性及び/又は曲げ線の軸の周りの回転に対するより高い柔軟性をコーナー部品に与える。これにより、密閉メンブレンの熱収縮及び/又は船梁の変形といった現象によってタンクのコーナーに加わる力を低減することができる。
【0011】
本明細書において、「曲げ線を通過する平面」という表現は、曲げ線が前記平面内にあることを意味する。さらに、この平面は有利には正中線であり、即ち第1及び第2のフランジによって形成される角度を2つの等しい半角に分割する。
【0012】
他の有利な実施形態では、このようなコーナー部品は以下の特徴のうちの1つ又は複数を有してもよい。
【0013】
一実施形態では、コーナー部品は、矩形の部品のかたちに平らに展開することができる幾何学的構成を有する。換言すれば、コルゲーションゾーンにおけるコーナー部品の構成は、第1の部分、第2の部分及び中央部分がコーナー部品における材料の長さを変更することがないように構成され、したがってその厚さも変更することがないように構成されている。
【0014】
一実施形態では、凹状くぼみの下端部は円弧形状又は楕円弧形状である。
【0015】
一実施形態では、凹状くぼみの深さ及び厚さは、コルゲーションの方向において、曲げ線から第1の部分まで減少して第1の部分の頂点につながり、曲げ線から第2の部分まで減少して第2の部分の頂点につながる。
【0016】
一実施形態では、第1の部分、第2の部分及び凸状突起は角度αの内側に向かって突出している。
【0017】
一実施形態では、第1の部分及び第2の部分は一定の高さを有する半楕円形又は三角形のプロファイルを有する。
【0018】
一実施形態では、第1のフランジ及び第2のフランジは略矩形形状を有する。
【0019】
一実施形態では、本発明はまた、密閉メンブレンを備える流体を貯蔵するための密閉断熱タンクを提供し、密閉メンブレンは、密閉断熱タンクの内部に向かって突出する少なくとも1つのコルゲーションを含む互いに溶接された複数のコルゲート金属板と、密閉断熱タンクの2つの壁間の接合部において密閉メンブレンの金属板同士を接続する少なくとも1つの上記のコーナー部品と、を備える。
【0020】
一実施形態では、このようなタンクは、例えばLNGを貯蔵するための陸上貯蔵設備の一部を形成するか、特にメタンタンカー船、浮体式貯蔵再ガス化ユニット(FSRU)、浮体式生産貯蔵荷降ろし(FPSO)ユニットなどの沿岸又は深海浮体構造に設置されるものであってもよい。
【0021】
一実施形態では、本発明は、二重船体と、二重船体内に配置される上記タンクと、を備える流体を輸送するための船を提供する。
【0022】
一実施形態では、本発明はまた、上記のような船に対して積み降ろしを行うための方法を提供し、この方法は、浮体若しくは陸上貯蔵設備から上記船のタンクに又は上記船のタンクから浮体若しくは陸上貯蔵設備に断熱パイプを介して流体を送ることを含む。
【0023】
一実施形態では、本発明はまた、流体輸送システムを提供し、この流体輸送システムは、上記船と、上記船の二重船体内に設置されたタンクを浮体又は陸上貯蔵設備に接続するよう配された断熱パイプと、浮体若しくは陸上貯蔵設備から上記船のタンクへ又は上記船のタンクから浮体若しくは陸上貯蔵設備への断熱パイプを介する流体の流れを生じさせるためのポンプと、を備える。
【0024】
一実施形態では、本発明は、上記コーナー部品を形成するための曲げ加工システムを提供し、この曲げ加工システムは、休止位置と曲げ加工位置の間で互いに対して鉛直方向に移動する上側フレーム及び下側フレームと、角度αで互いに対して傾斜しかつコーナー部品の第1及び第2のフランジをそれぞれ受けるよう構成された第1及び第2のベアリング面を各々が有する2つの下側ダイクッションであって、近接集合位置と離隔位置との間で横方向に下側フレーム上をスライドするように取り付けられた2つの下側ダイクッションと、上側フレームに取り付けられ、下側ダイクッションの第1及び第2のベアリング面にそれぞれ対向して配置された2つの移動アセンブリと、を備え、各移動アセンブリは、支持体と、支持体に固定され、コーナー部品の第1のフランジ及び第2のフランジの一方又は他方におけるコルゲーションの第1の部分又は第2の部分を形成するよう構成されたパンチと、パンチの両側それぞれに横方向に配置された2つの上側ダイクッションと、を備え、各上側ダイクッションは、メイン構造と、下側ダイクッションの第1及び第2のベアリング面の1つに平行に対向して配置されたクランプ面を有するクランプ板と、を有し、これにより、中間クランプ位置においてクランプ面が下側ダイクッションの第1及び第2のベアリング面の1つにコーナー部品を押し付けてクランプするよう構成され、クランプ板は、上側ダイクッションのメイン構造上を横方向にスライドするよう取り付けられており、各上側ダイクッションは、上側ダイクッションのクランプ面に直交する方向に移動可能に移動アセンブリの支持体に取り付けられており、これにより、上側ダイクッションが休止位置から曲げ加工位置に上側フレームに対して移動している最中に上側ダイクッションが中間クランプ位置に到達するとすぐに、上側ダイクッションがクランプ面に直交する方向に上側フレームに対して移動するように構成されており、各移動アセンブリの支持体は、移動アセンブリのパンチの長手方向に平行な方向に移動可能に上側フレームに取り付けられており、曲げ加工システムは、曲げ線を変形させる装置をさらに備え、曲げ線を変形させる装置は、曲げ線と、形成しようとしているコルゲーションと、の間の交差部に対向して配置された中央フィンガであって、下側フレームによって支持され、凹状くぼみを形成するよう構成された中央フィンガと、中央フィンガの両側それぞれに横方向に配置され前記曲げ線を変形するよう構成された2つのフィンガであって、上側フレームに移動可能に取り付けられ、2つの凸状突起の一方及び他方をそれぞれ形成するように配置された2つのフィンガと、を備えている。
【0025】
したがってこのような曲げ加工システムは、特に予め形成された曲げ線を変形させる装置のおかげでシンプルなものとなり、予め形成された曲げ線に近いゾーンでコルゲーションの変形を扱うための複雑な形状のパンチを使用する必要がない。
【0026】
一実施形態では、2つのフィンガはフィンガ支持体に取り付けられており、フィンガ支持体は、上側フレームと、少なくとも、移動アセンブリのうちの一方の2つの上側ダイクッションと、に関節式連結機構によって運動学的に接続されており、関節式連結機構は低減手段を形成するよう構成されており、低減手段は、フィンガ支持体の上側フレームと下側フレームとの間における鉛直方向の相対移動について、上側フレームと下側フレームとの間で休止位置から曲げ加工位置に相対移動が行われている最中に上側ダイクッションがクランプ位置になったときに、フィンガ支持体の鉛直方向の相対移動を低減可能である。
【0027】
一実施形態では、予め形成された曲げ線を変形させる装置の関節式連結機構のおかげで、フィンガの鉛直方向の移動を上側フレームの移動から無相関化するために専用のアクチュエータを使用する必要がない。
【0028】
一実施形態では、関節式連結機構は、4つのリンクからなる第1のグループを少なくとも含み、4つのリンクからなる第1のグループは、第1の幾何学的軸の周りで上側フレームに関節式に連結された第1の上側リンクと、第2の幾何学的軸の周りで上側フレームに関節式に連結された第2の上側リンクと、第3の幾何学的軸の周りで一方の移動アセンブリの上側ダイクッションの1つに関節式に連結された第1の下側リンクと、第4の幾何学的軸の周りで前記移動アセンブリの上側ダイクッションの別の1つに関節式に連結された第2の下側リンクと、を含み、第1の上側リンク及び第1の下側リンクは、第5の幾何学的軸周りで互いに関節式に連結されており、第2の上側リンク及び第2の下側リンクは、第6の幾何学的軸の周りで互いに関節式に連結されており、第1、第2、第3、第4、第5及び第6の幾何学的軸は、予め形成された曲げ線に直交する水平方向に平行であり、フィンガ支持体は、一方側において、第1のスライド接続部によって第1の上側リンク及び/又は第1の下側リンクに接続されており、他方側において、第2のスライド接続部によって第2の上側リンク及び/又は第2の下側リンクに接続されており、第1のスライド接続部及び第2のスライド接続部は、フィンガ支持体を鉛直方向において支持するように配置されている。
【0029】
一実施形態では、第1のスライド接続部は、第1の上側リンク及び/又は第1の下側リンクに接続された第1の物理スピンドルを含み、第1の物理スピンドルは、フィンガ支持体に形成された第1のスライドウェイ内をスライドするように取り付けられており、第2のスライド接続部は、第2の上側リンク及び/又は第2の下側リンクに接続された第2の物理スピンドルを含み、第2の物理スピンドルは、フィンガ支持体に形成された第2のスライドウェイ内をスライドするように取り付けられている。
【0030】
一実施形態では、第1のスライドウェイと第2のスライドウェイは水平方向に延在する。
【0031】
一実施形態では、第1の物理スピンドルは第5の幾何学的軸に沿って延在し、第2の物理スピンドルは第6の幾何学的軸に沿って延在する。
【0032】
一実施形態では、第1及び第2の幾何学的軸は第1の水平面に延在し、第3及び第4の幾何学的軸は第2の水平面に延在し、第5及び第6の幾何学的軸は第1の水平面と第2の水平面との間に鉛直方向に配される第3の水平面に延在する。
【0033】
一実施形態では、2つのフィンガは、フィンガ支持体上で横方向にスライドするように取り付けられている。一実施形態では、2つのフィンガは、離隔位置と近接集合位置との間をスライドするように取り付けられている。一実施形態では、2つのフィンガは、1つ又は複数の戻し部材によってそれらの離隔位置に向かって付勢される。
【0034】
一実施形態では、フィンガの端部は球状形状である。
【0035】
一実施形態では、フィンガはフィンガ支持体に取り外し可能に固定されている。
【0036】
一実施形態では、関節式連結機構は上側フレーム、上側ダイクッション及びフィンガ支持体に取り外し可能に固定されている。
【0037】
一実施形態では、中央フィンガの端部は球状形状である。
【0038】
一実施形態では、中央フィンガは下側フレームに取り外し可能に固定されている。
【0039】
本発明は、添付の図面を参照して、非限定的な例示としてのみ提供される本発明のいくつかの特定の実施形態の以下の説明においてより良く理解され、他の目的、詳細、特徴及び利点がより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】2つの壁間のコーナーゾーンにある、一実施形態による流体を貯蔵するための密閉断熱タンクの部分図である。
図2】コーナー部品にコルゲーションを形成するよう構成された曲げ加工システムの斜視図であり、コーナー部品をクランプする中間位置を示す。
図3図2の曲げ加工システムの側面図であり、休止位置を示す。
図4図2の曲げ加工システムの切り取り斜視図であり、中間クランプ位置を示す。
図5図2の曲げ加工システムの別の切り取り斜視図であり、中間クランプ位置を示す。
図6図2の曲げ加工システムのP VI面に沿った断面図である。
図7】コーナー部品の予め形成された曲げ線を変形させるよう構成されたフィンガの詳細斜視図である。
図8】下側フレームの詳細図であり、コーナー部品の予め形成された曲げ線を変形させるよう構成された中央フィンガの詳細を示す。
図9図8の中央フィンガの詳細図である。
図10】上側フレームへの移動アセンブリの固定の詳細図である。
図11】第1の実施形態に係るコーナー部品の斜視図である。
図12図11のコーナー部品の第1のフランジと第2のフランジの間の曲げ線のプロファイルの概略図である。
図13】第2の実施形態に係るコーナー部品の斜視図である。
図14】第3の実施形態に係るコーナー部品の斜視図である。
図15】メタンタンカー船のタンク及びこのタンクの積み降ろしターミナルの切り取り概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下に説明する曲げ加工システム1及び関連する使用方法は、液化ガスを貯蔵する密閉断熱タンクの密閉メンブレン3を構築するためのコーナー部品2などの部品を製造するためのものである。
【0042】
一例を挙げて説明すると、図1は、このようなコーナー部品2を備えた密閉断熱タンクの構造を、タンクの2つの壁間に形成されたコーナーのレベルにて示す。タンクの各壁は、タンクの外部から内部に、支持構造4と、支持構造4に対して保持され二次保持部材によって支持構造4に固定される断熱ブロックを含む二次断熱バリア5と、二次断熱バリア5の断熱ブロックに当接する二次密閉メンブレン6と、図示しない一次保持部材によって二次密閉メンブレン6に固定される断熱ブロックを含む一次断熱バリア7と、一次断熱バリア7の断熱ブロックに当接し、タンク内に収容される液化ガスと接触するよう構成された一次密閉メンブレン3とを含む。
【0043】
一次密閉メンブレン3は、互いに溶接された複数のコルゲート金属板8を含む。各金属板8は、第1の一連の平行な、いわゆるローの、コルゲーション9と、第2の一連の平行な、いわゆるハイの、コルゲーション10とを含む。第1の一連のコルゲーション9は、第2の一連のコルゲーション10に対して垂直である。本明細書においてコルゲーション9,10はタンクの内部に向かって突出している。
【0044】
一次密閉メンブレン3は、タンクの2つの隣接する壁間の交差部に形成されたコーナーゾーンにおいてコーナー部品2を含む。
【0045】
このようなコーナー部品2を図11に詳細に示す。コーナー部品2は金属板を曲げることによって得られる。コーナー部品は好ましくは金属板8の材料と同一の材料から作られる。金属板は、特に、ステンレス鋼、アルミニウム、Invar(登録商標)、即ち、膨張係数が典型的には1.2×10-6-1から2×10-6-1である鉄とニッケルの合金、又は膨張係数が7×10-6-1のオーダーであるマンガンを多く含有する鉄合金から作ることができる。但し他の金属又は合金も同様に可能である。一例として金属板は約1.2mmの厚さを有する。金属板が厚くなるとそのコストが増大し通常はコーナー部品2の剛性が増大することを知った上で、他の厚さも同様に考えることができる。
【0046】
図11に示すように、コーナー部品2は、互いに対して傾斜するとともに曲げ線13又は交差部のレベルで接合する第1のフランジ11及び第2のフランジ12を含む。第1のフランジ11と第2のフランジ12との間に形成される角度αは、図11に示す実施形態では90°である。但し一般的に言えば、タンクの幾何学的形状に応じて、角度αは、1°から179°であり、より具体的には90°から179°の任意の値をとる。第1のフランジ及び第2のフランジ11,12は各々、略直方体形状を有し、したがって、第1のフランジ及び第2のフランジ11,12の、2つの平行な側縁14,15と互いに対向する端縁部16とを含む。
【0047】
コーナー部品2は、タンク内に貯蔵された液化ガスにより生じる熱的及び機械的負荷の影響によって変形することを可能にする可撓性を与えるコルゲーション17を含む。コルゲーション17は、曲げ線13に対して垂直にコーナー部品2の一方の端部から他方の端部まで延在する。したがって、コルゲーション17によって、コーナー部品2は曲げ線13に平行な横方向に変形することが可能となる。コルゲーション17は、コーナー部品2の第1のフランジ及び第2のフランジ11,12間に形成された凸角αの内部に向かって突出する。したがって、コルゲーション17は、コーナー部品2がタンク内の所定の位置に配置されるとタンクの内部に向かって突出する。
【0048】
図1に示すように、コーナー部品2は、そのコルゲーション17が、一方及び他方の壁の隣接する金属板8のコルゲーション9の1つと一致するように配置される。コーナーゾーンのレベルにおける連続的な密閉性を確保するために、コーナー部品2は隣接する金属板8に溶接によって接続される。
【0049】
図11に戻ると、コルゲーション17は、第1のフランジ11に形成されその側縁14,15に平行な第1の部分18と、第2のフランジ12に形成されその側縁14,15に平行な第2の部分19と、第1の部分18と第2の部分19との間に位置する中央部分20との3つの部分に分けられており、中央部分20は第1のフランジ11及び第2のフランジ12にまたがり、したがって第1のフランジ11と第2のフランジ12の間の曲げ線13を含むことが分かる。
【0050】
第1の部分18は第1のフランジ11の端縁部16から曲げ線13に向かって延在している。同様に、第2の部分19は、第2のフランジ12の端縁部16から曲げ線13に向かって延在している。第1の部分18及び第2の部分19は、第1のフランジ11と第2のフランジ12の間に形成された凸角αの内側に向かって突出する。第1の部分18及び第2の部分19は略三角形状又は略半楕円形状のプロファイルを有する。
【0051】
図12は、第1のフランジ11と第2のフランジ12の間の曲げ線13のプロファイルを示す。このプロファイルは略逆W字状形状を有する変形ゾーン21を有しており、この変形ゾーン21は、曲げ線13とコルゲーション17の第1の部分及び第2の部分18,19の軸との交差部に対して対称である。変形ゾーン21は2つの凸状突起22,23を特徴とし、凸状突起22,23は、第1のフランジ11と第2のフランジ12の間に形成された凸角の内側に向かって延在し、凹状くぼみ24によって互いに分離されている。凹状くぼみ24の底部は、変形ゾーン21の外側の曲げ線13の直線部分と実質的に同じ平面内に位置することが有利である。
【0052】
凹状くぼみ24の下端は弧状、例えば円弧状又は楕円弧状である。
【0053】
さらに、図11に示すように、凹状くぼみ24はコルゲーション17の中央部分20の全体にわたって延在する。凹状くぼみ24の深さ及び幅は、曲げ線13から第1及び第2の部分18,19の一方及び他方の方向に減少する。凹状くぼみ24は第1及び第2の部分18,19の頂点に接続され、凹状くぼみ24と第1及び第2の部分18,19の各々との間の接続部で凹状が反転する。
【0054】
2つの凸状突起22,23もまたコルゲーション17の中央部分20の全体にわたって延在する。示されている実施形態では、2つの凸状突起22,23の高さは、曲げ線13から第1及び第2の部分18,19の一方及び他方の方向に向かってそれらの分離距離が減少するにつれて高くなる。
【0055】
第1及び第2の部分18,19並びに中央部分20のこのような構成はただ曲げ加工するだけで得られるものであり、したがって、平らに展開することができる構成となっている。換言すれば、コーナー部品2の幾何学的形状は、金属板の材料の長さの変更をなんら生じさせず、又はコーナー部品2の機械的特性を局所的に劣化させる傾向がある金属板の厚さの変更も生じさせないような成形作業によって製造することができる。
【0056】
図13及び図14は、2つの他の実施形態によるコーナー部品2を示す。図13及び図14のコーナー部品は、コーナー部品2の第1のフランジ11と第2のフランジ12との間に形成される角度αがそれぞれ約105°及び165°である点においてのみ、図11を参照して上述したコーナー部品2と異なる。
【0057】
次に、図2から図10を用いて、上述したコーナー部品2を成形することができる曲げ加工システム1と、このような曲げ加工システム1の使用方法について説明する。慣例により、曲げ加工システム1の「長手方向」の向きは、成形されるべきコルゲーション17の第1及び第2の部分18,19の軸の水平面内の突出に対応し、「横方向」の向きは前記長手方向を横切る方向を向くものである。
【0058】
まず、第1のフランジ及び第2のフランジ11,12を互いに対して傾斜して形成するように金属板を予め曲げておく。この後、後述するように、曲げ加工システム1によってコーナー部品2にコルゲーション17が形成される。
【0059】
曲げ加工システム1は、下側フレーム25と、下側フレーム25に対して鉛直方向に移動可能に取り付けられた上側フレーム26とを含む。上側フレーム26は、休止位置と、コルゲーション17を形成するためにコーナー部品2を変形させる曲げ加工位置と、の間で移動可能である。したがって、上側フレーム26は、コーナー部品2の曲げ加工とコルゲーション17の形成とを可能にする圧力をコーナー部品2に加えることができる。上側フレーム26は、図3及び図6にその休止位置にて示されている。また、図2図4及び図5において、上側フレーム26は、曲げ加工されるコーナー部品2が下側ダイクッション27,28と後述する上側ダイクッション42,43,44,45との間で把持される中間クランプ位置で示されている。
【0060】
下側フレーム25は、中央長手方向鉛直方向面の両側それぞれに配置された2つの下側ダイクッション27,28を含む。2つの下側ダイクッション27,28は、各々、コーナー部品2の第1及び第2のフランジ11,12間に形成される角度αに対応する角度で互いに対して傾斜する第1及び第2のベアリング面29,30を有する。第1及び第2のベアリング面29,30は、コーナー部品2の内側が下側フレーム25に向かって下方に向けられるように傾斜している。換言すれば、2つの下側ダイクッション27,28の各々の第1及び第2のベアリング面29,30は、それぞれ、コーナー部品2の第1のフランジ及び第2のフランジ11,12の内面を受けるものである。2つの下側ダイクッション27,28は、上側フレーム26が休止位置から曲げ加工位置に移動する際に、後述するパンチ31が2つの下側ダイクッション27,28の間に収容されることができるように、横方向に互いに離隔している。
【0061】
2つの下側ダイクッション27,28は、図4に示す離隔位置と、示していない近接集合位置との間で、横水平方向に下側フレーム25上をスライドするように各々取り付けられている。この目的のために、例えば図5に示すように、下側ダイクッション27,28は各々2つのキャリッジ32を含み、各キャリッジ32は、下側フレーム25によって支持される関連するガイドレール33上をスライドするように取り付けられている。2つの下側ダイクッション27,28は、示されていないバネ又はガスシリンダのような戻し部材によって離隔位置に向かって付勢される。
【0062】
下側フレーム25は当接要素を含み、当接要素は下側ダイクッション27,28の下側フレーム25に対する移動を制限することを可能にし、したがって、下側フレーム25に対する下側ダイクッション27,28の離隔位置を定めることを可能にする。例えば図6に示すように、各当接要素は、下側フレーム25の縁部の1つに沿って下側フレーム25に固定されるフランジ34を含み、またねじ穴を含み、このねじ穴のなかに横方向に延在するねじ35が配置される。ねじ35の端部は当接面を構成し、離隔位置においてこの当接面に対して下側ダイクッション27,28の一方の相補的当接面が接触する。
【0063】
例えば図2に示すように、各下側ダイクッション27,28は、有利には、ベース36と2つのウェッジ37,38とを含み、下側ダイクッション27,28はベース36を介して下側フレーム25上をスライドするように取り付けられ、2つのウェッジ37,38は下側ダイクッション27,28の第1のベアリング面29及び第2のベアリング面30をそれぞれ形成するとともにベース36に取り外し可能に取り付けられている。本明細書において、ウェッジ37,38は、角鉄39によってベース36に取り付けられている。各ウェッジ37,38は例えば固定ねじによって角鉄39に固定され、角鉄39は例えば固定ねじによってベース36に固定される。角鉄39の形状は、コーナー部品2の第1のフランジ及び第2のフランジ11,12間に形成される角度αに応じてさまざまである。下側ダイクッション27,28の角鉄39及びウェッジ37,38は、異なる角度αを有するコーナー部品2の屈曲に適合する他の角鉄39及びウェッジ37,38と容易に交換できる。
【0064】
さらに、曲げ加工システム1は、例えば図2に見ることができる、上側フレーム26に移動可能に取り付けられている2つの移動アセンブリ40,41を含む。
【0065】
第1の移動アセンブリ40は下側ダイクッション27,28の第1のベアリング面29に対向して配置され、第2の移動アセンブリ41は下側ダイクッション27,28の第2のベアリング面30に対向して配置される。第1の移動アセンブリ40は、下側ダイクッション27,28の第1のベアリング面29の一方及び他方に平行に配置されかつこれらに対向して配置される2つの上側ダイクッション42,43を含み、したがって、上側ダイクッション42,43が中間クランプ位置にあるときに、コーナー部品2の第1のフランジ11を下側ダイクッション27,28の第1のベアリング面29に押し付けてクランプするように構成されている。同様にして、第2の移動アセンブリ41は、下側ダイクッション27,28の第2のベアリング面30の一方及び他方と平行に配置されかつこれらに対向して配置される2つの上側ダイクッション44,45を含み、したがって、上側ダイクッション44,45が中間クランプ位置にあるときに、コーナー部品2の第2のフランジ12を下側ダイクッション27,28の第2のベアリング面30に押し付けてクランプするよう構成されている。
【0066】
より具体的には、上側ダイクッション42,43,44,45は、それぞれ、メイン構造46と、コーナー部品2に接触するように構成されたクランプ面を有するクランプ板47とを含む。各クランプ板47は、それぞれのメイン構造48に横方向に平行にスライドするように取り付けられている。したがって、第1及び第2の移動アセンブリ40,41の各々のクランプ板47は、近接集合位置と離隔位置との間で互いに移動可能である。このために、図6に示すように、クランプ板47は、メイン構造48に固定されたスライドガイドピン50を有する横方向溝49を含む。クランプ板47は、示されていないバネのような戻し部材によってその離隔位置に向かって付勢される。
【0067】
下側ダイクッション27,28及び上側ダイクッション42,43,44,45のクランプ板47は横方向に移動可能であり、上側ダイクッション42,43,44,45が中間クランプ位置にあるときに、パンチ31によってコルゲーション17を形成するためにコーナー部品2が変形され、したがって下側ダイクッション27,28及びクランプ板47はコーナー部品2が曲げられているときにコーナー部品2によって加えられるけん引力による影響によって、それらの近接集合位置に向かって移動する。したがって、これにより、コーナー部品2が曲げられているときにコーナー部品2の厚さが変更されることが回避される。
【0068】
第1及び第2の移動アセンブリ40,41の各々は、第1又は第2の移動アセンブリ40,41の2つの上側ダイクッション42,43,44,45の間に横方向に配置された、図5に示すパンチ31を備えた支持体51を含む。第1及び第2の移動アセンブリ40,41のパンチ31は、それぞれ、コルゲーション17の第1の部分18及び第2の部分19を形成するものである。各パンチ31は、形成されるコルゲーション17の第1の部分18及び第2の部分19の略三角形状又は略半楕円形状の断面に対応するV字形状の断面を有している。第1の移動アセンブリ40のパンチ31のV字形状の部分は下側ダイクッション27,28の第1のベアリング面29に平行な方向に長さ方向に延在し、第2の移動アセンブリ41の示されていないパンチのV字形状の部分は下側ダイクッション27,28の第2のベアリング面30に平行な方向に長さ方向に延在する。
【0069】
各上側ダイクッション42,43,44,45は、それぞれの移動アセンブリ40,41の支持体51に取り付けられ、クランプ板47のクランプ面に直交する方向に移動可能である。例えば図2に示すように、支持体51に対する上側ダイクッション42,43,44,45の移動はガイド装置によって生成され、ガイド装置には、各上側ダイクッション42,43,44,45について、前記上側ダイクッション42,43,44,45に固定されかつ前記上側ダイクッション42,43,44,45のクランプ面に直交するように配向された2つのガイド管52が含まれる。ガイド管52は支持体51に形成された穴の内側をスライドする。また、例えば圧縮バネ又はガスシリンダのような複数の弾性部材53は、上側ダイクッション42,43,44,45に当接する第1の端部と、支持体51に当接する第2の端部とを有する。したがって、弾性部材53は、上側ダイクッション42,43,44,45及び支持体51を、前記上側ダイクッション42,43,44,45のクランプ面に直交する方向に互いに離すように動かす弾性力を発揮する。なお、示されている実施形態では、各弾性部材53の第1の端部は上側ダイクッション42,43,44,45に形成された止まり穴の内側に収容され、第2の端部は支持体51に形成された止まり穴の内側に収容されている。
【0070】
第1及び第2の移動アセンブリ40,41の各々の支持体51は、第1又は第2の移動アセンブリ40,41のパンチ31の長手方向に平行な方向に、上側フレーム26に対してスライドするように取り付けられている。このために、示されている実施形態では、移動アセンブリの各々の支持体51は、各々が上側フレーム26に固定されたキャリッジ55の内側をスライドするように取り付けられたガイドレール54を含む。別の実施形態では、第1及び第2の移動アセンブリ40,41の各々の支持体51は、各々が上側フレーム26によって支持されるガイドレール上をスライドするように取り付けられた2つのキャリッジを含む。
【0071】
示されている有利な実施形態では、第1及び第2の移動アセンブリ40,41の各々の支持体51は、中間要素56上をスライドするように取り付けられている。換言すれば、示されている実施形態では、第1又は第2の移動アセンブリ40,41の各々のキャリッジ55は、中間要素56の1つに固定されている。中間要素56の各々は、図10に詳細に示す取り外し可能な上側ウェッジ57によって上側フレーム26に固定されており、上側ウェッジ57は、一端が固定部材によって上側フレーム26に固定され、他端が固定部材によって中間要素56の1つに固定されている。したがって、上側ウェッジ57を別の角度を有する別の上側ウェッジと交換することによって、パンチ31と上側ダイクッション42,43,44,45のクランプ面との傾斜を、異なる角度αを有するコーナー部品2の屈曲に容易に適合させることができる。
【0072】
さらに、第1及び第2の移動アセンブリ40,41の各々は、上側フレーム26がその休止位置からその曲げ加工位置に移動するときに、下側フレーム25に取り付けられたカム従動子59と協働するように構成された図5に示すカム面58を含んでいる。ここで、カム従動子59は、横方向に延在する水平軸を有するアイドラローラである。さらに、図5に示す実施形態では、カム面58はパンチ31の端部に設けられている。カム面58は、第1又は第2の移動アセンブリ40,41の上側ダイクッション42,43,44,45のクランプ面に直交する面である。したがって、第1又は第2の移動アセンブリ40,41が上側フレーム26にスライド可能に取り付けられ、カム面58とカム従動子59とが協働することにより、第1又は第2の移動アセンブリ40,41の各々の支持体51及びしたがってパンチ31は、移動アセンブリ40,41の上側ダイクッション42,43,44,45のクランプ面に直交する方向、即ち対向するコーナー部品2のフランジ11,12に直交する方向に移動し、同時に、上側フレーム26はその休止位置からその曲げ加工位置に鉛直方向に移動する。
【0073】
さらに、曲げ加工システム1は、コーナー部品2の第1のフランジ11と第2のフランジ12の間の曲げ線を変形させる装置をさらに備えている。
【0074】
曲げ線を変形させる装置は、特に図4に示す中央フィンガ60と2本のフィンガ61,62とを含み、2本のフィンガ61,62は、中央フィンガ60の両側それぞれに横方向に配置されている。この曲げ線を変形させる装置は、図12を参照して上述した略W字状形状を与えるために曲げ線13のゾーンを変形させるよう構成されており、例えば図6に示すように、中央フィンガ60は下側フレーム25に固定され、上側フレーム26に向かって上方に突出している。中央フィンガ60は、曲げ線13とコルゲーション17の第1及び第2の部分18,19の軸との交差部に対向する位置に配置される。例えば図4に示すように、中央フィンガ60は、コーナー部品2が下側ダイクッション27,28上に載置されたときに、コーナー部品2の曲げ線13と同一平面上に位置する。フィンガ61,62は、中央フィンガ60と同じ横方向面内に配置され、中央フィンガ60の両側それぞれに配置される。フィンガ61,62は上側フレーム26によって支持されている。
【0075】
この2本のフィンガ61,62は、中央フィンガ60が凹状くぼみ24を形成しようとする間に、W字状の変形ゾーン21の2つの凸状突起22,23を形成するために曲げ線13を変形させるものである。
【0076】
図7に示すように、2つのフィンガ61,62はフィンガ支持体63上をスライドするように取り付けられている。2本のフィンガ61,62は、より詳細には、図7に示す離隔位置と、示されていない近接集合位置との間で水平横方向にスライドするように取り付けられている。このために、図7に示すように、各フィンガ61,62は、フィンガ支持体63に固定されたガイドレール上に取り付けられたキャリッジに固定されている。本明細書においてはコイルバネである戻し部材64によって、2本のフィンガ61,62がそれらの離隔位置に向かって付勢される。さらに、フィンガ支持体63はフィンガ61,62の横方向移動を制限することを可能にし、したがって、前記フィンガ61,62の離隔位置を定めることを可能にする当接要素65,66を含む。このために、図7に示すように、当接要素65,66はそれぞれ、フィンガ支持体63に固定されるフランジ67を含む。横方向に延在するねじ68は、フランジ67の各々に形成された穴の中に取り付けられている。各ねじの端部の一方は当接面を構成し、この当接面には、フィンガ61,62の一方が離隔位置にあるときに当該フィンガ61,62の一方が固定されているキャリッジが当接する。
【0077】
さらに、フィンガ支持体63は、例えば図2及び図6に示すように、関節式連結機構によって上側フレーム26及び上側ダイクッション42,43,44,45に運動学的に接続される。関節式連結機構は、4つのリンクからなる少なくとも1つの第1のグループを有し、4つのリンクは、第1及び第2の上側リンク68,69と、第1及び第2の下側リンク70,71とを含む。上記にかかわらず、例えば図2に示すように、関節式連結機構は、有利には、互いに同一の、4つのリンクからなる第1及び第2のグループを含み、即ち、一方のグループの4つのリンクの各々は、他方のグループの4つのリンクの各々に対して平行であり同一の関節式連結幾何学的軸を有する。それぞれ4つのリンクからなる2つのグループは、横方向中央分離面の両側それぞれに配置され、したがって力の対称性を確保することができる。
【0078】
4つのリンクからなる2つのグループは同等であるので、2つのグループのうちの1つのみを以下に説明する。図6に戻ると、第1及び第2の上側リンク68,69は、それぞれ、第1の幾何学的軸A及び第2の幾何学的軸Bの周りに上側フレーム26に関節式に連結されていることが分かる。第1及び第2の下側リンク70,71は、第3の幾何学的軸C及び第4の幾何学的軸Dの周りに、同じ移動アセンブリ(ここでは第1の移動アセンブリ40である)の2つの上側ダイクッション42,43の一方及び他方にそれぞれ関節式に連結されている。第1の上側リンク68及び第1の下側リンク70は、第5の幾何学的軸Eの周りに互いに関節式に連結されており、第2の上側リンク69及び第2の下側リンク71は、第6の幾何学的軸Fの周りに互いに関節式に連結されている。
【0079】
6つの幾何学的軸A,B,C,D,E及びFは水平で、長手方向に平行である。軸A及び軸Bは第1の水平面内に延在し、軸C及び軸Dは第2の水平面内に延在し、軸E及び軸Fは第1の水平面と第2の水平面との間に鉛直方向に位置する第3の水平面内に延在する。
【0080】
フィンガ支持体63は、第1のスライド接続部によって、第1の上側リンク68及び/又は第1の下側リンク70に接続される。示されている実施形態では、第1のスライド接続部は、第1の下側リンク70に対する第1の上側リンク68の枢動軸である第5の軸Eを形成する物理スピンドル72と、フィンガ支持体63に形成されたスライドウェイ73と、によって形成されている。物理スピンドル72はスライドウェイ73内を水平方向にスライドする。スライドウェイ73は水平横方向に延在する。フィンガ支持体63は、第2のスライド接続部によって、第2の下側リンク69及び/又は第2の下側リンク71に接続される。第2のスライド接続部は、第2の下側リンク71に対する第2の上側リンク69の枢動軸である第6の軸Fを形成する物理スピンドル74と、フィンガ支持体63内に形成され、内部で物理スピンドル74が水平方向にスライドするスライドウェイ75と、によって形成される。スライドウェイ75は水平横方向に延在する。
【0081】
6つの幾何学的軸A,B,F,D,C,Eは変形可能な関節式連結六角形を画定し、この関節式連結六角形は、上側フレーム26がその休止位置からその曲げ加工位置に移動する際に、上側ダイクッション42,43,44,45がコーナー部品2を下側ダイクッション27,28に押し付けてクランプする中間クランプ位置に到達するとすぐに、6つの幾何学的軸A,B,F,D,C,Eによって形成される六角形が変形され、より詳細には平坦化されるように構成されている。上側ダイクッション42,43,44,45がその中間クランプ位置になるとすぐに、フィンガ支持体63の鉛直方向の相対移動、したがってフィンガ61,62の鉛直方向の移動は、上側フレーム26の鉛直方向の移動よりも小さくなる。換言すれば、関節式連結機構は、上側フレーム25に対するフィンガ61,62の鉛直方向の相対移動を低減可能な低減手段を形成するように構成される。
【0082】
さらに、有利な一実施形態では、上側フレーム26に対するフィンガ支持体63の鉛直方向の移動はガイド装置によってガイドされる。示されている実施形態では、ガイド装置は、特に図6に示すように、フィンガ支持体63に固定された2つのガイド管76を含む。ガイド管76は鉛直方向に延在し、上側フレーム26に形成された穴77の内側をスライドする。
【0083】
関節式連結機構、即ち4つのリンクからなる第1のグループ及び第2のグループは、有利には取り外し可能に取り付けられる。したがって、曲げ加工の対象のコーナー部品2の幾何学的形状に応じて上側フレーム26に対するフィンガ支持体63の運動学を変更することが可能である。
【0084】
同様に、図7及び図9に示すように、フィンガ61,62及び中央フィンガ60も取り外し可能に曲げ加工システムに固定される。さらに、フィンガ61,62及び中央フィンガ60の端部は球形であることが分かる。
【0085】
以下、曲げ加工システム1の使用方法について詳細に説明する。
【0086】
最初に、金属板を予め曲げて、互いに対して傾斜した第1のフランジ11及び第2のフランジ12を有するようにコーナー部品2を形成する。
【0087】
その後、上述したように形成されたコーナー部品2を、下側ダイクッション27,28の第1及び第2のベアリング面29,30の上に位置決めする。第1及び第2のフランジ11,12の内面が下側ダイクッション27,28の第1及び第2のベアリング面29,30に当接するように、コーナー部品2の凸角αは下側フレーム25に向けられる。
【0088】
コーナー部品2が正しく位置決めされると、上側フレーム26がその休止位置からその曲げ加工位置に下方に移動される。上側フレーム26の曲げ加工位置への移動中に、上側ダイクッション42,43,44,45は、コーナー部品2の第1のフランジ11及び第2のフランジ12が上側ダイクッション42,43,44,45のクランプ板47と下側ダイクッション27,28との間にクランプされる中間クランプ位置に到達する。
【0089】
上側ダイクッション42,43,44,45がその中間クランプ位置に到達すると、第1及び第2の移動アセンブリ40,41の各々のカム面58がそれぞれのカム従動子59と協働し、カム従動子59は下側フレーム25に固く取り付けられていることで、上側フレーム26がその曲げ加工位置に向かって移動し続けるときに、第1及び第2の移動アセンブリ40,41が互いに向かって移動しかつ各パンチ31がコーナー部品2の第1又は第2のフランジ11,12に対し直角に移動するように構成されている。したがって、パンチ31は、コルゲーション17の第1の部分18及び第2の部分19を形成するようにコーナー部品2の第1及び第2のフランジ11,12を変形させる。
【0090】
下側ダイクッション27,28のベアリング面とクランプ板のクランプ面との間にコーナー部品2がクランプされると、パンチ31により変形されるコーナー部品2によって下側ダイクッション27,28及びクランプ板47にけん引力が加わることでこれらが近接集合位置に移動する。次いで、下側ダイクッション27,28及びクランプ板47が、パンチ31の動きに同期するかたちで、その近接集合位置に移動する。これにより、コーナー部品2が曲げられているときにコーナー部品2の厚さが変更されることがない又はほとんどないことを保証することができる。
【0091】
また、パンチ31によりコーナー部品2の第1のフランジ及び第2のフランジ11,12が変形されるのと同時に、曲げ線を変形させる装置により曲げ線13が変形される。上記した2本のフィンガにより曲げ線13が中央フィンガ60の両側それぞれにおいて下側フレーム25に向けて変形され、中央フィンガ60により上側フレーム26に向かって反力が作用し、これによって、上述した略W字状形状を有する変形ゾーンを曲げ線13内に形成することができる。コーナー部品2は変形する際にフィンガ61,62にも横方向の力を及ぼし、これによりこれらフィンガが移動する。
【0092】
図15を参照すると、メタンタンカー船170の切り取り図において、船の二重船体172に搭載された略プリズム形状の密閉断熱タンク171が示されている。タンク171の壁は、タンク内に収容されるLNGと接触するように構成された一次密閉バリアと、一次密閉バリアと船の二重船体172との間に配置される二次密閉バリアと、一次密閉バリアと二次密閉バリアとの間及び二次密閉バリアと二重船体172との間にそれぞれ配置された2つの断熱バリアとを含む。
【0093】
知られている方法で船の上甲板上に配置される積み降ろしパイプ173を適切なコネクタによって海上又は港湾ターミナルに接続して、タンク171から又はタンク171にLNG貨物を輸送することができる。
【0094】
図15は、積み降ろしステーション175と、水中パイプ176と、陸上設備177とを備える海上ターミナルの一例を示す。積み降ろしステーション175は、移動アーム174と、移動アーム174を支持するタワー178とを備える固定沖合設備である。移動アーム174は、積み降ろしパイプ173に接続され得る断熱可撓性パイプの束179を支持する。方向付け可能な移動アーム174は全メタンタンカーテンプレートに適合する。不図示の接続パイプがタワー178の内側に延在する。積み降ろしステーション175は、陸上設備177からメタンタンカー170へ又はメタンタンカー170から陸上設備177への積み降ろしを可能にする。この陸上設備は、液化ガス貯蔵タンク180と、水中パイプ176を介して積み降ろしステーション175に接続される接続パイプ181とを備えている。水中パイプ176は、積み降ろしステーション175と陸上設備177の間の液化ガスの長距離、例えば5kmにわたる移送を可能にし、これにより、積み降ろし作業中にメタンタンカー船170を沿岸から遠く離れた距離に保つことが可能になる。
【0095】
液化ガスの輸送に必要な圧力を生成するために、船170に搭載されたポンプ及び/又は陸上設備177に備わるポンプ及び/又は積み降ろしステーション175に備わるポンプが使用される。
【0096】
代替的に、上に記載したコーナー部品は、1つの密閉メンブレンのみを含むタンクの製造のために同様に使用されてもよい。このようなタンクは、一般に、沸点及び大気圧が-55℃を超える液体ガスの輸送に使用される。
【0097】
本発明は、いくつかの特定の実施形態に関連して記載したが、決してこれらに限定されず、記載された手段のすべての技術的均等物及びそれらの組み合わせを含み、これが本発明の範囲内であることは明らかである。
【0098】
「含む」又は「備える」との動詞及びそれらの活用形の使用は、特許請求の範囲に記載されているもの以外の要素又は工程の存在を除くものではない。
【0099】
特許請求の範囲において、括弧内の参照符号は、特許請求の範囲の限定として解釈されるべきではない。
図1
図2
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図6
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図10
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図15