(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】酸化ストレスを治療し、皮膚の健康を回復させるための天然スキンケア組成物および方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9789 20170101AFI20240806BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2021574228
(86)(22)【出願日】2020-06-15
(86)【国際出願番号】 US2020037756
(87)【国際公開番号】W WO2020252461
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2023-05-18
(32)【優先日】2019-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521488576
【氏名又は名称】コーデックス ビューティー コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【氏名又は名称】本田 亜希
(74)【代理人】
【氏名又は名称】臼井 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100128668
【氏名又は名称】齋藤 正巳
(72)【発明者】
【氏名】コーネル,マーク
(72)【発明者】
【氏名】パルダス,バーバラ エー.
(72)【発明者】
【氏名】サンフェザ セプルベダ,ホルヘ イヴァン
【審査官】小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-529499(JP,A)
【文献】特開2000-297042(JP,A)
【文献】特開2000-336024(JP,A)
【文献】特表2014-521698(JP,A)
【文献】特開2013-234140(JP,A)
【文献】特開2002-173414(JP,A)
【文献】Boletin Latinoamericano y del Caribe de Plantas Medicinales y Aromatic as,Vol.8, No.6,pp.479-486 (2009).
【文献】Journal of Ethnopharmacology,Vol.39,pp.221-222 (1993).
【文献】Chilean J. Agric. Anim. Sci.,Vol.34, No.1,pp.1-14 (2018).
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00 - 8/99
A61Q 1/00 - 90/00
A61K 36/00 - 36/05
A61K 36/06
A61K 36/07 - 36/9068
A61K 9/00 - 9/72
A61K 47/00 - 47/69
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化ストレスに苦しむヒトの皮膚への適用を意図した組成物であって、前記組成物が、(1)少なくとも
(a)1~10重量%のAristotelia chilensisの葉抽出物、
(b)0.5~3重量%のBuddleja globosaの葉抽出物、
(c)0.5~3重量%のUgni molinaeの葉抽出物、
(d)1~5重量%のEntada phaseoloidesの樹皮/種子抽出物、
(e)1~5重量%のPfaffia paniculata、Ptychopetalum olacoides、およびLilium candidum抽出物のブレンド、ならびに
(f)1.0~8.0重量%の少なくとも1つの保湿剤、
の混合物と、
(2)乳化剤と、
(3)皮膚科学的に許容される担体と、を含み、
(a)~(f)が、前記皮膚に存在する既存のフリーラジカルを相乗的に中和し、将来のフリーラジカル攻撃に対して皮膚自体を防御するその能力を向上させるために、前記皮膚を積極的にプライミングし、それによって、皮膚の健康および外観を改善し、
前記組成物が、天然であり、皮膚感作有効量の精油を含まず、4.5~5.5の範囲のpHを有し、
前記組成物が、溶液、懸濁液、ローション、クリーム、ゲル、スプレー、軟膏、フォーム、および美容液、あるいはこれらの組合せの形態である、
組成物。
【請求項2】
すべての重量が前記組成物の総重量に基づいて、(a)が、2~5重量%の量で用いられ、(b)が、1~2重量%の量で用いられ、(c)が、1~2重量%の量で用いられ、(d)が、2~3重量%の量で用いられ、(e)が、2~3重量%の量で用いられ、(f)が、2.0~6.0重量%の量で用いられる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
すべての重量が前記組成物の総重量に基づいて、(a)が、2~5重量%の量で用いられ、(b)が、1~2重量%の量で用いられ、(c)が、1~2重量%の量で用いられ、(d)が、2~3重量%の量で用いられ、(e)が、2~3重量%の量で用いられ、(f)が、1.5~4.0重量%の量で用いられる、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
すべての重量が前記組成物の総重量に基づいて、(a)が、1~10重量%の量で用いられ、(b)が、0.5~3重量%の量で用いられ、(c)が、0.5~3重量%の量で用いられ、(d)が、1~5重量%の量で用いられ、(f)が、1.0~6.0重量%の量で用いられる、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
すべての重量が前記組成物の総重量に基づいて、(a)が、2~5重量%の量で用いられ、(b)が、1~2重量%の量で用いられ、(c)が、1~2重量%の量で用いられ、(d)が、2~3重量%の量で用いられ、(f)が、1.5~4.0重量%の量で用いられる、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
すべての重量が前記組成物の総重量に基づいて、(a)が、1~10重量%の量で用いられ、(b)が、0.5~3重量%の量で用いられ、(c)が、0.5~3重量%の量で用いられ、(e)が、1~5重量%の量で用いられ、(f)が、1.0~6.0重量%の量で用いられる、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
すべての重量が前記組成物の総重量に基づいて、(a)が、1~10重量%の量で用いられ、(b)が、0.5~3重量%の量で用いられ、(c)が、0.5~3重量%の量で用いられ、(e)が、1~5重量%の量で用いられ、(f)が、1.0~8.0重量%の量で用いられる、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
すべての重量が前記組成物の総重量に基づいて、(a)が、2~5重量%の量で用いられ、(b)が、1~2重量%の量で用いられ、(c)が、1~2重量%の量で用いられ、(e)が、2~3重量%の量で用いられ、(f)が、2.0~6.0重量%の量で用いられる、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
すべての重量が前記組成物の総重量に基づいて、(a)が、2~5重量%の量で用いられ、(b)が、1~2重量%の量で用いられ、(c)が、1~2重量%の量で用いられ、(e)が、2~3重量%の量で用いられ、(f)が、1.5~4.0重量%の量で用いられる、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物の前記総重量に基づいて、0.1~5重量%の量で用いられるPeumus boldus葉抽出物をさらに含む、請求項1~
9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物の前記総重量に基づいて、0.5~3重量%の量で用いられるPeumus boldus葉抽出物をさらに含む、請求項1~
9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
酸化ストレスに苦しむヒトの皮膚への適用を意図した組成物であって、前記組成物が、(1)
(a)1~5重量%のLactobacillus発酵液、
(b)1~5重量%のLactobacillusおよびCocos nucifera果実抽出物、
(c)最大0.5重量%のサリチル酸、ならびに
(d)0.1~0.5重量%の弱酸の少なくとも1つの塩、ならびに
(e)1~10重量%の、石油を含まない1,3-プロパンジオール、
を含む防腐剤系と、
(2)少なくとも
(f)1~10重量%のAristotelia chilensisの葉抽出物、
(g)0.5~3重量%のBuddleja globosaの葉抽出物、
(h)0.5~3重量%のUgni molinaeの葉抽出物、
(i)1~5重量%のEntada phaseoloidesの樹皮/種子抽出物、
(j)1~5重量%のPfaffia paniculata、Ptychopetalum olacoides、およびLilium candidum抽出物のブレンド、ならびに
(k)1.0~8.0重量%の少なくとも1つの保湿剤、の混合物であって、
(f)~(k)が、前記皮膚に存在する既存のフリーラジカルを相乗的に中和し、将来のフリーラジカル攻撃に対して皮膚自体を防御するその能力を向上させるために、前記皮膚を積極的にプライミングする、混合物と、(3)乳化剤と、(4)皮膚科学的に許容される担体と、を含み、前記組成物が、天然であり、皮膚感作有効量の精油を含まず、かつ4.5~5.5の範囲のpHを有する、組成物。
【請求項13】
すべての重量が前記組成物の総重量に基づいて、(a)が、2~4重量%の量で用いられ、(b)が、2~4重量%の量で用いられ、(c)が、0.1~0.45重量%の量で用いられ、(d)が、0.2~0.4重量%の量で用いられ、(e)が、2~8重量%の量で用いられる、請求項
12に記載の組成物。
【請求項14】
すべての重量が前記組成物の総重量に基づいて、(a)が、2~4重量%の量で用いられ、(b)が、2~4重量%の量で用いられ、(c)が、0.25~0.4重量%の量で用いられ、(d)が、0.2~0.4重量%の量で用いられ、(e)が、4~6重量%の量で用いられる、請求項
12に記載の組成物。
【請求項15】
すべての重量が前記組成物の前記総重量に基づいて、(f)が、2~5重量%の量で用いられ、(g)が、1~2重量%の量で用いられ、(h)が、1~2重量%の量で用いられ、(i)が、2~3重量%の量で用いられ、(j)が、2~3重量%の量で用いられ、(k)が、2.0~6.0重量%の量で用いられる、請求項12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
すべての重量が前記組成物の前記総重量に基づいて、すべての重量が前記組成物の前記総重量に基づいて、(f)が、1~10重量%の量で用いられ、(g)が、0.5~3重量%の量で用いられ、(h)が、0.5~3重量%の量で用いられ、(i)が、1~5重量%の量で用いられ、(j)が、1~5重量%の量で用いられ、(k)が、1.0~6.0重量%の量で用いられる、請求項
12~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
すべての重量が前記組成物の前記総重量に基づいて、すべての重量が前記組成物の前記総重量に基づいて、(f)が、2~5重量%の量で用いられ、(g)が、1~2重量%の量で用いられ、(h)が、1~2重量%の量で用いられ、(i)が、2~3重量%の量で用いられ、(j)が、2~3重量%の量で用いられ、(k)が、1.5~4.0重量%の量で用いられる、請求項
12~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
すべての重量が前記組成物の前記総重量に基づいて、すべての重量が前記組成物の前記総重量に基づいて、(f)が、1~10重量%の量で用いられ、(g)が、0.5~3重量%の量で用いられ、(h)が、0.5~3重量%の量で用いられ、(i)が、1~5重量%の量で用いられ、(k)が、1.0~8.0重量%の量で用いられる、請求項
12~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
すべての重量が前記組成物の前記総重量に基づいて、すべての重量が前記組成物の前記総重量に基づいて、(f)が、2~5重量%の量で用いられ、(g)が、1~2重量%の量で用いられ、(h)が、1~2重量%の量で用いられ、(i)が、2~3重量%の量で用いられ、(k)が、2.0~6.0重量%の量で用いられる、請求項
12~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
すべての重量が前記組成物の前記総重量に基づいて、すべての重量が前記組成物の前記総重量に基づいて、(f)が、1~10重量%の量で用いられ、(g)が、0.5~3重量%の量で用いられ、(h)が、0.5~3重量%の量で用いられ、(j)が、1~5重量%の量で用いられ、(k)が、1.0~8.0重量%の量で用いられる、請求項
12~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
すべての重量が前記組成物の前記総重量に基づいて、すべての重量が前記組成物の前記総重量に基づいて、(f)が、2~5重量%の量で用いられ、(g)が、1~2重量%の量で用いられ、(h)が、1~2重量%の量で用いられ、(j)が、2~3重量%の量で用いられ、(k)が、2.0~6.0重量%の量で用いられる、請求項
12~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
4.8~5.3の範囲のpHを有する、請求項
12~
21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
前記組成物の前記総重量に基づいて、0.1~5重量%の量で用いられるPeumus boldus葉抽出物をさらに含む、請求項
12~
22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
Peumus boldus葉抽出物が、前記組成物の前記総重量に基づいて、0.5~3重量%の量で用いられる請求項
23に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、酸化ストレスに苦しむ皮膚を治療するための組成物および方法に関する。より具体的には、本開示は、酸化ストレスに苦しむ皮膚の抗酸化防御潜在力、水和、およびバリア効果を向上させる組成物および方法に到達するための植物抽出物および防腐剤系の特定の関連の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚は、多くの外因性(環境性)および内因性の要因による損傷を受けやすい。外因性の要因の例としては、太陽から発せられる紫外線(UV)への曝露、ならびにスモッグおよびタバコの煙などの大気汚染に見られる有害な化学薬剤が挙げられる。皮膚に悪影響を与える内因性の要因としては、例えば、経時的老化、ヒトの遺伝子構造、および皮膚内から発生する他の生物学的変化が挙げられる。これらの要因により、皮膚は、皮膚の有害なフリーラジカルによって引き起こされる酸化ストレスに関連する有害な細胞効果を経験する。最も一般的なフリーラジカルの1つは、本質的に不安定な酸素分子である活性酸素種(ROS)である。
【0003】
多くの個人は、美しさおよび豊かさの兆候であると考えている、日焼けをするために日光浴または日焼けベッドを使用して、意図的に有害なUV照射に皮膚をさらす。残念ながら、紫外線照射の直接的効果は審美的および社会的に満足のいくものとみなされ得るが、世界の日焼け止め市場の規模から証明されるように、酸化ストレスのリスクを含む長期的危険性は累積的および潜在的に非常に深刻である。この市場は近年かなり成長しており、毎年多くの新製品が取り入れられている。かつては季節的ビジネスと考えられていたが、現在、一年中注目が必要なものとみなされる。有害な紫外線を吸収および/または反射することを目的とした日焼け止め活性物質は、現在、非常に多様な個人用製品、特に毎日つけることを目的とした化粧品に含まれる。
【0004】
UV光への曝露は、皮膚にフリーラジカルの形成を誘発することが知られている。日光への長期曝露の主要な短期的危険性は、紅斑、すなわち日焼けである。290~320ナノメートルの範囲の波長の紫外線は、UVB波長範囲として指定され、紅斑の主要な原因となる傾向がある。UVA範囲(320~400nm)も紅斑を引き起こすことが知られているが、この波長の紫外線は、より深く皮膚に浸透し、より深いレベルでフリーラジカルの形成を引き起こす能力のために、通称光老化として知られる現象である皮膚の早期老化に重要な役割を果たすことが知られている。
【0005】
本明細書で説明されているように、フリーラジカルは、皮膚の健康な細胞からエネルギーを盗み、酸化ストレスを引き起こす。次に、これにより、皮膚の酵素が活性化され、コラーゲンが分解されて細胞のDNAが損傷し、日焼けおよび早期老化をもたらす。光老化は、皮膚のしわおよび黄変に加えて、ひび割れ、毛細血管拡張症(クモ状血管)、日光角化症(成長)、斑状出血(皮下出血性病変)、弾力性の喪失(たるみ)などの他の身体的変化を特徴とする。
【0006】
スモッグやタバコの煙などの大気汚染などの他の環境性老化要因に関しては、そこに存在する化学物質は、それ自体が、例えば二酸化窒素などのフリーラジカルであるか、またはフリーラジカルの形成を引き起こす能力を有する。これらのフリーラジカルは、皮膚などの生物学的状況内に存在すると、ある分子から別の分子への電子の流れを引き起こす。このプロセスの重要性は、関与する分子の反応性にある。
【0007】
通常の状態では、電子は、対になって原子の周りを周回し、反対のスピンを有する。原子が単一の不対電子を有する場合、その反応性は著しく増加し、その時点でそれはフリーラジカルと呼ばれる。生物学的状況では、フリーラジカルは、タンパク質、DNAなどの隣接する分子、および細胞膜などの重要な細胞構造と無差別に反応する可能性があるため、潜在的に非常に危険である。この電子を盗むプロセスは酸化につながる。これらの反応が多数ある場合、それらは広範な細胞の損傷を引き起こす可能性がある。これらの特殊な分子はフリーラジカルと優先的に反応し、中和するため、損傷の程度は、中和抗酸化細胞防御の利用能に依存する。
【0008】
これらの細胞防御メカニズムは、フリーラジカルを除去するか、フリーラジカルをより毒性の低い化学種に酵素的に変換することにより、フリーラジカルおよびラジカルの反応種が皮膚に引き起こす可能性のある損傷の量を低減するのに役立ち、それによって抗酸化剤と同様の生理学的役割を果たす。しかしながら、体の抗酸化防御システムは、老化プロセスによって損なわれるか、かつ/または、例えば、炎症/紅斑、感染症、および酸化ストレスを特徴とする他の障害によって危険にさらされる可能性がある。
【0009】
酸化ストレスは、皮膚の水の恒常性、すなわち一定の水和レベルを維持する皮膚の能力に悪影響を与えることが見出されている。酸化ストレスによって引き起こされる損傷を打ち消すのを助けるために、皮膚の健康および外観に栄養を与え続けることが重要である。乾燥肌は、男性および女性の両方に等しく影響を与える特に一般的な障害であり、特に高齢者およびそのような状態に遺伝的素因のある個人に蔓延している。乾燥肌に苦しむ人々は、はがれ、痒み、刺激、および全体的にくすんだ、ざらざらした、つやのない皮膚の外観の症状を訴える。
【0010】
さらに、ヒトは年をとるにつれて、彼らの皮膚は水分が皮膚から逃げないようにする助けとなる天然油をより少なく生成し、それによって脱水する傾向がある。水の恒常性の崩壊は、ヒトの皮膚が老化するにつれて早い段階で起こる。これは、細胞レベルで水の流れを調節するタンパク質の1つであるアクアポリン-3の発現が、ヒトが年をとるにつれて減少するためである。水和が不足している皮膚は毒素を取り除くことができず、刺激および炎症をもたらす。したがって、特に皮膚の表層、表皮、および角質層の良好な水和を維持することにより、以下に論じる内因性抗酸化分子、ならびに抗酸化特性を示す化粧品の有効性を実質的に向上させることが可能になり、酸化ストレスを軽減するのに役立つ。特に、適切に水和された皮膚は、皮膚の弾力性を維持するのを助けることによって老化プロセスを遅らせる。
【0011】
皮膚自体は、UVによって誘発される酸化ストレスを防止し、かつ保護するための強力な抗酸化防御メカニズムを有する。これは、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、カタラーゼなどの内因性抗酸化剤、および組織で酸化的変化が発生する前にROSの形成を低減するグルタチオン(GSH)などの他の分子を介して達成される。SODおよびカタラーゼの組み合わせは、スーパーオキシドイオン起点ROSを完全に除去する。残念ながら、長時間のUV曝露は、SOD、カタラーゼなどの皮膚の抗酸化剤、ならびに他のものが、これらの機能を継続的に実行することを防止し、それによって必然的に組織への酸化的損傷と緩和されないROS形成をもたらす。最終的には、光老化および皮膚がんなどの深刻な皮膚障害が発生する可能性がある。
【0012】
酸化ストレスに対する別の重要な防御は、皮膚のバリア機能である。「バリア機能」という用語は、皮膚の最外層である角質層を指し、角質層は、水分を閉じ込め、紫外線およびフリーラジカルなどの有害な要素を排除する責任を担う。皮膚のバリア機能が正常に機能していると、皮膚は、ハリがあり、ふっくらし、かつ水和される。しかしながら、バリア機能が悪化すると、皮膚の健康も悪化する。
【0013】
角質層は、個人と外界との間の主要な防御線であり、環境化学物質および生物学的刺激物が皮膚に浸透するのを防止する。例えば、フリーラジカル、細菌、他の微生物、アレルゲン、有毒化学物質、UV光などは、角質層によって皮膚に浸透するのを遮断される。
【0014】
外部からの攻撃からの保護は、角質層によって提供される非常に重要な機能であるが、さらに重要な機能は水の流出を防止することである。角質層は、平らにされた細胞または「角質細胞」が複数の階層状になったもので構成されており、各々が脂肪の厚いコーティングに包まれている。角質層をレンガの壁と比較すると、細胞の階層状のものはレンガであり、それらを包む脂肪マトリックスはモルタルである。これらが一緒になって、バリアを形成し、皮膚の含水量を内部に保つことで、皮膚のハリ、水和、弾力性を保ち、しわになりにくくする。
【0015】
その重要性にもかかわらず、角質層によって形成されるバリアは非常に繊細であり、ヒトが年をとるにつれて薄くなりやすい。さらに、外部からの攻撃または細胞の水分喪失のいずれかによる角質層への任意の攻撃は、環境への害、乾燥、刺激、発疹、たるみ、および他の老化の兆候の影響を受けやすい敏感な脱水皮膚につながる可能性がある。皮膚が乾燥していると、炎症を引き起こし、次に、酒さ、にきび、湿疹、早期老化を引き起こす可能性のある刺激物およびアレルゲンに対してより透過性が高くなる。
【0016】
上記を考慮すると、すでに酸化ストレスに苦しんでいる皮膚を効果的に治療し、さらなる酸化ストレスから保護するために、少なくとも3つの問題に取り組む必要があることは明らかである。第一に、皮膚が経験している既存の酸化ストレスを終わらせるために、現在皮膚に存在するフリーラジカルを中和する必要がある。第二に、中和する前に皮膚に存在するフリーラジカルによって引き起こされる酸化ストレスの結果として失われた任意の水/水分を補充するために、皮膚を再水和する必要がある。最後に、外因性および内因性の両方の要因から生じるフリーラジカルによるさらなる攻撃から皮膚を保護するのを助けるために、皮膚のバリア機能を修復する必要がある。
【0017】
したがって、酸化ストレスを治療または対処し、皮膚中のフリーラジカルを中和し、皮膚を再水和し、皮膚のバリア機能を修復することによって皮膚の健康を回復させるスキンケア組成物および方法が必要とされている。
【0018】
外因性および内因性要因の両方の影響に関連する悪影響と戦うことによって、皮膚の健康および外観を向上させることを目的とした市場で、従来の化粧品は不足していない。しかしながら、化粧品業界は最近、有機/天然であると思われるこれらの製品のサブカテゴリを採用しており、現在、消費者はこれらのタイプの商品に向かう傾向がある。これらの製品は、健康および環境的利点を持つと考えられている。このような製品の基本的な考え方に沿って、消費者はまた、それらがパラベンフリー、フタル酸フリー、硫酸塩フリー、シリコーンフリー、合成無香料フリー、アルコールフリー、フェノキシエタノールフリー、またはそうでなければ無害性であることを期待している。このカテゴリの有機/天然製品は、世界のパーソナルケアおよび化粧品セグメントで最も急速に成長している製品の1つになっている。
【0019】
「天然」および「有機」成分のある特定の閾値を満たす製品に対する業界の顕著なニーズに応えて、「天然」および「有機」として満たされる公定基準の欠如と関連して、防腐剤配合は、家内工業的に行われており、消費者は、天然抽出物、植物性の薬剤、または天然源に由来する他の成分を含有する製品に引き寄せられ、一方で、健康への有害反応を引き起こすか、または引き起こす疑いがあることが知られている成分を有する製品を避けている。残念ながら、この場当たり的なアプローチ、ならびに効果的な防腐剤配合物を生成するための習得した知識および経験の分散化により、多くの効果のない解決策がもたらされ、通常、関連する化粧品消費者製品の貯蔵寿命および有用性が低下する。
【0020】
局所消費者製品での天然および有機防腐剤の使用に一貫性および信頼性をもたらすために、様々な第三者認証が確立されている。例えば、ECOCERT(登録商標)は、ヨーロッパに拠点を置く有機認証機関であり、80か国以上で検査を実行しており、世界最大の有機認証機関の1つとなっている。ECOCERT(登録商標)は、主に食品および食品製品を認証するが、化粧品、洗剤、香水、繊維も認証し、フェアトレードの食品、化粧品、および繊維の主要な認証者である。
【0021】
別の例は、BDIH(ドイツ)、Cosmebio(フランス)、Ecocert Greenlife SAS(フランス)、ICEA(イタリア)、およびSoil Association(イギリス)の5つの創立メンバーによって策定された欧州全体の非公式基準であるCosmetic Organic Standard(COSMOS)である。これらの団体は、すべてAISBL(ブリュッセルに本拠を置く国際的な非営利団体)の下で統合され、その目的は、最低限の共通要件を設定し、有機および天然の化粧品認証規則を調和させ、セクターの利益のために機関に働きかけることであった。COSMOSは、ECOCERT(登録商標)基準の原則を使用し、有機農業からの成分の使用を促進し、環境に配慮し、ヒトの健康に安全な生産および製造プロセスを使用し、「環境保全型の化学物質」の概念を含み、拡大することである。
【0022】
有機食品を管理する米国の連邦規制の枠組みである全米オーガニックプログラム(NOP)は、さらに別の認証である。NOPの中心的な使命は、米国農務省(USDA)のオーガニック証印の完全性を保護することである。証印は、少なくとも95%の有機成分を含有するUSDA基準に準拠する製品に使用される。
【0023】
したがって、業界は、非合成成分を使用する「天然の」化粧品配合物を開発するための努力を強化している。このアプローチは、化粧品業界がフェノキシエタノールなどの刺激の強い刺激性合成成分を使用することにより、一貫した製品の完全性、性能、および貯蔵寿命を備えた化粧品を開発することを可能にした合成成分ベースのアプローチとは異なる。
【0024】
したがって、酸化ストレスを治療または対処し、皮膚の健康を回復するためのスキンケア組成物および方法が必要とされており、それらの組成物は、効果的な広域スペクトル防腐剤保護を提供し、酸化ストレスの治療のために、成分と促進または協力しながら、天然であり、かつ刺激の強い刺激性合成成分を含まない。
【0025】
一般に、皮膚への植物抽出物の使用が知られている。しかしながら、存在する植物抽出物候補の膨大な数と、使用できる抽出技術および溶媒のみに基づいて、製造された組成物が安定であり、その所望の目的に有用であるという両方の保証なしに、事実上ごくわずかな数の製品を処方することができる。結果として、本発明者らが発見したように、天然で、非常に効果的で、安定である、皮膚感作成分の非存在下で、皮膚治療製品を処方する能力は、困難な挑戦である。任意の抽出技術および溶媒を使用して、任意の濃度で、ランダムな植物抽出物の混合物を、そこに含まれるすべての異種成分が互いに適合し、意図された利点および特性をもたらすことを期待して、ただ単に組み合わせることができない。
【0026】
例えば、米国特許第4,933,177号は、皮膚に適用するためのある特定の植物成分の使用を開示している。しかしながら、この参考文献には、皮膚の健康および外観を向上させることができる有効な、天然製品を処方するために、使用する成分、抽出技術、および溶媒の正確な関連付け、ならびに避けるべき成分の種類に関する特定の教示または提案を欠いている。
【0027】
同様に、米国特許第7,678,768号、GB2485483、WO2006/032091、WO2012/033422、WO2013/149323、およびWO2019/002714はすべて、多数の潜在的な用途のために皮膚に適用するための植物成分を開示している。しかしながら、これらの参考文献は、処方者が利用できるパズルのピースの候補のサンプルサイズが小さいことを開示しているだけでなく、これらの各成分を使用できる量と、考慮しなければならない他のすべての変数も考慮すると、植物抽出物を配合する際の考慮事項、つまり、目的の製品にうまく到達することは、干し草の山から証明用の針を見つけるようなものであると言うことは、確かに控えめな表現である。
【0028】
スキンケア組成物における植物成分の使用に関連する主要な抑止力の1つは、効力の喪失、臭気の偏差、および変色によって証明されるように、製品におけるそれらの相対的な不安定性に関連している。これらの否定的な属性は、微生物汚染および増殖、不安定性、ならびに製品の不十分な安全性のリスクを高める。この問題は、組成物が「天然」であるとみなされる必要がある場合、さらに深刻になる。従来使用される合成、無機、および/または石油由来の成分を配合者のツールボックスから排除すると、有効でありながら安定した皮膚治療製品を製造する能力が大幅に妨げられる。当業者は、日常的な実験を通じて、目的の製品に到達するために、どの植物抽出物、補助成分、賦形剤、溶媒、および各々の量を組み合わせることができるかを決定できると主張するかもしれない。しかしながら、前述のように、選択できる成分の数に基づいて存在する組み合わせ順列の膨大な数を考慮すると、このような製品の成功した処方は、日常的な実験と対立するものとして、運および偶然性により基づいている。
【0029】
前述に基づいて、本開示の実施形態の目的は、酸化ストレスに苦しむ皮膚を治療およびプライミングするのに有効である、天然、有機、およびECOCERT(登録商標)承認済みのスキンケア組成物ならびに方法を提供することである。
【0030】
本開示の実施形態の別の目的は、皮膚を積極的にプライミングし、フリーラジカル攻撃から自身を防御するその能力を向上させることができる、天然、有機、およびECOCERT(登録商標)承認済みの組成物ならびに方法を提供することである。
【0031】
本開示の実施形態の別の目的は、酸化ストレスを治療または対処し、かつ/またはフリーラジカル攻撃に対して皮膚をプライミングしながら、天然成分を使用して効果的な広域スペクトル抗微生物活性を提供するスキンケア組成物および方法を提供することである。
【発明の概要】
【0032】
本開示は、ヒトの皮膚への適用を意図した組成物に関するものであって、組成物は、(1)少なくとも(a)Aristotelia chilensisの葉抽出物、(b)Buddleja globosaの葉抽出物、(c)Ugni molinaeの葉抽出物、ならびに(d)任意選択で、Entada phaseoloidesの樹皮/種子抽出物、(e)任意選択で、Pfaffia paniculata、Ptychopetalum olacoides、およびLilium candidum抽出物のブレンド、ならびに(f)少なくとも1つの保湿剤、の混合物と、(2)乳化剤と、(3)皮膚科学的に許容される担体と、を含み、(a)~(f)は、皮膚に存在する既存のフリーラジカルを相乗的に中和するのに十分な量で用いられるが、フリーラジカル攻撃に対して皮膚自体を防御するその能力を向上させるために、皮膚を積極的にプライミングし、それによって、皮膚の健康および外観を改善し、組成物は、天然である。
【0033】
別の実施形態によれば、本開示はまた、ヒトの皮膚への適用を意図した組成物に関するものであって、組成物は、(1)防腐剤系と、(2)少なくとも(a)Aristotelia chilensisの葉抽出物、(b)Buddleja globosaの葉抽出物、ならびに(c)Ugni molinaeの葉抽出物、ならびに(d)任意選択で、Entada phaseoloidesの樹皮/種子抽出物、(e)任意選択で、Pfaffia paniculata、Ptychopetalum olacoides、およびLilium candidum抽出物のブレンド、ならびに(f)少なくとも1つの保湿剤、の混合物と、(3)乳化剤と、(4)皮膚科学的に許容される担体と、を含み、(a)~(f)は、皮膚に存在する既存のフリーラジカルを相乗的に中和するのに十分な量で用いられるが、フリーラジカル攻撃に対して皮膚自体を防御するその能力を向上させるために、皮膚を積極的にプライミングし、それによって、皮膚の健康および外観を改善し、組成物は、天然であり、皮膚感作有効量の精油を含まず、かつ約4.5~約5.5、好ましくは約4.8~5.3の範囲のpHを有する。
【0034】
本開示はまた、上記で開示された組成物の1つを皮膚に適用することによってその健康および外観を向上させるために、酸化ストレスに苦しむか、または苦しむリスクのある皮膚を治療およびプライミングする方法に関する。
【0035】
別の実施形態によれば、本開示はまた、皮膚を積極的にプライミングし、将来のフリーラジカル攻撃に対してそれ自体を防御するその能力を向上させる方法に関する。
【0036】
さらに別の実施形態によれば、本開示は、酸化ストレスを治療または対処するためのスキンケア組成物および方法と協力する天然の防腐剤系に関する。防腐剤系は、2019年10月30日に出願された同時係属中の出願16/669,045で論じられ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるような防腐剤系であり得る。
【0037】
さらに別の実施形態によれば、本開示は、日焼け止めクリームまたは日焼け止め製品として皮膚に適用することを意図としたスキンケア組成物に関する。
【0038】
本開示のこれらおよび他の特徴、態様および利点は、本開示を読むことから当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
本開示の上記ならびに他の利点および特徴を得ることができる方法を説明するために、添付図面に図示されている、その特定の実施形態を参照することにより、上記で簡単に説明した本開示のより具体的な説明を行う。これらの図面は、本開示の典型的な実施形態のみを描写しており、したがって、その範囲を限定するとみなされるべきではないと理解されている。本開示は、以下の添付図面を使用することにより、追加の具体性および詳細とともに記載および説明される。
【0040】
【
図1】本開示の実施形態の成分を含む異なる組成物に応答するスーパーオキシドジスムターゼ活性のレベルを示す。
【
図2】本開示の実施形態の成分を含む異なる組成物に応答するスーパーオキシドジスムターゼ活性のレベルを示す。
【
図3】本開示の実施形態の成分の透過スペクトルを示す。
【
図4】本開示の一実施形態による、組成物中の例示的な全天然防腐剤系を使用する微生物チャレンジアッセイの結果を示す。
【
図5】本開示の別の実施形態による、組成物中の例示的な全天然防腐剤系を使用する微生物チャレンジアッセイの結果を示す。
【
図6】本開示の別の実施形態による、組成物中の例示的な全天然防腐剤系を使用する微生物チャレンジアッセイの結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本開示の目的のために、「天然」という言葉の使用は、当該技術分野で「環境保全型の」、「クリーン」、「有機」、「持続可能な」、「生態系に優しい」、または「環境に優しい」と呼ばれ、使用されている用語と同義のECOCERT(登録商標)承認済みの成分または配合物を包含することを意図する。例えば、「天然」という用語は、ホリスティックまたはホメオパシー配合物の文脈で使用され得、植物系、パラベンフリー、および/または非毒性であるそれらの局所消費者製品および/または防腐剤系を含むことを意図する。
【0042】
さらに、防腐剤または防腐剤系の抗微生物特性の文脈で使用される場合、「広域スペクトル」という用語は、局所的な消費者製品を減衰するかまたはだめにする広範囲の微生物の増殖を阻害するか、または死滅させる能力を有する本開示の防腐剤または防腐剤系を説明することを意図する。例えば、「広域スペクトル」防腐剤系は、広範囲の細菌および真菌、好ましくは広範囲のグラム陽性およびグラム陰性細菌、酵母、カビ、ならびに/または他の真菌の増殖を阻害するか、または死滅させる。
【0043】
本開示の組成物は、本開示の構成要素、ならびに本明細書に記載の他の成分を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれらからなることができる。本明細書で使用される「含む」という用語は、他の成分、賦形剤、使用、また他との包含、使用、協力を制限することなく、本開示の防腐剤系および化粧品組成物で使用することができる様々な任意の互換性のある構成要素を含むことを意味する。本明細書で使用される「本質的にからなる」という用語は、組成物または構成要素が追加の成分を含み得ることを意味するが、追加の成分が組成物または方法の基本的および新規の特性を実質的に変化させない場合に限る。
【0044】
本明細書で使用される場合、「好ましい」、「好ましくは」という用語、およびその変形は、ある特定の状況下で、ある特定の利点をもたらす本開示の実施形態を指す。しかしながら、他の実施形態もまた、同じまたは他の状況下で好ましい場合がある。さらに、1つ以上の好ましい実施形態の列挙は、他の実施形態が有用ではないことを意味するものではなく、他の実施形態を本開示の範囲から除外することを意図するものではない。
【0045】
本明細書で使用される数値範囲は、具体的に開示されているかどうかにかかわらず、その範囲内に含まれるすべての数および数のサブセットを含むことを意図している。さらに、これらの数値範囲は、その範囲内の任意の数または数のサブセットに関する特許請求の指示を提供するものとして解釈されるべきである。
【0046】
本明細書で使用されるすべてのパーセンテージ、部分、割合、および比率は、特に明記しない限り、全組成物の重量当たりである。記載されている成分に関連するすべてのそのような重量は、活性レベルに基づいている。
【0047】
本開示の単数形の特性または制限へのすべての言及は、特に明記しない限り、または言及がなされた文脈によって反対の意味が明確に示唆されない限り、対応する複数形の特性または制限を含み、逆もまた同様である。
【0048】
本明細書で引用されたすべての刊行物、記事、論文、特許、特許刊行物、および他の参考文献は、本明細書の開示と一致する範囲で、すべての目的のためにそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0049】
本明細書に記載の「プライミング」および「プライミングすること」という用語は、将来の酸化ストレスから皮膚を積極的に保護するために、ヒトの皮膚のバリア機能を再水和/保湿および修復するプロセスを指す。
【0050】
本明細書に記載の「酸化ストレス」という用語は、外因性および/または内因性の要因によって引き起こされる、活性酸素種(ROS)および/またはフリーラジカルと皮膚に存在する抗酸化剤との間のバランスの乱れを指す。外因性の要因としては、例えば、UV照射への曝露、汚染、および刺激の強い化学物質を含有する製品が挙げられる。内因性の要因としては、例えば、経時的老化、ヒトの遺伝子構造、および皮膚内から発生する他の生物学的変化が挙げられる。
【0051】
本明細書に記載の「皮膚感作有効量」という用語は、個人の皮膚との接触後にアレルギー応答を引き起こす可能性がある揮発性精油の量を除外することを意味する。皮膚感作は、炎症性皮膚反応を引き起こす物質への以前の曝露に対する免疫応答である。アレルギー性皮膚反応は通常、赤く、痒みを伴う、でこぼこの発疹として現れる。スキンケア組成物中のそれらの量に応じて、皮膚感作を引き起こす可能性がある揮発性精油のタイプの例としては、フランキンセンス、ミルラ、およびスイートオレンジが挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
本明細書に記載の「フリーラジカル」という用語は、皮膚が、UV照射への曝露を含む外因性の要因、および汚染および、例えば、硬性表面洗浄製品に通常見られる有害な化学薬剤などの環境性ストレス要因によって引き起こされる酸化ストレスを経験するときに形成されるそれらのROSを指す。
【0053】
本開示は、一般に、ヒトの皮膚の健康および外観を向上させるために酸化ストレスを効果的に軽減すると同時に、または代替的に、皮膚がさらなるフリーラジカル攻撃に対して皮膚自体を防御することを可能にするための組成物および方法に関する。さらに、組成物はまた、天然、有機、およびECOCERT(登録商標)承認済みであるため、合成および/または石油由来の成分が含まれていない。
【0054】
驚くべきことに、天然であり、皮膚感作有効量の精油を含まない組成物は、少なくとも(a)Aristotelia chilensisの葉抽出物、(b)Buddleja globosaの葉抽出物、(c)Ugni molinaeの葉抽出物、(d)任意選択で、Entada phaseoloidesの樹皮/種子抽出物、ならびに(e)任意選択で、Pfaffia paniculata、Ptychopetalum olacoides、およびLilium candidum抽出物のブレンド、を含む特定の植物注入物の混合物を含み、皮膚に適用されると、皮膚の健康および外観を保護するために酸化ストレスを相乗的に軽減すると同時に、皮膚をプライミングして、さらなるフリーラジカル攻撃に対して皮膚自体を防御することを可能にすることが、本発明者らによって発見された。
【0055】
Aristotelia chilensisの葉抽出物は、チリのバルディブの温帯多雨林にある南アメリカ原産のElaeocarpaceae科の小さな雌雄異株の常緑樹の葉に由来し、maquiとも呼ばれる。抽出物は、大量のアントシアニン、インドールアルカロイド、フラボノイドを含有していることが見出されている。これらの化合物は、フリーラジカルを中和し、皮膚のDNAを保護するのに役立つ抗酸化剤の供給源として機能する。
【0056】
この抽出物はまた、アントシアニジンデルフィニジンが豊富であることが見出されている。“NADPH oxidase is a novel target of delphinidin for the inhibition of UVB-induced MMP-1 expression in human dermal fibroblasts,”Lim TG,Jung SK,Kim Y,Lee HJ,Jang TS,Lee KW,John Wiley & Sons Ltd,Experimental Dermatology,2013,22,417-437という名称の研究では、デルフィニジンは、皮膚コラーゲンの分解を引き起こすことが知られている、皮膚のUVB誘発性MMP-1発現を阻害するのに有効であることが報告された。皮膚の様々な酵素系は、ROS生成の引き起こすのに重要な役割を果たす酵素系NADPHオキシダーゼ(NOX)を含む、内因性ROS生成に関連付けられている。したがって、NOXの活性化はROS誘発性皮膚の老化と密接に関連していることが研究によって示されている。この研究は、デルフィニジンがヒト皮膚線維芽細胞におけるUVB誘発性MMP-1発現を顕著に阻害し、それがNOX酵素活性化を阻害し、それが次にROS生成を阻害するため、この特定のアントシアニジンが光老化を防止する可能性があると結論付けた。
【0057】
この抽出物は、N-Active EIRLからEthniCare(登録商標)MAQUIの商品名で市販されている。
【0058】
Aristotelia chilensisの葉抽出物は、組成物の総重量に基づいて、好ましくは、約1~約10重量%、かつ最も好ましくは約2~約5重量%の量で用いられる。
【0059】
Buddleja globosaの葉抽出物は、チリおよびアルゼンチンに固有の顕花植物の一種であるorange ball buddleja、別名maticoの葉に由来する。抽出物は、2つのカフェー酸誘導体とともに、グリコシドフラボノイドと、ベルバスコシド、イリドイド、トリテルペノイド、ジおよびセスキテルペノイドなどのフェニルエタノイドを含有することが見出されている。これらの化合物は、強力な抗酸化効果を持ち、線維芽細胞の増殖を促進する能力があるため、創傷治癒に有望であることが示されている。この特定の葉抽出物はまた、植物油に含まれる不飽和植物ステロールであるスチグマステロールも豊富である。
【0060】
“Analgesic,anti-inflammatory,and antioxidant properties of Buddleja globosa,Buddlejaceae,”Backhouse N,Rosales L,Apablaza C,Goity L,Erazo S,Negrete R,Theodoluz C,Rodriguez J,Delporte C J,Ethnopharmacol.2008 Mar 5;116(2):263-9という名称の記事では、スチグマステロールが豊富な分画を有する植物抽出物およびβ-シトステロールは、抗炎症特性を示すことが報告された。この抽出物は、N-Active EIRLからEthniCare(登録商標)MATICOの商品名で市販されている。
【0061】
Buddleja globosaの葉抽出物は、組成物の総重量に基づいて、好ましくは、約0.5~約3重量%、かつ最も好ましくは約1~約2重量%の量で用いられる。
【0062】
Ugni molinaeの葉抽出物は、チリで一般的に見られるフトモモ科の木質常緑低木の葉に由来し、スペイン語でmurataという名前でも知られている。抽出物は、没食子酸、カテキン、ケルセチン、ミリセチン、およびケンフェロールを含む様々なフェノール化合物が含有することが見出されている。これらの化合物は、ROS生成、脂質過酸化、およびスーパーオキシドアニオン生成に対して強力な抗酸化活性を持つことが見出されている。
【0063】
“MURTA(Ugni molinae Turcz.):A REVIEW ON CHEMICAL COMPOSITION,FUNCTIONAL COMPONENTS AND BIOLOGICAL ACTIVITIES OF LEAVES AND FRUITS,”Lopez J,Vega-Galvez A,Rodriguez A,Uribe E,Bilbao-Sainz C,Chilean J.Agric.Anim.Sci.,ex Agro-Ciencia(2018)34(1):1-14という名称の記事では、Ugni molinaeの葉抽出物は、大量のフラボノイド(アントシアニン、フラボノール、フラバノール)、凝縮および加水分解性タンニン、スチルベノイド(レスベラトロール)、ならびに抗酸化作用と抗微生物活性の両方を持つ、フェノール酸を有することが見出された。先に述べたように、アントシアニンは、皮膚の健康および外観に悪影響を与えることが示されている現象である、酸化ストレスを防止する抗酸化/フリーラジカル除去特性を持つことが見出されている。
【0064】
Ugni molinaeの葉抽出物は、組成物の総重量に基づいて、好ましくは、約0.5~約3重量%、かつ最も好ましくは約1~約2重量%の量で用いられる。この抽出物は、N-Active EIRLからEthniCare(登録商標)MURTAの商品名で市販されている。
【0065】
Entada phaseoloidesの樹皮/種子抽出物は、アフリカ、アジア、オーストラリア、および西太平洋で見られるFabaceae科の木質の常緑つる植物の種子に由来する。その主要な分子としては、Entadamide AおよびPhaseoloidinが挙げられる。Entadamide Aは、皮膚のウロカニン酸の異性化を制限し、それによって炎症と免疫抑制を阻害し、同時に紫外線吸収剤としても機能する。ホモゲンチジン酸グルコシドであるPhaseoloidinは、優れたフリーラジカル除去能を持つ分子である。
【0066】
“Experimental evaluation of anti-inflammatory effect of topical application of entada phaseoloides seeds as paste and ointment,”Dawane J,Pandit V,Rajopadhye B,N Am J Med Sci.2011 Nov;3(11):513-517という名称の記事では、Entada phaseoloides樹皮/種子抽出物を含有するペーストおよび軟膏の局所適用は、強力な抗炎症特性を有することが確認された。
【0067】
Entada phaseoloides樹皮/種子抽出物は、組成物の総重量に基づいて、約1~約5重量%の量で、かつ好ましくは約2~約3重量%の量で用いられる。この抽出物は、Allendale,NJに本社を置く、Biosil Technologies,Inc.からEntadine(登録商標)の商品名で販売されている。
【0068】
本開示のブレンドは、Pfaffia paniculata、Ptychopetalum olacoides、およびLilium candidum抽出物を含む。Pfaffia paniculataの根の抽出物は、南アメリカで一般的に見られるAmaranthaceae科の植物に由来する。これは、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、フィトステロール、プファフ酸、プファフォシド、アラントイン、粘液、およびサポニンの存在を特徴とする抽出物である。この抽出物は、抗炎症、免疫刺激、および鎮痛の特性を持つことが見出されている。
【0069】
Ptychopetalum olacoidesの樹皮/茎の抽出物は、中央アマゾンの森林に固有のOlacaceae科の顕花植物に由来する。抗酸化特性を持つ抽出物は、アルカロイド、有機酸およびタンニンが豊富な樹脂材料、微量の精油、ステロール、トリテルペンアルコール、ルペオールの存在を特徴とする。
【0070】
Lilium candidum抽出物は、Liliaceae科の球根および花に由来する。これは、アミノ酸、フラボノイド、グリコシド、およびステロイドの存在を特徴とし、抗真菌性および抗炎症の特性を持つことが見出されている。Pfaffia paniculata、Ptychopetalum olacoides、およびLilium candidum抽出物のブレンドは、サンパウロに本社を置くブラジルの会社であるChemyunion LTDAからBioskinup(商標) Contour 3Rの名前で市販されている。
【0071】
ブレンドは、組成物の総重量に基づいて、約1~約5重量%の量で、かつ好ましくは約2~約3重量%の量で、本開示の実施形態で用いられる。
【0072】
本開示の組成物は、皮膚の水和および保湿をさらに向上させるために少なくとも1つの保湿剤をさらに含み、それにより、向上されたプライミングを提供する。保湿剤は通常、組成物の総重量に基づいて、好ましくは、約1.0~約6.0重量%、かつ好ましくは約1.5~約4.0重量%の量で用いられる。好適な保湿剤の例としては、ヒアルロン酸およびその誘導体、例えばヒアルロン酸ナトリウムおよび加水分解ヒアルロン酸、レシチン、アロエベラ、パンテノール、グリセリン、ならびに海藻が挙げられるが、これらに限定されない。本開示のスキンケア組成物および方法の実施形態で使用するための特に好ましい保湿剤は、加水分解されたヒアルロン酸である。
【0073】
本開示の一実施形態によれば、酸化ストレスに苦しむまたは苦しむリスクのあるヒトの皮膚への適用を意図した組成物が提供され、組成物は、すべての重量が組成物の総重量に基づいて、(1)少なくとも(a)約1~約10重量%、かつ好ましくは約2~約5重量%のAristotelia chilensisの葉抽出物、(b)約0.5~約3重量%、かつ好ましくは約1~約2重量%のBuddleja globosaの葉抽出物、(c)約0.5~約3重量%、かつ好ましくは約1~約2重量%のUgni molinaeの葉抽出物、(d)任意選択で、約1~約5重量%、かつ好ましくは約2~約3重量%のEntada phaseoloidesの樹皮/種子抽出物、(e)任意選択で、約1~約5重量%、かつ好ましくは約2~約3重量%のPfaffia paniculata、Ptychopetalum olacoides、およびLilium candidum抽出物のブレンド、ならびに(f)約1~約8重量%、かつ好ましくは約2~約6重量%の少なくとも1つの保湿剤、の混合物と、(2)乳化剤と、(3)皮膚科学的に許容される担体と、を含み、(a)~(f)は、皮膚に存在する既存のフリーラジカルを中和するのに十分な量で用いられ、同様にさらなるフリーラジカル攻撃に対して防御し、それによって皮膚の健康および外観を向上させ、組成物は、天然である。
【0074】
本開示の別の実施形態では、本発明者らは、驚くべきことに、特定の量の、Lactobacillus発酵液、LactobacillusおよびCocos nucifera(ココナッツ)果実抽出物、サリチル酸(いくつかの実施形態では任意)、ソルビン酸カリウムなどの弱酸の塩、ならびに任意選択で石油を含まないプロパンジオールの組み合わせを含む天然防腐剤系が、特定のpH範囲を有する組成物に組み込まれる場合、効果的に組成物上および組成物中の微生物の増殖を禁止および阻害することを発見した。
【0075】
本開示のLactobacillus発酵液は、好ましくは、全組成物の約1~約5重量%、好ましくは約2~約4重量%、かつより好ましくは約2~約4重量%の量で用いられる。「Lactobacillus発酵液」は、細菌Lactobacillus属菌による定義された増殖培地の発酵後に得られる溶液を指し得る。発酵中、Lactobacillus細菌は、適切な濃度で、および/または他の抗微生物剤と組み合わせて、広域スペクトルの抗微生物保護を提供できる抗微生物ペプチドを生成する。例示的なLactobacillus発酵液は、Leucidal(登録商標)SFの商標名にてActive Micro Technologiesから市販されている。
【0076】
LactobacillusおよびCocos nucifera果実抽出物は、Lactobacillusで発酵され、かつ/または本開示のLactobacillus発酵液に含まれる任意のCocos nucifera果実抽出物を含むことができ、好ましくは、全組成物の約1~約5重量%、好ましくは約2~約4重量%の量で用いられる。「Lactobacillusで発酵させたCocos nucifera果実抽出物」は、定義された増殖培地の代わりに、Cocos nucifera(ココナッツ)果実抽出物のLactobacillus発酵後に得られた溶液を指す場合がある。その結果、真菌、特に酵母やカビの増殖を適切な濃度で、および/または他の抗微生物剤と組み合わせて防止するのに有効な、実質的に異なる抗微生物製品である。例示的なLactobacillusおよびCocos nucifera抽出物は、Amticide(登録商標)Coconutの商標名にてActive Micro Technologiesから市販されており、通常、LactobacillusおよびCocos nucifera(ココナッツ)果実抽出物という化粧品成分の国際命名法(INCI)名に関連する。
【0077】
存在する場合、サリチル酸は、好ましくは、全組成物の最大約0.5重量%、好ましくは約0.1~約0.45重量%、かつより好ましくは約0.2~約0.4重量%の量で用いられる。組成物の総重量に基づいて、約0.5重量%の、または約0.5重量%超の量のサリチル酸の使用は、組成物を、米国での商業化および販売の前にFDAの承認を必要とする薬物にするという点に留意すべきである。いくつかの実施形態では、サリチル酸は、Lactobacillus発酵液、LactobacillusおよびCocos nucifera果実抽出物、ならびに/または本明細書により詳細に記載される他の成分の濃度を調整することによって除外され得る。
【0078】
弱酸の塩は、好ましくは、全組成物の最大約0.5重量%、好ましくは約0.1~約0.45重量%、かつより好ましくは約0.2~約0.4重量%の量で用いられる。好ましい弱酸の塩は、ソルビン酸カリウム(すなわち、ソルビン酸のカリウム塩)である。それらの塩の形態で使用され得る他の弱酸には、酢酸、プロピオン酸、および安息香酸が含まれるが、これらに限定されない。
【0079】
石油を含まない1,3-プロパンジオールなどのプロパンジオールは、典型的には、全組成物の約1~約10重量%、好ましくは約2~約8重量%、かつより好ましくは約4~約6重量%の量で用いられる。例示的な石油を含まない1,3-プロパンジオールは、Zemea(登録商標)プロパンジオールの商標名にてDupont Tate & Lyle Bio Productsから市販されており、INCI名のプロパンジオールに関連し得る。
【0080】
本発明者らは、本開示の防腐剤系が微生物の増殖を効果的に阻害する能力が、それが使用される組成物のpHに決定的に依存することを予期せず発見した。例えば、防腐剤系がpH6を有する組成物で用いられる場合、それは、許容される保管安定性/貯蔵寿命に必要とされる必要な広域スペクトル保護を提供することができない。したがって、本開示の防腐剤系を含む組成物のpHは、約4.5~約5.5、かつ好ましくは約4.8~約5.3の範囲であり得る。
【0081】
本開示のこの実施形態によれば、ヒトの皮膚の健康および外観を向上させるために、ヒトの皮膚への適用を意図した組成物が提供され、組成物は、すべての重量が組成物の総重量に基づいて、(1)(a)約1~約5重量%、好ましくは約2~約4重量%のLactobacillus発酵液、(b)約1~約5重量%、好ましくは約2~約4重量%のLactobacillusおよびCocos nucifera果実抽出物、(c)最大約0.5重量%、好ましくは約0.1~約0.45重量%、かつ最も好ましくは約0.25~約0.4重量%のサリチル酸、(d)約0.1~約0.5重量%、かつ好ましくは約0.2~約0.4重量%の弱酸、好ましくはソルビン酸カリウムの少なくとも1つの塩、ならびに(e)約1~約10重量%、好ましくは約2~約8重量%、かつ最も好ましくは約4~約6重量%の1,3-プロパンジオール、を含む防腐剤系と、(2)少なくとも(f)約1~約10重量%、かつ好ましくは約2~約5重量%のAristotelia chilensisの葉抽出物、(g)約0.5~約3重量%、かつ好ましくは約1~約2重量%のBuddleja globosaの葉抽出物、(h)約0.5~約3重量%、かつ好ましくは約1~約2重量%のUgni molinaeの葉抽出物、(i)任意選択で、約1~約5重量%、かつ好ましくは約2~約3重量%のEntada phaseoloidesの樹皮/種子抽出物、(j)任意選択で、約1~約5重量%、かつ好ましくは約2~約3重量%のPfaffia paniculata、Ptychopetalum olacoides、およびLilium candidum抽出物のブレンド、ならびに(k)約1~約8重量%、かつ好ましくは約2~約6重量%の少なくとも1つの保湿剤、の混合物と、(3)乳化剤と、(4)皮膚科学的に許容される担体と、を含み、(f)~(k)は、皮膚に存在する既存のフリーラジカルを中和し、さらなるフリーラジカル攻撃に対して防御するのに十分な量で用いられ、それによって皮膚の健康および/または外観を向上させ、組成物は、天然であり、皮膚感作有効量の精油を含まず、かつ約4.5~約5.5、好ましくは約4.8~5.3の範囲のpHを有する。
【0082】
本開示の別の実施形態では、ヒトの皮膚の健康および外観を向上させるために、ヒトの皮膚への適用を意図した組成物が提供され、組成物は、すべての重量が組成物の総重量に基づいて、(1)(a)約1~約5重量%、好ましくは約2~約4重量%のLactobacillus発酵液、(b)約1~約5重量%、好ましくは約2~約4重量%のLactobacillusで発酵させたCocos nucifera果実抽出物、(c)約0.1~約0.45重量%、好ましくは約0.25~約0.4重量%のサリチル酸、(d)最大約0.5重量%、好ましくは約0.2~約0.4重量%の弱酸、好ましくはソルビン酸カリウムの少なくとも1つの塩、ならびに(e)約1~約10重量%、好ましくは約2~約8重量%、かつ最も好ましくは約4~約6重量%の、石油を含まないプロパンジオール、を含む防腐剤系と、(2)少なくとも(f)約1~約10重量%、かつ好ましくは約2~約5重量%のAristotelia chilensisの葉抽出物、(g)約0.5~約3重量%、かつ好ましくは約1~約2重量%のBuddleja globosaの葉抽出物、(h)約0.5~約3重量%、かつ好ましくは約1~約2重量%のUgni molinaeの葉抽出物、(i)任意選択で、約1~約5重量%、かつ好ましくは約2~約3重量%のEntada phaseoloidesの樹皮/種子抽出物、(j)任意選択で、約1~約5重量%、かつ好ましくは約2~約3重量%のPfaffia paniculata、Ptychopetalum olacoides、およびLilium candidum抽出物のブレンド、ならびに(k)約1~約8重量%、かつ好ましくは約2~約6重量%の少なくとも1つの保湿剤、の混合物と、(3)乳化剤と、(4)皮膚科学的に許容される担体と、を含み、(f)~(k)は、皮膚に存在する既存のフリーラジカルを中和し、さらなるフリーラジカル攻撃に対して防御するのに十分な量で用いられ、それによって皮膚の健康および/または外観を向上させ、組成物は、天然であり、皮膚感作有効量の精油を含まず、かつ約4.5~約5.5、好ましくは約4.8~5.3の範囲のpHを有する。
【0083】
本開示のさらに別の実施形態によれば、ヒトの皮膚の健康および外観を向上させるために、ヒトの皮膚への適用を意図した組成物が提供され、組成物は、すべての重量が組成物の総重量に基づいて、(1)(a)約1~約5重量%、好ましくは約2~約4重量%のLactobacillus発酵液、(b)約1~約5重量%、好ましくは約2~約4重量%のLactobacillusで発酵させたCocos nucifera果実抽出物、(c)約0.1~約0.45重量%、好ましくは約0.25~約0.4重量%のサリチル酸、(d)約0.1~約0.5重量%、好ましくは約0.2~約0.4重量%の弱酸、好ましくはソルビン酸カリウムの少なくとも1つの塩、ならびに(e)約1~約10重量%、好ましくは約2~約8重量%、かつ最も好ましくは約4~約6重量%の、石油を含まない1,3-プロパンジオール、を含む防腐剤系と、(2)少なくとも(f)約1~約10重量%、かつ好ましくは約2~約5重量%のAristotelia chilensisの葉抽出物、(g)約0.5~約3重量%、かつ好ましくは約1~約2重量%のBuddleja globosaの葉抽出物、(h)約0.5~約3重量%、かつ好ましくは約1~約2重量%のUgni molinaeの葉抽出物、(i)任意選択で、約1~約5重量%、かつ好ましくは約2~約3重量%のEntada phaseoloidesの樹皮/種子抽出物、(j)任意選択で、約1~約5重量%、かつ好ましくは約2~約3重量%のPfaffia paniculata、Ptychopetalum olacoides、およびLilium candidum抽出物のブレンド、ならびに(k)約1~約8重量%、かつ好ましくは約2~約6重量%の少なくとも1つの保湿剤、の混合物と、(3)乳化剤と、(4)皮膚科学的に許容される担体と、を含み、(f)~(k)は、皮膚に存在する既存のフリーラジカルを中和し、さらなるフリーラジカル攻撃に対して防御するのに十分な量で用いられ、それによって皮膚の健康および/または外観を向上させ、組成物は、天然であり、皮膚感作有効量の精油を含まず、かつ約4.5~約5.5、好ましくは約4.8~5.3の範囲のpHを有する。
【0084】
本開示のさらに別の実施形態では、ヒトの皮膚の健康および外観を向上させるために、ヒトの皮膚への適用を意図した組成物が提供され、組成物は、すべての重量が組成物の総重量に基づいて、(1)(a)約2~約4重量%のLactobacillus発酵液、(b)約2~約4重量%のLactobacillusで発酵させたCocos nucifera果実抽出物、(c)約0.25~約0.4重量%のサリチル酸、(d)約0.2~約0.4重量%の弱酸、好ましくはソルビン酸カリウムの少なくとも1つの塩、ならびに(e)約4~約6重量%の、石油を含まない1,3-プロパンジオール、からなる防腐剤系と、(2)少なくとも(f)約1~約10重量%、かつ好ましくは約2~約5重量%のAristotelia chilensisの葉抽出物、(g)約0.5~約3重量%、かつ好ましくは約1~約2重量%のBuddleja globosaの葉抽出物、(h)約0.5~約3重量%、かつ好ましくは約1~約2重量%のUgni molinaeの葉抽出物、(i)任意選択で、約1~約5重量%、かつ好ましくは約2~約3重量%のEntada phaseoloidesの樹皮/種子抽出物、(j)任意選択で、約1~約5重量%、かつ好ましくは約2~約3重量%のPfaffia paniculata、Ptychopetalum olacoides、およびLilium candidum抽出物のブレンド、ならびに(k)約1~約8重量%、かつ好ましくは約2~約6重量%の少なくとも1つの保湿剤、の混合物と、(3)乳化剤と、(4)皮膚科学的に許容される担体と、を含み、(f)~(k)は、皮膚に存在する既存のフリーラジカルを中和し、さらなるフリーラジカル攻撃に対して防御するのに十分な量で用いられ、それによって皮膚の健康および/または外観を向上させ、組成物は、天然であり、皮膚感作有効量の精油を含まず、かつ約4.5~約5.5、好ましくは約4.8~5.3の範囲のpHを有する。
【0085】
本開示の別の実施形態によれば、ヒトの皮膚の健康および外観を向上させるために、ヒトの皮膚への適用を意図した組成物が提供され、組成物は、すべての重量が組成物の総重量に基づいて、(1)(a)約2~約4重量%のLactobacillus発酵液、(b)約2~約4重量%のLactobacillusで発酵させたCocos nucifera果実抽出物、(c)約0.25~約0.4重量%のサリチル酸、(d)約0.2~約0.4重量%の弱酸、好ましくはソルビン酸カリウムの少なくとも1つの塩、ならびに(e)約4~約6重量%の、石油を含まない1,3-プロパンジオール、からなる防腐剤系と、(2)少なくとも(f)約1~約10重量%、かつ好ましくは約2~約5重量%のAristotelia chilensisの葉抽出物、(g)約0.5~約3重量%、かつ好ましくは約1~約2重量%のBuddleja globosaの葉抽出物、(h)約0.5~約3重量%、かつ好ましくは約1~約2重量%のUgni molinaeの葉抽出物、(i)任意選択で、約1~約5重量%、かつ好ましくは約2~約3重量%のEntada phaseoloidesの樹皮/種子抽出物、(j)任意選択で、約1~約5重量%、かつ好ましくは約2~約3重量%のPfaffia paniculata、Ptychopetalum olacoides、およびLilium candidum抽出物のブレンド、ならびに(k)約1~約8重量%、かつ好ましくは約2~約6重量%の少なくとも1つの保湿剤、の混合物と、(3)乳化剤と、(4)皮膚科学的に許容される担体と、を含み、(f)~(k)は、皮膚に存在する既存のフリーラジカルを中和し、さらなるフリーラジカル攻撃に対して防御するのに十分な量で用いられ、それによって皮膚の健康および/または外観を向上させ、組成物は、天然であり、皮膚感作有効量の精油を含まず、かつ約4.5~約5.5、好ましくは約4.8~5.3の範囲のpHを有する。
【0086】
本開示の別の実施形態によれば、ヒトの皮膚の健康および外観を向上させるために、ヒトの皮膚への適用を意図した組成物が提供され、組成物は、すべての重量が組成物の総重量に基づいて、(1)(a)約4重量%のLactobacillus発酵液、(b)約4重量%のLactobacillusで発酵させたCocos nucifera果実抽出物、(c)約0.4重量%のソルビン酸カリウム、ならびに(e)約4重量%の、石油を含まない1,3-プロパンジオール、からなる防腐剤系と、(2)少なくとも(f)約1~約10重量%、かつ好ましくは約2~約5重量%のAristotelia chilensisの葉抽出物、(g)約0.5~約3重量%、かつ好ましくは約1~約2重量%のBuddleja globosaの葉抽出物、(h)約0.5~約3重量%、かつ好ましくは約1~約2重量%のUgni molinaeの葉抽出物、(i)任意選択で、約1~約5重量%、かつ好ましくは約2~約3重量%のEntada phaseoloidesの樹皮/種子抽出物、(j)任意選択で、約1~約5重量%、かつ好ましくは約2~約3重量%のPfaffia paniculata、Ptychopetalum olacoides、およびLilium candidum抽出物のブレンド、(k)約1~約8重量%、かつ好ましくは約2~約6重量%の少なくとも1つの保湿剤、の混合物と、(3)乳化剤と、(4)皮膚科学的に許容される担体と、を含み、(f)~(j)は、皮膚に存在する既存のフリーラジカルを中和し、さらなるフリーラジカル攻撃に対して防御するのに十分な量で用いられ、それによって皮膚の健康および/または外観を向上させ、組成物は、天然であり、皮膚感作有効量の精油を含まず、かつ約4.5~約5.5、好ましくは約4.8~5.3の範囲のpHを有する。
【0087】
皮膚科学的に許容される担体は、多種多様な形態を包含することができる。場合によっては、組成物中の構成要素の溶解性または分散性が、担体の形態および特性を決定する可能性がある。非限定的な例としては、単純な溶液(例えば、水溶性または無水)、分散液、乳濁液、および固体形態が挙げられる。ある特定の実施形態では、皮膚科学的に許容される担体は、エマルジョンの形態である。エマルジョンは、一般に、連続水相(例えば、水中油型および水中油中水型)または連続油相(例えば、油中水型または水中油型)を有するものとして分類することができる。油相は、皮膚感作を引き起こさない限り、任意の植物油を含み得るが、特に好ましい油の構成要素は、アーモンド油である。
【0088】
本発明者らは、驚くべきことに、アーモンド油の使用により、植物抽出物中に存在する化合物が、皮膚感作精油を使用する必要なしに、所望の程度の有効性をさらに促進しながら、皮膚に効果的に浸透することを可能にすることを発見した。これは、アーモンド油が、ベータ動物ステロール、スクアレン、アルファトコフェロールに富んでおり、少量の炭水化物、タンパク質、ビタミン、ならびにビタミンB群(ビタミンB1、B2、B3、B5、B6、B7、B9、B12を含む)および亜鉛などのミネラルを含んでいるためである。さらに、アーモンド油の植物性化学物質は、表面レベルの増殖および皮膚細胞の発達を促進するのに効果的であると考えられている。使用してもよい他の油としてはまた、オリーブ油、ホホバ油、ババス油、ヒマシ油、ココナッツ油、トウモロコシ油、綿実油、亜麻仁油、マスタード油、サフラワー油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ種子油、小麦胚芽油、アルガン油、およびマルラ油などの植物油が挙げられるが、これらに限定されない。
【0089】
組成物を乳化することができる任意の成分は、それが天然で、かつ/または皮膚科学的に許容される限り、本開示の趣旨から逸脱することなく乳化剤として用いることができる。それらの例としては、ステアリン酸グリセリル、セチルアルコール、ステアロイル乳酸ナトリウム、ソルビタンオリベート、セテアリルオリベート、セテアリルアルコール、セテアリルグルコシド、ナトリウムセテアリルサルフェートなどが挙げられるが、これらに限定されない。乳化剤がパーム油を含まないことも特に好ましい。
【0090】
本開示のスキンケア組成物は、溶液、懸濁液、ローション、クリーム、ゲル、スプレー、軟膏、フォーム、および化粧液を含むがこれらに限定されない非常に多様な製品形態で消費者に利用可能にされ得る。例えば、シェービング後の皮膚への適用を意図した製品は、シェービングプロセスによって引き起こされる皮膚への機械的ストレスに関連する刺激を軽減するのを助けるために、上記の組成物を基本処方として使用して処方することができる。
【0091】
一実施形態では、日焼け止めまたは日焼け止めクリームとして機能するために、日光への曝露前または曝露中に皮膚に適用することを意図した製品は、基本処方として上記の組成物に従って処方することができる。
【0092】
本開示の実施形態によれば、組成物はまた、必要に応じて、適切な任意の成分をさらに含むことができる。例えば、組成物は、スキンケア組成物の利点を容認できないほど変化させず、天然であり、かつ/または皮膚感作を促進しないという条件で、任意選択で他の活性または不活性成分を含むことができる。任意の成分の正確な量は、当業者によって決定されるであろう。
【0093】
用いてもよい任意の添加剤成分の例としては、保湿剤、皮膚軟化剤、フラボノイド、ミネラル、キレート剤、pH調節剤/緩衝液、レオロジー修飾剤、植物ステロール、ビタミンB3化合物、甘草抽出物などの抗炎症薬、ビサボロール、Rubia属の植物から抽出されるマンジスタ(manjistha)、コミフォラ属の植物から抽出されたグガル、キラジャサポナリア抽出物、コラ抽出物、カモミール、レッドクローバー抽出物、シーホイップ抽出物、ハイビスカス抽出物、ルクマ抽出物、イチジク抽出物、紅藻抽出物、シーケール抽出物、アイスランドモス抽出物、サスカトゥーンベリー抽出物、シベリアジンセン抽出物、スプルースニードル抽出物、バーチバーク抽出物、ヤロウイア抽出物、マリーゴールド抽出物、およびシバムギ抽出物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0094】
本開示の有効性をさらに増強するために、用いてもよい追加の成分としては、例えば、Peumus boldus(Boldo)葉抽出物、Astrocaryum murumuru種子バター、Butyrospermum parkii(シア)バター、Theobroma grandiflorum種子バター、Spondias mombinパルプ抽出物、Mangifera indicaパルプ抽出物、Musa sapientumパルプ抽出物、Mauritia flexuosa果物油、Physalis angulata抽出物、セスキカプリル酸キシリチル、Vaccinium myrtillus種子油、Cucubita pepo種子抽出物、リノール酸、リノレン酸、Centella asiatica葉抽出物、Tamarindus indica種子多糖体、Zanthoxylum bungeanum果物抽出物、Lactococcus発酵溶解物、Bellis perennis花抽出物、Coffea arabica種ケーキ抽出物、Coffea arabica種子油、綿実油、亜麻仁油、Pichia発酵溶解物濾液、および乳清タンパク質を挙げてもよい。
【0095】
本開示の組成物で使用するための特に好ましい任意の成分は、約1~約15重量%、好ましくは約2~約5重量%の量で用いられ得る皮膚軟化剤、およびそれらの間のすべての重量である。好ましい皮膚軟化剤の例としては、Astrocaryum murumuru種子バターおよびTheobroma grandiflorum種子バターなどの種子バターが挙げられるが、これらに限定されない。これらの種子バターは、本開示の組成物に向上された程度のエモリエンスを提供する。特に好ましい種子バターは、Astrocaryum murumuru種子バターである。
【0096】
上記の成分に加えて、ある特定のタイプの補助成分もまた、皮膚に酸化ストレスを誘発するUV照射によって引き起こされるフリーラジカルの形成を予防的に阻害するために、光阻害を促進するために本開示の組成物に添加され得る。
【0097】
このような補助成分の例としては、ポンゴロテの木に由来するポンガミアグラブラ(カランジャ)種子油、ベータカロチンが豊富なドナリエラサリナ藻抽出物、アスタキサンチンが豊富なヘマトコッカスプルビアリス藻抽出物、マイコスポリン様のアミノ酸、酸化亜鉛、二酸化チタンが豊富な紅藻が挙げられるが、これらに限定されない。
【0098】
Peumus boldus(Boldo)葉抽出物は、組成物の重量に基づいて、用いられる場合、通常、約0.1~約5.0重量%、例えば、約0.5~約3.0重量%、および約1.0~約2.0重量%の量で使用される。
【0099】
本開示のさらに別の実施形態では、上記で開示された組成物の1つを皮膚に適用することによって、その健康および/または外観を向上させるために、酸化ストレスに苦しむか、または酸化ストレスに苦しむリスクのある皮膚を治療および/おまたはプライミングする方法に関する。
【0100】
本開示のさらなる実施形態は、上記で開示された組成物の1つを皮膚に適用することによって、将来のフリーラジカル攻撃に対してそれ自体を防御するヒトの皮膚の能力を積極的にプライミングおよび向上させる方法が提供される。
【実施例】
【0101】
本明細書に記載の以下の実施例は、例示のみを意図としており、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなくその多くの変形が可能であるため、いかなる方法でも開示の範囲を制限することを意図するものではない。実施例では、特に明記しない限り、すべての濃度が重量パーセントとして記載されている。
【0102】
実施例1
Aristotelia chilensis + Buddleja globosa + Ugni molinaeの葉抽出物(以下、「EthniCare(登録商標)M3」)の混合物を、酵素アッセイを介して溶解物細胞内の総グルタチオン定量化およびスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)活性について評価した。Waltham,MAのThermo Fisher Scientificから入手可能なMultiscan GOモノクロメータを使用して、総グルタチオンについては410nm、SODについては450nmで吸光度の読み取りを実施した。定量値は、Anal.Biochem,72:248-254で記載されているように、Bradford法を使用してサンプル中の総タンパク質によって正規化された。
【0103】
初代ヒト線維芽細胞を、75cm2のフラスコに播種し培養し、5%CO2の存在下で、37℃のインキュベーター中で増殖させた。コンフルエントに達したら、細胞をウェルプレートに播種し、過酸化水素および定量メディエーターに曝露した。
【0104】
統計的評価では、最初にANOVA検定を使用して結果の変動を測定し、その後、ボンフェローニ事後検定を使用してANOVAの結果をさらに正確にした。5%の有意水準が使用された。
【0105】
図1の棒グラフ100は、酸化ストレス群H
2O
2 108およびベースライン対照106と比較した、様々な量のEthniCare(登録商標)M3 110、112、114に曝露されたヒト線維芽細胞におけるSOD活性の量を示す(P<0.001)。
【0106】
ここで、EthniCare(登録商標)M3 110、112、114は、SOD活性の増加に基づいて、様々な濃度レベルで酸化ストレスに対する保護効果の顕著な増加をもたらし、標準偏差は3であることがわかる。したがって、ヒト線維芽細胞をH2O2 108に曝露することによって引き起こされる酸化ストレスは、SOD活性の減少をもたらしたが、その後のEthniCare(登録商標)M3による曝露は、SOD活性を約100%増加させた。
【0107】
ヒト線維芽細胞における総グルタチオン産生に関して、以下の
図2の棒グラフ200は、EthniCare(登録商標)M3を使用したときに得られる保護効果をさらに裏付けている。
【0108】
ここでも、EthniCare(登録商標)M3は、総グルタチオン産生の増加に基づいて、EthniCare(登録商標)M3の様々な濃度レベル210、212、214で、酸化ストレスに対するヒト線維芽細胞保護効果を顕著に増加させ、同じ標準偏差が3であることがわかる。したがって、H2O2 208曝露によって引き起こされるヒト線維芽細胞への酸化ストレスは総グルタチオンの減少をもたらしたが、その後のEthniCare(登録商標)M3 210、212、214への曝露は総グルタチオン産生を顕著に増加させた。
【0109】
図1および2の結果は、抗酸化メディエーターSODおよび総グルタチオンを調節することによって細胞の抗酸化能力を強化する能力の観点から、EthniCare(登録商標)M3によって実現される顕著な抗酸化活性を実証している。
【0110】
実施例2
この実施例では、可視光への長期曝露が、望ましくない皮膚の色素沈着(ダークスポット)、炎症、および酸化的光老化の原因となる酸化ストレスを誘発することが示されているため、400~700nmの範囲の可視光に対するEthniCare(登録商標)M3の光保護効果を評価した。「青色光」とも呼ばれる可視青色放射線(440~485nm)は、UVA光およびUVB光の両方よりも皮膚の奥深くまで、コラーゲンおよびエラスチンが存在する真皮まで浸透する能力がある。太陽を除いて、スマートフォンおよびコンピューターの画面などの電子機器は、ほとんどの人々が日常的に大量に曝露される青色光を発光する。このような曝露が皮膚に及ぼす可能性のある潜在的な負の光老化の結果は、気がかりなことである。
【0111】
その遮断能力を評価するために、EthniCare(登録商標)M3の薄膜をHelioScreen LabのHelioplate HD6基板に塗布した。次いで、透過スペクトルは、日本の京都の島津製作所から入手可能な積分球を備えたUV 2450島津分光光度計(ISR-240A)を使用して得られた。スペクトル掃引範囲は400~700nmで、精度を確保するために3回測定が行われ、その結果は、
図3の記載されている。
【0112】
図3のグラフ300からわかるように、440~485nmの範囲、すなわちUV範囲における青色光の平均透過率306は、約67%であり、平均は約69%である。したがって、青色光照射の約31%、つまり3分の1が、EthniCare(登録商標)M3によって効果的に遮断され、酸化ストレスおよび光老化による損傷を阻害する能力がさらに証明された。
【0113】
実施例3
葉抽出物であるAristotelia chilensisおよびUgni molinaeを評価して、UVB放射線へ曝露すると望ましくないチミジン二量体を形成するのを防止する能力を決定した。皮膚がUVB放射線に曝露されると、DNAのチミジン塩基がUVB放射線を吸収して、DNAにチミジン二量体(チミン二量体としても知られる)を形成し、DNAを複製して適切に機能する細胞の努力を複雑にする。この実験では、ヒト表皮の多層モデルを形成するために培養された正常なヒト由来の表皮性ケラチノサイトからなる皮膚モデルを使用して、インビトロのチミジン二量体アッセイを実施した。
【0114】
組織の1つの群をAristotelia chilensisの葉抽出物で7日間処理し、別の群の組織をUgni molinaeの葉抽出物で7日間試験し、3番目の群を未処理のままにした。次いで、3つの群すべての組織群は、300mJ/cm2のUVB放射線に曝露した。次いで、DNAを抽出し、チミジン二量体の含有量をアッセイした。
【0115】
次いで、DNAを固定化し、チミジン二量体に特異的な抗体とインキュベートした。次いで、一次抗体を、蛍光色素にコンジュゲートした二次抗体で検出した。次いで、蛍光色素に特異的な励起レーザーおよび発光フィルターの組み合わせで膜をスキャンしたため、各サンプルの蛍光強度はサンプルに存在するチミジン二量体の量に比例し、蛍光強度が低いほどUVB放射線による細胞の損傷レベルが低いことを有利に示す。チミジン二量体アッセイの結果は、以下の表1に記載されており、平均相対蛍光単位(RFU)±標準偏差として表される。
【表1】
【0116】
表1のデータは、未処理の組織と比較して、5%濃度のAristotelia chilensisで処理した組織では、約41%のチミジン二量体形成が減少し、4%濃度のUgni molinaeで処理した組織では、約25%のチミジン二量体形成が減少したことを示し、したがって、UVB誘発性DNAの損傷に対するそれらの光保護効果を証明している。
【0117】
実施例4
この実施例では、EthniCare(登録商標)M3を評価して、皮膚の紅斑(すなわち、日焼け)への効果を決定した。合計10人のボランティアが採用され、各々が20回連続して前腕に透明な医療用テープを塗布し、かつ除去することによって引き起こされる機械的に誘発された紅斑にさらされた。紅斑の測定は、Koln,GermanyのCourage & Khazaka electronic GmbHから入手可能なMexameter(登録商標)MX18およびMultiprobe Adapter MPA-5を使用して実行された。機械的損傷の直後に最初の測定が行われ、その後30分および60分間隔で2回の追加測定が行われた。結果は、EthniCare(登録商標)M3で治療されたすべてのボランティアが、30分後に41%の紅斑の減少を経験し、60分後に76%の紅斑の減少を経験したことを示し、それによって、外傷性紅斑に苦しむ皮膚を鎮静するEthniCare(登録商標)M3の能力が証明された。
【0118】
これらの結果は、EthniCare(登録商標)M3の使用が、紅斑に苦しむ皮膚に鎮静作用を提供することを示す。
【0119】
実施例5
この実施例では、EthniCare(登録商標)M3を評価して、培養中の表皮性ケラチノサイトにおける一酸化窒素の生成に対する効果を決定した。UV照射、汚染物質、化学的刺激物、美的治療などの外部の攻撃者に皮膚が曝露されると、しばしば炎症反応を引き起こし、紅斑および浮腫をもたらし、両方とも痛みを伴い、見苦しいことはよく知られている。炎症を示す要因の1つは、神経伝達、平滑筋収縮性、血小板反応性、免疫細胞の細胞毒性活性などの生理学的プロセスを調節するために、様々な細胞によって内因的に生成される一酸化窒素(NO)である。ほんの数例を挙げると、関節リウマチおよび慢性腸炎などの病態で高レベルのNOが見出されている。
【0120】
培養表皮性ケラチノサイト(PAM212ケラチノサイト)は、EthniCare(登録商標)M3:1%、3%、および5%の3つの濃度レベルで処理された。培養細胞は最初に一酸化窒素シンターゼを発現させられ、L-アルギニンからNOが生成された。対照は、培養細胞に添加されたNOシンターゼの選択的阻害剤であり、NO生成を完全に(100%)阻害した。比色計を使用してNO生成を測定した。得られた結果は、1%でEthniCare(登録商標)M3はNO生成の58.0%を阻害し、3%で46.2%を阻害し、5%で25.3%を阻害したことを示し、皮膚の炎症を軽減する効果を証明した。
【0121】
実施例6
本開示による組成物を評価して、マイクロ防腐剤有効性試験(PET)チャレンジに首尾よく合格するその能力を決定した。試験された組成物は、以下の表2に記載されている。
【表2】
【0122】
上記の表2に列挙された例示的なスキンケア組成物について実施された微生物チャレンジアッセイの結果のグラフ表示は、
図4に図示されている。
図4のグラフ400に見られるように、微生物チャレンジアッセイを開始した後404日目の関数としてのコロニー形成単位(CFU)/gサンプル402の対数を示し、組成物は、2日目までに、Pseudomonas aeruginosa、Staphylococcus aureus、Escherichia coli、室内汚染物質、Pseudomonas fluorescens、Aspergillus brasiliensis、およびCandida albicansの各々を低減させ、微生物種のいずれにもその後の上昇は見られなかった。上記の試験結果は、本開示の防腐剤系をEthniCare(登録商標)M3と組み合わせて使用して、組成物の保存が成功したことを確認している。
【0123】
実施例7
本開示の別の実施形態による組成物を評価して、マイクロPETチャレンジに首尾よく合格するその能力を決定した。試験された組成物は、以下の表3に記載されている。
【表3】
【0124】
図5のグラフ500に見られるように、微生物チャレンジアッセイを開始した後504日目の関数としてのCFU/gサンプル502の対数を示し、組成物は、2日目までに、Pseudomonas aeruginosa、Staphylococcus aureus、Escherichia coli、室内汚染物質、Pseudomonas fluorescens、およびCandida albicans、7日目までにAspergillus brasiliensisの各々を低減させ、微生物種のいずれにもその後の上昇は見られなかった。上記の試験結果は、本開示の防腐剤系をEthniCare(登録商標)M3と組み合わせて使用して、組成物の保存が成功したことを確認している。
【0125】
実施例8
本開示による組成物を評価して、マイクロ(PET)チャレンジに首尾よく合格するその能力を決定した。試験された組成物は、以下の表4に記載されている。
【表4】
【0126】
図6のグラフ600に見られるように、微生物チャレンジアッセイを開始した後604日目の関数としてのCFU/gサンプル602の対数を示し、組成物は、2日目までに、Pseudomonas aeruginosa、Staphylococcus aureus、Escherichia coli、室内汚染物質、Pseudomonas fluorescens、およびCandida albicans、7日目までにAspergillus brasiliensisの各々を低減させ、微生物種のいずれにもその後の上昇は見られなかった。上記の試験結果は、本開示の防腐剤系を、本開示の実施形態による酸化ストレスの治療のためのスキンケア組成物のEthnicare(登録商標)M3、Entadine(登録商標)、および/または他の成分と組み合わせて使用して、組成物の保存が成功したことを確認する。
【0127】
実施例9
成分であるPeumus boldus(Boldo)葉抽出物、Buddleja globosa(Matico)葉抽出物、Aristotelia chilensis(Maqui)葉抽出物、およびUgni molinae(Murta)葉抽出物を評価して、以下に示すプロトコルに従って、それらが、もしあれば、UVB曝露後に示す可能性のある遺伝子発現効果を決定した。
【0128】
再構築されたヒト表皮(RHE)組織は、ZenBio(Research Triangle Park、NC;ロット番号RHE051820)から入手し、すぐに使用した。組織を6ウェルプレートに移し、ZenBioによって提供される1mlの予熱した培地/ウェルZenSkinで1時間平衡化した。次いで、上記の成分のサンプルを、容積式ピペットを使用して3mg/cm2で3回、希釈せずに添加し、RHE組織の上に均等に広げた。滅菌蒸留水を陰性対照とした。組織を試験材料とともに3時間インキュベートし、その後、新しい24ウェルプレートに移し、Hoefer(Holliston,MA)トランスイルミネータを使用して30mJ/cm2(1つの最小紅斑線量またはMEDに相当)UVB(302nm)に曝露した。次いで、組織を、培地を入れた元の6ウェルプレートに戻し、一晩インキュベートした。
【0129】
インキュベーションの最後に、QiaCube Connectロボットステーション(Qiagen)を使用して、Qiagen(Germantown、MD)のRNeasy Miniキット カタログ番号74104でRNAを抽出し、精製した。精製した全RNAは、Thermo Fisher Scientific(Waltham,MA)NanoDrop(商標)ライト分光光度計で260nmおよび280nmで評価した。
【0130】
大容量RNA-to-cDNA(商標)キット(Applied Biosystems,Thermo Fisher)を使用してcDNAを調製し、Realtimeprimers(Elkins Park、PA)から入手可能なPCRプライマーおよびAzura Genomics(Raynham、MA)から入手可能なAzuraView GreenFast qPCR Blue Mix LRを使用して、関心対象の遺伝子の発現をBioRad iCycler iQ検出システムを用いてリアルタイム定量的PCRによって測定した。HPRT1およびGAPDH(ハウスキーピング遺伝子)への遺伝子発現の正規化後、効率ΔΔCt法を結果の定量化に使用した。
【0131】
両側t検定によって決定されたp値が0.10以下で、変調が1.8以上の場合、遺伝子は差次的に発現しているとみなされた。
【0132】
Boldoで処理された組織は、抗炎症(CD44、MAP3K7、PTGS2、MMP1、IL8、IL1Aのダウンレギュレーション、TIMP2のアップレギュレーション)、抗アポトーシス(FOXO3のダウンレギュレーション)、抗過剰増殖(MAP3K7、PCNA、END1の減少)、血管保護(HSPG2、ITGB1のアップレギュレーション)、およびバリア保護(AQP3、TGM1、LORのアップレギュレーション、CD44のダウンレギュレーション)応答を示した。BoldoによるUVB誘発性炎症性シグナルの減少は、明らかな生体異物代謝応答を伴わずに、抗酸化応答(TXNRD1およびおそらくCATのダウンレギュレーション)の必要性が低減したことを証明している。
【0133】
Maticoで処理した組織は、後期分化タンパク質(IVL、FLG、CDSN)をコードする遺伝子の発現を減少させ、おそらく細胞生存率(BIRC5)を増加させ、潜在的な光保護効果を証明した。
【0134】
Maquiで処理した組織は、Maquiが非常に生物活性のある物質であることを示した。上皮の分化層で予想され、アスコルビン酸によって促進されるHAS3の減少とともに、IL-4、IL-6、およびIL-8活性の顕著な減少によって証明される抗炎症特性とともに、AQP3およびLOR、ならびにFLGおよびGBAの強力なアップレギュレーションによって、バリア保護およびセラミド産生をサポートすることが見出された。
【0135】
Maquiはまた、皮膚の老化の主な原因、AGE(終末糖化産物)の受容体であるAGERの発現の減少を引き起こすことが見出された。Maquiはまた、ASIPの阻害を通じて色素沈着促進効果を示すように見えた。他の調節された遺伝子としては、VEGFA(血管成長の刺激、したがって皮膚の酸素化)、TIMP(MMP阻害)、およびTLR2(アップレギュレーション)が挙げられ、これらの発現は、UVB放射線によって引き起こされるような傷害の修復に重要である。Maqui処理した組織はまた、アポトーシス促進性のUVB誘発性FOXO3の強力なダウンレギュレーションによってサポートされる、UVB誘発性細胞毒性に対するその試験材料の広範な光保護効果を示す顕著な量のRNAを産生した。
【0136】
Murtaで処理した組織は、角質層形成に重要なタンパク質(DSG3、TGM1、LOR)およびUVB放射線(TLR2)後の皮膚修復に重要なタンパク質をコードする遺伝子の発現増加と組み合わされた炎症誘発性効果(IL1A、PTSG2、EDN1の顕著な増加)を伴う複雑な生物活性プロファイルを示した。さらに、CTGFは顕著にアップレギュレーションされ、ECM(細胞外マトリックス)生成を増加させる可能性を示している。
【0137】
Matico、Maqui、およびMurtaの組み合わせで処理した組織は、異常に強力な生物活性を示した。VEGFA遺伝子およびPPARD遺伝子の両方がアップレギュレーションされ、Matico、Maqui、およびMurtaの組み合わせの適用によって開始された生物学的シグナル伝達が証明された。このタイプの免疫系に関連する細胞コミュニケーションは、環境ストレッサーに対する皮膚の生物学的応答である。UV照射への曝露に関連する環境ストレッサーは、皮膚の酸化ストレスおよびそれに伴うフリーラジカル形成を可能にする可能性がある。同様に、IL8遺伝子およびMT2A遺伝子の両方がダウンレギュレートされており、UV照射への曝露によって引き起こされる炎症の軽減(すなわち、抗炎症効果)に関連する皮膚の生物学的プロセスの誘発を証明している。最後に、SMPD1、TGM1、およびAQP3遺伝子がアップレギュレートされ、この組み合わせが生物学的プロセスを引き起こし、UV照射曝露後の皮膚のバリア機能(すなわち、皮膚プライミング機能)の向上を証明したことを示している。
【0138】
上記の実施例は、UV照射および環境汚染などの外部ストレッサーによって引き起こされる酸化ストレスに苦しむ皮膚を向上させ、ならびにそのバリア機能能力を向上させるために皮膚をプライミングし、それによって、外部の攻撃者から防御することを可能にするための、開示された実施形態の有効性を確立している。実施形態は、Peumus boldus(Boldo)葉抽出物、Buddleja globosa(Matico)葉抽出物、Aristotelia chilensis(Maqui)葉抽出物、およびUgni molinae(Murta)葉抽出物の1つ以上の組み合わせを有利に含み得、これらによって、皮膚を相乗的に向上させ、プライミングし、かつ/または軽減し得る。
【0139】
本開示によるスキンケア組成物および方法を提供することによって、非天然成分、刺激の強い合成防腐剤、および他の有害成分を含む酸化ストレスの治療を意図した既存のスキンケア組成物および方法の問題に対処する。本開示の実施形態は、将来のフリーラジカル攻撃に対して皮膚自体を防御するその能力を向上させるために、皮膚中のフリーラジカルを中和し、かつ/または皮膚をプライミングするのに有効な組成物を有利に提供する。
【0140】
スキンケア組成物および方法の実施形態は、既存のスキンケア治療モダリティが非自然であり、かつ/または酸化ストレスなどの皮膚状態を治療するには不十分であるという問題に対処する。