(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】シートベルトリトラクタ
(51)【国際特許分類】
B60R 22/46 20060101AFI20240806BHJP
B60R 22/48 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
B60R22/46 166
B60R22/48 102
(21)【出願番号】P 2022530854
(86)(22)【出願日】2020-11-25
(86)【国際出願番号】 EP2020083284
(87)【国際公開番号】W WO2021105160
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】102019218306.9
(32)【優先日】2019-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100098143
【氏名又は名称】飯塚 雄二
(72)【発明者】
【氏名】ジャブッシュ、ロナルド
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102018103289(DE,A1)
【文献】特開2011-245950(JP,A)
【文献】特開2005-053422(JP,A)
【文献】特開2005-029014(JP,A)
【文献】特開2004-074860(JP,A)
【文献】特開2001-347922(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 22/00-22/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に締結され得るハウジング内に回転可能に装着されたベルトシャフト(4)であって、安全ベルト(3)が、前記ベルトシャフト(4)上に巻き付けられ得る、ベルトシャフト(4)と、
前記ベルトシャフト(4)を回転運動で駆動するための電気モータ(5)と、
前記回転運動を前記電気モータ(5)から前記ベルトシャフト(4)に伝達するギア機構(6)と
を備えるベルトリトラクタ(1)であって、
第1のブロックデバイス(18)が設けられており、前記第1のブロックデバイス(18)が、作動したときに、前記ギア機構(6)
の部分のうちの少なくとも1つをブロックし、結果として、前記ギア機構(6)を作動させ、
前記第1のブロックデバイス(18)が、信号制御アクチュエータ(13)によって作動することができ、
前記アクチュエータ(13)が、前記安全ベルト(3)の所定の引き出し加速度を超えられたときに、又は所定の車両減速度を超えられたときに、第2の機能において、第2のブロックデバイス(11)を作動させる
ことを特徴とするベルトリトラクタ(1)。
【請求項2】
前記第1のブロックデバイス(18)が、第1のブロック爪(16)を含み、前記第1のブロック爪(16)が、作動したときに、前記ハウジングに固定された第1の歯列(25)内への係合によって、前記安全ベルト(3)
の引き出し方向に前記ギア機構(6)の少なくとも1つの部分をブロックする
ことを特徴とする、請求項1に記載のベルトリトラクタ(1)。
【請求項3】
前記第2のブロックデバイス(11)が、第2のブロック爪(12)を含み、前記第2のブロック爪(12)が、作動したときに、前記ハウジングに固定された第2の歯列(21)内への係合によって、前記安全ベルト(3)
の引き出し方向に前記ベルトシャフト(4)をブロックする
ことを特徴とする、請求項
2に記載のベルトリトラクタ(1)。
【請求項4】
前記第1のブロックデバイス(18)が、第1のブロック爪(16)を含み、前記第1のブロック爪(16)が、作動したときに、前記ハウジングに固定された第1の歯列(25)内への係合によって、前記安全ベルト(3)の引き出し方向に前記ギア機構(6)の少なくとも1つの部分をブロックし、
前記第2のブロックデバイス(11)が、第2のブロック爪(12)を含み、前記第2のブロック爪(12)が、作動したときに、前記ハウジングに固定された第2の歯列(21)内への係合によって、前記安全ベルト(3)の引き出し方向に前記ベルトシャフト(4)をブロックし、
前記第1のブロックデバイス(18)及び前記第2のブロックデバイス(11)が、2つの独立した制御ディスク(19、20)を有し、前記2つの独立した制御ディスク(19、20)がそれぞれ、制御輪郭を有し、前記2つの独立した制御ディスク(19、20)がそれぞれ、歯列を有し、前記2つの独立した制御ディスク(19、20)が、回転可能に装着されており、前記2つの独立した制御ディスク(19、20)には、前記ベルトシャフト(4)に対してばね(22、23)によってばね荷重がかけられており、
前記第1のブロック爪(16)及び前記第2のブロック爪(12)が、前記制御輪郭に係り、前記制御ディスク(19、20)に対する運動が実行されたときに、前記制御輪郭によって強いられた運動を実行し、前記アクチュエータ(13)が、信号制御された様式で偏向することができるブロックレバー(33)を有し、前記制御ディスク(19、20)の前記歯列内に係合することによって、及び前記ばねの力に抗して強いられた前記ブロック爪(16、12)に対する前記制御ディスクの運動によって、前記第1のブロックデバイス(18)及び前記第2のブロックデバイス(11)を作動させる
ことを特徴とする、請求項
1に記載のベルトリトラクタ(1)。
【請求項5】
前記ギア機構(6)が、遊星ギア機構(9)によって形成されている
ことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項の記載のベルトリトラクタ(1)。
【請求項6】
前記ベルトシャフト(4)が、共同回転のために遊星キャリア(27)に接続されており、前記遊星キャリア(27)が、複数の歯列付き遊星ギア(28)のキャリアであり、前記複数の歯列付き遊星ギア(28)が、前記キャリア上に回転可能に装着されており、
前記第1のブロックデバイス(18)によってブロックされ得る前記部分が、歯列付きリングギア(10)であり、前記遊星ギア(28)
の歯列が、前記歯列付きリングギア(10)内に噛合する
ことを特徴とする、請求項5に記載のベルトリトラクタ(1)。
【請求項7】
前記遊星ギア機構(9)が、多段遊星ギア機
構である
ことを特徴とする、請求項5又は6に記載のベルトリトラクタ(1)。
【請求項8】
前記遊星ギア機構(9)の前記段が、同一の直径を有する太陽ギア(15)と、同一の直径を有する遊星ギア(28)とを有する
ことを特徴とする、請求項7に記載のベルトリトラクタ。
【請求項9】
前記ギア機構(6)が、セルフロッキングである
ことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のベルトリトラクタ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルの特徴を有するベルトリトラクタに関する。
【0002】
ベルトリトラクタは、基本的構成要素として、耐荷重フレームと、ベルトリールとを有し、ベルトリールは、フレーム内に回転可能に装着されており、安全ベルトが、ベルトリール上に巻き付けられ得る。フレームは、ベルトリールを装着するように機能するのみでなく、座席構造体又は車両構造体への締結のためにも機能し、このために、フレームは、U字形状フレームに屈曲した対応する厚さの鋼板から作製されている。
【0003】
安全ベルト装置を有する車両座席は、例えば、コンバーチブル内の前座席としての使用において既知であり、少なくとも、安全ベルト装置のベルトリトラクタは、車両座席の背もたれ内に締結されている。この場合、耐荷重Bピラーの欠如に起因して、及び後座席へのアクセスに関する理由から、又は後部車両構造体からの距離に関する理由から、ベルトリトラクタは、好ましくは、車両座席の背もたれ内に組み込まれており、したがって、これはまた、拘束の場合に作用する引張力を吸収するように設計されなければならない。ベルトリトラクタ自体は、標準的なベルトリトラクタの全ての基本的構成要素を有し、自己整合性慣性センサなどの、特に背もたれ内の設置のために設けられた様々な追加的サブアセンブリのみを装備する。
【0004】
車両座席の基本的設計において、車両座席は、いくつかの耐荷重構造部品から成る座席構造体を有し、耐荷重構造部品は、車両座席を車両構造体に締結するように機能する。座席構造体は、座り心地を改善するためにばね及び緩衝材を装備し、座席構造体はまた、関連する電気モータを含む様々な座席調節機構などの更なる構成要素、並びに加熱装置、センサ、表示部、及びヘッドレストなどの更なる構成要素の締結のために使用される。
【0005】
自律運転システムを有する現代の車両では、車両の乗員が、例えば、他の乗員とのより有意義なコミュニケーション、長時間のより集中的な休息期間、又は更には仕事のために、自律運転によって得られる自由を使用することができ、これに応じて車両座席を向けることができるように、様々な向き及び位置における車両座席のより大きい調節性の要求が高まっている。結果として、安全ベルト装置、及び、特にベルトリトラクタは、以前のように車両構造体に締結されるのではなく、むしろ、例えばコンバーチブルの前座席の場合に既にあるように車両座席に締結される必要がある。
【0006】
更に、現代の安全ベルト装置内のベルトリトラクタには、電気モータが設けられており、電気モータは、作動したときに、例えば、巻き付け方向での可逆的ベルト締め付けのためにベルトシャフトを駆動する。電気モータはまた、フレームに締結されており、駆動シャフトがベルトシャフトの回転軸に平行に向けられた状態で、ベルトシャフトの横方向に配置されている。更に、ベルトシャフトと電気モータとの間にギア機構を設けることが知られており、ギア機構によって、電気モータの回転速度は、ベルトシャフトの所定の回転速度に変換される。ギア機構の使用はまた、高い回転速度を有する可能な限りコンパクトな電気モータを使用することを可能にする。したがって、全般的に、増加した設置スペース要件を有するベルトリトラクタが、ギア機構によって可能にされたコンパクトな電気モータの使用にもかかわらず、製造されている。このようなベルトリトラクタは、例えば、国際公開第03/099619(A2)号から既知である。
【0007】
ベルトシャフトが様々な回転速度及びトルクで駆動される場合、更なるギア段が設けられなければならず、これは、設置スペース要件を更に増加させる。このようなベルトリトラクタは、例えば、独国特許第19927731(C2)号から既知である。
【0008】
車両座席の座席構造体上又は概して非常に小型な車両内において使用可能な設置スペースは、サイズが非常に制限されており、設計上の理由から、所望に応じて、設置スペースを拡張することができないため、車両座席上又は更には小型車両におけるこのようなベルトリトラクタの配置は、一般に問題となる。
【0009】
この背景に対して、本発明の目的は、低減された設置スペース要件を有しつつ電気モータ及びギア機構を有する改善されたベルトリトラクタを作製することである。
【0010】
目的を達成するために、請求項1の特徴を有するベルトリトラクタが提案されている。本発明の更なる好ましい展開は、従属請求項、図、及び関連する説明から得られ得る。
【0011】
本発明の基本的概念によれば、請求項1に記載のように、第1のブロックデバイスが設けられており、第1のブロックデバイスが、作動したときに、ギア機構の部分のうちの少なくとも1つをブロックし、これによって、ギア機構を作動させ、ブロックデバイスが、信号制御アクチュエータによって作動することができ、アクチュエータが、安全ベルトの所定の引き出し加速度が超えられたときに又は所定の車両減速度が超えられたときに、第2の機能において、第2のブロックデバイスを作動させることが提案されている。
【0012】
第1のブロックデバイスを介してギア機構の部分をブロックすることによって、ギア機構は、安全ベルトに作用する別の回転速度又は別の引張力を伝達するように切り替えられ、その後、電気モータは、別の機能のために実際に使用される。したがって、第1の機能において、ギア機構の部分が第1のブロック装置によってブロックされていないときに、ベルトストラップは、例えば、バックルが外された後の留置位置内への引き込みのために、低い引き込み力で巻き付けられ得る。この場合、安全ベルト自体の重量及び摩擦力以外の克服されるべき反力は、安全ベルトによって適用されておらず、非常に低い引き込み力が完全に十分である。ギア機構を切り替えるために、ギア機構の第1の部分がブロックされ、したがって、第1の力伝達経路がさえぎられ、このため、回転運動は、その後、ギア機構の作動のみにより、異なる回転速度で伝達される。回転速度が低減された場合、例えば、電気モータを非常により高い回転速度で動作させることが可能であり、次いでギア機構を介してこの高い回転速度をより低い回転速度に低減することが可能であるが、非常により高い引き込み力が、例えば可逆的ベルト締め付けのために、伝達される。本発明によれば、ギア機構を切り替えるために又は第1のブロック装置を作動させるために、アクチュエータが使用され、加えて、アクチュエータはまた、所定のベルトストラップ引き出し加速度又は車両減速度が検出されたときに第2のブロックデバイスを作動させるために、すなわち、法定要件に従ってベルトシャフトをブロックするために使用される。換言すれば、1つの更なるブロックデバイスのみが、ギア機構を切り替えるために設けられており、次いで、この更なるブロックデバイスは、ギア機構を切り替えるための対応する信号の存在下で、既に存在するアクチュエータによって作動する。
【0013】
好ましくは、第1のブロックデバイスは、第1のブロック爪を含み、第1のブロック爪は、作動したときに、ハウジングの第1の歯列内への係合によって、安全ベルトの引き出し方向にギア機構の少なくとも1つの部分をブロックする。
【0014】
更に、第2のブロックデバイスは、好ましくは、第2のブロック爪を含み、第2のブロック爪は、作動したときに、ハウジングの第2の歯列内への係合によって、安全ベルトの引き出し方向にベルトシャフトをブロックする。
【0015】
第1のブロックデバイス及び第2のブロックデバイスが、2つの独立した制御ディスクを有し、2つの独立した制御ディスクがそれぞれ、制御輪郭(control contour)を有し、2つの独立した制御ディスクがそれぞれ、歯列を有し、2つの独立した制御ディスクが、回転可能に装着されており、2つの独立した制御ディスクには、ベルトシャフトの巻き出し方向にばねによってばね荷重がかけられており、第1のブロック爪及び第2のブロック爪が、制御輪郭に係り(bear against)、ブロック爪に対する制御ディスクの運動が実行されたときに、制御輪郭によって強いられた運動を実行し、アクチュエータが、信号制御された様式で偏向することができるブロックレバーを有し、制御ディスクの歯列内に係合することによって、及びばねの力に抗して強いられた制御ディスクの相対運動によって、第1のブロックデバイス及び第2のブロックデバイスを作動させることが更に提案されている。
【0016】
全体として、これによって、非常にコンパクトな設計のベルトリトラクタが実現され得、ベルトリトラクタにおいて、1つの同じアクチュエータが、両方のブロックデバイスを作動させるために使用される。制御ディスク及び2つのブロック爪は、構造的に同一であり得、したがって、ブロックデバイス及び制御ディスクの同一の構造が、これらのアセンブリに関連して実現される。
【0017】
ギア機構が、遊星ギア機構によって形成されていることが更に提案されている。遊星ギア機構は、遊星ギア機構が、高い減速比を有するのと同時に非常にコンパクトな構造を可能にすることを特徴とする。
【0018】
この場合、ベルトシャフトは、好ましくは、共同回転(conjoint rotation)のために遊星キャリアに接続されており、遊星キャリアは、複数の歯列付き遊星ギアのキャリアであり、複数の歯列付き遊星ギアは、キャリア上に回転可能に装着されており、第1のブロック装置によってブロックされ得る部分は、好ましくは、歯列付きリングギアであり、遊星ギアの歯列は、歯列付きリングギア内に噛合する。したがって、リングギアは、ギア機構の切り替え部分を形成し、ギア機構の切り替え部分は、非ブロック状態において、ベルトシャフトに対して回転することができ、このため、ギア機構は、アセンブリとして又はブロックとして駆動運動を実行することができる。この場合、電気モータの回転駆動運動は、ベルトシャフトに1:1で伝達される。リングギアのブロックによってのみ、遊星ギアは、更なる動作駆動トルクに起因して、リングギアに対して回転し回るように強いられる。したがって、ギア機構が、実際に作動し、電気モータの回転駆動運動は、遊星段を介してベルトシャフトのより低い回転速度に低減される。
【0019】
特に、遊星ギア機構は、多段遊星ギア機構、好ましくは、3段遊星ギア機構であり得る。ギア機構の多段構成の結果として、更に増加した減速比は、ギア機構の外法寸法、特に外径がこれによって増加せずに、実現され得る。
【0020】
遊星ギア機構の段はそれぞれ、同一の直径を有する太陽ギアと、同一の直径を有する遊星ギアとを有することができる。段のそれぞれは、同じ減速比を有し、このため、ギア機構が作動したときに、同一の荷重条件が、段において作用する。更に、部品の数が増加し得、これによって、1部品あたりの関連する製造コストが低減され得る。加えて、同一の外径を有する多段を有するギア機構のコンパクトな設計が、これによって実現され得る。
【0021】
更に、ギア機構は、好ましくは、セルフロッキングであることができ、このため、ギア機構は、セルフロッキング機構が克服されるまで、ブロック又はアセンブリとして駆動され得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明について、添付の図を参照して、好ましい実施形態を使用して以下で説明する。図は以下を示す。
【
図1】閉鎖されたハウジングを有する、本発明によるベルトリトラクタを示す図である。
【
図2】本発明によるベルトリトラクタの分解立体図である。
【
図3】本発明によるベルトリトラクタの断面図である。
【0023】
図1は、2部式の閉じたハウジング2を有する、本発明によるベルトリトラクタ1を示す。ハウジング2は、出口開口7を有し、安全ベルト3は、出口開口7を通って外向きに延びる。ベルトリトラクタ1は、細長い形態で非常にコンパクトに意図的に設計されており、このため、ベルトリトラクタ1はまた、制限された設置スペース条件において、例えば、背もたれの上部などにおいて配置され得る。ベルトリトラクタ1は、例えば、座席構造体に締結されたハウジング2を介して車両に固定されており、ベルトリトラクタ1介して、事故中に発生する拘束力が、次いで吸収される。しかしながら、ベルトリトラクタ1はまた、それが乗員の拘束にとってより好ましい場合、又はそれが車両のより好ましい製造の観点で有利である場合、車両の他の限られたスペース内に配置され得る。ハウジング2は、2つのハーフシェルから2部式に管状形態で形成されており、閉じた断面を有し、ベルトリトラクタ1を車両に締結することに加えて、以下に記載するベルトリトラクタ1の更なる構成要素を保護及び保持するために使用される。
【0024】
図2は、ハウジング2を有さない、ベルトリトラクタ1の個々の部品を有するベルトリトラクタ1の分解立体図である。
図3は、ハウジング2を有するベルトリトラクタ1の断面図である。ベルトリトラクタ1は、複数のウェブ24を有し、複数のウェブ24は、ハウジング2内に支持されており、ハウジング2内の構成要素を支持及び保持するために使用される。更に、ウェブ24は、ハウジング2を有するアセンブリ全体の剛性をもたらし、このため、吸収されるべき力は、より良好に吸収され得、車両構造体内に導入され得る。
【0025】
安全ベルト3は、ベルトシャフト4上に巻き付けられており、ベルトシャフト4には、駆動ばねアセンブリ8の駆動ばねによって安全ベルト3の巻き付け方向にばね荷重がかけられており、駆動ばねアセンブリ8は、ウェブ24のうちの1つを介してハウジング2上に支持されている。ベルトシャフト4はまた、プロファイルヘッド17を有し、プロファイルヘッド17は、ベルトシャフト4と一体的に形成されており、第2のブロック爪12のキャリアであり、第2のブロック爪12は、プロファイルヘッド17上に旋回可能に装着されている。更に、ベルトシャフト4は、両方の側に装着されており、これらの場合のそれぞれで、ウェブ24上に装着されており、図の右側のウェブ24には、加えて、2つの歯列21及び35が設けられており、2つの歯列21及び35はそれぞれ、ベルトシャフト4上の安全ベルト3の巻き付け方向に向けられている。更に、第2の制御ディスク20が設けられており、第2の制御ディスク20は、
図3にのみ示す湾曲した凹部の形態の制御輪郭34と、径方向外側上の安全ベルトの引き出し方向に反して向けられた歯列とを有する。第2のブロック爪12は、ピン31で第2の制御ディスク20の第2の制御輪郭34内に係合し、これによって、第2の制御ディスク20内への運動に関して結合されている。更に、第2のばね23が設けられており、第2のばね23は、ベルトシャフト4のプロファイルヘッド17上の一方の端において保持されており、第2のブロック爪12のピン31上の他方の端において保持されている。第2のばね23は、第2のばね23が第2のブロック爪12をプロファイルヘッド17に向かって引き込み、このため、第2のブロック爪12が歯列21内に係合せず、したがって、ベルトシャフト4がブロックされないように形状を有する。更に、第2の制御ディスク20には、加えて、ばね荷重がかけられた第2のブロック爪がピン31で凹部34内に係合することによって、安全ベルト3の巻き出し方向にばね荷重がかけられている。第2の制御ディスク20には、旋回可能な慣性質量36が更に設けられており、慣性質量36には、第2の制御ディスク20に向かって旋回した位置内へばね(図示せず)を介してばね荷重がかけられている。慣性質量36は、WSセンサデバイスを形成し、第2の制御ディスク20に対して旋回し、これによって、ばねの設計によって定義されたベルトストラップ引き出し加速度が超えられたときに、右側のウェブ24の歯列35内へ移る。歯列35内への係合の結果として、第2の制御ディスク20は、ハウジング2及び回転ベルトシャフト4に対して停止し、この結果、次いで、第2のブロック爪12は、制御輪郭34内に係合するピン31に起因して、外向き運動をするように強いられる。この外向き運動の結果として、第2のブロック爪12は、ウェブ24の歯列21と係合し、その後、ベルトシャフト4は、引き出し方向での更なる回転に対してブロックされる。
【0026】
更に、アクチュエータ13のためのホルダ29が、ウェブ24上に設けられており、歯列21及び35は、ウェブ24上に設けられており、アクチュエータ13は、ブロックレバー33を有し、ブロックレバー33は、アクチュエータ13の通電によって、偏向した位置内へのばね力に抗する旋回運動をするように強いられる。偏向した位置では、ブロックレバー33は、ブロックレバー33の先端で第2の制御ディスク20の歯列内に係合し、これによって、第2の制御ディスク20をベルトシャフト4、プロファイルヘッド17、及び第2のブロック爪12に対して停止させる。第2の制御ディスク20及び第2のばね23と一緒に、第2のブロック爪12は、第2のブロックデバイス11を形成し、第2のブロックデバイス11は、上記のシーケンスに従って作動し、作動状態にあるときに、ベルトシャフト4を引き出し方向にブロックする。この場合、アクチュエータ13は、所定の車両減速度を超えることの関数として生成される信号を介して作動する。このために、外部センサデバイスが、好ましくは、車両構造体上に設けられている。このセンサデバイスはまた、CSセンサと称される。
【0027】
ベルトリトラクタ1は、電気モータ5と、円筒形の外形を有するギア機構6とを更に備える。ベルトシャフト4、ギア機構6、及び電気モータ5は、互いに対して同軸及び直列に配置されており、これによって、細長い基本的構造体を形成し、基本的構造体の最大外径は、ハウジング2を除いて、安全ベルト3がベルトシャフト4上に完全に巻き上げられた状態で、ベルトシャフト4によって画定される。
【0028】
電気モータ5は、ウェブ24のうちの1つを介してハウジング2上に支持されており、電気モータ5から軸方向に出るシャフト14を有する。シャフト14は、シャフト14の端部において共同回転のために第1の太陽ギア15に接続されており、シャフト14は、第1の太陽ギア15と共に、ギア機構6内に延びる。ギア機構6において、第1の太陽ギア15は、好ましくは3つの第1の遊星ギア37と噛合係合し、3つの第1の遊星ギア37は、第1の遊星キャリア38上に回転可能に装着されており、更なる第2の太陽ギア41が、第1の遊星キャリア38上に設けられている。第2の太陽ギア41は、3つの第2の遊星ギア39と噛合係合し、3つの第2の遊星ギア39は、第2の遊星キャリア40上に回転可能に装着されている。第2の遊星キャリア40上には、更なる第3の太陽ギア42があり、更なる第3の太陽ギア42は、3つの更なる第3の遊星ギア28のセットと噛合係合する。第3の遊星ギア28は、第3の遊星キャリア27上に回転可能に装着されており、第3の遊星キャリア27は、共同回転のためにベルトシャフト4に接続されている。3つの遊星キャリア41、42、及び27はそれぞれ、軸方向突出ジャーナルを有し、軸方向突出ジャーナルは、同一の直径上に配置されており、遊星ギア37、39、及び28は、軸方向突出ジャーナル上に回転可能に装着されている。更に、遊星ギア37、39、及び28はそれぞれ、同一の直径を有し、太陽ギア15、41、及び42は、同一の直径を有する。遊星ギア37、39、及び28は、遊星ギア37、39、及び28の径方向外側上でリングギア10の内部歯列内に噛合し、リングギア10は、同時に、ギア機構6のためのハウジングを形成する。
【0029】
リングギア10は、軸方向に一定の外径を有する径方向外側上の円筒形の側面と、より小さい外径を有する段状の軸方向拡張部43とを有し、第1のブロック爪16は、拡張部43上に旋回可能に装着されている。更に、第1の制御ディスク19には、湾曲した凹部の形態の制御輪郭32が設けられており、第1のブロック爪16は、ピン30で制御輪郭32内に係合する。更に、ばね22が設けられており、ばね22は、一方の端によってリングギア10に接続されており、他方の端によって第1のブロック爪16のピン30に接続されている。ばねは、ばねが、第1のブロック爪16をリングギア10に向かって引き込み、同時に、安全ベルト3の巻き出し方向に第1の制御ディスク19にばね荷重をかけるように設計されている。リングギア10は、拡張部43及び第1のブロック爪16と共に、ウェブ24内の開口を通って延び、ウェブ24には、内部歯列25が設けられている。ばね22は、第1のブロック爪16をリングギア10に向かって引き込むため、第1のブロック爪16は、ばね22が弛緩状態にあるときに、歯列25と係合しておらず、リングギア10は、ハウジング2及びウェブ24に対して自由に回転することができる。
【0030】
アクチュエータ13は、アクチュエータ13上に設けられたブロックレバー33が、旋回して外れたときに、第2の制御ディスク20の歯列内にのみでなく、第1の制御ディスク19の歯列内にも移動するように配置されている。結果として、第1の制御ディスク19はまた、引き出し方向でのリングギア10の回転運動に対してブロックされ、第1の制御ディスク19がリングギア10に対して停止したときに、第1のブロック爪16は、ばね22の力に抗して、制御運動のためにウェブ24の歯列25内へ強いられる。
【0031】
ウェブ24内の第1の制御ディスク19、ばね22、及び歯列25と一緒に、第1のブロック爪16は、第1のブロックデバイス18を形成する。ばね23、第2の制御ディスク20、慣性質量36、歯列21、及び歯列35と一緒に、第2のブロック爪12は、第2のブロックデバイス11を形成する。第1のブロックデバイス18及び第2のブロックデバイス11の両方は、ブロックプロセスを作動させる同じ原理に従って機能する。1つの同じアクチュエータ13は、ブロックプロセスを作動又はトリガするために使用され、このため、特にコンパクトな構造のベルトリトラクタ1が、実現され得る。アクチュエータ13は、好ましくは、信号制御アクチュエータ13であり、信号制御アクチュエータ13は、外部で生成された電気信号によって作動することができ、このため、信号制御アクチュエータ13は、車両の電気制御システム内に統合され得る。このようなアクチュエータ13は、例えば、本例示的実施形態のように、電磁石と、電磁石が励磁されたときに偏向することができるブロックレバー33とによって形成され得る。
【0032】
電気モータ5が作動したときに、ベルトリトラクタ1は、第1の機能において、バックルが外された後、100~200rpmの低い回転速度及び約5~30Nの低い引き込み力の低い引き込み力で安全ベルト3を留置位置内に巻き上げ(巻き付け補助)、これによって、駆動ばねアセンブリ8の駆動ばねをサポートするように動作することができる。したがって、駆動ばねアセンブリ8内の駆動ばねは、安全ベルト3の機能的に信頼できる巻き付けを結果として危うくすることなく、非常により低い引き込み力で設計され得る。逆に、これは、著しくより低い引き込み力を有する駆動ばねが使用されてもよいことを意味し、これによって、適用された状態での安全ベルト3の著しくより大きい着用快適性が、実現され得る。この機能を巻き付け補助として実現するために、電気モータ5は、歯列内の遊星ギア機構9の構成要素が互いに対する運動を実行することなく、ギア機構6全体をアセンブリとして駆動する。遊星ギア機構9は、ブロックとして回転し、プロセスにおいて、電気モータ5の回転駆動運動をベルトシャフト4に1:1の伝達率で伝達する。ギア機構6は、実際に、作動停止する。
【0033】
電気モータ5が、起こり得る事故の事前段階で可逆的ベルト締め付けを実行するように作動する場合、電気モータ5は、より高い電流供給によって5000~30000rpmの回転速度で駆動される。この場合、ベルトの弛みは、安全ベルト3において克服される反力が、低い引き込み力での安全ベルト3の更なる締め付けがもはや不可能である程度に上昇するまで、非常に短い初期段階において1:1の伝達比で再び引き出される。したがって、第3の遊星キャリア27は、ベルトシャフト4を介してブロックされ、引き込み方向での更なる回転運動を実行することができない。しかしながら、同時に、第3の遊星キャリア27上に回転可能に装着された遊星ギア28は、第3の太陽ギア42を介して回転運動で更に駆動される。第3の遊星ギア28は、第3の遊星ギア28自体の回転軸を中心として依然として回転することができるが、ブロックされた第3の遊星キャリア27に起因して、それ以上回ることができないため、第3の遊星ギア28のトルクは、リングギア10の内部歯列上に支持されている。したがって、第3の遊星ギア28は、第3の遊星ギア28が、安全ベルト3の引き出し方向での回転運動で内部歯列を介してリングギア10を駆動するときに、回転運動のみを実行することができる。リングギア10のこの回転運動はまた、ばね22及び第1のブロック爪16を介して第1の制御ディスク19に伝達される。
【0034】
可逆的ベルト締め付けのための電気モータ5へのより高い電流供給は、信号に基づいて起こり、信号は、特性変数を感知することによって起こり、特性変数に基づいて、事故事前段階、すなわち、危険な運転状況の存在が、推定され得る。次いで、この信号はまた、アクチュエータ13を作動させるために使用され得、このため、アクチュエータ13のブロックレバー33は、既に旋回して出ており、又は直接旋回して出ており、第1の制御ディスク19の歯列内に係合することによって、引き出し方向でのリングギア10に対する第1の制御ディスク19の更なる回転運動をブロックする。結果として、第1のブロック爪16は、制御運動のためにウェブ24の歯列25内へ強いられ、その後、リングギア10は、安全ベルト3の引き出し方向での更なる回転運動に対してブロックされる。次いで、リングギア10のこのブロックは、遊星キャリア38、40、及び27、並びに遊星キャリア38、40、及び27上に回転可能に装着された遊星ギア37、39、及び28が、リングギア10に対して回る又は回転するときにのみ、電気モータ5の回転駆動運動が、次いで、更に伝達され得ることを意味する。したがって、遊星ギア機構9の段は、実際に作動し、5000~30000rpmのシャフト14の回転運動は、i=30~80の減速比で、60~10000rpmの第3の遊星キャリア27のより低い回転速度に低減される。同時に、ベルトシャフト4上に、したがって、安全ベルト3上に加えられた引き込み力は、これによって150~800Nに増加する。リングギア10O及びリングギア10Oに結合された第1の制御ディスク19の回転方向での短時間の反転は、ここでは、第1の制御ディスク16の歯列内に係合し第1の制御ディスク19をブロックするブロックレバー33によって、第1のブロック爪16のブロック運動をトリガするためにのみ、使用され、ブロック運動をトリガするのに必要とされる相対運動は、第1の制御ディスク19に対する引き出し方向でのリングギア10の連続回転によって実現される。ギア機構6を作動停止するためには、電気モータ5が作動停止し、安全ベルト3に加えられた引き込み力が減少し、したがって、安全ベルト3が実際に再び緩められれば十分である。引き出し方向でのベルトシャフト4及びリングギア10の結果として生じる回転運動に起因して、第1のブロック爪16は、ウェブ24の歯列25から係合解除し、リングギア10は、再び解放される。
【0035】
第1のブロックデバイス18及び第2のブロックデバイス11は、共通のアクチュエータ13によって作動する。第1のブロックデバイス18が可逆的ベルト締め付け中に作動したときに、ベルトシャフト4は、巻き付け方向に駆動され、このため、第2の制御ディスク20はまた、引き込み方向に回転し、したがって、第2のブロックデバイス11は、意図的に作動しないため、これらの機能は、互いに妨げない。逆の場合、すなわち、第2のブロックデバイス11が作動したときに、ベルトシャフト4、したがって、また、第1の制御ディスク19はまた、第1のブロック爪16への結合を介して、引き出し方向に短時間回転する。この場合、第1のブロックデバイス18は作動することができるが、ギア機構6は、作動した第2のブロックデバイス11による力の流れから除外されているため、リングギア10のブロックの可能性は不利でない。