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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/62 20100101AFI20240806BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20240806BHJP
   H01L 21/52 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
H01L33/62
H01L21/60 301N
H01L21/52 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022509432
(86)(22)【出願日】2021-02-24
(86)【国際出願番号】 JP2021006842
(87)【国際公開番号】W WO2021192788
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-09-29
(31)【優先権主張番号】P 2020050705
(32)【優先日】2020-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】外山 智一郎
【審査官】高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/011302(WO,A1)
【文献】特開2018-107207(JP,A)
【文献】特開平09-162330(JP,A)
【文献】特開2008-118071(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/447-21/449
H01L 21/52
H01L 21/58 -21/607
H01L 33/00 -33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイパッドを含む配線を有する支持部材と
前記ダイパッドに接合された半導体素子と、
前記配線および前記半導体素子に接合されたワイヤと、
導電性を有するとともに、前記ダイパッドと前記半導体素子とを接合する接合層と、を備え、
前記半導体素子の厚さ方向に視て、前記ダイパッドは、前記半導体素子の周縁に包含される第1領域と、前記第1領域につながり、かつ前記半導体素子の周縁から外方にはみ出した第2領域と、を含み、
前記ダイパッドは、前記厚さ方向に対して直交する方向に沿って延びる第1帯状部と、前記第1帯状部の幅方向に沿って延びる第2帯状部および第3帯状部と、を有し、前記第1帯状部は、前記幅方向に互いに離間する第1端および第2端を有し、
前記第2帯状部は、前記第1帯状部の前記第1端につながっており、
前記第3帯状部は、前記第1帯状部の前記第2端につながっており、
前記第1帯状部、前記第2帯状部および前記第3帯状部の各々は、前記第1領域および前記第2領域を含み、
前記第2帯状部と前記第3帯状部とに挟まれた前記第1帯状部の部分は、前記第1領域であり、
前記厚さ方向に視て、前記ワイヤは、前記第1帯状部に重なっており、
前記厚さ方向に視て、前記第1帯状部の周縁は、前記ワイヤと交差するパッド辺を含むとともに、前記パッド辺を含む第1延長線は、前記第2帯状部と交差している、半導体装置。
【請求項2】
前記厚さ方向に視て、前記半導体素子の周縁は、前記ワイヤと交差する第1縁と、前記第1縁につながり、かつ前記ワイヤから最も近くに位置する第2縁と、を含み、
前記厚さ方向に視て、前記第1帯状部は、前記第2領域であり、かつ前記ワイヤに重なる第1凸部と、前記第2領域であり、かつ前記第1凸部につながる第2凸部と、を含み、
前記厚さ方向に視て、前記第2縁を含む第2延長線は、前記第1凸部と前記第2凸部との境界をなし、
前記厚さ方向に視て、前記第1凸部の面積は、前記第2凸部の面積よりも小である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
ダイパッドを含む配線を有する支持部材と、
前記ダイパッドに接合された半導体素子と、
前記配線および前記半導体素子に接合されたワイヤと、
導電性を有するとともに、前記ダイパッドと前記半導体素子とを接合する接合層と、を備え、
前記接合層は、金属粒子および合成樹脂を含む材料からなり、
前記半導体素子の厚さ方向に視て、前記ダイパッドは、前記半導体素子の周縁に包含される第1領域と、前記第1領域につながり、かつ前記半導体素子の周縁から外方にはみ出した第2領域と、を含み、
前記厚さ方向に視て、前記ワイヤは、前記第2領域から離れて位置しており、
前記ダイパッドは、前記厚さ方向に対して直交する方向に沿って延びる第1帯状部と、前記第1帯状部の幅方向に沿って延びる第2帯状部および第3帯状部と、を有し、
前記第1帯状部は、前記幅方向に互いに離間する第1端および第2端を有し、
前記第2帯状部は、前記第1帯状部の前記第1端につながっており、
前記第3帯状部は、前記第1帯状部の前記第2端につながっており、
前記第1帯状部、前記第2帯状部および前記第3帯状部の各々は、前記第1領域および前記第2領域を含み、
前記第2帯状部と前記第3帯状部とに挟まれた前記第1帯状部の部分は、前記第1領域であり、
前記厚さ方向に視て、前記半導体素子は、4つの角部を有する矩形状であり、
前記厚さ方向に視て、前記4つの角部の各々は、前記第1帯状部、前記第2帯状部および前記第3帯状部のいずれかに重なっており、
前記厚さ方向に視て、前記ワイヤは、前記第1帯状部に重なっており、
前記厚さ方向に視て、前記第1帯状部の周縁は、前記ワイヤと交差するパッド辺を含むとともに、前記パッド辺を含む第1延長線は、前記第2帯状部と交差しており、
前記第1帯状部は、前記ワイヤから最も近くに位置する前記第2領域である凸部を有し、
前記厚さ方向に視て、前記凸部の周縁は、前記パッド辺の一部を含む、半導体装置。
【請求項4】
前記金属粒子は、銀である、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記厚さ方向に視て、前記半導体素子の周縁は、前記ワイヤと交差する第1縁と、前記第1縁につながり、かつ前記ワイヤから最も近くに位置する第2縁と、を含み、
前記厚さ方向に視て、前記凸部は、前記第2縁を含む第2延長線に対して前記第2帯状部から遠ざかる側に位置する、請求項3または4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記パッド辺は、前記第1縁に対して平行である、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記接合層は、前記第2領域の上に位置する部分を含む、請求項1ないし6のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項8】
前記半導体素子は、前記第1領域に対向する第1導電層と、前記厚さ方向において前記第1導電層とは反対側に位置する第2導電層と、を有し、
前記第1導電層は、前記接合層を介して前記ダイパッドに接合されており、
前記ワイヤは、前記第2導電層に接合されている、請求項1ないし7のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1導電層は、半導体を含む材料からなる、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記半導体素子は、LEDである、請求項8または9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記支持部材に接する透光樹脂をさらに備え、
前記透光樹脂は、前記半導体素子および前記ワイヤを覆っている、請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記支持部材は、前記厚さ方向を向く主面を含む基材を有し、
前記配線が前記主面に配置されているとともに、前記透光樹脂が前記主面に接している、請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記基材は、前記厚さ方向において前記主面とは反対側を向く底面と、前記主面および前記底面につながり、かつ前記厚さ方向に対して直交する方向の外方を向く側面と、前記側面から前記基材の内方に向けて凹み、かつ前記主面および前記底面につながる複数の貫通部と、を含み、
前記支持部材は、前記底面に配置された複数の端子と、前記複数の貫通部に対して個別に配置された複数の側面端子と、を有し、
前記複数の側面端子の各々は、前記配線に導通するとともに、前記複数の端子のいずれかにつながっている、請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記主面に配置され、かつ電気絶縁性を有するレジスト層をさらに備え、
前記レジスト層は、前記複数の貫通部の各々の前記厚さ方向の一方の端を塞いでいる、請求項13に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記レジスト層の少なくとも一部は、前記支持部材と前記透光樹脂との間に位置する、請求項14に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、半導体装置の一例が開示されている。当該半導体装置においては、導電性のダイボンディング材により半導体素子(LEDチップ)がリードフレームに接合されている。さらに、当該半導体装置は、2本のワイヤを備えており、これらワイヤが、リードフレームに接合される一方、半導体素子に設けられた2つの端子(アノード端子、カソード端子)に接合されている。各ワイヤは、まずボールボンディング部がリードフレームに接合され、その後、スティッチボンディング部が上記2つの端子のいずれかに接合される。
【0003】
上記従来の半導体装置においては、ダイボンディング材は銀ペーストである。仮に、上記2つの端子のうち、アノード端子が半導体素子の下面に、カソード端子が半導体素子の上面に設けられているとする。この半導体装置を水分が存在している環境下で使用すると、イオンマイグレーションと称される現象が発生する。具体的には、上記2つの端子間に電圧を印加すると、銀ペーストに含まれる銀粒子が陽イオン化(Ag+)されて、カソード端子側に引きつけられる。その結果、カソード端子や、当該カソード端子に接合されたワイヤ、および当該カソード端子に導通するn型半導体層等に銀が析出する。しかしながら、このような銀の析出は、半導体装置の電流経路において短絡を発生させるなど不具合の要因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-234955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は上述の事情に鑑み、半導体素子を配線に接合するために用いられる接合層からのイオンマイグレーションを抑制しうる半導体装置を提供することをその一の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の側面によって提供される半導体装置は、ダイパッドを含む配線を有する支持部材と、前記ダイパッドに接合された半導体素子と、前記配線および前記半導体素子に接合されたワイヤと、導電性を有するとともに、前記ダイパッドと前記半導体素子とを接合する接合層と、を備える。前記半導体素子の厚さ方向に沿って視て、前記ダイパッドは、前記半導体素子の周縁に包含される第1領域と、前記第1領域につながり、かつ前記半導体素子の前記周縁から外方にはみ出した第2領域と、を含む。前記厚さ方向に沿って視て、前記ワイヤは、前記第2領域から離れて位置している。
【0007】
好ましくは、前記接合層は、前記第2領域の上に位置する部分を含む。
【0008】
好ましくは、前記接合層は、金属粒子および合成樹脂を含む材料からなる。
【0009】
好ましくは、前記金属粒子は、銀である。
【0010】
好ましくは、前記ダイパッドは、前記厚さ方向に対して直交する方向に沿って延びる第1帯状部と、前記第1帯状部の幅方向に沿って延びる第2帯状部および第3帯状部と、を有する。前記第1帯状部は、前記幅方向に互いに離間する第1端および第2端を有している。前記第2帯状部は、前記第1帯状部の前記第1端につながり、前記第3帯状部は、前記第1帯状部の前記第2端につながる。前記第1帯状部、前記第2帯状部および前記第3帯状部の各々は、前記第1領域および前記第2領域を含み、前記第2帯状部と前記第3帯状部とに挟まれた前記第1帯状部の部分は、前記第1領域である。
【0011】
好ましくは、前記厚さ方向に沿って視て、前記半導体素子は、4つの角部を有する矩形状である。前記厚さ方向に沿って視て、前記4つの角部の各々は、前記第1帯状部、前記第2帯状部および前記第3帯状部のいずれかに重なっている。
【0012】
好ましくは、前記厚さ方向に沿って視て、前記ワイヤは、前記第1帯状部に重なり、前記厚さ方向に沿って視て、前記第1帯状部の周縁は、前記ワイヤと交差するパッド辺を含むとともに、前記パッド辺を含む第1延長線は、前記第2帯状部と交差し、前記第1帯状部は、前記ワイヤから最も近くに位置する前記第2領域である凸部を有し、前記厚さ方向に沿って視て、前記凸部の周縁は、前記パッド辺の一部を含む。
【0013】
好ましくは、前記厚さ方向に沿って視て、前記半導体素子の周縁は、前記ワイヤと交差する第1縁と、前記第1縁につながり、かつ前記ワイヤから最も近くに位置する第2縁と、を含む。前記厚さ方向に沿って視て、前記凸部は、前記第2縁を含む第2延長線に対して前記第2帯状部から遠ざかる側に位置する。
【0014】
好ましくは、前記パッド辺は、前記第1縁に対して平行である。
【0015】
好ましくは、前記半導体素子は、前記第1領域に対向する第1導電層と、前記厚さ方向において前記第1導電層とは反対側に位置する第2導電層と、を有する。前記第1導電層は、前記接合層を介して前記ダイパッドに接合され、前記ワイヤは、前記第2導電層に接合されている。
【0016】
好ましくは、前記第1導電層は、半導体を含む材料からなる。
【0017】
好ましくは、前記半導体素子は、LEDである。
【0018】
好ましくは、前記半導体装置は、前記支持部材に接する透光樹脂をさらに備える。前記透光樹脂は、前記半導体素子および前記ワイヤを覆っている。
【0019】
好ましくは、前記支持部材は、前記厚さ方向を向く主面を有する基材を有し、前記配線が前記主面に配置されているとともに、前記透光樹脂が前記主面に接している。
【0020】
好ましくは、前記基材は、前記厚さ方向において前記主面とは反 対側を向く底面と、前記主面および前記底面につながり、かつ前記厚さ方向に対して直交する方向の外方を向く側面と、前記側面から前記基材の内方に向けて凹み、かつ前記主面および前記底面につながる複数の貫通部と、を有する。前記支持部材は、前記底面に配置された複数の端子と、前記複数の貫通部に対して個別に配置された複数の側面端子と、を有し、前記複数の側面端子の各々は、前記配線に導通するとともに、前記複数の端子のいずれかにつながっている。
【0021】
好ましくは、前記半導体装置は、前記主面に配置され、かつ電気絶縁性を有するレジスト層をさらに備える。前記レジスト層は、前記複数の貫通部の各々の前記厚さ方向の一方の端を塞いでいる。
【0022】
好ましくは、前記レジスト層の少なくとも一部は、前記支持部材と前記透光樹脂との間に位置する。
【0023】
本開示の第2の側面によって提供される半導体装置は、ダイパッドを含む配線を有する支持部材と、前記ダイパッドに接合された半導体素子と、前記配線および前記半導体素子に接合されたワイヤと、導電性を有するとともに、前記ダイパッドと前記半導体素子とを接合する接合層と、を備える。前記半導体素子の厚さ方向に沿って視て、前記ダイパッドは、前記半導体素子の周縁に包含される第1領域と、前記第1領域につながり、かつ前記半導体素子の当該周縁から外方にはみ出した第2領域と、を含む。前記ダイパッドは、前記厚さ方向に対して直交する方向に沿って延びる第1帯状部と、前記第1帯状部の幅方向に沿って延びる第2帯状部および第3帯状部と、を有する。前記第1帯状部は、前記幅方向に互いに離間する第1端および第2端を有する。前記第2帯状部は、前記第1帯状部の前記第1端につながり、前記第3帯状部は、前記第1帯状部の前記第2端につながる。前記第1帯状部、前記第2帯状部および前記第3帯状部の各々は、前記第1領域および前記第2領域を含む。前記第2帯状部と前記第3帯状部とに挟まれた前記第1帯状部の部分は、前記第1領域である。前記厚さ方向に沿って視て、前記ワイヤは、前記第1帯状部に重なる。前記厚さ方向に沿って視て、前記第1帯状部の周縁は、前記ワイヤと交差するパッド辺を含むとともに、前記パッド辺を含む第1延長線は、前記第2帯状部と交差している。
【0024】
好ましくは、前記厚さ方向に沿って視て、前記半導体素子の周縁は、前記ワイヤと交差する第1縁と、前記第1縁につながり、かつ前記ワイヤから最も近くに位置する第2縁と、を含む。前記厚さ方向に沿って視て、前記第1帯状部は、前記第2領域であり、かつ前記ワイヤに重なる第1凸部と、前記第2領域であり、かつ前記第1凸部につながる第2凸部と、を含む。前記厚さ方向に沿って視て、前記第2縁を含む第2延長線は、前記第1凸部と前記第2凸部との境界をなし、前記厚さ方向に沿って視て、前記第1凸部の面積は、前記第2凸部の面積よりも小である。
【発明の効果】
【0025】
本開示にかかる半導体装置によれば、半導体素子を配線に接合するために用いられる接合層からのイオンマイグレーションを抑制することが可能となる。
【0026】
本開示のその他の特徴および利点は、添付図面に基づき以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本開示の第1実施形態にかかる半導体装置の平面図であり、透光樹脂を透過している。
図2図1に示す半導体装置の底面図である。
図3図1に示す半導体装置の正面図である。
図4図1のIV-IV線に沿う断面図である。
図5図1のV-V線に沿う断面図である。
図6図1のVI-VI線に沿う断面図である。
図7図1の部分拡大図である。
図8図4の部分拡大図である。
図9】本開示の第1実施形態にかかる半導体装置の第1変形例を示す部分平面拡大図であり、透光樹脂を透過している。
図10】本開示の第1実施形態にかかる半導体装置の第2変形例を示す部分平面拡大図であり、透光樹脂を透過している。
図11】本開示の第2実施形態にかかる半導体装置の部分拡大平面図であり、透光樹脂を透過している。
図12図11に示す半導体装置の部分断面拡大図である。
図13】本開示の第3実施形態にかかる半導体装置の部分拡大平面図であり、透光樹脂を透過している。
図14図13に示す半導体装置の部分断面拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本開示を実施するための形態について、添付図面に基づいて説明する。
【0029】
図1図8に基づき、本開示の第1実施形態にかかる半導体装置A10について説明する。半導体装置A10は、支持部材1、複数の半導体素子30、接合層39、複数のワイヤ40、レジスト層50および透光樹脂60を備える。これらの図が示す半導体装置A10は、複数の半導体素子30の各々がLED(Light Emitting Diode)であり、かつ表面実装型の半導体パッケージである。ここで、図1は、理解の便宜上、透光樹脂60を透過している。図1において、IV-IV線、V-V線、およびVI-VI線の各々を一点鎖線で示している。
【0030】
半導体装置A10の説明においては、複数の半導体素子30の各々の厚さ方向を「厚さ方向z」と呼ぶ。厚さ方向zに対して直交する方向を「第1方向x」と呼ぶ。厚さ方向zおよび第1方向xの双方に対して直交する方向を「第2方向y」と呼ぶ。図1に示すように、半導体装置A10は、厚さ方向zに沿って視て矩形状である。第1方向xは、図1において半導体装置A10の横方向を指す。第2方向yは、図1において半導体装置A10の縦方向を指す。
【0031】
支持部材1には、図1図4および図5に示すように、複数の半導体素子30が搭載されている。図1および図2に示すように、支持部材1は、基材10、配線20、複数の端子28、および複数の側面端子29を有する。
【0032】
図1図2、および図4図6に示すように、基材10には、配線20、複数の端子28、および複数の側面端子29が配置されている。基材10は、電気絶縁性を有する。基材10は、たとえばガラスエポキシ樹脂を含む材料からなる。基材10は、主面11、底面12、側面13、および複数の貫通部14を有する。主面11および底面12は、厚さ方向zにおいて互いに反対側を向く。これらのうち、主面11は、厚さ方向zにおいて複数の半導体素子30が位置する側を向く。底面12は、半導体装置A10を配線基板に実装した際、当該配線基板に対向する。側面13は、主面11および底面12につながり、かつ厚さ方向zに対して直交する方向の外方を向く。半導体装置A10においては、側面13は、第1方向xの外方を向く一対の領域と、第2方向yの外方を向く一対の領域とを含む。
【0033】
図1図5に示すように、複数の貫通部14の各々は、側面13から基材10の内方に向けて凹み、かつ主面11および底面12につながっている。半導体装置A10においては、複数の貫通部14の各々は、側面13のうち第1方向xの外方を向く一対の領域のいずれかと、側面13のうち第2方向yの外方を向く一対の領域のいずれかとの境界から基材10の内方に向けて凹んでいる。これにより、厚さ方向zに沿って視て、複数の貫通部14の各々は、基材10の四隅のいずれかに位置する。複数の貫通部14の各々は、厚さ方向zに沿って視て扇形状である。
【0034】
図1、および図4図6に示すように、配線20は、基材10の主面11に配置されている。半導体装置A10においては、配線20は、複数の端子28、および複数の側面端子29とともに、複数の半導体素子30と、半導体装置A10が実装される配線基板との導電経路をなしている。半導体装置A10においては、配線20は、複数の金属層からなる。当該複数の金属層の一例として、主面11から近い順に、銅(Cu)層、ニッケル(Ni)層、金(Au)層が積層されたものが挙げられる。配線20は、主に電解めっきにより形成される。半導体装置A10においては、配線20は、複数のパッド21、および複数のダイパッド22を含む。
【0035】
図1に示すように、複数のパッド21の各々の一端は、基材10の複数の貫通部14のいずれかを規定する主面11の周縁に接している。複数のパッド21は、第1パッド211、第2パッド212、第3パッド213および第4パッド214を含む。第1パッド211および第2パッド212は、第1方向xにおいて互いに隣り合って位置する。第3パッド213および第4パッド214は、第1方向xにおいて互いに隣り合って位置する。一方、複数のダイパッド22は、第1ダイパッド221および第2ダイパッド222を含む。第1ダイパッド221は、第1パッド211につながっている。第2ダイパッド222は、第2方向yにおいて、第1パッド211および第2パッド212と、第3パッド213および第4パッド214との間に位置する。このため、第1パッド211および第2パッド212は、第2ダイパッド222に対して第2方向yの一方側に位置する。あわせて、第3パッド213および第4パッド214は、第2ダイパッド222に対して第2方向yの他方側に位置する。複数のダイパッド22のうち、第1ダイパッド221の詳細な構成は、後述する。
【0036】
図2、および図4図6に示すように、複数の端子28は、基材10の底面12に配置されている。複数の端子28の各々は、基材10の貫通部14のいずれかを規定する底面12の周縁に接している。半導体装置A10を配線基板に実装する際、複数の端子28は、ハンダを介して当該配線基板に接合される。半導体装置A10においては、複数の端子28の各々は、複数の金属層からなる。当該複数の金属層の構成は、配線20をなす複数の金属層の構成と同一である。
【0037】
図1図2、および図4図6に示すように、複数の側面端子29は、基材10の複数の貫通部14に対して個別に配置されている。複数の側面端子29の各々は、複数の貫通部14の各々を規定する基材10の側面13の一領域に沿って形成されている。複数の側面端子29の各々において、厚さ方向zの一方の端は、複数のパッド21のいずれかにつながっている。あわせて、厚さ方向zの他方の端は、複数の端子28のいずれかにつながっている。これにより、複数の端子28の各々は、複数のパッド21のいずれかに導通している。
【0038】
複数の半導体素子30の各々は、図4図6に示すように、接合層39を用いたダイボンディングにより複数のダイパッド22のいずれかに接合されている。図1に示すように、半導体装置A10においては、複数の半導体素子30は、第1素子301と、2つの第 2素子302とを含む。第1素子301は、複数のダイパッド22のうち第1ダイパッド221に接合されている。第1素子301は、赤色光を発するLEDである。2つの第2素子302は、複数のダイパッド22のうち第2ダイパッド222に接合されている。2つの第2素子302のうち、一方の当該第2素子302は、青色光を発するLEDである。あわせて、他方の当該第2素子302は、緑色光を発するLEDである。
【0039】
図4および図5に示すように、半導体装置A10においては、接合層39は、第1接合層391および第2接合層392を含む。第1接合層391は、導電性を有する。第1接合層391は、金属粒子および合成樹脂を含む材料からなる。当該金属粒子は、銀(Ag)である。当該合成樹脂は、たとえばエポキシ樹脂である。第2接合層392は、電気絶縁性を有する。第2接合層392は、たとえばポリイミドを含む材料からなる。第1接合層391は、第1ダイパッド221と第1素子301とを接合している。第2接合層392は、第2ダイパッド222と、2つの第2素子302とを接合している。
【0040】
図8に示すように、第1素子301は、第1導電層31、第2導電層32、p型半導体層33、n型半導体層34および活性層35を有する。これらのうち、厚さ方向zにおいてp型半導体層33とn型半導体層34とに挟まれた活性層35が、第1素子301の発光領域である。第1導電層31は、第1ダイパッド221の第1領域22A(詳細は後述)に対向している。第1導電層31は、半導体材料を含む材料からなる。当該半導体材料は、p型ドーパントが含有されたケイ素(Si)である。第1導電層31は、第1素子301のアノードであり、かつp型半導体層33に接している。第1導電層31は、第1接合層391を介して第1ダイパッド221に接合されている。これにより、第1素子301の第1導電層31は、複数のパッド21のうち第1パッド211に導通している。第2導電層32は、厚さ方向zにおいて第1導電層31とは反対側に位置する。第2導電層32は、第2素子302のカソードであり、n型半導体層34に接している。第2導電層32は、たとえば金を含む材料からなる。p型半導体層33およびn型半導体層34の各々は、たとえばヒ化ガリウム(GaAs)を含む材料からなる。活性層35は、たとえばアルミニウムガリウムヒ素(AlGaAs)を含む材料からなる。
【0041】
第1素子301の構造形式は、貼り合わせ型である。第1素子301の製造にあたっては、まず、ヒ化ガリウム基材に対してp型半導体層33、活性層35、n型半導体層34の順にこれらの各層をエピタキシャル成長により形成する。次いで、ヒ化ガリウム基材から、積層されたp型半導体層33、活性層35およびn型半導体層34を一体的に剥がす。次いで、一体となって積層されたp型半導体層33、活性層35およびn型半導体層34を、p型ドーパントが含有されたケイ素基材(シリコンウエハ)に貼り合わせる。この際、p型半導体層33が当該ケイ素基材に接するようにする。当該ケイ素基材が、第1導電層31に相当する。次いで、n型半導体層34に接する第2導電層32を形成する。最後に、当該ケイ素基材、p型半導体層33、活性層35およびn型半導体層34を一体的に個片化させることにより、第1素子301が得られる。
【0042】
図1および図5に示すように、2つの第2素子302の各々は、第1導電層31および第2導電層32を有する。第1導電層31および第2導電層32の各々は、当該第2素子302の上面に設けられている。第1導電層31および第2導電層32の各々は、たとえば金を含む材料からなる。第1導電層31は、当該第2素子302のアノードである。第2導電層32は、当該第2素子302のカソードである。2つの第2素子302の各々において、第2導電層32は、厚さ方向zにおいて第2ダイパッド222と第1導電層31との間に位置する。
【0043】
複数のワイヤ40の各々は、図1に示すように、その一端が複数のパッド21のいずれかに接合され、かつその他端が複数の半導体素子30のいずれかに接合されている。複数 のワイヤ40の各々は、たとえば金からなる。複数のワイヤ40の各々は、ワイヤボンディングにより形成される。複数のワイヤ40の各々は、第1接合部41および第2接合部42を有する。第1接合部41は、当該ワイヤ40の一端であり、かつ複数のパッド21のいずれかに接合されている。第1接合部41は、いわゆるボールボンディング部であり、当該ワイヤ40の形成開始部である。第2接合部42は、当該ワイヤ40の他端であり、かつ複数の半導体素子30のいずれかに接合されている。第2接合部42は、いわゆるスティッチボンディング部であり、当該ワイヤ40の形成終了部である。本構成により、基材10の主面11と、複数のワイヤ40の各々の頂部との間の距離を極力小とすることができるため、半導体装置A10の厚さ方向zの寸法の縮小を図ることができる。半導体装置A10においては、複数のワイヤ40は、2本の第1ワイヤ401、および3本の第2ワイヤ402を含む。
【0044】
図1に示すように、2本の第1ワイヤ401の第1接合部41は、複数のパッド21のうち第1パッド211に接合されている。あわせて、2本の第1ワイヤ401の第2接合部42は、2つの第2素子302の第1導電層31に対して個別に接合されている。これにより、2つの第2素子302の各々の第1導電層31は、第1パッド211に導通している。先述のとおり、第1素子301の第1導電層31は、第1パッド211に導通している。したがって、半導体装置A10においては、複数の半導体素子30は、第1パッド211に対して並列接続されている。
【0045】
図1に示すように、3本の第2ワイヤ402の第1接合部41は、複数のパッド21のうち第2パッド212、第3パッド213および第4パッド214に対して個別に接合されている。3本の第2ワイヤ402の第2接合部42は、複数の半導体素子30の第2導電層32に対して個別に接合されている。これにより、第1素子301の第2導電層32は、第2パッド212に導通している。2つの第2素子302のうち、一方の当該第2素子302の第2導電層32は、第3パッド213に導通している。あわせて、他方の第2素子302の第2導電層32は、第4パッド214に導通している。
【0046】
レジスト層50は、図1、および図4図6に示すように、基材10の主面11に配置されている。レジスト層50は、レジスト層50は、電気絶縁性を有する。レジスト層50は、たとえばソルダーレジストフィルムである。半導体装置A10においては、レジスト層50は、4つの領域を含む。当該4つの領域は、主面11の四隅に配置されている。当該4つの領域の各々は、基材10の複数の貫通部14のいずれかの厚さ方向zの一方の端を塞いでいる。あわせて、当該4つの領域の各々は、複数のパッド21のいずれかの一部を覆っている。図3図6に示すように、レジスト層50の少なくとも一部は、支持部材1と透光樹脂60との間に位置する。
【0047】
透光樹脂60は、図3図6に示すように、支持部材1に接している。透光樹脂60は、複数の半導体素子30、および複数のワイヤ40と、複数のパッド21の一部とを覆っている。透光樹脂60は、複数の半導体素子30から発する光を透過する。透光樹脂60は、たとえば、シリコーンが含有されたエポキシ樹脂を含む材料からなる。
【0048】
次に、複数のダイパッド22のうち第1パッド211と、第1導電層31が第1接合層391により第1パッド211に接合された第1素子301と、半導体素子30の第2導電層32に接合された第2ワイヤ402との関係について説明する。
【0049】
図7に示すように、第1パッド211は、第1領域22Aおよび第2領域22Bを含む。厚さ方向zに沿って視て、第1領域22Aは、第1素子301の周縁に包含されている。厚さ方向zに沿って視て、第2領域22Bは、第1領域22Aにつながり、かつ第1素子301の周縁から外方にはみ出している。厚さ方向zに沿って視て、第2ワイヤ402 は、第2領域22Bから離れて位置する。半導体装置A10においては、第1接合層391は、第2領域22Bの上に位置する部分を含む。
【0050】
図7に示すように、第1パッド211は、第1帯状部231、第2帯状部232および第3帯状部233を有する。第1帯状部231は、厚さ方向zに対して直交する方向に沿って延びている。ここで、以下の第1パッド211の説明においては、第1帯状部231が延びる方向を「第1帯状部231の長さ方向(以下「長さ方向L」という。)」と呼ぶ。第1帯状部231の幅に沿った方向を「第1帯状部231の幅方向B(以下「幅方向B」という。)」と呼ぶ。長さ方向Lおよび幅方向Bの各々は、厚さ方向zに対して直交している。さらに、幅方向Bは、長さ方向Lに対して直交している。第1帯状部231の長さ方向Lの一端が、複数のパッド21のうち第1パッド211につながっている。第2帯状部232および第3帯状部233の各々は、幅方向Bに沿って延びている。第2帯状部232は、第1帯状部231の幅方向Bの一端につながっている。第3帯状部233は、第1帯状部231の幅方向Bの他端につながっている。これにより、厚さ方向zに沿って視て、第1パッド211は、X字状をなしている。
【0051】
第1帯状部231、第2帯状部232および第3帯状部233の各々は、第1領域22Aおよび第2領域22Bを含む。図7に示すように、第2帯状部232と第3帯状部233とに挟まれた第1帯状部231の部分は、第1領域22Aである。
【0052】
図7に示すように、厚さ方向zに沿って視て、第1素子301は、4つの角部を有する矩形状である。厚さ方向zに沿って視て、当該4つの角部の各々は、第1帯状部231、第2帯状部232および第3帯状部233のいずれかに重なっている。
【0053】
図7に示すように、厚さ方向zに沿って視て、第2ワイヤ402は、第1帯状部231に重なっている。厚さ方向zに沿って視て、第1帯状部231の第1領域22Aの周縁は、パッド辺231Aを含む。厚さ方向zに沿って視て、パッド辺231Aは、第2ワイヤ402と交差するとともに、図7に示すパッド辺231Aを含む第1延長線E1は、第2帯状部232と交差している。さらに、第1帯状部231は、凸部231Bを有する。凸部231Bは、第2ワイヤ402から最も近くに位置する第2領域22Bである。厚さ方向zに沿って視て、凸部231Bの周縁は、パッド辺231Aの一部を含む。
【0054】
図7に示すように、厚さ方向zに沿って視て、第1素子301の周縁は、第1縁30Aおよび第2縁30Bを含む。厚さ方向zに沿って視て、第1縁30Aは、第2ワイヤ402と交差している。第2縁30Bは、第1縁30Aにつながり、かつ第2ワイヤ402から最も近くに位置する。半導体装置A10においては、第1縁30Aは、第1方向xに沿っており、かつ第2縁30Bは、第2方向yに沿っている。第1帯状部231のパッド辺231Aは、第1縁30Aに対して平行である。厚さ方向zに沿って視て、第2縁30Bに沿った方向、すなわち第2方向yにおいて、第2帯状部232がパッド辺231Aよりも外方に突出している。厚さ方向zに沿って視て、凸部231Bは、図7に示す第2縁30Bを含む第2延長線E2に対して第2帯状部232から遠ざかる側に位置するとともに、図7に示すパッド辺231Aを含む第1延長線E1よりもワイヤ40から遠ざかる側に突出している。
【0055】
次に、半導体装置A10の変形例である半導体装置A11および半導体装置A12について説明する。半導体装置A11および半導体装置A12は、複数のダイパッド22のうち第1ダイパッド221の構成が、先述した半導体装置A10の当該構成と異なる。
【0056】
図9に示すように、厚さ方向zに沿って視て、半導体装置A11の第1ダイパッド221の周縁は、一部を切り欠いた略矩形状となっている。また、図10に示すように、厚さ 方向zに沿って視て、半導体装置A12の第1ダイパッド221の周縁は、一部を切り欠いた略円形状となっている。厚さ方向zに沿って視て、これらの第1ダイパッド221の各々において一部を切り欠いた領域に、第2ワイヤ402が交差している。
【0057】
次に、半導体装置A10の作用効果について説明する。
【0058】
半導体装置A10は、導電性を有するとともに、ダイパッド22(第1ダイパッド221)と半導体素子30(第1素子301)とを接合する接合層39(第1接合層391)を備える。厚さ方向zに沿って視て、配線20に含まれるダイパッド22(第1ダイパッド221)は、半導体素子30(第1素子301)の周縁に包含される第1領域22Aと、第1領域22Aにつながり、かつ半導体素子30の当該周縁から外方にはみ出した第2領域22Bとを含む。厚さ方向zに沿って視て、ワイヤ40(第2ワイヤ402)は、第2領域22Bから離れて位置する。これにより、第2領域22Bの上に位置する接合層39の部分がワイヤ40からより遠ざけられた構成となるため、接合層39からのイオンマイグレーションによりワイヤ40に金属粒子が析出することを抑制できる。
【0059】
ダイパッド22は、厚さ方向zに対して直交する方向に沿って延びる第1帯状部231と、第1帯状部231の幅方向Bに沿って延びる第2帯状部232および第3帯状部233を有する。第2帯状部232は、第1帯状部231の幅方向Bの一端につながっている。第3帯状部233は、第1帯状部231の幅方向Bの他端につながっている。第2帯状部232と第3帯状部233とに挟まれた第1帯状部231の部分は、第1領域22Aである。これにより、ダイパッド22は、厚さ方向zに沿って視てX字状をなす。あわせて、厚さ方向zに沿って視て、ダイパッド22の中心が半導体素子30に重なる構成となる。
【0060】
さらに、厚さ方向に沿って視て、半導体素子30の4つの角部の各々は、第1帯状部231、第2帯状部232および第3帯状部233のいずれかに重なっている。これにより、ダイパッド22に対する半導体素子30の接合面積の過度な縮小が回避されるため、ダイパッド22に対する半導体素子30の接合強度と、ダイパッド22から半導体素子30に流れる電流とを確保することができる。また、半導体装置A10の使用時に、半導体素子30は、熱を発生する。当該熱に起因した熱応力は、当該4つの角部に集中する。そこで、本構成をとることにより、当該4つの角部に接合層39が付着するため、当該4つの角部からダイパッド22に向けて当該熱が伝導しやすくなる。したがって、当該4つの角部に集中する熱応力の低減を図ることができる。
【0061】
厚さ方向zに沿って視て、ワイヤ40は、第1帯状部231に重なっている。これにより、第2帯状部232は、第1帯状部231からワイヤ40に対して徐々に遠ざかる方向に延びている。厚さ方向zに沿って視て、第1帯状部231の周縁は、ワイヤ40と交差するパッド辺231Aを含む。パッド辺231Aを含む第1延長線E1(図7参照)は、第2帯状部232と交差している。厚さ方向zに沿って視て、半導体素子30の第2縁30Bに沿った方向(第2方向y)において、第2帯状部232がパッド辺231Aよりも外方に突出している。これにより、第2帯状部232の第2領域22Bの上に位置する接合層39の部分を、ワイヤ40からより遠ざけた構成とすることができる。
【0062】
第1帯状部231は、ワイヤ40から最も近くに位置し、かつ第2領域22Bである凸部231Bを有する。厚さ方向zに沿って視て、凸部231Bは、半導体素子30の第2縁30Bを含む第2延長線E2(図7参照)に対して第2帯状部232から遠ざかる側に位置する。これにより、ワイヤ40からより離れた位置に凸部231Bが設定されるため 、ワイヤ40から最も近くに位置する接合層39の部分を、ワイヤ40からより遠ざけた構成とすることができる。さらに、厚さ方向zに沿って視て、凸部231Bは、パッド辺231Aを含む第1延長線E1よりもワイヤ40に近づく側に突出していない。これにより、ワイヤ40からさらに離れた位置に凸部231Bが設定されることとなり、ワイヤ40から最も近くに位置する接合層39の部分を、ワイヤ40からさらに遠ざけた構成とすることができる。
【0063】
支持部材1は、基材10を有する。基材10は、側面13から基材10の内方に向けて凹み、かつ主面11および底面12につながる複数の貫通部14を有する。支持部材1は、底面12に配置された複数の端子28と、複数の貫通部14に対して個別に配置された複数の側面端子29とをさらに有する。複数の側面端子29の各々は、配線20に導通するとともに、複数の端子28のいずれかにつながっている。これにより、半導体装置A10を配線基板に実装する際、複数の端子28に加えて複数の側面端子29にもハンダが付着する。これにより、当該配線基板に対する半導体装置A10の実装強度が向上する。あわせて、複数の側面端子29に付着したハンダの形状を目視することにより、当該配線基板に実装された半導体装置A10の実装状態を容易に確認することができる。
【0064】
半導体装置A10は、支持部材1に接し、かつ半導体素子30およびワイヤ40を覆う透光樹脂60と、基材10の主面11に配置され、かつ電気絶縁性を有するレジスト層50とをさらに備える。レジスト層50は、基材10の複数の貫通部14の各々の厚さ方向zの一方の端を塞いでいる。さらに、レジスト層50の少なくとも一部は、支持部材1と透光樹脂60との間に位置する。これにより、半導体装置A10の製造時に、流動状態の透光樹脂60が複数の貫通部14に漏れ出すことを防止できる。
【0065】
さらに、図9に示す半導体装置A11や、図10に示す半導体装置A12のような変形例であっても、半導体装置A10の場合と同様な作用効果を奏する。
【0066】
図11および図12に基づき、本開示の第2実施形態にかかる半導体装置A20について説明する。これらの図において、先述した半導体装置A10の同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。図11は、理解の便宜上、透光樹脂60を透過している。図11が示す範囲は、図7が示す範囲と同一である。図12が示す断面の位置および大きさは、図8が示す断面の位置および大きさと同一である。
【0067】
半導体装置A20においては、ダイパッド22の第1ダイパッド221の構成が、先述した半導体装置A10の構成と異なる。
【0068】
図11に示すように、半導体装置A20の第1ダイパッド221においては、厚さ方向zに沿って視て、第1帯状部231のパッド辺231Aが、第1素子301の第1縁30Aから離れて位置する。厚さ方向zに沿って視て、図11に示すパッド辺231Aを含む第1延長線E1に対して、パッド辺231Aは、第3帯状部233に近づく側に位置する。このため、厚さ方向zに沿って視て、パッド辺231Aは、第1素子301の周縁よりも内方に位置する区間を含む。これにより、厚さ方向zに沿って視てパッド辺231Aと第1縁30Aとの間に挟まれ、かつ厚さ方向zにおいて基材10と第1素子301との間に挟まれた領域には、透光樹脂60の一部が入り込んでいる(図12参照)。さらに、厚さ方向zに沿って視て、第1帯状部231の凸部231Bの面積は、先述した半導体装置A10の当該面積よりも小である。
【0069】
次に、半導体装置A20の作用効果について説明する。
【0070】
半導体装置A20は、導電性を有するとともに、ダイパッド22(第1ダイパッド221)と半導体素子30(第1素子301)とを接合する接合層39(第1接合層391)を備える。厚さ方向zに沿って視て、配線20に含まれるダイパッド22(第1ダイパッド221)は、半導体素子30(第1素子301)の周縁に包含される第1領域22Aと、第1領域22Aにつながり、かつ半導体素子30の当該周縁から外方にはみ出した第2領域22Bとを含む。厚さ方向zに沿って視て、ワイヤ40(第2ワイヤ402)は、第2領域22Bから離れて位置する。したがって、半導体装置A20によっても、半導体素子30を配線20に接合するために用いられる接合層39からのイオンマイグレーションを抑制することが可能となる。
【0071】
図13および図14に基づき、本開示の第3実施形態にかかる半導体装置A30について説明する。これらの図において、先述した半導体装置A10の同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。図13は、理解の便宜上、透光樹脂60を透過している。図13が示す範囲は、図7が示す範囲と同一である。図14が示す断面の位置および大きさは、図8が示す断面の位置および大きさと同一である。
【0072】
半導体装置A30においては、ダイパッド22の第1ダイパッド221の構成が、先述した半導体装置A10の構成と異なる。
【0073】
図13に示すように、半導体装置A30の第1ダイパッド221においては、厚さ方向zに沿って視て、第1帯状部231のパッド辺231Aが、第1素子301の第1縁30Aから離れて位置する。厚さ方向zに沿って視て、図13に示すパッド辺231Aを含む第1延長線E1に対して、パッド辺231Aは、第3帯状部233から遠ざかる側に位置する。これにより、半導体装置A30においては、厚さ方向zに沿って視て、第1帯状部231は、第1素子301の第1縁30Aよりも外方に突出した領域、すなわち第2領域22Bを有する(図13および図14参照)。厚さ方向zに沿って視て、当該領域は、第2ワイヤ402に重なっている。半導体装置A30の説明において「第1縁30Aよりも外方」とは、図13に示す半導体素子30の第2素子302を含む第2延長線E2に沿った方向において、第1縁30Aよりも外方であることを意味する。
【0074】
図13に示すように、半導体装置A30の第1ダイパッド221は、先述した半導体装置A10の第1ダイパッド221と異なり、凸部231Bに替えて第1凸部231Cおよび第2凸部231Dを有する。第1凸部231Cおよび第2凸部231Dは、第2領域22Bである。厚さ方向zに沿って視て、第1凸部231Cは、第2ワイヤ402に重なっている。第2凸部231Dは、第1凸部231Cにつながっている。厚さ方向zに沿って視て、図13に示す第1素子301の第2縁30Bを含む第2延長線E2は、第1凸部231Cと第2凸部231Dとの境界をなしている。
【0075】
図13に示すように、厚さ方向zに沿って視て、第1帯状部231においては、第1凸部231Cの周縁、および第2凸部231Dの周縁は、それぞれパッド辺231Aの一部を含む。厚さ方向zに沿って視て、図13に示すパッド辺231Aを含む第1延長線E1は、第2帯状部232と交差している。これにより、厚さ方向zに沿って視て、第1素子301の第1縁30Aよりも外方に突出した第1凸部231Cの突出量P1は、第1縁30Aよりも外方に突出した第2帯状部232の突出量P2よりも小である。
【0076】
次に、半導体装置A30の作用効果について説明する。
【0077】
半導体装置A30のダイパッド22(第1ダイパッド221)は、第1帯状部231、第2帯状部232および第3帯状部233を有する。第1帯状部231、第2帯状部23 2および第3帯状部233の各々は、第1領域22Aおよび第2領域22Bを含む。第2帯状部232は、第1帯状部231の幅方向Bの一端につながっている。第3帯状部233は、第1帯状部231の幅方向Bの他端につながっている。第2帯状部232と第3帯状部233とに挟まれた第1帯状部231の部分は、第1領域22Aである。これにより、厚さ方向zに沿って視て、ダイパッド22は、X字状をなすとともに、ダイパッド22の中央は、半導体素子30(第1素子301)に重なっている。
【0078】
上述の構成において、厚さ方向zに沿って視て、ワイヤ40(第2ワイヤ402)は、第1帯状部231に重なっている。厚さ方向zに沿って視て、第1帯状部231の周縁は、ワイヤ40と交差するパッド辺231Aを含むとともに、パッド辺231Aを含む第1延長線E1(図13参照)は、第2帯状部232と交差している。これにより、厚さ方向zに沿って視て、第2領域22Bに重なるワイヤ40の区間の長さをできるだけ小とすることができる。このため、接合層39(第1接合層391)の一部が当該第2領域22Bの上に位置する場合であっても、当該接合層39の一部の体積が比較的僅かなものとなるため、接合層39からのイオンマイグレーションによりワイヤ40に金属粒子が析出することを抑制できる。
【0079】
半導体装置A30においては、第1帯状部231は、第1凸部231Cおよび第2凸部231Dを有する。第1凸部231Cおよび第2凸部231Dは、第2領域22Bである。厚さ方向zに沿って視て、第1凸部231Cは、ワイヤ40に重なっている。第2凸部231Dは、第2凸部231Dにつながっている。厚さ方向zに沿って視て、半導体素子30の第2縁30Bを含む第2延長線E2(図13参照)は、第1凸部231Cと第2凸部231Dとの境界をなしている。厚さ方向zに沿って視て、第1凸部231Cの面積は、第2凸部231Dの面積よりも小である。これにより、第1凸部231Cおよび第2凸部231Dの上に接合層39の一部が位置する場合であっても、当該接合層39の一部の体積の大半を第2凸部231Dの上に位置させることができる。このため、第1凸部231Cの上に位置する当該接合層39の体積は、ごく僅かなものとなる。したがって、接合層39からのイオンマイグレーションを、より効果的に抑制することができる。
【0080】
本開示にかかる配線20は、主に電解めっきにより形成された複数の金属層からなる。この他に、配線20は、たとえばリードフレームから形成されたものでもよい。
【0081】
本開示は、先述した実施形態に限定されるものではない。本開示の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0082】
A10,A11,A12,A20,A30:半導体装置
1:支持部材
10:基材
11:主面
12:底面
13:側面
14:貫通部
20:配線
21:パッド
211:第1パッド
212:第2パッド
213:第3パッド
214:第4パッド
22:ダイパッド
221:第1ダイパッド
222:第2ダイパッド
22A:第1領域
22B:第2領域
231:第1帯状部
231A:パッド辺
231B:凸部
231C:第1凸部
231D:第2凸部
232:第2帯状部
233:第3帯状部
28:端子
29:側面端子
30:半導体素子
301:第1素子
302:第2素子
30A:第1縁
30B:第2縁
31:第1導電層
32:第2導電層
33:p型半導体層
34:n型半導体層
35:活性層
39:接合層
391:第1接合層
392:第2接合層
40:ワイヤ
401:第1ワイヤ
402:第2ワイヤ
41:第1接合部
42:第2接合部
50:レジスト層
60:透光樹脂
E1:第1延長線
E2:第2延長線
P1,P2:突出量
z:厚さ方向
x:第1方向
y:第2方向
L:長さ方向
B:幅方向
図1
図2
図3
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図5
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