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特許7534341ワイパモータおよびワイパモータを生産する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】ワイパモータおよびワイパモータを生産する方法
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/08 20060101AFI20240806BHJP
【FI】
B60S1/08 P
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021578051
(86)(22)【出願日】2020-06-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-07
(86)【国際出願番号】 EP2020068203
(87)【国際公開番号】W WO2021001299
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2023-06-07
(31)【優先権主張番号】102019117843.6
(32)【優先日】2019-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】ハラルド、シェーネック
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-118201(JP,A)
【文献】実開昭62-025435(JP,U)
【文献】独国特許出願公開第102011051090(DE,A1)
【文献】特開2017-159898(JP,A)
【文献】仏国特許出願公開第02981030(FR,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0278873(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0186337(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気ライン(37)に接続されたハウジング要素(20)を有するワイパモータ(10)であって、前記電気ライン(37)は、前記ハウジング要素(20)から突出する端部領域内に弾性変形可能なばね要素(35)を有し、前記ハウジング要素(20)上の相手側要素(30、32)との導電性接続部を形成するために、前記ばね要素(35)は、前記ばね要素(35)の第1の弛緩位置(X)に対して、前記相手側要素(30、32)に対する接触力(F)を生成する第2の弾性変形位置(Z)にまで移動可能である、ワイパモータ(10)において、
阻止要素(54)が前記ハウジング要素(20)上に設けられ、前記阻止要素は、前記ばね要素(35)の変形が前記ばね要素(35)の前記第2の弾性変形位置(Z)での変形よりも小さい第3の弾性変形位置(Y)に前記ばね要素(35)を保持することを特徴とする、ワイパモータ(10)。
【請求項2】
前記第1の弛緩位置(X)にある前記ばね要素(35)の接点部分(34)が、前記第3の弾性変形位置(Y)にある前記ばね要素(35)の前記接点部分(34)の距離(A)よりも大きい、カバー底部(38)からの距離(A)のところにあり、かつ、前記第2の弾性変形位置(Z)にある前記ばね要素(35)の前記接点部分(34)の前記カバー底部(38)からの距離(A)が、前記第3の弾性変形位置(Y)にある前記ばね要素(35)の前記接点部分(34)の距離(A)未満であることを特徴とする、請求項1に記載のワイパモータ。
【請求項3】
前記第2の弾性変形位置(Z)および前記第3の弾性変形位置(Y)にある前記ばね要素(35)が、前記ハウジング要素(20)の受容部(40)内に部分的に配置されることを特徴とする、請求項1または2に記載のワイパモータ。
【請求項4】
前記受容部(40)が、前記ばね要素(35)からわずかな距離を置いて配置される保護壁(42~44)を有し、かつ、前記保護壁(42~44)が前記ハウジング要素(20)に一体的に接続されることを特徴とする、請求項3に記載のワイパモータ。
【請求項5】
前記ばね要素(35)が、前記第1の弛緩位置(X)、前記第2の弾性変形位置(Z)および前記第3の弾性変形位置(Y)で前記保護壁(42~44)の端部(48)を越えて部分的に突出することを特徴とする、請求項4に記載のワイパモータ。
【請求項6】
前記ハウジング要素(20)がプラスチックからなり、射出成形品の形をしており、かつ、前記電気ライン(37)が前記ハウジング要素(20)の材料で部分的に密閉されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のワイパモータ。
【請求項7】
前記阻止要素(54)が、フォースフィッティング接続部および/またはフォームフィッティング接続部によって前記ハウジング要素(20)に接続されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のワイパモータ。
【請求項8】
前記阻止要素(54)が、前記ハウジング要素(20)よりも硬い材料、特に鋼からなり、かつ、前記阻止要素(54)が、前記ハウジング要素(20)内の前記阻止要素(54)の設置位置で前記ハウジング要素(20)の前記材料を塑性変形させるかえし状突出部(58)を有することを特徴とする、請求項7に記載のワイパモータ。
【請求項9】
前記阻止要素(54)が板状に形成され、前記ハウジング要素(20)内の溝状スロット(51、52)内で直線移動可能に案内されることを特徴とする、請求項8に記載のワイパモータ。
【請求項10】
前記阻止要素(54)が、前記ハウジング要素(20)の前記溝状スロット(51、52)内での前記阻止要素(54)の導入方向(56)の移動を制限するための少なくとも1つの部分(59、60)を有することを特徴とする、請求項9に記載のワイパモータ。
【請求項11】
前記ハウジング要素(20)が、前記ワイパモータ(10)のギヤボックスハウジング(16)を閉鎖するギヤボックスカバー(22)であり、かつ、前記ばね要素(35)と協働する前記相手側要素(30、32)が歯車(24)の領域内に配置されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載のワイパモータ。
【請求項12】
前記ばね要素(35)の前記第2の弾性変形位置(Z)で、前記ばね要素(35)と前記阻止要素(54)との間に隙間(62)が形成されることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載のワイパモータ。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に従って構成されたワイパモータ(10)を生産する方法であって、少なくとも
前記電気ライン(37)が前記ハウジング要素に固定された、前記ハウジング要素(20)を生産するステップと、
前記ハウジング要素(20)に前記阻止要素(54)を固定するステップであって、前記ばね要素(35)が前記第1の弛緩位置(X)から前記第3の弾性変形位置(Y)にまで移動させられる、ステップと、
前記ハウジング要素(20)を前記ワイパモータ(10)上に組み付けるステップであって、前記ばね要素(35)の接点部分(34)と協働する相手側要素(30、32)が、前記ばね要素(35)を前記第3の弾性変形位置(Y)から前記第2の弾性変形位置(Z)にまで移動させる、ステップとを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのワイパブレード(wiper blade)によって車両窓を清掃するために使用される、請求項1の前文における特徴を有するワイパモータ(wiper motor)に関する。さらに、本発明は、本発明によるワイパモータを生産する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
請求項1の前文の特徴を有するワイパモータは、本出願人の独国特許出願公開第102011051090号明細書から知られている。既知のワイパモータは、電気モータによって駆動される歯車(gearwheel)で区別され、ワイパモータによって駆動されるワイパアームの位置を少なくとも間接的に感知するために、金属からなる平坦要素の形をとる導電性要素を有する前記歯車の回転角位置は、導電性要素が横切るときに、その要素に面する側にばね要素の形で構成される感知フィンガの接点部分(contact portion)によって検出可能である。その場合、要素は電気スイッチのように作用する。歯車および感知フィンガは、ワイパモータのギヤボックスハウジング(gearbox housing)の領域内に配置され、ばね要素および感知フィンガは、通常、ギヤボックスハウジングのギヤボックスカバー内に配置される。ギヤボックスハウジングおよびワイパモータの組立中、ギヤボックスカバーは、ギヤボックスハウジングの残り部分に接合され、ばね要素は、最初にギヤボックスカバー内にばね予荷重なしに、すなわち弛緩状態で配置され、導電性要素または歯車の走行面に押し付けられて、接触力またはばね予荷重が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】独国特許出願公開第102011051090号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのようなワイパモータの連続生産では、ギヤボックスカバーは、ばね要素がギヤボックスカバー内に配置された状態で輸送容器内に保管され輸送されるので、普通なら組立中にばね要素が歯車に誤って当接することになる、ばね要素への機械的損傷またはばね要素の変形を回避するために、ばね要素が輸送中に保護された態様で輸送容器内に配置されるようにする必要がある。これには、例えば、輸送容器内の適切な受容部が必要であり、一般に慎重で用心深い取扱いが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の特徴を有する本発明によるワイパモータは、ばね要素がその上に配置されるハウジング要素は機械的により堅牢であるので、例えば、特に輸送および取扱い中に、ハウジング要素を輸送容器内により容易に、すなわちばね要素を保護する追加の受容部または同様の要素なしに保管することを可能にするという利点を有する。そのような取扱いまたはそのような輸送によりコストが削減され、同時に、ばね要素への損傷およびばね要素の変形が、ばね要素が保護される配置によって十分に確実に回避され、したがって組立後のワイパモータの機能性が確保される。
【0006】
本発明によれば、これに関して、請求項1の教示は、阻止要素がハウジング要素上またはギヤボックスカバー上に設けられ、阻止要素は、ワイパモータが組み立てられた状態で、ばね要素の変形がばね要素の作動位置での変形よりも小さい弾性変形位置にばね要素を保持することを提案する。
【0007】
ばね要素がギヤボックスハウジング上に組み付けられる前にばね要素は部分的に変形した(中間)位置にあるため、ギヤボックスカバーの全高が小さくなり、したがって輸送容器内の配置がよりコンパクトになるだけでなく、他の構成要素またはギヤボックスカバーと接触する可能性、したがってばね要素に対する潜在的な変形リスクまたは損傷も低減される。
【0008】
本発明によるワイパモータの有利な展開は従属請求項に提示されている。
【0009】
特に、阻止要素があるため、第1の弛緩位置にあるばね要素の接点部分は、阻止要素がばね要素に作用する第3の位置にあるばね要素の接点部分の距離よりも大きい、ギヤボックスカバーのカバー底部からの距離のところにあり、第2の位置にあるばね要素の接点部分(ワイパモータが組み立てられた状態)のカバー底部からの距離は、第3の位置にあるばね要素の接点部分の距離未満である。このような配置には、距離が短縮し、全体的に見て、組立前のばね要素の領域内でより低い高さを有するギヤボックスカバーが達成されるという効果がある。
【0010】
第2の位置および第3の位置にあるばね要素が、ハウジング要素の受容部内に部分的に配置されるときが非常に特に好ましい。これは、ばね要素の接点部分内の領域とは別に、ばね要素は、ばね要素を機械的に保護する受容部または開口部内に配置されることを意味する。その結果、ばね要素の隣接接点部分のみが、機械的影響から保護されない態様で配置される。
【0011】
最後の提案の一展開では、受容部は、ばね要素からわずかな距離を置いて配置される保護壁を有し、保護壁はハウジング要素に一体的に接続される。そのようなハウジング要素は、通常、実際には射出成形プラスチック部品の形をとるので、かかる受容部の形成には、使用される材料の量がわずかに少ないことを除いて、製造の複雑さを増大させる必要はない。むしろ、ハウジングカバーの製造中または射出成形中に、受容部はハウジングカバー上に一体的に形成される。
【0012】
ばね要素の機能性、またはばね要素と歯車の対応する相手側表面との当接接触を確保にするために、ばね要素の接点部分は、ばね要素の3つの位置で保護壁の端部を越えて突出するようになっていることが好ましい。
【0013】
既に上述したように、ハウジング要素はプラスチックからなり、射出成形品の形をしており、ばね要素に接続された電気ラインはハウジング要素の材料で部分的に密閉されるようになっていることがさらに好ましい。
【0014】
阻止要素が工具なしに可能な限り容易に組み立てられることを可能にするために、阻止要素は、フォースフィッティング接続部および/またはフォームフィッティング接続部によってハウジング要素に接続されるようになっている。
【0015】
この提案の一発展形態では、阻止要素は、ハウジング要素よりも硬い材料、特に鋼からなり、阻止要素は、ハウジング要素内の阻止要素の設置位置でハウジング要素の材料を塑性変形させ、その結果ハウジング要素の材料と連動するかえし状要素を有する。
【0016】
そのような阻止要素は板状に形成され、ハウジング要素内の溝状スロット内で直線移動可能に案内される。
【0017】
ハウジング要素内の阻止要素の所要の公称位置を複雑な補助装置なしに確保するために、阻止要素は、ハウジング要素内での阻止要素の挿入方向の移動を制限するための少なくとも1つの停止領域を有するときがさらに有利である。
【0018】
本発明の特定の構成では、ハウジング要素は、ウインドスクリーンワイパモータのギヤボックスハウジングを閉鎖するハウジングカバーの形をしており、ばね要素と協働する相手側要素が歯車の領域内に配置される。
【0019】
さらに、本発明は、前述したようにワイパモータを生産する方法にも関し、この方法は、少なくとも以下のステップを有する。最初に、電気ライン(およびばね要素)がそれに固定された、ハウジング要素またはギヤボックスカバーが生産される。次に、阻止要素がハウジング要素に固定され、ばね要素は第1の(非荷重)位置から第3の部分的に予荷重をかけられた位置にまで移動させられる。最後に、ハウジング要素はワイパモータ上に組み付けられ、ハウジング要素上でばね要素の接点部分と協働する相手側要素が、ばね要素を第3の位置から第2の位置にまで移動させる。
【0020】
本発明のさらなる利点、特徴および詳細は、本発明の好ましい例示的な実施形態の下記の説明から図面を参照にして明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】ワイパモータの簡略化した縦断面図である。
図2】ギヤボックスカバーが示されていないギヤボックスハウジング内の、歯車と協働するばね要素の部分断面斜視図である。
図3】ばね要素がギヤボックスカバーの受容部内に保護された態様で配置されたギヤボックスカバーの部分領域の斜視図である。
図4図3による配置で使用される阻止要素の斜視図である。
図5】ギヤボックスカバー内のばね要素の異なる位置を例示するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
上の図において同じ要素または同じ機能を有する要素には同じ参照番号が付されている。
【0023】
図1に非常に簡略化された態様で示されているワイパモータ10は、ワイパアームまたはウインドスクリーンワイパ(図示せず)を少なくとも間接的に駆動する働きをする。この目的のために、ワイパモータ10は電気モータ12を有し、電気モータのハウジング14は、ギヤボックスハウジング16上にフランジで取り付けられる。ギヤボックスハウジング16は少なくとも2つの構成要素からなり、ポット状の第1のハウジング要素18が、ねじ接続またはラッチ接続を介してギヤボックスカバー22の形をとる第2のハウジング要素20に接続されて閉じられている。
【0024】
ギヤボックスハウジング16内には、歯車24が回転軸線25上に回転可能な態様で取り付けられ、当該歯車24は、特に、ギヤボックスハウジング16から突出し、ワイパアームまたはウインドスクリーンワイパを作動させる働きをする出力シャフト26に連結される。
【0025】
歯車24は、歯車の外周上に歯部27を有し、歯部は、電気モータ12の出力シャフト28上のウォーム歯部(図示せず)と協働する。ワイパモータ10の動作中、またはウインドスクリーンワイパが作動されるとき、ワイパアームまたはウインドスクリーンワイパの正確な角度位置を検出することが不可欠である。これは、歯車24の回転角度位置の識別によって行われる。この目的のために、歯車24は、少なくとも1つの、好ましくは金属の平坦要素30の形をとる導電性要素を有する。要素30は、回転軸線25を中心に周方向に見られるように、歯車24のプラスチックからなるとともに回転軸線25と同心円状に配置されたトラック32へ移行する。
【0026】
ギヤボックスハウジング16が組み立てられると、トラック32または要素30は、ばね要素35の接点部分34と当接接触する相手側要素として配置される。ばね要素35は、特に打抜き/曲げ部品の形で構成され、シートメタルブランクからなる。ばね要素35の、接点部分34から離れた方向を向いている側に、端部分36(図2で識別できる)が、例えば、ばね要素35と共に電気ライン37を形成する別の打抜き/曲げ部品39内のソケット状受容部と導電接触して配置される。打抜き/曲げ部品39は、ワイパモータ10の組立中に端部分36と接触した状態にされる。ギヤボックスカバー22は、射出成形プラスチック部品の形をしており、ばね要素35を密閉により部分的に取り囲み、ばね要素35および端部分36は、ギヤボックスカバー22から突出し、ギヤボックスカバー22の材料を含まない。
【0027】
図3図5の説明図によれば、ばね要素35は、ばね要素の接点部分34と共にギヤボックスカバー22のカバー底部38から離れる向きに突出し、ばね要素は、カバー底部から突出するか、またはカバー底部から距離Aを置いて配置される。ここで、カバー底部38から離れる向きに突出するばね要素35の部分の少なくとも部分領域が、保護された態様で配置されることが不可欠である。この目的のために、ギヤボックスカバー22は、特に図3および図5の説明図から識別できるように、ばね要素35を部分的に受容するための受容部40を有する。受容部40は、カバー底部38から離れる向きに垂直に突出し、ギヤボックスカバー22上に一体的に形成された保護壁42~44から形成される。特に、受容部40は、保護壁42、43の向かい合う内面46、47が内面に面するばね要素35の側面からわずかな距離を置いて配置されるように、スロット状の態様で構成される。さらに、ばね要素35の接点部分34は、保護壁42~44の、カバー底部38から離れる方向を向いている端部48を越えて突出する。
【0028】
保護壁42、43の領域内で、保護壁は、互いに向かって配向された2つの溝状スロット51、52を有し、金属、特に鋼からなる阻止要素54が、導入方向56に溝状スロット内へ直線的に挿入可能または導入可能である。阻止要素54は、図4に単独で示されており、保護壁42、43の内面46、47に面する各側に、例えば3つのかえし状突出部58を有し、かえし状突出部は、保護壁42、43の間に阻止要素54を挿入したときに保護壁42、43と接触し、保護壁42、43の材料の塑性変形によって保護壁42、43と共にロックして、阻止要素54が他の固定要素なしにノーマル位置に保持されるようにする。このノーマル位置は、阻止要素54から離れる向きに横方向に突出する阻止要素54の部分59、60と組み合わせて、保護壁42、43のスロット51、52の深さによって規定される。阻止要素54がスロット51、52の間に導入されると、部分59、60は、スロット51、52の底部とノーマル位置で当接接触する。
【0029】
図5は、3つの位置X、Y、およびZにあるばね要素35を示す。この場合、阻止要素54は、簡略化のために受容部40またはスロット51、52内に示されていない。位置Xは、阻止要素54が組み付けられていない状態でのばね要素35の位置を示す。この状態では、ばね要素35は弛緩されるか、またはばね与荷重なしの状態であり、したがって、接点部分34は、カバー底部38からばね要素の最大距離Aのところにある。Yで示されているばね要素35の位置では、カバー底部38からの接点部分34の距離Aは距離A未満である。ばね要素35の位置Yは、阻止要素54がブロック要素のノーマル位置に配置され、ばね要素35が部分的に予荷重をかけられた状態のばね要素35の位置を示す。しかしながら、この場合、ギヤボックスカバー22は、ギヤボックスハウジング16の第1のハウジング部品18にまだ接続されていない。この状態では、ギヤボックスカバー22は、例えばワイパモータ10の組立ラインに供給される。ワイパモータ10の組立中、特にギヤボックスカバー22を第1のハウジング部品18に接続する間、ばね要素35の接点部分34は、要素30またはトラック32と当接接触する。その結果、ばね要素35は、位置Zにまで押し込まれ、この位置では、カバー底部38からの距離Aは距離Aよりさらに小さい。位置Zでは、ばね要素35のばね予荷重は、トラック32および要素30に対する接触力F(図2)を生成するために、ばね要素35の位置Yでのばね予荷重よりも大きい。さらに、ばね要素35の位置Zでは、ばね要素35と阻止要素54の対向する側との間に隙間62(図3にのみ示されている)が形成される。ばね要素35の位置Zでは、この位置はワイパモータ10を適切に動作させることを可能にするために必要であるので、阻止要素54は機能を有さず、ばね要素35は、隙間62があるため、ある程度まで自由に動くことができる、すなわち、距離Aは、構成要素相互間の公差補償のために、または要素30のレベルとトラック32のレベルが異なるために変化することができる。
【0030】
したがって、これまで記述されたワイパモータ10は、本発明の概念から逸脱することなく多種多様な方法で変更または修正することができる。
【符号の説明】
【0031】
10 ワイパモータ
12 電気モータ
14 ハウジング
16 ギヤボックスハウジング
18 ハウジング要素
20 ハウジング要素
22 ギヤボックスカバー
24 歯車
25 回転軸線
26 出力シャフト
27 歯部
28 出力シャフト
30 要素
32 トラック
34 接点部分
35 ばね要素
36 端部分
37 ライン
38 カバー底部
39 打抜き/曲げ部品
40 受容部
42 保護壁
43 保護壁
44 保護壁
46 内面
47 内面
48 端部
51 スロット
52 スロット
54 阻止要素
56 導入方向
58 突出部
59 部分
60 部分
62 隙間
A 距離
距離
距離
距離
X 位置
Y 位置
Z 位置
F 接触力
図1
図2
図3
図4
図5