(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】位置推定システムおよびそれに用いる情報端末、位置推定方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/123 20060101AFI20240806BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20240806BHJP
G01C 21/36 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G08G1/09 H
G01C21/36
(21)【出願番号】P 2022539948
(86)(22)【出願日】2020-07-31
(86)【国際出願番号】 JP2020029459
(87)【国際公開番号】W WO2022024351
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2022-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】橋本 康宣
(72)【発明者】
【氏名】桑島 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】奥山 宣隆
(72)【発明者】
【氏名】秋山 仁
(72)【発明者】
【氏名】吉田 進
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-194836(JP,A)
【文献】特開2017-211954(JP,A)
【文献】特開2019-191914(JP,A)
【文献】特開2005-332143(JP,A)
【文献】特開2015-108871(JP,A)
【文献】特開2019-016150(JP,A)
【文献】特開2002-092792(JP,A)
【文献】特開2018-036920(JP,A)
【文献】国際公開第2010/035434(WO,A1)
【文献】特開2007-049513(JP,A)
【文献】特表2019-530937(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/123
G08G 1/09
G01C 21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
識別情報を伴った無線信号を送信する機能を有する第1情報端末と前記無線信号の受信強度を測定する機能を有する第2情報端末を備え、
前記第2情報端末は、通信網を介して前記第1情報端末から受信した前記第1情報端末の位置に関する情報に基づいて地図上に前記第1情報端末に対応するマークを表示し、
前記第1情報端末又は前記第2情報端末の少なくともいずれかが移動することにより、通信網を介さずに前記第2情報端末が前記第1情報端末からの前記無線信号を受信できるようになると、前記第2情報端末は、通信網を介さずに受信した前記第1情報端末からの前記無線信号の受信強度を測定し、
前記第1情報端末と前記第2情報端末の少なくとも一方が移動距離を測定し、
前記第1情報端末と前記第2情報端末の少なくとも一方が、前記移動距離に対する前記無線信号の受信強度の変化から、前記第1情報端末と前記第2情報端末の相対的位置関係を推定し、前記推定された相対的位置関係に基づいて前記地図上に前記第1情報端末に対応するマークを表
示し、
前記推定された相対的位置関係に基づいて表示されるマークの形態を前記受信強度の強さに応じて変更することを特徴とする位置推定システム。
【請求項2】
請求項1に記載の位置推定システムであって、
前記第1情報端末または前記第2情報端末の一つが車であることを特徴とする位置推定システム。
【請求項3】
請求項1に記載の位置推定システムであって、
前記受信強度が前記移動距離の関数に比例するとして、前記移動距離に対する前記受信強度の測定値を用いて、パラメータフィッティングにより前記相対的位置関係の推定を行うことを特徴とする位置推定システム。
【請求項4】
請求項3に記載の位置推定システムであって、
前記関数が、前記移動距離の2次多項式の逆数であることを特徴とする位置推定システム。
【請求項5】
請求項3に記載の位置推定システムであって、
前記関数が、周囲の建造物の状況により切替えられることを特徴とする位置推定システム。
【請求項6】
請求項1記載の位置推定システムであって、
前記第1情報端末または前記第2情報端末の一つが車であるか車に搭載されており、
前記相対的位置関係の推定値に基づき、前記車の制御装置が該車の速度制御を行うことを特徴とする位置推定システム。
【請求項7】
請求項1記載の位置推定システムであって、
前記第1情報端末は備えるカメラにより前記推定された相対的位置関係に基づき前記第2情報端末の画像が含まれる第1カメラ画像を取得し前記第2情報端末に送信し、
前記第2情報端末は受信した前記第1カメラ画像に含まれる前記第2情報端末を特定し、特定された前記第2情報端末の前記第1カメラ画像における位置情報を前記第1情報端末に送信し、
前記第1情報端末は受信した前記第1カメラ画像における位置情報により前記第2情報端末の位置を特定することを特徴とする位置推定システム。
【請求項8】
請求項1に記載の位置推定システムであって、
前記推定された相対的位置関係により前記第1情報端末と前記第2情報端末とが所定の距離以下であると判定される場合、前記第2情報端末は、前記第2情報端末が備えるカメラにより取得した第2カメラ画像と前記無線信号に含まれる識別情報とを用いて照合処理を行い、前記第2カメラ画像に表示される複数の対象物から前記第1情報端末に対応する一の対象物を特定することを特徴とする位置推定システム。
【請求項9】
請求項8記載の位置推定システムであって、
前記第2カメラ画像に表示される複数の対象物のうち、前記第1情報端末に対応する一の対象物を他の対象物と区別して表示するように制御することを特徴とする位置推定システム。
【請求項10】
請求項1記載の位置推定システムであって、
前記第1情報端末と前記第2情報端末の一方が撮影機能を有し、
撮影した画像を相手情報端末において表示することを特徴とする位置推定システム。
【請求項11】
請求項1記載の位置推定システムであって、
前記第1情報端末と前記第2情報端末の一方が撮影機能を有し、
前記第1情報端末と前記第2情報端末のもう一方が光信号の送信機能を有し、
光信号により送信される識別情報を、撮影した画像を用いて復元し、光信号を送信する前記第1情報端末または前記第2情報端末の画像中の位置を特定することを特徴とする位置推定システム。
【請求項12】
識別情報を伴った無線信号を送信する機能を有する第1情報端末と前記無線信号の受信強度を測定する機能を有する第2情報端末を備える位置推定システムにおける位置推定方法であって、
前記第2情報端末により、通信網を介して前記第1情報端末から受信した前記第1情報端末の位置に関する情報に基づいて地図上に前記第1情報端末に対応するマークを表示するステップと、
前記第1情報端末又は前記第2情報端末の少なくともいずれかが移動することにより、通信網を介さずに前記第2情報端末が前記第1情報端末からの前記無線信号を受信できるようになると、前記第2情報端末により、通信網を介さずに受信した前記第1情報端末からの電波の受信強度を測定するステップと、
前記第1情報端末と前記第2情報端末の少なくとも一方が移動距離を測定するステップと、
前記第1情報端末と前記第2情報端末の少なくとも一方が、前記移動距離に対する前記無線信号の受信強度の変化から前記第1情報端末と前記第2情報端末の相対的位置関係を推定するステップと、
前記推定された相対的位置関係に基づいて前記地図上に前記第1情報端末に対応するマークを表示するステッ
プと、
前記推定された相対的位置関係に基づいて表示されるマークの形態を前記受信強度の強さに応じて変更するステップと、
を有することを特徴とする位置推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報端末を用いた位置推定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
位置情報の取得に関する技術分野の背景技術として特許文献1がある。特許文献1では、ユーザの位置をGPS(Global Positioning System)による測位あるいは、近傍に設置された無線LAN(Local Area Network)のアクセスポイントの位置から位置を推定していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の位置推定方法では位置推定に十分な精度が得られない場合がある。例えば、建物での反射でGPS電波が乱される場合や建物内で受信できない場合や、無線LANのアクセスポイントから遠く離れてしまった場合、あるいは、無線LANのアクセスポイントの電波を受信できない場合等である。高い位置推定精度が望ましいケースとしては、例えば、人や車の交通の多い場所でタクシーを呼んだ際など、相手の外観が分からず、また可能性のある人や車が複数あるケースなどがある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑み、情報端末を用いた位置精度を向上させた位置推定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、その一例を挙げるならば、位置推定システムであって、識別情報を伴った無線信号を送信する機能を有する第1情報端末と無線信号の受信強度を測定する機能を有する第2情報端末を備え、第1情報端末が送信する無線信号の受信強度を第2情報端末が測定し、第1情報端末と第2情報端末の少なくとも一方が移動距離を測定し、第1情報端末と第2情報端末の少なくとも一方が、移動距離に対する無線信号の受信強度の変化から第1情報端末と第2情報端末の相対的位置関係を推定するように構成する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、情報端末を用いた位置精度を向上させた位置推定システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例1における位置推定システムの概略構成図である。
【
図2】実施例1における乗客が道路脇でタクシー等の車を待っている状況での待ち合わせサポート動作を説明する図である。
【
図3A】実施例1における情報端末1Bが移動しない場合での情報端末1Aと情報端末1Bの位置関係を示す図である。
【
図3B】実施例1における情報端末1Bも移動する場合での情報端末1Aと情報端末1Bの位置関係を示す図である。
【
図3C】
図3A、
図3Bにおける移動線110Aに直交する垂直面に各要素を移動線110A方向に射影した投影図である。
【
図4A】実施例1における相対移動距離xに対する反射が無い場合の受信強度P
0のプロファイルである。
【
図4B】実施例1における相対移動距離xに対する反射波も含めた受信強度Pのプロファイルである。
【
図5A】実施例1における最近接移動距離の推定値x
0Eの変化の様子を示す図である。
【
図5B】実施例1における相対移動距離xに対する反射波も含めた受信強度Pの測定値を示す図である。
【
図6A】実施例1における位置情報に対する加速度変化の制御例を示す図である。
【
図6B】実施例1における位置情報に対する速度変化の制御例を示す図である。
【
図7】実施例1における情報端末の一例としてのHMDの外観構成例である。
【
図8】
図7の情報端末(HMD)の機能ブロック構成例である。
【
図9】実施例1における待ち合わせサポートの制御フロー図である。
【
図10A】実施例1における測定時刻に対する受信強度を記録した内部データを説明する図である。
【
図10B】実施例1における測定時刻に対する移動距離を記録した内部データを説明する図である。
【
図10C】実施例1における相対移動距離に対する受信強度を記録した内部データを説明する図である。
【
図10D】実施例1における相対移動距離に対する最近接移動距離の推定値を記録した内部データを説明する図である。
【
図11A】実施例2における情報端末の表示画面上に相手情報端末の推定距離を表示する説明図である。
【
図11B】実施例2における情報端末の表示画面上に相手情報端末の推定位置にARオブジェクトのマークを表示する説明図である。
【
図11C】実施例2における情報端末の表示画面上に相手情報端末そのものを示すARオブジェクトのマークを表示する説明図である。
【
図12A】実施例2における情報端末1Bを含み移動線110Aに直交する垂直面で各要素の位置関係を示した図である。
【
図12B】
図12Aにおける各要素を大地面111に鉛直方向に射影した位置関係を示す図である。
【
図13A】実施例3における車側のハードウェアの構成の説明図である。
【
図13B】実施例3における車側のハードウェアの他の構成の説明図である。
【
図14A】実施例3における情報端末の表示画面上に乗客の推定距離を表示する説明図である。
【
図14B】実施例3における情報端末の表示画面上に乗客の推定位置にARオブジェクトのマークを表示する説明図である。
【
図14C】実施例3における情報端末の表示画面上に乗客を示すARオブジェクトのマークを表示する説明図である。
【
図15A】実施例3における情報端末1Aを含み移動線110Bに直交する垂直面で各要素の位置関係を示した図である。
【
図15B】
図15Aにおける各要素を大地面111に鉛直方向に射影した位置関係を示す図である。
【
図16】実施例4における電波の反射に寄与する建造物の影響を評価する方法を説明するための説明図である。
【
図17A】実施例4における建造物の壁面の量に応じてフィッティング関数を切り替える説明図である。
【
図17B】実施例4における待ち合わせ場所までの距離に応じてフィッティング関数を切り替える説明図である。
【
図17C】実施例4における建造物の壁面の量によりフィッティング関数を切替える所定距離T
Pを切り替える説明図である。
【
図18A】実施例6における受信強度が最大となった時点で正面にきている車を待ち合わせている車として撮影することを説明する図である。
【
図18B】実施例6における正面位置で撮影した画像を情報端末の画面に表示し対象車の映像にマークを重畳表示することを説明する図である。
【
図19A】実施例7における相手情報端末1Aの位置が待ち合わせ場所からまだ遠く、情報端末1Cが無線信号を受信していない状態での情報端末1Cの表示画面である。
【
図19B】実施例7における手情報端末1Aが待ち合わせ場所に近づいてきて、情報端末1Cが無線信号を受信している状態での情報端末1Cの表示画面である。
【
図20】実施例7における受信強度に従って表示を変える説明図である。
【
図21】実施例7における位置不明であることを示す説明メッセージを表示する表示画面である。
【
図22】実施例7におけるサービス切替え入力ボックスを表示する表示画面である。
【
図23】実施例7における無線信号の受信強度に対応した音声通知の説明図である。
【
図24】実施例7における無線信号の受信強度に対応した振動通知の説明図である。
【
図25】実施例7における情報端末1Aでの表示画面である。
【
図26A】実施例8における情報端末1Cの相手情報端末画像の表示例である。
【
図26B】実施例8における情報端末1Cの地図表示画面に相手情報端末画像を重畳表示した表示例である。
【
図27】実施例8における人物特定方法の変形例を説明する図である。
【
図28】実施例8における情報端末1Cの相手情報端末1Aによる認識結果の表示例である。
【
図29】実施例8における待ち合わせ対象人物の修正を行うための人物画像を列挙する表示形式である。
【
図30】実施例8における情報端末1Aでの表示画面である。
【
図31】実施例8における待ち合わせサポートの制御フロー図である。
【
図32】実施例9における情報端末1Bの表示画面である。
【
図33】実施例9における発光デバイスの光信号の送信情報の説明図である。
【
図34】実施例9における待ち合わせサポートの制御フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0010】
本実施例では、位置推定システムとして、乗客がタクシーを呼ぶ場合を想定し、それぞれの相手を確認するための待ち合わせサポートを行う場合の例について説明する。なお、以下の記述では、情報端末を単に端末と記述する場合がある。また、待ち合わせサポートを、単にサポートと記述する場合がある。
【0011】
図1は、本実施例における位置推定システムの概略構成図である。
図1において、識別情報を伴った無線信号源は車側の情報端末1Aが持っているとする。なお、車自体が情報端末1Aであってもよいし、車に情報端末1Aを搭載してもよい。
【0012】
乗客は、情報端末として、例えば、HMD(Head Mount Display)である情報端末1B、スマートフォンである情報端末1C、スマートウォッチである情報端末1Dの少なくとも1つを持つ。以下の乗客側端末の動作は、これらの端末が単独で行ってもよいし、連携して行ってもよい。ここでは、HMDである情報端末1Bが、乗客側の端末として、単独で動作する例を示す。また、情報端末1Aから1Dを総称して情報端末1と記述する。
【0013】
サーバ2は、通信網9を介して、各情報端末1の処理を代行したり、各情報端末1間の情報の送受信を媒介したり、必要な情報を提供したりする。サーバ2は例えば、ローカルサーバ、クラウドサーバ、エッジサーバ、ネットサービス等であり、その形態は問わない。
【0014】
図2は、本実施例における乗客が道路脇でタクシー等の車を待っている状況での待ち合わせサポート動作を説明する図である。
図2において、情報端末1Aは車そのものであるか、車に搭載されている情報端末である。情報端末1Aは、道路内の移動線110Aに沿って移動し、乗客の持つ情報端末1Bに接近する。ここで移動線110Aとは、過去に情報端末1Aが辿った軌跡、および以後辿る予定の軌跡である。乗客は、説明上、まず止まっているものとして説明するが、一般化して道路脇の移動線110Bに沿って移動する場合も後述する。
【0015】
情報端末1Aは、移動の間、識別情報を伴った無線信号を送信し続ける。ここで、識別情報を伴った無線信号とは、中継器等を経由しない直接の無線信号の送受信を行い、信号の識別ができるものであればよい。例えば、ビーコン信号であり、あるいは、Bluetooth(登録商標)、BLE(Bluetooth low energy)、WiFi(登録商標)、ローカル5Gのpoint to point通信等の信号である。また、この無線信号を使用して、情報端末1間の通信を行ってもよい。
【0016】
移動する情報端末1は、自端末の位置を測定する。測定は、GPS等の電波を利用した測位システム、位置基準点に基づいた測位システム、あるいは加速度センサの出力の積分によってもよい。時刻毎の、適宜定めた起点からの移動距離で位置を記録してもよい。また、時刻毎の移動距離のデータから速度を計算することも可能である。以後では、起点からの移動距離で情報端末1Aの位置を表現する。この位置の情報は、他方の情報端末1Bで利用する場合、情報端末1Aから情報端末1Bに提供する。一方で情報端末1Bはその無線信号を受信し、受信強度を測定する。
【0017】
なお、双方の情報端末1が移動する場合は、双方の移動距離から、相対的移動距離の変化を用いる。また、無線信号の送信側はどちらの情報端末であってもよい。さらには、双方が無線信号を送信し、双方が受信してもよい。
【0018】
図3Aは、本実施例における情報端末1Bが移動しない場合での情報端末1Aと情報端末1Bの位置関係を示す図である。
図3Aは、各要素を水平面に鉛直方向に射影した投影図であり、以後、特に断りがない限り、水平面への投影図と表現した場合は、各要素を鉛直方向へ射影した図を意味する。また、各要素の記号も、投影図上で射影前の記号と同じ記号を使うことがある。また、移動線110A、110Bは直線で近似している。また、情報端末1A、1Bは位置のみ表す。
【0019】
図3Aにおいて、情報端末1Aの起点112Aからの移動距離114Aをx
Aと表記する。起点112Aは任意に定めてよい。例えば、情報端末1Aと情報端末1Bの待ち合わせ時の通信を開始した時点での情報端末1Aの位置を起点112Aとする。仮に、実際にその地点にいたことがない地点を起点112Aと定めたとしても、ここでは、その起点112Aからの移動距離114Aと表現する。
【0020】
また、情報端末1Aが移動線110A上で情報端末1Bに最も近づく位置(最近接位置)に到達するまでに起点から移動すべき距離(最近接移動距離)をx0とする。移動距離に対する無線信号の受信強度のデータから、最近接位置に到達する前に、最近接位置を推測する(詳細は後述)。また、情報端末1Bと移動線110Aとの距離113をdと表記する。
【0021】
図3Bは、本実施例における情報端末1Bも移動する場合での情報端末1Aと情報端末1Bの位置関係を示す図であり、
図3Aと同様に、水平面への投影図である。
【0022】
図3Bにおいて、情報端末1Bは、移動線110Bに沿って、情報端末1Aに近づく方向に移動する。任意に定めた起点112Bから、移動線110Bに沿った情報端末1Bの移動距離114Bをx
Bと表記する。移動線110Aと移動線110Bは平行であると近似する。起点112Aと起点112Bの距離が、最近接移動距離x
0である。なお、ここでの移動距離は起点からの距離を表すために用いている量であり、起点の定義の仕方によっては、実際に待ち合わせサポート動作が実行されている間に情報端末1が移動した距離とは必ずしも一致しない。
【0023】
図3Cは、
図3A、
図3Bにおける移動線110Aに直交する垂直面に各要素を移動線110A方向に射影した投影図である。以後、特に断りのない限り、移動線に直交する垂直面への投影図と表現した場合は、各要素を移動線方向に射影した図を意味する。この図は、情報端末1Bが移動する場合と移動しない場合とで共通の図である。大地面111は水平面として近似する。情報端末1Aと大地面111との距離115Aをh
Aと表記し、情報端末1Bと大地面111との距離115Bをh
Bと表記する。
【0024】
以降の議論では、一般化して、情報端末1Bも移動するとする。相対移動距離xを次式(1)で定義して、相対移動距離に対する受信信号強度のプロファイルを考える。
x=xA+xB …(1)
情報端末1Bが移動しない場合はxB=0と考えればよい。
【0025】
また、
図3Cにおいて、120は無線信号の直接波の経路を表し、121は大地面111で反射する反射波の経路を表す。受信される無線信号には、大地や付近の建造物で反射した信号も含まれるが、まず、反射波を含まない受信強度のプロファイルを考える。
【0026】
反射が無い場合の無線信号(直接波)の受信強度P0は、送信源(情報端末1A)と受信機(情報端末1B)の距離の2乗に反比例するので、次式(2)で表される。
P0=k0/{(x-x0)2+g0
2} …(2)
ここで、k0は、信号源強度、受信機感度に依存する定数であり、g0は次式(3)で定義される。
g0={d2+(hA-hB)2}1/2 …(3)
g0は、直接波経路120における最近接距離である。
【0027】
例えば、h
Aとh
Bが等しく、dが5m、x
0が50mの時のP
0のプロファイルは
図4Aのようになる。g
0は5mである。ここで、最近接位置(x=x
0)でP
0=1となるように規格化した。
図4Aを見て分かるように、P
0は最近接位置で鋭いピークを持つプロファイルである。
【0028】
実際には、大地面111や付近の建物で反射する成分があるので、受信強度のプロファイルはP0とは異なる。反射する成分の受信強度が最大となる位置は、反射体の位置によるが、平均すれば、最近接位置近傍になると期待できる。また、反射波の経路は直接波経路120よりは長くなるので、反射波も考慮した場合、実効的に最近接距離が大きくなったようなプロファイルになる。従って、反射波も含めた受信強度プロファイルも下記式(4)で近似して説明する。
P=k/{(x-x0)2+g2} …(4)
ここで、kは、信号源強度、受信機感度に依存する定数であり、gは実効的な最近接距離である。この実効的な最近接距離が、反射波として最も強いであろう大地面111で反射する反射経路121の最近接距離にまでなったとすると、次式(5)になる。
g={d2+(hA+hB)2}1/2 …(5)
ここで、d=5m、hA=hB=1.6mとすると、g=5.9mとなり、この場合の最近接距離は直接波における最近接距離と大きく異なることはない。このgの値は推定値として求まるが(後述)、dやg0の近似値として用いてもよい。
【0029】
図4Bは、式(4)のプロファイルである。
図4Aに比べてプロファイルに大きな差はない。このため、実際の受信強度のプロファイルとして、直接波の関数形において、最近接距離を実効距離に置き換える近似は妥当なものと考える。
【0030】
次に
図4Bの受信強度プロファイルを前提に、位置推定方法を説明する。具体的には、最近接位置への接近途中の受信強度の測定値から、最小自乗法等によるパラメータフィッティングにより、式(4)中のパラメータを推定する。一例としては、受信強度の逆数が相対移動距離xに関する2次関数になるので、この関数でフィッティングを行う。
1/P=(1/k){(x-x
0)
2+g
2}=Ax
2+Bx+C …(6)
式(6)はパラメータA、B、Cに関して線形であり、受信強度データから最小自乗法により求まる。ここで、最小自乗法による計算の際、受信強度Pの測定誤差は一定とし、1/Pの誤差をP
-2に比例するとして、重み付きの処理を行ってもよい。これにより式(4)の各パラメータの推定値が下記のように求まる。
k=1/A …(7)
x
0=-B/(2A) …(8)
g=(4AC-B
2)
1/2/(2A) …(9)
なお、パラメータフィッティングの方法は、上記の方法に限定されない。
【0031】
パラメータk、x0、gの値は、移動しながら受信強度の測定データが加わる毎に更新されてゆき、ノイズによる誤差が低減されてくる。
【0032】
最近接移動距離x
0の推定値を改めてx
0Eとし、x
0Eの変化の様子を
図5Aに示す。
図5Bは受信強度の測定値200とフィッティングにより推定した受信強度プロファイル201を表す。例えば、
図5Aのグラフのx=30mのところの点は、
図5Bに示すx=30mまでの受信強度Pの測定値から推定したx
0Eの値を表す。推定には過去全ての測定値を使用する必要はない。最近接位置に近づき、誤差の小さい測定値の累積が多くなってきた時点では、測定開始初期の誤差の大きな測定値をx
0Eの推定に用いないようにしてもよい。
【0033】
受信強度からの推定値x0Eに対するノイズ影響が大きい内は、車は、予約時に指定された場所を目標に速度制御する。最近接位置に近づき、推定値x0Eに対するノイズ影響が小さくなった後、車は乗客との最近接位置で停止することを目標にして速度を制御する。車の制御はドライバによっても自動運転装置によってもよい。
【0034】
車の制御装置として望ましい制御は次のようである。まず、情報端末1Aから、無線信号の受信強度が最大となる位置に関する情報(x
0E)と双方の情報端末1の位置情報(x
A、x
B)の提供を受ける。これらの情報を元に、最近接位置での停止を目標にして、停止時点を含むそれ以前の連続した期間において、速度と加速度の大きさを単調減少させて車を停止させる制御を行う。これにより、最近接位置に正確な停止ができると共に、停止時の加速度の大きさを低くすることができ、搭乗者が感じる停止時のショックを低減できる。
図6A、
図6Bに制御例を示す。
図6Aは加速度変化であり、
図6Bが速度変化である。
【0035】
乗客が一定の速度で近づいてくることを想定して、速度制御の例を以下に示す。車の停止時のショックを低減するため、車の速度が0になると同時に加速度も0にすることを目標に速度の制御を行う。そのため、一例として、ある時点以降、乗客の移動速度は一定と仮定し、車の加速度を一定にして、最近接移動距離位置において、車の速度と加速度が0になるように、車の制御装置はその時点での加速度設定を行う。情報端末1Aの速度をvA、加速度をaAとし、情報端末1Bの速度をvBとすると、aAの設定は具体的には次式(10)となる。
aA=-2vA(vA/3+vB)/(x0E-xA-xB) …(10)
この加速度設定により、車の制御装置は車の速度を制御する。
【0036】
この時、最近接位置までに車が移動する距離xR(以後目標距離と呼ぶ)は、
xR=(x0E-xA-xB)/(1+3vB/vA) …(11)
式(11)となる。
【0037】
乗客が止まっている時はvB=0である。また、乗客の速度は常に一定とは限らず、またx0Eの値も変わる可能性もあるので、各時刻で式(10)(11)の右辺の値を取得する。
【0038】
ドライバが車の制御を行う場合は、情報端末1Aが目標距離xRをドライバに提示し、ドライバはその値を目安に速度制御を行ってもよい。
【0039】
また、安全のため、急加速や急減速にならないよう、加速度aAの絶対値には、予め定めた上限を設けてもよい。
【0040】
ここで、推定の誤差や、情報端末1Bを持つユーザが、最初は止まっていたが、情報端末1Aの接近に伴い、接近を開始する場合のように、予測の誤差が発生する場合がある。この場合、受信強度プロファイルを見て、ピーク値を過ぎてしまったら、安全な範囲の速度制御で車をすぐに停車させればよい。
【0041】
以上により、無線信号の受信強度に基づき、より精密な待ち合わせ場所である位置の推定が可能となる。
【0042】
図7は、本実施例における情報端末の一例としてのHMDの外観構成例である。
図7において、HMDは、眼鏡状の筐体10に、表示面11を含む表示デバイスを備える。この表示デバイスは、例えば透過型表示デバイスであり、表示面11には外界の実像が透過され、その実像上に画像が重畳表示される。筐体10には、コントローラ、カメラ12、測距センサ13、他のセンサ部14等が実装されている。
【0043】
カメラ12は、例えば筐体10の左右両側に配置された2つのカメラを有し、HMDの前方を含む範囲を撮影して画像を取得する。測距センサ13は、HMDと外界の物体との距離を測定するセンサである。測距センサ13は、TOF(Time Of Flight)方式のセンサを用いてもよいし、ステレオカメラや他の方式を用いてもよい。センサ部14は、HMDの位置および向きの状態を検出するためのセンサ群を含む。筐体10の左右には、マイクを含む音声入力装置18、スピーカやイヤホン端子を含む音声出力装置19等を備える。
【0044】
情報端末1には、リモートコントローラ等の操作器20が付属していてもよい。その場合、HMDは、その操作器20との間で例えば近距離無線通信を行う。ユーザは、手で操作器20を操作することで、HMDの機能に関する指示入力や表示面11でのカーソル移動等ができる。HMDは、外部のスマートフォンやPC等と通信して連携を行ってもよい。例えば、HMDは、スマートフォンのアプリケーションからAR(拡張現実:Augmented Reality)の画像データを受信してもよい。
【0045】
情報端末1は、AR等の仮想画像を表示面11に表示させてもよい。例えば、情報端末1は、ユーザを誘導するための仮想画像を生成し、表示面11に表示する。
【0046】
図8は、
図7の情報端末1(HMD)の機能ブロック構成例である。基本的には、他の情報端末1も同様の構成である。情報端末1は、プロセッサ101、メモリ102、カメラ12、測距センサ13、センサ部14、表示デバイス103、通信デバイス104、マイクを含む音声入力装置18、スピーカ等を含む音声出力装置19、バイブレータ等の振動発生装置1100、発光デバイス3000、無線送信デバイス105、無線受信デバイス106、操作入力部107、およびバッテリ108等を備える。これらの要素はバス等を通じて相互に接続されている。
【0047】
プロセッサ101は、CPU、ROM、RAM等で構成され、HMDのコントローラを構成する。プロセッサ101は、メモリ102の制御プログラム31やアプリケーションプログラム32に従った処理を実行することにより、OS、ミドルウェア、アプリケーション等の機能や他の機能を実現する。メモリ102は、不揮発性記憶装置等で構成され、プロセッサ101等が扱う各種のデータや情報を記憶する。メモリ102には、一時的な情報として、カメラ12等によって取得した画像や検出情報等も格納される。
【0048】
カメラ12は、レンズから入射した光を撮像素子で電気信号に変換して画像を取得する。測距センサ13は、例えばTOF(Time Of Flight)センサを用いる場合、外界に出射した光が物体に当たって戻ってくるまでの時間から、その物体までの距離を計算する。センサ部14は、例えば、加速度センサ141、ジャイロセンサ(角速度センサ)142、地磁気センサ143、GPS受信器144を含む。センサ部14は、これらのセンサの検出情報を用いて、HMDの位置、向き、動き等の状態を検出する。HMDは、これに限らず、照度センサ、近接センサ、気圧センサ等を備えてもよい。
【0049】
表示デバイス103は、表示駆動回路や表示面11を含み、表示情報34の画像データに基づいて、表示面11に仮想画像等を表示する。なお、表示デバイス103は、透過型表示デバイスに限らず、非透過型表示デバイス等としてもよい。
【0050】
通信デバイス104は、所定の各種の通信インタフェースに対応する通信処理回路やアンテナ等を含む。通信インタフェースの例は、モバイル網、Wi-Fi(登録商標)、BlueTooth(登録商標)、赤外線等が挙げられる。通信デバイス104は、他の情報端末1やアクセスポイントとの間での無線通信処理等を行う。通信デバイス104は、操作器との近距離通信処理も行う。
【0051】
無線送信デバイス105は、位置推定に用いる識別信号を伴った無線信号を送信する。ここで、識別情報を伴った無線信号とは、例えばBluetooth等の信号である。無線受信デバイス106は、上記の識別信号を伴った無線信号を受信し、受信強度を測定する。無線送信デバイス105と無線受信デバイス106を使用して、情報通信を行ってもよい。
【0052】
また、無線信号の送信のみ、あるいは受信のみ行う情報端末1の場合は、必要なデバイスを備えていればよい。
【0053】
音声入力装置18は、マイクからの入力音声を音声データに変換する。音声出力装置19は、音声データに基づいてスピーカ等から音声を出力する。音声入力装置は、音声認識機能を備えてもよい。音声出力装置は、音声合成機能を備えてもよい。
【0054】
振動発生装置1100は、振動を発生しユーザへの報知機能を持つ。発光デバイス3000は、強度変調された光によりコードを送信する機能を持つ。なお、目立たないように近赤外光でもよい。
【0055】
操作入力部107は、HMDに対する操作入力、例えば電源オン/オフや音量調整等を受け付ける部分であり、ハードウェアボタンやタッチセンサ等で構成される。バッテリ108は、各部に電力を供給する。
【0056】
プロセッサ101によるコントローラは、処理によって実現される機能ブロックの構成例として、通信制御部101A、表示制御部101B、データ処理部101C、およびデータ取得部101Dを有する。
【0057】
メモリ102には、制御プログラム31、アプリケーションプログラム32、設定情報33、表示情報34、位置推定情報35等が格納されている。制御プログラム31は、情報端末1間の相対的位置関係の推定を実現するためのプログラムである。アプリケーションプログラム32は、ユーザに対する誘導機能を実現するプログラムである。設定情報33は、各機能に係わるシステム設定情報やユーザ設定情報を含む。表示情報34は、仮想画像を表示面11に表示するための画像データや位置座標情報を含む。位置推定情報35は、位置推定を行うための、情報端末1の移動距離、無線信号の受信強度に係る情報である。
【0058】
通信制御部101Aは、他の情報端末1との通信の際等に、通信デバイス104を用いた通信処理を制御する。表示制御部101Bは、表示情報34を用いて、表示デバイス103の表示面11への仮想画像等の表示を制御する。
【0059】
データ処理部101Cは、位置推定情報35を読み書きし、自機と相手端末との相対的位置関係の推定等を行う。
【0060】
データ取得部101Dは、無線受信デバイス106から無線信号の強度を取得し、カメラ12、測距センサ13、およびセンサ部14等の各種のセンサから各検出データを取得する。データ取得部101Dは、各種センサの検出データから、自位置を推定し、移動距離を測定する。
【0061】
図9は、本実施例における、待ち合わせサポートの制御フロー図である。
図9において、このフローの前に、待ち合わせの概略の場所は決めておき、受信側の情報端末1は無線信号の識別情報を取得しておく。なお、どちらの情報端末が送信側になってもよく、また、双方から無線信号を送信してもよい。双方の情報端末1が待ち合わせ場所近傍に入ったタイミングで、まずステップS1A、S1Bで、情報端末1間の通信を確立し、これから待ち合わせサポートを開始するトリガをかける。また、移動を行う情報端末1は移動距離測定のための起点112A、112Bを設定する。この通信は通信網経由でも構わないし、情報端末1間直接の通信でも構わない。以後、位置推定のループに入る。
【0062】
位置推定のループ内では、まずステップS2A、S2Bで送信側の情報端末1は無線信号を送信し、受信側の情報端末1は無線信号を受信し、受信強度を測定する。これにより、受信側の情報端末1は、例えば、
図10Aのような、測定時刻に対する受信強度を記録した内部データを生成する。双方の情報端末が無線信号を送信する場合は、結果として2つの電波強度プロファイルが得られる。それに伴い、2種類の位置推定が可能となるが、推定結果の両方を用いてもよいし、片方の結果だけ用いてもよい。さらに、移動をする情報端末1は移動距離を測定し、例えば、
図10Bのような移動距離データを生成する。
【0063】
ステップS3A、S3Bで、各情報端末1は他方の情報端末1に、受信強度データと移動距離データを送信する。位置推定を行わない情報端末1にはデータを送信しなくともよい。
【0064】
ステップS4A、S4Bで、位置推定を行う情報端末1は、受信強度データと移動距離データから、
図10Cのような相対移動距離に対する受信強度プロファイルを生成する。そして、位置推定を行う情報端末1は、例えば前述の方法で
図10Dのような最近接移動距離の推定値x
0Eを求める。その際、双方の情報端末1が無線信号を送信し、他方の情報端末1で無線信号の受信を行う場合は、2種類の受信強度プロファイルが得られる。この場合、2種類とも使用してもよいし、片方だけ使用してもよい。なお、情報端末1における位置推定は、少なくとも位置推定の実行に必要なだけのデータが蓄積されてから開始する。
【0065】
ステップS5A、S5Bで、位置推定を行った情報端末1は、他方の情報端末1に対し、自端末で求めた最近接移動距離の推定値x0Eを送信する。他方の端末でその情報を必要としない場合は、送信しなくてもよい。
【0066】
ステップS6A、S6Bで、各情報端末1は、ユーザ、または車の制御装置に対し、待ち合わせをサポートするための情報を提供する。この情報提供の態様については、後続の実施例で詳述する。
【0067】
ステップS7A、S7Bで、双方が相手端末、すなわち、待ち合わせている車、あるいは、待ち合わせている乗客が確認でき、待ち合わせサポートの必要がなくなった場合は、待ち合わせサポートを終了し、必要がある場合は、サポートを続行する分岐を行う。
【0068】
以上のように、本実施例によれば、位置精度を向上させた待ち合わせのサポートを行うことができる。
【0069】
なお、本実施例の方法は、人と車の待ち合わせに限定されず、人と人の待ち合わせにも応用可能である。また、本実施例では、識別情報を伴った無線信号源は情報端末が持っているとして説明したが、情報端末の機能はなく無線信号源のみを持つ場合でもよい。例えば、幼児が無線信号源のみを保持しており迷子の場合をサポートする場合などに利用できる。
【実施例2】
【0070】
本実施例では、乗客側、すなわち情報端末1Bにおける、ユーザに対するサポート内容について説明する。
【0071】
情報端末1Bは実施例1により、サポートに必要な情報を取得する。なお、本実施例によるサポート内容は、車に情報端末1Aを搭載し、ドライバがその情報端末1Aの表示を見てサポートを受ける場合も同様である。
【0072】
まず、簡便な方法として、情報端末1Bは、表示画面上に相手情報端末1Aの推定距離を表示して、ユーザに車を探す手がかりを提供する。
図11Aにその様子を示す。
図11Aにおいて、500は情報端末1Bの表示画面であり、501がサポートするための説明メッセージである。情報端末1Bの現在位置を起点とした場合の車(すなわち相手情報端末)の推定距離x
dは次式(12)で与えられる。
x
d=x
0E-x
A-x
B …(12)
道路の様子は、シースルー型のHMDであれば、そのまま見ることができる。その他の情報端末の場合カメラで道路の様子を撮影して表示してもよい。
【0073】
あるいは、
図11Bのように、情報端末1Bは、車の推定位置にARオブジェクトのマーク502を表示してもよい。また説明メッセージ503を同時に表示してもよい。
【0074】
さらに、候補となる車が他にいないとか、車の特徴(車種、色、ナンバ等)から、待ち合わせ相手の車が特定できる場合は、情報端末1Bは、
図11Cのように車そのものを示すARオブジェクトのマーク504を表示してもよい。また説明メッセージ505を同時に表示してもよい。さらに、候補が複数台ある場合は、候補全ての車にARオブジェクトのマーク504を表示してもよい。
【0075】
また、情報端末同士の通信が開始された時点、あるいは、双方の距離が予め定めた距離以下になったと推定された時点で、情報端末1Bはユーザに振動等で知らせてもよい。そのようにすることにより、ユーザは車が近くにくるまで、車の位置に関して注意していなくてもよくなる。
【0076】
以上では、乗客に対するサポートの例であるが、車のドライバに対しても同様なサポートが可能である(詳細後述)。その場合、情報端末1Aの表示器上の画像は、乗客になる。また、乗客の特徴情報(例えば写真)を推定の補助として用いてもよい。
【0077】
また、サーバより取得した乗客もしくは車の外観上の特徴情報を表示画面上の位置推定において併用してもよい。
【0078】
上記の
図11B、
図11Cの場合のようなマークを表示するためには、推定距離x
dに対応する道路上の位置を推定する必要がある。具体的には、次のように位置を推定する。なお、以下の推定方法は車側から乗客の位置を推定する場合も同様である。その場合、それぞれの幾何学的要素を相手側の幾何学的要素に置き換える。
【0079】
まず、情報端末1Bは、情報端末1Aの移動線110A(
図3A)と自端末との距離d(
図3Aの113)を測定する。その際、情報端末1Bの高さh
B(
図3Cの115B)は、ユーザの設定等により分かっているものとする。直接h
Bの値ではなく、情報端末1やサーバに記録されたユーザ身長のデータからh
Bの値を推定してもよい。
【0080】
距離dの推定は
図12Aのように行う。
図12Aは情報端末1Bを含み、移動線110Aに直交する垂直面で各要素の位置関係を示した図である。移動線110Aを大地面111へ、鉛直方向に射影した投影線を130Aとする。投影線130Aは、車が特定されないと正確には分からないが、車線の中央を車が走行するとして大きな誤差にはならないと思われるので、車線の中央線を投影線130Aとする。情報端末1Bは、自端末から投影線130Aに垂線131Bを下ろしたとして、自端末から大地面111へ下ろした垂線132Bと垂線131Bの角度133B(φ
B)を測定する。角度φの測定は、カメラ画像と情報端末1Bの姿勢情報により行う。角度φ
Bが分かると、距離dは、
d=h
B tanφ
B …(13)
式(13)で求まる。
【0081】
この距離dが分かると、投影線130Aに沿った地点と、その地点の方向との関係が次のように分かる。
図12Bは、大地面111に鉛直方向に射影した各要素の位置関係を示す図である。
図12Bにおいては、1Bの点は、情報端末1Bの位置を大地面111に鉛直方向に射影した点を表すものとする。p
0B(134B)は1Bから投影線130Aに下ろした垂線の足である。そして、
図12Bの大地面111上において、1Bとp
0Bを結ぶ線分(137B)と、相手情報端末1Aの投影線130A上での推定位置p
Bと1Bを結ぶ線分(138B)との角度(139B)をθ
Bとする。
【0082】
以上で定義した諸量により、p0Bと投影線130A上の地点pB(135B)の間の距離xpBは次式(14)のように与えられる。
xpB=d tanθB =hB tanφB tanθB …(14)
この式(14)により、逆に相手情報端末1Aの方向を求めることができる。
【0083】
情報端末1Bは、実施例1により、式(12)で与えられる相手情報端末1Aの推定距離xdを得ることができる。相手情報端末1Aの投影線130A上での推定位置pBは、
xpB=xd …(15)
式(15)となる地点である。
【0084】
式(12)(14)(15)を連立させると、相手情報端末1Aの推定位置の方向を与える角度θBは次式(16)のように求まる。
θB=tan-1{(x0E-xA-xB)}/hB tanφB} …(16)
あるいは、φBの測定が難しい場合は、dの近似値として、推定されるgの値(式(9))を用いて、
θB=tan-1{(x0E-xA-xB)}/g} …(17)
式(17)のようにθBを求めてもよい。
【0085】
図11Bにおいては、情報端末1Bは、θ
Bの方向の道路上の地点に重畳させてARオブジェクトのマーク502を表示すればよい。
【0086】
また、
図11Cにおいては、情報端末1Bは、θ
Bの方向の道路上の地点近傍で待ち合わせをしている車を探索し、候補となる車が特定できた場合は、その車に重畳させてARオブジェクトのマーク504を表示すればよい。
【0087】
本実施例により、待ち合わせをしている車を到着前に確認することができる。
【実施例3】
【0088】
本実施例では、車側における待ち合わせサポートの詳細について説明する。
【0089】
車側のハードウェアの構成としては、
図13Aに示ように、車の制御装置が情報端末1Aの機能を備えており、車の制御装置がユーザ(ドライバ)に情報表示を行う構成がある。あるいは、
図13Bに示ように、情報端末1Aから、車の制御情報およびユーザへの表示に使用する情報を取得する構成がある。なお、情報端末1Aの表示をドライバが見る、という使用方法でもよい。
【0090】
車の制御装置が車の速度制御を行う場合は、実施例1に記載の方法で行う。
【0091】
車の制御装置または情報端末1Aが車の搭乗者に情報を提示してもよい。例えば、
図14A、14B、14Cに示すような表示である。
図14A、14B、14Cについては、実施例2と同様な表示であるので、詳細は省略するが、600は表示器の表示画面であり、乗客の推定距離の表示等を行う。外界の様子は、ビデオ映像表示であってもよいし、HUD(Head Up Display)で視認できる状態でもよい。601、603、605は画面に重畳表示される説明メッセージである。602、604はARオブジェクトのマークである。
【0092】
また、サーバより取得した乗客の外観上の特徴情報を表示画面上の位置推定において併用してもよい。
【0093】
車側から見て、乗客の推定位置方向の角度θ
Aは実施例2と同様の考察から、次式(18)で与えられる。
θ
A=tan
-1{(x
0E-x
A-x
B)}/h
A tanφ
A} …(18)
ここで、φ
Aは、
図15Aのように定義される。
【0094】
図15Aは情報端末1Aを含み、移動線110B(情報端末1Bが移動しない場合は、情報端末1Aの移動線110Aに平行に移動したとした場合の線)に直交する垂直面で各要素の位置関係を示した図である。移動線110Bを大地面111へ鉛直方向に射影した投影線を130Bとする。情報端末1Aは、自端末から投影線130Bに垂線131Aを下ろしたとして、自端末から大地面111へ下ろした垂線132Aと垂線131Aの角度133A(φ
A)を測定する。角度φ
Aの測定は、カメラ画像とカメラの姿勢情報により行う。ここで、情報端末1Bすなわち、乗客が特定できない場合、道路脇で通常乗客が立つであろう位置を想定して投影線130Bを推定する。例えば、道路脇の歩道の中心線を投影線130Bと仮定しても大きな誤差にはならないので、そのようにしてもよい。
【0095】
また、θ
Aは、
図15Bのように定義される。
図15Bは、大地面111に鉛直方向に射影した各要素の位置関係を示す図である。
図15Bにおいては、1Aの点は、情報端末1Aの位置を大地面111に射影した点を表すものとする。p
0A(134A)は1Aから投影線130Bに下ろした垂線の足である。そして、
図15Bの大地面111上において、1Aとp
0Aを結ぶ線分(137A)と、相手情報端末1Bの投影線130B上での推定位置p
Aと1Aとを結ぶ線分(138A)の角度(139A)がθ
Aである。
【0096】
また、hAは情報端末1A、より詳しくは、情報端末1Aの無線信号送信源の大地面111からの高さである。このhAの情報は、情報端末1Aに記憶していてもよいし、サーバ2に保持していてもよい。
【0097】
あるいは、θAとして、実施例2の式(17)と同様に、次式(19)で計算されるものを用いてもよい。
θA=tan-1{(x0E-xA-xB)}/g} …(19)
なお、測定誤差がなければ、θA=θBとなる。
【0098】
また、実施例2と同様に、情報端末1同士の通信が開始された時点、あるいは、双方の距離が予め定めた距離以下になったと推定された時点で、情報端末1Aはユーザ(ドライバ)に音声等で知らせてもよい。そのようにすることにより、ユーザは乗客の近くにくるまで、乗客の位置に関して注意していなくてもよくなる。
【0099】
本実施の形態により、待ち合わせをしている乗客を到着前に確認することができる。
【実施例4】
【0100】
本実施例では、待ち合わせ場所の状況に応じて推定値の補正を行う点について説明する。
【0101】
建造物が多くあり、無線信号の反射成分が大きくなる場合は、受信強度プロファイルが前述した式(4)の関数形から歪む可能性がある。その歪の効果を取り込むため、建造物が多くある場所では、受信強度プロファイルを下記式(20)として、最近接位置の推定を行う。
P=k/{α(x-x0)3+(x-x0)2+g2} …(20)
式(20)において3次の項が歪の効果を表す。
【0102】
以後、式(4)の関数形をL0型、式(20)の関数形をL1型と呼ぶ。L1型のパラメータフィッティングも1/Pに対して行う。実施例1と同様に、最小自乗法による計算の際、受信強度Pの測定誤差は一定とし、1/Pの誤差をP-2に比例するとして、重み付きの処理を行ってもよい。
1/P=(1/k) {α(x-x0)3+(x-x0)2+g2}
=A1x3+B1x2+C1x+D1 …(21)
以下で、最近接位置、すなわち受信強度が極大となるxの推定を行うが、受信強度が極大となる極値点xは、式(21)において極小となる極値点xである。式(21)の1階微分は次式(22)で与えられるので、x0において式(21)の1階微分値が0となることが分かる。
(1/P)´=(1/k) {3α(x-x0)2+2(x-x0)} …(22)
従って、下記におけるx0の推定値の内、式(21)の2階微分値が正となるx0が、受信強度が極大となるxである。
【0103】
さて、式(21)は、パラメータA1、B1、C1、D1に関して線形になっており、受信強度データから最小自乗法により求まる。パラメータA1、B1、C1、D1と式(21)中のパラメータの関係は次のようになる。
α/k=A1 …(23)
(1-3αx0)/k=B1 …(24)
-(2x0-3αx0
2)/k=C1 …(25)
(x0
2+g2-αx0
3)/k=D1 …(26)
式(23)(24)(25)を連立させると、x0が下記のように2つ求まる。
x0={-B1±(B1
2-3A1C1)1/2}/(3A1) …(27)
一方、(21)の2階微分は次式(28)となる。
(1/P)´´=6A1x+2B1 …(28)
この内式(28)で表される2階微分値を正とするものは、下記となる。
x0={-B1+(B1
2-3A1C1)1/2}/(3A1) …(29)
ここで、
J=B1
2-3A1C1 …(30)
とする。J>0の時にx0で極値となる。J≦0の時は式(21)が極値を持たないことを意味するので、L1型でのフィッティングを使用することはできない。
【0104】
x0が式(29)の値として、他のパラメータα,gの値を式(31)、(32)に示す。
α=(1/3)(2x0-C1/B1)/(x0
2-(C1/B1)x0) …(31)
g=(αx0
3-x0
2-αD1/A1) …(32)
以後、J>0とし、受信強度の極大を与えるxの推定値として式(29)のx0を用いる。この式(29)のx0をx0Eとして他の実施例における処理、制御を行う。
【0105】
なお、x-x0の絶対値が大きいxの範囲においては、L1型の近似が悪くなるので、L1型を用いたフィッティングにおいて使用する受信強度のデータは推定されるx0に近いものに限定してもよい。
【0106】
次に、電波の反射に寄与する建造物の壁面の量(以降、建造物の量と称する)を評価する方法を説明する。
【0107】
図16は、本実施例における電波の反射に寄与する建造物の影響を評価する方法を説明するための説明図である。建造物の影響は、例えば地図情報を使用して評価する。
図16は、待ち合わせ場所3の周囲の建造物4の状況を示す地図情報である。地図情報は、サーバ2から取得してもよいし、自端末で保有していてもよい。
図16において、待ち合わせ場所3の周囲の建造物4としては、4Aから4Fがあるが、建造物4の影響としては、無線信号を反射することが問題であるので、車1Aの経路沿いで、待ち合わせ場所3から予め定めた所定の範囲5において、車の経路に面する壁面の長さで評価する。
【0108】
所定の範囲5は、重要度の高い場所において広めに設定してもよい。例えば、車の接近中において、待ち合わせ場所3の手前か先か、および、待ち合わせ場所側の道路沿いか、反対側かで、5A、5B、5C、5Dのように分割して設定してもよい。車1Aが手前側にある状態で乗客の位置推定を行うので、待ち合わせ場所3よりも手前側の建造物4が重要であり、距離から考えて、待ち合わせ場所3側の道路沿いの建造物4が重要である。
【0109】
設定された所定の範囲5の中の車の経路に面する壁面の長さ6とは、
図16の場合で図示すると、6A、6B、6C、6D、6Eとなる。これらの壁面の長さの合計を電波の反射に寄与する建造物の壁面の量とする。
【0110】
一つの制御方法としては、
図17Aに示すように、建造物4の状況により、建造物4の壁面の量が所定量以下の場合はフィッティングの関数形としてL
0型を用い、所定量を超える場合はL
1型を用いる方法がある。あるいは、
図17Bに示すように、x-x
0の絶対値が大きいxの範囲においてはL
1型の近似が悪くなるので、待ち合わせ場所3までの距離が所定値より大きい場合はL
0型を用い、所定値以下の場合はL
1型を用いる、という方法でもよい。なお、車の位置により、フィッティング関数を切替える場合は、切替えにより、乗客までの推定距離が大きく変化する可能性もあるので、一定の区間、2つのフィッティング関数による推定値の、位置による重み付け平均を用いてもよい。
【0111】
あるいはまた、上記2つの方法を組み合わせてもよい。例えば、下記式(33)のように、建造物の壁面の量M
Bによりフィッティング関数を切替える所定距離T
Pを変更してもよい。
T
p=f(M
B) …(33)
建造物の壁面の量が大きい程、受信強度プロファイルの歪みが大きくなる可能性が高いので、fは広義単調増加関数とする。または、
図17Cのような閾値制御でもよい。ここで、
T
P1<T
P2 …(34)
となるように設定する。
【0112】
なお、フィッティング関数としてL1型を用いる場合に、Jの値(式(30))が0または負になる場合は、フィッティングした関数が極値を持たないことを意味するので、上記の条件に関わらず、L0型のフィッティング関数による推定値を用いることとする。
【0113】
本実施例によれば、待ち合わせ場所の状況に応じて、推定値の補正を行うことができる。
【実施例5】
【0114】
本実施例では、待ち合わせの相手が到着前に特定できた場合は、相手がどの方向に見えるかという情報を元に到着までの距離を推定する点について説明する。
【0115】
本実施例では、車側の情報端末1Aが乗客を特定した場合で説明するが、逆の場合も同様である。諸量の関係の導出は実施例3と同様である。符号は
図15A、
図15Bに準ずる。
【0116】
まず情報端末1Aが特定した乗客の方向θAを測定する。角度θAの測定は、カメラ画像とカメラの姿勢情報により行う。乗客の方向θAと最近接位置までの距離xdの関係は、実施例3における考察と同じであり、式(18)より、次式(35)となる。
xd=x0E-xA-xB=hA tanφA tanθA …(35)
これにより、方向の測定に基づいた最近接移動距離x0の推定値x0Eが求まる。
【0117】
実施例1では、電波の受信強度変化からx0Eを推定したが、そのx0Eの代わりに、式(35)で求めたx0Eを用いて、車の速度制御を行う。なお、電波の受信強度に基づいた制御から、カメラの測定による制御に切替える際に車の速度制御でショックが起きないよう、切替えを行う期間を、それぞれの方式を併用し、それぞれの方式で推定したx0Eの値の重み付き平均を用いて徐々に切替える等の処理を行ってもよい。
【0118】
さらに、車の停止位置において、乗客の正面に車のドアがくるように、車の制御装置は、停止位置目標をx0Eから、情報端末1Aと車のドアの進行方向における位置の差の分だけずらしてもよい。
【0119】
また、乗客が車の位置を特定できた場合は、情報端末1Bによりx0Eを推定し、その情報を車に送信して、車の制御装置は、その値を用いて車の制御を行ってもよい。
【0120】
乗客の側がカメラ測定を行う場合は実施例2に準じ、式(16)に対応して以下の関係式(36)を用いる。
xd=x0E-xA-xB=hB tanφB tanθB …(36)
ここで、角度θBの測定は、情報端末1Bにおいて、カメラ画像とカメラの姿勢情報により行う。
【0121】
以上により、より精密な停車位置制御ができる。
【実施例6】
【0122】
本実施例では、乗客の前でうまく停車できなかった場合の対応について説明する。
【0123】
乗客の前でうまく停車できなかった場合は、受信強度が最大となった時点で正面にきている車が、待ち合わせている車であるので、その車を、
図18Aに示すように撮影し、撮影した画像を以後の誘導に用いる。正面位置で撮影した画像を
図18Bに示すように情報端末1Bの画面に表示し、また、車をカメラで追尾できれば、対象車の映像にマークを重畳表示する。
【0124】
車の制御装置は、乗客の前を通りすぎたことが分かった時点以降、安全を確保できる範囲で速度を落とし、車を停車させる。
【0125】
以上により、乗客の正面位置で停車できなかった場合でも、乗客を車まで誘導することができる。
【実施例7】
【0126】
本実施例では、ユーザインターフェースの変形例について説明する。
【0127】
本実施例では、タクシーを呼んだ乗客の情報端末1Cであるスマートフォンが、タクシーの地図上での位置を表示する際、直接通信の無線信号を受信していない状態と、受信している状態で、タクシーすなわち相手情報端末1Aの位置を表示するマークを変更する。ここで、直接通信の無線信号とは、既述の識別信号を伴ったビーコン信号等の無線信号のことであり、本実施例中では単に無線信号と記す場合がある。また、相手情報端末1Aが無線信号を送信し、情報端末1Cが無線信号を受信するとする。
【0128】
図19Aは、本実施例における、相手情報端末1Aの位置が待ち合わせ場所からまだ遠く、情報端末1Cが無線信号を受信していない状態での情報端末1Cの表示画面である。この時、情報端末1Cは、地図上で相手情報端末1Aを表示するマーク1000として、点線で描画したマークを表示する。一方、
図19Bは、本実施例における、相手情報端末1Aが待ち合わせ場所に近づいてきて、情報端末1Cが無線信号を受信している状態での情報端末1Cの表示画面である。この時、情報端末1Cは、地図上で相手情報端末1Aを表示するマーク1001として実線で描画したマークを表示する。なお、上記では、点線と実線でマーク1000とマーク1001の差をつけたが、これに限定されない。例えば、ぼかす、色を変える、枠で囲む等、表示上の差があればよい。なお、
図19A、
図19Bにおいて、マーク1010は自身の情報端末位置を表している。
【0129】
マークの表示の仕方としては、相手情報端末1Aが待ち合わせ場所に近づいてきて、情報端末1Cが無線信号の受信を開始した後は、マーク1001で表示し続けてもよいし、何等かの事情で情報端末1Cが無線信号の受信をできなくなったときは、マーク1000の表示に戻してもよい。
【0130】
情報端末1Cが無線信号を受信できるようになる前は、情報端末1Cは、相手情報端末1Aの地図上の表示位置情報を、相手情報端末1Aから、インターネット経由等の直接通信以外の通信で取得する。相手情報端末1Aは、GPS等を利用して自分自身で位置測定を行う。一方、情報端末1Cが無線信号を受信できるようになった後は、情報端末1Cは、相手情報端末1Aの地図上の表示位置を、前述した無線信号の受信強度変化から推測する方法により決定してもよい。なお、無線信号の受信開始前後で相手情報端末1Aの表示位置が急激に変化しないように、情報端末1Cは、相手情報端末1Aの表示位置を、相手情報端末1Aより取得した位置から、無線信号の受信強度変化から推測する方法により決定した位置に、徐々に変更してもよい。
【0131】
さらに、情報端末1Cは、無線信号の受信の有無、ということだけでなく、無線信号の受信強度により、段階的に相手情報端末1Aを表すマークを変更してもよい。例えば、情報端末1Cは、
図20に示すように、受信強度が強くなるに従って、(a)から(d)のマーク中のバーの長さを長くして表示する。
【0132】
また、情報端末1Aが、GPS電波を受信できない等の理由により自分の位置を測定できず、また、直接通信の無線信号による位置推定もできない場合、情報端末1Cは、情報端末1Aの位置を示すマークを地図上に表示する代わりに、位置不明であることを示す説明メッセージ1005を
図21のように表示してもよい。
【0133】
さらに、情報端末1Cは、相手情報端末1Aの位置を表示するだけでなく、相手情報端末1Aの位置が近づいてきた場合は、
図11Aから
図11Cのような、相手情報端末1Aをカメラ画像またはユーザが直視する形でユーザが視認できるようなサービスに切替えることもできる。このサービス切替えは、情報端末1Cが自動的に行ってもよいし、
図22に示す入力ボックス1007等により、ユーザ指示を受け付けてもよい。また、新しいサービスを別の情報端末1B(例えばHMD)で開始するよう、情報端末1Cと情報端末1Bの連携動作を行ってもよい。
【0134】
ユーザが所有する情報端末がウォッチのような情報端末1Dである場合、マークによる表示ではなく、音声や振動で相手情報端末1Aからの無線信号の受信強度に対応した通知を行ってもよい。すなわち、音声通知においては、
図23に示すように、情報端末1Dは、直接通信の無線信号を受信した時点で、相手情報端末1A(タクシー)が近づいてきた等の通知や受信強度変化の通知を行う。また、振動通知においては、
図24に示すように、情報端末1Dは、受信強度変化時点で、予め設定した振動パターンの振動を発生させる。
【0135】
なお、上記では、相手情報端末1Aが無線信号を送信し、情報端末1Cが無線信号を受信する場合で説明したが、情報端末1Cが無線信号を送信し、情報端末1Aが無線信号を受信するとしてもよい。この際、情報端末1Aは、情報端末1Cより、無線信号の受信強度情報を、直接通信あるいはその他の通信手段で取得する。
【0136】
また、情報端末の種類は例示のものに限定されない。例えばタクシー側の情報端末が自情報端末1Aとなり、顧客のスマートフォンが相手情報端末1Cとなって、情報端末1A側で受信強度に応じたマーク表示や、音声通知、振動通知を行ってもよい。情報端末1Aでの表示例を
図25に示す。マーク1200が自情報端末1Aの位置を表し、マーク1210が相手情報端末1Cの位置を表す。そして、情報端末1Aは、マーク1210を、無線信号の受信強度に対応して変形する。具体的な変形例は、上記と基本的に同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0137】
以上により、無線信号の受信の有無や受信強度が分かれば、ユーザは、視覚的に到着を待っている相手情報端末1Aの自情報端末からの遠近を把握できる。また、無線信号が受信可能であり、相手情報端末1Aが近くに来たことがユーザに分かれば、ユーザが他の実施例で説明した待ち合わせサポート用の表示に切替える等、サービスの切替えタイミングを把握するのに好適である。さらに、情報端末1Cにより、相手情報端末1Aの位置による待ち合わせサポートの内容をユーザにとって好適に制御することもでき、ユーザの利便性が向上する。
【実施例8】
【0138】
本実施例では、カメラ画像を利用した待ち合わせサポートサービスの変形例について説明する。
【0139】
情報端末1Cは、相手情報端末1Aが自情報端末1Cの推定位置に基づき撮影した自情報端末1Cが位置する方向の画像(静止画または動画であり、以後相手情報端末画像と記す)を取得し、その画像中の自情報端末1Cの位置を特定する。そして、情報端末1Cは、特定した自情報端末1Cの相手情報端末画像における位置情報を相手情報端末1Aに送信し、相手情報端末1Aは受信した位置情報より、情報端末1Cの位置を特定する。ここで、画像における位置とは、画像描画領域中の位置という意味である。
【0140】
詳細手順を説明する。情報端末1Cはまず、
図26Aに示すように、相手情報端末画像2000を表示する。なお、
図26Bに示すように、実施例7における地図表示画面に重畳させて表示してもよい。この例での相手情報端末画像2000には、情報端末1Aから見た情報端末1Cを所持するユーザである人物2001aとユーザとは異なる人物2001bが写っている。情報端末1Cは、ユーザである画像中の人物または待ち合わせ位置を特定するユーザ入力を受け付ける。人物または待ち合わせ位置を特定するユーザ入力とは、例えば表示画面上の位置をユーザの指によるタッチで指定し、その指定位置により、人物または待ち合わせ位置を特定する入力である。なお、タッチ動作による入力方法は一例であり、人物または位置が特定できる方法であればよく、タッチ動作に限定されない。以下の人物または位置を特定する入力方法についても同様である。また、人物を特定する入力により、人物のいる位置を待ち合わせ位置として特定したものとしてもよいし、待ち合わせ位置を特定する入力により、そこにいる人物を特定したものとしてもよい。あるいはユーザによる人物特定の入力によらずに、情報端末1Cが画像解析によりユーザである人物2001aを特定してもよい。画像解析の際、情報端末1Cは、情報端末1Cによりその待ち合わせ時点で撮影されたユーザの画像を本人特定に使用してもよい。
【0141】
待ち合わせ対象の人物(すなわちユーザ自身)または待ち合わせ位置特定の後、情報端末1Cは人物の特定マーク2010または待ち合わせ位置の特定マーク2011を相手情報端末画像2000に重畳させて表示する。情報端末1Cはその両方のマークを表示してもよい。情報端末1Cは、人物または待ち合わせ位置の特定が行なわれた後、特定された対象の相手情報端末画像2000における位置情報を、相手情報端末1Aに送信する。相手情報端末1Aは、情報端末1Cから取得した画像における位置情報により、待ち合わせ対象人物および待ち合わせ位置を認識する。
【0142】
人物特定方法の変形例としては、
図27に示すような方法でもよい。すなわち、情報端末1Cは、相手情報端末画像から抽出された人物部分の画像(2021a、2021b)を表示し、ユーザの人物特定の入力動作を受け付ける。この例の場合、画像2021aがユーザに対応する人物画像であるが、情報端末1Cは、ユーザによる画像2021aの特定動作の受付後、例えばその画像が特定されたことを示す特定マーク2020を表示する。情報端末1Cは、ユーザによる人物画像特定動作の受付後、その特定の結果を相手情報端末1Aに通知する。相手情報端末1Aは、情報端末1Cから通知された人物画像の特定結果を元に、待ち合わせの相手がどの人物であるかを認識する。なお、画像(2021a、2021b)の抽出は、相手情報端末1Aによって行われてもよいし、情報端末1Cによって行われてもよく、さらに、サーバ2によって行われてもよい。
【0143】
次に相手情報端末1Aによる待ち合わせ対象人物および待ち合わせ位置の認識結果の、情報端末1Cを所持するユーザによる確認方法を説明する。
【0144】
相手情報端末1Aは、直接通信の無線信号の受信強度による位置推定あるいは、情報端末1Cから取得する上記の位置情報により、待ち合わせ対象人物および待ち合わせ位置を認識する。情報端末1Cは、相手情報端末1Aによるこの認識結果の情報を取得し、その認識結果を
図28に示すように表示する。この
図28の表示例においては、情報端末1Cは、相手情報端末画像2100に相手情報端末が認識している待ち合わせ対象人物を示す特定マーク2030および待ち合わせ位置を示す特定マーク2031を重畳して表示する。このマークの重畳は、情報端末1Cによって行われてもよいし、情報端末1Aによりマークが重畳された画像として相手情報端末画像2100が取得されてもよい。
【0145】
情報端末1Cのユーザは、相手情報端末1Aが認識した待ち合わせ対象人物の特定マーク2030と待ち合わせ位置の特定マーク2031を見て、その認識結果の適否が判断できる。情報端末1Cは、ユーザに相手情報端末画像2100を提示後、ユーザの修正入力を受け付ける。
【0146】
ユーザは修正の必要がある場合、修正入力を行う。修正入力は、
図26Aの場合と同じで、画像中のユーザ本人の位置または待ち合わせ位置をタッチ等の手段で入力する。
図28は、待ち合わせ対象が人物2001aであるのに対して、相手情報端末1Aが待ち合わせ対象を人物2001bと誤認識した場合の例示である。情報端末1Cは、ユーザから、待ち合わせ対象が人物2001a(すなわちユーザ自身)である等の修正入力を受け付けた後、相手情報端末1Aに修正情報を通知する。情報端末1Aは、情報端末1Cより通知を受けた修正情報により、待ち合わせ対象人物、待ち合わせ位置の修正を行う。
【0147】
待ち合わせ対象人物の修正は、
図29に示すような人物画像を列挙する表示形式によっても構わない。人物画像の列挙表示において、特定マーク2040の重畳表示等の手法で、相手情報端末1Aが待ち合わせ対象人物と認識している人物画像が分かる表示を行い、情報端末1Cのユーザがその認識結果の適否を判断できるようにすればよい。修正する場合は、
図27と同様に、情報端末1Cは、正しい人物画像の入力を受け付ける。
【0148】
なお、情報端末の種類は例示のものに限定されない。例えば、タクシー側の情報端末が自情報端末1Aとなり、顧客のHMDが相手情報端末1Bとなって、情報端末1A側で顧客情報端末1Bの待ち合わせ対象車の認識の適否を判断してもよい。情報端末1Aでの表示例を
図30に示す。情報端末1Aは、相手情報端末画像2200を表示し、その画像中に、車2051aと車2051bが写っている。また、情報端末1Bにより、待ち合わせ対象車として認識していることを示す特定マーク2060も重畳表示されている。情報端末1Aに対応する車は2051aであるが、この例では、情報端末1Bが、異なる車2051bを待ち合わせ対象車として誤認識している状態を示している。待ち合わせ対象車の誤認識の修正においては、上記同様に、情報端末1Aは、情報端末自身の画像解析等による手段で修正判断をするか、ユーザによる修正入力を受け付ける。なお、情報端末1Aのユーザは車の運転を行っている場合があるので、ユーザによる修正入力はタッチ等の動作ではなく、情報端末1Aにより追加して重畳表示された車を識別するための識別記号(2052a,2052b)を発声することにより行ってもよい。他の実施態様は、基本的に上記と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0149】
図31は本実施例における待ち合わせサポートの制御フロー図である。
図31は、
図9のフロー図を基本とし、ステップS51A、S51B以降、ステップS54A、S54Bまでの処理が異なるので、その部分につき説明を行う。その他のステップは
図9と同じ処理であるので、説明を省略する。
【0150】
ステップS51A、S51Bで、各情報端末1は、ユーザ、または車の制御装置に対し、待ち合わせをサポートするための情報を提供する。自情報端末におけるサポート情報の表示の他、自情報端末において表示しているサポート情報を相手情報端末に送信する。
【0151】
ステップS52A、S52Bで、ユーザより、待ち合わせ対象の車や人物等の修正情報の入力がある場合は、その入力を受付ける。
【0152】
ステップS53A、S53Bで、ユーザより入力された修正情報および情報端末により判断された修正情報があれば、相手情報端末にその情報を送信する。
【0153】
ステップS54A、S53Bで、修正情報がある場合に、サポート情報を修正する。
【0154】
以上により、相手情報端末画像の取得を通じて、相手情報端末による自情報端末位置の認識の確認および自情報端末位置の相手情報端末への通知を行うことができ、より正確な待ち合わせのサポートを実現できる。
【実施例9】
【0155】
本実施例では、画像中において、情報端末1の特定を容易に行える変形例について説明する。
【0156】
上記の実施例では、情報端末1が、画像中において待ち合わせ対象である人物や車を判断する場合に、ユーザによる判断の入力を受け付けるか、画像解析による判断を利用した。本実施例ではこれらの方法に代わり、情報端末1は、発光デバイス3000を用いて光信号として送信される識別情報により人物や車の特定を行う。
【0157】
図32に本実施例におけるHMDである情報端末1Bの表示画面500を示す。透過型HMDの場合、ユーザは外界の様子を直視できる。ビデオ・シースルー型のHMDの場合、ユーザはビデオ画像として外界の様子を見ることができる。透過型HMDの場合も、外界の様子をカメラで撮影しているものとする。
【0158】
図32は、直接通信の無線信号の受信強度から、待ち合わせ対象の車がいると推定される方向をユーザが向いた状況を示している。この例では、ユーザの視野内には、候補となる車が2台(3001a、3001b)存在している。それぞれ、発光デバイス3000a、3000bを車体に設置している。情報端末1Aの場合は、車に情報端末1Aを搭載する場合、発光デバイス3000は分離して外部から見える位置に設置するものとする。この状況で、情報端末1Aは、自身の識別情報を発光デバイス3000により光信号として送信する。この識別情報は、直接通信の無線信号の識別情報と同一であってもよいが、情報端末1Aは、予め、相手情報端末1Bに通知しておく。あるいは、情報端末1Bがその識別情報を指定してもよい。
【0159】
発光デバイス3000を用いた光信号による識別情報の送信は、例えば
図33のような、発光強度の変調により行う。
図33では、発光している場合を“1”に対応させ、発光していない場合を“0”に対応させるビット列による通信を表しているが、これに限定されない。例えば、多値の変調を行ってもよい。確実にカメラで発光強度の変調を捉えられるように、発光強度の変調速度は、撮像側のカメラのフレームレートより遅くしておく。例えば、カメラのフレームレートが60フレーム/秒のとき、変調速度は20ボー程度にしておく。
【0160】
情報端末1Bでは、カメラで動画を撮影し、画像解析により発光デバイス3000a、3000bの領域を抜き出す。そして、情報端末1Bは、その領域の明るさの変化から、それぞれの車(3001a、3001b)から送信された情報を復元する。そして、情報端末1Bは、予め通知を受けていたか、自身が指定した待ち合わせ対象の情報端末1Aの識別情報と照合し、待ち合わせ対象の車がどれであるかを特定する。
図33では、待ち合わせ対象の車が3001aであり、情報端末1Bは、車3001aが待ち合わせ対象の車であることを示すARオブジェクトによる特定マーク3050を重畳表示している。ここで、偶然、待ち合わせ対象の情報端末1の識別情報と同じ識別情報を送信している対象があった場合は、情報端末1Bは、情報端末1Aに対して、送信する識別情報を変更するように要求してもよい。
【0161】
なお、識別情報は、双方の情報端末1が送信し、双方で相手情報端末1を確認してもよい。また、情報端末1の種類の組合せは上記に限定されない。そして、発光デバイス3000から情報を光信号により送信する情報端末1が、相手情報端末1の画像を受信し、自身の発光デバイス3000による送信情報を確認してもよい。さらに、画像中の発光デバイス3000から送信される情報の復元をサーバ2で行い、サーバ2が画像中において待ち合わせ対象の人物、車、情報端末1がどれであるかを、情報端末1に通知してもよい。
【0162】
本実施例の手法は、他の実施例において、待ち合わせ対象の人物、車、情報端末1がどれであるかを特定する手段として組合せてもよい。
【0163】
図34は本実施例における待ち合わせサポートの制御フロー図である。
図9のフロー図を基本とし、ステップS71A、S71Bとして、上述の処理が入る。その他のステップは
図9と同じ処理であるので、説明を省略する。
【0164】
ステップS71A、S71Bで、一方の情報端末1が、発光デバイス3000を用いて、相手情報端末1に自身の識別情報を送信する。識別情報の送信を受けた情報端末1は、送信側情報端末1がいると推測する方向の動画を撮影する。ここで、双方の情報端末1が識別情報の送信側になってもよい。この動画を識別情報の受信側の情報端末1あるいは、送信側の情報端末1、あるいはサーバ2により解析し、画像中における送信側情報端末1の特定を行う。
【0165】
以上、情報端末1による発光デバイスを用いた識別情報の送信と、識別情報を送信している情報端末1を撮影した動画の解析から、正確な相手情報端末1の位置を特定することができ、待ち合わせサポートシステムの信頼性を向上させることができる。
【0166】
以上実施例について説明したが、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。また、前述した機能等は、一部または全部をハードウェアで実装してもよいし、ソフトウェアプログラム処理で実装してもよい。機能等を構成するプログラムやデータは、コンピュータ読取可能な記憶媒体に格納されてもよいし、通信網上の装置に格納されてもよい。
【符号の説明】
【0167】
1、1A~1D:情報端末、2:サーバ、3:待ち合わせ場所、4:建造物、5:所定の範囲、6:壁面の長さ、9:通信網、10:筐体、11:表示面、101:プロセッサ、102:メモリ、103:表示デバイス、107:操作入力部、110A、110B:移動線、111:大地面、112A、112B:起点、113、115A、115B:距離、114A、114B:移動距離、120:直接波経路、130A、130B:投影線、500、600:表示画面、501、503、505、601、603、605、1005:説明メッセージ、502、504、602、604:ARオブジェクトのマーク、1000、1001、1010、1200、1210:マーク、1007:入力ボックス、1100:振動発生装置、2000、2100、2200:相手情報端末画像、2001a、2001b:人物、2010、2011、2020、2030、2031、2040、2060、3050:特定マーク、2021a、2021b:画像、2051a、2051b、3001a、3001b:車、2052a、2052b:識別記号、3000、3000a、3000b:発光デバイス