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  • 特許-バスバーモジュール 図1
  • 特許-バスバーモジュール 図2
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  • 特許-バスバーモジュール 図4A
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  • 特許-バスバーモジュール 図4C
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】バスバーモジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/569 20210101AFI20240806BHJP
   H01M 50/507 20210101ALI20240806BHJP
   H01M 50/298 20210101ALI20240806BHJP
【FI】
H01M50/569
H01M50/507
H01M50/298
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022021345
(22)【出願日】2022-02-15
(65)【公開番号】P2023118405
(43)【公開日】2023-08-25
【審査請求日】2023-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 一彰
(72)【発明者】
【氏名】加藤 潤之
(72)【発明者】
【氏名】中谷 元
【審査官】山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-033710(JP,A)
【文献】特開2021-086795(JP,A)
【文献】特開2021-106087(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01M 50/50ー50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単電池で構成された電池集合体に組み付けられる電線配索体と、
前記電線配索体に収容され、各単電池の電極間を電気的に接続する複数のバスバーと、
前記バスバーを介して前記各単電池に接続される複数の電線と、を備え、
前記電線配索体は、前記電線が配索される電線配索経路を有し、
前記電線配索経路は、スリットで区画された各一対の側壁を有し、
前記各一対の側壁の前記スリットで仕切られた電線出口側の上端角部と電線入口側の上端角部のうちの少なくとも前記電線入口側の上端角部に、切欠きが形成されているバスバーモジュール。
【請求項2】
前記電線配索体は、前記バスバーを収容するバスバー収容部と、前記電線を収容する前記電線配索経路としての電線配索溝部と、を有し、
前記バスバー収容部及び前記電線配索溝部は、前記スリットを介して分割形成され、かつヒンジを介して連結されている、請求項1に記載のバスバーモジュール。
【請求項3】
前記電線配索溝部は、各底壁と、前記各底壁の両側から起立した前記各一対の側壁と、を有している、請求項2に記載のバスバーモジュール。
【請求項4】
前記切欠きは、前記電線入口側の相対向する各上端角部のうちの外側に位置する側壁の上端角部にのみ形成されている、請求項3に記載のバスバーモジュール。
【請求項5】
前記切欠きは、前記側壁の中途から前記上端角部の上面にかけて傾斜したテーパ状の切欠きである、請求項1から4のいずれか一項に記載のバスバーモジュール。
【請求項6】
前記切欠きは、前記側壁の中途から前記上端角部の上面にかけて凸形状に湾曲した円弧状の切欠きである、請求項1から4のいずれか一項に記載のバスバーモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の単電池で構成された電池集合体の各単電池にバスバーを介して電気的に接続されるバスバーモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のバスバーモジュールとして、特許文献1に記載されたものがある。このバスバーモジュールは、電池集合体に組み付けられ、各単電池の電極間を接続する複数のバスバーを収容した電線配索体と、バスバーを介して各単電池に接続される複数の電線と、電線配索体に形成されて一対の側壁間に電線を収容する電線配索溝部と、を備えている。電線配索体は、電池集合体の充放電によるピッチ公差を吸収するために、スリットを介して分割形成されている。そして、バスバーに接続された電線は、電線配索溝部の一対の側壁間に引き出されて配索される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-195504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のバスバーモジュールでは、電線配索溝部の一対の側壁間に電線を配索する際に、電線入口側で外側に位置する側壁のスリットに電線が入り込んでしまい、電線の配索に時間がかかっていた。
【0005】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、バスバーに接続された電線を電線配索経路の側壁のスリットに引っ掛かることなく短時間かつスムーズに配索できるバスバーモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係るバスバーモジュールは、複数の単電池で構成された電池集合体に組み付けられる電線配索体と、前記電線配索体に収容され、各単電池の電極間を電気的に接続する複数のバスバーと、前記バスバーを介して前記各単電池に接続される複数の電線と、を備え、前記電線配索体は、前記電線が配索される電線配索経路を有し、前記電線配索経路は、スリットで区画された各一対の側壁を有し、前記各一対の側壁の前記スリットで仕切られた電線出口側の上端角部と電線入口側の上端角部のうちの少なくとも一方の側の上端角部に、切欠きが形成されているものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、バスバーに接続された電線を電線配索経路の側壁のスリットに引っ掛かることなく短時間かつスムーズに配索できるバスバーモジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係るバスバーモジュールの一例を示す平面図である。
図2】上記バスバーモジュールの斜視図である。
図3】上記バスバーモジュールの電線配索を示す斜視図である。
図4A】上記バスバーモジュールの電線配索を示す概略側面図である。
図4B】上記バスバーモジュールの他の形態の電線配索を示す概略側面図である。
図4C】参考例のバスバーモジュールの電線配索を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施形態に係るバスバーモジュールについて詳細に説明する。
【0010】
図1は本発明の実施形態に係るバスバーモジュールの一例を示す平面図である。図2はバスバーモジュールの斜視図である。図3はバスバーモジュールの電線配索を示す斜視図である。図4Aはバスバーモジュールの電線配索を示す概略側面図である。図4Bはバスバーモジュールの他の形態の電線配索を示す概略側面図である。図4Cは参考例のバスバーモジュールの電線配索を示す概略側面図である。
【0011】
図1に示すように、バスバーモジュール10は、電動モータを用いて走行する電気自動車(EV)やエンジンと電動モータとを併用して走行するハイブリッド自動車(HEV)等に搭載される電源装置(図示略)の電池集合体1に組み付けられる。
【0012】
電池集合体1は、一列に配列され、かつ、互いに固定された複数の単電池2で構成されている。各単電池2は、直方体の電池本体と、この電池本体の上面の一端及び他端からそれぞれ突出して設けられた一対の電極(図示略)と、を備えている。一対の電極のうち一方の電極は正極であり、他方の電極は負極である。各単電池2は、正極と負極が隣り同士で互い違いになるように配置され、電池集合体1の上面の各単電池2の一方の電極側(この実施形態では、4個の単電池2の一方の電極側)にバスバーモジュール10が組み付けられる。また、電池集合体1の上面の各単電池2の他方の電極側(この実施形態では、4個の単電池2の他方の電極側)にもバスバーモジュール10が組み付けられる。なお、単電池2が4個以上の電池集合体1の場合には、バスバーモジュール10を並列に複数配設して対応する。
【0013】
バスバーモジュール10は、電池集合体1に組み付けられる電線配索体(ケース)11と、電線配索体11に収容され、各単電池2の電極間を電気的に接続する複数のバスバー20と、バスバー20を介して各単電池2に接続される複数の電線30と、を備えている。
【0014】
図1図3に示すように、電線配索体11は、合成樹脂により形成され、バスバー20を収容するバスバー収容部12と、電線30を収容する電線配索経路としての電線配索溝部13と、を有している。これらバスバー収容部12及び電線配索溝部13は、電池集合体1の充放電によるピッチ公差を吸収するために、スリット14を介して分割されて形成されていて、ヒンジ15を介して連結されている。
【0015】
図1図2に示すように、バスバー収容部12は、底壁12aに単電池2の上面を露出させる矩形で一対の開口部12b,12bを有した箱形に形成されている。この箱形のバスバー収容部12内に、矩形板状のバスバー20が収容される。
【0016】
図1図2に示すように、電線30が配索されて収容される電線配索溝部13は、スリット14で区画された各底壁16と、この各底壁16の両側から起立し、スリット14で区画された各一対の側壁17,18と、を有している。これら各底壁16と各一対の側壁17,18の一方の端側は、電線入口13Aになっていると共に、他方の端側は電線出口13Bになっている。また、各一対の側壁17,18の電線入口13A側の内側に位置する側壁17には、バスバー20に接続された電線30を電線配索溝部13内に導出するための矩形の電線導出口13Cが形成されている。
【0017】
さらに、スリット14で仕切られた電線入口13A側に位置する一対の側壁17,18の相対向する各上端角部17a,18aのうちの外側に位置する側壁18の上端角部18aには、テーパ状の切欠き19Aが形成されている。この切欠き19Aは、図4Aに示すように、電線入口13A側の外側に位置する側壁18(スリット14)の中途から上端角部18aの上面にかけて傾斜するように形成されている。また、切欠き19Aは、テーパ状に限らず、図4Bに示すように、外側に位置する側壁18(スリット14)の中途から上端角部18aの上面にかけて凸形状に湾曲した円弧状の切欠き19Bでも良い。なお、図中符号17a,18aは、各側壁17,18の電線入口13A側に位置する上端角部を示し、符号17b,18bは、各側壁17,18の電線出口13B側に位置する上端角部を示す。また、テーパ状の切欠き19Aは、上端角部18aの上面にかけて例えば45度の角度で傾斜している。さらに、電線出口13B側の外側に位置する側壁18の上端角部18bに切欠きを形成しないのは、電線出口13B側の上端角部18bにも切欠きを形成すると、スリット14の上側の間口が広がり過ぎて、電線30がスリット14内に落ち易くなるためである。
【0018】
図1図3に示すように、バスバー20は、導電性の金属板により矩形板状に形成されていて、互いに隣り合う単電池2の正極及び負極が挿通する丸形で一対の取付孔21,21を有している。この一対の取付孔21,21は、バスバー20の長手方向に沿って互いに隣り合う単電池2の正極及び負極と同じ間隔をあけて配置されている。また、バスバー20は、一対の取付孔21,21に挿通された正極及び負極にナット(図示略)が螺合されることで、単電池2に取り付けられると共に、正極及び負極に電気的に接続される。つまり、バスバー20は、電池集合体1の互いに隣り合う単電池2の正極と負極に組み付けられることで、これら単電池2を直列に接続する。また、図1に示すように、バスバー20の電線配索溝部13側の端縁には、ジョイント端子部22を介して電線30が圧着接続されている。なお、バスバー20の電線配索溝部13側の端縁に電圧検出端子(図示略)をさらに接続し。この電圧検出端子に圧着接続される電圧検出用の電線を電線配索溝部13に配索して収容するようにしても良い。
【0019】
図1に示すように、電線30は、バスバー20を介して各単電池2に接続される。電線30は、導電性の芯線と芯線を被覆した絶縁被覆とを有する被覆電線である。また、電線30は、その一端31において、絶縁被覆が皮剥ぎされて芯線が露出している。そして、電線30の一端31は、バスバー20の電線配索溝部13側の端縁にジョイント端子部22を介して電気的に接続される。電線30の他端は、図示しないECU(Electronic Control Unit)の電圧検出回路等に接続される。ECUは、電圧検出回路によって検出された各単電池2における一対の電極との電位差(電圧)に基づいて、各単電池2の残量や充放電状態等を検出する。
【0020】
以上実施形態のバスバーモジュール10によれば、図3図4Aに示すように、バスバー20に接続された電線30を電線配索溝部13内に配索する際に、スリット14に電線30が入ってしまっても、電線30がテーパ状の切欠き19Aに沿って上方に抜ける。つまり、図4Aの矢印に示すように、電線30がスリット14に引っ掛かって下方に落ちることなく、電線配索溝部13内に戻る。例えば、図4Cに示すように、電線入口13A側の外側に位置する側壁18の上端角部18aにテーパ状の切欠き19Aが形成されていないと、電線30がスリット14に引っ掛かって下方に落ちるため、電線30の配索を短時間でスムーズに行うことができない。しかしながら、本実施形態では、バスバー20に接続された電線30をスリット14内から電線入口13A側の外側に位置する側壁18の上端角部18aのテーパ状の切欠き19Aに瞬時に戻して配索することができる。このため、上端角部18aに引っ掛かることなく電線30を短時間かつスムーズに電線入口13A側の一対の側壁17,18間に配索することができる。
【0021】
また、図4Bに示すように、バスバー20に接続された電線30を電線配索溝部13内に配索する際に、スリット14に電線30が入ってしまっても、電線30が円弧状の切欠き19Bに沿って上方に抜ける。これにより、バスバー20に接続された電線30をスリット14や電線入口13A側の外側に位置する側壁18の上端角部18aに引っ掛かることなく短時間かつスムーズに配索することができる。
【0022】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0023】
すなわち、前記実施形態によれば、一対のバスバー収容部を有する電線配索体を用いたが、スリットで分割され、ヒンジで連結されて両側に複数のバスバー収容部を形成した長尺の電線配索体を複数の単電池で構成された電池集合体に組み付けるようにしても良い。
【0024】
また、前記実施形態によれば、電線入口側の外側に位置する側壁の上端角部にテーパ状の切欠きを形成したが、電線入口側の内側に位置する側壁の上端角部にテーパ状の切欠きを形成しても良い。
【符号の説明】
【0025】
1 電池集合体
2 単電池
10 バスバーモジュール
11 電線配索体
12 バスバー収容部
13 電線配索溝部(電線配索経路)
13A 電線入口
13B 電線出口
14 スリット
15 ヒンジ
16 底壁
17,18 一対の側壁
17a,18a 電線入口側に位置する上端角部
17b,18b 電線出口側に位置する上端角部
19A テーパ状の切欠き
19B 円弧状の切欠き
20 バスバー
30 電線
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C