(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】穴あき板を備えたプラウモジュール
(51)【国際特許分類】
A01B 9/00 20060101AFI20240806BHJP
【FI】
A01B9/00
(21)【出願番号】P 2022526122
(86)(22)【出願日】2020-11-03
(86)【国際出願番号】 EP2020080784
(87)【国際公開番号】W WO2021089525
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2023-09-20
(31)【優先権主張番号】102019217245.8
(32)【優先日】2019-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】521100380
【氏名又は名称】フーバー ソイル ソリューション ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Huber Soil Solution GmbH
【住所又は居所原語表記】Franz-Nabl-Gasse 15, 8435 Wagna, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フランツ-フェアディナント フーバー
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/146263(WO,A1)
【文献】特開2013-223478(JP,A)
【文献】特開平2-65701(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105210475(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面を耕起する耕起装置(2)の基礎フレーム(3)に交換可能に取り付けるプラウモジュール(1)であって、当該プラウモジュール(1)は、
周方向に延在する第1の切断エッジ(103)を備えた、切断プレートとして形成された回転可能な第1の切断部材(102)であって、該第1の切断部材(102)は、当該プラウモジュール(1)が地面(120)の上で耕起方向(110)に沿って移動することにより、前記地面(120)のれき条(201)の側面領域(202)を切断することができるように形成されている、第1の切断部材(102)と、
第2の切断エッジ(106)を備えた扁平な第2の切断部材(105)であって、該第2の切断部材(105)は、当該プラウモジュール(1)が前記地面(120)の上で前記耕起方向(110)に沿って移動することにより、前記地面(120)の前記れき条(201)の底部領域(203)を切り離すことができるように形成されている、第2の切断部材(105)と、
を有している、プラウモジュール(1)において、
当該プラウモジュール(1)は、組立て済みの構成ユニットとして形成されており、当該プラウモジュール(1)において、前記第2の切断部材(105)は、前記耕起方向(110)においてその切断エッジでもって、前記第1の切断部材(102)に追従しており、
前記第1の切断部材(102)を、第1の支持体構造(4)が支持しており、
前記第2の切断部材(105)を、第2の支持体構造(5)が支持しており、
前記第1の支持体構造(4)と前記第2の支持体構造(5)とは互いに結合されており、
前記第1の支持体構造(4)は、前記耕起装置(2)の前記基礎フレーム(3)に取外し可能に取り付けるための手段を有しており、
前記第1の切断部材(102)は、その切断角度に関して、耕起しようとする地面に向かって延びる軸線を中心として旋回可能に調整することができかつ/またはその旋回角度に関して、耕起方向に延びる軸線を中心として旋回可能に調整することができる
ことを特徴とする、プラウモジュール(1)。
【請求項2】
前記第2の支持体構造(5)は、ジョイント(7)を介して旋回可能に前記第1の支持体構造(4)に結合されており、2つの前記支持体構造の間の角度は調整可能である、請求項1記載のプラウモジュール。
【請求項3】
前記第1の切断部材(102)は、前記第1の支持体構造(4)に移動可能に配置されており、これにより、前記第1の切断部材(102)の前記第1の切断エッジ(103)と前記第2の切断部材(105)の前記第2の切断エッジ(106)との間の間隔が調整可能である、請求項1または2記載のプラウモジュール。
【請求項4】
前記第1の切断部材(102)の前記切断角度は、無段式に調整可能である、請求項1から3までのいずれか1項記載のプラウモジュール。
【請求項5】
前記第1の切断部材(102)の前記旋回角度は、無段式に調整可能である、請求項1から4までのいずれか1項記載のプラウモジュール。
【請求項6】
前記切断角度および前記旋回角度は、液圧式または電気式に駆動可能な調整部材により調整可能に変位させることができる、請求項4または5記載のプラウモジュール。
【請求項7】
前記第1の切断部材(102)の前記切断角度は、所定の穴間隔を有する穴あき板(25)により段階的に調整可能に変位させることができる、請求項1から3までのいずれか1項記載のプラウモジュール。
【請求項8】
前記第1の切断部材(102)の前記旋回角度は、所定の穴間隔を有する穴あき板(25)により段階的に調整可能に変位させることができる、請求項1から4までのいずれか1項記載のプラウモジュール。
【請求項9】
前記第2の切断部材(105)は、前記耕起方向に対して横方向に延びる軸線を中心として調整可能に旋回することができる、請求項1から8までのいずれか1項記載のプラウモジュール。
【請求項10】
第1の切断領域(104)が第1の切断平面内に形成されておりかつ第2の切断領域(107)が第2の切断平面内に形成されており、前記第1の切断平面と前記第2の切断平面とは、互いに30°~135°、特に~110°の角度を形成している、請求項1から9までのいずれか1項記載のプラウモジュール。
【請求項11】
前記第1の切断部材(102)は、反らされているか、または円錐形もしくは円錐台形を有している、請求項1から10までのいずれか1項記載のプラウモジュール。
【請求項12】
前記第1の切断部材(102)の前記第1の切断エッジ(103)および/またはディスク形の前記第2の切断部材(105)の前記第2の切断エッジ(106)は、周に複数の凹部(10,11)を有している、請求項1から11までのいずれか1項記載のプラウモジュール。
【請求項13】
前記第2の切断部材(105)は、回転可能な切断部材であり、前記第2の切断エッジ(106)は、周方向に延在する切断エッジ(106)である、請求項1から12までのいずれか1項記載のプラウモジュール。
【請求項14】
前記第2の切断部材(105)は、固定式の切断カッタ(6)である、請求項1から13までのいずれか1項記載のプラウモジュール。
【請求項15】
前記第2の切断部材(105)の前記切断カッタ(6)はL字形に形成されており、該切断カッタ(6)の第1のバー(8)は、当該プラウモジュール(1)の作業位置において水平方向に向けられており、第2のバー(9)はこれに対して実質的に垂直に向けられている、請求項1から14までのいずれか1項記載のプラウモジュール。
【請求項16】
前記切断カッタ(6)は一体に形成されている、請求項15記載のプラウモジュール。
【請求項17】
基礎フレーム(3)を備えた耕起装置(2)において、当該耕起装置(2)の前記基礎フレーム(3)に、請求項1から16までのいずれか1項記載のプラウモジュール(1)が少なくとも1つ配置されていることを特徴とする、耕起装置(2)。
【請求項18】
前記基礎フレーム(3)に少なくとも2つのプラウモジュール(1)が配置されており、該プラウモジュール(1)の第1の切断部材(102)の第1の支持体構造(4)と、第2の切断部材(105)の第2の支持体構造(5)とが結合部材に結合されており、該結合部材は、前記基礎フレーム(3)に対して変位可能であり、これにより、前記プラウモジュール(1)を当該耕起装置(2)の幅方向に互いに調整可能に変位させることができる、請求項17記載の耕起装置(2)。
【請求項19】
前記結合部材は、連接棒(27)である、請求項17または18記載の耕起装置(2)。
【請求項20】
前記連接棒(27)は、液圧式または電気式に駆動可能に変位することができる、請求項19記載の耕起装置(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の、地面を耕起する耕起装置の基礎フレームに交換可能に取り付けるプラウモジュール、ならびに請求項17記載の、少なくとも1つのこのようなプラウモジュールが装備された耕起装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような、一般にトラクタにより牽引される耕起装置を用いて耕起する場合には、地面から、いわゆるれき条が切り出される。れき条は、第1の切断部材が切断するかまたは切断した側面領域を有している。さらに、れき条は、2つの側面領域をつなぎかつ第2の切断部材により地面から分離される底部領域を有している。これに対応して、れき条の底部領域に接する地面は分離面を有している(いわゆるれき溝底)。つまり、地面からほぼ矩形のれき条が切り出され、この場合、残留地面において水平方向の切断面(=れき溝底)は第2の切断部材により生じ、鉛直方向の切断面(=れき溝壁)は第1の切断部材により生じる。れき条の切出しにより、地面に、れき条の側面領域が剥がされたれき溝壁が形成される。つまり、底部領域は、地面から分離された時点でのれき条の鉛直方向最下位面を規定する。
【0003】
指摘しておくと、「水平方向」および「鉛直方向」ならびに「上」および「下」という用語は、耕起装置ひいては耕起装置に取り付けられる本発明によるプラウモジュールの配置および構成に関するものであり、この場合、耕起装置は規定に従って地面に支持されており、耕起運転中は処理方向に沿って移動可能であると見なされる。
【0004】
独国特許出願公開第3541490号明細書に記載の地面処理機は、上向きの軸を中心として駆動可能な地面処理ツールを有している。これらの地面処理ツールは心土ほぐし装置として形成されており、これにより、地面の下層を集中的に耕して掘り返すと共に、全体的にほぐすことができる。これらの心土ほぐしツールは、耕起方向においてその前方に配置された、土を耕起するために設けられたディスクコールタに続く。この公知の地面処理機は、土をほぐすためのものであるが、耕起しようとする底部領域かられき条を切り出して反転させることを想定したものではない。この公知の地面処理機は、表面下に位置する地面構造物をほぐすことができるという事実に基づき、特に、ほぐそうとする底部領域に既に植物が成長している場合でも地面をほぐすということにも適している。
【0005】
関連する耕起装置が独国特出願公開第102017102683号明細書から公知である。この耕起装置の基礎フレームには、周方向に延在する第1の切断エッジを備えた、切断ディスクとして形成された回転可能な第1の切断部材が配置されており、この場合、第1の切断部材は、耕起装置が地上で耕起方向に沿って移動することにより、地面のれき条の側面領域を切り離すことができるように形成されている。耕起方向または処理方向は、耕起装置が地面にわたり移動する方向として規定されている。第2の切断エッジを備えた扁平な第2の切断部材も同様に、基礎フレームに取り付けられており、耕起方向において第1の切断部材の前方に配置されている。第2の切断部材は、プラウモジュールが地上で耕起方向に沿って移動することにより、れき条の底部領域を切り離すことができるように形成されている。この耕起装置を用いて耕起する場合には、まず形成しようとするれき条の底部領域が、第2の切断部材により切断される。次いで、反らされた(bombiert)切断ディスクとして形成された後続の第1の切断部材が、れき条の側面領域を切断し、形成されたれき溝内にこれを反転させて落とす。このような耕起装置は、複数のプラウ体とモールドボードとを用いた従来の耕起に比べて、必要とされる牽引力が大幅に低下する。
【0006】
独国特許出願公開第102017102683号明細書の場合の欠点は、異なる切断部材が個別に基礎フレームに取り付けられているという点にあり、このことは、従来の耕起用基礎フレームに対する取付けまたは後装備を困難にする。さらに、2つの切断部材の互いの空間的な位置調整が複雑であり、それらの調整または変位がごく小さな範囲でしか可能ではない場合が多い。さらに、この公知の耕起装置の場合、異なる土に対する適合は不可能であるため、土が変わった場合、耕起結果がその時々の土に最適に適合されているわけではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、耕起装置の基礎フレームにおいて交換または取付け可能であり、牽引し易い耕起を可能にし、かつ土の性質の変化に容易に適合可能な1つのプラウモジュールにまとめられた複数の切断部材が、耕起に際してれき条を、耕起しようとする地面から分離して反転させるようになっている構成ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、一方では請求項1記載の特徴を備えたプラウモジュールによって解決され、他方では請求項17記載の特徴を備えた耕起装置によって解決される。有利な改良は、各従属請求項に規定されている。
【0009】
この課題は、プラウモジュールが、組立て済みの構成ユニットとして形成されており、第1の切断部材が配置された第1の支持体構造と、第2の切断部材が配置された第2の支持体構造とを備えており、すなわち、各支持体構造は各切断部材を支持しており、2つの支持体構造が互いに結合されていることによって、かつ、第1の支持体構造は、プラウモジュールが設けられた耕起装置の基礎フレームに取外し可能に取り付けるための手段を有しており、プラウモジュールには、耕起方向において第2の切断部材が第1の切断部材の後方に配置されていることによって、解決される。第1の切断部材は、2つの互いに異なる軸線を中心として旋回可能であり、その所望の旋回角度および/またはその切断角度は調整可能である。
【0010】
本発明の第1の態様に基づき、地面を耕起する耕起装置用のプラウモジュールを説明する。プラウモジュールは、回転可能な切断部材、例えば反らされたディスクが配置された第1の支持体構造を有している。第2の切断部材、例えば第1の切断部材に対して所定の角度で配置された別のディスクまたは切断カッタが、第2の支持体構造に取り付けられており、第2の支持体構造自体は、第1の支持体構造に固く結合されている。回転可能な第1の切断部材は、周方向に延在する第1の切断エッジを有しており、支持体構造を備えた耕起装置が地面の上をその耕起方向、すなわち処理方向に沿って移動すると、第1の切断エッジの第1の切断領域により、特にれき溝底から地面のれき条の側面領域が切り離されるように形成されている。第1および第2の支持体構造は互いに固く結合されており、第1の支持体構造を介して共に耕起装置の基礎構造体に配置されている。第2の切断部材は第2の切断エッジを有しており、この場合、第2の切断部材は第2の支持体構造に配置されており、プラウモジュールが耕起方向に沿って地面の上を移動すると、第2の切断エッジの第2の切断領域により、地面のれき条の底部領域を、特にれき条と耕起底部との間の分離面に沿って切り離すことができるように形成されている。第2の切断部材は、耕起方向において第1の切断部材に対して、第2の切断領域が、耕起方向において第1の切断領域の後方に位置するように配置されている。
【0011】
本発明により、2つの切断部材は個別にまたは一緒に、地面領域に対するそれらの切断作業に関してそれぞれの位置を調整することができ、これにより、その時々の係合角度を選択することができる。地面構造物、粘度含有量または砂含有量等の地面の性質は、耕起しようとする地面から耕起しようとする地面へと、部分的に著しく変化する。本発明によるプラウの1つの主要な利点は、従来のプラウに比べ、地面の耕起および破砕が改善されると同時に、必要とされる牽引力を削減することができるという点にある。これは極めて自然環境保護的な面でもある。なぜなら、牽引力が減少すると、必要とされる燃料がより少なくなるからである。測定により、本発明によるプラウを用いると、地面に応じて牽引力を最大25%削減することが可能であることが判った。よって、本発明によるプラウに関して、第1の切断部材は、2つの異なる回転軸線を中心として旋回可能に形成されていることが想定されている。この場合、第1の切断部材は、耕起しようとする地面の方に向いた軸線を中心として旋回可能である。地面に対して特に垂直方向に向いた旋回軸線を中心とした切断部材の動きは、第1の切断部材がその切断角度に関して旋回可能であり、さらに、所望の切断角度に調整可能でもあることを意味している。このような動きは、例えば水中を体が移動する際のヨーイングに相当する。これにより、第1の切断部材の第2の運動の可能性は、第1の切断部材がその旋回角度に関して、耕起方向に向いた軸線を中心として旋回可能ということを想定している。この旋回角度も、地面の性質に応じてあらゆる所望の値に調整可能である。水中の体の動きに比べると、これはいわゆるローリングであると考えられる。第1の切断部材の両方の動き、すなわち、耕起方向の軸線を中心とした動きと、耕起方向に対して垂直でありかつ耕起しようとする地面に対して垂直に向いた軸線を中心とした別の動きとは、個別にまたは一緒に可能である、すなわち調整可能でもある。
【0012】
追加的に、一実施例では、好適には、第2の切断部材は、耕起方向に対して垂直にかつれき溝底に対して実質的に平行に延在する軸線を中心として調整可能に旋回することができることが想定されている。これにより、第2の切断部材が、れき溝底に対する傾斜角度に基づき、一方では地中のれき溝底の深さを決定しかつ他方では地中へのプラウの引込み力を決定することを達成できる。
【0013】
従来のプラウシェアを備えた従来のプラウと比べた本発明によるプラウの主要な利点は、従来のプラウシェアでは、れき溝側面とれき溝底とが単一の部材により切断され、その際に得られたれき条が反転され、このれき条において前記部材はその湾曲に基づき、実質的に鉛直方向に始まる向きの側壁領域から、れき溝底の実質的に水平方向の領域へ一気に移行しているのに対し、本発明では、これら2つの被切断領域、すなわちれき溝壁の領域とれき溝底の領域とが、別個の切断部材によって生じるため、従来のプラウが、いわば2つの異なる切断部材に分離されているという点にある。これら2つの部材が分かれていることにより初めて、各切断部材の別個の調整が、様々な地面の性質において牽引力をさらに削減するための本発明による新規のプラウの極めて高いフレキシビリティおよび最適化および適合の基礎となる。
【0014】
好適には、プラウモジュールにおける各切断部材は、それらの位置に関して互いに調整可能、好適には旋回可能である。これは、既知の耕起装置に対して明らかな利点を成している。つまり、例えばれき条の側面分離用の第1の切断部材が、れき条の底部分離用の第2の切断部材の前方に配置されていてよいプラウモジュールを使用することができる。しかしまた、2つの切断部材が自由な変位の枠内で、例えば同時にz方向に互いに同期されて変位されるということも可能である。このような変位は、例えば地面の性質またはその他の状況に基づき耕起深さを変えようとする場合に必要である。つまり、れき条の厚さを地面の上面かられき溝底まで変えることができる。
【0015】
好適には、本発明の第2の態様を成す耕起装置は、複数のプラウモジュールを有しており、一方のプラウ側に例えば3~8のモジュール、すなわち基礎フレームに対して合計6~16のモジュールを有している。既知の耕起装置の場合には、れき条の側面を切断する第1の切断部材が、れき条またはれき条が切断されるれき溝の底部を切断する第2の切断部材の後方に配置されている。この既知の配置は明らかに、第1の切断部材が、例えばガイド板と協働して、または1つの構成では中空ディスクとして、切り出されたれき条の反転を担当するために選択されている。このためには、れき溝の底、すなわちれき条の下面が既に切断されていなければならない。よって、既知の装置では、第2の切断部材がその作動刃に関して、第1の切断部材の前方に配置された。この配置により、第1の切断部材は、れき条の側壁を切断した後、即座にれき条を反転させることができる。なぜなら、れき溝底が既に切断されているからである。第1の切断部材が確実に側面を切断することができるようにするため、または湾曲した構成においてれき条の反転準備を整えかつ反転を開始することができるようにするためには当然、第1の切断部材の駆動装置または支持部または保持部が第1の切断部材の裏側に設けられている必要がある。ただしこのことは、第2の切断部材と第1の切断部材とが、これらをフレームに取り付けるそれぞれ別個の支持体を有する必要があることをも意味する。これにより、両方の切断部材の相互調整が大幅に難しくなる。
【0016】
これに対して、本発明の場合には、れき条の側面を切断する第1の切断部材が、れき条またはれき溝の底面を切断する第2の切断部材の前方に配置されている。通常、このことは考慮されない。なぜならば、れき条の側面を切断する第1の切断部材が牽引方向において最初に配置された耕起装置では、形状が中空ディスクとして形成されており、原則としてれき条を反転させるために設けられているにもかかわらず、反転機能をも発揮することはできないからである。それは、れき溝底部がまだ切断されていなかったからである。まさにこの点に、ガイド板またはモールドボードが必要とされることなしに2つの切断部材だけが設けられていれば済むという、本発明によるモジュールの利点がある。また、本発明による利点は、第1の切断部材はその裏側に駆動装置または支持部または支持体構造を有しているという事実に基づき、同様に支持体構造を有する第2の切断部材の前方に配置されると、第1の切断部材および第2の切断部材の両方の支持体構造を互いに結合することができ、これにより、単一の懸架部でもって耕起装置の支持体フレームに取付け可能な1つのモジュールが生じるという点にもある。決定的な利点は、複数のプラウ体を備えた従来の耕起装置を、プラウ体を取り外しかつ対応する1つのモジュールを取り付けることにより、比較的大きな手間をかけずに改造することができるという点にある。もちろん、プラウブームとも呼ばれる従来の基礎フレームに、工場ですぐに本発明による複数のプラウモジュールを装着することもできる。
【0017】
意外にも、中空ディスクとしての第1の切断部材が先行する耕起装置において、れき溝底がまだ切断されていないため、差し当り反転が続くことなしに、側面領域の切断が可能であるということが判った。れき溝底の切断は、追従する第2の切断部材が初めて行う。1つの耕起装置に複数のこのようなモジュールが相前後して配置されていると、耕起方向に見て第1のモジュールに続く第2のモジュールでは既に、第1の切断部材がそこに存在するれき条の側面を切断するだけでなく、そこでは既に第1のモジュールによってれき溝底が切断された状態にあるということが判った。これにより、第2のモジュールは所望の機能を即座に発揮することができる、つまり、中空ディスクの形態の第1の接続部材がれき条の側面を切断すると同時にれき条を反転させることができる。
【0018】
第1の切断部材が、耕起方向の軸線を中心として旋回した場合、およびさらに、またはこのような旋回に代えて、地面に対して垂直に向いた軸線を中心として旋回した場合の、第1の切断部材の、切断角度および旋回角度に関して調整可能な位置変化に基づき、第1の切断部材を、様々な地面の性質に関してかつ複数の地面の性質に関連して最適に、小さな牽引力に調整することができる。これは一般に、従来のプラウシェアでは不可能である。なぜならば、2つの切断作業、すなわち側面の切断と、れき溝底の切断とが、単一の部材、つまりプラウシェアにまとめられており、これにより常に、所要の牽引力に関して、各切断部材のそれぞれ個別の機能の最適化された介入および最適化された実施に比べると不利であるという妥協が図られるからである。
【0019】
構造に関して、第1の切断部材の保持部または支持体構造は、後方に向かって第2の切断部材用の支持体構造に向けられているため、そこで両方の切断部材を容易に取り付けかつ結合して1つのモジュールを形成することが可能である、という点において利点がある。このことは、各切断部材の旋回角度、切断角度または傾斜角度を調整するアクチュエータにも当てはまる。耕起装置が、プラウモジュールを例えば1つだけ有している場合、田畑の耕起時の最初の牽引では、この最初の牽引は、まだ切り離されていないれき条の側面が切り離される牽引であるだけに過ぎず、反転はまだ行われない。しかし、2回目の牽引では、既にこのときには側方を切り離されているれき条の反転が第1の切断部材により行われる。なぜなら、第2の切断部材がそこの領域では既にれき溝底ひいてはれき条の下面を切り離していたからである。これにより、従来の耕起装置に比べて大幅な利点が生じることになる。プラウ体を備えた従来の耕起装置の、本発明によるプラウモジュールへの交換または改造は、容易に可能である。また、モジュール化に基づき、故障または地面構造物の変化に対応して適合させた別のプラウモジュールを耕起装置において迅速に交換すること、または欠陥認識時に、これらの欠陥に対応して制御するために不変の旋回角度調整を行うことも容易に可能である。
【0020】
本発明によるプラウモジュールは、第1の切断部材と第2の切断部材とが両方共それらの位置に関して調整可能であると、特に有利である。これにより、耕起しようとする地面に対する調整ならびに2つの切断部材相互の調整が生じることになる。この場合、第2の切断部材は、支持体構造において旋回可能であり、この支持体構造には、地中での切断に際して第2の切断部材の傾斜をやや下方に向けるために好適には2つの軸線を中心として同様に旋回可能な第1の切断部材が取り付けられており、これにより、耕起中、れき溝底を切断するこの切断部材の飛出しを防ぐと同時に、第1の切断部材を地中に保持することができる。第1の切断部材は、複数の方向に旋回させ、かつずらすことができる、つまり2つの切断部材相互の協働において対応する最適な耕起結果を実現するために、複数の自由度を有している。
【0021】
1つの耕起装置に複数のモジュールを設けることはさらに、本発明による装置により、1回の牽引でより大きな幅を耕起することができるという利点を有している。また、耕起しようとする田畑の縁部を耕起し、最後の牽引の幅が、さもなければ横方向に最も広幅に配置されたプラウモジュールによって例えば既に隣の田畑の可能性がある地面の一部の地面切断が実施されるリスクが生じ得るほど極度に大きな場合には、各切断部材を干渉させないように旋回させることも有意である。このリスクを回避するためには、1つまたは複数の対応する切断部材を干渉させないように旋回させることにより、このような状況を防ぐことができる。
【0022】
本発明によるプラウモジュールは、耕起装置の基礎構造体を介して牽引機、例えばトラクタ等に連結されており、したがってトラックは、切断部材を耕起方向に沿って地中を牽引する。基礎構造体は、支持具またはねり木の部分であってもよい。統合された各支持体構造に配置された2つの切断部材、つまりれき条の側面を切断しかつ反転させる第1の切断部材と、れき溝底を切断する第2の切断部材とから成るプラウモジュールにより、ねり木は完全に省かれてもよい。支持体構造は、金属バーおよび/または繊維複合部材を有している。さらに、引き続き以下で詳細に説明する被取付け部材を、支持体構造に調整可能に取り付けることができる。
【0023】
よって、第1の支持体構造と第2の支持体構造とから形成されたプラウブームまたは支持体フレームは、プラウモジュールにおける各切断部材ならびにジョイントまたは調整部材等の追加的な構成部材のための剛性の、ただし調整に適した取付け構造を提供する。換言すると、各切断部材はそれぞれ第1または第2の支持体構造に、耕起中は各支持体部材間の相対運動が不可能であるように位置固定されている。耕起中に第2の切断部材がれき条の切断に基づき地中に押し込まれると、同時に第1の切断部材も引込み力に基づき地中に押し込まれる。しかしまた、好適には、各切断部材は耕起中、それらの調整可能な旋回角度ならびに例えばそれらの高さに関して互いに調整可能であってもよく、これは例えば電気式または液圧式に行われてよい。
【0024】
例示的な実施形態では、第1の切断部材および/または第2の切断部材は、例えばジョイントにより旋回可能に、それぞれの支持体構造に取り付けられており、これにより、回転軸と第2の切断エッジの延在方向との間の角度を調整し、所望の位置に位置固定することができる。本発明の別の有利な実施形態では、第2の支持体構造自体がジョイントを介して旋回可能に、第1の支持体構造に結合されている。これにより、耕起方向に対して第2の切断部材の傾斜角度を調整することができる。この場合、傾斜角度は一般に、先行する切断エッジがやや下方に向かって地中に向けられているようになっている。
【0025】
別の例示的な実施形態では、第1の切断部材および/第2の切断部材は、旋回可能にかつ/または並進移動可能に、それぞれの支持体構造に配置されており、これにより、傾斜角度および位置を相互に調整することができる。つまり、地面の性質に応じてかつ所望の処理深さおよび処理強度に応じて、耕起方向に対する第2の切断部材の傾斜角度を調整することができる。
【0026】
例えば、上述したジョイント等の装置は、切断部材角度(プレートディスク角度)の調整に用いられ、切断部材傾斜角度(地面のれき溝壁に対する垂直方向の傾斜)および(耕起方向、すなわち牽引車走行方向に対する)切断部材方向角度の調整を可能にする。第1の切断エッジとれき溝壁との間の、切断部材の切断線は、調整可能な支持体を介して高さ調整することができる。これに対応して、第1の切断部材と第2の切断部材との間の鉛直方向の間隔および/または水平方向の間隔を、可変に調整することができる。換言すると、別の例示的な実施形態では、第1の切断部材と第2の切断部材とは、第1の切断部材の第1の切断エッジの切断領域が、第2の切断部材の第2の切断エッジから鉛直方向に間隔をあけて配置されているように、互いに配置されていてよいし、配置することができる。水平方向における調整により、1回の牽引の切断幅または耕起幅が調整可能である。この幅方向における調整は、好適には調整部材により行われ、調整部材は、好適には連接棒として形成されている。連接棒の並進移動により、適切な伝達部材を介して、プラウモジュールの、基礎フレームに対して横方向のずれひいては耕起幅が調整または達成される。連接棒は、好適には液圧式または電気式に、好適には無段式に調整可能である。
【0027】
本発明の構成では、好適には、第1の切断領域は第1の切断平面内に形成されておりかつ第2の切断領域は第2の切断平面内に形成されており、この場合、第1の切断平面と第2の切断平面とは、互いに30°~135°、特に45°~110°の角度を形成している。このための所望の角度の調整は、2つの切断部材がそれぞれ対応する支持体構造に旋回可能に支持されていることにより行われてよい。もちろん、2つの切断平面の予め設定された固定の向きも、本発明の枠内にある。
【0028】
この場合、第1の切断エッジは、第1の切断平面内に延在しているのに対し、第2の切断エッジ106は、第2の切断平面内に延在している。この場合、第1の切断部材と第2の切断部材とは、この場合は第1の切断平面と第2の切断平面とが非平行に形成されており、特に相対して90°よりも大きなまたは小さな角度(開放角度)を有するように、互いに対して支持体構造に取り付けられている。換言すると、別の例示的な実施形態では、第1の切断部材は、第1の切断部材の回転軸と、第2の切断エッジ(または第2の切断部材が回転するディスクを形成している場合は第2の切断領域における接線)の延在方向との間に、約0°~約30°の角度が存在するように配置されていてよい。特に、第1の切断平面の垂線は、耕起装置が規定に従って地面に支持されている場合、水平方向に対して平行な(方向)成分を有している。切断部材の回転軸は、特に第1の切断平面の垂線に対して平行である。さらに、第2の切断平面の垂線は、耕起装置が規定に従って地面に支持されている場合、鉛直方向に対して平行な別の(方向)成分を有している。各垂線の間の角度は、例えば地面における所望のれき溝形成を達成するために、例えば45°~130°に選択することができる。
【0029】
第1の切断平面と第2の切断平面とが互いに約90°を有していると、第2の切断部材は、下側が切断されたれき条を第1の切断部材の方向に押圧する。これにより、耕起方向での移動中、第1の切断部材と第2の切断部材との間で、れき条を有利に処理することができる。2つの回転する機械部材、すなわち第1および第2の切断部材の協働により、好適な耕起結果または「破砕」(土塊粉砕)が提供される。さらに、牽引車牽引経路にネガティブな影響を及ぼす第1の切断部材の強力な側方牽引が、第2の切断部材の反作用によって十分に相殺される。これにより、牽引機は大きな対応制御無しに経路内に留まることになる。
【0030】
第1の切断部材は、第1の支持体構造に回転可能にまたは回動可能に取り付けられている。これに対応して、第1の切断部材は回転軸を有しており、回転軸を中心として第1の切断部材が回転する。第1の切断部材は、好適には反らされた切断プレートとして形成されており、円形の周線を有している。周線に沿って、周方向に延在する第1の切断エッジが形成されている。第1の切断エッジにより、れき条の側面領域が地面のれき溝壁から分離されると同時に、れき条は側方に導出される。周方向に延在する第1の切断エッジは、第1の切断領域を有している。第1の切断領域は、耕起方向において好適には最初に地面と接触してこれを切断する、第1の切断エッジの周方向部分である。第1の切断部材は、約500mm~約800mmの直径を有していてよい。さらに第1の切断部材は、歯列を有していてよく、中心を支持されて、好適にはキャリッジにより、第1の支持体構造と第2の切断部材とに対する位置を調整することができる。
【0031】
特に有利なのは、回転軸を中心として回転可能な第1の切断部材が反らされているか、または円錐形もしくは円錐台形を有している場合である。これにより、分離されたれき条がねじられて、先にプラウモジュールが通過したときに形成された隣のれき溝内に落とされることが保証されている。この場合、第1の切断部材の回転軸は耕起方向に対して、先行する切断部材のエッジが耕起方向に向かって下げられており、切断部材が耕起方向に対してひいては切断部材によって切断されるべきれき条に対して実質的に斜めに延在する角度に調整されている。
【0032】
第1の切断部材は、耕起装置が地面に沿って移動すると自動的に回転する。この場合、摩擦力により、第1の切断部材が移動する。この場合、第1の切断部材は、好適には、耕起中に第1の切断部材の、第1の回転軸の下側に位置する下半分のみが地面に侵入し、これにより、地面との摩擦力が回転を誘発し得るように寸法設定されている。
【0033】
反らされたまたはプレート形に形成された第1の切断部材の回転はさらに、分離されたれき条を持ち上げると同時に側方に導出させる。分離されたれき条は、特に第1の切断部材の第1の切断面と摩擦接触している。第1の切断面は、第1の切断部材の、第1の切断エッジの内側に形成されている面である。さらに第1の切断面は、分離されたれき条に向いた面である。第1の切断面は、凹凸無しで均一に形成されていてよい。さらに、第1の切断面(すなわち第1の切断部材の外周面)は、円錐形または円錐台形を形成していてよい。
【0034】
好適な実施形態では、第2の切断部材は円盤として形成されておりかつ回転可能に支持されており、この場合、第2の切断エッジは、第2の切断部材の周方向に延在するエッジにより画定されている。代替的に、第2の切断部材は、耕起方向に対して横方向に延在する切断エッジを備えた調整可能な切断カッタにより実現されていてもよい。刃に好適には歯列が設けられたこの切断部材は、好適には耕起方向に対して所定の角度で先端部をやや下方に向けられている、すなわち、耕起方向に対して90°よりも大きな角度を有している。第2の切断エッジにより、れき条の底部領域が地面のれき溝底から分離されて下側を切断され、場合により同時に持ち上げられる。回転可能なディスクにおいて周方向に延在する第2の切断エッジは、第2の切断領域を有している。第2の切断領域は、耕起方向において2番目に地面と接触してこれを切断する、第2の切断エッジの周方向部分である。
【0035】
第1の切断部材、例えば反らされたディスクは、れき条を第1の鉛直方向の層平面において、例えば地表を起点として約15~35cmの処理深さのところで切り離し、れき条を、先に形成されたれき溝内へ案内する。
【0036】
地表を起点として約15~35cmの処理深さに位置する第2の水平方向の層平面において、れき条は第2の切断部材によって水平方向に、すなわちれき溝底から切断される。
【0037】
2つの切断平面(上:回転する第1の鉛直方向の切断部材;下:第2の水平方向の切断部材)の間隔は、回転する切断部材の調整手段によって適合されてよい。
【0038】
第1の反らされた切断部材と、切断カッタまたは回転可能なディスク等の第2の扁平な切断部材とから成る有効なプラウ体は、ほぼ、地中を牽引される傾斜した蛇行平面に相当する。分離されたれき条は、第1の切断部材の内面に沿って押し上げられかつ側方に押しずらされる。この過程は、れき条の上半分の圧縮ならびにれき条の下半分の伸長を含む。その結果、れき条内に、地面の分裂を生じさせる圧縮応力、引張り応力およびねじり応力が発生する。
【0039】
本発明により、第2の切断部材を耕起方向において第1の切断部材の後方に配置することにより、さもなければ耕起装置の極度に高い所要牽引力をもたらす摩擦力を低下させることができる。れき条は、第1の切断部材によりその側面を切断されたとき、既に第2の切断部材により下側が切断されてれき溝底から分離されているため、れき条は、第1の切断部材により既に持ち上げられて反転される。第2の切断領域は、耕起方向において例えば1cm~50cm、特に15cm~25cmだけ、第1の切断領域の後方に位置している。実質的に水平方向の第2の切断ディスクまたは切断カッタは、2番目に地面と接触し、実質的に鉛直方向に配置された第1の切断ディスクまたは切断部材に向かっていわば追従または後追いする。第2の切断部材のこの配置は、れき溝壁または耕起しようとするれき条を水平方向に「下側を切断」し、これにより剥離/れき溝からの除去を大幅に容易にする。鉛直方向に配置された、反らされた第1の切断部材は、後置された第2の切断部材によって水平方向に先に切断されたれき条を、次の牽引時に鉛直方向に切り離して中空ディスクの回転動作により反転させると同時に、れき条を側方に、好適にはれき溝内に落とす。
【0040】
よって、この耕起装置は牽引し易い耕起作用を可能にする。切断部材が一緒に回転するため、従来の剛性のプラウ体に比べて、摩擦係数が大幅に低下する。この構想により、牽引し易い燃料節約型のプラウが提供され、このプラウは同時に、種まき用の苗床がほぼ完成した一定のれき溝形成を行う。加えて、中空ディスクの形態の第1の切断部材が、その中心領域の裏側に保持部を有しており、これにより中空ディスクの内側表面が実質的に平滑に保たれる、すなわち、せいぜいほとんど突出していない保持部部品しか有していないことによって、摩擦係数は低下する。
【0041】
別の例示的な実施形態では、第2の切断部材は能動的に回転可能な切断部材であり、第2の切断エッジは、第2の切断部材を取り囲む切断エッジである。この場合、第2の切断部材は、電気式または液圧式の駆動装置によって駆動または回転されることができる。
【0042】
別の例示的な実施形態では、第1または第2の切断部材の第1または第2の切断エッジは、反らされて歯列を設けられて、例えば凹状のディスクとして形成されている。反らされた構成は、第1または第2の切断エッジに凹部または隆起部(歯列)が形成されていることを意味する。これにより、れき条の切断に際して第1または第2の切断部材の改良された切断作用を達成することができる。特に、第1の切断部材を球冠状に形成することにより、球冠に沿って滑るれき条を反転させることができ、これにより、モールドボードまたはガイド板の取付けを省くことができる。有利なのは、第1の切断部材の第1の切断エッジおよび/またはディスク形の第2の切断部材の第2の切断エッジが、周に複数の凹部を有している場合である。これにより、特に容易に地面領域に侵入して地面領域に係合することにより回転可能な丸鋸刃状の構成形式が得られる。
【0043】
説明した耕起装置により、既知のプラウに比べて最大25%になり得る牽引力/燃料の節減が、この耕起装置の牽引し易さに基づき可能になる。さらに、この耕起装置は多目的に使用可能であり、あらゆる地面状況に合わせて調整することができるため、ほぼ全ての地面状況において機能する。さらに、切断プレートの回転動作に基づき、れき条が連続的に破砕される。これにより、土塊の所望の破砕(土塊粉砕)が達成される。この土塊粉砕作用により、後処理工程を減らすことができる。これは、種まき用の苗床処理までの複数の作業工程を節減する。さらに、地面が有利に混合される。さらに、肥料供給装置やディスクコールタ等の従来の標準コンポーネントまたは標準追加ツールは、最早不要である。回転式の第1および/または第2の切断部材によって、生じる摩耗がより少なくなり、これにより、生じる交換部品コストもより少なくなる。このように摩耗を防ぎながら地面を処理することにより、切断部材の、腐植土を損なう金属摩耗が、従来のモールドボードを備えた耕起装置に比べて大幅に回避または減少される。
【0044】
別の例示的な実施形態では、耕起装置は、同様に周方向に延在する別の第1の切断エッジを備えた回転可能な第1の切断部材を有する少なくとも1つの別のプラウモジュールを有しており、支持体構造が、地面の上で耕起方向に沿って移動すると、別のプラウモジュールにより、地面から別のれき条の別の側面領域を切り離すことができるようになっており、かつ別の第1の切断部材は回転可能であり、これにより別のれき条を、別の第1の切断部材により持ち上げることができるように形成されている。
【0045】
上述した実施形態により、多数のプラウモジュールを、耕起方向に見て相並んで、すなわち(水平面内で)耕起方向に対して直交する方向に沿って互いに間隔をあけて隣り合って配置できることが明示される。これにより、耕起方向に見て相並んで配置された多数のれき条を、地面から切断し、持ち上げ、場合により反転させることができる。
【0046】
多数のまたは複数の対応するプラウモジュールひいては対応する数の切断部材を耕起方向に相前後して配置した場合には、耕起方向に対して横方向における個々のプラウモジュール相互の横方向ずれに基づき、1回の牽引において単一のプラウモジュールのみが使用される場合よりも広幅の面積を、1回の牽引で耕起することができる。各切断部材が干渉しておらず、ひいてはそれらの調整された位置から旋回可能である場合もやはり、耕起装置の機能にとって有利である。これにより、例えば追従する切断部材から先行する切断部材にすることが可能である。これは、耕起装置の複数のプラウモジュールの組合せにおいて、有利には例えば地面の性質等の様々なパラメータに関して、最適な適合という意味で有意または有利であり得る。
【0047】
本発明による耕起装置により、例えば上側の回転可能な反らされた第1の切断部材自体が、ガイド板やモールドボード無しで最大15センチメートルの地面のれき条を傷めず平らに反転させることが可能になる。
【0048】
例示的な実施形態では、第1の切断部材および第2の切断部材は、それぞれの支持体構造に(例えばねじ締結を介して)交換可能に配置されている。この場合、第1の支持体構造は、耕起装置の基礎フレームに取外し可能に取り付けることができるように形成されており、これは、好適にはねじ締結を介して行われる。部材固定用に、せん断ピンも設けられていてよい。このために設けられる、孔またはピン等の取付け要素は、好適には、耕起装置用の市販の基礎フレームに適合するように調達されて配置されている。よって、プラウモジュールは、例えばプラウ体に代えて耕起装置の基礎構造体に容易に後装備することができる。
【0049】
第1の切断部材の回転に基づき、分離されたれき条は容易に持ち上げられ反転されて、れき溝に放出される。耕起装置が耕起方向に沿って移動すると、れき条は耕起方向に反転される。
【0050】
回転する第1の切断部材によるれき条の持上げに基づき、れき条はエネルギ効率良く、耕起方向においてこの切断部材の後方に落とされる。
【0051】
本発明によるプラウモジュールの特に好適な実施形態では、第2の切断部材は、固定式の切断カッタとして形成されている。この場合、切断カッタは、扁平で矩形の、真っ直ぐなまたは湾曲したナイフとして形成されており、ナイフは、第2の支持体構造の端部領域に取り付けられている。取付けは、好適にはねじ締結により行われ、これは、摩耗した場合の第2の切断部材の簡単な交換を可能にする。ナイフの刃は、その作業位置において耕起方向を向いており、一般に、この方向に対して横方向に方向付けられている。
【0052】
この構成形式の有利な変化形では、第2の切断部材の切断カッタはL字形に形成されており、この場合、切断カッタの第1のバーは、プラウモジュールの作業位置において水平方向に向けられており、第2のバーはこれに対して実質的に垂直に向けられている。よって第1のバーが、形成しようとするれき条の底部領域を切断する。一方、プラウモジュールの作業位置において垂直な第2のバーは第1の切断部材の前方に位置しており、第1の切断部材の先行エッジと実質的に同一の平面内を移動するため、第1の切断部材の地中への侵入を容易にする。既に機械的な頑健性の理由から、切断カッタは一体に形成されていることが有利である。切断カッタは一般に、表側に鋭利な刃を有する扁平なナイフの形態を有している。耕起方向に対するナイフの傾斜角度は調整可能であってよく、これにより、地中へのプラウモジュールの所望の侵入深さが達成されて保持されることが保証される。
【0053】
本発明には、請求項17記載の耕起装置も含まれ、耕起装置の基礎フレームには、本発明に基づき少なくとも1つのプラウモジュールが配置されており、好適にはこのようなプラウモジュールが6~16配置されている。この場合、プラウモジュールは、好適にはねじ締結を介して基礎フレームに固く結合されており、結合は、第1の支持体構造を介して行われる。基礎フレームと第1の支持体構造とには、孔またはねじ山付き孔等の適合する取付け要素が形成されている必要があることは自明である。代替的に、プラウモジュールをプラウの様々な基礎フレームに適合させて取り付けることができるようにするために、アダプタ部材が設けられていてもよい。つまり、プラウモジュールは基礎フレームに簡単に取り付けられるか、または例えば保守整備のために簡単に取り外される。
【0054】
以下に、本発明をさらに説明してより良好に理解するために、添付の図面を参照して複数の実施例をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】本発明の例示的な実施形態によるプラウモジュールを、その基本機能に関して示す図である。
【
図2】本発明の例示的な実施形態による耕起装置を、その耕起動作中の一般的な機能形式に関して示す概略図である。
【
図3】本発明の別の実施形態によるプラウモジュールを、その基本構成に関して示す図であり、切断カッタおよび第2の切断部材としての切断ディスクの代替的な配置が示されている。
【
図4】本発明の別の例示的な実施形態において、3つのプラウモジュールを備えた畝耕起装置として基本構成が示された本発明による耕起装置を示す図である。
【
図5】
図4に示した耕起装置の平面図であり、例示的に1つのプラウ体が、後装備の意味で本発明によるプラウモジュールと交換されている。
【
図6】別の実施例による、基礎フレームの両側に配置された2つのプラウモジュールを示す図である。
【
図7】
図6に示したユニットを、視点を変えて示す図である。
【
図8】無段式に可変の切断部材を備えた一実施例を示す図である。
【
図9】切断部材用の無段式に調整可能なアクチュエータを備えた本発明によるプラウのユニット全体を示す図である。
【
図10】追加的な切断幅調整手段を備えた、
図9に示した本発明によるプラウのユニット全体を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
異なる図面内の同一のまたは類似した構成要素には、同じ符号を付してある。各図の図面は大幅に概略化した、例示的なものに過ぎない。
【0057】
図1には、地面120を耕起するためのプラウモジュールが示されており、このプラウモジュールでは、耕起方向において、球冠状の中空ディスクの形態の第1の切断部材102が、平らな皿の形態の第2の切断部材105の前方に並んで配置されている。第1の切断部材102は、れき条の側面を切断するために設けられているのに対し、第1の切断部材102の後方に配置された第2の切断部材105は、れき溝底を切断する平らなディスクとして形成されている。2つの切断部材102,105は、支持体構造4,5を介してプラウモジュールとして組み立てられている。支持体構造4,5は基礎フレーム(図示せず)に取り付けられていてよく、この場合、第2の切断部材105は第1の切断部材102に、その支持体構造4を介して枢着結合されている。
【0058】
図1に示すプラウモジュール1の基本構成に示されているように、第1の切断領域104を備えて周方向に延在する反らされた(bombiert)第1の切断エッジ103を有する回転可能な第1の切断部材102は、第1の支持体構造4に配置されており、
図2に示すように、支持体構造4が地面120の上で耕起方向110に沿って移動すると、第1の切断エッジ103の第1の切断領域により、地面120のれき条201の側面領域202(
図2参照)を切断することができるように形成されている。耕起方向110は、耕起装置2が地面120にわたり移動する方向として規定されている。第2の切断領域107を備えた第2の切断エッジ106を有する第2の切断部材105は、第2の支持体構造5に配置されており、第2の支持体構造5は、第1の支持体構造4と解離可能に結合されており、第1の支持体構造に対して旋回可能である。第2の切断部材105は、支持体構造5が地面120の上で耕起方向110に沿って移動すると、第2の切断エッジ106の第2の切断領域により、地面120のれき条201の底部領域203を切り離すことができるように形成されており、この場合、耕起方向110において第2の切断部材105は、第1の切断部材102に対して、耕起方向において第2の切断領域が第1の切断領域の後方に配置されるように配置されている。つまり、第2の切断領域は、第1の切断領域から間隔xをあけて配置されている。切断部材102,105の角度調整用の調整アクチュエータ26(26.1,26.2および26.3)(
図6~
図9参照)は、図面を簡単にするために省かれている。
【0059】
耕起に際して、第1および第2の支持体構造4および5を備えたプラウモジュール1の基礎フレーム3は、地面120の分離面121の方向に押圧されるため、これに対応して第1の切断部材102も分離面121の方向に押圧され、これにより、第1の切断部材102は耕起中、所望の地面深さに保たれる。
【0060】
図2には、本発明の例示的な実施形態による耕起装置の、耕起動作中の主要な機能部材の概略図が示されている。この
図2は、第1および第2の切断部材102および105の正しい空間配置ならびにれき条201の形成および反転を示している。所属する耕起装置2のその他の構成部材は、見やすくするために図示されていない。
【0061】
図2に示すように、耕起に際して地面120からは、いわゆるれき条201が切り出される。れき条201は側面領域202を有しており、側面領域202に沿って第1の切断部材102が切断する。さらに、れき条201は底部領域203を有しており、底部領域203は、2つの側面領域202をつなぎかつここでは例示的にダブルL形の固定の切断カッタ6として示されている第2の切断部材105によって地面120から分離される。これに対応して、れき条201の底部領域203に接する地面120は、分離面121、いわゆるれき溝底121を有している。れき条201が切り出された後には、地面120に、れき条201の側面領域202が剥がされた、れき溝壁122を認めることができる。つまり、底部領域203は、地面120から分離された時点でのれき条201の鉛直方向最下位の水平面を規定する。れき条201の側面領域202は、地面120から分離された時点でのれき条201の側壁領域を規定する。
【0062】
図1に示すように、2つの切断部材102および105のための支持体構造4および5は、少なくとも第1の切断部材102と第2の切断部材105とを共に耕起装置2の基礎フレーム3に固く結合するように形成されている。第1の支持体構造4は、耕起装置2の基礎フレーム3を介して牽引機、例えばトラクタ等に取付け可能であり、これにより、対応して切断部材102,105を耕起方向110に沿って駆動することができる。プラウモジュール1は、例えば第1および第2の支持体構造4,5を有しており、これらは不動にまたはジョイントを介して旋回可能に形成されていてよい。
【0063】
つまり、第1および第2の支持体構造4または5は、切断部材102,105のための剛性の取付け構造体を形成している。切断部材102,105は、耕起中に切断部材102,105の各位置間の相対運動が不可能であるように、支持体構造4,5に位置固定されている。よって、本発明により第2の切断部材105がれき条201の切断に基づき地面120の方向に押圧されると、同時に第1の切断部材102も地面120に押し込まれる。なぜなら、両支持体構造4,5は、互いに固く結合されているからである。
【0064】
第1の切断部材102と第2の切断部材105とは、回転可能にそれぞれの支持体構造4または5に取り付けられている。これに対応して、第1の切断部材102は回転軸108を有しており、回転軸108を中心として切断部材102が回転する。第2の切断部材105は、第2の回転軸109を形成しており、第2の回転軸109を中心として第2の切断部材105が回転する。第1の切断部材102および第2の切断部材105は、ここでは例示的に球冠状の切断ディスクまたは扁平なディスクとして形成されており、円形の周線を有している。周線に沿って、対応して周方向に延在する第1の切断エッジ103および第2の切断エッジ106が形成されている。第1の切断エッジ103により、れき条201の側面領域202が地面120のれき溝壁122から分離される。周方向に延在する第1の切断エッジ103は、切断領域104を有している。切断領域104は、耕起方向110において最初に地面120と接触してこれを切断する、第1の切断エッジ103の周方向部分である。第2の切断エッジ106により、れき条201の底部領域203が地面120から分離される。第2の切断エッジ106の第2の切断領域は、耕起方向110において2番目に地面120と接触するかまたは第1の切断部材に追従して地面120を切断する、第2の切断部材105の周方向部分である。
図2に示す双方向矢印12は、第2の切断部材105は旋回可能に第2の支持体構造5(ここには図示せず)に支持されている、ということを示唆する。旋回は、耕起方向ひいてはプラウモジュール1の地面120内への侵入深さに対する切断カッタ6の傾斜角度の調整を可能にする。
【0065】
プラウモジュール1の前方にまたはプラウモジュール1に結合されて、回転可能なディスクコールタ13が配置されていてよく、これにより、切断カッタ6の鉛直方向の第2のバー9および第1の切断部材102の前方の地面120が先に切断されるかまたは開かれる。これにより、耕起に必要とされる牽引力が低下し、同様に切断カッタ6および後続の第1の切断部材102の摩耗も低下することになる。切断カッタは、二重刃または三重刃として水平方向と鉛直方向とに切断する。
【0066】
第1の切断部材102は、耕起装置2が地面120に沿って移動すると回転する。この場合、例えば摩擦力が切断部材102を移動させる。この場合、切断部材102は、耕起中に第1の切断部材102の、回転軸108の下側に位置する下半分のみが地面120に侵入し、これにより、地面120との摩擦力が回転を誘発するように寸法設定されている。
【0067】
第1の切断部材102の回転はさらに、分離されたれき条201の持ち上げを生じさせる。これは
図2に、耕起装置2に沿ったれき条201の掘出し方向123を示す矢印で表されている。
【0068】
分離されたれき条201は、切断部材102の切断面113と摩擦接触している。切断面113は、切断部材102の、第1の切断エッジ103の内側に形成される面または第1の切断エッジ103により取り囲まれる面である。さらに切断面113は、分離されたれき条201に向いた面である。切断面113は、
図1に示すように、凹凸無しで均一に形成されていてよい。
【0069】
回転する切断部材102によるれき条201の持上げに基づき、れき条201をエネルギ効率良く、隣接するれき溝内に放出することができる。このれき溝は、
図2に示すように、プラウモジュールが先に通った時に掘られたものである。
【0070】
この場合、
図1では、第1の切断部材102と第2の切断部材105とは互いに対して、耕起装置2が作業位置において地面120に載置された場合または地面に侵入した場合に、第1の切断部材102の切断領域104が、鉛直方向において第2の切断部材105に対して間隔を空けて配置されているかまたは第2の切断部材105の上に位置するように、支持体構造4,5に取り付けられている。
【0071】
回転する切断部材102と第2の切断部材105とは、相乗的に協働する。一方では、第2の切断部材105により所望の耕起深さが一定に保たれる。なぜなら、切り離されたれき条201が所定の押圧力/引込み力で第2の切断部材105を押圧しひいては回転する切断部材102の浮揚力に抗して作用するからである。他方では、れき条201、特にれき条201の側面または側面領域202の切断時に、回転する切断部材102のエネルギ的に有利な作用が利用される。これにより、れき溝形成の質にネガティブな影響を及ぼすことなしに、エネルギ効率の良い耕起装置2が提供されることになる。さらに、回転する第2の切断部材105は、切り離されたれき条201の、第1の切断部材102の方向への押圧を生じさせ、これにより、切り離されたれき条201の破砕が行われる。さらに、前置された第2の切断部材105によって第1の支持体構造4に導入される横方向力に基づき、この横方向力は切断中に第1の切断部材102に対して誘発される横方向力に抗して作用するため、牽引機による耕起装置2の、より簡単で改良されたガイドが可能になる。
【0072】
第1の切断部材102と第2の切断部材105とは、相対して第1の支持体構造4と第2の支持体構造5とに配置されており、第2の切断部材105の第2の切断エッジ106の、切断部材105の前半分を包囲する第2の切断領域107は、耕起方向110において、第1の切断部材102の第1の切断エッジ103の第1の切断領域104の後方に間隔xをあけて位置している。よって、耕起中にまず、回転する第1の切断部材102がれき条201の側方に当たり、第2の切断部材105の第2の切断エッジ106によってれき条201をエネルギ効率良く、残留地面120から切り離す。次いで、第1の切断部材102が第1の切断エッジ103により、れき条201の側面領域202を切断する。このとき、第2の切断部材105は、第1の切断部材102によって切断されたれき溝壁の下側を切断する。これにより、後続モジュールの後続の切断部材102は、れき条を側方において鉛直方向に切断しかつ反転させることができる。次いで、れき条201は、第1の切断部材102の湾曲した形状と、第1の切断部材102の、耕起方向に対して斜めの向きとに基づきねじられて、隣接するれき溝内に落とされる。つまり、第1の切断部材102と第2の切断部材105とはエネルギ効率良くれき条201を切断し、同時に第1の切断部材102と第2の切断部材105とは、第2の切断部材105に作用する押圧力によって所望の切断深さに保持される。
【0073】
第2の切断部材105は、所定の領域(円盤の約1/2)によってれき条201の下側を切断する。第1の支持体構造4に取り付ける取付けロッド/取付け軸(回転軸109)が配置された、第2の切断部材105の別の取付け領域は、第1の切断部材102とは反対の側で、第2の切断部材105に形成される。これにより、取付けロッド/取付け軸は耕起中、既に処理済みのれき溝内を移動することになり、これは、耕起装置2の牽引力を削減する。
【0074】
支持体構造4,5は、第1の切断部材102および/または第2の切断部材105が耕起方向110に沿ってかつ/または垂直方向に、すなわち耕起方向110に対して鉛直方向に、互いに対して調整可能であるように形成されている。例えば、第1の切断部材102は、第1の支持体構造4の長孔116に係合可能なピン結合部115を介して、支持体構造4に移動可能に取り付けられてよい。耕起方向110に沿って、切断部材102、第2の切断部材105および支持体構造4,5の各間隔を調整することにより、耕起装置2を、様々な土壌種類の特別な条件に合わせて調整することができると共に、効率を最適化して使用することができる。さらに、耕起装置2の使用後に各部材がゆがんだ場合には、各部材を後調整することができる。
【0075】
さらに支持体構造4,5は、第1の切断部材102が第1の回転軸108の方向成分に沿って、かつ第2の切断部材105が第2の回転軸109の方向成分に沿って互いに対して調整可能であるように形成されていてよい。特に、第1の回転軸108と第2の回転軸109との間の角度を調整することができる。第1の切断エッジ103は、第1の切断平面内に延在しているのに対し、第2の切断エッジ106は、第2の切断平面内に延在している。この場合、第1の切断部材102と第2の切断部材105とは、この場合は第1の切断平面と第2の切断平面とが非平行に形成されており、相対して所定の角度を有するように、互いに対してそれぞれの支持体構造4または5に取り付けられている。例えば、第1の回転軸108と第2の回転軸109との間の角度は90°未満であり、特に45°~80°である。
【0076】
これに対応して、切断部材102および/または第2の切断部材105を支持体構造4および5にフレキシブルに取り付けることにより、切断部材102の第1の切断エッジ103の切断領域104と、第2の切断部材105の第2の切断エッジ106との間の間隔を調整することができる。
【0077】
図3には、本発明の例示的な実施形態によるプラウモジュール1が示されており、この実施形態では、第2の切断部材105は代替的に、回転するディスク16として、または固定された切断カッタ6として形成されている。
【0078】
第1の切断部材102および/または第2の切断部材105は、例えばジョイントを介して旋回可能にそれぞれの支持体構造4または5に取り付けられてよく、これにより、第1の回転軸108と第2の回転軸109との間の角度を調整しかつ所望の位置に位置固定することができる。この可能性は、ここでは例示的に、第2の支持体構造5に旋回可能に支持された第2の切断部材105を第1の支持体構造4に結合する液圧シリンダまたはスピンドル15により示唆されている。ここでは例示的に反らされたエッジを備える凹状のディスクとして示された第1の切断部材102の位置も、同様に第1の支持体構造4に対して例えば液圧式に調整することができる。このような調整により、特に形成されるれき溝14の幅または両方の切断部材102および105の協働に影響を及ぼすことができる。
【0079】
図3に示す第1の切断部材102は、球冠形を有しており、かつその第1の回転軸108に、取付け平面内に形成された対応する取付け領域を有している。周方向に延在する第1の切断エッジ103は、第1の切断平面内に延在しており、この場合、取付け平面は、切断平面から回転軸108に沿って間隔をあけて配置されている。周方向に延在する第1の切断エッジ103と取付け領域との間には、切断部材102の切断面113が形成されている。
【0080】
図4は、畝耕起装置としての本発明による耕起装置2を示す図であり、その基礎フレーム3のところには、例示的に3つの本発明によるプラウモジュール1が示されている。図示の3つのプラウモジュールはそれぞれ、第1の切断部材102と、これに追従する第2の切断部材105とを有しており、第1の切断部材102と第2の切断部材105とはそれぞれ、第1の支持体構造4および第2の支持体構造5において互いに結合されて1つのまとまったプラウモジュールを形成している。この場合、第2の支持体構造5は、第1の支持体構造に旋回可能に枢着されており、したがって、第2の切断部材105は調整アクチュエータ26.3(
図6~
図9参照)により、下方の地面領域に対して少なくとも小さな、調整可能に規定可能な傾斜角度を有することができ、このようにして、必要な押圧力を耕起装置に加えて所望の耕起深さに留めることができ、かつこのようにして、中空ディスクとして形成された第1の切断部材102が、れき条の側面を切り離すための所望の深さにあることを保証することができる。矢印110により示唆する耕起方向に耕起する場合、れき条の側面を切断する、周方向に延在する切断エッジ103を備えた第1の切断部材102は、れき溝底を切断する、同様に周方向に延在する切断エッジ106を備えた第2の切断部材105に先行する。耕起装置2を例えば牽引機に結合するためには第1の連結部材20が用いられ、この場合、第1の連結部材20は、全体がバー状に形成された第2の連結部材21に枢着結合されている。第2の連結部材21は、原則として基礎フレーム3を成している。基礎フレーム3には、ジョイント19を介して複数のプラウモジュール1が取り付けられている。
【0081】
地面120にわたり牽引されると、プラウモジュールの一部は、構造上、予め規定された深さまで地面120内に侵入し、その際に生じたれき条201を掘り起こす。この場合、各プラウモジュール1は実質的に梯形にされて相並んで位置しており、これにより、
図2に認められるようにプラウモジュール1の数に対応して複数のれき条が形成される。これらのれき条201は、
図2に示すように、反転して第1の切断部材102が離れると、前方に位置する切断部材102により形成されたれき溝内に位置することになる。
【0082】
最後に
図5に上から見た図で示す耕起装置2では、6つのプラウ体24がそれぞれ対を成して相並んで配置されている。プラウ体24は、本発明によるプラウモジュール1と交換可能であることが双方向矢印で表されている。これは、取付け手間に関して特に簡単である。なぜならば、プラウモジュール1全体を、最初に耕起装置に取り付けられたプラウ体24と交換することができ、取付けの手間が大幅に増加することはないからである。本発明によるプラウモジュール1は、れき条の側面を切断する、第1の先行する切断部材102と、れき溝底を切断する、追従する切断部材105とを有している。第2の切断部材105は支持体構造5に取り付けられているのに対し、第1の切断部材102は第1の支持体構造4に取り付けられている。支持体構造4と支持体構造5とは、れき溝底に対する第2の切断部材105の傾斜角度を調整することができるようにするために第2の支持体構造5が旋回可能であるように、互いに結合されている。第1の切断部材102は、複数の自由度で変位可能であり、変位により、地面パラメータに応じてかつ別のパラメータにも関して一方では耕起幅が調整可能であり、他方では第1の切断部材102と第2の切断部材105との間の協働が調整可能である。つまり、例えば、第1の切断部材102はキャリッジ23を介して第1の支持体構造4に変位可能に取り付けられているため、第2の切断部材105により切断される平面に対して、その高さを調整することができるようになっている。
【0083】
図6に示す2つのプラウモジュール1は、基礎フレーム3の両側に取り付けられている。上述したプラウモジュール1の基本構成は支持体構造4であり、支持体構造4には第1の切断部材102が取り付けられておりかつ第2の切断部材105を支持する第2の支持体構造5が取り付けられており、この場合、第1の支持体構造4は基礎フレーム3に取り付けられている。中空ディスクとして形成された第1の切断部材102の第1の支持体構造4には、穴あき板25が配置されており、穴あき板25は、処理しようとする地面に対して実質的に垂直に向いた軸線を中心とした、第1の切断部材の旋回を可能にする。この旋回は、円盤セグメントとして形成された、穴あき板25の形態の部材が、外周部に互いに所定の間隔パターンをあけて配置された複数の穴を有していることにより実現される。これらの穴は、中空ディスク、すなわち第1の切断部材102の旋回を、穴の間隔パターンにより規定される角度寸法だけ調整するために用いられる。つまり、この実施例は、第1の切断部材102の切断角度の段階的な調整に関する。さらに、液圧式の調整アクチュエータ26.3が書き込まれており、液圧式の調製アクチュエータ26.3は、地中を移動してれき溝底を形成する際に第2の切断部材105の切断角度を調整するために、この切断角度を無段式に調整することができる。別の基本構成は、例えば
図1に関して既に説明したものに相当するため、ここで詳細を繰り返さない。加えて、
図6には、連接棒27の形態で形成された結合部材が示されている。連接棒27は、耕起装置に取り付けられた全てのプラウモジュールを、複数の旋回プレートを介して互いに結合しており、これにより、連接棒27が長手方向に動くと、全てのプラウモジュール1を、それらの切断幅に関して同時に調整することができる。この場合、連接棒27は、四角形中空成形部材として形成されており、各旋回軸線を表すピンが内部を貫通しているスリーブに、好適には溶接されている。
【0084】
図7は、
図6に示した実施例をやや異なる視点で見た図であり、第2の切断部材105の切断角度を調整するための調整アクチュエータ26.3ならびに穴あき板25が、それぞれ明確に認められる。その他の構成は、
図6に示したものに相当する。
【0085】
図8には、
図1に示した基本構成に相当するプラウモジュール1の一実施例が示されているが、ここでは、中空ディスクとして形成された第1の切断部材102の調整手段は、液圧式の調整アクチュエータ26.1および26.2によって実現される。調整アクチュエータ26.1は、第1の切断部材102の切断角度を無段式に調整するために用いられ、これは、耕起しようとする地面に対して実質的に垂直に向いた軸線を中心とした第1の切断部材102の旋回によって実現される。設けられた第2の調整アクチュエータ26.2は、実質的に耕起方向に向いた軸線を中心とした、第1の切断部材102の旋回を可能にする。各力の伝達は、平均的な当業者には自体公知であるためにここで詳しく説明する必要はない、複数の関節式のレバー部材を介して行われる。その他の基本構成は、
図1に第1のディスク部材102の調整無しで既に示して説明した本発明によるプラウモジュール1に相当する。
【0086】
完全を期すために、
図9には基礎フレーム3またはプラウブームの片側に3つずつ、6つのプラウモジュール1を備え、その他の点では
図4で説明した基本構成を有する耕起装置2が示されている。調整アクチュエータ26を備えたプラウモジュール1が明確に認められ、調整アクチュエータ26により、第1の切断部材102のダブル軸線旋回と、第2の切断部材105のシングル軸線旋回とが無段式に可能である。なぜなら、調整アクチュエータとして液圧式の調整シリンダが用いられるからである。
【0087】
図10に示す耕起装置には、プラウブーム3の両側に3つずつ、6つのプラウモジュール1が配置されている。プラウモジュール1の各対は、例えば三角形の旋回板の形態の旋回部材を介して、連接棒27の形態の結合部材に固く結合されている。連接棒27が長手方向に動くと、旋回板を介してプラウモジュールを、それらの切断幅に関して調整することができる。長手方向における連接棒27の対応する動きは、第3の液圧シリンダ28によって生じ、これにより、調整シリンダ28の調整動作時に、全ての液圧モジュールを、それらの切断幅に関して互いに同時に調整することができる。耕起装置がトラクタの取付け側30に取り付けられている、プラウを牽引するトラクタに対する、本発明による耕起装置の旋回は、自体公知の形式で、第1および第2の調整シリンダ29により横方向に調整される。第3の調整シリンダ28は、連接棒27に結合された調整シリンダ28による、耕起装置の切断幅の同時調整を生ぜしめる。その他の基本的な構成は、上述した、ゆえにその機能および配置はここで再度説明しない第1の切断部材102と第2の切断部材105とから成っている。
【0088】
プラウモジュール1のその他の機能およびその他の構成ならびに耕起装置全体については上述したため、ここでは繰り返さない。
【符号の説明】
【0089】
1 プラウモジュール
2 耕起装置
3 基礎フレーム/プラウブーム
4 第1の支持体構造
5 第2の支持体構造
6 切断カッタ
7 ジョイント
8 第1のバー
9 第2のバー
10 凹部
11 凹部
12 双方向矢印
13 ディスクコールタ
14 れき溝
15 液圧シリンダ/スピンドル
16 ディスク
17 矢印
18 ジョイント
19 ジョイント
20 第1の連結部材
21 第2の連結部材
22 旋回アーム
23 キャリッジ
24 プラウ体
25 穴あき板
26 調整アクチュエータ
26.1 調整アクチュエータ 第1の切断部材の切断角度
26.2 調整アクチュエータ 第1の切断部材の旋回角度
26.3 調整アクチュエータ 第2の切断部材の傾斜角度
27 連接棒
28 第3の調整シリンダ
29 第1および第2の調整シリンダ
30 取付け側
102 第1の切断部材
103 第1の切断エッジ
104 切断領域 第1の切断部材
105 第2の切断部材
106 第2の切断エッジ
107 切断領域 第2の切断部材
108 回転軸 第1の切断部材
109 回転軸 第2の切断部材
110 耕起方向
113 切断面
120 地面
121 分離面/れき溝底
201 れき条
202 側面領域
203 底部領域