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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】判定システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/18 20060101AFI20240806BHJP
   G05B 19/4093 20060101ALI20240806BHJP
   B23Q 17/22 20060101ALI20240806BHJP
   B23Q 17/20 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
G05B19/18 W
G05B19/4093 A
B23Q17/22 F
B23Q17/20 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022510630
(86)(22)【出願日】2021-03-24
(86)【国際出願番号】 JP2021012400
(87)【国際公開番号】W WO2021193768
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-11-21
(31)【優先権主張番号】P 2020058165
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】手塚 淳一
【審査官】中田 善邦
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-181050(JP,A)
【文献】特開2015-207249(JP,A)
【文献】国際公開第2013/118179(WO,A1)
【文献】特開2019-220093(JP,A)
【文献】特開2013-257809(JP,A)
【文献】国際公開第2018/056116(WO,A1)
【文献】特開2016-057843(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/18,
B23Q 17/20, 17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械の駆動軸を駆動するモータの実際の位置を取得するモータ位置取得部と、
前記工作機械の駆動軸構成、工具形状及び未加工ワーク形状を含む機械情報を取得する機械情報取得部と、
前記モータの実際の位置及び前記機械情報に基づいて、加工されたワークの加工面の形状を算出するモータ位置加工面算出部と、
実際に加工されたワークの加工面の形状を取得する実加工面取得部と、
工作機械の駆動軸を駆動するモータの指令位置を取得する指令位置取得部と、
前記指令位置及び前記機械情報に基づいて、加工されたワークの加工面の形状を算出する指令加工面算出部と、
実際に加工されたワークに加工面不良又は形状誤差が確認されたときに、問題個所を判定する加工面分析部と、を備え、
前記加工面分析部は、前記モータ位置加工面算出部で算出された加工面の形状及び前記実加工面取得部で取得された加工面の形状の相関である第1の相関を比較し、前記第1の相関が相関有りと判定された場合には、前記指令加工面算出部で算出された加工面の形状及び前記モータ位置加工面算出部で算出された加工面の形状の相関である第2の相関を比較して問題個所を判定する判定システム。
【請求項2】
ワークの加工プログラムを生成するプログラム生成部と、
前記加工プログラムに基づいて、ワークの加工面の形状を算出するプログラム加工面算出部と、をさらに備え、
前記加工面分析部は、前記第1の相関が相関有りと判定され、前記第2の相関が相関有りと判定された場合には、前記プログラム加工面算出部で算出された加工面の形状及び前記指令加工面算出部で算出された加工面の形状の相関である第3の相関を比較して問題個所を判定する請求項1に記載の判定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工面不良や形状誤差などの要因の判定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械の各駆動軸を駆動するモータの位置制御の精度は、加工結果に大きな影響を与えることが知られている。そのため、例えば工作機械を用いて加工されたワークの加工面不良や形状誤差などについて、その要因を判別する技術が種々知られている(例えば、特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6366875号公報
【文献】特許第5197640号公報
【文献】特開2017-30066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、実際のモータの位置に基づいて算出された加工面形状と、加工されたワークの加工面を実際に測定して得た加工面形状とを直接比較する技術はこれまでのところなく、加工面不良や形状誤差の要因の特定に長時間を要しているのが現状である。
【0005】
そこで、実際のモータの位置に基づいて算出された加工面形状と、加工されたワークの加工面を実際に測定して得られた加工面形状とを比較して、加工面不良や形状誤差などの要因を短時間で判定できる技術の提供が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、工作機械の駆動軸を駆動するモータの実際の位置を取得するモータ位置取得部と、前記工作機械の駆動軸構成、工具形状及び未加工ワーク形状を含む機械情報を取得する機械情報取得部と、前記モータの実際の位置及び前記機械情報に基づいて、加工されたワークの加工面の形状を算出するモータ位置加工面算出部と、実際に加工されたワークの加工面の形状を取得する実加工面取得部と、前記モータ位置加工面算出部で算出された加工面の形状及び前記実加工面取得部で取得された加工面の形状の相関である第1の相関を比較する加工面分析部と、を備える判定システムである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、実際のモータの位置に基づいて算出された加工面形状と、加工されたワークの加工面を実際に測定して得られた加工面形状の相関を直接比較して、加工面不良や形状誤差などの要因を短時間で判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る判定システムの構成を示す機能ブロック図である。
図2】本実施形態に係る各形状A~Dにおける基準面の算出方法を説明するための図である。
図3】本実施形態に係る各形状A~Dを同一の座標系に表すことを説明するための図である。
図4】本実施形態に係る加工面不良や形状誤差の要因の分析方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る判定システム100の構成を示す機能ブロック図である。図1に示されるように、判定システム100は、プログラム生成部1と、数値制御装置2と、サーボ制御装置3と、モータ4と、工作機械5と、判定部6を備える。
【0011】
プログラム生成部1は、加工前後のワーク(未加工のワーク及び加工されたワーク)の形状データや、後述する機械情報等に基づいて、加工プログラムを生成する。形状データとしては、3次元CAD(Computer Aided Design)データ等が挙げられる。加工プログラムとしては、CAM(Computer Aided Manufacturing)で作成された加工プログラムが挙げられる。
【0012】
数値制御装置2は、加工プログラムに基づいてモータの指令位置を後述する指令位置取得部11に指令を分配する。具体的には、数値制御装置2は、プログラム生成部1で生成された加工プログラムに基づいて、モータ4の位置指令を生成する。この位置指令により規定される位置は、モータ4の指令位置(以下、単に「指令位置」ともいう)を意味する。そして、数値制御装置2は、サーボ制御装置3に指令位置を分配する。指令を分配する制御としては、CNC(コンピュータ数値制御:Computerized Numerical Control)が挙げられる。また、数値制御装置2は、後述する工作機械5の駆動軸構成、工具形状及び未加工ワーク形状を含む機械情報を、例えばEEPROM等の書き換え可能なメモリに記憶している。
【0013】
サーボ制御装置3は、数値制御装置2からの位置指令(指令位置)と、モータ4に設けられたエンコーダによって検出された位置フィードバックとに基づいて、モータ4の駆動電流を制御する。
【0014】
モータ4は、工作機械5に設けられる。モータ4は、工作機械5における可動部、例えば工具の送り軸やワークの送り軸を駆動するモータを含む。モータ4には、モータ4の回転位置(回転角度)を検出するエンコーダ(不図示)が設けられる。エンコーダによって検出された回転位置は、モータ4の実位置を意味し、位置フィードバックとして利用される。ここで、モータ4の回転位置と工作機械5の可動部の位置とは対応関係にあるため、エンコーダによって検出された回転位置、即ち位置フィードバックは、工具の位置やワークの位置を示す。
【0015】
工作機械5は、例えばボールエンドミル等の工具を用いてワーク(加工対象物)の表面の切削加工を行う機械である。工作機械5の各駆動軸は、モータ4により駆動される。
【0016】
次に、本実施形態に係る判定部6について詳しく説明する。本実施形態に係る判定部6は、例えば、CPU、ROM、RAM等を含むコンピュータ等の演算処理装置によって構成される。図1では、判定部6を、数値制御装置2とは別個のコンピュータ等により構成した例を示したが、数値制御装置2と一体に構成されてもよい。
【0017】
図1に示されるように、本実施形態に係る判定部6は、位置情報取得部10と、機械情報取得部12と、指令加工面算出部13と、モータ位置加工面算出部22と、実加工面取得部24と、プログラム加工面算出部26と、加工面分析部50と、を備える。
【0018】
位置情報取得部10は、工作機械5の各駆動軸を駆動するモータ4の指令位置を取得する指令位置取得部11と、工作機械5の各駆動軸を駆動するモータ4の実際の位置(以下、単に「実位置」ともいう)を取得するモータ位置取得部21とを備える。具体的には、モータ4の指令位置は、数値制御装置2から取得される。また、モータ4の実位置は、サーボ制御装置3から取得される。
【0019】
機械情報取得部12は、工作機械5の駆動軸構成、工具形状及び未加工ワーク形状を含む機械情報を取得する。具体的には、これら機械情報は、プログラム生成部1又は数値制御装置2から取得される。あるいは、これら機械情報は、ユーザが直接入力して設定することでも取得可能である。
【0020】
指令加工面算出部13は、指令位置取得部11で取得された指令位置と、機械情報取得部12で取得された機械情報とに基づいて加工されたワークの加工面の形状を算出する。
【0021】
具体的には、指令加工面算出部13は、指令位置及び工作機械5の各駆動軸の位置情報に基づいて工具経路を算出し、工具形状及び未加工ワーク形状に基づいて3次元的な加工面の形状をシミュレーションする。該シミュレーションの結果から、指令加工面算出部13は、加工されたワークの加工面形状を取得する。
【0022】
モータ位置加工面算出部22は、モータ位置取得部21で取得された実位置と、機械情報取得部12で取得された機械情報とに基づいて加工されたワークの加工面の形状を算出する。
【0023】
具体的には、モータ位置加工面算出部22は、実位置及び工作機械5の各駆動軸の位置情報に基づいて工具経路を算出し、工具形状及び未加工ワーク形状に基づいて3次元的な加工面の形状をシミュレーションする。該シミュレーションの結果から、モータ位置加工面算出部22は、加工されたワークの加工面形状を取得する。
【0024】
実加工面取得部24は、プログラム生成部1で生成された加工プログラムに基づいて実際に加工されたワークの加工面形状を測定して取得する。測定機器としては、加工面形状を測定できるものであればよく、例えば、従来公知の表面粗さ計等を用いて測定された測定結果から、加工されたワークの加工面形状の取得が可能である。
【0025】
プログラム加工面算出部26は、加工プログラムに基づいて、ワークの加工面の形状を算出する。本実施形態においては、プログラム加工面算出部26、加工プログラム内におけるモータの位置と、機械情報取得部12で取得された機械情報とに基づいて、加工されたワークの加工面の形状を算出する。
【0026】
より具体的には、プログラム加工面算出部26は、加工プログラム内におけるモータの位置及び工作機械5の各駆動軸の位置情報に基づいて工具経路を算出し、工具形状及び未加工ワーク形状に基づいて3次元的な加工面の形状をシミュレーションする。該シミュレーションの結果から、プログラム加工面算出部26は、加工されたワークの加工面形状を取得する。
【0027】
加工面分析部50は、プログラム加工面算出部26で算出された加工面の形状(以下、単に「形状A」ともいう)及び指令加工面算出部13で算出された加工面の形状(以下、単に「形状B」ともいう)の相関である第3の相関と、指令加工面算出部13で算出された加工面の形状(形状B)及びモータ位置加工面算出部22で算出された加工面の形状(以下、単に「形状C」ともいう)の相関である第2の相関と、モータ位置加工面算出部22で算出された加工面の形状(形状C)及び実加工面取得部24で取得された加工面の形状(以下、単に「形状D」ともいう)の相関である第1の相関と、を分析し、これにより、加工面不良や形状誤差などの要因を分析する。
【0028】
加工面分析部50が、各形状A~Dの相関を比較しやすくするために、各形状A~Dを同一の座標系に表すことが好ましい。そこで、各形状A~Dを同一の座標系に表す方法の一例について、図2及び図3を参照して説明する。図2は、各形状A~Dにおける基準面の算出方法を説明するための図である。図3は、各形状A~Dを同一の座標系に表すことを説明するための図である。
【0029】
各形状A~Dを同一の座標系に表すためには、各加工面形状の基準面を算出する必要がある。そのため、対象となる加工面上の点群から、基準面の方程式を算出する方法について説明する。先ず、加工面上の点Pn(Xn,Yn,Zn)、基準面d=aX+bY+cZと定義したときに、加工面上の点Pnから基準面dまでの距離lnは、以下の式(1)で表される。
【0030】
【数1】
【0031】
各加工点からの距離の二乗の総和Lが最小となる平面を基準面とする。即ち、以下の式(2)で表されるLが最小となるa,b,c,dを求める。
【0032】
【数2】
【0033】
具体的には、行列Aを以下の式(3)のように定義し、この行列Aを特異値分解(SVD)することにより、基準面を算出する。
【0034】
【数3】
【0035】
最小の特異値σに対応するベクトルvが、求める基準面の法線ベクトルとなる。そのため、v=(a,b,c)が定まれば、以下の式(4)により基準面dを算出できる。
【0036】
【数4】
【0037】
以上、点群の座標値から基準面を算出する方法について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、理想とする加工面を外部から設定し、これを基準面としてもよい。
【0038】
次いで、上述のようにして基準面を算出した後、算出した基準面上に新たに座標系(X軸とY軸)を定める。また、加工点から基準面上に正射影した点(x,y)における凹凸情報zを表す関数を、以下の式(5)のように定義する。
【0039】
【数5】
【0040】
このようにして、形状Aに関する凹凸情報を表す関数を
z=f(x,y)
と、形状Bに関する凹凸情報を表す関数を
z=f(x,y)
と、形状Cに関する凹凸情報を表す関数を
z=f(x,y)
と、形状Dに関する凹凸情報を表す関数を
z=f(x,y)
と、それぞれ定義することができる。
【0041】
加工面分析部50は、形状Aに関する凹凸情報を表す関数(z=f(x,y))と、形状Bに関する凹凸情報を表す関数(z=f(x,y))の相関を算出することで、形状Aと形状Bとの相関(第3の相関)を比較することができる。形状Bと形状Cとの相関(第2の相関)、形状Cと形状Dとの相関(第1の相関)についても同様である。
【0042】
加工面分析部50は、画像の相関を算出する一般的な手法を用いて加工面の凹凸情報の相関を算出する。2つの画像A(x,y),B(x,y)の相関を算出する一般的な手法として以下の式(6)~(8)を用いた方法がある。式(6)は、SAD(Sum оf Absolute Difference)、式(7)は、SSD(Sum оf Squared Difference)、式(8)は、NCC(Normalized Cross-Correlation)と呼ばれる手法である。
【0043】
【数6】
【0044】
【数7】
【0045】
【数8】
【0046】
続いて、加工面分析部50における加工面不良や形状誤差などの要因の分析方法について、図4を用いて説明する。図4は、本実施形態に係る加工面不良や形状誤差などの要因の分析方法を説明するための図である。
【0047】
図4に示すように、形状Aは加工プログラムに基づいて算出される加工面の形状であり、形状Bは指令位置に基づいて算出される加工面の形状であり、形状Cは実位置に基づいて算出される加工面の形状であり、形状Dは実際の加工されたワークの加工面の形状である。
【0048】
加工されたワークに加工面不良や形状誤差が確認された場合、加工面分析部50は、形状Cと形状Dとの相関を比較する。そして相関無しと判定された場合には、加工面分析部50は、加工面不良や形状誤差の要因(問題個所)を、その他(工具等)と判定する。その理由は、例えば、実位置(モータ4の実際の位置)と加工面との間の工具形状が影響して、相関無しと判定されたと考えられるからである。
【0049】
形状Cと形状Dとに相関有りと判定された場合、加工面分析部50は、形状Bと形状Cとの相関を比較する。そして相関無しと判定された場合には、加工面分析部50は、加工面不良や形状誤差の要因を、モータ4を制御するサーボ制御装置3と判定する。その理由は、指令位置と実位置とがずれたために相関無しと判定されたと考えられるからである。
【0050】
形状Bと形状Cとに相関有りと判定された場合、加工面分析部50は、形状Aと形状Bとの相関を比較する。そして相関無しと判定された場合には、加工面分析部50は、加工面不良や形状誤差の要因を、モータ4の指令位置を分配する数値制御装置2と判定する。その理由は、加工プログラム内のモータの位置と数値制御装置2によって分配されたモータ4の指令位置とがずれたために相関無しと判定されたと考えられるからである。
【0051】
反対に、形状Aと形状Bとに相関有りと判定された場合には、加工面分析部50は、加工面不良や形状誤差の要因を、加工プログラムを生成したプログラム生成部1と判定する。加工面不良や形状誤差の要因は、数値制御装置2、サーボ制御装置3、モータ4、工作機械5には無いと考えられるからである。
【0052】
以上説明したように、本実施形態に係る判定システム100は、工作機械5の駆動軸を駆動するモータ4の実際の位置を取得するモータ位置取得部21と、工作機械5の駆動軸構成、工具形状及び未加工ワーク形状を含む機械情報を取得する機械情報取得部12と、モータ4の実際の位置及び機械情報に基づいて、加工されたワークの加工面の形状を算出するモータ位置加工面算出部22と、実際に加工されたワークの加工面の形状を取得する実加工面取得部24と、モータ位置加工面算出部22で算出された加工面の形状及び実加工面取得部24で取得された加工面の形状の相関である第1の相関を比較する加工面分析部50と、を備える。
【0053】
これにより、加工面分析部50は、モータ位置加工面算出部22で算出された加工面の形状(形状C)及び実加工面取得部24で取得された加工面の形状(形状D)の相関を直接比較できる。そのため、加工面不良や形状誤差などの要因は、工具形状等にあるか否かということを機械的に短時間で判定可能となる。つまり、実際のモータの位置に基づいて算出された加工面形状(形状C)と、加工されたワークの加工面を実際に測定して得られた加工面形状(形状D)の相関を直接比較して、加工面不良や形状誤差などの要因を短時間で判定できる。
【0054】
また、本実施形態に係る判定システム100は、工作機械5の駆動軸を駆動するモータ4の指令位置を取得する指令位置取得部11と、指令位置及び機械情報に基づいて、加工されたワークの加工面の形状を算出する指令加工面算出部13と、をさらに備え、加工面分析部50は、指令加工面算出部13で算出された加工面の形状及びモータ位置加工面算出部22で算出された加工面の形状の相関である第2の相関と、第1の相関と、を分析する。
【0055】
これにより、加工面分析部50は、形状C及び形状Dの相関(第1の相関)に加えて、指令加工面算出部13で算出された加工面の形状(形状B)及びモータ位置加工面算出部22で算出された加工面の形状(形状C)の相関(第2の相関)を比較できる。そのため、加工面不良や形状誤差などの要因は、工具形状等にあるか否か、又はサーボ制御装置にあるか否かということを機械的に短時間で判定可能となる。
【0056】
また、本実施形態に係る判定システム100は、ワークの加工プログラムを生成するプログラム生成部1と、加工プログラムに基づいて、ワークの加工面の形状を算出するプログラム加工面算出部26と、をさらに備え、加工面分析部50は、プログラム加工面算出部26で算出された加工面の形状及び指令加工面算出部13で算出された加工面の形状の相関である第3の相関と、第2の相関と、第1の相関と、を分析する。
【0057】
これにより、加工面分析部50は、形状C及び形状Dの相関(第1の相関)と、形状B及び形状Cの相関(第2の相関)とに加えて、プログラム加工面算出部26で算出された加工面の形状(形状A)及び指令加工面算出部13で算出された加工面の形状(形状B)の相関(第3の相関)を比較できる。そのため、加工面不良や形状誤差などの要因は、工具形状等にあるか否か、サーボ制御装置にあるか否か、数値制御装置にあるか否か、又は、プログラム生成部にあるか否かということを機械的に短時間で判定可能となる。
【0058】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良は本発明に含まれる。
【0059】
例えば、指令加工面算出部13、モータ位置加工面算出部22及びプログラム加工面算出部26は、機械情報取得部12から機械情報を取得する例について説明した。しかし、指令加工面算出部13、モータ位置加工面算出部22及びプログラム加工面算出部26は、プログラム生成部1又は数値制御装置2から機械情報を取得してもよい。この場合、プログラム生成部1又は数値制御装置2が機械情報取得部としても機能する。また、機械情報は、ユーザによって指令加工面算出部13、モータ位置加工面算出部22又はプログラム加工面算出部26に直接入力されてもよい。この場合、指令加工面算出部13、モータ位置加工面算出部22又はプログラム加工面算出部26が機械情報取得部としても機能する。
【0060】
また、加工面分析部50は、形状A及び形状Bの相関と、形状B及び形状Cの相関と、形状C及び形状Dの相関とを比較する例について説明したがこれに限定されない。これらの相関以外に、加工面分析部50は、形状A及び形状Cの相関、形状A及び形状Dの相関、形状B及び形状Dの相関を比較してもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 プログラム生成部
2 数値制御装置
3 サーボ制御装置
4 モータ
5 工作機械
6 判定部
10 位置情報取得部
11 指令位置取得部
12 機械情報取得部
13 指令加工面算出部

21 モータ位置取得部
22 モータ位置加工面算出部
24 実加工面取得部
26 プログラム加工面算出部
50 加工面分析部
100 判定システム
図1
図2
図3
図4