(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】汚損剥離塗料組成物、該塗料組成物で被覆された基材、および該塗料組成物の使用
(51)【国際特許分類】
C09D 201/06 20060101AFI20240806BHJP
C09D 5/16 20060101ALI20240806BHJP
C09D 7/40 20180101ALI20240806BHJP
C09D 183/04 20060101ALI20240806BHJP
B05D 7/00 20060101ALI20240806BHJP
B05D 5/00 20060101ALI20240806BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
C09D201/06
C09D5/16
C09D7/40
C09D183/04
B05D7/00 L
B05D5/00 A
B05D7/24 302Y
B05D7/24 302T
B05D7/24 302R
B05D7/24 302V
B05D7/24 303A
B05D7/24 303E
(21)【出願番号】P 2022127646
(22)【出願日】2022-08-10
(62)【分割の表示】P 2020530638の分割
【原出願日】2018-07-13
【審査請求日】2022-09-08
(32)【優先日】2017-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500286643
【氏名又は名称】アクゾ ノーベル コーティングス インターナショナル ビー ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100217663
【氏名又は名称】末広 尚也
(72)【発明者】
【氏名】シンクレア-デイ,ジョン デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】レイノルズ,ケヴィン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ケアンズ,ケイト マリー
(72)【発明者】
【氏名】ハミルトン,リンジー
(72)【発明者】
【氏名】パーリー,アリソン ルイーズ
(72)【発明者】
【氏名】ダンフォード,ギリアム
(72)【発明者】
【氏名】プライス,クレイトン
【審査官】河村 明希乃
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-088653(JP,A)
【文献】特表2009-527603(JP,A)
【文献】特表2017-516884(JP,A)
【文献】特表2016-518969(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0024157(US,A1)
【文献】国際公開第2017/140689(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/120255(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/131032(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00-201/10
B05D 5/00-7/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)
i)フッ素原子を含まず、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネートまたはこれらの2つ以上のハイブリッドから選択される主鎖を有し、次式
-(C
mH
2m)-Si(R
1)
(3-n)(OR
2)
n (I)
(式中、
n=1、2または3、であり、
R
1およびR
2それぞれは、独立に、1~6個の炭素原子を有するアルキル基であり、
mは、1~20の範囲の値の整数である)の少なくとも1つの末端またはペンダント状アルコキシシリル基を有する、硬化性ポリマー、ならびに
ii)任意選択の硬化剤および/または触媒
を含む硬化性樹脂系と、
(B)親水性修飾ポリシロキサン油からなる群から選択される非硬化性不揮発性化合物と
を含む、人工物体上の水生生物汚損を防除するための非水液体汚損剥離塗料組成物であって、
前記塗料組成物が、0.5重量%未満の硬化性ポリシロキサンを含み、前記塗料組成物が、非硬化性親水性修飾ポリシロキサン油以外の非硬化性ポリシロキサンを0.5重量%未満含み、硬化性ポリマー(i)が、式(I)の少なくとも1つのアルコキシシリル末端基を有する、非水液体汚損剥離塗料組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1つの末端アルコキシシリル基が、ウレタンまたは尿素連結を介して前記硬化性ポリマー(i)の前記主鎖に結合している、請求項1に記載の汚損剥離塗料組成物。
【請求項3】
mが1または3である、請求項1または2に記載の汚損剥離塗料組成物。
【請求項4】
R
2が、メチル基またはエチル基である、請求項1から3のいずれか一項に記載の汚損剥離塗料組成物。
【請求項5】
前記硬化性樹脂系が、テトラ-アルコキシオルトシリケートおよびその部分的縮合体、有機官能性アルコキシシラン、ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される硬化剤を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の汚損剥離塗料組成物。
【請求項6】
前記硬化剤が、有機官能基に対してアルファ位にアルコキシシリル官能基を有する有機官能性アルコキシシランであり、前記塗料組成物が、本質的に硬化触媒を含まない、請求項5に記載の汚損剥離塗料組成物。
【請求項7】
前記塗料組成物が、殺海洋生物剤を含まない、請求項1から6のいずれか一項に記載の汚損剥離塗料組成物。
【請求項8】
前記非硬化性不揮発性親水性修飾ポリシロキサン油が、ポリ(オキシアルキレン)修飾ポリシロキサンである、請求項1~7のいずれか一項に記載の汚損剥離塗料組成物。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の汚損剥離塗料組成物で被覆された基材。
【請求項10】
- 前記基材に塗布され、プライマー塗料組成物から堆積される、任意選択のプライマー層と、
- 前記基材または前記任意選択のプライマー層に塗布され、硬化性アルコキシシリル官能基を有するバインダーポリマーを含むタイコート組成物から堆積されるタイコート層と、
- 前記タイコート層に塗布され、請求項1から8のいずれか一項に記載の液体汚損剥離塗料組成物から堆積される、トップコート層と
を含む多層塗料系で被覆されている、請求項9に記載の基材。
【請求項11】
前記タイコート組成物が、硬化性アルコキシシリル官能基を有するポリアクリレートを含む、請求
項10に記載の基材。
【請求項12】
人工物体の表面上の水生生物汚損を防除するための方法であって、
(a)請求項1から8のいずれか一項に記載の汚損剥離塗料組成物を、前記人工物体の前記表面の少なくとも一部分に塗布するステップと、
(b)前記汚損剥離塗料組成物を硬化させて、硬化汚損剥離塗料層を形成するステップと、
(c)前記人工物体を少なくとも部分的に水中に浸漬するステップと
を含む、方法。
【請求項13】
前記汚損剥離塗料組成物を塗布する前に、請求項10または11に規定のタイコート組成物から堆積されるタイコート層を、前記人工物体の前記表面の前記少なくとも一部分に塗布するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
人工物体上の水生生物汚損を防除するための、請求項1から8のいずれか一項に記載の汚損剥離塗料組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工物体上の水生生物汚損を防除するための非水液体汚損剥離塗料組成物、
そのような塗料組成物で被覆された基材、および人工物体上の水生生物汚損を防除するた
めのこのような塗料組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
船およびボートの船殻、ブイ、ドリリングプラットフォーム、乾ドック設備、製油用リ
グ、水産養殖施設、ならびに水中に浸漬されるまたは水が通過する網および配管などの人
工構造物は、緑藻類および褐藻類、フジツボ、イガイなどの水生生物による汚損を受ける
傾向がある。このような構造物は、金属製であることが多いが、コンクリート、ガラス強
化プラスチックまたは木材などの他の建築材料で作られることもある。このような汚損は
、水中を移動する間の摩擦抵抗を増大するため、船およびボートの船殻には有害である。
結果として、速度が落ち、燃費が増加する。第1に、厚い汚損層の波および流れに対する
抵抗が、構造物に予測不可能かつ潜在的に危険な応力を起こし得るため、第2に、汚損に
よって構造物の応力亀裂および腐食などの欠陥の検査が困難になることから、ドリリング
プラットフォームの脚ならびに油およびガス生産、精錬および貯蔵リグなどの静的構造物
には有害である。流量の減少という結果を伴って、汚損によって効果的な断面が減少する
ことから、冷却水取水口および排出口などの配管において有害である。
【0003】
ポリシロキサン系樹脂を有する塗料は、水生生物による汚損の影響を受けにくいことが
知られている。このような塗料は、例えば、英国特許第1307001号明細書および米
国特許第3,702,778号明細書に開示されている。このような塗料は、生物が容易
に付着できない表面に存在すると考えられ、したがって、汚損防止ではなく、汚損剥離ま
たは汚損耐性塗装と呼ばれ得る。シリコーンゴムおよびシリコーン化合物は、一般に、非
常に低い毒性を有する。
【0004】
国際公開第2014/131695号パンフレットには、硬化性オルガノシロキサン含
有ポリマーおよびフッ素化オキシアルキレン含有ポリマーまたはオリゴマーを含む汚損防
止組成物が記載されている。
【0005】
硬化性ポリシロキサン樹脂をベースとした塗料組成物は、室温で比較的柔らかい。ポリ
シロキサン塗料の機械的特性を改善するために、ポリシロキサン系塗料を、エポキシ樹脂
またはポリウレタンなどのより強力なポリマーとブレンドまたは架橋した。
【0006】
国際公開第2012/146023号パンフレットには、10~99重量%のシラン末
端ポリウレタンおよび1~90重量%のシラン末端ポリシロキサンを含む一パッケージ型
湿気硬化性塗料組成物が開示されている。ポリウレタンおよびポリシロキサンは、自己架
橋して、有機-無機ハイブリッド網状組織を形成する。ミクロ相分離が表面で生じ、ポリ
シロキサンが、低い表面エネルギーで表面構造を形成し、汚損剥離特性をもたらす。
【0007】
国際公開第2013/107827号パンフレットには、硬化性ポリシロキサンおよび
シラン末端ポリウレタンを含む、汚損剥離塗装のタイコートまたはトップコートとして使
用するための塗料組成物が開示されている。硬化性ポリシロキサンおよびシラン末端ポリ
ウレタンは、共硬化するように設計されている。
【0008】
ポリシロキサン樹脂は、汚損剥離特性を付与する上では非常に優れているが、その重要
な欠点は、多くの他の樹脂が、ポリシロキサン樹脂で汚染された表面に接着しない点であ
る。そのため、ポリシロキサン系塗料の重ね塗りまたは漏れによって表面がポリシロキサ
ン樹脂で汚染されていた場合、プライマーまたは他の塗料を塗布する前にこのような表面
を洗浄しなければならない。非ポリシロキサン系樹脂をベースとした塗料組成物の、少量
のポリシロキサン系組成物による汚染も、塗装の審美にマイナスの影響がある。典型的に
は、ピンホールおよびフィッシュアイ効果が生じる。したがって、ポリシロキサン系およ
び非ポリシロキサン系塗料のために別々の設備を使用する必要がある。非常に少量のポリ
シロキサン樹脂しか含有しない塗料組成物でも、汚染問題が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、当該技術分野では、良好な汚損剥離特性および機械的特性を有しながら、
汚染問題を生じさせない、汚損剥離塗料組成物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
昨今、驚くべきことに、末端および/またはペンダント状アルコキシシリル基を有する
ある特定の有機ポリマー主鎖を含む樹脂系(A)と、さらなる汚損保護化合物としての、
殺海洋生物剤ならびに/またはフッ素化ポリマー、ステロールおよびステロール誘導体、
ならびに親水性修飾ポリシロキサン油からなる群から選択される非硬化性不揮発性化合物
(B)とを使用することによって、非水汚損剥離塗料組成物を生成することができ、ここ
で、塗料組成物が、硬化性ポリシロキサン樹脂を本質的に含まず、非硬化性親水性修飾ポ
リシロキサン油以外の非硬化性ポリシロキサンを本質的に含まないことが発見された。
【0011】
これに応じて、第1の態様では、本発明は、
(A)
i)フッ素原子を含まず、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネー
トまたはこれらの2つ以上のハイブリッドから選択される主鎖を有し、次式
-(CmH2m)-Si(R1)(3-n)(OR2)n (I)
(式中、
n=1、2または3、好ましくは2または3であり、
R1およびR2それぞれは、独立に、1~6個の炭素原子、好ましくは1~4個の炭素原
子を有するアルキル基であり、
mは、1~20の範囲の値の整数である)の少なくとも1つの末端またはペンダント状ア
ルコキシシリル基を有する、硬化性ポリマー、ならびに
ii)任意選択の硬化剤および/または触媒
を含む硬化性樹脂系と、
(B)殺海洋生物剤ならびに/またはフッ素化ポリマー、ステロールおよびステロール誘
導体、ならびに親水性修飾ポリシロキサン油からなる群から選択される非硬化性不揮発性
化合物と
を含む、人工物体上の水生生物汚損を防除するための非水汚損剥離塗料組成物であって、
塗料組成物が、硬化性ポリシロキサンを本質的に含まず、塗料組成物が、非硬化性親水性
修飾ポリシロキサン油以外の非硬化性ポリシロキサンを本質的に含まない、非水汚損剥離
塗料組成物を提供する。
【0012】
本発明による塗料組成物は、ポリシロキサン樹脂をベースとする塗料と同等か、または
それより優れた汚損剥離特性を有する塗料を生成する。その上、塗料組成物は、氷結剥離
特性を有する塗料も生成する。本発明による塗料組成物の重要な利点は、少量の塗料組成
物で汚染された表面を、接着性または審美性に悪影響を及ぼさずに、プライマーまたはト
ップコートで被覆することができる点である。さらなる利点は、ポリシロキサン樹脂をベ
ースとする塗料と比較して、改善された機械的特性、特に耐摩耗性を有する塗料を生成す
る点である。
【0013】
第2の態様では、本発明は、本発明の第1の態様による汚損剥離塗料組成物で被覆され
た基材を提供する。好ましくは、基材は、アルコキシシリル官能基を有するバインダーポ
リマーを含むタイコート組成物から堆積されたタイコート層と、本発明の第1の態様によ
る汚損剥離塗料組成物から堆積されたトップコート層とを含む、多層塗料系で被覆される
。
【0014】
汚損剥離塗料組成物を基材に塗布し、乾燥、硬化または架橋した後、塗装基材を浸漬す
ることができ、汚損に対する保護が付与される。上述のように、本発明による汚損剥離塗
料組成物は、非常に良好な汚損耐性および汚損剥離特性を有する塗料を生成する。これに
より、これらの塗料組成物は、海洋および水産養殖用途などの水域環境に浸漬される塗装
物体に非常に適したものになる。塗料は、船およびボートの船殻、ブイ、ドリリングプラ
ットフォーム、製油用リグ、浮体式洋上生産積み出し船舶(FPSO)、浮体式貯蔵再ガ
ス化設備(FSRU)、発電所の冷却水取水口、漁網または魚籠、および水中に浸漬する
配管などの動的および静的両方の構造物に使うことができる。
【0015】
これに応じて、本発明は、第3の態様において、人工物体の表面上の水生生物汚損を防
除するための方法であって、
(a)人工物体の表面の少なくとも一部分に、本発明の第1の態様による汚損剥離塗料組
成物を塗布するステップと、
(b)汚損剥離塗料組成物を硬化して、硬化汚損剥離塗料層を形成するステップと、
(c)人工物体を少なくとも部分的に水中に浸漬するステップと
を含む、方法を提供する。
【0016】
最終態様において、本発明は、人工物体上の水生生物汚損を防除するための、本発明の
第1の態様による汚損剥離塗料組成物の使用を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明による汚損剥離塗料組成物は、非水液体塗料組成物である。これは、i)硬化性
ポリマーならびにii)任意選択の硬化剤(架橋剤)および/または硬化触媒を含む、硬
化性樹脂系(A)を含む。汚損に対する防護の強化をもたらすために、塗料組成物は、成
分(B)として、殺海洋生物剤ならびに/またはフッ素化ポリマー、ステロールおよびス
テロール誘導体、ならびに親水性修飾ポリシロキサン油からなる群から選択される非硬化
性不揮発性化合物をさらに含む。汚損剥離塗料組成物は、有機溶媒、顔料、および非水液
体塗料組成物中で一般に使用される1種または複数の添加剤をさらに含んでもよい。塗料
組成物系は、硬化性ポリシロキサンを本質的に含まず、非硬化性親水性修飾ポリシロキサ
ン油以外の非硬化性ポリシロキサンを本質的に含まない。
【0018】
本明細書における硬化性ポリシロキサンとは、Si-O-Si連結を有する主鎖を有し
、少なくとも一部のケイ素原子が炭素原子に結合し、ペンダント状および/または末端架
橋性官能基を有するポリマーを指す。本明細書における架橋性官能基とは、自己縮合また
は架橋剤によって縮合して、正常な条件下、典型的には-10℃から50℃の間の温度で
塗布した場合、共有結合架橋を形成することができる基、例えばペンダントまたは末端シ
ラノール、アルコキシシリル、アセトキシシリルまたはオキシムシリル基などを指す。
【0019】
本明細書におけるペンダント基とは、側鎖の(lateral)、すなわち非末端の基を指す
。
【0020】
本明細書における「本質的に化合物を含まない」とは、該化合物を0.5重量%未満、
好ましくは0.1重量%未満しか含まない組成物、より好ましくは該化合物を完全に含ま
ない組成物を指す。
【0021】
本発明の汚損剥離塗料組成物は、液体塗料組成物である。これは、組成物が、周囲温度
で液体であり、ブラッシング、ローリング、ディッピング、バー塗布またはスプレーなど
の液体用の周知の塗布技術によって、周囲条件下で基材に塗布できることを意味する。
【0022】
塗料組成物は、非水塗料組成物である。これは、樹脂系の成分および塗料組成物の他の
成分が、非水液体媒体中に提供される、例えば溶解または分散されることを意味する。塗
料組成物は、塗布に必要とされる粘度を達成するために有機溶媒を含んでもよい。あるい
は、塗料組成物は、例えば、任意選択で反応性希釈剤および/または液体可塑剤を添加し
た後、硬化性ポリマーが十分に低い粘度の液体である場合、有機溶媒を含まなくてもよい
。塗料組成物は、少量の水、例えば不純物として少量の水を含有する顔料または有機溶媒
などの塗料組成物の他成分と一緒に意図せずに導入された水を含んでもよい。塗料組成物
は、好ましくは、組成物の総重量に対して5重量%未満、より好ましくは2重量%未満の
水を含む。さらにより好ましくは、組成物は水を含まない。
【0023】
硬化性ポリマー(i)は、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネ
ート、またはそれらの2つ以上のハイブリッドである主鎖を有する。本明細書におけるポ
リウレタン主鎖とは、ウレタン連結を有する主鎖を指す。このような主鎖は、ポリオール
およびポリイソシアネートの混合物、好ましくはジイソシアネートを反応させることによ
って形成される。任意の好適なポリオールまたはポリイソシアネートを使用してもよい。
好適なポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール
、ポリオキシアルキレンポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、
天然油由来ポリオールが挙げられる。ポリオールがポリエーテルポリオールである場合、
ポリマー主鎖は、ウレタンおよびエーテル連結の両方を有し、本明細書では、ポリエーテ
ル/ポリウレタンハイブリッドを指す。ポリオールがポリエステルポリオールである場合
、ポリマー主鎖は、ウレタンおよびエステル連結の両方を有し、本明細書では、ポリエス
テル/ポリウレタンハイブリッドを指す。好ましくは、硬化性ポリマー(i)は、ポリウ
レタン、ポリエーテル、またはポリエーテル/ポリウレタンハイブリッドである主鎖を有
する。
【0024】
硬化性ポリマー(i)は、次式(I):
-(CmH2m)-Si(R1)(3-n)(OR2)n (I)
(式中、
n=1、2または3、好ましくは2または3であり、
R1およびR2それぞれは、独立に、1~6個の炭素原子、好ましくは1~4個の炭素原
子を有するアルキル基であり、
mは、1~20の範囲の値の整数である)の少なくとも1つのアルコキシシリル末端また
はペンダント基を有する。
【0025】
二価の飽和炭化水素基CmH2mは、好ましくはウレタンまたは尿素連結を介した、ア
ルコキシシリル基-Si(R1)(3-n)(OR2)nの硬化性ポリマー(i)の主鎖
への連結である。好ましくは、mは、1~6の範囲の値の整数である。より好ましくは、
mは1または3である。mが1の場合、硬化性アルコキシシリル基は、ウレタンまたは尿
素連結に対してアルファ位に存在する。このようなアルファ位は、アルコキシシリル基の
より高い反応性およびそれに伴うより高い硬化率をもたらす。
【0026】
アルコキシシリル末端基またはペンダント基は、1つ、2つ、または3つのアルコキシ
基OR2、好ましくは2つまたは3つのアルコキシ基(n=2または3)を有し得る。ア
ルコキシ基OR2は、好ましくは、メトキシ基またはエトキシ基である(R2はメチルま
たはエチル基である)。1つまたは2つのアルコキシ基の場合、2つまたは1つのアルキ
ル基R1が、それぞれケイ素原子に結合する。R1は、1~20個の炭素原子、好ましく
は1~6個の炭素原子を有するアルキル基である。より好ましくは、R1はメチルまたは
エチル基である。
【0027】
好ましくは、硬化性ポリマー(i)は、式(I)の少なくとも1つの末端アルコキシシ
リル基、より好ましくは式(I)の少なくとも2つの末端アルコキシシリル基を有する。
【0028】
硬化性ポリマー(i)は、フッ素原子を含まず、直鎖状であっても分枝鎖であってもよ
い。好ましくは、硬化性ポリマー(i)は、本質的に直鎖状であり、式(I)の2つの末
端アルコキシシリル基を有する。硬化性ポリマー(i)は、式(I)のペンダントおよび
末端アルコキシシリル基を有してもよい。
【0029】
有機ポリマー主鎖および式(I)のアルコキシシリル基を有する硬化性ポリマーは、当
該技術分野において公知であり、例えば、米国特許第5,990,257号明細書に記載
されている。このようなポリマーは、例えば、イソシアネート官能化アルコキシシランを
、ポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリオールもしくはポリエーテル-ポリウレタ
ンハイブリッドポリオールなどのヒドロキシ末端プレポリマーと反応させることによって
、またはアミノアルコキシシランを、イソシアネート末端ポリウレタンもしくはポリエー
テル-ポリウレタンハイブリッドなどのイソシアネート末端プレポリマーと反応させるこ
とによって調製することができる。このような硬化性ポリマーの市販例としては、GEN
IOSIL(登録商標)STP-E(Wacker製)、Desmoseal S XP
2636、Desmoseal S XP 2749(Covestro製)、TEG
OPAC SEAL 100、Polymer ST 61 LVおよびPolymer
ST 80(Evonik製)が挙げられる。
【0030】
樹脂系は、硬化性ポリマー(i)以外のさらなる硬化性ポリマーを含んでもよい。この
ようなさらなる硬化性ポリマーが存在する場合、さらなる硬化性ポリマーは、好ましくは
、ペンタントおよび/または末端アルコキシシリル官能基を含む硬化性ポリマー、例えば
ペンダント状アルコキシシリル基を含むポリ(メタ)アクリレートである。このような、
ペンダントおよび/または末端アルコキシシリル官能基を含むさらなる硬化性ポリマーは
、硬化性ポリマー(i)および任意のさらなるアルコキシシリル官能基を有する硬化性ポ
リマーの総重量に対して、最大80重量%、好ましくは最大70重量%、より好ましくは
10~60重量%の範囲の量で存在してもよい。
【0031】
塗料組成物は、アルコキシシリル官能基を含まないさらなる硬化性ポリマーを含んでも
よい。このような、アルコキシシリル官能基を含まないさらなる硬化性ポリマーは、好ま
しくは、硬化性ポリマー(i)および任意のさらなる、アルコキシシリル官能基を有する
硬化性ポリマーの総重量に対して、50重量%未満、より好ましくは30重量%未満、さ
らにより好ましくは10重量%未満の量で存在する。さらにより好ましくは、樹脂系は、
アルコキシシリル官能基を含まない硬化性ポリマーを本質的に含まない、または完全に含
まない。塗料組成物は、硬化性ポリシロキサンを本質的には含まない。
【0032】
硬化性樹脂系は、好ましくは、硬化剤または硬化触媒を含む。樹脂系は、硬化剤および
硬化触媒の両方を含んでもよい。
【0033】
硬化剤(架橋剤とも呼ばれる)は、硬化性ポリマー(i)の末端またはペンダント状ア
ルコキシシリル基を架橋する上で好適な任意の硬化剤であってもよい。このような硬化剤
は、当該技術分野において公知である。官能性シランは、好適な硬化剤として知られる。
好ましい硬化剤としては、テトラアルコキシオルトシリケート(テトラアルコキシシラン
とも呼ばれる)、例えばテトラエチルオルトシリケートまたはその部分的縮合体など、お
よびアミノアルコキシシラン、グリシドオキシアルコキシシラン、メタクリルオキシアル
コキシシラン、カルバマトアルコキシシラン、およびイソシアヌレート官能基を有するア
ルコキシシランなどの有機官能性アルコキシシランが挙げられる。特に好適な硬化剤の例
は、テトラエチルオルトシリケートまたはその部分的縮合体、N-[3-(トリメトキシ
シリル)プロピル]エチレンジアミン、および(N,N-ジエチルアミノメチル)トリエ
トキシシランである。
【0034】
硬化剤は、任意の好適な量、典型的には樹脂系の総重量(硬化性ポリマーと硬化剤と任
意選択の触媒との重量)に対して最大10重量%、好ましくは1~5重量%の範囲で使用
してもよい。
【0035】
有機官能基に対してアルファ位にアルコキシシリル官能基を有する有機官能性アルコキ
シシランを硬化剤として使用する場合、塗料組成物を、硬化触媒のない周囲条件下で硬化
することができる。有機官能基に対してアルファ位にアルコキシシリル官能基を有する好
適な有機官能性アルコキシシランとしては、アルファ-アミノシランが挙げられる。(N
,N-ジエチルアミノメチル)トリエトキシシランは、特に好ましいアルファアミノシラ
ンである。
【0036】
硬化剤の代わりに、または硬化剤に加えて、樹脂系は、硬化触媒を含んでもよい。シラ
ノール基間の縮合反応を触媒するのに適した任意の触媒を使用してもよい。このような触
媒は、当該技術分野において周知であり、スズ、亜鉛、鉄、鉛、バリウム、およびジルコ
ニウムなどのさまざまな金属のカルボン酸塩が挙げられる。このような塩は、好ましくは
、長鎖カルボン酸の塩、例えばジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート
、ジブチルスズジオクトエート、ステアリン酸鉄、スズ(II)オクトエート、および鉛
オクトエートである。好適な触媒のさらなる例としては、有機ビスマス、有機チタン化合
物、有機リン酸塩(リン酸水素ビス(2-エチルヘキシル)など)が挙げられる。他の可
能な触媒としては、キレート、例えばジブチルスズアセトアセトネート、またはアミン配
位子を含む化合物(例えば、1,8-ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデカ-7-エン
など)が挙げられる。触媒は、酸基に対して[アルファ]位の炭素原子上に少なくとも1
つのハロゲン置換基を有する、および/または酸基に対してベータ位の炭素原子上に少な
くとも1つのハロゲン置換基を有するハロゲン化有機酸、または加水分解して縮合反応の
条件下でこのような酸を形成することができる誘導体を含んでもよい。あるいは、触媒は
、国際公開第2007/122325号パンフレット、国際公開第2008/05598
5号パンフレット、国際公開第2009/106717号パンフレット、国際公開第20
09/106718号パンフレットのいずれかに記載されるものであってもよい。
【0037】
触媒は、任意の好適な量、好ましくは樹脂系の総重量(硬化性ポリマーと任意選択の硬
化剤と触媒との重量)に対して0.1~10重量%の範囲、より好ましくは0.2~1.
0重量%の範囲で使用してもよい。
【0038】
硬化性樹脂系が、硬化触媒を含む場合、塗料組成物は、好ましくは、二成分(2K)塗
料組成物であり、硬化性樹脂系の硬化触媒および硬化性ポリマーは、別々の成分で提供さ
れ、塗料組成物の塗布直前に混合される。
【0039】
汚損に対する防護を強化するために、塗料組成物は、殺海洋生物剤および/または非硬
化性不揮発性化合物(非相溶性流体)を含む。本明細書における非硬化性化合物とは、樹
脂系中の硬化性ポリマー(i)または任意のさらなる硬化ポリマーの硬化反応に関与しな
い化合物を指す。本明細書における不揮発性化合物とは、大気圧下、250℃未満の温度
で沸騰しない化合物を指す。
【0040】
非硬化性不揮発性化合物は、フッ素化ポリマー、ステロールおよびステロール誘導体(
例えば、ラノリン、ラノリン油、またはアセチル化ラノリンなど)、ならびに親水性修飾
ポリシロキサン油(ポリ(オキシアルキレン)修飾ポリシロキサン油など)からなる群か
ら選択される。
【0041】
好適なフッ素化ポリマーの例としては、直鎖状および分枝鎖トリフルオロメチルフッ素
末端キャップペルフルオロポリエーテル(例えば、Fomblin Y(登録商標)、K
rytox K(登録商標)流体、またはDemnum S(登録商標)油);直鎖ジオ
ルガノ(OH)末端キャップペルフルオロポリエーテル(例えば、Fomblin Z
DOL(登録商標)、Fluorolink E(登録商標));低分子量ポリクロロト
リフルオロエチレン(例えば、Daifloil CTFE(登録商標)流体);および
フッ素化オキシアルキレン含有ポリマーまたはオリゴマー(国際公開第2014/131
695号パンフレットに記載)が挙げられる。非硬化性親水性修飾ポリシロキサン油は、
当該技術分野において公知であり、例えば、参照によりこのような非硬化性親水性修飾ポ
リシロキサン油の記述が本明細書に組み込まれる国際公開第2013/000479号パ
ンフレットの22~26ページに記載されている。このような非硬化性親水性修飾ポリシ
ロキサン油は、末端または側鎖シラノール、アルコキシシリル、または他のケイ素反応性
基のいずれも含まない。
【0042】
好ましくは、塗料組成物は、本明細書に上述の非硬化性不揮発性化合物を含む。より好
ましくは、塗料組成物は、親水性修飾ポリシロキサン油からなる群から選択される、さら
により好ましくは、ポリ(オキシアルキレン)修飾ポリシロキサン油からなる群から選択
される非硬化性不揮発性化合物を含む。このようなポリ(オキシアルキレン)修飾ポリシ
ロキサン油は、ペンダント状および/もしくは末端ポリ(オキシアルキレン)基を有して
もよく、かつ/またはその主鎖中に組み込まれたポリオキシアルキレン鎖を有してもよい
。好ましくは、ポリ(オキシアルキレン)修飾ポリシロキサン油は、ペンダント状ポリ(
オキシアルキレン)基を有する。
【0043】
ポリ(オキシアルキレン)修飾ポリシロキサン油は、好ましくは、1~20個の炭素原
子、より好ましくは2~6個の炭素原子を有するオキシアルキレン部分を含み、さらによ
り好ましくはオキシエチレンおよび/またはオキシプロピレン部分を含む。ペンダント、
末端、またはブロック共重合ポリ(オキシアルキレン)基は、好ましくは、1~50個の
オキシアルキレン部分、より好ましくは2~20個のオキシアルキレン部分を含む。ポリ
シロキサン油は、1~100個の範囲の、好ましくは1~50個、より好ましくは2~2
0個の範囲のペンダント/末端ポリ(オキシアルキレン)基および/または1~100個
の範囲の、好ましくは1~50個、より好ましくは2~20個の範囲の共重合ポリ(オキ
シアルキレン)ブロックを含んでもよい。特に好適な親水性修飾ポリシロキサン油は、ペ
ンダント状ポリ(オキシエチレン)基を含み、メチル基以外のペンダント状アルキル基を
含むポリジメチルシロキサンである。
【0044】
ペンダント状または末端オキシアルキレン部分は、好ましくは、二価の炭化水素基、好
ましくは1~8個の炭素原子、より好ましくは3つの炭素原子を有する二価の炭化水素基
を介してポリシロキサン主鎖のケイ素原子に連結する。ペンダント状または末端ポリ(オ
キシアルキレン)基は、任意の好適な基、好ましくはヒドロキシル、エーテル、またはエ
ステル基、より好ましくはヒドロキシル基または2~6個の炭素原子を有するエーテルも
しくはエステル基、例えばアセテート基などでキャッピングすることができる。
【0045】
好適な親水性修飾ポリシロキサンの市販例としては、DC5103、DC Q2-50
97、DC193、DC Q4-3669、DC Q4-3667、DC-57およびD
C2-8692(すべてDow Corning)、Silube J208(Silt
ech)、およびBYK333(BYK)が挙げられる。非硬化性不揮発性化合物は、任
意の好適な量、典型的には、塗料組成物の総重量に対して最大20重量%、好ましくは1
~10重量%、より好ましくは2~7重量%の範囲で添加してもよい。
【0046】
本明細書における殺海洋生物剤とは、海洋および淡水生物に対して化学的または生物学
的殺菌活性を有することで知られる化学物質を指す。好適な殺海洋生物剤は、当該技術分
野において周知であり、無機、有機金属、金属有機または有機殺生物剤が挙げられる。無
機殺生物剤の例としては、酸化銅、チオシアン酸銅、銅粉、炭酸銅、塩化銅、銅ニッケル
合金、および銀塩(塩化銀または硝酸銀など)などの銅化合物が挙げられ、有機金属およ
び金属有機殺生物剤としては、亜鉛ピリチオン(2-ピリジンチオール-1-オキシドの
亜鉛塩)、銅ピリチオン、ビス(N-シクロヘキシル-ジアゼニウムジオキシ)銅、亜鉛
エチレン-ビス(ジチオカルバメート)(すなわち、ジネブ)、亜鉛ジメチルジチオカル
バメート(ジラム)、および亜鉛塩と錯体を形成するマンガンエチレン-ビス(ジチオカ
ルバメート)(すなわち、マンコゼブ)が挙げられ、有機殺生物剤としては、ホルムアル
デヒド、ドデシルグアニジン一塩酸塩、チアベンダゾール、N-トリハロメチルチオフタ
ルイミド、トリハロメチルチオスルファミド、N-アリールマレイミド(N-(2,4,
6-トリクロロフェニル)マレイミドなど)、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,
1-ジメチル尿素(ジウロン)、2,3,5,6-テトラクロロ-4-(メチルスルホニ
ル)ピリジン、2-メチルチオ-4-ブチルアミノ-6-シクロポピルアミノ-s-トリ
アジン、3-ベンゾ[b]チエニル-5,6-ジヒドロ-1,4,2-オキサチアジン4
-オキシド、4,5-ジクロロ-2-(n-オクチル)-3(2H)-イソチアゾロン、
2,4,5,6-テトラクロロイソフタロニトリル、トリルフルアニド、ジクロフルアニ
ド、ジヨードメチル-p-トシルスルホン、カプシアシン(capsciacin)または置換カプ
シアシン、N-シクロプロピル-N’-(1,1-ジメチルエチル)-6-(メチルチオ
)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン、3-ヨード-2-プロピニルブチルカ
ルバメート、メデトミジン、1,4-ジチアアントラキノン-2,3-ジカルボニトリル
(ジチアノン)、ピリジントリフェニルボランなどのボラン、5位および任意選択で1位
で置換される2-トリハロゲノメチル-3-ハロゲノ-4-シアノピロール誘導体(2-
(p-クロロフェニル)-3-シアノ-4-ブロモ-5-トリフルオロメチルピロール(
トラロピリル)など)、ならびにフラノン(3-ブチル-5-(ジブロモメチリデン)-
2(5H)-フラノンなど)、ならびにこれらの混合物、大環状ラクトン(アベルメクチ
ン、例えばアベルメクチンB1、イベルメクチン、ドラメクチン、アバメクチン、アマメ
クチンおよびセラメクチンなど)、ならびに塩化ジデシルジメチルアンモニウムおよび塩
化アルキルジメチルベンジルアンモニウムなどの第四級アンモニウム塩が挙げられる。
【0047】
任意選択で、殺生物剤は、完全にまたは部分的にカプセル化、吸着、捕捉、支持または
結合される。ある種の殺生物剤は、取り扱いが困難または危険であり、有利には、カプセ
ル化、捕捉、吸収、支持または結合形態で使用される。殺生物剤のカプセル化、捕捉、吸
収、支持または結合は、さらにより漸進的な放出および長続きする効果を達成するように
、塗料系から浸出する殺生物剤を制御する二次機構をもたらすことができる。殺生物剤の
カプセル化、捕捉、吸着、支持または結合の方法は、特に本発明に限定されない。本発明
で使用するためにカプセル化された殺生物剤を調製することができる方法例としては、欧
州特許第1791424号明細書に記載の一枚および二枚壁のあるアミノホルムアルデヒ
ドまたは加水分解ポリビニルアセテート-フェノール樹脂カプセルまたはマイクロカプセ
ルが挙げられる。好適なカプセル化殺生物剤の例は、Dow Microbial Co
ntrolからSea-Nine 211N R397 Marine Antifou
ling Agentとして市販されているカプセル化4,5-ジクロロ-2-(n-オ
クチル)-3(2H)-イソチアゾロンである。吸収または支持または結合殺生物剤を調
製することができる方法例としては、欧州特許第709358号明細書に記載のクラスレ
ートなどのホストーゲスト錯体、欧州特許第880892号明細書に記載のフェノール樹
脂、欧州特許第1142477号明細書に記載のものなどの炭素系吸着剤、または欧州特
許第1115282号明細書に記載の非晶質シリカ、非晶質アルミナ、擬似ベーマイトま
たはゼオライトなどの無機細孔性キャリアの使用が挙げられる。
【0048】
水生生物汚損を防止するための塗料中の殺生物剤の使用と関連がある環境および健康へ
の懸念を考慮して、本発明による塗料組成物中の成分(B)は、好ましくは、殺海洋生物
剤ではない。
【0049】
したがって、好ましい実施形態において、塗料組成物は、殺海洋生物剤を本質的にまた
は完全に含まず、非殺生成分によって汚損に対する防護の強化がもたらされ、前記非殺生
成分は、フッ素化ポリマー、ステロールおよびステロール誘導体、ならびに親水性修飾ポ
リシロキサン油からなる群から選択される非硬化性不揮発性化合物である。
【0050】
塗料組成物中で使用するのに好適な溶媒としては、芳香族炭化水素、アルコール、ケト
ン、エステル、および上記同士または上記と脂肪族炭化水素との混合物が挙げられる。好
ましい溶媒には、メチルイソペンチルケトンなどのケトン、および/またはキシレン、ト
リメチルベンゼン、または脂肪族、環状もしくは非環式炭化水素などの炭化水素溶媒、な
らびにこれらの混合物が挙げられる。
【0051】
汚損剥離塗料組成物は、体質顔料(充填剤)および/または着色顔料ならびに汚損剥離
塗料組成物に一般的に使用される1種または複数の添加剤(湿潤剤、分散剤、流動添加剤
、レオロジー調整剤、接着促進剤、酸化防止剤、UV安定剤、および可塑剤など)をさら
に含んでもよい。
【0052】
好適な体質顔料の例としては、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、シリ
カまたはシリケート(silicates)(タルク、長石、およびチャイナクレーなど)(焼成
シリカ、ベントナイト、および他の粘土を含む)が挙げられる。ヒュームドシリカなどの
一部の体質顔料は、塗料組成物に対してチキソトロピー効果を有し得る。充填剤の比率は
、塗料組成物の総重量に対して0~25重量%の範囲であってもよい。好ましくは、粘土
は、0~1重量%の量で存在し、好ましくは、チキソトロープは、塗料組成物の総重量に
対して0~5重量%の量で存在する。
【0053】
着色顔料の例としては、黒色酸化鉄、赤色酸化鉄、黄色酸化鉄、二酸化チタン、酸化亜
鉛、カーボンブラック、黒鉛、赤色モリブデン、黄色モリブデン、硫化亜鉛、酸化アンチ
モン、スルホケイ酸アルミニウムナトリウム、キナクリドン、フタロシアニンブルー、フ
タロシアニングリーン、インダントロンブルー、酸化アルミニウムコバルト、カルバゾー
ルジオキサジン、酸化クロム、イソインドリンオレンジ、ビス-アセトアセト-トリジオ
ール(bis-acetoaceto-tolidiole)、ベンゾイミダゾロン、キナフタロンイエロー(quin
aphthalone yellow)、イソインドリンイエロー、テトラクロロイソインドリノン、およ
びキノフタロンイエロー、金属粉材料(例えば、アルミニウムフレーク)が挙げられる。
【0054】
組成物は、亜鉛末もしくは亜鉛合金などのいわゆる防錆顔料もしくは防食顔料、または
黒鉛、二硫化モリブデン、二硫化タングステンもしくは窒化ホウ素などのいわゆる滑らか
な顔料も含んでもよい。
【0055】
塗料組成物の顔料体積濃度は、好ましくは、0.5~25%の範囲である。顔料の全量
は、塗料組成物の総重量に対して0~25重量%の範囲であってもよい。
【0056】
塗料組成物は、好ましくは、塗料組成物中の不揮発性材料の重量百分率として定義され
る不揮発分を、少なくとも35重量%、より好ましくは少なくとも50重量%、さらによ
り好ましくは少なくとも70重量%有する。不揮発分は、最大80重量%、90重量%、
95重量%、好ましくは最大100重量%であってもよい。不揮発分は、ASTM法 D
2697に従って決定することができる。
【0057】
本発明はさらに、本発明の第1の態様による汚損剥離塗料組成物で被覆された基材に関
する。汚損剥離塗料組成物は、ブラシ、ローラー、ディッピング、バーまたはスプレー(
無気および従来の)による塗布などの、液体塗料組成物を塗布するための公知の技術によ
って塗布することができる。
【0058】
基材は、金属、コンクリート、木材、または高分子基材などの、水に浸漬される構造物
の表面であってもよい。高分子基材の例としては、ポリ塩化ビニル基材または繊維強化樹
脂の複合材料がある。代替の実施形態において、基材は、軟質ポリマーキャリア箔の表面
である。次いで、塗料組成物を、軟質ポリマーキャリア箔、例えばポリ塩化ビニルキャリ
ア箔の一面に塗布し、硬化し、その後、例えば接着剤の使用によって、キャリア箔の未塗
装面を構造物の表面に積層し、汚損耐性および/または汚損剥離特性を付与する。
【0059】
基材への良好な接着を達成するために、汚損剥離塗料組成物を、プライマー層および/
またはタイコート層を備えた基材に塗布することが好ましい。プライマー層は、当該技術
分野において公知の任意のプライマー組成物、例えばエポキシ樹脂系またはポリウレタン
系プライマー組成物から堆積され得る。より好ましくは、本発明による汚損剥離塗料組成
物から堆積される汚損剥離塗料層を塗布する前に、基材は、タイコート組成物から堆積さ
れたタイコート層を備える。タイコート組成物は、露出された基材表面、下塗りされた基
材表面、または汚損防止もしくは汚損剥離塗料組成物の既存の層を含有する基材表面に塗
布することができる。
【0060】
タイコート組成物は、当該技術分野において公知である。好ましい実施形態において、
タイコート層は、硬化性ポリマー(i)のペンダント状または末端アルコキシシリル基と
反応することができるアルコキシシリル官能基を有するバインダーポリマーを含むタイコ
ート組成物から堆積される。このようなタイコート組成物は、当該技術分野において公知
であり、例えば、国際公開第99/33927号パンフレットに記載されている。
【0061】
タイコート組成物中の硬化性アルコキシシリル官能基を有するバインダーポリマーは、
任意の好適なバインダーポリマー、例えばポリウレタン、ポリ尿素、ポリエステル、ポリ
エーテル、ポリエポキシ、またはポリアクリレートなどのエチレン性不飽和モノマー由来
のバインダーポリマーであってもよい。好ましくは、バインダーポリマーは、硬化性アル
コキシシリル官能基を有するポリアクリレートである。本明細書におけるポリアクリレー
トとは、アクリレートおよび/または(メタ)アクリレートモノマーのラジカル重合によ
って得ることができるポリマーを指す。
【0062】
アルコキシシリル官能基は、好ましくは、以下の一般式:
-(CmH2m)-Si(R1)(3-n)(OR2)n
(式中、n、R1、R2およびmは、上で式(I)について規定した通りである)を有す
る。好ましくは、nは2または3である。R1およびR2のそれぞれは、独立に、好まし
くは1~4個の炭素原子を有するアルキル基、より好ましくはエチルまたはメチルである
。好ましくは、mは、1~6の範囲の値の整数である。より好ましくは、mは1または3
であり、さらにより好ましくは、mは1である。
【0063】
特に好ましい実施形態において、タイコート組成物中のバインダーポリマーは、アクリ
レートおよび/または(メタ)アクリレートモノマー(いずれかの少なくとも片方がアル
コキシシリル官能基を有する)の混合物(例えば、3-(トリメトキシシリルプロピル)
メタクリレートまたはトリメトキシシリルメチルメタクリレートなど)のラジカル重合に
よって調製される。このようなモノマー混合物の例としては、メチルメタクリレート、ラ
ウリルメタクリレートおよびトリメトキシシリルメチルメタクリレートの混合物がある。
【0064】
好ましくは、タイコート組成物中のバインダーポリマーは、アルコキシシリル官能基以
外の架橋性官能基を含まない。
【実施例】
【0065】
本発明を、以下の非限定的な実施例によってさらに例示していく。
【0066】
実施例において、以下の化合物を使用した。
【0067】
硬化剤
ガンマ-アミノシラン:N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミ
ン
アルファ-アミノシラン:(N,N-ジエチルアミノメチル)トリエトキシシラン
オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)
【0068】
硬化触媒
DBU:1,8-ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデカ-7-エン
亜鉛触媒:K-KAT(登録商標)670(King Industries製)
酸触媒:リン酸水素ビス(2-エチルヘキシル)
【0069】
硬化性ポリマー
表1を参照。
【0070】
[実施例1]
シラン官能基を有する異なるポリマーの硬化
異なる市販の、末端またはペンダント状アルコキシシリル官能基を有する硬化性ポリマ
ーの硬化性を、このようなポリマーと、異なる量の硬化剤としてのガンマ-アミノシラン
もしくはアルファ-アミノシラン、または0.5重量%の硬化触媒とを混合することによ
って決定した。混合物のドローダウン200μmをガラスパネル上に塗布し、塗布された
層を周囲条件(23℃、相対湿度50%)で硬化させた。
【0071】
硬化乾燥の時間を決定した。硬化乾燥は、塗料がしっかり指に触れ、指を180°回転
させたとき、視覚可能な跡が付かないことを意味する。24時間後または1週間後、試験
を停止し、乾燥状態(湿潤、粘着性、指触乾燥、または硬化乾燥)を判定した。
【0072】
結果を表2および3に示す。
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
[実施例2]
汚損剥離性能
異なる塗料の汚損剥離特性を、いわゆるスライムファーム試験(slime farm test)で
判定した。異なる塗料を顕微鏡用スライドガラス上に塗布した。被覆したスライドを海水
中に2週間浸漬し、すべての残留溶媒を除去した。次いで被覆したスライドを複数種スラ
イム培養系(multispecies slime culturing system)の再循環反応器中に入れた。これ
は、野生型微生物の複数種生物培養物を接種した再循環人工海水系(温度22±2℃、塩
分濃度33±1psu(塩分濃度実用単位)、pH8.2±0.2)である。この系は、
亜熱帯環境を模倣し、それによって、制御された流体力学的条件および環境条件下で、海
洋バイオフィルムを培養し、後続して加速条件下で被覆された試験面上で成長させる。1
4日後、サンプルを取り出し、変速流体力学的フローセル中でバイオフィルム剥離につい
て試験した。汚染した顕微鏡用スライドをフローセル中に設置し、完全に乱流した海水が
表面を通過した。水の速度を0から820リットル/時間に徐々に上げ、各速度で1分間
一定のままにした。各速度増加の前に、スライドを撮像し、画像分析ソフトウェア(Im
ageJ、バージョン1.46r、Schneiderら、2012)を使用して、総面
積の百分率(%被覆)として、表面上に保持されるバイオフィルムの量を評価した。バイ
オフィルムの被覆率を、6つの複製スライドから平均し、平均%被覆を各速度の表面間で
比較した。
【0077】
唯一の硬化性ポリマーとしてのヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン、硬化剤とし
てのテトラエチルオルトシリケート(TEOS)、および硬化触媒としてのジオクチルス
ズジラウレートを有する比較組成物と、唯一のバインダーポリマーとしての末端アルコキ
シシリル基を有する硬化性ポリマー(i)、硬化剤としてのTEOSおよび硬化触媒を有
する本発明による塗料組成物について例示される組成物との、スライムファーム汚染物質
の定着および剥離を決定した。表4に、塗布した塗料組成物の組成を列挙する。具体的な
アルコキシシリル末端ポリマーの結果を表5に示す。
【0078】
【0079】
【0080】
[実施例3]
汚損剥離性能-生物汚損試験
マリングレード合板試験パネルを、エポキシ/アミン系プライマーで下塗りして、約1
00μmの平均乾燥膜厚さにした。次いで、ペンダント状アルコキシシリル基を有するポ
リアクリレートをベースとしたタイコート(実施例4に記載するように調製したアクリル
タイコート組成物1)を塗布して、約100μmの平均乾燥膜厚さにし、タイコートを乾
燥させた。次いで、汚損剥離トップコート組成物を、約150μmの平均乾燥膜厚さで、
前処理したパネルに塗布した。
【0081】
それぞれ、アルコキシシリル末端ポリマー(i)、触媒、任意選択の硬化剤(テトラエ
チルオルトシリケート)、および親水性修飾ポリシロキサン油を有する、いくつかのトッ
プコート組成物を塗布した。比較として、親水性修飾ポリシロキサン油(非相溶性流体)
を含まない同等のトップコート組成物を塗布した(比較1)。さらなる比較として、硬化
性ポリマーとしてのヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンおよび親水性修飾ポリシロ
キサン油を含むトップコートを塗布した(比較2)。表6に、汚損剥離トップコート組成
物の組成を列挙する。
【0082】
【0083】
次いで、重度の海洋汚損の成長が生じることで知られている水域環境であるシンガポー
ルのChangi Marinaでパネルを浸漬した。浸漬してから1カ月後、ボードの
評価を行い、存在していた生物汚損の重度を定量化した。結果(%生物汚損被覆率)を表
7に示す。OH末端PDMSおよびポリ(オキシエチレン)修飾ポリシロキサン油を有す
るトップコートを有するパネル(比較2)は、アルコキシシリル末端硬化性ポリマーおよ
びポリ(オキシエチレン)修飾ポリシロキサン油を有するトップコートを有するパネル上
の被覆率と同等の生物汚損被覆率を示した。
【0084】
【0085】
[実施例4]
異なるプライマー/タイコートへの接着性
異なる本発明による塗料組成物について、異なるプライマー/タイコートへの接着性を
決定した。
【0086】
アクリルタイコート組成物1の調製
溶媒としてのメチルn-アミルケトン(MAK)中、100℃にて、連鎖移動剤として
のメルカプトプロピルトリメトキシシランおよび開始剤としての2,2’アゾビス(2-
メチルブチロニトリル)(AMBN)の存在下で、メチルメタクリレート、ラウリルメタ
クリレートおよびトリメトキシシリルプロピルメタクリレートの混合物を共重合すること
によって、シロキサン官能性ポリアクリレートを調製した。メチルメタクリレート/ラウ
リルメタクリレート/トリメトキシシリルプロピルメタクリレート/メルカプトプロピル
トリメトキシシランのモル比は、70/12/15/3であった。70重量%のポリマー
のMAK中溶液が得られた。
【0087】
アクリルタイコート組成物2の調製
アクリルタイコート組成物1について上述したように、しかし、トリメトキシシリルプ
ロピルメタクリレートの代わりにトリメトキシシリルメチルメタクリレートを使用して、
シロキサン官能性ポリアクリレートを調製した。
【0088】
使用した市販のプライマー/タイコート
Intershield 300(AkzoNobel製):エポキシ系プライマー
Intergard 263(AkzoNobel製):エポキシ系プライマー/タイ
コート
Intertuf 203(AkzoNobel製):ビニル系プライマー
Interprotect(AkzoNobel製):エポキシ-アミン系プライマー
Primocon(AkzoNobel製):ビニル系プライマー
【0089】
本発明による塗料組成物
本発明による塗料組成物の例示的な5種の塗料組成物(塗料1~3、5および7)およ
び本発明による2種の塗料組成物(塗料4および6)を調製し、それぞれの組成を表8に
示す。
【0090】
【0091】
接着試験
プライマーまたはタイコート組成物の層を、未塗装のガラスパネルに直接塗布した。塗
布した層を乾燥させ、本発明による汚損剥離塗料組成物の第2の層を塗布した。第1のコ
ート(プライマーまたはタイコート)と第2のコート(本発明による汚損剥離コート)と
の間の接着性を、ペンナイフ接着試験を用いて決定した。この試験では、ペンナイフを使
用して二重塗料層をV字形に切り、次いでペンナイフの刃先を塗料の下の「V」の頂点か
ら挿入し、第1の塗料から第2の塗料を分離するのがどの程度困難かまたは容易かに注意
して、接着性レベルを評価する。
【0092】
【0093】
[実施例5]
汚染
硬化性樹脂系を有する表面の汚染が、後続して塗布されるポリウレタン仕上げコートの
審美的外観に与える影響を、以下のように決定した。
【0094】
エポキシ系プライマーで下塗りしたアルミニウム試験パネルに、50μmのドローダウ
ンバーを使用して、硬化性樹脂系の希釈溶液(キシレン中1重量%)を塗布した。樹脂を
、周囲条件で4時間乾燥させた。
【0095】
ドローダウンバーを使用して、ポリウレタン仕上げ塗料組成物を、乾燥塗料上に、湿潤
厚さ150μmで塗布した。ポリウレタン塗料組成物を乾燥させ、ポリウレタン仕上げコ
ートの外観を決定した。ポリウレタン仕上げコートの外観は、以下のように分類した:
1.塗料100%が全く影響を受けていない
2.表面積の1%~20%が表面欠陥を示す
3.表面積の21%~50%が表面欠陥を示す
4.表面積の50%超が表面欠陥を示す
表面欠陥は、ピンホール、フィッシュアイ、不良の表面湿潤、または他の任意の望ましく
ない表面特性の形態であり得る。
【0096】
結果を表10に示す。
【0097】