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  • 特許-SARM1の阻害剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】SARM1の阻害剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4709 20060101AFI20240806BHJP
   A61K 31/47 20060101ALI20240806BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20240806BHJP
   A61K 31/54 20060101ALI20240806BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240806BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240806BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240806BHJP
   C07D 215/50 20060101ALI20240806BHJP
   C07D 401/04 20060101ALI20240806BHJP
   C07D 401/12 20060101ALI20240806BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20240806BHJP
   C07D 413/04 20060101ALI20240806BHJP
   C07D 413/12 20060101ALI20240806BHJP
   C07D 417/12 20060101ALI20240806BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20240806BHJP
   C07D 487/08 20060101ALI20240806BHJP
   C07D 491/107 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
A61K31/4709
A61K31/47
A61K31/496
A61K31/54
A61P25/28
A61P25/00
A61P43/00 111
C07D215/50
C07D401/04
C07D401/12
C07D401/14
C07D413/04
C07D413/12
C07D417/12
C07D471/04 107A
C07D487/08
C07D491/107
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022516240
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-15
(86)【国際出願番号】 US2020050455
(87)【国際公開番号】W WO2021050913
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-03-18
(31)【優先権主張番号】62/899,444
(32)【優先日】2019-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519102288
【氏名又は名称】ディスアーム セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100221523
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 渉
(72)【発明者】
【氏名】ベントリー,ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】ボサナック,トッド
(72)【発明者】
【氏名】ブリアリー,アンドリュー サイモン
(72)【発明者】
【氏名】デブラジ,ラジェシュ
(72)【発明者】
【氏名】ヒューズ,ロバート オーエン
【審査官】安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/083103(WO,A1)
【文献】特表2013-526536(JP,A)
【文献】国際公開第2007/138112(WO,A2)
【文献】特表2017-504652(JP,A)
【文献】特表2017-505787(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109111432(CN,A)
【文献】Acta Facultatis Pharmaceuticae Universitatis Comenianae,1969年,pp.17-26
【文献】Journal of Organic Chemistry,2017年,Vol.82, No.4,pp.2136-2149
【文献】薬学雑誌,1977年,Vol.97, No.6,pp.627-640
【文献】RN 1531300-04-5 REGISTRY,DATABASE REGISTRY [ONLINE] Retrieved from STN,2014年01月27日,検索日:17 MAR 2023
【文献】RN 2327476-53-7 REGISTRY,DATABASE REGISTRY [ONLINE] Retrieved from STN,2019年06月10日,検索日:17 MAR 2023
【文献】RN 1497969-50-2 REGISTRY,DATABASE REGISTRY [ONLINE] Retrieved from STN,2013年12月18日,検索日:17 MAR 2023
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I-c
【化1】
の化合物であって、
式中、
が、以下
【化2-1】
【化2-2】
【化2-3】
から選択され、
が、水素、ハロゲン、および任意選択的に置換されているC 1-6脂肪族、からなる群から選択され、
が、水素およびハロゲンからなる群から選択される、化合物であって、ただし、前記化合物が以下の化合物
【化3】
ではない、化合物、またはその医薬的に許容される塩を含む、軸索変性を治療および/または予防するための医薬組成物
【請求項2】
が、ハロゲンである、請求項1に記載の医薬組成物
【請求項3】
が、クロロである、請求項2に記載の医薬組成物
【請求項4】
が、ブロモである、請求項2に記載の医薬組成物
【請求項5】
が、フルオロである、請求項2に記載の医薬組成物
【請求項6】
が、-CHである、請求項1に記載の医薬組成物
【請求項7】
が、水素である、請求項1に記載の医薬組成物
【請求項8】
が、水素である、請求項1~7のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項9】
が、ハロゲンである、請求項1~7のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項10】
が、クロロである、請求項9に記載の医薬組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年9月12日に出願された、米国仮特許出願第62/899,444号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出された配列表を含んでおり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2020年9月9日に作成されたASCIIコピーは、2012800-0041_SL.txtという名前であり、サイズは8,858バイトである。
【背景技術】
【0003】
軸索変性は、末梢神経障害、外傷性脳損傷、および神経変性疾患を含む、いくつかの神経学的障害の特質である(Gerdts et al.,SARM1 activation triggers axon degeneration locally via NAD(+)destruction.Science 348 2016,pp.453-457、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。神経変性疾患および損傷は、患者および介護者の両方に壊滅的な打撃を与えている。これらの疾患に関連する費用は、現在、米国だけで年間数千億ドルを超えている。これらの疾患および障害の多くの発生率は年齢とともに増加するため、それらの発生率は人口統計の変化につれて急速に増加している。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、とりわけ、神経変性を治療および/または予防するために(例えば、軸索変性を低減するために)有用な技術を提供する。いくつかの実施形態において、提供される技術は、SARM1を阻害する。
【0005】
いくつかの実施形態において、本開示は、医学において、また、特に、神経変性を治療するために(例えば、軸索変性を低減するために)有用である、特定の化合物および/または組成物を提供する。
【0006】
いくつかの実施形態において、本開示は、式Iに記載されるような構造を有する化合物であって、
【化1】
式中、
Xが、NまたはC-Rであり、
が、水素、ハロゲン、および任意選択的に置換されたC1-6脂肪族からなる群から選択され、
が、水素、ハロゲン、CN、CF、C1-3脂肪族、および-C(O)N(Ra*からなる群から選択され、
a*が、水素およびC1-3脂肪族から選択され、
が、水素;ハロゲン;N(R);OR;C1-6脂肪族;窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する3~7員の単環式複素環;窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環;ならびに窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する7~8員の架橋二環式複素環からなる群から選択され、C1-6脂肪族、単環式または架橋二環式複素環、およびヘテロアリール環の各々が、1~3個のR1*基で任意選択的に置換されており、
1*が、オキソ、ハロゲン、N(R)、OR、C(O)R、S(O)R、C(O)OR、C(O)N(R)、任意選択的に置換されたC1-6脂肪族、ならびに窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する任意選択的に置換された5~6員のヘテロアリール環から選択され、
Rが、水素、任意選択的に置換されたC1-6脂肪族、ならびに窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される0~2個のヘテロ原子を有する任意選択的に置換された3~7員の飽和単環式環からなる群から選択されるか、または:
2つのR基が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択される0~1個の追加のヘテロ原子を含む任意選択的に置換された3~6員の複素環を形成し、
が、水素、ハロゲン、S(O)R、C(O)OR、C(O)N(R)、ならびに任意選択的に置換されている基であって、C1~6脂肪族;窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する3~7員の複素環;ならびに窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環から選択される、任意選択的に置換されている基、からなる群から選択され、
が、水素、ハロゲン、CN、CF、C1-3脂肪族、および-C(O)N(Ra*からなる群から選択される、化合物、またはその医薬的に許容される塩を提供する。
【0007】
いくつかの実施形態において、提供される化合物は以下に記載されるような、式I-a、I-a-i、I-a-ii、I-b、I-b-i、I-b-ii、I-c、I-c-i、I-c-ii、II、II-a、II-b、およびII-cの構造を有する。
【0008】
いくつかの実施形態において、式Iの1つ以上の化合物は、固体形態(例えば、結晶形態またはアモルファス形態)で提供および/または利用される。
【0009】
いくつかの実施形態において、本開示は、式Iの化合物(例えば、本明細書に記載される形態)、そのプロドラッグ、または活性代謝物を含む、かつ/または送達する組成物を提供する。
【0010】
いくつかの実施形態において、本開示は、式Iの化合物を含む、および/または送達する組成物を提供する。いくつかの実施形態において、かかる組成物は、少なくとも1つの医薬的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤を含む、医薬組成物である。
【0011】
いくつかの実施形態において、提供されるSARM1阻害剤は、SARM1によるNAD+の結合を低減または阻害する。いくつかの実施形態において、提供されるSARM1阻害剤は、1つ以上の触媒性残基(例えば、SARM1の触媒的間隙)を含むポケット内でSARM1に結合する。
【0012】
いくつかの実施形態において、提供される化合物および/または組成物は、SARM1の活性を阻害する。代替的または追加的に、いくつかの実施形態において、提供される化合物は、神経変性の1つ以上の属性を軽減する。いくつかの実施形態において、本開示は、軸索変性に関連する神経変性疾患または障害を治療する方法を提供する。
【0013】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される1つ以上の化合物および/または組成物は、例えば、医学の実践において有用である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される1つ以上の化合物および/または組成物は、例えば、軸索変性(例えば、その1つ以上の特性または特徴)を治療、予防、または改善するために有用である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される1つ以上の化合物および/または組成物は、例えば、NAD+の低減または枯渇から生じる軸索変性を含む、軸索変性を阻害するために有用である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される1つ以上の化合物および/または組成物は、例えば、軸索損傷の遠位にある軸索が変性することを予防するために有用である。
【0014】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される1つ以上の化合物および/または組成物は、例えば、神経障害または軸索障害からなる群から選択される1つ以上の神経変性疾患、障害、または状態を治療するために有用である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される1つ以上の化合物および/または組成物は、例えば、軸索変性に関連する神経障害または軸索障害を治療するために有用である。いくつかの実施形態において、軸索変性に関連する神経障害は、遺伝性または先天性の神経障害または軸索障害である。いくつかの実施形態において、軸索変性に関連する神経障害は、新生または体細胞の変異から生じる。いくつかの実施形態において、軸索変性に関連する神経障害は、本明細書に含有されるリストから選択される。いくつかの実施形態において、神経障害または軸索障害は、化学療法誘発性末梢神経障害、多発性硬化症、緑内障などの視神経症、パーキンソン病、アルツハイマー病、ヘルペス感染症、糖尿病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脱髄性疾患、虚血または脳卒中、化学的損傷、熱損傷、およびAIDSが含まれるが、これらに限定されない、軸索変性に関連する。
【0015】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化合物または組成物が投与される対象は、神経変性疾患、障害、または状態に罹患しているか、もしくは罹患しやすい対象であるか、またはそれを含み得る。いくつかの実施形態において、神経変性疾患、障害、または状態は、外傷性神経損傷であり得るか、またはそれを含み得る。いくつかの実施形態において、外傷性神経損傷は、鈍力外傷、閉鎖性頭部損傷、開放性頭部損傷、衝撃および/または爆発力への曝露、脳腔もしくは身体の神経支配領域におけるか、またはそれらへの貫通損傷である。いくつかの実施形態において、外傷性神経損傷は、軸索を変形、伸張、挫滅、または回転させる力である。
【0016】
いくつかの実施形態において、提供される方法は、本明細書に記載されるような化合物を、それを必要とする患者に投与することを含む。いくつかのそのような実施形態において、患者は、軸索変性を特徴とする状態を発症するリスクがある。いくつかの実施形態において、患者は、軸索変性を特徴とする状態を有する。いくつかの実施形態において、患者は、軸索変性を特徴とする状態と診断されている。
【0017】
いくつかの実施形態において、提供される方法は、本明細書に記載されるような組成物を、それを必要とする患者集団に投与することを含む。いくつかの実施形態において、集団は、外傷性神経損傷の可能性が高い活動に従事する個体から採取される。いくつかの実施形態において、集団は、コンタクトスポーツまたは他の高リスク活動に従事する運動選手から採取される。
【0018】
いくつかの実施形態において、患者は、神経変性障害を発症するリスクがある。いくつかの実施形態において、患者は、高齢である。いくつかの実施形態において、患者は、神経変性の遺伝的リスク因子を有することが知られている。
【0019】
特定の実施形態において、本開示は、例えば、分析ツールとして、生物学的アッセイにおけるプローブとして、または本開示による治療薬として有用である化合物を提供する。本開示によって提供される化合物はまた、生物学的および病理学的現象におけるSARM1機能の試験、ならびにインビトロまたはインビボでの新規SARM1活性阻害剤の比較評価のために有用である。
【0020】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される1つ以上の化合物および/または組成物は、例えば、対象に由来するニューロンの分解を阻害するための方法として有用である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される1つ以上の化合物および/または組成物は、インビトロで培養されたニューロンまたはその一部の変性を阻害するために有用である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される1つ以上の化合物および/または組成物は、インビトロニューロンの生存を促進するための安定剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】SARM1タンパク質の構造を示す。
【0022】
定義
脂肪族:「脂肪族」という用語は、完全に飽和しているか、もしくは1つ以上の不飽和の単位を含有する、直鎖(すなわち、非分岐)もしくは分岐、置換もしくは非置換の炭化水素鎖、または完全に飽和しているか、もしくは1つ以上の不飽和の単位を含有するが、芳香族ではなく(本明細書において「「炭化水素」または「脂環式」」とも呼ばれる)、分子の残りの部分への単一の結合点を有する、単環式炭化水素または二環式炭化水素を指す。特に明記しない限り、脂肪族基は、1~6個の脂肪族炭素原子を含有する。いくつかの実施形態において、脂肪族基は、1~5個の脂肪族炭素原子を含有する。他の実施形態において、脂肪族基は、1~4個の脂肪族炭素原子を含有する。さらに他の実施形態において、脂肪族基は、1~3個の脂肪族炭素原子を含有し、さらに他の実施形態において、脂肪族基は、1~2個の脂肪族炭素原子を含有する。いくつかの実施形態において、「脂環式」(または「炭素環」)は、完全に飽和しているか、または1つ以上の不飽和の単位を含有するが、芳香族ではなく、分子の残りの部分への単一の結合点を有する、単環式C3~C8炭化水素または二環式C~C10炭化水素を指す。好適な脂肪族基は、直鎖または分岐鎖、置換または非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル基、およびそれらのハイブリッドが含まれるが、これらに限定されない。
【0023】
アルキル:「アルキル」という用語は、単独で、またはより大きな部分の一部として使用され、1~12、1~10、1~8、1~6、1~4、1~3、もしくは1~2個の炭素原子を有する、飽和、任意選択的に置換された直鎖もしくは分岐鎖、または環式炭化水素基を指す。「シクロアルキル」という用語は、約3~約10個の環炭素原子の任意選択的に置換された飽和環系を指す。例示的な単環式シクロアルキル環としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチルが挙げられる。
【0024】
アルキレン:「アルキレン」という用語は、二価のアルキル基を指す。いくつかの実施形態において、「アルキレン」は、二価の直鎖または分岐アルキル基である。いくつかの実施形態において、「アルキレン鎖」は、ポリメチレン基、すなわち、-(CH-であり、式中、nは、例えば、1~6、1~4、1~3、1~2、または2~3の正の整数である。任意選択的に置換されたアルキレン鎖は、1つ以上のメチレン水素原子が任意選択的に置換基で置き換えられているポリメチレン基である。好適な置換基としては、置換脂肪族基について以下に記載されるものが挙げられ、本明細書に記載されるものも挙げられる。アルキレン基の2つの置換基が一緒になって環系を形成し得ることが理解されよう。特定の実施形態において、2つの置換基が一緒になって、3~7員の環を形成し得る。置換基は、同じ原子または異なる原子上にあり得る。
【0025】
アルケニル:「アルケニル」という用語は、単独で、またはより大きな部分の一部として使用され、少なくとも1つの二重結合を有し、2~12、2~10、2~8、2~6、2~4、もしくは2~3個の炭素原子を有する、任意選択的に置換された直鎖もしくは分岐鎖、または環式炭化水素基を指す。「シクロアルケニル」という用語は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有し、約3~約10個の炭素原子を有する、任意選択的に置換された非芳香族単環式または多環式環系を指す。例示的な単環式シクロアルケニル環としては、シクロペンチル、シクロヘキセニル、およびシクロヘプテニルが挙げられる。
【0026】
アルキニル:「アルキニル」という用語は、単独で、またはより大きな部分の一部として使用され、少なくとも1つの三重結合を有し、2~12、2~10、2~8、2~6、2~4、もしくは2~3個の炭素原子を有する、任意選択的に置換された直鎖または分岐鎖炭化水素基を指す。
【0027】
アリール:「アリール」という用語は、合計5~14個の環員を有する単環式および二環式環系を指し、系の少なくとも1つの環は芳香族であり、系の各環は、3~7個の環員を含有する。「アリール」という用語は、「アリール環」という用語と交換可能に使用されてもよい。本発明の特定の実施形態において、「アリール」は、1つ以上の置換基を有し得るフェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラシルなどが含まれるが、これらに限定されない芳香族環系を指す。本明細書で使用される「アリール」という用語の範囲内には、芳香環が、インダニル、フタルイミジル、ナフタイミジル、フェナントリジニル、テトラヒドロナフチル、イミダゾリジニル、イミダゾリジン-2-オンなどの1つ以上の非芳香族炭素環または複素環に縮合している基も含まれる。
【0028】
結合:本明細書で使用される「結合」という用語は、典型的には、2つ以上の実体間またはそれらの中での非共有結合性会合を指すものとして理解される。「直接的な」結合には、実体または部分の間の物理的接触が含まれ、間接的な結合には、1つ以上の中間実体との物理的な接触による物理的な相互作用が含まれる。2つ以上の実体間の結合は、通常、様々な文脈のいずれかで評価することができ、相互作用する実体もしくは部分が孤立して、またはより複雑な系の文脈で研究される場合が含まれる(例えば、担体実体と共有的もしくは他の関連で、かつ/または生物学的な系もしくは細胞において)。
【0029】
生物学的試料:本明細書で使用される場合、「生物学的試料」という用語は、典型的には、本明細書に記載されるように、目的の生物学的供給源(例えば、組織または生物または細胞培養物)から得られるか、または由来する試料を指す。いくつかの実施形態において、目的の供給源は、動物またはヒトなどの生物を含む。いくつかの実施形態において、生物学的試料は、生物学的な組織もしくは流体であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態において、生物学的試料は、骨髄、血液、血球、腹水、組織または細針生検試料、細胞を含有する体液、浮遊核酸、喀痰、唾液、尿、脳脊髄液、腹腔液、胸水、糞便、リンパ、婦人科流体、皮膚スワブ、膣スワブ、口腔スワブ、鼻腔スワブ、管灌流または気管支肺胞灌流などの洗浄または灌流、吸引物、掻把物、骨髄標本、組織生検標本、手術標本、糞便、他の体液、分泌物、および/もしくは排泄物、ならびに/またはそれらに由来する細胞などであり得るか、またはそれらを含み得る。いくつかの実施形態において、生物学的試料は、個体から得られた細胞であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態において、得られた細胞は、試料が得られる個体からの細胞であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態において、試料は、任意の適切な手段によって目的の供給源から直接得られる「一次試料」である。例えば、いくつかの実施形態において、一次生物学的試料は、生検(例えば、細針吸引または組織生検)、手術、体液(例えば、血液、リンパ、糞便など)の収集などからなる群から選択される方法によって得られる。いくつかの実施形態において、文脈から明らかなように、「試料」という用語は、一次試料を処理することによって(例えば、1つ以上の成分を除去することによって、かつ/または1つ以上の薬剤を添加することによって)得られる調製物を指す。例えば、半透膜を使用したフィルタリング。かかる「処理された試料」は、例えば、試料から抽出されるか、または一次試料をmRNAの増幅もしくは逆転写、特定の成分の単離および/もしくは精製などの技術に供することによって得られる、核酸もしくはタンパク質を含み得る。
【0030】
バイオマーカー:「バイオマーカー」という用語は、存在、レベル、程度、タイプ、および/または形態が、目的の特定の生物学的事象または状態と相関する実体、事象、または特性を指すために本明細書で使用され、そのため、その事象または状態の「マーカー」と見なされる。ほんの数例を挙げると、いくつかの実施形態において、バイオマーカーは、特定の病状における、あるいは特定の疾患、障害、もしくは状態が発症、発生、または再発する可能性における、マーカーであり得るか、またはそれを含み得る。いくつかの実施形態において、バイオマーカーは、特定の疾患もしくは治療結果、またはその可能性のためのマーカーであり得るか、またはそれを含み得る。したがって、目的の関連する生物学的事象または状態について、いくつかの実施形態において、バイオマーカーは予測的であり、いくつかの実施形態において、バイオマーカーは予後的であり、いくつかの実施形態において、バイオマーカーは診断的である。バイオマーカーは、任意の化学クラスの実体であり得るか、またはそれを含み得、かつ実体の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。例えば、いくつかの実施形態において、バイオマーカーは、核酸、ポリペプチド、脂質、炭水化物、小分子、無機物質(例えば、金属またはイオン)、もしくはそれらの組み合わせであり得るか、またはそれらを含み得る。いくつかの実施形態において、バイオマーカーは、細胞表面マーカーである。いくつかの実施形態において、バイオマーカーは、細胞内にある。いくつかの実施形態において、バイオマーカーは、細胞の外側で検出される(例えば、分泌されるか、またはそうでなければ、例えば、血液、尿、涙、唾液、脳脊髄液などの体液における細胞の外側で生成されるか、もしくは存在する。いくつかの実施形態において、バイオマーカーは、遺伝的もしくは後成的なシグネチャーであるか、またはそれを含み得る。いくつかの実施形態において、バイオマーカーは、遺伝子発現シグネチャーであり得るか、またはそれを含み得る。
【0031】
いくつかの実施形態において、バイオマーカーは、神経変性における、あるいは神経変性疾患、障害、もしくは状態が発症、発生、または再発する可能性における、マーカーであり得るか、またはそれを含み得る。いくつかの実施形態において、バイオマーカーは、神経変性治療結果、もしくはその可能性のマーカーであり得るか、またはそれを含み得る。したがって、神経変性疾患、障害、または状態について、いつかの実施形態において、バイオマーカーは予測的であり、いくつかの実施形態において、バイオマーカーは予後的であり、いくつかの実施形態において、バイオマーカーは診断的である。いくつかの実施形態において、バイオマーカーレベルの変化は、脳脊髄液(CSF)、血漿、および/または血清を介して検出することができる。
【0032】
いくつかの実施形態において、神経変性は、例えば、対象の脳脊髄液に含有されるニューロフィラメントタンパク質軽鎖(NF-L)および/またはニューロフィラメントタンパク質重鎖(NF-H)の濃度の増加および/または減少を検出することによって評価され得る。いくつかの実施形態において、神経変性の発生率および/または進行は、シナプス小胞糖タンパク質2a(SV2A)リガンドを用いた陽電子放出断層撮影法(PET)を介して評価することができる。いくつかの実施形態において、ニューロンにおける構成的NADおよび/またはcADPRレベルにおける検出可能な変化を使用して、神経変性を評価することができる。
【0033】
いくつかの実施形態において、対象における1つ以上の神経変性関連タンパク質での検出可能な変化を、健常な参照集団と比較して、神経変性のバイオマーカーとして使用することができる。かかるタンパク質には、アルブミン、アミロイド-β(Aβ)38、Aβ40、Aβ42、グリア線維性酸タンパク質(GFAP)、心臓型脂肪酸結合タンパク質(hFABP)、単球ケモアトラクチンタンパク質(MCP)-1、ニューログラニン、神経特異的エノライゼ(NSE)、可溶性アミロイド前駆体タンパク質(sAPP)α、sAPPβ、骨髄細胞に発現する可溶性トリガー受容体(sTREM)2、ホスホ-タウ、および/または総タウが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、Ccl2、Ccl7、Ccl12、Csf1、および/またはIl6を含むがこれらに限定されないサイトカインおよび/またはケモカインの増加は、神経変性のバイオマーカーとして使用することができる。
【0034】
担体:本明細書で使用される場合、「担体」という用語は、組成物が一緒に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤、またはビヒクルを指す。いくつかの例示的な実施形態において、担体は、例えば、水および油などの無菌液体を含むことができ、石油、動物、植物、または合成由来の油、例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油などが含まれる。いくつかの実施形態において、担体は、1つ以上の固体成分であるか、またはそれらを含む。
【0035】
併用療法:本明細書で使用される場合、「併用療法」という用語は、対象が2つ以上の治療レジメン(例えば、2つ以上の治療薬)に同時に曝露される状況を指す。いくつかの実施形態において、2つ以上のレジメンは同時に投与され得、いくつかの実施形態において、かかるレジメンは、連続して投与され得(例えば、第1のレジメンのすべての「用量」が、第2のレジメンの任意の用量の投与の前に投与される)、いくつかの実施形態において、かかる薬剤は、重複する投薬レジメンで投与される。いくつかの実施形態において、併用療法の「投与」は、組み合わせで他の薬剤またはモダリティを受ける対象への1つ以上の薬剤またはモダリティの投与を含み得る。明確にするために、併用療法は、個々の薬剤が単一の組成物で一緒に(または必然的に同時にさえ)投与されることを必要としないが、いくつかの実施形態において、2つ以上の薬剤またはその活性部分が組み合わせ組成物で一緒に、または組み合わせ化合物(例えば、単一の化学複合体または共有結合体の一部として)においてさえ、投与され得る。
【0036】
組成物:当業者は、「組成物」という用語が、1つ以上の特定の成分を含む個別の物理的実体を指すために使用され得ることを理解するであろう。一般に、特に明記しない限り、組成物は、任意の形態-例えば、気体、ゲル、液体、固体などであり得る。
【0037】
ドメイン:本明細書で使用される「ドメイン」という用語は、実体のセクションまたは部分を指す。いくつかの実施形態において、「ドメイン」は、実体の特定の構造的および/または機能的特性に関連付けられ、その結果、ドメインがその親実体の残りの部分から物理的に分離されるとき、それは、特定の構造的および/または機能的な特性を完全に保持する。代替的または追加的に、ドメインは、その(親)実体から分離され、異なる(レシピエント)実体と結合されるとき、親実体でそれを特徴付ける1つ以上の構造的および/または機能的特性を、レシピエント実体に実質的に維持および/または付与する実体の一部であり得るか、またはそれを含み得る。いくつかの実施形態において、ドメインは、分子(例えば、小分子、炭水化物、脂質、核酸、またはポリペプチド)のセクションまたは部分である。いくつかの実施形態において、ドメインは、ポリペプチドのセクションであり、いくつかのかかる実施形態において、ドメインは、特定の構造要素(例えば、特定のアミノ酸配列または配列モチーフ、αヘリックス性状、βシート性状、コイルドコイル性状、ランダムコイル性状など)、および/または特定の機能的特性(例えば、結合活性、酵素活性、フォルディング活性、シグナル伝達活性など)を特徴とする。
【0038】
剤形または単位剤形:当業者は、「剤形」という用語が、対象への投与のための活性剤(例えば、治療薬または診断薬)の物理的な個別の単位を指すために使用され得ることを理解するであろう。典型的には、かかる各単位は、活性剤の所定量を含有する。いくつかの実施形態において、かかる量は、関連する集団に投与されたときに望ましいまたは有益な結果と相関することが決定されている投薬レジメン(すなわち、治療的投薬レジメン)に従った投与に適切な単位投薬量(またはその全部分)である。当業者は、特定の対象に投与される治療用組成物または薬剤の総量が、1人以上の主治医によって決定され、複数の剤形の投与を含み得ることを理解している。
【0039】
投薬レジメンまたは治療レジメン:当業者は、「投薬レジメン」および「治療レジメン」という用語が、対象に、典型的には期間で分けられて、個々に投与される一連の単位用量(典型的には1回を超える)を指すために使用され得ることを理解するであろう。いくつかの実施形態において、所与の治療薬は、推奨される投薬レジメンを有し、これは、1回以上の用量を含み得る。いくつかの実施形態において、投薬レジメンは、各々が他の用量から時間的に分けられる複数回の用量を含む。いくつかの実施形態において、個々の用量は、同じ長さの期間によって互いに分けられており、いくつかの実施形態において、投薬レジメンは、複数回の用量および個々の用量を分ける少なくとも2つの異なる期間を含む。いくつかの実施形態において、投薬レジメン内のすべての用量は、同じ単位用量の量である。いくつかの実施形態において、投薬レジメン内の異なる用量は、異なる量である。いくつかの実施形態において、投薬レジメンは、第1の用量を第1の用量の量で、続いて、1回以上の追加の用量を、第1の用量の量とは異なる第2の用量の量で含む。いくつかの実施形態において、投薬レジメンは、第1の用量を第1の用量の量で、続いて、1回以上の追加の用量を、第1の用量の量と同じ第2の用量の量で含む。いくつかの実施形態において、投薬レジメンは、関連する集団にわたって投与されたときの所望のまたは有益な結果と相関している(すなわち、治療的投薬レジメンである)。
【0040】
賦形剤:本明細書で使用される場合、例えば、所望の粘稠度または安定化効果を提供またはそれに寄与するために、医薬組成物に含まれ得る非治療薬を指す。好適な医薬賦形剤には、例えば、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、モルト、コメ、コムギ粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが含まれる。
【0041】
ヘテロアリール:「ヘテロアリール」および「ヘテロアル-」という用語は、単独で、またはより大きな部分の一部として使用され、例えば、「ヘテロアルアルキル」または「ヘテロアラルコキシ」は、5~10個の環原子、好ましくは5、6、9、または10個の環原子を有し、環状アレイで共有される6、10、または14個のπ電子を有し、炭素原子に加えて1~5個のヘテロ原子を有する基を指す。「ヘテロ原子」という用語は、窒素、酸素、または硫黄を指し、窒素または硫黄の酸化型、および塩基性窒素の四級化型を含む。ヘテロアリール基は、チエニル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、インドリジニル、プリニル、ナフチリジニル、およびプテリジニルが含まれるが、これらに限定されない。本明細書で使用される「ヘテロアリール」および「ヘテロアル-」という用語としてはまた、ヘテロ芳香族の環が1つ以上のアリール、脂環式、またはヘテロシクリル環に縮合し、ラジカルまたは結合点がヘテロ芳香族の環上にある基が挙げられる。非限定的な例としては、インドリル、イソインドリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、キノリル、イソキノリル、シノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、4H-キノリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、およびピリド[2,3-b]-1,4-オキサジン-3(4H)-オンが挙げられる。ヘテロアリール基は、単環式または二環式であり得る。「ヘテロアリール」という用語は、「ヘテロアリール環」、「ヘテロアリール基」、または「ヘテロ芳香族」という用語と交換可能に使用されてもよく、これらの用語のいずれも、任意選択的に置換された環を含む。「ヘテロアラルキル」という用語は、ヘテロアリールによって置換されたアルキル基を指し、ここで、アルキル部分およびヘテロアリール部分は、独立して、任意選択的に置換されている。
【0042】
複素環:本明細書で使用される場合、「ヘテロ環」、「ヘテロシクリル環」、「複素環式ラジカル」、および「複素環」という用語は、交換可能に使用され、飽和または部分的に不飽和のいずれかであり、炭素原子に加えて、上記で定義したように、1~4個などの1個以上のヘテロ原子を有する安定した3~8員の単環式または7~10員の二環式複素環部分を指す。ヘテロ環の環原子に関して使用される場合、「窒素」という用語は、置換窒素を含む。一例として、酸素、硫黄、および窒素から選択される0~3個のヘテロ原子を有する飽和または部分的に不飽和の環において、窒素は、N(3,4-ジヒドロ-2H-ピロリルのように)、NH(ピロリジニルのように)、またはNR(N-置換ピロリジニルのように)であり得る。複素環は、安定した構造をもたらす任意のヘテロ原子または炭素原子でそのペンダント基に結合することができ、環原子のうちのいずれかを任意選択的に置換することができる。そのような飽和または部分的に不飽和の複素環式ラジカルの例は、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピペリジニル、デカヒドロキノリニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、ジアゼピニル、オキサゼピニル、チアゼピニル、モルホリニル、およびチアモルホリニルが含まれるが、これらに限定されない。ヘテロシクリル基は、単環式、二環式、三環式、または多環式、好ましくは単環式、二環式、または三環式、より好ましくは単環式または二環式であり得る。「ヘテロシクリルアルキル」という用語は、ヘテロシクリルによって置換されたアルキル基を指し、アルキル部分およびヘテロシクリル部分は、独立して、任意選択的に置換されている。さらに、複素環としては、複素環が1つ以上のアリール環に縮合している基(例えば、2,3-ジヒドロベンゾフラン、2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシンなど)も挙げられる。
【0043】
阻害剤:本明細書で使用される場合、「阻害剤」という用語は、存在、レベル、または程度が標的のレベルまたは活性の低下と相関する実体、状態、または事象を指す。いくつかの実施形態において、阻害剤は、直接的に作用し得(その場合、それは、例えば、標的に結合することによって、その標的に直接的にその影響を及ぼす)、いくつかの実施形態において、阻害剤は、間接的に作用し得る(その場合、それは、標的の調節因子と相互作用し、かつ/またはそうでなければそれを変化させることによってその影響を及ぼし、その結果、標的のレベルおよび/または活性が低減される)。いくつかの実施形態において、阻害剤は、存在またはレベルが、特定の参照レベルまたは活性(例えば、既知の阻害剤の存在、または問題となる阻害剤の非存在などの適切な参照条件下で観察される)と比較して低減する標的レベルまたは活性と相関するものである。
【0044】
神経変性:本明細書で使用される場合、「神経変性」という用語は、ニューロンまたは神経組織の1つ以上の特性、構造、または特徴の低減を指す。いくつかの実施形態において、神経変性は、生物における病理学的低減として観察される。当業者は、神経変性が、ヒトに影響を与えるものを含む特定の疾患、障害、および状態に関連していることを理解するであろう。いくつかの実施形態において、神経変性は一過性であり得(例えば、特定の感染症および/または化学的もしくは機械的破壊に関連して時々発生する)、いくつかの実施形態において、神経変性は、慢性および/または進行性であり得る(例えば、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、ハンチントン病、またはアルツハイマー病などであるがこれらに限定されない特定の疾患、障害、または状態にしばしば関連する)。いくつかの実施形態において、神経変性は、例えば、対象において、神経変性に関連するバイオマーカーの増加を検出することによって評価され得る。いくつかの実施形態において、神経変性は、例えば、対象において、神経変性に関連するバイオマーカーの減少を検出することによって評価され得る。代替的または追加的に、いくつかの実施形態において、神経変性は、磁気共鳴画像法(MRI)、脳脊髄液を含有するバイオマーカー、または患者で観察される他のバイオマーカーによって評価され得る。いくつかの実施形態において、神経変性は、ミニメンタルステート検査で24未満のスコアとして定義される。いくつかの実施形態において、神経変性は、シナプスの喪失を指す。いくつかの実施形態において、神経変性は、外傷性損傷(例えば、神経組織の完全性を破壊する外力への曝露)に関連する神経組織の低減を指す。いくつかの実施形態において、神経変性は、末梢神経組織の低減を指す。いくつかの実施形態において、神経変性は、中枢神経組織の低減を指す。
【0045】
経口:本明細書で使用される「経口投与」および「経口によって投与される」という句は、化合物または組成物の口による投与を指すことを意味するそれらの当技術分野の理解を有する。
【0046】
非経口:本明細書で使用される「非経口投与」および「非経口によって投与される」という句は、経腸および局所投与以外の、通常、注射による投与方式を指すことを意味するそれらの当技術分野の理解を有し、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、被膜内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、および胸骨内の注射および注入を含むがこれらに限定されない。
【0047】
部分的に不飽和:本明細書で使用される場合、「部分的に不飽和」という用語は、環原子間に少なくとも1つの二重結合または三重結合を含む環部分を指す。「部分的に不飽和」という用語は、不飽和の複数の部位を有する環を包含することを意図しているが、本明細書で定義されるような芳香族(例えば、アリールまたはヘテロアリール)部分を含むことを意図していない。
【0048】
患者:本明細書で使用される場合、「患者」という用語は、提供される組成物が、例えば、実験、診断、予防、美容、および/または治療の目的で投与される、または投与され得る任意の生物を指す。典型的な患者には、動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類、および/またはヒトなどの哺乳動物)が含まれる。いくつかの実施形態において、患者は、ヒトである。いくつかの実施形態において、患者は、1つ以上の障害または状態に罹患しているか、または罹患しやすい。いくつかの実施形態において、患者は、障害または状態の1つ以上の症状を示す。いくつかの実施形態において、患者は、1つ以上の障害または状態を有すると診断されている。いくつかの実施形態において、患者は、疾患、障害、または状態を診断および/または治療するために、特定の療法を受けているか、または受けていた。
【0049】
医薬組成物:本明細書で使用される場合、「医薬組成物」という用語は、1つ以上の医薬的に許容される担体と一緒に製剤化された活性剤を指す。いくつかの実施形態において、活性剤は、関連する集団に投与されたときに所定の治療効果を達成する統計学的に有意な確率を示す、治療または投薬レジメンでの投与のために適した単位用量の量で存在する。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、投与のために固体または液体形態で具体的に製剤化され得、経口投与、例えば、水薬(水性もしくは非水性の溶液または懸濁液)、錠剤、例えば、頬側、舌下、および全身の吸収のために標的化されたもの、ボーラス、粉末、顆粒、舌に適用するためのペーストなど、非経口投与、例えば、皮下、筋肉内、静脈内、または硬膜外注射による、例えば、無菌溶液もしくは懸濁液、または徐放性製剤など、局所塗布、例えば、皮膚、肺、または口腔に適用されるクリーム、軟膏、または徐放性パッチもしくはスプレーなど、膣内または直腸内、例えば、ペッサリー、クリーム、またはフォームなど、舌下による、眼による、経皮的に、または鼻、肺、および他の粘膜表面のために適応されものが含まれる。
【0050】
医薬的に許容される:「医薬的に許容される」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、過度な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症を伴わずに、妥当なリスク対効果比に見合い、ヒトおよび動物の組織と接触して使用するのに好適である、それらの化合物、材料、組成物、および/または剤形を指す。
【0051】
医薬的に許容される担体:本明細書で使用される場合、「医薬的に許容される担体」という用語は、対象化合物をある器官または体の一部から別の器官または体の一部へ運搬もしくは輸送することに関与する、液体もしくは固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、または溶媒封入材料などの医薬的に許容される材料、組成物、あるいはビヒクルを意味する。各担体は、製剤の他の成分と適合性があり、患者に害を及ぼさないという意味で「許容可能」でなければならない。医薬的に許容される担体として供することができる材料のいくつかの例には、ラクトース、グルコースおよびスクロースなどの糖、コーンスターチおよびポテトスターチなどのデンプン、セルロースおよびその誘導体であるカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、酢酸セルロースなど、粉末トラガカント、モルト、ゼラチン、タルク、カカオバターおよび坐剤ワックスなどの賦形剤、ピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、大豆油などの油、プロピレングリコールなどのグリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコールなどのポリオール、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル、寒天、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤、アルギン酸、パイロジェンフリー水、等張生理食塩水、リンゲル液、エチルアルコール、pH緩衝化溶液、ポリエステル、ポリカーボネート、および/またはポリ無水物、ならびに医薬製剤に使用される他の非毒性の適合性物質が含まれる。
【0052】
医薬的に許容される塩:本明細書で使用される「医薬的に許容される塩」という用語は、医薬の文脈での使用に適切であるかかる化合物の塩、すなわち、健全な医学的判断の範囲内で、過度な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症を伴わずに、ヒトおよび下等動物の組織と接触して使用するのに好適であり、妥当なリスク対効果比に見合っている塩、を指す。医薬的に許容される塩は、当該技術分野で周知である。例えば、S.M.Bergeらは、J.Pharmaceutical Sciences、66:1~19(1977)において、医薬的に許容される塩を詳細に説明している。いくつかの実施形態において、医薬的に許容される塩には、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、および過塩素酸などの無機酸、または酢酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、もしくはマロン酸などの有機酸によって生成されるか、あるいはイオン交換などの当技術分野で使用される他の方法を使用することによる、アミノ基の塩である非毒性の酸付加塩が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、医薬的に許容される塩には、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩が含まれるが、これらに限定されない。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩には、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが含まれる。いくつかの実施形態において、医薬的に許容される塩には、適切な場合、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、1~6個の炭素原子を有するアルキル、スルホン酸塩、およびスルホン酸アリールなどの対イオンを使用して形成される非毒性アンモニウム、第四級アンモニウム、およびアミンカチオンが含まれる。
【0053】
予防する、または予防:本明細書で使用される場合、「予防する」または「予防」という用語は、疾患、障害、および/または状態の発生に関連して使用されるとき、疾患、障害、および/または状態を発症するリスクを低減すること、および/または疾患、障害、または状態のうちの1つ以上の特徴または症状の発症を遅延させることを指す。疾患、障害、または状態の発症が所定の期間遅延している場合、予防は完了したとみなされ得る。
【0054】
特異的:「特異的」という用語は、活性を有する薬剤に関して本明細書で使用される場合、当業者によって、薬剤が潜在的な標的実体または状態を区別することを意味すると理解される。例えば、いくつかの実施形態において、薬剤は、1つ以上の競合する代替標的の存在下でその標的と優先的に結合する場合、その標的に「特異的に」結合すると言われる。多くの実施形態において、特異的相互作用は、標的実体の特定の構造的特性(例えば、エピトープ、間隙、結合部位)の存在に依存する。特異性は絶対的である必要はないことを理解されたい。いくつかの実施形態において、特異性は、1つ以上の他の潜在的な標的実体(例えば、競合物質)に対する結合剤のものと比較して評価され得る。いくつかの実施形態において、特異性は、参照特異的結合剤のものと比較して評価される。いくつかの実施形態において、特異性は、参照非特異的結合剤のものと比較して評価される。いくつかの実施形態において、薬剤または実体は、その標的実体に結合する条件下で、競合する代替標的に検出可能には結合しない。いくつかの実施形態において、結合剤は、競合する代替標的と比較して、その標的実体に高い結合速度、低い解離速度、増加した親和性、減少した解離、および/または増加した安定性でその標的実体に結合する。
【0055】
対象:本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、生物、典型的には哺乳動物(例えば、ヒト、いくつかの実施形態において出生前のヒト形態を含む)を指す。いくつかの実施形態において、対象は、関連する疾患、障害、または状態に罹患している。いくつかの実施形態において、対象は、疾患、障害、または状態に罹患しやすい。いくつかの実施形態において、対象は、疾患、障害、または状態の1つ以上の症状または特徴を示す。いくつかの実施形態において、対象は、疾患、障害、または状態のいかなる症状または特徴も示さない。いくつかの実施形態において、対象は、疾患、障害、または状態に対する感受性またはリスクに特徴的な1つ以上の特性を有するものである。いくつかの実施形態において、対象は患者である。いくつかの実施形態において、対象は、診断および/または治療が行われる、および/または行われている個体である。
【0056】
置換されたまたは任意選択的に置換された:本明細書に記載されるように、本発明の化合物は、「任意選択的に置換された」部分を含み得る。一般に、「置換された」という用語は、「任意選択的に」という用語が先行するかどうかにかかわらず、指定された部分の1つ以上の水素が好適な置換基で置換されることを意味する。「置換された」は、構造から明示的または暗黙的に存在する1つ以上の水素に適用する(例えば、
【化2】
は、少なくとも
【化3】
を指し、
【化4】
は、少なくとも
【化5】
を指す)。特に明記しない限り、「任意選択的に置換された」基は、基の各置換可能位置に好適な置換基を有し得、任意の所与の構造における2つ以上の位置が、特定の基から選択される2つ以上の置換基で置換され得る場合、置換基は、すべての位置で同じかまたは異なるかのいずれかであり得る。本発明によって想定される置換基の組み合わせは、好ましくは、安定したまたは化学的に実現可能な化合物の形成をもたらすものである。本明細書で使用される「安定した」という用語は、それらの生成、検出、および特定の実施形態において、それらの回収、精製、および1つ以上の本明細書に開示される目的のための使用を可能にする条件にさらされたときに実質的に変化しない化合物を指す。
【0057】
「任意選択的に置換された」基の置換可能な炭素原子上の好適な一価置換基は、独立して、ハロゲン、-(CH0-4R°、-(CH0-4OR°、-O(CH0-4、-O-(CH0-4C(O)OR°、-(CH0-4CH(OR°)、-(CH0-4SR°、R°で置換され得る-(CH0-4Ph、R°で置換され得る-(CH0-4O(CH0-1Ph、R°で置換され得る-CH=CHPh、R°で置換され得る-(CH0-4O(CH0-1-ピリジル、-NO、-CN、-N、-(CH0-4N(R°)、-(CH0-4N(R°)C(O)R°、-N(R°)C(S)R°、-(CH0-4N(R°)C(O)NR°、-N(R°)C(S)NR°、-(CH0-4N(R°)C(O)OR°、-N(R°)N(R°)C(O)R°、-N(R°)N(R°)C(O)NR°、-N(R°)N(R°)C(O)OR°、-(CH0-4C(O)R°、-C(S)R°、-(CH0-4C(O)OR°、-(CH0-4C(O)SR°、-(CH0-4C(O)OSiR°、-(CH0-4OC(O)R°、-OC(O)(CH0-4SR°、-(CH0-4SC(O)R°、-(CH0-4C(O)NR°、-C(S)NR°、-C(S)SR°、-SC(S)SR°、-(CH0-4OC(O)NR°、-C(O)N(OR°)R°、-C(O)C(O)R°、-C(O)CHC(O)R°、-C(NOR°)R°、-(CH0-4SSR°、-(CH0-4S(O)R°、-(CH0-4S(O)(NH)R°、-(CH0-4S(O)OR°、-(CH0-4OS(O)R°、-S(O)NR°、-(CH0-4S(O)R°、-N(R°)S(O)NR°、-N(R°)S(O)R°、-N(OR°)R°、-C(NH)NR°、-P(O)R°、-P(O)R°、-OP(O)R°、-OP(O)(OR°)、SiR°、-(C1~4直鎖もしくは分岐アルキレン)O-N(R°)、または-(C1~4直鎖もしくは分岐アルキレン)C(O)O-N(R°)であり、各R°は、以下に定義されるように置換されていてもよく、独立して水素、C1~6脂肪族、-CHPh、-O(CH0-1Ph、-CH-(5~6員ヘテロアリール環)、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する5~6員の飽和、部分的に不飽和、もしくはアリール環;または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式アリール環であるか、あるいは上記の定義にもかかわらず、2つの独立したR°の出現が、それらの介在原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する3~12員の飽和、部分的に不飽和、またはアリールの単環式または二環式の環を形成し、以下に定義されるように置換されていてもよい。
【0058】
R°上の好適な一価の置換基(または2つの独立したR°の出現が、それらの介在原子と一緒になることによって形成される環)は、独立して、ハロゲン、-(CH0-2λ、-(ハロRλ)、-(CH0-2OH、-(CH0-2ORλ、-(CH0-2CH(ORλ、-O(ハロRλ)、-CN、-N、-(CH0-2C(O)Rλ、-(CH0-2C(O)OH、-(CH0-2C(O)ORλ、-(CH0-2SRλ、-(CH0-2SH、-(CH0-2NH、-(CH0-2NHRλ、-(CH0-2NRλ 、-NO、-SiRλ 、-OSiRλ 、-C(O)SRλ、-(C1~4直鎖または分岐アルキレン)C(O)ORλ、または-SSRλであり、各Rλは、非置換であるか、または「ハロ」が前に付いている場合は、1つ以上のハロゲンでのみ置換され、独立して、C1~4脂肪族、-CHPh、-O(CH0-1Ph、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する3~6員の飽和、部分的に不飽和、もしくはアリール環から選択される。R°の飽和炭素原子上の好適な二価の置換基としては、=Oおよび=Sが挙げられる。
【0059】
「任意選択的に置換された」基の飽和炭素原子上の好適な二価置換基としては、以下の、=O(「オキソ」)、=S、=NNR 、=NNHC(O)R、=NNHC(O)OR、=NNHS(O)、=NR、=NOR、-O(C(R ))2-3O-、または-S(C(R ))2-3S-が挙げられ、Rの各独立した出現は、水素、以下に定義されるように置換され得るC1~6脂肪族、または窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する非置換の5~6員の飽和、部分的に不飽和、もしくはアリール環から選択される。「任意選択的に置換された」基の隣接置換可能炭素に結合する好適な二価置換基としては、-O(CR 2-3O-が挙げられ、Rの各独立した出現は、水素、以下に定義されるように置換され得るC1~6脂肪族、または窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する非置換の5~6員の飽和、部分的に不飽和、もしくはアリール環から選択される。
【0060】
の脂肪族基上の好適な置換基としては、ハロゲン、-Rλ、-(ハロRλ)、-OH、-ORλ、-O(ハロRλ)、-CN、-C(O)OH、-C(O)ORλ、-NH、-NHRλ、-NRλ 、または-NOが挙げられ、各Rλは、非置換であるか、「ハロ」が先行する場合は、1つ以上のハロゲンでのみ置換され、独立して、C1~4脂肪族、-CHPh、-O(CH0-1Ph、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する5~6員の飽和、部分的に不飽和、もしくはアリール環である。
【0061】
「任意選択的に置換された」基の置換可能な窒素上の好適な置換基としては、-R、-NR 、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)C(O)R、-C(O)CHC(O)R、-S(O)、-S(O)NR 、-C(S)NR 、-C(NH)NR 、または-N(R)S(O)が挙げられ、各Rは、独立して、水素、以下に定義されるように置換され得るC1~6脂肪族、非置換-OPh、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する非置換5~6員の飽和、部分的に不飽和、もしくはアリール環、であるか、あるいは上記の定義にもかかわらず、2つの独立したRの出現が、それらの介在原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する3~12員の飽和、部分的に不飽和、またはアリールの単環式または二環式の環を形成する。
【0062】
の脂肪族基上の好適な置換基は、ハロゲン、-Rλ-(ハロRλ)、-OH、-ORλ、-O(ハロRλ)、-CN、-C(O)OH、-C(O)ORλ、-NH、-NHRλ、-NRλ 、または-NOであり、各Rλは、非置換であるか、「ハロ」が先行する場合は、1つ以上のハロゲンでのみ置換され、独立して、C1~4脂肪族、-CHPh、-O(CH0-1Ph、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する5~6員の飽和、部分的に不飽和、もしくはアリール環である。
【0063】
治療薬:本明細書で使用される場合、「治療薬」という句は、一般に、生物に投与されたときに所望の薬理学的効果を誘発する任意の薬剤を指す。いくつかの実施形態において、薬剤は、それが適切な集団にわたって統計学的に有意な効果を示す場合、治療薬であると見なされる。いくつかの実施形態において、適切な集団は、モデル生物の集団であり得る。いくつかの実施形態において、適切な集団は、特定の年齢群、性別、遺伝的背景、既存の臨床的状態などなどの様々な基準によって定義され得る。いくつかの実施形態において、治療薬は、疾患、障害、および/または状態の1つ以上の症状または特性の発症を緩和、改善、軽減、阻害、防止、遅延させ、それらの重症度を低減させ、かつ/またはそれらの発生率を低下させるために使用することができる物質である。いくつかの実施形態において、「治療薬」は、それがヒトへの投与のために販売されることができる前に、政府機関によって承認されているか、または承認される必要がある薬剤である。いくつかの実施形態において、「治療薬」は、ヒトへの投与のために処方箋が必要とされる薬剤である。
【0064】
治療する:本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療」、または「治療すること」という用語は、部分的または完全に、疾患、障害、および/または状態の1つ以上の症状または特性の発症を緩和、改善、軽減、阻害、防止、遅延させ、それらの重症度を低減させ、かつ/またはそれらの発生率を低下させるために使用される任意の方法を指す。治療は、疾患、障害、および/または状態の兆候を示さない対象に投与され得る。いくつかの実施形態において、治療は、疾患、障害、および/または状態の初期の兆候のみを示す対象に、例えば、疾患、障害、および/または状態に関連する病状を発症するリスクを低減する目的のために、投与され得る。
【発明を実施するための形態】
【0065】
プログラムされた軸索変性およびSARM1
軸索変性は、限定されないが、アルツハイマー病、パーキンソン病、ALS、多発性硬化症、糖尿病性末梢神経障害、化学療法誘発性末梢神経障害、遺伝性神経障害、外傷性脳損傷、および/または緑内障などの神経疾患の主要な病理学的特性である。損傷した軸索または不健康な軸索は、ウォーラー変性として知られるアポトーシスのような従来の細胞死経路とは異なる固有の自己破壊プログラムによって排除される。(Gerdts,J.,et al.,Neuron,2016,89,449-460;Whitmore,A.V.et al.,Cell Death Differ.,2003,10,260-261)。ウォーラー変性の際、末梢神経は損傷の遠位にある軸索セグメントの選択的分解を受けるが、一方、近位軸索セグメントおよび細胞体は無傷のままである。理論に縛られることを望まないが、ウォーラー変性は、最初にニコチンアミドモノヌクレオチドアデニルトランスフェラーゼ(NMNAT)の枯渇、続いてニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)の喪失、アデノシン三リン酸(ATP)の喪失、ニューロフィラメントタンパク質分解、および最後に損傷の約8~24時間後で軸索分解を特徴とする。(Gerdts,J.,et al.,Neuron,2016,89,449-460)。
【0066】
NAD+は、エネルギー代謝および細胞シグナル伝達に重要な役割を果たす遍在する代謝物である(Belenkey et al.,Trends Biochem.,2007,32,12-19、Chiarugi et al.,Nat.Rev.Cancer,2012,12,741-752)。NAD+レベルのホメオスタシス調節はまた、軸索の安定性および完全性を維持することに関与する。(Babetto et al.,Cell Rep.,2010,3,1422-1429、Sasaki et al.,J.Neurosci.,2009)。
【0067】
初代マウスニューロンのゲノムワイドRNAiスクリーニングではステライルアルファおよびTIRモチーフ含有1(SARM1)が同定され、SARM1をノックダウンすると、損傷誘発性軸索変性に対する感覚ニューロンの長期的な保護につながった(Gerdts et al.,J Neurosci,2013,33,13569-13580)。SARM1は、細胞基質アダプタータンパク質のメンバーに属するが、最も進化した古代アダプターであり、逆説的にTLRシグナル伝達を阻害し、損傷誘発性軸索死経路の中心的な実行役として同定されているため、このメンバーの中でもユニークである(O’Neill,L.A.&Bowie,A.G.,Nat.Rev.Immunol.,2007,7,353-364、Osterloh,J.M.,et al.,Science,2012,337,481-484、Gerdts,J.,et al.,J.Neurosci.33,2013,13569-13580)。軸索損傷またはSARM1-TIRドメインの強制された二量体化を介したSARM1の活性化は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)の急速かつ壊滅的な枯渇を促進し、その後すぐに軸索分解が起こる。(Gerdts,J.,et al.,Science,2015,348,453-457)。SARM1はインビトロおよびインビボの両方でこの損傷誘発性NAD+枯渇に必要とされ、SARM1活性化はNAD(+)破壊を介して局所的に軸索変性を引き起こす(Gerdts et al.,et al.,Science,2015 348,452-457、Sasaki et al.,J.Biol.Chem.2015,290,17228-17238、これらの両方は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0068】
遺伝的機能喪失研究から、SARM1が損傷後の軸索変性経路の中心的な切断実行役として機能することは明らかである。SARM1の遺伝子ノックアウトは、神経切断後最大14日間軸索の保存を可能にし(Osterloh,J.M.,et al.,Science,2012,337,481-484、Gerdts,J.,et al..J.Neurosci.,2013,33,13569-13580)、また外傷性脳損傷後のマウスの機能的転帰を改善する(Henninger,N.et al.,Brain 139,2016,1094-1105)。SARM1が直接的な軸索損傷で有している役割に加えて、SARM1はまた、化学療法誘発性末梢神経障害で観察される軸索変性にも必要とされる。SARM1の喪失は、化学療法誘発性末梢神経障害を遮断し、化学療法ビンクリスチン治療後に発症する軸索変性および疼痛感受性の増加の両方を阻害する(Geisler et al,Brain,2016,139,3092-3108)。
【0069】
SARM1には、SAMドメイン、ARM/HEATモチーフ、およびオリゴマー化とタンパク質-タンパク質相互作用を仲介するTIRドメイン(図1)を含む複数の保存モチーフが含有される(O’Neill,L.A.&Bowie,A.G.,Nat.Rev.Immunol.,2007,7,353-364、Tewari,R.,et al.,Trends Cell Biol.,2010,20,470-481、Qiao,F.&Bowie,J.U.,Sci.STKE 2005,re7,2005)。TIRドメインは、自然免疫経路で機能するシグナル伝達タンパク質に一般的に認められ、それらはタンパク質複合体のスキャホルドとして機能する(O’Neill,L.A.&Bowie,A.G.,Nat.Rev.Immunol.,2007,7,353-364)。興味深いことに、SARM1-TIRドメインの二量体化は、軸索変性を誘導することに、およびNAD+切断酵素として作用することによってNAD+の分解を素早く引き起こすのに適、十分である(Milbrandt et al.,WO2018/057989、Gerdts,J.,et al.,Science,2015,348,453-457)。軸索変性経路におけるSARM1の中心的な役割、およびその同定されたNADアーゼ活性を考慮して、SARM1を調節することができ、有用な治療薬として、例えば、末梢神経障害、外傷性脳損傷、および/または神経変性疾患を含む神経変性疾患から保護するように潜在的に機能することができる薬剤を同定する試みが行われている。
【0070】
とりわけ、本開示は、SARM1阻害剤として(例えば、SARM1阻害剤として)作用する特定の化合物および/または組成物、ならびにそれらに関連する技術を提供する。
【0071】
化合物
いくつかの実施形態において、本開示は、式Iの化合物であって、
【化6】
式中、
Xが、NまたはC-Rであり、
が、水素、ハロゲン、および任意選択的に置換されたC1-6脂肪族からなる群から選択され、
が、水素、ハロゲン、CN、CF、C1-3脂肪族、および-C(O)N(Ra*からなる群から選択され、
a*が、水素およびC1-3脂肪族から選択され、
が、水素;ハロゲン;N(R);OR;C1-6脂肪族;窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する3~7員の単環式複素環;窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環;ならびに窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する7~8員の架橋二環式複素環からなる群から選択され、C1-6脂肪族、単環式または架橋二環式複素環、およびヘテロアリール環の各々が、1~3個のR1*基で任意選択的に置換されており、
1*が、オキソ、ハロゲン、N(R)、OR、C(O)R、S(O)R、C(O)OR、C(O)N(R)、任意選択的に置換されたC1-6脂肪族、ならびに窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する任意選択的に置換された5~6員のヘテロアリール環から選択され、
Rが、水素、任意選択的に置換されたC1-6脂肪族、ならびに窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される0~2個のヘテロ原子を有する任意選択的に置換された3~7員の飽和単環式環からなる群から選択されるか、または:
2つのR基が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択される0~1個の追加のヘテロ原子を含む任意選択的に置換された3~6員の複素環を形成し、
が、水素、ハロゲン、S(O)R、C(O)OR、C(O)N(R)、ならびに任意選択的に置換されている基であって、C1~6脂肪族;窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する3~7員の複素環;ならびに窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環から選択される、任意選択的に置換されている基、からなる群から選択され、
が、水素、ハロゲン、CN、CF、C1-3脂肪族、および-C(O)N(Ra*からなる群から選択される、化合物、またはその医薬的に許容される塩を提供する。
【0072】
上記で一般的に定義されているように、Rは、水素、ハロゲン、-CN、-CF、C1-3脂肪族、および-C(O)N(Ra*からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、Rは、水素である。いくつかの実施形態において、Rは、ハロゲン、-CN、-CF、C1-3脂肪族、および-C(O)N(Ra*からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、Rは、ハロゲンである。いくつかのそのような実施形態において、Rは、クロロまたはフルオロである。
【0073】
いくつかの実施形態では、Rは、-CFである。
【0074】
いくつかの実施形態では、Rは、-CNである。
【0075】
いくつかの実施形態では、Rは、C1-3脂肪族である。いくつかのそのような実施形態において、Rは、-CH、-CHCH、-CH(CH、またはシクロプロピルである。
【0076】
いくつかの実施形態では、Rは、-C(O)N(Ra*である。
【0077】
上で一般的に定義されているように、Ra*は、水素およびC1-3脂肪族から選択される。いくつかの実施形態では、Ra*は、水素である。いくつかの実施形態では、Ra*は、C1-3脂肪族である。いくつかのそのような実施形態において、Ra*は、-CH、-CHCH、-CH(CH、またはシクロプロピルである。
【0078】
いくつかの実施形態では、Rは、-C(O)NHである。いくつかの実施形態では、Rは、-C(O)NHCHである。いくつかの実施形態では、Rは、-C(O)N(CHである。
【0079】
上記で一般的に定義されるように、Xは、NまたはC-Rである。いくつかの実施形態において、Xは、Nである。いくつかの実施形態において、Xは、C-Rである。いくつかの実施形態において、Xは、Nである。いくつかの実施形態において、Xは、C-Rである。したがって、いくつかの実施形態において、本開示は、式I-aもしくは式I-bの化合物、
【化7】
またはその医薬的に許容される塩を提供し、式中、R、R、RおよびRの各々が、上記で定義され、本明細書の以下のクラスおよびサブクラスで記載されている通りである。
【0080】
上記で一般的に定義されるように、Rは、水素、ハロゲン、および任意選択で置換されたC1~6脂肪族からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、Rは、水素である。いくつかのそのような実施形態において、Rは、ハロゲンおよび任意選択的に置換されたC1~6脂肪族から選択される。いくつかの実施形態において、Rは、ハロゲンである。いくつかのそのような実施形態において、Rは、クロロまたはフルオロである。
【0081】
いくつかの実施形態において、本開示は、式I-cの化合物、
【化8】
またはその医薬的に許容される塩を提供し、式中、R、R、およびRの各々が、上記で定義され、本明細書の以下のクラスおよびサブクラスで記載されている通りである。
【0082】
上記で一般的に定義されるように、Rは、水素、ハロゲン、N(R)、OR、C1-6脂肪族;窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する3~7員の単環式複素環;窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環;ならびに窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する7~8員の架橋二環式複素環からなる群から選択され、C1-6脂肪族、単環式または架橋二環式複素環、およびヘテロアリール環の各々が、1~3個のR1*基で任意選択的に置換されており、いくつかの実施形態では、Rは、水素である。いくつかの実施形態において、Rは、ハロゲン、N(R)、OR、C1-6脂肪族;窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する3~7員の単環式複素環;窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環;ならびに窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する7~8員の架橋二環式複素環からなる群から選択され、C1-6脂肪族、単環式または架橋二環式複素環、およびヘテロアリール環の各々が、1~3個のR1*基で任意選択的に置換されている。
【0083】
いくつかの実施形態において、Rはハロゲンである。いくつかのそのような実施形態において、Rは、クロロである。
【0084】
いくつかの実施形態において、Rは、N(R)である。いくつかの実施形態において、Rは、N(R)であり、Rは、水素および任意選択的に置換されたC1~6脂肪族から選択される。いくつかの実施形態において、Rは、NHである。いくつかの実施形態において、Rは、N(CHである。いくつかの実施形態において、RはNHRであり、Rは、任意選択的に置換されたC1~6脂肪族である。
【0085】
いくつかの実施形態において、Rは、以下から選択される。:
【化9】
【0086】
いくつかの実施形態では、Rは、N(R)であり、Rは、水素およびおよび、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される0~2個のヘテロ原子を有する任意選択的に置換された3~7員の飽和単環式環から選択される。いくつかのそのような実施形態において、Rは、NHRであり、Rは、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される0~2個のヘテロ原子を有する、任意選択的に置換された3~7員の飽和単環式環である。いくつかの実施形態において、Rは、NHRであり、Rは、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される0~2個のヘテロ原子を有する任意選択的に置換された5~6員の飽和単環式環である。いくつかの実施形態において、RはNHRであり、Rは、窒素、酸素、および硫黄から選択される1つのヘテロ原子を有する任意選択的に置換された5~6員の飽和単環式環である。
【0087】
いくつかの実施形態において、Rは、以下から選択される。
【化10】
【0088】
いくつかの実施形態において、Rは、ORである。いくつかの実施形態において、Rは、ORであり、Rは、任意選択的に置換されたC1-6脂肪族である。いくつかのそのような実施形態において、Rは、OCHである。
【0089】
いくつかの実施形態において、Rは、1~3個のR1*基で任意選択的に置換されたC1~6脂肪族である。いくつかのそのような実施形態において、Rは、シクロプロピルである。
【0090】
いくつかの実施形態において、Rは、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する3~7員の単環式複素環であり、複素環は、1~3個のR1*基で任意選択的に置換されている。いくつかの実施形態において、Rは、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1個のヘテロ原子を有する4員の単環式複素環であり、複素環は、1個のR1*基で任意選択的に置換されている。いくつかの実施形態において、Rは、
【化11】
である。
【0091】
いくつかの実施形態において、Rは、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する5員の単環式複素環であり、複素環は、1~3個のR1*基で任意選択的に置換されている。いくつかの実施形態において、Rは、窒素、酸素、および硫黄から選択される1個のヘテロ原子を有する5員の単環式複素環であり、複素環は、1~2個のR1*基で任意選択的に置換されている。いくつかの実施形態において、Rは、1個の窒素原子を有する5員の単環式複素環であり、複素環は、1個のR1*基で任意選択的に置換されている。いくつかの実施形態において、Rは、以下から選択される。
【化12】
【0092】
いくつかの実施形態において、Rは、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する6員の単環式複素環であり、複素環は、1~3個のR1*基で任意選択的に置換されている。いくつかの実施形態において、Rは、窒素、酸素、および硫黄から選択される1個のヘテロ原子を有する6員の単環式複素環であり、複素環は、1~2個のR1*基で任意選択的に置換されている。いくつかの実施形態において、Rは、窒素、酸素、および硫黄から選択される2個のヘテロ原子を有する6員の単環式複素環であり、複素環は、1~2個のR1*基で任意選択的に置換されている。
【0093】
いくつかの実施形態において、Rは、以下から選択される。
【化13】
【0094】
いくつかの実施形態において、Rは、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環であり、ヘテロアリール環は、1~3個のR1*基で任意選択的に置換されている。いくつかの実施形態において、Rは、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5員のヘテロアリール環であり、ヘテロアリール環は、1~3個のR1*基で任意選択的に置換されている。いくつかの実施形態において、Rは、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5員のヘテロアリール環であり、ヘテロアリール環は、1~2個のR1*基で任意選択的に置換されている。いくつかの実施形態において、Rは、以下から選択される。
【化14】
【0095】
いくつかの実施形態において、Rは、1~2個の窒素原子を有する6員のヘテロアリール環であり、ヘテロアリール環は、1~3個のR1*基で任意選択的に置換されている。いくつかの実施形態において、Rは、
【化15】
である。
【0096】
いくつかの実施形態において、Rは、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する7~8員の架橋二環式複素環であり、架橋二環式複素環は、1~3個のR1*基で任意選択的に置換されている。いくつかの実施形態では、Rは、1~2個の窒素原子を有する7~8員の架橋二環式複素環であり、架橋二環式複素環は、1~2個のR1*基で任意選択的に置換されている。
【0097】
いくつかの実施形態において、Rは、以下から選択される。
【化16】
【0098】
上記で一般的に定義されているように、R1*は、オキソ、ハロゲン、N(R)、OR、C(O)R、S(O)R、C(O)OR、C(O)N(R)、任意選択的に置換されたC1~6脂肪族、ならびに、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する任意選択的に置換された5~6員のヘテロアリール環から選択される。いくつかの実施形態では、R1*は、オキソである。いくつかの実施形態において、R1*は、任意選択的に置換されたC1~6脂肪族である。いくつかのそのような実施形態において、R1*は、-CH または-CHCHである。いくつかの実施形態において、R1*は、-(CH0-4OR°で任意選択的に置換されたC1~6脂肪族である。いくつかのそのような実施形態において、R°は水素。したがって、いくつかのそのような実施形態において、R1*は、-(CH0-4OHで任意選択的に置換されたC1-6脂肪族である。いくつかの実施形態では、R1*は、-CHOHである。
【0099】
いくつかの実施形態において、R1*は、-(CH0-4C(O)N(R°)で任意選択的に置換されたC1-6脂肪族である。いくつかのそのような実施形態において、R°は水素。したがって、いくつかのそのような実施形態において、R1*は、-(CH0-4C(O)NHで任意選択的に置換されたC1-6脂肪族である。いくつかの実施形態では、R1*は、-CHCHC(O)NHである。
【0100】
いくつかの実施形態では、R1*は、N(R)である。いくつかのそのような実施形態において、Rは、水素および任意選択的に置換されたC1~6脂肪族から選択される。いくつかの実施形態では、R1*はNHである。いくつかの実施形態において、R1*は、NHRであり、Rは、任意選択的に置換されたC1-6脂肪族である。いくつかの実施形態において、R1*は、NHRであり、Rは、-(CH0-4OR°で任意選択的に置換されたC1-6脂肪族である。いくつかのそのような実施形態において、R°は水素。したがって、いくつかのそのような実施形態において、R1*は、NHRであり、Rは、-(CH0-4OHで任意選択的に置換されたC1-6脂肪族である。いくつかの実施形態おいて、R1*は、-NHCHCHOHである。
【0101】
いくつかの実施形態では、R1*は、-ORである。いくつかのそのような実施形態において、Rは、水素または任意選択的に置換されたC1-6脂肪族である。いくつかの実施形態おいて、R1*は、-OHまたは-OCHである。
【0102】
いくつかの実施形態おいて、R1*は、C(O)N(R)である。いくつかのそのような実施形態において、各Rは、水素および任意選択的に置換されたC1~6脂肪族から選択される。いくつかの実施形態おいて、R1*は、-C(O)NH、-C(O)NHCH、およびC(O)N(CHから選択される。
【0103】
いくつかの実施形態おいて、R1*は、C(O)Rである。いくつかのそのような実施形態において、Rは、任意選択的に置換されたC1-6脂肪族である。いくつかの実施形態おいて、R1*は、-C(O)CHである。
【0104】
いくつかの実施形態おいて、R1*は、S(O)Rである。いくつかのそのような実施形態において、Rは、任意選択的に置換されたC1~6脂肪族である。いくつかの実施形態おいて、R1*は、-S(O)CHである。
【0105】
いくつかの実施形態において、R1*は、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する任意選択的に置換された5~6員ヘテロアリール環である。いくつかの実施形態において、R1*は、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する任意選択的に置換された5員ヘテロアリール環である。いくつかの実施形態において、R1*は、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される2個のヘテロ原子を有する任意選択的に置換された5員ヘテロアリール環である。いくつかの実施形態において、R1*は、
【化17】
である。
【0106】
いくつかの実施形態では、R1*は、オキソ、-CH、-CHCH、-CHOH、-CHCHC(O)NH、-OH、-OCH、-NH、-NHCHCHOH、-C(O)NH、-C(O)NHCH、C(O)N(CH、-C(O)CH、-S(O)CH、および
【化18】
から選択される。
【0107】
上記で一般的に定義されるように、Rは、水素、任意選択的に置換されたC1-6脂肪族、ならびに窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される0~2個のヘテロ原子を有する任意選択的に置換された3~7員の飽和単環式環からなる群から選択されるか、または:2つのR基は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択される0~1個の追加のヘテロ原子を含む任意選択的に置換された3~6員の複素環を形成する。いくつかの実施形態において、Rは、水素である。いくつかの実施形態において、Rは、任意選択的に置換されたC1~6脂肪族、または窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される0~2個のヘテロ原子を有する任意選択的に置換された3~7員の飽和単環式環である。または:2つのR基は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択される0~1個の追加のヘテロ原子を含む任意選択的に置換された3~6員の複素環を形成する。
【0108】
いくつか実施形態において、Rは、水素またはC1-6脂肪族である。いくつかのそのような実施形態において、Rは、水素または-CHである。いくつかの実施形態において、Rは、水素または任意選択的に置換されたC1-6脂肪族である。
【0109】
いくつかの実施形態において、Rは、C1-6脂肪族である。いくつかの実施形態において、Rは、-CHである。いくつかの実施形態において、Rは、シクロプロピルである。
【0110】
いくつかの実施形態において、Rは、-(CH0-4R°、-(CH0-4OR°、-(CH0-4C(O)N(R°)、および-(CH0-4N(R°)C(O)N(R°)から選択される基で任意選択的に置換されたC1-6脂肪族である。いくつかのそのような実施形態において、R°は、水素、C1-6脂肪族;窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する5~6員の飽和、部分的に不飽和、もしくはアリール環;または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式アリール環である。いくつかの実施形態において、R°は、-(CH0-2λ、-(CH0-2OH、-(CH0-2ORλ、および-(CH0-2C(O)NHから選択される基で置換され、Rλは、C1-4脂肪族である。
【0111】
いくつかの実施形態において、Rは、-(CH0-4R°で任意選択的に置換されたC1-6脂肪族であり、R°は、C1-6脂肪族;窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する5~6員の飽和、部分的に不飽和、もしくはアリール環;または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式アリール環である。
【0112】
いくつかの実施形態において、Rは、-(CH0-4R°で任意選択的に置換されたC1-6脂肪族であり、R°は、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する5~6員の飽和、部分的に不飽和、またはアリール環である。いくつかの実施形態において、Rは、-(CH0-4R°で任意選択的に置換されたC1-6脂肪族であり、R°は、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5員のヘテロアリール環である。いくつかの実施形態において、Rは、-(CH0-4R°で任意選択的に置換されたC1-6脂肪族であり、R°は、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する5員のヘテロアリール環である。いくつかの実施形態において、Rは、-(CH0-4R°で任意選択的に置換されたC1-6脂肪族であり、R°は、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する5員のヘテロアリール環であり、R°は、-(CH 0-2 Rλで置換されている。いくつかの実施形態において、Rは、
【化19】
で任意選択的に置換されたC1-6脂肪族である。
【0113】
いくつかの実施形態において、Rは、-(CH0-4R°で任意選択的に置換されたC1-6脂肪族であり、R°は、1~2個の窒素原子を有する6員のヘテロアリール環である。いくつかの実施形態において、Rは、
【化20】
で任意選択的に置換されたC1-6脂肪族である。
【0114】
いくつかの実施形態において、Rは、-(CH0-4R°で任意選択的に置換されたC1-6脂肪族であり、R°は、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する5~6員の飽和環である。いくつかの実施形態において、Rは、-(CH0-4R°で任意選択的に置換されたC1-6脂肪族であり、R°は、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する6員の飽和環である。いくつかの実施形態において、Rは、-(CH0-4R°で任意選択的に置換されたC1-6脂肪族であり、R°は、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する6員の飽和環であり、R°は-(CH0-2λで置換されている。いくつかの実施形態において、Rは、
【化21】
で任意選択的に置換されたC1~6脂肪族である。
【0115】
いくつかの実施形態において、Rは、-(CH0-4R°で任意選択的に置換されたC1~6脂肪族であり、R°は、フェニルである。いくつかのそのような実施形態において、R°は、-(CH0-2C(O)NHである。いくつかの実施形態において、Rは、
【化22】
で任意選択的に置換されたC1-6脂肪族である。
【0116】
いくつかの実施形態において、Rは、-(CH0-4R°で任意選択的に置換されたC1-6脂肪族であり、R°は、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される0~4ヘテロ原子を有する8~10員の二環式アリール環である。いくつかの実施形態において、Rは、-(CH0-4R°で任意選択的に置換されたC1-6脂肪族であり、R°は、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する9員の二環式アリール環である。いくつかのそのような実施形態において、R°は、-(CH0-2λである。いくつかの実施形態において、Rは、
【化23】
で任意選択的に置換されたC1-6脂肪族である。
【0117】
いくつかの実施形態において、Rは、-(CH0-4R°で任意選択的に置換されたC1-6脂肪族であり、R°は、水素またはC1-6脂肪族である。いくつかの実施形態において、Rは、-OR°で任意選択的に置換されたC1-6脂肪族であり、R°は、水素またはC1-6脂肪族である。いくつかの実施形態において、Rは、-OHで任意選択的に置換されたC1~6脂肪族である。
【0118】
いくつかの実施形態において、Rは、-(CH0-4C(O)N(R°)で任意選択的に置換されたC1-6脂肪族である。いくつかの実施形態において、Rは、-(CH0~4C(O)N(R°)で任意選択的に置換されたC1-6脂肪族であり、R°は、水素またはC1-6脂肪族である。いくつかの実施形態において、Rは、-(CH0-4C(O)N(R°)で任意選択的に置換されたC1-6脂肪族であり、R°は、水素または-(CH0-2ORλで任意選択的に置換されたC1-6脂肪族である。いくつかの実施形態において、Rは、-C(O)N(R°)で任意選択的に置換されたC1-6脂肪族であり、ここで、R°は、水素または-(CH0-2ORλで任意選択的に置換されたC1-6脂肪族である。いくつかの実施形態において、Rは、-C(O)NHCHCHOCHで任意選択的に置換されたC1-6脂肪族である。いくつかの実施形態において、Rは、-C(O)NHCHで任意選択的に置換されたC1-6脂肪族である。
【0119】
いくつかの実施形態において、Rは、-(CH0-4N(R°)C(O)N(R°)で任意選択的に置換されたC1-6脂肪族である。いくつかの実施形態において、Rは、-(CH0-4N(R°)C(O)N(R°)で任意選択的に置換されたC1-6脂肪族であり、R°は水素またはC1-6脂肪族である。いくつかの実施形態において、Rは、-NHC(O)N(CHで任意選択的に置換されたC1-6脂肪族である。
【0120】
いくつかの実施形態において、Rは、-OHおよび窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する5~6員の飽和、部分的に不飽和、またはアリール環で任意選択的に置換されたC1~6脂肪族である。いくつかの実施形態において、Rは、-OHおよび-(CH0-4C(O)N(R°)で任意選択的に置換されたC1-6脂肪族である。
【0121】
いくつかの実施形態において、Rは、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される0~2個のヘテロ原子を有する任意選択的に置換された3~7員の飽和単環式環である。いくつかの実施形態において、Rは、窒素、酸素、および硫黄から選択される1個のヘテロ原子を有する7員の飽和単環式環である。いくつかのそのような実施形態において、Rは、炭素原子上で=Oで置換されている。いくつかの実施形態において、Rは、
【化24】
である。
【0122】
いくつかの実施形態において、Rは、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される0~2個のヘテロ原子を有する任意選択的に置換された3~7員の飽和単環式環である。いくつかの実施形態において、Rは、窒素、酸素、および硫黄から選択される1個のヘテロ原子を有する6員の飽和単環式環である。いくつかのそのような実施形態において、Rは、-(CH0-4C(O)NR°である。いくつかの実施形態において、Rは、-C(O)NHで置換された、窒素、酸素、および硫黄から選択される1個のヘテロ原子を有する6員の飽和単環式環である。いくつかの実施形態において、Rは、
【化25】
である。
【0123】
いくつかの実施形態において、Rは、窒素、酸素、および硫黄から選択される1個のヘテロ原子を有する6員の飽和単環式環であり、Rは、-(CH0-4R°で置換されている。いくつかのそのような実施形態において、R°は、-(CH0-2λで置換されたC1-6脂肪族であり、Rλは、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する3~6員の飽和、部分的に不飽和、またはアリール環である。いくつかの実施形態において、Rは、
【化26】
である。
【0124】
いくつかの実施形態において、Rは、窒素、酸素、および硫黄から選択される1個のヘテロ原子を有する5員の飽和単環式環である。いくつかのそのような実施形態において、Rは、=Oおよび-(CH0~4R°で置換されている。いくつかの実施形態において、Rは、
【化27】
である。
【0125】
いくつかの実施形態において、Rは水素、任意選択的に-OH、-NHC(O)N(CH、-C(O)NHCH、-C(O)NHCHCHOCH
【化28】
から選択される1つ以上の基で置換されたC1-6脂肪族、またはRは
【化29】
である。
【0126】
いくつかの実施形態において、Rは、水素、ハロゲン、-NH、-OCH、以下からなる群から選択される。
【化30-1】
【化30-2】
【化30-3】
【0127】
上記で一般的に定義されるように、Rは、水素、ハロゲン、S(O)R、C(O)OR、C(O)N(R)、ならびに任意選択的に置換されている基であって、C1~6脂肪族;窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する3~7員の複素環;ならびに窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環から選択される、任意選択的に置換されている基、からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、Rは、水素である。いくつかの実施形態において、Rは、ハロゲン、S(O)R、C(O)OR、C(O)N(R)、ならびに任意選択的に置換されている基であって、C1~6脂肪族;窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する3~7員の複素環;ならびに窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環から選択される、任意選択的に置換されている基、からなる群から選択される。
【0128】
いくつかの実施形態において、Rはハロゲンである。いくつかのそのような実施形態において、Rは、フルオロ、クロロまたはブロモである。
【0129】
いくつかの実施形態において、Rは、任意選択的に置換されたC1~6脂肪族である。いくつかのそのような実施形態において、Rは、-CHまたは-CHCHである。いくつかの実施形態において、Rは、シクロプロピルである。いくつかの実施形態において、Rは、-(CH0-4OR°で任意選択的に置換されたC1~6脂肪族である。いくつかのそのような実施形態において、R°は、水素である。したがって、いくつかのそのような実施形態において、Rは、-(CH0-4OHで任意選択的に置換されたC1-6脂肪族である。いくつかの実施形態において、Rは、-C(OH)(CHである。
【0130】
いくつかの実施形態おいて、Rは、-C(O)ORである。いくつかのそのような実施形態において、Rは、水素である。、いくつかの実施形態おいて、Rは、-C(O)OHである。
【0131】
いくつかの実施形態おいて、Rは、S(O)Rである。いくつかのそのような実施形態において、Rは、任意選択的に置換されたC1~6脂肪族である。いくつかの実施形態おいて、R2は、-S(O)CHである。
【0132】
いくつかの実施形態おいて、Rは、C(O)N(R)である。いくつかのそのような実施形態において、各Rは、水素および任意選択的に置換されたC1-6脂肪族から選択される。いくつかの実施形態おいて、Rは、C(O)NHである。いくつかの実施形態において、RはC(O)NHRであり、Rは、任意選択的に置換されたC1-6脂肪族である。いくつかの実施形態において、RはC(O)NHRであり、Rは、-(CH0-4OR°で任意選択的に置換されたC1-6脂肪族である。いくつかの実施形態において、Rは、C(O)NHRであり、Rは、-(CH0-4OR°で任意選択的に置換されたC1-6脂肪族であり、R°は水素である。いくつかの実施形態において、Rは、C(O)NHRであり、Rは、-(CH0-4OHで任意選択的に置換されたC1-6脂肪族である。いくつかの実施形態おいて、Rは、-C(O)NHCHCHOHである。
【0133】
いくつかの実施形態において、Rは、C(O)N(R)であり、2つのR基は、それらが結合している窒素原子一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択される0~1個の追加のヘテロ原子を含む任意選択的に置換された3~6員の複素環を形成する。いくつかの実施形態では、RはC(O)N(R)であり、2つのR基は、それらが結合している窒素原子一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択される0~1個の追加のヘテロ原子を含む任意選択的に置換された6員の複素環を形成する。いくつかの実施形態において、Rは、
【化31】
である。
【0134】
いくつかの実施形態において、Rは、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する任意選択的に置換された3~7員の複素環である。いくつかの実施形態において、R2は、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~6員の複素環である。いくつかの実施形態において、Rは、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1個のヘテロ原子を有する4員の複素環である。いくつかのそのような実施形態において、Rは、オキセタニルである。いくつかの実施形態において、Rは、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1個のヘテロ原子を有する5員の複素環である。いくつかのそのような実施形態において、Rは、テトラヒドロフラニルである。いくつかの実施形態において、Rは、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1個のヘテロ原子を有する6員の複素環である。いくつかのそのような実施形態において、Rは、モルホリニルである。
【0135】
いくつかの実施形態において、Rは、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する任意選択的に置換された5~6員ヘテロアリール環である。いくつかの実施形態において、Rは、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する5員のヘテロアリール環である。いくつかの実施形態において、Rは、ピラゾリルである。いくつかのそのような実施形態において、Rは、3-メチル-1H-ピラゾール-4-イルである。いくつかの実施形態において、Rは、1-メチル-1H-ピラゾール-4-イルである。いくつかの実施形態において、Rは、1H-ピラゾール-4-イルである。
【0136】
いくつかの実施形態において、Rは、1~3個の窒素原子を有する任意選択的に置換された6員ヘテロアリール環である。いくつかの実施形態では、Rは、ピリジン-3-イルである-。いくつかの実施形態において、Rは、2-メチル-ピリジン-3-イルである-。
【0137】
いくつかの実施形態において、Rは、水素、ハロゲン、-CH、CHCH、シクロプロピル、-C(OH)(CH、-C(O)OH、-S(O)CH、-C(O)NH、-C(O)NHCH、-C(O)N(CH、-C(O)NHCHCHOH、または以下から選択される基からなる群から選択される。
【化32】
【0138】
上記で一般的に定義されるように、Rは、水素、ハロゲン、CN、CF、C1-3脂肪族、および-C(O)N(Ra*からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、Rは、水素である。いくつかの実施形態では、Rは、ハロゲン、CN、CF、C1-3脂肪族、および-C(O)N(Ra*である。いくつかの実施形態において、Rはハロゲンである。いくつかのそのような実施形態において、Rは、フルオロまたはクロロである。
【0139】
いくつかの実施形態において、Rは、CNである。いくつかの実施形態において、Rは、CFである。いくつかの実施形態において、Rは、C1-3脂肪族である。いくつかのそのような実施形態において、Rは、-CH、-CHCH、-CH(CH、またはシクロプロピルである。いくつかの実施形態では、Rは、-C(O)N(Ra*である。いくつかの実施形態おいて、Rは、-C(O)NHである。いくつかの実施形態おいて、Rは、-C(O)NHCHである。いくつかの実施形態では、Rは、-C(O)N(CHである。
【0140】
式I-a、I-b、およびI-cのいくつかの実施形態では、Rは、水素である。したがって、いくつかの実施形態において、本開示は、式I-a-i、I-b-i、およびI-c-iの化合物、
【化33】
またはその医薬的に許容される塩を提供し、式中、R、R、およびRの各々は、上記で定義され、本明細書の以下のクラスおよびサブクラスで記載されている通りである。
【0141】
式I-a-i、I-b-i、およびI-c-iのいくつかの実施形態では、R は、クロロである。したがって、いくつかの実施形態において、本開示は、式I-a-ii、I-b-ii、およびI-c-iiの化合物、
【化34】
またはその医薬的に許容される塩を提供し、式中、RおよびRの各々は、上記で定義され、本明細書の以下のクラスおよびサブクラスで記載されている通りである。
【0142】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物は、以下から選択される。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【表1-10】
【表1-11】
【表1-12】
【表1-13】
【表1-14】
【表1-15】
【表1-16】
【0143】
いくつかの実施形態において、本開示は、式IIに記載されるような構造を有する化合物であって、
【化35】
式中、
Xが、NまたはC-Rであり、
が、水素、ハロゲン、および任意選択的に置換されたC1-6脂肪族からなる群から選択され、
が、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する3~7員の単環式複素環;窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環;ならびに窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する7~8員の架橋二環式複素環からなる群から選択され、C1-6脂肪族、単環式または架橋二環式複素環、およびヘテロアリール環の各々が、1~3個のR1*基で任意選択的に置換されており、
1*が、オキソ、ハロゲン、N(R)、OR、C(O)R、S(O)R、C(O)OR、C(O)N(R)、およびC1-6脂肪族から選択され、
Rが、水素および任意選択的に置換されたC1-6脂肪族からなる群から選択されるか、または:
2つのR基が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択される0~1個の追加のヘテロ原子を含む任意選択的に置換された3~6員の複素環を形成し、
が、水素、ハロゲン、S(O)R、C(O)OR、C(O)N(R)、ならびに任意選択的に置換されている基であって、C1~6脂肪族;窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する3~7員の複素環;ならびに窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環から選択される、任意選択的に置換されている基、からなる群から選択され、
が、水素、ハロゲン、CN、CF、C1-3脂肪族、および-C(O)N(Ra*からなる群から選択される、化合物、またはその医薬的に許容される塩を提供する。
【0144】
いくつかの実施形態において、本開示は、式II-a、II-b、およびII-cに記載されるような構造を有する化合物、
【化36】
またはその医薬的に許容される塩を提供し、式中、R、R、R、およびRの各々が、式IIについて上で定義された通りであり、本明細書の上記のクラスに記載されている通りである。
【0145】
列挙される実施形態。
実施形態1.式Iの化合物であって、
【化37】
式中、
Xが、NまたはC-Rであり、
が、水素、ハロゲン、および任意選択的に置換されたC1-6脂肪族からなる群から選択され、
が、水素、ハロゲン、CN、CF、C1-3脂肪族、および-C(O)N(Ra*からなる群から選択され、
a*が、水素およびC1-3脂肪族から選択され、
が、水素;ハロゲン;N(R);OR;C1-6脂肪族;窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する3~7員の単環式複素環;窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環;ならびに窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する7~8員の架橋二環式複素環からなる群から選択され、C1-6脂肪族、単環式または架橋二環式複素環、およびヘテロアリール環の各々が、1~3個のR1*基で任意選択的に置換されており、
1*が、オキソ、ハロゲン、N(R)、OR、C(O)R、S(O)R、C(O)OR、C(O)N(R)、任意選択的に置換されたC1-6脂肪族、ならびに窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する任意選択的に置換された5~6員のヘテロアリール環から選択され、
Rが、水素、任意選択的に置換されたC1-6脂肪族、ならびに窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される0~2個のヘテロ原子を有する任意選択的に置換された3~7員の飽和単環式環からなる群から選択されるか、または:
2つのR基が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択される0~1個の追加のヘテロ原子を含む任意選択的に置換された3~6員の複素環を形成し、
が、水素、ハロゲン、S(O)R、C(O)OR、C(O)N(R)、ならびに任意選択的に置換されている基であって、C1~6脂肪族;窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する3~7員の複素環;ならびに窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環から選択される、任意選択的に置換されている基、からなる群から選択され、
が、水素、ハロゲン、CN、CF、C1-3脂肪族、および-C(O)N(Ra*からなる群から選択される、化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【0146】
実施形態2.Rが、CNである、実施形態1に記載の化合物。
【0147】
実施形態3.化合物が、式I-aもしくはI-bの化合物、
【化38】
またはその医薬的に許容される塩である、実施形態2に記載の化合物。
【0148】
実施形態4.Rが、ハロゲンである、実施形態3に記載の化合物。
【0149】
実施形態5.Rが、水素である、実施形態3に記載の化合物。
【0150】
実施形態6.化合物が、式I-cの化合物、
【化39】
またはその医薬的に許容される塩である、実施形態5に記載の化合物。
【0151】
実施形態7.Rが、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する3~7員の単環式複素環であり、複素環が、1~3個のR1*基で任意選択的に置換されている、実施形態1~6のいずれか1つに記載の化合物。
【0152】
実施形態8.Rが、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する5員の単環式複素環であり、複素環が、1~3個のR1*基で任意選択的に置換されている、実施形態7に記載の化合物。
【0153】
実施形態9.Rが、窒素、酸素、および硫黄から選択される1個のヘテロ原子を有する5員の単環式複素環であり、複素環が、1~2個のR1*基で任意選択的に置換されている、実施形態8に記載の化合物。
【0154】
実施形態10.Rが1個の窒素原子を有する5員の単環式複素環であり、複素環が、任意選択で1個のR1*基で置換されている、実施形態9に記載の化合物。
【0155】
実施形態11.Rが、以下から選択される、実施形態10に記載の化合物。
【化40】
【0156】
実施形態12.Rが、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する6員の単環式複素環であり、複素環が、任意選択で1~3個のR1*基で置換されている、実施形態7に記載の化合物。
【0157】
実施形態13.Rが、窒素、酸素、および硫黄から選択される1個のヘテロ原子を有する6員の単環式複素環であり、複素環が1~2個のR1*基で任意選択的に置換されている、実施形態12に記載の化合物。
【0158】
実施形態14.Rが、窒素、酸素、および硫黄から選択される2個のヘテロ原子を有する6員の単環式複素環であり、複素環が、1~2個のR1*基で任意選択的に置換されている、実施形態13に記載の化合物。
【0159】
実施形態15.Rが、以下から選択される、実施形態14に記載の化合物。
【化41】
【0160】
実施形態16.Rが、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環であり、ヘテロアリールが、1~3個のR1*基で任意選択的に置換されている、実施形態1~6のいずれか1つに記載の化合物。
【0161】
実施形態17.Rが、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5員のヘテロアリール環であり、ヘテロアリール環が、1~3個のR1*基で任意選択的に置換されている、実施形態16に記載の化合物。
【0162】
実施形態18.Rが、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5員のヘテロアリール環であり、ヘテロアリール環が、1~2個のR1*基で任意選択的に置換されている、実施形態17に記載の化合物。
【0163】
実施形態19.Rが、以下から選択される、実施形態18に記載の化合物。
【化42】
【0164】
実施形態20.Rが1~2個の窒素原子を有する6員のヘテロアリール環であり、ヘテロアリール環が、1~3個のR1*基で任意選択的に置換されている、実施形態16に記載の化合物。
【0165】
実施形態21.Rが、
【化43】
である、実施形態20に記載の化合物。
【0166】
実施形態22.Rが、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する7~8員の架橋二環式複素環であり、架橋二環式複素環が、1~3個のR1*基で任意選択的に置換されている、実施形態1~6のいずれか1つに記載の化合物。
【0167】
実施形態23.Rが、1~2個の窒素原子を有する7~8員の架橋二環式複素環であり、架橋二環式複素環が、1~2個のR1*基で任意選択的に置換されている、実施形態22に記載の化合物。
【0168】
実施形態24.Rが、以下から選択される、実施形態23に記載の化合物。
【化44】
【0169】
実施形態25.R1*が、N(R)である、実施形態7~24のいずれか1つに記載の化合物。
【0170】
実施形態26.R1*が、-C(O)N(R)である、実施形態7~24のいずれか1つに記載の化合物。
【0171】
実施形態27.R1*が、ORである、実施形態7~24のいずれか1つに記載の化合物。
【0172】
実施形態28.R1*が、C(O)Rである、実施形態7~24のいずれか1つに記載の化合物。
【0173】
実施形態29.R1*が、S(O)Rである、実施形態7~24のいずれか1つに記載の化合物。
【0174】
実施形態30.Rが、水素および任意選択的に置換されたC1-6脂肪族から選択される、実施形態25または26に記載の化合物。
【0175】
実施形態31.各Rが、水素である、実施形態30に記載の化合物。
【0176】
実施形態32.各Rが、-CHである、実施形態30に記載の化合物。
【0177】
実施形態33.1つのRが水素であり、1つのRが任意選択的に置換されたC1~6脂肪族である、実施形態30に記載の化合物。
【0178】
実施形態34.Rが、水素である、実施形態27に記載の化合物。
【0179】
実施形態35.Rが、-CHである、実施形態27~29のいずれか1つに記載の化合物。
【0180】
実施形態36.R1*が、C1~6脂肪族である、実施形態7~24のいずれか1つに記載の化合物。
【0181】
実施形態37.R1*が、-CHである、実施形態36に記載の化合物。
【0182】
実施形態38.Rが、以下から選択される、実施形態7~24のいずれか1つに記載の化合物。
【化45-1】
【化45-2】
【0183】
実施形態39.Rが、N(R)である、実施形態1~6のいずれか1つに記載の化合物。
【0184】
実施形態40.各Rが、水素である、実施形態39に記載の化合物。
【0185】
実施形態41.各Rが、-CHである、実施形態39に記載の化合物。
【0186】
実施形態42.Rが、-NHCHである、実施形態39に記載の化合物。
【0187】
実施形態43.Rが、
【化46】
である、実施形態39に記載の化合物。
【0188】
実施形態44.Rが、
【化47】
である、実施形態39に記載の化合物。
【0189】
実施形態45.Rが、-ORである、実施形態1~6のいずれか1つに記載の化合物。
【0190】
実施形態46.Rが、水素である、実施形態45に記載の化合物。
【0191】
実施形態47.Rが、-CHである、実施形態45に記載の化合物。
【0192】
実施形態48.Rが、ハロゲンである、実施形態1~47のいずれか1つに記載の化合物。
【0193】
実施形態49.Rが、クロロである、実施形態48に記載の化合物。
【0194】
実施形態50.Rが、ブロモである、実施形態48に記載の化合物。
【0195】
実施形態51.Rが、フルオロである、実施形態48に記載の化合物。
【0196】
実施形態52.Rが、-CHである、実施形態1~47のいずれか1つに記載の化合物。
【0197】
実施形態53.Rが、水素である、実施形態1~47のいずれか1つに記載の化合物。
【0198】
実施形態54.Rが、水素である、実施形態1~53のいずれか1つに記載の化合物。
【0199】
実施形態54.Rが、ハロゲンである、実施形態1~53のいずれか1つに記載の化合物。
【0200】
実施形態55.Rが、クロロである、実施形態54に記載の化合物。
【0201】
実施形態56.化合物式I-a-ii、I-b-ii、またはI-c-iiの化合物、
【化48】
またはその医薬的に許容される塩、実施形態55に記載の化合物。
【0202】
実施形態57.化合物が、式IIの化合物であって、
【化49】
式中、
Xが、NまたはC-Rであり、
が、水素、ハロゲン、および任意選択的に置換されたC1-6脂肪族からなる群から選択され、
が、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する3~7員の単環式複素環;窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環;ならびに窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する7~8員の架橋二環式複素環からなる群から選択され、C1-6脂肪族、単環式または架橋二環式複素環、およびヘテロアリール環の各々が、1~3個のR1*基で任意選択的に置換されており、
1*が、オキソ、ハロゲン、N(R)、OR、C(O)R、S(O)R、C(O)OR、C(O)N(R)、およびC1-6脂肪族から選択され、
Rが、水素および任意選択的に置換されたC1-6脂肪族からなる群から選択されるか、または:
2つのR基が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択される0~1個の追加のヘテロ原子を含む任意選択的に置換された3~6員の複素環を形成し、
が、水素、ハロゲン、S(O)R、C(O)OR、C(O)N(R)、ならびに任意選択的に置換されている基であって、C1~6脂肪族;窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する3~7員の複素環;ならびに窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環から選択される、任意選択的に置換されている基、からなる群から選択され、
が、水素、ハロゲン、CN、CF、C1-3脂肪族、および-C(O)N(Ra*からなる群から選択される、化合物、またはその医薬的に許容される塩である、実施形態1に記載の化合物。
【0203】
実施形態58.化合物が、式II-a、II-b、またはII-cの化合物、
【化50】
またはその医薬的に許容される塩である、実施形態57に記載の化合物。
【0204】
組成物
いくつかの実施形態において、式Iまたは式IIの化合物は、組成物において、例えば、1つ以上の他の成分との組み合わせ(例えば、混合物)で提供され得る。
【0205】
いくつかの実施形態において、本開示は、例えば、システムまたは環境と接触するか、そうでなければ投与される場合、例えば、このシステムまたは環境がSARM1 NADアーゼ活性を含んでもよく、式Iまたは式IIの化合物またはその活性代謝物を含むかつ/または送達する組成物を提供し、いくつかの実施形態において、システムまたは環境へのかかる組成物の投与は、本明細書に記載されるように、SARM1活性の阻害を達成する。
【0206】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の提供される組成物は、それが活性剤および1つ以上の医薬的に許容される賦形剤を含むという点で医薬組成物であり得、いくつかのそのような実施形態において、提供される医薬組成物は、式Iまたは式IIの化合物またはその活性代謝物を含み、かつ/または本明細書に記載されるような関連するシステムまたは環境(例えば、それを必要とする対象)に送達する。
【0207】
いくつかの実施形態において、式Iまたは式IIの1つ以上の化合物は、医薬的に許容される塩の形態で提供および/または利用される。
【0208】
とりわけ、本開示は、式Iまたは式IIの化合物、またはその医薬的に許容される塩もしくは誘導体、ならびに医薬的に許容される担体、アジュバント、またはビヒクルを含む組成物を提供する。提供される組成物中の化合物の量は、生物学的試料または患者における軸索変性を測定可能に阻害するのに有効であるようなものである。特定の実施形態において、提供される化合物または組成物は、かかる組成物を必要とする患者への投与のために処方される。本開示の方法による化合物および組成物は、本明細書に記載の任意の疾患または障害の重症度を治療または軽減するために有効な任意の量および任意の投与経路を使用して投与され得る。提供される化合物は、投与の容易さおよび投薬量の均一性のために、好ましくは投薬量単位形態で処方される。本明細書で使用される「投薬量単位形態」という表現は、治療される患者のために適切である薬剤の物理的に個別の単位を指す。しかしながら、提供した化合物および組成物の1日全使用量は、主治医によって健全な医学的判断の範囲内で決定されることが理解されるであろう。任意の特定の患者または生物における特定の有効な用量レベルは、様々な要因に依存しており、治療される障害および障害の重症度、使用される特定化合物の活性、使用される特定の組成物およびその投与経路、患者の種、年齢、体重、性別、および食事、対象の全般的な状態、投与の時期、使用される特定化合物の排泄率、治療期間、使用される特定化合物と組み合わせて、または同時に使用される薬物などが挙げられる。
【0209】
提供される組成物は、経口、非経口、吸入または鼻スプレーによって、局所的に(例えば、粉末、軟膏、または点滴によって)、直腸、頬側、膣内、腹腔内、槽内、または移植されたリザーバーを介して、治療中の状態の重症度に応じて投与され得る。好ましくは、組成物は、経口、腹腔内、または静脈内投与される。特定の実施形態において、提供される化合物は、所望の治療効果を得るために、1日当たり約0.01mg/kg~約50mg/kgの対象体重の用量レベルで1日1回以上経口または非経口的に投与される。
【0210】
本明細書で使用される「非経口」という用語は、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、髄腔内、肝内、病巣内および頭蓋内注射または注入技術を含む。提供される組成物の無菌の注射可能な形態は、水性または油性の懸濁液であってもよい。これらの懸濁液は、好適な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を使用して、当該技術分野で知られている技術に従って処方することができる。無菌の注射可能な調製物はまた、例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液としての、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の、無菌の注射可能な溶液または懸濁液であってもよい。使用できる許容可能なビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンゲル液および等張塩化ナトリウム溶液がある。加えて、無菌の固定油は、溶媒または懸濁培地として従来用いられている。
【0211】
この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む、任意の無刺激の固定油を用いることができる。オレイン酸およびそのグリセリド誘導体などの脂肪酸は、オリーブ油またはヒマシ油などの天然の医薬的に許容される油、特にそれらのポリオキシエチル化バージョンと同様に、注射剤の調製に有用である。これらの油溶液または懸濁液はまた、エマルジョンおよび懸濁液を含む医薬的に許容される剤形の処方に一般的に使用されるカルボキシメチルセルロースまたは同様の分散剤などの長鎖アルコール希釈剤または分散剤を含み得る。医薬的に許容される固体、液体、または他の剤形の製造に一般的に使用される、トゥイーン、スパンおよび他の乳化剤または生物学的利用能増強剤などの他の一般的に使用される界面活性剤もまた、製剤の目的で使用され得る。
【0212】
注射可能な製剤は、例えば、細菌保持フィルターを通して濾過することによって、または使用前に滅菌水または他の滅菌注射媒体に溶解または分散することができる滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことによって滅菌することができる。
【0213】
場合によっては、提供される化合物の効果を持続させるために、皮下または筋肉内注射からの化合物の吸収を減速させることが望ましい。これは、難水溶性を有する結晶質または非結晶質材料の液状懸濁液を使用することによって達成し得る。次いで、化合物の吸収の速度は、その溶解速度に依存し、同様に結晶サイズおよび結晶形態に依存し得る。代替的に、非経口投与された化合物形態の遅延吸収は、化合物を油性ビヒクルに溶解または懸濁することによって達成される。注射可能なデポー剤は、ポリラクチド-ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中に化合物のマイクロカプセルマトリックスを形成することによって作製される。ポリマーに対する化合物の比、および用いられる特定のポリマーの性質に応じて、化合物放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルソエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。注射可能なデポー製剤はまた、体組織に適合するリポソームまたはマイクロエマルジョン中に化合物を捕捉することによっても調製される。
【0214】
本明細書に記載の医薬的に許容される組成物は、カプセル、錠剤、水性懸濁液または溶液を含むがこれらに限定されない、任意の経口的に許容される剤形で経口投与され得る。かかる固体剤形において、活性化合物は、スクロース、ラクトース、またはデンプンなどの少なくとも1つの不活性希釈剤と混合され得る。かかる剤形はまた、通常の慣行として、不活性希釈剤以外の追加の物質、例えば、潤滑剤およびステアリン酸マグネシウムおよび微結晶性セルロースなどの他の錠剤化助剤を含み得る。経口使用に水性懸濁液が必要な場合、有効成分は乳化および懸濁剤と組み合わされる。所望される場合、特定の甘味料、香料、または着色剤が添加され得る。
【0215】
経口投与用の固体剤形としては、カプセル、錠剤、丸薬、粉末、および顆粒が挙げられる。そのような固体剤形において、活性化合物は、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムなどの少なくとも1つの不活性な医薬的に許容される賦形剤もしくは担体、ならびに/またはa)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸などの充填剤または増量剤、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルジネート、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、およびアカシアなどの結合剤、c)グリセロールなどの吸湿剤、d)寒天などの崩壊剤-寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のシリケート、および炭酸ナトリウム、e)パラフィンなどの溶液遅延剤、f)四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤、h)カオリンおよびベントナイト粘土などの吸収剤、ならびに/またはi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物などの潤滑剤と混合される。カプセル、錠剤および丸薬の場合、剤形はまた、緩衝剤を含み得る。活性化合物はまた、上記のように、1つ以上の賦形剤を含むマイクロカプセル化された形態であり得る。
【0216】
同様のタイプの固体組成物は、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を使用して、軟質および硬質充填ゼラチンカプセルの充填剤として使用することもできる。錠剤、糖衣錠、カプセル、丸薬、および顆粒の固体剤形は、腸溶コーティング(すなわち、緩衝剤)および医薬製剤分野で周知の他のコーティングなどのコーティングおよびシェルを用いて調製することができる。これらの組成物はまた、任意選択的に不透明化剤を含有してもよく、活性成分のみをまたはそれを優先的に、消化管の特定の部分で、任意選択的に、遅延様式で放出する組成物のものであってもよい。使用することができる包埋組成物の例には、高分子物質およびワックスが挙げられる。
【0217】
経口投与用の液体剤形は、医薬的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシル剤が含まれるが、これらに限定されない。活性成分に加えて、液体剤形は、当該技術分野において一般的に使用される不活性希釈剤、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド油(具体的には、綿実油、ラッカセイ油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタン脂肪酸エステル、ならびにこれらの混合物を含有してもよい。不活性希釈剤に加えて、経口組成物はまた、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味料、香味料、ならびに芳香剤などのアジュバントを含むことができる。
【0218】
代替的に、本明細書に記載の医薬的に許容される組成物は、直腸または膣内投与用の坐剤の形態で投与することができる。これらは、本開示の化合物を、室温では固体であるが体温(直腸または膣)では液体であり、したがって直腸または膣腔内で溶融して活性化合物を放出する好適な非刺激性賦形剤または担体と混合することによって調製することができる。かかる材料としては、カカオバター、坐剤ワックス(例えば、蜜蝋)およびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0219】
本明細書に記載の医薬的に許容される組成物はまた、特に治療の標的が、眼、皮膚、または下部腸管の疾患を含む、局所適用によって容易にアクセス可能な領域または器官を含む場合、局所投与され得る。下部腸管への局所適用は、直腸坐剤製剤(上記を参照)または好適な浣腸製剤で実施され得る。
【0220】
提供される化合物の局所または経皮投与のための剤形としては、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、スプレー、吸入剤、またはパッチが挙げられる。活性成分は、無菌条件下で、医薬的に許容される担体および必要に応じて必要な防腐剤または緩衝剤と混合される。眼科用製剤、点耳薬、および点眼薬もまた、本開示の範囲内であると考えられる。さらに、本開示は、身体への化合物の制御された送達を提供するという追加の利点を有する経皮パッチの使用を企図している。かかる剤形は、適切な培地中で化合物を溶解または分散させることによって作製することができる。吸収促進剤は、皮膚を横切る化合物の流束を増加させるためにも使用することができる。この割合は、流量制御膜を提供するか、または化合物をポリマーマトリックスまたはゲルに分散させることのいずれかによって制御することができる。
【0221】
局所適用の場合、提供される医薬的に許容される組成物は、1つ以上の担体に懸濁または溶解された活性成分を含有する好適な軟膏に処方され得る。本開示の化合物の局所投与用の担体は、鉱油、液体ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックス、および水が含まれるが、これらに限定されない。代替的に、提供される医薬的に許容される組成物は、1つ以上の医薬的に許容される担体に懸濁または溶解された活性成分を含有する好適なローションまたはクリームに処方することができる。好適な担体は、鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコール、および水が含まれるが、これらに限定されない。
【0222】
眼科用の場合、医薬的に許容される組成物は、等張のpH調整滅菌生理食塩水中の微粉化懸濁液として、または好ましくは、塩化ベンジルアルコニウムなどの防腐剤を含むまたは含まない等張のpH調整滅菌生理食塩水中の溶液として処方することができる。代替的に、眼科用途の場合、医薬的に許容される組成物は、ワセリンなどの軟膏に処方され得る。
【0223】
本開示の医薬的に許容される組成物はまた、経鼻エアロゾルまたは吸入によって投与され得る。かかる組成物は、製剤の分野で周知の技術に従って調製され、ベンジルアルコールまたは他の好適な防腐剤、生物学的利用能を高めるための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または他の従来の可溶化剤もしくは分散剤を使用して、生理食塩水中の溶液として調製することができる。
【0224】
最も好ましくは、本開示の医薬的に許容される組成物は、経口投与用に処方される。
【0225】
化合物および/または組成物の同定および/または特性評価
とりわけ、本開示は、本明細書に記載される化合物および/または組成物の同定および/または特性評価のための様々な技術を提供する。例えば、本開示は、SARM1阻害活性を評価するための、特に、SARM1阻害活性を評価するための様々なアッセイを提供する。
【0226】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるようなアッセイにおける1つ以上の目的の化合物または組成物の性能は、適切な参照の性能と比較される。例えば、いくつかの実施形態において、参照は、関連する化合物または組成物の不在であり得る。代替的または追加的に、いくつかの実施形態において、参照は、代替化合物または組成物の存在であり得、例えば、その代替化合物または組成物は、関連するアッセイにおいて(例えば、当該技術分野で理解されるように、陽性対照または陰性対照として)既知の性能を有する。いくつかの実施形態において、参照は、代替であるが同等の条件のセット(例えば、温度、pH、塩濃度など)であり得る。いくつかの実施形態において、参照は、SARM1変異体に関する化合物または組成物の性能であり得る。
【0227】
さらに代替的または追加的に、いくつかの実施形態において、本明細書に記載のアッセイにおける1つ以上の目的の化合物または組成物の性能は、例えば、適切な参照化合物または組成物の存在下で評価され得、その結果、参照と競合する化合物または組成物の能力が決定される。
【0228】
いくつかの実施形態において、目的の複数の化合物または組成物は、特定のアッセイにおける分析に供され得、かつ/または同じ参照と比較され得る。いくつかの実施形態において、かかる複数の化合物または組成物は、複数のメンバーが1つ以上の特徴(例えば、構造要素、供給源の同一性、合成類似性など)を共有するため、「ライブラリ」であると考えられる化合物または組成物のセットであってもよく、またはそれらを含んでもよい。
【0229】
本開示の実施に有用であり得る特定の例示的なアッセイは、以下の実施例に例示されている。本開示を読む当業者は、本開示に従って化合物および/または組成物を同定および/または特徴付けるための有用または関連するシステムが、実施例に含まれるもの、または以下で考察されるものに限定されないことを認識するであろう。
【0230】
いくつかの実施形態において、化合物および/または組成物は、例えば、軸索の完全性、細胞骨格の安定性、および/またはニューロンの生存の促進などの1つ以上の活性または特徴に基づいて同定される、かつ/またはそれによって特徴付けられ得る。いくつかの実施形態において、提供されるSARM1阻害剤は、SARM1によるNAD+の異化作用を阻害する。いくつかの実施形態において、提供されるSARM1阻害剤は、NAD+異化作用の速度を減速させる。
【0231】
いくつかの実施形態において、提供されるSARM1阻害剤は、SARM1によるNAD+の結合を低減または阻害する。いくつかの実施形態において、提供されるSARM1阻害剤は、1つ以上の触媒性残基(例えば、SARM1の触媒的間隙)を含むポケット内でSARM1に結合する。かかる触媒性残基の例としては、位置642(E642)のグルタミン酸が挙げられる。
【0232】
いくつかの実施形態において、提供されるSARM1阻害剤は、SARM1のTIR1ドメインの多量体化を破壊および/または予防する。いくつかの実施形態において、提供されるSARM1阻害剤は、SAMドメインの多量体化を破壊する。いくつかの実施形態において、提供されるSARM1阻害剤は、NAD+の枯渇につながる軸索シグナル伝達カスケードを破壊する。
【0233】
いくつかの実施形態において、本開示は、目的の化合物および/または組成物の1つ以上の活性および/または特徴を同定および/または特徴付けるために有用なアッセイを提供する。例えば、いくつかの実施形態において、本開示は、1つ以上のかかる活性および/または特徴を評価するためのインビトロ、細胞性、および/またはインビボシステムを提供する。
【0234】
SARM1活性アッセイ
いくつかの実施形態において、SARM1阻害剤を同定する方法は、a)i)SARM1の変異体またはフラグメント、ii)NAD+、およびiii)候補阻害剤を含む混合物を提供することであって、変異体またはフラグメントは、構成的活性を有する、提供することと、b)混合物をインキュベートすることと、c)インキュベーション後の混合物中のNAD+を定量化することと、d)NAD+の量が、候補阻害剤を含有しない対照混合物の量よりも多い場合、候補阻害剤化合物を阻害剤として同定することと、を含む。
【0235】
いくつかの実施形態において、a)i)全長SARM1、ii)NAD+、およびiii)候補阻害剤を含む混合物を提供することであって、全長SARM1は、構成的活性を有する、提供することと、b)混合物をインキュベートすることと、c)インキュベーション後の混合物中のNAD+およびADPR(またはcADPR)を定量化することと、d)NAD+:ADPR(またはcADPR)のモル比を決定することと、e)モル比が、候補阻害剤を含有しない対照混合物の比よりも大きい場合、候補阻害剤化合物を阻害剤として同定することと、を含む、SARM1阻害剤を同定する方法が提供される。
【0236】
いくつかの実施形態において、a)i)全長SARM1および少なくとも1つのタグ、ii)NAD+、ならびにiii)候補阻害剤に結合される固体支持体を含む混合物を提供することと、b)混合物をインキュベートすることと、c)インキュベーション後にNAD+を定量化することと、d)NAD+の濃度が、対照の濃度よりも高い場合、候補阻害剤化合物をSARM1阻害剤として同定することと、を含む、SARM1阻害剤を同定する方法が提供される。
【0237】
SARM1結合アッセイ
いくつかの実施形態において、提供されるSARM1阻害剤の有効性は、例えば、2018年3月29日に公開されたWO2018/057989に記載されたアッセイに従って決定することができ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態において、提供されるSARM1阻害剤は、SARM1またはそのフラグメントを含有する溶液に適用することができる。いくつかの実施形態において、提供されるSARM1阻害剤は、インビトロシステムに適用することができる。いくつかの実施形態において、提供されるSARM1阻害剤は、インビボで適用することができる。いくつかの実施形態において、提供されるSARM1阻害剤は、患者に適用することができる。いくつかの実施形態において、SARM1阻害剤は、エピトープタグで標識されたSARM1またはそのフラグメントと混合することができる。いくつかの実施形態において、結合されたSARM1阻害剤の量は、結合されていないSARM1阻害剤の量と比較され得、SARM1阻害剤に対する親和性をもたらす。
【0238】
いくつかの実施形態において、SARM1の変異体またはフラグメントは、構成的活性を有するSAM-TIRフラグメントである。構成的活性を有するSARM1のフラグメントは、例えば、自己阻害ドメインが削除されたSARM1、自己抑制ドメインを非活性にするSARM1の少なくとも1つの点変異、TIRドメインを含有するSARM1のフラグメント、またはSAMドメインおよびTIRドメインからなるSARM1のフラグメントが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、SARM1ポリペプチドは、Hisタグ、ストレプタビジンタグ、またはそれらの組み合わせなどのタグとして作用することができる1つ以上の追加のアミノ酸配列を含むことができる。いくつかの実施形態において、SARM1ポリペプチドは、アミノ末端、カルボキシ末端、またはそれらの組み合わせにタグを含むことができる。いくつかの実施形態において、エピトープタグで標識されたSARM1またはそのフラグメントは、提供されたSARM1阻害剤の結合効率を測定するために使用され得る。
【0239】
SARM1-TIRドメインの精製
いくつかの実施形態において、SARM1-TIRドメインは、例えば、精製において有用であり得る様々なタンパク質またはエピトープ、タグで操作することができる。いくつかの実施形態において、本開示はまた、ニコチンアミドリボシドキナーゼ1(NRK1)で形質転換されたHEK293T細胞を含むNRK1-HEK293T細胞株を提供する。いくつかの実施形態において、HEK293T細胞は、ニコチンアミドリボシドキナーゼ1(NRK1)をコードするDNA配列で形質転換またはトランスフェクトされた。いくつかの実施形態において、NRK1をコードするDNAは、ゲノムまたはcDNAであり得る。いくつかの実施形態において、HEK293T細胞は、宿主細胞に対して外因性の供給源からNRK1をコードするDNAで安定的または一時的にトランスフェクトされる。いくつかの実施形態において、HEK293T細胞は、細胞が対照細胞と比較して高いレベルでNRK1を発現するように、NRK1をコードするDNAで安定的または一時的にトランスフェクトされる。いくつかの実施形態において、NRK1をコードするDNAは、プロモーター、エンハンサー、またはそれらの組み合わせなどの1つ以上の外因性調節DNA配列の制御下にある。いくつかの実施形態において、NRK1をコードするDNA配列と調節配列との組み合わせは、天然に存在しない組み合わせである。いくつかの実施形態において、NRK1をコードするDNAは、ゲノムまたはcDNAのいずれかであり、FCIV発現ベクターなどの発現ベクターを含む。いくつかの実施形態において、NRK1をコードするDNAは、脊椎動物または無脊椎動物種、例えば、これらに限定されないが、ヒト、マウス、ゼブラフィッシュ、またはショウジョウバエからのゲノムDNAまたはcDNAに由来する。いくつかの構成において、NRK1 DNAは、ヒトNRK1 DNAである。
【0240】
用途および使用
本開示は、例えば、本明細書に記載されるそれらの活性および/または特徴の見地から、本明細書に記載される化合物および/または組成物の様々な使用および用途を提供する。いくつかの実施形態において、かかる使用は、治療的および/または診断的使用を含み得る。代替的に、いくつかの実施形態において、かかる使用は、研究、生産、および/または他の技術的使用を含み得る。
【0241】
一態様において、本開示は、例えば、軸索変性を特徴とする1つ以上の状態を治療、予防、またはそれを発症するリスクを低減するために、式Iまたは式IIの1つ以上の化合物を対象に投与すること、を含む方法を提供する。いくつかのそのような実施形態において、式Iまたは式IIの化合物は、SARM1阻害剤である。
【0242】
本開示の別の実施形態は、患者におけるSARM1活性を阻害する方法に関するものであって、提供された化合物、または上記化合物を含む組成物を上記患者に投与するステップを含む。
【0243】
生物学的試料中の酵素の阻害は、当業者に知られている様々な目的に有用である。かかる目的の例は、生物学的アッセイ、遺伝子発現研究、および生物学的標的の同定が含まれるが、これらに限定されない。
【0244】
特定の実施形態では、本開示は、生物学的サンプルにおける軸索変性を治療する方法であって、上述の生物学的試料を式Iまたは式IIの化合物または組成物と接触させるステップを含む、方法に関する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される1つ以上の化合物および/または組成物は、例えば、対象に由来するニューロンの分解を阻害するための方法として有用である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される1つ以上の化合物および/または組成物は、インビトロで培養されたニューロンまたはその一部の変性を阻害するために有用である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される1つ以上の化合物および/または組成物は、インビトロニューロンの生存を促進するための安定剤として有用である。
【0245】
いくつかの実施形態において、提供される化合物および/または組成物は、SARM1のNADアーゼ活性を阻害する。代替的または追加的に、いくつかの実施形態において、提供される化合物は、神経変性の1つ以上の属性を軽減する。いくつかの実施形態において、本開示は、軸索変性に関連する神経変性疾患または障害を治療する方法を提供する。
【0246】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される1つ以上の化合物および/または組成物は、例えば、医学の実践において有用である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される1つ以上の化合物および/または組成物は、例えば、軸索変性(例えば、その1つ以上の特性または特徴)を治療、予防、または改善するために有用である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される1つ以上の化合物および/または組成物は、例えば、NAD+の低減または枯渇から生じる軸索変性を含む軸索変性を阻害するために有用である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される1つ以上の化合物および/または組成物は、例えば、軸索損傷の遠位にある軸索が変性することを予防するために有用である。
【0247】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される1つ以上の化合物および/または組成物は、例えば、末梢神経系ニューロンまたはその一部の分解を阻害するための方法として有用である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される1つ以上の化合物および/または組成物は、例えば、中枢神経系(ニューロン)またはその一部の変性を阻害または予防するための方法として有用である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される1つ以上の化合物または組成物は、対象の集団に投与されると、神経変性の1つ以上の症状または特性を低減することを特徴とする。例えば、いくつかの実施形態において、関連する症状または特性は、ニューロン破壊の程度、速度、および/またはタイミングからなる群から選択され得る。
【0248】
特定の実施形態において、本開示は、例えば、分析ツールとして、生物学的アッセイにおけるプローブとして、または本開示による治療薬として有用である化合物を提供する。本開示によって提供される化合物はまた、生物学的および病理学的現象におけるSARM1活性の試験、ならびにインビトロまたはインビボでの新規SARM1活性阻害剤の比較評価のために有用である。特定の実施形態において、本開示は、本明細書に提供される化合物および/または組成物を同定および/または特徴付けるためのアッセイを提供する。いくつかの実施形態において、提供されるアッセイは、SARM1活性をアッセイするのに有用な特定の試薬および/またはシステム(例えば、特定のベクター構築物および/またはポリペプチド)を利用する。例えば、いくつかの実施形態において、提供されるアッセイは、例えば、SARM1 N末端自己抑制ドメインが削除されたSAM-TIR、および/またはTIRドメインの1つ以上のタグ付けされたバージョンを利用し得る。
【0249】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される1つ以上の化合物および/または組成物は、例えば、対象に由来するニューロンの分解を阻害するための方法として有用である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される1つ以上の化合物および/または組成物は、インビトロで培養されたニューロンまたはその一部の変性を阻害するために有用である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される1つ以上の化合物および/または組成物は、インビトロニューロンの生存を促進するための安定剤として有用である。
【0250】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される1つ以上の化合物および/または組成物は、例えば、神経変性に関連するバイオマーカーに影響を与えるのに有用である。いくつかの実施形態において、バイオマーカーの変化は、全身的に、あるいは対象からの脳脊髄液(CSF)、血漿、血清、および/または組織の試料を用いて検出することができる。いくつかの実施形態において、1つ以上の化合物および/または組成物を使用して、対象の脳脊髄液に含有されるニューロフィラメントタンパク質軽鎖(NF-L)および/またはニューロフィラメントタンパク質重鎖(NF-H)の濃度の変化に影響を与えることができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される1つ以上の化合物および/または組成物は、ニューロンおよび/または軸索における構成的NADおよび/またはcADPRレベルに影響を与えることができる。
【0251】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される1つ以上の化合物および/または組成物は、対象における1つ以上の神経変性関連タンパク質のレベルにおける検出可能な変化に影響を与えることができる。かかるタンパク質には、アルブミン、アミロイド-β(Aβ)38、Aβ40、Aβ42、グリア線維性酸タンパク質(GFAP)、心臓型脂肪酸結合タンパク質(hFABP)、単球ケモアトラクチンタンパク質(MCP)-1、ニューログラニン、神経特異的エノライゼ(NSE)、可溶性アミロイド前駆体タンパク質(sAPP)α、sAPPβ、骨髄細胞に発現する可溶性トリガー受容体(sTREM)2、ホスホ-タウ、および/または総タウが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される1つ以上の化合物および/または組成物は、Ccl2、Ccl7、Ccl12、Csf1、および/またはIl6を含むがこれらに限定されないサイトカインおよび/またはケモカインにおける変化に影響を与えることができる。
【0252】
疾患、障害、および状態
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化合物および/または組成物は、1つ以上の疾患、障害、または状態に罹患している対象に投与することができる。
【0253】
いくつかの実施形態において、状態は、急性状態である。いくつかの実施形態において、状態は、慢性状態である。
【0254】
いくつかの実施形態において、状態は、中枢神経系、末梢神経系、視神経、脳神経、またはそれらの組み合わせにおける軸索変性を特徴とする。
【0255】
いくつかの実施形態において、状態は、中枢神経系への急性損傷、例えば、脊髄への損傷、および/もしくは外傷性脳損傷であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態において、状態は、中枢神経系への慢性損傷、例えば、脊髄への損傷、外傷性脳損傷、および/もしくは外傷性軸索損傷であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態において、状態は、慢性外傷性脳症(CTE)であるか、またはそれを含む。
【0256】
いくつかの実施形態において、状態は、中枢神経系に影響を与える慢性状態、例えば、パーキンソン病、筋萎縮性側方硬化症、多発性硬化症、またはハンチントン病、アルツハイマー病である。
【0257】
いくつかの実施形態において、状態は、急性末梢神経障害である。化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)は、急性末梢神経障害の例である。CIPNは、様々な薬物に関連し得、限定されないが、サリドマイド、エポチロン(例えば、イキサベピロン)、タキサン(例えば、パクリタキセルおよびドセタキセル)、ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンクリスチン、およびビンデシン)、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ)、白金ベースの薬物(例えば、シスプラチン、オキサリプラチン、およびカルボプラチン)などが挙げられる。
【0258】
いくつかの実施形態において、状態は、末梢神経系に影響を与える慢性状態、例えば、糖尿病性神経障害、HIV神経障害、シャルコー・マリー・トゥース病、または筋萎縮性側索硬化症である。
【0259】
いくつかの実施形態において、状態は、視神経に影響を与える急性状態、例えば、急性視神経障害(AON)または急性閉塞隅角緑内障である。
【0260】
いくつかの実施形態において、状態は、視神経に影響を与える慢性状態、例えば、レーバー先天性黒内障、レーバー遺伝性視神経障害、原発性開放隅角緑内障、および常染色体優性視神経萎縮である。
【0261】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される1つ以上の化合物および/または組成物は、例えば、神経障害または軸索障害からなる群から選択される1つ以上の神経変性疾患、障害、または状態を治療するために有用である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される1つ以上の化合物および/または組成物は、例えば、軸索変性に関連する神経障害または軸索障害を治療するために有用である。いくつかの実施形態において、軸索変性に関連する神経障害は、遺伝性または先天性の神経障害または軸索障害である。いくつかの実施形態において、軸索変性に関連する神経障害は、新生または体細胞の変異から生じる。いくつかの実施形態において、軸索変性に関連する神経障害は、本明細書に含有されるリストから選択される。いくつかの実施形態において、神経障害または軸索障害は、パーキンソン病、非パーキンソン病、アルツハイマー病、ヘルペス感染症、糖尿病、筋萎縮性側索硬化症、脱髄性疾患、虚血または脳卒中、化学的損傷、熱損傷、およびAIDSが含まれるが、これらに限定されない、軸索変性に関連する。
【0262】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される1つ以上の化合物または組成物は、対象の集団に投与されると、神経変性の1つ以上の症状または特性を低減することを特徴とする。例えば、いくつかの実施形態において、関連する症状または特性は、ニューロン破壊の程度、速度、および/またはタイミングからなる群から選択され得る。いくつかの実施形態において、ニューロン破壊は、軸索分解、シナプスの喪失、樹状突起の喪失、シナプス密度の喪失、樹状突起分岐の喪失、軸索分岐の喪失、ニューロン密度の喪失、髄鞘形成の喪失、ニューロン細胞体の喪失、シナプス増強の喪失、作用電位増強の喪失、細胞骨格安定性の喪失、軸索輸送の喪失、イオンチャネル合成および代謝回転の喪失、神経伝達物質合成の喪失、神経伝達物質放出および再取り込み能力の喪失、軸索電位伝播の喪失、ニューロンの過興奮性、ならびに/もしくはニューロンの低興奮性であり得るか、またはそれらを含み得る。いくつかの実施形態において、ニューロン破壊は、適切な静止ニューロン膜電位を維持することができないことを特徴とする。いくつかの実施形態において、ニューロン破壊は、封入体、プラーク、および/または神経原線維変化の出現を特徴とする。いくつかの実施形態において、ニューロン破壊は、ストレス顆粒の出現を特徴とする。いくつかの実施形態において、ニューロン破壊は、システイン-アスパラギン酸プロテアーゼ(カスパーゼ)ファミリーのうちの1つ以上のメンバーの細胞内活性化を特徴とする。いくつかの実施形態において、ニューロン破壊は、プログラム化細胞死(例えば、アポトーシス、ピロトーシス、フェロアポトーシス、および/または壊死)および/または炎症を受けているニューロンを特徴とする。
【0263】
いくつかの実施形態において、神経変性または神経学的な疾患または障害は、軸索変性、軸索損傷、軸索障害、脱髄性疾患、中枢橋髄鞘崩壊、神経損傷疾患もしくは障害、代謝性疾患、ミトコンドリア疾患、代謝性軸索変性、白質脳症もしくは白質ジストロフィーに起因する軸索損傷に関連する。いくつかの実施形態において、神経変性または神経学的疾患または障害は、脊髄損傷、脳卒中、多発性硬化症、進行性多巣性白質脳症、先天性髄鞘形成不全、脳脊髄炎、急性播種性脳脊髄炎、橋中心髄鞘崩壊、浸透圧性低ナトリウム血症、低酸素性脱髄、虚血性脱髄、副腎白質ジストロフィー、アレクサンダー病、ニーマンピック病、ペリツェウスメルツバッハー病、脳室周囲白質軟化症、球形細胞白質ジストロフィー(クラッベ病)、ワーラー変性、視神経炎、横断性脊髄炎、筋萎縮性側索硬化症(ALS、ルーゲーリック病)、ハンチントン病、アルツハイマー病、パーキンソン病、テイサックス病、ゴーシェ病、ハーラー症候群、外傷性脳損傷、放射線後損傷、化学療法の神経学的合併症(化学療法誘発性神経障害、CIPN)、神経障害、急性虚血性視神経障害、ビタミンB12欠乏症、孤立性ビタミンE欠乏症候群、バッセン・コルンツヴァイク症候群、緑内障、レーバー遺伝性視神経萎縮症(神経障害)、レーバー先天性黒内障、視神経脊髄炎、異染性白質ジストロフィー、急性出血性白質脳炎、三叉神経痛、ベル麻痺、脳虚血、多系統萎縮症、外傷性緑内障、熱帯痙性麻痺ヒトTリンパ球向性ウイルス1(HTLV-1)関連脊髄症、ウェストナイルウイルス脳炎、ラクロスウイルス脳炎、ブニヤウイルス脳炎、小児ウイルス性脳炎、本態性振戦、シャルコー・マリー・トゥース病、運動ニューロン疾患、脊髄性筋萎縮症(SMA)、遺伝性感覚性自律神経性神経障害(HSAN)、副腎脊髄神経障害、進行性核上性麻痺(PSP)、フリードリッヒ運動失調、遺伝性運動失調、騒音誘発性聴力損失、先天性難聴、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、アミロイドーシス、糖尿病性神経障害、HIV神経障害、腸神経障害および軸索障害、ギランバレー症候群、重度急性運動性軸索神経障害(AMAN)、クロイツフェルトヤコブ病、伝染性海綿状脳症、脊髄小脳失調症、子癇前症、遺伝性痙性対麻痺、痙性対麻痺、家族性痙性対麻痺、フランス定住症、ストランペルロレイン病、および非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)からなる群から選択される。
【0264】
いくつかの実施形態において、本開示は、軸索変性もしくは軸索障害を伴う神経変性もしくは神経学的疾患または障害の治療のためのSARM1活性の阻害剤を提供する。本開示はまた、軸索変性、軸索障害、ならびに軸索変性を伴う神経変性もしくは神経学的疾患または障害を治療、予防または改善するために、SARM1活性の阻害剤を使用する方法を提供する。
【0265】
いくつかの実施形態において、本開示は、軸索変性、軸索損傷、軸索障害、脱髄性疾患、橋中心髄鞘崩壊症、神経損傷疾患または障害、代謝性疾患、ミトコンドリア疾患、代謝性軸索変性、白質脳症または白質ジストロフィーに起因する軸索損傷に関連する神経変性または神経学的疾患もしくは障害を、治療する方法を提供する。
【0266】
いくつかの実施形態において、神経障害および軸索障害は、ニューロンおよび/または支持細胞、例えば、グリア、筋細胞、または線維芽細胞などを含む任意の疾患または状態、特に、軸索損傷を含むそれらの疾患または状態を含む。軸索損傷は、外傷性損傷によって、あるいは疾患、状態、または有毒な分子もしくは薬物への曝露に起因する非機械的損傷によって、引き起こされ得る。かかる損傷の結果は、軸索の変性または機能不全、および機能的な神経活動の喪失であり得る。かかる軸索損傷を生じるか、またはそれと関連する疾患および状態は、大多数の神経障害性疾患および状態におけるものである。かかる神経障害は、末梢神経障害、中枢神経障害、およびそれらの組み合わせを含み得る。さらに、末梢神経障害の症状は、主に中枢神経系に集中した疾患によって生じる可能性があり、中枢神経系の症状は、本質的に末梢または全身性の疾患によって生じる可能性がある。
【0267】
いくつかの実施形態において、末梢神経障害は、末梢神経への損傷を含み得、かつ/または神経の疾患によって、または全身性疾患の結果として引き起こされ得る。いくつかのかかる疾患には、糖尿病、尿毒症、AIDsまたはらい病などの感染症、栄養欠乏症、アテローム性動脈硬化症などの血管またはコラーゲン障害、ならびに全身性エリテマトーデス、強皮症、サルコイドーシス、関節リウマチ、および結節性多発動脈炎などの自己免疫疾患が含まれる。いくつかの実施形態において、末梢神経変性は、神経への外傷性(機械的)損傷、ならびに神経への化学的または熱的損傷から生じる。末梢神経を損傷するかかる状態には、緑内障、手根管症候群、直接外傷、穿通性損傷、挫傷、骨折または骨脱臼などの圧迫または絞扼損傷、松葉杖の長期使用または1つの位置での長時間滞留、または腫瘍から生じ得る浅腓骨神経(尺骨、橈骨、または腓骨)を含む圧迫、神経内出血、虚血、寒冷もしくは放射線または特定の医薬品、あるいは除草剤または農薬などの有毒物質への曝露が含まれる。特に、神経損傷は、例えば、タキソール、シスプラチニン、プロテアソーム阻害剤、またはビンクリスチンなどのビンカアルカロイドなどの細胞毒性抗癌剤に起因する化学的損傷から引き起こされ得る。かかる末梢神経障害の典型的な症状には、脱力感、しびれ、知覚異常(灼熱感、擽感、刺痛、またはうずきなどの異常な感覚)、ならびに腕、手、脚、および/または足の痛みが含まれる。いくつかの実施形態において、神経障害はミトコンドリア機能障害に関連する。かかる神経障害は、エネルギーレベルの低下、すなわち、NADおよびATPのレベルの低下を示し得る。
【0268】
いくつかの実施形態において、末梢神経障害は、代謝起源の全身性疾患に関連する広範囲の末梢神経障害を含む代謝性および内分泌性神経障害である。これらの疾患には、とりわけ、例えば、真性糖尿病、低血糖症、尿毒症、甲状腺機能低下症、肝不全、赤血球増加症、アミロイドーシス、アクロメガリー、ポルフィリン症、脂質/糖脂質代謝障害、栄養/ビタミン欠乏症、およびミトコンドリア障害が含まれる。これらの疾患の一般的な特質は、代謝経路の調節不全に起因するミエリンおよび軸索の構造または機能の変化による末梢神経の関与である。
【0269】
いくつかの実施形態において、神経障害としては、緑内障などの視神経障害、網膜色素変性症および外側の網膜神経障害と関連するものなどの網膜神経節縮退、多発性硬化症と関連するものを含む視神経神経炎および/または縮退、例えば、腫瘍除去中の損傷を含むことができる視神経に対する外傷、ケル病およびレーバー遺伝性視神経障害などの遺伝性視神経障害、巨細胞性動脈炎に続発するものなどの虚血性視神経障害、以前に言及されるレーバー神経障害を含む神経変性疾患などの代謝性視神経障害、ビタミンB12または葉酸の欠乏などの栄養欠乏症、エタンブトールまたはシアン化物に起因するなどの毒性、有害な薬物反応によって引き起こされる神経障害、およびビタミン欠乏症によって引き起こされる神経障害が挙げられる。虚血性視神経障害には、非動脈炎性前部虚血性視神経障害も含まれる。
【0270】
いくつかの実施形態において、中枢神経系における神経障害または軸索障害に関連する神経変性疾患は、様々な疾患を含む。かかる疾患には、例えば、アルツハイマー病、老人性痴呆、ピック病、およびハンチントン病などの進行性痴呆を含むもの、例えば、パーキンソン病、運動ニューロン疾患、筋萎縮性側索硬化症などの進行性運動失調などの筋機能に影響を及ぼす中枢神経系疾患、例えば、多発性硬化症などの脱髄性疾患、例えば、腸内ウイルス、アルボウイルス、および単純ヘルペスウイルスによって引き起こされるものなどのウイルス脳炎群、ならびにプリオン病が含まれる。頭または脊椎への緑内障などの機械的損傷または外傷も、脳および脊髄における神経損傷または変性を引き起こし得る。加えて、虚血および脳卒中、ならびに栄養欠乏症および化学療法剤などの化学的毒性などの状態は、中枢神経系神経障害を引き起こし得る。
【0271】
いくつかの実施形態において、本開示は、軸索変性に関連する神経障害または軸索障害を治療する方法を提供する。いくつかのそのような実施形態において、軸索変性に関連する神経障害もしくは軸索障害は、例えば、遺伝性もしくは先天性であるか、またはパーキンソン病、アルツハイマー病、ヘルペス感染症、糖尿病、筋萎縮性側索硬化症、脱髄性疾患、虚血もしくは脳卒中、化学的損傷、熱損傷、およびAIDSに関連するものなどのいくつかの神経障害もしくは軸索障害のいずれかであり得る。加えて、上に記載されていない神経変性疾患、ならびに上記の疾患のサブセットもまた、本開示の方法で治療することができる。かかる疾患のサブセットには、パーキンソン病または非パーキンソン病、あるいはアルツハイマー病が含まれ得る。
【0272】
対象
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化合物および/または組成物は、本明細書に記載の疾患、障害もしくは状態に罹患している、または罹患しやすい対象に投与される。いくつかの実施形態において、かかる疾患、障害、または状態は、本明細書で言及される状態の1つなどの軸索変性を特徴とする。
【0273】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるように化合物または組成物が投与される対象は、軸索変性に関連する1つ以上の兆候または症状を示す。いくつかの実施形態において、対象は、神経変性の兆候または症状を示さない。
【0274】
いくつかの実施形態において、提供される方法は、式Iまたは式IIの化合物を、それを必要とする患者に投与することを含む。いくつかのそのような実施形態において、患者は、軸索変性を特徴とする状態を発症するリスクがある。いくつかの実施形態において、患者は、軸索変性を特徴とする状態を有する。いくつかの実施形態において、患者は、軸索変性を特徴とする状態と診断されている。
【0275】
いくつかの実施形態において、提供される方法は、本明細書に記載の組成物を、それを必要とする患者集団に投与することを含む。いくつかの実施形態において、集団は、外傷性神経損傷の可能性が高い活動に従事する個体から採取される。いくつかの実施形態において、集団は、コンタクトスポーツまたは他の高リスク活動に従事する運動選手から採取される。
【0276】
いくつかの実施形態において、対象は、軸索変性を特徴とする状態を発症するリスクがある。いくつかの実施形態において、対象は、例えば、対象の遺伝子型、軸索変性に関連する状態の診断、ならびに/あるいは薬剤への曝露および/または軸索変性を誘発する状態に基づいて、軸索変性のリスクがあると同定される。
【0277】
いくつかの実施形態において、患者は、神経変性障害を発症するリスクがある。いくつかの実施形態において、患者は、高齢である。いくつかの実施形態において、患者は、神経変性の遺伝的リスク因子を有することが知られている。いくつかの実施形態において、患者は、神経変性疾患の家族歴を有する。いくつかの実施形態において、患者は、神経変性の既知の遺伝的リスク因子の1つ以上のコピーを発現する。いくつかの実施形態において、患者は、神経変性の高い発生率を有する集団から採取される。いくつかの実施形態において、患者は、第9染色体のオープンリーディングフレーム72におけるヘキサヌクレオチド反復伸長を有する。いくつかの実施形態において、患者は、ApoE4対立遺伝子の1つ以上のコピーを有する。
【0278】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化合物または組成物が投与される対象は、神経変性疾患、障害、または状態に罹患しているか、もしくは罹患しやすい対象であるか、またはそれを含み得る。いくつかの実施形態において、神経変性疾患、障害、または状態は、外傷性神経損傷であり得るか、またはそれを含み得る。いくつかの実施形態において、外傷性神経損傷は、鈍力外傷、閉鎖性頭部損傷、開放性頭部損傷、衝撃および/もしくは爆発力への曝露、脳腔もしくは身体の神経支配領域におけるか、またはそれらへの貫通損傷である。いくつかの実施形態において、外傷性神経損傷は、軸索を変形、伸張、挫滅、または回転させる力である。
【0279】
いくつかの実施形態において、対象は、神経分解のリスク因子として同定される活動に従事し、例えば、外傷性神経損傷の高い機会を有するコンタクトスポーツまたは職業に従事する対象である。
【0280】
例えば、対象は、末梢神経障害に関連する化学療法を受けている、または処方されている患者であり得る。化学療法剤の例は、サリドマイド、エポチロン(例えば、イキサベピロン)、タキサン(例えば、パクリタキセルおよびドセタキセル)、ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンクリスチン、およびビンデシン)、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ)、白金ベースの薬物(例えば、シスプラチン、オキサリプラチン、およびカルボプラチン)などが含まれるが、これらに限定されない。
【0281】
いくつかの実施形態において、提供される方法は、本明細書に記載されるような組成物を、1つ以上のバイオマーカーの存在または非存在に基づいて患者または患者集団に投与することを含む。いくつかの実施形態において、提供される方法は、患者または患者集団におけるバイオマーカーのレベルをモニタリングして、それに応じて投薬レジメンを調整することをさらに含む。
【0282】
投与
当業者は、いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるような医薬組成物もしくはレジメンの投与に含まれるおよび/または投与によって送達される特定の化合物の正確な量が、医師によって選択され得、例えば、対象の1つ以上の種、年齢、および一般的な状態、および/または特定の化合物もしくは組成物の同一性、その投与方法などを考慮して、異なる対象に対して異なっていてもよいことを理解するであろう。代替的に、いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるような医薬組成物またはレジメンの投与に含まれるおよび/または投与される特定の化合物の量は、関連する患者集団(例えば、すべての患者、特定の年齢もしくは疾患のすべての患者、または特定のバイオマーカーを発現しているすべての患者など)にわたって標準化され得る。
【0283】
本開示の提供される化合物または組成物は、好ましくは、投与の容易さおよび投薬量の均一性のために投薬量単位形態で処方される。本明細書で使用される「投薬量単位形態」という表現は、治療される患者のために適切である薬剤の物理的に個別の単位を指す。しかしながら、本開示の提供される化合物および組成物の1日全使用量は、主治医によって健全な医学的判断の範囲内で決定されることが理解されるであろう。任意の特定の患者または生物における特定の有効な用量レベルは、治療される障害および障害の重症度、個々の患者の臨床的状態、障害の原因、使用される特定化合物の活性、使用される特定の組成物、患者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別、および食事、使用される特定化合物の投与の時期、薬物の送達部位、投与経路、および排泄率、治療期間、使用される特定化合物と組み合わせて、または同時に使用される薬物、ならびに医学の技術分野において周知の同様の要因を含む様々な要因に依存する。投与される化合物の有効量は、かかる考慮事項によって支配され、例えば、神経変性もしくは外傷性神経損傷などの望ましくない疾患もしくは障害を予防または治療するために必要なSARM1活性を阻害するために必要な最小量である。
【0284】
本開示の医薬的に許容される組成物は、治療される疾患、障害または感染症の重症度に応じて、経口、直腸、静脈内、非経口、槽内、膣内、腹腔内、局所的(粉末、軟膏、もしくは点滴によって)、頬側、経口または鼻スプレーなどとして、ヒトおよび他の動物に投与することができる。1日用量は、特定の実施形態において、1日1回の用量として、または1日2~6回の分割用量として、または徐放性の形態で与えられる。この投与レジメンは、最適な治療反応を提供するように調整され得る。化合物は、1日1~4回、好ましくは1日1回または2回のレジメンで投与され得る。
【0285】
いくつかの実施形態において、本開示の組成物は、経口的、非経口的、吸入スプレーによって、局所的、直腸的、鼻腔的、頬側、膣内に、または移植されたリザーバーを介して投与され得る。本明細書で使用される「非経口」という用語は、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、髄腔内、肝内、皮内、眼内、病巣内および頭蓋内注射または注入技術を含む。好ましくは、組成物は、経口、腹腔内、または静脈内投与される。
【0286】
いくつかの実施形態において、本開示の医薬的に許容される組成物はまた、特に治療の標的が、眼、皮膚、または下部腸管の疾患を含む、局所適用によって容易にアクセス可能な領域または器官を含む場合、局所投与され得る。これらの領域または器官の各々について、好適な局所製剤が容易に調製される。
【0287】
最も好ましくは、本開示の医薬的に許容される組成物は、経口投与用に処方される。かかる製剤は、食物の有無にかかわらず投与することができる。いくつかの実施形態において、本開示の医薬的に許容される組成物は、食物なしで投与される。他の実施形態において、本開示の医薬的に許容される組成物は、食物とともに投与される。
【0288】
それらの追加の薬剤は、複数回投与レジメンの一部として、提供される化合物またはその組成物とは別に投与され得る。あるいは、それらの薬剤は、単一の剤形の一部であり、単一の組成物で提供される化合物と一緒に混合され得る。複数の投与レジームの一部として投与される場合、2つの活性剤は、同時に、連続して、または互いに一定期間内に、通常は互いに5時間以内に提出され得る。
【0289】
また、特定の患者に対する特定の投与および治療レジメンは、使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、食事、投与時間、排泄速度、薬物の組み合わせ、および治療する医師の判断、および治療される特定の疾患の重症度を含む様々な要因に依存し得ることも理解されるべきである。いくつかの実施形態において、組成物中の本開示の化合物の量はまた、組成物中の特定の化合物に依存するであろう。
【0290】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のSARM1阻害は、関連する疾患、障害、または状態を治療するために、1つ以上の他の療法と組み合わせて利用され得る。いくつかの実施形態において、SARM1阻害剤の投与は、単剤療法として投与される場合と比較して、併用療法で利用される場合に変更される。代替的または追加的に、いくつかの実施形態において、本明細書に記載のSARM1阻害と組み合わせて投与される治療は、単独で、またはSARM1阻害以外の1つ以上の療法と組み合わせて投与される場合、そのレジメンまたはプロトコルとは異なるレジメンまたはプロトコルに従って投与される。いくつかの実施形態において、追加の治療薬、その追加の治療薬および提供される化合物を含む組成物は、相乗的に作用し得る。いくつかの実施形態において、併用レジメンで利用される一方または両方の療法は、それが単剤療法として利用される場合よりも低いレベルで、またはより少ない頻度で投与される。
【0291】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化合物および/または組成物は、アルキル化剤、アントラサイクリン、タキサン、エポチロン、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、キナーゼ阻害剤、ヌクレオチド類似体、ペプチド抗生物質、白金ベースの薬剤、レチノイド、ビンカアルカロイドおよび誘導体を含むがこれらに限定されない化学療法剤とともに投与される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の化合物および/または組成物は、PARP阻害剤と組み合わせて投与される。
【実施例
【0292】
説明を含む本教示は、特許請求の範囲を限定することが意図されていない実施例によって提供される。過去形で具体的に提示されていない限り、実施例に含まれるものは、実験が実際に実行されたことを意味するものではない。以下の非限定的な例は、本教示をさらに説明するために提供される。当業者は、本開示に照らして、開示される特定の実施形態において多くの変更を行うことができ、それでも本教示の精神および範囲から逸脱することなく同様または類似の結果を得ることができることを理解するであろう。
【0293】
実施例1.本発明による化合物の調製
一般的な合成方法
本発明による化合物およびそれらの中間体は、当業者に知られており、有機合成の文献に記載されている合成方法を使用して得られ得る。好ましくは、化合物は、特に実験のセクションに記載されるように、以下により完全に説明される調製方法に類似した方法で得られる。場合によっては、反応ステップを実行する順序は、変更され得る。当業者には知られているが、ここでは詳細に説明されていない反応方法の変種も使用され得る。
【0294】
本発明による化合物を調製するための一般的なプロセスは、以下のスキームを研究する当業者に明らかになるであろう。出発物質は、文献または本明細書に記載されている方法によって調製することができるか、または類似(analogous)もしくは類似(similar)の方法で調製され得る。出発物質または中間体中の任意の官能基は、従来の保護基を使用して保護され得る。これらの保護基は、当業者によく知られている方法を使用して、反応配列内の好適な段階で再び切断され得る。
【0295】
最適な反応条件および反応時間は、使用する特定の反応物に応じて変化し得る。特に明記しない限り、溶媒、温度、圧力、および他の反応条件は、当業者によって容易に選択され得る。特定の手順は、合成例のセクションに提供される。中間体および生成物は、シリカゲルでのクロマトグラフィー、再結晶および/または逆相HPLC(RHPLC)によって精製することができる。離散エナンチオマーは、キラルHPLCを使用したラセミ生成物の分離によって得ることができる。RHPLC精製法では0.1%のギ酸、0.1~0.01%のTFA、10mMの重炭酸アンモニウム水溶液、または0.2%の水酸化アンモニウム水溶液を含有する水中の0~100%のアセトニトリルを使用し、以下のカラムのうちの1つを使用した。
a)Waters Xbridge C18 10μm 30×100mmカラム
b)Waters Sunfire C18 10μm 30×100mmカラム
c)Waters Xbridge C18 3.5μm 50×4.6mmカラム
d)HALO C18 2.7μm 30×4.6mmカラム
e)Waters Sunfire C18 3.5μm 50×4.6mmカラム
【0296】
LCMS方法:
分析LC/MS分析方法A:
ESI+/-イオンモード100-1000Da
カラム:XBridge SB-C18、3.5μm 4.6 x50mmカラム
温度:40℃
勾配:
【表2】
分析LC/MS分析方法B:
ESI+/-イオンモード100-1000Da
カラム:Sunfire C18、3.5μm 4.6 x50mmカラム
温度:50℃
勾配:
【表3】
分析LC/MS分析方法C:
ESI+/-イオンモード100-1000Da
カラム:XBridge SB-C18、3.5μm 4.6 x50mmカラム
温度:40℃
勾配:
【表4】
分析LC/MS分析方法D:
ESI+/-イオンモード100-1000Da
カラム:XBridge SB-C18、3.5μm 4.6 x50mmカラム
温度:40℃
勾配:
【表5】
分析LC/MS分析方法E:
ESI+/-イオンモード100-1000Da
カラム:XBridge C18、3.5μm 4.6 x50mmカラム
温度:40℃
勾配:
【表6】
分析LC/MS分析方法F:
ESI+/-イオンモード100-1000Da
カラム:XBridge C18、3.5μm 4.6 x50mmカラム
温度:50℃
勾配:
【表7】
分析LC/MS分析方法G:
ESI+/-イオンモード100-1000Da
カラム:XBridge C18、3.5μm 4.6 x50mmカラム
温度:45℃
勾配:
【表8】
分析LC/MS分析方法H:
ESI+/-イオンモード100-1000Da
カラム:XBridge C18、3.5μm 4.6 x50mmカラム
温度:50℃
勾配:
【表9】
分析LC/MS分析方法I:
ESI+/-イオンモード100-1000Da
カラム:XBridge C18、3.5μm 4.6 x50mmカラム
温度:45℃
勾配:
【表10】
分析LC/MS分析方法J:
ESI+/-イオンモード100-1000Da
カラム:Phenomenex Kinetix-XB C18、1.7μm 2.1 x100mmカラム
温度:40℃
勾配:
【表11】
【0297】
合成実施例
合成例A:実施例76の合成
【化51】
DMF(3mL)中のR-1(80mg、0.36mmol)の溶液に、R-2(53mg、0.43mmol)およびKCO(149mg、1.1mmol)を加える。混合物を80℃で2時間撹拌し、次に冷却し、HO(10mL)で処理し、EtOAc(10mL×3)で抽出する。有機層をブライン(30mL×2)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮する。粗残留物を分取HPLCにより精製して、実施例76(72mg)を得る。
【0298】
以下の実施例は、適切な試薬から同様の方法で調製される。実施例1~6、8~14、16~19、26~27、35、47~64、67~69、75~77、および82~83。
【0299】
合成例B:実施例20の合成
ステップ1
【化52】
酢酸(25mL)中のR-3(6.0g、26.55mmol)およびR-4(8.2g、79.65mmol)の混合物を130℃で16時間撹拌する。反応混合物を冷却し、減圧下で濃縮して酢酸を除去する。残留物を水(200mL)で希釈し、飽和NaHCO水溶液でpH=7~8に中和し、濾過する。濾液を濃HCl水溶液でpH=1~2に酸性化し、濾過し、固体を乾燥させてI-1(5.4g、76%)を得る。
【0300】
ステップ2
【化53】
POCl(20mL)中のI-1(2.7g、10.0mmol)およびPCl(5.2g、25.0mmol)の混合物を110℃で1.5時間撹拌する。反応混合物を冷却し、減圧下で濃縮して、THF(30mL)に溶解される残留物を得る。混合物を、0℃でTHF(10mL)中の水酸化アンモニウム(20g、30%水溶液、171.3mmol)の溶液に加える。0℃で0.5時間撹拌した後、反応物を減圧下で濃縮し、濾過し、得られた固体を水(10mL)で洗浄し、かつ乾燥させて、固体を得る。
【0301】
固体をCHCl(40mL)に溶解し、0℃に冷却してからTEA(2.14mL、15.4mmol)で処理する。5分後、TFAA(1.3mL、9.24mmol)をゆっくりと加え、混合物を0℃で1時間撹拌する。混合物をNaHCOでpH=7に中和し、CHCl(3×60mL)で抽出し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残留物をEtOAc(10mL)で洗浄し、固体を濾過し、乾燥させて、I-2(1.78g、68%)を得る。
【0302】
ステップ3
【化54】
DMF(8mL)中のI-2(0.4g、1.5mmol)、R-5(0.36g、1.8mmol)およびKCO(1.0g、7.5mmol)の混合物を80℃で1時間撹拌する。反応物を室温に冷却し、EtOAc(150mL)で希釈し、水(20mL)、ブライン(4×20mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、CHCl(20mL)に溶解されるBocアミン中間体を得る。混合物をTFA(5mL)で処理し、室温で1時間撹拌し、次に減圧下で濃縮する。残留物を10%KCO水溶液で中和し、EtOAc(3×20mL)で抽出し、NaSOで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮する。粗残留物を分取HPLCにより精製して、実施例20(0.16g、33%)を得る。
【0303】
以下の実施例は、適切な試薬から同様の方法で調製される:実施例21~25、65~66、72~74、84~85、93、94、97、99~130、132~139、141~143、145、146、および150~153。
【0304】
合成例C:実施例70の合成
【化55】
DMF(3mL)中のR-1(200mg、0.9mmol)の混合物に、R-6(333mg、1.8mmol)を加える。得られた混合物を100℃で2時間撹拌する。反応混合物を真空下で濃縮して粗生成物(300mg)を得、これをTHF(5mL)に溶解し、ヒドラジン一水和物(0.3mL)で処理する。得られた混合物を80℃で2時間撹拌する。溶媒を除去し、残留物を分取HPLCによって精製して、実施例70(46mg、25%)を得る。
【0305】
合成例D:実施例71の合成
【化56】
THF(3mL)中の実施例10(30mg、0.12mmol)の溶液に、-50℃でLHMDS(THF中1M、0.06ml、0.06mmol)の溶液を滴下し、次いで混合物を-50℃で1時間撹拌する。この溶液にR-7(57mg、0.18mmol)を加え、加えた後、混合物を0℃で1時間撹拌し、次に希HCl水溶液でpH=6に調整する。混合物を水とEtOAcに分配する。有機相を分離し、水相をEtOAc(12mLx3)で抽出する。合わせた有機層を飽和NaCl水溶液で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮する。残留物を分取HPLCにより精製して、実施例71(0.3mg、2%)を得る。
【0306】
以下の実施例は、適切な試薬から同様の方法で調製された:実施例89。
【0307】
合成例E:実施例78の合成
【化57】
ステップ1
DMF(4mL)中のR-1(220mg、1.0mmol)の溶液に、R-8(210mg、1.2mmol)およびKCO(691mg、5.0mmol)を加え、80℃で2時間撹拌する。混合物をHO(50mL)で処理し、EtOAc(50mL×3)で抽出する。合わせた有機層をブライン(30mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮する。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc:石油エーテル=1:1)によって精製して、I-3(310mg、95%)を得る[分析方法I、保持時間(ret time)=2.16分、m/z=330.1]。
【0308】
ステップ2
【化58】
THF(8ml)およびHO(2ml)中のI-3(310mg、0.94mmol)の溶液に、LiOHO(158mg、3.76mmol)を加える。混合物を室温において2時間撹拌する。溶媒を減圧下で除去する。残留物をCHCl/MeOH=10:1(100mL)に溶解し、濾過する。濾液をNaSOで乾燥させ、濾過する。濾液を減圧下で濃縮して、I-4(280mg、96%)を得る[分析方法E、保持時間=1.87分、m/z=316.1]。
【0309】
ステップ3
【化59】
CHCl(45mL)中のI-4(280mg、0.88mmol)の溶液に、SOCl(2.09g、17.6mmol)を加える。反応混合物を室温で2時間撹拌し、次いで減圧下で濃縮する。残留物をTHF(6mL)に溶解し、次に水酸化アンモニウム(6mL、30%水溶液、42.8mmol)の溶液で0℃で処理し、0℃でさらに0.5時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮する。残留物を水(10mL)で処理し、EtOAcで抽出する(20mLx3)。合わせた有機層をブライン(30mL×3)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過する。濾液を減圧下で濃縮し、次に分取HPLCにより精製して、実施例78(130mg、収率=48%)を得る。
【0310】
以下の実施例は、適切な試薬から同様の方法で調製される:実施例79~80、88、90~92、95、96、98、131、140、144、および147~149。
【0311】
合成例F:実施例81の合成
【化60】
R-1(300mg、1.35mmol)、R-9(608mg、5.38mmol)、および2,2,6,6-テトラメチルピペリジン(474mg、3.36mmol)の混合物を230℃で7時間撹拌する。反応混合物を室温に冷却し、次に濾過する。濾液を分取HPLCにより直接精製して、実施例78(12.3mg、3%)を得る。
【0312】
合成例G:実施例87の合成
【化61】
1,4-ジオキサン(5mL)およびHO(0.5mL)中のR-1(100mg、0.45mmol)およびR-2(102mg、0.5mmol)の混合物に、PdCl(dppf)(33mg、0.045mmol)およびKCO(186.3mg、1.35mmol)を加える。混合物を冷却したN下で110℃で2時間撹拌し、HO(10mL)で処理し、EtOAc(20mL×3)で抽出する。合わせた有機層をブライン(30mLx2)で洗浄し、NaSOで乾燥させる。有機層を減圧下で濃縮し、次に分取HPLCにより精製して、実施例87(25mg、21%)を得る。
【0313】
次の例は、適切な試薬から同様の方法で調製される:実施例86。
【0314】
結果を表1に提示する。
【表12-1】
【表12-2】
【0315】
実施例2:ARM-SAM-TIR SARM1 IC50アッセイ
この実施例は、ARM-SAM-TIR NADアーゼ活性のアッセイ、およびSARM1媒介NAD+切断をブロックするための式Iまたは式IIの化合物の有効性を測定するためのこのアッセイの使用を説明する。このアッセイは、SARM1活性を阻害する式Iまたは式IIの化合物の有効性を特徴付け、各化合物のIC50値を計算するように最適化されている。このアッセイは、ARM、SAM、およびTIRドメインを含む全長のSARM1を使用する。本明細書に示されるように、自己阻害性N-末端ドメインなしでのこのフラグメントの発現は、NAD+を切断する構成的に活性な酵素を生成する。
【0316】
ARM-SAM-TIR溶解物(STL)の調製
NRK1-HEK293T細胞を、150cmのプレート上に20×106細胞/プレートで播種した。翌日、細胞を15μgのARM-SAM-TIR発現プラスミド、配列番号1でトランスフェクトした。
GCGATCGCGGCTCCCGACATCTTGGACCATTAGCTCCACAGGTATCTTCTTCCCTCTAGTGGTCATAACAGCAGCTTCAG
CTACCTCTCAATTCAAAAAACCCCTCAAGACCCGTTTAGAGGCCCCAAGGGGTTATGCTATCAATCGTTGCGTTACACAC
ACAAAAAACCAACACACATCCATCTTCGATGGATAGCGATTTTATTATCTAACTGCTGATCGAGTGTAGCCAGATCTAGT
AATCAATTACGGGGTCATTAGTTCATAGCCCATATATGGAGTTCCGCGTTACATAACTTACGGTAAATGGCCCGCCTGGC
TGACCGCCCAACGACCCCCGCCCATTGACGTCAATAATGACGTATGTTCCCATAGTAACGCCAATAGGGACTTTCCATTG
ACGTCAATGGGTGGAGTATTTACGGTAAACTGCCCACTTGGCAGTACATCAAGTGTATCATATGCCAAGTACGCCCCCTA
TTGACGTCAATGACGGTAAATGGCCCGCCTGGCATTATGCCCAGTACATGACCTTATGGGACTTTCCTACTTGGCAGTAC
ATCTACGTATTAGTCATCGCTATTACCATGCTGATGCGGTTTTGGCAGTACATCAATGGGCGTGGATAGCGGTTTGACTC
ACGGGGATTTCCAAGTCTCCACCCCATTGACGTCAATGGGAGTTTGTTTTGGCACCAAAATCAACGGGACTTTCCAAAAT
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ACGGCTTCCCCAACTTGCCCACTTCCATACGTGTCCTCCTTACCAGAAATTTATCCTTAAGATCCCGAATCGTTTAAACT
CGACTCTGGCTCTATCGAATCTCCGTCGTTTCGAGCTTACGCGAACAGCCGTGGCGCTCATTTGCTCGTCGGGCATCGAA
TCTCGTCAGCTATCGTCAGCTTACCTTTTTGGCA(配列番号1)。
【0317】
ARM-SAM-TIRの過剰発現による毒性を最小限に抑えるために、トランスフェクション時に培養物に1mMのNRを補充した。トランスフェクションの48時間後、細胞を回収し、1,000rpmでの遠心分離(Sorvall ST 16R遠心分離機、Thermo Fisher)によってペレット化し、冷PBS(0.01Mリン酸緩衝生理食塩水NaCl0.138M、KCl0.0027M、pH7.4)で1回洗浄した。細胞をプロテアーゼ阻害剤(cOmplete(商標)プロテアーゼ阻害剤カクテル、Roche製品番号11873580001)を含むPBSに再懸濁し、超音波処理により細胞溶解物を調製した(Branson Sonifer450、出力=3、20エピソードのストローク)。溶解物を遠心分離し(12,000×g、4℃で10分間)、細胞破片を除去し、上清(ARM-SAM-TIRタンパク質を含む)を-80℃で保存して、後でインビトロARM-SAM-TIR NADアーゼアッセイ(下記参照)で使用した。タンパク質濃度は、ビシンコニン酸(BCA)法によって決定され、溶解物濃度を正規化するために使用された。
【0318】
式Iまたは式II化合物のARM-SAM-TIR IC50アッセイ
酵素アッセイは、DulbeccoのPBS緩衝液中の384ウェルポリプロピレンプレートで、20μLの最終アッセイ容量で実施した。最終濃度5μg/mLのARM-SAM-TIR溶解物を、室温で2時間にわたって1%DMSO最終アッセイ濃度でそれぞれの化合物とプレインキュベートした。基質として5μMの最終アッセイ濃度のNAD+を添加することにより反応を開始した。2時間の室温インキュベーション後、アセトニトリル中の7.5%トリクロロ酢酸の停止溶液40μLで反応を停止させた。NAD+およびADPR濃度は、API4000トリプル四重極質量分析計(AB Sciex Framingham、MA)を使用して、RapidFire高スループット質量分析システム(Agilent Technologies、Santa Clara,CA)によって分析された。
【0319】
結果を表2に提示する。「A」として指定された活性を有する化合物は、IC50<5μMを提供した。「B」として指定された活性を有する化合物は、IC50 5~15μMを提供した。「C」として指定された活性を有する化合物は、IC50 15.01~30μMを提供した。「D」として指定された活性を有する化合物は、IC50>30μMを提供した。nd:未確定。
【表13-1】
【表13-2】
図1
【配列表】
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